(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000236
(43)【公開日】2024-01-05
(54)【発明の名称】認知機能検査装置及び認知機能検査プログラム
(51)【国際特許分類】
G09B 19/00 20060101AFI20231225BHJP
G09B 7/02 20060101ALI20231225BHJP
【FI】
G09B19/00 G
G09B7/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098910
(22)【出願日】2022-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】503246015
【氏名又は名称】オムロンヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥川 美貴
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 悠加
(72)【発明者】
【氏名】小林 秀行
【テーマコード(参考)】
2C028
【Fターム(参考)】
2C028BA02
2C028BA03
2C028BB01
2C028BB04
2C028BC01
2C028BC02
2C028BC03
2C028BC05
2C028BD01
(57)【要約】
【課題】検査精度を向上させることが可能な認知機能検査装置及び認知機能検査プログラムを提供する。
【解決手段】本発明の一側面に係る認知機能検査装置は、記憶対象の記憶対象単語を受検者に出力し、記憶対象単語の復唱を受検者に促し、受検者の復唱音声から復唱単語を検出する出題処理と、出題処理によって受検者が記憶した単語の発声を受検者に促し、受検者の発声音声から記憶発声単語を検出する解答受付処理と、記憶対象単語、復唱単語、及び記憶発声単語に基づく判定の結果を出力する結果出力処理と、を実行するプロセッサを備えるものである。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶対象の第1単語を受検者に出力し、前記第1単語の復唱を前記受検者に促し、前記受検者の復唱音声から第2単語を検出する出題処理と、
前記出題処理によって前記受検者が記憶した単語の発声を前記受検者に促し、前記受検者の発声音声から第3単語を検出する解答受付処理と、
前記第1単語、前記第2単語、及び前記第3単語に基づく判定の結果を出力する結果出力処理と、
を実行する制御部を備える認知機能検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の認知機能検査装置であって、
前記制御部は、前記判定において、前記第3単語が前記第1単語と一致している場合に正解と判定する、
認知機能検査装置。
【請求項3】
請求項1に記載の認知機能検査装置であって、
前記制御部は、前記判定において、前記第3単語が前記第2単語と一致している場合に正解と判定する、
認知機能検査装置。
【請求項4】
請求項3に記載の認知機能検査装置であって、
前記制御部は、前記出題処理において、検出した前記第2単語が前記第1単語と異なる場合に前記第1単語の再復唱を前記受検者に促し、前記受検者の再復唱音声から前記第2単語を検出した場合、前記判定において、前記第3単語が前記第2単語と一致している場合に正解と判定する、
認知機能検査装置。
【請求項5】
請求項4に記載の認知機能検査装置であって、
前記制御部は、前記受検者の再復唱音声から前記第2単語を検出しなかった場合、前記判定において、前記第3単語が前記第2単語と一致している場合に正解と判定しない、
認知機能検査装置。
【請求項6】
請求項1に記載の認知機能検査装置であって、
前記制御部は、
複数の前記第1単語について順次、前記出題処理を実行し、
複数回の前記出題処理において、第1の出題処理において検出した前記第2単語に基づいて、前記第1の出題処理より後の第2の出題処理における前記第1単語を選択する、
認知機能検査装置。
【請求項7】
請求項6に記載の認知機能検査装置であって、
前記制御部は、前記第2の出題処理における前記第1単語を、前記第1の出題処理において検出した前記第2単語とは異なる単語の中から選択する、
認知機能検査装置。
【請求項8】
請求項6に記載の認知機能検査装置であって、
複数回の前記出題処理における前記第1単語は予め設定されており、
前記制御部は、前記第2の出題処理における前記第1単語を、前記第1の出題処理において検出した前記第2単語とは異なり、かつ前記第2の出題処理について予め設定された前記第1単語と同じカテゴリの単語に変更する、
認知機能検査装置。
【請求項9】
請求項6に記載の認知機能検査装置であって、
前記制御部は、前記第1の出題処理において検出した前記第2単語が前記第1単語と異なる場合、前記第2の出題処理における前記第1単語を、複数の単語候補の中から、前記単語候補の文字数に基づいて選択する、
認知機能検査装置。
【請求項10】
請求項1に記載の認知機能検査装置であって、
前記制御部は、
過去の検査における前記第2単語の検出結果に基づく履歴情報を前記受検者と対応付けて記憶し、
前記出題処理における前記第1単語を前記履歴情報に基づいて選択する、
認知機能検査装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載の認知機能検査装置であって、
前記制御部は、前記出題処理と前記解答受付処理の間において、前記受検者の認知に負荷をかけるコンテンツを再生するトレーニング処理を実行する、
認知機能検査装置。
【請求項12】
認知機能検査装置のプロセッサに、
記憶対象の第1単語を受検者に出力し、前記第1単語の復唱を前記受検者に促し、前記受検者の復唱音声から第2単語を検出する出題処理と、
前記出題処理によって前記受検者が記憶した単語の発声を前記受検者に促し、前記受検者の発声音声から第3単語を検出する解答受付処理と、
前記第1単語、前記第2単語、及び前記第3単語に基づく判定の結果を出力する結果出力処理と、
