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  • 特開-型締装置および射出成形機 図1
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  • 特開-型締装置および射出成形機 図7A
  • 特開-型締装置および射出成形機 図7B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002362
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】型締装置および射出成形機
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/64 20060101AFI20231228BHJP
   B29C 45/76 20060101ALI20231228BHJP
   B22D 17/26 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
B29C45/64
B29C45/76
B22D17/26 H
B22D17/26 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101507
(22)【出願日】2022-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100097696
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 嘉昭
(74)【代理人】
【識別番号】100147072
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 裕通
(72)【発明者】
【氏名】三谷 聡麻
【テーマコード(参考)】
4F202
4F206
【Fターム(参考)】
4F202CA11
4F202CL01
4F202CL22
4F202CL39
4F202CL44
4F206JA07
4F206JP17
4F206JQ83
4F206JT05
4F206JT33
4F206JT38
(57)【要約】
【課題】ボールねじ機構の早期劣化を抑制する型締装置を提供する。
【解決手段】2個の型盤(13、14)と、型盤(13、14)同士を接続する複数本のボールねじ機構(18)と、ボールねじ機構(18)を駆動する複数個のサーボモータ(22)と、制御装置(5)と、を備えた型締装置(2)を対象とする。制御装置(5)は、複数本のボールねじ機構(18)毎に設定されている複数個の軸力設定値に基づいてサーボモータ(22)を独立して制御するようになっており、複数個の軸力設定値は、相互に設定可能な許容範囲を規定する制約条件に基づいて制御装置(5)に設定される。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2個の型盤と、
前記型盤同士を接続する複数本のボールねじ機構と、
複数本の前記ボールねじ機構のそれぞれに設けられて前記ボールねじ機構を駆動する複数個のサーボモータと、
制御装置と、を備え、
前記制御装置は、複数本の前記ボールねじ機構毎に設定されている複数個の軸力設定値に基づいて前記サーボモータを独立して制御するようになっており、
複数個の前記軸力設定値は、相互に設定可能な許容範囲を規定する制約条件に基づいて前記制御装置に設定されるようになっている、型締装置。
【請求項2】
複数本の前記ボールねじ機構毎に設定される複数個の前記軸力設定値のうちの最大値を最大軸力設定値とするとき、前記制約条件は他の前記軸力設定値と前記最大軸力設定値の差が許容差分量以下であることである、請求項1に記載の型締装置。
【請求項3】
前記許容差分量は、前記最大軸力設定値によって変化するようになっており、前記最大軸力設定値が大きくなるにしたがって小さくなる、請求項2に記載の型締装置。
【請求項4】
前記許容差分量は、前記最大軸力設定値によらず一定値である、請求項2に記載の型締装置。
【請求項5】
前記許容差分量は、前記最大軸力設定値が設定されている1本の前記ボールねじ機構を除く他の前記ボールねじ機構毎に設定され、他の前記ボールねじ機構毎に異なっている、請求項2または3に記載の型締装置。
【請求項6】
金型を型締めする型締装置と、
射出材料を射出する射出装置と、から構成され、
前記型締装置は、2個の型盤と、
前記型盤同士を接続する複数本のボールねじ機構と、
