(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024023634
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】導波管セル内のホログラフィック格子の高スループット記録のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G03H 1/04 20060101AFI20240214BHJP
【FI】
G03H1/04
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023209337
(22)【出願日】2023-12-12
(62)【分割の表示】P 2020537534の分割
【原出願日】2018-08-29
(31)【優先権主張番号】62/663,864
(32)【優先日】2018-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/614,813
(32)【優先日】2018-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/703,329
(32)【優先日】2018-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/614,831
(32)【優先日】2018-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/614,932
(32)【優先日】2018-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】509325972
【氏名又は名称】ディジレンズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ウォルダーン, ジョナサン デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】グラント, アラステア ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ポポヴィッチ, ミラン モムシロ
(72)【発明者】
【氏名】モラッド, ラトソン
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ, ショーン マイケル
(57)【要約】
【課題】導波管セル内のホログラフィック体積格子は、本発明の種々の実施形態による多くの異なる方法およびシステムを使用して記録されることができる。
【解決手段】一実施形態は、記録ビームを放出するように構成される、少なくとも1つのレーザ源と、第1の位置と第2の位置との間で移動するように構成される、移動可能プラットフォームとを含む、ホログラフィック記録システムを含み、移動可能プラットフォームが第1の位置にあるとき、少なくとも1つのレーザ源は、1つ以上の記録ビームの第1のセットを1つ以上のステーションの第1のセットに向かって放出するように構成され、移動可能プラットフォームが第2の位置にあるとき、少なくとも1つのレーザ源は、1つ以上の記録ビームの第2のセットを1つ以上のステーションの第2のセットに向かって放出するように構成される。
【選択図】
図11B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホログラフィック記録システムであって、
記録ビームを放出するように構成される少なくとも1つのレーザ源と、
導波管セルの第1のセットを格納するように構成される1つ以上のステーションの第1のセットと、
導波管セルの第2のセットを格納するように構成される1つ以上のステーションの第2のセットと、
第1の位置と第2の位置との間で移動するように構成される移動可能プラットフォームと、を備え、
前記移動可能プラットフォームが前記第1の位置にあるとき、前記少なくとも1つのレーザ源は、1つ以上の記録ビームの第1のセットを前記1つ以上のステーションの第1のセットに向かって放出するように構成され、
前記移動可能プラットフォームが前記第2の位置にあるとき、前記少なくとも1つのレーザ源は、1つ以上の記録ビームの第2のセットを前記1つ以上のステーションの第2のセットに向かって放出するように構成される、ホログラフィック記録システム。
【請求項2】
複数のミラーをさらに備え、
前記移動可能プラットフォームが前記第1の位置にあるとき、前記少なくとも1つのレーザ源は、前記1つ以上の記録ビームの第1のセットを指向するように前記複数のミラーを使用することによって、前記1つ以上の記録ビームの第1のセットを前記1つ以上のステーションの第1のセットに向かって放出するように構成される、請求項1に記載のホログラフィック記録システム。
【請求項3】
前記1つ以上の記録ビームの第1のセットは、第1の記録ビームと、第2の記録ビームとを含む、請求項1に記載のホログラフィック記録システム。
【請求項4】
前記少なくとも1つのレーザ源は、第1のレーザ源と、第2のレーザ源とを備え、
前記移動可能プラットフォームが前記第1の位置にあるとき、前記第1のレーザ源は、前記第1の記録ビームを前記1つ以上のステーションの第1のセットに向かって放出するように構成され、前記第2のレーザ源は、前記第2の記録ビームを前記1つ以上のステーションの第1のセットに向かって放出するように構成される、請求項3に記載のホログラフィック記録システム。
【請求項5】
ビームスプリッタをさらに備え、前記少なくとも1つのレーザ源は、初期ビームを前記ビームスプリッタに向かって放出することによって、前記第1および第2の記録ビームを放出するように構成される、請求項3に記載のホログラフィック記録システム。
【請求項6】
前記1つ以上のステーションの第1のセットは、第1のステーションを備え、
前記移動可能プラットフォームが前記第1の位置にあるとき、前記少なくとも1つのレーザ源は、前記第1および第2の記録ビームを前記第1のステーションに向かって放出するように構成される、請求項3に記載のホログラフィック記録システム。
【請求項7】
前記1つ以上のステーションの第1のセットは、第1のステーションと、第2のステーションとを備え、
前記移動可能プラットフォームが前記第1の位置にあるとき、前記少なくとも1つのレーザ源は、前記第1の記録ビームを前記第1のステーションに向かって放出し、前記第2の記録ビームを前記第2のステーションに向かって放出するように構成される、請求項3に記載のホログラフィック記録システム。
【請求項8】
前記移動可能プラットフォーム上に搭載されるビームスプリッタをさらに備え、
前記移動可能プラットフォームが前記第1の位置にあるとき、前記少なくとも1つのレーザ源は、初期ビームを前記ビームスプリッタに向かって放出することによって、前記第1および第2の記録ビームを放出するように構成される、請求項7に記載のホログラフィック記録システム。
【請求項9】
前記移動可能プラットフォーム上に搭載されるビームスプリッタの対と、定常ビームスプリッタとをさらに備え、
前記1つ以上のステーションの第1のセットは、第1のステーションと、第2のステーションとを備え、
前記1つ以上の記録ビームの第1のセットは、第1の記録ビーム、第2の記録ビーム、第3の記録ビーム、および第4の記録ビームを含み、
前記移動可能プラットフォームが前記第1の位置にあるとき、前記少なくとも1つのレーザ源は、前記第1の記録ビームおよび前記第2の記録ビームを前記第1のステーションに向かって放出し、前記第3の記録ビームおよび前記第4の記録ビームを前記第2のステーションに向かって放出するように構成され、前記第1の記録ビーム、前記第2の記録ビーム、前記第3の記録ビーム、および前記第4の記録ビームは、前記ビームスプリッタの対および前記定常ビームスプリッタを使用して形成される、請求項1に記載のホログラフィック記録システム。
【請求項10】
前記ステーションの第1のセットおよび前記ステーションの第2のセット内の各ステーションは、周囲光をフィルタ処理して取り除くための光学フィルタを備える、請求項1に記載のホログラフィック記録システム。
【請求項11】
体積格子を記録するための方法であって、
少なくとも1つのレーザ源を使用して、1つ以上の記録ビームの第1のセットを放出することと、
移動可能プラットフォーム上に搭載される少なくとも1つの光学コンポーネントを使用して、前記放出された1つ以上の記録ビームの第1のセットを1つ以上のステーションの第1のセット内に格納される1つ以上の導波管セルの第1のセットに向かって指向することと、
前記1つ以上の導波管セルの第1のセット内に1つ以上の体積格子の第1のセットを記録することと、
前記移動可能プラットフォームを再位置付けすることと、
前記少なくとも1つのレーザ源を使用して、1つ以上の記録ビームの第2のセットを放出することと、
前記移動可能プラットフォーム上に搭載される前記少なくとも1つの光学コンポーネントを使用して、前記放出された1つ以上の記録ビームの第2のセットを1つ以上のステーションの第2のセット内に格納される1つ以上の導波管セルの第2のセットに向かって指向することと、
前記1つ以上の導波管セルの第2のセット内に1つ以上の体積格子の第2のセットを記録することと、を含む方法。
【請求項12】
前記1つ以上の記録ビームの第1のセットは、第1の記録ビームと、第2の記録ビームとを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つのレーザ源は、第1のレーザ源と、第2のレーザ源とを備え、
前記第1の記録ビームは、前記第1のレーザ源によって放出され、前記第2の記録ビームは、前記第2のレーザ源によって放出される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の記録ビームおよび前記第2の記録ビームは、初期ビームをビームスプリッタに向かって放出することによって形成される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記1つ以上の導波管セルの第1のセットは、第1の導波管セルを備え、
放出された前記第1の記録ビームおよび前記第2の記録ビームは、前記第1の導波管セルに向かって指向される、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記1つ以上の導波管セルの第1のセットは、第1の導波管セルと、第2の導波管セルとを備え、
放出された前記第1の記録ビームは、前記第1の導波管セルに向かって指向され、放出された前記第2の記録ビームは、前記第2の導波管セルに向かって指向される、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の記録ビームおよび前記第2の記録ビームは、初期ビームを前記移動可能プラットフォーム上に搭載されるビームスプリッタに向かって放出することによって形成される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つの光学コンポーネントは、第1の搭載されるビームスプリッタと、第2の搭載されるビームスプリッタとを備え、
前記1つ以上の導波管セルの第1のセットは、第1の導波管セルと、第2の導波管セルとを備え、
前記1つ以上の記録ビームの第1のセットは、
少なくとも1つのレーザ源を使用して、初期記録ビームを定常ビームスプリッタに向かって放出し、第1の記録ビームおよび第2の記録ビームを形成することと、
前記第1の記録ビームを前記第1の搭載されるビームスプリッタに向かって指向し、第1の記録サブビームおよび第2の記録サブビームを形成することと、
前記第2の記録ビームを前記第2の搭載されるビームスプリッタに向かって指向し、第3の記録サブビームおよび第4の記録サブビームを形成することと、によって放出され、
放出された前記1つ以上の記録ビームの第1のセットは、
前記第1および第3の記録サブビームを前記第1の導波管セルに向かって指向することと、
