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特開2024-23625アミロイドスクリーニング方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024023625
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】アミロイドスクリーニング方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G01T 1/161 20060101AFI20240214BHJP
【FI】
G01T1/161 D
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023208952
(22)【出願日】2023-12-12
(62)【分割の表示】P 2021509908の分割
【原出願日】2019-08-13
(31)【優先権主張番号】62/720,151
(32)【優先日】2018-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(74)【代理人】
【識別番号】100145654
【弁理士】
【氏名又は名称】矢ヶ部 喜行
(72)【発明者】
【氏名】アンドレーエフ アンドリ
(72)【発明者】
【氏名】マックナイト ダグラス ビー
(72)【発明者】
【氏名】セラフィノ ネイザン
(72)【発明者】
【氏名】ピットック デーン
(72)【発明者】
【氏名】バイ チュアンヨーン
(72)【発明者】
【氏名】トゥング チーホア
(57)【要約】
【課題】脳内のβアミロイドの蓄積を評価するための低コストの装置を提供する。
【解決手段】アミロイド評価を実施する装置10が、少なくとも1つの放射線検出器14を有する放射線検出器アセンブリ12を有する。少なくとも1つの電子プロセッサ20は、放射線検出器アセンブリを使用して、データ取得時間間隔にわたって放射線カウントを検出するステップと、検出された放射線カウントから少なくとも1つの現在のカウントメトリックを計算するステップと、現在のテスト日付に関連付けられる少なくとも1つの現在のカウントメトリックを非一時記憶媒体26に記憶するステップと、少なくとも1つの現在のカウントメトリックと以前のテスト日付に関連付けられている非一時記憶媒体に記憶されたカウントメトリックとの比較に基づいて、アミロイドメトリックを決定するステップと、を実行するようにプログラムされている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミロイド評価を実施する装置であって、
少なくとも1つの放射線検出器を有する放射線検出器アセンブリと、
少なくとも1つの電子プロセッサであって、
前記放射線検出器アセンブリを使用して、データ取得の時間間隔にわたって放射線カウントを検出するステップと、
前記検出された放射線カウントから少なくとも1つの現在のカウントメトリックを計算するステップと、
現在のテスト日付に関連付けられる前記少なくとも1つの現在のカウントメトリックを非一時記憶媒体に記憶するステップと、
前記少なくとも1つの現在のカウントメトリックと、以前のテスト日付に関連付けられた前記非一時記憶媒体に記憶されたカウントメトリックとの比較に基づいて、アミロイドメトリックを決定するステップと、
を実行するようにプログラムされた電子プロセッサと、
を有する装置。
【請求項2】
前記放射線検出器アセンブリが更に、放射線吸収材料を含み、首の周りに配置されるように形作られサイズ設計された放射線遮蔽カラー、を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記放射線検出器アセンブリが更に、
後部放射線検出器と、
2つの側部放射線検出器と、
を有し、前記後部放射線検出器及び前記2つの側部放射線検出器は、頭部を受け入れるようにサイズ設計されたキャビティを規定するように構成され、前記後部放射線検出器は、前記キャビティ内に配置される前記頭部の後部をビューするように構成され、前記2つの側部放射線検出器は、前記キャビティ内に配置される前記頭部の左側及び右側をビューするように構成される、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記放射線検出器アセンブリは更に、前記キャビティを更に規定するように構成される頭頂部放射線検出器を有し、前記頭頂部放射線検出器は、前記キャビティ内に配置される前記頭部の頭頂部をビューするように構成される、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記放射線検出器アセンブリは、放射線コリメータを有さず、前記装置は、前記放射線検出器アセンブリを使用して検出された放射線カウントにタイムスタンプを割り当てるタイムスタンプ回路を有さず、前記検出された放射線カウントから前記少なくとも1つの現在のカウントメトリックを計算する前記ステップは、前記検出された放射線カウントに対して画像再構成を実行する処理を含まない、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記放射線検出器アセンブリは、(i)少なくとも1つの放射線コリメータ、又は(ii)前記放射線カウントを放射線コインシデンスカウントとして取得するコインシデンス検出回路、の一方を有し、
前記少なくとも1つの電子プロセッサは更に、前記検出された放射線カウントを再構成して画像を生成するようにプログラムされる。請求項1乃至4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記放射線検出器アセンブリは、少なくとも1つのスラット放射線コリメータを有し、前記少なくとも1つの電子プロセッサは更に、前記検出された放射線カウントを再構成して1次元画像を生成するようにプログラムされる、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記放射線検出器アセンブリは、前記放射線検出器アセンブリを使用して放射線カウントが検出されるデータ取得の時間間隔の間に、前記少なくとも1つの放射線検出器を移動させるロボットアクチュエータを有しない、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの現在のカウントメトリックは、前記データ取得の時間間隔にわたって検出されたカウントレート及び合計カウントのうち少なくとも一方を含み、前記少なくとも1つの現在のカウントメトリックを計算する前記ステップは、前記少なくとも1つの現在のカウントメトリックを、患者の体重、患者の年齢、患者の性別、及び患者の民族性のうち1つ又は複数によってスケーリングすることを含む、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記放射線検出器アセンブリは、前記放射線検出器アセンブリによって監視される脳の少なくとも半分から発せられる放射線カウントを検出するように構成される、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
放射線検出器アセンブリであって、
前記後部放射線検出器と、
前記2つの側部放射線検出器と、
