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特開2024-23710車載機器用リモートコントローラ及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024023710
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】車載機器用リモートコントローラ及びシステム
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20240214BHJP
【FI】
H04Q9/00 301B
H04Q9/00 311Z
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023213473
(22)【出願日】2023-12-19
(62)【分割の表示】P 2022068681の分割
【原出願日】2014-11-12
(71)【出願人】
【識別番号】391001848
【氏名又は名称】株式会社ユピテル
(72)【発明者】
【氏名】尾野 久雄
(72)【発明者】
【氏名】上村 浩司
(57)【要約】
【課題】車載機を遠隔で制御する際に、リモートコントローラを取り出して操作する煩雑さを解消すること
【解決手段】車両に設置される車載機器1と、この車載機器と無線通信を行い当該車載機器の動作を制御するリモートコントローラ2と、そのリモートコントローラと通信可能なスマートフォン等の携帯機器3を備える。車載機器とリモートコントローラとの間では、第一系統の通信方式(特定省電力無線)により情報の送受を行う。リモートコントローラと携帯機器との間では、第一系統の通信方式と異なる第二系統の通信方式(BLE)による無線通信により情報の送受を行う。リモートコントローラは、自己が有する操作部2dに対する操作に基づき車載機器を直接コントロールする機能と、携帯機器からの指示に基づいて車載機器をコントロールする機能を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される車載機器であって、
前記車両の状態又は状況に応じて、前記車両の車両情報又は走行情報を取得して無線通信により外部に送信する機能を有する
車載機器。
【請求項2】
前記送信する機能は、自車載機器を遠隔操作するリモートコントローラ、又は前記リモートコントローラと通信可能である携帯機器に、前記車両情報又は前記走行情報を送信する
請求項1に記載の車載機器。
【請求項3】
前記車載機器としての基本機能と、前記基本機能とは異なる機能を有する第二機能であって前記送信する機能を有する第二機能と、を実行可能に構成され、
前記車両の状態又は状況に応じて、前記基本機能と前記第二機能とのどちらを動作させるかを切り替える機能を有する
請求項1又は2に記載の車載機器。
【請求項4】
前記基本機能は、前記車両の駆動源がOFFされているか又は前記車両が走行していないときに行われる機能であり、
前記送信する機能は、前記車両の駆動源がONされているか又は前記車両が走行しているときに行われる機能である
請求項3に記載の車載機器。
【請求項5】
リモートコントローラであって、
請求項1から4のいずれか1項に記載の車載機器を遠隔操作する機能と、
前記車載機器から送信されてきた前記車両情報又は前記走行情報を受信する機能と、
受信した前記車両情報又は前記走行情報を内部に記憶する、又は外部に送信する機能と、
を有するリモートコントローラ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載機器用リモートコントローラ及びシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載される車載機器を車両から離れた位置から無線通信を用いて遠隔操作するシステムとして、エンジンスタータやカーセキュリティがある。この種の技術は、例えば、リモートコントローラが備えたボタンの操作に応じ、当該リモートコントローラが、無線通信を用いて車載機器に対して各種の動作命令を送る。車載機器は、係る動作命令を受信すると、動作命令の内容に従った所定の処理を実行する。当該所定の処理は、例えばエンジンを始動/停止したり、セキュリティのアーム/ディスアームをセットしたりする(特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-163702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のエンジンスタータやカーセキュリティでは、リモートコントローラを使用時に取り出してボタン操作等が必要である。しかしリモートコントローラは、例えば自宅内の所定の位置においてあり、必ずしもユーザがすぐに手にすることができる場所にあるとは限らない。よって、遠隔操作をする際に、いちいちリモートコントローラを取りに行き、操作する必要があるので煩雑である。特に、車両を複数のユーザが使用する場合、一人のユーザがリモートコントローラを持ち歩くのは好ましくなく、玄関やリビング等の所定の場所においておくことがあるので、上記の課題が顕著になる。
【0005】
また、例えば、車両の運転者が一人等、リモートコントローラを占有できる場合、ユーザが当該リモートコントローラを携帯することはできる。しかし、係るリモートコントローラは、頻繁に操作するものでも無いので、手に持って携帯することはなく、例えばバックの中やポケットの中などにしまっておくことが多い。そうすると、操作の際にいちいち取り出さなければならない不便さがある。特にカーセキュリティのリモートコントローラは車両の異常警報時の通報確認や操作のため、帰宅後家の中でも常に持っていたり、身近に置いておいたりする必要があるが、実際に異常警報等は頻繁にあるものでも無く、屋内で携帯するのは不便であるといった課題を有する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明に係る車載機器用リモートコントローラは、(1)第一系統の通信方式で無線通信をする第一通信手段と、前記第一系統の通信方式と異なる第二系統の通信方式で無線通信をする第二通信手段と、を備え、前記第一系統の無線通信により、自己が有する操作部からの指示を受けて直接、前記車載機器の動作を制御する機能と、携帯機器から前記第二系統の無線通信により受け付けた指示を受けて、前記第一系統の無線通信により前記車載機器の動作を制御する機能と、備え、前記第二系統の通信方式は、前記第一系統の通信方式より通信距離が短いものとした。
【0007】
第一通信手段は、実施形態では第一系統用無線通信回路2bに対応し、第二通信手段は、実施形態では第二系統用無線通信回路2cに対応する。第一系統の通信方式の通信距離は、駐車した車両からユーザが離れ、遠隔地から車載機器を制御する場所がカバーされる距離とする。例えば、車両を自宅の敷地内、或いは自宅の近所の駐車場に駐車し、屋内にいるユーザが、当該屋内から操作する場合に通信圏内になるようなものとするとよい。また、ユーザの存在位置は自宅に限ることは無く、必要に応じて屋外において車両から適宜離れた位置においてリモートコントローラと車載機器が通信する必要もあり、車載機器の機能に応じて必要十分な通信距離があり、少なくとも係る必要十分な通信距離が確保できる通信方式を採るとよい。携帯機器は、通信機能を備えた携帯機器でありユーザが通常携帯したり、手の届く範囲にあったり容易に取り出すことができるようなものとするとよい。例えば携帯通信端末のように、持ち運べるとともに通信機能を備えた機器や、ウエアラブル機器などとすると、ユーザは違和感なく携帯できるので好ましい。また、仮にバックやポケット等にしまっていてもすぐに取出し、手に取って操作等することができるので好ましい。
【0008】
本発明によれば、リモートコントローラは、自己が有する操作部に対する操作に基づき車載機器を直接制御する機能と、携帯機器からの指示に基づいて車載機器を制御する機能を有する。よって、ユーザは必ずしもリモートコントローラを取り出して操作する必要は無く、状況に応じて二種類の機能を使い分け、適切な操作方法により車載機器の動作を制御できる。特に、ユーザが携帯機器を携帯し、手に取り、操作しやすいものとするとよく、このようにすれば、リモートコントローラは、離れた位置においていたり、バッグやポケットにしまっていたりした状態でも車載機器の制御ができるのでよい。
【0009】
(2)前記携帯機器は、携帯通信端末或いはウエアラブル機器とするとよい。携帯通信端末の一例としては、スマートフォン,携帯電話、タブレットPCなどがある。例えばスマートフォン等は、ユーザが常に持っていたり身近な所に置いていたりし、さらに比較的頻繁に手に持って操作等しているため、携帯するのに違和感が無い。また、ウエアラブル機器も同様である。よって、各種の操作を行う際に、リモートコントローラを取り出す必要がなく便利であるのでよい。
【0010】
(3)第一系統の無線通信により前記車載機器からの通信を受信したらその内容を前記第二系統の無線通信より携帯機器に送信する機能を備えるとよい。このようにすると、例えばリモートコントローラと車載機器との通信内容を携帯機器にも送り、携帯機器で表示等することにより、リモートコントローラに表示機能を持たせなくて済み、また、表示機能を持たせたとしても小さなもので足りる。よって、リモートコントローラの小型化、低コスト化ができる。またリモートコントローラで操作後、リモートコントローラを直ぐにバッグやポケットにしまっても、その後のアンサーバック等の車載機器からの情報を携帯機器で確認したり次の操作を携帯機器で行えたりするのでよい。
【0011】
(4)記憶手段を備え、前記車載機器から受信した内容を前記記憶手段に一時記憶し、その一時記憶した内容に基づく情報を前記携帯機器に送信する機能と、前記携帯機器から受信した内容を前記記憶手段に一時記憶し、その一時記憶した内容に基づく情報を前記車載機器に送信する機能の少なくとも一方を備えるとよい。
