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▶ アール・エイ・アイ・ストラテジック・ホールディングス・インコーポレイテッドの特許一覧

特開2024-237201つ以上のマイクロヒーターを備える電子喫煙物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024023720
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】1つ以上のマイクロヒーターを備える電子喫煙物品
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/46 20200101AFI20240214BHJP
【FI】
A24F40/46
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023213585
(22)【出願日】2023-12-19
(62)【分割の表示】P 2021203995の分割
【原出願日】2013-09-06
(71)【出願人】
【識別番号】516097871
【氏名又は名称】アール・エイ・アイ・ストラテジック・ホールディングス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・ロバート・コレット
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・ベンソン・シアーズ
(72)【発明者】
【氏名】デニス・リー・ポッター
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・リー・アルダーマン
(72)【発明者】
【氏名】モー・ケベリ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】改善されたエアロゾル送達を提供する電子喫煙物品を提供する。
【解決手段】この物品は、1つ以上のマイクロヒーター50を備える。マイクロヒーター50は、支持層510と、保護層540と、支持層と保護層との間に挟持されたパターンニングされた導電性層520とから形成される。種々の実施形態では、このマイクロヒーター50は、エアロゾル前駆体組成物の蒸発の制御の改善を提供し、一貫したエアロゾル化を達成するのに必要な電力を低下する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源と、前記電源に電気的に接続しているマイクロヒーターとを備える喫煙物品。
【請求項2】
前記マイクロヒーターが、微小電気機械システム(MEMS)ベースのヒーターである、請求項1に記載の喫煙物品。
【請求項3】
前記マイクロヒーターが薄膜ヒーターである、請求項1に記載の喫煙物品。
【請求項4】
前記マイクロヒーターが、パターンニングされた導電性材料を備える、請求項1に記載の喫煙物品。
【請求項5】
前記導電性材料が、元素金属、金属合金、シリコン、セラミック、炭素、カーバイド、窒化物、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項4に記載の喫煙物品。
【請求項6】
前記マイクロヒーターが、支持層を備え、該支持層の上に導電性材料がパターンニングされている、請求項4に記載の喫煙物品。
【請求項7】
前記導電性材料が前記支持層に積層しているプリントされた層であるか、または前記導電性材料が前記支持層に積層しているエッチングされた層である、請求項6に記載の喫煙物品。
【請求項8】
前記マイクロヒーターが、前記パターンニングされた導電性材料に積層している保護層を備える、請求項4に記載の喫煙物品。
【請求項9】
前記支持層または前記保護層が、約125℃~約750℃の温度範囲で温度安定である、請求項6~8のいずれか1項に記載の喫煙物品。
【請求項10】
前記支持層または保護層が、シリコンベースの物質を含む、請求項6~8のいずれか1項に記載の喫煙物品。
【請求項11】
前記マイクロヒーターが2層以上の層を備える、請求項1に記載の喫煙物品。
【請求項12】
前記マイクロヒーターが、2つの膜の間に挟持された導電性材料を含む、請求項1に記載の喫煙物品。
【請求項13】
前記マイクロヒーターが、約3mm以下の長さおよび約3mm以下の幅を有する、請求項1に記載の喫煙物品。
【請求項14】
前記マイクロヒーターが、約0.5mm~約3mmの長さおよび約0.5mm~約3mmの幅を有する、請求項1に記載の喫煙物品。
【請求項15】
前記マイクロヒーターが、基板に取り付けられている、請求項1に記載の喫煙物品。
【請求項16】
前記基板が、電気絶縁材料から形成されている、請求項15に記載の喫煙物品。
【請求項17】
複数のマイクロヒーターを備える、請求項1に記載の喫煙物品。
【請求項18】
エアロゾル前駆体組成物をさらに含む、請求項1に記載の喫煙物品。
【請求項19】
前記エアロゾル前駆体組成物が周囲条件で液体またはゲルの形態である、請求項18に記載の喫煙物品。
【請求項20】
前記エアロゾル前駆体組成物が前記マイクロヒーターから隔間されるように、前記エアロゾル前駆体組成物が、リザーバー内にある、請求項19に記載の喫煙物品。
【請求項21】
前記物品が、前記マイクロヒーターに規定の量の前記エアロゾル前駆体組成物を送達させるように適合された制御装置を備える、請求項20に記載の喫煙物品。
【請求項22】
前記マイクロヒーターが、チャンバと熱的に結合され、前記チャンバが、前記チャンバ中の開口を通じて所定量の前記エアロゾル前駆体組成物を受容するように適合されている、請求項20に記載の喫煙物品。
【請求項23】
前記チャンバが、前記チャンバからの蒸気の出口に適合された開口を備える、請求項22に記載の喫煙物品。
【請求項24】
前記チャンバが、約0.2ml~約1mlの容積を有する、請求項22に記載の喫煙物品。
【請求項25】
前記エアロゾル前駆体組成物が、担体材料上にコーティングされるか、担体材料に吸着されるか、または担体材料中に吸収され、前記担体材料が、前記マイクロヒーターと実質的に接触するように前記物品内に配置されている、請求項18に記載の喫煙物品。
【請求項26】
前記マイクロヒーターが、噴霧器と一体である、請求項1に記載の喫煙物品。
【請求項27】
前記噴霧器が、壁と、カバーと、前記マイクロヒーターに積層している保護層とによって画定されるチャンバを備える、請求項26に記載の喫煙物品。
【請求項28】
前記壁および前記カバーの一方または両方が、蒸気は通すが液体は通さないようなサイズに設定されている複数の開口を備える、請求項27に記載の喫煙物品。
【請求項29】
喫煙物品にエアロゾルを形成する方法であって、前記喫煙物品内の電源からの電流を前記喫煙物品内のマイクロヒーターに流させ、それによって前記マイクロヒーターおよび前記マイクロヒーターと接触しているエアロゾル前駆体組成物を加熱させることを包含する、方法。
【請求項30】
前記喫煙物品が、複数のマイクロヒーターを備える、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記エアロゾル前駆体組成物が、担体材料上にコーティングされるか、担体材料に吸着されるか、または担体材料中に吸収され、前記電流の起動の工程の前に、前記方法がさらに、前記喫煙物品内に前記担体材料を挿入することを包含する、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
リザーバーから、前記マイクロヒーターと熱的に結合されているチャンバへの前記エアロゾル前駆体組成物の流れを開始し、それによって前記チャンバ内の前記エアロゾル前駆体組成物を加熱することをさらに包含する、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
電子喫煙物品中での使用に適切な噴霧器であって、チャンバ壁、カバーおよびマイクロヒーターから形成されているチャンバを備える、噴霧器。
【請求項34】
前記チャンバ壁および前記カバーの一方または両方が、複数の開口を備える、請求項33に記載の噴霧器。
【請求項35】
前記複数の開口のうちの1つ以上が、蒸気は通すが液体は通さないようなサイズに設定されている、請求項34に記載の噴霧器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル送達物品、およびタバコ成分または他の物質を吸入可能な形態で得るためのその使用に関する。この物品は、タバコからできていても、タバコ由来であっても、ほかの方法によってヒトの消費のためのタバコを組み込んでいてもよい。
【背景技術】
【0002】
多くの喫煙物品が、タバコを燃焼する際の改善として、またはタバコ燃焼に基づく喫煙生成物の代替として、長年にわたって提唱されている。例示的な代替としては、タバコに熱を移すために固体または液体の燃料を燃焼させるか、化学反応を用いてこのような熱源を得る装置が挙げられる。多くの参考文献において、風味付けされた蒸気、視認できるエアロゾル、または風味付けされた蒸気および可視のエアロゾルの混合物を生じるある種の多様な喫煙物品が提唱されている。喫煙物品のこれらの提唱された種類としては、パイプの部分品(tubular section)または長軸方向に延びる空気の通路が挙げられる。
【0003】
喫煙物品の改善点または代替形態は典型的には、無視できない量の不完全燃焼および熱分解の生成物を送達することなく、シガレット、葉巻またはパイプの喫煙に伴う感覚を得ることであった。この目的を達成するために、多数の喫煙製品、風味発生装置および薬用吸入器が提唱されており、これらは電気エネルギーを利用して揮発性物質を蒸発させるかもしくは加熱するか、またはシガレット、葉巻またはパイプの喫煙の感覚を、タバコを燃焼させることなく提供しようとする。
【0004】
別の喫煙物品の一般的な例は、Ellisらに対する米国特許第3,258,015号;Ellisらに対する米国特許第3,356,094号;Mosesに対する米国特許第3,516,417号;Lanzellottiらに対する米国特許第4,347,855号;Boltらに対する米国特許第4,340,072号;Burnettらに対する米国特許第4,391,285号;Riehlらに対する米国特許第4,917,121号;Litzingerに対する米国特許第4,924,886;およびHearnらに対する米国特許第5,060,676号に記載されている。これらの種類の喫煙物品の多くは、エアロゾルを提供するため、および/またはエアロゾル形成物質を加熱するために燃焼される可燃性の燃料源を使用していた。例えば、Banerjeeらに対する米国特許第4,714,082号およびWhiteらに対する米国特許第4,771,795号(それら全体が参照により本明細書に援用される)に引用される背景技術を参照のこと。また、例えば、Clearmanらに対する米国特許第4,756,318号;Banerjeeらに対する米国特許第4,714,082号;Whiteらに対する米国特許第4,771,795号;Sensabaughらに対する米国特許第4,793,365号;Clearmanらに対する米国特許第4,917,128号;Korteに対する米国特許第4,961,438号;Serranoらに対する米国特許第4,966,171号;Baleらに対する米国特許第4,969,476号;Serranoらに対する米国特許第4,991,606号;Farrierらに対する米国特許第5,020,548号;Clearmanらに対する米国特許第5,033,483号;Schlatterらに対する米国特許第5,040,551号;Creightonらに対する米国特許第5,050,621号;Lawsonに対する米国特許第5,065,776号;Nystromらに対する米国特許第5,076,296号;Farrierらに対する米国特許第5,076,297号;Clearmanらに対する米国特許第5,099,861号;Drewettらに対する米国特許第5,105,835号;Barnesらに対する米国特許第5,105,837号;Hauserらに対する米国特許第5,115,820号;Bestらに対する米国特許第5,148,821号;Haywardらに対する米国特許第5,159,940号;Riggsらに対する米国特許第5,178,167号;Clearmanらに対する米国特許第5,183,062号;Shannonらに対する米国特許第5,211,684号;Deeviらに対する米国特許第5,240,014号;Nicholsらに対する米国特許第5,240,016号;Clearmanらに対する米国特許第5,345,955号;Riggsらに対する米国特許第5,551,451号;Bensalemらに対する米国特許第5,595,577号;Barnesらに対する米国特許第5,819,751号;Matsuuraらに対する米国特許第6,089,857号;Bevenに対する米国特許第6,095,152号;Bevenの米国特許第6,578,584号;およびDominguezの米国特許第6,730,832号(それらは全体が参照により本明細書に援用される)に記載の喫煙物品の種類も参照のこと。さらに炭素質燃料要素を使用する特殊なシガレットは、商品名「Premier」および「Eclipse」として、R.J.Reynolds Tobacco Companyが市販している。例えば、タバコを燃焼するのではなく加熱するニュー・シガレット・プロトタイプに対する化学的および生物学的研究(Chemical and Biological Studies on New Cigarette Prototypes that Heat Instead of Burn Tobacco),R.J.Reynolds Tobacco Company Monograph(1988)およびInhalation Toxicology,12:5,1~58ページ(2000)に記載の種類のシガレットを参照のこと。また、Banerjeeらに対する米国特許出願公開第2005/0274390号、Crooksらに対する米国特許出願公開第2007/0215167号、Banerjeeらに対する米国特許出願公開第2010/0065075号、およびStoneらに対する米国特許出願公開第2012/0042885号(その開示は、その全体が参照により本明細書に援用される)も参照のこと。
