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特開2024-236071,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エン及び(E)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エンを調製するためのプロセス及び中間体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024023607
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エン及び(E)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エンを調製するためのプロセス及び中間体
(51)【国際特許分類】
   C07C 17/25 20060101AFI20240214BHJP
   C07C 21/18 20060101ALI20240214BHJP
   B01J 23/26 20060101ALI20240214BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20240214BHJP
【FI】
C07C17/25
C07C21/18
B01J23/26 Z
C07B61/00 300
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023207744
(22)【出願日】2023-12-08
(62)【分割の表示】P 2020530659の分割
【原出願日】2018-12-04
(31)【優先権主張番号】62/594,383
(32)【優先日】2017-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515269383
【氏名又は名称】ザ ケマーズ カンパニー エフシー リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ション ペン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィアチェスラフ エー.ペトロフ
(57)【要約】
【課題】本発明は、(E)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エンの調製において鍵となる中間体である1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エンを調製する方法を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エンを気相中で調製する方法であって、(i)酸化クロム、炭素担持酸化クロム、塩化クロム、及び炭素担持塩化クロムから選択されるクロム触媒の存在下、フッ化水素の非存在下で、2,4,4,4-テトラクロロ-1,1,1-トリフルオロブタンを加熱する工程を備える、方法、
1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エンを液相中で調製する方法であって、(ii)塩化鉄(III)触媒の存在下、フッ化水素の非存在下で、2,4,4,4-テトラクロロ-1,1,1-トリフルオロブタンを加熱する工程を備える、方法、並びに、
(E)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エンを気相中で調製する方法であって、
(iii)酸化クロム、炭素担持酸化クロム、塩化クロム、及び炭素担持塩化クロムから選択されるクロム触媒の存在下で、1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エンを加熱する工程を備える、方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エンを気相中で調製する方法であって、
(i)酸化クロム、炭素担持酸化クロム、塩化クロム、及び炭素担持塩化クロムから選択されるクロム触媒の存在下、フッ化水素の非存在下で、2,4,4,4-テトラクロロ-1,1,1-トリフルオロブタンを加熱する工程を備える、方法。
【請求項2】
1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エンを液相中で調製する方法であって、
(ii)塩化鉄(III)触媒の存在下、フッ化水素の非存在下で、2,4,4,4-テトラクロロ-1,1,1-トリフルオロブタンを加熱する工程を備える、方法。
【請求項3】
(E)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エンを気相中で調製する方法であって、
(iii)酸化クロム、炭素担持酸化クロム、塩化クロム、及び炭素担持塩化クロムから選択されるクロム触媒の存在下で、1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エンを加熱する工程を備える、方法。
【請求項4】
前記クロム触媒が、炭素担持酸化クロムであり、そして、
前記プロセスが、
(a)前記工程(i)の反応前に、前記炭素担持酸化クロムをフッ化水素と接触させる工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記工程(a)の接触が、280℃~320℃の温度で実施される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記工程(ii)の反応が、150℃~200℃の温度で実施される、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記工程(i)の反応が、0MPa~1.34MPa(0psig~150psig)の圧力で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記工程(ii)の反応が、75℃~115℃の温度で実施される、請求項2に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、2017年12月4日出願の米国特許仮出願第62/594,383号の利益を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、消火/火炎抑制剤、噴射剤、泡発泡剤、溶媒、及び/又は洗浄液として、冷媒、高温ヒートポンプ、有機ランキンサイクルを含む用途において有用であり得る、(E)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン及び組成物を調製するためのプロセス及び中間体に関する。
【背景技術】
【0003】
過去数十年間にわたり、多くの産業で、オゾン破壊性のクロロフルオロカーボン(CFC)及びヒドロクロロフルオロカーボン(HCFC)に代わる代替物を見つける取り組みがなされてきた。CFC及びHCFCは、エアゾール噴射剤、冷媒、洗浄剤、熱可塑性及び熱硬化性発泡体用の膨張剤、伝熱媒体、ガス状誘電体、消火剤及び抑火剤、動力サイクル作動流体、重合媒体、微粒子除去流体、キャリア流体、バフ磨き研磨剤、並びに置換乾燥剤としての使用を含む、幅広い用途において使用されてきた。これら多用途の化合物に代わる代替物の探索において、多くの産業でヒドロフルオロカーボン(HFC)の使用が注目されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許仮出願第62/594,383号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願は、とりわけ、(E)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エンの調製において鍵となる中間体である1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エンを調製するプロセスを提供する。1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エンを調製するためのプロセスは、遷移金属触媒の存在下で2,4,4,4-テトラクロロ-1,1,1-トリフルオロブタンを加熱して、1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エンを形成することと、1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エンを実質的に単離することと、を含む。
【0006】
本願は、更に、本明細書に記載の1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エンを使用して、(E)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エンを調製するためのプロセスを提供する。
【0007】
本願は、更に、本明細書に記載のプロセスのうちの1つ以上に従って調製される組成物を提供する。
【0008】
本願は、更に、冷却(例えば、冷媒組成物として)、高温ヒートポンプ、有機ランキンサイクル、消火/火炎抑制剤、噴射剤、泡発泡剤、溶媒、及び/又は洗浄液を含む用途における本発明の組成物の使用を提供する。
【0009】
特に定義しない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明の属する当該技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同一の意味を有する。本発明で使用するための方法及び材料が本明細書に記載されており、また、当該技術分野において既知の他の好適な方法及び材料を使用してもよい。材料、方法、及び実施例は、単なる例証であり、限定することを意図するものではない。本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、配列、データベースエントリ、及び他の参考文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。矛盾が生じた場合には、定義を含め、本明細書が優先される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
HFCは、成層圏オゾンの破壊には寄与しないが、「温室効果」に寄与、すなわち地球温暖化に寄与するので懸念されている。地球温暖化に寄与することから、HFCにも厳しい視線が注がれるようになっており、その広範な使用も将来的には制限される可能性がある。したがって、成層圏オゾンの破壊に寄与することなく、地球温暖化計数(GWP)も低い組成物が必要とされている。1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン(CF3CH=CHCF3、HFO-1336mzz)などの特定のヒドロフルオロオレフィンは、両方の目標を達成する。例えば、(E)-HFO-1336mzz(すなわち、(E)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン)は、その低いGWP、不燃性、高効率、及び熱安定性に起因して、多くの用途(例えば、泡膨張剤又は冷媒)において有用である。本願は、(E)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンの調製において有用な鍵となる中間体、当該中間体を調製するためのプロセス、及び当該中間体を調製するための統合プロセスについて記載する。