【0012】
この発明によれば、リアルタイム処理をせずに済み、例えば処理速度は遅いが低消費電力の回路や部品を使用できる。また、例えば第一系統の通信方式の消費電流が多い場合、例えば常時は第一系統の第一通信手段は切っておいたり間欠駆動させたりし、第二系続の第二通信手段で携帯機器から受信したら第一系統の第一通信手段を立ち上げて送信するようにすると、省電力化でき、電池寿命を長くしたり小容量の電池の使用による小型化が実現できるのでよい。
【0013】
(5)前記操作部に対する操作に基づき前記第一系統の無線通信を用いて前記車載機器に向けて動作命令を送信した場合、それに対応した車載機器からの受信内容を前記第二系統で前記携帯機器に送信する機能を備えるとよい。このようにすると、リモートコントローラの操作に対応した車載機器からの受信内容を携帯機器側で、車載機器が送信しリモートコントローラで受信した受信内容その内容を確認したり、次の操作を携帯機器からもできるようになるのでよい。
【0014】
(6)本発明のシステムは、(1)から(5)のいずれかに記載の車載機器用リモートコントローラと、前記第一系統の通信方式を用い前記車載機器用リモートコントローラと通信する前記車載機器を備えるようにした。
【0015】
(7)車両が走行できない状況か否かにより、前記車載機器が動作する機能を変えるようにするとよい。走行できない状況は、例えば、エンジンキー等の車両の動力源用のスイッチのON/OFFにより判定するようにすると、簡単に判別できるのでよい。このようにすると、車両の降車中はもちろん乗車中においても、それぞれ適宜の状況に車載機器を機能させることができるのでよい。
【0016】
(8)前記車載機器は車両に関する情報を取得する機能と、その取得した情報を前記リモートコントローラ或いは前記携帯機器に送信する機能を備え、前記リモートコントローラ或いは前記携帯機器は、前記車載機器から送られてきた前記車両に関する情報を記憶する機能と、表示する機能な少なくとも一つを備えるとよい。車両に関する情報は、実施形態では、車両情報と車両の走行情報がある。このようにすると、車両に関する情報を取得し、走行中に内容を確認したり、後で解析したりすることができるのでよい。特に、車両に関する情報をリモートコントローラや携帯機器に記憶するようにすると、降車時に当該リモートコントローラや携帯機を外部に持ち出すため、記憶した車両に関する情報も持ち出すことができるのでよい。
【0017】
(9)車両が走行できる状況になると、前記車載機器の前記第一系統の通信方式を用いて通信をするための通信回路の動作を停止するように構成するとよい。通信回路の動作の停止としては、一時停止・間欠的に停止する構成としてもよいが、完全に停止する構成とするとよい。車両が走行できる状況か否かは、例えば、エンジンキーのON/OFFを利用したりするとよい。このようにすると、車両が走行できる状態になると、第一系統の通信方式の通信回路が遮断されるため、仮にリモートコントローラで誤った操作が行われたとしても、車載機器側で受け付けず、車両への悪影響や電波妨害を防ぐことができるのでよい。さらに、消費電力の大きい第一系統用無線通信回路を遮断することで、省エネにもなり好ましい。
【0018】
(10)前記車載機器は、エンジンスタータ、カーセキュリティのいずれかとするとよい。(11)(6)から(10)のいずれかのシステムを前提とし、前記第二系統の通信方式を用い前記車載機器用リモートコントローラと通信する前記携帯機器を備えるとよい。
【0019】
(12)前記車載機器に第二系統の通信方式を用いて通信をするための通信回路を搭載し、第二系統の通信を利用して、前記車載機器と前記携帯機器が直接通信し、前記車載機器の動作の制御をする機能を備えるとよい。通信距離の短い第二系統の通信圏内に車載機器と携帯機器が存在する場合、当該第二系統の通信方式を利用して携帯機器が車載機器を直接コントロールする。よって、携帯機を操作しリモートコントローラ経由で車載機器を制御する形態と、直接車載機器を制御する形態がある。このように各種の形態を有することで、状況に応じて適切な形態を利用して車載機器1のコントロールを行うことができる。
【0020】
(13)前記車載機器がエンジンスタータであり、そのエンジンスタータを用いてエンジンを始動した場合、ユーザが車両に接近したことを検出し、前記車載機器は前記エンジンを停止する処理を行うとよい。例えば、メカニカルなキーを差し込む操作なしでドアロックの開閉やエンジンの始動・停止等ができる純正キーを用いたスマートシステムがある。このスマートシステムは、純正キーを携帯したユーザが車両に近づいたり、車両のドアハンドルにさわったりすると、車両側から微弱な電波が発信され、それを受信した純正キーが自動的に応答信号の電波を発信する。そして当該応答信号の電波を受信した車両側の装置が、ドアロックの開閉等を行う。この種のスマートシステムは、例えば、車両がアイドリング状態の場合、純正キーからの応答信号を受け付けず、ドアロックの開閉等をしない安全機能を備えたものがある。係る安全機能を備えたスマートシステムが搭載された車両に対し、例えば、ドアロックがされた状態の車両の外にいるユーザがエンジンスタータを用いてエンジンを始動し、その後に車両に乗り込もうとした場合、当該車両はアイドリング状態になっているため、安全機能が働き、純正キーのスマートシステムによるドアロックを開錠するアンロックが行えない。そのため、ユーザは、エンジンスタータのリモートコントローラを操作して一旦エンジンを停止させ、その後、純正キーのスマートシステムを用いてドアロックをアンロックして車両に乗り込む必要があり、煩雑であったという課題がある。これに対し、本発明によれば、携帯機器を携帯したユーザが車両に近づくことで、エンジンの停止が自動的に行われるため、その後、純正キーのスマートシステムを用いてアンロックすることができ、操作が簡便となるのでよい。車両に接近したとは、例えば、ユーザが車両に乗り込むためのものであるとよい。また、車両への接近の検知は、例えば、電波の受信強度に基づいて行うとよい。通信環境が一定とすると、車載機器と携帯機器の間の距離が近いほど受信強度は強くなる。よって、係る受信強度に基づく判定を用いることで簡単に判定することができるのでよい。
【0021】
(14)前記携帯機器の表示部に、前記車載機の設定画面を表示し、その設定画面を用いて前記車載機器の設定を行うようにするとよい。リモートコントローラに比べて携帯機器の表示画面は大きくすることが容易にできる。リモートコントローラの表示画面は、携帯機器の画面よりも小さなサイズのものとするとよい。このようにすれば、設定内容の入力等が容易に行える。そして、設定画面を用いて入力された情報は、例えば第二系統の通信方式を用いてリモートコントローラに送られ、リモートコントローラが受信し情報に基づいて車載機器へ設定を行う。
(15)前記第二系統の通信方式は、前記携帯機器に標準装備されたものとするとよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、携帯機器を取り出して操作等することで、車載機器の制御を行うことができ、リモートコントローラを取り出して操作する煩雑さを解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第一実施形態等を示す図である。
図2】第三実施形態等を示す図である。
図3】第四実施形態等を示す図である。
図4】第六実施形態等を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。これらの図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。記載されている装置の構成や形状等は単なる説明例であり、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【0025】
[基本構成](第一実施形態)
図1は、本発明の車載機器用リモコンを用いたシステムの一例を示している。このシステムは、車両に設置される車載機器1と、この車載機器1と無線通信を行い当該車載機器1の動作を制御するリモートコントローラ2と、そのリモートコントローラ2と通信可能な携帯機器3を備える。車載機器1,リモートコントローラ2,携帯機器3は、それぞれ所定処理を実行する制御部1a,2a,3aを備える。また、後述するように他の機器等と通信するための通信回路を備える。
【0026】
車載機器1とリモートコントローラ2との間では、第一系統の通信方式による無線通信により情報の送受を行う。具体的には、車載機器1には、第一系統用無線通信回路1bを設け、リモートコントローラ2には、第一系統用無線通信回路2bを設けた。また、リモートコントローラ2と携帯機器3との間では、第一系統の通信方式と異なる第二系統の通信方式による無線通信により情報の送受を行う。具体的には、リモートコントローラ2には、第二系統用無線通信回路2cを設け、携帯機器3には、第二系統用無線通信回路3bを設けた。車載機器1の電源は、電池を搭載しても良いが、車両のバッテリーから電源供給を受けるようにするとよい。また、リモートコントローラ2の電源は、内蔵した一次電池を用いる。一次電池は、市販の乾電池やボタン電池等を用いると、容易に入手し実装でき、取り扱いが容易となるので良い。特に、ボタン電池とすると、リモートコントローラ2の小型化が図れるので良い。携帯機器3の電源は、内蔵した充電可能な電池を用いる。
【0027】
第一系統の通信方式は、第二系統の通信方式と比較して通信可能な距離が長いものとする。また、リモートコントローラ2が、一般ユーザに販売され、使用されることから、免許を要しない無線局として使用可能なものとする。そして、係る免許がいらない無線局の一つである微弱無線局で用いられる微弱な電波では通信距離が短く、通常の使用状況・環境において車載機器1とリモートコントローラ2が、通信範囲外に位置するおそれがあるので好ましくない。そこで、第一系統の通信方式は、特定省電力無線局に用いられる電波を使用した。この特定省電力無線通信を利用することで、通信距離は、例えば見晴らし距離で1~2km程度になり、また、障害物があった場合でも例えば数百m程度になる。よって、例えば自宅が戸建て住宅や、マンションで、車両を敷地内の駐車場に駐車した場合、リモートコントローラ2をリビング等の建物内に置いた状態で車載機器1と通信可能となる。
