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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024023587
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】分岐点フローダイバージョン装置
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/07 20130101AFI20240214BHJP
【FI】
A61F2/07
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023206764
(22)【出願日】2023-12-07
(62)【分割の表示】P 2020535071の分割
【原出願日】2018-12-17
(31)【優先権主張番号】62/607,019
(32)【優先日】2017-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/676,168
(32)【優先日】2018-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】520217744
【氏名又は名称】スルーフロー エンドバスキュラー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】THRU-FLO ENDOVASCULAR, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ ピー タイテルバウム
(57)【要約】      (修正有)
【課題】頭蓋内動脈瘤及び他の医学的状態の治療のためのフローダイバージョン装置が開示される。
【解決手段】フローダイバージョン装置は、一緒に結合された複数のジグザグ状のワイヤ要素から形成された概ね管状のワイヤステントフレームを含み得る。装置は、ワイヤステントフレームに結合され、その少なくとも一部分を取り囲む移植材料のベース層を更に含み、ワイヤステントフレームは、ベース層を開放状態に維持する。いくつかの実施形態では、ベース層が、長手方向に形成された複数のスリットを有する多孔質移植材料から形成されてもよい。スリットは、圧縮構成及び拡張構成において異なる形状を有してもよい。スリットは、重要な小さな側枝の長期開存性を維持するために小さい血流のための通路を提供する一方で、閉塞を促進し、潜在的な破裂を回避するために動脈瘤への血流も低減する。
【選択図】図20D
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フローダイバージョン装置であって、
複数のワイヤ要素から形成された管状ワイヤステントフレームと、前記ワイヤステント
フレームに取り付けられ、その少なくとも一部分を取り囲むベース層であって、前記ベー
ス層が、前記フローダイバージョン装置の長手方向に形成された複数のスリットを有する
多孔性グラフト材料から形成された、ベース層と、を備え、
前記スリットが、圧縮構成及び拡張構成において異なる形状を有する、フローダイバー
ジョン装置。
【請求項2】
前記圧縮構成では、前記スリットが直線であり、前記拡張構成では、前記スリットがダ
イヤモンド形状又は偏菱形状を有する、請求項1に記載のフローダイバージョン装置。
【請求項3】
前記圧縮構成では、前記スリットがX字形を有し、前記拡張構成では、前記スリットが
砂時計形状を有する、請求項1に記載のフローダイバージョン装置。
【請求項4】
前記圧縮構成では、前記スリットがY字形を有し、前記拡張構成では、前記スリットが
V字形を有する、請求項1に記載のフローダイバージョン装置。
【請求項5】
前記圧縮構成では、前記スリットが対向するY字形を有し、前記拡張構成では、前記ス
リットが、拡張した砂時計形状を有する、請求項1に記載のフローダイバージョン装置。
【請求項6】
前記管状ワイヤステントフレームが、分岐点動脈瘤のためのフローダイバージョンを提
供するために、前記管状ワイヤステントフレームの中央に配置された隆起フレームを含む
、請求項1に記載のフローダイバージョン装置。
【請求項7】
前記複数のワイヤ要素が、ジグザグパターン形状を含み、前記複数のワイヤ要素のうち
の第1のワイヤ要素の少なくとも1つの端部が、前記第1のワイヤ要素に隣接する第2の
ワイヤ要素の少なくとも1つの端部に取り付けられて、前記ワイヤステントフレームの可
撓性を促進する、請求項1に記載のフローダイバージョン装置。
【請求項8】
前記複数のワイヤ要素が、相互に織り合わされ、相互に結合された卵形のリングを含み
、前記ワイヤステントフレームの可撓性を促進する、請求項1に記載のフローダイバージ
ョン装置。
【請求項9】
フローダイバージョン装置であって、
複数のワイヤ要素から形成されたワイヤステントフレームであって、前記ワイヤステン
トフレームがY字形の構成を有する、ワイヤステントフレームと、
前記ワイヤステントフレームに取り付けられ、その少なくとも一部分を取り囲むベース
層であって、前記ベース層が、複数のスリットを有する多孔質移植材料で形成された、ベ
ース層と、を備える、フローダイバージョン装置。
【請求項10】
前記スリットが、圧縮構成及び拡張構成において異なる形状を有する、請求項9に記載
のフローダイバージョン。
【請求項11】
フローダイバージョンシステムであって、
Y字形の構成を有する後退可能なシースであって、前記Y字形の構成が、2つの遠位シ
ースリム及び近位シースリムを備え、スコアリングゾーンが、前記後退可能なシースが近
位方向に引き抜かれるときに分離するように構成されている、前記遠位シースリムの内側
表面に沿って延在する、後退可能なシースと、
前記後退可能なシース内に配置されたフローダイバージョン装置であって、
複数のワイヤ要素から形成されたワイヤステントフレームであって、前記ワイヤステン
トフレームが前記Y字形の構成を有する、ワイヤステントフレームと、
前記ワイヤステントフレームに取り付けられ、その少なくとも一部分を取り囲むベース
層であって、前記ベース層が、複数のスリットを有する多孔質移植材料で形成された、ベ
ース層と、を備えるフローダイバージョン装置と、を含むフローダイバージョンシステム
【請求項12】
窓が、前記2つの遠位シースリム間の交点において、スコアリングゾーン内に配置され
る、請求項11に記載のフローダイバージョンシステム。
【請求項13】
前記スコアリングゾーンは、電解機構によって分離され得る、請求項11に記載のフロ
ーダイバージョンシステム。
【請求項14】
前記フローダイバージョン装置は、前記フローダイバージョン装置が前記後退可能なシ
ース内に配置されているときに、圧縮構成にある、請求項11に記載のフローダイバージ
ョンシステム。
【請求項15】
前記フローダイバージョン装置は、前記後退可能なシースが前記近位方向に後退される
ときに、拡張構成へと拡張する、請求項11に記載のフローダイバージョンシステム。
【請求項16】
フローダイバージョンシステムであって、
複数のワイヤ要素から形成されたワイヤステントフレームを備えるフローダイバージョ
ン装置であって、前記ワイヤステントフレームがY字形の構成を有し、前記Y字形の構成
が、2つの遠位シースリムと、近位シースリムと、を備える、フローダイバージョン装置
と、
前記ワイヤステントフレームの周囲を包むように構成されている複数の螺旋収容ストラ
ンドであって、第1の螺旋収容ストランドは、前記近位シースリム及び前記2つの遠位シ
ースリムのうちの一方を包むように構成されており、第2の螺旋収容ストランドは、前記
近位シースリム及び前記2つの遠位シースリムのうちの他方を包むように構成されている