複数本の前記ボールねじ機構のそれぞれに設けられて前記ボールねじ機構を駆動する複数個のサーボモータと、
制御装置と、を備え、
前記制御装置は、複数本の前記ボールねじ機構毎に設定されている複数個の軸力設定値に基づいて前記サーボモータを独立して制御するようになっており、
複数個の前記軸力設定値は、相互に設定可能な許容範囲を規定する制約条件に基づいて前記制御装置に設定されるようになっている、射出成形機。
【請求項7】
複数本の前記ボールねじ機構毎に設定される複数個の前記軸力設定値のうちの最大値を最大軸力設定値とするとき、前記制約条件は他の前記軸力設定値と前記最大軸力設定値の差が許容差分量以下であることである、請求項6に記載の射出成形機。
【請求項8】
前記許容差分量は、前記最大軸力設定値によって変化するようになっており、前記最大軸力設定値が大きくなるにしたがって小さくなる、請求項7に記載の射出成形機。
【請求項9】
前記許容差分量は、前記最大軸力設定値によらず一定値である、請求項7に記載の射出成形機。
【請求項10】
前記許容差分量は、前記最大軸力設定値が設定されている1本の前記ボールねじ機構を除く他の前記ボールねじ機構毎に設定され、他の前記ボールねじ機構毎に異なっている、請求項7または8に記載の射出成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2個の型盤とこれら型盤を連結する複数本のボールねじ機構とを備えた型締装置、および射出成形機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
射出成形機もしくはプレス機には、金型を型締めする型締装置が設けられている。型締装置には色々な種類があるが、特許文献1には型盤が2個からなる型締装置が記載されている。つまり型盤は固定盤と可動盤ととからなる。そして固定盤と可動盤は、4組のボールねじ機構によって連結され、4本のボールねじ機構のそれぞれにはサーボモータが設けられている。したがって、4個のサーボモータを駆動すると4組のボールねじ機構が駆動されて、可動盤が固定盤に対してスライドする。すなわち型開閉することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5-269748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の型締装置は4個のサーボモータをそれぞれ独立して駆動することができ、4本のボールねじ機構のそれぞれに作用する軸力を独立して制御できる。したがって、金型が型盤に対してお互いの中心がずれた位置に取り付けられている場合であっても、型締時に4本のボールねじ機構に作用する軸力を調整することによって金型に型締力を均一に作用させることができる。しかしながら、解決すべき課題も見受けられる。具体的には設定可能な軸力に制約がなく、一部のボールねじ機構に負担がかかる軸力の設定も可能でありボールねじ機構の早期劣化の原因になってしまう。
【0005】
本開示において、ボールねじ機構の早期劣化を抑制する型締装置を提供する。
【0006】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、2個の型盤と、型盤同士を接続する複数本のボールねじ機構と、ボールねじ機構を駆動する複数個のサーボモータと、制御装置と、を備えた型締装置を対象とする。制御装置は、複数本のボールねじ機構毎に設定されている複数個の軸力設定値に基づいてサーボモータを独立して制御するようになっており、複数個の軸力設定値は、相互に設定可能な許容範囲を規定する制約条件に基づいて制御装置に設定されるように構成する。
【発明の効果】
【0008】
本開示により、ボールねじ機構の早期劣化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施の形態に係る射出成形機を示す正面図である。
図2】本実施の形態に係る型締装置を示す斜視図である。
図3】本実施の形態に係る可動盤の平面図である。
図4】本実施の形態に係る型締装置の正面図である。
図5】本実施の形態に係る軸力設定値の検査方法を示すフローチャートである。
図6】本実施の形態に係る軸力設定値の検査方法において適用される制約条件を示すグラフである。
図7A】変形例1に係る制約条件を示すグラフである。