前記第2および第4の記録サブビームを前記第2の導波管セルに向かって指向することと、によって、1つ以上の導波管セルの第1のセットに向かって指向される、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記1つ以上の体積格子の第1のセットは、単一ビーム干渉プロセスを使用して記録される、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
ホログラフィック記録システムであって、
レーザ源と、
第1のステーション、第2のステーション、第3のステーション、および第4のステーションであって、各ステーションは、露光スタックと、導波管セルステージとを備え、前記導波管セルステージは、
導波管セルを格納することと、
前記導波管セルの表面が前記露光スタックの表面に平行であるように前記導波管セルを位置付けることと、
微小移動を考慮しながら前記導波管セルの位置を維持することと
を行うように構成される、第1のステーション、第2のステーション、第3のステーション、および第4のステーションと、
定常ビームスプリッタの対と、
軌道上に搭載される移動可能プラットフォームであって、前記軌道に沿って第1の位置と第2の位置との間で移動するように構成される移動可能プラットフォームと、
前記移動可能プラットフォーム上に搭載される3つのビームスプリッタと、を備え、
前記移動可能プラットフォームが前記第1の位置にあるとき、前記レーザ源は、
第1の初期記録ビームを前記定常ビームスプリッタの対に向かって放出し、3つの記録ビームの第1のセットを形成すること、および、前記3つの記録ビームの第1のセットを前記搭載される3つのビームスプリッタに向かって指向し、6つの記録サブビームの第1のセットを形成することによって、前記6つの記録サブビームの第1のセットを同時に放出することと、
前記6つの記録サブビームの第1のセット内の3つの記録サブビームを前記第1のステーションに向かって指向することと、
前記6つの記録サブビームの第1のセット内の他の3つの記録サブビームを前記第2のステーションに向かって指向することと、を行うように構成され、
前記移動可能プラットフォームが前記第2の位置にあるとき、前記レーザ源は、
第2の初期記録ビームを前記定常ビームスプリッタの対に向かって放出し、3つの記録ビームの第2のセットを形成すること、および、前記3つの記録ビームの第2のセットを前記搭載される3つのビームスプリッタに向かって指向し、6つの記録サブビームの第2のセットを形成することとによって、前記6つの記録サブビームの第2のセットを同時に放出することと、
前記6つの記録サブビームの第2のセット内の3つの記録サブビームを前記第3のステーションに向かって指向することと、
前記6つの記録サブビームの第2のセット内の他の3つの記録サブビームを前記第4のステーションに向かって指向することと、を行うように構成される、ホログラフィック記録システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、格子を記録するためのプロセスおよび装置に関し、より具体的には、導波管セル内にホログラフィック体積格子を記録するためのプロセスおよび装置に関する。
【背景技術】
【0002】
導波管は、波を閉じ込め、誘導する(すなわち、波が伝搬し得る空間領域を制限する)能力を伴う構造と称されることができる。1つのサブクラスは、電磁波、典型的には、可視スペクトルにおけるものを誘導し得る構造である、光導波管を含む。導波管構造は、いくつかの異なる機構を使用して波の伝搬経路を制御するように設計されることができる。例えば、平面導波管は、回折格子を利用し、入射光を回折させ、導波管構造の中に結合するように設計されることができ、したがって、内部結合された光は、全内部反射(「TIR」)を介して平面構造内で進行し続けることができる。
【0003】
導波管の加工は、導波管内のホログラフィック光学要素の記録を可能にする材料システムの使用を含むことができる。そのような材料の1つのクラスは、光重合性モノマーと、液晶とを含有する混合物である、ポリマー分散液晶(「PDLC」)混合物を含む。そのような混合物のさらなるサブクラスは、ホログラフィックポリマー分散液晶(「HPDLC」)混合物を含む。体積位相格子等のホログラフィック光学要素は、2つの相互にコヒーレントなレーザビームを用いて材料を照射することによって、そのような液体混合物中に記録されることができる。記録プロセスの間、モノマーは、重合し、混合物は、光重合誘発相分離を受け、クリアなポリマーの領域が点在する、液晶微小液滴が密集する領域を作成する。交互する液晶が豊富な領域および液晶が空乏した領域は、格子のフリンジ面を形成する。
【0004】
上記に説明されるもの等の導波管光学系は、様々なディスプレイおよびセンサ用途のために考慮されることができる。多くの用途では、複数の光学機能をエンコードする1つ以上の格子層を含有する導波管が、種々の導波管アーキテクチャおよび材料システムを使用して実現され、拡張現実(「AR」)および仮想現実(「VR」)のための接眼ディスプレイ、航空および道路交通のためのコンパクトなヘッドアップディスプレイ(「HUD」)、およびバイオメトリックおよびレーザレーダ(「LIDAR」)用途のためのセンサにおける新しい革新を可能にすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第7018563号明細書
【特許文献2】米国特許第5942157号明細書
【特許文献3】米国特許第5751452号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態は、記録ビームを放出するように構成される、少なくとも1つのレーザ源と、導波管セルの第1のセットを格納するように構成される、1つ以上のステーションの第1のセットと、導波管セルの第2のセットを格納するように構成される、1つ以上のステーションの第2のセットと、第1の位置と第2の位置との間で移動するように構成される、移動可能プラットフォームとを含む、ホログラフィック記録システムを含み、移動可能プラットフォームが第1の位置にあるとき、少なくとも1つのレーザ源は、1つ以上の記録ビームの第1のセットを1つ以上のステーションの第1のセットに向かって放出するように構成され、移動可能プラットフォームが第2の位置にあるとき、少なくとも1つのレーザ源は、1つ以上の記録ビームの第2のセットを1つ以上のステーションの第2のセットに向かって放出するように構成される。
【0007】
別の実施形態では、ホログラフィック記録システムはさらに、複数のミラーを含み、移動可能プラットフォームが第1の位置にあるとき、少なくとも1つのレーザ源は、1つ以上の記録ビームの第1のセットを指向するように複数のミラーを使用することによって、1つ以上の記録ビームの第1のセットを1つ以上のステーションの第1のセットに向かって放出するように構成される。
【0008】
さらなる実施形態では、1つ以上の記録ビームの第1のセットは、第1の記録ビームと、第2の記録ビームとを含む。
【0009】
なおも別の実施形態では、少なくとも1つのレーザ源は、第1のレーザ源と、第2のレーザ源とを含み、移動可能プラットフォームが第1の位置にあるとき、第1のレーザ源は、第1の記録ビームを1つ以上のステーションの第1のセットに向かって放出するように構成され、第2のレーザ源は、第2の記録ビームを1つ以上のステーションの第1のセットに向かって放出するように構成される。
【0010】
なおもさらなる実施形態では、ホログラフィック記録システムはさらに、ビームスプリッタを含み、少なくとも1つのレーザ源は、初期ビームをビームスプリッタに向かって放出することによって、第1および第2の記録ビームを放出するように構成される。
【0011】
また別の実施形態では、1つ以上のステーションの第1のセットは、第1のステーションを含み、移動可能プラットフォームが第1の位置にあるとき、少なくとも1つのレーザ源は、第1および第2の記録ビームを第1のステーションに向かって放出するように構成される。
【0012】
またさらなる実施形態では、1つ以上のステーションの第1のセットは、第1のステーションと、第2のステーションとを含み、移動可能プラットフォームが第1の位置にあるとき、少なくとも1つのレーザ源は、第1の記録ビームを第1のステーションに向かって放出し、第2の記録ビームを第2のステーションに向かって放出するように構成される。
【0013】
別の付加的実施形態では、ホログラフィック記録システムはさらに、移動可能プラットフォーム上に搭載されるビームスプリッタを含み、移動可能プラットフォームが第1の位置にあるとき、少なくとも1つのレーザ源は、初期ビームをビームスプリッタに向かって放出することによって、第1および第2の記録ビームを放出するように構成される。
【0014】
さらなる付加的実施形態では、ホログラフィック記録システムはさらに、移動可能プラットフォーム上に搭載されるビームスプリッタの対と、定常ビームスプリッタとを含み、1つ以上のステーションの第1のセットは、第1のステーションと、第2のステーションとを含み、1つ以上の記録ビームの第1のセットは、第1、第2、第3、および第4の記録ビームを含み、移動可能プラットフォームが第1の位置にあるとき、少なくとも1つのレーザ源は、第1および第2の記録ビームを第1のステーションに向かって放出し、第3および第4の記録ビームを第2のステーションに向かって放出するように構成され、第1、第2、第3、および第4の記録ビームは、ビームスプリッタの対および定常ビームスプリッタを使用して形成される。
【0015】
再び、別の実施形態では、ホログラフィック記録システムはさらに、ビームスプリッタを含み、少なくとも1つのレーザ源は、初期ビームをビームスプリッタに向かって放出することによって、第1および第2の記録ビームを放出するように構成される。
【0016】
再び、さらなる実施形態では、1つ以上のステーションの第1のセットは、第1のステーションを含み、移動可能プラットフォームが第1の位置にあるとき、少なくとも1つのレーザ源は、第1および第2の記録ビームを第1のステーションに向かって放出するように構成される。
【0017】
なおもまた別の実施形態では、1つ以上のステーションの第1のセットは、第1のステーションと、第2のステーションとを含み、移動可能プラットフォームが第1の位置にあるとき、少なくとも1つのレーザ源は、第1の記録ビームを第1のステーションに向かって放出し、第2の記録ビームを第2のステーションに向かって放出するように構成される。
【0018】
なおもまたさらなる実施形態では、ホログラフィック記録システムはさらに、移動可能プラットフォーム上に搭載されるビームスプリッタを含み、移動可能プラットフォームが第1の位置にあるとき、少なくとも1つのレーザ源は、初期ビームをビームスプリッタに向かって放出することによって、第1および第2の記録ビームを放出するように構成される。
【0019】
なおも別の付加的実施形態では、ホログラフィック記録システムはさらに、移動可能プラットフォーム上に搭載されるビームスプリッタの対と、定常ビームスプリッタとを含み、1つ以上のステーションの第1のセットは、第1のステーションと、第2のステーションとを含み、1つ以上の記録ビームの第1のセットは、第1、第2、第3、および第4の記録ビームを含み、移動可能プラットフォームが第1の位置にあるとき、少なくとも1つのレーザ源は、第1および第2の記録ビームを第1のステーションに向かって放出し、第3および第4の記録ビームを第2のステーションに向かって放出するように構成され、第1、第2、第3、および第4の記録ビームは、ビームスプリッタの対および定常ビームスプリッタを使用して形成される。
【0020】
なおもさらなる付加的実施形態では、ステーションの第1および第2のセット内のステーションはそれぞれ、周囲光をフィルタ処理して取り除くための光学フィルタを含む。
【0021】