【0028】
第二系統の通信方式は、第一系統の通信方式と比較して通信距離が短いものとなる。さらに、第二系統の通信方式は、第一系統の通信方式に比べて消費電力が小さいものとするとよい。このようにすると、例えば第一系統の通信方式による通信は、通常は停止しておいて情報の送受を行うときに稼働させ、第二系統の通信方式による通信は、例えば常時,所定周期で通信を行うようにしても、電池の寿命がもつので良い。
【0029】
また、第二系統の通信方式は、携帯機器3に標準実装される通信回路に対応しているものを用いると良い。このようにすると、市販等されている携帯機器3を利用し、新たに通信回路等を追加などする必要がないので、好ましい。そして本実施形態では、第二系統の通信方式として、Bluetooth Low Energy(BLE)を用いた。このBLEは、汎用的であり、通信機能を備えた多くの携帯機器に採用されているため、通信方式については当該携帯機器をそのまま使用できるので良い。また、Bluetooth(登録商標)を利用した通信を行う場合、通信対象の機器同士がペアリングして接続する必要がある。このため、本実施形態では、リモートコントローラ2は、周期的(例えば1秒周期)にBLEの接続を図るための送信を行うようにした。このように周期的に送信しても、BLEの消費電力が小さいため、電力消費が小さく、リモートコントローラ2の電池が長持ちする。例えば、上述したようにボタン電池を用いて機器の小型化を図りつつ、例えば1シーズン等の長期間にわたり駆動させることができる。
【0030】
車載機器1は、例えばエンジンを始動するエンジンスタータである。エンジンスタータは、リモートコントローラ2からの動作命令を受けて、エンジンを始動したり、停止したりする処理を実行する。係る処理を制御部1aが実行する。そして具体的には、例えば、制御部1aは、車両から離れた位置にいるユーザの正規のリモートコントローラ2の操作に伴うエンジン始動命令を受信すると、エンジンを始動し、一定時間エンジンの運転動作を継続し、その後停止する制御を行う。このエンジンの運転動作の継続により、暖機運転を行ったり、車両に搭載されたエアコンにより車室内の温度を適温にしたりする。また、制御部1aは、動作停止命令を受信すると、運転動作中のエンジンを停止する制御を行う。さらに、制御部1aは、受信した動作命令に対する実行結果を、第一系統用無線通信回路1bを用いてリモートコントローラ2に向けて送信する。係るエンジンスタータしての基本機能は、従来公知のものと同様である。
【0031】
また、リモートコントローラ2は、操作部2dを備える。上述したとおり、車載機器1がエンジンスタータとすると、操作部2dは、例えば、始動スイッチ、停止スイッチ等の動作指示に対応する押しボタンスイッチである。車両から離れた位置にいるユーザは、当該操作部2dを押下することで、車両に搭載された車載機器1を動作させ、エンジンを始動させたり、停止させたりして、遠隔操作する。係る処理を行うため、制御部2aは、この操作部2dに対する操作を検知すると、係る操作に対応する指示命令を第一系統用無線通信回路2bから送信する。そして車載機器1は、上記の第一系統用無線通信回路2bから送信された指示命令を、第一系統用無線通信回路1bにて受信し、制御部1aが指示命令に従った処理を実行する。このように、リモートコントローラ2は、直接、車載機器1のリモートコントロールを行う機能を備える。係る機能は、従来からある既存のエンジンスタータの機能と同じである。
【0032】
さらに、リモートコントローラ2は、報知部2eを備える。報知部2eは、動作状況等を報知するもので、例えば、車載機器1から送られてきた実行結果を報知する。報知部2eは、視覚や聴覚を用いて報知するものである。視覚を用いるものの場合、報知部2eは、例えば、表示パネルを用い、実行結果を文字、図形等で表示するようにしたり、LEDなどの発光手段を用い、点灯状態(点滅/消灯/点灯)や、発光色により報知したりする。また、聴覚を用いるものの場合、報知部2eは、例えばスピーカを用い音声やブザーなどで報知する。これらを一つ又は複数を組み合わせて実現する。
【0033】
また上述したように、リモートコントローラ2は、携帯機器3と通信可能となっている。後述するように携帯機器3からリモートコントローラ2に対して発せられた実行コマンドを含む指示情報をリモートコントローラ2が受け付けると、リモートコントローラ2は、その指示情報に従った所定の処理を実行し、車載機器1のリモートコントロールを行う。所定の処理は、例えば、携帯機器3からエンジン始動命令やエンジン停止命令を受信すると、車載機器1に向けてエンジン始動命令やエンジン停止命令を送信する。この送信するエンジン始動命令やエンジン停止命令は、例えば、リモートコントローラ2の操作部2dからの指示を受けて送信するものと同等とするとよい。また、リモートコントローラ2は、受け付けた指示情報に伴う処理が完了すると、携帯機器3に向けて実行完了通知を送信する。このように本実施形態のリモートコントローラ2は、自己が有する操作部2dに対する操作に基づき車載機器1を直接コントロールする機能(機能1)と、携帯機器3からの指示に基づいて車載機器1をコントロールする機能(機能2)を有する。
【0034】
携帯機器3は、例えば、携帯通信端末のように、持ち運べるとともに通信機能を備えた機器とするとよい。これらの機器の一例としては、スマートフォン,携帯電話、タブレットPCなどがある。例えばスマートフォン等は、常に持っていたり身近な所に置いていたりするので、リモートコントローラ2を取り出す必要がなく便利であるのでよい。また、スマートフォンやタブレットPCなどは、アプリを簡単にダウンロードし、インストールすることができるので、ユーザは保有する汎用のスマートフォン等に本発明に対応する機能のアプリをダウンロードしてインストールすることで本システムを実現できるので良い。
【0035】
また、例えばスマートフォン等の場合、通信機能として、3GやLTEといった長距離通信可能な通信回路と、Bluetoothに対応した通信回路が標準機能として採用されている。
【0036】
そこで、第二系統用無線通信回路3bは、係る標準機能として搭載されているBluetooth用の通信回路を利用する。このように標準機能として搭載されている通信回路を利用することで、第二系統用無線通信回路3bとして新たな通信回路の追加が不要となるので好ましい。また、上記の機能2を実施する場合、ユーザは、携帯機器3の操作部3dを操作する。そのため、携帯機器3は、ユーザが持ち歩き、取り出しを容易に行えるものがよい。スマートフォンは、係る点に鑑みても携帯機器3に適用するのに好ましい。
【0037】
なお、スマートフォンには、3GやLTEといった特定省電力無線に比較して通信距離が非常に長距離となる通信方式を備えている。第一系統の通信方式として係る3G等を用いるようにすれば、例えばスマートフォンが直接車載機器1と通信し、車載機器1をコントロールすることが可能となる。しかし、第一系統の通信方式として3G等を採用すると、例えば車載機器1の第一系統用無線通信回路1bを3G等に対応させる必要があり、コスト高となり実用に供し得ない。また、車載機器1がエンジンスタータとして実装する場合、例えば自宅等の屋内に居たユーザが、遠隔でエンジンを始動し、暖機運転や車室内温度の調整等を行う。従って、係る用途から鑑みると、ユーザが操作する地点が車両から離れているとはいっても何kmも離れているわけではく、3G等の通信距離まで必要とせず、特定省電力無線の通信距離でも十分となる。そこで、コストと必要十分な通信距離を考慮し、第一系統の通信方式として特定省電力無線を採用した。
【0038】
また、携帯機器3は、身につけて持ち歩くことが出来るウエアラブル機器を用いても良い。ウエアラブル機器は常に身に付けておくことが多いので、リモートコントローラ2を取り出す必要がなく便利である。特に、腕時計型または腕輪型等のものがよい。それらの各タイプのものは、腕に装着した状態にあるため、非装着側の手を用いて簡単に操作ができるので良い。
【0039】
携帯機器3は、表示部3cと操作部3dを備える。表示部3cは、各種の液晶ディスプレイ等で構成する。操作部3dは、メカニカルな押しボタンスイッチや、タッチパネル等で構成する。そして本実施形態では、携帯機器3の操作部3dは、少なくともリモートコントローラ2を操作して車載機器1をコントロールするための操作部2dの機能と同等のものを備える。よって、リモートコントローラ2を操作して実行することは、リモートコントローラ2を取り出すことなく携帯機器3に対する操作により実行できるようになる。携帯機器3が例えばスマートフォン等の汎用の携帯機器3の場合、第二系統用無線通信回路3bと同様に、標準機能として搭載されているものをそのまま利用するとよい。
【0040】
また、スマートフォン等は、所定のアプリをダウンロードしてインストールすることで当該アプリによる機能を実行可能な装置となる。本実施形態では、エンジンスタータ用アプリをインストールする。このインストールに伴い、制御部3aはエンジンスタータ用アプリのアイコンを表示部3cに表示する。そして、制御部3aは、操作部3dに対する操作により当該アイコンがタッチされたことを検知すると、エンジンスタータ用アプリを起動する。
【0041】