、複数の螺旋収容ストランドと、を備える、フローダイバージョンシステム。
【請求項17】
前記ワイヤステントフレームに取り付けられ、その少なくとも一部分を取り囲むベース
層を更に備え、前記ベース層が、複数のスリットを有する多孔質移植材料で形成されてい
る、請求項16に記載のフローダイバージョンシステム。
【請求項18】
前記螺旋収容ストランドが前記ワイヤステントフレームに包まれるときに、前記フロー
ダイバージョン装置が折り畳まれた構成にあり、前記螺旋収容ストランドが前記ワイヤス
テントフレームから分離し、近位方向に抜去されるように構成され、前記フローダイバー
ジョン装置が拡張構成に拡張するように構成されている、請求項16に記載のフローダイ
バージョンシステム。
【請求項19】
各螺旋収容ストランドの遠位端が、遠位収容停止部に結合され、各遠位収容停止部は、
電解分離又は機械的分離によって、そのそれぞれの螺旋収容ストランドから分離され得る
、請求項16に記載のフローダイバージョンシステム。
【請求項20】
各螺旋収容ストランドの各遠位端が、前記フローダイバージョン装置の前記遠位リムを
包囲するリング形状を有し、各リングが所定の軸方向シームを含む、請求項19に記載の
フローダイバージョンシステム。
【請求項21】
各螺旋収容ストランドから各遠位収容停止部を分離した後、前記遠位収容停止部は、ガ
イドワイヤに結合されたままである、請求項19に記載のフローダイバージョンシステム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願データ)
本出願は、非仮出願であり、2017年12月18日に出願された米国特許仮出願第6
2/607,019号及び2018年5月24日に出願された米国特許仮出願第62/6
76,168号の米国特許法第119条(e)の下での利益を主張するものであり、これ
らの開示は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本開示の分野は、概して医療用装置に関し、具体的には、広口の紡錘状動脈瘤の治療の
ために使用され得るフローダイバージョン装置に関する。
【背景技術】
【0003】
Pipeline塞栓装置、Surpassフローダイバータ、及びSilkフローダ
イバータなどのフローダイバージョン装置は、頭蓋内動脈瘤の治療に典型的に使用される
緊密に編組された細いワイヤ要素から構成されるステント様装置である。これらの装置は
、動脈瘤から離れるように血流をそらして、動脈瘤血栓を誘導することによって動脈瘤を
治療するために血管内に用いられ、動脈瘤の破裂を防止し、最終的には動脈瘤の漸進的収
縮及び閉塞をもたらし得る。更に、紡錘状動脈瘤(すなわち、画定可能な口を有さない動
脈瘤)に使用される場合、フローダイバージョン装置は、親動脈と連続する平滑な内皮被
覆チャネルの再建を促進し得る。フローダイバージョン装置は動脈瘤から離れるように血
液を指向するが、細いワイヤ編組設計は、そこの血流のもっとも控えめなフローにより、
治療される動脈瘤に隣接する重要な小さい動脈側枝の開存性を維持することを可能にする
【0004】
大きな頭蓋内動脈瘤(直径10~25mmの範囲)及び特に巨大な頭蓋内動脈瘤(直径
25mmより大きいもの)は、多くの場合、広口(口に対するドームの直径比が2未満)
を有するか、又は紡錘状である。典型的には、大きい動脈瘤及び巨大な動脈瘤は、それら
を治療するのに使用される治療の形態(例えば、開放脳手術又は他の血管内技術)にかか
わらず、閉塞、破裂、及び生存率が低い。動脈瘤から離れるように血流をそらすための超
編組ステント装置の使用は、血管内ステント又はバルーンリモデリングの支援あり又はな
しで、観血的手術及び他の従来の血管内技術と比較して、有望な治療結果をもたらしてい
る。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】一実施形態による例示的なフローダイバージョン装置を示す。
図1A図1のフローダイバージョン装置の一部分の拡大図である。
図2図1のフローダイバージョン装置の断面図である。
図3】一実施形態による、カテーテル及びプッシャワイヤを介した図1のフローダイバージョン装置の例示的なアセンブリ及び送達を示す。
図4】一実施形態による、カテーテル及びプッシャワイヤを介した図1のフローダイバージョン装置の例示的なアセンブリ及び送達を示す。
図5】一実施形態による、カテーテル及びプッシャワイヤを介した図1のフローダイバージョン装置の例示的なアセンブリ及び送達を示す。
図6A】動脈瘤の治療のための送達部位の位置にあるフローダイバージョン装置の概略図を示す。
図6B】動脈瘤の治療のための送達部位の位置にあるフローダイバージョン装置の概略図を示す。
図7】別の実施形態による、フローダイバージョン装置の一例をまとめて示す。
図8】別の実施形態による、フローダイバージョン装置の一例をまとめて示す。
図9】頸動脈及び冠動脈バイパス移植に使用され得るフローダイバージョン装置の例示的な実施形態を示す。
図10】フローダイバージョン装置を通して塞栓粒子を送達するための可撓性ハイポチューブを有するフローダイバージョン装置の例示的な実施形態を示す。
図11】より大きな側枝へのフローを改善するための特徴を有するフローダイバージョン装置の例示的な実施形態を示す。
図12】処理部位への図11のフローダイバージョン装置の例示的な送達プロセスを示す。
図13】処理部位への図11のフローダイバージョン装置の例示的な送達プロセスを示す。
図14】処理部位への図11のフローダイバージョン装置の例示的な送達プロセスを示す。
図15A】複数の長手方向スリットを有する、畳み込まれたフローダイバージョン装置の例示的な実施形態を示す。
図15B図15Aの折り畳まれたフローダイバージョン装置の近位端の詳細図を示す。
図15C図15Aの折り畳まれたフローダイバージョン装置の遠位端の詳細図を示す。
図16】拡張構成にある15Aのフローダイバージョン装置を示す。
図17A】折り畳まれた構成にある対向するY字形スリットと、拡張構成にある拡張した砂時計形状スリットとを有するスリットを示す。
図17B】折り畳まれた構成にあるX字形スリットと、拡張構成にある砂時計形状のスリットとを有するスリットを示す。
図17C】折り畳まれた構成にあるY字形スリットと、拡張構成にあるV字形スリットとを有するスリットを示す。
図18A】分岐点動脈瘤を示す。
図18B】中央隆起ステントスカフォールドによって生成された中央隆起部を有する例示の有窓型フローダイバージョン装置を示す。
図19】分岐点動脈瘤を治療するための中央隆起ステントスカフォールドによって形成された中央隆起部を有する例示的な有窓型フローダイバージョン装置を示す。
図20A】一実施形態によるY構造体フローダイバージョン装置を示す。
図20B】一実施形態によるY構造体フローダイバージョン装置を示す。
図20C】折り畳まれた構成にあるY構造体フローダイバージョン装置を示す。
図20D】拡張構成にあるY構造体フローダイバージョン装置を示す。
図21A】Y字形のフローダイバージョン装置で分岐点動脈瘤を収縮させるプロセスを示す。
図21B】Y字形のフローダイバージョン装置で分岐点動脈瘤を収縮させるプロセスを示す。
図21C】Y字形のフローダイバージョン装置で分岐点動脈瘤を収縮させるプロセスを示す。
図22A】分岐点動脈瘤フローダイバージョン装置のための送達装置の一実施形態を示す。
図22B】分岐点動脈瘤内に展開されるフローダイバージョン装置を示す。
図22C】フローダイバージョン装置を展開するために、スコアラインに沿って開いている送達装置を示す。
図22D】分岐点動脈瘤を治療するために展開されるフローダイバージョン装置を示す。
図23A】分岐点動脈瘤フローダイバージョン装置のための送達装置の一実施形態を示す。
