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特開2024-23676複数のプロセス制御通信プロトコルに対して構成された携帯型フィールド保守ツール
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024023676
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】複数のプロセス制御通信プロトコルに対して構成された携帯型フィールド保守ツール
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/042 20060101AFI20240214BHJP
【FI】
G05B19/042
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023211322
(22)【出願日】2023-12-14
(62)【分割の表示】P 2022007324の分割
【原出願日】2017-07-25
(31)【優先権主張番号】201621025383
(32)【優先日】2016-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(31)【優先権主張番号】15/454,725
(32)【優先日】2017-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】512132022
【氏名又は名称】フィッシャー-ローズマウント システムズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロジャー ベンソン
(72)【発明者】
【氏名】メフル ラジェッシュバイ
(72)【発明者】
【氏名】アントニー ファーガソン
(72)【発明者】
【氏名】トッド エム. トプケ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】携帯型フィールド保守ツールに関し、特に、多種多様な環境及び状況において使用可能な携帯型フィールド保守ツールを提供する。
【解決手段】携帯型フィールド保守ツールは、フィールドデバイスが接続されるプラント環境内で、フィールドデバイスと通信する、フィールドデバイスに給電する、フィールドデバイスを診断する、または、通信リンクを診断するなどの、1つ以上のタスクを行い得る。携帯型フィールド保守ツールは、HARTプロトコルやフィールドバスプロトコルなどのいくつかの異なる通信プロトコルに従って構成されたフィールドデバイスとインタラクトし得る。携帯型フィールド保守ツールは、エネルギーが制限されて耐障害的であり、また、本質安全規格に準じて動作して、危険領域における携帯型フィールド保守ツールの使用を可能にし得る。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィールドデバイスと通信し、前記フィールドデバイスによって送信または受信される信号を監視する方法であって、
有線リンクを介して、フィールドデバイスを携帯型フィールド保守ツールの端子のセットに電気的に接続するステップと、
前記フィールドデバイスとの間の信号を前記携帯型フィールド保守ツールの前記端子のセットで送信または受信するステップと、
前記送信または受信された信号の1つまたは複数の電気的特性を、前記端子のセットで測定するステップと、
前記1つまたは複数の電気的特性の解析を実施して、前記フィールドデバイスが外部ループ抵抗器に接続されているかどうか判定するステップと、
前記解析により、前記フィールドデバイスが外部ループ抵抗器に接続されていると明らかになったとき、内部ループ抵抗器が活動化することを防ぐステップと、
前記解析により、前記フィールドデバイスが外部ループ抵抗器に接続されていないと明らかになったとき、前記内部ループ抵抗器を活動化するステップと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、携帯型フィールド保守ツールに関し、特に、多種多様な環境及び状況において使用可能な携帯型フィールド保守ツールに関する。
【背景技術】
【0002】
化学プロセス及び石油プロセスで使用されるプロセス制御システムのように、プロセス制御システムは通常、アナログ、デジタル、または複合アナログ/デジタル通信リンクを介して、少なくとも1つのホストまたはオペレータワークステーション、及び1つ以上のフィールドデバイスに通信可能に結合された、1つ以上のプロセス制御装置を含む。
【0003】
一般的にプラント環境内に配置される、プロセス制御装置(「制御装置」と称されることもある)は、プロセス測定値を示す信号(「制御入力」とも称される)を受信し、これらの信号によって伝達される情報を用いて、制御入力及び制御ルーチンの内部論理に基づいて制御信号(「制御出力」とも称される)を制御装置に生成させる制御ルーチンを実施する。制御装置は、生成した制御信号をバスまたは他の通信リンクを介して送信して、フィールドデバイスの動作を制御する。場合によっては、制御装置は、Highway Addressable Remote Transmitter(HART(登録商標))、無線HART(登録商標)及びFOUNDATION(登録商標)Fieldbus(単に「フィールドバス」とも呼ばれる)フィールドデバイスなどのスマートフィールドデバイスによって実施される制御ルーチンと連係し得る。
【0004】
例えば、バルブ、バルブポジショナ、スイッチ、及びトランスミッタ(例えば、温度センサ、圧力センサ、水位センサ、または流量センサを含む)であり得るフィールドデバイスは、プラント環境内に配置され、通常、物理的またはプロセス制御機能を行う。例えば、バルブは、制御装置から受信した制御出力に応答して開閉するか、あるいは、制御装置にプロセスパラメータの測定値を送信して、制御装置が測定値を制御入力として利用可能となるようにし得る。また、フィールドバスプロトコルに準拠するフィールドデバイスなどのスマートフィールドデバイスは、制御計算、アラーム機能、及び、プロセス制御装置内で一般的に実施される他の制御機能を行い得る。フィールドデバイスは、種々の通信プロトコルに従って、制御装置及び/または他のフィールドデバイスと通信するよう構成され得る。例えば、プラントは、従来のアナログ4~20mAフィールドデバイス、HART(登録商標)フィールドデバイス、またはフィールドバスフィールドデバイスを含み得る。
【0005】
従来のアナログ4~20mAフィールドデバイスは、測定値または制御命令を示すアナログ4~20mADC信号を伝達するよう構成された2線式通信リンク(「ループ」または「電流ループ」とも呼ばれる)を介して、制御装置と通信する。例えば、水位トランスミッタは、タンク水位を感知して、ループを介して測定値に対応する電流信号(例えば、0%満杯に対しては4mA信号、50%満杯に対しては12mA信号、及び100%満杯に対しては20mA信号)を送信し得る。制御装置は、電流信号を受信し、電流信号に基づいてタンク水位測定値を判定し、タンク水位測定値に基づいて何らかの措置を講じる(例えば、インレットバルブの開閉)。アナログ4~20mAフィールドデバイスは、概して、4線式フィールドデバイスと、2線式フィールドデバイスの2種となる。4線式フィールドデバイスは通常、通信用には第1の線のセット(つまり、ループ)を利用し、電力用には第2の線のセットを利用する。2線式フィールドデバイスは、通信及び電力の両方をループに依存する。2線式フィールドデバイスは、「ループ給電」フィールドデバイス
と呼ばれることもある。
【0006】
設計の簡易性及び有効性から、プロセスプラントは、従来の4~20mAシステムを実装することが多い。残念なことに、従来の4~20mA電流ループは、一度に1つしかプロセス信号を送信しない。したがって、材料を搬送するパイプ上の制御バルブ及び流量トランスミッタを含む設定は、3つの別個の電流ループ、1つ目はバルブに対する制御命令(例えば、バルブを60%開にするための)を示す4~20mA信号を伝達するためのもの、2つ目はバルブの実際の位置を示す4~20mA信号を制御装置に伝達するためのもの(例えば、そのため、制御装置は、バルブが制御命令に応答した程度が分かる)、そして3つ目は測定した流量を示す4~20mA信号を制御装置に伝達するためのもの(例えば、そのため、制御装置は、バルブ位置の変化が流量にどう影響を及ぼしたかが分かる)、を必要とし得る。その結果、多数のフィールドデバイスを有するプラントにおける従来の4~20mA設定は、広範な配線を必要とし得るが、このことは、コスト高となり得るとともに、通信システムを設定及び維持する際の複雑さにつながり得る。
【0007】
もっと最近になって、プロセス制御業界は、プロセス制御環境内でデジタル通信を実施するよう移行した。例えば、HART(登録商標)プロトコルは、ループDCの大きさを使用してアナログ信号を送受信するが、さらにDC信号上にACデジタルキャリア信号を重畳して、スマートフィールド装置との2線式フィールド通信を可能にする。別の例として、フィールドバスプロトコルは、2線式バス(「トランク」、「セグメント」、または「フィールドバスセグメント」とも呼ばれる)上に全デジタル通信を提供する。この2線式フィールドバスセグメントは、複数のフィールドデバイスに結合されて、複数のフィールドデバイスに電力を(セグメント上で利用可能なDC電圧を介して)提供し、フィールドデバイスによる通信(DC電源電圧上に重畳されたACデジタル通信信号を介して)を可能にし得る。
【0008】
通常、これらのデジタル通信プロトコルは、より多くのフィールドデバイスを特定の通信リンクに接続し、フィールドデバイスと制御装置との間の大量かつ高速な通信をサポートし、及び/またはフィールドデバイスが大量かつ異なるタイプの情報(フィールドデバイス自体の状態及び構成に関する情報など)をプロセス制御装置へ送信することを可能にする。さらに、これらの標準デジタルプロトコルは、異なる製造業者によって製造されたフィールドデバイスを、同一のプロセス制御ネットワーク内で一緒に使用することを可能にする。
【0009】
利用する通信プロトコルに関わらず、フィールドデバイスは、現場でのセットアップ、構成、テスト及び保守を必要とすることがある。例えば、フィールドデバイスをプロセス制御プラントにおける特定の場所に取り付け得る前に、フィールドデバイスをプログラムする必要があり、その後に、フィールドデバイスを取り付ける前後にテストする必要がある場合がある。取り付けの済んだフィールドデバイスもまた、保守のために定期的にチェックする、あるいは、例えば障害が検出されて、フィールドデバイスが点検または修理のために診断される必要があるときにチェックする必要がある場合がある。一般的に、フィールドデバイスの構成及びテストは、携帯型テスト装置(「PTD」)などの手持ち式保守ツールを用いて現場で行われる。多くのフィールドデバイスは遠隔の、到達が難しい場所に設置されているので、このような遠隔の場所に取り付けられたデバイスをテストするのに、PTDを用いるほうが、重く、嵩張り、そして可搬性がないため通常は取り付けられたフィールドデバイスを診断装置の場所まで移動させる必要がある、完全な構成のテスト装置を用いるよりも、ユーザにとって便利である。
【0010】
サービス技術者などのユーザが保守テスト及び/またはフィールドデバイスとの通信を行う場合、PTDは通常、通信リンク(例えば、電流ループまたはフィールドバスセグメ
ント)に通信可能に、あるいはフィールドデバイスに直接(例えば、フィールドデバイスの通信端子を介して)接続される。PTDはまず、ループまたはセグメントに沿ってデジタル通信信号を送信及び/または受信することによるなど、フィールドデバイスとの通信を試みる。電流ループまたはセグメントが適切な動作状態にある場合には、通信信号は問題なく送信及び/または受信され得る。しかし、ループ、セグメント、またはフィールドデバイスが、ショートや遮断などの電気不良を含有する場合には、通信できず、ループ、セグメント、及び/またはフィールドデバイスを診断して不良を特定する必要があり得る。
【0011】
そのような不良が特定されると、技術者は、フィールドデバイス及び/または通信リンクをテストするために、多様な他のツールを使用することを要する場合がある。一例として、技術者は、フィールドデバイスによって送信または受信された実信号を診断するために、マルチメータを携行することを要する場合もある。マルチメータが必要であるのは、従来のPTDではフィールドデバイスによって送信または受信された信号の電気的特性を正確に分析することができないためである。別の例として、隔絶されたフィールドデバイスに給電するために、技術者は携帯型電源を使用することを要する場合もある。技術者は、例えば、プラントワイドな停電またはローカル電源側の問題のために電力を失う場合に、隔絶されたフィールドデバイスに給電することを要し得る。別の例として、別のフィールドデバイス及びプロセス制御システムの残りの部分に悪影響を及ぼすのを回避するために、技術者は、トラブルシューティングのために単にフィールドデバイスをオフラインにすることを要する場合もある。また、技術者は、マルチメータを携行してセグメントまたはループ等で利用可能な電流を測定する必要があり得る。これらのツールのそれぞれは、かなりの空間を占め得、技術者がフィールドに携行するには不便であり得る。複数のツールを携行するというこの問題に対処するために、製造業者は、HARTループに電力を提供するための電源を含むPTDを開発してきた。残念ながら、これらの給電されたPTDは通常、フィールドバスフィールドデバイスに電力を提供することができない。また、従来の携帯型電源及び給電されたPTDは、本質安全(IS)規格に準拠していないことが多く、そのため、危険領域(例えば、爆発性ガスまたは粉塵による爆発の可能性がある環境または雰囲気)において安全に使用することができない。
【0012】
フィールドデバイスが危険領域に配置された場合、技術者は、自身のツールそれぞれが本質安全に動作していることを確認する必要があり得る。危険領域において、技術者のツールは、安全な動作を確保するために、IS規格に準拠する必要があり得る。一般的に、IS規格は、プラント人員が、ループまたはセグメントに取り付けられた全ての機器(ループまたはセグメントに取り付けられ得る任意のPTDまたは他のツールを含む)を分析して、全ての取り付けられたデバイスが危険環境において安全に動作し得ることを確認するよう要求する。より具体的には、IS規格は、危険な環境における電気機器及び配線に制約を課して、電気機器及び配線が、爆発を点火しないよう保証する。IS規格に準拠するために、電気機器は通常、2つの中核的概念、エネルギー制限及び耐障害性を念頭に置いて設計されなければならない。
【0013】
第1のIS概念は、デバイスにおいて利用可能なエネルギーの総量が爆発性雰囲気を点火するのに十分な閾値を下回るようISデバイスを設計するよう要求する。エネルギーは、電気(例えば、火花の形態)または熱(例えば、高温面の形態)であり得る。IS規格は複雑であり得るが、一般的には、回路内の電圧が29V未満、回路内の電流が300mA未満、及び、回路または回路構成要素に関連付けられた電力が1.3W未満であるよう要求する。これらの閾値を上回る電気的特性を有する回路は、アークまたは熱による爆発リスクを引き起こし得る。
【0014】
第2のIS概念は、複数の故障を経験した後であっても安全なエネルギーレベルを維持
するようISデバイスが耐障害性な方法で設計されるよう要求する。つまり、IS規格は、回路不良が不可避ならば、これらの回路不良が生じたときの回路のエネルギーレベルが安全レベルに制限されるべきであるとする哲学を反映する。
【0015】
一般的に、携帯型電源及び給電されたPTDは、IS規格に準拠しておらず、そのため、(i)携帯型電源及び給電されたPTDは通常、1つ以上の構成要素が、爆発性雰囲気
を点火する危険にさらすに十分なエネルギーレベルを上回り得るよう設計される、及び/または(ii)携帯型電源及び給電されたPTDは構成要素故障に対して脆弱であり、結果として、携帯型電源または給電されたPTDが、爆発性雰囲気を点火する危険にさらすに十分なエネルギーレベルを上回ることとなるために、危険領域では使用できないことがある。
【0016】
例えば、一般的な携帯型電源は、その端子間に、危険環境における爆発の危険にさらすに十分な電圧(例えば、29V超)を生成し得る。29V未満の電圧を供給するよう設計されている場合であっても、一般的な携帯型電源は、供給された電圧または電流のスパイクの防止が保証されたフェイルセーフ機構を含まない。したがって、危険環境では、フィールドデバイスに電力を提供する必要のある技術者は通常、フィールドデバイスを取り外して、フィールドデバイスを、給電可能かつテスト可能である安全な領域まで移動させなければならない。