を有し、前記後部放射線検出器及び前記2つの側部放射線検出器は、頭部を受け入れるようにサイズ設計されたキャビティを規定するよう構成され、前記後部放射線検出器は、前記キャビティ内に配置される前記頭部の後部をビューするように構成され、前記2つの側部放射線検出器は、前記キャビティ内に配置される前記頭部の左側及び右側をビューするように構成される、放射線検出アセンブリ。
【請求項12】
前記キャビティを更に規定するように構成され頭頂部放射線検出器を更に有し、前記頭頂部放射線検出器は、前記キャビティ内に配置される頭部の頭頂部をビューするように構成される、請求項11に記載の放射線検出器アセンブリ。
【請求項13】
前記2つの側部放射線検出器を前記キャビティから調整可能な距離に位置付けるよう構成された調整可能な支持体と、を有する、請求項11又は12に記載の放射線検出器アセンブリ。
【請求項14】
前記後部放射線検出器及び前記2つの側部放射線検出器は、前記キャビティ内に配置された前記頭部に適合するように形作られたカーブした放射線検出面を有する、請求項11乃至13のいずれか1項に記載の放射線検出器アセンブリ。
【請求項15】
前記後部放射線検出器及び前記2つの側部放射線検出器のそれぞれは、平面放射線検出表面を有する、請求項11乃至14のいずれか1項に記載の放射線検出器アセンブリ。
【請求項16】
複数の放射線コリメータプレートを更に有し、前記後部放射線検出器及び前記2つの側部放射線検出器の各々が、コリメータを搭載したハードウェアを有し、前記ハードウェアを介して前記放射線コリメータプレートの1つが前記平面放射線検出面に搭載可能である、請求項15に記載の放射線検出器アセンブリ。
【請求項17】
前記放射線検出器アセンブリは、放射線コリメータを有さず、コインシデンス放射線カウントを検出するように構成されていない、請求項11乃至15のいずれか1項に記載の放射線検出器アセンブリ。
【請求項18】
放射線吸収材料を有し及び前記キャビティ内に配置される前記頭部と接続される首の周囲に配置されるように形作られサイズ設計されている放射線遮蔽カラーを有する、請求項11乃至17のいずれか1項に記載の放射線検出器アセンブリ。
【請求項19】
前記放射線検出器アセンブリは、前記キャビティ内に配置される頭部に含まれる脳の少なくとも半分から発せられる放射線カウントを検出するよう構成されている、請求項11乃至18のいずれか1項に記載の放射線検出器アセンブリ。
【請求項20】
臨床評価を実施する方法であって、
位置付けられた患者の頭部をビューするために、患者がその上に位置付けられる患者支持体内に取り付けられる又は該患者支持体上に取り付けられる少なくとも1つの放射線検出器を有する放射線検出器アセンブリを使用して、撮像データを得るステップと、
データ取得の時間間隔にわたって、標的蛋白質と結合する患者に投与された放射性トレーサからの放射線カウントを検出するステップと、
前記検出された放射線カウントから少なくとも1つの現在のカウントメトリックを計算するステップと、
前記少なくとも1つの現在のカウントメトリックと以前のカウントメトリックとの比較に基づいて、位置付けられた患者の頭部における標的蛋白質の沈着のメトリックを決定するステップと、
を有する方法。
【請求項21】
前記決定された沈着のメトリックを使用して前記患者のフォローアップ評価を実施するステップを更に有する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記検出されたカウントの総数又はカウントレートから1次元カウントプロファイルラインを生成するステップと、その外側領域にピークを有し、その中央部分にトラフを有する前記生成されたカウントプロファイルラインを表示するようにディスプレイを制御する、請求項20又は21に記載の方法。
【請求項23】
前記検出するステップは、前記位置付けられた患者の脳の少なくとも半分からのシングルスの放射線カウントを、前記データ取得の時間間隔にわたって連続的に検出することを含む、請求項20又は21に記載の方法。
【請求項24】
前記シングルスの放射線カウントは、放射線のコリメーションなしで検出される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記標的蛋白質がβアミロイドを有する、請求項20乃至24のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、画像取得技術、脳画像技術、ベータアミロイド撮像技術、及び関連技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒト脳内のβアミロイド沈着の増加は、最終的なアルツハイマー病と関係付けられている。アミロイド沈着のタイムリーな検出は、この破壊的状態のより良好な制御を目的とした必要な予防処置を提供することができる。最近、アミロイドプラークの沈着増加を検出するための新しいポジトロンエミッショントモグラフィ(PET)放射性トレーサが開発された。他のタイプの慢性神経疾患もまた、アミロイドαシヌクレインの蓄積と相関するパーキンソン病のような特性アミロイドの蓄積と相関しており、他のタイプの蛋白質沈着は、慢性外傷性脳症(CTE)と相関するタウ蛋白質蓄積のような他の神経疾患と相関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のPET/コンピュータトモグラフィ(CT)システムは、アミロイドプラークの診断に効果的である一方で、その疾患をモニタリングし、初期段階で検出するために一般集団に日常的に処方されることはできない。これには、アルツハイマー診断に対する遺伝的素因などの既知の高リスク因子を有する個人さえ含まれる。主要な障害は、数千ドルのオーダー(例えばhttps://www.alzforum.org/news/community-news/100m-ideas-cms-blesses-study-evaluate-amyloid-scans-clinical-practiceを参照されたい)になりうるコストと、そのようなPET/CTスキャンにリンクされる比較的高い放射線量(少なくとも5ミリシーベルトのオーダー)である。
【0004】
本発明は、これらの問題を克服するための新規で改良されたシステム及び方法を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
開示される一態様において、アミロイドの評価(assessment)を行う装置は、少なくとも1つの放射線検出器を備える放射線検出器アセンブリを有する。少なくとも1つの電子プロセッサは、放射線検出器アセンブリを使用して、データ取得時間間隔にわたって放射線カウントを検出するステップと、検出された放射線カウントから少なくとも1つの現在のカウントメトリックを計算するステップと、現在のテスト日付に関連付けられる少なくとも1つの現在のカウントメトリックを非一時記憶媒体に記憶するステップと、少なくとも1つの現在のカウントメトリックと、以前のテスト日付に関連付けられた非一時記憶媒体に記憶されたカウントメトリックとの比較に基づいて、アミロイドメトリックを決定するステップと、を実行するようにプログラムされる。
【0006】
別の開示される態様において、放射線検出器アセンブリは、後部放射線検出器及び2つの側部放射線検出器を有する。後部放射線検出器及び2つの側部放射線検出器は、頭部を受け入れるようにサイズ設計されたキャビティを規定するよう構成され、前記後部放射線検出器は、前記キャビティ内に配置される前記頭部の後側をビューするように構成され、前記2つの側部放射線検出器は、前記キャビティ内に配置される前記頭部の左側及び右側をビューするように構成される。
