(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024023648
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】免疫刺激性ポリペプチドおよび抗原性ポリペプチドを含む酵母ワクチンベクター並びにそれを使用する方法
(51)【国際特許分類】
A61K 39/00 20060101AFI20240214BHJP
A61K 39/145 20060101ALI20240214BHJP
A61K 39/112 20060101ALI20240214BHJP
A61K 39/106 20060101ALI20240214BHJP
A61K 39/08 20060101ALI20240214BHJP
A61K 39/012 20060101ALI20240214BHJP
A61K 38/02 20060101ALI20240214BHJP
A61P 31/16 20060101ALI20240214BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20240214BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20240214BHJP
A61K 36/06 20060101ALI20240214BHJP
C12N 1/19 20060101ALN20240214BHJP
【FI】
A61K39/00 A
A61K39/00 H
A61K39/145
A61K39/112
A61K39/106
A61K39/08
A61K39/012
A61K38/02
A61P31/16
A61P31/04
A61P37/04
A61K36/06
C12N1/19 ZNA
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023209806
(22)【出願日】2023-12-13
(62)【分割の表示】P 2022007727の分割
【原出願日】2017-05-03
(31)【優先権主張番号】62/331,044
(32)【優先日】2016-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500467264
【氏名又は名称】ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ ユニバーシティ オブ アーカンソー
(71)【出願人】
【識別番号】507191005
【氏名又は名称】ザ テキサス エイ・アンド・エム ユニヴァーシティ システム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100111501
【弁理士】
【氏名又は名称】滝澤 敏雄
(72)【発明者】
【氏名】ハーギス ビリー
(72)【発明者】
【氏名】カルフーン レオナ ニコール
(72)【発明者】
【氏名】バーグマン リュック
(72)【発明者】
【氏名】ビールケ リサ
(72)【発明者】
【氏名】フォークナー オリヴィア ビー
(57)【要約】
【課題】免疫刺激性ポリペプチドおよび場合によって抗原性ポリペプチドを含む酵母を含むワクチン組成物が本明細書で提供される。
【解決手段】当該免疫刺激性ポリペプチドおよび抗原性ポリペプチドは当該酵母ワクチン組成物の表面で発現またはディスプレーされる。当該ワクチン組成物を用いて対象動物をワクチン免疫する方法もまた提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
HMGB1ポリペプチドまたはCD40リガンドをコードする免疫刺激性ポリヌクレオチドを含む酵母を含む酵母ワクチン組成物であって、当該酵母がHMGB1ポリペプチドまたはCD40リガンドを当該酵母の表面に発現する、前記酵母ワクチン組成物。
【請求項2】
さらにまた抗原性ポリペプチドをコードする抗原性ポリヌクレオチドを含む、請求項1に記載のワクチン組成物。
【請求項3】
酵母が当該抗原性ポリペプチドを当該酵母の表面に発現する、請求項2に記載のワクチン組成物。
【請求項4】
抗原性ポリペプチドが、インフルエンザポリペプチド、カンピロバクターポリペプチド、クロストリジウムポリペプチド、サルモネラポリペプチド、アイメリアポリペプチドおよび腫瘍関連ポリペプチドから成る群から選択される、請求項2または3に記載のワクチン組成物。
【請求項5】
抗原性ポリペプチドが配列番号:39-93のいずれかから選択される、請求項4に記載のワクチン組成物。
【請求項6】
酵母が2つ以上の抗原性ポリペプチドを含む、請求項2-5のいずれかの項に記載のワクチン組成物。
【請求項7】
2つ以上の抗原性ポリペプチドが2つ以上の種に由来する、請求項6に記載のワクチン組成物。
【請求項8】
酵母がピキアである、請求項1から7のいずれかの項に記載のワクチン組成物。
【請求項9】
ピキアがピキア・パストリス(Pichia pastoris)である、請求項8に記載のワクチン組成物。
【請求項10】
HMGB1ポリペプチドが完全長HMGB1ポリペプチドである、請求項1から9のいずれかの項に記載のワクチン組成物。
【請求項11】
HMGB1ポリペプチドが、配列番号:2-30および94-105で提供されるHMGB1配列並びにそれら配列と95%同一性を有する配列から成る群から選択される、請求項10に記載のワクチン組成物。
【請求項12】
CD40リガンドがCD154ポリペプチドおよびCD40アゴニスト抗体またはその部分から選択される、請求項1から11のいずれかの項に記載のワクチン組成物。
【請求項13】
CD40リガンドが配列番号:106-127の少なくとも1つを含む、請求項1から12のいずれかの項に記載のワクチン組成物。
【請求項14】
抗原性ポリペプチドおよびHMGB1ポリペプチドまたはCD40リガンドが融合タンパク質の一部分である、請求項2-13のいずれかの項に記載のワクチン組成物。
【請求項15】
HMGB1ポリペプチドまたはCD40リガンドがGPIにより係留される、請求項1から14のいずれかの項に記載のワクチン組成物。
【請求項16】
免疫刺激性ポリヌクレオチドがサッカロミセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)のα-アグルチニンをコードするポリヌクレオチドに挿入される、請求項15に記載のワクチン組成物。
【請求項17】
免疫刺激性ポリヌクレオチドがさらにまた、少なくとも2つのリンカーアミノ酸をコードするリンカーオリゴヌクレオチドを含む、請求項1から16のいずれかの項に記載のワクチン組成物。
【請求項18】
請求項1から17のいずれかの項に記載のワクチン組成物および医薬的に許容できる担体を含む、医薬組成物。
【請求項19】
医薬的に許容できる担体が経口または経鼻投与のために許容できる、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
酵母が複製できない、請求項18または19に記載の医薬組成物。
【請求項21】
酵母が不活化または殺滅される、請求項18-20のいずれかの項に記載の医薬組成物。
【請求項22】
対象動物で免疫応答を増強する方法であって、請求項1-17のいずれかの項に記載のワクチン組成物または請求項18-21のいずれかの項に記載の医薬組成物を、当該ワクチン組成物に対する当該対象動物の免疫応答を増強するために有効な量で当該対象動物に投与する工程を含む、前記方法。
【請求項23】
ワクチン組成物が経口的にまたは鼻内に投与される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
対象動物が、人間、乳牛、ネコ、イヌ、ブタ、魚類、ナマズ、タイ、金魚、鳥類、家禽、ニワトリ、およびシチメンチョウから成る群から選択される、請求項22または23のいずれかの項に記載の方法。
【請求項25】
ワクチン組成物または当該ワクチン組成物中のポリペプチドに対する抗体応答が当該ワクチン組成物の投与後に増強される、請求項22-24のいずれかの項に記載の方法。
【請求項26】
免疫応答がIgA抗体応答である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
ワクチン組成物中の酵母が対象動物で複製できない、請求項22-26のいずれかの項に記載の方法。
【請求項28】
ワクチン組成物中の酵母が、対象動物への投与前に不活化または殺滅される、請求項22-27のいずれかの項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互引用)本出願は、米国仮特許出願No. 62/331,044(2016年5月3日出願)に関し優先権を主張する。前記出願の内容は参照によってその全体が本明細書に含まれる。
(配列表)本出願はEFS-Webを介し電子出願され、テキスト(.txt)形式の電子提出配列表を含む。当該テキストファイルは、"2017-05-01_5658-00379_ST25.txt"の表題を有する2017年5月2日作成の配列表を含み、118,371バイトのサイズを有する。本テキストファイルに収められた配列表は本明細書の部分であり、参照によってその全体が本明細書に含まれる。
【背景技術】
【0002】