【0011】
定義
本明細書で使用するとき、用語「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」、又はこれらの他の任意の変化形は、非排他的な包含を網羅することを意図する。例えば、要素のリストを含むプロセス、方法、物品、又は装置は、これらの要素に必ずしも限定されるものではなく、そのようなプロセス、方法、物品、又は装置に対して明示的に記載されていない、又はこれらに固有のものではない、他の要素も含む場合がある。更に、明示的にこれに反する記載がない限り、「又は」は、包括的な「又は」を指し、排他的な「又は」を指すものではない。例えば、条件A又はBは、以下、即ち、Aが真であり(又は存在し)かつBが偽である(又は存在しない)、Aが偽であり(又は存在しない)かつBが真である(又は存在する)、並びにA及びBの両方が真である(又は存在する)のいずれか1つにより満たされる。
【0012】
また、「a」又は「an」の使用は、本明細書に記載された要素及び成分を記述するために使用される。これは、単に便宜上なされるものであり、及び本発明の範囲の一般的な意味を与えるためのものである。この記載は、1つ又は少なくとも1つを含むものと解釈されるべきであり、単数形は、別の意味を有することが明白でない限り、複数形も含む。
【0013】
本明細書で使用するとき、用語「約」は、実験誤差による変動(例えば、示された値のプラスマイナス約10%)を考慮することを意味する。本明細書で報告される全ての測定値は、特に明記しない限り、用語「約」が明示的に使用されているかどうかに関わらず、用語「約」によって修飾されるものと理解される。
【0014】
量、濃度、又はその他の値若しくはパラメータが、ある範囲、好ましい範囲、又は好ましい上方値及び/若しくは好ましい下方値のリストのいずれかとして与えられている場合に、これらは、範囲が別個に開示されているかにかかわらず、任意の範囲上限値又は好ましい上方値及び任意の範囲下限値又は好ましい下方値の任意の対から形成される全ての範囲を、具体的に開示するものとして、理解されるものとする。本明細書に数値範囲が記述されている場合、特に指示しない限り、この範囲は、その端点を包含し、かつその範囲内の全ての整数及び分数を包含することが意図されている。
【0015】
地球温暖化係数(GWP)は、1キログラムの二酸化炭素の排出と比較して、1キログラムの特定の温室効果ガスの大気排出に起因する相対的な地球温暖化への関与を推定するための指数である。GWPは、様々な対象期間について計算することができ、所与のガスの大気寿命の影響を示す。100年間を対象期間とするGWPが、一般的に参照される値である。
【0016】
定義の全体を通して、用語「Cn~m」は、端点を含む範囲を示し、n及びmは整数であり、炭素の数を示す。例としては、C1~4、C1~6などが挙げられる。
【0017】
本明細書で使用するとき、用語「Cn~mアルキル」は、n~m個の炭素を有する、直鎖状又は分枝状であり得る飽和炭化水素基を指す。アルキル部分の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、イソブチル、sec-ブチルなどの化学基;2-メチル-1-ブチル、n-ペンチル、3-ペンチル、n-ヘキシル、1,2,2-トリメチルプロピルなどの高級同族体が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1~6、1~4、1~3、又は1~2個の炭素原子を有する。
【0018】
本明細書で使用するとき、「ハロゲン化物」は、フッ化物、塩化物、臭化物、又はヨウ化物を指す。いくつかの実施形態では、ハロは、塩素又は臭素である。
【0019】
本明細書で使用するとき、「トリ(Cn~mアルキル)ホスフェート」は、式P(O)O(Cn~mアルキル)3(式中、各Cn~mアルキルは、n~m個の炭素を有する直鎖状又は分枝状であり得る飽和炭化水素基を指し、各Cn~mアルキル基は、同一であっても異なっていてもよい)の化合物を指す。例示的なトリ(Cn~mアルキル)ホスフェートとしては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、ジメチルエチルホスフェート、ジメチルブチルホスフェート、ブチルエチルメチルホスフェートなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】
本明細書で使用するとき、「アルカリ金属水酸化物塩基」は、式MOH(式中、Mは、アルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウムなど)である)の化合物を指す。
【0021】
本明細書で使用するとき、用語「実質的に単離される」は、化合物又は組成物が、当該化合物又は組成物が形成又は検出された環境から少なくとも部分的に又は実質的に分離されることを意味する。部分的な分離は、例えば、本明細書に提供される化合物において富化された組成物を含むことができる。実質的な分離は、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約97重量%、又は少なくとも約99重量%の本明細書に提供される化合物を含有する組成物を含むことができる。化合物及び組成物を単離するための方法は、当該技術分野において日常的である。
【0022】
本明細書で使用するとき、「遷移金属酸化物」は、式M2y(式中、Mは、遷移金属(例えば、クロム、鉄など)であり、yは、遷移金属の酸化数である)の化合物を指す。例示的な遷移金属酸化物としては、酸化クロム(III)(Cr23)、酸化鉄(II)(FeO)、酸化鉄(III)(Fe23)などが挙げられるが、これらに限定されない。遷移金属酸化物は、任意選択的に、活性炭、アルミナ、及びフッ素化アルミナなどの基材上に担持されてもよい。追加の遷移金属酸化物触媒及び担持基材は、例えば、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,461,401号に見出すことができる。
【0023】
本明細書で使用するとき、「遷移金属ハロゲン化物」は、式MXy(式中、Mは、遷移金属(例えば、クロム、鉄など)であり、Xは、ハロゲン化物(例えば、フッ化物、塩化物など)であり、yは、遷移金属の酸化数である)の化合物を指す。例示的な遷移金属ハロゲン化物としては、塩化鉄(III)(FeCl3)、塩化チタン(IV)(TiCl4)などが挙げられるが、これらに限定されない。追加の遷移金属ハロゲン化物は、例えば、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,461,401号に見出すことができる。
【0024】
本明細書で使用するとき、「HFの非存在」は、反応中には一定流量のHFは存在しないが、反応前に触媒を活性化するためにHFを使用することを除外するものではないことを意味する。
【0025】
本明細書に記載の化合物は、非対称(例えば、1つ以上の立体中心を有する)であり得る。別途記載のない限り、鏡像異性体及びジアステレオマーなどの全ての立体異性体が意図される。本発明の化合物のシス/トランス及び/又はE/Z幾何異性体が記載され、異性体の混合物として又は分離された異性体形態として単離されてもよい。
【0026】
【表1】
【0027】
プロセス
本出願は、1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エン(例えば、気相プロセス又は液相プロセス)を調製するプロセスを提供する。いくつかの実施形態では、プロセスは、金属触媒(例えば、第1の金属触媒)の存在下で2,4,4,4,-テトラクロロ-1,1,1-トリフルオロブタンを加熱して、1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エンを形成する工程を含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エンを調製するプロセスは、フッ化水素(HF)の非存在下で実施される。
【0029】
いくつかの実施形態では、プロセスは、1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エンを実質的に単離する工程を更に含む。いくつかの実施形態では、1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エンは、蒸留によって実質的に単離される。
【0030】
1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エンを調製するプロセスにおいて有用な例示的な金属触媒としては、遷移金属ハロゲン化物(例えば、第IVb族金属ハロゲン化物、第Vb族金属ハロゲン化物)、遷移金属酸化物(例えば、酸化クロム)、第IIIa族金属ハロゲン化物(例えば、塩化アルミニウム又はフッ化アルミニウムなどのハロゲン化アルミニウム)、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、金属触媒は、ハロゲン化アンチモン(例えば、SbCl5、SbCl3、SbF5)、ハロゲン化スズ(例えば、SnCl4)、ハロゲン化タンタル(例えば、TaCl5)、ハロゲン化チタン(例えば、TiCl4)、ハロゲン化ニオブ(例えば、NCl5)、ハロゲン化モリブデン(例えば、MoCl6)、ハロゲン化鉄(例えば、FeCl3)、ハロゲン化クロム(例えば、塩化クロム)、酸化クロム、ハロゲン化アルミニウム(例えば、塩化アルミニウム又はフッ化アルミニウム)、ハロゲン化アルミナ(例えば、フッ化アルミナ)、フッ素化クロムハロゲン化物、フッ素化クロム酸化物、フッ素化アルミニウムハロゲン化物、フッ素化アルミニウム酸化物、又はこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。追加の金属触媒は、例えば、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,461,401号に見出すことができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、金属触媒は、遷移金属触媒である。いくつかの実施形態では、遷移金属触媒は、遷移金属酸化物触媒又は遷移金属ハロゲン化物触媒である。いくつかの実施形態では、遷移金属触媒は、酸化クロム、塩化クロム、及び塩化鉄(III)から選択される。いくつかの実施形態では、遷移金属触媒は、基材(例えば、炭素)上に担持される。
【0032】
いくつかの実施形態では、遷移金属触媒は、遷移金属酸化物触媒である。いくつかの実施形態では、遷移金属酸化物触媒は、基材上に担持される。いくつかの実施形態では、遷移金属酸化物触媒は、酸化クロムである。いくつかの実施形態では、酸化クロムは、基材上に担持される。いくつかの実施形態では、遷移金属酸化物触媒は、酸化クロム(III)である。いくつかの実施形態では、遷移金属酸化物触媒は、炭素担持酸化クロム(III)である。
【0033】
