(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024023570
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】心外膜アブレーションカテーテル
(51)【国際特許分類】
A61B 18/14 20060101AFI20240214BHJP
【FI】
A61B18/14
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023206329
(22)【出願日】2023-12-06
(62)【分割の表示】P 2020561710の分割
【原出願日】2019-05-06
(31)【優先権主張番号】62/667,964
(32)【優先日】2018-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ヴィスワナータン,ラジュ
(72)【発明者】
【氏名】パギアード,ジャン-リュック
(57)【要約】 (修正有)
【課題】心臓アブレーション手順中に、組織に対してアブレーションカテーテルを位置づけるためのシンチデバイスを用いる、電気穿孔アブレーション治療のためのシステム、デバイス、および方法に関する。
【解決手段】第1のデバイスの遠位端は、第2のデバイスの第1の内腔の近位端の中へ前進してもよい。第1のデバイスが、第1の内腔の遠位端から前進してもよく、第1のデバイスが、患者の組織の周りでループ状になってもよい。第1のデバイスが、第2のデバイスの第2の内腔の遠位端の中へ前進してもよい。第1のデバイスの遠位端が、第2の内腔の近位端から前進してもよい。第1のデバイスの近位端および遠位端が、第2のデバイスの近位端から離れて前進して、第1のデバイスと組織との間の接触を増大させてもよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位部分、遠位部分、および中央部分を含むアブレーションデバイスであって、前記中央部分が、上に配置される電極のセットを含む、アブレーションデバイスと、
前記アブレーションデバイスの前記近位および遠位部分を、シンチ(cinch)デバイスの第1および第2の内腔の中で受け取るとき、前記アブレーションデバイスの前記中央部分が、調整可能なループを形成するように、前記アブレーションデバイスの前記近位部分を摺動可能に受け取るように構成される、前記第1の内腔と、前記第1の内腔と平行に延在し、前記アブレーションデバイスの前記遠位部分を摺動可能に受け取るように構成される、前記第2の内腔とを画定するシンチデバイスと、を備える、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年5月7日出願の米国仮出願第62/667,964号の利益を主張し、その開示全体は、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
組織治療のためのパルス電界の生成は、過去20年で研究室から臨床応用へと進展してきた一方で、高電圧および高電界の短いパルスが組織に及ぼす影響については、過去40年間以上調査されている。短く高い直流(DC)電圧を組織に印加すると、細胞膜の中に細孔を生成することによって細胞膜を破壊する高電界を、通常1センチメートルごとに数百ボルトの範囲で局所的に生成しうる。この電気的に駆動される細孔生成、すなわち電気穿孔の正確なメカニズムは、引き続き研究中であるものの、比較的短い高電界の印加によって、細胞膜の脂質二重層に不安定性が生成され、細胞膜の中に局所的なギャップまたは細孔の分布を発生させると考えられている。この電気穿孔は、膜に印加される電界が、細孔が閉じず開いたままとなるような閾値より大きい場合に、不可逆的であってもよく、それによって、膜全体で生体分子材料の交換が可能となり、壊死および/またはアポトーシス(細胞死)をもたらす。続いて、周囲の組織が自然に治癒しうる。パルスDC電圧が、適正な状況下で電気穿孔を駆動してもよいものの、高DC電圧電気穿孔アブレーション治療を選択的に、関心領域の中の心組織へ効果的に送達する、薄く可撓性のある非侵襲的なデバイスについて、満たされていないニーズが残る。
【発明の概要】
【0003】
本明細書に記載するのは、不可逆的電気穿孔により組織をアブレーションするためのシステム、デバイス、および方法についてである。いくつかの実施形態では、システムは、近位部分、遠位部分、および中央部分を含むアブレーションデバイスを備え、中央部分が、上に配置される電極のセットを含んでもよい。アブレーションデバイスの近位および遠位部分を、シンチ(cinch)デバイスの第1および第2の内腔の中で受け取るとき、アブレーションデバイスの中央部分が、調整可能なループを形成するように、シンチデバイスは、アブレーションデバイスの近位部分を摺動可能に受け取るように構成される、第1の内腔を画定してもよく、第2の内腔は、第1の内腔と平行に延在し、アブレーションデバイスの遠位部分を摺動可能に受け取るように構成されてもよい。
【0004】
いくつかの実施形態では、電極のセットが、電極のサブセットを含んでもよく、電極の各サブセットが、第1の長さを有し、電極の隣接するサブセットは、第2の長さだけ互いに離隔する。これらの実施形態のうちのいくつかでは、電極のセットが、約4つの電極サブセットと約20個の電極サブセットとの間を含む。
【0005】
いくつかの実施形態では、アブレーションデバイスが、基準の第1および第2のセットを含んでもよい。基準の第1および第2のセットのうちの基準が、アブレーションデバイスの全長に沿って交互に配置されてもよく、基準の第1のセットは、1つ以上の特性によって基準の第2のセットとは異なる。これらの実施形態のうちのいくつかでは、基準の第1のセットのうちの隣接する基準は、第1および第2の長さの合計だけ相隔たる。いくつかの実施形態では、基準の第1および第2のセットが、アブレーションデバイスの近位および遠位部分のうちの少なくとも1つに沿って配置されてもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の特性が、長さ、厚さ、深さ、形状、色、模様、配向、質感、または材料のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0006】
いくつかの実施形態では、基準の第1のセットのうちの基準は、電極のセットのうちの電極の幅に等しい第3の長さだけ、基準の第2のセットのうちの隣接する基準から離隔する。いくつかの実施形態では、シンチデバイスが、第1および第2の長さの合計の整数倍である、第4の長さを有してもよい。いくつかの実施形態では、電極の各サブセットは、複数の電極を含み、複数の電極の各電極が、第3の長さを有し、複数の電極のうちの隣接する電極から、ある距離だけ離隔する。隣接する近位基準間に間隙を伴う基準のセットを含む、アブレーションデバイスが、第3の長さに等しい第4の長さと、ある距離に等しい第5の長さとを交互に繰り返してもよい。
【0007】
いくつかの実施形態では、電極の各サブセットは、複数の電極を含み、複数の電極のうちの第1の電極は、第3の長さを有し、複数の電極のうちの第2の電極は、第3の長さより大きい第4の長さを有してもよい。アブレーションデバイスが、アブレーションデバイスの全長に沿って交互に配置される、基準の第1および第2のセットを含み、基準の第1のセットのうちの基準が、基準の第2のセットのうちの隣接する基準から、第3の長さだけ離隔していてもよい。
【0008】
いくつかの実施形態では、アブレーションデバイスが直線的に延在する第1の構成と、アブレーションデバイスの中央部分が、調整可能なループを形成する第2の構成との間を、アブレーションデバイスが移行するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、調整可能なループが、心臓の肺静脈のセットの周りに位置づけられるように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、電極のセットが、電圧パルス波形の受信に応答して、パルス電界を生成して、心組織をアブレーションするように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、アブレーションデバイスが、アブレーションデバイスの近位部分の近位端に結合されるハンドルを含んでもよい。
【0009】
いくつかの実施形態では、アブレーションデバイスが、ガイドワイヤを使用して、カテーテルを心臓の肺静脈のセットの周りに位置づけることができるように、ガイドワイヤを受け取るよう構成されるガイドワイヤ内腔を含む、カテーテルであってもよい。いくつかの実施形態では、ロックは、アブレーションデバイスを、シンチデバイスに対して適所に保持するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、電極のセットの各電極が、約1mmと約12mmとの間の長さを含んでもよい。いくつかの実施形態では、アブレーションデバイスの遠位部分が、約20cmと約70cmとの間の長さを有してもよい。
【0010】
いくつかの実施形態では、装置は、互いと平行に延在する第1および第2の内腔を画定する、細長いシャフトを備え、アブレーションカテーテルの対向端部を、第1および第2の内腔内で受け取るときに、アブレーションカテーテルが、細長いシャフトから延在する調整可能なループを形成するように、第1および第2の内腔が、アブレーションカテーテルの対向端部を摺動可能に受け取るよう構成され、細長いシャフトが、縦軸を画定する近位部分と、近位部分の縦軸に対して湾曲を有する遠位部分とを含んでもよい。
【0011】
いくつかの実施形態では、遠位部分の湾曲が、近位部分の縦軸に対して、約30度と約60度との間であってもよい。いくつかの実施形態では、細長いシャフトが、約6cmと約30cmとの間の長さを有してもよい。いくつかの実施形態では、細長いシャフトの少なくとも遠位端は、蛍光顕微鏡で可視化されるように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、第1および第2の内腔が同じ直径を有する。いくつかの実施形態では、第1および第2の内腔が、1つ以上の電極を上に配置するアブレーションデバイスの一部分を、摺動可能に受け取るように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、アブレーションデバイスの対向端部の少なくとも1つが、調整可能なループを心臓の一部分の周りに位置づけるのを調整するために、細長いシャフトに対して移動できるように、第1および第2の内腔が、アブレーションカテーテルの対向端部を摺動可能に受け取るように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、管状シャフトの少なくとも一部分は、心膜腔内に配置されるように構成される。
【0012】
いくつかの実施形態では、方法は、アブレーションデバイスの遠位端を、シンチデバイスの第1の内腔を通って、近位から遠位の方向に前進させることを含んでもよい。アブレーションデバイスが、心臓の肺静脈のセットを一周する調整可能なループを形成するように、アブレーションデバイスを対象の心臓の心組織の周りに位置づけてもよい。アブレーションデバイスの遠位端を、シンチデバイスの第2の内腔を通って、遠位から近位の方向に前進させてもよい。第2の内腔が、第1の内腔と実質的に平行に延在してもよい。アブレーションデバイスの遠位端または近位端のうちの少なくとも1つを、シンチデバイスの近位端から近位に移動させて、調整可能なループのサイズを減少させ、アブレーションデバイスと心組織との間の接触を増大させてもよい。
【0013】
いくつかの実施形態では、アブレーションデバイスの調整可能なループが、心臓の心膜翻転部を通って延在する。いくつかの実施形態では、アブレーションデバイスの遠位端または近位端のうちの少なくとも1つを、シンチデバイスの近位端から近位に移動させることによって、アブレーションデバイスを通して心組織に所定の力を印加する。いくつかの実施形態では、方法がさらに、シンチデバイスを対象の心膜腔中へ前進させることを含んでもよい。いくつかの実施形態では、方法がさらに、シンチデバイスを心臓の後側に位置づけることを含んでもよい。いくつかの実施形態では、方法がさらに、対象の胸部に対してクリンチデバイスに斜めの角度がつくように、シンチデバイスを位置づけることを含んでもよい。いくつかの実施形態では、方法がさらに、アブレーションデバイスの遠位端または近位端のうちの少なくとも1つを移動させた後、シンチデバイスに対してアブレーションデバイスの位置をロックすることを含んでもよい。いくつかの実施形態では、方法がさらに、アブレーションデバイスの電極のセットを介して、心組織へパルス電界を送達して、心組織をアブレーションすることを含んでもよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、方法は、アブレーションデバイスの遠位端を、シンチデバイスの第1の内腔を通って、近位から遠位の方向に前進させることを含んでもよい。アブレーションデバイスが、心臓の肺静脈のセットを一周する調整可能なループを形成するように、アブレーションデバイスを対象の心臓の心組織の周りに位置づけてもよい。アブレーションデバイスの遠位端を、シンチデバイスの第2の内腔を通って、遠位から近位の方向に前進させ、第2の内腔が、第1の内腔と実質的に平行に延在してもよい。アブレーションデバイスの電極のセットの位置は、アブレーションデバイスの遠位または近位部分のうちの少なくとも1つの上に配置される基準のセットに少なくとも基づいて、シンチデバイスに対して検証されてもよい。
【0015】
いくつかの実施形態では、方法がさらに、シンチデバイスの外側に配置されるアブレーションデバイスの一部分に配置される、アブレーションデバイスの基準のセットのうちの1つ以上の基準を可視化することを含んでもよい。いくつかの実施形態では、アブレーションデバイスの電極のセットの位置を検証することが、基準のセットを使用して、シンチデバイスより遠位に配置される電極のセットのうちの少なくとも1つの電極を識別することを含む。いくつかの実施形態では、方法がさらに、電極のセットの残りの電極にではなく、シンチデバイスより遠位に配置される少なくとも1つの電極に、パルス波形を印加することを含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、実施形態による、アブレーションデバイスおよびシンチデバイスの斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態による、シンチデバイスから突出するアブレーションデバイスの一部分を含む、アブレーションデバイスおよびシンチデバイスの斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態による、シンチデバイスから突出するアブレーションデバイスの一部分を含む、アブレーションデバイスおよびシンチデバイスの斜視図である。
【
図4】
図4は、実施形態による、シンチデバイスから突出するアブレーションデバイスの一部分を含む、アブレーションデバイスおよびシンチデバイスの斜視図である。
【
図5】
図5は、実施形態による、シンチデバイスの一部分上にある基準のセットを含む、シンチデバイスの斜視図である。