【0007】
別の開示された側面において、臨床評価を実施する方法は、位置付けられる患者の頭部をビューするために、患者が位置付けられる患者支持体内に、又は患者支持体上に取り付けられた少なくとも1つの放射線検出器を有する放射線検出器アセンブリを使用して、画像データを取得するステップと、データ取得時間間隔にわたって、標的蛋白質と結合する患者に投与された放射性トレーサから、放射線カウントを検出するステップと、検出された放射線カウントから少なくとも1つの現在のカウントメトリックを計算するステップと、少なくとも1つの現在のカウントメトリックと以前のカウントメトリックとの比較に基づいて、位置付けられた患者の頭部における標的蛋白質の沈着のメトリックを決定するステップとを有する。
【0008】
1つの利点は、脳内のβアミロイド若しくは別のアミロイド又は別の標的蛋白質の蓄積を評価するための低コストの装置を提供することにある。
【0009】
別の利点は、撮像される患者が、低減された放射性医薬品用量を摂取する撮像装置を提供することにある。
【0010】
別の利点は、アミロイド沈着の漸進的な蓄積を早期に検出するための装置を提供することにある。
【0011】
所与の実施形態は、前述の利点のいずれも提供せず、又は1つ、2つ、3以上、又は全てを提供してもよく、及び/又は、本開示を読み理解することにより、当業者に明らかになるであろう他の利点を提供することができる。
【0012】
図面の簡単な説明本開示は、さまざまな構成要素及び構成要素の取り合わせ、並びにさまざまなステップ及びステップの取り合わせの形をとることができる。図面は、好ましい実施形態を例示する目的のためだけのものであり、本開示を限定するものとして解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一態様によるβアミロイドの評価を実施する装置を概略的に示す図。
図2A図1の装置の放射線検出器アセンブリを概略的に示す図。
図2B図1の装置の放射線検出器アセンブリを概略的に示す図。
図2C図1の装置の放射線検出器アセンブリを概略的に示す図。
図3図1の装置の例示的なフローチャート動作を示す図。
図4図1の装置によって収集されたデータからのカウントプロファイルライングラフを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
脳組織におけるβアミロイド(Aβ)沈着は、アルツハイマー病のようなある種の神経変性疾患と相関している。他のタイプのアミロイド沈着は、パーキンソン病と相関するアルファ-シヌクレインのような他の神経疾患と相関し、更に一般的には、さまざまなタイプの蛋白質沈着が、さまざまな神経疾患と相関しており、例えば、タウ蛋白室沈着は、慢性外傷性脳症(CTE)と相関する。PET又はシングルフォトンエミッションコンピュータトモグラフィ(SPECT)イメージングは、脳内のβアミロイド沈着を撮像するために、Aβに優先的に結合する放射性トレーサと関連して使用されることができ、したがって、これらの疾患を検出し、モニタリングするためのスクリーニングツールを提供する。しかしながら、PET又はSPECTは、患者スクリーニングの理想的な選択ではない。この技術は実施するのに費用がかかり、比較的高い放射性線量の患者への送達を必要とする。
【0015】
本明細書では、PET又はSPECTのこれらの欠点のいくつかは、イメージングの側面を排除することによって、又はより低い解像度及び/又はより低い次元のイメージングを採用すること(例えば、2D又は1Dマップを取得する)によって、より少ない程度で軽減されることができることが認識される。イメージングを実行するためには、画像の各ボクセル(又は少なくとも標的蛋白質の実質的な量を有するボクセル)中の放射性トレーサの濃度が検出可能なレベルであるように、十分な放射性トレーサを投与することが必要である。対照的に、患者の頭部における標的蛋白質の沈着の別のメトリック(例えば、頭部全体からの総カウント)が使用される場合、放射性トレーサの最小必要用量は、かなり(例えば、いくつかの実施形態では1桁以上)減少されることができる。
【0016】
しかしながら、そのようなアプローチによって、情報の量が、イメージングによって提供される空間分解能の損失によって低減され、信号対雑音比が、低減された放射性トレーサ線量によって低減されるので、感度がより低くなる。本明細書に開示されるいくつかの実施形態では、頭部における標的蛋白質の沈着のメトリックは、現在のカウントメトリックと以前のカウントメトリック(例えば、以前のテスト日付に得られたもの)との比較に基づく。これは自動的に、個々の要因を正規化し、経時的な変化にメトリック値を方向付ける。このメトリック値は、名目上類似した患者コホートの名目上類似した測定値を参照するメトリック値と比較すると、臨床的に重要である可能性が高い。
【0017】
本明細書に開示される実施形態では、より低コストの機器が使用され、低減された放射性トレーサ量が患者に投与される。いくつかの実施形態において、低コストの放射線検出器が、患者寝台の頭部領域に組み込まれるとともに、胴体領域からの迷放射線の検出を低減するために、放射線遮蔽カラーが、患者の首の周りにフィットするように構成される。目的は、アミロイド又は他の標的蛋白質沈着を標的とする放射性トレーサの送達後に測定される固定取得時間(又は同等に、カウントレート)における総カウントを測定することである。いくつかの実施形態では、コインシデンス(coincidences)ではなくシングルス(singles)を検出すること、及び/又は画像生成を省略又は単純化すること、及び/又は従来のコインシデンス検出回路及び/又は放射線コリメータを省略すること(その結果、イメージング撮像能力が失われる)によって、更なるコスト削減が達成される。低線量は、局所的な放射線プローブを使用したり、画像再構成によって検出されたカウントを画像ボクセル値に効果的に分割したりするのではなく、脳の大部分のカウント又は脳全体のカウントを測定することによって達成される。
【0018】
他の実施形態では、複数の放射線検出器が、頭部の一部又は全部を取り囲むように配置され、それによって、検出されるカウントを更に最大化し、放射性トレーサ量の更なる低減を可能にする。テーブルに埋め込まれた後部スラブ、頭部の左右に配置された2つの側部スラブ、及び頭部の頭頂部の「上方」に配置された任意選択の頭頂部スラブを有する3つ又は4つの検出器スラブ設計など、さまざまな実施形態が実現されることができる。側部スラブ及び頭頂部スラブは、レール上に取り付けられ、頭部の側部及び頭頂部と接触するようにスライドさされることができ、それによって、頭部の安定化及び運動抑制ももたらす。患者の首の周りに取り付けられる放射線遮蔽カラーは、更なる頭部安定化を提供することができ、そしてまた、頭部の「下」の胴体又は他の身体部分における放射線トレーサ濃度からの漂遊カウントを阻止するように機能し得る。更なる検出器スラブは、患者の顔の前方に配置されることができるが、閉所恐怖症を誘発する可能性はこの追加の検出器スラブを含める(又は使用する)かどうかを決定する際のファクタであり得る。
【0019】