【発明の概要】
【0017】
本開示は、本明細書では同じ意味で「オートメーション」、「産業用制御」、「プロセス制御」、または「プロセス」システム、環境、及び/またはプラントと称される、産業プロセス制御システム、環境、及び/またはプラントにおいて用いられるよう構成された、携帯型フィールド保守ツールについて記載する。通常、このようなシステム及びプラントは、物理的材料または製品を、製造、精製、変形、生成、または産生するよう動作する1つ以上のプロセスの制御を、分散させて提供する。
【0018】
記載の携帯型フィールド保守ツールは、フィールドデバイス及び/またはフィールドデバイスに接続された通信リンクに給電し、これらと通信し、及び/またはこれらを診断し得る。携帯型フィールド保守ツールは、フィールドバスプロトコルやHARTプロトコルなどの複数の通信プロトコルに従って構成されたフィールドデバイスにおいて用いられるよう構成され得る。したがって、異なるタイプのフィールドデバイスを点検するために複数のツールを携行するよう強いられることなく、ユーザは、携帯型フィールド保守ツールを携行する必要があるだけである。場合によっては、携帯型フィールド保守ツールは、IS規格に準拠するのに十分に、エネルギーが制限されており、耐障害的であり得る。したがって、多くの従来の携帯型電源及びPTDとは違い、携帯型フィールド保守ツールは、危険領域において安全に用いられ得る。
【0019】
一実施形態では、携帯型フィールド保守ツールは、筐体、通信インタフェース、通信回路、および/または電源のうちのいずれか1つ以上を含む。通信インタフェースは、筐体を貫通して配置することができ、筐体内でアクセス可能な内部部分ならびに筐体の外側でアクセス可能な端子のセットを含むことができる。端子のセットは、合成信号を搬送するよう構成される有線リンクによってフィールドデバイスに電気的に接続可能とすることができ、合成信号は、(i)フィールドデバイスとの間で送受信される通信信号、および(ii)フィールドデバイスへ送信される電力信号を含む。通信回路は、筐体内に配置され、通信インタフェースの内部部分に電気的に接続可能であり、通信信号をエンコードまたはデコードするよう構成され、かつ/または範囲内(例えば、75オーム~750オームの間の任意の値)に抵抗を有する抵抗ネットワークを含んで、合成信号と関係付けられる端子のセットで、電圧低下を起こすことができる。その合成信号は、(i)合成信号を読
み取ることと関連する最小電圧閾値より高く、(ii)最大電圧閾値より低い。電源は、筐体内に配置され、通信インタフェースおよび通信回路の内部部分に電気的に接続され、かつ/または電力信号を送信するよう構成することができる。合成信号は、電力信号を含み、振幅が変化して情報のほか、アナログDC信号に重畳されるデジタルFM通信信号も搬送するアナログのDC信号を含んでもよい。最小電圧閾値は、通信信号の読み取りと関連する最小ピークツーピーク電圧であってもよく、50mVピークツーピーク~500mVピークツーピーク(例えば、120mVピークツーピーク)の間の任意の値であってもよい。最大電圧閾値は、端子のセットでスパークを発生させるのに十分な電圧未満にとどまるよう選択された値とすることができる。この電力供給は、最大電圧閾値以下の電圧で、電流信号を送信するよう構成することができる。最大電圧閾値は、10V~30Vの間の任意の値であってよい。抵抗ネットワークは、複数のサブネットワーク内に配置可能な複数の抵抗器を含んでもよい。抵抗ネットワークは、抵抗ネットワークの中または外の1つまたは複数の抵抗器を取り替えるためのスイッチ(そのうち1つ以上はソリッドステートリレーであってもよい)を含むことができる。
【0020】
一実施形態では、トランスミッタフィールドデバイスと通信する方法は、以下の任意の1つ以上を含み、それらは、トランスミッタフィールドデバイスへ1組の携帯型フィールド保守ツールの端子を、有線リンクを介して通信可能に接続すること、トランスミッタフィールドデバイスへ有線リンクを介して、携帯型フィールド保守ツールから電力を供給すること、供給電力に重畳された通信信号を有線リンクを介して携帯型フィールド保守ツールによって受信すること、および/または通信信号および供給電力と関連する、端子のセットの電圧降下を、最小電圧閾値と最大電圧閾値との間に制限することである。電圧の制限は、(i)電圧降下が最大電圧閾値を超えないように供給電力を制限すること、および(ii)携帯型フィールド保守ツール内に配置され、電圧降下が最小電圧閾値より大きいままであるように(例えば、電圧降下が通信信号の読み取りと関連する最小ピークツーピーク電圧を超えるように)端子のセットに電気的に接続された抵抗ネットワークの1つまたは複数の抵抗器を活動化または非活動化することによりなされる。通信信号は、振幅が変化して情報を搬送し、供給電力上に重畳されているアナログのDC信号とすることができる。電圧降下が最大電圧閾値を超えないように供給電力を制限することが、電圧降下が端子のセットでスパークを発生させるのに十分な電圧未満を維持するように供給電力を制限することを含んでもよい。
【0021】
一実施形態では、アクチュエータフィールドデバイスと通信する方法は、アクチュエータフィールドデバイスへ1組の携帯型フィールド保守ツールの端子を、有線リンクを介して通信可能に接続すること、トランスミッタフィールドデバイスへ有線リンクを介して、携帯型フィールド保守ツールから電力を供給すること、アクチュエータフィールドデバイスへ有線リンクを介して、携帯型フィールド保守ツールから電力を供給すること、端子のセットが最大電気閾値を超えないように供給電力を制限すること、および/またはアクチュエータフィールドデバイスへ供給電力上に重畳された通信信号を、有線リンクを介して携帯型フィールド保守ツールにより送信することのうちの任意の1つ以上を含む。端子のセットが最大電気閾値を超えないように供給電力を制限することは、(i)端子のセットの電圧降下が最大電圧閾値を超えないように(例えば、21V~24Vの間の任意の値)供給電力を制限すること、(ii)端子のセットで利用可能な電力が、最大電力閾値を超えないように(例えば、0.25W~1.5Wの間の任意の値)供給電力を制限すること、(iii)端子のセットの電流が、最大電流閾値を超えないよう(例えば、25mA~31mAの間の任意の値)に供給電力を制限すること、(iv)内部抵抗器の両端間の第1の電圧降下を誘導して、端子のセットでの第2の電圧降下を最大電圧閾値未満に維持すること、および/または(v)端子のセットの電圧が最大電圧閾値を超えるとき、または端子のセットの電流が最大電流閾値を超えるとき、携帯型フィールド保守ツールを無効化することを含む。
【0022】
一実施形態では、携帯型フィールド保守ツールは、以下の任意の1つ以上を含み、それらは、有線リンクを介して信号を送受信するフィールドデバイスへ、有線リンクを介して、電気的に接続可能な1対の端末、信号を送受信する1対の端子に電気的に説側される通信回路、信号の1つまたは複数の電気特性を測定する1対の端子に電気的に接続されるエネルギー測定回路、抵抗ネットワーク、制御ユニット、および/または有線リンクを介して、電力を供給する電源である。制御ユニットは、測定された1つまたは複数の電気的特性に基づいて、抵抗ネットワークの1つまたは複数の抵抗器を活動化または非活動化し、かつ/または測定された1つまたは複数の電気的特性に基づいて、電源を制御することができる(例えば、1対の端子が最大電力閾値などの最大電気閾値を超えることを防ぐこと)。1対の端子で電流の引き出しが増加すると、電源は、1対の端子が最大電力閾値を超えることを、供給電圧を低減することにより防ぐことができる。
【0023】
一実施形態では、フィールドデバイスと通信する方法およびフィールドデバイスにより送受信された信号を監視する方法は、以下の任意の1つ以上を含む。それは、(i)携帯型フィールド保守ツールの1対の端末へフィールドデバイスを有線リンクを介して電気的に接続すること、(ii)フィールドデバイスとの間の信号を携帯型フィールド保守ツールの1対の端子で、送受信すること、(iii)送受信された信号の1つまたは複数の電気的特性を測定すること、(iv)測定された1つまたは複数の電気的特性に基づいて、携帯型フィールド保守ツール1つまたは複数の抵抗器を活動化または非活動化することにより信号を読み取るために必要な最小電圧閾値より大きい値に1対の端子での電圧降下を維持すること、(v)有線リンク上の信号が、最大電気閾値を超えるまたは最小電気閾値未満に降下すると、携帯型フィールド保守ツールを無効化すること、(vi)携帯型フィールド保守ツールからフィールドデバイスへ有線リンクを介して電力を供給すること、(vii)供給電力を調整して、1対の端子が最大電気閾値を超えることを防ぐこと、および/または(viii)電力の供給を停止して、ループ抵抗を増加して、携帯型フィールド保守ツールの1つまたは複数の抵抗器を活動化または非活動化することにより電力の供給と関係する電圧を徐々に減らしてゆくことである。一実施形態では、この方法は、1つまたは複数の電気特性の解析を実施して、フィールドデバイスが外部ループ抵抗に接続されているかどうかを判定すること、解析によりフィールドデバイスが外部ループ抵抗器に接続されていると明らかになったとき、内部ループ抵抗器が活動化することを防ぐこと、および/または解析により、フィールドデバイスが外部ループ抵抗器に接続されていないと明らかになったとき、内部ループ抵抗器を活動化することを含む。この方法は、1対の端子での電圧減衰の検出および検出された電圧減衰に基づいて、電源の活動化を可能にすることを含むことができる。
【0024】
以下に記載の図面のそれぞれは、一実施形態に係る開示のシステム(複数可)及び/または方法(複数可)の1つ以上の態様を示す。発明を実施するための形態は、可能な限り、以下の図面中に含まれる参照番号を指している。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1A】フィールドデバイスに接続された携帯型フィールド保守ツールの一例を示す。
図1B図1Aに図示する携帯型フィールド保守ツールを利用して、1つ以上のフィールドデバイスと通信し、これらを診断、またはこれらに給電する、プロセス制御システムの一例のブロック図である。
図2】HARTフィールドデバイスに通信可能に接続された、従来の受動型PTDの概略図である。
図3】フィールドバスフィールドデバイスに通信可能に接続された、従来の受動型PTDの概略図である。
図4図1Aに図示する携帯型フィールド保守ツールのブロック図であり、携帯型フィールド保守ツールがフィールドデバイスに給電し、これらと通信するための能動型通信機を含む、一例を示す。
図5A図1Aに図示する携帯型フィールド保守ツールに見受けられ得る、デジタル周波数変調通信に対して構成された能動型通信機のブロック図である。
図5B図1Aに図示する携帯型フィールド保守ツールに見受けられ得る、デジタル振幅変調通信に対して構成された能動型通信機のブロック図である。
図5C図1Aに図示する携帯型フィールド保守ツールに見受けられ得る、アナログ通信に対して構成された能動型通信機のブロック図である。
図6】携帯型フィールド保守ツールの一例において見受けら得、かつHARTプロトコルなどのデジタル周波数変調通信プロトコルを介した通信を可能にし得る、能動型通信機の概略図である。
図7図6に図示する抵抗ネットワークの概略図である。
図8A】トランスミッタに接続された、図6に図示する携帯型フィールド保守ツールの概略図であり、トランスミッタが携帯型フィールド保守ツールの能動型通信機により給電される、一例を示す。
図8B】アクチュエータに接続された、図6に図示する携帯型フィールド保守ツールの概略図であり、アクチュエータが携帯型フィールド保守ツールの能動型通信機により給電される、一例を示す。
図9A】トランスミッタに接続された、図6に図示する携帯型フィールド保守ツールの概略図であり、トランスミッタが携帯型フィールド保守ツールの能動型通信機により給電されない、一例を示す。
図9B】アクチュエータに接続された、図6に図示する携帯型フィールド保守ツールの概略図であり、アクチュエータが携帯型フィールド保守ツールの能動型通信機により給電されない、一例を示す。
図10】フィールドデバイスに接続された、図6に図示する携帯型フィールド保守ツールの概略図であり、携帯型フィールド保守ツールの電力モニタがフィールドデバイスに並列に接続されて、フィールドデバイスによって送信または受信された信号の電気的特性を測定し得る、一例を示す。
図11】フィールドデバイスに接続された、図6に図示する携帯型フィールド保守ツールの概略図であり、携帯型フィールド保守ツールの電力モニタがフィールドデバイスに直列に接続されて、フィールドデバイスによって送信または受信された信号の電気的特性を測定し得る、一例を示す。
図12】I/Oデバイスに接続された、図6に図示する携帯型フィールド保守ツールの概略図であり、携帯型フィールド保守ツールがI/Oデバイスをテストし得る、一例を示す。
図13】携帯型フィールド保守ツールの一例に見受けられ得、かつフィールドバスプロトコルなどのデジタル振幅変調通信プロトコルを介した通信を可能にし得る、能動型通信機の概略図である。
図14A図13に図示する携帯型フィールド保守ツールの概略図であり、携帯型フィールド保守ツールが、操作バスに接続されたフィールドデバイスに接続され得る、一例を示す。
図14B図13に図示する携帯型フィールド保守ツールの概略図であり、携帯型フィールド保守ツールが、携帯型フィールド保守ツールの内部バスを介してフィールドデバイスに電力を供給してフィールドデバイスと通信し得る、一例を示す。
図15図1Aに図示する携帯型フィールド保守ツールの、携帯型フィールド保守ツールの外部からみた通信インタフェースの図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本開示は、携帯型フィールド保守ツール及び携帯型フィールド保守ツールを実施するた
めの種々の技術を記載する。図1Aは、通信リンク150を介してフィールドデバイス160に接続され得る携帯型フィールド保守ツール100(「ツール100」)の一例を示す。有利なことに、ツール100は、フィール機器160と通信可能であるだけでなく、フィールドデバイス160に給電可能である。ツール100は、フィールドデバイス160への給電及びこれとの通信の両方のために、リンク150を介して送信された単一の合成信号を利用し得る。場合によっては、このツール100は、フィールドデバイス160における、またはフィールドデバイス160が接続されるプラント環境における通信リンク(例えば、図示しない、HARTループまたはフィールドバスセグメント)における問題を診断し得る。場合によっては、ツール100は、異なるプロトコルに従って構成されたフィールドデバイスと通信し、またはこれを診断し得る。例えば、ツール100は、従来の4~20フィールドデバイス、HARTフィールドデバイス、及びフィールドバスフィールドデバイスと通信し、これらに給電し、及びこれらを診断可能であり得る。ユーザがフィールドデバイスと通信し、フィールドデバイスに電力を供給し、さらに、フィールドデバイスによって送信または受信された信号の診断を行いたい場合に、ユーザが複数のデバイスを利用し、及び/または複数のケーブル及び電線を種々の異なる端子セットに接続することをユーザに強いる、多くの従来のPTDと違って、ツール100は、通信、給電、及び診断のために、単一の信号端子セットを利用して、ユーザに対する、ツール100の構成及び使用を簡略化し得る。
【0027】
さらに、ツール100は、IS規格に準拠するのに十分に、エネルギーが制限され、耐障害的であり得る。例えば、ツール100は、ツール100の全構成要素及び、ツール100によって送信及び/受信された全信号(例えば、電力及び/または通信信号を含む)がIS規格に準拠した範囲にエネルギーを制限されるように設計され得る。さらに、ツール100は、ツール100の構成要素、及び/またはツール100によって送信または受信された信号を「自己監視」して、構成要素及び/または信号がISに準拠したままであることを確実とし得る。例示すると、構成要素または信号がIS規格に関連付けられた閾値に近づくまたは上回る場合、ツール100は、1つ以上の構成要素を無効にし得る(ま