図23B】送達装置の遠位収容停止部から分離する遠位収容停止部を示す。
図23C】分岐点動脈瘤を治療するためにフローダイバージョン装置を展開することを示す。
図23D】分岐点動脈瘤を治療するために展開されるフローダイバージョン装置を示す。
図24】卵形リング形状を有する複数のワイヤ要素を有するフローダイバージョン装置の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
図面を参照して、この節は、特定の実施形態並びにそれらの詳細な構成及び動作を記載
する。本明細書に記載されている実施形態は、限定としてではなく、単に例示として記載
される。記載される特徴、構造、特性、及び動作方法は、1つ以上の実施形態において任
意の好適な様式で組み合わせられ得る。ここでの開示を考慮すると、当業者は、様々な実
施形態が、特定の詳細又は他の方法、構成要素、材料などのうちの1つ以上を必要とせず
に実施され得ることを認識するであろう。明確性及び簡潔性のために、特定の実施形態の
構成要素又は工程の特定の態様は、そのような詳細が、本明細書の教示を考慮して当業者
には明らかであろう、及び/又はそのような詳細が、実施形態のより適切な態様の理解を
わかりにくくするであろう過度の詳細なしに提示される。
【0007】
本発明者は、現在のフローダイバージョン装置に関するいくつかの欠点を認識している
。例えば、1つの欠点は、現在の装置のワイヤメッシュチューブ内の非常に微細な編組が
、装置を頭蓋内に送達することを困難にすることであり、通常、より大きな直径及びより
硬いマイクロカテーテルを必要とし、折り畳まれたステント装置を罹患した動脈の標的領
域に進めさせることが困難となることである。いくつかの状況では、これらの大きなボア
、より硬いマイクロカテーテルは不安定であり、フローダイバージョン装置を動脈瘤腔内
へ不注意に変位させることをもたらすことがある。更に、決まった位置になると、そのよ
うなステント装置の構成は、その膨張をいくらか困難にすることがあり、これは、望まし
くない影響を生じさせることがあり、例えば、(1)脳の一部への正常な血流の遮断をも
たらし、それによって脳卒中を脅かす、(2)ステントの外側表面と血管内部又は内膜と
の間に望ましくない空間を形成することにより、側枝がエンドリークを生成することを許
容し、これにより、動脈瘤腔内への流れの望ましくない維持をもたらすことがある。
【0008】
このような現在のフローダイバージョン装置の別の欠点は、展開中の装置の位置的不安
定性が、装置を動脈瘤内への予期しないキックバックを生じさせることがある。加えて、
このような現在の装置はまた、治療された動脈に対して大きな金属負荷を生成することが
あり、これは、血栓塞栓事象のリスクを増加させ、長期療法又は治療を必要とすることが
ある。
【0009】
以下で更に詳細に説明するように、本明細書で説明される特定の実施形態は、以下のう
ちの1つ以上を含む様々な利点を達成することができる。(1)送達カテーテル上に配置
された血管内導入を簡素化し、力を減少させるために流線型の設計を有するフローダイバ
ージョン装置を提供すること、(2)改善されたフローのために所定の位置になると、装
置の拡張を促進するように構成されたこのようなフローダイバージョン装置を提供するこ
と、及び(3)動脈瘤治療部位に隣接する動脈側枝の開存性を維持するのに十分な血流を
維持しながら、動脈瘤から血液を効果的にそらすフローダイバージョン装置を提供するこ
とである。追加の態様及び利点は、添付図面を参照して進行する、以下の例示的な実施形
態の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【0010】
集合的に、図1図14は、図を参照して以下で更に詳述するように、頭蓋内動脈瘤の
治療及び他の医療処置に使用され得るフローダイバージョン装置の様々な実施形態を示す
。一般に、図1を参照すると、フローダイバージョン装置100は、複数のワイヤ要素1
05を含むステント様装置であり、各個々のワイヤ要素105はジグザグパターンの形状
であり、隣接するワイヤ要素に結合されて、概ね管状のステント構造を形成する。ワイヤ
要素105は、薄いベース層135を保持し、フローダイバージョン装置100の支持構
造体を共に形成する。外側ジャケット145は、ワイヤ要素105及びベース層135か
ら形成された支持構造を包囲してもよく、ジャケット145がベース層135に融着され
て、追加の剛性を提供し、フローダイバージョン装置100の管状形状を維持してもよい
。前述したように、フローダイバージョン装置100が、動脈瘤から血流をそらして動脈
瘤血栓症を誘導し、他の好適な医療処置のために動脈瘤を治療するために、血管内に使用
され得る。フローダイバージョン装置100のこれら及び他の実施形態の追加の詳細は、
図面を参照して本明細書で説明される。
【0011】
特に図1及び図2を参照すると、以下の段落はフローダイバージョン装置100及びそ
の構成要素の追加の詳細を説明する。上記に簡潔して説明したように、フローダイバージ
ョン装置100は、一緒に結合されて、概ね管状の自己拡張型ステント構造を形成する複
数のワイヤ要素105を含む。いくつかの実施形態では、ワイヤ要素105は、ニチノー
ル(ニッケル-チタン合金)、エルギロイ(コバルト、クロム、及びニッケル系合金)又
は他の好適な形状の記憶合金などの形状記憶/超弾性品質を呈する金属材料から構成され
てもよい。他の実施形態では、ワイヤ要素105は、代わりに、管状ステント構造を作成
することができる非金属材料を含む他の好適な材料から構成されてもよい。
【0012】
いくつかの実施形態では、ワイヤ要素105は、溶接プロセスなどを介して、1つ以上
の部位で互い違い又は交互のパターンで一緒に結合されて、捻れなく血管の鋭い曲線に追
従することができる「オープンセル」設計を生成することができる。例えば、特に図1A
を参照すると、隣接するワイヤ要素105a及び105bは、第1の接合部110で溶接
されてもよく、第2の接合部115は、それぞれのワイヤ要素105a、105bの一対
の端部120、125を中央接合部130で自由にしておいてもよい(すなわち、端部1
20、125は溶接されていないか、そうでなければ別の方法で互いに取り付けられてい
ない)。この構成では、隣接するワイヤ要素105a,105b間の互い違いの溶接部は
、全体的な安定性を犠牲にすることなく、フローダイバージョン装置100により高い可
撓性を付与するのに役立ち得る。図1のフローダイバージョン装置100の実施形態は、
交互する接合部での溶接パターンを示しているが、ワイヤ要素105は、代わりに、様々
な好適なパターンのうちのいずれか1つで取り付けられ/連結されてもよいことを理解さ
れたい。例えば、他の実施形態では、ワイヤ要素105は、安定性を高めるために、接合
毎に取り付けられてもよく、又は追加の可撓性のために選択接合部において、非交互の様
式で取り付けられてもよい。
【0013】
いくつかの実施形態では、フローダイバージョン装置100は、装置100が標的部位
へと前進している間に抵抗を最小限に抑えるために、少数のワイヤ要素105を使用する
か、又は含むことができる。加えて、これらのワイヤ要素105の各々の直径は、フロー
ダイバージョン装置100が標的部位に配置されると、各ワイヤ要素105が十分な膨張
力を確実に有するように選択され、それによって、不完全な膨張の可能性を減少させ、ひ
いては血流の危険な閉塞を回避するように選択される。例えば、一実施形態では、各ワイ
ヤ要素105の直径は、0.005インチ以下であってもよく、十分な剛性、可撓性、並
びにフローダイバージョン装置100が動脈瘤の口を覆うように標的血管部位に確実に固
定されるか、又は特に図6A及び図6Bを参照して更に説明されるように、紡錘状の動脈