【0005】
提唱されている特定のシガレット形状のタバコ製品は、さほど完全に燃焼されないことを想定した形態でタバコを使用していると言われている。例えば、Sudohに対する米国特許第4,836,225号;Kuriyamaらに対する米国特許第4,972,855号;およびEdwardsに対する米国特許第5,293,883号(それらの全体が参照により本明細書に援用される)を参照のこと。さらに他種の喫煙物品、例えば、化学的または電気的な熱源から生じた熱に対してタバコまたは加工されたタバコを供することによって、風味づけされた蒸気を生じる種類の喫煙物品は、Chardらに対する米国特許第4,848,374号;Brooksらに対する米国特許第4,947,874号および同第4,947,875号;Countsらに対する米国特許第5,060,671号;Deeviらに対する米国特許第5,146,934号;Deeviに対する米国特許第5,224,498号;Banerjeeらに対する米国特許第5,285,798号;Farrierらに対する米国特許第5,357,984号;Farrierらに対する米国特許第5,593,792号;Countsに対する米国特許第5,369,723号;Countsらに対する米国特許第5,692,525号;Collinsらに対する米国特許第5,865,185号;Adamsらに対する米国特許第5,878,752号;Deeviらに対する米国特許第5,880,439号;Baggettらに対する米国特許第5,915,387号;Watkinsらに対する米国特許第5,934,289号;Deeviらに対する米国特許第6,033,623号;Adamsらに対する米国特許第6,053,176号;Whiteに対する米国特許第6,164,287号;Fournierらに対する米国特許第6,289,898号;Fournierらに対する米国特許第6,615,840号;Liらに対する米国特許出願公開第2003/0131859号;Banerjeeらに対する米国特許出願公開第2005/0016549号;ならびにHearnらに対する米国特許出願公開第2006/0185687号(その各々は全体が参照により本明細書に援用される)に記載されている。
【0006】
風味および/またはニコチンを保有するかまたは組み込むものなど、蒸気、スプレーまたはエアロゾルを送達するために特定の試みがなされてきた。例えば、Viragに対する米国特許第4,190,046号;Rayに対する同第4,284,089号;Jacobsに対する同第4,635,651号;Gerthらに対する同第4,735,217号;Rayらに対する同第4,800,903号;Ingebrethsenらに対する同第5,388,574号;Grossらに対する同第5,799,663号;Abhulimenらに対する同第6,532,965号;およびAdigaらに対する同第6,598,607号;Honに対する欧州特許第1,618,803号;Coxらに対する米国特許第7,117,867号に示される種類の装置;ならびにウェブサイトwww.e-cig.comで示される装置(それらの全てが、全体が参照により本明細書に援用される)を参照のこと。
【0007】
記載されており、場合によっては市販されている、さらにより代表的なシガレットまたは喫煙物品としては、Brooksらに対する米国特許第4,922,901号;Morganらに対する米国特許第5,249,586号;Countsらに対する米国特許第5,388,594号;Higginsらに対する米国特許第5,666,977号;Vogesに対する米国特許第6,196,218号;Felterらに対する米国特許第6,810,883号;Nicholsに対する米国特許第6,854,461号;Honに対する米国特許第7,832,410号;Kobayashiに対する米国特許第7,513,253号;Robinsonらに対する米国特許第7,726,320号;Hamanoに対する米国特許第7,896,006号;Shayanに対する米国特許第6,772,756号;Honに対する米国特許出願公開第2009/0095311号;Honに対する米国特許出願公開第2006/0196518号、同第2009/0126745号、および同第2009/0188490号;Thorensらに対する米国特許出願公開第2009/0272379号;Monseesらに対する米国特許出願公開第2009/0260641号および同第2009/0260642号;Oglesbyらに対する米国特許出願公開第2008/0149118および同第2010/0024834号;Wangに対する米国特許出願公開第2010/0307518号;ならびにHonに対するWO2010/091593号に記載のものが挙げられる。また、Minskoffらに対する米国特許第D657,047号、ならびにTerryらに対する米国特許出願公開第2011/0277757号、同第2011/0277760号、および同第2011/0277764号も参照のこと。なおさらなる例としては、ACCORD(登録商標);HEATBAR(商標);HYBRID CIGARETTE(登録商標)、VEGAS(商標);E-GAR(商標);C-GAR(商標);E-MYSTICK(商標);IOLITE(登録商標)Vaporizer、GREEN SMOKE(登録商標)、BLU(商標) Cigs、WHITE CLOUD(登録商標)Cirrus、V2CIGS(商標)、SOUTH BEACH SMOKE(商標)、SMOKETIP(登録商標)、SMOKE STIK(登録商標)、NJOY(登録商標)、LUCI(登録商標)、Royal Blues、SMART SMOKER(登録商標)、SMOKE ASSIST(登録商標)、Knight Sticks、GAMUCCI(登録商標)、InnoVapor、SMOKING EVERYWHERE(登録商標)、Crown7、CHOICE(商標)NO.7(商標)、VAPORKING(登録商標)、EPUFFER(登録商標)、LOGIC(商標)ecig、VAPOR4LIFE(登録商標)、NICOTEK(登録商標)、METRO(登録商標)、VUSE(登録商標)、およびPREMIUM(商標)の名称で市販されている電子タバコ製品が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第3,258,015号明細書
【特許文献2】米国特許第3,356,094号明細書
【特許文献3】米国特許第3,516,417号明細書
【特許文献4】米国特許第4,347,855号明細書
【特許文献5】米国特許第4,340,072号明細書
【特許文献6】米国特許第4,391,285号明細書
【特許文献7】米国特許第4,917,121号明細書
【特許文献8】米国特許第4,924,886号明細書
【特許文献9】米国特許第5,060,676号明細書
【特許文献10】米国特許第4,714,082号明細書
【特許文献11】米国特許第4,771,795号明細書
【特許文献12】米国特許第4,756,318号明細書
【特許文献13】米国特許第4,793,365号明細書
【特許文献14】米国特許第4,917,128号明細書
【特許文献15】米国特許第4,961,438号明細書
【特許文献16】米国特許第4,966,171号明細書
【特許文献17】米国特許第4,969,476号明細書
【特許文献18】米国特許第4,991,606号明細書
【特許文献19】米国特許第5,020,548号明細書
【特許文献20】米国特許第5,033,483号明細書
【特許文献21】米国特許第5,040,551号明細書
【特許文献22】米国特許第5,050,621号明細書
【特許文献23】米国特許第5,065,776号明細書
【特許文献24】米国特許第5,076,296号明細書
【特許文献25】米国特許第5,076,297号明細書
【特許文献26】米国特許第5,099,861号明細書
【特許文献27】米国特許第5,105,835号明細書
【特許文献28】米国特許第5,105,837号明細書
【特許文献29】米国特許第5,115,820号明細書
【特許文献30】米国特許第5,148,821号明細書
【特許文献31】米国特許第5,159,940号明細書
【特許文献32】米国特許第5,178,167号明細書
【特許文献33】米国特許第5,183,062号明細書
【特許文献34】米国特許第5,211,684号明細書
【特許文献35】米国特許第5,240,014号明細書
【特許文献36】米国特許第5,240,016号明細書
【特許文献37】米国特許第5,345,955号明細書
【特許文献38】米国特許第5,551,451号明細書
【特許文献39】米国特許第5,595,577号明細書
【特許文献40】米国特許第5,819,751号明細書
【特許文献41】米国特許第6,089,857号明細書
【特許文献42】米国特許第6,095,152号明細書
【特許文献43】米国特許第6,578,584号明細書
【特許文献44】米国特許第6,730,832号明細書
【特許文献45】米国特許出願公開第2005/0274390号明細書
【特許文献46】米国特許出願公開第2007/0215167号明細書
【特許文献47】米国特許出願公開第2010/0065075号明細書
【特許文献48】米国特許出願公開第2012/0042885号明細書
【特許文献49】米国特許第4,836,225号明細書
【特許文献50】米国特許第4,972,855号明細書
【特許文献51】米国特許第5,293,883号明細書
【特許文献52】米国特許第4,848,374号明細書
【特許文献53】米国特許第4,947,874号明細書
【特許文献54】米国特許第4,947,875号明細書
【特許文献55】米国特許第5,060,671号明細書
【特許文献56】米国特許第5,146,934号明細書
【特許文献57】米国特許第5,224,498号明細書
【特許文献58】米国特許第5,285,798号明細書
【特許文献59】米国特許第5,357,984号明細書
【特許文献60】米国特許第5,593,792号明細書
【特許文献61】米国特許第5,369,723号明細書
【特許文献62】米国特許第5,692,525号明細書
【特許文献63】米国特許第5,865,185号明細書
【特許文献64】米国特許第5,878,752号明細書
【特許文献65】米国特許第5,880,439号明細書
【特許文献66】米国特許第5,915,387号明細書
【特許文献67】米国特許第5,934,289号明細書
【特許文献68】米国特許第6,033,623号明細書
【特許文献69】米国特許第6,053,176号明細書
【特許文献70】米国特許第6,164,287号明細書
【特許文献71】米国特許第6,289,898号明細書
【特許文献72】米国特許第6,615,840号明細書
【特許文献73】米国特許出願公開第2003/0131859号明細書
【特許文献74】米国特許出願公開第2005/0016549号明細書
【特許文献75】米国特許出願公開第2006/0185687号明細書
【特許文献76】米国特許第4,190,046号明細書
【特許文献77】米国特許第4,284,089号明細書
【特許文献78】米国特許第4,635,651号明細書
【特許文献79】米国特許第4,735,217号明細書
【特許文献80】米国特許第4,800,903号明細書
【特許文献81】米国特許第5,388,574号明細書
【特許文献82】米国特許第5,799,663号明細書
【特許文献83】米国特許第6,532,965号明細書
【特許文献84】米国特許第6,598,607号明細書
【特許文献85】欧州特許第1,618,803号明細書
【特許文献86】米国特許第7,117,867号明細書
【特許文献87】米国特許第4,922,901号明細書
【特許文献88】米国特許第5,249,586号明細書
【特許文献89】米国特許第5,388,594号明細書
【特許文献90】米国特許第5,666,977号明細書
【特許文献91】米国特許第6,196,218号明細書
【特許文献92】米国特許第6,810,883号明細書
【特許文献93】米国特許第6,854,461号明細書
【特許文献94】米国特許第7,832,410号明細書
【特許文献95】米国特許第7,513,253号明細書
【特許文献96】米国特許第7,726,320号明細書
【特許文献97】米国特許第7,896,006号明細書
【特許文献98】米国特許第6,772,756号明細書
【特許文献99】米国特許出願公開第2009/0095311号明細書
【特許文献100】米国特許出願公開第2006/0196518号明細書
【特許文献101】米国特許出願公開第2009/0126745号明細書
【特許文献102】米国特許出願公開第2009/0188490号明細書
【特許文献103】米国特許出願公開第2009/0272379号明細書