ワクチンは抗原(特に病原体由来抗原)に対する適応免疫応答を開始させ、疾患を緩和または予防するために用いられる。不活化または弱毒化微生物ワクチンは、確実な免疫応答の刺激にしばしば有効である。前記免疫応答は十分に防御的であるが、いくつかの事例では、これらのワクチンは防御的ではないかまたは単に部分的に防御的であり、防御ワクチン開発のためには他の戦略を用いる必要がある。微生物系ワクチン(microorganism based vaccine)は、グリコシル化によってタンパク質を翻訳後改変して大きな抗原性タンパク質(例えばウイルスタンパク質)を適切に発現することができない。したがって、グリコシル化して適切に折り畳まれた大きな抗原性タンパク質(安全で持続的防御免疫の刺激に有効である)を生じることができる酵母ワクチンベクターの開発が希求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本明細書では酵母ワクチンベクターが提供される。当該ワクチンベクターは経口投与に適切であり、さらに、抗原に対し迅速かつ長期持続する免疫および当該標的微生物によるその後の感染に対し防御を生じる。特に、生じる免疫応答は粘膜感染の防御に適切なIgA応答である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
ある特徴では、酵母ワクチン組成物が提供される。当該組成物は、HMGB1ポリペプチドまたはCD40リガンドから選択される免疫刺激性ポリペプチドをコードする免疫刺激性ポリヌクレオチドを含む酵母を含む。当該酵母は操作されて、当該酵母の表面にHMGB1ポリペプチドまたはCD40リガンドを発現する。当該組成物はまた抗原性ポリペプチドを含むことができ、適切には、前記は当該酵母の表面で同様に発現される。組成物を医薬的に許容できる担体および/またはアジュバントと一緒にして、医薬組成物を作製することができる。組成物は2つ以上の抗原性ポリペプチドを含むことができ、前記2つ以上の抗原性ポリペプチドは同じ若しくは異なる生物または種に由来することができる。
別の特徴では、対象動物で免疫応答を増強する方法が提供され、前記方法は、本明細書で提供されるワクチン組成物および医薬組成物を当該対象動物に、当該ワクチン組成物および当該抗原性ポリペプチドに関連する感染性因子に対する当該対象動物の免疫応答の増強に有効な量で投与することによる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】
図1は、蛍光標識サルモネラ・エンテリジチス(
Salmonella Enteriditis)aroA/htrA、サルモネラ・エンテリジチスaroA/htrA-AgA-CD154、およびサルモネラ・エンテリジチスaroA/htrA-AgA-AgB-HMGB1と共培養した後のRAW 264マクロファージの蛍光強度を比較するグラフである。
【
図2】
図2は、ニワトリ(
Gallus gallus)特異的高移動度群ボックス1(high mobility group box 1(HMGB1))タンパク質のピキア・パストリス(
Pichia pastoris)での発現を含むように操作された、pPICZプラスミドのマップ模式図である(グリコシルホスファチジルイノシトール係留サッカロミセス・セレビシアエ(
Saccharomyces cerevisiae)アルファアグルチニン細胞表面発現法を使用)。pPICZはAOX1プロモーターを利用するメタノール誘導性である。
【
図3】
図3は、ピキア・パストリス(X33)でのHMGB1細胞表面発現を示す一組の写真である。ピキア・パストリス-HMGB1構築物#4(
図3D:DICのみ、
図3E:蛍光のみ、
図3F:DIC/蛍光重層)およびピキア・パストリス(X33;
図3A:DICのみ、
図3B:蛍光のみ、
図3C:DIC/蛍光重層)骨格が、ウサギポリクローナルHMGB1 156-177(リン酸緩衝食塩水(PBS)で1:5に希釈)をAlexa 488結合ヤギ抗ウサギIgGのF(ab)
2部分(PBS中の1%ヤギ血清で1:1000に希釈)とともに用いて染色された。HMGB1タンパク質は、9つのピキア・パストリス-HMGB1構築物形質転換のうち3つで最適に発現された。
【
図4】
図4は、ピキア・パストリス特異的血清抗体サンプル/陰性コントロール血清比を示すグラフである。我々は、ELISAを用いて決定された、ピキア・パストリス特異的抗体の典型的な用量応答曲線を観察した。10
7/ブロイラーでSQ投与されたピキア・パストリスは免疫応答の上昇には少なすぎ、10
9/ブロイラーでは多すぎてX33構築物骨格に対してすら血清転換をもたらした。10
8/ブロイラーでSQ投与されたピキア・パストリスは最良の用量で、全てのHMGB1+ピキア・パストリス構築物でピキア・パストリス特異的血清抗体の有意な上昇をもたらした(P<0.001)。
【
図5】
図5は、非ワクチン接種コントロールブロイラー(グループ1)の血清に対して正規化したピキア・パストリス特異的血清抗体比を示す。我々が期待した用量応答が繰り返された。我々は典型的な用量応答曲線を観察した。10
7/ブロイラーでSQ投与されたピキア・パストリスは免疫応答の上昇には少なすぎ、10
9/ブロイラーでは多すぎてX33構築物骨格に対してすら血清転換をもたらした。10
8/ブロイラーでSQ投与されたピキア・パストリスは最良の用量で、全てのHMGB1+ピキア・パストリス構築物でピキア・パストリス特異的血清抗体の有意な上昇をもたらした(P=0.049)。
【
図6】
図6は、チャレンジ後6日目に病巣スコア4を有する動物のパーセンテージを示し、さらに各棒線内に表示するパーセンテージはチャレンジ後6日目のパーセント死亡率を示す。
【
図7】
図7は、全ての病巣スコアの分布もまたワクチン接種動物で低下したことを示すグラフである。ワクチン接種動物はより低い病巣スコアを示した。
【発明を実施するための形態】
【0006】
ワクチン組成物に対してまたは当該ワクチン組成物によって発現される抗原性ポリペプチドに対して免疫応答を引き出すことができるワクチン組成物が本明細書で提供される。特に、当該ワクチン組成物は酵母を含み、前記酵母は操作されてその表面に免疫刺激性ポリペプチドを発現する。酵母はまた操作されて追加の抗原性ポリペプチドを酵母の表面に発現することができる。具体的な実施態様では、ピキア・パストリスワクチンベクターが提供される。当該ワクチンベクターは、免疫刺激性ポリペプチドをコードする免疫刺激性ポリヌクレオチドを含み、前記は酵母の表面で発現またはディスプレーされる。当該免疫刺激性ポリペプチは、高移動度群ボックス1(HMGB1)免疫刺激性ポリペプチドまたはCD40リガンド(例えばCD154ポリペプチドもしくはそのフラグメント)または他のCD40アゴニスト(例えばCD40抗体)であり得る。免疫刺激性ポリペプチドは、酵母(例えばピキア・パストリス)の表面で当業者が利用可能な任意の手段を用いて発現させることができる。例では、免疫刺激性ポリペプチドは、サッカロミセス・セレビシアエα-アグルチニンの3'末端によってコードされるグリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)係留機構を介して酵母の表面に接着される。当業者には、酵母に含まれる免疫刺激性および/または抗原性ポリペプチドの表面発現を得るために、他の発現系を用いてワクチン組成物を作製できることは容易に理解されよう。
【0007】
HMGB1タンパク質は最初DNAの構造及び安定性のために重要なDNA結合タンパク質として同定された。前記は、配列の特異性無しにDNAと結合する普遍的に発現される核タンパク質である。当該タンパク質は高度に保存され、植物から哺乳動物に及ぶ生物で見いだされる。ニワトリ、ゼブラフィッシュ、ヒト、マウス、ラット、カニクイザル、乳牛、ウマ、イヌ類、ブタ、ウサギ、レッドドラム、ナマズ、フエダイ、金魚、キングコブラ、ブラインシュリンプおよび他のHMGB1アミノ酸配列が提供される。配列番号:2-30および94-105を参照されたい。哺乳動物を通して当該配列は95%アミノ酸同一性で高度に保存され、アミノ酸変化は保存的である。したがって、1つの種のHMGB1タンパク質を別の種のHMGB1タンパク質のためにおそらく機能的に代用することができる。完全長HMGB1タンパク質またはその部分を本明細書に記載するワクチンベクターでHMGB1ポリペプチドとして用いることができる。HMGB1は、A1およびA2並びにB1およびB2と称される2つのDNA結合領域を有する。以下を参照されたい:Andersson and Tracey, Annu.Rev.Immunol.2011, 29:139-162。
HMGB1は炎症媒介因子であり、核損傷(例えば壊死細胞に由来する)シグナルとして機能する。HMGB1はまた、タンパク質のアセチル化、核内での移転、および分泌を必要とする過程で、単球/マクロファージ系列の細胞によって活発に分泌され得る。細胞外HMGB1は、終末糖化産物受容体(Receptor for Advanced Glycated End-product, RAGE)を介して、さらにToll様受容体ファミリー(TLR)のメンバー(特にTLR4)を介してシグナルを発することによって炎症の強力な媒介因子として作用する。RAGE結合活性は同定されていて、HMGB1 RAGE結合ドメインのポリペプチドを必要とする。TLR4結合は、ニワトリのHMGB1配列(配列番号:2)の106位のシステインを必要とし、前記はHMGB1のBボックス領域で見いだされる。
【0008】