【
図6】
図6Aは、実施形態による、アブレーションデバイスの側面図である。
図6Bは、
図6Aのアブレーションデバイスの遠位部分の斜視図である。
図6Cは、
図6Aのアブレーションデバイスの遠位先端の斜視図である。
【
図7】
図7Aは、実施形態による、電極のセットを含むアブレーションデバイスの側面図である。
図7Bは、電極のセットに結合され、アブレーションデバイスの中に配置されるリードを伴う、
図7Aの電極のセットの側面図である。
【
図8】
図8は、実施形態による、電気穿孔システムのブロック図である。
【
図9】
図9Aは、実施形態による、シンチデバイスの側面図である。
図9Bは、
図9Aのシンチデバイスの概略断面側面図である。
図9Cは、
図9Aのシンチデバイスの遠位端の概略側面図である。
図9Dは、
図9Aのシンチデバイスの遠位先端の概略側面図である。
【
図10】
図10は、実施形態による、各パルスに定義されたパルス幅で連続する電圧パルスを含む、例示的な波形である。
【
図11】
図11は、実施形態による、パルス幅、パルス間の間隔、およびパルスのグループ化を含む、パルスの階層を概略的に示す。
【
図12】
図12は、実施形態による、入れ子型階層の異なるレベルを表示する、単相パルスの入れ子型階層の概略図を提供する。
【
図13】
図13は、実施形態による、入れ子型階層の異なるレベルを表示する、二相パルスの入れ子型階層の概略図である。
【
図14】
図14は、実施形態による、アブレーションデバイスの斜視図であり、アブレーションデバイスが、そのシャフトに沿って配置され、肺静脈の一部分に巻きつく複数の電極を含み、アブレーションデバイスが肺静脈の周りにおおよそ閉じた輪郭を形成するように、対象の体内の心臓の心外膜腔内にある。
【
図15】
図15は、実施形態による、シンチデバイスの各端部から突出するアブレーションデバイスの複数部分を含む、アブレーションデバイスおよびシンチデバイスの斜視図である。
【
図16】
図16は、実施形態による、患者の組織に対してアブレーションカテーテルを位置づけるための方法を示す。
【
図17】
図17は、実施形態による、アブレーションカテーテルの位置づけを検証するための方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書に記載するのは、不可逆的電気穿孔により組織をアブレーションするように、パルス電界を選択的かつ迅速に印加するためのシステム、デバイス、および方法である。概して、本明細書に開示するシステム、デバイス、および方法は、意図しない組織障害を減少させるために、所望の関心領域で高電界強度を生成し、ピーク電界値を減少させるように使用されてもよい。本明細書に記載するデバイスは、心組織のパルス電界アブレーションのために置かれうる、可撓性のあるカテーテルを含む。いくつかの実施形態では、アブレーションデバイスは、剣状突起下アクセスによって、または手術による直接的な配置によって、心膜腔の中へ置かれてもよい。アブレーションデバイス(例えば、アブレーションカテーテル)とアブレーションされる組織との間の適切な物理的配置および加えられる張力によって、副作用およびユーザエラーが減少する、標的を定めた効果的な電気穿孔を保証しうる。例えば、シンチデバイス、およびその上に配置された基準は、標的組織に対するアブレーションデバイスの位置づけ、および位置づけの検証を支援するように使用されてもよい。
【0018】
本明細書に記載する不可逆的電気穿孔システムは、1つ以上の電圧パルス波形をアブレーションデバイスの選択された電極のセットへ印加して、関心領域へエネルギー(例えば、肺静脈口の組織に対するアブレーションエネルギー)を送達するように構成された、信号発生器およびプロセッサを含み、一実施形態では、高度に構成可能な電極チャネルのセット(例えば、独立した任意の電極選択を可能にする)を提供してもよい。いくつかの実施形態では、作動する電極、および/または非作動の電極が選択可能である一方、電極対(例えば、陽極-陰極サブセット)は、作動する電極に基づいて自動で構成されてもよい。本明細書に開示するパルス波形によって、様々な不整脈(例えば、心房細動)の治療的処置を支援することができる。信号発生器によって生成されるパルス波形を送達するために、アブレーションデバイスの1つ以上の電極が、少なくとも約700Vの電位を維持するために構成される絶縁導線を、その対応する絶縁を誘導破壊することなく有してもよい。電極のサブセットは、サブセットが、デバイスの他のいかなる電極からも独立して制御され(例えば、エネルギーを送達し)うるように、独立してアドレス可能であってもよい。このように、電極および/または電極サブセットによって、組織の電気穿孔のために、異なるタイミングで異なるエネルギー波形を相乗的に送達してもよい。
【0019】
本明細書で使用する「電気穿孔」という用語は、細胞膜の細胞外環境への透過性を変化させる、電界の細胞膜への印加を指す。本明細書で使用する「可逆的電気穿孔」という用語は、細胞膜の細胞外環境への透過性を一時的に変化させる、電界の細胞膜への印加を指す。例えば、細胞が可逆的電気穿孔を受けると、電界が取り除かれると閉じる、1つ以上の細孔の一時的および/または断続的な形成が、細胞膜の中に認められる。本明細書で使用する「不可逆的電気穿孔」という用語は、細胞膜の細胞外環境への透過性を永久に変化させる、電界の細胞膜への印加を指す。例えば、細胞が不可逆的電気穿孔を受けると、電界が取り除かれても存続する1つ以上の細孔の形成が、細胞膜の中に認められる。
【0020】
本明細書に開示するような電気穿孔エネルギー送達のためのパルス波形は、不可逆的電気穿孔に関連する電界閾値を低下させることによって、組織へのエネルギー送達の安全性、効率、および有効性を高め、それゆえ、送達される総エネルギーの減少と共に、より効果的なアブレーション損傷をもたらしうる。いくつかの実施形態では、本明細書で開示する電圧パルス波形が階層的で、入れ子構造を有してもよい。例えば、パルス波形が、関連する時間尺度を有する、パルスの階層的なグループを含んでもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に開示する方法、システム、およびデバイスは、「SYSTEMS, APPARATUSES AND METHODS FOR DELIVERY OF ABLATIVE ENERGY TO TISSUE」と題する、2016年10月19日出願の国際出願第PCT/US2016/057664号、および「SYSTEMS, APPARATUSES AND METHODS FOR DELIVERY OF ABLATIVE ENERGY TO TISSUE」と題する、2018年9月20日出願の米国特許仮出願第62/733,968号に記載の方法、システム、およびデバイスのうちの1つ以上を含んでもよく、それらの内容は、参照することによってそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0021】
いくつかの実施形態では、システムがさらに、パルス波形の生成をペーシングされた心拍に同期させるように使用する、心臓刺激装置を含んでもよい。心臓刺激装置が、心臓を心臓刺激装置で電気的にペーシングし、心周期の周期性および予測性を確立するように、ペーシング捕捉を保証してもよい。定期的な心周期の不応期内の時間枠を、電圧パルス波形送達のために選択してもよい。それゆえ、電圧パルス波形は、心臓の洞調律が乱れるのを回避するために、心周期の不応期に送達されてもよい。いくつかの実施形態では、システムが随意に1つ以上の対極板を含んでもよい。いくつかの実施形態では、心臓刺激装置の機能性は、信号発生器(例えば、アブレーションコンソール、波形発生器コンソール)に統合されてもよい。
【0022】
概して、組織をアブレーションするために、1つ以上のカテーテルが標的の場所へ前進してもよい。心臓での用途では、電圧パルス波形を送達する電極が、心内膜デバイス上に配置されてもよい。本明細書に記載する方法が、アブレーションカテーテルをシンチデバイスの第1の内腔を通って導入することを含んでもよい。アブレーションカテーテルが、第1の内腔から前進し、肺静脈のセットなど、心組織の周りでループ状になってもよい。アブレーションカテーテルの遠位端が、第2の内腔の遠位端を通って、シンチデバイスの中へ戻って前進してもよい。その後、アブレーションカテーテルの近位端および遠位端が、アブレーションカテーテルの近位側にくるように、アブレーションカテーテルが、シンチデバイスの近位端から前進してもよい。アブレーションカテーテルの端部が、アブレーションカテーテルのループによって組織が締まって、接触が増大し所定の力を印加するような適所に保持される、シンチデバイスから離れるように引っ張られてもよい。シンチデバイスに対するアブレーションカテーテルの位置は、アブレーションカテーテルおよび/またはシンチデバイス上に配置される、基準のセットを使用して検証されてもよい。例えば、1つ以上の電極および/または電極の1つ以上のサブセットは、シンチデバイスの内腔内に配置されてもよい。これらの電極は、アブレーションに対して作動しなくてよい。
【0023】
パルス波形は、組織をアブレーションするように生成され、アブレーションカテーテルの1つ以上の識別された電極(例えば、シンチデバイスによって被覆されていない電極)へ送達されてもよい。いくつかの実施形態では、パルス波形が、心臓の洞調律の乱れを回避するように、心臓のペーシング信号と同期して生成されてもよい。いくつかの実施形態では、電極が、陽極-陰極サブセットで構成されてもよい。パルス波形が、組織アブレーションを支援し、健康な組織への障害を減少させるように、階層的な波形を含んでもよい。
【0024】
概して、本明細書に記載するシステムおよびデバイスは、心臓の左心房腔の中で組織をアブレーションするように構成される、1つ以上のカテーテルを含む。
図14に示すように、いくつかの実施形態では、肺静脈隔離(PV隔離)システムは、近位部分(9)および遠位部分(8)を有する、アブレーションデバイス(15)(例えば、アブレーションカテーテル)を含んでもよい。アブレーションデバイス(15)が、その全長に沿って配置される電極のセット(17)を含んでもよく、アブレーションデバイス(15)が、対象または患者の生体構造において、心臓(7)の4本すべての肺静脈(10、11、12、13)に心外膜腔の中で巻きつき、アブレーションデバイス(15)の近位および遠位部分(9)および(8)それぞれが、外へ離れるように延在して、最終的に患者の胸部から現れる。アブレーションデバイス(15)、および本明細書に記載するアブレーションデバイスのうちのいずれも、国際公開第2014/025394号に記載されるアブレーションカテーテルに類似することができ、「Catheters, Catheter Systems, and Methods for Puncturing Through a Tissue Structure」と題する、2013年3月14日出願の国際出願第PCT/US2013/031252号(国際公開第2014/025394号のPCT出願公開)は、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。アブレーションデバイス(15)が、いかなる好適な手順および装置を使用して、肺静脈(10、11、12、13)の周囲に配置されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、アブレーションデバイスが、国際公開第2014/025394号のPCT出願公開、および/または2017年6月15日出願の国際出願第PCT/US2017/037609号に記載されるように、剣状突起下心膜アクセスの場所を介して配置される穿刺装置を使用し、ガイドワイヤによる送達方法を使用して、肺静脈(10、11、12、13)および/または心臓(7)の周囲に配置されてもよく、該文献は、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、国際公開第2014/025394号のPCT出願公開に記載されるように、心膜翻転部にわたって電磁結合を形成するように構成される磁性部材を有する送達カテーテルは、心臓周囲の位置へガイドワイヤを送達するように使用できる。類似のおよび/または代替の方法を使用して、アブレーションデバイス(15)を送達し位置づけてもよい。代替の配置方法は、外科手技中などに、開いた胸部に直接外科的に配置することを含む。いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス(15)の端部(8)および(9)が、延在し患者の胸部から現れた後、本明細書でより詳細に説明するように、適所または互いに安定する位置で、アブレーションデバイスを効果的に保持するように、シンチデバイスを使用して共にしっかり締める(cinched)ことができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス(15)が、本明細書で詳細に説明するように、双筒式シンチデバイスの第1の内腔の近位端の一端の中へ挿入され、その後、内腔を通って引っ張られ、1本以上の肺静脈の底部の周りに置かれて、肺静脈の周りにループを形成し、次いで、アブレーションデバイス(15)の遠位端が、シンチデバイスの第2の内腔の近位端から延在するように、シンチデバイスの第2の内腔の遠位端の中へ挿入されてもよい。
【0026】
図14は単一カテーテルのシステムを示しているものの、本明細書に記載する実施形態はまた、例えば、「METHODS AND APPARATUS FOR MULTI-CATHETER TISSUE ABLATION」と題する、2015年5月15日出願の国際出願第PCT/US2015/031086号などに記載する、肺静脈を取り囲む2つのカテーテルのシステムに適用してもよく、該文献は、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0027】
電気穿孔のための電圧(例えば、DC電圧)は、肺静脈の周りでアブレーションデバイス(15)の形状によって画定される閉輪郭のおおよそ反対側にある、2つのデバイス上のそれぞれ陽極および陰極と識別される電極のサブセットに印加されてもよい。電圧が、不可逆的電気穿孔を引き起こすのに充分な短いパルスで印加されてもよく、およそ200ボルト/cmの閾値電界値が、アブレーションされる心組織で効果的に達成されうるように、0.5kVから10kVの範囲であってもよく、1kVから2.5kVの範囲であるのがより好ましい場合がある。いくつかの実施形態では、2つのデバイス上のアクティブな電極が、陽極と陰極との電極間の幾何学的距離、もしくはそれらのそれぞれの重心の識別が可能になる、適切な角形成で取得されたX線または透視検査画像で、自動および/または手動で識別されてもよい。例えば、基準(
図14には図示せず、本明細書でより詳細に説明するような)が、アブレーションデバイス(15)およびシンチデバイスのうちの1つ以上の表面に配置されてもよく、蛍光顕微鏡で可視化されて、シンチデバイスに対する電極の場所を識別するのを支援するように構成されてもよい。それに基づいて、シンチデバイスに対するアブレーションデバイス(15)の位置を検証してもよい。いくつかの実施形態では、信号発生器が、アブレーションエネルギーを組織へ送達するように、シンチデバイスによって被覆されていない電極のサブセットのみへ、電圧を送達するように構成されてもよい。