を実行させるための認知機能検査プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、認知機能検査装置及び認知機能検査プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タッチパネルに表示した複数の絵を受験者に記憶させ、記憶した絵を回答欄に回答させる認知機能検査システムが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の認知機能検査システムにおいては、タッチパネルに問題で用いる絵を1画面に4つずつ表示し、受験者が4つの絵を覚えた場合に「覚えました」と発話させる。そして、これを繰り返し受験者に合計16の絵を記憶させる。次に、16個の絵に対応する1~16の回答欄をタッチパネルに表示し、回答欄に覚えた16の絵が何の絵であったかの回答を順番に手書きで記入させる。
【0005】
しかしながら、特許文献1の検査の場合、受験者が表示された絵(単語)を発音しているのではなく、「覚えました」と発話しているだけであるため、正しく覚えたかどうかは確認できていない。また、覚えた絵を手書きで回答させているため、受験者にとって手書きの入力が煩わしく、回答を完了するまでに時間がかかる。したがって、従来技術における認知機能の検査には改善の余地がある。
【0006】
本発明は、一側面では、このような実情を鑑みてなされたものであり、その目的は、検査精度を向上させることが可能な認知機能検査装置及び認知機能検査プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を採用する。
【0008】
(1)
記憶対象の第1単語を受検者に出力し、前記第1単語の復唱を前記受検者に促し、前記受検者の復唱音声から第2単語を検出する出題処理と、
前記出題処理によって前記受検者が記憶した単語の発声を前記受検者に促し、前記受検者の発声音声から第3単語を検出する解答受付処理と、
前記第1単語、前記第2単語、及び前記第3単語に基づく判定の結果を出力する結果出力処理と、
を実行する制御部を備える認知機能検査装置。
【0009】
(1)によれば、出題した記憶対象の第1単語と受検者の発声音声から検出された第3単語だけでなく受検者の復唱音声から検出された第2単語を加えた第1単語から第3単語に基づいて認知機能の検査結果を出力することができるので検査精度が向上する。
【0010】
(2)
(1)に記載の認知機能検査装置であって、
前記制御部は、前記判定において、前記第3単語が前記第1単語と一致している場合に正解と判定する、
認知機能検査装置。
【0011】
(2)によれば、出題した記憶対象の第1単語と受検者の発声音声から検出された第3単語とに基づいて判定することで精度よく検査できる。
【0012】
(3)
(1)又は(2)に記載の認知機能検査装置であって、
前記制御部は、前記判定において、前記第3単語が前記第2単語と一致している場合に正解と判定する、
認知機能検査装置。
【0013】
(3)によれば、受検者の発声音声から検出された第3単語が受検者の復唱音声から検出された第2単語と一致する場合も正解とすることにより、さらに検査精度が向上する。
【0014】
(4)
(3)に記載の認知機能検査装置であって、
前記制御部は、前記出題処理において、検出した前記第2単語が前記第1単語と異なる場合に前記第1単語の再復唱を前記受検者に促し、前記受検者の再復唱音声から前記第2単語を検出した場合、前記判定において、前記第3単語が前記第2単語と一致している場合に正解と判定する、
認知機能検査装置。
【0015】
(4)によれば、受検者の復唱音声から検出された第2単語が出題した記憶対象の第1単語と一致しなくても、受検者の再復唱音声から検出された単語が受検者の復唱音声から検出された第2単語と一致する場合には、受検者の発声音声から検出された第3単語が受検者の復唱音声から検出された第2単語と一致するときには正解と判定するので検査精度が向上する。
【0016】
(5)
(4)に記載の認知機能検査装置であって、
前記制御部は、前記受検者の再復唱音声から前記第2単語を検出しなかった場合、前記判定において、前記第3単語が前記第2単語と一致している場合に正解と判定しない、
認知機能検査装置。
【0017】
(5)によれば、受検者の復唱音声から検出された第2単語が出題した記憶対象の第1単語と一致せず、受検者の再復唱音声から検出された単語が受検者の復唱音声から検出された第2単語と一致しない場合には、受検者の発声音声から検出された第3単語が受検者の復唱音声から検出された第2単語と一致しても正解と判定しないので検査精度を維持できる。
【0018】
(6)
(1)から(5)のいずれかに記載の認知機能検査装置であって、
前記制御部は、
複数の前記第1単語について順次、前記出題処理を実行し、
複数回の前記出題処理において、第1の出題処理において検出した前記第2単語に基づいて、前記第1の出題処理より後の第2の出題処理における前記第1単語を選択する、
認知機能検査装置。
【0019】
(6)によれば、第2の出題処理における第1単語の選択を第2の出題処理よりも前の第1の出題処理において検出した第2単語に基づいて選択するので、検査精度が向上する。
【0020】
(7)
(6)に記載の認知機能検査装置であって、
前記制御部は、前記第2の出題処理における前記第1単語を、前記第1の出題処理において検出した前記第2単語とは異なる単語の中から選択する、
認知機能検査装置。
【0021】
(7)によれば、第2の出題処理において出題される第1単語として第1の出題処理において出題された第1単語とは異なる単語を選択するので、検査精度が向上する。
【0022】
(8)
(6)又は(7)に記載の認知機能検査装置であって、
複数回の前記出題処理における前記第1単語は予め設定されており、
前記制御部は、前記第2の出題処理における前記第1単語を、前記第1の出題処理において検出した前記第2単語とは異なり、かつ前記第2の出題処理について予め設定された前記第1単語と同じカテゴリの単語に変更する、
認知機能検査装置。
【0023】
(8)によれば、第2の出題処理において出題される第1単語として第1の出題処理において出題された第1単語とは異なる単語を選択する際に、第2の出題処理のために予め設定されていた第1単語と同じカテゴリの単語に変更されるので、検査精度が向上する。
【0024】
(9)
(6)から(8)のいずれかに記載の認知機能検査装置であって、
前記制御部は、前記第1の出題処理において検出した前記第2単語が前記第1単語と異なる場合、前記第2の出題処理における前記第1単語を、複数の単語候補の中から、前記単語候補の文字数に基づいて選択する、