適切には、ワクチンベクターは、ニワトリHMGB1ポリペプチドのアミノ酸150-183および89-109を含むポリペプチドまたはそのホモログをコードするポリヌクレオチドを含む。配列番号:2を参照されたい。例では、HMGB1の190アミノ酸ポリペプチドが用いられた。適切には、当該ポリヌクレオチドは、ワクチン組成物が用いられる対象動物と同じ種に由来するHMGB1ポリペプチドをコードする。HMGB1ポリペプチドおよび対象動物の異種組合せ(すなわちニワトリワクチンで使用されるヒトHMGB1ポリペプチド)も本発明の方法で有用であり得る。なぜならば、HMGB1は、上記で考察したように多数の種で高度に保存されているからである。HMGB1ポリペプチドを用いて、酵母ワクチン組成物内または組成物上に存在する任意の外来抗原または抗原性ポリペプチドに対して対象動物で免疫応答を増強することができる。HMGB1ポリペプチドをを用いて酵母ワクチン組成物中に存在する2つ以上の抗原性ポリペプチドに対して免疫応答を増強することが可能であろうということは、当業者には理解されよう。HMGB1由来ポリペプチドは、少なくとも部分的には、樹状細胞またはマクロファージを活性化し、したがってサイトカイン(例えばIL-1、IL-6、IFN-γおよびTNF-α)の産生を刺激することによって免疫応答を刺激する。例では、HMGB1のポリペプチドがワクチン組成物の表面で発現された。
HMGB1の炎症性活性は完全長タンパク質を必要とせず、機能的なフラグメントが同定されている。HMGB1の炎症促進作用を媒介するためにBボックスで十分であることが示され、したがって、HMGB1ボックスb1およびHMGB1ボックスb2が本発明の関係ではHMGB1ポリペプチドまたはその機能的フラグメントである。例えば配列番号:35または36を参照されたい。加えて、RAGE結合部位および炎症促進性サイトカイン活性がマッピングされている。配列番号:37および38をそれぞれ参照されたい。したがって、本発明の関係ではこれらのポリペプチドがHMGB1ポリペプチドの機能的フラグメントである。配列番号:31-38を参照されたい。
【0009】
当業者は、複数の方法、例えば国際特許出願公開No.WO2002 092004(参照によってその全体が本明細書に含まれる)中の方法を用いて、炎症促進性サイトカイン活性を刺激することができるHMGB1ポリペプチドおよびそのフラグメントを同定することができる。適切には、当該HMGB1ポリペプチドは、ニワトリHMGB1配列のアミノ酸150-183のRAGE結合ドメイン(HMGB1 RAGE結合ドメインまたはそのホモログ)およびニワトリHMGB1配列のアミノ酸89-109の間の炎症促進性サイトカイン活性ドメイン(配列番号:2;HMGB1炎症促進性サイトカイン活性またはそのホモログ)を含む。特に、HMGB1ポリペプチドおよびその機能的フラグメントまたはホモログは、ニワトリHMGB1配列若しくはHMGB1ボックスa1、HMGB1ボックスa2、HMGB1ボックスb1、HMGB1ボックスb2、HMGB1 RAGE結合ドメイン、またはHMGB1炎症促進性サイトカイン活性のHMGB1ポリペプチドのそれぞれと同一、または少なくとも99%同一、少なくとも98%同一、少なくとも95%同一、少なくとも90%同一、少なくとも85%同一、または少なくとも80%同一のポリペプチドを含む。
免疫刺激性ポリペプチドはまたCD40リガンドまたはCD40アゴニストでもよい。対象動物でCD40と結合し、さらにワクチン組成物に対して応答するように対象動物を刺激することができるCD154ポリペプチドおよびその関連する外来抗原性ポリペプチドを免疫刺激性ポリペプチドとして用いことができる。CD154ポリペプチドは完全長CD154であってもよく、または50アミノ酸長よりも短くても、より適切には40より短くても、30より短くても、または長さが20アミノ酸より短くてもよい。当該ポリペプチドは10から15アミノ酸の間、10から20アミノ酸の間、または長さが10から25アミノ酸の間であることができる。CD154配列およびCD40結合領域は多様な種の間で高度には保存されていない。ニワトリおよびヒトのCD154配列は、それぞれ配列番号:106および配列番号:107に提供される。
【0010】
CD154のCD40結合領域は、ヒト、ニワトリ、アヒル、マウスおよび畜牛を含む多数の種で決定されていて、それぞれ配列番号:108、配列番号:109、配列番号:110、配列番号:111および配列番号:112に示される。さらにまた、配列番号:106-112に提供されるCD154配列と同一、または少なくとも99%同一、少なくとも98%同一、少なくとも95%同一、少なくとも90%同一、少なくとも85%同一、または少なくとも80%同一のポリペプチドも含まれる。CD40結合領域では種の間で配列多様性が存在するが、CD154とCD40との種間結合が報告されている。例えば、ヒトCD154ポリペプチドはニワトリで免疫応答を増強できた。したがって、種特異的CD154ポリペプチドまたは異種CD154ポリペプチドを用いて本発明を実施することができる。
別の選択では、CD40リガンドはCD40アゴニスト抗体またはその部分でもよい。そのようなCD40アゴニスト抗体は少なくとも国際特許出願No.WO2015/187969に開示されている。CD40抗体およびアゴニストCD40抗体はまた、いくつかの種(特にマウスおよびヒト)について市場で入手することができる。抗体がCD40を発現する標的細胞内でシグナリングを誘発できるならば、当該抗体はCD40に対してアゴニストである。CD40を介するシグナリングは、抗原提示細胞の表面でCD40およびTNF受容体の発現増加をもたらし、反応性酸素種および酸化窒素の生成、並びにアイソタイプ切り替えに至るB細胞活性化を誘発する。
【0011】
適切なニワトリCD40アゴニスト抗体には以下が含まれる:配列番号:113として本明細書で提供される抗体(重鎖)および2C5と称される配列番号:114(軽鎖)またはDAG-1と称される配列番号:115(単鎖可変フラグメント(scFv))。これらの抗体は“ニワトリ化”型で作製することができ、Fc部分及び非CDR領域を同種の宿主適合性抗体骨格配列で入れ替えて、抗体骨格自体への免疫応答を最小限にできる。加えて、抗体は、組換えを介しまたは酵素消化(すなわちパパインまたはペプシン)を介して抗体のより小さな部分として作製され、抗体のF(ab)のみ(例えばF(ab)2フラグメント)を含むことができる。両方のニワトリCD40抗体についてCDR領域が同定されている。2C5と名付けられて配列番号:113および配列番号:114で提供される抗体については、重鎖可変領域は、配列番号:116に示されるアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号:117に示されるアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号:118に示されるアミノ酸配列を含むCDR3を含み、さらに軽鎖可変領域は、配列番号:119に示されるアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号:120に示されるアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号:121に示されるアミノ酸配列を含むCDR3を含む。DAG-1と名付けられて配列番号:115で提供される抗体については、重鎖可変領域は、配列番号:122に示されるアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号:123に示されるアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号:124に示されるアミノ酸配列を含むCDR3を含み、さらに軽鎖可変領域は、配列番号:125に示されるアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号:126に示されるアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号:127に示されるアミノ酸配列を含むCDR3を含む。さらにまた、配列番号:113-127の少なくとも1つと同一、または少なくとも99%同一、少なくとも98%同一、少なくとも95%同一、少なくとも90%同一、少なくとも85%同一、または少なくとも80%同一のポリペプチドも含まれる。
【0012】
本明細書で提供されるワクチン組成物は酵母を含む。酵母は以下の酵母属のいずれかから選択することができる:サッカロミセス、カンジダ、クリプトコッカス、ハンセヌラ、クルイベロミセス、ピキア、ロードトルラ、シゾサッカロミセスおよびヤロウイア。酵母は以下から成る種から選択される種でもよい:サッカロミセス・セレビシアエ、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、ハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、ピキア・パストリスおよびシゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)。例では、ピキア・パストリスが用いられた。当該酵母は免疫刺激性ポリペプチドをコードする免疫刺激性ポリヌクレオチドを含み、さらにまた抗原性ポリペプチドをコードする抗原性ポリヌクレオチドを含む。適切には、免疫刺激性ポリペプチドおよび抗原性ポリペプチドは自然のままでは当該酵母によって発現されない。酵母は操作されて、当該免疫刺激性ポリペプチドおよび抗原性ポリペプチドを発現し、これらポリペプチドを当該酵母の表面でディスプレー又は発現する。