【特許文献104】米国特許出願公開第2009/0260641号明細書
【特許文献105】米国特許出願公開第2009/0260642号明細書
【特許文献106】米国特許出願公開第2008/0149118号明細書
【特許文献107】米国特許出願公開第2010/0024834号明細書
【特許文献108】米国特許出願公開第2010/0307518号明細書
【特許文献109】国際公開第2010/091593号
【特許文献110】米国特許第D657,047号明細書
【特許文献111】米国特許出願公開第2011/0277757号明細書
【特許文献112】米国特許出願公開第2011/0277760号明細書
【特許文献113】米国特許出願公開第2011/0277764号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Chemical and Biological Studies on New Cigarette Prototypes that Heat Instead of Burn Tobacco, R. J. Reynolds Tobacco Company Monograph (1988)
【非特許文献2】Inhalation Toxicology, 12:5, p. 1-58 (2000)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
タバコ代用物を使用する喫煙物品および燃焼タバコカットフィルター以外の熱源を使用する喫煙物品(タバコ風味の蒸気またはタバコ風味の可視のエアロゾルを生じるため)は、大きな商業上の成功はおさめていない。タバコを電気的に加熱することによる喫煙の風味および感覚を生じる物品は、具体的には、風味または他の吸入可能物質の一貫性のない放出を受けていた。電気的に加熱された喫煙装置はさらに、不都合であって、喫煙経験から損なわれた、外部加熱装置の要件に対して多くの場合に限定されていた。従って、タバコを有意に燃焼することなく、燃焼熱源の必要性なしで、かつかなりの量の不完全燃焼および熱分解生成物を送達する必要のない、シガレット、葉巻またはパイプの喫煙の感覚を得ることができる喫煙物品を得ることが望ましい場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、喫煙物品、およびエアロゾル前駆体成分を制御可能に送達するためのその使用を提供する。本明細書において、従来のシガレットの喫煙と実質的に同様の経験を達成するか、または風味などの送達を達成するなど、この物品の消費者に対して所望の結果を提供するための、組成物を蒸発またはエアロゾル化するのにおける使用のための1つ以上のマイクロヒーターを組み込んでいる物品が開示される。
【0012】
種々の実施形態では、本開示に係る喫煙物品は、電源と、この電源に電気的に接続しているマイクロヒーターとを備えてもよい。このマイクロヒーターは、微小電気機械システム(MEMS)ベースのヒーターとして特徴付けられ得る。あるいは、このマイクロヒーターは、薄膜ヒーターであるとして特徴付けられてもよい。
【0013】
本開示に係る有用なマイクロヒーターの性質は、変化し得る。種々の実施形態では、このマイクロヒーターは、パターンニングされた導電性材料を含んでもよい。例えば、この導電性材料は、元素金属、金属合金、シリコン、セラミック、炭素、カーバイド、窒化物、およびそれらの組み合わせからなる群より選択され得る。このマイクロヒーターは、支持層を備えてもよく、その上に導電性材料がパターンニングされている。例えば、この導電性材料は、上記支持層に積層しているプリントされた層であってもよい。あるいは、この導電性材料は、上記支持層に積層しているエッチングされた層であってもよい。好ましくは、この支持層は、約125℃~約750℃の温度範囲などの、ある規定の温度範囲で温度安定である。特定の実施形態では、支持層は、シリコンベース、例えば、窒化ケイ素を含んでもよい。このマイクロヒーターは、パターンニングされた導電性材料に積層している保護層を含んでもよい。好ましくは、この保護層は、約125℃~約750℃の温度範囲などの、ある規定の温度範囲で温度安定である。特定の実施形態では、この保護層は、シリコンベースの材料、例えば、二酸化シリコンを含んでもよい。前述から理解されるとおり、本開示の物品で有用なマイクロヒーターは、2層以上の層を備えてもよい。例えば、このマイクロヒーターは、2つの層または2つの膜の間に挟持された導電性材料を含むと特徴付けられ得る。本明細書に開示のマイクロヒーターはまた、規定の寸法を有してもよい。例えば、このマイクロヒーターは、約3mm以下の長さおよび約3mm以下の幅を有してもよい。さらに具体的には、このマイクロヒーターは、約0.5mm~約3mmの長さおよび約0.5mm~約3mmの幅を有してもよい。
【0014】
本明細書に開示される物品での使用のためのマイクロヒーターは、さらなる構成要素とは独立して利用され得る。他の実施形態では、このマイクロヒーターは、基板に取り付けられ得る。このような基板は、この物品の恒久的な固定であっても、この基板は、この喫煙物品から取り外し可能であってもよい。好ましくは、この基板は、電気絶縁材料から形成されてもよい。
【0015】
特定の実施形態では、本開示に係る喫煙物品は、複数のマイクロヒーターを備えてもよい。必要に応じて、この複数のマイクロヒーターは、この喫煙物品内に連続して並べられてもよい。従って、この連続して並べられたマイクロヒーターは、所定の順序(例えば、連続して)または規定のパターン(例えば、別々に加熱される2つ以上のマイクロヒーター、または連続して加熱される2つ以上のマイクロヒーター)で加熱されるように適合されてもよい。
【0016】
本明細書に開示される喫煙物品は、エアロゾル前駆体組成物をさらに含んでもよい。特定の実施形態では、このマイクロヒーターは、エアロゾル前駆体組成物と実質的に接触するように喫煙物品内に動作可能に配置されてもよい。さらに、このエアロゾル前駆体組成物は、周囲条件で液体またはゲルの形態であるように、種々の形態で存在してもよい。必要に応じて、このエアロゾル前駆体組成物は、代わりに、周囲条件で固体の形態であってもよい。特定の実施形態では、このエアロゾル前駆体組成物は、マイクロヒーター上にコーティングされているゲルの形態であってもよい。
【0017】
他の実施形態では、上記エアロゾル前駆体組成物は、このエアロゾル前駆体組成物がマイクロヒーターから隔間されるようにリザーバー中に提供されてもよい。従って、この物品は、このマイクロヒーターに規定の量のエアロゾル前駆体組成物を送達させるように適合された制御装置を備えてもよい。特定の実施形態では、このマイクロヒーターは、壁から形成されているチャンバと熱的に結合されていてもよく、このチャンバは、チャンバ中の開口を通じて所定量のエアロゾル前駆体組成物を受容するように適合されている。このチャンバは、このチャンバからの蒸気の出口に適合された開口を備えてもよく、および/または空気の濾過に適した開口を備えてもよい。特定の実施形態では、このチャンバは、約0.2ml~約1mlの容積を有してもよい。このような実施形態は、別の組成物またはその成分を個々に加熱するために適合され得る。例えば、上記エアロゾル前駆体組成物は、複数の個々の成分を含んでもよく、この喫煙物品は、別々に、エアロゾル前駆体組成物の個々の成分を含む複数のリザーバーを備えてもよく、この喫煙物品は、このリザーバーからのエアロゾル前駆体組成物の所定量の個々の成分を受容するように適合された複数のチャンバを備えてもよい。
【0018】
なおさらなる実施形態では、このエアロゾル前駆体組成物は、担体材料上にコーティングされても、担体材料に吸着されても、または担体材料中に吸収されてもよい。さらに、この担体材料は、上記マイクロヒーターと実質的に接触するように上記物品内に配置されてもよい。必要に応じて、この物品は、担体材料と実質的に接触している複数のマイクロヒーターを備えてもよい。
【0019】
上記エアロゾル前駆体組成物は、様々な成分を含んでもよい。例えば、この組成物は、多価アルコール、薬剤、タバコ由来の物質および香料のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0020】
電源は、電池、キャパシタおよびそれらの組み合わせからなる群より選択され得る。さらに、この物品は、電流をこの電源からマイクロヒーターへ作動させる制御構成要素を備えてもよい。例えば、この制御構成要素は、ふかし作動(puff-actuated)センサーまたは容量センサーを備えてもよい。
【0021】
さらなる実施形態では、この喫煙物品は、そこに用いられる噴霧器に関して特徴付けされ得る。例えば、この喫煙物品は、噴霧器と一体であるマイクロヒーターを備えてもよい。さらに具体的には、この噴霧器は、壁と、カバーと、上記マイクロヒーターに積層している保護層によって画定されるチャンバを備えてもよい。さらに、この壁およびカバーの一方または両方は、蒸気は通すが液体は通さないようなサイズに設定されている複数の開口を備えてもよい。
【0022】
従って、本開示はまた、電気的喫煙物品中での使用に適切な噴霧器を包含し得る。例えば、この噴霧器は、チャンバ壁、カバーおよびマイクロヒーターから形成されるチャンバを備えてもよい。このチャンバ壁およびカバーは、一体であってもよく、本明細書に考察されるようにマイクロヒーターの支持層または保護層に対して取り付けられてもよい。このチャンバ壁およびカバーの一方または両方は、蒸気は通すが液体は通さないようなサイズに設定されている、複数の開口を備えてもよい。
【0023】
さらなる実施形態では、本開示は、喫煙物品にエアロゾルを形成する方法に関し得る。例えば、本方法は、喫煙物品内の電源から喫煙物品内のマイクロヒーターへ電流を開始し、それによってこのマイクロヒーターと、このマイクロヒーターと接触しているエアロゾル前駆体組成物とを加熱させることを包含してもよい。
【0024】
特定の実施形態では、この方法で利用される喫煙物品は、複数のマイクロヒーターを備えてもよく、このマイクロヒーターの2つ以上は、同時に加熱されてもよい。さらに、上記エアロゾル前駆体組成物は、2種以上の個々の成分を含んでもよく、このエアロゾル前駆体組成物の個々の成分は、マイクロヒーターによって別々に加熱されてもよい。さらに、このマイクロヒーターは、このマイクロヒーターが異なる温度まで加熱されるか、または異なる時間加熱されるような異なる条件下で電源から電流を受容し得る。一部の実施形態では、2つ以上のマイクロヒーターが連続して加熱されてもよい。
【0025】
必要に応じて、上記エアロゾル前駆体組成物は、担体材料上にコーティングされても、担体材料に吸着されても、または担体材料中に吸収されてもよい。さらに、電流を起動する工程の前に、この方法はさらに、喫煙物品中に担体材料を挿入することを包含してもよい。さらなる実施形態では、このマイクロヒーターは、基板に取り付けられてもよい。同様に、電流を起動する工程の前に、この方法はさらに、喫煙物品中に基板を挿入することを包含してもよい。有利なことに、このエアロゾル前駆体組成物は、基板に取り付けられたマイクロヒーター上にコーティングされてもよい。さらなる実施形態では、この方法は、リザーバーから、マイクロヒーターと熱的に結合されているチャンバへの上記エアロゾル前駆体組成物の流れを開始し、それによって上記チャンバ内の上記エアロゾル前駆体組成物を加熱することをさらに包含し得る。
【0026】
本発明は、限定するものではないが、以下の実施形態を包含する。
【0027】
実施形態1:電源と、前記電源に電気的に接続しているマイクロヒーターとを備える喫煙物品。
【0028】
実施形態2:前記マイクロヒーターは、微小電気機械システム(MEMS)ベースのヒーターである、先行または後続の実施形態のいずれかに記載の喫煙物品。
【0029】
実施形態3:前記マイクロヒーターは薄膜ヒーターである、先行または後続の実施形態のいずれかに記載の喫煙物品。
【0030】
実施形態4:前記マイクロヒーターは、パターンニングされた導電性材料を含む、先行または後続の実施形態のいずれかに記載の喫煙物品。
【0031】
実施形態5:前記導電性材料は、元素金属、金属合金、シリコン、セラミック、炭素、カーバイド、窒化物、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、先行または後続の実施形態のいずれかに記載の喫煙物品。
【0032】
実施形態6:前記マイクロヒーターは、支持層を含み、該支持層の上に導電性材料がパターンニングされている、先行または後続の実施形態のいずれかに記載の喫煙物品。
【0033】
実施形態7:前記導電性材料は、支持層に積層しているプリントされた層であるか、または前記導電性材料は、支持層に積層しているエッチングされた層である、先行または後続の実施形態のいずれかに記載の喫煙物品。
【0034】
実施形態8:前記マイクロヒーターは、パターンニングされた導電性材料に積層している保護層を備える、先行または後続の実施形態のいずれかに記載の喫煙物品。
【0035】
実施形態9:前記支持層または保護層は、約125℃~約750℃の温度範囲で温度安定である、先行または後続の実施形態のいずれかに記載の喫煙物品。
【0036】
実施形態10:前記支持層または保護層は、シリコンベースの材料を含む、先行または後続の実施形態のいずれかに記載の喫煙物品。
【0037】
実施形態11:前記マイクロヒーターは2層以上の層を含む、先行または後続の実施形態のいずれかに記載の喫煙物品。
【0038】