いくつかの実施形態では、遷移金属触媒は、遷移金属ハロゲン化物触媒である。いくつかの実施形態では、遷移金属ハロゲン化物は、基材上に担持される。いくつかの実施形態では、金属ハロゲン化物触媒は、ハロゲン化鉄触媒である。いくつかの実施形態では、金属ハロゲン化物触媒は、ハロゲン化クロム触媒である。いくつかの実施形態では、金属ハロゲン化物触媒は、塩化鉄(III)である。いくつかの実施形態では、金属ハロゲン化物触媒は、塩化クロムである。いくつかの実施形態では、金属ハロゲン化物触媒は、炭素担持塩化クロムである。
【0034】
いくつかの実施形態では、1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エンを調製するプロセスは、金属触媒をフッ化水素と接触させて、活性化金属触媒(例えば、部分的又は完全にフッ素化された金属触媒)を形成する工程を含む。いくつかの実施形態では、活性化金属触媒は、金属触媒の存在下で2,4,4,4-テトラクロロ-1,1,1-トリフルオロブタンを加熱する前に調製される。
【0035】
いくつかの実施形態では、1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エンを調製するプロセスは、炭素担持酸化クロム(III)触媒の存在下で2,4,4,4-テトラクロロ-1,1,1-トリフルオロブタンを加熱する前に、炭素担持酸化クロム(III)をフッ化水素と接触させて、活性化炭素担持酸化クロム(III)触媒を形成する工程を更に含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、活性化金属触媒を調製するプロセスは、約30℃~約350℃、例えば、約30℃~約300℃、約30℃~約250℃、約30℃~約200℃、約30℃~約100℃、約100℃~約350℃、約100℃~約300℃、約100℃~約250℃、約100℃~約200℃、約200℃~約350℃、約200℃~約300℃、約200℃~約250℃、約250℃~約350℃、約250℃~約300℃、又は約300℃~約350℃の温度で実施される。いくつかの実施形態では、金属触媒とフッ化水素との接触は、約280℃~約320℃の温度で実施される。
【0037】
いくつかの実施形態では、1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エンを調製するプロセスは、気相プロセスとして実施される。いくつかの実施形態では、1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エンを調製する気相プロセスは、追加の溶媒成分の非存在下で実施される。
【0038】
いくつかの実施形態では、1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エンを調製するプロセスは、約100℃~約500℃、例えば、約100℃~約400℃、約100℃~約300℃、約100℃~約200℃、約200℃~約500℃、約200℃~約400℃、約200℃~約300℃、約300℃~約500℃、約300℃~約400℃、又は約400℃~約500℃の温度で気相プロセスとして実施される。いくつかの実施形態では、1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エンを調製するプロセスは、約150℃~約200℃の温度で気相プロセスとして実施される。
【0039】
いくつかの実施形態では、1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エンを調製するプロセスは、液相プロセスとして実施される。いくつかの実施形態では、1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エンを調製する液相プロセスは、追加の溶媒成分の非存在下で実施される。
【0040】
いくつかの実施形態では、1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エンを調製するプロセスは、約30℃~約200℃、例えば、約30℃~約150℃、約30℃~約120℃、約30℃~約75℃、約75℃~約200℃、約75℃~約150℃、約75℃~約120℃、約120℃~約200℃、約120℃~約150℃、又は約150℃~約200℃の温度で液相プロセスとして実施される。いくつかの実施形態では、1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エンを調製するプロセスは、約75℃~約115℃の温度で液相プロセスとして実施される。
【0041】
いくつかの実施形態では、1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エンを調製するプロセスは、約0psig~約200psig、例えば、約0psig~約150psig、約0psig~約100psig、約0psig~約50psig、約50psig~約200psig、約50psig~約150psig、約50psig~約100psig、約100psig~約200psig、約100psig~約150psig、又は約150psig~約200psigの圧力で実施される。いくつかの実施形態では、1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エンを調製するプロセスは、約0psig~約150psigの圧力で実施される。
【0042】
本願は、更に、1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エンを調製するプロセスであって、塩基の存在下で2,4,4,4-テトラクロロ-1,1,1-トリフルオロブタンを加熱して、1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エンを形成する工程を含む、プロセスを提供する。いくつかの実施形態では、塩基の存在下で2,4,4,4-テトラクロロ-1,1,1-トリフルオロブタンを加熱するプロセスは、液相プロセスとして実施される。いくつかの実施形態では、塩基の存在下で2,4,4,4-テトラクロロ-1,1,1-トリフルオロブタンを加熱するプロセスは、水性溶媒中で実施される。
【0043】
いくつかの実施形態では、プロセスは、1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エンを実質的に単離する工程を更に含む。いくつかの実施形態では、1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エンは、蒸留によって実質的に単離される。
【0044】
例示的な塩基としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、及び重炭酸ナトリウムが挙げられるが、これらに限定されず、これらはそれぞれ、任意選択で、水中で調製されて水性塩基混合物又は水性塩基溶液を形成してもよい。いくつかの実施形態では、塩基は水性塩基である。
【0045】
いくつかの実施形態では、水性塩基は、水性アルカリ金属水酸化物塩基である。
【0046】
いくつかの実施形態では、水性塩基は、水性水酸化ナトリウム又は水性水酸化カリウムである。
【0047】
いくつかの実施形態では、本願は、1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エンを調製する気相プロセスであって、
i)約280℃~約320℃の温度で炭素担持酸化クロム(III)をフッ化水素と接触させて、活性化炭素担持酸化クロム(III)触媒を形成する工程と、
ii)約150℃~約200℃の温度及び約0psig~150psigの圧力で、活性化炭素担持酸化クロム(III)触媒の存在下で、2,4,4,4-テトラクロロ-1,1,1-トリフルオロブタンを加熱して、1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エンを形成する工程と、を含む、気相プロセスを提供する。
【0048】
いくつかの実施形態では、気相プロセスは、1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エンを実質的に単離する工程を更に含む。
【0049】
いくつかの実施形態では、気相プロセスの工程ii)の加熱は、フッ化水素の非存在下で実施される。
【0050】
いくつかの実施形態では、本願は、1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エンを調製する液相プロセスであって、
i)約75℃~約115℃の温度で、塩化鉄(III)の存在下で、2,4,4,4-テトラクロロ-1,1,1-トリフルオロブタンを加熱して、1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エンを形成する工程と、を含む、液相プロセスを提供する。
【0051】
いくつかの実施形態では、液相プロセスは、1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エンを実質的に単離する工程を更に含む。
【0052】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のプロセスに従って調製された1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エンは、約75%を超える収率、約85%を超える収率、約90%を超える収率、約95%を超える収率、約97%を超える収率、約99%を超える収率、又は約99.5%を超える収率で実質的に単離される。
【0053】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のプロセスに従って調製された1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エンは、約75%を超える純度、約85%を超える純度、約90%を超える純度、約95%を超える純度、約97%を超える純度、約99%を超える純度、又は約99.5%を超える純度で実質的に単離される。
【0054】
本出願は、更に、金属触媒(例えば、第2の金属触媒)の存在下で1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エン(例えば、本明細書に記載のプロセスに従って調製された、実質的に単離された1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エン)を加熱して、(E)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エンを形成する工程を含むプロセスを提供する。
【0055】
(E)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エンを調製するプロセスにおいて有用な例示的な金属触媒としては、金属ハロゲン化物、ハロゲン化金属酸化物、中性(又はゼロ酸化状態)の金属若しくは金属合金、又はバルク若しくは担持形態の活性炭が挙げられるが、これらに限定されない。(E)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エンの調製に有用な追加の例示的な金属触媒は、例えば、米国特許第8,461,401号及び米国特許出願第15/124,738号に見出すことができ、これらのそれぞれは、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0056】