認知機能検査装置。
【0025】
(9)によれば、第1の出題処理において検出した第2単語が第1単語と異なる場合に、第2の出題処理における第1単語として文字数を考慮した単語を選択するので、受検者が第1単語を認識しやすくなり、検査精度が向上する。
【0026】
(10)
(1)から(9)のいずれかに記載の認知機能検査装置であって、
前記制御部は、
過去の検査における前記第2単語の検出結果に基づく履歴情報を前記受検者と対応付けて記憶し、
前記出題処理における前記第1単語を前記履歴情報に基づいて選択する、
認知機能検査装置。
【0027】
(10)によれば、受検者ごとに対応付けた履歴情報に基づいて出題処理における第1単語を選択するので、さらに適切な出題が可能になり検査精度が向上する。
【0028】
(11)
(1)から(10)のいずれかに記載の認知機能検査装置であって、
前記制御部は、前記出題処理と前記解答受付処理の間において、前記受検者の認知に負荷をかけるコンテンツを再生するトレーニング処理を実行する、
認知機能検査装置。
【0029】
(11)によれば、出題処理と解答受付処理の間にトレーニング処理を実行することにより、さらに検査精度が向上する。認知に負荷をかけるトレーニング処理は、受検者に対して能動的タスクを実施させるコンテンツを再生する処理である。能動的タスクを行わせるコンテンツは、例えば、アンケート、クイズ、ゲーム等のコンテンツである。
【0030】
(12)
認知機能検査装置のプロセッサに、
記憶対象の第1単語を受検者に出力し、前記第1単語の復唱を前記受検者に促し、前記受検者の復唱音声から第2単語を検出する出題処理と、
前記出題処理によって前記受検者が記憶した単語の発声を前記受検者に促し、前記受検者の発声音声から第3単語を検出する解答受付処理と、
前記第1単語、前記第2単語、及び前記第3単語に基づく判定の結果を出力する結果出力処理と、
を実行させるための認知機能検査プログラム。
【0031】
(12)によれば、出題した記憶対象の第1単語と受検者の発声音声から検出された第3単語だけでなく受検者の復唱音声から検出された第2単語を加えた第1単語から第3単語に基づいて認知機能の検査結果を出力することができるので検査精度が向上する。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、検査精度を向上させることが可能な認知機能検査装置及び認知機能検査プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の認知機能検査装置を構成する情報端末10の一例を示す図である。
【
図2】情報端末10のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】認知機能検査の全体の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図4】認知機能検査の出題処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】認知機能検査の出題処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】記憶対象単語が設定された出題リストの一例を示す図である。
【
図7】出題処理において表示される記憶対象画像の一例を示す図である。
【
図8】出題処理において記憶対象の復唱を促す画像の一例を示す図である。
【
図9】出題処理において記憶対象の再復唱を促す画像の一例を示す図である。
【
図10】正解単語が設定された正解リストの一例を示す図である。
【
図11】トレーニング処理において表示される画像の一例を示す図である。
【
図12】解答受付処理の開始時に表示される画像の一例を示す図である。
【
図13】解答受付処理において表示される解答受付画像の一例を示す図である。
【
図14】解答受付処理において表示される解答判定画像の一例を示す図である。
【
図15】結果出力処理において表示される画像の一例を示す図である。
【
図16】出題処理の変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の一側面に係る実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0035】
§1 適用例
<本発明を適用した情報端末10>
図1は、本発明の認知機能検査装置1を構成する情報端末10の一例を示す図である。情報端末10は、認知機能検査を行う際の検査情報が表示される表示画面11を備える。情報端末10は、例えば、スマートフォンあるいはタブレット等の端末である。表示画面11は、検査情報を入力可能なタッチパネルとしても機能する。また、情報端末10は、検査情報を音声で出力するスピーカ(不図示)を備える。
【0036】
§2 構成例
<認知機能検査装置1のハードウェア構成>
図2は、認知機能検査装置1のハードウェア構成の一例を示す図である。認知機能検査装置1のハードウェアは、例えば、
図2に示す情報処理装置20により実現することができる。情報処理装置20は、プロセッサ21と、メモリ22と、通信インタフェース23と、ユーザインタフェース24と、を備える。プロセッサ21、メモリ22、通信インタフェース23、及びユーザインタフェース24は、例えば、バス25によって接続される。
【0037】
プロセッサ21は、信号処理を行う回路であり、例えば、情報処理装置20の全体の制御を司るCPU(Central Processing Unit)である。プロセッサ21は、本発明の制御部の一例である。なお、プロセッサ21は、FPGA(Field Programmable Gate Array)やDSP(Digital Signal Processor)などの他のデジタル回路により実現されてもよい。また、プロセッサ21は、複数のデジタル回路を組み合わせて実現されてもよい。
【0038】
メモリ22には、例えば、メインメモリ及び補助メモリが含まれる。メインメモリは、例えばRAM(Random Access Memory)である。メインメモリは、プロセッサ21のワークエリアとして使用される。
【0039】
補助メモリは、例えば、磁気ディスク、光ディスク、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリである。補助メモリには、情報処理装置20を動作させる各種のプログラムが記憶されている。補助メモリに記憶されたプログラムは、メインメモリにロードされてプロセッサ21によって実行される。