実施形態12:前記マイクロヒーターは、2つの膜の間に挟持された導電性材料を含む、先行または後続の実施形態のいずれかに記載の喫煙物品。
【0039】
実施形態13:前記マイクロヒーターは、約3mm以下の長さおよび約3mm以下の幅を有する、先行または後続の実施形態のいずれかに記載の喫煙物品。
【0040】
実施形態14:前記マイクロヒーターは、約0.5mm~約3mmの長さおよび約0.5mm~約3mmの幅を有する、先行または後続の実施形態のいずれかに記載の喫煙物品。
【0041】
実施形態15:前記マイクロヒーターは、基板に取り付けられている、先行または後続の実施形態のいずれかに記載の喫煙物品。
【0042】
実施形態16:前記基板は、電気絶縁材料から形成される、先行または後続の実施形態のいずれかに記載の喫煙物品。
【0043】
実施形態17:複数のマイクロヒーターを備える、先行または後続の実施形態のいずれかに記載の喫煙物品。
【0044】
実施形態18:エアロゾル前駆体組成物をさらに含む、先行または後続の実施形態のいずれかに記載の喫煙物品。
【0045】
実施形態19:前記エアロゾル前駆体組成物は、周囲条件で液体またはゲルの形態である、先行または後続の実施形態のいずれかに記載の喫煙物品。
【0046】
実施形態20:前記エアロゾル前駆体組成物が前記マイクロヒーターから隔間されるように、前記エアロゾル前駆体組成物は、リザーバー内にある、先行または後続の実施形態のいずれかに記載の喫煙物品。
【0047】
実施形態21:前記物品は、マイクロヒーターに規定の量のエアロゾル前駆体組成物を送達させるように適合された制御装置を備える、先行または後続の実施形態のいずれかに記載の喫煙物品。
【0048】
実施形態22:前記マイクロヒーターは、チャンバと熱的に結合され、前記チャンバは、そのチャンバ中の開口を通じて所定量のエアロゾル前駆体組成物を受容するように適合されている、先行または後続の実施形態のいずれかに記載の喫煙物品。
【0049】
実施形態23:前記チャンバは、チャンバからの蒸気の出口に適合された開口を備える、先行または後続の実施形態のいずれかに記載の喫煙物品。
【0050】
実施形態24:前記チャンバは、約0.2ml~約1mlの容積を有する、先行または後続の実施形態のいずれかに記載の喫煙物品。
【0051】
実施形態25:前記エアロゾル前駆体組成物は、担体材料上にコーティングされても、担体材料に吸着されても、または担体材料中に吸収されてもよく、前記担体材料は、マイクロヒーターと実質的に接触する物品内に配置される、先行または後続の実施形態のいずれかに記載の喫煙物品。
【0052】
実施形態26:前記マイクロヒーターは、噴霧器と一体である、先行または後続の実施形態のいずれかに記載の喫煙物品。
【0053】
実施形態27:前記噴霧器は、壁と、カバーと、マイクロヒーターに積層している保護層とによって画定されるチャンバを備える、先行または後続の実施形態のいずれかに記載の喫煙物品。
【0054】
実施形態28:前記壁およびカバーの一方または両方は、蒸気は通すが液体は通さないようなサイズに設定されている複数の開口を備える、先行または後続の実施形態のいずれかに記載の喫煙物品。
【0055】
実施形態29:喫煙物品にエアロゾルを形成する方法であって、前記喫煙物品内の電源からの電流を前記喫煙物品内のマイクロヒーターに流させ、それによって前記マイクロヒーターおよび前記マイクロヒーターと接触しているエアロゾル前駆体組成物を加熱させることを包含する、方法。
【0056】
実施形態30:前記喫煙物品は、複数のマイクロヒーターを備える、先行または後続の実施形態のいずれかに記載の方法。
【0057】
実施形態31:前記方法が、前記エアロゾル前駆体組成物が、担体材料上にコーティングされるか、担体材料に吸着されるか、または担体材料中に吸収され、前記電流の起動の工程の前に、前記喫煙物品内に担体材料を挿入することをさらに包含する、先行または後続の実施形態のいずれかに記載の方法。
【0058】
実施形態32:リザーバーから、前記マイクロヒーターと熱的に結合されているチャンバへの前記エアロゾル前駆体組成物の流れを開始して、それによって前記チャンバ内の前記エアロゾル前駆体組成物を加熱することをさらに包含する、先行または後続の実施形態のいずれかに記載の方法。
【0059】
実施形態33:電子喫煙物品中での使用に適切な噴霧器であって、チャンバ壁、カバーおよびマイクロヒーターから形成されるチャンバを備える、噴霧器。
【0060】
実施形態34:前記チャンバ壁およびカバーの一方または両方が、複数の開口を備える、先行または後続の実施形態のいずれかに記載の噴霧器。
【0061】
実施形態35:前記複数の開口のうちの1つ以上は、蒸気は通すが液体は通さないようなサイズに設定されている、先行または後続の実施形態のいずれかに記載の噴霧器。
【0062】
本開示のこれらの特徴および他の特徴、態様、および利点は、以下の詳細な説明と添付の図面(下に簡略に記載される)とを一緒に読めば明白になる。この開示は、前記の実施形態のうち2、3、4またはそれ以上の任意の組み合わせ、および本開示に示される任意の2、3、4またはそれ以上の特徴または要素の組み合わせを、このような特徴および要素が本明細書の特定の実施形態の説明で明確に組み合わされるか否かにかかわらず、包含する。本開示は、全体論的に読まれるものとし、その結果開示された主題の任意の分離可能な特徴または要素は、その種々の態様および実施形態のいずれでも、文脈上明らかに別と示されない限り、組み合わせ可能であるものとみなされるべきである。
【0063】
このように前述の一般的な用語で本発明を記載したが、ここで添付の図面を参照する。図面は必ずしも縮尺どおりに図示されていない。
【図面の簡単な説明】
【0064】
図1】本開示に係るマイクロヒーターの例示的な実施形態の斜視図である。
図2】本開示に係る喫煙物品の例示的な実施形態の斜視図であり、この物品の外側シェルの一部は、その内部構成要素を明らかにするために切り取られている。
図3】本開示に係る喫煙物品の例示的な実施形態の斜視図であり、この物品は、制御本体とそれから着脱可能なカートリッジとを備える。
図4】本開示の例示的な実施形態に係る、その上に複数のマイクロヒーターを備える基板の斜視図である。
図5図4に示した基板の線A-Aにおける縦断面図であり、この基板中のウェル内に収容され、エアロゾル前駆体組成物で覆われているマイクロヒーターを示している。
図6】本開示の例示的な実施形態に係る基板の斜視図であり、ここでこの基板は、その間に複数のマイクロヒーターを備える2つの層を備える。
図7】本開示に係る喫煙物品の例示的な実施形態の斜視図であり、ここでこの物品は、エアロゾル前駆体組成物を含む基板を受容し、複数のマイクロヒーターで裏打されている、その中の空洞に対する接近手段を提供する開き扉を備える単一の本体を備える。
図8】本開示の例示的な実施形態に係る噴霧器の斜視図である。
図9】本開示の例示的な実施形態に係るさらなる噴霧器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
ここで、本発明を、その例示的な実施形態を参照して、以降にさらに詳細に記載する。これらの例示的な実施形態は、本開示が全体的かつ完全であり、本発明の範囲を当業者に完全に伝えるように記載される。実際、本発明は、多くの異なる形態で具現化され得、本明細書に示される実施形態に限定されるものと解釈されるべきはない。そうではなく、これらの実施形態は、本開示が適用可能な法律要件を満たすように示される。本明細書において、および添付の特許請求の範囲に用いる場合、「1つの」、「ある」、「この、その」という単数形は、その文脈が明らかに矛盾しない限り複数形を包含する。
【0066】
本発明は、電気エネルギーを用いてある材料を加熱して(好ましくは、その材料を任意の程度まで燃焼させることなく)、吸入可能な物質を形成する物品を提供し、この物品は、「手持ち型・ハンドヘルド(hand-held)」装置とみなすのに十分に小型である。特定の実施形態では、この物品は特に、喫煙物品として特徴付けられ得る。本明細書において用いられる場合、この用語は、物品のいずれの成分の実質的な燃焼もなしにシガレット、葉巻またはパイプの喫煙の味覚および/または感覚(例えば、手の感覚または口の感覚)を得る物品を意味するものとする。喫煙物品との用語は、作動中、この物品が、燃焼または熱分解の副産物という意味で煙を生じることを必ずしも示す必要はない。そうではなく、喫煙とは、この物品を用いることにおける個体の身体的活動、例えば、この物品の保持、この物品の一端に対する吸入、およびこの物品からの吸入に関する。さらなる実施形態では、本発明の物品は、蒸気発生品、エアロゾル化品、または薬剤送達物品であるとして特徴付けられ得る。従って、この物品は、1種以上の物質を吸入可能な状態で提供するように配置されてもよい。他の実施形態では、この吸入可能な物質は、実質的に蒸気の形態(すなわち、その臨界点未満の温度で気相である物質)であってもよい。他の実施形態では、この吸入可能な物質は、エアロゾル(すなわち、ガス中の固体粒子または液滴の懸濁物)の形態であってもよい。吸入可能な物質の物理的形態は、本発明の物品の性質に限定される必要はなく、媒体および吸入可能な物質自体の性質に、それが蒸気状態で存在するかまたはエアロゾル状態で存在するかに応じて、依存するものとする。一部の実施形態では、この用語は、交換可能であってよい。従って、簡易にするために、本発明を記載するために用いられる用語は、別段述べない限り、交換可能であることが理解される。
【0067】
一態様では、本発明は、喫煙物品を提供する。この喫煙物品は一般に、長尺状の本体内で提供される多数の構成要素を備えてもよく、これは、単独の、単一のシェルであっても、2つ以上の分離可能なピースの形態であってもよい。例えば、一実施形態に係る喫煙物品は、従来のシガレットまたは葉巻の形状を模倣しているような、実質的に管状の形状であってよいシェル(すなわち長尺状の本体)を備えてもよい。このシェル内に、喫煙物品の全ての構成要素が存在してもよい(そのうちの1つ以上が交換可能であってよい)。他の実施形態では、喫煙物品は、連結されておりかつ分離可能である2つのシェルを備えてもよい。例えば、制御本体は、1つ以上の再使用可能な構成要素を備えており、カートリッジに対して取り外し可能に結合する末端を有するシェルを備えてもよい。このカートリッジは、1つ以上の使い捨て可能な構成要素を備えており、制御本体に対して取り外し可能に結合する末端を有するシェルを備えてもよい。単独のシェル内、または分離可能な制御本体およびカートリッジ内の構成要素のさらに特定の配列は、本明細書に示されるさらなる開示に鑑みて明白である。
【0068】
本発明に係る喫煙物品は、パワー源(すなわち電源)、1つ以上の制御構成要素(例えば、電源からこの物品の1つ以上のさらなる構成要素への電力の流れを制御/作動/調節するため)、ヒーター構成要素、およびエアロゾル前駆体成分のうちのいくつかの組み合わせを備えてもよい。この喫煙物品はさらに、この物品を通る、画定された空気の流路を備えてもよく、その結果、この物品によって生成されるエアロゾルは、この物品を吸入する使用者によってそれから引き出され得る。この物品内の構成要素の配置は変わってよい。特定の実施形態では、エアロゾル前駆体成分を、使用者の口に近い物品の末端に近く配置し、それによって使用者に対するエアロゾル送達を最大化してもよい。しかし、他の構成も排除されない。一般に、ヒーター構成要素は、エアロゾル前駆体成分に十分近く配置されてもよく、その結果、このヒーター構成要素からの熱は、エアロゾル前駆体(同様に、1つ以上の香料、薬剤または使用者に送達するために提供され得る同様のもの)を揮発し、使用者に対する送達のためのエアロゾルを形成し得る。加熱部材がエアロゾル前駆体成分を加熱する場合、エアロゾル(単独、またはさらに吸入可能な物質を含む)が、消費者によって吸入に適切な物理的形態で形成、放出または生成される。前述の用語は交換可能であることを意味することが留意されるべきである。従って、「放出」、「生成」、および「形成」との用語は、交換可能であってよく、「放出」、「生成」、および「形成」との用語は、交換可能であってよく、「放出する」、「生成する」、および「形成する」との用語は、交換可能であってよく、「放出され」、「生成され」、および「形成され」との用語は、交換可能であってよい。具体的には、吸入可能な物質は、蒸気またはエアロゾルまたはそれらの混合物として放出される。
【0069】
本発明に係る喫煙物品は、使用者による吸入のためのエアロゾルを生成するためのエアロゾル前駆体成分を加熱する加熱部材を備える。本明細書に記載したような喫煙物品は特に、加熱部材としてマイクロヒーターを備えることによって特徴付けられ得る。特に、このマイクロヒーターは、本明細書にさらに記載するように、電源に電気的に接続されてもよい。この喫煙物品は、単独のマイクロヒーターだけを備えてもよい。しかし、他の実施形態では、この喫煙物品は、複数のマイクロヒーターを備えてもよい。従って、本開示は、「ある、1つの(a:不定冠詞)」マイクロヒーターまたは「この、その(the:定冠詞)」マイクロヒーターとの用語で喫煙物品を記載してよいことが理解されるが、この開示は、この喫煙物品が複数のマイクロヒーターを備える実施形態を包含することを意味する。
【0070】