この起動に伴い、制御部3aは、例えば表示部3cにメニュー画面を表示し、そのメニュー画面に表示されるいずれかのメニュー項目がタッチされるのを検知すると、タッチされたメニュー項目に対応する操作画面を表示する。この操作画面は、例えば、エンジンの始動ボタンと、エンジンの停止ボタンを所定位置に配置した指示入力画面や、各種の設定を行う設定画面などがある。このエンジンの始動ボタンとエンジンの停止ボタンは、リモートコントローラ2の操作部2dと同等のものである。また制御部3aは、アプリの起動に伴い、第二系統用無線通信回路3bを用いてリモートコントローラ2との間でBluetooth(BLE)の接続を行う。
【0042】
制御部3aは、例えば操作画面の「始動ボタン」や「停止ボタン」がタッチされたことを検知すると、Bluetooth(BLE)を利用してリモートコントローラ2に向けて対応する実行コマンド(例えば、始動命令,停止命令等)を送信する。
【0043】
なお、制御部3aは、接続停止条件を満たすと、リモートコントローラ2との接続を切断する。接続停止条件は、例えば、実行コマンドを送信してから設定した時間を経過後とするとよい。アプリ起動中であっても、接続を切断することで携帯機器3の電池の消耗を抑制することができるのでよい。
【0044】
*利用態様
上述したシステムの実際の利用態様の一例は、以下の通りである。上記の機能2に示すように、本実施形態では、携帯機器3がリモートコントローラ2をコントロールするがごとく動作する。係る機能2を実行する場合、ユーザは、携帯機器3に対して操作すればたり、リモートコントローラ2の操作部2dを操作しなくて済む。そこでユーザは、例えば、車両を駐車した駐車場から離れた箇所、例えば、建物内の所定位置において携帯機器3を取出し、操作部3dを操作し、車載機器1のリモートコントロールや設定等をする。
【0045】
このとき、ユーザはリモートコントローラ2に触れる必要が無いので、リモートコントローラ2をバッグやポケットに入れておいたまま、或いは、屋内の適宜の位置に置いた状態のまま車載機器1をコントロールする。よって、ユーザは、携帯機器3を取り出すことができれば、リモートコントローラ2をバッグ等から取り出す必要が無く、また、リモートコントローラ2の置いてある場所に行く必要はなく便利である。特に、携帯機器3として、スマートフォンのように常時携帯していたり、身近に置いていたりする機器を用いた場合、ユーザは携帯機器3を自然に持ち歩き、手に持って操作するので、当該携帯機器3を用いた操作をスムーズに行えるので良い。
【0046】
また、例えば、建物内のリビングその他の居室等のユーザが良くいる場所が、第一系統の電波が届きにくい等の通信環境・電波環境が悪い場合、リモートコントローラ2を第一系統による通信環境・電波環境の良い場所に置く。そして、係るリモートコントローラ2を置いた場所が、ユーザが存在している場所から第二系統の通信が可能な範囲内であれば、ユーザは、当該第一系統による通信環境・電波環境の悪い場所にいても携帯機器3を操作し、車載機器1をコントロールすることができる。よって、ユーザは、車載機器1の制御を行うために、電波環境の良い場所まで移動する必要が無く、良くいる居室等にいながら操作ができるので好ましい。
【0047】
一方、本実施形態では、機能1を実行することで、リモートコントローラ2を操作し、直接車載機器1をコントロールすることができる。よって、ユーザは、例えばたまたま携帯機器3が手元になかったり、見つからなかったり、動作不能な場合であったりしても、リモートコントローラ2を取出し、操作部2dを操作することで車載機器1をコントロールすることができる。さらに、リモートコントローラ2は、操作部2dの操作が簡単であるので良い。例えば、リモートコントローラ2の操作部2dは押しボタンスイッチで外部に露出しおり、当該押しボタンを押下するだけで、エンジンの始動/停止の命令を車載機器1に送る。一方、携帯機器3がスマートフォンとすると、アプリを起動し、メニュー画面から複数階層を経て操作画面の「始動ボタン」や「停止ボタン」をタッチする必要があり、実際の指示を入力するまでに複数操作が必要となる煩雑さがある。よって、ユーザは状況に応じて適宜使い分けると良い。
【0048】
[双方向通信対応](第二実施形態)
本実施形態では、上述した第一実施形態を基本とし、以下の機能を付加した。リモートコントローラ2は、第一系統の通信により車載機器1からの通信を受信したら、その内容を第二系統の通信により携帯機器3に送信する機能を備える。係る機能を実現するには、例えば、リモートコントローラ2の制御部2aは、第一系統用無線通信回路2bを介して車載機器1から送られてきた情報を受信すると、当該情報を第二系統用無線通信回路2cを用いて携帯機器3に向けて送信する。車載機器1から送られてくる情報は、例えば、リモートコントローラ2から送信した動作命令に対する実行結果や、アンサーバック等がある。
【0049】
携帯機器3の制御部3aは、第二系統用無線通信回路3bを介してリモートコントローラ2から送られてきた実行結果(成功/失敗等)やアンサーバック等を受信すると、その受信した内容を表示部3cに出力する。係る表示は、例えば、文字、マーク等により行うと良い。ユーザは、係る表示を見ることで、その内容を容易に理解できるので好ましい。また、特に、リモートコントローラ2は、小型化の要請があり、リモートコントローラ2に設けた報知部2eは、表示部を設置できずLEDの点灯という簡易なものであり、仮に、表示部を設けたとしても、リモートコントローラ2の全体の寸法が小さいとともに操作部2d等も実装することから表示面積は小さくなる。よって、リモートコントローラ2を用いた報知では、車載機器1からの情報を迅速かつ十分に理解することができない。これに対し、携帯機器3が例えばスマートフォンとすると、その表示部3cの表示面積は、リモートコントローラ2に設けた報知部2eに比べて大きく、また解像度も高いため報知内容が見やすくなるので良い。
【0050】
上述した第一実施形態では、携帯機器3は、リモートコントローラ2に対して実行コマンドを送信するが、送信後は、リモートコントローラ2と車載機器1との間で通信を行い、車載機器1からアンサーバックや実行結果の通知があると、リモートコントローラ2の報知部2eを用いた報知出力を行っているが、携帯機器3側ではその内容が不明であった。そのため、ユーザは、係る車載機器1からの通知内容を確認する場合には、リモートコントローラ2を取り出したりする必要があり煩雑であるという課題を生じる。これに対し、本実施形態では、携帯機器3にて車載機器1から送られてきた情報を確認することができるので便利である。
【0051】
また、制御部3aは、送信した実行コマンドに対応する実行完了通知(例えば、実行結果が成功)を受け付けると、リモートコントローラ2との接続を切断する。このようにすると、携帯機器3の電池の消耗を抑制することができるのでよい。なお、その他の構成並びに作用効果等は上述した実施形態と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
【0052】
[リモートコントローラで一時記憶](第三実施形態)
図2に示すように、本実施形態では、リモートコントローラ2が、記憶部2fを備える。制御部2aは、第2系統による通信で携帯機器3から実行コマンド等の指示情報を受信したらその指示情報を記憶部2fに一時記憶する。そして、制御部2aは同時に第一系統の通信回路を立上げ、一時記憶した指示内容を第一系統による通信で車載機器1に送信する。また、車載機器1からアンサーバックを受信したら、アンサーバック内容を同じく一時記憶し、一時記憶した内容を第二系統の通信で携帯機器3にアンサーバックし、第一系統で車載機器1からの通信を受信したらその内容を一時記憶し、一時記憶した内容を第二系統で携帯機器3に送信する。そして携帯機器3からの指示情報を受信してから、車載機器1への指示情報の送信やアンサーバックの受信等の一連の通信を行った後は第一系統の通信回路を切るようにするとよい。
【0053】
このように、リモートコントローラ2は、携帯機器3または車載機器1から受信した内容を、一旦、記憶部2fに一時記憶しておき、それを送信するようにした。これにより、リアルタイム処理をせずに済み、処理速度は遅いが低消費電力の回路や部品を使用できる。 また、消費電流が多い回路は第一系統であり、常時は第一系統の通信回路は切っておき、第二系続の通信回路で携帯機器からの指示情報を受信したら第一系統の通信回路を立ち上げて送信することにより省電力化でき、電池寿命を長くし、また小容量の電池の使用による小型化が実現できる。
【0054】
なお、上記の実施形態は、第二実施形態の双方向通信を前提として説明したが、第一実施形態に適用しても良い。この場合、車載機器1から受信した内容を携帯機器3に送信しないため、係る送信のために記憶部2fに一時記憶する処理並びにそれに伴う携帯機器3への送信処理等がなくなる。なお、その他の構成並びに作用効果等は上述した実施形態と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
【0055】
[携帯機器が直接車載機をコントロール](第四実施形態)
図3に示すように、本実施形態では、上述した各実施形態の構成を前提とし、車載機器1に第二系統用無線通信回路1cを搭載した。そして第二系統の通信を利用して、車載機器1と携帯機器3が直接通信する機能を設けた。
【0056】
携帯機器3の制御部3aは、操作部3dへの操作を検知し、それが「始動ボタン」や「停止ボタン」への操作の場合、第二系統用無線通信回路3bを用い、車載機器1と接続を試みる。携帯機器3と車載機器1が第二系統の通信で直接通信できる圏内にいる場合、当該接続がなされるので、車載機器1に対して所定の動作命令(始動/停止等)を送信する。
【0057】
車載機器1は、第二系統用無線通信回路1cを介して動作命令を受信すると、受信した動作命令に対応する処理を実行する。また、制御部1aは、実行結果(成功/失敗等)やアンサーバック等の情報を、第二系統用無線通信回路1cから第二系統の通信を利用して携帯機器3へ送信する。
【0058】
携帯機器3の制御部3aは、係る車載機器1からの情報を受信すると、受信した情報に応じた内容を例えば表示部3cに出力する。表示部3cへの出力は、例えば、上述した第二実施形態等と同様にすると良い。