本明細書で使用されるように、「患者」という語は、脳(すなわち、頭部)内のβアミロイド(又は他の標的蛋白質)沈着の臨床評価を受ける人を広く意味することに留意されたい。患者は、早期発症アルツハイマー病又は臨床的進行がモニターされている他の慢性神経学的条件と診断された患者であってもよく、又は患者は単に、βアミロイド沈着のスクリーニングを受けているだけの健康な個人であってもよい。実際に、開示されたアプローチの利点は、それらの低コスト及び低減された放射性トレーサ量が、これらのアプローチを、可能性として外来患者ベースで、又は日常的な医療検査の間(例えば、患者の毎年の身体検査の間)に、健康な患者をスクリーニングする際の使用に非常に適したものにすることである。
【0020】
スクリーニングのための公平な比較を提供することは難しい課題であることがここで認識される。例示的な例において、外部のベースライン(例えば、類似の患者コホートの同様の測定値に由来するもの、又は患者の身体の「正常な」部分から採取した測定値に由来するもの)は信頼されず、むしろ、テストは、その患者の脳内におけるアミロイドβ沈着の増大を示す可能性のあるカウントの経時的な上昇を検出するために、所与の患者に対して連続したテスト日付に実施されるように設計される。
【0021】
本明細書で開示される更なる態様は、データ定量化に関連し、そのために、さまざまなメトリックが単独で又は組み合わせにおいて使用されることができる。放射性医薬品(すなわち、放射性トレーサ)の投与後の固定時間でのカウントは、適切なメトリックであり得るが、これは測定の正確なタイミングに依存し、そして代謝の差異などに起因するセッション間の放射性トレーサ用量及び取り込みの差異に影響されることができる。別のアプローチは、カウント対時間曲線を測定することであり、かかる曲線から、ピークカウント、取り込み曲線のFWHM、ランプアップ勾配、ウォッシュアウト減衰定数、曲線下面積などのさまざまなメトリックが抽出されることができる。ここで、カウント対時間曲線における高い時間分解能に対する要望は、各時間ビンにおける十分なカウント統計量の必要性とバランスされることができる。いずれの場合も、メトリックは、放射性トレーサの注入量、患者の体重又はボディマスインデックス(BMI)、年齢(老化によるAβの自然な蓄積を考慮するため)、及び/又は性別又は民族性などの他の変数について調整され又は正規化されてもよい。
【0022】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態において、イメージング(撮像)は行われない。これにより、タイムスタンプ回路及びコインシデンス検出の排除、及び/又は放射線コリメータ(例えば、放射線検出器の前面に取り付けられたハニカムコリメータ)の使用、粗い分解能を有する放射線検出器の使用、又は単一の大面積検出器(低放射線トレーサ量の使用、及びその結果としてのカウントのパイルアップの可能性の低減によっても促進される)の使用、散乱補正の排除、及び患者の頭部を完全には取り囲まない固定検出器の使用を可能にするなどのコスト節約が可能になる。更に、シングルス検出のためのエネルギーウィンドウを低エネルギー側に向かって大きくして、意図的に非弾性的に散乱したイベントをカウントすることで、更なる線量低減を可能にすることができることが認識される。散乱イベントは、撮像にとって問題である。なぜなら、放射性崩壊イベントが、一般にコインシデンスや放射線コリメータによって定義される「応答のライン」上に存在しないので、散乱イベントが、(非弾性)散乱の間にエネルギーを失った散乱検出をフィルタリングするエネルギーウィンドウを採用することによって大部分がフィルタ除去される。しかしながら、本明細書中に開示されるいくつかの蛋白質沈着評価アプローチにおけるように、イメージングが行われない場合、これらの散乱イベントは、低エネルギー側のエネルギーウィンドウを拡張することによって保持されることができ、それによって、総カウントを増加させる。このような戦略により、従来のPETと比較して1000倍もの線量低減が達成可能であると推定され、それにより、Aβスクリーニング線量を、日常的な歯科x線撮影に匹敵するものにする。
【0023】
本明細書に開示される他の実施形態では、イメージングが行われる。この場合、複数の視点を提供する放射線検出器が提供され、例えば、後部検出器、側部検出器、及び任意選択の頭頂部検出器を備える上述の設計をもつ。低解像度画像は、臨床結果が総カウント又は平均カウントから導かれるので、臨床医にある程度の視覚的コンテキストを提供するのに十分である。PETの実施形態では、カウントの空間符号化のためにコインシデンス検出が使用される。SPECTの実施形態では、放射コリメータ(例えば、ハニカムコリメータ)が、カウントの空間符号化を提供する。有利なことに、放射線検出器は静止している(可能性として、患者の頭部に対する検出器スラブの事前の捕捉位置付けを除く)ので、コリメータは、イメージングが所望される場合に放射線検出器又はそのマウントの受容スロットに挿入される1組のスラット又はグリッドとして提供されることができる。一実施形態では、「イメージング」は、一次元(1D)カウントプロファイルラインである。Aβ沈着は、脳の外側領域に蓄積する傾向があることが観察されているので、結果的に得られるプロファイルラインは、外側領域でピークを示し、中央でディップを示すことが予想され、この形状及び可能性としてピーク対谷比などの抽出された定量化を活用して、臨床医に視覚的表現を提供することができ、更に、任意には、定量的データも提供することができる。
【0024】
図1を参照すると、ベータアミロイド評価を実施するための例示的な装置又はシステム10が示されている。(以下、ベータアミロイド評価について述べるが、これはアルツハイマー病のような相関する慢性神経疾患について患者を評価するのに有用である。他の実施形態では、異なる標的アミロイド又はより一般的には異なる標的蛋白質の沈着を評価することができる。これは特定の標的アミロイド又はより一般的には特定の標的蛋白質に好適に結合する放射性トレーサを、患者に投与するために選択することによって行われる。)図1に示すように、システム10は、少なくとも1つの放射線検出器14を備えた放射線検出器アセンブリ12を有する。図1の例示的な例では、放射線検出器アセンブリ12は、患者支持体16の頭部領域に埋め込まれた単一の放射線検出器スラブ14を有し、本明細書に記載の他の実施形態では、放射線検出器アセンブリは、2又はそれより多くの検出器スラブ、例えば、頭部の左右に、更に任意には部の頭頂部に配置される追加のスラブを有することができる。また、このような各検出器スラブは、独立した動作の2以上の検出器タイル、例えば、検出器タイルの2x2アレイが、図1に示される単一の放射線検出器スラブを構成することができることにも留意されたい。放射線検出器アセンブリ12は、患者Pが載っている患者支持体16と一体化されるか、又は別の方法で取り付けられることができる。放射線検出器アセンブリ12は、患者が患者支持体16上に横たわるときに、患者の一部(すなわち、頭部H)を受け入れるようにサイズ設計され、構成される。
【0025】
