(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024023653
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】可変直径外科用器具のための連結アセンブリ
(51)【国際特許分類】
A61M 25/09 20060101AFI20240214BHJP
A61M 29/00 20060101ALI20240214BHJP
A61M 25/10 20130101ALI20240214BHJP
【FI】
A61M25/09 530
A61M29/00
A61M25/10 544
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023210108
(22)【出願日】2023-12-13
(62)【分割の表示】P 2021518531の分割
【原出願日】2019-10-01
(31)【優先権主張番号】62/741,611
(32)【優先日】2018-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/781,667
(32)【優先日】2018-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/825,847
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/556,283
(32)【優先日】2019-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516389190
【氏名又は名称】アクラレント インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Acclarent, Inc.
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】サラザール・ヘンリー・エフ
(72)【発明者】
【氏名】パルシ・ジェットミア
(72)【発明者】
【氏名】パパダキス・アタナシオス
(72)【発明者】
【氏名】アクバリアン・ファテメ
(72)【発明者】
【氏名】ビークラー・クリストファー・ティー
(72)【発明者】
【氏名】ディーン・マルク
(72)【発明者】
【氏名】テイラー・ジュリー・エム
(72)【発明者】
【氏名】シャメリ・エーサン
(72)【発明者】
【氏名】ティネス・ジュニア・ジョン・エイチ
(72)【発明者】
【氏名】アルガウィ・イェフダ
(72)【発明者】
【氏名】ラジャン・クリシュナ・マーシー
(72)【発明者】
【氏名】エブラヒミ・ババク
(57)【要約】 (修正有)
【課題】解剖学的通路内に拡張カテーテルのバルーンを位置決めするためのシステムを提供する。
【解決手段】機器は、細長い部材802と共に使用されてもよく、係合部材812と、中空シャフト814と、圧縮部材820と、圧縮要素818と、弾性把持部材816と、を含む。中空シャフトは、係合部材から長手方向軸に沿って延びる。圧縮部材は、中空シャフト上に摺動可能に配設される。中空シャフトは、弾性把持部材の上に配設され、圧縮要素を支持する。圧縮部材は、戻り止め機構822を含む円錐状の内側表面880を有する。円錐状の内側表面は、戻り止め機構が圧縮要素を保持している状態でカラーがロック解除位置からロック位置に向かって前進すると、圧縮要素を半径方向内向きに付勢するように構成されている。
【選択図】
図17B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性器具を有する拡張器具と共に使用するための機器であって、
(a)第1の連結部材であって、
(i)第1の端部と、
(ii)第2の端部と、
(iii)前記第1の連結部材の前記第1の端部と前記第2の端部との間に延びる第1の貫通穴と、を含む、第1の連結部材と、
(b)前記第1の連結部材と解放可能に連結するように構成された第2の連結部材であって、
(i)第1の端部と、
(ii)第2の端部と、
(iii)前記第2の連結部材の前記第1の端部と前記第2の端部との間に延びる第2の貫通穴と、を含む、第2の連結部材と、
(c)前記第1の連結部材内に配設された圧縮性本体であって、前記第1の貫通穴及び前記第2の貫通穴と同軸状に整列して、前記可撓性器具を内部を通して軸方向に受け入れるように構成された穴を画定する、圧縮性本体と、を備え、
前記第1の貫通穴及び前記第2の貫通穴は、内部を通して前記可撓性器具を軸方向に受け入れるようなサイズであり、
前記圧縮性本体は、前記可撓性器具が前記第1の連結部材及び前記第2の連結部材並びに前記圧縮性本体を通って自由に並進可能である膨張状態に向かって弾性的に付勢され、
前記圧縮性本体は、前記第1の連結部材と前記第2の連結部材との間の相対的回転に応答して半径方向内向きに圧縮して前記可撓性器具と摩擦係合し、それによって前記可撓性器具を前記第1の連結部材及び前記第2の連結部材に対して固定するように構成されている、機器。
【請求項2】
前記第1の連結部材は第1のねじ山付き部分を含み、前記第2の連結部材は、前記第1の連結部材が前記第2の連結部材に対して回転すると、前記第1のねじ山付き部分にねじ式に係合するように構成された第2のねじ山付き部分を含む、請求項1に記載の機器。
【請求項3】
前記第1のねじ山付き部分は雄ねじを含み、前記第2のねじ山付き部分は雌ねじを含む、請求項2に記載の機器。
【請求項4】
前記第2の連結部材は突出部を更に備え、前記突出部は、前記第1の連結部材と前記第2の連結部材との間の相対的回転に応答して、前記圧縮性本体を圧縮するように構成されている、請求項3に記載の機器。
【請求項5】
(a)第1の穴を画定する第1の細長い部材であって、前記第1の細長い部材の前記第1の穴はガイドワイヤを受け入れるようなサイズである、第1の細長い部材と、
(b)第2の穴を画定する第2の細長い部材であって、前記第2の細長い部材の前記第2の穴は、前記第1の細長い部材の前記第1の穴と同軸状に整列し、前記ガイドワイヤを受け入れるようなサイズであり、前記第2の細長い部材は、前記第1の細長い部材の前記第1の穴内に位置決めされた突出部を更に含む、第2の細長い部材と、
(c)前記第1の細長い部材の前記第1の穴内に配設された圧縮性本体であって、前記圧縮性本体は第3の穴を画定し、前記圧縮性本体は弾性的に付勢されて、前記圧縮性本体の前記第3の穴の第1の内径を画定し、前記第2の細長い部材の前記突出部は、前記第1の細長い部材と前記第2の細長い部材との間の相対的並進に応答して、前記圧縮性本体を変形させるように構成されており、前記圧縮性本体は、前記第2の細長い部材の前記突出部による変形に応答して、前記圧縮性本体の前記第3の穴の第2の内径を画定するように構成されている、圧縮性本体と、を備え、
前記第2の内径は前記第1の内径よりも大きく、
前記圧縮性本体は、前記第1の穴が前記第1の内径を有するときは、前記圧縮性本体の前記第3の穴内で前記ガイドワイヤを把持するように構成されており、
前記圧縮性本体は、前記圧縮性本体の前記第3の穴が前記第2の内径を有するときは、前記圧縮性本体の前記第3の穴内で前記ガイドワイヤを解放するように構成されている、機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権)
本出願は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、「Coupling Assembly for Variable Diameter Surgical Instrument」と題する2018年10月5日出願の米国仮特許出願第62/741,611号に対する優先権を主張する。
【0002】
本出願は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、「Locking Mechanism for Variable Diameter Surgical Instrument」と題する2018年12月19日出願の米国仮特許出願第62/781,667号に対する優先権も主張する。
【0003】
本出願は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、「Quick Release Mechanism for Variable Diameter Surgical Instrument」と題する2019年3月29日出願の米国仮特許出願第62/825,847号に対する優先権も主張する。
【背景技術】
【0004】
一部の症例においては、患者の解剖学的通路の拡張が望ましい場合がある。これには、副鼻腔の口の拡張(例えば、副鼻腔炎を治療するため)、喉頭の拡張、耳管の拡張、耳、鼻、又は喉内の他の通路の拡張などが含まれ得る。解剖学的通路を拡張する1つの方法としては、ガイドワイヤ及びカテーテルを用いて解剖学的通路内に膨張可能なバルーンを配置し、続いてバルーンを流体(例えば、生理食塩水)を用いて膨張させて解剖学的通路を拡張することが挙げられる。例えば、拡張可能なバルーンを副鼻腔の口内に位置決めし、次に膨張させることによって、粘膜の切開や骨の切除を必要とせずに、口に隣接する骨を再構築することにより口を拡張することができる。その後、拡張した口によって、罹患した副鼻腔からの排液及びその副鼻腔の通気を改善することができる。こうした処置を実施するために使用できるシステムは、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、「Systems and Methods for Transnasal Dilation of Passageways in the Ear,Nose or Throat」と題する2011年1月6日公開の米国特許出願公開第2011/0004057号の教示に従って提供され得る。かかるシステムの一例として、Acclarent,Inc.(Irvine,California)によるRelieva(登録商標)Spin Balloon Sinuplasty Systemがある。
【0005】
耳管拡張との関連で、拡張カテーテル又は他の拡張器具を耳管に挿入し、続いて、これを膨張させるか、又は別の方法で拡張することによって耳管を拡張することができる。拡張された耳管は、鼻咽頭から中耳への通気を改善し、更に中耳から鼻咽頭への排液を改善することができる。耳管を拡張するための方法及び装置は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2010年10月28日公開の「Method and System for Treating Target Tissue within the ET」と題する米国特許出願公開第2010/0274188号、及びその開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、2013年10月17日公開の「Method and System for Eustachian Tube Dilation」と題する米国特許出願公開第2013/0274715号に開示されている。かかるシステムの一例は、Acclarent,Inc.(Irvine,California)によるAera(登録商標)Eustachian Tube Balloon Dilation Systemである。
【0006】