【0028】
いくつかの実施形態では、不可逆的電気穿孔用の電圧発生器設定が、電極の場所に対応するこの距離尺度に基づいて、電気穿孔システムによって自動的に識別されてもよい。いくつかの実施形態では、電圧値が、好適なダイヤル、スライダー、タッチパネル、または他のいかなるユーザインターフェースより、ユーザによって直接選択されてもよい。電圧パルスによって、2つのデバイスの結合形状によって画定される輪郭の反対側にある、陽極と陰極との電極間を流れる電流をもたらしてもよく、電流は心臓壁組織を通って、心腔の中に介在する血液を通って流れ、電流が陽極電極から心組織に進入し、陰極電極を通って戻る。順方向および還流電流路(リード)がそれぞれ、別個のデバイスおよび/または同じデバイス内部に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、所与のデバイス上のすべてのアクティブな電極は、同様の極性であってもよい。代替的に、他の実施形態では、単一のデバイス上にある電極を、陽極-陰極セットとして作動することができる。電界が不可逆的電気穿孔を起こすのに充分大きい心臓壁組織のエリアは、電圧パルス印加中にアブレーションされてもよい。
【0029】
いくつかの実施形態では、パルス波形が、心臓の洞調律の乱れを回避するように、心臓のペーシング信号と同期して生成されてもよい。いくつかの実施形態では、電極が、陽極-陰極(例えば、二極)サブセットで構成されてもよい。パルス波形が、国際出願第PCT/US2016/057664号に記載されるように、組織アブレーションを支援し、健康な組織への障害を減少させるように、階層的な波形を含んでもよく、該文献は、参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0030】
本明細書で使用する「電気穿孔」という用語は、細胞膜の細胞外環境への透過性を変化させる、電界の細胞膜への印加を指す。本明細書で使用する「可逆的電気穿孔」という用語は、細胞膜の細胞外環境への透過性を一時的に変化させる、電界の細胞膜への印加を指す。例えば、細胞が可逆的電気穿孔を受けると、電界が取り除かれると閉じる、1つ以上の細孔の一時的および/または断続的な形成が、細胞膜の中に認められる。本明細書で使用する「不可逆的電気穿孔」という用語は、細胞膜の細胞外環境への透過性を永久に変化させる、電界の細胞膜への印加を指す。例えば、細胞が不可逆的電気穿孔を受けると、電界が取り除かれても存続する1つ以上の細孔の形成が、細胞膜の中に認められる。
【0031】
本明細書に開示するような電気穿孔エネルギー送達のためのパルス波形は、不可逆的電気穿孔に関連する電界閾値を低下させることによって、組織へのエネルギー送達の安全性、効率、および有効性を高め、それゆえ、送達される総エネルギーの減少と共に、より効果的なアブレーション損傷をもたらしうる。
【0032】
本明細書に記載する方法が、電極と接触して、組織(例えば、肺静脈)を置くことを含んでもよい。パルス波形が生成され、デバイスの1つ以上の電極へ送達されて、組織をアブレーションしてもよい。いくつかの実施形態では、パルス波形が、心臓の洞調律の乱れを回避するように、心臓のペーシング信号と同期して生成されてもよい。いくつかの実施形態では、電極が、陽極-陰極(例えば、二極)サブセットで構成されてもよい。パルス波形が、組織アブレーションを支援し、健康な組織への障害を減少させるように、階層的な波形を含んでもよい。
【0033】
I.システム
概要
本明細書に開示するのは、組織アブレーションを支援するように、電圧パルス波形の選択的で迅速な印加による組織アブレーションのために構成されるシステムおよびデバイスであり、不可逆的電気穿孔をもたらす。概して、本明細書に記載する、組織をアブレーションするためのシステムは、信号発生器と、電気穿孔を駆動するように、DC電圧の選択的で迅速な印加のために1つ以上の電極を有する、アブレーションデバイスとを含んでもよい。本明細書でより詳細に説明するように、本明細書に記載するシステムおよびデバイスは、心臓の組織をアブレーションするように構成される、1つ以上のアブレーションデバイスを含む。陽極および陰極の電極選択に対する、独立したサブセットの選択により、電圧を選択される電極のサブセットに印加してもよい。アブレーションデバイスが、信号発生器の1つ以上の電極チャネルに結合されてもよい。各電極チャネルまたは電極チャネルのサブセットは、陽極または陰極として、独立して構成されてもよく、電圧パルス波形は、所定の順序で、電極チャネルのうちの1つ以上を通って送達されてもよい。心刺激用のペーシング信号を生成および使用して、ペーシング信号と同期して、信号発生器によってパルス波形を生成してもよい。
【0034】
図8は、組織アブレーションのために電圧パルス波形を送達するように構成される、アブレーションシステム(800)を概略的に示す。システム(800)が、信号発生器(810)およびアブレーションデバイス(840)を含んでもよい。信号発生器(810)が、1つ以上の電極のセット(842a、842b、…、842n)を有する、少なくとも1つのアブレーションデバイス(840)に結合されてもよい。
【0035】
信号発生器
信号発生器(810)が、例えば、心臓組織など、組織の不可逆的電気穿孔のためにパルス波形を生成するように構成されてもよい。信号発生器(810)が、電圧パルス波形発生器であり、アブレーションデバイス(840)の電極のセット(842a、842b、…、842n)へパルス波形を送達してもよい。信号発生器(810)が、高周波(RF)、直流(DC)インパルス(電気穿孔に使用される高電圧、超短パルスなど)、刺激範囲インパルス、および/またはハイブリッド電気インパルスを含むが、これらに限定されない、いくつかのタイプの信号を生成および送達してもよい。例えば、信号発生器(810)が、単相(DC)パルスおよび二相(DCおよびAC)パルスを生成してもよい。信号発生器(810)が、プロセッサ(820)、メモリ(822)、電極チャネルのセット(824a、824b、…、824n)、エネルギー源(826)、検知回路(828)、ルーティングコンソール(830)、およびユーザインターフェース(832)を含んでもよい。1つ以上の信号発生器の構成要素が、通信バスを使用して結合されてもよい。プロセッサ(820)が、メモリ(822)、電極チャネル(824a、824b、…、824n)、エネルギー源(826)、検知回路(828)、ルーティングコンソール(830)、ユーザインターフェース(832)、アブレーションデバイス(840)のうちの1つ以上から受信したデータを組み込んで、信号発生器(810)によって生成される、電圧パルス波形のパラメータ(例えば、振幅、幅、デューティサイクル、タイミングなど)を決定してもよい。メモリ(822)がさらに、パルス波形生成および送達、ならびに/または電極チャネル構成など、システム(800)に関連するモジュール、プロセス、および/または機能を、プロセッサ(820)に実行させる命令を記憶してもよい。例えば、メモリ(822)が、陽極/陰極構成データ、電極チャネル構成データ、パルス波形データ、不具合データ、エネルギー放出データ、心臓ペーシングデータ、患者データ、臨床データ、手順データ、センサーデータ、温度データ、および/または同類のものを記憶するように構成されてもよい。
【0036】
いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス(840)(
図1~4、6、7、14、および15に示すデバイスのうちのいずれかに類似)が、本明細書に記載するパルス波形を受信および/または送達するように構成されるデバイスを含んでもよい。例えば、アブレーションデバイス(840)が、肺静脈の周りに導入され、位置づけられて、1つ以上の電極(842a、842b、…、842n)を心臓組織に整列させ、次いで、パルス波形を送達して組織をアブレーションしてもよい。アブレーションデバイス(840)が、いくつかの実施形態では、独立してアドレス可能な電極のセットでありうる、1つ以上の電極(842a、842b、…、842n)を含んでもよい。例えば、電極(842a、842b、…、842n)が、例えば、1つの陽極および1つの陰極を含むサブセット、2つの陽極および2つの陰極を含むサブセット、2つの陽極および1つの陰極を含むサブセット、1つの陽極および2つの陰極を含むサブセット、3つの陽極および1つの陰極を含むサブセット、3つの陽極および2つの陰極を含むサブセット、ならびに/または同類のものなど、1つ以上の陽極-陰極サブセットにグループ化されてもよい。電極のセット(842a、842b、…、842n)が、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、またはそれ以上の電極といった、いかなる数の電極を含んでもよい。いくつかの実施形態では、所定の電極のサブセットは、そうした各サブセットが独立してアドレス可能なように、共に電気配線されてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に開示する方法、システム、およびデバイスは、「SYSTEMS, DEVICES, AND METHODS FOR SIGNAL GENERATION」と題する、2017年4月27日出願の米国特許出願第15/499,804号、「SYSTEMS, DEVICES, AND METHODS FOR DELIVERY OF PULSED ELECTRIC FIELD ABLATIVE ENERGY TO ENDOCARDIAL TISSUE」と題する、2017年1月4日出願の国際出願第PCT/US17/12099号、「CATHETERS, CATHETER SYSTEMS, AND METHODS FOR PUNCTURING THROUGH A TISSUE STRUCTURE AND ABLATING A TISSUE REGION」と題する、2013年3月14日出願の国際出願第PCT/US2013/031252号、「SYSTEMS, DEVICES, AND METHODS FOR SIGNAL GENERATION」と題する、2018年4月26日出願の国際出願第PCT/US2018/029552号、および「SYSTEMS, DEVICES, AND METHODS FOR FOCAL ABLATION」と題する、2019年1月18日出願の国際出願第PCT/US2019/014226号に記載する方法、システム、ならびにデバイスのうちの1つ以上を含んでもよく、それらの各々の内容は、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0037】
いくつかの実施形態では、プロセッサ(820)が、命令もしくはコードのセットを動作させる、および/または実行するように構成される、いかなる好適な処理デバイスであってもよく、1つ以上のデータプロセッサ、画像処理プロセッサ、グラフィックスプロセッシングユニット、物理演算ユニット、デジタル信号プロセッサ、および/または中央処理装置を含んでもよい。プロセッサ(820)が、例えば、汎用プロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、および/または同類のものであってもよい。プロセッサ(820)が、システムおよび/もしくはシステムに関連するネットワーク(図示せず)に関連する、アプリケーションプロセス、および/もしくは他のモジュール、プロセス、および/もしくは機能を動作させる、ならびに/または実行するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、プロセッサが、マイクロコントローラユニットおよびFPGAユニットの両方を含み、マイクロコントローラが、電極の順序に関する命令をFPGAへ送ってもよい。基礎となるデバイス技術は、例えば、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)のような金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)技術、エミッタ結合論理(ECL)のようなバイポーラ技術、高分子技術(例えば、シリコン共役ポリマーおよび金属共役ポリマー金属構造)、アナログとデジタルとの混合、および/または同類のものといった、様々な構成要素のタイプで提供されてもよい。
【0038】
いくつかの実施形態では、メモリ(822)が、データベース(図示せず)を含んでもよく、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、メモリバッファ、ハードドライブ、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能読み取り専用メモリ(EEPROM)、読み取り専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリなどであってもよい。メモリ(822)が、パルス波形生成および/または電極チャネル構成など、システム(800)に関連するモジュール、プロセス、および/または機能を、プロセッサ(820)に実行させる命令を記憶してもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、電極チャネルのセット(824a、824b、…、824n)は、アクティブな固体スイッチのセットを含んでもよい。電極チャネルのセット(824a、824b、…、824n)が、各電極チャネルに対する独立した陽極/陰極構成を含む、いくつかの手段で構成されてもよい。例えば、電極チャネル(824a、824b、…、824n)が、例えば、1つの陽極および1つの陰極を含むサブセット、2つの陽極および2つの陰極を含むサブセット、2つの陽極および1つの陰極を含むサブセット、1つの陽極および2つの陰極を含むサブセット、3つの陽極および1つの陰極を含むサブセット、3つの陽極および2つの陰極を含むサブセット、ならびに/または同類のものなど、1つ以上の陽極-陰極サブセットにグループ化されてもよい。電極チャネルのセット(824a、824b、…、824n)が、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、またはそれ以上の電極チャネルといった、いかなる数のチャネルを含んでもよい。エネルギー送達には、電極チャネル(824a、824b、…、824n)のいかなる組み合わせ、およびエネルギー送達シーケンスのいかなる順番を使用してもよい。送達されるエネルギーが、RFおよび/またはいかなる組織アブレーションエネルギーであってもよい。
【0040】
電極チャネルのセット(824a、824b、…、824n)が、ルーティングコンソール(830)に結合された電極のセット(842)へ、エネルギーを送達するように、ルーティングコンソール(830)に結合されてもよい。電極チャネルのセット(824a、824b、…、824n)が、エネルギー(例えば、パルス波形)を受信するように、エネルギー源(826)へ結合されてもよい。プロセッサ(820)が、パルスごと、オペレータ入力ごと、および/または同類のものに構成されうる、各電極チャネル(824)に対して陽極/陰極構成を構成するように、各電極チャネル(824a、824b、…、824n)へ結合されてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書で詳細に説明するように、各電極チャネル(824a、824b、…、824n)が、電子スイッチ(例えば、バイポーラトランジスタ)および駆動回路を含んでもよい。いくつかの実施形態では、各電極チャネル(824a、824b、…、824n)が、低周波および高周波操作用にブートストラップ構成を有してもよい。例えば、電極チャネルを通って送達される電圧パルスのパルス持続期間は、約1マイクロ秒と約1000マイクロ秒との間の範囲であってもよい。二相モードでは、これは、電圧パルスに関連する周波数に対して、約500Hzと約500KHzとの間の近似の周波数範囲に対応する。