いくつかの実施形態では、(E)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エンを調製するプロセスにおいて有用な金属触媒(例えば、第2の金属触媒)は、遷移金属触媒(例えば、第2の遷移金属触媒)である。いくつかの実施形態では、遷移金属触媒は、遷移金属酸化物触媒である。いくつかの実施形態では、遷移金属酸化物触媒は、基材上に担持される。いくつかの実施形態では、遷移金属酸化物触媒は、酸化クロムである。いくつかの実施形態では、酸化クロムは、基材上に担持される。いくつかの実施形態では、遷移金属酸化物触媒は、酸化クロム(III)である。いくつかの実施形態では、遷移金属酸化物触媒は、炭素担持酸化クロム(III)である。
【0057】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の2,4,4,4-テトラクロロ-1,1,1-トリフルオロブタンは、金属触媒(例えば、第3の遷移金属触媒)及びトリ(C1~6アルキル)ホスフェートの存在下で、3,3,3-トリフルオロプロパ-1-エンを四塩化炭素と反応させる工程を含むプロセスによって調製される。
【0058】
いくつかの実施形態では、2,4,4,4-テトラクロロ-1,1,1-トリフルオロブタンの調製において有用な遷移金属触媒は、鉄粉末である。
【0059】
いくつかの実施形態では、トリ(C1~6アルキル)ホスフェートは、トリブチルホスフェートである。
【0060】
2,4,4,4-テトラクロロ-1,1,1-トリフルオロブタンを調製するための追加のプロセス及び条件は、例えば、米国特許第8,461,401号及び米国特許出願第15/124,738号に見出すことができ、これらのそれぞれは、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0061】
本明細書に記載のプロセス及び化学反応は、当該技術分野において既知の任意の好適な方法に従ってモニタリングすることができる。例えば、生成物の形成は、核磁気共鳴分光法(例えば、1H又は13C)、赤外分光法、質量分析法などの分光学的手段によって、又は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)若しくは液体クロマトグラフィー質量分析(LCMS)などのクロマトグラフィー法によってモニタリングすることができる。当業者は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)又は蒸留を含むがこれらに限定されない様々な方法によって、化合物を精製することができる。
【0062】
組成物
本願は、更に、本明細書に記載のプロセスのうちの1つ以上に従って調製される組成物を提供する。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、実質的に単離される。
【0063】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、1つ以上の微量成分(すなわち、追加の化合物又は付加成分)と組み合わせて、主成分(例えば、(E)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エン又は2,4,4,4-テトラクロロ-1,1,1-トリフルオロブタン)を含む。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、本明細書に記載のプロセスのうちの1つ以上に従って調製される。いくつかの実施形態では、組成物の主成分は、組成物の約50モルパーセント超、約75モルパーセント超、約85モルパーセント超、約90モルパーセント超、約95モルパーセント超、約97モルパーセント超、約99モルパーセント超、又は約99.5モルパーセント超を構成する。
【0064】
本明細書に記載の組成物の微量成分は、例えば、エアロゾル又は発泡体のポリマー構成成分中の活性成分(例えば、組成物の主成分)に対する溶解度を改善することができる。更に、空調、ヒートポンプ、冷却及び動力サイクル(例えば、有機ランキンサイクル)における使用などの冷媒用途では、組成物の微量成分は、鉱油、アルキルベンゼン、合成パラフィン、合成ナフテン、ポリ(アルファ)オレフィン、ポリオールエステル(POE)、ポリアルキレングリコール(PAG)、ポリビニルエーテル(PVE)若しくはペルフルオロポリエーテル(PFPE)、又はこれらの混合物などの冷却潤滑剤に対する溶解度を改善することもできる。
【0065】
更に、本発明の組成物のサンプル中の微量化合物の存在を使用して、化合物が製造されたプロセスを特定することができる。
【0066】
いくつかの実施形態では、本願は、
(E)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エン、
(Z)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エン、
3,3,3-トリフルオロ-2-(トリフルオロメチル)プロパ-1-エン、
2-クロロ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エン、
1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタン、及び
1-クロロ-1,1,4,4,4-ペンタフルオロブタ-2-エン
を含む組成物を提供する。
【0067】
いくつかの実施形態では、組成物は、(E)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エンである主成分を、以下の微量成分のうちの1つ以上と組み合わせて含む:
(Z)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エン、
3,3,3-トリフルオロ-2-(トリフルオロメチル)プロパ-1-エン、
2-クロロ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エン、
1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタン、及び
1-クロロ-1,1,4,4,4-ペンタフルオロブタ-2-エン。
【0068】
いくつかの実施形態では、組成物は、(E)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エンである主成分を、以下の微量成分と組み合わせて含む:
(Z)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エン、
3,3,3-トリフルオロ-2-(トリフルオロメチル)プロパ-1-エン、
2-クロロ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エン、
1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタン、及び
1-クロロ-1,1,4,4,4-ペンタフルオロブタ-2-エン。
【0069】
いくつかの実施形態では、組成物は、約90モルパーセントを超える(E)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エンを含む。
【0070】
いくつかの実施形態では、組成物は、約97モルパーセントを超える(E)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エンを含む。
【0071】
いくつかの実施形態では、組成物は、約99モルパーセントを超える(E)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エンを含む。
【0072】
いくつかの実施形態では、(E)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エンである主成分を含む組成物は、本明細書に記載のプロセスのうちの1つ以上に従って調製される。
【0073】
いくつかの実施形態では、本出願は、組成物であって、
(E)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エン、
(Z)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エン、
3,3,3-トリフルオロ-2-(トリフルオロメチル)プロパ-1-エン、
2-クロロ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エン、
1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタン、及び
1-クロロ-1,1,4,4,4-ペンタフルオロブタ-2-エン
を含み、
金属触媒の存在下で2,4,4,4-テトラクロロ-1,1,1-トリフルオロブタンを加熱して組成物を形成する工程を含むプロセスに従って調製され、当該金属触媒が、本発明のプロセスについて本明細書に提供される定義に従って定義される、組成物を提供する。
【0074】
いくつかの実施形態では、組成物は、(E)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エンである主成分を、以下の微量成分のうちの1つ以上と組み合わせて含み:
(Z)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エン、
3,3,3-トリフルオロ-2-(トリフルオロメチル)プロパ-1-エン、
2-クロロ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エン、
1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタン、及び
1-クロロ-1,1,4,4,4-ペンタフルオロブタ-2-エン;
当該組成物は、
i)第1の金属触媒の存在下で2,4,4,4-テトラクロロ-1,1,1-トリフルオロブタンを加熱して、1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エンを含む第1の混合物を形成する工程と、
ii)第2の金属触媒の存在下で当該1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エンを加熱して、当該組成物を形成する工程と、
を含むプロセスに従って調製され、
当該金属触媒は、本発明のプロセスについて本明細書に提供される定義に従って定義される。
【0075】
いくつかの実施形態では、組成物は、(E)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エンである主成分を、以下の微量成分と組み合わせて含み:
(Z)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エン、
3,3,3-トリフルオロ-2-(トリフルオロメチル)プロパ-1-エン、
2-クロロ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エン、