可変視野方向内視鏡は、解剖学的通路内の可視化に使用できるが、バルーンの膨張前に、バルーンの正しい位置決めの更なる視覚的確認を得ることが望ましい場合もある。これは、照明ガイドワイヤを用いて行うことができる。かかるガイドワイヤが標的領域内に位置決めされ、その後、ガイドワイヤの遠位端部から投射される光によって照明することができる。この光は、隣接組織(例えば、皮下(hypodermis)組織、皮下(subdermis)組織など)を照明するため、皮膚を通過する照明により患者の体外から肉眼で見ることができる。例えば、遠位端部が上顎洞内に位置決めされると、患者の頬を通して光を見ることができる。ガイドワイヤの位置の確認にこのような外部可視化を利用して、バルーンをその後、拡張部位の位置内にガイドワイヤに沿って遠位に進めることができる。このような照明ガイドワイヤは、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、「Sinus Illumination Lightwire Device」と題する2015年10月13日発行の米国特許第9,155,492号の教示に従って得ることができる。かかる照明ガイドワイヤの一例として、Acclarent,Inc.(Irvine,California)によるRelieva Luma Sentry(登録商標)副鼻腔照明システムがある。
【0007】
画像誘導手術(image-guided surgery、IGS)は、コンピュータを用いて、患者の身体内に挿入された器具の位置の、術前に得られた画像(例えば、CTスキャン又はMRIスキャン、3Dマップなど)のセットに対するリアルタイムの相関を得ることで、コンピュータシステムが器具の現在の位置を術前に得られた画像に重ねる技術である。IGS処置で使用できる電磁IGSナビゲーションシステムの例は、Biosense-Webster,Inc.(Irvine,California)によるCARTO(登録商標)3 Systemである。いくつかのIGS手技では、手術の前に術野のデジタルトモグラフィスキャン(例えば、CT又はMRI、3Dマップなど)を得る。次に、特別にプログラムされたコンピュータを用いて、デジタルトモグラフィスキャンデータをデジタルマップに変換する。手術中、センサ(例えば、電磁界を発生させる及び/又は外部で発生した電磁界に反応する電磁コイル)を有する特別な器具を用いて処置を実行し、同時に、センサがコンピュータに各外科用器具の現在位置を示すデータを送る。コンピュータは、センサから受信したデータを、術前トモグラフィスキャンから作成されたデジタルマップと相関付ける。トモグラフィスキャン画像は、スキャン画像内に示される解剖学的構造に対する各外科用器具のリアルタイム位置を示す指標(例えば、クロスヘア又は照明ドットなど)と共にビデオモニタ上に表示される。したがって、外科医が器具自体を体内のその現在の位置において直接視覚化することができない場合であっても、ビデオモニタを見ることによって、各センサ搭載器具の正確な位置を知ることができる。
【0008】
ENT及び副鼻腔手術で使用できる電磁IGSシステムの実施例は、Biosense-Webster,Inc.(Irvine,California)によるCARTO(登録商標)3 Systemである。機能的内視鏡下副鼻腔手術(FESS)、バルーン副鼻腔手術、及び/又は他のENT手技に適用される場合、IGSシステムを使用することで、外科医は、内視鏡単独による視野によって行うよりも正確に外科用器具を動かして位置決めすることが可能になる。その結果、IGSシステムは、FESS、バルーンサイナプラスティ、及び/又は通常の解剖学的目印が存在しないか又は内視鏡的に可視化することが困難である他のENT処置の実行中に特に有用であり得る。ENT処置におけるIGSシステムの使用を可能にするために、ENT処置で使用される器具は、IGSシステムと協働する位置センサを有するガイドワイヤを含んで、リアルタイムでガイドワイヤの遠位端部の位置を示すデータを提供することができる。こうしたIGSシステムナビゲーションガイドワイヤは、上記で参照した誘導ガイドワイヤに加えて、又はその代わりに使用することができる。ENT処置におけるIGSシステムの使用例は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、「Systems and Methods for Performing Image Guided Procedures within the Ear,Nose,Throat and Paranasal Sinuses」と題する2014年12月11日公開の米国特許出願公開第2014/0364725号、及びその開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、「Apparatus to Secure Field Generating Device to Chair」と題する2018年11月1日公開の米国特許出願公開第2018/0310886号に記載されている。
【0009】
これまでに解剖学的通路内に拡張カテーテルのバルーンを位置決めするためのいくつかのシステムが作られ方法が使用されているが、本発明者らに先行して、添付の特許請求の範囲に記載される本発明を製造又は使用した者はいないと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本明細書は、本発明を具体的に示し、明確にその権利を請求する特許請求の範囲をもって結論とするものであるが、本発明は以下の特定の実施例の説明を添付図面と併せ読むことでより深い理解が得られるものと考えられる。図中、同様の参照番号は同様の要素を示す。
【
図1A】器具のガイドワイヤ及び拡張カテーテルがそれぞれ対応する近位位置にある、例示的な拡張器具の斜視図である。
【
図1B】ガイドワイヤが遠位位置にあり、拡張カテーテルが近位位置にある、
図1Aの拡張器具の斜視図である。
【
図1C】ガイドワイヤ及び拡張カテーテルがそれぞれ対応する遠位位置にあり、拡張カテーテルの拡張器が非膨張状態にある、
図1Aの拡張器具の斜視図である。
【
図1D】ガイドワイヤ及び拡張カテーテルがそれぞれ対応する遠位位置にあり、拡張カテーテルの拡張器が膨張状態にある、
図1Aの拡張器具の斜視図である。
【
図2】
図1Aの拡張器具のガイドワイヤ作動アセンブリの斜視図である。
【
図3】コレットカラーが近位位置にある、
図2のガイドワイヤ作動アセンブリのアクチュエータの拡大斜視図である。
【
図4】
図3のコレットカラーが遠位位置にある、
図2のガイドワイヤ作動アセンブリのアクチュエータの拡大斜視図である。
【
図5】
図2のガイドワイヤ作動アセンブリのスピンアクチュエータの斜視図である。
【
図6】
図1Aの拡張器具に組み込まれてもよいガイドワイヤ作動アセンブリのための例示的なガイドワイヤ作動機構の分解斜視図である。
【
図7】
図6のガイドワイヤ作動機構の係合部材の斜視図である。
【
図9】
図6のガイドワイヤ作動機構の中空シャフトの斜視図である。
【
図11】
図6のガイドワイヤ作動機構の圧縮部材の斜視図である。
【
図13】ロック解除状態にある
図6のガイドワイヤ作動機構の遠位端部からの端面図である。
【
図14】
図13のロック解除状態に移行中の
図6のガイドワイヤ作動機構の斜視図である。
【
図15】ロック状態にある
図6のガイドワイヤ作動機構の遠位端部からの端面図である。
【
図16】
図15のロック状態に移行中の
図6のガイドワイヤ作動機構の予想図(prospective view)である。
【
図17A】第1の外径を有する受け入れられた第1の細長い部材の周りでロック解除状態に移行中の
図6のガイドワイヤ作動機構の断面図である。
【
図17B】
図17Aの受け入れられた第1の細長い部材の周りでロック状態に移行中の
図6のガイドワイヤ作動機構の断面図である。
【
図18A】第2の外径を有する受け入れられた第2の細長い部材の周りでロック解除状態に移行中の
図6のガイドワイヤ作動機構の断面図である。
【
図18B】
図18Aの受け入れられた第2の細長い部材の周りでロック状態に移行中の
図6のガイドワイヤ作動機構の断面図である。
【
図19】
図1Aの拡張器具に組み込まれてもよい可変直径アクチュエータアセンブリのための別の例示的なガイドワイヤ作動機構の分解斜視図である。
【
図20A】ロック解除状態にある
図19のガイドワイヤ作動機構の断面図である。
【
図20B】ロック状態にある
図19のガイドワイヤ作動機構の断面図である。
【
図21】
図1Aの拡張器具に組み込まれてもよい更に別の例示的なガイドワイヤ作動機構の斜視図である。
【
図23】
図21のガイドワイヤ作動機構の第1の部材の斜視図である。
【
図25】
図21のガイドワイヤ作動機構の第2の部材の斜視図である。
【
図27A】ガイドワイヤ作動機構がガイドワイヤ解放状態にある
図21のガイドワイヤ作動機構の断面図である。
【
図27B】第2の部材が第1の部材に対して回転して、ガイドワイヤ作動機構をガイドワイヤ把持状態に移行させる、
図21のガイドワイヤ作動機構の断面図である。
【
図28】
図1Aの拡張器具に組み込まれてもよいガイドワイヤ作動アセンブリに組み込まれた、また別の例示的なガイドワイヤ作動機構の斜視図である。
【
図29】
図28のガイドワイヤ作動アセンブリのガイドワイヤ作動機構の斜視図である。
【
図31】
図30のガイドワイヤ作動機構の第1の部材の斜視図である。
【
図32】
図31の線32-32に沿って取られた
図31の第1の部材の断面図であって、
図29のガイドワイヤ作動機構の追加の構成要素も示されている図である。
【
図33】
図31の線32-32に沿って取られた
図31の第1の部材の断面図であって、
図32の追加の構成要素は省略されている図である。
【
図34】
図30のガイドワイヤ作動機構の第2の部材の斜視図である。
【
図35A】ガイドワイヤ作動機構がガイドワイヤ把持状態にある
図29のガイドワイヤ作動機構の断面図である。
【
図35B】第2の部材が第1の部材に対して作動して、ガイドワイヤ作動機構をガイドワイヤ解放状態に移行させる、
図29のガイドワイヤ作動機構の断面図である。
【0011】
図面は、いかなる方式でも限定することを意図しておらず、本発明の様々な実施形態は、図面に必ずしも描写されていないものを含め、他の様々な方式で実施し得ることが企図される。本明細書に組み込まれ、その一部をなす添付図面は、本発明のいくつかの態様を図示したものであり、本説明文と共に本発明の原理を説明する役割を果たすものである。しかし、本発明が、示される正確な配置に限定されない点は理解される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の特定の実施例の以下の説明文は、本発明の範囲を限定する目的で用いられるべきではない。本発明の他の実施例、特徴、態様、実施形態、及び利点は、本発明を実施するために想到される最良の形態の1つを実例として示す以下の説明文より、当業者には明らかとなろう。理解されるように、本発明は、いずれも本発明から逸脱することなく、他の異なるかつ明白な態様が可能である。例えば、様々であるが。したがって、図面及び説明は、限定的な性質のものではなく、例示的な性質のものと見なされるべきである。
【0013】
「近位」及び「遠位」という用語は、本明細書では、ハンドピースアセンブリを把持している臨床医に対して使用されることが理解されるであろう。したがって、エンドエフェクタは、より近位のハンドピースアセンブリに対して遠位側にある。便宜上、また説明を明確にするため、本明細書では「周囲方向に」及び「半径方向に」などの空間的用語も、長手方向軸に対して使用されている点も更に理解されるであろう。しかしながら、外科用器具は、多くの向き及び位置で使用されるものであり、これらの用語は、限定的かつ絶対的なものであることを意図するものではない。
【0014】
本明細書に記載の教示、表現、変形、実施例などのうちのいずれか1つ以上を、本明細書に記載の他の教示、表現、変形、実施例などのうちのいずれか1つ以上と組み合わせることができる点も更に理解される。したがって、以下に記載されている教示、表現、変形例、実施例などは、互いに独立して考慮されるべきではない。本明細書の教示に照らして、本明細書の教示を組み合わせることができる様々な好適な方法が、当業者には容易に明らかとなろう。このような修正及び変形は、「特許請求の範囲」内に含まれることが意図されている。