【0041】
いくつかの実施形態では、プロセッサ(820)およびメモリ(822)を含むコントローラは、電極のセット(842)の各電極に結合されてもよい。コントローラが、パルス波形を生成するように構成され、パルス波形送達のために電極のセット(842)を構成してもよい。パルス波形が、電極のセット(842)へ送達されてもよい。
【0042】
いくつかの実施形態では、エネルギー源(826)は、エネルギーを変換し、信号発生器(810)に結合される電極のセット(842)へ供給するように構成されてもよい。信号発生器(810)のエネルギー源(826)が、DC電源を含み、AC/DC切替器として構成されてもよい。いくつかの実施形態では、信号発生器(810)のエネルギー源(826)が、間のすべての値および部分範囲を含めて、約30Ωと約3000Ωとの間の範囲のインピーダンスを伴い、約1マイクロ秒と約500マイクロ秒との間の範囲のパルス幅で、最大約7kVのピーク最大電圧を持つ矩形波パルスをデバイスへ送達してもよい。これらの実施形態のうちのいくつかでは、エネルギー源(826)がエネルギーを貯蔵するように構成されてもよい。例えば、エネルギー源(826)が、電源からのエネルギーを貯蔵するように、1つ以上のコンデンサを含んでもよい。これらの例は、純粋に非限定的な説明の目的で含まれているものの、パルス持続期間、パルスの間隔、パルスのグループ化などの範囲を伴う、様々なパルス波形は、臨床用途に応じて生成されてもよいことに留意すること。
【0043】
いくつかの実施形態では、検知回路(828)は、信号発生器(810)に結合されるデバイス(例えば、電極チャネル(824)に結合される電極(842))へ送達している電流の量を決定するように構成されてもよい。本明細書でより詳細に説明するように、また検知回路(828)が、電極チャネルの不具合を分類し、コンデンサの放電を監視し、および/またはアーク放電を感知するのに使用されてもよい。いくつかの実施形態では、検知回路(828)が、直流検知回路および/またはローサイド検知回路であってもよい。検知回路が、1つ以上の演算増幅器、差動増幅器(DA)、計装用増幅器(IA)、および/または電流シャントモニタ(CSM)を含んでもよい。
【0044】
いくつかの実施形態では、ルーティングコンソール(830)が、アブレーションデバイス(840)の電極のセット(842)を、電極チャネルのセット(824a、824b、…、824n)へ電気的に結合するように構成されてもよい。ルーティングコンソール(830)が、電極チャネルのセット(824a、824b、…、824n)を使用して、電極のセット(842)へエネルギーを選択的に送達するように構成されてもよい。電極のセット(842)を各々有する、1つ以上のアブレーションデバイス(840)が、ルーティングコンソール(830)に結合されてもよい。電極のセット(842)が、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12またはそれ以上の電極といった、いかなる数の電極を含んでもよい。
【0045】
いくつかの実施形態では、エネルギー送達用に構成される(例えば、陽極/陰極対の電極チャネルとして構成される)電極チャネル(824a、824b、…、824n)が、互いに隣接していなくてもよく、アブレーションデバイス(840)に沿って任意に配置されてもよい。
【0046】
多電極アブレーションデバイスによって、組織を標的にする正確なエネルギー送達が可能になりうる。いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス(840)の電極(842)が、エネルギー送達用に(例えば、陽極/陰極対の電極(842)として構成されてもよく、アブレーションデバイス(840)に沿って、隣接するまたは他のいかなる相対的な場所に配置されてもよい。アブレーションデバイス(840)に結合される信号発生器(810)が、アブレーションデバイス(840)のM個の電極(842n)に対応する、N個の電極チャネルを有する電極チャネルのセット(824a、824b、…、824n)を含んでもよい。信号発生器(810)の各電極チャネル(824a、824b、…、824n)が、アブレーションデバイス(840)の電極(842)のうちの1つに結合してもよい。
【0047】
本明細書でより詳細に説明するように、構成可能な電極チャネルおよび電極の選択によって、所望の関心領域をアブレーションするための電極の位置づけに柔軟性を提供しうる。ルーティングコンソール(830)が、電極チャネル選択および1つ以上の電極(842)へのエネルギー送達のために、プロセッサ(820)ならびに/またはユーザインターフェース(832)から入力を受信してもよい。
【0048】
いくつかの実施形態では、ユーザインターフェース(832)が、オペレータとシステム(800)との間の通信インターフェースとして構成されてもよい。ユーザインターフェース(832)が、入力デバイスおよび出力デバイス(例えば、タッチ面およびタッチディスプレイ)を含んでもよい。例えば、メモリ(822)からの患者データは、ユーザインターフェース(832)によって受信され、目に見えるように、および/または聞こえるように出力されてもよい。検知回路(828)からの電流データを受信し、ユーザインターフェース(832)のディスプレイ上に出力してもよい。別の例として、1つ以上のボタン、ノブ、ダイヤル、スイッチ、トラックボール、タッチ面、および/または同類のものを有する入力デバイスをオペレータが制御することによって、信号発生器(810)および/またはアブレーションデバイス(840)への制御信号を生成してもよい。
【0049】
いくつかの実施形態では、ユーザインターフェース(832)の入力デバイスが、オペレータ入力用のタッチ面を含んでもよく、静電容量、抵抗、赤外線、光学画像、分散信号、音響パルス認識、および表面弾性波技術を含む、複数のタッチ感度技術のいずれかを使用して、タッチ面上の接触および動きを検出するように構成されてもよい。追加的または代替的に、ユーザインターフェース(832)が、ステップスイッチまたは足踏みペダルを含んでもよい。
【0050】
いくつかの実施形態では、ユーザインターフェース(832)の出力デバイスが、ディスプレイデバイスおよびオーディオデバイスのうちの1つ以上を含んでもよい。ディスプレイデバイスが、発光ダイオード(LED)、液晶ディスプレイ(LCD)、エレクトロルミネセントディスプレイ(ELD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、薄膜トランジスタ(TFT)、および有機発光ダイオード(OLED)のうちの少なくとも1つを含んでもよい。オーディオデバイスが、患者データ、センサーデータ、システムデータ、他のデータ、アラーム、警報、および/または同類のものを聞こえるように出力してもよい。オーディオデバイスが、スピーカー、圧電オーディオデバイス、磁歪スピーカー、および/またはデジタルスピーカーのうちの少なくとも1つを含んでもよい。一実施形態では、信号発生器(810)および/またはアブレーションデバイス(840)に不具合が検出されると、オーディオデバイスが可聴警報を出力してもよい。
【0051】
いくつかの実施形態では、信号発生器(810)が、台車またはカート上に取り付けられてもよい。いくつかの実施形態では、ユーザインターフェース(832)が、信号発生器(810)と同じまたは異なる筐体の中に形成されてもよい。ユーザインターフェース(832)が、備品(例えば、ベッド柵)、壁、天井など、いかなる好適な物体に取り付けられてもよく、または自立してもよい。いくつかの実施形態では、入力デバイスが、信号発生器(810)の有線および/もしくは無線受信機へ、制御信号を送信するように構成される、有線ならびに/または無線送信機を含んでもよい。
【0052】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載するシステムが、システム(800)の複数部分の周辺に滅菌バリアを作るように構成される、1つ以上の滅菌カバーを含んでもよい。いくつかの実施形態では、システム(800)が、滅菌野を形成するように、1つ以上の滅菌カバーを含んでもよい。例えば、滅菌カバーが、アブレーションデバイス(複数可)と患者との間に置かれ、患者、信号発生器、およびアブレーションデバイスを含む内部の非滅菌側と、オペレータを含む外部の滅菌側との間にバリアを形成してもよい。追加的または代替的に、システム(800)の構成要素は滅菌可能であってもよい。滅菌カバーが、例えば、システム構成要素の少なくとも一部分を覆うように構成される、滅菌覆布を含んでもよい。一実施形態では、滅菌カバー(例えば、滅菌覆布)が、システム(800)のユーザインターフェース(832)に対して、滅菌バリアを作るように構成されてもよい。滅菌覆布が透明で、オペレータにユーザインターフェース(832)が見えるようにし、手動で操作することを可能にしてもよい。滅菌カバーが、1つ以上のシステム構成要素の周りにぴったりと合ってもよく、または構成要素を滅菌野内で調整するのを可能にするために、緩く垂らして掛かっていてもよい。
【0053】
アブレーションデバイスおよびシンチデバイス
本明細書に記載するシステムは、心臓病を治療するために組織をアブレーションするように構成される、1つ以上の多電極アブレーションデバイス(例えば、カテーテル)と、アブレーションデバイスを組織に対して位置づけるのを支援するように構成される、シンチデバイスとを含んでもよい。いくつかの実施形態では、アブレーションデバイスが、シンチデバイスを使用して、組織に対して位置づけられるように構成されてもよい。シンチデバイスが、1対の平行な内腔を画定する、細長いシャフトを含んでもよい。いくつかの実施形態では、細長いシャフトの遠位端は、アブレーションデバイスの心膜腔中への導入を支援するように、曲線状であってもよい。いくつかの実施形態では、シンチデバイスが、可視化(例えば、蛍光透視法、X線による画像化)のために構成される基準のセットを含んでもよい。アブレーションデバイスおよびシンチデバイスは、例えば、心外膜腔または心膜腔で肺静脈の周りに箱型の傷を作るなど、心臓手術で使用するために構成されてもよい。
【0054】
概して、アブレーションデバイスが、金属電極のセットを含んでもよい。また電極が、断裂および穿刺による組織への障害のリスクを減らすように、概して非侵襲的であってもよい。例えば、電極の縁部は、組織障害を減少させ、電極の中央部分および周辺部分で生成される電界の均一性を増加させるように、丸みを帯びていてもよい。信号発生器によって生成されるパルス波形を送達するために、アブレーションデバイスの1つ以上の電極が、少なくとも約700Vの電位を維持するために構成される絶縁導線を、その対応する絶縁を誘導破壊することなく有してもよい。いくつかの実施形態では、導線の各々の絶縁が、すべての値および中間の部分範囲を含め、誘導破壊することなく、その厚さにわたって約200Vと約3,000Vとの間の電位差を維持してもよい。電極は、各電極が、アブレーションデバイスの他のいかなる電極からも独立して制御され(例えば、エネルギーを送達し)うるように、独立してアドレス可能であってもよい。電極が、例えば、信号発生器に結合される絶縁導線に接続して、本明細書に記載するようなパルス波形を受信してもよい。
【0055】
図1は、アブレーションデバイス(102)およびシンチデバイス(130)の斜視図である。概して、シンチデバイス(130)は、アブレーションデバイスが通過することが可能になるサイズの、双筒式構成を有してもよい。例えば、アブレーションデバイス(102)の近位端および遠位端が、体外で、概して互いに隣接して配置されうるように、アブレーションデバイス(102)が、シンチデバイス(130)を通って肺静脈のセット(
図1には示さず)の周りでループ状になってもよい。すなわち、アブレーションデバイス(102)の端部が、シンチデバイス(130)の近位に配置されてもよい。その後、シンチデバイス(130)を操作して、アブレーションデバイス(102)によって肺静脈の周りに形成されるループを締めて、アブレーションデバイスを組織アブレーションのために位置づけるのを支援しうる。アブレーションデバイス(102)が、アブレーションデバイス(102)の近位部分に結合されるハンドル(104)と、遠位先端(101)とを含んでもよい。遠位先端(101)が、組織への外傷を減少させる非侵襲的形状を含んでもよい。アブレーションデバイス(102)が、シンチデバイス(130)の第1の内腔(106)および第2の内腔(131)内に、摺動可能に配置されるように構成されてもよい。第1および第2の内腔(106、131)が、双筒式または二重の内腔構造を形成するように、内腔の長さ(L)に沿って共に接合されうる、それぞれの中空管構造(例えば、第1のシンチカテーテル、第2のシンチカテーテル)に対応してもよい。シンチデバイス(130)が縦軸を画定してもよい。
【0056】
いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス(102)が、その近位端および遠位端に、一連の基準またはマークを含むことができる。例えば、一連のマーク(112、114)は、アブレーションデバイス(102)の遠位部上に配置することができ、一連のマーク(144、146)は、アブレーションデバイス(102)の近位部上に配置することができる。後の図に関してさらに詳細に説明するように、これら一連のマークを使用して、
図2~5に関してさらに詳細に記載するように、シンチデバイス(130)の内部または外部に配置される、電極(例えば、電極(108))を決定することができる。例えば、マーク(112、114)の間の間隙が、電極のグループの長さおよび/または電極のグループ間の距離に対応するように設定できる。いくつかの実施形態では、シンチデバイス(130)の長さ(L)を、シンチデバイス(130)の内側または外側にある、いくつかの電極もしくは電極のグループを決定するのをさらに容易にするために、そのような長さおよび/または距離の倍数とすることができる。
【0057】
いくつかの実施形態では、シンチデバイス(130)が、剣状突起下アクセス用の大きさおよび形状であってもよい。例えば、