【0059】
一方、携帯機器3の制御部3aは、車載機器1と第二系統の通信による接続が採れない場合、リモートコントローラ2との間で接続を試みる。接続がされたならば、上述した各実施形態と同様に、リモートコントローラ2に向けて対応する実行コマンド(例えば、始動命令,停止命令等)を送信等、所定の処理を実行する。これにより、携帯機器3と車載機器1が第二系統の通信で直接通信できる圏内にいない場合、携帯機器3は、リモートコントローラ2をコントロールし、リモートコントローラ2を介して車載機器1をコントロールする。
【0060】
本実施形態の車載機器1に対するコントロールは、車載機器1を基準に見た場合、リモートコントローラ2から第一系統の通信を利用して行う形態と、携帯機器3から第二系統の通信を利用して行う形態を有する。また、携帯機器3を基準に見た場合、上述した各実施形態のようにリモートコントローラ2を制御し、リモートコントローラ2経由で車載機器1を制御する形態と、直接車載機器1を制御する形態がある。また、リモートコントローラ2を基準に見た場合、自己の操作部2dからの指示に従い車載機器1をコントロールする形態と、携帯機器3からの実行コマンドの受信に伴い車載機器1をコントロールする機能がある。このように、各種の形態を有することで、状況に応じて適切な形態を利用して車載機器1のコントロールを行うことができる。
【0061】
そして、携帯機器3と車載機器1が第二系統の通信で直接通信できる圏内にいる場合には第一系統の通信回路は作動させず、車載機器1と携帯機器3は直接通信を行うようにしてリモートコントローラ2による制御を行わないようにするとよい。このようにすると、リモートコントローラ2の電池の消耗が少なくでき、不要な電波も出さず、通信速度や応答速度も速くできるので好ましい。なお、その他の構成並びに作用効果等は上述した各実施形態と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
【0062】
[操作内容を携帯機へ通知](第五実施形態)
リモートコントローラ2の制御部2aは、操作部2dに対するボタン操作に基づき第一系統用無線通信回路2bを用いて車載機器1に向けて動作命令を送信した場合、その送信内容及びそれに対応した車載機器1からのアンサーバック等の受信内容を第二系統で携帯機器3に送信する。これにより、携帯機器3側でも、その内容を確認したり、次の操作を携帯機器3からもできるようになる。
【0063】
本実施形態では、リモートコントローラ2と車載機器1との間の通信内容を携帯機器3にも送り、携帯機器3の表示部3cで表示等する事により、リモートコントローラ2に表示機能を持たせないようにしたり、仮に持たせたとしてもより簡易・小さいもので済み、 リモートコントローラ2の小型化、低コスト化ができる。またリモートコントローラ2で操作後、リモートコントローラ2をすぐにバッグやポケットにしまっても、その後のアンサーバック等の車載機器1から送られてくる情報を携帯機器3で確認することができ、また、その後の操作を携帯機器3でできるので良い。
【0064】
たとえば、上述したように、車載機器1に対する動作命令を送るためのユーザの操作は、リモートコントローラ2の方が簡単に行うことができる。一方、例えばエンジンスタータの場合、動作命令を送信してから実際にエンジンが始動するまでの間に時間がかかる(例えば数十秒程度)。そのため、例えば朝の時間など出かける前に遠隔でエンジンを始動するような場合、指示は簡単に行いたいために例えば手元にリモートコントローラ2がある場合には、それで操作するが、その後一定時間にわたりリモートコントローラ2を携帯して待ち続けるのは煩わしい。そこで、本実施形態のように、リモートコントローラ2での動作指示の入力操作をした後は、携帯機器3を持ち歩き、当該携帯機器3で実行結果等を確認することができるので良い。携帯機器3を持ち歩くのは、日常良く行われているため、ユーザにとって違和感なく行え、煩わしさもないので良い。さらに、表示部3cの表示面積も大きく見やすいことから、例えば、リモートコントローラ2にて行った動作命令の内容を確認したり、車載機器1から送られてきた内容を確認したりすることが、容易に行えるので良い。また、例えば動作命令の内容を確認した結果、予期していない操作の場合、リモートコントローラ2を取り出すことなく、そのまま携帯機器3を操作して動作命令の取消等の所定の処理を実行することができるので良い。
【0065】
[機能切り替え](第六実施形態)
本実施形態では、車両の状態・状況に応じてリモートコントローラ2並びにシステムの機能を切り替えるようにした。車両の状態・状況は、たとえば、車両が走行するという本来の機能を実行できない状態・状況にあるか否かである。本来の機能を実行できる状態・状況とは、実際に走行している場合と、走行速度は0km/hで一時停止等していても、アクセルやブレーキ操作やシフトポジションの切り替え等の運転操作により走行できる状態にある場合等がある。また、車両の状態・状況は、上述した各実施形態で示したエンジンスタータ機能のように車載機器1を本来の機能として実行する状態・状況にあるか否かともいえる。一例としては、車両が駐車中の場合、車両が走行するという本来の機能を実行できない状態・状況にある。
【0066】
上記の車両の状態・状況の判断は、車両のエンジンキーのON/OFFにより行うとよい。車両のエンジンキーがOFFの場合、上述した実施形態で示すように、リモートコントローラ2は、第一系統のみあるいは第二系統を加えた通信を用いて車載機器1をコントロールする。これにより、エンジンスタータの機能が動作し、エンジンの始動や停止を行う。
【0067】
一方、エンジンキーがONの場合は、第二系統の通信で車両情報や車両の走行情報を携帯機器3やリモートコントローラ2に伝送し、携帯機器3やリモートコントローラ2は車載機器1から送られた情報を表示したり、記憶したりする。尚、エンジンキーがONは、例えばACCまたはIG(イグニッション)がONのこととする。
【0068】
この車両情報や車両の走行情報を送信する際、第二系統の通信を利用するとよい。例えば第一系統として使用される特定小電力無線は、送信できる情報の内容,量等に制限があり、通信速度が遅く、消費電力も大きいため、逐次車両情報等を送信するのに不向きとなる。そこで、第二系統の通信として使用されるBLEは、通信速度も速く、大量の情報を送信することができ、消費電力も小さいので好ましい。係る処理を実行するための装置は以下のようになっている。
【0069】
本実施形態において、例えばエンジンキーがOFFの場合のように、車載機器1がエンジンスタータのように基本機能として動作し、リモートコントローラ2,携帯機器3がそれをコントロールするような状況下では、上述した各実施形態等と同様に動作するので、詳細な説明を省略する。
【0070】
そして、例えばエンジンキーがONの場合のように、車載機器1等が基本機能として動作せず、第二機能として動作するための構成は、例えば図4に示すように、車載機器1にも第二系統用無線通信回路1cを搭載した装置をベースとする。そして、その第二系統用無線通信回路1cを介し、第二系統の通信でリモートコントローラ2或いは携帯機器3の少なくとも一方と通信可能とする。
【0071】
また、車載機器1は、車両情報等を取得する機能を備える。車両情報とは、例えばエンジンの回転数情報、燃費情報、車両の運転一操作情報等の走行中の履歴データである。走行情報とは、例えば走行中の画像や音の情報(録画、録音)、走行軌跡情報、走行速度情報、衝撃や振動、加速度等の情報の履歴データである。
【0072】
エンジンキーがON等であることを認識した車載機器1は、車両情報等を取得する機能により、適宜のタイミングで車両情報等を取得する。制御部1aは、取得した車両情報等を第二系統の通信を用い例えばリモートコントローラ2に送信する。
【0073】
リモートコントローラ2には、記憶部2fを備える。この記憶部2fは、本実施形態との関係でいえば、車載機器1から送られてきた車両情報等を記憶する。制御部2aは、第二系統用無線通信回路2cを介して受信した車両情報等を記憶部2fに格納する。例えばドライブレコーダその他の車載機器では、車両情報等を取得し記憶する機能を備えたものがある。係る車載機器において、記憶した車両情報等を車外に持ち出し外部のパソコン等で確認・解析等しようとした場合、車載機器にメモリカード等の着脱可能な記録媒体を装着し、車両情報等を当該メモリカードに記録する。そして、ユーザは、降車時に、車載機器からメモリカード等を取り外し、当該メモリカードを携帯して車外に持ち出す必要がある。しかし、降車時に係るメモリカードを取り外す作業は繁雑で、忘れやすく、小さいメモリカードを持ち運ぶのも面倒であるとともに、紛失するおそれがあり、置き忘れ等した際に見つけにくいといった課題がある。
【0074】
一方、リモートコントローラ2は、降車時にはほぼ確実に車外に持ち出すものである。よって、本実施形態では、車載機器1が取得した車両情報等をリモートコントローラ2に記憶させるようにしたため、降車時に車載機器からメモリカード等を取り外して持ち出す必要がなく、外部に持ち出すための特別な作業は不要であるので、持ち出し忘れもなく、確実に外部に持ち出すことができ、リモートコントローラ2は適度な大きさを備えているため、紛失したりするおそれもないのでよい。
【0075】
記憶部2fは、内部メモリやメモリカードとするとよい。メモリカードは着脱可能であるため、例えばリモートコントローラ2をパソコン等のそばまで持って行き、そこでメモリカードを取り外すとともにパソコン等にセットし、記憶した情報を読み出すようにすると良い。また、内部メモリの場合、記憶した情報は例えば第二系統用無線通信回路2cを用い、BLEにてパソコン等に伝送するようにしても良い。
【0076】