【0015】
I.例示的拡張器具の概要
図1A~
図1Dは、副鼻腔の小孔を拡張する、副鼻腔の排液に関連する別の通路を拡張する、耳管を拡張する、又は他の何らかの解剖学的通路(例えば、耳、鼻、又は咽喉内などの)を拡張するために使用することが可能な例示的な拡張器具(10)を示している。本実施例の拡張器具(10)は、操作者が様々な器具を切り替える必要なく、様々な状況下で操作者が拡張器具(10)を使用することを可能にする調節性を提供する。例えば、拡張器具(10)を使用して、器具の構造的特徴に簡単な調整を行うことにより、様々な異なる解剖学的通路(例えば、前頭洞小孔、前頭洞窩、上顎洞小孔、蝶形骨洞小孔、篩骨洞小孔、耳管など)を拡張することができる。
【0016】
A.拡張器具の概要
本実施例の拡張器具(10)は、ハンドルアセンブリ(500)と、ハンドルアセンブリ(500)から遠位方向に延びるガイドシャフトアセンブリ(100)と、ハンドルアセンブリ(500)と摺動可能に連結されたガイドワイヤ作動アセンブリ(600)と、ハンドルアセンブリ(500)と摺動可能に連結された拡張カテーテル作動アセンブリ(700)とを含んでいる。ガイドワイヤモジュール(12)(
図1A)が、コネクタ(604)を介して拡張器具(10)のガイドワイヤ(602)と連結されている。膨張流体源(14)及び灌注流体源(16)が、コネクタ(710)を介して拡張器具(10)の拡張カテーテル(702)と連結されている。吸引源(18)が、吸引ポート(550)を介して拡張器具(10)の吸引導管(図示せず)と連結されている。
【0017】
ハンドルアセンブリ(500)は、操作者の片手で握られて操作されるようなサイズ及び構成となっている。操作者は、ハンドルアセンブリ(500)を握るのと同じ方の片手で、ガイドワイヤ作動アセンブリ(600)及び拡張カテーテル作動アセンブリ(700)を選択的に操作することができる。
図1Aから
図1Bへの移行で示されるように、操作者は、ガイドワイヤ作動アセンブリ(600)をハンドルアセンブリ(500)に沿って遠位方向に前進させ、それによりガイドワイヤ(602)を遠位方向に前進させ、その結果、ガイドワイヤ(602)の遠位端部(606)を、ガイドシャフトアセンブリ(100)の遠位端部の遠位側に位置決めすることができる。
図1Bから
図1Cへの移行で示されるように、操作者は、拡張カテーテル作動アセンブリ(700)をハンドルアセンブリ(500)に沿って遠位方向に前進させ、それにより拡張カテーテル(702)を遠位方向に前進させ、その結果、拡張カテーテル(702)の遠位先端部(720)をガイドシャフトアセンブリ(100)の遠位端部の遠位側に位置決めすることができる。拡張カテーテル(702)が遠位位置に前進させられた状態で、操作者は次に拡張カテーテル(702)の拡張器(722)を膨張させて、
図1Dに示される膨張状態を達成し、これにより拡張器(722)がその中に位置決めされた解剖学的通路を拡張することができる。
【0018】
本実施例のガイドシャフトアセンブリ(100)は、剛性シャフト部材(110)と、可撓性シャフト部材(200)と、偏向制御ノブ(300)とを含む。偏向制御ノブ(300)は、ガイドシャフトアセンブリ(100)を可撓性ガイドシャフト部材(200)の位置で横方向に曲げ、それによって、操作者が剛性シャフト部材(110)の長手方向軸に対する拡張カテーテル(702)の出口角度を変化させることができるように、動作可能である。回転制御ノブ(320)は、ガイドシャフトアセンブリ(100)を剛性シャフト部材(110)の長手方向軸を中心に回転させ、それによって、操作者に更なる制御を提供して、患者の頭部内の様々な解剖学的通路へのアクセスを容易にするように、動作可能である。
【0019】
本実施例では、拡張カテーテル(702)はガイドシャフトアセンブリ(100)内に同軸に配置され、ガイドワイヤ(602)は拡張カテーテル(702)内に同軸に配置されている。いくつかの他の変形例では、ガイドシャフトアセンブリ(100)が拡張カテーテル(702)内に同軸に配置され、ガイドワイヤ(602)がガイドシャフトアセンブリ(100)内に同軸に配置される。また、いくつかの変形例では、ガイドワイヤ(602)は省略される。
【0020】
図1Aに示すように、拡張カテーテル(702)の近位端部は、膨張流体源(14)及び灌注流体源(16)と連結するように構成されたコネクタ(710)を含む。ほんの一例として、コネクタ(710)は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、2019年1月15日出願の「Fluid Fitting for Dilation Instrument」と題する米国特許出願第16/247,739号の教示のうち少なくともいくつかに従って接続され、かつ操作可能となり得る。膨張流体源(14)(
図1A)は、コネクタ(710)を介して膨張流体(例えば生理食塩水)を提供することで拡張カテーテル(702)の拡張器(722)を選択的に膨張及び収縮させるように動作可能である。いくつかの変形例では、膨張流体源(14)は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年5月8日発行の「Inflator for Dilation of Anatomical Passageway」と題する米国特許第9,962,530号の教示のうち少なくともいくつかに従って構築され、かつ動作可能である。別の単なる例示的な実施例として、膨張流体源(14)は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、2016年3月3日公開の「Automated Inflator for Balloon Dilator」と題する米国特許出願公開第2016/0058985号の教示のうち少なくともいくつかに従って構築され、かつ動作可能であり得る。膨張流体源(14)が取り得る他の適当な形態は、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなろう。
【0021】
拡張することができること以外に、本実施例の拡張カテーテル(702)は、患者内の部位の灌注を行うようにも構成される。ほんの一例として、拡張カテーテル(702)は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、2015年8月4日発行の「Devices and Methods for Transnasal Dilation and Irrigation of the Sinuses」と題する米国特許第9,095,646号の教示のうち少なくともいくつかに従って構築され、かつ動作可能であり得る。拡張カテーテル(702)は、上記で述べたように、コネクタ(710)のコネクタ(710)を介して灌注流体源(16)から灌注流体(例えば生理食塩水)を受ける。ほんの一例として、灌注流体源(16)は、重力供給式灌注流体を提供してもよく、注射器を含んでもよく、電気的に作動されるポンプを含んでもよく、又は本明細書の教示を考慮することで当業者に明らかとなるであろう他の任意の適当な形態を取り得る。
【0022】
更なるほんの一例として、拡張器具(10)は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2019年1月17日公開の「Adjustable Instrument for Dilation of Anatomical Passageway」と題する米国特許出願公開第2019/0015645号の教示に従って、又は本明細書で引用される任意の他の特許参考文献の教示に従って、更に構成され、かつ動作可能であり得る。本明細書の教示を考慮することで、本明細書に記載される特徴及び機能の他の変形例が当業者に明らかとなろう。
【0023】
B.拡張器具の例示的なガイドワイヤ及び関連する作動アセンブリ
図2~
図5は、ガイドワイヤ作動アセンブリ(600)の様々な構成要素をより詳細に示す。これらの構成要素には、スピンアクチュエータ(610)及び摺動アクチュエータ(650)が含まれる。スピンアクチュエータ(610)は、ハンドルアセンブリ(500)(
図1A)に対して、ガイドワイヤ(602)の長手方向軸を中心にガイドワイヤ(602)を回転させるように動作可能であり、一方で摺動アクチュエータ(650)は、ハンドルアセンブリ(500)に対して、ガイドワイヤ(602)の長手方向軸に沿ってガイドワイヤ(602)を並進させるように動作可能である。
【0024】
いくつかの変形例では、ガイドワイヤ(602)は、1つ以上の光ファイバと、可視光を放射するように構成された遠位端部(606)と、を含む。いくつかのかかる変形例では、ガイドワイヤモジュール(12)(
図1A)は光源を含み、コネクタ(604)は、ガイドワイヤモジュール(12)の光源からの光をガイドワイヤ(602)に伝達するように動作可能である。ガイドワイヤ(602)の照明形態を用いて透光効果の観察によって位置確認を行うことができる。ほんの一例として、ガイドワイヤ(602)の照明変形例は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、2015年10月13日発行の「Sinus Illumination Lightwire Device」と題する米国特許第9,155,492号の教示のうち少なくともいくつかに従って構築され、かつ動作可能であり得る。
【0025】
照明を提供することに加えて、又は照明を提供することに代えて、ガイドワイヤ(602)は、位置検知性能も提供することができる。いくつかのそのような変形例では、ガイドワイヤ(602)の遠位端部は、位置センサを含むことができる。ほんの一例として、こうしたガイドワイヤ(602)は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2018年8月2日公開の「Navigation Guidewire with Interlocked Coils」と題する米国特許出願公開第2018/0214216号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2019年6月27日公開の「Reusable Navigation Guidewire」と題する米国特許出願公開第2019/0192177号、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、2016年1月14日公開の「Guidewire Navigation for Sinuplasty」と題する米国特許出願公開第2016/0008083号の教示のうち少なくともいくつかに従って構築され、かつ動作可能であり得る。いくつかのそのような変形例では、ガイドワイヤモジュール(12)はIGSナビゲーションシステムを含み、コネクタ(604)は、ガイドワイヤ(602)のセンサからの位置指示信号をガイドワイヤモジュール(12)に伝達するように動作可能である。
【0026】