一部の実施形態では、ここに記載される喫煙物品に用いられるマイクロヒーターは、微小電気機械システム(MEMS)ベースのヒーターとして特徴付けられ得る。MEMSベースのヒーターは、風センサー、湿度センサーおよびガスセンサーなどの超小型のマイクロセンサーに現在用いられている。このようなMEMSベースのマイクロヒーターは、レジスタに電流を与えることによって熱を放射し得ると共に、低い電源入力要件および極めて短い応答時間などの利点が提供され得る。MEMSベースのマイクロヒーターは、本記載のとおり、喫煙物品では極めて有利である。この理由は、このマイクロヒーターは、低電圧および/または低出力の装置機能を提供し得るからである。
【0071】
ここに記載される喫煙物品に用いられるマイクロヒーターはまた、薄膜ヒーターまたは熱膜ヒーターとして特徴付けられ得る。これは、マイクロヒーターの物理的性質に特徴的であってよく、このマイクロヒーターは、膜(フィルム)(すなわち導電性層)の形態で特に提供され得る導電性材料を備え得る。特定の実施形態では、この導電性材料は、パターンニングされてもよい。換言すると、この導電性材料は、特定のパターンでマイクロヒーター中に存在してもよく、したがって、完成したマイクロヒーターの物理的性質を指し、そのマイクロヒーターを作製する方法に限定されない。導電性層の厚みは、様々な値をとってよく、例えば、約5μm以下、約4μm以下、約3μm以下、約2μm以下、約1μm以下、約0.75μm以下、約0.5μm以下、約0.25μm以下、約0.1μm以下、約0.075μm以下であってもよい。他の実施形態では、この導電性層は、約0.01μm~約5μm、約0.05μm~約3μm、約0.1μm~約2.5μm、約0.2μm~約2μm、または約0.5μm~約1μmの厚みを有し得る。
【0072】
このマイクロヒーター中に用いられる導電性材料は、ほぼどのような材料を含んでもよく、この材料は、上記で考察されるサイズ範囲で導電性であって、薄膜形成に適切である。例えば、導電性材料は、元素金属、金属合金、シリコン(単結晶シリコンおよび多結晶シリコンを含む)、セラミック、炭素、カーバイド、窒化物、およびそれらの組み合わせからなる群より選択され得る。さらに特定の実施形態では、この導電性材料は、白金、金、銀、銅、アルミニウム、タングステン、亜鉛、ニッケル、チタン、ニクロム、シリコンカーバイド、多結晶シリコン、単結晶シリコン、窒化チタンなどから形成され得る。特定の実施形態では、元素金属、例えば、白金は、優れた耐酸化性および長期安定性を示すおかげで特に有益であってよい。本開示に係る薄膜マイクロヒーターは、高レベルの耐久性および安定性を示し得、これは破損しやすくかつ安定性の低い熱線よりも好ましい場合がある。
【0073】
導電性層に加えて、本開示に係るマイクロヒーターは、支持層を備えてもよい。特に、導電性材料は、このような支持層上にパターンニングされてもよい。この支持層は好ましくは、ヒーター作動温度のもとで温度安定である材料から形成されている。例えば、支持層は、約150℃以上、約200℃以上、約300℃以上、約400℃以上、または約500℃以上の温度で温度安定であってよい。他の実施形態では、この支持層は、約125℃~約750℃、約150℃~約~約650℃、または約175℃~約500℃の温度範囲で温度安定であってよい。一部の実施形態では、この支持層は、セラミック材料、特にシリコンベースの材料から形成され得る。支持層材料の特定の例の1つは、窒化ケイ素材料である。しかし、他の材料、例えば、ガラスまたは石英が用いられてもよい。特定の熱可塑性材料、例えば、環状オレフィンコポリマー(COC)も用いられてもよい。この支持層は、絶縁材料から形成されても、絶縁層を備えてもよい。
【0074】
本開示に係るマイクロヒーターはさらに、導電性層に積層している保護層を備えてもよい。この保護層は好ましくは、この保護層がマイクロヒーターについての作動温度下で温度安定であり、熱放射および/または熱伝導であるような材料から形成される。例えば、この保護層は、約150℃以上、約200℃以上、約300℃以上、約400℃以上、または約500℃以上の温度で温度安定であってよい。他の実施形態では、この保護層は、約125℃~約750℃、約150℃~約~約650℃、または約175℃~約500℃の温度範囲で温度安定であってよい。一部の実施形態では、この保護層は、エアロゾル前駆体組成物またはその成分と直接接触されてもよい。従って、保護層に関しては、エアロゾル前駆体材料中に含まれ得る、種々の化合物と実質的に化学的に非反応性であることが好ましい。実質的に化学的に非反応性であるとは、防御層とエアロゾル前駆体材料の成分との間の任意の化学反応が、十分に限定されており、その結果、その防御層が突破されず、それによって、エアロゾル前駆体組成物が、そのマイクロヒーターの導電性層と間接的に接触することを可能にすることを意味する。あるいは、その句は、防御層とエアロゾル前駆体材料の成分との間の任意の化学反応が、十分に限定されており、その結果、その防御層に存在する化合物が、放出されて(または新規な化合物が形成されて)、それによって、消費者による吸入のための形成されたエアロゾルと組み合わされることがないことを意味する。一部の実施形態では、この支持層は、セラミック材料、特にシリコンベースの材料から形成されてもよい。支持層材料の特定の一例は、二酸化シリコン材料である。しかし、他の材料、例えば、ガラスまたは石英が用いられてもよい。
【0075】
このマイクロヒーターは特に、多層の物品であるとして特徴付けられ得る。具体的には、このマイクロヒーターは、2層以上の層を備えてもよい。他の実施形態では、このマイクロヒーターは、2つの層または2つの膜の間で挟持された導電性材料を含むとして特徴付けられ得る。支持層および保護層などのさらなる層の厚みは、適用に応じて様々な値をとってよい。一部の実施形態では、さらなる層は、導電性層と同様のサイズであってもよい。他の実施形態では、さらなる層は、導電性層よりも厚みが大きくてもよく、例えば、各々独立して、約0.5mm以下、約0.75mm以下、約1mm以下、約1.5mm以下、約2mm以下、または約5mm以下の厚みを有する。
【0076】
このマイクロヒーターは、その機能している形態で、そのさらなる寸法に関して同様に特徴付けられ得る。具体的には、このマイクロヒーターは、各々独立して、約5mm以下、約4mm以下、約3mm以下、または約2mm以下の長さおよび幅を有し得る。他の実施形態では、マイクロヒーターの長さおよび幅は、各々独立して、約0.25mm~約5mm、約0.5mm~約3mm、約0.6mm~約2.5mm、約0.7mm~約2mm、または約0.75mm~約1.5mmであってもよい。
【0077】
本開示に従って用いられ得るマイクロヒーターの例示的な実施形態を図1に示す。図からわかるように、マイクロヒーター50は、支持層510と、保護層540と、支持層と保護層との間に挟持されたパターンニングされた導電性層520とから形成される。各々の層は、本明細書に記載のような材料から形成され、本明細書に記載のような寸法を有し得る。このマイクロヒーターはまた、導電性層から延びており、種々の制御装置構成要素および電源を含む、本明細書に記載の物品のさらなる電気部品とマイクロヒーター(特に導電性材料)とを電気的に接触させる端子530も備える。好ましくは、このマイクロヒーターは、本明細書に記載のような物品内に配置され、その結果、その端子は、エアロゾル前駆体組成物とは接触しない。さらに、このマイクロヒーターは、エアロゾル形成のためのエアロゾル前駆体組成物と接触される防御層の部分から端子を隔間するように設計された構成要素をさらに備えてもよい。例証されるとおり、保護層は部分的に透明であるが、本明細書に記載されるように有用なマイクロヒーターは、必ずしも透明である必要はなく、このような特徴は、利用される材料に応じて変わってよい。同様に、この支持層および保護層は、同じ寸法を有しても、または異なる寸法を有してもよく、導電性層のパターンニングは様々であってよい。
【0078】
本明細書に記載したような喫煙物品で有用なマイクロヒーターは、種々の適切なプロセスで調製され得る。例えば、低圧化学気相成長(LPCVD)を用いて、マイクロヒーターの層状の成長を行ってもよい。さらに具体的には、支持層が、LPCVDによって構築基板(例えば、シリコンウエーハ、セラミック、例えば、金属窒化物、石英またはガラス)上に蒸着され得る。その後、導電性材料を、やはりLPCVDによって支持層に蒸着してもよい。この導電性層は、マイクロヒーターのための所望の性能特性を提供するように必要に応じてパターンニングされてもよい。例えば、反応性イオンエッチング(REI)が用いられてもよい。電気的接触は、例えば、スパッタリングプロセスを用いて形成し、導電性材料の電気的接触の手段を提供してもよい。保護層は、例えば、プラズマ化学気相堆積法(PECVD)によって導電性層上に形成してもよい。完成したマイクロヒーターは、必要に応じて構築基板から除去されてもよい。例えば、ディープREIプロセスによる異方性エッチングを用いて、シリコン構築基板の一部または全てを除去してもよい。さらに、積層したマイクロヒーターをパッケージングして、例えば、電気的接触に容易に接近し、同時に、マイクロヒーターの機能的構成要素のさらなる保護を得てもよい。例えば、パッケージングを用いて、熱安定かつ熱伝導性を材料内のマイクロヒーターを密閉してシールしてもよい。
【0079】
本発明の物品に有用なマイクロヒーターを調製するための他の手段は、支持層上に導電性層を積層するための金属蒸発プロセスを含んでもよい。必要に応じて、接着層を、金属蒸発工程の前に置いてもよい。導電性材料のパターンニングは、標準のフォトリソグラフィー技術(例えば、Shipley-1818)によってフォトレジストを用いて行ってもよく、この技術には、導電性層上にフォトレジストをスピンコーティングする工程と、(例えば、約65℃の温度で)ソフトベーキングして、フォトレジスト溶媒を除去する工程と、例えば、マスクアライナーの中で、塗布したフォトレジストをアライメントする工程と、UVランプを用いるなど、所望のマスクで加圧しながら、導電性層を露光する工程と、適切な現像液(例えば、Shipleyから商業的に入手可能)を用いてパターンニングされたフォトレジストを溶解するように現像する工程と、ハードベーキング(例えば、約90℃の温度で)して、フォトレジストを硬化する工程とが含まれてよい。フォトレジストを適用し、適切な溶媒でエッチングを行うことで、すでに露光された導電性材料を除去してもよい。その後、そのフォトレジストを、適切な溶媒を用いて除去してもよい。このような処理は、サブトラクティブ造形として特徴付けられてもよく、形成されたマイクロヒーターは一般的に、または導電層は特異的に、サブトラクティブに造形された物品または層として記載されてもよい。
【0080】
種々のプリント技術を用いて、マイクロヒーターを調製してもよい。具体的には、インクジェット型の印刷技術を利用して、導電性材料を所望のパターンで体系的に配置してもよい。これは、さらに構築基板の必要なしに、それ自体が比較的薄くてもよい支持層上に導電層を形成するのに特に有用であってよい。導電性材料が支持層に積層しているプリント層であるこのような技術は、積層造形として特徴付けされてもよく、形成されたマイクロヒーターは一般に、または導電層は特に、積層造形物品または層として記載され得る。
【0081】
前述のプロセスは、本開示に係る使用のためのマイクロヒーターを調製するために用いられ得るプロセスの種類の唯一の例であり、ここに記載される物品に用いられ得るマイクロヒーターを限定するとみなされるべきではない。さらに、本明細書に記載のような使用のための安定なマイクロヒーターは、例えば、Kebaili Corporation(Irvine,CA,www.kebaili.com)から商業的に入手可能である。
【0082】
さらなる実施形態では、本開示の装置での使用のためのマイクロヒーターは、事実上化学的であってもよい。さらに具体的には、マイクロヒーターは、電気抵抗の加熱に基づくのではなく、化学的反応に基づく加熱を提供してもよい。
【0083】
本記載の物品に用いられるマイクロヒーターは、公知の加熱要素の使用を超えるいくつかの利点を提供し得る。このようなマイクロヒーターは特に、規定量の加熱対象の材料(例えば、エアロゾル前駆体組成物)を制御してマイクロヒーターに送達する場合特に、極めてエネルギー効率的な電気加熱を提供し得る。このマイクロヒーターは同様に、制御された方式で極めて正確なエアロゾル化学を容易に達成し得る。
【0084】
本明細書に記載したような喫煙物品は一般に、この物品に対して種々の機能、例えば、マイクロヒーターの出力、インジケーターの出力などを提供するのに十分な電流を提供する電源を備えてもよい。この電源は種々の実施形態をとってもよい。好ましくは、この電源は、マイクロヒーターを急激に加熱して、エアロゾルを発生させ、所望の期間にわたって使用を通じてこの物品に電力供給するのに十分な電力を送達できる。この電源は好ましくは、この物品内で都合よく適合するようにサイズが設定される。有用な電源の例としては、好ましくは再充電可能なリチウムイオン電池(例えば、再充電可能なリチウム-二酸化マンガン電池)が挙げられる。具体的には、リチウムポリマー電池が用いられてもよい。他種の電池、例えば、N50-AAA CADNICAニッケル-カドミウムセルも用いてもよい。本発明によって用いられ得る電池のなおさらなる例は、米国特許出願公開第2010/0028766号に記載されており、その開示は、その全体が参照により本明細書に援用される。薄膜電池が、本発明の特定の実施形態では用いられてもよい。これらの電池またはそれらの組み合わせのいずれも、電源に用いられ得るが、費用および使い捨て型の電池に伴う使い捨てを考慮すると、再充電可能な電池が好ましい。使い捨て型電池が提供される実施形態では、喫煙物品は、電池の除去および置換のための接近手段を包含し得る。あるいは、再充電可能な電池を用いる実施形態では、喫煙物品は、標準の120ボルトのACの壁コンセントまたは他の電源、例えば、自動車の電気系または別の携帯型電源、例としてはUSB接続から電力を抽出する従来の再充電ユニット中で対応する接触との相互作用のための充電接触を備えてもよい。電池を再充電するための手段は、携帯型の充電ケースで提供されてもよく、このケースは例えば、喫煙物品中に存在する比較的小さい電池のための複数の充電を提供し得る比較的大きい電池ユニットを備えてもよい。この物品はさらに、非接触の誘導的再充電システムを提供するための構成要素を備えてもよく、その結果この物品は、外部電源に物理的に接続することなく充電できる。従って、この物品は、電磁場からこの物品内の再充電可能な電池へのエネルギーの移行を容易にする構成要素を備えてもよい。