また、上記のようにリモートコントローラ2で記憶するのではなく、携帯機器3に記憶部3eを備え、この記憶部3eに車両情報等を記憶するようにしてもよい。携帯機器3がスマートフォン等とすると、標準装備として内部メモリを備えており、また、メモリカードのように着脱可能な記憶手段を備えているものもあるので、それを利用することができるのでよい。
【0077】
この場合、リモートコントローラ2は、例えば第二実施形態のように、車載機器1から送られてきた車両情報等を受信すると、受信した車両情報等を携帯機器3に第二系統の通信を利用して送信する。そして携帯機器3の制御部3aは、リモートコントローラ2から送られてきた車両情報等を受信したら、記憶部3eに格納する。また、係る受信した車両情報等を表示部3cに出力してよい。この場合、リモートコントローラ2は、記憶部2fを必ずしも備えていなくてもよい。すなわち、第二実施形態のようにその場でリアルタイムに転送するようにした場合、記憶部2fはなくしてもよい。また、第三実施形態のように、一時記憶し転送する機能を備える場合、制御部2aは受信した車両情報等を記憶部2fに一時格納し、適宜のタイミングで一時記憶した情報を携帯機器3へ送るようにしてもよい。
【0078】
さらには、車載機器1の車両情報等の送信相手を携帯機器3とし、車載機器1から直接携帯機器3に車両情報等を伝送するようにしてもよい。このようにすると、リモートコントローラ2が中継する処理が不要となり、省電力化が図れるとともに、リモートコントローラ2が車両情報等を記憶保持しないですむため、本実施形態との関係で記憶部2fを設けない構成をとったり、仮に設ける場合でもメモリ容量を小さくしたりできるのでよい。また、車載機器1が発する情報が、リモートコントローラ2を経由しないで直接携帯機器3に伝送されるため、通信負荷が削減され好ましい。
【0079】
ユーザは、通常、携帯機器3も降車時に持って降りるため、リモートコントローラ2の場合と同様に降車時に車載機器からメモリカード等を取り外して持ち出す必要がなく、外部に持ち出すための特別な作業は不要であるので、持ち出し忘れもなく、確実に外部に持ち出すことができる等の同様の効果を奏する。携帯機器3の記憶部3eに格納した情報の取出しは、例えば上述したリモートコントローラ2と同様に行える。
【0080】
本形態によれば、車両が駐車中等ではエンジンスタータやカーセキュリティとして機能し、走行中等では携帯機器3で車両情報や車両の走行情報等を取得して表示したり、記憶しておき下車後に車両情報や車両の走行情報等をパソコン等で確認したり解析したりして利用できる。
【0081】
また、上述したように、携帯機器3が車両情報等を受け取った場合、制御部3aは記憶部3eに記憶してもよいし、係る機能に変えて、或いは係る機能に加えて表示部3cに出力する機能を備えてもよい。表示部3cに表示するようにすると、走行中等において車両情報等をリアルタイムで確認することができるのでよい。
【0082】
本実施形態では、第二系統の無線回路を、エンジンキーがOFF等の車両が走行していないとき行う車載機器1のコントロール等をする基本機能と、エンジンキーがON等の車両の走行中等において行う上記の伝送機能とで流用することができるので、コスト的メリットもある。
【0083】
車載機器が持つ車両情報等を取得する機能は、例えば、車両の故障診断機接続端子(OBDII端子)に接続し車内LANから情報を取得するように構成するとよい。車載機器1をOBDIIに接続することにより、OBDIIは車内LANに接続しているため、車内LANに流れている各種車両情報を取得することができる。例えば、エンジンスタータでは車種にもよるが、車内温度、車外温度、冷却水温度、エンジンの回転数、アイドリング中の燃料消費量等、エンジンスタータとして有益な情報が得られる。これら情報を携帯機器に表示する他、これら情報を利用し、例えば車内温度、車外温度、冷却水温度によりアイドリング時間やアイドリング時のエンジン回転数を調整したりする機能を備えるとよい。 走行中は、走行速度、エンジンの回転数、燃費情報、燃料消費量、その他多くの情報が得られ、走行中のこれら情報を表示し、または記憶して解析することにより、エコ運転や安全運転に役立てることができる。
【0084】
車両の走行情報は、例えば車載カメラによる走行中の車両周辺画像情報、マイクロホンによる音声情報、測位システムによる走行軌跡情報、走行速度、加速度等車両の走行ログ情報、衝撃センサーや角速度センサー等の走行状態検知センサー情報などがある。これら各種の情報を取得する手段を車載機器1が備えるか、車載機器1が連携し情報を取得する。
【0085】
そしてこれらの走行情報を携帯機器3またはリモートコントローラ2に記憶させ、携帯機器3やPC等で表示や解析を行うことにより、事故時の記録を見て事故原因の確認や解析をしたり、走行状態を解析することにより運転者の安全運転教育や修得に役立てたりすることができる。
【0086】
[第一系統の通信回路の制御](第七実施形態)
上述した各実施形態において、車両のエンジンキーがONになったら第一系統の通信回路を遮断する機能を備えるとよい。例えば、車載機器1の制御部1aは、エンジンキーがONになったことを検知すると、第一系統用無線通信回路1bを遮断する。これにより、仮にリモートコントローラ2で誤った操作が行われたとしても、車載機器1側で受け付けず、車両への悪影響や電波妨害を防ぐことができる。さらに、消費電力の大きい第一系統用無線通信回路1bを遮断することで、電池駆動の場合に電池の消耗を防ぐことができるのでよい。そして、車両のエンジンキーがONになると第一系統の通信は不要なため、切断しても問題はない。
【0087】
また、車載機器1にも第二系統用無線通信回路1cを備えている場合、例えば第二系統用無線通信回路1cは遮断せず、他の機器とリンクを採ることで通信可能とするとよい。第二系統用無線通信回路1cの消費電力は小さいため、電池の消耗に対す影響が少ないとともに、例えば、本実施形態を第六実施形態のようにエンジンキーがON等のときに起動する機能を備えた装置に適用する場合に、当該機能を実行させるためである。
【0088】
また、例えば、第四実施形態のように、携帯機器3が第二系統の通信を利用して直接車載機器1をコントロールする機能を備えた実施形態に適用する場合、第二系統用無線通信回路1cを遮断し、他の機器とリンクを採ることができないようにすると良い。このようにすると、携帯機器3の誤った操作が行われたとしても、車載機器1側で受け付けず、車両への悪影響や電波妨害を防ぐことができる。
【0089】
[携帯機器を用いた各種設定機能](第八実施形態)
上述した各実施形態等では、携帯機器3を操作して与えた動作指示を、リモートコントローラを介して車載機器1に伝え、車載機器1が当該動作指示に従って動作するようにした。本実施形態では、係る機能を利用し、携帯機器3により車載機器1の各種設定及び設定変更ができるようにした。すなわち、各実施形態において、携帯機器3の制御部3aは、操作部3dに対する操作に従い、所定の設定画面(図示省略)を表示する。そして、制御部3aは、設定画面を介して入力された設定情報を第二系統の通信を利用してリモートコントローラ2に送る。リモートコントローラ2の制御部2aは、受信した設定情報を第一系統の通信を利用して車載機器1に送る。車載機器1の制御部1aは、第一系統の通信を利用して受信した設定情報に基づき、各種の設定を行う
【0090】
リモートコントローラ2は、小型化が求められることから大きな表示器は設けられない。よってリモートコントローラ2で車載機器1の設定や設定変更を行う場合、例えば設定のためのボタンが小さくて押しにくい。また、当該ボタンの数が少なく一つのボタンに複数の機能を割り当てることから階層的に操作をする必要が生じるが、大きな表示器を備えていないことから操作はし難く、複雑な設定や種類の多い設定は困難であるという課題がある。その結果、ユーザは、出荷時にメーカにおいて設定された初期状態のまま使用するとともに、実際の使用環境等に適切な設定に必ずしもならず、車載機器1の機能を十分に発揮させることができないという課題がある。特に、状況に応じて頻繁に変更したり、細かい設定を行うのが好ましい場合、上記の課題が顕著となる。一方、携帯機器3に用いられるスマートフォン等は、大きな表示器やタッチパネル等操作性もよいので、複雑な設定や種類の多い設定も容易にできるので、上記の課題が解決でき好ましい。
【0091】
係る設定は、エンジンスタータにおいて車室温や冷却水の温度によりアイドリング時間を調整、またはアイドリング時のエンジン回転数を調整する等の設定等は小さなリモコンでは難しい。そのため、既存のシステムでは、別途特別なパソコン等を使って取付け専門業者が車載機器1に対して行う必要があり、ユーザが気軽に設定・変更できず係る設定は実用的でないという課題が生じる。本実施形態を用いれば、スマートフォンやタブレットPCなどの携帯機器3を用いて簡単に設定を行うことができる。更に携帯機器3の操作により設定ができるため、係る設定情報はリモートコントローラ2を介して車載機器1に送られ、設定されるので、家の中等、車両から離れた場所でも車載機器1の設定や設定変更ができる。
【0092】
また例えば、カーセキュリティにおいて、各センサーの感度や使用の有無を、車両や駐車環境に合わせそれぞれを細かく設定するものがある。例えば、自宅の車庫に駐車する場合には、高感度にし、動作するセンサーの数・種類が多い設定にし、当該駐車中の車両に第三者が近づくことは想定しづらく、車両にいたずら、盗難等のおそれがある場合、確実かつ早期に検知し、警報を発して当該第三者への威嚇やユーザへの報知ができるようにするのが良い。一方、街中の駐車場に駐車する場合には、隣接する駐車する別の車両の運転者が当該別の車両に乗る込むためにユーザの車両に近づくことがあり、また、一般の人が駐車場の近くの道路を通行することもあるため、誤検出・誤警報をしないように低感度・低機能の設定にするのがよい。
【0093】