1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタン、及び
1-クロロ-1,1,4,4,4-ペンタフルオロブタ-2-エン;
当該組成物は、
i)第1の金属触媒の存在下で2,4,4,4-テトラクロロ-1,1,1-トリフルオロブタンを加熱して、1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エンを含む第1の混合物を形成する工程と、
ii)第2の金属触媒の存在下で当該1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エンを加熱して、当該組成物を形成する工程と、
を含むプロセスに従って調製され、
当該金属触媒は、本発明のプロセスについて本明細書に提供される定義に従って定義される。
【0076】
いくつかの実施形態では、1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エンは、工程ii)の加熱前に実質的に単離される。
【0077】
いくつかの実施形態では、(E)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エンである主成分を含む組成物は、実質的に単離される。
【0078】
いくつかの実施形態では、本願は、
2,4,4,4-テトラクロロ-1,1,1-トリフルオロブタン、
1,1,1-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタン、及び
1,1,1-トリクロロ-2-(クロロメチル)-3,3,3-トリフルオロプロパン を含む組成物を提供する。
【0079】
いくつかの実施形態では、組成物は、2,4,4,4-テトラクロロ-1,1,1-トリフルオロブタンである主成分を、以下の微量成分のうちの1つ以上と組み合わせて含む:
1,1,1-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタン、及び
1,1,1-トリクロロ-2-(クロロメチル)-3,3,3-トリフルオロプロパン。
【0080】
いくつかの実施形態では、組成物は、2,4,4,4-テトラクロロ-1,1,1-トリフルオロブタンである主成分を、以下の微量成分と組み合わせて含む:
1,1,1-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタン、及び
1,1,1-トリクロロ-2-(クロロメチル)-3,3,3-トリフルオロプロパン。
【0081】
いくつかの実施形態では、組成物は、約90モルパーセントを超える2,4,4,4-テトラクロロ-1,1,1-トリフルオロブタンを含む。
【0082】
いくつかの実施形態では、組成物は、約97モルパーセントを超える2,4,4,4-テトラクロロ-1,1,1-トリフルオロブタンを含む。
【0083】
いくつかの実施形態では、組成物は、約99モルパーセントを超える2,4,4,4-テトラクロロ-1,1,1-トリフルオロブタンを含む。
【0084】
いくつかの実施形態では、2,4,4,4-テトラクロロ-1,1,1-トリフルオロブタンである主成分を含む組成物は、本明細書に記載のプロセスのうちの1つ以上に従って調製される。
【0085】
いくつかの実施形態では、組成物は、2,4,4,4-テトラクロロ-1,1,1-トリフルオロブタンである主成分を、以下の微量成分と組み合わせて含み:
1,1,1-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタン、及び
1,1,1-トリクロロ-2-(クロロメチル)-3,3,3-トリフルオロプロパン;
当該組成物は、
i)金属触媒及びトリ(C1~6アルキル)ホスフェートの存在下で、遷移金属触媒の存在下で、3,3,3-トリフルオロプロパ-1-エンを四塩化炭素と反応させて、当該組成物を形成する工程を含むプロセスに従って調製され、
当該金属触媒及びトリ(C1~6アルキル)ホスフェートは、本発明のプロセスについて本明細書に提供される定義に従って定義される。
【0086】
いくつかの実施形態では、2,4,4,4-テトラクロロ-1,1,1-トリフルオロブタンである主成分を含む組成物は、実質的に単離される。
【0087】
使用方法
本明細書に提供される組成物(すなわち、本発明の組成物)は、例えば、冷媒としての使用、高温ヒートポンプ、有機ランキンサイクルにおける使用、消火/火炎抑制剤、噴射剤、泡発泡剤、溶媒、及び/又は洗浄液としての使用を含む、広範な用途において有用であり得る。
【0088】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの塩素原子を含有する組成物の微量成分は、組成物の主成分(例えば、(E)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エン又は2,4,4,4-テトラクロロ-1,1,1-トリフルオロブタン)のエアロゾル又は発泡体のポリマー構成成分への溶解度を改善することができる。
【0089】
例えば、(E)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンなどの不飽和フルオロカーボンは、他のフルオロカーボン噴射剤とは異なる溶解度を示す。この低い溶解度によって、単相水性均質エアロゾル製剤の調製が困難になり得る。低レベルの塩素系不純物の存在は、混合を改善し、製剤及びエアロゾル生成物の使用を容易にし得る。
【0090】
(E)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エンなどの不飽和フルオロカーボンは、他の一般的な発泡剤とも異なる溶解度を示す。この低い溶解度は、発泡反応中の小さな気泡の成長のシーディング(seeding)を支援し得るが、化合物の混合が困難となり得る。低レベルの塩素系不純物の存在は、低HFO溶解性の利点を損なうことなく、混合及び発泡処理性能を向上し得る。また、塩素化合物は一般的に低蒸気熱伝導性を有し、したがって、発泡断熱製品に対して向上した断熱性能を与える。
【0091】
更に、空調、ヒートポンプ、冷却及び動力サイクル(例えば、有機ランキンサイクル)における使用などの冷媒用途については、少なくとも1つの塩素原子を含有する本発明の組成物の微量成分は、鉱油、アルキルベンゼン、合成パラフィン、合成ナフテン、ポリ(アルファ)オレフィン、ポリオールエステル(POE)、ポリアルキレングリコール(PAG)、ポリビニルエーテル(PVE)若しくはペルフルオロポリエーテル(PFPE)、又はこれらの混合物などの冷却潤滑剤に対する溶解度を改善することもできる。
【0092】
更に、本発明の組成物の微量成分は、漏出検出能の改善を支援することができる。冷媒の漏出は、システムからの冷媒の喪失につながり得るので、冷媒を補充する必要性のために運転コストが増加し、システムからの冷媒の微量の喪失でさえも、適正な運転に影響を与える場合がある。最終的には、冷媒の漏洩は過剰な環境汚染につながり得る。特に、塩素化合物は低レベルであっても、漏洩箇所での冷媒の検出能を改善し得る。したがって、そのシステムは、冷媒の漏洩を防ぐよう修理又は再設計され得る。
【0093】
組成物中の微量成分(例えば、塩素化化合物である微量成分)の濃度は低く維持されなければならないが、これは、より高濃度の微量成分では、構造材料との適合性の問題が生じる場合があるためである。エアロゾルでは、これらの適合性問題は、エアロゾル容器(例えば、缶)と又はプラスチックバルブ部品との間で起こり得る。発泡では、これらの適合性問題は、機器のシール材及びガスケットとの間で起こり得る。更に、エアロゾル製品では、より高濃度の微量成分(例えば、塩素化化合物である微量成分)の相互作用は、製剤の不安定性を引き起こす場合がある。例えば、発泡生成物では、高濃度の塩素化化合物によって発泡体が柔らかくなる場合があり、その結果、寸法不安定性及び不十分な発泡体強度が生じ得る。
【0094】
本明細書に記載の組成物は、液体又は気体の形態の、低地球温暖化係数(GWP)の伝熱組成物、冷媒、動力サイクル作動流体、エアロゾル噴霧剤、起泡剤、発泡剤、溶剤、洗浄剤、分散媒、置換乾燥剤、バフ研磨剤、重合媒体、ポリオレフィン及びポリウレタン用膨張剤、ガス誘電体、消火剤、及び火災抑制剤としても有用であり得る。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される組成物は、熱源からヒートシンクに熱を運ぶために使用される作動流体として有用であり得る。このような伝熱組成物は、流体が相転移する(例えば、液体から気体になる及びその逆に変化する)サイクルにおける冷媒としても有用であり得る。
【0095】
伝熱システムの例としては、空調装置、冷凍庫、冷蔵庫、ヒートポンプ、水冷機、満液式蒸発冷却機、直接膨張式冷却機、ウォークインクーラー、ヒートポンプ、可動式冷蔵庫、可動式空調ユニット、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0096】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される組成物は、冷却、空調、又はヒートポンプシステム若しくは装置を含む可動式伝熱システムにおいて有用であり得る。いくつかの実施形態では、組成物は、冷却、空調又はヒートポンプシステム若しくは装置を含む固定式伝熱システムにおいて有用であり得る。
【0097】
本発明で使用するとき、可動式伝熱システムは、道路、鉄道、海上又は航空用の輸送ユニットに組み込まれる任意の冷却、空調装置又は加熱装置を指す。更に、可動式冷却又は空調装置ユニットは、任意の移動キャリアから独立しており、かつ「インターモーダル」システムとして知られている装置を含む。このようなインターモーダルシステムとしては、「コンテナ」(複合海上/陸上輸送)並びに「スワップボディ」(複合道路/鉄道輸送)が挙げられる。
【0098】
本明細書で使用するとき、固定式伝熱システムは、動作中に適所に固定されるシステムである。固定式伝熱システムは、任意の様々な建物内に関連付けられるか若しくは取り付けられてもよく、又はソフトドリンク自動販売機などの戸外に位置するスタンドアロン装置であってもよい。これらの固定式用途は、固定式空調及びヒートポンプであってよい(冷却機、(例えば、50℃超、70℃超、80℃超、100℃超、120℃超、140℃超、160℃超、180℃超、又は200℃超の凝縮器温度の)遷移臨界ヒートポンプを含む高温ヒートポンプ、窓、ダクトレス、ダクト付き、パッケージ済みターミナルを含む住宅用、商業用、又は工業用の空調システム、冷却機、並びにルーフトップシステムなどの建物に接続された外装を含むがこれらに限定されない)。固定式冷却用途では、本明細書に提供される組成物は、商業用、工業用、又は住宅用の冷蔵庫及び冷凍庫、製氷機、内蔵型クーラー及びフリーザ、満液式蒸発冷却機、直接膨張式冷却機、ウォークイン及びリーチインクーラー及びフリーザ、並びに複合システムを含む、高温、中温及び/又は低温の冷却機器において有用であり得る。いくつかの実施形態では、開示する組成物は、スーパーマーケットの冷蔵庫システムにおいて使用され得る。
【0099】
したがって、本発明によれば、本明細書に提供される組成物は、冷却を生じさせる方法、加熱を生じさせる方法、及び熱を伝達する方法において有用であり得る。
【0100】