たはツール100全体を無効にする)。したがって、ツール100がISに準拠している場合、ユーザがIS規格に違反しないことに自信をもって、かつユーザが爆発性雰囲気を点火しないことに自信をもって、ユーザは、フィールドデバイス160に、または、フィールドデバイス160が接続されるリンク(例えば、HARTループまたはフィールドバスセグメント)にツール100を接続可能である。つまり、多くの従来の携帯型電源及びPTDと違い、ツール100は、危険領域において安全に使用され得る。
【0028】
通信リンク150は、それぞれが合成信号の一部であり得る、通信信号及び/または電力信号を伝達することが可能な、2線式通信リンクでもよい。本明細書で使用される用語「信号」は、通信信号、電力信号、または電力及び情報の両方を伝達する合成信号を指し得る。一般的に、用語「通信信号」は、情報を伝達する任意の信号(アクチュエータに駆動するよう命令する制御信号など)を指し、アナログまたはデジタル、及びACまたはDCであり得る。用語「電力信号」は、電力を供給するために送信される任意の電気エネルギーを指し、ACまたはDCであり得る。ツール100は、リンク150またはフィールドデバイス160に接続するための端子のセットを有し得、場合によっては、種々の異なるプロトコルに対して構成されたフィールドデバイスに接続するための複数の端子のセット(例えば、HARTフィールドデバイス用の端子のセット及びフィールドバスフィールドデバイス用の端子のセット)を有し得る。
【0029】
フィールドデバイス160に給電するために、ツール100は、通信リンク150が接続されるツール100の端子の間に電圧を供給するよう構成される電源を含み得る。
【0030】
ツール100は、通信信号(ツール100とフィールドデバイス160の間の通信を促
進するための)と電力信号(フィールドデバイス160に電力を提供するための)を含む合成信号(リンク150を介して送信される)を介してフィールドデバイス160と通信するよう構成され得る。通信信号は、デジタル信号、アナログ信号、またはアナログ及びデジタルの合成信号であり得る。すなわち、ツール100は、電力信号を含む第1の合成信号と、アナログ及びデジタル信号を含む第2の合成信号を送信及び/または受信し得る。
【0031】
例えば、ツール100は、(i)DC電力信号(例えば、4mA)を含む第1の合成信号(例えば、HART信号)、及び(ii)4mA電力信号に重畳された通信用の第2の合成信号(例えば、0~16mADC通信信号に重畳されたACデジタル通信信号)を送信及び/または受信するための第1の端子のセットを含み得る。このような例において、電力信号は一般的に、4mAで一定であって実ゼロを表し、その結果、第1の合成信号が、4~20mAの電流の大きさの範囲を有することとなる。さらにまたは代わりに、ツール100は、フィールドバスプロトコルなどの他のプロトコルに従って合成信号を送信及び/または受信するための第2の端子のセットを有し得る。例えば、ツール100は、(i)DC電力信号(例えば、10~25mA)、及び(ii)DC電力信号に重畳されたACデジタル通信信号(例えば、ピークからピークまで15~20mAで変調された)を含む合成信号を送信及び/または受信し得る。場合によっては、ツール100は、電力を提供することなく(例えば、フィールドデバイス160が給電済みの場合)、アナログ及び/またはデジタル通信信号を送信するための、1つ以上の端子のセットを含む。
【0032】
記載したように、ツール100は、IS規格に準じて動作し得る。つまり、ツール100の構成要素は、IS規格に従って、エネルギーが制限され、耐障害的であり得るため、ツール100は危険領域において安全に用いられ得る。例えば、ツール100の構成要素は(i)電流制限(例えば、250mA、300mA、350mA等)に電流が制限され、(ii)電圧制限(例えば、25V、29V、35V等)に電圧が制限され、そして(iii)電力制限(例えば、1W、1.3W、1.5W等)に電力が制限され得る。ツール100は、1つ以上の組込冗長性(例えば、自動シャットダウン、冗長構成要素等)を有して、構成要素故障によりこれらのエネルギー制限を上回ることとならないことを確実とし得る。
【0033】
ツール100は、ディスプレイ122、筺体128、入力キー132、及び折り畳みスタンド152のうちの任意の1つ以上を含み得る。筺体128は、手持ち式装置としての
形状及び寸法にすることができる。筺体128は、全体的に長方形の立体形状または任意の他の所望の形状もしくは寸法を有することができる(例えば、対角線に測定して5インチ、7インチ、または11インチ)。
【0034】
ディスプレイ122及び入力キー132は、筺体の前面に配置され得る。ディスプレイ122は、静電容量感知を介してタッチ入力を検出する静電容量タッチスクリーンなどのタッチスクリーン、あるいは、印加された圧力を介してタッチ入力を検出する抵抗膜方式タッチスクリーンであり得る。入力キー32は、プッシュボタンまたは多方向ボタンなどの物理キーであり得る。場合によっては、ツール100は、入力キー32を含まない。
【0035】
折り畳み式スタンド152は、筺体128の背面に対して平坦な位置と、筺体128の背面から外方に枢動された位置との間で枢動し得る。平坦な位置においては、ユーザはツール100を携行して、タブレットを用いるのと同様の方式でツール100を用いることができる。外方に枢動された位置においては、折り畳み式スタンド152は、垂直位置に保守ツール100を支えるために使用することができる。場合によっては、ツール100は、折り畳みスタンド152を含まない。
【0036】
図1Bは、ツール100を利用して、1つ以上のフィールドデバイスと通信し、これらを診断し、またはこれらに給電し得る、プロセス制御システム10の一例のブロック図である。プロセス制御システム10は、データヒストリアン12に、及び、それぞれが表示画面14を有する、1つ以上のホストワークステーションまたはコンピュータ13(任意のタイプのパーソナルコンピュータ、ワークステーション等であり得る)に接続されたプロセス制御装置11を含む。プロセス制御システム10は、フィールドデバイス15~22を含む、複数のフィールドデバイス160を含み得る。
【0037】
制御装置11は、入力/出力(「I/O」)カード26及び28を介してフィールドデバイス15~22に接続され得る。データヒストリアン12は、データを記憶するための、任意の所望のタイプのメモリ及び任意の所望または公知のソフトウェア、ハードウェア、またはファームウェアを有する任意の所望のタイプのデータ収集装置であり得る。図1Bにおいて、制御装置11は、フィールドデバイス15~22に通信可能に接続される。
【0038】
一般的に、フィールドデバイス15~22は、例えば、センサ、バルブ、トランスミッタ、ポジショナ等の、任意のタイプのデバイスであり、I/Oカード26及び28は、所望の通信または制御装置プロトコルに準拠した任意のタイプのI/Oデバイスであり得る。例えば、フィールドデバイス15~22及び/またはI/Oカード26及び28は、HARTプロトコルまたはフィールドバスプロトコルに従って構成され得る。制御装置11は、メモリ24に記憶された1つ以上のプロセス制御ルーチン30(または任意のモジュール、ブロック、またはそのサブルーチン)を実施または監督するプロセッサ23を含む。一般的に、制御装置11は、デバイス15~22、ホストコンピュータ13、及びデータヒストリアン12と通信して、プロセスを任意の所望の方式で制御する。また、制御装置11は、1つ以上の機能ブロック32~38を用いて制御ストラテジまたはスキームを実施するが、各機能ブロックは、全制御ルーチン30のオブジェクトまたは他の部分(例えば、サブルーチン)である。機能ブロック32~38は、制御装置11またはスマートフィールドデバイスなどの他のデバイスに記憶され、これらによって実行され得る。
【0039】
ツール100は、1つ以上のフィールドデバイス15~22をI/Oカード26及び28に接続している通信リンク(例えば、HARTループまたはフィールドバスセグメント)に、リンク150を介して通信可能に接続され得る。あるいは、ツール100は、フィールドデバイス15~22のうちの1つに直接に(例えば、フィールドデバイス15~22上に存在する通信端子を介して)、通信可能に接続され得る。所望により、ツール100は、ツール100が接続されるフィールドデバイス15~22、またはフィールドデバイス15~22が接続されるバス(例えば、フィールドバスセグメント)に、電力を提供し得る。ツール100は、ユーザが、フィールドデバイス15~22のうちの任意の1つと通信する、及び/またはこれを診断することを可能にし得る。場合によっては、ツール100は、所与の時間において、フィールドデバイス15~22のうちの1つのみに給電する。
【0040】
図2は、HARTループ200Aを介してHARTフィールドデバイス215に接続され、携帯型電源220の使用を必要とする、従来のPTD205の概略図である。ツール100と違い、PTD205は、フィールドデバイス215に電力を供給できないため、技術者にとって不便である。さらに、携帯型電源220は、IS規格に準拠しておらず、危険領域における使用には適さない場合がある。最後に、ツール100と違い、PTD205は、フィールドデバイス215と通信するために、PTD205に並列してループ200Aに接続されたループ抵抗210を必要とする。
【0041】
記載したように、PTD205は、フィールドデバイス215に電力を供給しない。その代わりに、フィールドデバイス215は、携帯型電源220によって給電される。図2
は、フィールドデバイス215がベンチテストされている、あるいは、フィールドデバイス215がフィールドにおいて通常の電源から絶縁されている、シナリオを表す。PTD205がフィールドデバイス215に電力を供給しないため、技術者は、フィールドにおいてフィールドデバイス215を点検する際に、PTD205に加えて携帯型電源220をフィールドデバイス215まで携行する必要があり得る。
【0042】
さらに記載したように、電源220は、IS規格に準拠しないことがある。したがって、フィールドデバイス215が危険領域にある場合、技術者は、フィールドデバイス215に電力を供給できず、そのため、フィールドデバイス215の点検にPTD205を利用できないことがある。一般的な携帯型電源は、通常IS規格に準拠しないため、危険領域では安全に使用できないことが多い。特に、一般的な携帯型電源は、構成要素故障に対して脆弱であることが多く、爆発性雰囲気を点火するのに十分な、電圧、電流、及び/または温度スパイクをもたらし得る。電源を加えることでPTD205が「活動状態」にされた場合、IS規格に関して携帯型電源が受けるのと同一の問題の多くにPTD205が悩まされ得ることに留意されたい。
【0043】
最後に、多くの従来のPTDと同様、PTD205は、HARTフィールドデバイス215と通信するために、外部250オームループ抵抗器210を必要とする。これに比べて、ツール100は、ループ200Aなどのリンク上の信号を読み取るのに十分な抵抗を提供する、内部抵抗ネットワークを含み、そのため、外部抵抗器210の使用を必要としないことがある。外部抵抗器210は、ループ200Aによって伝達される信号を読み取る(つまり、PTD205が、検出した電圧を信号値として解釈する)のに必要な、ループ200A上の電圧をPTD205が検出することを可能にするのに十分なループ抵抗を提供する。この例では、PTD205は、1V~5Vの範囲内の検出された電圧の特定値(例えば、1V=0%、5V=100%)に基づいて、アナログ値(例えば、0%満杯~100%満杯の間のタンク水位測定値)を解釈してもよい。例えば、ループ電流が20mAの場合には、PTD205は5V(つまり、20mA×250)を検出し、ループ電流が4mAの場合には、PTDは1V(つまり、4mA×250)を検出する。さらに、PTD205は、検出した電圧に基づいて、HART信号のデジタル構成要素を解釈してもよい。HART信号のデジタル構成要素は、通常、約1mAピークトウピークだけ変動する。したがって、250オームの抵抗器210は、このデジタル構成要素に対応する、約250mA(1mA×250)の電圧をPTD205が検出することを可能にする。より小さな抵抗器を使用する場合には(または、抵抗器を使用しない場合には)、ループ200A上の信号方式に関連付けられた電圧は、受動型PTDによって検出不能なレベルにまで降下し得る。これに比べて、ツール100は、250オーム未満の抵抗を有する内部抵抗ネットワークを利用して、ツール100が、ISエネルギー制限に準拠すると同時にHARTループ200a上の信号を読み取ることを可能にし得る。
【0044】
図3は、フィールドバスセグメント300を介してフィールドバス電源315によって給電されるフィールドバスフィールドデバイス310に通信可能に接続された従来のPTD305の概略図である。PTD305は、フィールドデバイス310に電力を供給しないため、技術者にとって不便である点においてPTD205と同様である。つまり、技術者がフィールドデバイス310を点検する際、技術者は電源315または携帯型電源(図示せず)を利用して、フィールドデバイス315に給電する。これに比べて、ツール100は、フィールドデバイス310が危険領域に配置された場合であっても、フィールドデバイス310などのフィールドデバイスに電力を供給可能である。
【0045】
図4は、ツール100のブロック図であり、能動型通信機404、及び能動型通信機404が物理的通信インタフェース406を介してフィールドデバイス160に給電し、これと通信可能となると共に、能動型通信機404によって送信または受信された信号の1
つ以上の電気的特定を測定可能となるよう、電気接続416及び417を介して能動型通信機404に電気的に接続された物理的通信インタフェース406をツール100が含む、一例を示す。図示するように、通信インタフェース406は、筺体128を貫通して配置されて、インタフェース406の外部部分を筺体128の外側でアクセス可能として、通信リンク150及びフィールドデバイス160がインタフェース406に接続可能となるようにし得る。
【0046】
能動型通信機404は、ツール100がフィールドデバイス160と通信し、フィールドデバイス160を診断し、フィールドデバイス160に給電し、及び/または、フィールドデバイス160が接続された(図示せず)プラント環境内の通信リンクを診断することを可能にする。場合によっては、能動型通信機404は、複数の異なるタイプのフィールドデバイス(例えば、HARTフィールドデバイス及びフィールドバスフィールドデバイス)と通信してこれらを診断するよう構成され得、及び/またはIS規格に準拠して、危険領域に配置されたフィールドデバイスと通信してこれらを診断し、これらに給電するのに使用可能となるよう構成され得る。能動型通信機404の1つ以上の電源は、電源を無効にするためのスイッチを含み得る。
【0047】
能動型通信機404は、フィールドデバイス160に電力を供給するための電源、フィールドデバイス160と通信するための信号エンコーダ及びデコーダ(例えば、モデム)、及び/または能動型通信機404によって送信及び受信された信号の電気的特性を測定するためのエネルギー測定回路(例えば、電圧計及び/または電流計)を含み得る。能動型通信機404は、電子接続416及び417を介してフィールドデバイス160との間で通信信号を送信または受信し得る。能動型通信機404は、電流の大きさまたは周波数を変調させてアナログまたはデジタル値を表すことで通信信号をエンコードし、電力信号上に通信信号を重畳して、合成信号を生成し得る。
【0048】
ツール100は、通信バス414を介して能動型通信機404に通信可能に接続され、能動型通信機404を制御及び監視するよう構成された、制御ユニット402を含み得る。高次においては、制御ユニット402は、(i)IS規格に従ってエネルギーが制限されたままとなるよう能動型通信機404を構成する、(ii)所望の通信プロトコル(例えば、HARTまたはフィールドバス)に従って通信するよう能動型通信機404を構成する、(iii)物理的通信インタフェース406においてなされた接続に応答して(例えば、ユーザが通信リンク150をHART用端子のセットまたはフィールドバス用端子のセットに接続するか否かに基づいて)能動型通信機404を構成する、及び/または(iv)特定のフィールドデバイス構成またはフィールドデバイスタイプ(例えば、アクチュエータまたはトランスミッタ)に対して能動型通信機404を構成するために、能動型通信機404の構成要素を作動または停止し得る。一般的に、トランスミッタは、測定値を取得して(例えば、温度センサ、圧力センサ、流量センサ、水位センサ等を介して)、測定値を送信するよう構成されたフィールドデバイスである。フィールドデバイス構成またはタイプは、ユーザ入力に基づき、または、接続されたフィールドデバイスとの通信に基づいて判定され得る。