図9A~9Dに関して本明細書に記載するように、シンチデバイス(130)が、曲線状の遠位部分を含んでもよい。アブレーションデバイス(102)が、シンチデバイス(130)の直径より小さい直径を有してもよい。いくつかの実施形態では、使用中、アブレーションデバイス(102)が、シンチデバイス(130)の第1の内腔(106)の近位端の中へ導入されてもよい。アブレーションデバイス(102)が、第1の内腔(106)の遠位端から延在し、ループを形成するように構成されてもよい。例えば、アブレーションデバイス(102)が、高い可撓性(例えば、可撓性のある湾曲)を有する中央部分(124)を含んでもよい。その後、アブレーションデバイス(102)が、第2の内腔(131)の遠位端の中へ導入されてもよい。アブレーションデバイス(102)の遠位先端(101)が、第2の内腔(131)の近位端から前進しうるように、アブレーションデバイス(102)が、第2の内腔(131)の近位端から延在してもよい。シンチデバイス(130)が、アブレーションデバイス(102)上の好適ないくつかの電極(108)を、シンチデバイス(130)の各内腔(106、131)の中へと引き込みうる、または引っ張りうることを保証する大きさであってもよい。さらに、アブレーションデバイス(102)がループを形成し、シンチデバイス(130)を通って前進するときの操作のために、アブレーションデバイス(102)の所望の長さが、シンチデバイス(130)の近位端から延在してもよい。例えば、シンチデバイス(130)が、間のすべての値および部分範囲を含めて、約6cmと約30cmとの間の範囲にある長さを有してもよい。アブレーションデバイスの遠位部分(例えば、電極(108)より遠位にある)が、間のすべての値および部分範囲を含めて、約20cmと約70cmとの間の範囲にある長さを有してもよい。
【0058】
アブレーションデバイス(102)が、アブレーションデバイス(102)の表面上に形成される、1つ以上の電極(108)を含んでもよい。
図1では、電極のセット(108)は、アブレーションデバイス(102)の中央部分(124)に沿って配置される。いくつかの実施形態では、各電極(108)は独立してアドレス可能であってもよく、一方他の実施形態では、電極の1つ以上のサブセット(108)は、共に電気配線されてもよい。例えば、3つまたは4つの隣接する電極のセットは、電極サブセットとして共に電気配線されてもよい。いくつかの実施形態では、隣接していない電極が共に電気配線されてもよい。いくつかの実施形態では、連続する電極および/または電極サブセットの間の間隙は異なっていてもよい。各電極(108)が、少なくとも約700Vの電位を維持するように構成される絶縁導線を、その対応する絶縁を誘導破壊することなく含んでもよく、または絶縁導線に取り付けられてもよい。2つ以上の電極が、電極グループとして共に電気配線される場合には、単一のそのような絶縁リードが、電極グループに接続されてもよい。いくつかの実施形態では、電極(108)が、おおよそ同じサイズ、形状、および/または間隙を有してもよい。いくつかの実施形態では、電極(108)のサイズ、形状、および間隙が異なってもよい。
【0059】
アブレーションデバイス(102)が、電極のセット(108)を使用して電圧パルス波形のセットを送達するために、組織をアブレーションし、心臓の1つ以上の領域を電気的に絶縁するように構成されてもよい。アブレーションデバイス(102)の少なくとも一部分が、可撓性のある湾曲を含んでもよい。例えば、アブレーションデバイス(102)の近位部分と遠位部分との間に配置される、アブレーションデバイス(102)の中央部分(124)は、可撓性があり、心臓の構造に従うように構成されてもよい。アブレーションデバイス(102)は、アブレーションデバイス(102)が一部、シンチデバイス(130)の中へ前進する第1の構成と、アブレーションデバイス(102)の中央部分(124)が、肺静脈などの組織をしっかりと取り囲むように構成されうる、ループを形成する第2の構成との間を変形するように構成されてもよい。このように、アブレーションデバイス(102)およびシンチデバイス(130)は、心臓組織との接触を増大しうる。
【0060】
これらの実施形態のうちのいくつかでは、ハンドル(104)は、アブレーションデバイス(102)に結合されて、取り付けられる電気ケーブルおよび/またはコネクタ(図示せず)の起点となり、ガイドワイヤの導入に進入点を提供するためのハブを形成してもよい。コネクタが、パルス電界アブレーション用の電圧波形の送達のために、信号発生器へ直接または延長ケーブルを通して接続してもよい。いくつかの実施形態では、ハンドル(104)が、肺静脈などの組織に巻きつくとき、アブレーションデバイス(102)への機械的支持を提供しうるガイドワイヤの導入のために、ガイドワイヤ内腔ハブ(図示せず)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、ハンドルによって、ガイドワイヤの導入を支援するように、ガイドワイヤ内腔を流すために構成されるフラッシュポートを画定してもよい。
【0061】
いくつかの実施形態では、シンチデバイス(130)が、心膜腔内で、本明細書に記載するようなアブレーションデバイス(102)の肺静脈へのアクセスを可能にする場所に位置づけられてもよい。アブレーションデバイス(102)が、第1の内腔(106)を通って前進し、肺静脈のセット(例えば、4本の肺静脈)の周りでループ状になってもよい。例えば、心膜翻転部または心嚢のひだは、アブレーションデバイス(102)が、静脈の幹部の底部で、4本すべての肺静脈を取り囲むことが可能になるように切除されてもよい。アブレーションデバイス(102)が、第2の内腔(131)を通って前進してもよい。シンチデバイス(130)が、心臓の方へ前進し、患者の胸部に対して斜めに角度をつけ、心臓の後側に置かれてもよい。アブレーションデバイス(102)の近位端および遠位端が、シンチデバイス(130)を通って引き抜かれ、心臓から離れるように引っ張られて、アブレーションデバイス(102)のループ状の中央部分(124)を使用して、所定の力の量を肺静脈へ印加してもよい。
【0062】
アブレーションデバイス(102)で肺静脈を締めるとき、シンチデバイス(130)の中へ引き込まれうる電極の数は、左心房のサイズと、印加される力の量とによって決まってもよい。シンチデバイス(130)の内腔内に配置されるいずれの電極(108)も、電極(108)が肺静脈の周りでループ状になり、肺静脈に接触している間は、エネルギーを受け取るべきではない。シンチデバイス(130)の遠位端より遠位の電極(108)は、アブレーションエネルギーを受け取るように構成されうる。本明細書に記載するいくつかの実施形態によって、シンチデバイス(130)に対する、アブレーションデバイス(102)の電極のセット(108)の場所を識別する、直接的な視覚手段を提供してもよい。
【0063】
図6Aは、非限定的な例示のアブレーションデバイス(602)の側面図である。アブレーションデバイス(602)は、近位部分(603)、中央部分(624)、および遠位部分(601)を有するカテーテルを含んでもよい。近位、遠位、および中央部分は各々、アブレーションデバイス(602)の1つ以上の部分が、容易に心臓の構造に合わせることが可能になるように、適合する材料および/または可撓性のある材料から構成されてもよい。遠位部分(601)が、例えば、
図6Bおよび6Cに示す、非侵襲的遠位先端(605)を含んでもよい。中央部分(624)が、アブレーションデバイス(602)の表面上に配置される、電極のセット(608)を含んでもよい。電極のセット(608)が、各サブセットが第1の長さを有する、複数のサブセットを含んでもよい。電極の各サブセットが、隣接するサブセットから第2の長さだけ相隔たってもよい。第2の長さが第1の長さより大きくてもよい。
図6Aは、3つの電極のサブセットに各々グループ化される、電極のセットを示す。サブセット内の各電極は、第3の長さを有することができる。いくつかの実施形態では、サブセット内の1つ以上の電極が、異なる長さを有してもよい。例えば、以下に記載する
図7Aおよび7Bによって、異なる長さを持つ3つの電極のサブセットのより詳細な図を提供する。代替的に、サブセット内の各電極が同じ長さを有してもよい。
【0064】
ハンドル(604)は、アブレーションデバイス(602)の近位部分(603)に結合されてもよい。リードワイヤのセット(640)は、ハンドル(604)に結合されてもよく、電極のセット(608)に接続するように、アブレーションデバイス(602)の内腔内に配置されてもよい。
【0065】
図7Aおよび7Bは、例示のアブレーションデバイス(702)の電極(708)のセットの側面図である。電極(708)のセットは、アブレーションデバイス(702)の中央部分(724)に配置されてもよい。本明細書に記載するように、電極(708)の1つ以上のセットは、それらの電極がシンチデバイスの内腔内に配置されているときなどに、アブレーションエネルギーを送達するのに使用されない場合がある。電極サブセット(730、740)が、第1の長さ(750)を有してもよく、第2の長さ(720)によって分離されてもよい。いくつかの実施形態では、電極が白金-イリジウム材料から形成されてもよい。いくつかの実施形態では、電極(708)のセットが、多様な3つ組サブセットまたはグループを含んでもよく、電極(各々、環の形態である)が、間のすべての値および部分範囲を含めて、約1mmと約12mmとの間の範囲である第3の長さを有してもよい。電極のサブセットまたはグループ(730、740)内の各電極は、第4の長さ(710)によって分離されてもよい。いくつかの実施形態では、電極サブセットの数は、間のすべての値および部分範囲を含めて、約4と約20との間に及んでもよい。
【0066】
図9Aは、シンチデバイス(930)の側面図である。シンチデバイスは、曲線部分(920)および遠位先端(910)を有する遠位部分を含んでもよい。曲線部分(920)によって、体腔内でのアブレーションデバイスの位置づけおよび前進を支援してもよい。
図9Bは、第1の内腔(940)および第2の内腔(950)を有する、シンチデバイス(930)の断面側面図である。内腔(940、950)が同じ直径を有してもよい。直径が、アブレーションカテーテルと使用するために設計されるように、アブレーションカテーテル(描写せず)のおおよその直径、またはそれより大きい可能性がある。
図9Cおよび9Dは、曲線部分(920)および遠位先端(910)を含む、シンチデバイス(930)の遠位端の概略側面図である。いくつかの実施形態では、シンチデバイス(930)が、ペバックス(例えば、ペバックス40D)から形成されてもよい。いくつかの実施形態では、遠位先端(910)が、約5mmと約25mmとの間の長さを有してもよく、蛍光透視法で目視できる材料から構成されてもよい。いくつかの実施形態では、シンチデバイス(930)の1つ以上の部分(例えば、シンチデバイス(930)の表面全体)が、蛍光透視法で目視できうる。遠位先端(910)が、組織への外傷を減少させるように、非侵襲的であってもよい。いくつかの実施形態では、曲線部分(920)が約30度と60度との間の湾曲を有してもよい。例えば、曲線部分(920)が約45度の湾曲を有してもよい。
【0067】
基準
いくつかの実施形態では、アブレーションデバイスおよびシンチデバイスのうちの1つ以上は、外科医および/または画像システムが、シンチデバイスに対するアブレーションデバイスの電極のセットの場所を決定することを可能にする、基準のセットを含んでもよい。例えば、アブレーションデバイスの近位部分および遠位部分のうちの1つ以上に配置されるマークのセットは、シンチデバイスの内腔内(例えば、内部)の電極もしくは電極サブセットの数、および/またはシンチデバイスの外側に配置される電極もしくは電極セットの数に対応してもよい。したがって、シンチデバイス内の電極または電極サブセットが、停止するように構成されてもよく、一方シンチデバイスの外側に延在もしくは露出する、残りの電極または電極セットが、心臓の肺静脈セットの周りの一部分などの組織へ、アブレーションエネルギーを送達するように構成されてもよい。本明細書で使用するとき、基準は、アブレーションデバイスおよびシンチデバイスのうちの1つ以上の全長に沿って配置されるマーク、記号(例えば、数字、文字)、幾何学的図形、穴、くぼみ、突起、質感、それらの組み合わせ、ならびに同類のものに対応する。
【0068】
図2は、アブレーションデバイス(202)およびシンチデバイス(230)の斜視図であり、アブレーションデバイス(202)の近位部分(203)は、シンチデバイス(230)の第1の内腔(219)の近位端を通って延在してもよい。アブレーションデバイス(202)の遠位部分(201)は、シンチデバイス(230)の第2の内腔(210)の近位端を通って延在してもよい。近位部分(203)が、その表面上に近位基準の第1のセット(212)と、その全長に沿って配置される近位基準の第2のセット(214)とを含んでもよい。近位基準の第1のセット(212)が、近位基準の第2のセット(214)と異なってもよい(例えば、より大きい、より幅が広い)。近位基準の第1および第2のセット(212、214)の基準は、アブレーションデバイス(202)の全長に沿って交互に配置されてもよい。近位基準の第1および第2のセット(212、214)の隣接する基準は、アブレーションデバイス(202)の電極(
図2は示さず)の長さだけ相隔たってもよい。同様に、遠位部分(201)が、その表面上に遠位基準の第1のセット(205)と、その全長に沿って配置される遠位基準の第2のセット(207)とを含んでもよい。遠位基準の第1のセット(205)が、遠位基準の第2のセット(207)より大きくてもよい。遠位基準の第1および第2のセット(205、207)の基準は、アブレーションデバイス(202)の全長に沿って交互に配置されてもよい。遠位基準の第1および第2のセット(205、207)の隣接する基準は、電極の長さだけ相隔たってもよい。いくつかの実施形態では、基準の第1および第2のセット(205、207、212、214)が、数、場所、長さ、厚さ、幅、深さ、形状、色、配向、質感、材料、それらの組み合わせ、および同類のものによって識別され差別化されてもよい。
【0069】
いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス(202)の電極の各サブセット(例えば、共に電気配線される3つの隣接する電極のセット)は、第1の長さを有してもよく、シンチデバイス(230)の長さが、第1の長さと、連続する電極グループ間の距離(第2の長さ)との合計の整数倍であってもよい。例えば、pが、電極サブセットの端から端までの長さ(第1の長さ)を示し、dが、電極グループ間の分離距離(第2の長さ)を示す場合、基準の第1のセット(例えば、より大きいマーク)は、最も遠位および/または近位の電極から、第3の長さr=(p+d)だけ離れて配置され、この長さの間隔rで(アブレーションデバイス(202)の遠位および近位部分の両方で)周期的に繰り返してもよい。例えば、より短いマークが、1つの電極の長さ(例えば、各電極サブセットの中で最も小さい電極の長さ、すなわち第5の長さ)に等しい間隙を伴い、より大きなマークに隣接してもよい。シンチデバイス(230)の近位に配置される基準のセットによって、外科医が、シンチデバイス(230)の近位に配置される基準のセットの数に基づいて(例えば、視覚による確認、触覚による確認などによる)、シンチデバイス(230)の内腔内に配置される電極の数を判定することが可能になる。例えば、基準の1セットのうちのより短いマークを、シンチデバイス(230)の近位端に位置づけるように、アブレーションデバイス(202)の遠位部分(201)に沿って配置される基準の一式(例えば、大および小)が3セット、シンチデバイス(230)の近位にあるのを目視できる場合、2つの電極サブセットが、第2の内腔(210)内に配置されてもよく(例えば、第2の内腔(210)の長さによる)、第3の電極サブセットのうちの電極の大部分は、シンチデバイス(230)より遠位に配置され、アブレーションエネルギーの送達のために露出していてもよい。シンチデバイス(230)の内腔内に配置される電極サブセットの数、およびシンチデバイス(230)の内腔より遠位に配置され、内腔の外側に露出する電極サブセットの数は、例えば、シンチデバイス(230)の内腔の長さ、電極サブセットの総数などによって決まりうる。