【0040】
また、補助メモリは、情報処理装置20から取り外し可能な可搬型のメモリを含んでもよい。可搬型のメモリには、USB(Universal Serial Bus)フラッシュドライブやSD(Secure Digital)メモリカードなどのメモリカードや、外付けハードディスクドライブなどがある。
【0041】
通信インタフェース23は、情報処理装置20の外部(例えば、外部サーバ)との間でネットワーク通信を行う通信インタフェースである。通信インタフェース23は、プロセッサ21によって制御される。
【0042】
ユーザインタフェース24は、例えば、認知機能検査を受ける受検者からの操作入力を受け付ける入力デバイスや、受検者へ情報を出力する出力デバイスなどを含む。入力デバイスは、例えば、タッチパネルなどにより実現することができる。出力デバイスは、例えば、ディスプレイやスピーカなどにより実現することができる。ユーザインタフェース24は、プロセッサ21によって制御される。
【0043】
例えば、プロセッサ21は、認知機能の検査において、受検者に記憶させる対象の単語である「記憶対象単語」を出題する出題処理と、受検者が発声する音声から「記憶発声単語」を検出する解答受付処理と、認知機能検査の結果を出力する結果出力処理と、を実行する。また、プロセッサ21は、出題処理と解答受付処理との間に、例えば、トレーニング処理を実行してもよい。
【0044】
<出題処理>
プロセッサ21は、出題処理において、「記憶対象単語」を受検者に出力する。例えば、プロセッサ21は、記憶対象単語を情報端末10の表示画面11を介して画像再生する。また、例えば、プロセッサ21は、記憶対象単語を情報端末10のスピーカを介して音声出力したり、表示画面11を介してテキスト表示したりする。出力される記憶対象単語は、画像情報、音声情報、及びテキスト情報としてメモリ22に記憶されている。プロセッサ21は、記憶対象単語を出力して、受検者に記憶対象単語の復唱を促す。プロセッサ21は、受検者が復唱する音声を認識して復唱音声から「復唱単語」を検出する。
【0045】
プロセッサ21は、受検者の復唱音声から検出した復唱単語が受検者に出力した記憶対象単語と異なる場合に、受検者に記憶対象単語の再復唱を促す。プロセッサ21は、受検者が再復唱する音声を認識して再復唱音声から「再復唱単語」を検出する。
【0046】
プロセッサ21は、上述した一連の出題処理を複数の記憶対象単語について順次実行する。プロセッサ21は、この複数回の出題処理において、先の出題処理において検出した復唱単語に基づいて、その出題処理より後の出題処理の記憶対象単語を選択する。
【0047】
例えば、プロセッサ21は、後の出題処理における記憶対象単語を、先の出題処理において検出した復唱単語とは異なる単語の中から選択する。具体的には、先の出題処理において記憶対象単語として「ネクタイ」を出題したところ、受検者の復唱音声から「肉体」という復唱単語が検出されたとする。この場合には、後の出題処理において出題する記憶対象単語は重複しないように「肉体」とは異なる単語を選択する。
【0048】
また、例えば、プロセッサ21は、後の出題処理における記憶対象単語を、先の出題処理において検出した復唱単語とは異なり、かつ後の出題処理について予め設定されている記憶対象単語と同じカテゴリの単語に変更する。具体的には、複数回の出題処理における記憶対象単語が予め設定されており、先の出題処理において記憶対象単語として「リモコン」を出題したところ、受検者の復唱音声から「リンカーン」という復唱単語が検出され、予め設定されている記憶対象単語の中に「リンカーン」という単語が含まれていたとする。この場合には、後の出題処理において出題する記憶対象単語は「リンカーン」とは異なる単語であって、かつ「リンカーン」と同じカテゴリである人名に変更する。
【0049】
また、例えば、プロセッサ21は、先の出題処理において検出した復唱単語が記憶対象単語と異なる場合、後の出題処理における記憶対象単語を、予め用意されている複数の単語候補の中から、単語候補の文字数に基づいて選択する。具体的には、先の出題処理において記憶対象単語として「ネクタイ」を出題したところ、受検者の復唱音声から「肉体」という復唱単語が検出されたとする。この場合には、この受検者が復唱する音声は音声認識側にとって誤認識しやすい音声であると判定し、単語候補の中から誤認識が生じにくい、例えば、文字数が多い単語を後の出題処理における記憶対象単語として選択する。
【0050】
また、例えば、プロセッサ21は、過去の認知機能検査における復唱単語の検出結果に基づく履歴情報をその受検者と対応付けてメモリ22に記憶する。プロセッサ21は、出題処理における記憶対象単語を記憶されている履歴情報に基づいて選択する。具体的には、先の出題処理において記憶対象単語として「ネクタイ」を出題したところ、受検者の復唱音声から「肉体」という復唱単語が検出されたとする。この場合、プロセッサ21は、この受検者が「ネクタイ」という単語を発音することが苦手であると判定し、この受検者へ出題する記憶対象単語の候補から「ネクタイ」という単語を外す。
【0051】
<解答受付処理>
プロセッサ21は、出題処理の実行において、受検者が復唱することによって記憶した単語の発声を受検者に促す。ただし、解答受付処理の期間中は、受検者に対して記憶対象単語に関する情報は出力されていない状態である。プロセッサ21は、受検者が発声する音声を認識して発声音声から「記憶発声単語」を検出する。
【0052】
<結果出力処理>
プロセッサ21は、出力した「記憶対象単語」と、受検者の復唱音声から検出した「復唱単語」と、受検者の発声音声から検出した「記憶発声単語」とに基づいて、認知機能検査の判定の結果を出力する。例えば、プロセッサ21は、認知機能検査の判定において、受検者の発声音声から検出した記憶発声単語が受検者に出題した記憶対象単語と一致している場合に正解と判定する。また、プロセッサ21は、認知機能検査の判定において、受検者の発声音声から検出した記憶発声単語が受検者の復唱音声から検出した復唱単語と一致している場合に正解と判定する。
【0053】