さらに、スマートフォン等の携帯機器3は、GPS受信機等の現在位置を検出する機能を備えているものが多々ある。この場合、例えば、自宅の位置を登録しておき、GPS受信機等で認識した現在位置が、自宅或いはその周辺であるか否かを判断し、自宅等の場合であれば高感度・高機能の設定を行い、自宅等で無い場合には街中にあわせた低感度で動作するセンサーの数・種類も少ない設定にするようにすると良い。このように感度等の設定・変更が、現在位置に基づいて適切な内容に行われるようにすると、ユーザは特別な知識が無くても、簡単に適切な設定にすることができるのでよい。係る設定の変更は、例えば、カーセキュリティのアームを携帯機器3の操作に基づいて行う場合、適宜のタイミングで現在位置に基づく設定情報を送信するとよい。このようにすると、ユーザは、携帯機器3を用いてアーム操作を行うだけで、その場所にあった適切な設定の変更することができるので良い。また、このようにアーム操作と連動させるのではなく、表示部3cに用意した現在位置に基づく設定のためのボタンをタッチすることを契機として、現在位置に基づく設定を行うようにすると良い。
【0094】
[車載機器の作動制御](第九実施形態)
上述した各実施形態等では、携帯機器3を操作して与えた動作指示を、リモートコントローラを介して車載機器1に伝え、車載機器1が当該動作指示に従って動作するようにした。本実施形態では、係る機能を利用し、携帯機器3により車載機器1の作動を事前予約及び予約変更する機能を備えた。
【0095】
車載機器1がエンジンスタータの場合、携帯機器3からエンジンの始動命令を出力する時刻を予約する機能を持たせ、さらに、その予約を曜日等に応じて変更できるようにした。例えば、「毎日朝7時にエンジンを始動させる」ようにしたり、あるいは「毎週月曜日~金曜日は朝7時にエンジンを始動させるが、土曜日・日曜日はエンジンを始動させない」ようにしたりするなどのタイマ予約機能を持たせる。係る予約を設定するに際し、携帯機器3が持つ大きな表示画面やタッチパネルで操作すれば、曜日毎の始動の有無や始動時間の設定が容易にできる。更にカレンダーを表示し毎日異なる時間に設定、作動させる日、作動させない日の設定といった日付毎の設定等も容易にできる。さらに、設定時刻の所定時間前にアラームを鳴らしたり、設定時刻までの残り時間を表示させたりする等の付加機能も色々付けられる。また、一度設定した設定時刻の変更も容易にできる。
【0096】
また、カーセキュリティでの利用例としては、例えば駐車時にはセキュリティをアームさせず、所定時刻から所定時刻の間アームさせる。あるいは、駐車時にアームした後、所定時刻から所定時刻までは警戒モードを変更する。例えば所定時刻までは人や車の出入りが多い場所に駐車した場合、当該所定時刻まではアームしないか、または弱い警戒モードでアームにしておき深夜の時間帯のみアーム、または強い警戒モードに切り替える等の設定にする。あるいは、深夜の時間帯は近所迷惑になるので車両の警報器は作動させずリモートコントローラ2に対する通報のみとする等がある。制御部3aは、係る設定に基づき所定時刻になると、アームやディスアームの動作命令を送信する。
【0097】
上述した各種の設定を小さな画面のリモコンで行うことは難しく、実用的でないが、スマートフォン等の携帯機器3画面なら容易にできる。更に携帯機器3の操作により設定ができるため、係る設定情報はリモートコントローラ2を介して車載機器1に送られ、設定されるので、家の中等、車両から離れた場所でも車載機器1の設定や設定変更ができる。
【0098】
[車載機器の機能の変形例]
上述した各種の実施形態では、車載機器1がエンジンスタータとして利用した例を中心に説明したが、本発明はこれに限ることはなく、各種の利用態様ができる。例えば、電気自動車のようにモータで駆動するなど、エンジン以外の駆動源に基づき動作する車両に搭載する車載機器1は、当該モータに通電のON/OFFを制御する装置など、車両の駆動源に対する動作開始/停止の制御をするものとするとよい。
【0099】
またこのように駆動源に対する制御のように、主に車両の乗車時,乗車前に機能するものに限らず、車両の降車時,駐車中等に機能するものとしても良い。係る降車時や駐車中等に機能する車載機器としては、例えばカーセキュリティがある。
【0100】
例えば、スマートフォン等の携帯機器3はすぐに取り出せる状態で携帯することが多いので、リモートコントローラ2は、バッグやポケットにしまった状態のまま、携帯機器3の操作によりアーム/ディスアームの指示を車載機器1に行うことができるので好ましい。乗車時、降車時には、ユーザは、リモートコントローラ2を携帯しているが、バッグやポケットにしまっていることが多い。リモートコントローラ2は、小型化の要請から寸法形状が小さくなる傾向にあり、バッグの中にしまった場合にそれを見付け、取り出しにくいという課題がある。さらに、携帯機器3がスマートフォン等とすると、係る携帯機器3は手に持っていたり、仮にバッグ等にしまっていたりしても比較的容易に取出し易い状態にある。さらに、携帯機器3を手に持った状態で歩行する傾向が高い状況において、携帯機器3を手に持った状態のままリモートコントローラ2も取り出し、当該リモートコントローラ2を操作するのは煩雑であるという課題もある。よって、本実施形態のように、携帯機器3により指示を入力することができるようにすると、上記の課題が解決でき便利である。
【0101】
一方、カーセキュリティをアームにするのはドアロックと連動させる等すれば降車時に携帯機器3等を用いた特別な操作をしなくてもよいようにできる。しかし、アーム中にカーセキュリティのセンサーが異常を検知し警報を発したり、リモートコントローラ2に通報したりした場合、リモートコントローラ2で警報を止めたり通報の確認をしたりする必要がある。そのため、従来のカーセキュリティのシステムでは、常にリモートコントローラ2を身近な所においておく必要があり、依然として不便となる課題は生じる。これに対し、本実施形態によれば、例えばリモートコントローラ2はバッグやポケットの中に入れたままで、常に身近にあり容易に取出することができるようにしているスマートフォンやウエアラブル機器等の携帯機器3で操作や確認ができるので便利となる。
【0102】
[携帯機器の表示機能の改良]
第二実施形態では、リモートコントローラ2を介し、車載機器1からの情報を携帯機器3で表示させるようにした。これは、リモートコントローラ2は、小型化が求められることから大きな表示器を備えることができない。そのため、リモートコントローラ2に車載機器1からの多くの情報を見易く表示させるのは困難である。一方、スマートフォン等の携帯機器3は大きな表示器を搭載しているので、多くの情報を見易く表示させることができるのでよい。
【0103】
例えば、車載機器1がエンジンスタータとして機能するシステムに適用した場合、携帯機器3は、車載機器1から送られてきた実行結果、例えば、「エンジン始動が成功」の状情報を報知するに留まらず、例えば、エンジンが動作している残り時間を表示するようにするとよい。例えば、エンジンスタータによりエンジンを始動した場合、始動から設定した時間が経過すると車載機器1はエンジンを停止する。係る場合、停止した場合に車載機器1はその実行結果(時間経過により停止)を通知し、リモートコントローラ2或いは携帯機器3に報知する機能を付加することで、ユーザは係る報知により停止したことを知ることはできる。しかし、かかる設定した時間は、例えば30分程度と長い時間となると、ユーザがリモートコントローラ2或いは携帯機器3を操作してエンジンが始動してから、現在どれくらい時間が経過し、残りどれくらいの時間エンジンが動作し続けているかを容易に把握することは困難となる。そこで、携帯機器3の制御部3aは、車載機器1に設定した時間を記憶しておき、エンジン始動の通知を受けると、そこから計時を開始し、エンジンが停止するまでの残り時間を求め、それを報知する機能を備えると良い。係る報知は、例えば、残り時間を数値で示しても良いし、時計・タイマを模した図や、インジケータように図形・アニメによりわかりやすい形態で表示すると良い。また、残り時間が短くなるほど、係る状態にあることがわかりやすい態様で表示するようにするとよい。わかりやすい表示態様とは、例えば、表示色を変えたり、点滅させたり、図・アイコン等の表示寸法を変えたりするとよい。寸法を変える場合、図・アイコンの全体或いは一部が小さくなる傾向に変えることで、残り時間が無くなっていくことが直感的に理解できるので良い。
【0104】
また例えば、カーセキュリティにおいて、車両に搭載されたセンサーが異常を検知した場合、従来は、警報音を鳴らし、また、表示器がある場合にはアイコンや文字を表示するが表示器のサイズが小さいため表示内容も小さく見にくくなり、理解しにくい。よって、警報の通知を受けると、ユーザは、車両の所まで行って初めて状況を確認する必要があり、煩雑であり、すぐに対応できず、誤作動の場合には無駄足になるなどの課題があった。これに対し、本実施形態では、警報や通知をするのみでなく、携帯機器3の表示器に検知したセンサーの種類や程度をより詳しく、見易く表示するとよい。このようにすれば、警報等が誤作動なのか、或いはどの様な被害・異常であり、どの程度の被害状況なのか等が確認しやすく、状況に合わせた対応ができるのでよい。また、車載機器1もより詳細で多くの情報を送るようにし、携帯機器3で表示内容を見たユーザはすぐにより適切な状況把握が可能となる。
【0105】
また、リモートコントローラ2に搭載している電池の電池容量は、小型化のため小容量のものになり、消費電流の制限から表示器での表示時間は短時間になる。そのため、車両のセンサー等が異常を検知し、車載機器1がリモートコントローラ2に通報して来ても、どの様な異常か等を表示している時間が短い(例えば、数秒程度)。そのため、リモートコントローラ2をポケットやバッグから取り出して見る頃には、すでに表示が消えており、内容を確認できないおそれがあるという課題もある。これに対し、本実施形態では、携帯機器3の表示器に警報の報知を出力するようにすれば、比較的長時間にわたり報知出力を継続することができ、ユーザは確実に表示内容を確認することができ、課題が解決できる。