いくつかの実施形態では、本願は、冷却を生じさせる方法であって、本明細書に提供される組成物を、冷却すべき対象の近傍で蒸発させ、その後、当該組成物を凝縮させる工程を含む、方法を提供する。
【0101】
いくつかの実施形態では、本願は、加熱を生じさせる方法であって、本明細書で提供される組成物を、加熱すべき対象の近傍で凝縮させ、その後、当該組成物を蒸発させる工程を含む、方法を提供する。
【0102】
いくつかの実施形態では、本願は、伝熱流体組成物として本明細書に提供される組成物を使用する方法を提供する。いくつかの実施形態では、方法は、当該組成物を熱源からヒートシンクに運ぶ工程を含む。
【0103】
また、本明細書に提供される組成物は、特に、R-123(すなわち、HFC-123、2,2-ジクロロ-1,1,1-トリフルオロエタン)、R-11(すなわち、CFC-11、トリクロロフルオロメタン)、R-245fa(すなわち、HFC-245fa、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン)、R-114(すなわち、CFC-114、1,2-ジクロロ-1,1,2,2-テトラフルオロエタン)、R-236fa(すなわち、HFC-236a、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン)、R-236ea(すなわち、HFC-236ea、1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロパン)、R-124(すなわち、HCFC-124、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロエタン)を含むがこれらに限定されない、現在使用されている冷媒に対する、低地球温暖化係数(GWP)を有する代替品としても有用であり得る。
【0104】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される組成物は、冷媒として有用であり得、代替品が求められている冷媒と少なくとも同等の冷却性能(すなわち、冷却容量及びエネルギー効率)を提供する。更に、本発明の組成物は、代替される冷媒と同等の加熱性能(すなわち、加熱容量及びエネルギー効率)を提供することができる。
【0105】
いくつかの実施形態では、本願は、代替される冷媒及び潤滑剤を含有する伝熱システムを再充填する方法であって、当該システム内に潤滑剤のかなりの部分を保持しながら、代替される冷媒を当該伝熱システムから除去する工程と、本発明の組成物のうちの1つを当該伝熱システムに導入する工程と、を含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、システム内の潤滑剤は部分的に代替される(例えば、HCFC-123と共に使用された鉱油潤滑剤の一部をPOE潤滑剤で代替する)。
【0106】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、冷却機内の冷媒を補充するために使用してよい。例えば、HCFC-123を使用する冷却機の性能が冷媒の漏出により低下した場合、本来の仕様に性能を戻すために、本明細書に提供される組成物を添加してよい。
【0107】
本願は、更に、本明細書に提供される組成物のいずれかを含有する熱交換システムであって、空調装置、冷凍庫、冷蔵庫、ヒートポンプ、水冷機、満液式蒸発冷却機、直接膨張式冷却機、ウォークインクーラー、ヒートポンプ、可動式冷蔵庫、可動式空調ユニット及びこれらの組み合わせを有するシステムからなる群から選択される、システムを提供する。更に、本発明の組成物は、これらの組成物が一次冷媒として機能することで二次伝熱流体を冷却し、それによって、当該二次伝熱流体が遠隔の場所を冷却する二次ループシステムにおいて有用であり得る。
【0108】
蒸気圧縮冷却、空調又はヒートポンプシステムは、蒸発機、圧縮機、凝縮機及び膨張装置を含む。蒸気圧縮サイクルは、複数の工程において冷媒を再使用し、ある工程においては冷却効果、異なる工程においては加熱効果を生じさせる。サイクルは、以下のとおり簡単に説明することができる:液体冷媒が膨張装置を通って蒸発機に入り、当該液体冷媒が蒸発機において沸騰し、環境から熱を奪うことによって、低温で蒸気が形成され、冷却が生じる。低圧の蒸気は圧縮機に入り、そこで蒸気が圧縮されて、その圧力及び温度が上昇する。次いで、高圧の(圧縮された)蒸気の冷媒が凝縮機に入り、そこで冷媒が凝縮し、その熱を環境に放出する。冷媒は膨張装置に戻り、それを通じて液体は凝縮機におけるより高圧レベルから蒸発機における低圧レベルに膨張し、このようにして、サイクルを繰り返す。
【0109】
本願は、更に、発泡体の調製において使用するための、本発明の組成物を含む泡膨張剤組成物を提供する。いくつかの実施形態では、本願は、熱硬化性(例えば、ポリウレタン、ポリイソシアヌレート、又はフェノール)発泡組成物、熱可塑性(例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、又はポリプロピレン)発泡組成物を含むがこれらに限定されない発泡性組成物、及び発泡体の調製方法を提供する。いくつかの実施形態では、本組成物のうちの1つ以上は、発泡性組成物に泡膨張剤として含まれ得、当該発泡性組成物は、発泡体又は気泡構造を形成するのに適切な条件下で反応及び/又は混合並びに発泡することができる1つ以上の追加成分を含み得る。
【0110】
本願は、更に、(a)発泡性組成物に本発明の組成物を添加する工程と、(b)発泡体を形成するのに有効な条件下で発泡性組成物を加工する工程と、を含む、発泡体を形成する方法を提供する。
【0111】
本願は、更に、噴霧可能な組成物における噴射剤としての、本発明の組成物の使用を提供する。更に、本願は、本発明の噴霧可能な組成物を提供する。不活性成分、溶媒及び他の材料と共に噴霧される活性成分が、噴霧可能な組成物中に存在してもよい。いくつかの実施形態では、噴霧可能な組成物は、エアゾールである。本発明の組成物は、様々な工業用エアロゾル又は他の噴霧可能な組成物、例えば、コンタクトクリーナー、ダスター、潤滑剤スプレー、離型スプレー、殺虫剤など、並びに消費者向けエアロゾル、例えば、パーソナルケア製品(例えば、ヘアスプレー、消臭剤、及び香水)、家庭用製品(例えば、ワックス、研磨剤、パンスプレー、室内清浄剤、及び家庭用殺虫剤)、及び自動車用製品(例えば、クリーナー及びポリッシャー)に加えて、医薬物質、例えば、抗ぜんそく薬及び口臭予防剤を処方するために使用することもできる。例としては、ぜんそく及び他の慢性閉塞性肺疾患の治療用、並びにアクセス可能な粘膜又は鼻腔内への薬剤の送達用の定量吸入器(MDI)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0112】
本発明は、更に、エアロゾル製品を製造するためのプロセスであって、本発明の組成物をエアロゾル容器内で製剤に添加する工程を含み、当該本発明の組成物が噴射剤として機能するプロセスを提供する。更に、本願は、更に、エアロゾル製品を製造するプロセスであって、バリア型エアロゾルパッケージ(例えば、バッグイン缶又はピストン缶)に本発明の組成物を添加する工程を含み、当該本発明の組成物が、エアロゾル容器において他の製剤成分とは離した状態で維持されており、当該本発明の組成物が噴射剤として機能する、プロセスを提供する。更に、本願は、更に、エアロゾル製品を製造するプロセスであって、エアロゾルパッケージに本発明の組成物のみを添加する工程を含み、当該組成物が活性成分(例えば、ダスター、又は冷却若しくは冷凍スプレー)として機能する、プロセスを提供する。
【0113】
本願は、更に、熱源からの熱を機械エネルギーに変換するためのプロセスであって、本発明の組成物を含む作動流体を加熱し、その後、加熱された作動流体を膨張させる工程を含む、プロセスを提供する。このプロセスは、熱源から供給される熱を使用して作動流体を加熱する工程と、加熱された作動流体を膨張させて、作動流体の圧力が低下されるときに機械エネルギーを発生させる工程と、を含む。
【0114】
上記の熱を変換するためのプロセスは、亜臨界サイクル、遷移臨界サイクル、又は超臨界サイクルであってよい。遷移臨界サイクルでは、作動流体は、加熱前にその臨界圧を超える圧力にて圧縮され、その後の膨張中に、作動流体圧はその臨界圧未満に減じられる。超臨界サイクルでは、作動流体は、完全サイクル(例えば、圧縮、加熱、膨張及び冷却)にわたってその臨界圧を超える圧力で維持される。
【0115】
熱源としては、例えば、低圧蒸気、産業廃熱、太陽エネルギー、地熱熱水、低圧地熱蒸気(一次又は二次配置)、又は燃料電池若しくは原動機、例えば、タービン、マイクロタービン若しくは内燃エンジンを利用する分散発電設備を挙げることができる。1つの低圧蒸気源は、二流体地熱ランキンサイクルとして知られているプロセスであってよい。多量の低圧蒸気は、化石燃料動力発電所などの多くの場所で見出すことができる。他の熱源としては、可動式内燃機関(例えば、トラック若しくは鉄道のディーゼルエンジン又は船)から排出されるガスから回収される廃熱、固定式内燃エンジン(例えば、固定式ディーゼルエンジン発電機)からの排気ガスからの廃熱、燃料電池からの廃熱、複合冷暖房発電又は地域冷暖房プラントで入手可能な熱、バイオマス燃料のエンジンからの廃熱、バイオガス、埋立地ガス及び炭層メタンを含む様々な供給源からのメタンで動作する天然ガス若しくはメタンガスバーナー又はメタン燃焼ボイラー又はメタン燃料電池(例えば、分散発電施設)からの熱、紙/パルプ工場における樹皮及びリグニンの燃焼からの熱、焼却炉からの熱、(「ボトミング」ランキンサイクルを駆動するための)従来の蒸気発電所における低圧蒸気からの熱、並びに地熱が挙げられる。
【0116】
いくつかの実施形態では、熱を変換するプロセスは、有機ランキン動力サイクルを使用して実施される。蒸気(無機)動力サイクルと比べて比較的低い温度で入手可能な熱を使用して、本明細書に記載する作動流体を使用するランキンサイクルを通して機械動力を発生させることができる。いくつかの実施形態では、作動流体は、加熱される前に圧縮される。圧縮は、熱源からの熱を用いて作動流体を加熱する伝熱ユニット(例えば、熱交換機又は蒸発機)に作動流体を注入するポンプによって提供され得る。次いで、加熱された作動流体を膨張させて、その圧力を低下させる。膨張機を用いて作動流体を膨張させている間に機械エネルギーが発生する。膨張機の例としては、ターボ又は動的膨張機(例えば、タービン)、及び容積式膨張機(例えば、スクリュー膨張機、スクロール膨張機、及びピストン膨張機)が挙げられるが、これらに限定されない。また、膨張機の例としては、ロータリーベーン膨張機も挙げられる。
【0117】
機械動力は、直接(例えば、圧縮機を駆動するために)用いてもよく、又は発電機の使用を通して電力に変換してもよい。作動流体を再利用する動力サイクルでは、膨張した作動流体が冷却される。冷却は、作動流体冷却ユニット(例えば、熱交換機又は凝縮機)において行ってよい。次いで、冷却された作動流体を繰り返しサイクル(すなわち、圧縮、加熱、膨張など)において使用することができる。作動流体を冷却段階から移行させるために、圧縮に使用するのと同じポンプを使用してよい。
【0118】