瘤を通じてフロー経路を提供することを確実にするのに役立つ適切な膨張力を備えるフロ
ーダイバージョン装置100を生成する。他の実施形態では、各ワイヤ要素105の直径
は0.010インチ未満であってもよい。
【0014】
図1及び図2を参照すると、フローダイバージョン装置100は、ポリテトラフルオロ
エチレン(polytetrafluoroethylene、PTFE)などの移植材料の管状の超薄型ベース
層135、又は装置100のフローダイバージョン特性を促進する他の好適な移植素材を
含む。ワイヤ要素105で形成されたベース層135及びステントフレームは、縫合材料
、圧着、接着剤、又はおそらくは移植材料の1つの超薄層を、2つの層135、145の
間に収容されたワイヤステント構造で別のものに封止するなどの任意の好適な手段によっ
て互いに取り付けられてもよい。頭蓋内動脈にそって頻繁に発見される重要な小さい側枝
へのフロー及び長期開存性を確実にするのを助けるために、ベース層135の移植材料は
、ベース層135上に離間された複数の微小穿孔/孔140を含んで、少量の血流が側枝
に流れることを可能にしてもよい。穿孔/孔140は、レーザエネルギーを使用すること
によって、又は任意の他の好適な手段によって機械的に作成されてもよい。穿孔140の
サイズ及び形状は、ベース層135の構造的一体性を低減する程度に大きすぎることなく
、「需要に応じて」通過するフローの増加を促進するように設計されてもよい(例えば、
孔により、パテント側へのより大きな流れを可能にするが、動脈瘤へのフローをより許少
なくする)。
【0015】
いくつかの実施形態では、穿孔/孔140は、穿孔/孔140が、増加したフロー需要
で形状を拡大又は変化させるように、ベース層135上で設計及び切断されてもよい。例
えば、穿孔/孔140は、典型的にフラッグに見られるのと同様のパターンで、半円切り
込み又はスリットであってもよい。ベース層135に対する血流が増加するにつれて、半
円切り込みは、移植素材のフラップが(血流の方向に対して)引き離され、ベース層13
5の過剰なうねり(その破断又は脱落をもたらし得る)を防止することを可能にする。好
ましくは、穿孔/孔140の特別な特性がない場合、ベース層135の多孔質移植材料は
、それにもかかわらず、動脈瘤嚢へのフローを大幅に阻害し、その漸進的収縮及び閉塞を
引き起こす一方で、依然として、側枝の開存性を維持するために、減少しているが十分な
フローを提供する。
【0016】
図1に示すように、フローダイバージョン装置100は、近位155及び遠位160の
両方において、放射線不透過性マーカー150を含み得る。蛍光透視法を使用して、放射
線不透過性マーカー150は、操作者がフローダイバージョン装置100の位置を見て、
フローダイバージョン装置100が血管又は他の管腔の内壁に適切に係合しているかどう
かを判定することを可能にする。他の実施形態では、ワイヤ要素105はまた(又は代替
的には)、放射線不透過性材料を含んでもよく、ステントフレームの周辺部/境界部が見
えるようにする。
【0017】
図2を具体的に参照すると、移植材料のベース層135は、外側ジャケット145に融
着されて、フローダイバージョン装置100の全体形状を維持することができる。いくつ
かの実施形態では、ジャケット145は、ポリウレタン又は他の好適に強い、軽量、及び
可撓性ポリマーで作製されてもよい。
【0018】
図3図5は、フローダイバージョン装置100を血管又は他の管腔165(図6A
参照)に送達するための例示的な実施形態を示す。特に図3及び図4を参照すると、フロ
ーダイバージョン装置100は、送達カテーテル180を通じてプッシャ/送達ワイヤ1
75上の2つの金属バンパー170間で圧縮状態で前進してもよい。フローダイバージョ
ン装置100がカテーテル180,を介して頭蓋内動脈又は他の管腔165の標的セグメ
ントに押されると、カテーテル180は、装置100が標的部位で拡張することを可能に
するために抜去され得る。他の実施形態では、フローダイバージョン装置100は、代わ
りに、プッシャワイヤ上に設けられてもよく、装置が標的部位で拡張/展開されると、電
解手段又は機械的手段によってプッシャワイヤから取り外すことができる。上述の装置送
達及び展開の方法の両方は、特定の点まで、展開位置が不満足である場合に、フローダイ
バージョン装置の回収を可能にしてもよい。
【0019】
図6A及び図6Bは、頭蓋内動脈瘤を治療するために使用されるときの、展開された装
置100の例示的なフローダイバージョンプロセスを概略的に示す。図6A及び図6B
参照すると、フローダイバージョン装置100は、頭蓋内動脈瘤185(大型又は巨大、
広口又は紡錘状頭蓋内動脈瘤など)に隣接して位置付けられる。所定の位置にあるとき、
ベース層135の多孔質移植材料は、動脈瘤185への血流を減少/阻害し、それによっ
て(図6Bに示すように)経時的にこれを徐々に閉塞させる。移植材料は多孔質であるた
め、少量の血液が動脈瘤185に流入することがあるが、このフローは、動脈瘤185が
成長し続ける可能性が低くなるように十分に小さい。更に、移植材料にわたる少量のフロ
ーは、近くの側枝190の開存性を維持するのに十分なままである。いくつかの治療では
、説明されるフローダイバージョン装置100の展開前の約一週間及び展開後の3~6ヶ
月にわたって、患者は、二重抗血小板療法(アスピリン及びクロピドグレル(Plavi
x)など)で治療されてもよい。動脈瘤の収縮及び閉塞を評価するために、装置展開後6
ヶ月及び12ヶ月後に追跡可能な脳血管造影を実施してもよい。動脈瘤185が完全に閉
塞され、もはや問題がないと判定される場合、装置100は除去されてもよい。他の例で
は、装置100は、将来の問題の可能性を回避するために、永久的に適所に残されてもよ
い。
【0020】
図7図14は、図1図6のフローダイバージョン装置100を参照して上述したよ
うなワイヤメッシュフレーム及び移植材料ベース層の同様の概念を利用する医療処置及び
プロセスのための様々な他の実施形態をまとめて示す。以下では、これらの実施形態の更
なる詳細を説明する。
【0021】
図7及び図8は、肺塞栓の予防を助けるための下大静脈(inferior vena cava、IVC
)フィルタ200の例示的な実施形態を示す。図7を参照すると、IVCフィルタ200
は、それぞれジグザグ状の複数のワイヤ要素205を含んでもよく、各ワイヤ要素205
は、隣接する要素に溶接されるか、又は別の方法で結合されて、フローダイバージョン装
置100のワイヤ要素105に関して説明されているのと同様の様式でステントフレーム
を形成する。IVCフィルタ200の遠位端210におけるワイヤ要素205は、一緒に
集められ、溶接されるか、又は別の方法で一緒に機械的に拘束されて、遠位端210で閉
じた円錐形状を生成してもよい。直径の範囲が25マイクロメートル~100マイクロメ
ートルであり得る穿孔220を有する移植材料(例えば、PTFE、ポリウレタン、又は
他の好適な材料)の多孔質ベース層215は、少なくとも遠位端210部分に沿ってワイ
ヤ要素205のメッシュ構造に設けられるか、又は別の方法で取り付けられ得る。IVC
フィルタ200の近位端225は、血管内「アンカー」として作用するように十分な膨張
力を及ぼし得る管状構成を含む。
【0022】
特に図7を参照すると、いくつかの実施形態では、IVCフィルタ200の近位端22
5は、送達カテーテル235と共に、下大静脈内のIVCフィルタ200を位置付けるた
めに使用され得るガイドワイヤ230に取り付けられてもよい。ガイドワイヤ230を近
位端225に位置付けることは、多孔質移植材料が、内部大静脈内の血流の方向に対して
適切な位置にあるように、大腿静脈を介してIVCフィルタ200を挿入するのに有用で