図7B】変形例2に係る制約条件を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、以下の実施の形態に限定される訳ではない。説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜簡略化されている。各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。また、図面が煩雑にならないように、ハッチングが省略されている部分がある。
【0011】
<本実施の形態に係る射出成形機>
本実施の形態に係る射出成形機1は、図1に示されているように、ベッドBに設けられている型締装置2と、射出装置4と、これらを制御する制御装置5と、から構成されている。
【0012】
<射出装置>
射出装置4は加熱シリンダ6と、この加熱シリンダ6に入れられているスクリュ7と、スクリュ7を駆動するスクリュ駆動装置8とから構成されている。加熱シリンダ6にはホッパ10が設けられ、そして先端に射出ノズル11が設けられている。ホッパ10から射出材料が投入され、そしてスクリュ7を回転して射出材料を溶融するとスクリュ7の先端に計量される。スクリュ7を軸方向に駆動すると射出材料が射出されるようになっている。
【0013】
<型締装置>
本実施の形態に係る型締装置2は、いわゆる2プラテンの型締装置からなる。すなわち型締装置2は、図2に示されているように、2個の型盤13、14つまり固定盤13と可動盤14とを備えている。固定盤13はベッドB上に固定されており、可動盤14はベッドB上に設けられたリニアガイド15、15に載せられている。すなわち可動盤14は固定盤13に接近・離間する方向にスライド自在になっている。固定盤13には図1に示されているように、固定側金型16が、そして可動盤14には可動側金型17がそれぞれ取り付けられている。なお、固定側金型16と可動側金型17は、固定盤13と可動盤14のそれぞれにおいて型盤の中心に設けられることが好ましいが、中心からずれた位置に配置せざるを得ない場合もある。図1には、これらの金型16、17が型盤の中心より上側にずれた位置に配置されている様子が示されている。
【0014】
第1の実施の形態に係る型締装置2は、2個の型盤13、14、つまり固定盤13と可動盤14とが4本の棒状部材、つまり4本のボールねじ機構18、18、…によって連結されている。それぞれのボールねじ機構18、18、…は、ボールねじ19、19、…と、ボールねじ19、19、…に取り付けられているボールナット20、20、…とを備えている。
【0015】
図2には示されていないが、可動盤14には貫通孔が開けられており、この貫通孔にボールナット20、20、…が固着されている。つまりボールねじ19、19、…は、一方の端部側がボールナット20、20、…を介して可動盤14に接続されている。ボールねじ19、19、…の他方の端部は、固定盤13を貫通し、固定盤13に対して回転可能に支持されている。固定盤13にはサーボモータ22、22、…が設けられ、ボールねじ19、19、…と接続されている。したがって、サーボモータ22、22、…を駆動するとボールねじ19、19、…が回転し、可動盤14がスライドすることになる。すなわち金型16、17(図1参照)が型開閉される。
【0016】
<軸力設定値が一定の場合>
本実施の形態に係る射出成形機1は、制御装置5(図1参照)が複数個のサーボモータ22、22、…を独立して制御するようになっている。そして、複数本のボールねじ機構18、18、…に作用する軸力の設定値つまり軸力設定値は、ボールねじ機構18、18、…毎に設定することができるようになっている。例えば、軸力設定値はサーボモータ22、22、…毎にトルク設定値として設定されてもよい。いずれにしても独立して軸力を設定できるようにしているのは、金型16、17に実質的に均一に型締力を作用させるためである。ここで本実施の形態とは異なる制御について考える。つまりボールねじ機構18、18、…に同一の軸力設定値しか設定できない場合にどのようになるか検討する。図3図4において、各ボールねじ機構18a、18b、18c、18dに異なる符号18a、18b、18c、18dを便宜的に付して説明する。
【0017】