【0085】
さらなる実施形態では、この電源は、キャパシタも備えてもよい。キャパシタは、電池よりも急速に再充電可能であり、ふかし(puff)の間に充電可能であり、電池を用いて加熱部材へ直接電力供給する場合よりも低速で、電池がキャパシタへ放電することを可能にする。例えば、スーパーキャパシタ、すなわち、電気二重層キャパシタ(EDLC)を電池とは別に用いても、または電池と組み合わせて用いてもよい。単独で用いる場合、スーパーキャパシタは、その物品の各使用の前に再充電されてもよい。従って、本発明はまた、スーパーキャパシタを補充するために、使用の間に喫煙物品に取り付けられ得る充電構成要素を備えてもよい。
【0086】
喫煙物品はさらに、種々の電源管理のソフトウェア、ハードウェア、および/または他の電気制御構成要素を備えてもよい。例えば、このようなソフトウェア、ハードウェアおよび/または電子制御装置は、電池の充電、電池の充電および放電の状態を検出すること、省電力操作を行うこと、電池の意図的でないかまたは過剰な充電を防ぐこと、ふかし(puff)のカウント、ふかしの(puff)区切り ふかしの(puff)期間、カートリッジ状態の特定、温度制御などを行うことを包含し得る。
【0087】
本開示に係る「制御装置」または「制御構成要素」は、本発明の喫煙物品で有用な種々の要素を包含し得る。さらに、本発明に係る喫煙物品は、単一の要素に組み合され得るか、または喫煙物品内の別の位置に存在し得る、1、2またはそれ以上の制御構成要素を備えてもよく、個々の制御構成要素は、異なる制御の態様を行うために利用されてもよい。例えば、喫煙物品は、電池と一体化されているか、そうでなければ電池と組み合わされており、電池からの放電を制御する制御構成要素を備えてもよい。この喫煙物品は別々に、この物品の他の態様を制御する制御構成要素を備えてもよい。この喫煙物品はまた、データ記憶を含めて特定の機能を提供するためにカートリッジ中に制御構成要素を備えてもよい(例えば、メモリを含むマイクロチップ)。あるいは、この物品の複数の制御態様または全ての制御態様を行う、単一の制御装置が設けられてもよい。同様に、この物品に用いられるセンサー(例えば、ふかしセンサー)は、刺激に応答して電源から放電する動作を制御する制御構成要素を備えてもよい。この物品は別々に、この物品の他の態様を制御する制御構成要素を備えてもよい。あるいは、単独の制御装置が設けられても、ほかの方法によってこの物品の複数の制御態様または全ての制御態様を行うためのセンサーと連結されてもよい。従って、制御装置の種々の組み合わせが、このデバイスの全ての態様の制御の所望のレベルを提供するために本発明の喫煙物品で組み合わされてもよい。
【0088】
この喫煙物品はまた、電源からこの物品のさらなる構成要素への、例えば、抵抗加熱要素への電気エネルギーの流れを制御するために有用な1つ以上の制御装置構成要素を備えてもよい。この物品は、電源からマイクロヒーターなどへ電流を作動させる制御構成要素を備えてもよい。一部の実施形態では、この物品は、電力の流れの手動制御のための制御回路に連結され得るプッシュボタンを備えてもよい。1つ以上のプッシュボタンは、喫煙物品の外面で実質的にフラッシュされ得る。
【0089】
プッシュボタンの代わりに(またはそれに加えて)、本発明の物品は、その物品での消費者の吸入(すなわち、ふかし作動の加熱)に応答した1つ以上の制御構成要素を備えてもよい。例えば、その物品は、その物品で消費者が吸入するとき、圧力変化または空気の流れの変化のいずれかに感受性であるスイッチを備えてもよい(すなわち、ふかし作動のスイッチ(puff-actuated switch))。他の電流作動/作動解除機構としては、温度作動のオン/オフスイッチまたは唇圧力作動のスイッチが挙げられる。このようなふかし作動能力を提供し得る例示的な機構としては、Model 163PC01D36シリコンセンサー(MicroSwitch division of Honeywell,Inc.,Freeport,Illが製造)が挙げられる。本発明に係る加熱回路で使用され得るデマンド操作型(demand-operated)の電気スイッチのさらなる例は、その全体が参照により本明細書に援用される、米国特許第4,735,217号(Gerthら)に記載されている。他の適切な異なるスイッチ、アナログ圧力センサー、流速センサーなどは、本開示の知識のある当業者には明白であろう。圧力検知管(pressure-sensing tube)、または、ふかし作動のスイッチと喫煙物品内の空気の流路との間で流体接続を提供している他の通路を設け、それによって吸入の間の圧力変化が、そのスイッチで特定されるようにしてもよい。本発明の喫煙物品で有用であってよい、電流調節回路およびマイクロコントローラーを含む他の制御構成要素のさらなる説明は、全てその全体が参照により本明細書に援用される、米国特許第4,922,901号、同第4,947,874号、および同第4,947,875号(全てが、Brooksらに対する)、米国特許第5,372,148号(McCaffertyらに対する)、米国特許第6,040,560号(Fleischhauerらに対する)、および米国特許第7,040,314号(Nguyenらに対する)に示される。
【0090】
静電容量の検知構成要素を具体的には、この装置の1つ以上の構成要素のための多様な種類の「パワーアップ」および/または「パワーダウン」を可能にする種々の方式でそのデバイスに組み込んでもよい。静電容量の検知は、静電容量カップリングに基づく技術を組み込んでいる任意のセンサーの使用を包含し得、このセンサーとしては、限定するものではないが、近さ、位置または移動、湿度、液面、圧力、温度または加速を検出および/または測定するセンサーが挙げられる。静電容量検知は、表面静電容量、投影型静電容量、相互静電容量、または自己静電容量を提供する電気構成要素から生じ得る。静電容量センサーは一般に、導電性であるか、または空気以外の誘電体を有するものならどのようなものでも検出し得る。例えば、静電容量センサーは、静電容量の代替によって機械的ボタン(すなわち、上記で述べたプッシュボタン)を置き換え得る。従って、本発明に係る静電容量センサーの1つの特定の適用は、タッチ式の静電容量センサーである。例えば、タッチパッドが、喫煙物品上に存在してもよく、これによって、使用者は、種々の命令を入力することが可能になる。最も基本的には、このタッチパッドは、既に上記されたとおり、プッシュボタンと同じ方式で加熱要素に電力供給し得る。他の実施形態では、静電容量検知は、喫煙物品の口端部の付近に備えられてもよく、その結果この物品で吸うための喫煙物品に対する唇の圧力は、この加熱要素に対して電力を提供する装置に信号伝達し得る。タッチ式静電容量センサーに加えて、モーション静電容量センサー、液体静電容量センサー、および加速度センサーを本発明に応じて利用して、喫煙物品から種々の応答を引き出してもよい。さらに、光電子センサーがまた、本発明の喫煙物品に組み込まれてもよい。
【0091】
本発明の物品に利用されるセンサーは、加熱要素への電力の流れのために明確に信号伝達し得、それによってエアロゾル前駆体組成物を加熱して、使用者による吸入のための蒸気またはエアロゾルを形成する。センサーはまた、さらなる機能を提供し得る。例えば、「ウェイク・アップ(wake-up)」センサーが備えられてもよい。同様の機能を提供する他の検知方法も同様に利用され得る。
【0092】
消費者が、喫煙物品の口の端部で吸入する場合、電流作動手段は、抵抗性加熱部材を通じた電流の無制限または中断のない流れを可能にして、熱を急速に生じ得る。加熱速度および/または加熱期間を制御するためにマイクロヒーターを通じた電流の流れを調節するための電流調節構成要素を備えることが有用である場合もある。
【0093】
電流調節回路は特に、時間ベースであってもよい。具体的には、このような回路は、吸入の間の最初の期間にまたがって加熱要素を通じた中断のない電流の流れを可能にするための手段と、吸入が完了するまで電流の流れを引き続き調節するためのタイマー手段とを備える。さらに、調節は、望ましい温度が達成され、次に電流を完全に遮断するまで中断のない電流の流れを単純に可能にすることを包含し得る。この加熱部材は、この物品に対して別のふかし(puff)を起動する(または、ヒーターを起動するために使用される特定のスイッチの実施形態に応じて、プッシュボタンを手動で作動する)消費者によって再起動され得る。あるいは、引き続く調節には、所望の温度範囲内で加熱要素を維持するための加熱要素を通じた電流の流れの調節を包含し得る(パルス幅調整を含む)。一部の実施形態では、吸入可能な物質の望ましい用量を放出するために、加熱部材に、約0.2秒~約5.0秒、約0.3秒~約4.5秒、約0.5秒~約4.0秒、約0.5秒~約3.5秒、または約0.6秒~約3.0秒という期間にまたがってエネルギー供給してもよい。このような時間制の電流調節回路および本発明の喫煙物品で有用であってよい他の制御構成要素のさらなる説明は、その全体が参照によって本明細書に全てが援用されている、全てがBrooksらに対する、米国特許第4,922,901号、同第4,947,874号、および同第4,947,875号に示される。
【0094】
制御構成要素は特に、マイクロヒーターに提供される熱の量を密接に制御するために構成され得る。一部の実施形態では、電流調節構成要素は、一旦既定の温度に到達すれば、マイクロヒーターに対する電流を停止するように機能し得る。このような規定の温度は、エアロゾル前駆体組成物および任意のさらなる吸入可能な物質を揮発させ、ある量のエアロゾルを所望の濃度で提供するのに実質的に十分高い範囲であってよい。エアロゾル前駆体組成物を揮発するのに必要な熱は変化し得るが、約120℃以上、約130℃以上、約140℃以上、または約160℃以上の温度まで加熱することがマイクロヒーターにとっては特に有用であってよい。一部の実施形態では、所望の量のエアロゾル前駆体組成物を揮発するために、加熱温度は、約180℃以上、約200℃以上、約300℃以上、または約350℃以上であってもよい。さらなる実施形態では、エアロゾル形成のための規定の温度は、約120℃~約350℃、約140℃~約300℃、または約150℃~約250℃であってもよい。加熱の温度および時間は、制御装置のハウジングに備えられている1つ以上の構成要素で制御されてもよい。電流調節構成要素は同様に、一旦既定の温度が達成されれば、マイクロヒーターへの電流をオフ・オンでサイクルして、規定の温度を規定の時間にまたがって維持してもよい。
【0095】
さらに、電流調節構成要素は、マイクロヒーターへの電流をオフ・オンにサイクルして、エアロゾル形成温度より低い最初の温度を維持し、次いで電流作動制御構成要素に対して応答して電流の増大を可能にして、最初の温度よりも大きく、エアロゾル形成温度である第二の温度を達成してもよい。このような制御は、エアロゾル形成のための物品の応答時間を改善し、その結果エアロゾル形成は、消費者によるふかしの開始の際、ほぼ即座に開始する。一部の実施形態では、最初の温度(スタンバイ温度として特徴付けられ得る)は、上記で規定された温度を形成するエアロゾルよりもごくわずかに低くてもよい。具体的には、このスタンバイ温度は、約50℃~約150℃、約70℃~約140℃、約80℃~約120℃、または約90℃~約110℃であってもよい。
【0096】
上記の要素に加えて、喫煙物品はまた、1つ以上のインジケーターを備えてもよい。このようなインジケーターは、本発明の物品の使用の多数の態様の指標を提供し得る、光(例えば、発光ダイオード)であってもよい。さらに、LEDインジケーターは、従来のシガレットが、光って、使用者に吸われる時に見られる色の変化をシミュレートするために喫煙物品の先端部に配置されてもよい。他の操作の指標もまた包含される。例えば、視覚のインジケーターはまた、喫煙経験の進行を示すために、光の色または強度の変化を含んでもよい。触知性インジケーターおよび聴覚性インジケーターは同様に、本発明に包含される。さらに、このようなインジケーターの組み合わせはまた、単独の物品中に用いられてもよい。
【0097】