いくつかの変形例では、コネクタ(604)は、スリップカップリングの形態である。かかるスリップカップリングは、コネクタ(604)とガイドワイヤモジュール(12)に関連付けられた任意の連結された構成要素(例えば、コネクタ(604)とガイドワイヤモジュール(12)との間に連結された更なるケーブルなど)との間でガイドワイヤ(602)が自由に回転することを可能とする一方で、ガイドワイヤ(602)の引張歪みの緩和をもたらすように構成することができる。これにより、ガイドワイヤ(602)がガイドワイヤ(602)の長手方向軸を中心として回転する間に、コネクタ(604)の近位側に位置する任意の構成要素に沿ったねじれの蓄積を防止することができる。ガイドワイヤ(602)が1つ以上の光ファイバ又は他の光伝達機構を含む変形例では、コネクタ(604)は、コネクタ(604)に光を自由に通過させる機構を含むことにより、コネクタ(604)はガイドワイヤモジュール(12)とガイドワイヤ(602)との間の光学的連続性を維持する。ガイドワイヤ(602)が1つ以上の位置センサを含む変形例では、コネクタ(604)は、ガイドワイヤモジュール(12)とガイドワイヤ(602)との間の電気的連続性を与える機構を含む。
【0027】
図5で最もよく分かるように、本実施例のスピンアクチュエータ(610)は、複数のサムホイール係合機構(612)、近位シャフト(614)、及び遠位シャフト(616)を含む。近位シャフト(614)は、直径方向に互いに反対側の、長手方向に延びるスロット(622)によって分離された一対のコレットリーフ(620)によって形成されるコレットチャック機構(640)を含む。スロット(622)は、コレットリーフ(620)が互いに向かって内側に偏向することによってガイドワイヤ(602)を把持することを可能とするための隙間を与えるように構成されている。各コレットリーフ(620)は、長手方向かつ半径方向外側に向かって延びるフィン(624)を含む。各フィン(624)は、近位側に位置決めされた戻り止め機構(626)を含む。
【0028】
図3~
図4に示されるように、コレットカラー(630)は、近位シャフト(614)に沿って近位位置(
図3)と遠位位置(
図4)との間を並進し、それによりコレットチャック機構(640)をロック状態(
図3)とロック解除状態(
図4)との間で移行させるように構成されている。コレットカラー(630)の内部は、コレットカラー(630)が遠位位置から近位位置まで並進される際にリーフ(620)を互いに向かって内向きに駆動するためのカム動作を提供するように動作可能な機構を含む。コレットチャック機構(640)の戻り止め機構(626)はコレットカラー(630)のノッチ(632)と協働して、コレットカラー(630)が近位位置にあるときに近位シャフト(614)に沿ったコレットカラー(630)の長手方向位置を選択的に維持する。したがって、戻り止め機構(626)はノッチ(632)と協働して、コレットチャック機構(640)をロック状態に選択的に維持する。
【0029】
コレットチャック機構(640)がロック状態(
図3)にあるとき、コレットリーフ(620)は内向きに変形して、スピンアクチュエータ(610)の長手方向中央穴(642)内に配置されたガイドワイヤ(602)を把持する。コレットチャック機構(640)がロック解除状態(
図4)にあるとき、コレットリーフ(620)はそれらの自然位置に弾性的に戻ることによって、ガイドワイヤ(602)に対する把持を解除する。したがって、コレットチャック機構(640)がロック解除状態にある場合、操作者は、スピンアクチュエータ(610)に対するガイドワイヤ(602)の長手方向位置を選択的に調節することができる。場合によっては、操作者は、コレットチャック機構(640)がロック解除状態にある場合に、ガイドワイヤ(602)をスピンアクチュエータ(610)から取り外すことを望む場合がある。いくつかのそのような場合では、操作者は、1つのガイドワイヤ(602)を別のガイドワイヤ(602)と交換することを望む場合がある(例えば、照明用ガイドワイヤ(602)を位置センサを有するガイドワイヤ(602)に交換する、又はその逆など)。
【0030】
図3~
図4で最もよく分かるように、本実施例の摺動アクチュエータ(650)は、遠位ノーズ部分(652)、下側ベース部(654)、及び近位ヨーク(660)を備える。遠位ノーズ部分(652)は、スピンアクチュエータ(610)の遠位シャフト(615)を回転可能に支持するように構成されている。近位ヨーク(660)は、スピンアクチュエータ(610)の近位シャフト(614)を回転可能に支持するように構成された一対のフォーク歯(662)を含む。下側ベース部(654)は、ハンドルアセンブリ(500)のハウジング(540)によって画定される対応するレール(図示せず)を摺動可能に受け入れるように構成された、長手方向に延びる一対の凹部(656)を含む。摺動アクチュエータ(650)はハウジング(540)に対して長手方向に摺動するように動作可能であり、これによりガイドワイヤ(602)及びスピンアクチュエータ(610)を長手方向に並進させ、同時に、スピンアクチュエータ(610)が摺動アクチュエータ(650)に対してガイドワイヤ(602)を回転させることもまた、可能とする。遠位ノーズ部分(652)はまた、ガイドワイヤ(602)を、第1の長手方向軸(ガイドワイヤ(602)の近位部分に付随する)から第2の長手方向軸(拡張カテーテル(702)(
図1A)、及びガイドワイヤ(602)の遠位部分に付随する)に再配向するようにも構成されており、第2の長手方向軸は第1の長手方向軸と平行である。
【0031】
図1A~
図1Bを参照して上述したように、操作者は、ガイドワイヤ作動アセンブリ(600)を係合させ、ガイドワイヤ作動アセンブリ(600)をハンドルアセンブリ(500)に沿って長手方向に摺動させることによって、ガイドワイヤ(602)をハンドルアセンブリ(500)に対して長手方向に並進させることができる。ガイドワイヤ作動アセンブリ(600)の位置及び構成により、操作者は、ハンドルアセンブリ(500)を把持している方の手の親指(又は別の指)で単純にガイドワイヤ作動アセンブリ(600)を係合させることによってそのような運動を実現することができる。場合によっては、操作者は、ガイドワイヤ(602)の長手方向軸を中心にガイドワイヤ(602)を回転させることを望む場合もある。これは、ガイドワイヤ(602)の遠位端部が予め形成された屈曲部を含む場合、ガイドワイヤ(602)の回転を利用してガイドワイヤ(602)の屈曲した遠位端部を効果的に再配向することによりガイドワイヤ(602)の屈曲した遠位端部を標的通路と整列させることができるため、特に望ましい場合がある。このような回転を提供するため、操作者は、1つ以上のサムホイール係合機構(612)(
図3)を、ハンドルアセンブリ(500)を把持している方の手の親指(又は別の指)と係合させることができる。したがって、ガイドワイヤ作動アセンブリ(600)は、ガイドワイヤ(602)の並進及び回転を含む片手での使用を容易にするように構成されている。ガイドワイヤ作動アセンブリ(600)の細長い構成は、ガイドワイヤ作動アセンブリ(600)がハンドルアセンブリ(500)に沿って遠位側又は近位側のどちらに位置決めされているかによらず、片手での使用を更に容易とすることができる。
【0032】
II.複数の個別ロック位置を有する例示的なガイドワイヤ作動機構
上述したように、ガイドワイヤ作動アセンブリ(600)のスピンアクチュエータ(610)は、コレットカラー(630)を近位シャフト(614)上で近位及び遠位に並進させることによって、ガイドワイヤ(602)に対するロック解除状態とロック状態との間を移行する。いくつかの例では、様々な外径を有するガイドワイヤ(602)又は他の挿入された器具と共にスピンアクチュエータ(610)を使用することを円滑にするために、ロック機構をスピンアクチュエータ(610)と一体化させ、かつ、複数のロック位置を有することが望ましい場合がある。ロック機構をスピンアクチュエータ(610)と一体化することはまた、利点の中でもとりわけ、製造を単純化することができる。下記は、スピンアクチュエータ(610)の変形例が、様々な外径を有する様々な器具に対して容易に適応し、かつ選択的にロックすることができるように、様々な外径を有するガイドワイヤ及び他の挿入された器具と共に使用することを促進する、スピンアクチュエータ(610)の例示的な変形例を説明する。
【0033】
図6は、スピンアクチュエータ(610)(
図2~
図5)及びコレットカラー(630)(
図2~
図4)の代わりに、拡張器具(10)(
図1A~
図1D)との併用に好適な例示的なガイドワイヤ作動機構(810)を示す。図示されていないが、ガイドワイヤ作動機構(810)は、下記でより詳細に説明するように、ガイドワイヤ作動機構(810)が回転可能に装着される、上記の摺動アクチュエータ(650)(
図2~
図4)と同様の摺動可能な支持構造体を有するガイドワイヤ作動アセンブリ(図示せず)内に組み込まれてもよいことが理解されよう。
図6に示すように、ガイドワイヤ作動機構(810)は、係合部材(812)と、中空シャフト(814)と、弾性把持部材(816)と、圧縮要素(818)と、圧縮部材(820)と、を含む。本実施例では、圧縮要素(818)はボール形態である。あるいは、圧縮要素(818)は、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるように、様々な他の形態を取ってもよい。
【0034】
ガイドワイヤ作動機構(810)は、
図17A~
図18Bに示され、以下でより詳細に説明されるように、様々な外径の細長い部材(802、803)上でロック及びロック解除するように構成されている。本実施例では、細長い部材(802)はガイドワイヤであるが、細長い部材(802)の他の変形例としては、拡張カテーテル、吸引器具カニューレ、内視鏡、及び/又は本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなる様々な他の種類の細長い部材が挙げられ得る(ただしこれらに限定されない)。細長い部材(802)は、ガイドワイヤ作動機構(810)がロック解除状態にあるとき(
図17A)、ガイドワイヤ作動機構(810)を通り長手方向軸(A1)に沿って並進する。ロック状態に達するために、圧縮部材(820)は、係合部材(812)に対して遠位方向に並進される。圧縮部材(820)は、圧縮要素(818)を弾性把持部材(816)に対して半径方向内向きに付勢して、弾性把持部材(816)を半径方向内向きに変形させて細長い部材(802)(
図17B)を把持させ、それによって細長い部材(802)をロックする。
図12に示すように、圧縮部材(820)は、弾性把持部材(816)が膨張状態へと付勢されることにより、圧縮部材(820)が近位方向に並進し、保持圧縮要素(retain compression element)(818)をロック解除することに抵抗するため、戻り止め機構(822)を有する円錐状の内側表面(880)を有する。戻り止め機構(822)はまた、ガイドワイヤ作動機構(810)が、様々な直径の細長い部材(802、803)をロックすることを可能にする。
【0035】
図7~
図8で最もよく示されるように、本実施例の係合部材(812)は、近位係合部材端部(826)と遠位係合部材端部(828)とを有する略管状本体(824)を含む。管状本体(824)は、長手方向軸(A1)(
図6)に沿って軸方向に延びる第1の貫通穴(830)を含む。管状本体(824)は、管状本体(834)の外面上で互いに角度方向に離間配置された複数の半径方向に配向された指係合突出部(832)を有する。突出部(832)は、操作者によって係合されるように構成される。管状本体(824)はまた、近位係合部材端部(826)に近接した近位係合部材部分(836)を有する。近位係合部材端部(826)は、フレーム(660)(
図4)の第1の端部分によって回転可能に支持されるように構成される。管状本体(824)は、遠位係合部材端部(828)から近位方向に延びる第1の穴ぐり(838)を有する。第1の穴ぐり(838)は、第1の貫通穴(830)よりも大きい直径を有する。第1の穴ぐり及び第1の貫通穴は、第1の穴ぐりの基部(842)から遠位方向に延びる突出部(840)を画定する。突出部(840)は、弾性把持部材(816)が長手方向軸(A1)(