図3に示されているように、金型17は可動盤14においてその中心Cより上側にずれて配置されている。つまり金型17はボールねじ機構18a、18bに対して近く、ボールねじ機構18c、18dに対して離間している。この状態で全てのボールねじ機構18a、18b、18c、18dに対して実質的に同一の軸力を作用させる。そうすると、図4に示されているように、ボールねじ機構18a、18bから可動盤14に作用する軸力F2と、ボールねじ機構18c、18dから可動盤14に作用する軸力F3は実質的に同じ大きさになる。一方、可動盤14には金型17から力F1が作用することになる。力F1の作用点と軸力F2の作用点の距離に比して、力F1の作用点と軸力F3の作用点の距離が遠いので、可動盤14には上側に比して下方側に強い曲げモーメントが作用する。したがって、可動盤14は点線で示されているようにわずかに変形し、変形の度合いは下方側で大きい。
【0018】
固定盤13も同様に軸力F2と軸力F7が作用すると共に金型16から力F5が作用して、同様に点線で示されているようにわずかに変形する。このように可動盤14と固定盤13とがこのように変形すると、可動盤14と固定盤13の距離が、下方に向かってわずかに狭くなる。そうすると金型17、16においてそれぞれ符号p1、p3で示されている箇所よりも、符号p2、p4で示されている箇所においてより強い力が作用することになる。これにより金型16、17に作用する型締力が不均一になってしまう。
【0019】
<異なる軸力設定値の設定>
本実施の形態に係る射出成形機1の制御装置5(図1参照)には、4本のボールねじ機構18、18、…に対して、それぞれ異なる軸力設定値を設定することができるようになっている。例えば、図3によって説明すると、ボールねじ機構18aとボールねじ機構18bに対しては若干大きな軸力設定値を、そしてボールねじ機構18cとボールねじ機構18dに対しては若干小さな軸力設定値を設定することができる。このようにすると、図4において点線で示されているような変形はほとんど発生せず、金型16、17に均一に型締力を発生させることができる。
【0020】
ところで、それぞれのボールねじ機構18a、18b、18c、18dに対して設定可能な軸力設定値に制約がなく保護されていない場合、危険な設定も可能になってしまう。例えば、制御装置5(図1参照)における操作ミスにより、ボールねじ機構18a、18bに対して過大な軸力設定値を設定し、ボールねじ機構18c、18dに対して実質的に軸力がゼロになるような軸力設定値を設定することもできる。そうすると、ボールねじ機構18a、18bに過大な負荷がかかって早期に劣化してしまう。操作ミスに限らず、意図的に各ボールねじ機構18a、18b、18c、18dに対してお互いの差が大きな軸力設定値を設定しても、同様に一部のボールねじ機構18a、18b、18c、18dの負荷が大きくなって早期劣化の原因になり得る。
【0021】
本実施の形態に係る射出成形機1(図1参照)は、それぞれのボールねじ機構18a、18b、18c、18dに対して設定する軸力設定値について、制約条件を設けて相互に設定可能な範囲を規制するようにしている。これによって各ボールねじ機構18a、18b、18c、18dを保護している。制御装置5において実施している、本実施の形態に係る軸力設定値の検査方法と、この検査方法において適用される制約条件について説明する。
【0022】
<軸力設定値の検査方法>
オペレータが制御装置5(図1参照)において4本のボールねじ機構18a、18b、18c、18d(図3参照)に対して、それぞれ軸力設定値を設定する。そうすると、制御装置5は、それぞれの軸力設定値が適切であるか否か検査する。制御装置5は図5に示されている様に、ステップS01を実行して最大軸力設定値を特定する。すなわち、4本のボールねじ機構18a、18b、18c、18dのそれぞれに設定されている軸力設定値のうち、最大値である最大軸力設定値を特定する。このとき、最大軸力設定値が設定されているボールねじ機構も特定する。例えば、最大軸力設定値が設定されているのが、ボールねじ機構18bであるとすると、このボールねじ機構18bを特定する。
【0023】
次いでステップS02を実行する。すなわち、他のボールねじ機構18a、18c、18dについて、制約条件を満たしているか否かをチェックする。制約条件は、ボールねじ機構18a、18b、18c、18dに対して軸力設定値を設定する際に相互に設定可能な許容範囲を定める条件である。本実施の形態においては、他のボールねじ機構18a、18c、18dに設定されている軸力設定値について、最大軸力設定値との差が許容差分量以下になっていることを条件とする。図6によって説明する。
【0024】