プロセッサ21は、受検者の再復唱音声から検出した再復唱単語が受検者の復唱音声から検出した復唱単語と一致する場合、認知機能検査の判定において、受検者の発声音声から検出した記憶発声単語が出題処理において受検者の復唱音声から検出した復唱単語と一致している場合に正解と判定する。
【0054】
プロセッサ21は、受検者の再復唱音声から検出した再復唱単語が受検者の復唱音声から検出した復唱単語と一致しない場合、認知機能検査の判定において、受検者の発声音声から検出した記憶発声単語が出題処理において受検者の復唱音声から検出した復唱単語と一致している場合であっても正解と判定しない。
【0055】
プロセッサ21は、受検者の再復唱音声から検出した再復唱単語が受検者に出題した記憶対象単語と一致する場合、認知機能検査の判定において、受検者の発声音声から検出した記憶発声単語が出題処理において受検者の復唱音声から検出した復唱単語と一致している場合であっても正解と判定しない。
【0056】
記憶対象単語は、第1単語の一例である。復唱単語及び再復唱単語は、第2単語の一例である。記憶発声単語は、第3単語の一例である。
【0057】
§3 動作例
[認知機能検査装置の動作]
次に、
図3から
図15を参照して、認知機能検査装置1の認知機能検査における動作例を説明する。
【0058】
図3は、認知機能検査の全体の処理手順を示すフローチャートである。
図3に示すように、認知機能検査装置1のプロセッサ21は、ステップS11の出題処理(正解単語の設定)、ステップS12のトレーニング処理、ステップS13の解答受付処理、そしてステップS14の結果出力処理の順で認知機能の検査を行う。認知機能検査は、情報端末10における表示画面11のタッチ操作により開始される。
【0059】
<ステップS11の出題処理>
プロセッサ21は、出題処理において、
図4及び
図5のフローチャートで示す処理を実行する。
【0060】
先ず、プロセッサ21は、認知機能検査において出題される問題の第1問目であることを示すn=1を設定する(ステップS21)。
【0061】
次に、プロセッサ21は、1問目の記憶対象単語の画像情報と音声情報をメモリ22から読み出す(ステップS22)。記憶対象単語は、例えば、
図6に示すように、出題リスト31として予め設定されメモリ22に記憶されている。本例において出題される問題は、第1問から第8問までの8問設定されている。記憶対象単語としては、第1問が「はさみ」、第2問が「ネクタイ」、第3問が「船」、第4問が「リモコン」、第5問が「メガネ」、第6問が「りんご」、第7問が「指輪」、第8問が「もみじ」のように設定されている。
【0062】
次に、プロセッサ21は、ステップS22において読み出した記憶対象単語の画像情報と音声情報を再生する(ステップS23)。記憶対象単語は、
図7に示すように、情報端末10に再生される。プロセッサ21は、例えば、表示画面11にネクタイ画像41を表示しながら、「ネクタイ」という音声をスピーカから出力する。また、プロセッサ21は、現在の検査工程が出題工程であることを報知する出題マーク51aと、現在の問題が第1問目であることを報知する問数マーク52を表示画面11に表示する。
【0063】
次に、プロセッサ21は、ステップS23において再生された記憶対象単語の復唱を受検者に促す(ステップS24)。プロセッサ21は、例えば、
図8に示すように、表示画面11のネクタイ画像41に「復唱してください」というコメント53を表示することにより記憶対象単語の復唱を促す。
【0064】
次に、プロセッサ21は、受検者が復唱した音声から復唱単語を検出することができたか否か判定する(ステップS25)。
【0065】
ステップS25において、復唱単語を検出することができなかった場合(ステップS25:No)には、プロセッサ21は、復唱単語を検出することができない時間が所定時間経過したか否か判定する(ステップS26)。ステップS26において、復唱単語を検出することができない時間が所定時間経過していない場合(ステップS26:No)には、プロセッサ21は、ステップS25に戻って各処理を繰り返す。ステップS26において、復唱単語を検出することができない時間が所定時間経過した場合(ステップS26:Yes)には、プロセッサ21は、ステップS24に戻って各処理を繰り返す。
【0066】
一方、ステップS25において、復唱単語を検出することができた場合(ステップS25:Yes)には、プロセッサ21は、検出した復唱単語が記憶対象単語と一致しているか否か判定する(ステップS27)。
【0067】
ステップS27において、復唱単語が記憶対象単語と一致している場合(ステップS27:Yes)には、プロセッサ21は、記憶対象単語を正解単語として設定する(ステップS28)。具体的には、記憶対象単語として「はさみ」を出題したところ、受検者が復唱した音声から復唱単語として「はさみ」が検出された場合である(「はさみ」⇒「はさみ」)。なお、正解単語とは、
図3におけるステップS13の解答受付処理において受検者の発声した音声から検出される記憶発声単語がこの正解単語と一致する場合に正しく記憶していると認められる単語のことである。
【0068】
次に、プロセッサ21は、本検査において出題された問題数nが最終問題数Nに達したか否か判定する(ステップS29)。
図6に示したように、本例の場合、問題が8問設定されている。したがって、プロセッサ21は、受検者に出題された問題数がN=8に達したか否か判定する。
【0069】
ステップS29において、問題数がN=8に達していない場合(ステップS29:No)には、プロセッサ21は、n=n+1として(ステップS30)、ステップS22に戻り次の問題に進む。
【0070】
ステップS29において、問題数がN=8に達した場合(ステップS29:Yes)には、プロセッサ21は、本出題処理を終了して、
図3のステップS12に進む。
【0071】
一方、ステップS27において、復唱単語が記憶対象単語と一致していない場合(ステップS27:No)には、プロセッサ21は、受検者に記憶対象単語の再復唱を促す(ステップS31)。プロセッサ21は、例えば、
図9に示すように、表示画面11のネクタイ画像41に「もう一度復唱してください」というコメント54を表示することにより記憶対象単語の再復唱を促す。
【0072】
次に、プロセッサ21は、受検者が再復唱した音声から再復唱単語を検出することができたか否か判定する(ステップS32)。
【0073】