図6)に沿って近位方向に移動することを防止するように構成される。
【0036】
図9~
図10は、略管状本体(844)と、近位シャフト端部(846)と、遠位シャフト端部(850)と、を含む、本実施例の中空シャフト(814)を示す。管状本体(844)は、環状リング(852)と、キー溝(854)と、第2の貫通穴(856)と、第2の穴ぐり(858)と、角度方向に離間配置された半径方向開口部(860)のアレイと、遠位シャフト部分(862)と、を有する。各半径方向開口部(860)は、遠位シャフト部分(862)の管状側壁(864)を通って半径方向に配設される。各半径方向開口部(860)は、対応する圧縮要素(818)(
図6)を受容するようなサイズである。遠位シャフト部分(852)は、遠位シャフト端部(850)に近接しており、フレーム(652)(
図4)の第2の端部分によって回転可能に支持されるように構成されている。
【0037】
環状リング(852)は、遠位シャフト部分(862)に近接した管状本体(844)の管状側壁上に位置する。環状リング(852)は、ガイドワイヤ作動機構(810)を長手方向軸(A1)に沿って直線的に位置決めする。キー溝(854)は、管状側壁(864)内で遠位方向に延び、環状リング(852)において終端する。第2の穴ぐり(858)は、近接シャフト端部(proximate shaft end)(846)から第2の穴ぐり(858)の基部まで遠位方向に延びる。第2の穴ぐり(858)は、弾性把持部材(816)を受容するようなサイズである。第2の貫通穴(856)は、第2の穴ぐり(858)の基部から遠位シャフト端部(850)まで遠位方向に延びる。
【0038】
図11~
図12は、近位部材端部(868)と遠位部材端部(870)とを有する略環状本体(866)を有する、本実施例の圧縮部材(820)を示す。環状本体(866)は、環状本体(866)の外面上で互いに角度方向に離間配置された複数の半径方向に延びる指係合突起部(872)を有する。指係合突起部(872)は、操作者によって係合されるように構成される。圧縮部材(820)は、近位部材端部(868)から遠位部材端部(870)まで遠位方向に延びる第3の貫通穴(874)を通って中空シャフト(814)上に摺動可能に配設されるように構成される。第3の貫通穴(874)は、長手方向軸(A1)に沿って遠位方向に延びるキー溝突出部(876)を有する。キー溝突出部(876)は、中空シャフト(814)のキー溝(854)(
図9)と摺動可能に嵌合するように構成されている。圧縮部材(820)は、中空シャフト(814)に沿ってロック位置とロック解除位置との間を長手方向に選択的に並進する。本実施例では、圧縮部材(820)はカラーの形態である。圧縮部材(820)は、圧縮要素(818)と係合するように構成された円錐状の内側表面(880)を含む。円錐状の内側表面(880)は、近位部材端部(868)から遠位部材端部(870)まで遠位方向に延びる。近位部材端部(868)は、遠位部材端部(870)に対してより小さい内径を有する。円錐状の内側表面(880)は、円錐状の内側表面(880)に沿って直線的に変位し、圧縮部材(820)を複数のロック位置に保持するように構成された、複数の戻り止め機構(822)を有する。各戻り止め機構(822)は、圧縮要素(818)(
図6)を保持することによって異なるサイズの細長い部材(802、803)をロック位置に保持するように構成された弓状半径(884)を有する。本実施例における圧縮要素(818)は、ボールの形態である。戻り止め機構(822)は、操作者が、圧縮要素(818)をロック位置からロック解除位置へ、又はその逆に移行させるために、追加の長手方向力を加えることを必要とする。この追加の長手方向力は、操作者に触覚フィードバックを提供する。このフィードバックは、操作者が、圧縮要素(818)が戻り止め機構(822)によって保持されているかどうか区別することを補助する。加えて、戻り止め機構(822)は、圧縮部材(820)が誤って長手方向に滑ることを防止し、それによってロック状態を維持することを助ける。
【0039】
図13~
図14は、ロック解除位置にあるガイドワイヤ作動機構(810)を示す。
図13では、弾性把持部材(816)は膨張状態にあることに留意されたい。本実施例では、ガイドワイヤ作動機構(810)は、細長い部材(802、803)(
図17~
図18)、又は約2.2ミリメートルまでの直径を有する他の器具に適応するように構成されている。この最大直径は、弾性把持部材(816)が膨張状態にあるときの、弾性把持部材(816)(
図6)の貫通穴(888)(
図17A~
図17B)の直径によって左右される。当然ながら、2.2ミリメートルは単なる例示的な一例にすぎない。あるいは、ガイドワイヤ作動機構(810)は、細長い部材(802、803)(
図17A~
図18B)又は最大で任意の他の好適な最大直径までの他の器具に適応するように構成されてもよい。
【0040】
図15~
図16は、ロック状態にあるガイドワイヤ作動機構(810)を示す。弾性把持部材(816)は歪んだ状態にあり、弾性把持部材(816)は長手方向軸(A1)に向かって歪められていることに留意されたい。ロック状態では、適合され得る最小直径の細長い部材(802)は、0.75ミリメートルである。最小直径は、(弾性把持部材が歪んだ状態にあるときの)弾性把持部材の貫通穴(888)によって左右される。当然ながら、0.75ミリメートルは単なる例示的な一例にすぎない。あるいは、ガイドワイヤ作動機構(810)は、細長い部材(802、803)又は最小で任意の他の好適な最小直径までの他の器具に適応するように構成されてもよい。
【0041】
図17Aは、スピンアクチュエータ(810)をロック位置からロック解除位置まで移行させるガイドワイヤ作動機構(810)を示す。圧縮部材(820)は、長手方向軸(A1)に沿って近位方向に並進して、細長い部材(802)をロック解除する。弾性把持部材(816)は、弾性把持部材(816)を膨張状態に復元するように付勢される。膨張状態の弾性把持部材(816)は、略円筒状構成を有する。弾性把持部材(816)は、細長い部材(802)から半径方向に離れるように移動し、それによって、ガイドワイヤ作動機構(810)がロック解除状態にあるときに、ガイドワイヤ作動機構(810)を通した細長い部材(802)の並進を可能にする。把持部材の貫通穴(888)は、弾性把持部材(816)がロック解除位置にあるとき、第1の貫通穴(830)及び第2の貫通穴(856)のサイズに適合する。ロック解除状態では、弾性把持部材(816)は、中空シャフト(814)の第2の穴ぐり(858)、把持部材の貫通穴(888)によって画定される。細長い部材(802)は、ガイドワイヤ作動機構(810)を通して自由に並進され得る。
【0042】
図17Bは、スピンアクチュエータ(810)をロック解除位置からロック位置まで移行させるガイドワイヤ作動機構(810)を示す。圧縮部材(820)は、長手方向軸(A1)に沿ってロック位置まで遠位方向に並進される。圧縮部材(820)が遠位方向に並進されると、圧縮部材(820)の円錐状の内側表面(880)は、圧縮要素(818)を細長い部材(802)に向かって半径方向内向きに付勢する。圧縮要素(818)は、弾性把持部材(816)を半径方向内向きに付勢し、弾性把持部材(816)を弾性的に変形させ、弾性把持部材(816)を細長い部材(802)に対して内向きに圧迫させ、摩擦によって細長い部材(802)をロックする。円錐状の内側表面(880)上の戻り止め機構(822)は、異なるサイズの細長い部材(802、803)(
図18A~
図18B)上で圧縮要素(818)をロック位置に保持する。
【0043】
図18A~
図18Bは、細長い部材(802)の直径よりも大きい直径を有する異なる細長い部材(803)が取り付けられたガイドワイヤ作動機構(810)を示す。ほんの一例として、細長い部材(802)はガイドワイヤを備えてもよく、一方で細長い部材(803)は、拡張カテーテル、吸引カニューレ、内視鏡などを備える。
図18A~
図18Bの実施例では、細長い部材(803)は、ガイドワイヤ作動機構(810)の穴(830、856、874)内に配設される。
図18Aは、ロック位置からロック解除位置まで移行するガイドワイヤ作動機構(810)を示す。
図18Bは、ロック解除位置からロック位置まで移行するガイドワイヤ作動機構(810)を示す。
【0044】
ロック位置では、圧縮部材(820)は、長手方向軸(A1)に沿って遠位方向に並進する。圧縮部材(820)が遠位方向に並進されると、圧縮部材(820)の円錐状の内側表面(880)は、圧縮要素(818)をガイドワイヤ(802、803)に向かって半径方向内向きに付勢する。圧縮要素(818)は、弾性把持部材(816)を半径方向内向きに付勢し、弾性把持部材(816)を弾性的に変形させ、弾性把持部材(816)をガイドワイヤ(802、803)に対して内向きに圧迫させ、摩擦によってガイドワイヤ(802、803)をロックする。円錐状の内側表面(880)上の戻り止め機構(822)は、異なるサイズの細長い部材(802、803)でロック位置に圧縮要素(818)を保持する。圧縮部材(820)は、より大きな細長い部材(803)が取り付けられたときの圧縮部材(820)ほど遠くに遠位方向に並進されないことに留意されたい。したがって、より大きな細長い部材(803)上では、圧縮要素(818)は、より小さな細長い部材(802)が取り付けられた場合と比較してより遠位に位置する戻り止め機構(822)と係合する。
【0045】
図19~
図20Bは、上記のガイドワイヤ作動機構(810)と実質的に同様であるガイドワイヤ作動機構(910)の別の実施例を示す。本実施例では、ガイドワイヤ作動機構(910)は、係合部材(912)と、中空シャフト(914)と、弾性把持部材(916)と、圧縮要素(918)と、圧縮部材(920)と、を含む。ガイドワイヤ作動機構(910)はまた、異なる直径の細長い部材(802、803)上でロック及びロック解除するように構成されている。本実施例では、中空シャフト(914)は一体化された圧縮要素(918)を有し、圧縮要素(818)は中空シャフト(814)とは分離しているという点で、中空シャフト(914)は中空シャフト(814)とは異なる。中空シャフト(914)は、可撓性アーム(921)形態の複数の圧縮要素(918)を含む。各可撓性アーム(921)は、可撓性アーム(924)の基端部から弓状突出部(926)まで遠位方向に延びる可撓性アーム本体(923)を有する。各可撓性アーム(924)の基端部は、中空シャフト(914)に一体的に取り付けられている。各可撓性アーム(921)は、可撓性アーム(924)の基端部から遠位に位置する弓状突出部(926)を有する。各弓状突出部(926)は、圧縮部材(920)が遠位方向に並進されると円錐状の内側表面(914)と係合するように構成されている。圧縮部材(920)はまた、円錐状の内側表面(880)と同様の円錐状の内側表面(980)を有する。円錐状の内側表面(980)はまた、複数の戻り止め機構(922)を有する。弓状突出部(926)は、複数の戻り止め機構(922)によって保持されるように構成される。弓状突出部(926)は、圧縮要素(818)と同様に作用する。しかしながら、弾性把持部材(916)と同様に、可撓性アーム(921)は、膨張した静止状態へと弾性的に付勢される。
【0046】
図20Aは、ロック解除位置にあるガイドワイヤ作動機構(910)を示す。ロック解除位置にあるとき、可撓性アーム(921)は、真っ直ぐな構成へと半径方向外側に弾性的に戻り、弾性把持部材(916)は膨張状態へと付勢される。膨張状態にある弾性把持部材(916)は、より大きな直径の把持部材穴(988)を有する。