【0070】
例えば、
図15は、シンチデバイス(1530)の内腔(1503)(例えば、内腔、円筒)の中にある、アブレーションデバイス(1502)の遠位部分(1501)を描写する。明快にするために、アブレーションデバイス(1502)の近位部分だけでなく、シンチデバイス(1530)の隣の内腔も示さない。より長いマークおよびより短いマークをそれぞれ有する、基準の第1および第2のセット(1505、1507、1511、1513、1515、1517、1519、1520)を、アブレーションデバイス(1502)の遠位部分(1501)に沿って分散して示す。1対の基準(1505、1507)は露出し、内腔(1503)の近位端から離れている一方、他の3対の基準(1511、1513)、(1515、1517)、および(1519、1520)は、内腔(1503)の内部に配置される。
【0071】
アブレーションデバイス(1502)の最遠位電極サブセットは、電極の3つ組(1525、1526、1527)を含んでもよい。
図15に描写するように、電極(1526、1527)が露出し、内腔(1503)より遠位にあり、アブレーションエネルギー送達のために構成されてもよいように、3つ組のうちの最遠位電極(1525)の遠位端(1522)および近位端(1523)は、内腔(1503)内に配置される。
【0072】
この実施形態では、内腔(1503)の長さが、連続する電極3つ組の遠位端間の間隙(例えば、第1の長さおよび第2の長さの合計)の4倍であってもよい。上に記載したように、この間隙rは、電極3つ組の長さp(第1の長さ)および隣接する電極3つ組間のギャップd(第2の長さ)の合計である。連続する基準対の間の間隙(例えば、より大きい基準(1511)とより大きい基準(1515)との間の距離)が、連続する電極3つ組の遠位端間の距離rに等しく構成されてもよい。この例では、内腔が、距離r(すなわち、連続する基準の遠位端間の距離)の整数倍でありうる、長さを有する。したがって、内腔(1503)の近位にあり露出する基準(1505、1507)の存在によって、最遠位3つ組電極のうちの単一の電極(この例では、最遠位電極(1525))が、内腔(1503)内に配置され、一方その電極3つ組の電極の残り(1526、1527)が、内腔(1503)より遠位にあり露出していることを目で見て確認しうる。
【0073】
上の記載から、様々な他の基準構成によって、他の推定が可能になってもよいことは理解されるべきである。例えば、一実施形態では、基準のセットを使用し、各基準セットが、電極グループ(例えば、上の例にある電極3つ組)を複製し、表し、および/またはそれ以外の方法で対応してもよい。いくつかの実施形態では、対応するいくつかの基準セットを、シンチデバイスの近位にある、アブレーションの遠位部分上に目視できるであろうため、最も最遠位に露出する電極グループのうちのどの電極が、シンチデバイスの内腔内に配置されているかだけでなく、シンチデバイス管の内腔内に配置される電極の数を目視で確認してもよい。
【0074】
別の例として、別の実施形態では、単一の基準を、連続する電極グループの遠位端の間の距離に対応する長さ(例えば、距離r)によって、連続的に分離してもよい。シンチデバイスの外側にあるアブレーションデバイスの遠位部分に目視できる基準の数は、シンチデバイスの内腔内に配置される、電極グループの数に対応してもよい。
【0075】
電極3つ組の形態である電極グループ(例えば、電極のサブセット)について、
図15に関して示し記載するものの、他の電極グループを実装できることが、当業者に明らかであるべきである。例えば、電極グループは、電極2つ組、4つ組のサブセットなど、制限なしに共に配線されてもよく、本明細書に例として提供する方法および実装は、本発明の範囲から逸脱することなく、詳細に変更してもよい。いくつかの実施形態では、グループ内の各電極は、同じ長さを有することができ(例えば、
図15に描写するように)、一方他の実施形態では、グループ内の電極は、異なる長さを有することができる(例えば、
図7Aおよび7Bに描写するように)。
【0076】
図3は、アブレーションデバイス(302)およびシンチデバイス(330)の斜視図であり、アブレーションデバイス(302)の近位部分(303)は、シンチデバイス(330)の第1の内腔(317)の近位端を通って延在してもよい。アブレーションデバイス(302)の遠位部分(301)は、シンチデバイス(330)の第2の内腔(315)の近位端を通って延在してもよい。近位部分(303)が、その表面上に、その全長に沿って配置される近位基準のセット(309、313)(例えば、マーク)を含んでもよい。遠位部分(301)が、その表面上に、その全長に沿って配置される遠位基準のセット(305、307)(例えば、マーク)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、基準の近位および遠位のセットが、数、場所、長さ、厚さ、幅、深さ、間隙、形状、色、模様、配向、質感、材料、それらの組み合わせ、および同類のものを含む、1つ以上の特性によって識別され差別化されてもよい。
【0077】
いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス(302)の電極の各サブセット(例えば、共に電気配線された、3つの隣接する電極のセット)は、同じ長さを有してもよく、シンチデバイス(330)の長さが、電極サブセットの長さと、連続する電極グループ間の距離との合計の整数倍であってもよい。例えば、pが、電極サブセットの端から端までの長さを示し、dが、電極グループ間の分離距離を示す場合、基準のセットは、最遠位および/または近位の電極から、距離r=(p+d)だけ離れて始まるように配置され、この長さの間隔rで、例えば、アブレーションデバイス(302)の遠位および近位部分の両方においえ周期的に繰り返してもよい。
【0078】
シンチデバイス(330)の近位に配置される基準のセットによって、外科医が、視覚による確認、触覚による確認、および/または他のタイプの確認に基づいて決定される、シンチデバイス(330)の近位に配置される基準の数に基づいて、シンチデバイス(330)の内腔内に配置される電極の数を判定することが可能になる。例えば、アブレーションデバイス(302)の遠位部分(301)に沿って配置される4つの基準一式を、シンチデバイス(330)の外側に目視できる場合、3つの電極サブセットが、シンチデバイス(330)の第2の内腔(315)内に配置されていてもよい。長さpの半分より大きい長さが、シンチデバイス(330)に最も近いマークと、シンチデバイス(330)の近位端との間で目視できるか否かによって、第4の電極グループが、シンチデバイス(330)の内側にあるか、またはシンチデバイス(330)の外側に露出しているか、それぞれのいずれであるかを判定してもよい。
【0079】
さらに、シンチデバイス(330)の第1の内腔(317)内に配置される電極サブセットの数は、シンチデバイス(302)の近位にある、アブレーションデバイス(302)の近位部分(303)の全長に沿って配置される、露出する基準(例えば、視覚的、触覚によるなど)を使用して判定されてもよい。例えば、2つの電極サブセットは、近位部分(303)に沿う目視可能な基準の数に基づいて、シンチデバイス(330)の第1の内腔(317)内に配置されていると判定されてもよい。第1および第2の内腔(317、315)の中の電極サブセットの数が判定されると、信号発生器は、シンチデバイス(330)内の電極へエネルギーを送達することなく、肺静脈の周りでループ状になっている(そのため、露出する)電極へ、エネルギーを送達するように構成されてもよい。例えば、ユーザは、基準情報を、信号発生器のユーザインターフェースに入力してもよい。
【0080】
図4は、アブレーションデバイス(402)およびシンチデバイス(430)の斜視図であり、アブレーションデバイス(402)の近位部分(403)は、シンチデバイス(430)の第1の内腔(417)の近位端を通って延在してもよい。アブレーションデバイス(402)は、本明細書に記載する他のアブレーションデバイスに類似しうるが、暗い帯と明るい帯とが交互になるように実装される、基準を有することができる。アブレーションデバイス(402)の遠位部分(401)は、シンチデバイス(430)の第2の内腔(415)の近位端を通って延在してもよい。近位部分(403)が、その表面上に、その全長に沿って配置される近位基準のセット(409、410)(例えば、互い違いの暗い帯および明るい帯)を含んでもよい。遠位部分(401)が、その表面上に、その全長に沿って配置される遠位基準のセット(405、406)(例えば、互い違いの暗い帯および明るい帯)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、基準の近位および遠位のセットが、数、場所、長さ、厚さ、間隙、幅、深さ、形状、色、模様、配向、質感、それらの組み合わせ、および同類のものによって識別され差別化されてもよい。
【0081】
いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス(402)の電極の各サブセット(例えば、共に電気配線された、3つの隣接する電極のセット)は、同じ長さを有してもよく、シンチデバイスの長さが、電極サブセットの長さと、連続する電極グループ間の距離との合計の整数倍であってもよい。例えば、pが、電極サブセットの端から端までの長さを示し、dが、電極グループ間の分離距離を示す場合、基準のセットが、それぞれ、アブレーションデバイスの遠位部分上の最遠位電極縁部から始まり、近位部分上の最近位電極縁部から始まる、長さr=(p+d)の互い違いの帯の形態で配置されてもよい。
【0082】
シンチデバイス(430)の外側に配置される基準のセットによって、外科医が、視覚、触覚などによる確認を使用して判定できる、シンチデバイス(430)の外側に配置される基準の数に基づいて、シンチデバイス(430)の内腔内に配置される電極の数を判定することが可能になる。例えば、アブレーションデバイス(402)の遠位部分(401)に沿って配置される帯の一式が4セット、シンチデバイス(430)の近位に目視できる場合、少なくとも3つの電極サブセットが、シンチデバイス(430)の第2の内腔(415)内に配置されていてもよい。長さpの半分より大きい長さが、シンチデバイス(430)に最も近いマークと、シンチデバイス(430)の近位端との間で目視できるか否かによって、第4の電極グループが、シンチデバイス(430)の内側にあるか、またはシンチデバイス(430)の外側で露出しているか、それぞれいずれであるかを判定してもよい。
【0083】
さらに、シンチデバイス(430)の第1の内腔(417)内に配置される電極サブセットの数は、シンチデバイス(402)の近位にある、アブレーションデバイス(402)の近位部分(403)の全長に沿って配置される、目視可能な基準を使用して判定されてもよい。例えば、2つの電極サブセットが、近位部分(403)に沿う目視可能な基準の数に基づいて、シンチデバイス(430)の第1の内腔(417)内に配置されていると判定されてもよい。第1および第2の内腔(417、415)の中の電極サブセットの数が判定されると、信号発生器は、シンチデバイス(430)内の電極へエネルギーを送達することなく、肺静脈の周りでループ状になって露出する電極へ、エネルギーを送達するように構成されてもよい。例えば、ユーザは、基準情報を、信号発生器のユーザインターフェースに入力してもよい。
【0084】
図5は、第1の内腔(501)(例えば、近位管)および第2の内腔(500)(例えば、遠位管)を含む、シンチデバイス(530)の斜視図である。第1および第2の内腔(501、500)が、その表面上に、シンチデバイス(530)の近位端(510)に隣接して、内腔の全長に沿って配置される基準のセット(503、505、507、512、513)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、基準のセットが、数、場所、長さ、厚さ、幅、深さ、形状、色、模様、配向、質感、材料、それらの組み合わせ、および同類のものによって識別され差別化されてもよい。
【0085】
いくつかの実施形態では、シンチデバイス(530)の近位端(510)から第1の基準(503)までの距離は、アブレーションデバイスの電極サブセット(例えば、3つの電極)のうちの第1の電極の長さに等しくてもよい。いくつかの実施形態では、第1の基準(503)から第2の基準(505)への距離は、3つの電極である電極サブセットのうちの第1と第2との電極間の距離または離隔に対応してもよい。いくつかの実施形態では、第2の基準(505)と第3の基準(507)との間の距離は、3つの電極である電極サブセットのうちの第2の電極の長さに対応してもよい。いくつかの実施形態では、第3の基準(507)から第4の基準(512)までの距離は、3つの電極である電極サブセットのうちの第2の電極と第3の電極との間の距離または離隔に対応してもよい。いくつかの実施形態では、第4の基準(512)から第5の基準(513)までの距離は、3つの電極である電極サブセットのうちの第3の電極の長さに等しくてもよい。この説明に役立つ例では、シンチデバイス(530)の各内腔上にある基準のセットが、シンチデバイス(530)を通って延在するように構成される、アブレーションデバイスの電極3つ組に対応してもよい。
【0086】
いくつかの実施形態では、各々基準を有するアブレーションデバイスおよびシンチデバイスは、シンチデバイスの各内腔に対する、電極の場所の判定を改善するように使用してもよい。例えば、基準を使用して、シンチデバイスの各内腔について、シンチデバイスの外側に配置される電極サブセットの割合を判定してもよい。例えば、シンチデバイス上のそのような基準は、シンチデバイスの外側にある電極サブセットの露出割合を、そのように判定するのを支援するように、
図4に示すような互い違いの帯の形態である、アブレーションデバイスの基準と併せて提供されてもよい。各内腔の中の電極サブセットの数が判定されると、信号発生器は、シンチデバイス内の電極へエネルギーを送達することなく、肺静脈の周りでループ状になっている電極へ、エネルギーを送達するように構成されてもよい。例えば、ユーザは、基準情報を、信号発生器のユーザインターフェースに入力してもよい。
【0087】