装置10はまた、少なくとも1つの電子プロセッサ20、少なくとも1つのユーザ入力装置(例えば、マウス、キーボード、トラックボールなど)22、及び/又は、表示装置24などの典型的なコンポーネントを有する、コンピュータ又は他の電子データ処理装置を備えるワークステーション18を有するか、又は他の場合にはかかるワークステーションに接続されることができる。なお、これらのコンポーネントは、さまざまに分布させることができる。例えば、電子プロセッサ20は、ワークステーション端末のローカルプロセッサと、ワークステーション端末によってアクセスされるサーバコンピュータのプロセッサとを有することができる。いくつかの実施形態において、表示装置24は、コンピュータ18から離れたコンポーネントとすることができる。ワークステーション18は更に、1又は複数のデータベースを有し、又は非一時記憶媒体26を有することができる。さまざまな非一時記憶媒体26は、非限定的な例示的な例として、磁気ディスク、RAID、又は他の磁気記憶媒体、ソリッドステートドライブ、フラッシュドライブ、電子消去可能リードオンリメモリ(EEROM)又は他の電子メモリ、光学ディスク又は他の光学ストレージ、それらのさまざまな組み合わせなどのうちの1又は複数を含むことができる。それらはまた、例えば単一のサーバRAID記憶装置のように、さまざまに組み合わされてもよい。表示装置24は、ユーザ入力装置22からユーザ入力を受け取るための1又は複数のフィールドを有するグラフィカルユーザインタフェース(GUI)28を表示するように構成される。
【0026】
特に、ワークステーション18は、少なくとも1つの放射線検出器14から放射線検出イベントのカウントを受け取るために、放射線検出器アセンブリ12と動作可能に接続される。これらのカウントは、ワークステーション18によってさまざまに処理され、及び/又は放射線検出器アセンブリ12の電子機器(このような電子機器は図1には示されていない)によって前処理されて、取得されたカウントデータのさまざまなフィルタリングなどを実行することができる。例えば、エネルギーフィルタリングは、放射線トレーサによって放射される無線放出粒子のエネルギー又はエネルギー範囲を包含するように位置付けられる規定されたエネルギーウィンドウの外にあるカウントをフィルタリングするために適用されることができる。例えば、陽電子を放出するPET放射性トレーサは、各陽電子-電子消滅イベントから放出される反対方向の511keVガンマ線を放出する。従って、この場合、エネルギーウィンドウは511keVを適切に包含する。前述したように、非イメージングの実施形態については、散乱によってエネルギーを失っており及びゆえに511keV未満の粒子エネルギーで検出される非弾性散乱ガンマ線を捕捉するために、実質的に低いエネルギーにまで拡張するようエネルギーウィンドウを設計することが企図される。一部の放射性トレーサは、ある範囲のエネルギーにわたって、ガンマ線、ベータ粒子、アルファ粒子、及び/又は他の電波放射を放出し、この場合、エネルギーウィンドウは好ましくはこの範囲にわたって広がる。また、エネルギーウィンドウは、特定の患者評価に使用される特定のタイプの放射性トレーサに合わせて調整されように構成可能なパラメータであることが企図され、それによって装置の柔軟性を高める。
【0027】
図2A図2Cは、放射線検出器アセンブリ12の別の例示的な実施形態を示す。図2Aは、放射線検出器アセンブリの「背面」図を示す。図2Aに示すように、放射線検出器アセンブリ12は、後部放射線検出器30(例えば、図1に描かれた単一の放射線検出器14と同じように配置される)及び2つの側部放射線検出器32のような、いくつかの放射線検出器14を有する。後部放射線検出器30及び2つの側部放射線検出器32は、患者の頭部Hを受け入れるようにサイズ設計されたキャビティCを画定するように構成され又は他のやり方で構成される。後部放射線検出器30は、キャビティC内に配置されることができる頭部の後部をビューするように構成され、2つの側部放射線検出器32は、キャビティ内に配置される頭部の左側部及び右側部をビューするように構成される。一例では、後部放射線検出器30及び2つの側部放射線検出器32はそれぞれ、(図示のように)平面放射線検出面を有する。別の例では、後部放射線検出器30及び2つの側部放射線検出器32は、キャビティC内に配置される頭部の形状に適合するように形作られた表面放射線検出面(図示せず)を有する。側部検出器32は、それらが設けられている場合には、投与される放射性医薬品の投薬量を更に減少させることができるように、追加のカウントをもたらす。いくつかの実施形態では、頭頂部放射線検出器34(破線で示される)が、キャビティCを更に画定し及び更なるカウントを提供するために含まれ、キャビティ内に配置される頭部Hの頭頂部(すなわち上部)をビューするように構成される。いくつかの実施形態では、放射線検出器アセンブリ12は、放射線吸収材料(例えば、鉛などの高い原子量材料、又は鉛ガラスなどの高い原子量元素を含有する複合材料若しくは他のマトリックス)を含み及び患者の一部(すなわち、首)の周りに配置されるよう形作られサイズ設計された放射線遮蔽カラー36(図1を参照)を更に有する。任意の放射線遮蔽カラー36が、胴体及び/又は身体の他の部分からの迷放射線が頭部Hを取り囲む検出器14に到達するのを阻止するとともに、頭部Hを機械的に安定させる役割も果たすことができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、放射線検出器アセンブリ12は、放射線検出器アセンブリを使用して放射線カウントが検出されるデータ取得時間間隔の間、放射線検出器14を移動させるように構成されるロボットアクチュエータを具備しない。他の実施形態では、調整可能な支持体38は、側部放射線検出器32及び患者支持体14に取り付けられて、側部放射線検出器をキャビティCから調整可能な距離に移動させ、位置付ける。
【0029】
図2Aに示すように、放射線検出器アセンブリ12は、放射線コリメータを有さず、また、装置10は、放射線検出器アセンブリを用いて検出された放射線カウントにタイムスタンプを割り当てるタイムスタンピング回路も有しない。(しかしながら、個々のカウントにタイムスタンプを付すのではなく、取得されたカウントのデータセットにテスト日付を割り当てることができることに留意されたい。他の実施形態において、少なくとも1つの放射線コリメータプレート40(図2B参照)又はコインシデンス検出回路42(図2C参照)のいずれかが、放射線検出器14によって検出される放射線をコリメートする放射線検出器アセンブリ12に含まれる。(より具体的には、コリメータプレート40が結合された放射線検出器に、線又は狭角円錐に沿って進む放射線のみを通過させ、その結果、検出される放射線はコリメートされる)。後部放射線検出器30及び2つの側部放射線検出器32のそれぞれは、コリメータを搭載したハードウェア44を有し、このハードウェアを介して放射線コリメータプレートの1つが平面放射線検出表面に搭載可能である。いくつかの例では、放射線コリメータプレート40は、スラット又はハニカム放射線コリメータプレートを含むことができ、コリメータを搭載したハードウェア44は、スラット又はハニカムコリメータプレートを受け入れて保持するように構成される対応するスリットを有する。このようなコリメーションを用いて、少なくとも1つの電子プロセッサ20は、検出された放射線カウントを画像(例えば、スラットコリメータの場合には1次元画像、ハニカムコリメータの場合には2次元画像又は3次元画像)に再構成するようにプログラムすることができる。そのような画像再構成は、SPECT撮像データを再構成する際に従来から使用されているものなど、任意の適切な画像再構成技法を使用することができる。別の実施形態では、放射性トレーサが、反対方向の511keVガンマ線に減衰する陽電子を放出するPET放射性トレーサである場合、コインシデンス検出が採用されることができ、その場合、コインシデンスの511keV検出イベントは、適切な時間ウィンドウを使用して検出され、511keV検出の各対がカウントを形成する。この場合、任意の従来のPET再構成技法を使用して、カウントが画像に再構成されることができる。いくつかの例では、放射線検出器アセンブリ12は、放射線検出器アセンブリによって監視される脳の組織の少なくとも半分から発する放射線カウントを検出するように構成される。