【0047】
図20Bは、ロック位置にあるガイドワイヤ作動機構(910)を示す。ロック位置にあるとき、可撓性アーム(921)は、円錐状の内側表面(980)によって係合されたことに応答して半径方向内向きに変形して、弾性把持部材(916)と係合し、それによって、弾性把持部材(916)を変形させて、把持部材穴(988)の有効内径を減少させ、それによって細長い部材(802)を把持する。
【0048】
ガイドワイヤ作動機構(810、910)は、ガイドワイヤ(802、803)を選択的に把持、回転、及び並進させるものとして上記で説明されてきたが、あるいは、ガイドワイヤ作動機構(810、910)は、実質的にあらゆる可撓性器具を選択的に把持し、回転させ、並進させるように用いてもよいことを理解されたい。ガイドワイヤ(602)の代わりにガイドワイヤ作動機構と組み合わせて使用され得る可撓性器具又は他の細長い部材(802、803)の単に例示的な実施例としては、RFアブレーションカテーテル、バルーン拡張カテーテル、生検器具、及び他の可撓性器具が挙げられるが、これらに限定されない。ガイドワイヤ(602)の代わりにガイドワイヤ作動機構(810、910)と組み合わせて使用され得る可撓性器具又は他の細長い部材(802、803)の他の例は、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかとなるであろう。
【0049】
III.ねじ式ロック部材を有する例示的なガイドワイヤ作動機構
図21~
図27Bは、本明細書で別途明示的に記載されることを除いては上述のガイドワイヤ作動機構(910)と実質的に同様である、ガイドワイヤ作動機構(1810)の更に別の例を示す。ガイドワイヤ作動機構(910)と同様に、ガイドワイヤ作動機構(1810)は、スピンアクチュエータ(610)(
図2~
図5)及びコレットカラー(630)(
図2~
図4)の代わりに、拡張器具(10)(
図1A~
図1D)との併用に好適である。図示されていないが、スピンアクチュエータ(1810)は、ガイドワイヤ作動機構(1810)が回転可能に装着される上記の摺動アクチュエータ(650)(
図2~
図4)と同様の摺動可能な支持構造体を有するガイドワイヤ作動アセンブリ(図示せず)内に組み込まれてもよいことが理解されよう。
【0050】
上述したように、ガイドワイヤ作動機構(910)は、圧縮部材(920)を長手方向に並進させることによって、細長い部材(802)をガイドワイヤ作動機構(910)に対して固定し、これにより弾性把持部材が細長い部材(802)と摩擦係合する。ガイドワイヤ作動機構(910)と同様に、ガイドワイヤ作動機構(1810)はまた、細長い部材(802)をガイドワイヤ作動機構(810)に対して固定するようにも構成されている。しかしながら、細長い部材(802)を固定するために長手方向運動を利用するガイドワイヤ作動機構(910)とは異なり、下記でより詳細に説明するように、本実施例のガイドワイヤ作動機構(1810)は、長手方向軸(A1)を中心とした回転運動を利用することによって細長い部材(802)を固定する。
【0051】
ガイドワイヤ作動機構(1810)は、第1の連結部材(1812)と、第2の連結部材(1830)と、アセンブリ(1810)の長手方向軸(A1)に沿って第1の連結部材(1812)及び第2の連結部材(1830)の対面する端部間に配置された圧縮性本体(1840)と、を含む。下記でより詳細に説明されるように、第1の連結部材(1812)及び第2の連結部材(1830)は、長手方向軸(A1)を中心とした相対的回転を介して一体にねじ結合して、圧縮性本体(1840)を半径方向内向きに圧縮して、細長い部材(802)と摩擦係合するように構成されている。連結部材(1812、1830)間の相対的回転に応答して十分に圧縮された状態に達すると、圧縮性本体(1840)は、細長い部材(802)をガイドワイヤ作動機構(1810)に対して軸方向及び回転方向に固定する。
【0052】
図23~
図24で最も良く示されるように、本実施例の第1の連結部材(1812)は、近位端部(1824)と、遠位端部(1826)と、長手方向軸(A1)(
図22)に沿って近位端(1824)と遠位端部(1826)との間を延びる第1の貫通穴(1820)と、を有する略管状本体(1822)を含む。第1の連結部材(1812)の管状本体(1822)は、近位端部(1824)に配置されたカラー(1814)と、カラー(1814)から遠位方向に延びる第1の近位シャフト部分(1816)と、第1の近位シャフト部分(1816)から遠位方向に延びる第1の遠位シャフト部分(1818)と、を含む。第1の遠位シャフト部分(1818)は、第1の遠位シャフト部分(1818)の外部に半径方向に配置され、ユーザによって係合されるように構成された複数の指係合突出部(1842)を有する。第1の連結部材(1812)の遠位端部(1826)は、下記でより詳細に説明するように、第2の連結部材(1830)(
図25~
図27B)の第2のねじ山付き部分(1846)(
図25)にねじ式に係合するように構成された第1のねじ山付き部分(1844)を含む。本変形例では、第1のねじ山付き部分(1844)は、雄右ねじを含む。しかしながら、第1のねじ山付き部分(1844)が第2のねじ山付き部分(1846)とねじ式に係合するように構成されている限り、他の変形例では、第1のねじ山付き部分(1844)は左ねじ及び/又は雌ねじを含んでもよいことが理解されよう。いくつかの他の変形例では、連結部材(1812、1830)は、ねじ山付き部分(1844、1846)を介する代わりにバヨネット取付具を介して一体に連結される。ねじ山付き部分(1844、1846)が補完的なバヨネット取付具部分に置き換えられ得る様々な好適な方法は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかとなろう。
【0053】
第1の連結部材(1812)の遠位端部(1826)は、第1の貫通穴(1820)と連通する第1の穴ぐり(1856)を画定する。第1の穴ぐり(1856)は、第1の貫通穴(1820)よりも大きい直径を有する。円錐形表面(1854)は、第1の穴ぐり(1856)の近位端部に位置決めされ、より大きい第1の直径(1860)からより小さい第2の直径(1862)にかけて近位方向に先細となる。下記でより詳細に説明するように、円錐形表面(1854)は、第2の連結部材(1830)(
図25~
図27B)の円筒形突出部(1864)(
図25)と協働して、これらの間で圧縮性本体(1840)を軸方向に圧縮し、それにより、圧縮性本体を細長い部材(802)(
図27B)に対して半径方向内向きに変形させるように構成されている。
【0054】
図25~
図26で最も良く示されるように、本実施例の第2の連結部材(1830)は、近位端部(1834)と、遠位端部(1836)と、長手方向軸(A1)(
図22)に沿って近位端部(1834)と遠位端部(1836)との間を軸方向に延びる第2の貫通穴(1848)と、を有する略管状本体(1832)を含む。第2の連結部材(1830)は、第2の近位シャフト部分(1850)及び第2の遠位シャフト部分(1852)を含む。第2の近位シャフト部分(1850)は、第2の遠位シャフト部分(1852)と比較して直径が大きい。第2の近位シャフト部分(1850)は、第2の近位シャフト部分(1850)の外部に半径方向に配置され、ユーザによって係合されるように構成された複数の指係合突出部(1872)を有する。第2の連結部材(1830)の近位端部(1834)は、第2の穴ぐり(1858)を更に含む。第2の穴ぐり(1858)を画定する内壁は、連結部材(1812、1830)が互いに対して回転されると第1の連結部材(1812)の第1のねじ山付き部分(1844)とねじ式に係合するように構成された、第2のねじ山付き部分(1846)を有する。本変形例では、第2のねじ山付き部分(1846)は、雌右ねじを含む。しかしながら、第2のねじ山付き部分(1846)が第1のねじ山付き部分(1844)とねじ式に係合するように構成されている限り、他の変形例では、第2のねじ山付き部分(1846)は左ねじ及び/又は右雌ねじを含んでもよいことが理解されよう。第2の連結部材(1812)の近位端部(1834)は、第2の穴ぐり(1858)の遠位基部表面から近位方向に延び、第2の貫通穴(1848)の近位端部を画定する、円筒形突出部(1864)を更に含む。
【0055】
図22で最もよく示されるように、本実施例の圧縮性本体(1840)は、略環状の形状を有する。更に、圧縮性本体(1840)は、ゴム又はゴム様材料などの、半径方向に膨張した非圧縮状態と半径方向に圧縮された状態との間で弾性的に移行することを可能にするエラストマー材料から構成されてもよい。
図27A及び
図27Bに示されるように、圧縮性本体(1840)は、第1の連結部材(1812)の第1の穴ぐり(1856)内で、円錐形表面(1854)に対して位置決めされる。本実施例の圧縮性本体(1840)は、長手方向軸(A1)に沿って第1の貫通穴(1820)及び第2の貫通穴(1848)と同軸状に整列ように構成された穴(1828)を画定しており、圧縮性本体(1840)の穴(1828)を通して細長い部材(802)を軸方向に受け入れる。
【0056】
図27Aに示すように、圧縮性本体(1840)は、細長い部材(802)が、第1の連結部材(1812)、第2の連結部材(1830)、及び圧縮性本体(1840)を通って自由に並進可能である、半径方向膨張状態に向けて弾性的に付勢される。
図27Bに示すように、圧縮性本体(1840)は、第1の連結部材(1812)と第2の連結部材(1830)との間の相対的回転に応答して半径方向内向きに圧縮し、その結果、穴(1828)が細長い部材(802)の周囲を閉鎖するように構成されている。下記で説明する通り、この半径方向圧縮により、圧縮性本体(1840)が細長い部材(802)と摩擦係合し、それによって、細長い部材(802)を第1の連結部材(1812)及び第2の連結部材(1830)に対して軸方向及び回転方向に固定させる。
【0057】
図27Aは、第1の連結部材(1812)の第1のねじ山付き部分(1844)が第2の連結部材(1830)の第2のねじ山付き部分(1846)から少なくとも部分的に螺出されている(de-threaded)、例示的なロック解除状態にあるガイドワイヤ作動機構(1810)を示す。ロック解除状態では、圧縮性本体(1840)は、穴(1828)が細長い部材(802)の周囲で拡大され、それによって細長い部材(802)がガイドワイヤ作動機構(1810)を通って軸方向に自由に並進することができるように、非圧縮状態にある。
図27Aは、ガイドワイヤアクチュエータアセンブリ(1810)がロック解除状態にあるときの圧縮性本体(1840)と円錐形表面(1854)との間の軸方向の間隙を示しているが、圧縮性本体(1840)は、非圧縮の状態のままで、円錐形表面(1854)と直接接触して位置決めされ得ることが理解されるであろう。
【0058】
図27Bは、第1の連結部材(1812)及び第2の連結部材(1830)が圧縮性本体(1840)を軸方向に圧縮して、その結果、圧縮性本体(1872)が半径方向内向きに弾性変形して、細長い部材(802)と摩擦係合(又は「把持」)している、ロック状態にあるガイドワイヤ作動機構(1810)を示す。
図27Aに示されるロック解除状態から