【0049】
制御ユニット402は、プロセッサ422、1つ以上のルーチンを記憶するメモリ424、バス414を介してツール100の他の構成要素に通信可能に結合されたI/Oインタフェース426を含み得る。メモリ424において記憶されたルーチンは、上記のように能動型通信機404の構成要素を作動及び停止するための回路マネジャルーチン462、及び能動型通信機404によって送信及び受信された信号を診断するための診断マネジャルーチン464を含み得る。
【0050】
また、ツール100は、ユーザインタフェースを提供するため、及び/またはUI41
0において受信されたユーザ入力(例えば、タッチ入力)を検出するための、バス414を介して制御ユニット402に通信可能に結合されたユーザインタフェース(「UI」)410を含み得る。制御ユニット402は、UI410においてユーザインタフェースを提供し、メモリ424において記憶されたUIマネジャ466を実行することで、UI410におけるユーザ入力を検出し得る。UI410は、制御ユニット402が映像出力を行う、図1Aに図示されたディスプレイ122、及び、音声出力を提供するためのオーディオ機器444を含み得る。例えば、UI410は、フィールドデバイス160と通信するための通信プロトコルをユーザが選択することを可能にするグラフィックユーザインタフェースを提供して、フィールドデバイス160からツール100に送信された情報を閲覧するため等の、フィールドデバイス160へ送信する命令を選択し得る。オーディオ機器444は、例えば、フィールドデバイス160によって送信された警報に応答して、音声警報または通知を生成し得る。
【0051】
さらに、ツール100は、インタフェース406に接続された通信リンク150に関連付けられた電流または電圧を測定するために、バス414を介して制御ユニット402に通信可能に結合された電力モニタ408(例えば、電流計)を含み得る。制御ユニット402の診断マネジャ464は、電力モニタ408を利用して、ツール100によって送信及び/または受信された信号を測定して、信号が、特定のプロトコルに対して期待された範囲内の電気的特性を有するか否かを判定し得る。例えば、ユーザがツール100を利用してHARTバルブに50%開くよう命令することを試みる場合、電力モニタ408を利用して、HARTバルブが適切に信号を解釈し得るレベルまたはそれに近いレベルの電流(例えば、12mA)を、送信された信号が有することを確認し得る。UIマネジャ464は、電力モニタ408によって取得された測定値を表示し得る。場合によっては、ツール100は、電力モニタ408を含まない。しかし、ツール100が電力モニタ408を含むか否かに関係なく、ツール100は、能動型通信機404によって取得された電気的測定値を利用し得る。
【0052】
また、ツール100は、無線信号を送信及び/または受信するためにバス414を介して制御ユニット402に通信可能に結合され、ツール100がプラント10の他の構成要素と通信することを可能にする、無線通信インタフェース412を含み得る。無線インタフェース412は、例えば、Wi-Fi(例えば、802.11プロトコル)、Bluetooth(登録商標)(例えば、2.4~2.485GHz)、近接通信(例えば、13.56MHz)、高周波システム(例えば、900MHz、2.4GHz、及び5.6GHz通信システム)等の1つ以上の適切な無線プロトコルをサポートし得る。場合によっては、ツール100は、無線通信インタフェース412を含まない。
【0053】
図5A~5Cは、それぞれが、異なる通信スキームに従って通信するよう構成された、図4に図示する能動型通信機404の一例である、能動型通信機501、511、及び521のブロック図である。実施形態に応じて、能動型通信機501、511、及び512のそれぞれは、バス414を介して制御ユニット402に通信可能に結合され得、図4に図示する電気接続416及び417を介して通信インタフェース406に電気的に接続され得る。
【0054】
図5Aに図示する能動型通信機501は、デジタル周波数変調(「FM」)回路であり、それぞれが電気接続416及び417に直接的または間接的に、電気的に接続され得る、電源502及びFMモデム504を含み得る。電源502は、DC信号を介してインタフェース406に接続されたフィールドデバイス160に電力を提供し得る。FMモデム504は、HARTプロトコルなどの周波数変調スキームを用いて、(インタフェース406を介して)フィールドデバイス160に情報を送信及び/またはこれから情報を受信し得る。例えば、情報を送信するために、FMモデム504は、AC通信信号を、電源5
02によって提供されたDC信号上に重畳し得る。FMモデム504は、AC通信信号の周波数を変調することで、デジタル通信信号をエンコードし得るが、第1の周波数(または周波数範囲)は、デジタル0を表し、第2の周波数(または周波数範囲)は、デジタル1を表す。例えば、FMモデム504は、通信信号の周波数を1200Hz(デジタル1を表す)及び2200Hz(デジタル0を表す)で変調することによって、通信信号をエンコードし得る。情報を受信するために、FMモデム504は、第1の周波数または周波数範囲をデジタル0と解釈し、第2の周波数または周波数範囲をデジタル1と解釈し得る。
【0055】
図5Bに図示する能動型通信機511は、デジタル振幅(「AM」)回路であり、それぞれが、電気接続416及び417に直接的または間接的に、電気的に接続され得る、電源512及びAMモデム514を含み得る。電源512は、DC信号を介してインタフェース406に接続されたフィールドデバイス160に電力を提供し得る。AMモデム514は、フィールドバスプロトコルなどの周波数振幅スキームを用いて、フィールドデバイス160に情報を送信及び/またはこれから情報を受信し得る。例えば、情報を送信するために、AMモデム511は、AC通信信号を、電源512によって提供されたDC信号上に重畳し得る。AMモデム511は、AC通信信号の振幅を変調することで、デジタル通信信号をエンコードし得るが、第1の振幅(または振幅範囲)は、デジタル0を表し、第2の振幅(または振幅範囲)は、デジタル1を表す。例えば、第1の範囲は7.5mA~10mAであり得、第2の範囲は-7.5mA~-10mAであり得る。状況によっては、第1の振幅または振幅範囲から第2の振幅または振幅範囲への移行が、デジタル0を表し、第2の振幅から第1の振幅への移行が、デジタル1を表し得る。したがって、AMモデム514は、通信信号の電流の大きさを制御して、第1と第2の範囲の間の移行を生じさせ、デジタル1と0を通信信号上にエンコードし得る。情報を受信するために、AMモデム514は、第1の振幅、振幅範囲、及び/または振幅間の遷移(例えば、高から低への)をデジタル0と解釈し、第2の振幅、振幅範囲、及び/または振幅間の遷移(例えば、低から高への)をデジタル1と解釈し得る。
【0056】
図5Cに戻って、能動型通信機521は、アナログ回路であり、それぞれが電気接続416及び417に直接的または間接的に、電気的に接続され得る、電源522、DC電流制御装置または電流シンク524、及び/またはDC電流モニタ526を含み得る。能動型通信機521は、電流制御装置524に範囲内(例えば、4~20mA)の特定の大きさにおいて電流を引き出させることによって、情報をエンコードし得る。能動型通信機521によってエンコードされる情報の例は、バルブを100%開く(例えば、20mA)、あるいは、0%(例えば、4mA)に開く命令を含む。エンコードされた信号を受信するフィールドデバイス160は、信号を受信して、特定の命令または値として電流の大きさを解釈するよう構成され得る。能動型通信機521は、電流モニタ526を介して、受信した信号の電流の大きさを測定することによって、フィールドデバイス160からの信号をさらにまたは代わりにデコードし得る。フィールドデバイス160によってエンコードされる情報(能動型通信機521及び/または制御ユニット402によってデコードされる)の例は、流量測定値を含む(例えば、対応する4~20mA信号を送信することで、フィールドデバイス160が1分間に0~100ガロンの範囲内の測定値を報告するよ
うキャリブレーションされる)。
【0057】
いくつかのケースでは、ツール100は、能動型通信機501、511、及び521のうちの1つのみを含み得、別のケースでは、ツール100は、能動型通信機501、511、及び521のうちの2つ以上を含み得る。ツール100が能動型通信機501、511、及び521のうちの複数個を含む場合、ツール100は、異なるプロトコルに従って動作する複数のフィールドデバイス(例えば、HARTフィールドデバイス及びフィールドバスフィールドデバイス)と通信及び/またはこられを診断可能であり得る。有利なこ
とに、複数のタイプのフィールドデバイスをテストするために、ユーザは単一のツールをプラント内に携行して、異なるタイプのフィールドデバイスそれぞれに対して異なるツールを携行するという手間を省き得る。
【0058】
ツール100が能動型通信機501、511、及び521のうちの複数個を含む場合、インタフェース406は、能動型通信機501、511、及び521のそれぞれに対する端子のセットを含み得る。場合によっては、能動型通信機501及び521は、電源及び/または端子のセットを共有し得る。このような場合、能動型通信機501及び521は、電流の振幅及び周波数の両方を変調された単一の合成信号を利用して情報を伝達し得る。例えば、能動型通信機521は、DC信号の振幅を4~20mAの間で変動または測定することで、情報を送信及び/または受信し得る。能動型通信機501は、その後、AC通信信号(例えば、1mAピークトウピーク)を変調されたDC信号上に重畳し得る。
【0059】
図6は、(i)DC信号(例えば、4mA)によってフィールドデバイス160に電力を供給する、(ii)DC電力信号上位のバイアスされた電流変調信号(例えば、4~20mAにおいて)によってフィールドデバイス160と通信する、及び(iii)アナログ電流変調信号上に重畳されたデジタルFM信号によってフィールドデバイス160と通信するために、通信インタフェース406を介して図1Aに図示されたフィールドデバイス160に電気的に接続され得るツール100に対する、能動型通信機600の概略図(図4に図示する能動型通信機404の一例となり得る)である。有利なことに、能動型通信機600は、HARTフィールドデバイスと通信及び/またはこれを診断するのに利用され得る。場合によっては、能動型通信機600は、IS規格にしたがってエネルギーが制限され、耐障害的であり得、能動型通信機600とツール100が、危険領域に位置するフィールドデバイスと通信リンクを給電、通信、及び/または診断することを可能にし得る。
【0060】
記載したように、能動型通信機600は、2つの同時通信チャネルである、電流変調アナログ信号及びアナログ信号上に重畳された周波数変調デジタル信号を利用して、フィールドデバイス160と通信し得る。一般的に、アナログ信号は、フィールドデバイス160がトランスミッタである場合に一次測定値(例えば、流量、圧力、温度等)を通信し、フィールドデバイス160がアクチュエータである場合に、命令(例えば、バルブを開閉するための)を通信する。デジタル信号は、デバイス状態、診断、追加の測定または計算値等を含むフィールドデバイス160からの情報を含有し得る。
【0061】
能動型通信機600は、それぞれが通信バス(図示せず)を介して制御ユニット402に通信可能に接続され得る、電源602、抵抗器604、及び通信回路609のうちの1つ以上を含み得る。通信回路609は、ツール100によって送信及び/または受信された信号の電気的特性を測定する、エネルギー測定回路(例えば、電圧モニタ611及び616)を含み得る。診断マネジャ662は、電気的特性を分析して、信号が所与のプロトコル(例えば、4~20、HART、フィールドバス等)に対する期待された範囲内にあること、またはIS規格のためのものであることを検証し得る。電源602は、能動型通信機600によって提供された電力信号を供給し得、通信回路609は、能動型通信機600によって送信及び/または受信された通信信号をエンコード及びデコードし得る。
【0062】
任意の所望の電圧(例えば、20V~29Vの間の任意の値)を供給するよう設計され得る電源602は、制御ユニット402に通信可能に結合され得る。場合によっては、電源602は、(i)最大電圧閾値(例えば、23V~30Vの間の任意の所望の値)、または(ii)最大電流閾値(例えば、20mA~35mAの間の任意の所望の値)を上回ることがないよう設計され得る。場合によっては、電源602は、1つ以上の障害を経験している場合でも電圧が制限され、及び/または電流が制限されるよう設計され得、及び
/または急速な始動または緩やかな始動を行うよう設計され、その間にわたって所望の電圧まで到達し、それによって電流スパイクの可能性を緩和し得る。場合によっては、電源602によって提供された電力信号の電流及び/または電圧は、測定電圧または電流が最大閾値を上回る、または最小閾値を上回らない場合に、制御ユニット402が電源602をを停止することができるように、電源602によって提供された電力信号の電流及び/または電圧は、測定され得る。最大閾値を上回る測定電圧は、ツール100が接続されたフィールドデバイスに誰かが外部電源を追加し、これによってループがIS規格に違反する、及び/またはツール100の構成要素またはループに接続された他のデバイスの構成要素を損傷し得ることを示し得る。最小閾値を超えない測定電圧は、回路がショートしたこと、または電源602の容量を超えたことを示し得る。最大閾値を上回る測定電圧は、回路がショートしたこと、または電源602がその最大負荷で制限されていることを示し得る。最小閾値を超えない測定電流は、ツール100に接続されたフィールドデバイスがないことを示し得る。
【0063】
電源602は、任意の所望の抵抗(例えば、200~300オーム)を有し得る抵抗器604を介して、通信インタフェース406に電気的に接続され得る。抵抗器604は、通信インタフェース406における電圧降下が閾値を下回ったままとなることを保証するのに十分な電圧降下を誘導するよう機能し得る。例えば、電源602が25mAの電流を供給している場合、抵抗器604は、6.25V(つまり、0.25A×250オーム)の電圧降下を誘導し得る。例えば、電源602が23Vの電源である場合には、最大電位出力電圧が16.75Vとなり得る。図示するように、能動型通信機600は、抵抗器604の両端の電圧降下を測定して、測定した電圧降下を制御ユニット402に送信する、電圧モニタ605も含む。電圧モニタ605は、電源602に対する電流モニタとして機能し得る。例えば、電圧モニタ605に通信可能に結合し得る制御ユニット604は、測定した電圧降下を利用して抵抗器604を流れる電流を計算し得る。場合によっては、能動型通信機600は、電源602と抵抗器604の間に置かれた電流計を含み得る。
【0064】
記載したように、能動型通信機600は、(i)アナログDC信号の電流の大きさを制御することによって信号を送信するための、DC電流制御装置610(図5のDC電流制御装置524など)、(ii)DC電流制御装置610によって送信された電流を計算するために、制御ユニット402及び診断マネジャ662によって利用される、抵抗器613の両端の電圧降下を測定するための、抵抗器613及び電圧モニタ611、(iii)アナログDC信号を受信及び解釈するための抵抗ネットワーク618、及び(iv)デジタルFM信号をエンコードまたはデコードすることによって通信するための、FMモデム612(図5のFMモデム504など)を含み得る、通信回路609を含み得る。通信回路609の1つ以上の構成要素は、所望により、切り離され得る。一般的に、DC電流制御装置610は、DC信号(例えば、4~20)を送信するのに用いられ、抵抗ネットワーク618は、DC信号(例えば、4~20)を受信するのに用いられ、FMモデム612は、デジタル信号(例えば、4~20信号上に重畳されたHART信号のデジタル構成要素)を送信及び受信するのに用いられる。したがって、アクチュエータに接続される場合、制御ユニット402の回路マネジャ661は、DC電流制御装置610を作動させて、抵抗ネットワーク618を停止させ得る。トランスミッタに接続される場合、回路マネジャ662は、抵抗ネットワーク618を作動させて、DC電流制御装置610を停止させ得る。一般的に、アクチュエータとトランスミッタの両方に接続される場合に、FMモデム612は、使用可能となる。