ステップS32において、再復唱単語を検出することができなかった場合(ステップS32:No)には、プロセッサ21は、再復唱単語を検出することができない時間が所定時間経過したか否か判定する(ステップS33)。ステップS33において、再復唱単語を検出することができない時間が所定時間経過していない場合(ステップS33:No)には、プロセッサ21は、ステップS32に戻って各処理を繰り返す。ステップS33において、再復唱単語を検出することができない時間が所定時間経過した場合(ステップS33:Yes)には、プロセッサ21は、ステップS31に戻って各処理を繰り返す。
【0074】
一方、ステップS32において、再復唱単語を検出することができた場合(ステップS32:Yes)には、プロセッサ21は、検出した再復唱単語が記憶対象単語と一致しているか否か判定する(ステップS34)。
【0075】
ステップS34において、再復唱単語が記憶対象単語と一致している場合(ステップS34:Yes)には、プロセッサ21は、ステップS28に進み、記憶対象単語を正解単語として設定する。具体的には、記憶対象単語として「はさみ」を出題したところ、受検者が復唱した音声から復唱単語として「まさみ」が検出された。そこで、再復唱を促したところ、受検者が再復唱した音声から再復唱単語として「はさみ」が検出された場合である(「はさみ」⇒「まさみ」⇒「はさみ」)。
【0076】
ステップS34において、再復唱単語が記憶対象単語と一致していない場合(ステップS34:No)には、プロセッサ21は、再復唱単語が復唱単語と一致しているか否か判定する(ステップS35)。
【0077】
ステップS35において、再復唱単語が復唱単語と一致している場合(ステップS35:Yes)には、プロセッサ21は、記憶対象単語及び復唱単語を正解単語として設定し(ステップS36)、ステップS29に進む。具体的には、記憶対象単語として「はさみ」を出題したところ、受検者が復唱した音声から復唱単語として「まさみ」が検出された。そこで、再復唱を促したところ、受検者が再復唱した音声から再復唱単語として「まさみ」が検出された場合である(「はさみ」⇒「まさみ」⇒「まさみ」)。
【0078】
ステップS35において、再復唱単語が復唱単語と一致していない場合(ステップS35:No)には、プロセッサ21は、ステップS28に進み、記憶対象単語を正解単語として設定する。具体的には、記憶対象単語として「はさみ」を出題したところ、受検者が復唱した音声から復唱単語として「まさみ」が検出された。そこで、再復唱を促したところ、受検者が再復唱した音声から再復唱単語として「ささみ」が検出された場合である(「はさみ」⇒「まさみ」⇒「ささみ」)。なお、再復唱単語が記憶対象単語とも復唱単語とも一致していない場合には、検査装置側で正しく音声を聞き取れなかったことを受検者に伝えて、キーボードに手書きで解答するように推奨してもよい。
【0079】
ここで、ステップS28及びステップS36における正解単語の設定について
図10を参照して説明する。正解単語は、
図10に示すように、正解リスト32として設定されメモリ22に記憶される。正解リスト32における問題の第1問から第8問は、
図6で示した出題リスト31における問題の第1問から第8問に対応する。正解リスト32における第3問の正解単語「船」、第6問の正解単語「りんご」、及び第7問の正解単語「指輪」は、ステップS28において設定された正解単語の「記憶対象単語」である。正解リスト32における第1問の正解単語「はさみ」と「まさみ」、第2問の正解単語「ネクタイ」と「肉体」、第4問の正解単語「リモコン」と「リンカーン」、第5問の正解単語「メガネ」と「めばえ」、及び第8問の正解単語「もみじ」と「虹」は、ステップS36において設定された正解単語の「記憶対象単語」と「復唱単語」である。
【0080】
第3問、第6問、及び第7問の正解単語は、以下のような場合の記憶対象単語である。例えば、記憶対象単語を出題したところ受検者の復唱音声から復唱単語として記憶対象単語と一致する単語が検出された場合の記憶対象単語である。また、例えば、記憶対象単語を出題したところ受検者の復唱音声から復唱単語として記憶対象単語と異なる単語が検出されたので、受検者に再復唱を促した。このとき受検者の再復唱音声から再復唱単語として記憶対象単語と一致する単語が検出された場合の記憶対象単語である。また、例えば、記憶対象単語を出題したところ受検者の復唱音声から復唱単語として記憶対象単語と異なる単語が検出されたので、受検者に再復唱を促した。このとき受検者の再復唱音声から再復唱単語として記憶対象単語とも復唱単語とも異なる単語が検出された場合の記憶対象単語である。
【0081】
具体的には、第3問(第6問、第7問)の正解単語は、以下のような場合の記憶対象単語である。例えば、「船」(「りんご」、「指輪」)を出題したところ受検者の復唱音声から復唱単語として「船」(「りんご」、「指輪」)と一致する単語が検出された場合「船」(「りんご」、「指輪」)である。また、例えば、「船」(「りんご」、「指輪」)を出題したところ受検者の復唱音声から復唱単語として「うね」(「しんご」、「首輪」)という単語が検出されたので、受検者に再復唱を促した。このとき受検者の再復唱音声から再復唱単語として「船」(「りんご」、「指輪」)と一致する単語が検出された場合の「船」(「りんご」、「指輪」)である。また、例えば、「船」(「りんご」、「指輪」)を出題したところ受検者の復唱音声から復唱単語として「うね」(「しんご」、「首輪」)という単語が検出されたので、受検者に再復唱を促した。このとき受検者の再復唱音声から再復唱単語として「つね」(「タンゴ」、「なにわ」)という単語が検出された場合の「船」(「りんご」、「指輪」)である。
【0082】
第1問、第2問、第4問、第5問、及び第8問の正解単語は、以下のような場合の記憶対象単語及び復唱単語である。例えば、記憶対象単語を出題したところ受検者の復唱音声から復唱単語として記憶対象単語と異なる単語が検出されたので、受検者に再復唱を促した。このとき受検者の再復唱音声から再復唱単語として復唱単語と一致する単語が検出された場合の記憶対象単語及び復唱単語である。
【0083】