いくつかの実施形態では、シンチデバイスの遠位先端にある電極を、好適に配備している(すなわち、シンチデバイスの遠位管および近位管、または内腔について、電極グループの大部分の電極を、シンチデバイスの遠位先端のすぐ外側に配備している)という検証に、アブレーションデバイスおよび/またはシンチデバイス上の基準を使用して、シンチデバイスに対するアブレーションデバイスの位置を、適所にロックしてもよい。いくつかの実施形態では、アブレーションデバイスが、固定機構を使用して、シンチデバイスに対して適所に保持されてもよい。例えば、アブレーションデバイスが、シンチデバイスの近位端にあるクリップ(例えば、外科用クリップ)、サージカルテープ、それらの組み合わせ、および同類のものを使用して、適所に保持されてもよい。いくつかの実施形態では、固定機構は、電極グループのうちの所定数の電極を、シンチデバイスより遠位に配置した(例えば、電極サブセットのうちの大部分の電極を、シンチデバイスの第1および第2の内腔の遠位端の外側に配備した)後に係合されてもよい。
【0088】
このように、ループの中でアブレーションデバイスに沿って配置される電極が、4本の肺静脈のセットの周りにしっかりと位置づけられてもよい。パルス電界アブレーションエネルギーは、肺静脈の周りの組織を迅速にアブレーションする(例えば、箱型の傷を作る)ために、好適な電極セットまたは対(例えば、ループの周りの露出した電極)へ送達されうる。箱型の傷を加えるこの方法は、例えば、心房細動など、1つ以上の不整脈状態に対する治療的処置として有用でありうる。
【0089】
好適な電圧レベル(キロボルト範囲など)を持つパルス電界の電圧パルスが、本明細書に記載するような好適な波形の形態で送達されてもよい。波形が、効率的かつ効果的な治療送達に好適なように、階層の多様なレベルを持つ階層構造を有してもよい。本明細書でより詳細に説明するように、信号発生器は、アブレーションデバイスへパルス波形のセットを送達するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、アブレーション送達の開始が、ペーシングパルスのセットと時間に同調して起こってもよい(例えば、ペーシングパルスのセットに関連する不応期中に)。
【0090】
記載する電極は、銀、パラジウム、ステンレス鋼、白金、チタン、白金イリジウム合金、金、銅、ニッケル、それらの組み合わせ、および同類のもののうちの1つ以上を含むが、これらに限定されない、いかなる好適な生体適合性導電材料から構成されてもよい。いくつかの実施形態では、電極材料は、めっきされ、コーティングされ、および/または他の方法で、異なる基板材料の最上部にある適切な厚さの層に加えられてもよい。いくつかの実施形態では、電極部分が、アニーリング、ハンダ付け、溶接、圧着、積層、それらの組み合わせ、および同類のものを使用して、結合されてもよい。開示するアブレーションデバイスのスプライン、ループ、および本体が、金属、ガラス、セラミック、ポリマー、それらの組み合わせ、および同類のものを含む、いかなる好適な生体適合性材料から構成されてもよい。カテーテルシャフトが、テフロン、ナイロン、ペバックス、それらの組み合わせ、および同類のものなど、可撓性のあるポリマー材料から作られてもよい。
【0091】
前述に記載した実施形態では、制限なく、アブレーションデバイス自体が、当業者に知られているように、カテーテルハンドルの好適な機構によってたわみを制御するためのプルワイヤを持つ、操作可能なデバイスであってもよい。
【0092】
II.方法
また、本明細書に記載するのは、上に記載したシステムおよびデバイスを使用して、組織(例えば、心臓組織)をアブレーションするための方法である。アブレーションデバイスは、心外膜腔の中へ導入されてもよい。アブレーションカテーテルが、シンチデバイスを通って前進し、肺静脈のセットなど、心組織の周りでループ状になってもよい。アブレーションカテーテルの端部を引っ張って、シンチデバイスから離しうるように、アブレーションカテーテルの遠位端が、シンチデバイスを通って戻る方に前進してもよく、その結果、アブレーションカテーテルのループによって組織が締まって、接触が増大し所定の力を印加する。いくつかの実施形態では、シンチデバイスに対するアブレーションカテーテルの位置は、アブレーションカテーテルおよび/またはシンチデバイス上に配置される基準のセットを使用して検証されてもよい。アブレーションカテーテルの電極のセットへのエネルギー送達は、基準を使用して識別される電極に基づいてもよい。例えば、パルス波形を生成し、アブレーションカテーテルの1つ以上の識別された電極(例えば、シンチデバイスの外側で露出する電極)へ送達して、組織をアブレーションしてもよい。
【0093】
概して、本明細書に記載する方法は、シンチデバイスを通って、1本以上の肺静脈の周りでループ状になるアブレーションデバイスを導入および配置することを含む。アブレーションデバイスの近位端および遠位端が、シンチデバイスの近位に置かれると、アブレーションデバイスによって形成されるループを、アブレーションされる肺静脈のセットの周りで締めるように、シンチデバイスが位置づけられてもよく、アブレーションデバイスの端部がシンチデバイスを通って引き出されてもよい。シンチデバイスに対するアブレーションデバイスの位置が、適所でロックされてもよい。パルス波形は、アブレーションデバイスの1つ以上の電極によって送達されて、組織をアブレーションしうる。いくつかの実施形態では、パルス波形が、階層のレベルのセットを含んで、総エネルギー送達を減少させてもよい。必要に応じて以下で考察する方法を使用して、本明細書に記載するアブレーションデバイスのいずれかを、組織をアブレーションするように使用してもよいことは理解されるべきである。
【0094】
非限定的な例として、いくつかの実施形態では、システムは、組織をアブレーションするのに有用な、1つ以上のアブレーションデバイス(例えば、
図1~7、14、および15に関して示し記載するようなアブレーションデバイス)を含むことができる。
図16は、組織アブレーションプロセスの方法例のフローチャート(1600)である。(1604)で、第1のデバイスの遠位端は、第2のデバイス(例えば、シンチデバイス)の第1の内腔の近位端の中へ前進してもよい。第1のデバイス(例えば、アブレーションデバイスであり、アブレーションデバイス(102)などが、本明細書に記載するアブレーションデバイス(15、102、202、302、402、602、702、840、1501)のうちのいずれであってもよい。(1606)で、第1のデバイスが、シンチデバイスの第1の内腔を通って、第1の内腔の遠位端から出て前進してもよい。(1608)で、第1のデバイスが、患者の組織の周りでループ状になってもよい。例えば、アブレーションデバイスが、シンチデバイスの遠位端から延在し、静脈幹部の底部で、4本の肺静脈のセットなどの組織の周りでループ状になってもよい。いくつかの実施形態では、心膜翻転部または心嚢のひだは、そのようなループ形成を可能にするように切除されてもよい。
【0095】
(1610)で、第1のデバイスが、第2の内腔の近位端を通って、第1のデバイスの中へ戻って前進してもよい。第1のデバイスの一部分は、第1の内腔の中に配置されてもよく、一方第1のデバイスのより遠位部分は、第2のデバイスの第2の内腔の中へ配置され、および/または前進する。(1612)で、第1のデバイスが、シンチデバイスの第2の内腔を通って、第2の内腔の近位端から出て前進してもよい。アブレーションデバイスの近位端および遠位端は、シンチデバイスの近位端から延在してもよい。シンチデバイスが、患者の胸部に対して、斜めに角度をつけてもよい。(1614)で、第1のデバイスの近位端および遠位端が、第2のデバイスの近位端から離れて前進してもよい。例えば、アブレーションデバイスのループが、すべての肺静脈に接触し、それらをしっかりと取り囲むまで、アブレーションデバイスの近位端および遠位端を引き、シンチデバイスの中を通す。このように、アブレーションデバイスの中央部分によって形成されるループが、肺静脈の周りで曲がって(例えば、引き結びを形成して)もよい。代替的に、アブレーションデバイスが最初に、4本の肺静脈のセットの周りでループ状になってもよく、次いで、アブレーションデバイスの近位端および遠位端が、シンチデバイスの2つの内腔を通って前進してもよい。例えば、アブレーションデバイスが組織の周りでループ状になった後、シンチデバイスが、アブレーションデバイスにわたって、心臓の方へと遠位方向に前進してもよい。ユーザは、所定の量だけアブレーションデバイスを引き出して、アブレーションデバイスと組織との間の接触を増大させてもよく、および/またはアブレーションデバイスから組織へ所定の量の力を印加してもよい。左心房のサイズによって、ループを肺静脈の周りで締めるにつれて、アブレーションデバイスの電極の1つ以上が、シンチデバイスの中へ引き込まれてもよい。ループの上に露出する電極が、アブレーションエネルギーを組織へ送達するのに使用されうる。
【0096】
いくつかの実施形態では、第1のデバイスの遠位端を、第2のデバイスの第1の内腔の近位端の中へ前進させる前に、(1604)で、国際公開第2014/025394号のPCT出願公開に記載されるような手順および方法を使用して、ガイドワイヤを心組織(例えば、心臓の1本以上の肺静脈)の周りに位置づけてもよい。(1604)で、ガイドワイヤの端部が、第2のデバイス(例えば、シンチデバイス)内に置かれてもよく、その後、第1のデバイス(例えば、アブレーションデバイス)が、その遠位端を、第2のデバイスの第1の内腔の近位端を通って前進させるように、ガイドワイヤの上を通過してもよい。いくつかの実施形態では、第1のデバイスを第2のデバイスを通って前進させる前に、(1604)で、第2のデバイスの遠位端が、左心房の後部へのアクセスが可能な場所から、患者の開いた心膜腔の中へ前進することができる。代替的に、第1のデバイスが、第2のデバイスの第1および第2の内腔を通って前進すると、(1614)で、第2のデバイスの遠位端が、開いた心膜腔の中へ前進してもよい。第2のデバイスの遠位端が、心膜腔の中へ前進することができる一方、第2のデバイスの近位端は、心臓および/または患者の外部に残ることができる。
【0097】
いくつかの実施形態では、ガイドワイヤは、第1のデバイス(例えば、アブレーションデバイス)を通って前進してもよく、それによって、第1のデバイスおよびガイドワイヤが、肺静脈と左心房の後壁とを取り囲むために、まとまって第2のデバイス(例えば、シンチデバイス)の第1の内腔を通って前進し、その後、第2のデバイスの第2の内腔を通って引き戻されてもよい。第1のデバイスおよび/または第2のデバイスの配置が、剣状突起下アクセス、開胸術、および直接開胸によるアクセスのいずれによってなされてもよい。
【0098】
いくつかの実施形態では、プロセスが、(1614)から、本明細書でより詳細に説明する
図17のフローチャート(1700)へ進んでもよく、ユーザ(例えば、外科医)は、シンチデバイスに対する電極の場所を判定するように、アブレーションデバイスおよびシンチデバイスのうちの1つ以上にある、基準の1つ以上のセット(例えば、シンチデバイスの第1および第2の内腔内にある電極の数)を見てもよい。いくつかの実施形態では、(1618)で、第1のデバイスの位置は、第2のデバイスに対してロックされてもよい。例えば、クリップなどのロックを使用して、ユーザがシンチデバイスおよびアブレーションデバイスのうちの1つを保持することで、他方のデバイスを相対的固定位置に維持しうるような、アブレーションデバイスに対する固定位置に、シンチデバイスを保持してもよい。ユーザが、組織に対する第1のデバイスの位置づけを検証してもよい。例えば、ユーザが、アブレーションエネルギーを受け取るように、第1のデバイスの電極を識別および選択し、逆に第2のデバイスにより覆われる電極へのエネルギー送達を阻止してもよい。(1620)で、パルス波形を、第1のデバイスの電極のセットを通って、組織へ送達してもよい。
【0099】
いくつかの実施形態では、電極のセットが、陽極-陰極対のセットで構成されてもよい。いくつかの実施形態では、電極、または電極の対を成す適切な順序の陽極-陰極サブセットが、各陽極-陰極対でパルス波形を送達するように、順次電気的に作動してもよい。例えば、電極のセットが、時計回りまたは反時計回りに順次作動してもよい。別の例として、アブレーションが完了するまで、陽極電極の順次作動と共に、陰極電極が順次作動してもよい。電極が、すべて一度に、または所定の順序で作動してもよい。順次起動パターンが、単一の心拍中に対を成す陽極-陰極サブセットのセット全体にわたって、または単一の心拍中に対を成す陽極-陰極サブセットのセットの一部分にわたって発生してもよい。概して、アブレーション送達のためのそのような起動は、複数の心拍にわたって発生してもよい。
【0100】
いくつかの実施形態では、電極が独立してアドレス可能であってもよく、不可逆的電気穿孔によって組織をアブレーションするのに充分ないかなるパルス波形をも使用して、いかなる順序で電極にエネルギーを供給してもよい。いくつかの実施形態では、アブレーションは、すべての電極が同時に作動して、迅速に送達されうる。様々なそのような電極対の選択肢が存在し、それらの利便性に基づいて実装されてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載するような、入れ子構造および時間間隔の階層を有する、階層的な電圧パルス波形は、不可逆的電気穿孔に有用であり、異なる組織のタイプにおいて制御および選択性を提供しうる。パルス波形が、信号発生器(例えば、信号発生器(810))によって生成されてもよく、階層にレベルのセットを含んでもよい。様々な階層的な波形を、本明細書に開示するような信号発生器で生成してもよい。例えば、パルス波形が、パルスの第1のセットを含む、パルス波形の階層の第1のレベルを含んでもよい。各パルスが、パルス持続時間と、連続パルスを分離する第1の時間間隔とを有する。パルス波形の階層の第2のレベルは、パルスの第2のセットとして、パルスの複数の第1のセットを含んでもよい。第2の時間間隔によって、パルスの連続する第1のセットを分離してもよい。第2の時間間隔が、第1の時間間隔の少なくとも3倍の期間であってもよい。パルス波形の階層の第3のレベルは、パルスの第3のセットとして、パルスの複数の第2のセットを含んでもよい。第3の時間間隔によって、パルスの連続する第2のセットを分離してもよい。第3の時間間隔が、第2のレベルの時間間隔の少なくとも30倍の期間であってもよい。
【0101】
本明細書の例では、別個の単相性および二相性波形を識別するものの、波形階層のいくつかの部分が単相である一方で、他の部分が二相である、組み合わせ波形もまた、当然のことながら生成されてもよいことは理解される。階層構造を有する電圧パルス波形を、異なる陽極-陰極サブセットにわたって(随意に時間遅延を伴い)印加してもよい。生成されるパルス波形は、組織へ送達されてもよい。したがって、いくつかの実施形態では、アブレーションされる組織を近接する経壁的なゾーンとすることで、左心房の本体から肺静脈を電気的に絶縁してもよい。
【0102】
いくつかの実施形態では、電極サブセットの一部分は、シンチデバイスより遠位にあってもよい。電極のサブセットを共に配線するアブレーションエネルギーの送達のためには、電極サブセットの大部分を、アブレーションエネルギーの送達のために、シンチデバイスより遠位に配置することが望ましい場合がある。追加的または代替的に、蛍光透視および/もしくは他の可視化デバイス(例えば、内視鏡、ならびに/または方法を使用して、シンチデバイスに対する、アブレーションデバイスの電極の位置を可視化してもよく、および/または行われているステップを確認してもよい。
【0103】
図17は、組織アブレーションプロセスを検証する方法例のフローチャート(1700)である。いくつかの実施形態では、方法(1700)は、