本願は、更に、容器からの漏出を検出するための方法であって、当該容器近傍の空気をサンプリングする工程と、本明細書に提供される組成物の少なくとも1つの追加の化合物を、漏出を検出するための手段を用いて検出する工程と、を含み、本発明の組成物が、当該容器内に含まれている、方法を提供する。用語「の近傍」は、容器の外面から12インチ以内を意味する。あるいは、近傍は、容器の外面から6インチ以内、3インチ以内、又は1インチ以内であってよい。
【0119】
容器は、本発明者の組成物が充填された任意の公知の容器又はシステム又は装置であってもよい。容器としては、保管容器、移送容器、エアロゾル缶、消火システム、冷却装置、ヒートポンプ装置、伝熱容器、及び動力サイクル装置(例えば、有機ランキンサイクルシステム)を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0120】
漏出を検出するための手段は、漏出を検出するために設計された任意の公知のセンサを用いて実施してよい。特に、漏出を検出するための手段としては、電気化学漏出検出器、コロナ放電漏出検出器、及び質量分析漏出検出器が挙げられるが、これらに限定されない。
【実施例0121】
本発明を、具体的な実施例によって、より詳細に説明する。以下の実施例は、例示目的のために提供され、いかなる意味でも、本発明を限定することを意図するものではない。
【0122】
実施例1.E-1336mzz及び1333azdを含有する組成物の気相合成
【0123】
【化1】
【0124】
工程1.1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エン(343jfd)
【0125】
【化2】
【0126】
3,3,3-トリフルオロプロペン(66g、0.68モル)を、400mLのハステロイ反応器内の四塩化炭素(158g、1.0モル)、Fe粉末(1.12g、0.02モル)、及びトリブチルホスフェート(2.66、0.01モル)の混合物に添加した。反応器を3時間で110℃まで加熱した。混合物217gを容器に移し、GC(100%TFP変換、343jfdに対する選択性:88%)により分析した。同じ反応を2回繰り返し、材料の3つのバッチ全てを組み合わせた。その後の分画により、純度98.5%の2,4,4,4-テトラクロロ-1,1,1-トリフルオロブタン(343jfd)299gが得られた。沸点92~94℃/140トール;1H NMR(CDCl3,400MHz)δ 4.52(1H,q-d-d,J1=J2=6.9Hz,J3=1.8Hz),3.44(1H,d-d,J1=16.0Hz,J2=1.9Hz),3.26(1H,d-d,J1=16.0Hz,J2=7.6Hz)。19F NMR(CDCl3,376MHz)δ-74.85(3F,d,J=6.9Hz)。MS(EI):213(M+-Cl)
【0127】
工程2.(E)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エン(E-1336mzz)及び1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エン(1333azd)
【0128】
【化3】
【0129】
Inconel(登録商標)パイプ(外径0.5インチ、長さ10インチ、壁厚0.35インチ)に、6ccのCr23触媒(Newport Cr)を充填した。300℃で触媒をHFで活性化し、300℃で反応を気相中で実施した。1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エン(343jfd)を、180℃で制御された気化器を介して0.15mL/h又は0.3mL/hで反応器に供給し、HFの供給は8.14sccm又は17.23sccmであった。接触時間は、18秒間又は9秒間であった。反応の圧力は、0~150psig(0~1.03MPa)であった。反応器の流出物を、Agilent(登録商標)7890GC/5971MSを使用して分析し、1333azd、1336mt、346mdf、1335lzz、Z-1336mzz、356mff、及び1326mxzを含有する混合物を用いて、85モル%を超えるE-1336mzz選択性を示した。
【0130】
実施例2.1333azdの気相合成
【0131】
【化4】
【0132】
Inconel(登録商標)パイプ(外径0.5インチ、長さ10インチ、壁厚0.35インチ)に、2ccのCr23触媒(Newport Cr)を充填した。300℃で触媒をHFで活性化し、175℃で反応を気相中で実施した。2,4,4,4-テトラクロロ-1,1,1-トリフルオロブタン(343jfd;実施例1、工程1)を、180℃で制御された気化器を介して0.25mL/hで反応器に供給し、接触時間は18秒間であった。反応の圧力は、0~150psig(0~1.03MPa)であった。得られた生成物をシリンダーに回収し、NMRは、343jfdの100%の変換を示し、1333azdに対する選択性は95%を超えていた。19F NMR(470MHz,CDCl3):δ-74.05(3F,d,3JF-H=6.2Hz)。1H NMR(500MHz,CDCl3):δ6.06(1H,CH,d,3JH-H=9.9Hz),4.99(1H,CHCl,dq,3JH-H=9.9Hz,3JH-F=6.2Hz)。MS(EI):212(M+),214(M+)。
【0133】
実施例2.1333azdの液相合成
【0134】
【化5】
【0135】
250mLの三つ口丸底フラスコに、6g(0.036モル)のFeCl3を仕込んだ。フラスコをドラフト内に入れ、熱電対ウェル、ウォータースクラバーに接続されたドライアイス凝縮器、磁気撹拌棒を取り付け、100mL(155g、0.62モル)の343jfdをフラスコに添加した。反応混合物を約80℃に加熱し、この時点で、目に見えるHClの放出が観察された。約10時間の期間にわたって、反応温度を80℃から110℃にゆっくり上昇させた。反応の進行をGCによってモニタリングし、出発物質の変換率が>98%になったら、反応混合物を500mLの水に注ぎ、有機層を分離し、水(300mL)で洗浄し、分離し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、粗物質(135g)を蒸留して、105g(79.5%)の1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エン(1333azd;沸点115.2℃~115.6℃)及び残留HCFO-1333azd及び出発物質(主成分)を含有する残渣5.6gを得た。単離された1333azdの純度は、>99%(NMR及びGC)であった。
【0136】
実施例3.E-1336mzzの合成
【0137】
【化6】
【0138】
Inconel(登録商標)パイプ(外径0.5インチ、長さ10インチ、壁厚0.35インチ)に、6ccのCr23触媒(Newport Cr)を充填する。300℃で触媒をHFで活性化し、275℃で反応を気相中で実施する。1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エン(1333azd)を、150℃で制御された気化器を介して0.14mL/h又は0.29mL/hで反応器に供給し、HF供給は8.14sccm又は17.23sccmである。接触時間は、18秒間又は9秒間である。反応の圧力は、0~150psig(0~1.03MPa)である。反応器の流出物を、Agilent(登録商標)7890GC/5971MSを使用してオンライン分析し、90モル%を超えるE-1336mzz選択性を示し、混合物の残部は、1333azd、1336mt、346mdf、1335lzz、Z-1336mzz、356mff、及び1326mxzを含有する。
【0139】
他の実施形態
1.いくつかの実施形態では、本願は、1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エンを調製するプロセスであって、
i)金属触媒の存在下で2,4,4,4-テトラクロロ-1,1,1-トリフルオロブタンを加熱して、1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エンを形成する工程を含む、プロセスを提供する。
2.当該加熱が、HFの非存在下で実施される、実施形態1に記載のプロセス。
3.(ii)1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エンを実質的に単離する更なる工程を含む、実施形態1又は2に記載のプロセス。
4.当該金属触媒が、遷移金属酸化物触媒又は遷移金属ハロゲン化物触媒である、実施形態1~3のいずれか1つに記載のプロセス。
5.当該遷移金属酸化物触媒が、酸化クロム、炭素担持酸化クロム、塩化クロム、及び炭素担持塩化クロムから選択される、実施形態4に記載のプロセス。
6.当該遷移金属酸化物触媒が、酸化クロムである、実施形態4に記載のプロセス。
7.当該遷移金属酸化物触媒が、炭素担持酸化クロムである、実施形態4に記載のプロセス。
8.a)当該工程i)の反応前に、当該炭素担持酸化クロムをフッ化水素と接触させて、活性化クロム触媒を形成する工程を更に含む、実施形態7に記載のプロセス。
9.当該工程a)の接触が、約280℃~約320℃の温度で実施される、実施形態8に記載のプロセス。
10.当該工程i)の反応が、約150℃~約200℃の温度で実施される、実施形態1~9のいずれか1つに記載のプロセス。
11.当該反応が、約0psig~約150psigの圧力で実施される、実施形態1~10のいずれか1つに記載のプロセス。
12.当該プロセスが、気相プロセスである、実施形態1~11のいずれか1つに記載のプロセス。
13.当該金属ハロゲン化物触媒が、ハロゲン化鉄触媒である、実施形態4に記載のプロセス。
14.当該金属ハロゲン化物触媒が、塩化鉄(III)である、実施形態13に記載のプロセス。
15.当該工程i)の反応が、約75℃~約115℃の温度で実施される、実施形態1~4、13、及び14のいずれか1つに記載のプロセス。
16.当該プロセスが、液相プロセスである、実施形態1~4及び13~15のいずれか1つに記載のプロセス。
17.当該プロセスが、追加の溶媒成分の非存在下で実施される、実施形態1~16のいずれか1つに記載のプロセス。
18.当該1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エンが、蒸留によって実質的に単離される、実施形態1~17のいずれか1つに記載のプロセス。
19.当該1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エンが、約75%を超える純度で単離される、実施形態1~18のいずれか1つに記載のプロセス。
20.当該1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エンが、約99%を超える純度で単離される、実施形態1~19のいずれか1つに記載のプロセス。
21.実施形態1~20のいずれか1つに記載のプロセスであって、
iii)第2の遷移金属触媒の存在下で当該1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エンを加熱して、(E)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エンを形成する工程を更に含む、プロセス。
22.当該第2の遷移金属酸化物触媒が、酸化クロム(III)である、実施形態21に記載のプロセス。