【0065】
DC電流制御装置610は、能動型通信機600がアクチュエータに接続された場合にDC電流(例えば、4~20mA)を引き込むよう構成され得、制御ユニット402によって(例えば、UI410において提供されたユーザ入力に応答して)制御され得る。例えば、ユーザは、バルブを75%開く命令を開始し得る。この検出した入力に基づいて、
制御ユニット402は、DC電流制御装置610に、75%開(例えば、16mA)にバルブを開く命令に対応して電流を引き出させ得る。DC電流制御装置610は、ユーザが指定した値に応じて、急激に電流レベルを調整するか、または徐々に電流レベルに到達し得る。能動型通信機600がトランスミッタに接続される場合、DC電流制御装置610は通信回路609から(図示しないスイッチを介して)切り離されて、トランスミッタのDC電流変調への干渉を回避するようにし得る。
【0066】
抵抗ネットワーク618は、任意の所望の抵抗(例えば、100オーム~1000オームの間の任意の所望の値)を有し得、また、調整可能であり得る(例えば、制御ユニット402によって)。場合によっては、抵抗ネットワーク618は、167オームの抵抗を有する。電圧モニタ616は、抵抗ネットワーク618の両端の電圧降下を測定し得、抵抗ネットワーク618を流れる電流を測定するのに利用され得る。一例として、HART実装において、電圧モニタ616は、3.34V(20mA×167オーム)と0.668V(4mA×167オーム)の間の電圧を測定し得る。通常1mAピークトウピークにおいて変調されるHART信号のデジタル構成要素は、抵抗ネットワーク618の両端の、0.167V(1mA×167オーム)ピークトウピーク電圧として検出され得る。重要なことは、この電圧は、HART信号のデジタル構成要素を読み取るのに通常必要とされる、0.12Vの最小電圧閾値を上回っていることである。抵抗ネットワーク618については、図7を参照してさらに詳述する。
【0067】
FMモデム612は、FMモデム504と同様、HARTプロトコルなどの周波数変調スキームを用いて情報を送信、及び/または情報を受信し得る。コンデンサ614は、DC電流をフィルタ処理する。
【0068】
通信回路609はさらに、FMモデム612が信号のAC構成要素を受信かつ送信可能となるようDC電流をフィルタ処理するための、FMモデム612と直列のコンデンサ614、及び、制御ユニット402に通信可能に結合されて、抵抗ネットワーク618の両端の電圧降下を測定するよう構成される、電圧モニタ616を含み得る。制御ユニット402は、抵抗ネットワーク618の抵抗が分かると、測定した電圧に基づいて、抵抗ネットワーク618における電流フローを計算し得る。
【0069】
記載したように、通信回路609は、通信インタフェース406に電気的に接続されて、通信信号を送受信し得る。さらに、電源602が、通信インタフェース406に電気的に接続されて、通信インタフェース406を介してフィールドデバイス160に電力信号を供給し得る。通信インタフェース406は、1つ以上のフィールドデバイス、及び/またはヒューズ641及び642に接続して能動型通信機600を流れる電流を制限する、端子631~636を含み得る。一般的に、フィールドデバイス160は、DC電流を変調する(例えば、4~20mA)ことによって測定値を報告するよう構成されたトランスミッタ、または、受信したDC電流の大きさ(例えば、4~20mA)に応答して、特定の方式で駆動するよう構成されたアクチュエータであり得る。
【0070】
通信インタフェース406は、抵抗器651及び電圧モニタ652を含み得る、図4に図示する電力モニタ408に電気的に接続され得る。抵抗器651は、著しい電圧降下を回避するのに十分な低い抵抗を有し得る。場合によっては、抵抗器651は、抵抗器651における電圧降下を最小化するよう選択され得る、0~10オームの間の抵抗(例えば、2.43オーム)を有する。電圧モニタ652は、抵抗器651の両端の電圧降下を測定し、測定した電圧を制御ユニット402に送信し得る。制御ユニット402は、抵抗器651の抵抗が分かると、抵抗器651における電流フローを計算し得る。場合によっては、端子635と電力モニタ408の間に、ヒューズがおかれ得る。
【0071】
動作において、能動型通信機600は、「ツール電力モード」(つまり、能動型通信機600が、接続されたフィールドデバイス160に電力を供給する場合)において、及び、「ループ電力モード」(つまり、接続されたフィールドデバイス160が、電力として、能動型通信機600の代わりに例えば携帯型外部電源を利用する場合)において動作するよう構成され得る。通信インタフェース406は、ツール電力モード用の第1の端子のセット(例えば、端子631及び632)、及びループ電力モード用の第2の端子のセット(例えば、端子633及び634)を含み得る。さらに、能動型通信機600は、「トランスミッタ接続モード」及び「アクチュエータ接続モード」で動作するよう構成され得る。したがって、通信インタフェース406は、4つの異なる構成またはタイプの接続である、(i)能動型通信機600がトランスミッタに電力を供給する、ツール電力トランスミッタ接続、(ii)能動型通信機600が給電されたフィールドデバイスに接続する(いくつかのシナリオでは、ループ給電トランスミッタが接続されたループが、ループ抵抗器を含んで通信を可能としており、別のシナリオでは、ループはループ抵抗器を含まない。ループ抵抗器が存在しない場合には、ツール100は抵抗ネットワーク618を作動または調整して、通信のための十分なループ抵抗を提供する)、ループ電力トランスミッタ接続、(iii)能動型通信機600がアクチュエータに電力を供給する、ツール電力アクチュエータ接続、及び(iv)能動型通信機600が給電されたアクチュエータに接続する(いくつかのシナリオでは、ループ給電アクチュエータは、DC電流制御装置を含み、別のシナリオでは、含まない)、ループ電力アクチュエータ接続、を促進するよう構成され得る。
【0072】
ツール電力トランスミッタ接続に関して、能動型通信機600は、「ツール電力」モード及び/または「トランスミッタ接続」モードを作動させ得る。能動型通信機600は、ユーザ入力に応答して(例えば、図1Aに図示する画面122を介して、及び/またはボタン132を介して)これらのモードの1つまたは両方を作動させ得る。場合によっては、能動型通信機600は、端子631及び632がフィールドデバイス160に接続されたとの検出に応答して、「ツール電力」モードを作動させ得る。別のケースでは、能動型通信機600は、代わりに、ユーザからの入力に基づいて、「ツール電力」モードを作動させ得る。所望により、能動型通信機600は、「ツール電力モード」を作動させる前に、1つ以上の電力または通信チェック、あるいは検証を行い得る。場合によっては、能動型通信機600は、接続されたフィールドデバイスがトランスミッタであるとの検出に応答して、「トランスミッタ接続」モードを作動させ得る。別の例では、代わりに、ユーザからの入力に基づいて、能動型通信機600は「トランスミッタ接続」モードを作動させ得る。さらに、能動型通信機600は、電力がフィールドデバイス160が期待した通り動作している(例えば、トランスミッタまたはアクチュエータに対して期待した通り動作する)と検証できた後で、電力検証を実施することができる。また、能動型通信機600は、フィールドデバイス160が接続され、電源制限を上回っておらず、及び/または予期せずショートした回路がないことを確認し得る。
【0073】
ツール電力トランスミッタ接続に関して、ユーザは、トランスミッタを端子631及び632に接続し得る。トランスミッタに接続されると、能動型通信機600はDC電流を変調して命令を送信していないため、スイッチ(図示せず)を介してネットワークから電流制御装置610を切り離すことができる。トランスミッタが接続された後、電源602は、電力を開始し得る。電流スパイクを回避するために、電力はゆっくりと開始され得る。電流は、電源602から、抵抗器604及び端子631を通ってトランスミッタに流れ得る。トランスミッタは、特定のレベルの基線電流を電力として引き出すことができる(例えば、4mAまで)。トランスミッタはその後、その構成に基づいて、及び、トランスミッタが行った測定値(例えば、測定した流量、圧力、タンク水位等)に基づいて、追加の電流を引き出し得る。一例として、トランスミッタによって引き出された4mAの電流は、トランスミッタの構成された測定値範囲(例えば、0gpm)に対する実ゼロを表し
得、トランスミッタにより引き出された20mAの電流は、構成された測定値範囲(例えば、100gpm)の上端の測定値を表すことができる。4~20mAの間で引き出された電流は、構成された測定値範囲内の比例測定値を表し得る(例えば、12mA=50gpm)。場合によっては、ツール100は、22.5mA以上の電流が検出されたときに高警報を生成し、及び/または3.75mA以下の電流が検出されたときに低警報を生成する。
【0074】
電流は、端子631からトランスミッタに流れて、スイッチ641を介して端子632に戻り得る。受信した電流は、回路609に流れ得る。記載したように、コンデンサ614は、DC電流をフィルタ処理し、DC電流制御装置610は、能動型通信機600がトランスミッタに接続されたときに切り離すことができる。したがって、受信した信号のDC構成要素は、抵抗ネットワーク618を流れ、電圧モニタ616は抵抗ネットワーク618の両端の電圧降下を測定して、制御ユニット402が受信したDC電流の大きさを判定可能となるようにし得る。制御ユニット402は、判定した大きさに基づいて、変数値(例えば、流量)を判定し得る。
【0075】
コンデンサ614はAC電流を通過させるため、信号のAC構成要素は、FMモデム612に流れ得る。FMモデム612は、その後、受信したAC構成要素によって伝達されたデジタル信号を、FMモデム504に関して説明したのと類似の方式で、デコードし得る。さらに、FMモデム612はまた、FMモデム504に関して説明したのと類似の方式で、デジタル信号(DC信号に重畳された)をエンコードすることでトランスミッタに情報を送信し得る。
【0076】
ループ電力トランスミッタ接続に関して、ユーザは、給電されたトランスミッタを端子633及び634に接続し得る。能動型通信機600は、ユーザ入力(例えば、図1Aに図示する画面122を介して、及び/またはボタン132を介して)に応答して、「ループ電力モード」及び/または「トランスミッタ接続モード」のうちの1つまたは両方を作動させ得る。場合によっては、能動型通信機600は、端子633及び634がフィールドデバイスに(例えば、リンク150を介して)接続されたとの検出に応答して、「ループ電力」モードを作動させる。別のケースでは、能動型通信機600は、代わりに、ユーザからの入力に基づいて「ループ電力」モードを作動させる。能動型通信機600は、通信インタフェース406の他のいずれの端子にも電圧が存在しないことを確認した後に、「ループ電力」モードを作動させ得る。
【0077】
ツール100は、端子634に電気的に接続され、特定の閾値に電流を制限するよう構成される、ヒューズ642を含み得る。場合によっては、ヒューズ642は含まれない。場合によっては、ヒューズ642は、端子634と接地の間に置かれる。ツール電力トランスミッタ接続に関して説明したのと同一の方式で、回路609は受信した信号(例えば、4~20mA)のDC構成要素をデコードして、信号のAC構成要素を変調及び復調して(例えば、重畳された周波数変調1mAピークトウピーク信号)、情報をトランスミッタに送信し、これから情報を受信し得る。
【0078】
ツール電力アクチュエータ接続に関して、ユーザは、アクチュエータを端子631及び632に接続し得る。能動型通信機600は、ユーザ入力(例えば、図1Aに図示する画面122を介して、及び/またはボタン132を介して)に応答して、「ツール電力モード」及び/または「アクチュエータ接続モード」のうちの1つまたは両方を作動させる。電源602は、ツール電力トランスミッタ接続に関して説明したのと類似の方式で、アクチュエータに電力を供給し得る。
【0079】
本動作モードで、スイッチ(図示せず)は、DC電流制御装置610が回路609から
切り離された場合に、DC電流制御装置を作動させ得る。DC電流制御装置610は、電源602によって供給され、端子631を通ってアクチュエータに流れ、その後、端子632を通ってDC電流制御装置610に戻り得る、DC電流(例えば、4~20mA)を引き出し得る。電流の大きさは、アクチュエータに対する命令として機能する。電流抵抗ネットワーク618及び電圧モニタ616は、DC電流制御装置610がアクティブな場合にスイッチ(図示せず)を介して制御ユニット402によって回路609から切り離され得るが、これは、本モードにおいては回路609が変調されたDC電流を解釈していないからである。
【0080】
コンデンサ614はAC電流を通過させるため、受信した信号のAC構成要素は、FMモデム612に流れ得る。FMモデム612は、その後、受信したAC構成要素によって伝達されたデジタル信号を、FMモデム504に関して説明したのと類似の方式で、デコードし得、FMモデム612は、デジタル信号(DC信号に重畳した)をFMモデム504に関して説明したのと類似の方式でエンコードすることで、情報をアクチュエータに送信し得る。
【0081】
ループ電力アクチュエータ接続に関して、ユーザは、給電されたアクチェーターを端子633及び634に接続し得、能動型通信機600は、ユーザ入力(例えば、図1Aに図示する画面122及び/またはボタン132を介して「ループ電力モード」及び/または「アクチュエータ接続モード」のうちの1つまたは両方を作動させ得る。ツール電力トランスミッタ接続に関して説明したのと同一の方法で、回路609は、信号(例えば4~20mA)のDC構成要素を変調して、アクチュエータに命令を送信し、信号(例えば、重畳された周波数変調1mAピークトウピークの信号)のAC構成要素を変調及び復調して、アクチュエータに情報を送信し、これから情報を受信し得る。
【0082】
制御ユニット402は、能動型通信機600を管理するための回路管理マネジャルーチン661、及び/または能動型通信機600によって送信及び/または受信された信号を分析するための診断マネジャルーチン662を含み得る。診断マネジャ662は、電圧モニタ605、611、及び/または616から取得した測定値に基づいて、信号を分析し得る。場合によっては、能動型通信機600は、1つ以上の端子631~634の間の(例えば、端子631と632の間、または、端子633と634の間)電圧降下を測定する、1つ以上の電圧モニタを含む。(i)外部ループ抵抗器と並列の抵抗ネットワーク618が作動することから保護する、及び/または(ii)抵抗ネットワーク618を作動するための多段階プロセスを管理するために、ネットワーク618の1つ以上の抵抗器を回路マネジャ661が作動させる(つまり、切り替える)のに先立って、診断マネジャ662は、これらの電圧降下の1つ以上を分析し得る。
【0083】
まず、回路マネジャ661は、ループ電流の乱れ、及び/または不十分なループ抵抗による通信ロスにつながり得る、外部から給電されたループ上の、外部ループ抵抗器と並列の抵抗器ネットワーク618を有効とすることからユーザを保護し得る。つまり、外部ループ抵抗器と並列に接続したまま、抵抗ネットワーク618を作動させることは、ループ総抵抗を、デジタル通信を検出及び解釈するには低すぎる値にまで降下させ得る。例示すると、場合によっては、抵抗ネットワーク618は、250オームの抵抗を有し得る。一般的な外部ループ抵抗器は、250オームの抵抗を有する。したがって、抵抗ネットワーク618が外部ループ抵抗器と並列で作動すると、ループの総抵抗は125オームまで降下し、これは、デジタル通信に関連付けられた読み取り可能な電圧降下を誘導するには不十分な抵抗となることがある。例えば、一般的には1mAピークトウピークで変調するHARTデジタル通信は、通常、少なくとも120mVp-pの電圧降下を必要とする。したがって、ループの総抵抗が125オームである場合、HARTデジタル信号が読み取り不能となるまでの誤差は僅かである。ツール100が抵抗ネットワーク618を外部ルー