再び、なおも別の実施形態は、少なくとも1つのレーザ源を使用して、1つ以上の記録ビームの第1のセットを放出するステップと、移動可能プラットフォーム上に搭載される少なくとも1つの光学コンポーネントを使用して、放出された1つ以上の記録ビームの第1のセットを1つ以上のステーションの第1のセット内に格納される1つ以上の導波管セルの第1のセットに向かって指向するステップと、1つ以上の導波管セルの第1のセット内に1つ以上の体積格子の第1のセットを記録するステップと、移動可能プラットフォームを再位置付けするステップと、少なくとも1つのレーザ源を使用して、1つ以上の記録ビームの第2のセットを放出するステップと、移動可能プラットフォーム上に搭載される少なくとも1つの光学コンポーネントを使用して、放出された1つ以上の記録ビームの第2のセットを1つ以上のステーションの第2のセット内に格納される1つ以上の導波管セルの第2のセットに向かって指向するステップと、1つ以上の導波管セルの第2のセット内に1つ以上の体積格子の第2のセットを記録するステップとを含む、方法を含む。
【0022】
再び、なおもさらなる実施形態では、1つ以上の記録ビームの第1のセットは、第1の記録ビームと、第2の記録ビームとを含む。
【0023】
また別の付加的実施形態では、少なくとも1つのレーザ源は、第1のレーザ源と、第2のレーザ源とを含み、第1の記録ビームは、第1のレーザ源によって放出され、第2の記録ビームは、第2のレーザ源によって放出される。
【0024】
またさらなる付加的実施形態では、第1および第2の記録ビームは、初期ビームをビームスプリッタに向かって放出することによって形成される。
【0025】
再び、また別の実施形態では、1つ以上の導波管セルの第1のセットは、第1の導波管セルを含み、放出された第1および第2の記録ビームは、第1の導波管セルに向かって指向される。
【0026】
再び、またさらなる実施形態では、1つ以上の導波管セルの第1のセットは、第1の導波管セルと、第2の導波管セルとを含み、放出された第1の記録ビームは、第1の導波管セルに向かって指向され、放出された第2の記録ビームは、第2の導波管セルに向かって指向される。
【0027】
再び、別の付加的実施形態では、第1および第2の記録ビームは、初期ビームを移動可能プラットフォーム上に搭載されるビームスプリッタに向かって放出することによって形成される。
【0028】
再び、さらなる付加的実施形態では、少なくとも1つの光学コンポーネントは、第1の搭載されるビームスプリッタと、第2の搭載されるビームスプリッタとを含み、1つ以上の導波管セルの第1のセットは、第1の導波管セルと、第2の導波管セルとを含み、1つ以上の記録ビームの第1のセットは、少なくとも1つのレーザ源を使用して、初期記録ビームを定常ビームスプリッタに向かって放出し、第1の記録ビームおよび第2の記録ビームを形成し、第1の記録ビームを第1の搭載されるビームスプリッタに向かって指向し、第1の記録サブビームおよび第2の記録サブビームを形成し、第2の記録ビームを第2の搭載されるビームスプリッタに向かって指向し、第3の記録サブビームおよび第4の記録サブビームを形成することによって放出され、放出された1つ以上の記録ビームの第1のセットは、第1および第3の記録サブビームを第1の導波管セルに向かって指向し、第2および第4の記録サブビームを第2の導波管セルに向かって指向することによって、1つ以上の導波管セルの第1のセットに向かって指向される。
【0029】
なおもまた別の付加的実施形態では、1つ以上の体積格子の第1のセットは、単一ビーム干渉プロセスを使用して記録される。
【0030】
なおもまたさらなる付加的実施形態は、レーザ源と、第1、第2、第3、および第4のステーションであって、各ステーションは、露光スタックと、導波管セルステージとを含み、導波管セルステージは、導波管セルを格納し、導波管セルの表面が露光スタックの表面に平行であるように導波管セルを位置付け、微小移動を考慮しながら導波管セルの位置を維持するように構成される、第1、第2、第3、および第4のステーションと、定常ビームスプリッタの対と、軌道上に搭載される、移動可能プラットフォームであって、軌道に沿って第1の位置と第2の位置との間で移動するように構成される、移動可能プラットフォームと、移動可能プラットフォーム上に搭載される、3つのビームスプリッタであって、移動可能プラットフォームが第1の位置にあるとき、レーザ源は、第1の初期記録ビームを定常ビームスプリッタの対に向かって放出し、3つの記録ビームの第1のセットを形成し、3つの記録ビームの第1のセットを3つの搭載されるビームスプリッタに向かって指向し、6つの記録サブビームの第1のセットを形成することによって、6つの記録サブビームの第1のセットを同時に放出し、6つの記録サブビームの第1のセット内の3つの記録サブビームを第1のステーションに向かって指向し、6つの記録サブビームの第1のセット内の他の3つの記録サブビームを第2のステーションに向かって指向するように構成され、移動可能プラットフォームが第2の位置にあるとき、レーザ源は、第2の初期記録ビームを定常ビームスプリッタの対に向かって放出し、3つの記録ビームの第2のセットを形成し、3つの記録ビームの第2のセットを3つの搭載されるビームスプリッタに向かって指向し、6つの記録サブビームの第2のセットを形成することによって、6つの記録サブビームの第2のセットを同時に放出し、6つの記録サブビームの第2のセット内の3つの記録サブビームを第3のステーションに向かって指向し、6つの記録サブビームの第2のセット内の他の3つの記録サブビームを第4のステーションに向かって指向するように構成される、3つのビームスプリッタとを含む、ホログラフィック記録システムを含む。
【0031】
付加的実施形態および特徴が、続く説明に部分的に記載され、部分的に、本明細書の考察に応じて当業者に明白となるであろう、または本発明の実践によって学習され得る。本発明の性質および利点のさらなる理解が、本明細書の残りの部分および本開示の一部を形成する図面を参照することによって実現され得る。
【0032】
説明は、本発明の例示的実施形態として提示され、本発明の範囲の完全な列挙として解釈されるべきではない、以下の図を参照して、より完全に理解されるであろう。本発明は、以下の説明に開示されるような本発明の一部または全てを用いて実践され得ることが、当業者に明白となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】
図1Aは、本発明のある実施形態による、導波管セルの輪郭図を概念的に図示する。
図1Bは、本発明のある実施形態による、テーパ状外形を伴う導波管セルを概念的に図示する。
図1Cは、本発明のある実施形態による、導波管セルの上面図を概念的に図示する。
【
図2AB】
図2A-2Bは、本発明の種々の実施形態による、2ビーム記録プロセスを概念的に図示する。
【
図2CD】
図2C-2Dは、本発明の種々の実施形態による、2ビーム記録プロセスを概念的に図示する。
【
図3】本発明のある実施形態による、振幅格子を利用する単一ビーム記録プロセスを概念的に図示する。
【
図4】本発明のある実施形態による、単一のレーザ源を利用する記録システムの略図を概念的に図示する。
【
図5】本発明のある実施形態による、露光スタックを格納するように構成されるステーションの等角図を概念的に図示する。
【
図6】本発明のある実施形態による、マーキングされた露光面積を伴う導波管セルを概念的に図示する。
【
図7】本発明のある実施形態による、露光スタックを概念的に図示する。
【
図8】本発明のある実施形態による、導波管セルを格納するためのステージアセンブリを概念的に図示する。
【
図9A】本発明のある実施形態による、ステージアセンブリの回転ステージを概念的に図示する。
【
図9B】本発明のある実施形態による、ステージアセンブリの回転ステージを概念的に図示する。
【
図10A】本発明のある実施形態による、添着されたステージアセンブリを概念的に図示する。
【
図10B】本発明のある実施形態による、添着されたステージアセンブリを概念的に図示する。
【
図11A】本発明のある実施形態による、単一のレーザ源および移動可能プラットフォームを利用する記録システムの上面図を概念的に図示する。
【
図11B】本発明のある実施形態による、単一のレーザ源および移動可能プラットフォームを利用する記録システムの等角図を概念的に図示する。
【発明を実施するための形態】
【0034】
実施形態を説明する目的のために、光学設計および視覚ディスプレイの当業者に公知の光学技術のいくつかの周知の特徴は、本発明の基本的原理を不明瞭にしないために、省略または簡略化されている。別様に記載されない限り、光線またはビーム方向に関連する用語「軸上」は、本発明に関連して説明される光学コンポーネントの表面に対して法線方向の軸に平行な伝搬を指す。以下の説明では、光、光線、ビーム、および方向という用語は、同義的に、かつ相互に関連付けて使用され、直線軌道に沿った光エネルギーの伝搬の方向を示し得る。以下の説明の一部は、光学設計の当業者によって一般的に採用される専門用語を使用して提示されるであろう。例証目的のために、明確化を目的として、図面は、別様に記載されない限り、縮尺通りに描かれないことを理解されたい。さらに、各図面の各要素は、明確化を目的として、図面における他の要素のそれぞれと適切な割合にない場合がある。
【0035】
ここで図面に目を向けると、導波管セル内にホログラフィック格子を記録するためのシステムおよび方法が、図示される。光学記録媒体内に、限定ではないが、体積格子等の光学要素を記録するためのシステムが、本発明の種々の実施形態による多くの異なる方法で実装されることができる。多くの実施形態では、記録システムは、導波管セルの光学記録媒体内に体積格子を記録するように構成される。さらなる実施形態では、体積格子は、少なくとも1つのレーザ源を使用して形成される干渉パターンに記録媒体を露光することによって記録される。いくつかの実施形態では、記録システムは、複数の体積格子を同時に記録するように構成される。複数の体積格子は、1つの導波管セル内に、または複数の導波管セルを横断して記録されることができる。いくつかの実施形態では、複数の体積格子は、導波管セルのスタック内に記録される。
【0036】
異なるタイプの露光源が、具体的用途に応じて利用されることができ、それに応じて構成される構成されることができる。加えて、利用される露光源の数もまた、変動し得る。いくつかの実施形態では、複数の露光源が、複数の体積格子を同時に記録するために使用される。いくつかの実施形態では、記録システムは、ビームスプリッタおよびミラーと併せて単一のレーザ源を利用し、複数の体積格子を同時に記録するように構成される。記録システムはさらに、移動可能プラットフォームを使用して体積格子のセットを記録するように構成されることができる。そのような実施形態では、露光源は、記録ビームを導波管セルの第1のセットに指向し、体積格子の第1のセットを記録するように構成される。本システムは、次いで、体積格子の第2のセットを記録するために、露光源からの記録ビームが導波管セルの第2のセットに向かって指向されることを可能にし得る、移動可能プラットフォームを使用して、本システム内でコンポーネントを再位置付けするように構成されることができる。いくつかの実施形態では、任意の所与の導波管セルに送達される露光は、記録面を横断して空間的に変動する1つ以上の露光エネルギー、露光持続時間、および/または露光オン/オフスケジュールを有するように構成されることができる。導波管セル内に光学要素を記録するためのこれらの構成および付加的システムおよび方法が、下記にさらに詳細に議論される。
【0037】
導波管セル
導波管セルは、限定ではないが、格子等の光学要素が記録され得る、未硬化および/または未露光光学記録材料を含有するデバイスとして定義されることができる。多くの実施形態では、光学要素は、光学記録材料をある波長の電磁放射に露光することによって導波管セル内に記録されることができる。典型的には、導波管セルは、光学記録材料が2つの基板の間に挟装され、3層導波管セルを作成するように構築される。用途に応じて、導波管セルは、種々の構成において構築されることができる。いくつかの実施形態では、導波管セルは、3つを上回る層を含有する。いくつかの実施形態では、導波管セルは、種々の目的を果たし得る異なるタイプの層を含有する。例えば、導波管セルは、保護カバー層と、偏光制御層と、整合層とを含むことができる。
【0038】