23.当該2,4,4,4-テトラクロロ-1,1,1-トリフルオロブタンが、第3の遷移金属触媒及びトリ(C1~6アルキル)ホスフェートの存在下で、3,3,3-トリフルオロプロパ-1-エンを四塩化炭素と反応させる工程とを含むプロセスによって調製される、実施形態1~22のいずれか1つに記載のプロセス。
24.当該第3の遷移金属触媒が、鉄粉末である、実施形態23に記載のプロセス。
25.当該トリ(C1~6アルキル)ホスフェートが、トリブチルホスフェートである、実施形態23又は24に記載のプロセス。
26.いくつかの実施形態では、本願は、更に、1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エンを調製する液相プロセスであって、
i)水性塩基の存在下で2,4,4,4-テトラクロロ-1,1,1-トリフルオロブタンを加熱して、1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エンを形成する工程を含む、液相プロセスを提供する。
27.(ii)当該1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エンを実質的に単離する工程を更に含む、実施形態26に記載のプロセス。
28.当該水性塩基が、水性水酸化物塩基である、実施形態26又は27に記載のプロセス。
29.当該水性塩基が、水性水酸化ナトリウム又は水性水酸化カリウムである、実施形態26又は27に記載のプロセス。
30.実施形態26~29のいずれか1つに記載のプロセスであって、
iii)遷移金属触媒の存在下で当該1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エンを加熱して、(E)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エンを形成する工程を更に含む、プロセス。
31.当該遷移金属触媒が、酸化クロム触媒である、実施形態30に記載のプロセス。
32.当該遷移金属触媒が、酸化クロム(III)である、実施形態30に記載のプロセス。
33.当該遷移金属触媒が、炭素担持酸化クロム(III)である、実施形態30に記載のプロセス。
34.当該工程iii)の加熱前に、当該炭素担持酸化クロム(III)をフッ化水素と接触させて、活性化炭素担持酸化クロム(III)を形成する工程を更に含む、実施形態33に記載のプロセス。
35.いくつかの実施形態では、本願は、更に、1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エンを調製する気相プロセスであって、
i)酸化クロム(III)を、約280℃~約320℃の温度でフッ化水素と接触させて、活性化クロム(III)触媒を形成する工程と、
ii)約150℃~約200℃の温度及び約0psig~150psigの圧力で、活性化酸化クロム(III)触媒の存在下で、2,4,4,4-テトラクロロ-1,1,1-トリフルオロブタンを加熱して、当該1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エンを形成する工程と、を含む、気相プロセスを提供する。
36.当該1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エンを実質的に単離する工程を更に含む、実施形態35に記載のプロセス。
37.いくつかの実施形態では、本願は、更に、1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エンを調製する液相プロセスであって、
i)約75℃~約115℃の温度で、塩化鉄(III)の存在下で、2,4,4,4-テトラクロロ-1,1,1-トリフルオロブタンを加熱して、当該1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エンを形成する工程と、を含む、液相プロセスを提供する。
38.当該1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エンを実質的に単離する工程を更に含む、実施形態37に記載のプロセス。
39.当該工程ii)の加熱が、フッ化水素の非存在下で実施される、実施形態35~38のいずれか1つに記載のプロセス。
40.いくつかの実施形態では、本願は、更に、組成物であって、
(E)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エン、
(Z)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エン、
3,3,3-トリフルオロ-2-(トリフルオロメチル)プロパ-1-エン、
2-クロロ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エン、
1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタン、及び
1-クロロ-1,1,4,4,4-ペンタフルオロブタ-2-エン
を含み、
金属触媒の存在下で2,4,4,4-テトラクロロ-1,1,1-トリフルオロブタンを加熱して当該組成物を形成する工程を含むプロセスに従って調製される、組成物を提供する。
41.当該加熱が、フッ化水素の存在下で実施される、実施形態40に記載の組成物。
42.当該金属触媒が、遷移金属酸化物触媒又は遷移金属ハロゲン化物触媒である、実施形態40又は41に記載の組成物。
43.当該金属触媒が、炭素担持酸化クロムである、実施形態40又は41に記載の組成物。
44.当該プロセスが、当該2,4,4,4-テトラクロロ-1,1,1-トリフルオロブタンを加熱する前に、当該炭素担持酸化クロムをフッ化水素と接触させて、活性化クロム触媒を形成する工程を更に含む、実施形態41~43のいずれか1つに記載の組成物。
45.当該プロセスが、気相プロセスである、実施形態40~44のいずれか1つに記載の組成物。
46.いくつかの実施形態では、本願は、更に、組成物であって、
(E)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エン、
(Z)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エン、
3,3,3-トリフルオロ-2-(トリフルオロメチル)プロパ-1-エン、
2-クロロ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エン、
1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタン、及び
1-クロロ-1,1,4,4,4-ペンタフルオロブタ-2-エン
を含み、
i)第1の金属触媒の存在下で2,4,4,4-テトラクロロ-1,1,1-トリフルオロブタンを加熱して、1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エンを含む第1の混合物を形成する工程と、
ii)遷移金属触媒の存在下で当該1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エンを加熱して、前記組成物を形成する工程と、
を含むプロセスに従って調製される、組成物を提供する。
47.工程i)が、フッ素水素の存在下で実施される、実施形態46に記載のプロセス。
48.工程ii)が、フッ素水素の存在下で実施される、実施形態46又は47に記載のプロセス。
49.工程i)が、フッ素水素の非存在下で実施される、実施形態46に記載のプロセス。
50.工程ii)が、フッ素水素の存在下で実施される、実施形態49に記載のプロセス。
51.当該組成物を調製する当該プロセスが、当該工程ii)の加熱前に、当該1,1,3-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタ-1-エンを実質的に単離する工程を更に含む、実施形態46~50のいずれか1つに記載の組成物。
52.当該組成物を調製する当該プロセスが、前記組成物を実質的に単離する工程を更に含む、実施形態46~51のいずれか1つに記載の組成物。
53.当該組成物が、約99モルパーセントを超える(E)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エンを含む、実施形態46~52のいずれか1つに記載の組成物。
54.いくつかの実施形態では、本願は、更に、組成物であって、
2,4,4,4-テトラクロロ-1,1,1-トリフルオロブタン、
1,1,1-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタン、及び
1,1,1-トリクロロ-2-(クロロメチル)-3,3,3-トリフルオロプロパン を含み、
i)遷移金属触媒及びトリ(C1~6アルキル)ホスフェートの存在下、遷移金属触媒の存在下で、3,3,3-トリフルオロプロパ-1-エンを四塩化炭素と反応させて、当該組成物を形成する工程と、
ii)当該組成物を実質的に単離する工程、
を含むプロセスに従って調製される、組成物を提供する。
55.当該組成物が、約99モルパーセントを超える2,4,4,4-テトラクロロ-1,1,1-トリフルオロブタンを含む、実施形態54に記載の組成物。
56.いくつかの実施形態では、本願は、更に、組成物であって、
(E)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エン、
(Z)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エン、
3,3,3-トリフルオロ-2-(トリフルオロメチル)プロパ-1-エン、
2-クロロ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エン、
1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタン、及び
1-クロロ-1,1,4,4,4-ペンタフルオロブタ-2-エン
を含み、
当該組成物が、本明細書に記載のプロセスに従って調製される、組成物を提供する。
57.いくつかの実施形態では、本願は、更に、組成物であって、
2,4,4,4-テトラクロロ-1,1,1-トリフルオロブタン、
1,1,1-トリクロロ-4,4,4-トリフルオロブタン、及び
1,1,1-トリクロロ-2-(クロロメチル)-3,3,3-トリフルオロプロパン を含み、
当該組成物が、本明細書に記載のプロセスに従って調製される、組成物を提供する。
58.当該組成物を調製する当該プロセスが、当該組成物を実質的に単離する工程を更に含む、実施形態40~57のいずれか1つに記載の組成物。
【0140】
本発明をその詳細な説明と併せて説明してきたが、前述の説明は、添付の特許請求の範囲により規定される本発明の範囲を例示することを意図し、限定するものではないことを理解すべきである。その他の態様、利点、及び変更は、以下の特許請求の範囲内である。本発明が、本発明の任意の特定の態様及び/又は実施形態に関して本明細書に記載される特徴のいずれも、本明細書に記載される任意のその他の態様及び/又は本発明の実施形態のいずれかのその他の特徴のうちのいずれかの1つ以上と組み合わせることができ、組み合わせの適合性を確実にするために適宜変更することができることが、当業者により理解されるべきである。このような組み合わせは、本開示により企図される本発明の一部であると見なされる。