あり得る。図8を参照すると、他の実施形態では、IVCフィルタ200の遠位端210
は、代わりにガイドワイヤ230に取り付けられ、内部頸静脈などを介して、下大静脈に
送達されてもよい。両方の実施形態では、IVCフィルタ200は一時フィルタ(IVC
フィルタ200の回収手段として近位ワイヤ又は遠位ワイヤを使用することができる)で
あってもよく、又は代わりに永久IVCフィルタ200であってもよい。IVCフィルタ
200が永久的であるこのような実施形態では、IVCフィルタ200は、IVCフィル
タ200の分離を所望のときに可能にするために、導入ガイドワイヤ230とIVCフィ
ルタ200との間に位置付けられた分離ゾーン240を含んでもよい。代替的には、ガイ
ドワイヤ230は、IVCフィルタ200を覆って回収/再被覆カテーテルを摺動させ、
所望の場合、これを回収してもよい。
【0023】
使用中、溶接ワイヤ要素205から構成されるステント様本体(クローズドセル設計を
有する)は、フィルタを内部大静脈内で自己センタリングさせる。加えて、ベース層21
5の穿孔された移植材料は、血流を収容するか、そうでなければ、肺に到達した場合に、
致命的な肺塞栓を引き起こす可能性がある、骨盤及び/又は下肢から血栓塞栓を捕捉する
ように位置付けられている。このようなIVCフィルタ200は、PTE(pulmon
ary thromboemboli、肺血栓塞栓)が、現在、米国における第3番目に
多い死因であるため、有利であり得る。
【0024】
図9は、頸動脈、冠動脈、バイパス移植血管形成術、及びステントに使用され得るアン
カーフィルタ装置300の例示的な実施形態を示す。図9を参照すると、アンカーフィル
タ装置300は、図7及び図8のIVCフィルタ200を参照して説明したものと同様の
方法で、溶接ワイヤ要素305から作製される同様のステント様スカフォールドと、アン
カーフィルタ装置300の遠位端315に取り付けられた多孔質ベース層310と、を含
む。アンカーフィルタ装置300の近位端320は、ガイドワイヤ325(0.014イ
ンチ~0.018インチの近位作業ワイヤなど)に取り付けられてもよい。ガイドワイヤ
325は、アンカーフィルタ装置300の長さを走ってもよく、アンカーフィルタ装置3
00がマイクロカテーテル335(約3F外径)内で畳み込まれた状態にある間に、狭窄
を過ぎてより正常な遠位動脈セグメント内にナビゲーションに対応するための短い成形可
能なワイヤ延長部330として遠位に出現してもよい。このようなアンカーフィルタ装置
300は、経皮的血管形成術(percutaneous transluminal angioplasty、PTA)から
生じる遠位デブリ塞栓化、及び処置のデブリを濾過することによってアテローム硬化性血
管のステント化を防止するのに役立ち得る。処置が完了すると、アンカーフィルタ装置3
00は、近位ガイドワイヤ325に沿って摺動されたマイクロカテーテル335によって
折り畳まれ、その際、装置300は動脈から除去される。
【0025】
胸部大動脈弓の非常に蛇行した大きな血管解剖学的構造(高齢者及び高血圧など)の場
合、イノミネート又は左の一般的な頸動脈内の近位アクセスは、より硬い(例えば、AL
Z)7-F冠動脈ガイドカテーテルを用いて確立することができ、次いで、2.8F送達
マイクロカテーテルを、0.014インチのワイヤを介して高品位ICA狭窄を通してガ
イドすることができる。次いで、このワイヤを除去し、次いで、上部頸部ICA内に展開
されるアンカーフィルタ装置と交換してもよい。ここで、作業ワイヤを安定化させ、次い
で、二軸又は三軸カテーテルシステムによる胸部弓蛇行解剖学的構造において、より容易
で、より迅速なカテーテル法を可能にし、潜在的に狭窄性冠動脈バイパス移植の血管形成
及びステント中の遠位の凝固塞栓症を防止するのに有用でもあり得る。PTA及びステン
トの終わりにデブリが捕捉されると、フィルタ装置は、作業ワイヤ(PTAバルーンカテ
ーテル及びステント装置を導入するためにも使用された)の上で約2.8Fの回収カテー
テルを前進させ、フィルタを折り畳むことによって、フィルタ装置を再捕捉する。
【0026】
更に他の実施形態では、図10を参照すると、穿孔された移植材料とステント様スカフ
ォールドとの組み合わせを逆又は逆行性フィルタ装置400に使用して、化学療法剤に浸
した塞栓粒子又は少しのY90の無線塞栓粒子を注入するための機構を提供することがで
きる。図10を参照すると、逆行性フィルタ装置400は、装置100、200、300
に関して前述したものと同様の方法で取り付けられた複数のワイヤ要素405を含む、ワ
イヤメッシュスコフィールドを含み得る。加えて、逆行性フィルタ装置400は、逆行性
フィルタ装置400のワイヤメッシュフレームの近位端415の周囲に設けられるか、な
いしは別の方法で取り付けられた穿孔された移植材料(例えば、PTFE又はポリウレタ
ン)のベース層410を更に含む。
【0027】
ワイヤ要素405を含むワイヤメッシュフレームの近位端415は、約0.0114イ
ンチ又は放射性塞栓のための粒子(例えば、バイオスフェア、ポリビニルアルコール粒子
、Y90TheraSphere粒子)の注入を可能にするのに好適な任意の他の内径を
有する可撓性ハイポチューブ420に設けられる。放射性塞栓の場合には、塞栓の動脈内
点からの注入された粒子の逆流により、小腸又は胃を給仕する重要な側副流路(例えば、
右胃動脈-この場合、放射性Y90粒子は、胃粘膜の非治癒性潰瘍を誘導する可能性があ
る)に粒子が流れ込むことを引き起こすことがある。このような問題のある逆流を回避す
るために、ワイヤメッシュステントの近位端415は円錐形状を有し、ベース層410の
移植材料の穿孔425は、概ね、標的血管430内の順行流を可能にするが、注入された
粒子の逆流を可能にせず、近位枝又は側副血管への標的でない塞栓を回避するようなサイ
ズにされる。図10に示すように、ワイヤメッシュステントの遠位端435は、開口して
円筒形状又は管状形状を有してもよく、遠位端435は、ベース層410の移植材料で完
全に覆われているわけではない。したがって、遠位端435は、標的血管の内壁に当接し
、逆行性フィルタ装置400を確実に定位置に維持するように完全に拡張する。
【0028】
図11は、動脈瘤から血流をそらせるために使用され得る一方で、大きい側枝598の
開存性を維持するために十分な血流を維持する、フローダイバージョン装置500の別の
例示的な実施形態を示す(図14を参照)。図11を参照すると、フローダイバージョン
装置500は、図1のフローダイバージョン装置100に関して説明したのと同様の様式
で結合された複数のワイヤ要素505から形成された自己拡張型の部分的なオープンセル
ステントフレーム510を含む。いくつかの実施形態では、フローダイバージョン装置5
00は、ステントフレーム510の近位端525及びの遠位端530の両方において、ワ
イヤ要素505上に放射線不透過性マーカー515、520を含んでもよく、操作者が蛍
光透視法を使用してフローダイバージョン装置500の位置を監視することができる。他
の実施形態では、ワイヤ要素505はまた、放射線不透過性材料を含んでもよく、ステン
トフレーム510の周辺部又は境界部が、挿入及び治療手順中に監視され得るようにする
【0029】
フローダイバージョン装置500は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの
移植材料の極薄ベース層535、又はステントフレーム510の少なくとも一部分を包囲
する他の好適な移植素材を含み、ベース層535は、治療部位への血流の制御を助ける、
そこに形成された複数の穿孔/孔540を含む。好ましくは、ベース層535は、ステン