プ抵抗器と並列で作動させるのを防止するために、制御ユニット402は、FMモデム612に、接続時にデジタル通信を試みさせ得る。デジタル通信が成功しない場合には、制御ユニット402は、抵抗ネットワーク618を作動させるようユーザを促し得る(例えば、図1及び4に図示するディスプレイ122を介して)。場合によっては、ツール100は、1つ以上の質問及び/または命令によってユーザにツール100をフィールドデバイスと直列に接続させるようユーザを促すことによって、抵抗ネットワーク618がループ抵抗器と並列で作動するのを防止し得る。
【0084】
次に、測定した電圧を用いて抵抗ネットワーク618を作動させるための多段階プロセスを管理し、これによってツール100が電圧及び/または電流閾値を上回る(そうでなければ、例えば、ヒューズ642を飛ばす)ことを回避するのを助け得る。例えば、診断マネジャ662は、電圧モニタ605から、または、端子631と632の間の電圧モニタ(図示せず)から電圧測定値を取得し得る。診断マネジャ662が電源602用または外部電源用の電源電圧が電圧閾値(例えば、24V)を上回ると判定する場合、回路マネジャ661は抵抗ネットワーク618が作動するのを防止し得る。このようなシナリオにおける抵抗ネットワーク618の作動は、抵抗ネットワーク618において過剰な電流(例えば、50mAを上回る)が流れることとなり、ヒューズ642を飛ばす可能性がある。測定した電源電圧が電圧閾値を下回る場合、回路マネジャ661は抵抗ネットワーク618を500オームの抵抗で作動させ得る。その後、診断マネジャ662は、電流フローを測定し(例えば、電圧モニタ616からの測定値に基づいて)、また、測定した電流が閾値(例えば、22.5mA)を下回る場合、回路マネジャ661は、抵抗ネットワーク618を、所望に応じて、250オームまたは167オームに調整し得る。測定した電流が閾値を下回るという事実は、一般的に、接続されたフィールドデバイスが電流を管理していることを示す。
【0085】
回路マネジャ661は、端子631と632の間の電圧減衰(例えば、50~100ミリ秒ごとに0.01~0.1Vの降下)を検出し得る。回路マネジャは、100ミリ秒~1秒の期間に2~10の測定値を取り得る。電圧減衰の検出に応答して、回路マネジャ661は、電圧がゼロに減衰するまで待つことなく、すぐに、電源602を作動させる選択肢をユーザに付与し得る。
【0086】
回路マネジャ661は、電源602が切られて、ネットワーク618の抵抗を上昇させ、アクティブコミュニケータ600に接続されたフィールドデバイスからの電圧を徐々に下げる場合に、ネットワーク618における1つ以上の抵抗器を作動及び/または切り離すことができる。電圧を徐々に下げていくと、電源602が再作動可能となるまでに必要な待ち時間を低減し得る。
【0087】
回路マネジャ661は、ネットワーク618に近接して配置された温度センサ(図示せず)を利用して温度変化に起因する抵抗の変化を補い、回路マネジャ661が電圧モニタ616からの測定値に基づいて電流フローをより正確に計算することを可能にし得る。
【0088】
回路マネジャ661は、DC電流制御装置610に、電流を段階的に変化させ得る。例えば、回路マネジャ661は、特定秒数の間(例えば、1、2、3、4...、60秒等)における電流の変化を指定するユーザ入力に応答して段階的電圧変化を実施し得る。
【0089】
診断マネジャ662は、ループテスト、デバイスシミュレーション、レコーダキャリブレーション、バルブストローク、DCS出力確認、DCS入力確認、ゼロトリムキャリブレーション、またはケーブル損傷を分離するためのチェック、のうちの1つ以上を行い得る。
【0090】
ループテストに関して、ユーザは、フィールドデバイスを、(i)端子のセット631及び632、または端子のセット633及び634、及び(ii)電源モニタ408に接続し得る。診断マネジャ662は、FMモデム612に、通信信号をフィールドデバイスに送信させ、フィールドデバイスに、種々のレベルで(例えば、4mA、12mA、20mA)電流を引き出すよう命令する。応答して、電力モニタ408は、フィールドデバイスによって送信された電流を測定する。診断マネジャ662は、ツール100に、要求された電流レベル及び送信された電流レベルを表示させ、トランスミッタが適切に命令に応答しているか否かをユーザが判定可能にし得る。
【0091】
デバイスシミュレーションに関して、ユーザは、フィールドデバイスの代わりに、通信リンクにツール100を配線し得る(例えば、能動型通信機600の端子631及び632を介して)。診断マネジャ662は、DC電流制御装置610に、いくつかのレベルでDC電流を送信させ得る(例えば、ユーザ入力に応答して)。ユーザ、または第2のユーザは、その後、接続された制御装置が適切な値を受信したことを確認し得る。
【0092】
レコーダキャリブレーションに関して、ユーザは、ツール100をアナログレコーダに配線して、ツール100にDC電流制御装置610を介して予め選択された電流の値をレコーダに送信させ得る。その後ユーザは、音声レコーダが予め選択された値を受信したことを確認し得る。
【0093】
バルブストロークに関して、ユーザは、ツール100をバルブに配線し得る。診断マネジャ662は、4mA信号をバルブに送信し得、ユーザは、全閉停止をバルブ上で設定し得る(例えば、それによってバルブをキャリブレーションし、全閉位置が4mA信号に対応するようにする)。診断マネジャ662は、20mA信号をバルブに送信し得(例えば、ユーザ入力に応答して)、ユーザはバルブ上に全開停止を設定し得る(例えば、それによってバルブをキャリブレーションし、全開停止位置が20mAの信号に対応するようにする)。診断マネジャ662はその後、DC電流制御装置610でステップテストを行い(例えば、ユーザ入力に応答して)、4mA~20mAの間のいくつかのレベルで電流を送信し、バルブが4~20mA信号に適切にキャリブレーションされていることを確認し得る。
【0094】
DCS出力をチェックするために、ユーザは、ツール100を、通常はフィールドデバイス(例えば、アクチュエータ)に接続され、フィールドデバイスを制御するために4~20mA信号をフィールドデバイスに送信するよう構成されたI/Oカードに配線し得る。ユーザは、第2のユーザと連係して(例えば、無線を介して)、いくつかの命令を切断されたフィールドデバイスに(例えば、バルブを開閉するために)送信させ得る。診断マネジャ662は、受信した信号を読み取り、電流測定値を表示して、フィールドデバイスの制御を試みる場合にI/Oカードが適切な信号を送信していることをユーザが確認することを可能にし得る。ツール100は、DCS出力チェックのために、電力モニタ408(及び端子635と636)または電圧モニタ616(及び端子631と632)のいずれかを利用し得る。
【0095】
DCS入力をチェックするために、ユーザは、ツール100を、通常はフィールドデバイス(例えば、トランミッタ)に接続され、かつ測定値を表す4~20mA信号をフィールドデバイスから受信するよう構成されたI/Oカードに配線し得る。ユーザは、ツール100に、信号を送信させ(例えば、DC電流制御装置610を介して)、第2のユーザと連係して、I/Oカードに接続された制御装置が適切な値を受信していることを確認し得る。
【0096】
ゼロトリムキャリブレーションを行うために、ツール100は、DCS入力チェックに
対して実施されるのと類似の手順を実施し得る。例えば、ユーザは、ツール100をフィールドデバイスに接続して、フィールドデバイスに、いくつかのレベルにおいてフィールドデバイスに電流を出力させる、「デバイス方法」を行わせることができる。ツール100は、フィールドデバイスからの電流を測定して表示する。ユーザはその後、フィールドデバイスにおいて表示された電流を入力して、フィールドデバイスが、送信を試みた、及び実際に送信されたものに基づいて、フィールドデバイス自体をキャリブレーション可能となるようにする。ツール100は、電源602を作動させてフィールドデバイス及び抵抗ネットワーク618に給電してフィールドデバイスからの電流を測定し、抵抗ネットワーク618の両端の電流を測定し得る。
【0097】
損傷したケーブルを分離するために、ユーザは、ツール100を利用して、フィールドデバイス端子において、電源端子において等、ケーブルに対する様々な場所において電圧測定を行い得る。大きな電圧降下は、損傷を示す。
【0098】
図7は、複数の抵抗器を備え、ネットワーク618の全体抵抗に著しい影響を及ぼすことなく、ネットワーク618内の1つ以上の抵抗器の故障に耐えるよう構成された、図6に図示する抵抗ネットワーク618の概略図である。複数の抵抗器を利用することで、抵抗ネットワーク618は、抵抗器故障による抵抗の急激な増減を回避して、それによって回路における電圧降下の劇的な増減を回避し得る。例えば、抵抗ネットワーク618が故障及びショートした単一の抵抗器である場合には、端子631と632の間の電圧降下が増大することとなり得る。端子631と632におけるこのような電圧降下の増大は、IS規格を上回り、爆発性雰囲気を点火するという危険を冒し得る。さらに、個々の抵抗器がネットワーク618に入る電流の一部のみを受信する複数の抵抗器を利用することで、抵抗器が過熱され、IS規格を上回ることを防止し得る。
【0099】
抵抗ネットワーク618は、それぞれがスイッチ706及び708によってそれぞれ抵抗ネットワーク618から切り離され得る、並列に配置された抵抗ネットワーク702と抵抗ネットワーク704を含み得る。場合によっては、抵抗ネットワーク618全体が、回路609から切り離され得る(例えば、電源投入の間、またはツール600がアクチュエータと通信するとき)。抵抗ネットワーク618は、例えば、100~300オームの範囲内の任意の所望の抵抗(例えば、167オーム)を有し得る。
【0100】
抵抗ネットワーク702は、並列に配置され、200~300オームの間の総抵抗(例えば、250オーム)を有し得る、抵抗器712~714を含み得る。例えば、抵抗器712~714のそれぞれが、750オームの抵抗を有して、ネットワーク702の総抵抗を250オームとし得る。抵抗ネットワーク702が複数の抵抗器の任意の他の組み合わせ(直列及び/または並列に配置された抵抗器の組み合わせ及び/または部分的組み合わせを含む)を有することで、ネットワーク702の総抵抗が200~300オームの間となり得ることに留意されたい。所望により、抵抗ネットワーク702は、200~300オームの間の抵抗を有する単一の抵抗器を含み得る。
【0101】
抵抗ネットワーク704は、直列に配置され、400~600オームの間の抵抗(例えば、500オーム)を有し得る、抵抗ネットワーク721と抵抗ネットワーク723を含み得る。抵抗ネットワーク721は、並列に配置された抵抗器722及び724を含み得、抵抗ネットワーク723は、並列に配置された抵抗器726及び728を含み得る。抵抗器722~728のそれぞれは、500オームの抵抗を有し、抵抗ネットワーク721及び723のそれぞれの抵抗を250オームとし得る(つまり、1/X=1/500+1/500)。抵抗ネットワーク721及び723は直列で配置され得るため、抵抗ネットワーク704は、500オームの総抵抗を有し得ることに留意されたい。抵抗ネットワーク704は、複数の抵抗器の任意の他の組み合わせを有して、総抵抗を400~600オ
ームの間とし得る。例えば、抵抗ネットワーク704は、並列に配置された2つの100オームの抵抗器を含み得、または、500オームの抵抗を有する単一の抵抗器を含み得る。
【0102】
スイッチ706及び708に関して、制御ユニット402は、(i)スイッチ706を作動させて抵抗ネットワーク702を切り離して、ネットワーク618の抵抗を増大(つまり、ネットワーク704の抵抗に)し、または(ii)スイッチ708を作動させて抵抗ネットワーク704を切り離して、ネットワーク618の抵抗を増大(つまり、ネットワーク702の抵抗に)し得る。制御ユニット402は、ネットワーク618の抵抗を増大させて、端子633及び634に取り付けられたフィールドデバイスが、ヒューズ642の定格を下回って電流を制御されていることを確認し、あるいは、電源602が無効にされる場合に能動型通信機600から電圧を徐々に下げることができる。
【0103】
動作において、制御ユニットは、端子631~634のいずれがフィールドデバイスに接続されているかに応じて、及び/または能動型通信機600がフィールドデバイスに電力を提供しているか否かに基づいて、ネットワーク702または704のうちの1つをスイッチアウトし得る。例えば、状況によっては、能動型通信機600が外部から給電されたフィールドデバイスに接続される場合に、能動型通信機600は、ネットワーク702または704のいずれかを切り離して、ネットワーク618の抵抗を増大し得る。
【0104】
抵抗ネットワーク702及び704のうちの1つまたは両方がネットワーク618から切り離される場合、制御ユニット402は、スイッチ706及び708のうちの1つまたは両方を作動させてネットワーク702及び704の両方を「作動」させ、抵抗ネットワーク618の抵抗を、ネットワーク702またはネットワーク704のいずれかの抵抗よりも低くし得る。危険領域において能動型通信機600を「ツール電力モード」で動作させる場合には、低い抵抗が望ましいことがある。IS規格は、端子631及び632における出力電圧が、通常の動作で用いられ得る出力電圧よりも低くなるよう要求する。しかし、端子631及び632における電圧の降下が低くなり過ぎると、端子631及び632を介して送信または受信された通信信号を読み取ることができなくなり得る。したがって、従来のコミュニケータにおいて用いられ得る値(例えば、250オーム)から、ネットワーク618における電圧低下が低くなる値(例えば、167オーム)にまでネットワーク618の抵抗を低くする(それでもなお読み取り可能に)ことが有益であり得る。場合によっては、抵抗ネットワーク618は、電源電圧が24Vを上回る場合にツール100が抵抗ネットワークを作動させることを可能とし得る、追加の抵抗ネットワーク(例えば、100オーム)、及び/またはスイッチを含み得る。
【0105】
スイッチ706及び708のうちの1つまたは両方は、一般的な機械式リレーに対していくつかの利点を提供し得る、ソリッドステートリレーとし得る。例えば、ソリッドステートリレーは、ほとんどの機械式リレーよりも低い電圧及び低い電流によってスイッチ可能であり、ツール100によって生成された電気的信号を、IS規格に準拠したレベルに維持することを容易にし得る。さらに、一般的な機械式リレーと違い、ソリッドステートリレーは通常、動作時にスパークを生成しない。したがって、ソリッドステートリレーを抵抗ネットワーク618で利用することで、ツール100は、機械式リレーにおいては違反し得る、IS規格に違反することを回避し得る。
【0106】
抵抗ネットワーク618における1つ以上の抵抗器は、効率的な放熱を促進するよう設計された、大きな表面積を有し得る。例えば、抵抗ネットワーク618における1つ以上の抵抗器は、2512サイズの抵抗器である(例えば、6.3mm x 3.1mm x
0.6mm)。場合によっては、ネットワーク618における1つ以上の抵抗器は、2010サイズの抵抗器、2020サイズの抵抗器、及び/または2045サイズの抵抗器
であり得る。場合によっては、抵抗ネットワーク618内の1つ以上の抵抗器(またはサブネットワーク)は2.5Wに定格され得る。
【0107】
ツール100は、能動型通信機600と共に用いられ得る、温度センサ(図示せず)を含み得る。例えば、温度センサは、ネットワーク618における電流を計算する際に制御ユニット402によって利用され得る、抵抗ネットワーク618、またはその近傍における温度を測定し得る。この温度測定値は有益であるが、これは、電圧モニタ616からの測定値に基づいて取得される電流計算は、温度変化がネットワーク618の抵抗を制御ユニット402によって想定される値とは異なる値に増大または減少する場合には不正確となり得るためである。つまり、温度センサは、制御ユニット402が、温度変化に起因するネットワーク618における抵抗変化を補うことができるようにする。
【0108】
図8はA~12は、種々のフィールドデバイス及びI/Oデバイスに接続された、図6に図示する能動型通信機600を含む場合のツール100の概略図である。図8A~12は、能動型通信機600またはツール100の1つ以上の構成要素を示していないことがある。例えば、「切り離された」または有効でない構成要素は図示しないことがある。有効だが図示しない構成要素もある。
【0109】