図16のステップのいずれから続いてもよい。方法(1700)には、(1702)での、第2のデバイスが覆っていない1つ以上の基準の可視化が含まれる。例えば、電極の場所は、適切な角形成で取得される、X線もしくは透視検査画像上に可視化される基準に基づいて、自動的におよび/または手動で識別されてもよい。(1704)で、第2のデバイスより遠位で、第1のデバイス内にある電極が識別されてもよい。(1706)で、第2のデバイスに対する第1のデバイスの位置を検証してもよい。例えば、ユーザは、信号発生器に結合されたユーザインターフェースへ、作動および停止する電極を入力してもよい。(1708)で、覆われている電極へのエネルギー送達を阻止してもよい。(1620)について上に記載したような類似の方法で、(1710)で、パルス波形を、第1のデバイスの電極のセットを通って、組織へ送達してもよい。
【0104】
パルス波形
本明細書に開示するのは、不可逆的電気穿孔による組織アブレーションをもたらすように、パルス電界/波形を選択的かつ迅速に印加するための方法、システム、および装置である。本明細書に開示するパルス波形(複数可)は、本明細書に記載するシステム(800)、デバイス(例えば、102、202、302、402、502、602、702、840)、および方法のうちのいずれを用いても有用である。いくつかの実施形態は、電極のセットを介して組織へエネルギーを送達するための、順序づけられた送達スキームと共に、パルス高電圧波形を対象にする。いくつかの実施形態では、ピーク電界値は減少および/または最小化できる一方、同時に、充分な高電界強度を、組織アブレーションが所望される領域で維持することができる。またこれによって、過剰な組織障害または電気アーク放電の生成の可能性も減少し、局所的に高温が上昇する。いくつかの実施形態では、不可逆的電気穿孔に有用なシステムは、アブレーションデバイスの選択された複数の電極または電極のサブセットへ、パルス電圧波形を印加するように構成できる、信号発生器およびプロセッサを含む。いくつかの実施形態では、プロセッサが、入力を制御するように構成され、それによって、電極の陽極-陰極サブセットの選択された対を、所定の順序に基づいて順次トリガーすることができる。
【0105】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示するパルス電圧波形は、機構が階層的で、入れ子構造を有する。いくつかの実施形態では、パルス波形が、様々な関連する時間尺度を伴う、パルスの階層的なグループを含む。さらに、関連する時間尺度およびパルス幅、ならびにパルスおよび階層的なグループの数は、ディオファントス不等式のセットのうちの1つ以上を満たすために選択することができる。
【0106】
本明細書に開示するような電気穿孔エネルギー送達のためのパルス波形は、不可逆的電気穿孔に関連する電界閾値を低下させることによって、エネルギー送達の安全性、効率、および有効性を高め、減少した総エネルギーを送達しながら、より効果的なアブレーション損傷をもたらしうる。
【0107】
図10は、連続する矩形の二重パルスの形態を取るパルス電圧波形を示し、パルス(1000)など、各パルスがパルス幅または期間に関連付けられる。パルス幅/期間が、間のすべての値および部分範囲を含めて、約0.5マイクロ秒、約1マイクロ秒、約5マイクロ秒、約10マイクロ秒、約25マイクロ秒、約50マイクロ秒、約100マイクロ秒、約125マイクロ秒、約140マイクロ秒、約150マイクロ秒であることができる。
図10のパルス波形は、全パルスの極性が同じである、単相パルスのセットを示す(ゼロベースラインから測定して、
図10ではすべて正である)。不可逆的電気穿孔の適用についてなどのいくつかの実施形態では、各パルス(1000)の高さまたはパルス(1000)の電圧振幅が、間のすべての値および部分範囲を含めて、約400ボルトから、約1,000ボルト、約5,000ボルト、約10,000ボルト、約15,000ボルトの範囲であることができる。
図10に示すように、パルス(1000)は、時に第1の時間間隔とも呼ばれる時間間隔(1002)だけ、隣接パルスから分離している。第1の時間間隔が、不可逆的電気穿孔を生成するために、間のすべての値および部分範囲を含めて、約10マイクロ秒、約50マイクロ秒、約100マイクロ秒、約200マイクロ秒、約500マイクロ秒、約800マイクロ秒、約1ミリ秒であることができる。
【0108】
図11では、入れ子型パルスの階層構造を伴う、パルス波形を紹介する。
図11は、パルス(1100)など一連の単相パルスを示し、パルス幅/パルス持続時間wは、連続パルス間の期間t
1(1102)などの時間間隔(時に第1の時間間隔とも呼ばれる)で分離され、数m
1個の連続するパルスが、パルスのグループ(1110)(時にパルスの第1のセットとも呼ばれる)を形成するように配列される。さらに、波形は、連続するグループ間の期間t
2の時間間隔(1112)(時に第2の時間間隔とも呼ばれる)で分離される、そのようなパルスのグループ(時にパルスの第2のセットとも呼ばれる)の数m
2個を有する。
図11に(1120)とマークが付いた、m
2個のそのようなパルスグループの集合が、階層の次のレベルを構成し、パケットおよび/またはパルスの第3のセットと呼ぶことができる。パルス幅、およびパルス間の時間間隔t
1は両方、間のすべての値および部分範囲を含めて、マイクロ秒から数百マイクロ秒の範囲であることができる。いくつかの実施形態では、時間間隔t
2が、時間間隔t
1より少なくとも3倍大きくなることができる。いくつかの実施形態では、比率t
2/t
1が、間のすべての値および部分範囲を含めて、約3と約300との間の範囲であることができる。
【0109】
図12ではさらに、入れ子型パルス階層波形の構造を詳述する。この図では、一連のm
1個のパルス(個々のパルスは図示せず)が、パルスのグループ(1200)(例えば、パルスの第1のセット)を形成する。1つのグループと次のグループとの間の期間t
2(例えば、第2の時間間隔)のグループ間の時間間隔(1210)で分離される、一連のm
2個のそのようなグループが、パケット(例えば、パルスの第2のセット)を形成する。1つのパケットと次のパケットとの間の期間t
3(例えば、第3の時間間隔)である時間間隔(1212)で分離される、一連のm
3個のそのようなパケットが、階層における次のレベル、すなわち、図中で(1220)と名前を付けたスーパーパケット(例えば、パルスの第3のセット)を形成する。いくつかの実施形態では、時間間隔t
3が、時間間隔t
2より少なくとも約30倍大きくなることができる。いくつかの実施形態では、時間間隔t
3が、時間間隔t
2より少なくとも50倍大きくなることができる。いくつかの実施形態では、比率t
3/t
2が、間のすべての値および部分範囲を含めて、約30と約800との間の範囲であることができる。パルス階層における個々の電圧パルスの振幅は、間のすべての値および部分範囲を含めて、500ボルトから7,000ボルト以上までの範囲のいずれでもあることができる。
【0110】
図13では、階層構造を持つ二相性波形シーケンスの例を提供する。図に示す例では、(1300)などの二相パルスは、正の電圧部分だけでなく負の電圧部分も有して、パルスの1つのサイクルを完了する。期間t
1の隣接するサイクル間には、時間遅延(1302)(例えば、第1の時間間隔)があり、n
1個のそのようなサイクルが、パルスのグループ(1310)(例えば、パルスの第1のセット)を形成する。1つのグループと次のグループとの間の期間t
2のグループ間の時間間隔(1312)(例えば、第2の時間間隔)で分離される、一連のn
2個のそのようなグループは、パケット(1320)(例えば、パルスの第2のセット)を形成する。図はまた、パケット間の時間遅延(1332)(例えば、第3の時間間隔)の期間t
3を伴う、第2のパケット(1330)を示す。単相パルスの場合と同様に、階層構造のより高いレベルも形成することができる。各パルスの振幅または二相パルスの電圧振幅は、間のすべての値および部分範囲を含めて、500ボルトから7,000ボルト以上までの範囲のいずれでもあることができる。パルス幅/パルス持続時間は、ナノ秒またはサブナノ秒から数十マイクロ秒までの範囲であることができ、一方遅延t
1は、ゼロから数マイクロ秒までの範囲であることができる。グループ間の時間間隔t
2が、パルス幅より少なくとも10倍大きくなることができる。いくつかの実施形態では、時間間隔t
3が、時間間隔t
2より少なくとも約20倍大きくなることができる。いくつかの実施形態では、時間間隔t
3が、時間間隔t
2より少なくとも50倍大きくなることができる。
【0111】
本明細書に開示する実施形態は、階層の様々なレベルで波形要素/パルスを含む、階層的な波形として構築される波形を含む。
図11の(1100)などの個々のパルスが、階層の第1のレベルを含み、関連するパルス持続時間、および連続パルス間の第1の時間間隔を有する。パルスのセット、すなわち第1のレベル構造の要素は、
図11のパルスのグループ/パルスの第2のセット(1110)など、階層の第2のレベルを形成する。他のパラメータには、波形に関連するものとして、パルスの第2のセットの総持続時間(図示せず)、パルスの第1のレベル要素/第1のセットの総数、およびパルスの第2のレベル構造/第2のセットを記述する、連続する第1のレベル要素間の第2の時間間隔などのパラメータがある。いくつかの実施形態では、パルスの第2のセットの総持続時間が、間のすべての値および部分範囲を含めて、約20マイクロ秒と約10ミリ秒との間であることができる。グループのセット、パルスの第2のセット、または第2のレベル構造の要素は、
図11のグループのパケット/パルスの第3のセット(1120)など、階層の第3のレベルを形成する。他のパラメータには、パルスの第3のセットの総持続時間(図示せず)、パルスの第2のレベル要素/第2のセットの総数、およびパルスの第3のレベル構造/第3のセットを記述する、連続する第2のレベル要素間の第3の時間間隔がある。いくつかの実施形態では、パルスの第3のセットの総持続時間が、間のすべての値および部分範囲を含めて、約60マイクロ秒と約200ミリ秒との間であることができる。波形の概して反復的または入れ子の構造が、構造の10レベルなど、より高い複数レベル以上まで継続することができる。
【0112】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載するような、入れ子構造および時間間隔の階層を伴う階層的な波形が、不可逆的電気穿孔のアブレーションエネルギー送達に有用であり、異なる組織タイプでの適用に、良好な制御および選択性を提供する。様々な階層的な波形を、好適なパルス発生器で生成することができる。本明細書の例では、明確にするために、別個の単相性および二相性波形を識別するものの、波形階層のいくつかの部分が単相である一方で、他の部分が二相である、組み合わせ波形もまた生成/実装できることに留意すべきであることが理解される。
【0113】
本明細書に使用するとき、数値および/もしくは範囲と連動して使用する場合の「約」ならびに/または「おおよそ」という用語は、概して、列挙する数値および/もしくは範囲に近い数値ならびに/または範囲を指す。いくつかの例では、「約」および「おおよそ」という用語が、列挙した値の±10%以内を意味してもよい。例えば、いくつかの例では、「約100[単位]」は100の±10%(例えば、90から110まで)を意味してもよい。「約」および「おおよそ」という用語が同じ意味で使われてもよい。
【0114】
本明細書に使用するとき、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈に明らかな別段の指示がない限り、複数形の指示対象を含む。それゆえ、例えば、「部材(a member)」という用語は、単一の部材または部材の組み合わせを意味することを意図し、「材料(a material)」は、1つ以上の材料を意味することを意図し、「プロセッサ(a processor)」は、単一のプロセッサまたは複数のプロセッサを意味することを意図し、「メモリ(memory)」は、1つ以上のメモリまたはそれらの組み合わせを意味することを意図している。
【0115】
本明細書で使用するとき、「約」および「おおよそ」という用語は、概して、言及する値のプラスまたはマイナス10%を意味する。例えば、約0.5は0.45および0.55を含み、約10は9から11を含み、約1000は900から1100を含むであろう。
【0116】
本明細書の特定の例および記載は、本質的に例示であり、実施形態は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書で教示する材料に基づいて、当業者によって開発されうる。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いと平行に延在する第1および第2の内腔を画定する、細長いシャフトを備え、アブレーションカテーテルの対向端部を、前記第1および第2の内腔内で受け取るときに、前記アブレーションカテーテルが、前記細長いシャフトから延在する調整可能なループを形成するように、前記第1および第2の内腔が、前記アブレーションカテーテルの前記対向端部を摺動可能に受け取るよう構成され、
前記細長いシャフトが、縦軸を画定する近位部分と、前記近位部分の前記縦軸に対して湾曲を有する遠位部分とを含む、装置。
【請求項2】
前記遠位部分の前記湾曲が、前記近位部分の前記縦軸に対して、30度と60度との間である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記細長いシャフトが、6cmと30cmとの間の長さを有する、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記細長いシャフトの少なくとも遠位端は、蛍光顕微鏡で可視化されるように構成される、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記第1および第2の内腔が、同じ直径を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記第1および第2の内腔が、1つ以上の電極を上に配置する前記アブレーションカテーテルの一部分を、摺動可能に受け取るように構成される、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記アブレーションカテーテルの前記対向端部の少なくとも1つが、前記調整可能なループを心臓の一部分の周りに位置づけるのを調整するために、前記細長いシャフトに対して移動できるように、前記第1および第2の内腔が、前記アブレーションカテーテルの前記対向端部を摺動可能に受け取るように構成される、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記細長いシャフトの少なくとも一部分は、心膜腔内に配置されるように構成される、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記細長いシャフトの遠位部分は非侵襲性の遠位先端を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記遠位先端は5mmと25mmとの間の長さを有する、請求項9に記載の装置。