当該抗原性ポリペプチドの少なくとも一部分および当該免疫刺激性ポリペプチドの少なくとも一部分が、当該ピキア・パストリスまたは他の酵母系ワクチン組成物の表面に存在する。ワクチン組成物の表面に存在するポリペプチドには、トランスメンブレンタンパク質内に含まれるか、トランスメンブレンタンパク質、膜脂質または膜GPI係留炭水化物若しくはタンパク質と相互作用するか、前記に共有結合的に若しくは化学的に架橋されるポリペプチドが含まれる。ポリペプチドは、トランスメンブレンタンパク質のN-末端、C-末端またはトランスメンブレンタンパク質内の任意の場所にペプチド結合を介して連結される(すなわち、トランスメンブレンタンパク質の2つのアミノ酸の間にまたはトランスメンブレンタンパク質の1つ以上のアミノ酸の代わりに挿入される(欠失-挿入))ポリペプチドを含むアミノ酸を有することによって、トランスメンブレンタンパク質内に含まれ得る。自然のままではない免疫刺激性ポリヌクレオチドまたは抗原性ポリヌクレオチドは、トランスメンブレンの細胞外ループまたは細胞壁タンパク質内にインフレームで挿入されて、当該免疫刺激性ポリペプチドまたは抗原性ポリペプチドの表面発現を達成できることは当業者には理解されよう。例では、酵母の共有結合的に連結されるGPI係留系を利用するα-アグルチニンC-末端係留法が用いられるが、しかしながら他の類似方法も当業者にとって利用可能である。
【0013】
また別には、当該ポリヌクレオチドは、当業者に利用可能な方法を介して、膜のタンパク質、脂質または炭水化物に共有結合的にまたは化学的に連結され得る。例えば、ジスルフィド結合またはビオチン-アビジン架橋を用いて、ワクチン組成物中の酵母の表面で抗原性ポリペプチド及び免疫刺激性ポリペプチドを提示することが可能であろう。適切には、抗原性ポリペプチドおよび免疫刺激性ポリペプチドは融合タンパク質の一部分である。これらの2つのポリペプチドはペプチド結合を介して直接連結されていてもよく、或いは、ポリヌクレオチドによってコードされるリンカーペプチドまたはそれら2つのポリペプチドが挿入される第三のタンパク質の断片によって分離されていてもよい。いくつかの実施態様では、免疫刺激性ポリペプチドおよび/または抗原性ポリペプチドの各々の2つ以上のコピーを含む融合タンパク質が酵母に含まれる。いくつかの実施態様では、免疫刺激性ポリペプチドの多数のコピーが、同じ免疫刺激性ポリペプチドまたは異なるポリペプチドの2つ以上のコピーを含む。同じことが抗原性ポリペプチドでも同様で、同じまたは相似する(analogous)抗原性ポリペプチドの多数のコピー(例えばトリインフルエンザM2e抗原(おそらくただ1つのまたはほんのいくつかのアミノ酸配列の相違を有する)の多数のコピー)が酵母に含まれ得る。また別には、酵母は操作されて、多数の異なる別個の抗原性ポリペプチドを発現することができ、ワクチン組成物の単回投与が、異なる種由来の異なる抗原に対する免疫応答を引き出しまたは増強することを可能にする。例えば、ワクチン組成物を調製して配列番号:55および配列番号:61を同じワクチン組成物に含むことにより、カンピロバクターおよびアイメリアによるその後の感染に対して免疫応答を増強することができる。
【0014】
抗原性ポリペプチドまたは免疫刺激性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、ワクチン組成物の酵母に挿入され、発現されて抗原性ポリペプチドおよび免疫刺激性ポリペプチドを生成することができる。ポリヌクレオチドはワクチン組成物の染色体に挿入されるか、またはプラスミド若しくは他の染色体外DNA(例えばYAC(酵母人工染色体))上でコードされ得る。適切には、抗原性ポリペプチドおよび/または免疫刺激性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは独立して発現させることができ、または発現される酵母ワクチンポリヌクレオチドに挿入される。酵母ワクチンポリヌクレオチドは、酵母ワクチンの表面で発現されるポリペプチド(例えばトランスメンブレンタンパク質)をコードすることができる。抗原性ポリペプチドおよび/または免疫刺激性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは酵母ワクチンポリヌクレオチド配列に挿入されて、酵母表面での抗原性ポリペプチドおよび/または免疫刺激性ポリペプチドの発現を可能にすることができる。
また別には、抗原性ポリペプチドおよび/または免疫刺激性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは分泌されるポリペプチドに挿入され、酵母ワクチンの表面のタンパク質、脂質または炭水化物との結合を介して酵母ワクチンの表面でディスプレー又は提示され得る。抗原性ポリペプチドおよび/または免疫刺激性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは様々な酵母ポリヌクレオチドに挿入されて、当該酵母で処置される対象動物の免疫細胞に対し抗原性ポリペプチドおよび/または免疫刺激性ポリペプチドの発現および提示を提供し得ることは当業者には理解されよう。
上記考察で特記したように、本明細書に記載のワクチンはまた抗原性ポリペプチドをコードする抗原性ポリヌクレオチドを含むことができる。抗原性ポリペプチドは、適応免疫系によって特異的に認識され得るポリペプチドである。抗原性ポリペプチドは、ベクターとして選択された酵母によって自然のままで発現され、ワクチンベクターとして機能する酵母に対するワクチン免疫を付与する。また別には、酵母ワクチンベクターは、当該ワクチンベクターに自然のままでは結合されない異種ポリペプチドをコードする異種ポリヌクレオチドを抗原性ポリペプチドとして保持することができる。抗原性ポリペプチドには免疫原性である任意のポリペプチドが含まれる。抗原性ポリペプチドには、病原体関連、アレルゲン関連、腫瘍関連、または疾病関連抗原が含まれるが、ただしこれらに限定されない。病原体には、ウイルス性、寄生性、真菌性および細菌性病原体とともにタンパク質病原体(例えばプリオン)が含まれる。抗原性ポリペプチドは完全長タンパク質またはその部分であり得る。
【0015】
多くのタンパク質の免疫系による認識は比較的少数のアミノ酸(しばしばエピトープと称される)に基づくことは広く確立されている。エピトープはほんの8-10アミノ酸であり得る。抗原性ポリペプチドという用語はエピトープを含むことができ、前記に対して抗体またはT細胞免疫応答が対象動物で生じる。エピトープおよび抗原または抗原性ポリペプチドという用語は互換的に用いることができる。したがって、本明細書に記載する抗原性ポリペプチドは、完全長タンパク質、8アミノ酸長エピトープまたはこれら極値の間の任意の部分であり得る。実際には、抗原性ポリペプチドは、単一病原体またはタンパク質に由来する2つ以上のエピトープを含むことができる。抗原性ポリペプチドは、細菌の大きな断片または細菌の小さなペプチドを含むことができ(ただしこれらに限定されない)、例えば、乳房炎感染に関係するもの、サルモネラ(Salmonella)、クロストリジウム(Clostridium)、カンピロバクター、エスケリキア(Escherichia)、シゲラ(Shigella)、ヘリコバクター(Helicobacter)、ビブリオ(Vibrio)、プレシオモナス(Plesiomonas)、エドワルジア(Edwardia)、クレブシエラ(Klebsiella)、スタフィロコッカス(Staphylococcus)、ストレプトコッカス(Streptococcus)、アエロモナス(Aeromonas);ウイルスタンパク質(口蹄疫ウイルス、ブタ流行性下痢ウイルス(PEDv)、およびブタ生殖器呼吸器症候群ウイルス(PRRSV)が含まれるが、ただしこれらに限定されない);寄生生物感染(アイメリア属の種(Eimeria spp)、トキソプラズ、マラリア、または他の寄生生物を含むが、ただしこれらに限定されない);並びに腫瘍抗原である。例えば、以下で同定された抗原またはエピトープを用いることができる:米国特許8,604,198号、国際出願公開公報WO2009/059018、WO2009/059298、WO2011/091255、WO2011/156619、WO2014070709、WO 2014/127185またはWO 2014/152508。抗原性ポリペプチドは、配列番号:39-93に提供するもののいずれか1つ以上を含むことができ、さらに配列番号:39-93に提供するものと同一、または少なくとも99%同一、少なくとも98%同一、少なくとも95%同一、少なくとも90%同一、少なくとも85%同一、または少なくとも80%同一の複数のポリペプチドを含むことができる。配列番号:39-93に含まれるペプチドのいくつかは、抗原性エピトープとして機能するために要求されそうなものより大きいことは当業者には理解されよう。したがって、これら抗原性ポリペプチドのフラグメントもまた本明細書に含まれる。抗原性ポリペプチドはまた追加のアミノ酸を含むことができること、またはリンカーを介して互いに若しくは免疫刺激性ポリペプチドと連結して一種の融合タンパク質を形成できることは当業者にはまた理解されよう。リンカーアミノ酸は任意のアミノ酸でよいが、しかしながらセリン及びグリシンが最も一般的に用いられる。リンカーは1または2アミノ酸のように短くてよいが、ただし4、5、6、8、10、12、14、15またはそれより大きいアミノ酸長でもよい。
【0016】
同じエピトープ若しくは抗原性ポリペプチドの多数のコピーまたは異なるタンパク質の多数のコピーをワクチンベクターに含むことができる。同じ若しくは異なる病原体または疾病に由来するいくつかのエピトープ若しくは抗原を酵母ワクチンベクター中でまとめて投与し、多数の抗原に対して増強された免疫応答を生じさせることが想定される。酵母ワクチンベクターは、多数の病原性微生物、ウイルスまたは腫瘍関連抗原に由来する抗原をコードすることができる。多数の抗原を発現できるワクチンベクターの投与は、同時に2つ以上の疾病に対して免疫を誘発するという利点を有する。