【0106】
さらに、通常、リモートコントローラ2に比べ、携帯機器3の方が、ユーザが比較的容易に取り出し、表示内容を迅速に見ることができる。よって、係るからも、リモートコントローラ2の表示器に、車載機器1から送られてきた警報等の内容を出力するのが好ましい。
【0107】
[第三実施形態のカーセキュリティへの利用態様]
第三実施形態では、適宜のタイミングで第一系統を切るようにしたが、例えば、車載機器1がカーセキュリティ等への利用で、いつ異常検知通報が送られて来てもよいように常時第一系統の受信回路を作動させておく場合には、上記一連の通信が終了したら第一系統用無線通信回路2bを間欠動作等省電力モードで作動させておくようにするとよい。これらによりリモートコントローラ2の消費電流低減し電池寿命を長くできる。
【0108】
[純正キーのスマートシステムへの対応]
エンジンスタータを用いてエンジンを始動したアイドリング状態では、純正キーのスマートシステムを用いてアンロックすることができず、そのまま車両に乗り込むことができないという課題がある。そして、純正キーのスマートシステムを用いてアンロックするためには、一度エンジンスタータのシステムを構成するリモートコントローラ2からの動作停止命令を車載機器1に向けて送信し、それを受けて車載機器1がエンジンを停止する処理を行う。そして、その後、純正キーのスマートシステムによりアンロックして車両に乗り込む必要があり、操作が面倒であるという課題があった。係る課題を解決するため、本実施形態では、以下のように構成した。
【0109】
ユーザが車両に接近してきたことを検出し、エンジンを停止する処理を実行する機能を備えた。係る接近は、ユーザが車両に乗り込むためのものであるとよい。例えば、自宅においてエンジンスタータを用いてエンジンを始動し、その状態で例えば新聞を取りに行くなどの理由で屋外に出た場合や、屋内を移動中にたまたま駐車場に隣接する部屋内,廊下等を通るなどして車両と距離が近くなることはあるが、係る場合、車両に乗り込むものではないので、それを契機としてはエンジンを停止しない方が良い。そこで、本実施形態では、ユーザが車両に乗り込むおそれが高いほど接近した場合に、エンジンを停止する処理をするようにした。係る接近の判定は、具体的には、以下のようにした。
【0110】
例えば第四実施形態のように、車載機器1にも第二系統用無線通信回路1cを実装し、その第二系統用無線通信回路1cと携帯機器3の第二系統用無線通信回路3bとの間でリンクをはり、車載機器1と携帯機器3との間で直接通信する機能を備える。この直接通信する機能は、通信距離が短い第二系統の通信を利用しているため、携帯機器3を持つユーザが車両から比較的離れている場合、携帯機器3と車載機器1は通信圏外になるため、エンジンを停止しない。
【0111】
また、第二系統の通信方式の通信可能な距離は、10m程度はあるので、携帯機器3を持つユーザが車載機器1との通信圏内に入り、第二系統の通信が可能になっただけでは、室内にいても係る圏内になることもあり、車両に乗り込むおそれがあるとは言えない。そこで、本実施形態では、車載機器1と携帯機器3間の第二系統の通信を利用し、接近判定を行い、車両に乗り込むおそれがある程度に近づいた場合に、エンジンを停止する処理を行う。この接近判定は、例えば電波の受信強度に基づいて行うとよい。そして例えばRSSIレベルを利用し、例えば当該レベルが設定した閾値を超えた場合に、エンジンを停止する処理を行う。閾値は、例えば、携帯機器3を持ったユーザがドアの近くにまで至った場合、例えば、両者間の距離が1m程度に接近した場合に対応する値とするとよい。
【0112】
上記のRSSIレベルに基づく判定は、車載機器1側で行っても良いし、携帯機器3側で行っても良い。特に、車載機器1側に組み込んだ場合、車載機器1側で判定後、すぐにエンジンの停止の処理を行えるため、例えば、周囲の電波状況等によりユーザが車両のドアに対して予定よりもさらに近づいた状態で閾値を超えるような場合でも、すぐにエンジンを停止しアンロックすることができるので良い。なお、携帯機器3側でRSSIレベルの判定を行うようにした場合は、閾値を超えた場合に、エンジンの停止命令を送信することで対応する。この場合、車載機器1は、停止命令を受けてエンジンを停止する処理を行うので、通常の携帯機器3やリモートコントローラ2の操作部の操作に基づく処理と同じアルゴリズムで良いというメリットはある。
【0113】
車載機器1に第二系統用無線通信回路1cを実装する点では、第四実施形態と同様であるが、本実施形態では、必ずしも第四実施形態を前提とするものではなく、各種の実施形態等の構成において、本機能を組み込むようにすれば良い。
【0114】
[携帯機器とリモートコントローラが一対一以外の組み合わせ]
上述した各実施形態等では、車載機器1に対して一個のリモートコントローラ2が割り付けられ、当該リモートコントローラ2に対して携帯機器3も一個が割り当てられるものについて説明したが、本発明は個数についての組み合わせは任意であり、各種の組み合わせがとれる。例えば、一個のリモートコントローラ2に対して複数の携帯機器3を割り付けると良い。複数の携帯機器3とリモートコントローラ2は、マルチリンクにより接続する。例えば、リモートコントローラ2は、居室や玄関などの適宜の位置に置いておき、複数の携帯機器3は、例えば家族がそれぞれ持つ。このようにすると、携帯機器3を持つ家族がそれぞれ動作命令を送ることができるので良い。また、昨今は一人のユーザが複数のスマートフォン等を所有することがあり、また、スマートフォンとタブレットPCやウエアラブル機器のように異なる種類のものをそれぞれ携帯することがある。それら携帯する複数の携帯機器3のいずれともリモートコントローラ2と関係づけておくことで、ユーザは状況に応じて取出しやすい、また、操作しやすい携帯機器3を用いて操作したりできるのでよい。
【0115】
この場合、例えば第二実施形態のように、車載機器1から送られてきた情報を受け付けたリモートコントローラ2がその情報を携帯機器3へ送る際、複数の携帯機器3に送るようにすると良い。このようにすると各携帯機器3を携帯する各人が情報を共有することができるので良い。また、携帯機器3の操作に基づく実行結果を携帯機器3に送る場合、当該操作を行った携帯機器3にのみ送っても良いが、複数の携帯機器3に送ると良い。このようにすると、操作をしていない人も、家族の誰かが車載機器1に対して所定の動作命令等を送ったことが理解できるので、同じ処理を改めて行ったり、当該所定の動作命令に伴う処理と相反する命令を送ったりすることを防止することができるので良い。
【0116】
また、第五実施形態のようにリモートコントローラ2の操作内容を携帯機器3に送信する機能を備えた場合、複数の携帯機器3に送るようにすると良い。このようにすると、リモートコントローラ2を操作しなかった人も家族の誰かが車載機器1に対して所定の動作命令等を送ったことが理解できるので、同じ処理を改めて行ったり、当該所定の動作命令に伴う処理と相反する命令を送ったりすることを防止することができるので良い。
【0117】
また、複数のリモートコントローラ2を一つの携帯機器3に関連づけ、一つの携帯機器3を操作してリモートコントローラ2に関連づけられた車載機器1を制御したり、複数の車載機器1からそれぞれ送られてくる情報を一つの携帯機器3で受信するようにしても良い。車両を複数台保有する場合、一つの携帯機器3で一括管理できるので良い。
【0118】
[車載機器の変形例]
車載機器は、上述した各種の機能を実現するための機器等を一つの筐体内に実装しても良いし、複数の筐体に適宜分けて実装しても良い。複数の筐体に分ける場合、例えば、アンテナを含む通信回路系と、その他の機器を別体に構成するとよい。例えば、アンテナを含む通信回路系を実装した筐体は、ダッシュボードの上や、フロントガラス付近、ルームミラーの背面(車両の前面)など、外部と通信しやすい場所に置き、制御部1aその他の機器・回路等を実装した筐体は、ダッシュボードの下など外部から見にくい場所や、OBDIIを利用する場合、当該OBDIIの取出し口の付近などに置くと良い。そのように別体にした場合、両者の接続は有線ケーブル或いは無線通信により行う。
【0119】
[各機器の電源の変形例]
上述した実施形態,変形例では、リモートコントローラ2の電源に一次電池を用いることしたが、二次電池としてもよい。特に、車両情報等をリモートコントローラ2に記憶させる場合等は、二次電池とするとよい。また、二次電池を使用する場合、リモートコントローラ2を車両の電源系統に連携し、車両の走行中等において、当該車両の電源から二次電池に充電できるようにするとよい。
【0120】
本発明は、上述した実施形態並びに変形例を適宜組み合わせたり、各実施形態等の一部または全部の機能を他の実施形態等に組み込んでも良い。
【0121】
以上、本発明の様々な側面を実施形態並びに変形例を用いて説明してきたが、これらの実施形態や説明は、本発明の範囲を制限する目的でなされたものではなく、本発明の理解に資するために提供されたものであることを付言しておく。本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や製法に限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に特定したが、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求する可能性があることを、念のために申し述べる。
【符号の説明】
【0122】
1 車載機器
1a 制御部
1b 第一系統用無線通信回路
1c 第二系統用無線通信回路
2 リモートコントローラ
2a 制御部
2b 第一系統用無線通信回路
2c 第二系統用無線通信回路
2d 操作部
2e 報知部
2f 記憶部
3 携帯機器
3a 制御部
3b 第二系統用無線通信回路
3c 表示部
3d 操作部
3e 記憶部
図1
図2
図3
図4