様々な材料および形状の基板が、導波管セルの構築において使用されることができる。多くの実施形態では、基板は、限定ではないが、ガラスおよびプラスチック等の透明材料から作製される板である。限定ではないが、長方形および曲線形状等の異なる形状の基板が、用途に応じて使用されることができる。基板の厚さもまた、用途に応じて変動し得る。多くの場合、基板の形状は、導波管の全体的形状を決定することができる。いくつかの実施形態では、導波管セルは、同一の形状である2つの基板を含有する。他の実施形態では、基板は、異なる形状である。容易に理解され得るように、基板の形状、寸法、および材料は、変動し得、所与の用途の具体的要件に依存し得る。
【0039】
多くの実施形態では、ビーズまたは他の粒子が、光学記録材料全体を通して分散され、光学記録材料の層の厚さを制御することに役立ち、2つの基板が相互に対して圧潰することを防止すること役立つ。いくつかの実施形態では、導波管セルは、2つの平面基板の間に挟装される光学記録層とともに構築される。使用される光学記録材料のタイプに応じて、厚さ制御は、いくつかの光学記録材料の粘度および光学記録層に関する境界外周の欠如に起因して、達成することが困難であり得る。いくつかの実施形態では、ビーズは、比較的に非圧縮性の固体であり、これは、一貫した厚さを伴う導波管セルの構築を可能にすることができる。ビーズのサイズは、個々のビーズの周囲の面積に関する局在的最小厚さを決定することができる。したがって、ビーズの寸法は、所望の光学記録層厚さを達成することに役立つように選択されることができる。ビーズは、限定ではないが、ガラスおよびプラスチックを含む、種々の材料のうちのいずれかから作製されることができる。いくつかの実施形態では、ビーズの材料は、その屈折率が導波管セル内の光の伝搬に実質的に影響を及ぼさないように選択される。
【0040】
いくつかの実施形態では、導波管セルは、2つの基板が平行または略平行であるように構築される。そのような実施形態では、比較的に類似するサイズのビーズが、層全体を通して均一な厚さを達成することに役立つために、光学記録材料全体を通して分散されることができる。他の実施形態では、導波管セルは、テーパ状外形を有する。テーパ状導波管セルは、光学記録材料を横断して異なるサイズのビーズを分散させることによって構築されることができる。上記に議論されるように、ビーズのサイズは、光学記録材料層の局所的最小厚さを決定することができる。材料層を横断して増加するサイズのパターンにおいてビーズを分散させることによって、光学記録材料のテーパ状層が、材料が2つの基板の間に挟装されるときに形成されることができる。
【0041】
本発明の種々の実施形態による導波管セルは、種々の感光性材料を組み込むことができる。多くの実施形態では、導波管セルは、光学記録媒体としてホログラフィックポリマー分散液晶混合物を組み込む。本発明の種々の実施形態によるHPDLC混合物は、概して、液晶(LC)と、モノマーと、光開始剤染料と、共開始剤とを含む。混合物(多くの場合、シロップと称される)はまた、頻繁に、界面活性剤を含む。本発明を説明する目的のために、界面活性剤は、液体混合物全体の表面張力を低下させる任意の化学薬品として定義される。HPDLC混合物における界面活性剤の使用は、公知であり、HPDLCの最も初期の調査に遡る。例えば、R.L.Sutherland et al.による論文であるSPIE Vol.2689,158-169,1996(その開示が、参照することによって本明細書に組み込まれる)は、界面活性剤が添加され得る、モノマーと、光開始剤と、共開始剤と、連鎖延長剤と、LCとを含む、HPDLC混合物を説明している。界面活性剤はまた、Natarajan et al.による論文であるJournal of Nonlinear Optical Physics and Materials,Vol.5,No.1,89-98,1996(その開示が、参照することによって本明細書に組み込まれる)に言及されている。さらに、Sutherland et al.による米国特許第7018563号明細書(特許文献1)は、少なくとも1つのアクリル酸モノマーと、少なくとも1つのタイプの液晶材料と、光開始剤染料と、共開始剤と、界面活性剤とを有する、ポリマー分散液晶光学要素を形成するためのホログラフィックポリマー分散液晶材料を議論している。米国特許第7018563号明細書の開示は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる。
【0042】
特許および科学文献は、高回折効率、迅速な応答時間、低駆動電圧等を達成するためにそのような材料システムを調合することへの調査を含む、体積格子を組み込む導波管を加工するために使用され得る材料システムおよびプロセスの多くの実施例を含有する。Sutherlandによる米国特許第5942157号明細書(特許文献2)およびTanaka et al.による米国特許第5751452号明細書(特許文献3)の両方は、体積格子を組み込む導波管を加工するために好適なモノマーおよび液晶材料組み合わせを説明している。レシピの実施例はまた、1990年代初頭に遡る論文に見出されることができる。これらの材料の多くは、以下を含むアクリレートモノマーを使用する:
・R.L.Sutherland et al.,Chem.Mater.5,1533(1993)(その開示が、参照することによって本明細書に組み込まれる)は、アクリレートポリマーおよび界面活性剤の使用を説明している。具体的には、レシピは、架橋多官能性アクリレートモノマー、連鎖延長剤N-ビニルピロリジノン、LCE7、光開始剤ローズベンガル、および共開始剤N-フェニルグリシンを含む。界面活性剤オクタン酸が、ある変形において添加された。
・Fontecchio et al.,SID 00 Digest,774-776,2000(その開示が、参照することによって本明細書に組み込まれる)は、多官能性アクリレートモノマー、LC、光開始剤、共開始剤、および連鎖停止剤を含む、反射型ディスプレイ用途のためのUV硬化性HPDLCを説明している。
・Y.H.Cho et al.,Polymer International,48,1085-1090,1999(その開示が、参照することによって本明細書に組み込まれる)は、アクリレートを含むHPDLCレシピを開示している。
・Karasawa et al.,Japanese Journal of Applied Physics,Vol.36,6388-6392,1997(その開示が、参照することによって本明細書に組み込まれる)は、種々の官能状態のアクリレートを説明している。
・T.J. Bunning et al.,Polymer Science:Part B:Polymer Physics,Vol.35,2825-2833,1997(その開示が、参照することによって本明細書に組み込まれる)もまた、多官能性アクリレートモノマーを説明している。
・G.S.Iannacchione et al.,Europhysics Letters,Vol.36(6),425-430,1996(その開示が、参照することによって本明細書に組み込まれる)は、ペンタアクリレートモノマーと、LCと、連鎖延長剤と、共開始剤と、光開始剤とを含む、PDLC混合物を説明している。
【0043】
アクリレートは、迅速な動態、他の材料との良好な混合、およびフィルム形成プロセスとの適合性の利益を提供する。アクリレートは、架橋されるため、それらは、機械的にロバストかつ可撓性である傾向がある。例えば、官能性2(ジ)および3(トリ)のウレタンアクリレートが、HPDLC技術に関して広範に使用されている。ペンタおよびヘキサ官能性ステム等のより高い官能性の材料もまた、使用されている。具体的成分を伴うHPDLC混合物が、導波管セル内の光学記録材料としてのそれらの好適な使用と関連して上記に議論されるが、光学記録材料の具体的調合は、広く変動し得、所与の用途の具体的要件に依存し得る。そのような考慮事項は、回折効率(「DE」)、ヘイズ、日射耐性、透明性、およびスイッチング要件を含むことができる。
【0044】
導波管セルは、種々の異なる方法を使用して構築されることができる。多くの実施形態では、導波管セルは、第1の基板を光学記録媒体として作用することが可能な光学記録材料を用いてコーティングすることによって構築される。いくつかの実施形態では、光学記録材料は、スピンコーティングまたは噴霧を使用して基板上に堆積される。第2の基板層が、光学記録材料が2つの基板の間に挟装されるように導波管セルを形成するために組み込まれることができる。いくつかの実施形態では、第2の基板は、暴露層上にコーティングされる薄い保護フィルムであり得る。種々の実施形態では、基板は、セルを作製するために使用され、これは、次いで、光学記録材料を用いて充填される。充填プロセスは、限定ではないが、真空充填方法等の種々の異なる方法を使用して遂行されることができる。さらなる実施形態では、整合層および/または偏光層が、追加されることができる。
【0045】
本発明のある実施形態による、導波管セル100の輪郭図が、
図1Aに概念的に図示される。示されるように、導波管セル100は、限定ではないが、格子等の光学要素のための記録媒体として使用され得る光学記録材料102の層を含む。光学記録材料102は、限定ではないが、上記の節に説明されるHPDLC混合物等の種々の化合物、混合物、または溶液のうちのいずれかであり得る。例証的実施形態では、光学記録材料102は、2つの平行ガラス板104、106の間に挟装される。他の実施形態では、基板は、非平行構成において配列される。
図1Bは、本発明のある実施形態による、ビーズ110、112、および114を利用するテーパ状導波管セル108の輪郭図を概念的に図示する。示されるように、ビーズ110、112、および114は、サイズにおいて変動し、2つのガラス板118、120によって挟装される光学記録材料116全体を通して分散される。導波管セルの構築の間、光学記録層の面積の局所的厚さは、その特定の面積におけるビーズのサイズによって限定される。光学記録材料を横断して昇順サイズでビーズを分散させることによって、テーパ状導波管セルが、基板がビーズと接触して設置されるときに構築されることができる。上記に議論されるように、導波管セルにおいて利用される基板は、厚さおよび形状において変動し得る。多くの実施形態では、基板は、形状が長方形である。いくつかの実施形態では、導波管セルの形状は、曲線コンポーネントの組み合わせである。
図1Cは、本発明のある実施形態による、曲線形状を有する導波管セル122の上面図を概念的に図示する。
【0046】
図1A-1Cは、具体的導波管セル構造および配列を図示するが、導波管セルは、多くの異なる構成において構築されることができ、所与の用途の具体的要件に応じて、種々の異なる材料を使用することができる。例えば、基板は、ガラスの代わりに透明プラスチックポリマーから作製されることができる。加えて、導波管セルの形状およびサイズは、大いに変動し得、限定ではないが、導波管の用途、人間工学的考慮事項、および経済的因子等の種々の因子によって決定されることができる。
【0047】
体積ブラッグ格子
異なる光学性質を呈することが可能な多くの異なるタイプの格子が、本発明の種々の実施形態に従って、光学記録材料内に記録されることができる。多くの導波管用途では、回折格子が、種々の目的および機能のために実装される。容易に理解され得るように、選択される格子のタイプは、所与の用途の具体的要件に依存し得る。導波管セル内に記録され得る格子の1つのタイプは、体積ブラッグ格子である。体積ブラッグ格子は、媒体の屈折率における周期的変動に起因して、ある角度において入射するある波長の光を回折し得る透明媒体である。格子に入射する光の回折は、光および格子の特性によって決定されることができる。体積ブラッグ格子は、殆どの光が高次に回折されない高効率を有することができる。回折されたゼロ次における光の相対量は、格子の屈折率変調を制御することによって変動されることができる。導波管内に体積ブラッグ格子を利用すると、導波管内の光の伝搬は、種々の効果を達成するために制御された様式で影響を受けることができる。
【0048】