図27Bに示されるロック状態へとガイドワイヤ作動機構(1810)を移行させることは、第1の連結部材(1812)と第2の連結部材(1830)との間の相対的回転を提供し、その結果、第1のねじ山付き部分(1844)及び第2のねじ山付き部分(1846)が完全に係合し、連結部材(1812、1830)を互いに向けて軸方向に駆動することによって達成される。第1のねじ山付き部分(1844)及び第2のねじ山付き部分(1846)のこのねじ式係合に応答して、第2の連結部材(1830)の円筒形突出部(1864)は、第1の連結部材(1812)の円錐形表面(1854)に対して圧縮性本体(1840)を軸方向に圧縮する。円筒形突出部(1864)が前進して円錐形表面(1854)に近づくと、円錐形表面(1854)は、圧縮性本体(1840)の外径に漸進的に増加する内向き半径方向力を及ぼし、それにより圧縮性本体(1840)を細長い部材(802)の周囲で半径方向内向きに変形させる。連結部材(1812、1830)の互いに対する連続的なねじ式係合により、圧縮性本体(1840)は、圧縮性本体(1840)が細長い部材(802)に摩擦係合して、それによって、細長い部材(802)を第1の連結部材(1812)及び第2の連結部材(1830)に対して軸方向及び回転方向に固定する点まで、半径方向内向きに圧縮する。
【0059】
ガイドワイヤ作動アセンブリ(1810)は、第1の連結部材(1812)及び第2の連結部材(1830)を回転的に互いから螺出させることによって、ロック状態からロック解除状態に戻され得ることが理解されるであろう。本明細書で使用するとき、用語「螺出」は、連結部材(1812、1830)が互いに完全に分離されることを必要とするように読み取られるべきではない。代わりに、この用語は、
図27Bに示される状態から
図27Aに示される状態であって、連結部材(1812、1830)は共に結合されたままであるが、もはや協働して圧縮性本体(1840)を細長い部材(802)に対して圧縮していない状態への移行を含むものとして読み取られるべきである。
【0060】
ロック解除状態(
図27A)とロック状態(
図27B)との間を移行するための第1の連結部材(1812)と第2の連結部材(1830)との間の相対的回転は、対向する連結部材(1812、1830)が静止したままの状態で一方の連結部材(1812、1830)を回転させることによって達成することができる。他の変形例では、両方の連結部材(1812、1830)は、互いに対して反対方向に回転させることができる。いずれの場合も、ガイドワイヤ作動アセンブリ(1810)は、上記の摺動アクチュエータ(650)(
図2~
図5)と同様であり得る支持構造体に好適に装着されており、その結果、両方の連結部材(1812、1830)が支持構造体に対して回転可能であり、また、その結果、連結部材(1812、1830)のうちの少なくとも1つが支持構造体に対して並進可能であることが理解されよう。こうした構成により、連結部材(1812、1830)の互いに対する回転及び支持構造体に対する回転、並びに、上述したようなねじ山付き部分(1844、1846)の回転螺入及び螺出中の連結部材(1812、1830)の軸方向の前進及び分離が可能となる。いくつかの変形例では、第1の連結部材(1812)は、第1の近位シャフト部分(1816)に沿って支持構造体(図示せず)の第1の端部分に回転可能かつ並進可能に装着されてもよく、第2の連結部材(1830)は、第2の遠位シャフト部分(1852)に沿って支持構造体(図示せず)の第2の端部分に回転可能に装着されてもよい。
【0061】
上述したように、図示される例示的な変形例の圧縮性本体(1840)は、円筒形突出部(1864)と円錐形表面(1854)との間で圧縮される。他の変形例では、当業者には容易に明らかである様々な他の好適な構造体を導入して、圧縮性本体(1840)を圧縮することができる。例えば、第1の連結部材(1812)及び第2の連結部材(1830)は、2つの対向する突出部(1864)、又は2つの対向する円錐形表面(1854)を含んでもよい。
【0062】
ガイドワイヤ作動機構(1810)は、細長い部材(802)を選択的に把持、回転、及び並進させるものとして上記で説明されてきたが、あるいは、ガイドワイヤ作動機構(1810)は、実質的にあらゆる可撓性器具を選択的に把持し、回転させ、並進させるように用いてもよいことを理解されたい。ガイドワイヤ(602)の代わりにガイドワイヤ作動機構(1810)と組み合わせて使用され得る可撓性器具又は他の細長い部材(802、803)の単に例示的な実施例としては、RFアブレーションカテーテル、バルーン拡張カテーテル、生検器具、及び他の可撓性器具が挙げられるが、これらに限定されない。ガイドワイヤ(602)の代わりにガイドワイヤ作動機構(1810)と組み合わせて使用され得る可撓性器具又は他の細長い部材(802、803)の他の例は、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかとなるであろう。
【0063】
IV.選択的把持機構を有する例示的なガイドワイヤ作動機構
図28は、ガイドワイヤ作動アセンブリ(2800)内に取り付けられた、更に別の例示的な代替のガイドワイヤ作動機構(2820)を示す。この例示的な代替のガイドワイヤ作動機構(2820)は、本明細書内で別途明示的に記載されていることを除いて、上述のガイドワイヤ作動機構(1810)(
図21~
図22)と実質的に同様である。ガイドワイヤ作動機構(1810)(
図21~
図22)のように、ガイドワイヤ作動機構(2800)は、スピンアクチュエータ(610)(
図2~
図5)及びコレットカラー(630)(
図2~
図4)の代わりに拡張器具(10)(
図1A~
図1D)に組み込むことができる。ガイドワイヤ作動機構(1810)及びガイドワイヤ作動機構(2820)は両方とも、細長い部材(802)を把持する弾性部材(1840、2820)を有する。ガイドワイヤ作動機構(1810)は、圧縮性本体(1840)に力を加えることによって細長い部材(802)を把持する。対照的に、本実施例のガイドワイヤ作動機構(2820)は、下記で更に説明するように、把持部材(2860)上で力を解放することによって細長い部材(802)を把持する。
【0064】
本実施例のガイドワイヤ作動アセンブリ(2800)は、摺動アクチュエータ(2810)及びガイドワイヤ作動機構(2820)を備える。摺動アクチュエータ(2810)は、ハンドルアセンブリ(500)と摺動可能に連結され、それによって細長い部材(802)をハンドルアセンブリ(500)に対して長手方向に並進させるように構成されている。ガイドワイヤ作動機構(2820)は、細長い部材(802)を選択的に把持し、細長い部材(802)の長手方向軸を中心に細長い部材(802)を回転させるように動作可能である。
【0065】
本実施例の摺動アクチュエータ(2810)は、把持機構(2812)と、第1のヨーク(2814)と、第2のヨーク(2816)と、を含む。いくつかの変形例では、把持機構(2812)及び第1のヨーク(2814)はガイドワイヤ作動アセンブリ(2800)の遠位端部にあり、一方で、第2のヨーク(2816)はガイドワイヤ作動アセンブリ(2800)の近位端部にある。いくつかの他の変形例では、把持機構(2812)及び第1のヨーク(2814)はガイドワイヤ作動アセンブリ(2800)の近位端部にあり、一方で、第2のヨーク(2816)はガイドワイヤ作動アセンブリ(2800)の遠位端部にある。摺動アクチュエータ(2810)は、ハンドルアセンブリ(500)と摺動可能に連結され、それによって、ガイドワイヤ作動機構(2820)及び細長い部材(802)をハンドルアセンブリ(500)に対して長手方向に並進させるように動作可能である。把持機構(2812)は、操作者の親指又は親指以外の指と摺動アクチュエータ(2810)との間の係合を円滑にするように構成されている。
【0066】
図29~
図30に示されるように、ガイドワイヤ作動機構(2820)は、第1の部材(2850)と、第2の部材(2830)と、把持部材(2860)と、リテーナ(2870)と、コイルばね(2880)と、を備え、これらの全ては、互いに同軸状に整列される。いくつかの変形例では、第1の部材(2850)は、第2の部材(2830)に対して遠位に位置決めされる。いくつか他の変形例では、第1の部材(2850)は、第2の部材(2830)に対して近位に位置決めされる。本実施例では、第1の部材(2850)及び第2の部材(2830)は、共に一体的に回転するように構成されており、一方で第1の部材(2850)及び第2の部材(2830)は、互いに対して長手方向に並進するように構成されている。いくつかの変形例では、ガイドワイヤ作動アセンブリ(2800)は、第2の部材(2830)を長手方向に静止するように保持しながら、第1の部材(2850)が長手方向に並進することを可能にするように構成されている。いくつかの他の変形例では、ガイドワイヤ作動アセンブリ(2800)は、第1の部材(2850)を長手方向に静止するように保持しながら、第2の部材(2830)が長手方向に並進することを可能にするように構成されている。
【0067】
図31~
図33に示されるように、第1の部材(2850)は、装着部材(2852)と、一対のラッチアーム(2854)と、一対のキー溝(2856)と、一対のリテーナ凹部(2858)と、を含む。
図32で最もよく示されるように、把持部材(2860)は、中央穴(2862)と、中央穴(2862)につながる円錐台形の引込面(2864)と、を画定する円筒状本体(2860)を備える。本実施例の把持部材(2860)は、エラストマー材料(例えば、シリコーン、ゴムなど)で形成され、中央穴(2862)が細長い部材(802)の外径より小さい直径を有する構成を取るように弾性的に付勢される。したがって、把持部材(2860)は、中央穴(2862)内に配設された細長い部材(802)を把持部材(2860)が把持する構成を取るように、弾性的に付勢される。しかしながら、以下で更に詳細に説明されるように、把持部材(2860)は長手方向に圧縮されてもよく、これにより、中央穴(2862)の直径が効果的に拡大し、これにより、把持部材(2860)が、中央穴(2862)内に配設された細長い部材(802)を解放することが可能となる。
【0068】
把持部材(2860)は、第2の穴領域(2853)内に位置決めされる。把持部材(2860)は、把持部材(2860)の外側壁がスプライン面(2896)と当接するように、第2の穴領域(2853)にわずかにプレス嵌めされる。スプライン面(2896)及び把持部材(2860)の構成、並びに把持部材(2860)のエラストマー特性が、把持部材(2860)が第2の穴領域(2853)内で回転するのを防ぐ。
【0069】
リテーナ(2870)は、第1の肩面(2892)及び把持部材(2860)の端部に対して嵌合して、その結果、把持部材(2860)がリテーナ(2870)と第2の肩面(2894)との間で長手方向に捕捉されるように構成されている。リテーナ(2870)は、外向きに延びる一対のタブ(2872)(
図30)を含み、これらは、互いから180度の角度方向に離間配置され、かつ第1の部材(2850)のリテーナ凹部(2858)に嵌合するように構成されている。したがって、タブ(2872)(
図30)及びリテーナ凹部(2858)は、協働してリテーナ(2870)を第1の部材(2850)内に保持する。
【0070】
第1の部材(2850)は、第1の穴領域(2851)と、第2の穴領域(2853)と、第3の穴領域(2855)と、を画定する。第2の穴領域(2853)は、第1の穴領域(2851)の直径よりも大きい直径を有し、第3の穴領域(2855)は、第2の穴領域(2853)の直径よりも大きい直径を有する。第1の部材(2850)の内部は、第1の肩面(2892)と、第2の肩面(2894)と、第2の穴領域(2853)に沿って肩面(2892、2894)の間で長手方向に延びる内側スプライン面(2896)と、を更に含む。ラッチアーム(2854)、キー溝(2856)、及びリテーナ凹部(2858)は、第3の穴領域(2855)に沿って位置決めされる。
【0071】
本実施例の装着部材(2852)は円筒状であり、第1のヨーク(2814)(