トフレーム510の実質的に中央部分に位置付けられ、ベース層535のない近位端52
5及び遠位端530を残す。以下で更に詳細に説明されるように、ベース層535は、比
較的小さいサイズの穿孔540により、それを通る血流を阻止又は低減するが、ステント
フレーム510並びに近位端525及び遠位端530の開放は、動脈瘤555の治療部位
に隣接し得る大きな側枝598への血流の増加を可能にする。いくつかの実施形態では、
ベース層535の境界部545の一部分は、放射線不透過性マーカー/材料550を含ん
でもよく、操作者が、特定の治療部位にステントフレーム510を正確に配置することを
可能にし、離れた血流が動脈瘤555から離れるように指向されることを確実にする一方
で、図12図14を参照して以下で更に詳細に説明されるように、動脈瘤555に隣接
する大きな側枝598に十分な血流を指向もする。
【0030】
いくつかの実施形態では、フローダイバージョン装置500は、ガイドワイヤ565に
取り付けられ、ステントフレーム510の遠位端530から前方に延在するアンカーステ
ント560を含み得る。図11を参照すると、アンカーステント560は、ステントフレ
ーム510と構造が類似する概ね管状形状の自己拡張型メッシュ構造である。アンカース
テント560は、ガイドワイヤ565が取り付けられたストラット先端部596に合体す
る複数のコネクタストラット570を含む。いくつかの実施形態では、アンカーステント
560はまた、コネクタストラット570の反対側の端部に放射線不透過性マーカー57
5を含み得る。使用中、アンカーステント560は、動脈瘤555に対して適切な治療が
提供されることを確実にするために、フローダイバージョン装置500を決まった位置に
固定する手段を提供する。
【0031】
図12図14は、動脈瘤555を治療するための標的部位にフローダイバージョン装
置500を送達するための例示的な実施形態を示す。概して図12図14を参照すると
、送達カテーテル580は、動脈瘤555が位置する治療部位を越えて血管585内に前
進する。図12に例示されるように、カテーテル580が所定の位置にあると、フローダ
イバージョン装置500は、カテーテル580を通ってガイドワイヤ590を介して前進
し、フローダイバージョン装置500は、カテーテル580を通って移動するときに圧縮
状態にある。フローダイバージョン装置500がカテーテル580の端部595に到達す
ると、アンカーステント560は、端部595から外向きに延び、血管585の内壁に対
して半径方向に拡張して、図13に示されるようにカテーテル580を安定化させる。ア
ンカーステント560が完全に拡張されると、カテーテル580は、標的部位から離れる
ように後退してもよく、カテーテル580を後退させることにより、フローダイバージョ
ン装置500を非外装する。
【0032】
一実施例の展開プロセスでは、ガイドワイヤ590は、カテーテル580が後退してい
る間に静止して保持され、アンカーステント560は、標的部位での所定の位置において
、フローダイバージョン装置500を保持する助けとなる。図14を参照すると、カテー
テル580が完全に後退すると、フローダイバージョン装置500は標的位置にあり、動
脈瘤555に隣接するベース層535が動脈瘤555から離れるように血液をそらし、動
脈瘤555を経時的に閉塞させる。加えて、先に述べたように、ステントフレーム510
の開放した近位端525及び遠位端530は、動脈瘤555の近くにあり得るより大きい
側枝598への血流の増加を提供し、ベース層535上の穿孔540は、より小さい側枝
598に十分なフローを提供する。
【0033】
治療が完了し、フローダイバージョン装置500が除去の準備ができているとき、フロ
ーダイバージョン装置500は、カテーテル580をステントフレーム510.の近位端
525に向かって前進させることによって再被覆されてもよい。カテーテル580が前方
に移動するにつれて、フローダイバージョン装置500は、カテーテル580内に折り畳
まれる。装置500全体がカテーテル580内に被覆されると、装置500と共にカテー
テル580が除去され得る。
【0034】
図15A図16は、折り畳まれた構成及び拡張構成にある例示的なフローダイバージ
ョン装置を示す。図15Aは、先に考察されたジグザグパターンを有する溶接ワイヤ要素
605から作製された類似のステント様スカフォールドを有するフローダイバージョン装
置600を示す。フローダイバージョン装置600は、PTFEなどの移植材料のベース
層610、又は他の好適な移植素材を更に含み得る。ベース層610は、縫合材料、圧着
、又は接着剤などを介して、任意の好適な手段によってステントフレームに取り付けられ
てもよい。いくつかの実施形態では、ベース層610は、図15Bに示されるように、2
つの層610と620との間に収容されたワイヤステント構造で、外側層620に封止さ
れてもよい。
【0035】
図15B及び図15Cに示されるように、フローダイバージョン装置600は、近位6
55及び遠位660の端部の両方において、放射線不透過性マーカー650を含み得る。
図示した実施形態では、溶接ワイヤ要素605は、近位655及び遠位660の端部のベ
ース層610を越えて延在してもよい。蛍光透視法を使用して、放射線不透過性マーカー
650は、操作者がフローダイバージョン装置600の位置を見ることを可能にし、フロ
ーダイバージョン装置600が血管又は他の管腔の内壁に適切に係合しているかどうかを
判定することを可能にする。他の実施形態では、ワイヤ要素605はまた、放射線不透過
性材料を含んでもよく、ステントフレームの周辺部/境界部が見えるようにする。
【0036】
フローダイバージョン装置600のステント様スカフォールドの拡張は、ベース層61
0内に配置された複数のスリット/窓640によって補助されてもよい。ベース層610
及び外側層620を含む実施形態では、ベース層610上のスリット640及び外側層6
20は互いに位置合わせされてもよい。スリット640は、長手方向に配置されてもよく
、すなわち、フローダイバージョン装置600の長手方向軸と位置合わせされてもよい。
スリット640は、1mm未満の長さを有してもよい。
【0037】
圧縮構成では、スリット640は閉じられ、フローダイバージョン装置600の拡張中
に開かれる。例えば、図16は、拡張構成にあるフローダイバージョン装置600を示し
、スリット640は、菱形又はダイヤモンド形状に拡張されている。拡張スリット640
は、少量の血流がベース層610を通って側枝に向かうのを可能にして、頭蓋内動脈に沿
って頻繁に見られる小さな側枝へのフロー及び長期にわたる開存性を確実にするのを助け
る。しかしながら、大部分の血流は、動脈瘤を通過するようにそらされて、動脈瘤の漸進
的収縮及び閉塞を引き起こす。スリット/窓640は、レーザエネルギーを使用すること
によって、又は任意の他の好適な手段によって機械的に生成されてもよい。スリット64
0のサイズ及び形状は、大きすぎてベース層610の構造的完全性を損なうことなく、「
必要に応じて」増加した貫通フローを促進するように設計されてもよい(例えば、孔は、
パテント側枝へのより大きなフローを可能にするが、動脈瘤へのフローをより少なくする
)。
【0038】
先に考察されたように、フローダイバージョン装置は、スカフォールド(例えば、溶接
ワイヤ要素605)をその間に有する、移植材料の内側層(例えば、ベース層610)及
び外側層(例えば、外側層620)を含み得る。長手方向スリット640は、移植材料の
内側層及び外側層上で一致してもよい。フローダイバージョン装置600はまた、長手方
向スリットを有するステントに取り付けられた単一のベース層であってもよい。
【0039】
ダイヤモンド形状(又は偏菱形状)の窓に拡張する直線スリットに加えて、拡張可能な