具体的には、第1問(第2問、第4問、第5問、第8問)の正解単語は、以下のような場合の記憶対象単語及び復唱単語である。例えば、「はさみ」(「ネクタイ」、「リモコン」、「メガネ」、「もみじ」)を出題したところ受検者の復唱音声から復唱単語として「まさみ」(「肉体」、「リンカーン」、「めばえ」、「虹」)という単語が検出されたので、受検者に再復唱を促した。このとき受検者の再復唱音声から再復唱単語として「まさみ」(「肉体」、「リンカーン」、「めばえ」、「虹」)と一致する単語が検出された場合の「はさみ」(「ネクタイ」、「リモコン」、「メガネ」、「もみじ」)及び「まさみ」(「肉体」、「リンカーン」、「めばえ」、「虹」)である。
【0084】
<ステップS12のトレーニング処理>
ステップS11の出題処理が終了すると、プロセッサ21は、受検者の認知に負荷をかけるために、認知機能検査とは別のコンテンツを再生するトレーニング処理を実行する。すなわち、トレーニング処理は、出題処理において記憶対象単語を記憶した受検者に、すぐに憶えた単語を解答させるのではなく、少し時間を空けてから解答させるために行うトレーニングである。
【0085】
出題処理からトレーニング処理へ移行すると、プロセッサ21は、
図11に示すように、現在の工程がトレーニング工程であることを報知するトレマーク51bを表示するとともに、「それでは、解答までのお時間で脳のトレーニングをしましょう。」のようなコメント55を表示する。トレーニングは、例えば、トレーニングA、B、Cの中から受検者が任意に選択することができるように構成されている。プロセッサ21は、トレーニングの種類を選択するための選択ボタン56a~56cを表示する。
【0086】
<ステップS13の解答受付処理>
ステップS12のトレーニング処理が終了すると、プロセッサ21は、出題した記憶対象単語を受検者に発声させる解答受付処理を実行する。トレーニング処理から解答受付処理へ移行すると、プロセッサ21は、
図12に示すように、現在の工程が解答受付工程であることを報知する解答マーク51cを表示するとともに、「それでは、覚えた単語について2分以内に「キーボード」又は「音声」で答えてください。」のようなコメント57を表示する。これにより、解答の受け付けが開始される。
【0087】
続いて、プロセッサ21は、
図13に示すような解答受付画像を表示する。
図13の解答受付画像には、音声マーク58が表示されており、現在、音声による解答を受け付け可能であることを示す。また、プロセッサ21は、解答時間の経過を示す経過時間バー59と、現在までの正解数(8問中1問正解していること)を示す正解マーク60を表示する。
【0088】
解答受付画像が表示される画面において、受検者は、解答する際に解答ボタン61をタッチする。解答ボタン61がタッチされると、プロセッサ21は、表示画面11の表示を
図14に示すような解答判定画像に移行させる。ただし、解答判定画像に移行した当初は表示画面11にマイクマーク62のみが表示され、解答受付状態であることが示される。その状態で、例えば、受検者が「船」と発声し、受検者が発声した音声から「船」という単語が検出されたとする。この場合、「船」という単語は、出題された複数の記憶対象単語の中に含まれている(
図6参照)ので、
図14に示すように、検出された正解の単語(記憶発声単語)63と、正解マーク64とが表示される。一方、受検者が発声した音声から記憶発声単語以外の単語が検出された場合には、不正解であると判定されて、その検出された不正解の単語と不正解マークとが表示される。また、例えば、
図10に示す正解リスト32のように正解単語が設定されている場合、第1問目に出題された記憶対象単語「はさみ」のときには、受検者が発声した音声から記憶発声単語として「はさみ」又は「まさみ」が検出されたときは、
図14の画面と同様に、「はさみ」又は「まさみ」と正解マークが表示される。
【0089】
なお、受検者は、発声による解答に替えて、キーボード入力で解答することも可能である。キーボード入力する場合には、
図13の画面においてキーボード切替ボタン65をタッチする。これにより、表示画面11にソフトウェアキーボードが表示されるので、そのキーボードを用いて解答することができる。
【0090】
<ステップS14の結果出力処理>
ステップS13の解答受付処理が終了すると、プロセッサ21は、検査結果を知らせる結果出力処理を実行する。解答受付処理から結果出力処理へ移行すると、プロセッサ21は、
図15に示すように、現在の工程が結果出力工程であることを報知する結果画面マーク51dを表示するとともに、8問中2問正解であったことを示す検査結果66と、「お疲れ様でした。継続して今後も様子を見ていきましょう。」のようなコメント67を表示する。
【0091】
なお、上述した実施の形態では、出題される記憶対象単語が、例えば、
図6に示すように、予め設定されている場合について説明したが、これに限定されない。例えば、出題される記憶対象単語は、予め用意された複数の出題候補単語の中からプロセッサ21が出題ごとに任意に選択するようにしてもよい。
【0092】
以上説明したように、認知機能検査装置1によれば、出題した記憶対象の記憶対象単語と受検者の発声音声から検出された記憶発声単語だけでなく受検者の復唱音声から検出された復唱単語を加えた3種類の単語に基づいて認知機能の検査結果が出力される。
【0093】
例えば、認知機能検査装置1によれば、出題した記憶対象の記憶対象単語と受検者の発声音声から検出された記憶発声単語とが一致する場合だけでなく、記憶発声単語が受検者の復唱音声から検出された復唱単語と一致する場合も正解と判定される。このため、例えば、出題された記憶対象単語を受検者が復唱単語した場合に検出される単語と記憶対象単語とが、受検者の発音の特性や音声認識処理に特性に起因して一致しなくても、受検者が復唱単語を記憶発声単語として発声できれば正解として判定することが可能になるため、検査精度を向上させることができる。
【0094】
また、認知機能検査装置1によれば、受検者の復唱音声から検出された復唱単語が出題した記憶対象の記憶対象単語と一致しなくても、受検者の再復唱音声から検出された再復唱単語が復唱単語と一致する場合には、受検者の発声音声から検出された記憶発声単語が復唱単語と一致するときにはその解答が正解と判定される。このため、例えば、「はさみ」を出題したところ受検者の復唱音声から復唱単語として「まさみ」という単語が検出され、受検者に再復唱を促したところ受検者の再復唱音声から再復唱単語として復唱単語と一致する「まさみ」という単語が検出された場合には、判定時において受検者の発声音声から記憶発声単語として復唱単語と一致する「まさみ」が検出されたときは、その解答「まさみ」を正解と判定することが可能になる。したがって、検査精度が向上する。