図28)に摺動可能に嵌合するように構成されている。第1のヨーク(2814)(
図28)は、ガイドワイヤ作動機構(2820)が摺動アクチュエータ(2810)に対して回転することを依然として可能にしながら、装着部材(2852)を介して第1の部材(2850)を支持するように構成されている。いくつかの変形例では、以下でより詳細に説明するように、第1のヨーク(2814)(
図28)はまた、第1の部材(2850)が第1のヨーク(2814)に対して長手方向に並進することを可能にする。装着部材(2852)(
図30)は、第1の穴領域(2851)に対応するように長手方向に位置決めされる。
【0072】
図34に示すように、第2の部材(2830)は、環状凹部(2832)と、環状凹部(2832)に隣接する環状フランジ(2834)と、長手方向に延びる一対のキー(2836)と、一対のラッチボス(2838)と、プランジャ機構(2890)と、を備える。中央穴(2831)は、第2の部材(2830)の全長に沿って延び、第1の部材(2850)の穴領域(2851、2853、2855)(
図33)と整列するように構成される。環状凹部(2832)は、第2のヨーク(2816)(
図28)内に受け入れられるように構成される。第2のヨーク(2816)(
図28)は、ガイドワイヤ作動機構(2820)(
図28)が摺動アクチュエータ(2810)(
図28)に対して回転することを依然として可能にしながら、環状凹部(2832)を介して第2の部材(2830)を支持するように構成されている。いくつかの変形例では、以下でより詳細に説明するように、第2のヨーク(2816)及び環状凹部(2832)は、第2の部材(2830)が第2のヨーク(2816)に対して長手方向に並進することを可能にするように構成される。こうした変形例では、それでもなお、環状フランジ(2834)は、第2のヨーク(2816)に対する第2の部材(2830)の並進を制限し得る。いくつかの他の変形例では、第2のヨーク(2816)及び環状凹部(2832)は、第2の部材(2830)が第2のヨーク(2816)に対して長手方向に並進するのを防ぐように構成される。こうした変形例では、第1の部材(2850)は、第1のヨーク(2814)に対して長手方向に並進するように動作可能である。
【0073】
第2の部材(2830)のキー(2836)は、互いから180度の角度方向に離間配置され、第1の部材(2850)(
図33)の対応するキー溝(2856)(
図33)内に摺動可能に嵌合するように構成されている。キー(2836)及びキー溝(2856)(
図33)は協働して、第1の部材(2850)及び第2の部材(2830)(
図33、
図34)が互いに対して回転することを防止し、一方で、第1の部材(2850)及び第2の部材(2830)が互いに対して並進することを可能にする。第2の部材(2830)のラッチボス(2838)は、互いから180度の角度方向に離間配置され、第1の部材(2850)の対応するラッチアーム(2854)(
図33)と係合するように構成されている。ラッチボス(2838)は、ラッチアーム(2854)と協働して、第1の部材(2850)に対する第2の部材(2830)の並進を制限し、それによって、第2の部材(2830)が第1の部材(2850)から不意に分離することを防止するように構成されている。コイルばね(2880)は、第3の穴領域(2855)に嵌合し、第1の部材(2850)及び第2の部材(2830)を、長手方向に互いに離れるように弾性的に付勢するように構成されている。
【0074】
図35A~
図35Bは、把持部材(2860)が細長い部材(802)をしっかりと把持するロック状態(
図35A)と、把持部材(2860)が細長い部材(802)を解放するロック解除状態(
図35B)との間を移行するガイドワイヤ作動機構(2820)を示す。
図35Aに示されるように、把持部材(2860)は非圧縮状態にあり、そのため把持部材(2860)は、細長い部材(802)上でしっかりした把持を維持する。したがって、ガイドワイヤ作動機構(2820)が細長い部材(802)の長手方向軸に沿って並進すると、ガイドワイヤ作動機構(2820)は、細長い部材(802)を駆動して、細長い部材(802)の長手方向軸に沿って並進させる。同様に、ガイドワイヤ作動機構(2820)が細長い部材(802)の長手方向軸を中心に回転すると、ガイドワイヤ作動機構(2820)は、細長い部材(802)を駆動して、細長い部材(802)の長手方向軸を中心に回転させる。
【0075】
図35Bは、第1の部材(2850)が長手方向に静止した状態を維持する間に第2の部材(2820)を長手方向に並進させることによって、ロック解除状態に移行している、ガイドワイヤ作動機構(2820)を示す。上述したように、いくつかの他の変形例では、第2の部材(2820)が長手方向に静止した状態を維持する間に第1の部材(2850)を長手方向に並進させることによって、ガイドワイヤ作動機構(2820)はロック解除状態に移行することができる。いずれの場合でも、ガイドワイヤ作動機構(2820)がロック解除状態にあるとき、プランジャ機構(2890)は把持部材(2860)に当接し、それによって把持部材(2860)を第2の肩面(2894)に対して圧縮する。把持部材(2860)のこの圧縮によって中央穴(2862)の直径が拡大し、それにより把持部材(2860)に、細長い部材(802)に対するその把持を解放させる。
図35Bは、細長い部材(802)の周囲に間隙を画定する把持部材(2860)を示す。いくつかの他の変形例では、圧縮された把持部材(2860)は、別の場合では、細長い部材(802)の周囲に間隙を必ずしも画定すること必要なく、細長い部材(802)に対するその把持を効果的に解放することができる。いずれの場合でも、細長い部材(802)が把持部材(2860)から解放されると、操作者は、細長い部材(802)をガイドワイヤ作動機構(2820)から引くか、又は別の方法でガイドワイヤ作動機構(2820)に対する細長い部材(802)の長手方向位置を調節することができる。
【0076】
ほんの一例として、
図35Bに示されるロック解除状態に達した後、操作者は、第1の種類の細長い部材(802)(例えば、照明ガイドワイヤ)を除去し、それを第2の種類の細長い部材(802)(例えば、IGSシステムと協働する位置センサを有するガイドワイヤ)と交換することを望む場合がある。操作者が細長い部材(802)を交換すると、又は別の方法で、ガイドワイヤ作動機構(2820)に対する細長い部材(802)の長手方向位置を調整すると、操作者が第1の部材(2850)を第2の部材(2830)に対して並進させた場合、操作者は、第2の部材(2830)を解放する(又は第1の部材(2850)を解放する)ことができる。コイルばね(2880)の弾力性は、第1の部材(2850)及び第2の部材(2830)を
図35Aに示す関係に戻し、その結果、プランジャ(2890)は把持部材(2860)をもはや圧縮しない。把持部材(2860)がもはや圧縮されていないと、中央穴(2862)は、より小さな直径を備えたその自然な状態に戻り、その結果、プランジャ(2890)からの圧縮が取り除かれた後で、把持部材(2860)は細長い部材(802)を再び把持する。ガイドワイヤ作動機構(2820)が
図35Aのロック状態に戻ると、操作者は、ガイドワイヤ作動アセンブリ(2800)を再び操作して、細長い部材(802)を細長い部材(802)の長手方向軸に沿って並進させ、細長い部材(802)を細長い部材(802)の長手方向軸を中心に回転させることができる。
【0077】
前述の実施例は、ガイドワイヤ作動アセンブリ(2800)を、ガイドワイヤ(602)の形態で細長い部材(802)を選択的に把持、並進、及び回転させるものとして説明しているが、同様の構成を使用して、他の種類の装置を選択的に把持、並進、及び回転させることができる。ほんの一例として、ガイドワイヤ作動アセンブリ(2800)は、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるように、内視鏡又は他の細長い器具に適応するように変更されてもよい。
【0078】
本明細書に記載される様々な実施例は、副鼻腔口を通過するようなサイズの器具の文脈で提供されるが、これは単なる例示的な実施例にすぎないことを理解されたい。本明細書の教示は、患者の頭部内の任意の場所、又は患者の解剖学的構造内の他の場所に位置決めされる器具の文脈に容易に適用され得る。本明細書の教示に従って構成された器具によって到達され得る解剖学的構造の他の例としては、脳神経、ヴィディアン神経などが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書の教示に従って構成された器具によって到達され得る解剖学的構造の更に他の例は、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかとなろう。
【0079】
V.例示的な組み合わせ
以下の実施例は、本明細書の教示を組み合わせるか又は適用することができる、様々な非網羅的な方法に関する。以下の実施例は、本出願における又は本出願の後の出願におけるどの時点でも提示され得る、いずれの請求項の適用範囲をも限定することを目的としたものではないと理解されよう。一切の棄権を意図するものではない。以下の実施例は、単なる例示の目的で記載されるものにすぎない。本明細書の様々な教示は、他の多くの方法で構成及び適用が可能であると考えられる。また、いくつかの変形では、以下の実施例において言及される特定の特徴を省略してよいことも考えられる。したがって、本発明者又は本発明者の利益の継承者により、後日、そうである旨が明示的に示されない限り、以下に言及される態様又は特徴のいずれも重要なものとして見なされるべきではない。以下に言及される特徴以外の更なる特徴を含む請求項が、本出願において、又は本出願に関連する後の出願において示される場合、それらの更なる特徴は、特許性に関連するいかなる理由によっても追加されたものとして仮定されるべきではない。
【実施例0080】
細長い部材と共に使用する機器であって、(a)係合部材と、(b)係合部材から長手方向軸に沿って延びる中空シャフトと、(c)中空シャフトによって支持された圧縮要素であって、中空シャフトに対して半径方向に移動可能である、圧縮要素と、(d)中空シャフト内に配設された弾性把持部材であって、弾性把持部材は、内部を通して細長い部材を長手方向軸に沿って摺動可能に受け入れるように構成され、圧縮要素が、弾性把持部材の半径方向外側表面と対面するように位置決めされている、弾性把持部材と、(e)中空シャフト上に摺動可能に配設された圧縮部材であって、圧縮部材がロック解除位置からロック位置に向かって前進する際に圧縮要素と係合するように構成された内側表面を含み、内側表面は、ロック位置で圧縮要素を異なるサイズの細長い部材と係合させるように構成された複数の戻り止め機構を有し、圧縮部材は、中空シャフトに沿ってロック位置とロック解除位置との間を長手方向に選択的に並進するように動作可能である、圧縮部材と、を備え、ロック位置で、圧縮部材は、弾性把持部材が半径方向内向きに変形して細長い部材を把持し、それによって機器を通る細長い部材の並進を妨げるように、圧縮要素を弾性把持部材に対して半径方向に付勢するように構成され、ロック解除位置で、圧縮部材は、圧縮要素及び弾性把持部材が細長い部材から半径方向に離れるように移動することを可能にし、それによって機器を通る細長い部材の並進を可能にするように構成されている、機器。
弾性把持部材は、圧縮部材がロック位置にあるとき、細長い部材を機器に対して軸方向及び回転方向に固定するように構成され、弾性把持部材は、圧縮部材がロック解除位置にあるとき、内部を通して細長い部材を自由に並進及び回転させるように構成されている、実施例1に記載の機器。