特定の実施形態では、本発明に係る喫煙物品は、タバコ、タバコ成分、またはタバコ由来の物質(すなわち、タバコ中で天然に見出される物質であって、タバコから直接単離されても、または合成的に調製されてもよい)を含んでもよい。使用されるタバコとしては、熱風乾燥タバコ、バレー(burley)タバコ、オリエンタル(Oriental)タバコ、メリーランド(Maryland)タバコ、ダーク(dark)タバコ、ダーク・ファイアード(dark-fired)タバコ、およびルスティカ(Rustica)タバコなどのタバコ、同様に、他のまれなもしくは特殊なタバコ、またはそれらのブレンドが挙げられるか、あるいはそれらに由来してもよい。種々の代表的なタバコの種類、タバコの加工種、およびタバコブレンドの種類が、Lawsonらに対する米国特許第4,836,224号;Perfettiらに対する米国特許第4,924,888号;Brownらに対する米国特許第5,056,537号;Brinkleyらに対する米国特許第5,159,942号;Gentryに対する米国特許第5,220,930号;Blakleyらに対する米国特許第5,360,023号;Shaferらに対する米国特許第6,701,936号;Dominguezらに対する米国特許第6,730,832号、Liらに対する米国特許第7,011,096号;Liらに対する米国特許第7,017,585号;Lawsonらに対する米国特許第7,025,066号;Perfettiらに対する米国特許出願公開第2004/0255965号;Beremanに対する国際公開第02/37990号;ならびにBombickら,Fund.Appl.Toxicol.,39,p.11-17(1997)(それらの開示は、その全体が参照により本明細書に援用される)に示される。
【0098】
喫煙物品内に組み込まれるタバコは、種々の形態で使用されてよい。種々の形態のタバコの組み合わせが使用されても、または異なる形態のタバコを、喫煙物品内の異なる位置で使用してもよい。例えば、タバコは、タバコ抽出物の形態で使用されてもよい。例えば、Cantrellらに対する米国特許第7,647,932号、およびCrooksらに対する米国特許出願公開第2007/0215167号(それらの開示は、その全体が参照により本明細書に援用される)を参照のこと。
【0099】
喫煙物品は、タバコ製品の製造に伝統的に用いられる種類のタバコ添加物を組み込んでもよい。これらの添加物は、葉巻、シガレット、パイプなどの生成のために用いられるタバコの風味および芳香を増強するために用いられる種類の材料を含んでもよい。例えば、それらの添加物としては、種々のシガレットの外皮および/または最上層の構成要素を挙げることができる。例えば、Wochnowskiに対する米国特許第3,419,015号;Berndtらに対する米国特許第4,054,145号;Burcham,Jr.らに対する米国特許第4,887,619号;Watsonに対する米国特許第5,022,416号;Strangらに対する米国特許第5,103,842号;およびMartinに対する米国特許第5,711,320号(それらの開示は、その全体が参照により本明細書に援用される)を参照のこと。好ましい外皮の材料としては、水、糖およびシロップ(例えば、スクロース、グルコールおよび高フルクトースコーンシロップ)、保湿剤(例えば、グリセリンまたはプロピレングリコール)、および香味料(例えば、ココアおよび甘草)が挙げられる。それらの添加された成分はまた、最上層の材料(例えば、香味料、例えば、メントール)を含む。例えば、Maysらに対する米国特許第4,449,541号(それらの開示は、その全体が参照により本明細書に援用される)を参照のこと。添加され得るさらなる材料としては、Lawsonらに対する米国特許第4,830,028号およびMarshallらに対する米国特許出願公開第2008/0245377号(それらの開示は、その全体が参照により本明細書に援用される)に開示される材料が挙げられる。
【0100】
喫煙物品、具体的にはそれらの喫煙物品内で実質的に全てのタバコを意図的に燃焼しないように設計されている喫煙物品へタバコを組み込むための種々の方式および方法は、Brooksらに対する米国特許第4,947,874号;Cantrellらに対する米国特許第7,647,932号、Banerjeeらに対する米国特許出願公開第2005/0016549号;およびCrooksらに対する米国特許出願公開第2007/0215167号(それらの開示は、その全体が参照により本明細書に援用される)に示される。
【0101】
さらなるタバコ材料、例えば、タバコの芳香オイル、タバコのエキス(essence)、噴霧乾燥タバコ抽出物、凍結乾燥タバコ抽出物、タバコのダストなどを蒸気前駆体またはエアロゾル前駆体組成物中に含んでもよい。本明細書において用いられる場合、「タバコ抽出物」との用語は、タバコ抽出の処理条件および技術を用いて、タバコから分離されるか、タバコから取り出されるか、またはタバコに由来する成分を意味する。具体的には、タバコまたは他の植物の精製された抽出物が用いられてもよい。典型的に、タバコ抽出物は、水性の性質を有する溶媒(例えば、水)または有機溶媒(例えば、エタノールなどのアルコール類、またはヘキサンなどのアルカン類)などの溶媒を用いて得られる。従って、抽出されたタバコ成分は、タバコから取り出され、未抽出のタバコ成分から分けられ;そして溶媒中に存在する抽出されたタバコ成分については、(i)この溶媒は、抽出されたタバコ成分から取り除かれても、(ii)抽出されたタバコ成分および溶媒の混合物は、そのようなものとして用いられてもよい。タバコ抽出物、タバコエキス、溶媒、タバコ抽出加工条件および技術、ならびにタバコ抽出収集および単離の手順の例示的な種類は、Schachnerに対するオーストラリア国特許第276,250号;Meriroに対する米国特許第2,805,669号;Greenらに対する米国特許第3,316,919号;Tughanに対する米国特許第3,398,754号;Rookerに対する米国特許第3,424,171号;Luttichに対する米国特許第3,476,118号;Osborneに対する米国特許第4,150,677号;Kiteに対する米国特許第4,131,117号;Mullerに対する米国特許第4,506,682号;Robertsらに対する米国特許第4,986,286号;Faggに対する米国特許第5,005,593号;Faggに対する米国特許第5,065,775号;Whiteらに対する米国特許第5,060,669号;Whiteらに対する米国特許第5,074,319号;Whiteらに対する米国特許第5,099,862号;Whiteらに対する米国特許第5,121,757号;Munozらに対する米国特許第5,131,415号;Smithらに対する米国特許第5,230,354号;Sensabaughに対する米国特許第5,235,992号;Smithに対する米国特許第5,243,999号;Raymondに対する米国特許第5,301,694号;Gonzalez-Parraらに対する米国特許第5,318,050号;Clappらに対する米国特許第5,435,325号;およびBrinkleyらに対する米国特許第5,445,169号(それらの開示は、その全体が参照により本明細書に援用される)に示される。
【0102】
エアロゾル前駆体または蒸気前駆体組成物は、1種以上の異なる成分を含んでもよい。例えば、エアロゾル前駆体は、多価アルコール(例えば、グリセリン、プロピレングリコールまたはそれらの混合物)を含んでもよい。さらなるエアロゾル前駆体組成物の代表的な種類は、Sensabaugh,Jr.らに対する米国特許第4,793,365号;Jakobらに対する米国特許第5,101,839号;Biggsらに対するPCT WO 98/57556号;ならびにタバコを燃焼する代わりに加熱する新しいシガレットのプロトタイプに対する化学的および生物学的研究(Chemical and Biological Studies on New Cigarette Prototypes that Heat Instead of Burn Tobacco),R.J.Reynolds Tobacco Company Monograph(1988)(その開示は、参照により本明細書に援用される)に示される。一部の実施形態では、エアロゾル前駆体組成物は、それに対する十分な熱の適用(および必要に応じて、空気での冷却)の際に可視のエアロゾルを生じ、そのエアロゾル前駆体組成物は、エアロゾルを生じ得、これは「煙状(smoke-like)」とみなすことができる。他の実施形態では、このエアロゾル前駆体組成物は、実質的に可視ではないが、風味または風合いなどの他の特徴によって存在すると認識され得るエアロゾルを生じ得る。従って、生成されたエアロゾルの性質は、エアロゾル前駆体組成物の特定の成分に応じて変わってよい。このエアロゾル前駆体組成物は、タバコを燃焼させることによって生じる煙の化学的性質よりも化学的に単純であってよい。
【0103】
エアロゾル前駆体組成物は、水などのさらなる液体の物質を含んでもよい。例えば、エアロゾル前駆体組成物は、グリセリンおよび水の混合物、またはプロピレングリコールおよび水の混合物、またはプロピレングリコールおよびグリセリンの混合物、またはプロピレングリコール、グリセリンおよび水の混合物を組み込んでもよい。例示的なエアロゾル前駆体組成物としてはまた、関連する喫煙カートリッジタイプC1a、C2a、C3a、C4a、C1b、C2b、C3bおよびC4bを用いて使用され得る、商品名E-CIGである電子煙草として、Atlanta Imports Inc.,Acworth,Ga.,USA.から入手可能な装置に組み込まれる種類の物質;ならびにRuyan Atomizing Electronic PipeおよびRuyan Atomizing Electronic Cigaretteとして、Ruyan SBT Technology and Development Co.,Ltd.,Beijing,China.から入手可能な装置に組み込まれる種類の物質が挙げられる。
【0104】
開示された物品に用いられるエアロゾル前駆体組成物はさらに、1種以上の香味料、薬剤または他の吸入可能な物質を含んでもよい。例えば、液体のニコチンが用いられてもよい。このようなさらなる物質は、エアロゾル前駆体または蒸気前駆体組成物のうちの1つ以上の成分を含んでもよい。従って、エアロゾル前駆体または蒸気前駆体組成物は、吸入可能な物質を含むと記載され得る。このような吸入可能な物質は、香味料、薬剤、および本明細書に記載の他の物質を含んでもよい。具体的には、本発明に係る喫煙物品を用いて送達される吸入可能な物質は、タバコ成分またはタバコ由来の物質を含んでもよい。あるいは、この香味料、薬剤、または他の吸入可能な物質は、他のエアロゾル前駆体成分とは別に、例えば、リザーバー中で提供されてもよい。従って、規定量の香味料、薬剤、または他の吸入可能な物質が、エアロゾル前駆体または蒸気前駆体組成物のさらなる成分とともに使用者によって吸入される空気のストリーム中に、香味料、薬剤、または他の吸入可能な物質を放出するための抵抗性の加熱要素へ別々に送達されても、または同時に送達されてもよい。あるいは、この香味料、薬剤、または他の吸入可能な物質は、喫煙物品またはその構成要素の別の部分で提供されてもよい。特定の実施形態では、この香味料、薬剤、または他の吸入可能な物質は、マイクロヒーターに近くに配置されている基板(例えば、紙または他の多孔性物質)上に蒸着されてもよい。好ましくは、十分に近く、その結果、マイクロヒーターの加熱は、香味料、薬剤、または他の吸入可能な物質を基板から揮発および放出するのに十分な熱を提供する。
【0105】
広範な種類の香味剤、あるいは喫煙物品の主流のエアロゾルの感覚または感覚刺激性の特徴もしくは性質を変更する物質が使用されてもよい。このような香味剤は、タバコ以外の供給源から得られてもよく、事実上天然であっても人工であってもよく、濃縮物または香味パッケージとして使用されてもよい。特に興味深いのは、エアロゾルが生成される喫煙物品の領域に加えられるか、または組み込まれている香味剤である。やはり、このような剤は、既に上記されたように抵抗性の加熱要素に直接供給されても、基板に提供されてもよい。例示的な風味材としては、バニリン、エチルバニリン、クリーム、茶、コーヒー、果実(例えば、リンゴ、チェリー、ストロベリー、ピーチ、ならびにライムおよびレモンを含むかんきつ類のフレーバー)、メープル、メントール、ミント、ペパーミント、スペアミント、ウインターグリーン、ナツメグ、クローブ、ラベンダー、カルダモン、ジンジャー、はちみつ、アニス、セージ、シナモン、ビャクダン材、ジャスミン、カスカリラ、ココア、甘草、ならびにシガレット、葉巻およびパイプのタバコの香味に伝統的に用いられている種類および特徴の香料および香味パッケージが挙げられる。シロップ、例えば、ブドウ糖果糖液糖(high fructose corn syrup)も使用されてもよい。香味剤はまた、酸性もしくは塩基性の特徴(例えば、有機酸、例えば、レブリン酸、コハク酸、乳酸およびピルビン酸)を含んでもよい。この香味剤は、必要に応じてエアロゾル生成物と組み合わされてもよい。用いられ得る例示的な植物由来の組成物は、Dubeらに対する米国特許出願第12/971,746号およびDubeらに対する米国特許出願開第13/015,744号に開示されており、その開示は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0106】
有機酸を特に、エアロゾル前駆体に組み込んで、エアロゾル前駆体と組み合され得る、ニコチンなどの薬剤の香味、感覚または感覚刺激性の特性に影響させてもよい。例えば、レブリン酸、コハク酸、乳酸およびピルビン酸などの有機酸を、エアロゾル前駆体中に、最大でニコチンと等モルの量で(有機酸の総含量に基づいて)ニコチンとともに含んでもよい。有機酸の任意の組み合わせを用いてもよい。例えば、エアロゾル前駆体は、ニコチン1モルあたり約0.1~約0.5モルのレブリン酸、ニコチン1モルあたり約0.1~約0.5モルのピルビン酸、ニコチン1モルあたり約0.1~約0.5モルの乳酸、またはそれらの組み合わせを、存在する有機酸の総量が、最大で、エアロゾル前駆体中に存在するニコチンの総量と等モルの濃度で含んでもよい。