抗原性ポリペプチドに対する免疫応答を増強できる免疫刺激性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドはまた抗原性ポリペプチドをコードすることができる。ワクチンベクターにおいて免疫刺激性ポリペプチドおよび抗原性ポリペプチドが同じポリヌクレオチドによってコードされるように、免疫刺激性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを抗原性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに連結することができる。抗原性ポリペプチドおよび免疫刺激性ポリペプチドの少なくとも一部分が、酵母ワクチンベクターの表面に存在する。ワクチン組成物は、抗原性ポリペプチドをコードする抗原性ポリヌクレオチドおよび免疫刺激性ポリペプチドをコードする抗原性ポリヌクレオチドを含む。免疫刺激性ポリペプチドおよび抗原性ポリペプチドを、例えば融合タンパク質の場合のように連結させることができる。免疫刺激性ポリペプチドおよび抗原性ポリペプチドを両方ともトランスメンブレンタンパク質の外部ループ内に挿入するか、またはGPI係留メカニズムを介して表面に接着させることができる。
【0017】
異種ポリヌクレオチドには、酵母ワクチンベクター以外の病原性微生物またはウイルスから選択される抗原をコードするポリヌクレオチドが含まれるが、ただし前記に限定されない。そのような異種または抗原性ポリヌクレオチドは例えば以下の病原性ウイルスから誘導することができる:インフルエンザ(例えばM2e、ヘマグルチニンまたはノイラミニダーゼ)、ヘルペスウイルス(例えばヘルペスウイルスの構造タンパク質をコードする遺伝子)、レトロウイルス(例えばgp160エンベロープタンパク質)、アデノウイルス、パラミクソウイルス、コロナウイルスなど。異種ポリヌクレオチドはまた、病原性細菌から入手できる(例えば細菌タンパク質(例えば毒素および外膜タンパク質)をコードする遺伝子)。さらにまた、寄生生物(例えばアイメリア)に由来する異種ポリヌクレオチドは、酵母ベクター系(yeast vectored)ワクチン組成物の注目される候補である。
【0018】
免疫系の点火に必要とされる追加の免疫刺激性ポリペプチドがまた本明細書に記載するワクチン組成物に含まれ得る。当該ポリヌクレオチドは、その刺激性作用について知られている免疫系分子、例えばインターロイキン、腫瘍壊死因子若しくはインターフェロン、または免疫制御に必要とされる別のポリペプチド(例えばCD40リガンドまたはCD40アゴニスト)をコードすることができる。したがって、酵母ワクチンベクターは、2つ以上の免疫刺激性ポリペプチドまたは2つ以上の抗原性ポリペプチドを含むことができる。前記は、同じポリペプチドの2つ以上のコピーを含み、当該ポリペプチドの発現レベルを高める。また別には、多数の異なる免疫刺激性ポリペプチド若しくは前記をコードするヌクレオチド、または多数の抗原性ポリペプチド若しくは前記をコードするヌクレオチドが単一の組換え酵母に含まれ得る。当該多数の抗原性ポリペプチドは、類似の抗原のマルチコピーであり得る(例えばM2e抗原の2つの異なるエピトープ(配列番号:41および42))。抗原性ポリペプチドは完全に異なる抗原であるが同じ感染性因子と関係を有する複数の抗原であってもよい(例えばM2eおよびHA5)。配列番号:41-44を参照されたい。抗原性ポリペプチドはまた、単一の一元的ワクチンで2つ以上の病原体をワクチン免疫するために、異なる種に向けられる複数の抗原であってもよい。例えば、インフルエンザM2eに対する配列番号:41は、大腸菌(E. coli)のPALに向けられる配列番号:54、またはアイメリアのMPPに向けられる配列番号:61と組み合わされる。例では、MPP-TRAP-HMGB-1を発現する酵母(配列番号:2に連結される配列番号:65に連結される配列番号:61)を含むワクチン組成物が作製され、アイメリア・マキシマ(Eimeria maxima)によるチャレンジに関係する罹患率及び死亡率の両方を軽減することが示された。
【0019】
ワクチン組成物および医薬的に許容できる担体を含む組成物もまた提供される。医薬的に許容できる担体はin vivo投与に適切な任意の担体である。適切には、医薬的に許容できる担体は経口、経鼻または粘膜デリバリーのために許容できる。医薬的に許容できる担体には、水、緩衝化溶液、グルコース溶液、または細菌培養液が含まれ得る。組成物の追加成分には、適切には賦形剤(例えば安定化剤、保存料、希釈剤、乳化剤及び滑沢剤)が含まれ得る。医薬的に許容できる担体または希釈剤の例には、安定化剤、例えば炭水化物(例えばソルビトール、マンニトール、デンプン、シュクロース、グルコース、デキストラン)、タンパク質(例えばアルブミンまたはカゼイン)、タンパク質含有剤(例えばウシ血清アルブミンまたは脱脂粉乳)および緩衝剤(例えばリン酸緩衝剤)が含まれる。そのような安定化剤が組成物に添加されるときは特に、組成物は凍結乾燥または噴霧乾燥に適切である。
ワクチン組成物は対象動物で複製能力をもたなくてもよい。酵母は実験室環境外では増殖不能であることができる(例えば当該酵母の弱毒化型)。適切には、酵母は、ワクチン組成物への添加前に弱毒化または殺滅される。ワクチン組成物はまたアジュバントを含むことができる。アジュバントは当業界では公知であり、実施例ではマンノシル化キトサンアジュバントが用いられた。WO 2014/070709を参照されたい。
本明細書に記載する組成物を用いて、抗原性ポリペプチドまたはワクチンベクターそのものに対する免疫応答を増強することができる。本明細書に記載する組成物およびワクチンベクターは、その後の疾病の重篤度を、疾病の期間を減じ当該疾病に関係する罹患率または死亡率を減じまたは当該疾病に罹患する可能性を低下させることによって軽減させることができる。本明細書に記載するワクチンベクターの投与後の当該疾病に関係する罹患率または死亡率は、当該ワクチンベクターを提供されていない類似の対象動物と比較して25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%さえも軽減させることができる。
【0020】
ワクチン組成物を投与することによって対象動物で免疫応答を増強する方法もまた提供される。ワクチン組成物は、当該ワクチン組成物およびその随伴する抗原性ポリペプチドに対する免疫応答を刺激することができる完全長の免疫刺激性ポリペプチドまたはその部分を含むことができる。免疫刺激性ポリペプチドを含むワクチン組成物は、当該ワクチンおよび特に当該抗原性ポリペプチドに対する対象動物の免疫応答を増強するために有効な量で対象動物に投与される。免疫応答の増強には、対象動物の免疫系によって媒介される治療的または予防的効果の誘発が含まれる(ただし前記に限定されない)。当該効果は、抗原性ポリペプチドまたは当該抗原性ポリペプチドを発現する感染性若しくは癌性因子に対する応答を試験することによって測定できる。具体的には、免疫応答の増強には、抗体産生の増強、抗体重鎖のクラス切り替えの増強、抗原提示細胞の成熟、ヘルパーT細胞の刺激、細胞傷害性T細胞の刺激、またはTおよび/またはB細胞メモリーの誘発が含まれ得る(ただしこれらに限定されない)。
組成物は、多様な手段(皮下、経口、鼻内および経粘膜が含まれるが、ただしこれらに限定されない)によって投与できる。例えば、ワクチン組成物またはワクチンベクターは、エーロゾルによって、スプレーによって、食物若しくは水への添加によって、経口胃管栄養によって、または点眼を介してデリバリーされ得る。いくつかの実施態様では、組成物は、注射(例えば皮内、非経口、皮下、腹腔内、静脈内、頭蓋内、または筋肉内)によって投与される。ニワトリまたは他の家禽のためには、組成物は卵内に投与できる。投与手段の組合せもまた用いることができる。例では、皮下ワクチン接種の後に経口的に投与されるワクチン組成物のブーストが続く。他の組合せもまた用いることができる。例えば、鼻内またはエーロゾル若しくはスプレーによるデリバリーの後に経口胃管栄養または飼料若しくは飲水中への混合が続く。
【0021】
対象動物には、脊椎動物、適切には哺乳動物(適切にはヒト、乳牛、ネコ、イヌ、ブタ)、水産養殖(適切にはナマズ、タイ、金魚)、または鳥類、適切には家禽(例えばニワトリまたはシチメンチョウ)が含まれるが、ただしこれらに限定されない。他の感染動物モデルもまた用いることができる。免疫応答の増強には、対象動物の免疫系によって媒介される治療的または予防的効果の誘発が含まれる(ただし前記に限定されない)。具体的には、免疫応答の増強は抗体産生の増大を含むことができ、例えば
図4および5に示される。いくつかの実施態様では、IgA応答がもたらされる。
投与されるべき有用な投与量は、対象動物の齢、体重および種、投与の態様およびルート、並びに免疫応答が求められる病原体のタイプまたは疾病に応じて変動するであろう。組成物は、免疫応答を惹起させるために十分な酵母ワクチンベクターの任意の用量で投与することができる。10
5から10
10の酵母ベクターコピーの範囲の用量が十分であると想定される。具体的は、1mm
3中の酵母数を400倍の倍率下で血球計算版を用いて数えることによって決定された1回分投薬量10