【0095】
また、認知機能検査装置1によれば、受検者の復唱音声から検出された復唱単語が出題した記憶対象の記憶対象単語と一致せず、受検者の再復唱音声から検出された再復唱単語が復唱単語と一致しない場合には、受検者の発声音声から検出された記憶発声単語が復唱単語と一致したとしてもその解答は正解とは判定されない。このため、例えば、「船」を出題したところ受検者の復唱音声から復唱単語として「うね」という単語が検出され、受検者に再復唱を促したところ、受検者の再復唱音声から再復唱単語として記憶対象単語と一致する「船」という単語が検出された場合や、受検者の再復唱音声から再復唱単語として記憶対象単語とも復唱単語とも一致しない「つね」という単語が検出された場合には、判定時において受検者の発声音声から記憶発声単語として復唱単語と一致する「うね」が検出されたとしても、その解答「うね」を不正解と判定することが可能になる。したがって、検査精度が向上する。
【0096】
また、認知機能検査装置1によれば、後の出題処理における記憶対象単語を選択する場合、後の出題処理よりも前の出題処理において検出した復唱単語に基づいて選択する。このため、例えば、前の出題処理において検出された復唱単語と重複しないように後の出題処理の記憶対象単語を選択できるので、検査精度を向上させることができる。
【0097】
また、認知機能検査装置1によれば、後の出題処理において出題される記憶対象単語として先の出題処理で出題された記憶対象単語とは異なる単語を選択する際に、後の出題処理のために予め設定されていた記憶対象単語と同じカテゴリの単語に変更して選択することができる。このため、予め設定されていた問題と全く相違する問題が出題されるのを抑制することが可能であり、検査精度を向上させることができる。
【0098】
また、認知機能検査装置1によれば、先の出題処理において検出した復唱単語が記憶対象単語と異なる場合に、後の出題処理における記憶対象単語として文字数を考慮した単語を選択することができる。このため、例えば、誤認識が発生しやすい受検者においても誤認識が発生しにくい(例えば文字数が多い)単語を選択し、検査精度を向上させることができる。
【0099】
また、認知機能検査装置1によれば、受検者ごとに対応付けて記憶されている認知機能検査に関する履歴情報に基づいて出題処理における記憶対象単語を選択することができる。このため、誤って発音しやすい単語をその受検者の記憶対象単語の候補から外すことが可能であり、適切な単語を出題することが可能で検査精度を向上させることができる。
【0100】
また、認知機能検査装置1によれば、出題処理と解答受付処理の間にトレーニング処理を実行することができるので、受検者の認知に適当な負荷をかけることが可能になり、さらに検査精度を向上させることができる。
【0101】
§4 変形例
以上、本発明の実施の形態を詳細に説明したが、上記の説明はあらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができる。例えば、以下のような変更が可能である。なお、以下では、上記実施形態と同様の構成要素に関しては同様の符号を用い、上記実施形態と同様の点については、適宜説明を省略した。以下の変形例は適宜組み合わせ可能である。
【0102】
[変形例1]
<出題処理の変形例>
図16のフローチャートを参照して、出題処理の変形例について説明する。
図16に示すように、変形例の出題処理において、ステップS27からステップS36までの各処理は、
図5に示す出題処理のステップS27からステップS36までの各処理と同様の処理である。このため、これらのステップの処理については説明を省略する。
【0103】
プロセッサ21は、ステップS36において記憶対象単語及び復唱単語を正解単語として設定した後、その設定した復唱単語を記憶対象単語の除外リストに追加する(ステップS36-1)。すなわち、プロセッサ21は、正解単語として設定した復唱単語を、その受検者の検査におけるそれ以降の出題処理において出題しないように設定する。これにより、
図4のステップS22における記憶対象単語の読み出しにおいて、除外リストに挙げられた単語は選択されないようになる。このため、前の出題処理において検出された復唱単語と重複しないように後の出題処理の記憶対象単語を選択でき、検査精度を向上させることができる。
【0104】
[変形例2]
<プロセッサ(制御部)21の変形例>
図17を参照して、プロセッサ(制御部)21の変形例について説明する。上述した実施の形態では、情報端末10の情報処理装置20に搭載されたプロセッサ21によって認知機能検査装置1を実現する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、
図17に示すように、インターネット等の広域ネットワークNを介して情報端末10と接続可能な外部サーバ70によって認知機能検査装置1を実現するようにしてもよい。例えば、認知機能検査は、外部サーバ70によって提供され、情報端末10からウェブブラウザで閲覧可能な認知機能検査ページとして設けられていてもよい。
【0105】
§5 プログラム
なお、前述した実施形態で説明した認知機能検査方法は、予め用意された認知機能検査プログラムをコンピュータで実行することにより実現できる。本認知機能検査プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記録され、記憶媒体から読み出されることによって実行される。また、本認知機能検査プログラムは、フラッシュメモリ等の非一過性の記憶媒体に記憶された形で提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介して提供されてもよい。本認知機能検査プログラムを実行するコンピュータは、認知機能検査装置に含まれるものであってもよいし、認知機能検査装置と通信可能なスマートフォン、タブレット端末、又はパーソナルコンピュータ等の電子機器に含まれるものでもあってもよいし、これら認知機能検査装置及び電子機器と通信可能なサーバ装置に含まれるものであってもよい。
【符号の説明】
【0106】
1 認知機能検査装置
10 情報端末
11 表示画面
21 プロセッサ
31 出題リスト
32 正解リスト
70 外部サーバ
N 広域ネットワーク