体積ブラッグ格子は、具体的用途に応じて、所望の特性を有するように構築されることができる。いくつかの実施形態では、体積ブラッグ格子は、透過格子であるように設計される。他の実施形態では、体積ブラッグ格子は、反射格子であるように設計される。透過格子では、ブラッグ条件を満たす入射光は、回折光が、入射光が入射しなかった側上の格子から出射するように回折される。反射格子に関して、回折光は、格子の、入射光が入射した側と同一の側上から出射する。体積格子はまた、格子表面に対して勾配および/または傾斜するフリンジとともに設計されることができ、これは、回折/反射の角度に影響を及ぼすことができる。上記の議論は、透過または反射のいずれかとしての格子構造を表すが、両方のタイプの格子が、標準的な格子方程式に従って同一の様式で挙動する。
【0049】
ブラッグ格子要素の1つのクラスは、切替可能ブラッグ格子(「SBG」)を含む。SBGは、HPDLC混合物内に体積位相格子を記録することによって形成され得る回折デバイスである。SBGは、最初に、光重合性モノマーおよび液晶材料の混合物の薄フィルムをガラス板または基板の間に設置することによって加工されることができる。多くの場合では、ガラス板は、平行構成にある。ガラスセルを作製および充填するための技法は、液晶ディスプレイ産業において周知である。一方または両方のガラス板は、フィルムを横断して電場を印加するために、電極、典型的には、透明な酸化スズフィルムを支持することができる。SBGは、HPDLC混合物が導波管コアまたは導波管に近接するエバネッセント結合層のいずれかを形成する導波管デバイスとして実装されることができる。HPDLCセルを形成するために使用されるガラス板は、全内部反射光誘導構造を提供することができる。切替可能な格子がTIR条件を超える角度において光を回折すると、光は、SBGから外に結合される。SBG内の格子構造は、空間的周期的強度変調を伴う干渉露光を使用する光重合誘発相分離を通して、HPDLC材料のフィルム内に記録されることができる。限定ではないが、照射強度、HPDLC材料の成分の体積分率、および露光温度の制御等の因子が、結果として生じる格子形態および性能を決定することができる。記録プロセスの間、モノマーは、重合し、混合物は、相分離を受ける。LC分子は、集合し、光学波長のスケールでポリマーネットワーク内に周期的に分散される離散または合体液滴を形成する。交互する液晶が豊富な領域および液晶が空乏した領域は、格子のフリンジ面を形成し、これは、液滴中のLC分子の配向秩序からもたらされる強力な光学偏光を伴うブラッグ回折を生成することができる。
【0050】
体積位相格子は、非常に高い回折効率を呈することができ、これは、フィルムを横断して印加される電場の大きさによって制御されることができる。電場が透明電極を介して格子に印加されると、LC液滴の自然な配向は、変化し、フリンジの屈折率変調を低下させ、ホログラム回折効率を非常に低いレベルに低下させ得る。典型的には、電極は、印加される電場が基板に垂直であろうように構成される。いくつかの実施形態では、電極は、酸化インジウムスズ(「ITO」)から加工される。いかなる電場も印加されないオフ状態では、液晶の異常軸は、概して、フリンジに対して法線方向に整合する。格子は、したがって、P偏光に関して高屈折率変調および高回折効率を呈する。電場がHPDLCに印加されると、格子は、オン状態に切り替わり、液晶分子の異常軸は、印加された電場に平行に、したがって、基板に垂直に整合する。オン状態では、格子は、SおよびP偏光の両方に関してより低い屈折率変調およびより低い回折効率を呈する。したがって、格子領域は、もはや光を回折しない。各格子領域は、例えば、HPDLCデバイスの機能によるピクセルマトリクス等の多数の格子要素に分割されることができる。典型的には、1つの基板表面上の電極は、均一かつ連続的である一方、対向する基板表面上の電極は、多数の選択的に切替可能な格子要素に従ってパターン化される。
【0051】
典型的には、SBG要素は、30μ秒においてクリアに切り替えられ、オンに切り替えるための緩和時間は、より長い。本デバイスの回折効率は、連続的範囲にわたって、印加される電圧を用いて調節され得ることに留意されたい。多くの場合では、本デバイスは、いかなる電圧も印加されないと、ほぼ100%効率を呈し、十分に高い電圧が印加されると、本質的にゼロ効率を呈する。SBGはまた、反転モード動作とともに加工および実装されることができる。そのような場合では、格子は、印加される電圧がゼロであるときにその非回折(クリアされた)状態にあり、電圧が電極を横断して印加されるとその回折状態に切り替わる。あるタイプのHPDLCデバイスでは、磁場が、LC配向を制御するために使用されることができる。いくつかのHPDLC用途では、ポリマーからのLC材料の相分離は、いかなる認識可能な液滴構造ももたらされない程度まで遂行されることができる。SBGはまた、受動的格子として使用されることができる。本モードでは、その主要な利益は、特有の高い屈折率変調である。SBGはまた、自由空間用途のための透過または反射格子を提供するために使用されることができる。
【0052】
体積ブラッグ格子は、限定ではないが、光を再指向することおよび光の透過を防止すること等の種々の異なる目的のために導波管内に実装されることができる。体積ブラッグ格子はまた、ビーム拡大を提供するために使用されることができる。例えば、多くの導波管用途では、体積ブラッグ格子は、2つの直交する方向におけるビーム拡大を提供するために使用される。ディスプレイ用途では、これは、大きいアイボックスに変換される。したがって、体積ブラッグ格子は、コリメート光学システムの射出瞳を効果的に拡大することによって、レンズサイズを縮小しながら、アイボックスサイズを保全するために使用されることができる。射出瞳は、仮想開口として定義されることができ、本仮想開口を通過する光線のみが、ユーザの眼に入射することができる。
【0053】
多くの実施形態では、体積ブラッグ格子は、導波管のTIR条件内の角度において光を回折することによって、光を導波管の中に結合するための入力格子として実装される。同様に、体積ブラッグ格子はまた、TIR条件を超える角度において光を回折することによって、導波管から外に光を結合するための出力格子として実装されることができる。体積ブラッグ格子はまた、折り返し格子として実装されることができる。いくつかの実施形態では、折り返し格子のブラッグフリンジは、他の格子のブラッグフリンジに対して対角線方向に配向される。折り返し格子の配向に応じて、光は、折り返し格子との相互作用に応じて、具体的方向に向かって指向されることができる。多くの実施形態では、折り返し格子の縦方向縁は、折り返し格子がディスプレイ光の伝搬方向に対して対角線上に設定されるように、入力カプラの整合の軸に斜角である。折り返し格子は、入力カプラからの光が出力格子に再指向されるように角度付けられることができる。いくつかの実施形態では、折り返し格子は、光が入力格子から放出される方向に対して45度の角度に設定される。本特徴は、折り返し格子を辿って伝搬するディスプレイ画像を出力格子に向けることができる。例えば、いくつかの実施形態では、折り返し格子は、画像を90度だけ出力格子に向ける。種々の実施形態では、折り返し格子はそれぞれ、部分的回折構造を有することができる。いくつかの実施形態では、折り返し格子はそれぞれ、完全回折構造を有することができる。
【0054】
異なる格子構成および技術が、単一の導波管において組み込まれることができる。折り返し格子は、1つの方向において瞳拡大を提供し、導波管の内側のTIRを介して光を出力格子に指向するように構成されることができる。出力格子は、第1の方向と異なる第2の方向において瞳拡大を提供し、導波管からの光を導波管から出射させるように構成されることができる。このように、単一の導波管が、水平および垂直方向の両方において瞳拡大を提供することができる。容易に理解され得るように、体積ブラッグ格子は、限定ではないが、空間的に変動するKベクトルを有する格子および多重化された格子等の多くの異なる構成において実装されることができる。多くの用途では、導波管は、2軸瞳拡大が可能な2格子構造を使用して実装される。
【0055】
それにわたって回折が体積ブラッグ格子において起こる波長および角度の限定された範囲に起因して、いくつかの方法は、格子の回折帯域幅を増加させるために利用されることができる。多くの実施形態では、記録システムは、空間的に変動するKベクトルを有するフリンジを伴う体積格子を記録するように構成される。Kベクトル(文献では格子ベクトルとも称される)は、関連付けられる格子フリンジの平面に直交するベクトルとして定義されることができ、これは、入力および回折角度の所与の範囲に関する光学効率を決定することができる。各Kベクトルは、フリンジ傾斜角と関連付けられる(コーゲルニック理論に定義されるように)。いくつかの実施形態では、その中でKベクトルが変動する平面は、導波管または格子要素の平面外である。変動するフリンジ傾斜角またはロール軸回転 Kベクトルが、いくつかの異なる方法で実装されることができる。いくつかの実施形態では、格子のフリンジは、格子を横断して漸進的様式で変動するように設計される。他の実施形態では、離散格子の異なるセットが、連続して設置される。ロール軸回転Kベクトルを伴う格子が、種々の方法で実装されることができる。多くの実施形態では、ロール軸回転Kベクトルは、各格子区画のピーク回折効率が、その位置におけるその対応する出力角度に関して最適化されるように設計される。他の実施形態では、異なる位置における各格子のピーク回折効率は、その位置におけるその対応する出力角度とのオフセットにあり、それによって、格子の効果的な角度帯域幅を拡大する。本オフセットを導入することによって、アイボックス均質性は、改良されることができる。いくつかの実施形態では、オフセットは、異なる位置におけるピーク回折効率を合致させることのみと比較して、全体的画像輝度を2倍改良することができる。
【0056】
多くの実施形態では、フリンジの異なるセットが、重畳または重複され、独立して、相互に干渉することなく機能し得る、同一の体積の内側に複数の格子を伴う多重化された格子を作成する。例えば、2つの体積格子が、同一の入射角における2つの異なるブラッグ波長に関して同一のデバイス内に記録される場合、本デバイスは、限定されたクロストークを伴って、2つの選択された波長を異なる出力方向において回折することができる。多重化は、類似する処方の2つの格子を組み合わせることによって、改良された角度プロファイルを生成し、回折効率角度帯域幅を拡張し、射出瞳および視野を横断するより良好なルミナンス均一性および色バランスを与えるために使用されることができる。多重化はまた、光を領域の明確に異なるフィールドの中に投影する、または2つの異なる波長の光を所与の視野領域の中に回折するように設計され得る、2つの明確に異なる回折処方をエンコードするために使用されることができる。不均等な回折効率および再生時の格子の間のクロストークにつながる、記録の間の格子の間のいかなる競合も存在しないことを確実にするための措置が、講じられることができる。いくつかの実施形態では、入力、折り返し、または出力格子のうちの少なくとも1つは、角度帯域幅を拡大するために、2つ以上の角度回折処方を組み合わせることができる。同様に、いくつかの実施形態では、入力、折り返し、または出力格子のうちの少なくとも1つは、スペクトル帯域幅を拡大するために、2つ以上のスペクトル回折処方を組み合わせることができる。例えば、色多重化格子が、原色のうちの2つ以上のものを回折するために使用されることができる。
【0057】
具体的格子構造が、上記に議論されるが、当業者は、本発明の種々の実施形態による記録システムが、限定ではないが、上記に説明されるものを含む、任意の種類の体積格子を記録するように構成され得ることを理解するであろう。
【0058】
体積格子の記録
体積格子は、本発明の種々の実施形態による、多くの異なる方法を使用して、導波管セル内に記録されることができる。光学記録材料内の光学要素の記録は、任意の数およびタイプの電磁放射源を使用して達成されることができる。用途に応じて、露光源および/または記録システムは、様々なレベルの露光出力および持続時間を使用して、光学要素を記録するように構成されることができる。SBGに関して上記に議論されるように、体積格子を記録するための技法は、2つの相互にコヒーレントなレーザビームを使用する光学記録材料の露光を含むことができ、2つのビームの重畳は、干渉パターンに沿って周期的強度分布を作成する。光学記録材料は、周期的強度分布に合致する屈折率変調パターンを呈する格子構造を形成することができる。HPDLC混合物では、光強度分布は、高強度領域の中へのモノマーの拡散および重合、および暗い領域の中への液晶の同時拡散をもたらす。本相分離は、格子のフリンジ面を形成する、交互する液晶が豊富な領域および液晶が空乏した領域を作成する。格子構造は、記録ビームが構成される方法に応じて、傾斜または非傾斜フリンジとともに形成されることができる。