8ピキア・パストリス-HMGB1ワクチンベクターコピーが、酵母細胞表面のHMGB1に隣接する抗原性カーゴに対する免疫応答の刺激を究極的に意味するワクチンベクター特異的免疫応答の誘発のために最適である。
組成物はただ1回投与してもよく、免疫応答を高めるために2回以上投与してもよい。組成物が2回以上投与される場合は、上記で考察したようにワクチンを投与する毎に異なる投与ルートを介して当該組成物を投与してもよい。例えば、1週間、2週間若しくは3週間、1か月、2か月、3か月、6か月、またはそれより長く間をあけて組成物を2回以上投与することができる。酵母は投与前には生存可能であり得るが、しかしながら大半の実施態様では、酵母は投与前に殺滅されるかまたは不活化されるであろう。いくつかの実施態様では、酵母は対象動物で複製できるが、他の実施態様では、酵母は対象動物で複製能力がなくてもよい。実施例に示すように、酵母ワクチンベクターは、ホルマリン、グルタルアルデヒド、エタノール、酸性化、熱または抗生物質を用いて投与前に不活化できる。酵母ワクチン不活化の他の手段も同様に利用し得ることは当業者には理解されよう。
【0022】
本開示は、本明細書に示す組成物の構築、整え方、または方法工程の具体的な詳細に限定されない。本明細書に開示する組成物および方法は、下記の開示を考慮して当業者にとって明白な多様な態様で考案、実施、使用、実行および/または形成され得る。本明細書で用いられる表現法および用語法は単に説明を目的とし、特許請求の範囲を制限するものと解されるべきではない。本記載および特許請求の範囲で用いられる、序数標識(例えば第一、第二および第三)は、何らかの具体的な構造若しくは工程、またはそのような構造若しくは工程に対する何らかの特定の順序若しくは配置を指示するものと解されることを意図しない。本明細書に記載する全ての方法は、本明細書で特段に指示されないかまたは文脈的に明瞭に矛盾しないかぎり任意の適切な順序で実施できる。本明細書で提供される、任意のかつ全ての例または例示の言葉(例えば、“such as(例えば)”)は、単に開示を容易にすることを目的とし、特段に請求されないかぎり、開示の範囲における何らの限定も示唆しない。明細書の記載および図面に示される構造によって、特許請求されていない任意の要素が本開示の主題の実施に必須であると指示していると解されてはならない。“including(含む)”、“comprising(含む)”、または“having(有する)”という用語の本明細書における使用は、その後に記載の要素およびその等価物を追加の要素と同様に包含することを意味する。ある種の成分を“including(含む)”、“comprising(含む)”、または“having(有する)”と記載された実施態様はまた、それらある種の要素から“consisting essentially of(本質的に成る)”および“consisting of(成る)”ことが意図される。
本明細書における値の範囲の記載は、本明細書で特段の指示がないかぎり、単にある範囲内に入る別個の各値を個々に言及する簡潔な表記方法として機能させることを意図し、各別個の値はあたかも本明細書に個々に記載されたかのように本明細書に含まれる。例えば、濃度の範囲が1%から50%と記述されている場合、例えば2%から40%、10%から30%、または1%から3%などの値が本明細書に明確に列挙されていることが意図される。これらは具体的に意図されることの単なる例であり、列挙された値の間の数値(最低値および最高値を含む)の全ての可能な組合せが、本開示で明確に記述されていると考えられるべきである。列挙された特定の量または量の範囲を記載するための“約”という語の使用は、当該列挙された量に非常に近い値(例えば測定実施における製造公差、装置及び人的誤差などによると考えられるまたはそのために自然に生じ得る値)が当該量に含まれることを指示していること意味する。量を指す全てのパーセンテージは特段の指示がなければ重量による。
いずれかの参考文献(本明細書に引用された任意の非特許または特許資料を含む)が先行技術を構成するということは認められない。特に、特段の指定がないかぎり、本明細書におけるいずれかの資料の言及は、これら資料のいずれかが合衆国または他のいずれかの国の通常的一般知識の部分を形成することの容認を構成しないことは理解されよう。これら参考文献に関するいずれの考察もそれらの著者が主張するものを記述し、本出願人は、本明細書に引用するいずれの資料の正確性及び妥当性にも挑む権利を保留する。本明細書に引用される全ての参考文献は、特段の指示がないかぎり参照によってその全体が本明細書に含まれる。引用された参考文献で見いだされる定義および/または記述の間で何らかの相違が存在する場合においては本開示が優先するであろう。
【0023】
本発明の具体的な態様をいくつか例示的に以下に列挙する。
〔1〕HMGB1ポリペプチドまたはCD40リガンドをコードする免疫刺激性ポリヌクレオチドを含む酵母を含む酵母ワクチン組成物であって、当該酵母がHMGB1ポリペプチドまたはCD40リガンドを当該酵母の表面に発現する、前記酵母ワクチン組成物。
〔2〕さらにまた抗原性ポリペプチドをコードする抗原性ポリヌクレオチドを含む、前記〔1〕に記載のワクチン組成物。
〔3〕酵母が当該抗原性ポリペプチドを当該酵母の表面に発現する、前記〔2〕に記載のワクチン組成物。
〔4〕抗原性ポリペプチドが、インフルエンザポリペプチド、カンピロバクターポリペプチド、クロストリジウムポリペプチド、サルモネラポリペプチド、アイメリアポリペプチドおよび腫瘍関連ポリペプチドから成る群から選択される、前記〔2〕または〔3〕に記載のワクチン組成物。
〔5〕抗原性ポリペプチドが配列番号:39-93のいずれかから選択される、前記〔4〕に記載のワクチン組成物。
〔6〕酵母が2つ以上の抗原性ポリペプチドを含む、前記〔2〕-〔5〕のいずれかの項に記載のワクチン組成物。
〔7〕2つ以上の抗原性ポリペプチドが2つ以上の種に由来する、前記〔6〕に記載のワクチン組成物。
〔8〕酵母がピキアである、前記〔1〕から〔7〕のいずれかの項に記載のワクチン組成物。
〔9〕ピキアがピキア・パストリス(Pichia pastoris)である、前記〔8〕に記載のワクチン組成物。
〔10〕HMGB1ポリペプチドが完全長HMGB1ポリペプチドである、前記〔1〕から〔9〕のいずれかの項に記載のワクチン組成物。
〔11〕HMGB1ポリペプチドが、配列番号:2-30および94-105で提供されるHMGB1配列並びにそれら配列と95%同一性を有する配列から成る群から選択される、前記〔10〕に記載のワクチン組成物。
〔12〕CD40リガンドがCD154ポリペプチドおよびCD40アゴニスト抗体またはその部分から選択される、前記〔1〕から〔11〕のいずれかの項に記載のワクチン組成物。
〔13〕CD40リガンドが配列番号:106-127の少なくとも1つを含む、前記〔1〕から〔12〕のいずれかの項に記載のワクチン組成物。
〔14〕抗原性ポリペプチドおよびHMGB1ポリペプチドまたはCD40リガンドが融合タンパク質の一部分である、前記〔2〕-〔13〕のいずれかの項に記載のワクチン組成物。
〔15〕HMGB1ポリペプチドまたはCD40リガンドがGPIにより係留される、前記〔1〕から〔14〕のいずれかの項に記載のワクチン組成物。
〔16〕免疫刺激性ポリヌクレオチドがサッカロミセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)のα-アグルチニンをコードするポリヌクレオチドに挿入される、前記〔15〕に記載のワクチン組成物。
〔17〕免疫刺激性ポリヌクレオチドがさらにまた、少なくとも2つのリンカーアミノ酸をコードするリンカーオリゴヌクレオチドを含む、前記〔1〕から〔16〕のいずれかの項に記載のワクチン組成物。
〔18〕前記〔1〕から〔17〕のいずれかの項に記載のワクチン組成物および医薬的に許容できる担体を含む、医薬組成物。
〔19〕医薬的に許容できる担体が経口または経鼻投与のために許容できる、前記〔18〕に記載の医薬組成物。
〔20〕酵母が複製できない、前記〔18〕または〔19〕に記載の医薬組成物。
〔21〕酵母が不活化または殺滅される、前記〔18〕-〔20〕のいずれかの項に記載の医薬組成物。
〔22〕対象動物で免疫応答を増強する方法であって、前記〔1〕-〔17〕のいずれかの項に記載のワクチン組成物または前記〔18〕-〔21〕のいずれかの項に記載の医薬組成物を、当該ワクチン組成物に対する当該対象動物の免疫応答を増強するために有効な量で当該対象動物に投与する工程を含む、前記方法。
〔23〕ワクチン組成物が経口的にまたは鼻内に投与される、前記〔22〕に記載の方法。
〔24〕対象動物が、人間、乳牛、ネコ、イヌ、ブタ、魚類、ナマズ、タイ、金魚、鳥類、家禽、ニワトリ、およびシチメンチョウから成る群から選択される、前記〔22〕または〔23〕のいずれかの項に記載の方法。
〔25〕ワクチン組成物または当該ワクチン組成物中のポリペプチドに対する抗体応答が当該ワクチン組成物の投与後に増強される、前記〔22〕-〔24〕のいずれかの項に記載の方法。
〔26〕免疫応答がIgA抗体応答である、前記〔25〕に記載の方法。
〔27〕ワクチン組成物中の酵母が対象動物で複製できない、前記〔22〕-〔26〕のいずれかの項に記載の方法。
〔28〕ワクチン組成物中の酵母が、対象動物への投与前に不活化または殺滅される、前記〔22〕-〔27〕のいずれかの項に記載の方法。
【0024】
下記の例は単に例証することを意図し、本発明または添付の特許請求の範囲の制限を意図しない。
【実施例0025】