図8Aは、能動型通信機600がトランスミッタ805に接続され、かつ、能動型通信機600がトランスミッタ805に電力を提供する(つまり、ツール電力トランスミッタ接続)、一例を示す。このような構成では、ユーザは、能動型通信機600を端子631及び632を介してトランスミッタ805に接続し得る。能動型通信機600は、電源602によって、例えば、最大4mAのDC信号をトランスミッタ805に送信してトランスミッタ805に給電し得る。さらに、能動型通信機600は、トランスミッタ805と一方向アナログ通信及び/または双方向デジタル通信を行い得る。一方向アナログ通信を行うために、能動型通信機600は、「トランスミッタ接続」モードを作動させ得るが、本モードでは、能動型通信機600は、トランスミッタ805が、電源602によって提供されたDC信号の電流の大きさ(例えば、4~20mAの間)を変調することによって通信するよう期待する。制御ユニット402(図示せず)は、DC電流制御装置610(図示せず)を回路609からスイッチアウトし得るが、これは、回路609ではなく、トランスミッタ805がトランスミッタ805とツール100の間を流れるDC電流を変調し得るからである。FMモデム612は、回路609に接続されたままであり得、(i)DC信号に重畳されたAC信号の周波数を変調することでトランスミッタ805に情報を送信する、及び/または(ii)トランスミッタ805によってDC信号に重畳された周波数変調AC信号を変調することでトランスミッタ805から情報を受信することによって、双方向デジタル通信を促進し得ることに留意されたい。診断マネジャ602は、電圧モニタ616から取得した測定値に基づいて、トランスミッタ805から受信した信号を分析し得る。
【0110】
図8Bは、能動型通信機600がアクチュエータ855に接続され、かつ、能動型通信機600がアクチュエータ855に電力を提供する、一例を示す。このような構成では、ユーザは、能動型通信機600を端子631及び632を介してアクチュエータ855に接続し得る。能動型通信機600は、電源602により、例えば最大4mAのDC信号をアクチュエータ855に送信してアクチュエータ855に給電し得る。能動型通信機600は、アクチュエータ855と、一方向アナログ通信及び/または双方向デジタル通信を行い得る。一方向アナログ通信を行うために、能動型通信機600は、「アクチュエータ接続」モードを作動させ得るが、本モードでは、能動型通信機600が、アクチュエータ855が、能動型通信機600により提供されたDC信号の電流の大きさの変化(例えば、4~20mAの間)を解釈することによって情報を受信することを期待する。能動型通信機600はアクチュエータ855が電流変調DC信号を送信するのではなく、これを受
信することを期待し得るため、制御ユニット402は、抵抗ネットワーク618(図示せず)及び電圧モニタ616(図示せず)を回路609から切り離し得るが、これは、電流変調DC信号を受信及び解釈するのに、ネットワーク618及びモニタ616は必要ではないことがあるからである。FMモデム612は、回路609に接続されたままであり得、(i)DC信号に重畳されたAC信号の周波数を変調することでアクチュエータ855に情報を送信する、及び/または(ii)アクチュエータ855によってDC信号に重畳された周波数変調AC信号を変調することでアクチュエータ855から情報を受信することによって、双方向デジタル通信を促進し得ることに留意されたい。
【0111】
図9Aは、能動型通信機600の回路609がトランスミッタ905に接続され得、かつ、トランスミッタ905が能動型通信機600によって給電されない、一例を示す。トランスミッタ905は、携帯型電源またはラックマウント電源であり得る、電源910によって給電され得る。場合によっては、トランスミッタ905は、電力として、ループ電力と電源910の両方を利用し得る。ユーザは、回路609を端子633及び634を介してトランスミッタ905に接続し得る。端子631及び632は接続されていないため、電源602を含む閉回路は形成されない。回路609は、トランスミッタ905と一方向アナログ通信及び/または双方向デジタル通信を、図8Aに関して記載したのと類似の方式で行い得る。図9Aに図示する構成は、ユーザが、ループ抵抗器のない従来のループに遭遇する場合に有用であり得る。場合によっては、ツール100は、既にループ抵抗器を有するループに接続され得る(例えば、電源910の負の端子に接続される)。このような場合には、電源910は、通常動作において期待されるように、トランスミッタ905の端子に配線され、ユーザは、端子633及び634をトランスミッタ905の端子に接続し得る。あるいは、ユーザは、端子633及び634を、既存の外部ループ抵抗器の両端に接続し得る。
【0112】
図9Bは、能動型通信機600の回路609がアクチュエータ955に接続され、かつアクチュエータ955が能動型通信機600によって給電されない、一例を示す。アクチュエータ955は、携帯型電源またはラックマウント電源であり得る電源960によって給電され得る。ユーザは回路609を端子633及び634を介してトランスミッタ905に接続し得る。端子631及び632は接続されていないため、電源602を含む閉回路は形成されない。回路609は、図8Bに関して記載したのと類似の方式で、アクチュエータ955と一方向アナログ通信及び/または双方向デジタル通信を行い得る。場合によっては、電源960は、DC信号(例えば、4~20mA)を送信するDC電流制御装置を含み得る。このような場合、電源960の端子は、アクチュエータ955の端子に接続されて、ループを形成し得る。さらに、このような場合、ユーザはアクチュエータ955の端子にツール100を接続して、効果的にツール100を電源960と並列に置き得る。有利なことに、このような接続は、アクチュエータ955と電源960の間の既存のループを遮断することなく、ユーザがツール100を利用することを可能にする。
【0113】
図10は、ツール100の回路609が、電源1020によって給電されるフィールドデバイス1010に接続され得、かつツール100の電力モニタ408がフィールドデバイス1010に電源1020と並列に接続されて、フィールドデバイス1010を電源1020から切断することなく、フィールドデバイス1010によって送信または受信された信号の電気的特性を測定可能とし得る、一例を示す。フィールドデバイス1010は、アクチュエータまたはトランスミッタであり得、電源1020によって給電され得、及び、正の端子1012、負の端子1014、及びテスト端子1015を含み得る。テスト端子1015は、フィールドデバイス1010における電流の検出、及び/または端子1012と1014の間の電圧の検出を可能にし得る。
【0114】
回路609は、端子633及び634を介して、及びフィールドデバイス1010の正
の端子1012及び負の端子1014を介して、フィールドデバイス1010に接続され得る。電力モニタ408は、回路609とフィールドデバイス1010の間のループを遮断することなく、フィールドデバイス1010に接続されて、ユーザが、回路609を介してフィールドデバイス1010と同時通信して、フィールドデバイス1010と回路609の間の通信信号に関連付けられた、電流、電圧、及び/または電力測定値が期待された範囲内であることを検証可能にし得る。有利なことに、電力モニタ408を利用してフィールドデバイス1010によって受信または送信された信号の電気的特性を測定する場合に、フィールドデバイス1010を電源1020から切断する必要はない。場合によっては、電源1020は、(例えば、フィールドデバイス1010がアクチュエータである場合に)フィールドデバイス1010を制御するために4~20mA信号を送信するDC電流制御装置を含み得る。場合によっては、DC電流制御装置610は、回路から切り離され、ツール100は、FMモデム612を用いるデジタルコミュニケータとして主に機能し得る。
【0115】
図11は、ツール100の回路609が、電力1120によって給電されるフィールドデバイス1105に接続され得、かつ、ツール100の電力モニタ408がフィールドデバイス1105に電源1120と並列に接続されて、フィールドデバイス1010によって送信または受信された信号の電気的特性を測定可能とし得る、一例を示す。電力モニタ408は、端子635及び636を介してフィールドデバイス1105に送信され得る。フィールドデバイス1105は図10に図示するフィールドデバイス1010と同様のテスト端子を含まないので、電力モニタ408はフィールドデバイス1105に直列に接続され得る。つまり、電源1120の正の端子は、フィールドデバイス1105の正の端子から切断され得、電力モニタ408からの第1の端子(例えば、端子635または636)は、フィールドデバイス1105の正の端子に接続され得、電力モニタ408からの第2の端子(例えば、端子635または636)は、電源の正の端子に接続され得る。場合によっては、電源モニタ408は、フィールドデバイス1105の負の端子と、電源1120の負の端子に接続されたループ抵抗器(図示せず)の間に直列に接続され得る。通常、このようなループ抵抗器は、フィールドデバイス1105がトランスミッタである場合に見受けられ得る。このような場合、抵抗ネットワーク618は、回路609から切り離され得る。
【0116】
図12は、能動型通信機600の回路609を用いてI/Oデバイスをテストし得る、一例を示す。具体的には、回路609は、AIカード1205(トランスミッタに接続され得る)に接続されて、DC電流制御装置610(トランスミッタの信号をシミュレートすることを意図した)によって送信された信号が、AIカード1205によって適切に受信されることを確認し得る。さらに、電力モニタ408は、AOカード1210(制御装置に接続され得る)に接続されて、AOカード1210を介して制御装置によって送信された通信を確認し得る。
【0117】
図13は、(i)DC信号(例えば、10~25mA)によってフィールドデバイス160に電力を供給する、及び(ii)DC信号に重畳されたデジタルAC信号によってフィールドデバイス160と通信するために、通信インタフェース406を介して図1Aに図示するフィールドデバイス160に電気的に接続され得る、ツール100に対する能動型通信機1300の概略図である(図4に図示する能動型通信機404の一例となり得る)。有利なことに、能動型通信機1300を利用して、フィールドバスフィールドデバイスと通信し、及び/またはこれらを診断し得る。さらに、AM通信用に構成された通常のPTDとは違い、能動型通信機1300は、フィールドデバイス160との通信に用いられるのと同一の端子のセットにおける、電流と、DC及びAC電圧を測定可能である。場合によっては、能動型通信機1300は、IS規格に従って、エネルギーが制限されて、耐障害的であり、能動型通信機1300及びツール100が、危険領域に配置されたフィ
ールドデバイス及び通信リンクに給電し、これらと通信し、及び/またはこれらを診断可能とし得る。
【0118】
能動型通信機1300は、制御ユニット402に通信可能に結合され得、(i)通信インタフェース406に電気的に接続されたバス1302、(ii)バス1302を介して電力信号を送信するよう構成された電源1304、及び(iii)バス1302を介してフィールドデバイス160と通信するよう構成された通信回路1309を含み得る。通信回路1309は、振幅変調AC信号(例えば、15~20mAピークトウピーク)であり得る、デジタル通信信号を送信及び受信するよう構成され得る。
【0119】
バス1302は、「内部バス」または「ミニバス」と称され得、図1Aに図示する筺体128内に少なくとも部分的に配置され得る。バス1302は、フィールドデバイスがプラント環境内にバス(図3に図示するフィールドバスセグメント300など)へのアクティブで健全な接続を有しない場合であっても、ツール100をフィールドデバイスに接続する、これと通信する、及び/または給電することを可能にし得る。これに対し、バスベースのフィールドデバイスと通信可能な従来のPTDは通常、フィールドデバイスがプロセスプラント内に配置された外部機能バスに接続されることを必要とする。バス1302は、バス1302上の通信を可能にするのに十分な抵抗を提供する、終端抵抗1321及び1322を含み得る。終端抵抗1321及び1322のそれぞれは、コンデンサ(例えば、1μFの容量を有する)と直列の抵抗器(例えば、90オーム~105オームの間の抵抗を有する)を含み得る。バス1302は、終端抵抗1321及び1322をバス1302から切り離すための、または、バス1302を能動型通信機1300から完全に切り離すための(例えば、能動型通信機1300が健全なバスに接続済みのフィールドデバイスに接続される場合)、スイッチ1322及び1324を含み得る。有利なことに、バス1302は、フィールドデバイスを分離してテスト可能にし、ユーザが、より容易に通信問題のソースを特定できるようにする。例えば、ユーザは、能動型通信機1300を利用して、外部から給電されたフィールドデバイスによって送信された信号を測定し、フィールドデバイスを外部電源から取り外し(例えば、給電されたセグメントから)、以前に取得された測定値と比較可能な、バス1302上の同一の測定値を取り得る。
【0120】
回路1309は、フィールドバスデバイスであり得る、フィールドデバイス160と、バス1302を介して通信し得、また、コンデンサ1314に直列で接続されたAMモデム1310を含み得るが、この組み合わせは、DC電流制御装置またはシンク1312に並列に電気的に接続される。AMモデム1310は、デジタル振幅変調スキーム(フィールドバスプロトコルなど)を用いてフィールドデバイス160に情報を送信し、及び/またはこれから情報を受信し得、また、図5に図示するAMモデム514と同一または類似であり得る。一例として、AMモデム1310は、15~20mA(例えば、-10mA~10mA)において信号を変調及び/または復調し得る。コンデンサ1314は、DC電流をフィルタ処理し、デジタル通信信号のみがAMモデム514を通過するようにし得る。DC電流制御装置1312は、電流が0mAを下回って降下することなく、AMモデム1310がDC電流上に通信信号を重畳することを可能にするのに十分なDC電流を引き出すよう構成され得る。例えば、DC電流制御装置1312は、11mAのDC電流を引き出して、AMモデム1310がDC電流上に20mA信号を重畳して、通信インタフェース406に接続された電線上の総電流が1mAから21mAまで変動するようにし得る。
【0121】
通信インタフェース406は、端子1331~1333を含み得る。フィールドデバイス160は、端子1332及び1333に接続されて、フィールドデバイス160と回路1309との間の通信リンクを確立し得る。ユーザがツール100を用いてフィールドデバイス160に電力を供給したい場合、ユーザは、端子1331と端子1332の間にシ
ャントを置き得る。端子1331と端子1332の間にシャントを置くことで、バス1302が作動し、端子1332及び1333を介して送信される通信信号が、期待される範囲内となって、AMモデム1310及び/またはフィールドデバイス160が通信信号(例えば、0.5~1.5Vppの間)を解釈可能となることを保証するのに十分な負荷インピーダンスを生成し得る。通信インタフェース406は、端子1333と直列に電気的に接続され、50mAに定格される11オームの抵抗を有する、ヒューズ1342を含み得る。場合によっては、能動型通信機1300は、ヒューズ1342を含まない。場合によっては、ヒューズ1342は、端子1333と接地の間に置かれ得る。
【0122】
電源1304は、15V~20Vの間の電圧(例えば、17V)においてバス1302に電力信号を供給するよう構成され得る。電源1304は、変圧器ベースの電源であり得、端子1333に対する接地を「移動」し得る。電源1304は、端子1332及び1333の間の電圧降下を、IS規格に適合した閾値に制限するよう構成され得る。例えば、場合によっては、最大許容出力電圧は、無負荷時で15Vに制限される。全負荷における出力電圧は、10.5Vであり得る。電源1304は、電流が制限されて(例えば、38mA)、端子1331~1333における電圧及び/または電力閾値を上回ることを回避し得る。能動型通信機1300は、電源1304に直列に接続され、電源1304が通信信号(例えば、AMモデム1310及び/または接続されたフィールドデバイスからの)を除去するのを防止するよう構成される、電力調整器1306を含み得る。
【0123】