図2A-2Dは、本発明の種々の実施形態による、2ビーム記録プロセスを概念的に図示する。示されるように、2つの方法が、2つの異なるタイプのブラッグ格子、すなわち、透過格子200および反射格子20 2を作成するために使用されることができる。2つの記録ビーム204、206が位置付けられる方法に応じて、干渉パターン208は、光学記録材料210内に透過格子または反射格子のいずれかを記録することができる。2つのタイプの格子の間の差異は、フリンジの配向に見られることができる(すなわち、反射体積格子のフリンジは、典型的には、基板の表面に略平行であり、透過格子のフリンジは、典型的には、基板の表面に略垂直である)。再生の間、透過格子200に入射するビーム212は、透過される回折ビーム2 14をもたらすことができる。一方、反射格子202に入射するビーム216は、反射されるビーム218をもたらすことができる。
【0059】
光学記録材料内に体積格子を記録するための別の方法は、光学記録材料上に干渉パターンを形成するための単一ビームの使用を含む。これは、マスタ格子の使用を通して達成されることができる。多くの実施形態では、マスタ格子は、体積格子である。いくつかの実施形態では、マスタ格子は、振幅格子である。マスタ格子との相互作用に応じて、単一ビームは、回折することができる。1次回折およびゼロ次ビームは、重複し、干渉パターンを作成することができ、これは、次いで、光学記録材料を露光し、所望の体積格子を形成することができる。本発明のある実施形態による、振幅格子を利用する単一ビーム記録プロセスが、
図3に概念的に図示される。示されるように、単一のレーザ源(図示せず)からのビーム300が、振幅格子302を通して指向される。格子302との相互作用に応じて、ビーム300は、例えば、振幅格子の黒色陰影領域と相互作用する光線の場合のように回折することができる、またはビーム300は、例えば、振幅格子のクロスハッチ領域と相互作用する光線の場合のように、ゼロ次ビームとして実質的な逸脱を伴わずに振幅格子を通して伝搬されることができる。1次回折ビーム304およびゼロ次ビーム306は、重複し、導波管セルの光学記録層308を露光する干渉パターンを作成することができる。例証的実施形態では、スペーサブロック310が、2つのコンポーネントの間の距離を改変するために、格子302と光学記録層308との間に位置付けられる。
【0060】
体積格子を記録する具体的方法が、議論され、
図2A-2Dおよび3に示されるが、本発明の種々の実施形態による記録システムは、限定ではないが、一般的フォトリソグラフィ技法等のいくつかの体積格子を記録するための方法のうちのいずれかを実装するように構成されることができる。
【0061】
記録システム構成
導波管セル内に体積格子を記録するための記録システムは、多くの異なる方法で構成されることができる。いくつかの実施形態では、記録システムは、少なくとも1つの露光源と、導波管セルを含有する露光スタックを格納するように構成される、複数のステーションとを含む。露光源は、使用される感光性材料のタイプに依存し得る、任意の適切な電磁放射源に由来することができる。いくつかの実施形態では、電磁放射源は、レーザ源である。いくつかの実施形態では、ステーションおよび露光スタックは、任意の所与の導波管セルに送達される露光が、記録面を横断して空間的に変動する露光エネルギー、露光持続時間、および/または露光オン/オフスケジュールのうちの1つ以上のものを有するように構成される。動作の間、レーザ源は、ステーション内に格納される導波管セルを露光し、導波管セル内に体積格子を形成するために、適切な波長内の光を出力することができる。上記の節に説明されるもの等の体積格子を記録するための種々の方法が、使用されることができる。例えば、多くの実施形態では、単一ビーム記録方法が、マスタ格子とともに使用される。他の実施形態では、2ビーム記録方法が、使用される。
【0062】
用途および導波管セルに応じて、1つ以上の体積格子が、単一の導波管セル内に記録されることができる。多くの実施形態では、1つ以上のレーザ源が、単一の導波管セル内に少なくとも3つの体積格子を同時に記録するために使用されることができる。いくつかの実施形態では、1つ以上のレーザ源が、1つ以上のステーション内に存在する少なくとも2つの導波管セルを同時に露光するために使用されることができる。さらなる実施形態では、レーザ源は、複数の導波管セルのそれぞれの中に少なくとも3つの体積格子を同時に記録するために使用されることができる。容易に理解され得るように、露光される導波管セルの数および導波管セルあたりの同時に記録される体積格子の数は、大いに変動し得、所与の用途の具体的要件に依存し得る。さらに、使用される露光源の数およびタイプは、限定ではないが、空間および出力要件等のいくつかの因子に応じて、変動し得る。例えば、多数の格子が同時に記録されるべきである実施形態では、高出力レーザ源または複数のレーザ源が、十分な露光出力を提供するために使用されることができる。複数の格子を記録する、および/または複数の導波管セルを露光するために単一のレーザ源を利用する実施形態では、ビームスプリッタが、異なる面積における同時露光を可能にし得るサブビームを作成するために使用されることができる。記録システムはまた、光をレーザ源から所望のステーションの中に操作および指向するために、ミラーおよび他の光学要素を含むことができる。いくつかの実施形態では、初期ビームは、適切な露光面積を被覆するために拡大される。
【0063】
図4は、本発明のある実施形態による、単一のレーザ源402を利用する記録システム400の略図を示す。示されるように、発信ビーム404は、3つのサブビーム408を作成するために使用されるビームスプリッタ406に向かって指向される。サブビーム408は、ミラー412を使用してステーション410に向かって指向される。例証的実施形態では、3つのサブビーム408は、ステーション410内に格納される単一の導波管セル内に3つの体積格子を記録するために使用される。容易に理解され得るように、これらの概念的要素は、そのような記録システムを実装するための光学要素の固定を可能にするために要求される、任意の好適な光学フレーム、移動可能アダプタ、露光板等を使用して実装されることができる。さらに、
図4は、具体的記録システム構成を図示するが、任意の構成が、本発明の種々の実施形態に従って実装されることができる。例えば、いくつかの記録システムでは、3つを上回るサブビームが、作成され、複数のステーションを横断して指向される。いくつかの実施形態では、複数のレーザ源が、利用される。さらに、ビームの伝搬経路は、いくつかの異なる方法のうちのいずれかにおいて操作されることができる。例えば、
図4は、平面を横断して記録ビームを指向するように設計される記録システムを示すが、記録システムはまた、3D空間を通して伝搬するようにビームを指向するように構成されることができる。そのような構成では、コンパクトな設計が、他のプロセス効率改良とともに達成されることができる。
【0064】
ステーション構成
体積格子の特徴サイズに起因して、記録プロセスは、位置付けおよび水平化における高い精度を要求し得る。したがって、露光された導波管セルを新しい導波管セルと置換し、置換された導波管セル内に体積格子を記録することが、時間および/またはリソース集約的であり得る。多くの実施形態では、露光スタックを格納するステーションが、迅速な様式で複数の導波管セルの露光を可能にするために実装される。いくつかの実施形態では、ステーションは、導波管セルが交換されることを可能にするように構成され、露光された導波管セルの未露光導波管セルとの置換を可能にする。これらの実装では、導波管セルは、本システムの残りの部分を殆どまたは全く妨害することなく、除去され、別の導波管セルと置換されることができる。これは、種々の方法で実装されることができる。いくつかの実施形態では、ステーションはそれぞれ、導波管セルを格納し得る台座または陥凹を含有し、導波管セルがスワップされることを可能にする。いくつかの実施形態では、付加的コンポーネントが、導波管セルを整合させるために組み込まれることができる。例えば、導波管セルの縁を保持するように設計される搭載縁が、導波管セルの整合を促進するためにステーション内に実装されることができる。種々の実施形態では、台座または陥凹は、ステーションから除去されることができる。いくつかの実施形態では、ステーションは、露光スタック全体が除去およびスワップされることを可能にするように構成される。いくつかの実施形態では、ステージアセンブリが、導波管セルを格納するために実装される。ステージアセンブリは、露光スタックに対する所望の位置に導波管セルを位置付けるように構成されることができる。そのような実施形態では、導波管セルのスワッピングは、導波管セルの位置付けにおける一貫性を維持しながら容易に実装されることができる。
【0065】
図5は、本発明のある実施形態による、露光スタックを格納するステーション500を概念的に図示する。例証的実施形態では、ステーション500は、搭載陥凹502を使用して単一の露光スタックを格納するように構成される。ステーション500は、入射光を露光スタックに向かって指向するために、レーザパイプ504と、ミラー506とを含む。容易に理解され得るように、その上でビームが進行する軸に対する露光スタックの配向は、露光スタックを格納するステーションが、その上で記録ビームが伝搬する軸を変化させるために付加的ミラーを含むかどうかを示すことができる。
図5は、具体的ステーション構成を図示するが、ステーションは、本発明の種々の実施形態による、種々の異なる方法で構成されることができる。例えば、いくつかの実施形態では、ステーションは、複数の露光スタックを格納するように構成される。導波管セルの感光性性質を前提として、限定ではないが、光学フィルタ等のカバーが、周囲光がステーションに入射することを防止するために使用されることができる。いくつかの実施形態では、カバーは、導波管セルの所望の面積を露光するために、光が通過することを可能にするための少なくとも1つの切り抜きを含む。
【0066】
露光スタックは、レーザ源から導波管セルの露光面積の中に入射する光を操作するように設計される種々のコンポーネントを含むことができる。露光面積は、光が露光することが意図される導波管セル上の指定された面積である。容易に理解され得るように、露光面積のサイズおよび形状は、変動し得、書き込まれるべき体積格子に大いに依存し得る。例えば、いくつかの用途では、異なるレベルの露光を要求する異なるタイプの体積格子が、同一の導波管セル内に記録される。多くの実施形態では、記録システムは、記録されるべきタイプの体積格子に具体的に調整され得る、異なるレベルの出力および/または持続時間の光を用いて各個々の露光面積を露光するように構成される。
図6は、本発明のある実施形態による、3つの格子に関するマーキングされた露光面積を伴う導波管セル600を概念的に図示する。導波管セル600は、曲線形状を有し、入力格子、折り返し格子、および出力格子を実装するように設計される。例証的実施形態では、入力格子602、折り返し格子604、および出力格子606に関する露光面積が、示される。
図6は、具体的露光面積を伴う具体的導波管セルを図示するが、導波管セルは、本発明の種々の実施形態による、任意の形状およびサイズの任意の数の露光面積を有することができる。
【0067】
露光スタックは、コンポーネントの異なる組み合わせを用いて構築されることができる。多くの実施形態では、露光スタックは、マスタ格子と、導波管セルとを含む。いくつかの実施形態では、マスタ格子は、振幅格子である。さらなる実施形態では、マスタ格子は、格子構造を画定する透明層およびクロム層から作製されるクロムマスタである。記録プロセスの間、1つ以上のレーザ源からの光が、限定ではないが、ミラーおよびビームスプリッタ等の種々の光学コンポーネントを使用して、露光スタックに向かって指向されることができる。単一ビーム記録システムでは、単一の光ビームが、露光スタック内のマスタ格子に向かって指向される。マスタ格子との相互作用に応じて、光ビームは、回折することができ、1次回折およびゼロ次ビームが、導波管セルを露光する干渉パターンを形成し、体積格子を形成することができる。