我々は、完全長の高移動度群ボックス1(HMGB1)を発現し抗原性カーゴに対する免疫応答を有意に高めるピキア・パストリスワクチンを開発した。以前に、我々は、切端CD154(またはCD40リガンド)ポリペプチドおよび/または完全長HMGB1を二重弱毒化サルモネラ・エンテリジチス(SE)に挿入し、Raw264ネズミマクロファージ細胞による食作用性取り込みを比較した(
図1)。Raw264内の相対的蛍光強度を蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)分析を用いて測定した。黄色ブドウ球菌(
S. aureus)pHrodo粒子上の蛍光シグナルはより酸性のpHで増加するので、蛍光強度を測定した。いったん細菌が食作用によってマクロファージ内に取り込まれると、ファゴリソソームがマクロファージ内に形成される。マクロファージは、ファゴリソソームの内部pHを酸性化することによって細菌を分解する。したがって、細菌を活発に分解しているマクロファージはより強い蛍光強度を有するであろう。
図1のデータは、ネズミマクロファージは、弱毒化SEワクチンベクター単独と比較してHMGB1を含むSEワクチンベクターを優先的に貪食し(P=0.011)、さらにCD154はネズミマクロファージによる食作用性取り込みを有意には変化させない(P=0.057)ことを示している。
我々はHMGB1の細胞表面発現のためにピキア・パストリスを操作した。ピキア・パストリスの染色体にHMGB1タンパク質を挿入するためにプラスミド組み込み系を用い、ワクチンカーゴに対する免疫応答を高めた。ピキア・パストリスは、サッカロミセス・セレビシアエよりも10から100倍高いタンパク質発現を生じる。HMGB1は危険信号を免疫系に送ってRAGE応答を引き起こす。上記に記載する食作用アッセイは、HMGB1は、担体系(例えばサルモネラ・エンテリジチス)のネズミマクロファージへの取り込みを高めることができる強力な免疫刺激分子であることを示す。酵母の細胞表面におけるHMGB1食作用アッセイは、HMGB1は、担体系(例えばサルモネラ・エンテリジチス)のネズミマクロファージへの取り込みを高めることができる強力な免疫刺激分子であることを示す。酵母の細胞表面におけるHMGB1発現は、サルモネラ・エンテリジチス構築物で観察されるように、食作用による酵母ベクター系ワクチンのマクロファージへの取り込みを増強するはずである。我々は、インビトロゲン社(Invitrogen(商標))からイージーセレクト(EasySelect)ピキア発現キットを入手した(ピキア・パストリスでの発現のためにpPICZ発現ベクターを含む)。ピキア・パストリスのための細胞表面発現キットは従来入手できないが、幾人かの研究者はGPI係留タンパク質を用い酵母系で細胞表面発現を始めた(Wasilenko et al., 2009)。用いられたGPI係留タンパク質は、サッカロミセス・セレビシアエ由来のα-アグルチニンのC-末端部分である。サッカロミセス・セレビシアエのα-アグルチニンのC-末端にセリンスペーサーによって接続したHMGB1をpPICZ細胞内発現プラスミドに挿入した(
図2および配列番号:1)。pPICZは、高速高レベルのタンパク質発現のためのメタノール誘導性プラスミドである。HMGB1の細胞表面発現は
図3で確認された(
図3は、形質転換酵母細胞上でのみHMGB1存在の蛍光を示す(
図3Eおよび
図3F))。
【0026】
ピキア・パストリスの細胞表面でのHMGB1タンパク質発現を確認した後、我々は3つのHMGB1陽性ピキア・パストリスクローンを選択して、ブロイラー鶏で試験した(n=15雛/グループ)。ピキア・パストリス-HMGB1陽性クローン#3、4および6を滅菌水中の0.3%グルタルアルデヒドを用いて不活化し、マンノシル化キトサンアジュバントに1:2で混合した。WO 2014/070709を参照されたい(前記は参照によってその全体が本明細書に含まれる)。我々は、各ピキア・パストリス-HMGB1陽性構築物の3つの用量(10
7-10
9)を皮下注射によって0.25mLワクチン/雛で投与した(表1)。ブロイラー雛を孵化日および14日目にワクチン接種した。IgG抗体力価測定のために、血清を21日目に収集した。ピキア・パストリスに特異的なIgGを測定する直接ELISAは我々の実験室で最適化した。ELISAアッセイ内のプレート間の変動性を説明するために、サンプル/陰性コントロール血清比を報告した。ピキア・パストリスに特異的な抗体力価を各ブロイラー雛で決定した。ピキア・パストリス-HMGB1ワクチン接種雛のIgGを非改変ピキア・パストリス(X33)ワクチン接種雛のIgGと比較した。結果は
図4に示される。
【0027】
表1:ブロイラー雛のピキア・パストリスワクチン接種用量
続いて、我々は、3週齢のブロイラー鶏をピキア・パストリス-HMGB1構築物#3、4または6でワクチン接種し、同様なIgG抗体応答が観察されるか否かを決定した。我々は、3週齢のブロイラー鶏を各ピキア・パストリスワクチンの0.25mLでワクチン免疫した(表1:n=10ニワトリ/グループ)。ピキア・パストリス-HMGB1陽性構築物#3、4または6を滅菌水中の0.3%グルタルアルデヒドを用いて不活化し、マンノシル化キトサンアジュバントに1:2で混合した。ブロイラー鶏を21日目および35日目にワクチン接種した。IgG抗体力価測定のために、血清を21日目に収集した。ピキア・パストリスに特異的なIgGを測定する直接ELISAは我々の実験室で最適化した。ELISAアッセイ内のプレート間の変動性を説明するために、ワクチン非接種ニワトリ(グループ1)に対して正規化した450nmの吸収を報告した。ピキア・パストリスに特異的な抗体力価を各ブロイラー雛で決定した。ピキア・パストリス-HMGB1ワクチン接種雛のIgGを非改変ピキア・パストリス(X33)ワクチン接種雛のIgGと比較した。結果は
図5に示される。
不活化HMGB1+ピキア・パストリスをSQ注射されたブロイラーでは、HMGB1は、非改変ピキア・パストリスを注射されたブロイラーと比較してピキア・パストリスに特異的なIgG抗体力価を有意に上昇させた(
図4および
図5)。HMGB1は、ピキア・パストリスワクチンベクターに対する免疫応答を高め、同じピキア・パストリスワクチンによって発現される任意の抗原性カーゴは、当該抗原カーゴがHMGB1の存在しないピキア・パストリスで発現される場合よりも高い免疫応答を引き出すであろうと示唆した。
【0028】
材料と方法
ピキア・パストリスX-33(野生型)は、イージーセレクトTMピキア発現キットの部分としてインビトロゲン(Carlsbad, CA, USA)から入手された。ピキア・パストリス-での発現のために最適化されたHMGB1コード配列-はゲンスクリプト社(Genscript, Piscataway, NJ, USA)で合成され、我々の研究室にpCU57クローニングベクターとして供給された。TOP10エレクトロコンピテント大腸菌(Invitrogen)をワクチン構築中に必要とされる全てのプラスミド増殖のために用いた。プラスミドDNAによる形質転換に続いて、大腸菌を100μg/mLアンピシリン補充LB培地または50μg/mLゼオシンを含む低塩LB培地のどちらかを用いて37℃で増殖させた。日常的なピキア・パストリス増殖は、適切な時は50μgのゼオシンを補充したYPD培地を用い30℃で実施された。ヒスチジンを含む酵母用最少培地(MMH)およびデキストロースを含む酵母用最少培地(MDH)は、組換えワクチン株のその後のスクリーニングのために用いられた。グリセロール含有最少培地(MGY)およびメタノール含有最少培地(MM)は、培養ピキア・パストリスからHMGB1の発現を誘発するために用いられた。
ワクチンベクターの構築:
ピキア・パストリス-HMGB1発現ベクターを作製するために、pPICZをKpnIおよびPmeIで消化し、クローニングのためのベクター骨格を調製した。pUC57/HMGB1-アルファアグルチニンをKpnIおよびEcoRVで消化し、1.6kbのHMGB1-アルファアグルチニン挿入物を続いてゲル精製した。連結およびTOP10大腸菌の形質転換に続いて、コロニーPCRを実施して、適切なpPICZ/HMGB1-アルファアグルチニン連結プラスミドを保持するコロニーを同定した。このPCRのためのプライマー、AOXSeqF(5'GACTGGTTCCAATTGACAAGC 3';配列番号:128)、AOXSeqR(5'GCAAATGGCATTCTGACATCC 3';配列番号:129)は、イージーセレクトTMキットで提供された。アンプリコンはKOD DNAポリメラーゼ(Millipore; Darmstadt, Germany)を用いて生成された。この反応のためのサイクリングパラメーターは以下のとおりである:98℃で10分;その後、98℃15秒、55℃5秒の25サイクル。連結されたプラスミドpPICZ/HMGB1-アルファアグルチニンはさらにまたアーカンサス大学DNAコアラボラトリー施設(University of Arkansas DNA core laboratory facility, Fayetteville, AR)で検証された。pPICZ/HMGB1-アルファアグルチニンを続いてPmeI消化によって線状化し、精製してピキア・パストリスX-33へのエレクトロポレーションのために調製した。