動作において、能動型通信機1300は、ツール電力モード及び外部電力モードにおいて動作し得る。ツール電力モードでは、ユーザは、フィールドデバイス160を端子1332及び133に接続し得、シャントを端子1331及び1332に接続して、電流が端子1331から端子1332、及び接続されたフィールドデバイス160に流れるようにし得る。外部電力モードでは、ユーザは、フィールドデバイス160を端子1332及び1333に接続して、端子1331と1332の間に開回路を残し得る。
【0124】
外部電力モードにおいては、スイッチ1332及び1324が作動されて、バス1302を切り離し、端子1321~1322と、電力調整器1306を端子1331に接続する電線との間に開回路を生成し得る。さらに、DC電流制御装置1312は、能動型通信機1300が外部電力モードにある場合に、回路1309から切り離すことができる。
【0125】
能動型通信機1300は、通信モードまたは診断モードにおいて動作し得る。通信モードにある場合には、能動型通信機1300は、接続されたフィールドデバイス160と通信し得る。診断モードにある場合には、能動型通信機1300は、通信バス(例えば、フィールドバスセグメント)上の信号の電気的属性を測定し得、及び/または、フィールドデバイス160の端子において受信された信号の電気的属性を測定し得る。診断モードにある場合には、DC電流制御装置1312は、大きな電流を引き出すことができない。通信モードにある場合には、DC電流制御装置1312は、電流(例えば、11mA)を引き込み得る。場合によっては、能動型通信機1300は、同時に、通信モードと診断モードにおいて動作し得る。
【0126】
所望により、制御ユニット402は、端子1331~1333において電圧または電流の変化を検出すると、電源1304、電力条件1306、終端抵抗1321/1322、及び/または回路1309のうちの1つ以上を無効にし得る。例えば、端子1332と1333の間で検出された高電圧は、ユーザが、能動型通信機1300が1つ以上の構成要素を無効にすることとなり得る、新たな電源を加えたことを示し得る。別の例として、端子1332及び1333において検出された高電流は、ユーザが電線をショートさせ、または、別のデバイスを追加しようと試みて、能動型通信機1300に1つ以上の構成要素を無効にさせ得ることを示し得る。例えば、低電圧測定値は、外部から給電されたフィー
ルドデバイスが電力を失ったことを示し得る。低電流測定値は、デバイスが端子1331~1333から取り外されたことを示し得る。
【0127】
制御ユニット402は、能動型通信機1300を管理するための回路マネジャルーチン1361、及び/または能動型通信機1300によって送信及び/または受信された信号を分析するための診断マネジャルーチン1362を含み得る。回路マネジャ1361は、回路1309を切り離して、電流が制限された接続が、回路1309の電流負荷のためにその電流制限を上回ることから保護する。さらに、ユーザは、UI410とやりとりして、電源1304をいつでも切ることができる。
【0128】
さらに、回路マネジャ1361は、ヒューズ1342によって生じた信号測定誤差を補うことができる。つまり、回路マネジャ1361は、通信信号に関連付けられたバス1302における電圧降下に基づいて電流測定値を計算する際に、終端抵抗1321及び1322の抵抗と共に、ヒューズ1342の抵抗(約11オームになる場合がある)を考慮に入れ得る。
【0129】
診断マネジャ1362は、(i)フィールドデバイスを特定し、(ii)能動型通信機1300によって送信及び/または受信された信号の電気的特性を検出及び分析し、(iii)経時的に行われた測定値及び/または分析のログを取り、及び/または(iv)雑音スペクトル分析を行い得る。
【0130】
第1に、診断マネジャ1362は、タグまたはデバイスIDによって、バス1302に接続された(または、能動型通信機1300が接続された外部バスに接続された)フィールドデバイスを特定し得る。診断マネジャ1362は、ファイル名、バス名、及び/または場所名(例えば、「ストレージタンク157」などのユーザがカスタマイズ可能な文字列)を定義するためのログファイルの生成中にユーザが選択可能な、ユーザが選択可能なデバイスリストを、ユーザが生成可能にし得る。
【0131】
第2に、診断マネジャ1362は、能動型通信機1300によって送信及び/受信された信号の電気的特性を検出及び分析し得る。これらの測定値は、図1及び4に図示するディスプレイ122を介してユーザに表示され得る。さらに、回路マネジャ1361は、これらの測定値を利用して、ツール100の構成要素を作動または停止し得る(例えば、構成要素を保護、及び/またはIS規格準拠を保証するために)。
【0132】
第3に、診断マネジャ1362は、経時的に行われた測定値及び/または分析をログし得る。例えば、診断マネジャは、経時的に撮影された「スナップショット」を表す、健全性レポートを生成し得る。一例として、ユーザはツール100を利用して、所与のフィールドデバイスに関連付けられた信号を、かなり定期的に(例えば、毎日、1週間に1度等)測定し得る。診断マネジャ1362は、これらの測定値のログを取り、プラント人員がフィールドデバイスに関連付けられた経時的な傾向を特定可能にし得る。健全性レポートは、バス上の最下位のアドレスのデバイスのタグまたはIDによってバスを特定し得る。健全性レポートは、関連する測定値が取られた時間におけるツール100のユーザ、関連する測定値の日付、測定値が取られたバスまたはセグメント名、及び/または測定値が取られた場所の名前を特定する情報を含み得る。ツール100は、フィールドデバイスからこれらの情報のいくつか(例えば、タグまたはセグメント名)を検索し得る。
【0133】
時系列の信号分析及びログの別の例として、診断マネジャ1362は、所与の時間にわたってフィールドデバイスの信号を継続的に監視するためのトラブルシューティングログを生成し得る。例えば、プラントが、特定のフィールドデバイスにおける問題(例えば、通信中断)を経験しているが、問題の原因を判定できないことがある。ユーザは、ツール
100をフィールドデバイスに接続して、長時間(例えば、数時間または数日)ツール100を放置し得る。その後、ツール100は、一定間隔及び/またはトリガ(例えば、閾値を上回って、または下回って降下する信号)に基づいて、トランスミッタ及び/または受信信号の電気的特性を測定してログを取ることができる。ユーザはその後にログを分析して、フィールドデバイスがいつ問題を受けているかを特定し、問題を受けているフィールドデバイスに何が相関し得るかを判定できる。例えば、プロセス制御システムによって収集されたヒストリアンデータにログを比較させることで、ユーザは、フィールドデバイスによって経験される中断が、フィールドデバイスの通信を妨害する振動を生じている、近接モータの始動に関連付けられていることを判定し得る。トラブルシューティングログは、健全性レポートに含まれる情報(例えば、タグ、時間、日付等)と同一のタイプの情報を含み得る。
【0134】
第四に、診断マネジャ1362は、雑音スペクトル分析を行い得る。具体的には、診断マネジャ1362は、雑音に関連付けられた狭い周波数範囲(例えば、1kHz未満)における電圧を検出し、検出した電圧を表示して、ユーザが、(i)雑音の周波数、(ii)雑音の振幅(例えば、平均または最大)、及び/または(iii)雑音バーストが発生する時間のうちの1つ以上を特定可能となるようにし得る。
【0135】
図14Aは、外部バス1420(つまり、能動型通信機1300の外部)を介してフィールドデバイス1405に接続された、能動型通信機1300の概略図であり、能動型通信機1300が操作バスに接続されたフィールドデバイスに接続されている一例を示す。
【0136】
外部電源1410(例えば、ラックマウント電源)は、外部バス1420に電力を供給し得、フィールドデバイス1405は、外部バス1420から電力を引き出し得る。フィールドデバイス1405は、10~25mAの電流を電力として引き出し得る。例えば、フィールドデバイス1405は、電源1410によって供給され得る、20mAの電流を引き出し得る。場合によっては、複数のフィールドデバイスがバス1420に接続されて、電力を引き出し得る。例えば、3つのフィールドデバイスがそれぞれ20mAの電流をバス1420から引き込み得る。このような例では、電源1410は、60mAの電流をバス1420に電力として供給し得る。電力調整器(図示せず)が、電源1410とバス1420の間に置かれてもよい。
【0137】
フィールドデバイス1405は、フィールドバススパーを介してフィールドバスセグメント1420に接続され得る。スパーは、複数の他のスパーをセグメント1420に接続し得る、ジャンクションボックスを介してセグメント1420に接続する、2線式リンクであり得る。フィールドバスセグメント1420に関連付けられた複数のリンク及び接続ポイントのために、故障のポイントを分離することは困難となり得る。有利なことに、コミュニケータ1300は、フィールドデバイス1405と通信するだけではなく、フィールドデバイスの代わりにセグメント1420に接続して、フィールドデバイス1405が「見ている」ものを「見る」ことが可能である。つまり、ツール100は、「既知の良好なデバイス」である。フィールドデバイスと制御装置の間に通信問題が存在する場合、ツール100は、フィールドデバイスに接続してこれをテストし得る。ツール100に接続された際にフィールドデバイスが適切に機能する場合には、ツール100のユーザは、フィールドデバイスの「上流」(例えば、スパー、接続箱、I/Oカード、または他のいくつかのケーブルまたはデバイスにおいて)に問題が存在することが分かる。したがって、「不良な」デバイスまたは通信リンクを分離するために、ユーザは、上流に移動を続けて通信をテストし得る。
【0138】
電源1410は、セグメント1420を介してフィールドデバイス1405、及び、場合によっては、セグメント1420に接続された他のフィールドデバイスに電力を供給し
得る。
【0139】
セグメント1420は、フィールドデバイス1405及び、フィールドデバイス1405によって利用されるACデジタル通信信号に給電するために、10~25mADC電力信号を伝達し得る。一般的に、複数の他のフィールドデバイスがセグメント1420に接続され、それぞれが、10~25mAのDC信号を電力として引き込む。したがって、電源1410によってセグメント1405に供給されたDC電流は、セグメント1420に接続するフィールドデバイスの数に応じて変動し得、電力を引き込み得る。セグメント1420は、終端抵抗1422及び1424を含み得る。終端抵抗1422及び1424のそれぞれは、例えば、1μFのコンデンサと直列の100オームの抵抗器を含み得る。したがって、終端抵抗1422及び1422は、DC電流をブロックし、AC通信信号に対する電流シャントとして機能し得る。
【0140】
動作において、能動型通信機1300とフィールドデバイス1405は、バス1420上の電力信号に重畳されたデジタル信号(例えば、20mAピークトウピーク)によって通信し得る。一般的に、バス1420に接続されたデバイス1つだけが、所与の時間において通信し得る。例えば、能動型通信機1300、フィールドデバイス1405、及び2つの他のフィールドデバイス(図示せず)が、バス1420を共有する場合、4つの接続されたデバイスのうちの1つのみが所与の時間において通信し得る。バス1420上の通信は、リンクアクティブスケジューラ(LAS)として示されるデバイスによって調整され得る。LASは、バス1420に接続されたデバイス間でトークンを渡すのに関与するが、このとき、トークンを有するデバイスのみがバス1420を介して通信され得る。フィールドデバイス1405がLASの場合も、ツール100がLASの場合もある。
【0141】
LASは、バス1420にアクセスする必要がある全デバイスのリストを維持する。このリストは、「ライブデバイスリスト」と呼ばれる場合もある。場合によっては、バス1420は、単一のLASのみを有し得る。LASになることが可能なデバイスは、リンクマスタデバイスと呼ばれる場合もある。その他のデバイスは全て、「基本デバイス」と称され得る。所望により、ツール100を、リンクマスタデバイスとし得る。能動型通信機1300がバス1420に接続される場合、ツール100は、LASとなるようビッドし得る。ビッドに勝つリンクマスタ(例えば、最下位のアドレスを有するリンクマスタ)は、ビッドプロセスの完了直後にLASとしての動作を開始し得る。
【0142】
図14Bは、バス1302を介してフィールドデバイス1455に接続された能動型通信機1300の概略図であり、能動型通信機1300がフィールドデバイス1455に電力を提供する、一例を示す。ユーザは、端子1331と1332の間にシャント1460を置き、電源1304がバス1302に電力を提供できるようにし得る。電源1302は電流が制限されるため、シャント1460を介して流れる電流は、IS規格に適合した最大閾値を下回ったままである。例えば、閾値は、35~45mAの間であり得る。記載したように、DC電流制御装置1312は11mAを引き込み得る。さらに、一般的なフィールドデバイスは、10~25mAを引き込み得る。電源1302は、最大36mAを供給して、DC電流制御装置1312とフィールドデバイス1455が、IS規格に準拠したまま、十分な電流(つまり、11mA+25mAの期待される潜在総電流消費に基づいて)を受信することが確保されるよう構成され得る。電源1304は、38mAの最大電流を供給するよう構成され得る。ユーザは、能動型通信機1300を利用して、IS規格に準拠したまま、フィールドデバイス1455に電力を供給し、フィールドデバイス1455と通信し、及び/またはフィールドデバイス1455上で診断を行い得る。
【0143】
図15は、ツール100の外部からみた、ツール100の通信インタフェース406の図である。図示するように、ツール100は、図6及び図13にそれぞれ図示する、能動
型通信機600及び能動型通信機1300を含む。場合によっては、ツール100は、能動型通信機600及び能動型通信機1300のうちの1つのみを含む。
【0144】
通信インタフェース406は、端子のセット1501~1504として配置され得る、図13に図示する端子1331~1333及び図6に図示する端子631~636を含み得る。
【0145】
動作において、ユーザは、端子のセット1501を、フィールドバスプロトコルなどのAM通信スキームに従って通信するよう構成されたフィールドデバイスに接続し得る。ユーザは、プラント環境で一般的に見受けられるラックマウント電源などの外部電源を利用する(つまり、ツール100に対して外部の)フィールドデバイスにツール100を接続する場合に、端子のセット1501を利用し得る。フィールドデバイスに給電するのに、ユーザがツール100を利用したい場合、ユーザは、シャントを用いて端子1331及び1332を接続し得る。
【0146】
別の例として、ユーザは、電力を必要とし、かつDC電流信号スキーム(例えば、4~20mA)に従って、及び/またはデジタルFM通信スキーム(例えば、HARTプロトコル)に従って通信するよう構成され、かつ電力を必要とする、フィールドデバイスに端子のセット1502を接続し得る。あるいは、ユーザが、外部電源によって給電済みの同様に構成されたフィールドデバイスにツール100を接続したい場合、ユーザは、フィールドデバイスを端子のセット1503に接続し得る。また、ユーザは、端子のセット1502をフィールドデバイスに、またはフィールドデバイスに接続された通信リンクに接続して、フィールドデバイスによって送信された、またはフィールドデバイスによって受信された信号の電気的特性(例えば、電流、電圧)を検出し得る。
【0147】
最後に、ユーザは、端子のセット1504をフィールドデバイスに接続して、フィールドデバイスによって送信された、またはフィールドデバイスによって受信された信号の電気的特性(例えば、電流、電圧)を検出し得る。また、ユーザは、端子のセット1504を通信リンク(例えば、HARTループまたはフィールドバスセグメント)に接続して、通信リンクを介して送信された信号の電気的特定を検出し得る。場合によっては、端子のセット1504に接続された電力モニタ408は、電流の測定のみを行う。
【0148】
図示するように、通信インタフェース406は、ツール100が異なるプロトコルに従って構成されたフィールドデバイスと通信、またはこれらを診断することを可能にする。したがって、ユーザは、複数の異なるタイプのフィールドデバイスを点検するために、複数の専用ツールを携行するのではなく、ツール100を携行し得る。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15