図6において、横軸は最大軸力設定値を、縦軸は設定可能な軸力設定値を表す。グラフ30は最大軸力設定値を示すグラフになっている。そして、グラフ31は設定可能な軸力の下限を示すグラフになっている。例えば、ボールねじ機構18bに設定されている最大軸力設定値が50kNであるとき、グラフ30における値(符号32)は当然に50kNである。一方、グラフ31における値(符号33)は15kNになっている。つまり、設定可能な軸力の下限は15kNということになる。そうすると最大軸力設定値が50kNのとき、許容差分量は35kN(50kN-15kN)になる。そこでステップS02において、他のボールねじ機構18a、18c、18dに設定されている軸力設定値が、最大軸力設定値50kNに対して、その差が許容差分量の35kN以下になっているか否かをチェックする。
【0025】
もし制約条件を満たしていなければ(NO)、図5に示されているステップS03が実行される。ステップS03では、制御装置5において、オペレータが設定した軸力設定値について設定できない旨の警告が出力される。そして他のボールねじ機構18a、18c、18dのうち、最大軸力設定値との差が許容差分量を超えているボールねじ機構18a、18c、18dについて、逸脱した軸力の大きさを示す。オペレータはこの警告を見て、適正な軸力設定値の範囲を理解することができ、再度ボールねじ機構18a、18b、18c、18dに対してそれぞれ軸力設定値を設定することになる。制御装置5は、ステップS04を実施して、オペレータが軸力設定値を再設定したか否かを判断する。再設定されていれば(YES)ステップS01に戻る。一方、再設定されていなければ(NO)ステップS03に戻る。
【0026】
ステップS02において、制約条件を満たしていると判断されれば(YES)、ステップS05を実行する。すなわちオペレータが4本のボールねじ機構18a、18b、18c、18d(図3参照)に対してそれぞれ設定した軸力設定値を確定し、制御装置5に保存する。検査を終了する。
【0027】
本実施の形態に係る制約条件は、図6のグラフ30、31から明らかなように、許容差分量は最大軸力設定値によって変化している。すなわち最大軸力設定値が大きくなるにしたがって、許容差分量が小さくなっている。
【0028】
<変形例1>
制約条件は色々な変形が可能である。図7Aは変形例1に係る制約条件を示すグラフになっている。変形例1に係る制約条件を示す図7Aでは、最大軸力設定値を示すグラフ35に対して、設定可能な軸力の下限を示すグラフ36は縦軸方向の下方に平行移動したグラフになっている。この制約条件では、グラフ35とグラフ36の差は20kNの固定になっている。すなわち、許容差分量は一定の20kNということになる。この変形例1に係る制約条件が採用されている射出成形機1、型締装置2は、図1図2に示されている構成と同じであり説明を省略する。
【0029】
変形例1に係る制約条件を採用する場合、次のようになる。図5によって説明した本実施の形態に係る軸力設定値の検査方法について、ステップS02において、この変形例1に係る制約条件を採用する場合には次のようになる。すなわち、他のボールねじ機構18a、18c、18d(図3参照)に設定されている軸力設定値が、ボールねじ機構18bに設定されている最大軸力設定値との差分が20kN以内であるかどうかを検査することになる。
【0030】
<変形例2>
図7Bには変形例2に係る制約条件を示すグラフが示されている。この変形例2に係る制約条件が採用されている射出成形機1、型締装置2も、図1図2に示されている構成と同じであり説明を省略する。変形例2に係る制約条件では、最大軸力設定値を示すグラフ38に対して、設定可能な軸力の下限を示すグラフ39は傾きが小さくなっている。この制約条件において、許容差分量は最大軸力設定値によって変化し、最大軸力設定値が大きくなるにしたがって大きくなっている。
【0031】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は既に述べた実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることはいうまでもない。以上で説明した複数の例は、適宜組み合わせて実施されることもできる。
【符号の説明】
【0032】
1 射出成形機 2 型締装置
4 射出装置 5 制御部
6 加熱シリンダ 7 スクリュ
8 スクリュ駆動装置 10 ホッパ
11 射出ノズル 13 固定盤
14 可動盤 15 リニアガイド
16 固定側金型 17 可動側金型
18 ボールねじ機構 19 ボールねじ
20 ボールナット 22 サーボモータ
B ベッド
C 中心

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B