エレクトロポレーションのために、5mLのピキア・パストリスX-33をYPDブロスで30℃にて一晩増殖させた。次の日にこの5mL培養に500ミリリットルの新しいYPDブロスを加え、OD 1.5まで増殖させた。続いて、細胞を氷冷滅菌水で2回さらに氷冷無菌的ソルビトール(1M)で1回洗浄した。最終的に細胞を1mLの氷冷ソルビトールに再懸濁した。80マイクロリットルのコンピテントなピキア・パストリスを10μgの線状化pPICZ/HMGB1-アルファアグルチニンと混合し、2.0KVで1回パルスして酵母細胞のエレクトロポレーションを実施した。ゼオシン耐性遺伝子を含む線状化ワクチン構築物の染色体組み込みが成功した形質転換体を100μg/mLゼオシン含有YPDプレートで選別した。再度、コロニーPCRを用いて形質転換体を分析した。前述のプライマーおよびサイクリングパラメーターを利用した。
【0029】
ピキア・パストリスpPICZ/HMGB1 AOX1遺伝子のスクリーニング:
得られたワクチン株を試験して、HMGB1-アルファアグルチニンの発現を駆動するために必要なAOX1遺伝子の存在および安定性を検証した。GS115 Mut
-(イージーセレクト
TMピキア発現キットで提供される非機能的AOX1遺伝子を有する陰性コントロール)に加えて9つのゼオシン耐性株を、MDHおよびMMH寒天にプレートすることによって試験した。AOX1欠損株はMDH培地よりもMMH培地ではるかに遅い増殖を示す。これら2つの培地における増殖時間を利用して、AOX1欠損株を同定した。当該9株+陰性コントロールGS115 Mut
-の各々をMMHおよびMDHにレプリカプレートし、3日間インキュベートした。培養を24時間毎にチェックし、増殖レベルを記録した。
HMGB1-アルファアグルチニンタンパク質の誘導:
培養でHMGB1の発現を誘導するために、50mLのピキア・パストリスpPICZ/HMGB1-アルファアグルチニン培養を単一コロニーからMGYブロスで30℃にて一晩増殖させた。前記一晩培養の25mLを250mLの事前に温めたMMブロスに移し、適切なエアレーションのために滅菌寒冷紗で覆った。続いて、前記培養を激しく振盪しながら96時間増殖させ、100%メタノールを24時間毎に最終濃度0.5%に添加して誘導を維持した。HMGB1-アルファアグルチニン遺伝子生成物の誘導は96時間後に最大化した。
誘導後、9つのピキア・パストリス-HMGB1陽性構築物の各々を、免疫蛍光アッセイを用いてピキア・パストリス細胞表面におけるHMGB1タンパク質発現について試験した。ピキア・パストリス-HMGB1構築物#1、3、4、5、6、7、8、9および10並びにX33骨格を、ウサギポリクローナルHMGB1 156-177(リン酸緩衝食塩水(PBS)で1:5に希釈)をAlexa 488結合ヤギ抗ウサギIgGのF(ab)
2部分(PBS中のヤギ血清で1:1000に希釈)ともに用いて染色した。HMGB1タンパク質発現は、形質転換をもたらした9つのピキア・パストリス-HMGB1構築物のうち3つ(#3、4および6)で最適に発現された(
図3)。
酵母ベクター系ワクチン候補によるワクチン免疫後のS. エンテリチジス回収の評価:
次に、我々は、チャレンジ後にS. エンテリチジス(SE)(血清型Dサルモネラ)の回収を低下させる、酵母ベクター系PAL-HMGB1(配列番号:2に連結された配列番号:54)および抗体ガイドPALワクチン候補の有効性を試験した。60羽のSPFレグホン雛を家禽農場で孵化させた。孵化日に、雛を2つのグループ(コントロールまたはワクチン接種)に分けた。ワクチン接種雛を4.25x10
9 cfu/トリの酵母-PAL-HMGB1で皮下および経口胃管栄養によってワクチン接種し、続いて両グループをワイヤー床付き養鶏ケージに入れ、飼料および水は自由に供給された。ワクチン接種前に、サンプリングのために10羽の1日齢雛をCO
2吸入によって安楽死させ、雛がサルモネラ陰性であることを確認した。7日目に、ワクチン接種鶏を5x10
9 cfu/トリで皮下および経口胃管栄養によってブーストした。14日目に、全ての雛を1.2x10
8 cfu/トリのSEで経口胃管栄養によってチャレンジした。21および28日目に、各グループにつき10の排泄腔スワブを入手しチャレンジ株の排出を査定した。32日目に、20羽のニワトリ(コントロール)および10羽のニワトリ(ワクチン接種)から肝および脾臓(LS)並びに盲腸(CT)を収集し、直接プレーティング(CFU/g)およびSE事象増大によって培養した。
実験手順の要旨:
表2に示すように、酵母-PAL-HMGB1ワクチンでワクチン免疫されたニワトリからは有意に少ないサルモネラがチャレンジ後18日で回収された。表3に示すように、有意に少ないサルモネラが排泄腔スワブから回収され、チャレンジ後2週間という早期に完全に除去された。
【0030】
酵母ベクター系ワクチン候補によるワクチン免疫後のコクシジウム感染の評価:
次に、我々は、チャレンジ後にアイメリア・マキシマM6株による感染後の罹患率及び死亡率を低下させる、酵母(ピキア・パストリス)ベクター系MPP-TRAP-HMGB1(配列番号:2に連結された配列番号:65に連結された配列番号:61)の有効性を試験した。MPP-TRAP-HMGB1の発現は、免疫蛍光によって表面発現であることが確認された。80羽の雛を市場の孵化業者から孵化日に入手した。孵化日に、雛を無作為に4つのグループに分けた:陰性コントロール、陽性コントロール、孵化日および14日目のMCA中のピキア-MPP-TRAP-HMGB-1ワクチンの経口胃管栄養によるワクチン接種、または孵化日および14日目のMCA中のピキア-MPP-TRAP-HMGB-1ワクチンの飲水によるワクチン接種。ワクチン接種雛を5x10
7 cfu/トリの酵母-MPP-TRAP-HMGB1で経口胃管栄養または飲水によってワクチン免疫した。マンノシル化キトサンアジュバント(MCA)ストック溶液(1.5%キトサンw:v)をピキア懸濁物で1:2に希釈した(0.5%最終濃度)。経口胃管栄養のためには、MCA(0.5%)+ピキア構築物(1x10
7細胞)がプライムおよびブーストの両方のために0.25mLで経口胃管栄養によってデリバリーされた。飲水での投与のためには、飲水でのMCAの最終濃度は0.004%であり、ピキアの最終濃度は飲水中で2.3x10
6細胞/mLであり、前記はプライムおよびブースト投与の両方に用いられた。全ての雛に個々にタグを付け、さらに飲水によるワクチン免疫時を除いて全ての雛を混合し(各群N=20)、飼料と水は自由に供給された。
全グループを20日目にチャレンジし、病巣スコアを接種後6日目に決定した。いくつかのオーシストが最初のチャレンジから流出し(それらは未変化のまま通過する)、したがって、これらの混合された雛では非常に軽度のチャレンジが非チャレンジコントロールで予想される。20日目に、陽性コントロール鳥および両セットのワクチン接種鳥を100,000アイメリア・マキシマ(M6株)のオーシストでチャレンジした。26日目に、ジョンソンとリードの病巣スコアインデックス(Johnson and Reid Lesion Score Index)(Johnson, J.and W.M.Reid 1970; Experimental Parasitology 28: 30-36)を用いて、各鳥を病巣について採点した。この病巣スコア方法では、数値スコアは以下を示す:0では、肉眼病巣は無い;1では、小さな赤色点状出血が中腸の漿膜側に出現することがある、腸の膨張または肥厚は存在しないが少量の橙色の粘液が存在することがある;2では、漿膜表面に多数の赤色点状出血が斑状に形成されることがある、腸は橙色の粘液で満たされることがある、腸の膨張はほとんどまたは全くない、壁の肥厚;3では、腸壁は膨張および肥厚する、粘膜表面は粗くなる、腸内容物はピンポイントの凝血および粘液で満たされる;4では、腸壁はその全長の大半で膨張することがある、多数の凝血および消化された赤血球を含み特徴的な色および不快な臭いを生じる、壁は甚だしく肥厚する、死亡した鳥にはこのスコアが記録される。
図6はチャレンジ後6日目に病巣スコア4を有する動物のパーセントを示し、各棒線で表示されるパーセンテージはチャレンジ6日後のパーセント死亡率を示す。注目すべきは、ワクチン免疫された鳥のいずれも6日までに死亡せず、陽性コントロール動物の15%と対照的であった。病巣スコアはまた、
図6に示される計算p値によって示されるように低下した(飲水ワクチン接種についてはp=0.037、経口胃管栄養についてはp=0.067)。免疫刺激性ポリペプチドとしてHMGB1と一緒にMPPおよびTRAP抗原の両方を発現するピキアが飲水に混合されるとき、病巣スコアは有意に低下する。統計分析を以下のように実施した。病巣データをSASのPROC MIXED ANOVAを用いて分析し、スコア0と1の間の重篤度の相違はスコア1と2の間の重篤度の相違と類似し、以下同様であると仮定した。この仮定の下では、スコアの期待値(means)をPROC MIXED ANOVA分析のために分析することができる。病巣スコアはジョンソンとリード(1970)が記載したように0から4の範囲である。変量および固定効果検定を実施した。期待値の相違を計算して、処置グループにおける病巣スコア間の何らかの有意な相違を決定した。データはポアソン分布を示すことが決定され、テューキークレマー検定を用いて処置グループ間で何らかの統計的有意差が存在するか否かを決定した。
図7に示すように、全病巣スコアの分布もワクチン接種動物で低下した。ワクチン接種動物はより低い病巣スコアを示した。したがって、飲水または経口胃管栄養のどちらかによるワクチン免疫は、アイメリアによるチャレンジ後により低い死亡率及びより低い罹患率をもたらした。
抗原性ポリペプチドが、インフルエンザポリペプチド、カンピロバクターポリペプチド、クロストリジウムポリペプチド、サルモネラポリペプチド、アイメリアポリペプチドおよび腫瘍関連ポリペプチドから成る群から選択される、請求項2に記載のワクチン組成物。