【0030】
図1を再び参照すると、システム10は、βアミロイド(又は他の標的アミロイド若しくは蛋白質)評価を実施する方法又はプロセス100を実施するように構成される。この目的のために、非一時記憶媒体26は、ワークステーション18の少なくとも1つの電子プロセッサ20によって読み取り可能で実行可能な命令を記憶して、ベータアミロイド評価を実行する方法又はプロセス100を実行することを含む開示された動作を実行する。いくつかの例では、方法100は、クラウド処理によって少なくとも部分的に実行されることができる。
【0031】
図3を参照すると、ベータアミロイド評価を実施する方法100の例示的な実施形態がフローチャートとして概略的に示されている。方法100を開始するために、患者は患者支持体16上に配置される(例えば、横たえられる)。次に、放射性トレーサが患者支持体16上に配置された状態の患者に投与される。(あるいは放射性トレーサは、患者支持体上に患者を配置する前に投与されてもよいが、患者が患者支持体上に既に配置された状態で放射性トレーサを投与することは、投与とカウント測定のための時間間隔との間のより正確なタイミングを提供することができる。102において、少なくとも1つの電子プロセッサ20は、放射線検出器アセンブリ12の検出器14を制御して(又はいくつかの実施形態では単に読み取って)、データ取得時間隔にわたって放射線カウントを検出するようにプログラムされる。検出することは、データ取得の時間間隔にわたって、位置付けられた患者の脳の少なくとも半分(いくつかの好ましい実施形態では、脳のより小さい部分を監視することも企図される)からシングルスの放射線カウントを連続的に検出することを含む。いくつかの例では、シングルスの放射線カウントが、放射線のコリメーションなしに、及び個々のカウントに対するタイムスタンプを決定し割り当てることなしに、検出される。
【0032】
104において、少なくとも1つの電子プロセッサ20は、検出された放射線カウントから少なくとも1つの現在のカウントメトリックを計算するようにプログラムされる。いくつかの例では、少なくとも1つの現在のカウントメトリックは、データ取得の時間間隔にわたって検出されたカウントレート及び合計カウントのうちの少なくとも1つを含む。この例では、少なくとも1つの現在のカウントメトリックの計算が、少なくとも1つの現在のカウントメトリックを、患者の体重、患者の年齢、患者の性別、及び患者の民族性のうちの1つ又は複数によってスケーリングすることを含む。スケーリングは例えば、患者の年齢に基づいてスケーリング係数を適用するルックアップテーブル、又は患者の体重に比例するスケーリング係数などを使用して、経験的に決定されてもよい。別の意図される調整として、放射性トレーサの放射能は患者への投与前に、又は投与中に(例えば、放射性トレーサ溶液を患者の血管に静脈内供給する流体チューブの放射能を監視するガイガーカウンターを使用して)測定されることができる。カウントメトリックは、放射性トレーサの実際に測定された放射能に比例してスケーリングされてもよい。この調整は、放射性トレーサの注入用量の日々の変動を考慮する。
【0033】
少なくとも106において、少なくとも1つの電子プロセッサ20は、現在のテスト日付に関連付けられる少なくとも1つの現在のカウントメトリックを、非一時記憶媒体26に記憶するようにプログラムされる。(テスト日付は、個々の放射線検出カウントのタイムスタンプではなく、全体としてデータセットに関連付けられる。従って、任意には、例えばカレンダ日付を記憶するが、時刻は記憶しないことは、比較的低い時間分解能でありうる。
【0034】
少なくとも108で、少なくとも1つの電子プロセッサ20は、少なくとも1つの現在のカウントメトリックと、以前のテスト日付に関連付けられた非一時記憶媒体26に記憶されたカウントメトリックとの比較に基づいて、ベータアミロイドメトリックを決定するようにプログラムされる。ベータアミロイドメトリック(又はより一般的にはアミロイドメトリック、又はより一般的には患者Pの頭部Hにおける標的蛋白質の沈着のメトリック)は例えば、現在のカウントメトリックと以前のテスト日付のカウントメトリックとの間のパーセント変化であってもよい。
【0035】
110において、特定の撮像に関する実施形態の場合、少なくとも1つの電子プロセッサ20は、SPECTタイプのイメージングにおいてコリメータによって、又はPETタイプのコインシデンス検出によって提供されるイベントの空間的な位置特定から再構成される画像に基づいて、測定されたカウントの総数又はカウントレートから1次元(1D)カウントプロファイルラインを生成するようにプログラムされる。
【0036】
112において、少なくとも1つの電子プロセッサ20は、ベータアミロイドメトリックを表示するとともに、(生成される場合)その外側領域にピークを有し、その中央部分にトラフを有する生成されるカウントプロファイルラインを表示するように、ディスプレイ24を制御するようプログラムされる。現在のカウントメトリックおよび以前のテスト日付のカウントメトリックなどの他の情報が表示されることもできる。非一時記憶媒体26に記憶されている2以上の過去のテストがある場合、テスト日付の関数として各テストのカウントメトリックをプロットするなど、任意に1又は複数のトレンドラインがプロットされることができる。このようなトレンドラインの表示は、臨床医がカウントメトリック(及び、推論によって、βアミロイド沈着)が増加しているかどうか、そして、増加している場合にはどのような速度で増加しているかを直ちに視覚的に知覚することを可能にする。これらのさまざまなメトリックはまた、それが臨床的意義を与えられる前に、テストオーバーテストのカウントメトリックがどの程度の大きさであるべきかの経験的分析に基づいて、関連する不確実性又は統計的有意性の値をもつことができる。また、ベータアミロイドメトリック及び他の表示されるメトリック(例えば、いくつかの検査にわたるカウントメトリックのトレンドライン)は、身体検査+B156、精神的想起のレベルのような患者報告症状への問診などの他の情報と併せて、患者Pがアルツハイマー病(又は脳内のターゲットアミロイド又は蛋白質の蓄積に関連する他の疾患)であると診断されるべきかどうかを評価する際に、臨床医によって考慮されるための単なる臨床情報であることにも注意されたい。
【0037】
ベータアミロイドメトリック(108で生成される)及び/又はカウントプロフィールライン(110で生成される)は、追加的又は代替的に、患者のフォローアップ治療に使用されてもよい。例えば、投薬が、アミロイド沈着を抑制するために投与される場合、患者は、投薬療法の有効性を決定するために、投薬療法の間(例えば、βアミロイド評価方法100を使用して)モニターされることができる。有利なことに、(高コスト及び必要な高放射性医薬品投与を伴う完全PETイメージングシステムを使用する代わりに)低放射性医薬品投与及びシステム10の使用は、患者のより頻繁なモニタリングを可能にする。
【0038】
例示的な実施例は、専用システム10を使用するが、システム10によって得られるβアミロイドメトリック及びカウントプロファイルラインは、代替実施形態では、例えば、コインシデンス検出回路を含み画像再構成を実行するように構成された従来のPET撮像システムを使用して取得することができることに留意されたい。