【0068】
記録システムは、種々の異なる方法でマスタ格子を位置付けるように構成されることができる。いくつかの実施形態では、マスタ格子は、マスタ格子の表面が導波管セルの表面に平行であるように、露光スタック内に位置付けられる。いくつかの実施形態では、マスタ格子は、導波管セルの光学記録層の表面と平行であるように位置付けられる。マスタ格子および導波管セル/光学記録層の表面の間のオフセットは、限定ではないが、形成されるべき格子の寸法等のいくつかの考慮事項に応じて、変動し得る。いくつかの実施形態では、マスタ格子は、導波管セルと直接接触する。他の実施形態では、露光スタック内の材料の異なる層が、光学記録層をマスタ格子から分離する。容易に理解され得るように、マスタ格子および導波管セルの位置は、変動し得、所与の用途の具体的要件に依存し得る。例えば、種々の実施形態では、光学記録材料は、2つのガラス基板の間にカプセル化されるHPDLC混合物である。その結果、そのような実施形態では、記録プロセスの間に、マスタ格子と光学記録層との間に少なくともガラス層が存在する。いくつかの実施形態では、露光スタックは、格子への機械的損傷を防止することに役立つために、マスタ格子に隣接して設置され得る、限定ではないが、ガラス板等の保護層を含む。種々の実施形態では、光学油が、屈折率の連続性を提供することに役立つために、種々の層の間に使用されることができる。
【0069】
いくつかの事例では、光学記録材料を露光する光は、光学記録材料の表面において部分的に反射され得る。反射光は、進行し、2回目に、典型的には、マスタ格子の表面において反射し得る。2回目の反射後、光は、次いで、戻るように進行し、光学記録材料を露光し得る。本二次露光は、典型的には、これが要求される格子の劣化(例えば、格子屈折率変調コントラストの低減)および/または偽性の格子の形成をもたらし得るため、望ましくない。したがって、いくつかの実施形態では、材料の付加的層が、反射光からの露光を防止することに役立つために、追加され、マスタ格子と光学記録層との間に位置付けられる。多くの実施形態では、付加的層は、ガラスの層である。付加的層を伴うと、マスタ格子と導波管セルとの間の距離は、制御されることができる。本距離を増加させることによって、光学記録層の表面においてある角度で反射される光は、2回目に反射される前にさらに進行し、反射光が光学記録層に入射するであろう場所を変化させることができる。本システムは、本場所が光学記録層の重要ではない面積にあるように設計されることができる。いくつかの実施形態では、本場所は、光学記録層上に全くない。
【0070】
本発明のある実施形態による、露光スタック700の輪郭図が、
図7に概念的に示される。例証的実施形態では、露光スタック700は、単一ビーム記録プロセスのために構成される。示されるように、露光スタック700は、マスタ格子702と、保護ガラス層704と、スペーサ板706と、2つのガラス板710の間に光学記録層708を有する導波管セルとを含むことができる。スペーサ板706は、2つのコンポーネントの表面を平行に保ちながら、マスタ格子702と光学記録層708との間の距離を増加させるために使用されることができる。付加的距離は、初期露光からの反射光からの不要な露光を低減/防止することに役立つことができる。例証的実施形態では、マスタ格子702は、格子構造(図示せず)を画定するガラス層712およびクロム層714を有するクロムマスタを使用して実装される、振幅格子である。記録プロセスの間、レーザ源からの光は、マスタ格子に向かって指向されることができる。格子表面との相互作用に応じて、光は、回折することができる。1次回折およびゼロ次ビームは、組み合わせられ、干渉パターンを形成することができ、これは、(
図3に示されるプロセスと同様に)光学記録層708を露光する。
図7は、具体的露光スタック構成を図示するが、多くの構成が、本発明の種々の実施形態に従って実装されることができる。例えば、ステージアセンブリを利用する実施形態では、導波管セルは、ステージアセンブリによって保持され、別個に位置付けられることができる。多くの実施形態では、付加的層の材料は、露光ビームのいかなる不要な屈折も防止するために、類似または合致する屈折率を有するように選定される。さらなる実施形態では、光学油が、屈折率の合致をさらに改良するために、種々の層の間に追加される。いくつかの実施形態では、ホログラフィック光学記録材料が、基板上にコーティングされ、これは、次いで、ロールツーロールホログラフィック加工プロセスにおいて上記に説明されるステーションおよび露光スタックに送達される。
【0071】
導波管セルを格納するステージ
多くの実施形態では、露光システムは、所望の様式で導波管セルを位置付けるために、ステーション内の導波管セルステージを利用する。いくつかの実施形態では、ステージアセンブリは、導波管セルの1つの面が露光スタックの水平面に対して保持されるように導波管セルを位置付けるために必要とされる機能性および調節性を提供するように設計される。いくつかの実施形態では、導波管セルの面は、露光スタックのマスタに対して保持される。ステージアセンブリは、マスタの特徴に対する所望の配向に導波管セルを位置付けるように構成されることができる。ステージアセンブリはまた、特定のタイプの導波管セルを格納するように設計されることができる。いくつかの実施形態では、ステージアセンブリは、導波管セルを格納するためのホルダサブアセンブリを含む。種々の実施形態では、ホルダサブアセンブリは、具体的形状の導波管セルを保持するようにカスタマイズされる。いくつかの実施形態では、ホルダサブアセンブリは、導波管セルが一貫した様式でスワップおよび再位置付けされることを可能にするように設計される。
【0072】
図8は、本発明のある実施形態による、導波管セルを格納するためのステージアセンブリを概念的に図示する。示されるように、ステージアセンブリ800は、基部コンポーネント802と、XY線形平行移動ステージ804と、回転ステージ806とを含む。回転ステージ806は、フォークサブアセンブリ808と、導波管セル812を格納するホルダサブアセンブリ810とを含むことができる。いくつかの実施形態では、基部コンポーネント802のうちの一方の端部は、露光システムのステーションに添着されるように設計される。端部上で、XY線形平行移動ステージ804は、平面を横断する導波管セル8 10の位置付けを可能にするように実装されることができる。回転ステージ806の機能性と組み合わせて、ステージアセンブリ800は、3次元空間内の導波管セルの位置付けを可能にするように構成されることができる。
【0073】
図9Aおよび9Bは、本発明のある実施形態による、ステージアセンブリの回転ステージを概念的に図示する。
図9Aは、フォークサブアセンブリ902と、ホルダサブアセンブリ904とを含む、回転ステージ900の斜視図を示す。示されるように、回転ステージ900は、いくつかの回転軸を横断する導波管セル906の位置付けを可能にするように構成されることができる。例証的実施形態では、フォークサブアセンブリ902およびホルダサブアセンブリ904は、搭載される導波管セル906が、相互に垂直である2つの軸908、910を中心として回転されることを可能にするように構成される。回転ステージ900は、ホルダサブアセンブリ904がフォークサブアセンブリ内に位置する精密ハードウェア912を中心として枢動する一方、フォークサブアセンブリ902が玉軸受ガイド914を中心として枢動するように構成されることができる。各軸の回転の範囲は、所与の用途の具体的要件に依存し得る。これらの2つのサブアセンブリ902、904の組み合わせは、露光スタックの公称位置、および/または、限定ではないが、熱的変化等の環境外乱からもたらされる本システムの任意の位置変化にかかわらず、導波管セル906が、露光スタックの底面に対して平行なままであることを可能にすることができる。多くの実施形態では、回転ステージ900は、導波管セル906の面内回転を可能にするように構成されることができる。例証的実施形態では、回転ステージ900は、導波管セル906の寸法中心918を通過する軸916を中心とする導波管セル906の回転を可能にするように構成される。本移動は、「ピッチ合致」が、導波管セル906と露光プロセスにおいて利用されるマスタの特徴との間で起こることを可能にすることができる。
【0074】
図9Bは、回転ステージ900の側面図を示す。示されるように、回転ステージ900はまた、フォークサブアセンブリ902の上向き予荷重を提供するように構成されることができ、これは、導波管セル906の上面と露光スタックの底面との間に一定の不定位置合わせを維持するために使用されることができる。導波管セル906と露光スタックとの間の接触の力は、フォークサブアセンブリ902を上向きに荷重するために使用されるばねのばね定数kによって示されることができる。本上向き回転の範囲922は、本システムの設計によって機械的に限定されることができる。
【0075】
ステージアセンブリは、所与の用途の具体的要件に応じて、種々の方法で実装されることができる。いくつかの実施形態では、ステージアセンブリは、導波管セルを再位置付けする能力を維持しながら、ステーションに搭載されるように構成される。
図10Aおよび10Bは、本発明のある実施形態による、添着されたステージアセンブリを概念的に図示する。示されるように、ステージアセンブリ1000は、基部コンポーネント1004を通してステーションの定常コンポーネント1002に添着される。例証される実施形態では、ステージアセンブリ1000は、フォークサブアセンブリ1006と、その上に露光スタックが格納され得る切り抜き1012に対して導波管セル1010を位置付けることが可能なホルダサブアセンブリ1008とを含む。ステージアセンブリは、限定ではないが、熱的変化および機械的擾乱等の種々の環境因子に起因する、露光システムの微小移動を考慮しながら位置を維持するように設計されることができる。
【0076】
巡回露光に関する実施形態
多くの実施形態では、記録システムは、移動可能プラットフォームを含む。さらなる実施形態では、移動可能プラットフォームは、ビームまたはサブビームをステーションの異なるセットに再指向するために、限定ではないが、ミラー等の光学コンポーネントを再位置付けすることができる。上記に議論されるように、ステーションは、導波管セルをスワップアウトするように構成されることができる。複数のステーションおよび移動可能プラットフォームの実装とともに、「ホットスワッピング」の本形態は、記録システムの連続的動作が、無限の数の導波管セル内に体積格子を記録することを可能にする。多くの実施形態では、導波管セルのスワッピングは、手動で行われる。他の実施形態では、自動化システムが、導波管セルをスワップする。容易に理解され得るように、移動可能プラットフォームおよびこれが再位置付けするコンポーネントの厳密な構成は、所与の用途の具体的要件に依存し得る。例えば、いくつかの実施形態では、単一のレーザ源が、ステーションの第1のセット内に格納される導波管セルの第1のセットを露光するために使用される。移動可能プラットフォームは、次いで、ミラーを再位置付けすることができ、これは、レーザ源の伝搬経路を変化させ、次いで、ステーションの第2のセット内に格納される体積格子の第2のセットを記録することができる。露光の第2のセットの間、導波管セルの第1のセットは、ステーションの第1のセット内に格納されるべき未露光導波管セルの新しいセットと交換されることができる。移動可能プラットフォームは、次いで、ミラーを再位置付けし、記録ビームを指向し、ステーションの第1のセット内の導波管セルの新しいセットを露光することができる。本構成では、複数の導波管セル内の体積格子の記録は、巡回様式で実施されることができる。2ステージ巡回露光構成が議論されるが、記録システムは、ステーションの数および本システムの物理的制約に依存し得る、異なる数のステージを伴う異なるサイクルの露光を実施するように構成されることができる。