スリットは、様々な異なる形状で製造されてもよい。図17A図17Cは、代替的なス
リット設計を示す。例えば、図17Aは、拡張構成で拡張した砂時計形状の窓にまで拡張
する、折り畳まれた構成で対向するY字形スリットを有するスリット640’を示す。図
17Bは、拡張構成で砂時計形状の窓にまで拡張する、折り畳まれた構成でX字形スリッ
トを有するスリット640’’を示す。図17Cは、拡張構成でV字形の窓にまで拡張す
る、折り畳まれた構成でY字形スリットを有するスリット640’’’を示す。
【0040】
図18A図18B及び図19は、動脈内の分岐点、例えば脳動脈で発生する動脈瘤7
50のためのフローダイバージョンを適用するように構成されたフローダイバージョン装
置700の例示的な実施形態を示す。図18Aは、例示的な分岐点760を示す。図18
Bは、スカフォールドステント705の中央部分に隆起部又はバレル様セグメント710
を含むスカフォールドステント705を有するフローダイバージョン装置700を示す。
フローダイバージョン装置700は、動脈瘤腔750への入口を完全に覆うことができる
。隆起部710は、分岐点760で血管管腔に必要とされるより大きな寸法に拡張するこ
とができる。図19は、分岐点760において血管770内に配置されたフローダイバー
ジョン装置700を示す。フローダイバージョン装置700は、動脈瘤750を収縮させ
、ある期間にわたって閉塞させる。フローダイバージョン装置は、図15A図17C
関連して考察されたスリットに類似する複数のスリット/窓740を含み得る。拡張した
フローダイバージョン装置700のスリット/窓740は、側枝780への血流を可能に
し得る。
【0041】
図20A図20Dは、分岐点の広口動脈瘤のフローダイバージョン装置の実施形態を
示す。図20A図20Dのフローダイバージョン装置は、脳動脈などの動脈分岐点に適
用されてもよい。図20Aは、近位リム801及び2つの遠位リム802及び803を有
するY字形であり得るフローダイバージョン装置800を示す。Y字形のフローダイバー
ジョン装置800は、複数のワイヤ要素805を有する編組ワイヤ装置の形態であっても
よい。Y構造体の編組ワイヤ設計は、分岐点動脈瘤内でのフローの淀みを生じさせるのに
十分小さいが、側枝及び穿孔パテントを維持するのに十分なフローのみを可能にする、0
.5mm未満のセル直径を有する無数の細い閉じたワイヤセルを有する自己拡張型で織り
合わせられたニチノールワイヤ設計であってもよい。ワイヤ要素805は、約75%のク
ロム-コバルト合金及び25%の白金-タングステン合金ワイヤを有する直径0.000
8~0.0017インチで製造され得る。各リム801、802及び803は各々、48
~60本のワイヤを有してもよい。フローダイバージョン装置800のリム802及び8
03のうちの2つは、広口の嚢状動脈瘤の下から遠位分岐血管内へと延在してもよい(図
21A~図21Cを参照)。フローダイバージョン装置800の近位リム801は、分岐
点動脈瘤の近位親血管内に、フローダイバージョン装置800を固定してもよい。Y字形
のフローダイバージョン装置800は、自己拡張型であってもよい。
【0042】
図20B図20Dは、(例えば、ニチノールから作製され、約0.001インチのワ
イヤ直径を有する)ジグザグ状の自己拡張型ワイヤステントを形成する複数のワイヤ要素
805’を備えるY字形のフローダイバージョン装置800’を示す。複数のワイヤ80
5’は、PTFEの超薄型分岐管状層のためのスカフォールドとして機能し得る。図20
Cは、折り畳まれた構成のY字形のフローダイバージョン装置800’を示す。フローダ
イバージョン装置800’は、超薄型分岐状管状層810’内に配置された複数の薄いス
リット/窓840’を含み得る。図20Dは、フローダイバージョン装置800’が完全
に拡張されると、スリット840’が、PTFE層810’内にダイヤモンド形状の窓を
生成し得るように、拡張構成にあるY字形のフローダイバージョン装置800’を示す。
これらのスリット/窓840’(直径0.5mm未満)は、低く、最終的な閉塞の淀みを
生成するために、動脈瘤腔に十分なフロー制限を生成し得る。いくつかの実施形態では、
Y字形のフローダイバージョン装置は、バルーンによって拡張されてもよく、例えば、装
置は、バルーンが拡張されたときに、フローダイバージョンを促進するのに十分小さいワ
イヤのジグザグの間に無数の微小隙間を生成する、複数のジグザグワイヤリング要素から
構成され得る。遠位フローダイバータリムは、近位バルーン拡張型ステントを圧着するこ
とができる単一のバルーンカテーテルに近位に合体する、別個の超小型プロファイルバル
ーンカテーテルに圧着されてもよい。2つの遠位バルーン拡張可能なリムは、分岐点を構
成する動脈リム内に別個の0.014インチのガイドワイヤを越えて前進してもよい。所
定の位置にあると、3つのステントリムの全てがバルーン拡張されてもよい。このような
バルーン拡張可能なY字形のフローダイバータはまた、側枝及び穿通枝の開存性を維持し
ながら、フローダイバージョンを形成するようにも作用し得る窓付き超薄型PTFE管状
層で設けられてもよい。
【0043】
図21A図21Cは、Y字形のフローダイバージョン装置900で分岐点動脈瘤を収
縮させるプロセスを示す。図21Aは、血管970の分岐点960に位置する動脈瘤95
0を示す。図21Bは、分岐点960で展開及び拡張されたフローダイバージョン装置9
00を示す。フローダイバージョン装置900は、動脈瘤950への血流を停滞させるが
、側枝980の開存性を維持し得る。6ヶ月などのある期間後、動脈瘤950は、図21
Cに示されるように収縮し得る。
【0044】
このようなY字形のフローダイバージョン装置の使用の一例は、前大脳動脈のA2セグ
メント、内部前頭枝の起点、及び脳梁周動脈の間の接合部での広口の動脈瘤であってもよ
い。2つの遠位フローダイバータリムが、内部前頭枝及び脳梁周動脈の起点に位置付けら
れると、近位リムは、A2セグメント内に展開される。フローダイバージョンは、動脈瘤
腔(デッドエンドサック)内のフロー淀み、及びこの構造の最終的な複雑性につながるこ
とがある。Y字形のフローダイバージョン装置の使用が有用であり得る他の例は、ICA
末端広口動脈瘤のベース先端部であり得る。
【0045】
いくつかの実施形態では、フローダイバージョン装置は、図22A図22Dに示され
るように、剥離Y字形シース1000を介して展開部位へと前進してもよい。Y字形シー
ス1000は、近位リム1001及び2つの遠位リム1002及び1003を含み得る。
Y字形シース1000は、シース1000の「Y」の股部1004で交わる、その遠位リ
ム1002及び1003の内側表面に沿って、スコア線1005を更に有してもよい。Y
字形シース1000の股部1004は、小孔又は窓1006を更に含む。図22Bは、動
脈瘤1050を治療するために容器の分岐点1060に挿入されているY字形シース10
00を示す。Y字形シース1000は、ガイドワイヤ1020及び1030の使用を通し
て分岐点1060に展開されてもよい。図22Cは、フローダイバージョン装置1100
を展開するために、カテーテル1010内に後退して、除去されているY字形シース10
00を示す。スコア線1005は、シース1000がカテーテル1010内へ近位方向に
引き抜かれるときに分離又は引き裂かれる。いくつかの実施形態では、スコア線1005
は、電解機構による分離で支援され得る。Y字形のシース1000がカテーテル1010
内に引き込まれると、フローダイバージョン装置1100は、動脈瘤1050を治療する
ために分岐点1060において決まった位置に残されてもよい。
【0046】
あるいは、自己拡張型Y構造体フローダイバージョン装置1300は、図23A図2