【0039】
図4は、生成されたカウントプロファイル(すなわち、トレンド)ラインの仮定的な例を示す。図4に概略的に示されるように、アミロイドトレーサの取り込み(例えば、カウントレート又は総カウントのようなカウントメトリックによって測定される)は、連続するテスト日付の期間にわたって比較されることができる(例えば、テストは2年ごとに、例えば、図4の仮定的な例において2018年、2020年、2022年、2024年、及び2026年に実施されることができる)。現在のテストが統計的に有意な摂取量の増加を示している場合(仮定的な図4では2026年のテストのように、2024年及び前年の結果よりも比較的大きな増加を示す)、患者は、特に年齢、職業又は家族歴に基づくリスク群にいる場合、更なるテストに紹介されることがある。別のテストが、トレンドを確認するために、ある期間の後に図1の装置を使用して実行されてもよい。少なくとも2回の反復スキャン(例えば、ある程度時間差がある)が、アミロイドーシスリスク評価に寄与する(患者の報告による精神的鋭さなどの他の因子を伴う)ために、臨床的に重要であると考えられる。
【0040】
前述のアプローチは、過去のカウントメトリック(単数又は複数)をもたらす1つ又は複数の過去のテストがあり、それに対して現在のテストのカウントメトリックが比較されることを前提としていることに留意されたい。所定の患者にテストが初めて実施されると、比較すべき過去の結果がないため、その最初のテストから臨床的に有用な情報を単独で引き出すことは困難又は不可能である。いくつかの実施形態において、第1のテスト結果を、類似の患者コホートに対する典型的な値と比較することが意図される。現在の患者がこれらの類似の患者と比較して、はるかに高いカウントレート(又は他のカウントメトリック)を有する場合、特にそれが、患者が報告した物忘れ又はアルツハイマー病の発症の他の徴候によって支持される場合、臨床医によって何らかの結論が導き出されることができる。しかしここで強調されるように、数年にわたるテスト結果のトレンドから導き出される臨床的結論は、臨床的に意味のある情報をもたらす可能性がより高いと期待される。
【0041】

装置10は、アミロイド蓄積のリスクについての大規模(例えば、集団レベル)スクリーニングを利用可能にする低コストのアミロイドスクリーニングツールを提供するように構成される。患者にミクロ用量のアミロイド特定放射性トレーサを注入し、取り込み時間の後、例えば、ガンマカメラを用いて患者頭部の放射能増加量を評価して、取得されたシングルヒットの数をカウントする。スキャンは、毎年又は臨床医が処方した基準で繰り返され、現在のテストについて得られたシングルスのカウントレート(及び/又は他のカウントメトリック)は、過去のテストについてのカウントレートと比較されて、潜在的なアミロイドプラーク蓄積のトレンドを決定する。その傾向がポジティブ(より最近のテストでの取り込み増加)となった場合には、患者を更なるテストに紹介してもよい。このような提案されたスクリーニングは、安価な検出器を使用してシングルレートを測定することができ、断層画像を作成する必要がなく、放射能のマイクロキュリーのみを使用することができるので、手頃である。
【0042】
装置10は、歯科及び胸部X線(0.1~0.005mSv)のような他の日常的検査と同等で、低線量CT肺スクリーニング(1.5mSv)のそれよりもはるかに低い、患者が可能な限りアミロイドスクリーニングを利用できるようにするための余地を増し、放射線負担を軽減するように構成されている。
【0043】
このような装置を用いて、アルツハイマー病の発症リスクが高いグループに属する患者、あるいは一般集団に属する患者が、装置10を用いて毎年(あるいは他の臨床的に確立されたレートで)検査を受けることが企図される。患者の検査は、アミロイドプラークに結合する小さい制御された放射性トレーサ、例えば、フロルベタピル又はフルテメタモールの注入から始まる。取り込み期間の後、患者の頭部は、コリメーションなしにシングルス検出モードで動作する核医学カメラ上で走査される。シングルスのレート(又はシングルスの総数)のみが記録される必要がある。
【0044】
検出器14は、例えば図2A図2Cを参照して説明したように、追加の放射線感受性ブロックで患者の頭部の周りを任意に取り囲むことができる。座位又は立位でのスキャンも考えられる。例えば、例示的な放射線遮蔽カラー36を使用して、及び/又は検査中に患者の上にリードシャツを置くことなどによって、検出器部分を身体の残りの部分から来る放射線からできるだけ遮蔽することも有利である。
【0045】
スキャンは年1回(又は他の臨床的に確立された割合)で繰り返される。対応する注入用量に対して得られたカウントをスケーリングし(すなわち、投与された放射性トレーサの放射能によってスケーリングし)、取り込み期間及び取得時間が各テストについて同じであることを確実にすること、並びに同じタイプのトレーサを使用すること(又は変換係数を使用すること)が、スキャンシリーズを直接比較可能にするために有利である。代替として、これらのファクタを一定にすることができない場合(例えば、以前のテストで使用された放射性トレーサが利用できなくなった場合)、経験的情報に基づいて、カウントメトリックの適切なスケーリングが使用されることができる。
【0046】
通常の老化は、プラーク沈着の増加をもたらし、偽陽性をもたらす可能性があり、これもまた、カウントメトリックをスケーリングすることによって任意に考慮されることができる。また、アミロイド沈着が脳組織に蓄積し始める前に、健常な取り込み期間中のカウントメトリック(複数)のベースラインを提供するに十分な早い時期にテストを開始することが有益である。ベータアミロイドプラーク沈着の増加がCTEにも関連しているため、この追跡を開始し、プロフットボール選手など特定の職種の患者に対して、より頻繁に実施することが特に有益である。
【0047】
機械学習技術は、偽陽性のリスクを減少させるためにスクリーニング定量化に影響を及ぼし得る係数及び変数(例えば、年齢、性別、民族性など)の影響を決定し、経験的に定量化するために任意に使用されることができる。例えば、年間にわたる患者のボディマスインデックス(BMI)の任意の変化が、相対的な取り込み比に影響を及ぼし得る。
【0048】
各スクリーニングテストは、同じカメラ又は検出器14を使用して実施されることが有益である。これが可能でない場合、異なるカメラを使用することができるが、2つのカメラ間の感度変換係数を適用して、再現性及び測定値の一致を保証することが好ましい。
【0049】
装置10は、十分な停止力を有する低コストの放射線検出電子機器を使用することができ、一例では、この目的のためにビスマスゲルマネートオキシド(BGO)検出器を使用することができる。選択肢としてPET撮像が望まれない限り、コインシデンスモードは必要ではなく、したがって、シングルス検出モード及び検出器14に対する被検体の近い位置付けのために、感度の増加が企図される。更に、撮像が行われない実施形態では、従来のPET又はSPECTシステムの場合のように、「画像ボクセル当たりの最小検出カウント」などの要件はない。脳内の減衰は、患者の一生を通じてほぼ一定に保たれるので、CT取得も、減衰マップのための他のソースも、必要とされない。むしろ、患者Pの頭部Hにおける減衰の影響は、同一患者Pに対して実施された過去のテストからの過去のカウントメトリックと現在のカウントメトリックの比較に基づいて、アミロイドメトリックを生成することによって、自動的に考慮される。