【0077】
図11Aおよび11Bは、本発明のある実施形態による、単一のレーザ源1102および移動可能プラットフォーム1104を利用する記録システム1100の、それぞれ、上面図および等角図を概念的に図示する。動作の間、レーザ源1102に由来するビーム1106が、ビームスプリッタ1108を通過し、3つのサブビーム1110を形成することができる。ビームスプリッタは、いくつかの異なる方法で実装されることができる。多くの実施形態では、部分的に反射するミラーが、ビームスプリッタとして使用される。ビーム拡大コンポーネント1112が、サブビーム1110のサイズを操作し、それをコリメートするために使用されることができる。例証的実施形態では、本システムは、移動可能プラットフォーム1104上に搭載されるビームスプリッタ1114およびミラー1116に向かってサブビーム1110を指向するように設計される。移動可能プラットフォーム1104上に搭載されるビームスプリッタ1114はさらに、3つのサブビーム1110を6つのサブビームに分割することができ、これらは、ビームスプリッタ1114およびミラー1116によって指向され、2つの導波管セルのそれぞれの上に3つの体積格子を同時に記録する。示されるように、移動可能プラットフォーム1104は、搭載されるビームスプリッタ1114およびミラー1116が、一度に6つのサブビームを2つの異なるステーションのセットの中に再指向し得るように位置付けられることができる。ステーション1118内で、ミラーはまた、入射ビームを露光スタックに向かって再指向するように実装される。いったん記録プロセスが2つの導波管セルに関して完了されると、移動可能プラットフォーム1104は、軌道1120に沿って進行し、ビームスプリッタ1114およびミラー1116を再位置付けし、サブビームを2つの他のステーションの中に指向することができる。本プロセスは、記録が異なるステーションにおいて起こっている周期の間に露光された導波管セルを未露光導波管セルと置換することによって、巡回様式で継続することができる。いくつかの実施形態では、ステーション1118は、露光スタックに影響を及ぼさないように環境光を低減/防止することに役立つために、シートカバーを含む。カバーは、入射露光ビームが通過することを可能にするように設計される切り抜きを含むことができる。
【0078】
図11Aおよび11Bは、具体的記録システムを概念的に図示し、いくつかの異なる構成のうちのいずれかが、本発明の種々の実施形態に従って実装されることができる。例えば、任意の数のステーションが、所与の用途の具体的要件に応じて、実装されることができる。いくつかの実施形態では、9つのステーションが、実装される。いくつかの実施形態では、図面に示されるステーションおよび露光スタックは、ホログラフィック露光プロセスを監視する際に使用するための診断レーザビームおよび反射光の入力および抽出のためのポートを含有することができる。いくつかの実施形態では、ステーションは、3D空間内に位置付けられ、移動可能プラットフォームは、3D空間内で移動し、それに応じて記録ビームを再指向するように構成される。
【0079】
導波管セル内にホログラフィック格子を記録するための具体的システムおよび方法が、上記に議論されるが、多くの異なる構成が、本発明の多くの異なる実施形態に従って実装されることができる。したがって、本発明は、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、具体的に説明されるもの以外の方法で実践され得ることを理解されたい。したがって、本発明の実施形態は、あらゆる点で例証的であり、制限的ではないと見なされるべきである。故に、本発明の範囲は、例証される実施形態によってではなく、添付される請求項およびそれらの均等物によって決定されるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホログラフィック記録システムであって、
少なくとも1つの記録ビームを与えるように構成された少なくとも1つのレーザ源と、
複数の導波管セルの第1のセットを格納するように構成された複数のステーションの第1のセットであって、各ステーションがマスタ格子と導波管セルステージとを備え、該導波管セルステージが、前記複数の導波管セルの第1のセットのうちの導波管セルを格納し、且つ、該導波管セルの表面が該マスタ格子の表面と平行に重なるように該導波管セルを位置付けるように構成されている、複数のステーションの第1のセットと、
前記少なくとも1つのレーザ源からの少なくとも1つの記録ビームを各マスタ格子上に指向するための少なくとも1つの光学コンポーネントと、を備え、
各マスタ格子が、前記少なくとも1つのレーザ源からの指向された少なくとも1つの記録ビームを、各導波管セル内に体積格子を記録するように干渉する複数のビームに変換するように構成されている、ホログラフィック記録システム。
【請求項2】
前記マスタ格子が振幅格子である、請求項1に記載のホログラフィック記録システム。
【請求項3】
前記マスタ格子が、格子構造として形成されたクロム層を支持する透明基板を備える、請求項1に記載のホログラフィック記録システム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの光学コンポーネントがミラー又はビームスプリッタを備える、請求項1に記載のホログラフィック記録システム。
【請求項5】
周囲光を防ぐための光学フィルタを更に備える請求項1に記載のホログラフィック記録システム。
【請求項6】
前記導波管セルステージが、前記ホログラフィック記録システムの微小移動を相殺して各導波管セルの位置を維持するように構成されている、請求項1に記載のホログラフィック記録システム。
【請求項7】
複数の導波管セルの第2のセットをそれぞれ格納するように構成された複数のステーションの第2のセットであって、前記複数のステーションの第2のセットのうちの各ステーションがマスタ格子と導波管セルステージとを備え、該導波管セルステージが、前記複数の導波管セルの第2のセットのうちの導波管セルを格納し、且つ、該導波管セルの表面が該マスタ格子の表面と平行に重なるように該導波管セルを位置付けるように構成されている、複数のステーションの第2のセットと、
第1の位置と第2の位置との間で移動するように構成された移動可能プラットフォームと、を更に備え、
前記移動可能プラットフォームが前記第1の位置にあるとき、前記少なくとも1つのレーザ源は、前記複数のステーションの第1のセットに向けて1つ以上の記録ビームの第1のセットを放出して前記複数の導波管セルの第1のセットを露光するように構成され、
前記移動可能プラットフォームが前記第2の位置にあるとき、前記少なくとも1つのレーザ源は、前記複数のステーションの第2のセットに向けて1つ以上の記録ビームの第2のセットを放出して前記複数の導波管セルの第2のセットを露光するように構成されている、請求項1に記載のホログラフィック記録システム。
【請求項8】
前記移動可能プラットフォームが、ビームスプリッタ又はミラーを用いて記録ビームを前記複数のステーションの第1のセットと前記複数のステーションの第2のセットに指向するように更に構成されている、請求項7に記載のホログラフィック記録システム。
【請求項9】
前記少なくとも1つのレーザ源が第1のレーザ源と第2のレーザ源とを備え、
前記移動可能プラットフォームが前記第1の位置にあるとき、前記第1のレーザ源は、前記複数のステーションの第1のセットに向けて第1の記録ビームを放出するように構成され、前記第2のレーザ源は、前記複数のステーションの第1のセットに向けて第2の記録ビームを放出するように構成されている、請求項7に記載のホログラフィック記録システム。
【請求項10】
前記複数のステーションの第1のセットが第1のステーションと第2のステーションとを備え、
前記移動可能プラットフォームが前記第1の位置にあるとき、前記少なくとも1つのレーザ源は、前記第1のステーションに向けて第1の記録ビームを放出し、前記第2のステーションに向けて第2の記録ビームを放出するように構成されている、請求項7に記載のホログラフィック記録システム。
【請求項11】
複数の体積格子を記録するための方法であって、
少なくとも1つのレーザ源を用いて少なくとも1つの記録ビームを放出することと、
少なくとも1つの光学コンポーネントを用いて複数のステーションの第1のセットに格納されている複数の導波管セルの第1のセットに向けて少なくとも1つの記録ビームを指向することと、を備え、
各ステーションがマスタ格子と導波管セルステージとを備え、該導波管セルステージが、前記複数の導波管セルの第1のセットのうちの導波管セルを格納し、且つ、該導波管セルの表面が該マスタ格子の表面と平行に重なるように該導波管セルを位置付けるように構成され、
各マスタ格子が、前記少なくとも1つのレーザ源からの指向された少なくとも1つの記録ビームを、各導波管セル内に体積格子を記録するように干渉する複数のビームに変換するように構成されている、方法。
【請求項12】
前記マスタ格子が振幅格子である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記マスタ格子が、格子構造として形成されたクロム層を支持する透明基板を備える、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの光学コンポーネントがミラー又はビームスプリッタを備える、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも1つの光学フィルタを用いて周囲光を防ぐことを更に備える請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記導波管セルステージが、ホログラフィック記録システムの微小移動を考慮して前記導波管セルの位置を維持するように構成されている、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
各マスタ格子が1次回折で回折を行いゼロ次ビームを通過させ、前記1次回折と前記ゼロ次ビームが、各導波管セル内に体積格子を記録する干渉パターンを形成するように干渉する、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つのレーザ源から1つ以上の記録ビームの第2のセットを放出することと、
移動可能プラットフォームに搭載された少なくとも1つの光学コンポーネントを用いて複数のステーションの第2のセットに格納された複数の導波管セルの第2のセットに向けて前記1つ以上の記録ビームの第2のセットを指向することと、を更に備え、
前記複数のステーションの第2のセットのうちの各ステーションがマスタ格子と導波管セルステージとを備え、該導波管セルステージが、前記複数の導波管セルの第2のセットのうちの導波管セルを格納し、且つ、該導波管セルの表面が該マスタ格子の表面と平行に重なるように該導波管セルを位置付けるように構成され、各マスタ格子が、前記少なくとも1つのレーザ源からの指向された少なくとも1つの記録ビームを、各導波管セル内に体積格子を記録するように干渉するビームに変換するように構成されている、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つのレーザ源が第1のレーザ源と第2のレーザ源とを備え、前記第1のレーザ源が第1の記録ビームを放出し、前記第2のレーザ源が第2の記録ビームを放出し、前記複数の導波管セルの第1のセットが第1の導波管セルを備え、放出された前記第1の記録ビームと前記第2の記録ビームが前記第1の導波管セルに向けて指向される、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つのレーザ源が第1のレーザ源と第2のレーザ源とを備え、前記第1のレーザ源が第1の記録ビームを放出し、前記第2のレーザ源が第2の記録ビームを放出し、前記複数の導波管セルの第1のセットが第1の導波管セルと第2の導波管セルを備え、放出された前記第1の記録ビームが前記第1の導波管セルに向けて指向され、放出された前記第2の記録ビームが前記第2の導波管セルに向けて指向される、請求項11に記載の方法。
【外国語明細書】