3Dに示されるように、螺旋収容ストランドシステム1200を介して分岐点動脈瘤12
50に導入され得る。螺旋収容ストランドシステム1200は、送達カテーテル1240
内に収容されてもよく、プッシャカテーテル1230を使用して、フローダイバージョン
装置1300及び螺旋収容ストランドシステム1200を展開するのを助けることができ
る。螺旋収容ストランドシステム1200は、複数のガイドワイヤ1204及び1205
を含み得る。フローダイバージョン装置1300は、ガイドワイヤ1204及び1205
の上を前進してもよい。螺旋収容ストランドシステム1200は、ポリビニルアルコール
(polyvinyl alcohol、PVA)、ナイロン、又はテフロンなどから作製された可撓性ハ
イポチューブ又は螺旋収容バンド1210及び1220を含み得る。螺旋収容バンド12
10及び1220は、図23Aに示されるように、折り畳み構成又は薄型状態でフローダ
イバージョン装置1300を拘束するために、Y構造体のフローダイバージョン装置13
00の周囲に巻き付けられることができ、図23Aに示されるように、展開位置へと前進
することを許容する。第1の螺旋収容バンド1210は、近位シースリム1201の周囲
及び遠位シースリム1202の周囲に巻き付けられてもよい。第2の螺旋収容バンド12
20は、近位シースリム1201の周囲及び遠位シースリム1203の周囲に巻き付けら
れてもよい。薄い螺旋収容バンド1210及び1220の遠位端は、自己拡張型のY構造
体のフローダイバージョン装置1300を抑制する遠位収容止め部(オリーブ)1214
及び1224にそれぞれ結合された、遠位収容リング1212及び1222を含み得る。
遠位収容リング1212及び1222は、フローダイバージョン装置1300を包囲する
リング形状を有してもよい。遠位収容停止部1214及び1224は、遠位収容停止部が
ガイドワイヤ1204及び1205に結合され得る管腔を含み得る。図23Bに示すよう
に、遠位収容停止部1214及び1224は、電気分解又は機械的分離のいずれかによっ
て、遠位収容リング1212及び1222から分離されてもよい。遠位収容リング121
2及び1222と遠位収容停止部1214及び1224との間の分離後、螺旋収容バンド
1210及び1220は、Y構造体のフローダイバージョン装置1300から近位に配向
された方向に引っぱりとられて、Y構造体のフローダイバージョン装置1300が、図2
3Cに示されるように拡張することを可能にする。螺旋収容バンド1210及び1220
は、近位に配向された方向に引っぱりとられ得る一方で、遠位収容リング1212及び1
222は、遠位収容リング1212及び1222がY構造体の股部1306に到達すると
きに、所定の軸方向シーム1213及び1223に沿って開放又は破断してもよい。図2
3Dは、展開又は拡張構成のY構造体のフローダイバージョン装置1300を示す。
【0047】
いくつかの実施形態では、展開前に、患者は、経口アスピリン及びPlavix又は別
の好適な抗血小板薬物レジメンで治療されてもよく、処置中にヘパリン化されてもよい。
挿入処置は、分岐点動脈瘤のすぐ近位の親血管内に前進する中間サイズの送達カテーテル
(4~4.5F、外径)で開始することができる。次に、0.014インチ直径の交換ガ
イドワイヤが分岐点の遠位動脈リム内に漸進することができる。これらの交換ガイドワイ
ヤの上で、分岐点フローダイバージョン装置(その様々な反復)は、分岐点動脈瘤のオス
テウムに隣接する十分な位置になるまで、中間カテーテルを通って前進する。次いで、装
置を展開し、その送達カテーテルを除去する。その後、患者は、抗血小板薬物レジメン、
例えば、アスピリン及びクロピドグレル又はPrasugrelで維持される。患者は、
動脈瘤閉塞を評価するために、6ヶ月の脳血管造影を受けることがある。
【0048】
編組又は織布ワイヤ又は無数のジグザグワイヤリングから作製された自己又はバルーン
拡張可能なY字形のフローダイバージョン装置はまた、胆管系、気管(気管分岐部)の分
岐点、腫瘍の部位などの他の位置おいて有用であり得る。Y字形のフローダイバージョン
装置は、Yttriumでコーティングされ、次いで、ベータ放出同位体Y90が生成さ
れる核反応器又は他の高エネルギー粒子環境内に配置されてもよい。このようなY構造体
を使用して、胆道閉塞物の両方(例えば、胆管癌による)と、β線を有する腫瘍細胞を死
滅させるために使用され得る。Y90で含浸された分岐点血管ステントは、β放射線を使
用したステント内狭窄の発達と闘うのに有用であり得る。
【0049】
図24は、複数のワイヤ要素1405を含むステント様装置であり、各個々のワイヤ要
素1405が卵形リングパターンに成形され、他の卵形リングパターンと相互に織り合さ
れた、ステント様装置であるフローダイバージョン装置1400の一実施形態を示す。各
個々のワイヤ要素1405は、結合位置1410において隣接するワイヤ要素1405に
結合又は溶接されて、概ね管状のステント構造を形成してもよい。図24に示される卵形
リング構造は、前に考察されたY構造体フローダイバージョン装置において意図される可
撓性に有益であり得る。
【0050】
本明細書のいずれか一部分で開示された主題は、本明細書の1つ以上の他の部分の主題
と組み合わせられ得、これは、かかる組み合わせが互いに排他的又は実施不可能でない限
り、意図されるものである。加えて、本明細書に説明された概念の多くの変形、改善、及
び修正が可能である。
【0051】
上記で使用された用語及び記載は、単に例示として記載され、限定を意味するものでは
ない。当業者は、多くの変形が、本発明の基礎をなす原理から逸脱することなく、上記の
実施形態の詳細に対してなされ得ることを認識するであろう。
図1
図1A
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図15C
図16
図17A
図17B
図17C
図18A
図18B
図19
図20A
図20B
図20C
図20D
図21A
図21B
図21C
図22A
図22B
図22C
図22D
図23A
図23B
図23C
図23D
図24
【手続補正書】
【提出日】2023-12-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分岐フローダイバージョン装置であって、
複数のワイヤ要素から形成された織り合わされたワイヤステントフレームであって、織り合わされたワイヤステントフレームがY字形の構成を有し、前記Y字形の構成が、剥離Y字形シースにより被覆されてなり、前記剥離Y字形シースは、2つの遠位シースリムと、近位シースリムとを備え、前記2つの遠位シースリムは、内側表面に沿ってそれぞれスコア線を有しており、前記スコア線は前記剥離Y字形シースの股部にて交わり、前記スコア線は、前記剥離Y字形シースが前記近位シースリム方向に向けて引き抜かれる際に分離可能に構成されてなり、前記剥離Y字形シースの股部は、小孔又は窓を更に含む、織り合わされたワイヤステントフレームを備える、分岐フローダイバージョン装置。
【請求項2】
前記複数のワイヤ要素が、拡張構成で菱形の隙間を形成する、請求項1に記載の分岐フローダイバージョン装置。
【請求項3】
前記複数のワイヤ要素の直径が、0.0127cm以下である、請求項1に記載の分岐フローダイバージョン装置。
【請求項4】
前記ワイヤステントフレームの前記近位シースリムおよび前記少なくとも2つの遠位シースリムの各々のための前記複数のワイヤ要素が、48~60本のワイヤを含む、請求項1に記載の分岐フローダイバージョン装置。
【請求項5】
前記ワイヤステントフレームが、ニチノールから製造される、請求項1に記載の分岐フローダイバージョン装置。
【外国語明細書】