【0050】
取得中に10万個のシングルカウントが検出されるとしても、結果として生じる信号ノイズ(ポアソンプロセスあたり)は、信号のわずか0.5%未満を構成するだけである。これは、アミロイドトレーサの注入量がマイクロCiレベルのみで済むため、従来のPETに比べ1000倍以上の投与量削減が可能となり、放射線負荷に関して歯科X線検査に匹敵するスキャンとなることを意味している。
【0051】
本開示は、好ましい実施形態を参照して説明されてきた。当業者であれば、前述の詳細な説明を読み理解することにより、修正及び変更を思い付くことができる。本発明は、添付の請求項の範囲及びその均等物の範囲内に入る限り、そのような全ての修正及び変更を含むように構成されることが意図される。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-01-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
臨床評価を実施する装置であって、
少なくとも1つの放射線検出器を有する放射線検出器アセンブリと、
少なくとも1つの電子プロセッサであって、
前記放射線検出器アセンブリを使用して、データ取得の時間間隔にわたって、患者に投与された、標的蛋白質と結合する放射性トレーサからの放射線カウントを検出するステップと、
前記検出された放射線カウントから少なくとも1つの現在のカウントメトリックを計算するステップと、
前記少なくとも1つの現在のカウントメトリックと、以前のカウントメトリックとの比較に基づいて、前記標的蛋白質の沈着のメトリックを決定するステップと、
を実行するようにプログラムされた電子プロセッサと、
を有する装置。
【請求項2】
前記放射線検出器アセンブリが更に、放射線吸収材料を含み、首の周りに配置されるように形作られサイズ設計された放射線遮蔽カラー、を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記放射線検出器アセンブリが更に、
後部放射線検出器と、
2つの側部放射線検出器と、
を有し、前記後部放射線検出器及び前記2つの側部放射線検出器は、頭部を受け入れるようにサイズ設計されたキャビティを規定するように構成され、前記後部放射線検出器は、前記キャビティ内に配置される前記頭部の後部をビューするように構成され、前記2つの側部放射線検出器は、前記キャビティ内に配置される前記頭部の左側及び右側をビューするように構成される、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記放射線検出器アセンブリは更に、前記キャビティを更に規定するように構成される頭頂部放射線検出器を有し、前記頭頂部放射線検出器は、前記キャビティ内に配置される前記頭部の頭頂部をビューするように構成される、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記放射線検出器アセンブリは、放射線コリメータを有さず、前記装置は、前記放射線検出器アセンブリを使用して検出された放射線カウントにタイムスタンプを割り当てるタイムスタンプ回路を有さず、前記検出された放射線カウントから前記少なくとも1つの現在のカウントメトリックを計算する前記ステップは、前記検出された放射線カウントに対して画像再構成を実行する処理を含まない、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記放射線検出器アセンブリは、(i)少なくとも1つの放射線コリメータ、又は(ii)前記放射線カウントを放射線コインシデンスカウントとして取得するコインシデンス検出回路、の一方を有し、
前記少なくとも1つの電子プロセッサは更に、前記検出された放射線カウントを再構成して画像を生成するようにプログラムされる。請求項1乃至4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記放射線検出器アセンブリは、少なくとも1つのスラット放射線コリメータを有し、前記少なくとも1つの電子プロセッサは更に、前記検出された放射線カウントを再構成して1次元画像を生成するようにプログラムされる、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記放射線検出器アセンブリは、前記放射線検出器アセンブリを使用して放射線カウントが検出されるデータ取得の時間間隔の間に、前記少なくとも1つの放射線検出器を移動させるロボットアクチュエータを有しない、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの現在のカウントメトリックは、前記データ取得の時間間隔にわたって検出されたカウントレート及び合計カウントのうち少なくとも一方を含み、前記少なくとも1つの現在のカウントメトリックを計算する前記ステップは、前記少なくとも1つの現在のカウントメトリックを、患者の体重、患者の年齢、患者の性別、及び患者の民族性のうち1つ又は複数によってスケーリングすることを含む、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記放射線検出器アセンブリは、前記放射線検出器アセンブリによって監視される脳の少なくとも半分から発せられる放射線カウントを検出するように構成される、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
臨床評価を実施する方法であって、
少なくとも1つの放射線検出器を有する放射線検出器アセンブリを使用して、撮像データを得るステップと、
データ取得の時間間隔にわたって、患者に投与された、標的蛋白質と結合する放射性トレーサからの放射線カウントを検出するステップと、
前記検出された放射線カウントから少なくとも1つの現在のカウントメトリックを計算するステップと、
前記少なくとも1つの現在のカウントメトリックと以前のカウントメトリックとの比較に基づいて、前記標的蛋白質の沈着のメトリックを決定するステップと、
を有する方法。
【請求項12】
前記決定された沈着のメトリックを使用して前記患者のフォローアップ評価を実施するステップを更に有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記検出されたカウントの総数又はカウントレートから1次元カウントプロファイルラインを生成するステップと、その外側領域にピークを有し、その中央部分にトラフを有する前記生成されたカウントプロファイルラインを表示するようにディスプレイを制御する、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記検出するステップは、前記患者の脳の少なくとも半分からのシングルスの放射線カウントを、前記データ取得の時間間隔にわたって連続的に検出することを含む、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項15】
前記シングルスの放射線カウントは、放射線のコリメーションなしで検出される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記標的蛋白質がβアミロイドを有する、請求項11乃至15のいずれか1項に記載の方法。
【外国語明細書】