【0107】
エアロゾル前駆体組成物は、ここで利用される種々の量の物質に基づいて種々の形態をとってもよい。例えば、有用なエアロゾル前駆体組成物は、約98重量%以下、約95重量%以下、または約90重量%以下のポリオールを含んでもよい。この総量は、2種以上の異なるポリオール類の間の任意の組み合わせで分けられてもよい。例えば、1種のポリオールが、約50%~約90%、約60%~約90%、または約75%~約90重量%のエアロゾル前駆体を含んでもよく、第二のポリオールが、約2重量%~約45重量%、約2重量%~約25重量%、または約2重量%~約10重量%のエアロゾル前駆体を含んでもよい。有用なエアロゾル前駆体はまた、約25重量%、約20重量%または約15重量%の水、特に約2%~約25%、約5%~約20%、または約7%~約15重量%の水を含んでもよい。香味料など(ニコチンなどの薬剤を挙げることができる)は、約10重量%以下、約8重量%以下、または約5重量%以下のエアロゾル前駆体を含んでもよい。
【0108】
非限定的な例として、本発明に係るエアロゾル前駆体は、グリセロール、プロピレングリコール、水、ニコチンおよび1種以上の香味料を含んでもよい。具体的には、このグリセロールは、約70%~約90重量%、約70%~約85重量%、または約75%~約85重量%の量で存在してもよく、プロピレングリコールは、約1%~約10重量%、約1%~約8重量%、または約2%~約6重量%の量で存在してもよく、水は、約10%~約20重量%、約10%~約18重量%、または約12%~約16重量%の量で存在してもよく、ニコチンは、約0.1%~約5重量%、約0.5%~約4重量%、または約1%~約3重量%の量で存在してもよく、香味料は、約5重量%以下、約3重量%以下、または約1重量%以下の量で存在してもよく、全ての量は、エアロゾル前駆体の総重量に基づく。エアロゾル前駆体の1つの非限定的な特定の例は、約75%~約80重量%のグリセロール、約13%~約15重量%の水、約4%~約6重量%のプロピレングリコール、約2%~約3重量%のニコチン、および約0.1%~約0.5重量%の香味料を含む。ニコチンは、例えば、高ニコチン含量のタバコ抽出物であってもよい。
【0109】
喫煙物品中に用いられるエアロゾル前駆体組成物の量は、その物品が、許容できる感覚および感覚刺激性の特性、ならびに望ましい能力特徴を呈するような量である。例えば、十分なエアロゾル前駆体組成物の成分、例えば、グリセリンおよび/またはプロピレングリコールを使用して、タバコの煙の様子にかなり似ていると視認できる主流のエアロゾルを生成してもよい。典型的には、喫煙物品中に組み込まれるエアロゾル生成材料の量は、約1.5g以下、約1g以下、または約0.5g以下の範囲である。エアロゾル前駆体組成物の量は、喫煙物品とともに用いられる1カートリッジあたりの所望のふかしの回数などの要因に依存し得る。エアロゾル生成組成物は、許容できない味覚異常、薄い膜などの口の感覚、またはタバコのカットフィルターを燃焼することによって主流煙を生成するシガレットの伝統的な種類のものとは有意に異なる全体的な感覚の経験を重大なほど誘導しないことが望ましい。特にエアロゾル生成物質およびリザーバー物質の選択、用いられる成分の量、および用いられるタバコ物質の種類は、喫煙物品によって生じる主流のエアロゾルの全体的な化学組成を制御するために変更されてもよい。
【0110】
有益なことに、マイクロヒーターは、エアロゾル前駆体組成物と密着するか、その近くに配置されてもよい。他の実施形態では、このマイクロヒーターは、エアロゾル前駆体組成物が、エアロゾル化のためにマイクロヒーターに送達できるような物品内の位置であってもよい。例えば、エアロゾル前駆体組成物(またはその成分)は、ウィック(wick)もしくは他の多孔性物質を通じた毛細管現象を介して、または能動的もしくは受動的な流れ(バルブの制御を含み得る)によってなど、1つ以上のリザーバーからマイクロヒーターへ組成物が流れることを可能にするように液体型で提供されてもよい。従って、エアロゾル前駆体組成物は、未熟なエアロゾル化を防ぐためにマイクロヒーターから十分離れて配置された1つ以上のリザーバー中に液体型で提供されてもよいが、エアロゾル前駆体組成物の輸送を容易にするためにマイクロヒーターの十分近くに、エアロゾル化のためにマイクロヒーターに対して、所望の量で、配置されてもよい。あるいは、このエアロゾル前駆体組成物は、このマイクロヒーターと直接接触され得る基板内に少なくとも部分的に飽和されてもよく、その結果、加熱の際に、このエアロゾル前駆体組成物は基板から放出される。なおさらには、このエアロゾル前駆体組成物は、泡状物、ゲルまたは固体の形態であってもよい。このエアロゾル前駆体組成物の物理的状態とは、周囲条件(例えば、温度および圧力)でのこの物質の状態であってよい。このような実施形態は特に、マイクロヒーターと接触して提供されるエアロゾル前駆体物質の正確なアリコートを可能にし、それによって規定のふかし回数が得られる。このような実施形態は、本明細書のいずれか他にさらに詳細に考察される。
【0111】
本発明の物品によって放出されるエアロゾルの量は変化し得る。好ましくは、この物品は、使用の経過にわたって所望の含量のエアロゾル化物質を放出するのに十分な時間、十分な温度で機能するために、十分な量のエアロゾル前駆体組成物と、十分な量の任意のさらなる吸入可能な物質とで構成される。この含量は、この物品からの単回の吸入で提供されても、比較的短時間(例えば、30分未満、20分未満、15分未満、10分未満、または5分未満)にわたってその物品から多数のふかしを通じて提供されるように分けられてもよい。例えば、この物品は、この物品での1回のふかしあたり、約0.01mg~約0.5mg、約0.05mg~約0.3mg、または約0.1mg~約0.2mgの量でニコチンを提供し得る。計算を目的として、約2秒という平均のふかし時間で、約5ml~約100ml、約15ml~約70ml、約20ml~約60ml、または約25ml~約50mlというふかし容積を送達できる。このような総ふかし容積は、特定の実施形態では、以前に記載のWTPM含量を提供し得る。本発明に係る喫煙物品は、送達されるエアロゾルまたは他の吸入可能な物質の総量を1ふかしあたりに送達される量で割ることによって算出可能な任意の回数のふかしを提供するように構成され得る。1つ以上のリザーバーに適切な量のエアロゾル前駆体または他の吸入可能な物質を充填して、所望のふかし回数、および/または送達される物質の所望の総量を達成してもよい。
【0112】
さらなる実施形態では、加熱は、生成するべきエアロゾルの量に関して特徴付けられ得る。具体的には、この物品は、規定の量のエアロゾル(例えば、約5ml~約100ml、または喫煙物品で有用とみなされる任意の他の容積、例えば、本明細書において他に記載したものなど)を生成するために必要な熱の量を得るように構成され得る。特定の実施形態では、生成される熱の量は、2~4秒のふかしに関して測定され得、約290℃のヒーター温度で約35mlのエアロゾルが提供される。一部の実施形態では、この物品は好ましくは、1秒あたり約1~約50ジュール(J/s)、約2J/s~約40J/s、約3J/s~約35J/s、または約5J/s~約30J/sの熱を提供し得る。
【0113】
このマイクロヒーターを好ましくは、電気エネルギーがこのマイクロヒーターに提供されて熱を生じ、引き続いてエアロゾル前駆体組成物およびその様々な成分がエアロゾル化されるように、喫煙物品の電源に電気的に接続してもよい。このような電気接続は、恒久的であってもよいし(例えば、ハードワイヤード)、または取り外し可能であってもよい(例えば、ここでマイクロヒーターは、電源を備える制御本体から脱着可能なカートリッジ中に提供される)。
【0114】
本発明に係る喫煙物品での使用のための種々の材料を上に記載したが、(例えば、ヒーター、電池、キャパシタ、切り換え部品、リザーバー、ディスペンサー、エアロゾル前駆体など)、本発明は、例示された実施形態にのみ限定されるものと解釈されるべきではない。当業者は、本発明の任意の特定の構成要素と交換可能であってよい分野で同様の構成要素を本開示に基づいて認識し得る。例えば、Sprinkel,Jr.に対する米国特許第5,261,424号は、吸入を行うことに関連する使用者の唇の動きを検出し、次いで加熱を誘導するデバイスの口端部に関連し得る圧電センサーを開示している;McCaffertyらに対する米国特許第5,372,148号は、マウスピースを通じた圧力低下に応答した加熱負荷アレイへのエネルギー流を制御するためのふかしセンサーを開示する;Harrisらに対する米国特許第5,967,148は、構成要素が容器に挿入されるにつれて検出動作を施行する、挿入された構成要素および制御装置の赤外線透過率の非均一性を検出する識別子を備える喫煙装置中の容器を開示している;Fleischhauerらに対する米国特許第6,040,560は、多数の異なる段階による規定の実行可能な動力サイクルを記載している;Watkinsらに対する米国特許第5,934,289号は、フォトニック・オプトロニック(photonic-optronic)構成要素を開示している;Countsらに対する米国特許第5,954,979号は、喫煙装置によって吸入抵抗を変えるための手段を開示している;Blakeらに対する米国特許第6,803,545号は、喫煙装置での使用のための特定の電池構成を開示している;Griffenらに対する米国特許第7,293,565号は、喫煙装置での使用のための種々の充電システムを開示している;Fernandoらによる米国特許出願公開第2009/0320863号は、充電を容易にし、装置のコンピューター制御を可能にする喫煙装置のコンピューターインターフェース手段を開示している;Fernandoらによる米国特許出願公開第2010/0163063号は、喫煙装置の特定のシステムを開示している;そしてFlickによるWO2010/003480は、エアロゾル生成システムにおけるふかしの指標である流量検知システムを開示している;前述の開示の全てはその全体が参照により本明細書に援用される。電子的なエアロゾル送達物品に関する構成要素、および本発明の物品に用いられ得る開示の物質または構成要素のさらなる例としては、Gerthらに対する米国特許第4,735,217号;Morganらに対する米国特許第5,249,586号;Higginsらに対する米国特許第5,666,977号;Adamsらに対する米国特許第6,053,176号;Whiteに対する米国特許第6,164,287号;Vogesに対する米国特許第6,196,218号;Felterらに対する米国特許第6,810,883号;Nicholsに対する米国特許第6,854,461号;Honに対する米国特許第7,832,410号;Kobayashiに対する米国特許第7,513,253号;Hamanoに対する米国特許第7,896,006号;Shayanに対する米国特許第6,772,756号;Honに対する米国特許出願公開第2009/0095311号、同第2006/0196518号、同第2009/0126745号、および同第2009/0188490号;Thorensらに対する米国特許出願公開第2009/0272379号;Monseesらに対する米国特許出願公開第2009/0260641号および同第2009/0260642号;Oglesbyらに対する米国特許出願公開第2008/0149118および同第2010/0024834号;Wangに対する米国特許出願公開第2010/0307518号;ならびにHonに対するWO 2010/091593が挙げられる。前述の文書に開示される種々の物質は、本発明の装置中に種々の実施形態で組み込まれてもよく、前述の開示の全ては、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0115】
本発明に係る物品は、下に詳細に考察されるとおり、種々の実施形態をとってもよいが、消費者によるこの物品の使用は、範囲内では同様である。具体的には、この物品は、単一のユニットとして提供されても、使用のために消費者によって組み合わされ、その後に消費者によって分解される複数の構成要素として提供されてもよい。一般に、本発明に係る喫煙物品は、第二のユニットと係合および解放可能である第一のユニットを備えてもよく、この第一のユニットは、抵抗性の加熱要素を備え、この第二のユニットは、電源を備える。一部の実施形態では、第二のユニットはさらに、電源からの電流を作動または調節する1つ以上の制御構成要素を備えてもよい。この第一のユニットは、第二のユニットと会合する先端部と、その基端部で開口しているマウスピース(または単に口端部)を備える対向する基端部とを備えてもよい。この第一のユニットは、この第一のユニットのマウスピースへの空気流路開口部を備えてもよく、この空気流路は、抵抗性の加熱要素から形成されるエアロゾルのマウスピースへの通過を提供し得る。好ましい実施形態では、この第一のユニットは、使い捨て可能であってよい。同様に、第二のユニットは再使用可能であってよい。
【0116】
本発明に係る喫煙物品は、接続末端および対向する閉鎖末端を有する、実質的に円筒の形状である再使用可能な制御本体を有し得る。制御ハウジングの閉鎖末端は、この物品の能動的な使用の1つ以上のインジケーターを備えてもよい。この物品は、制御本体の接続末端に係合する接続末端を備え、対向する口端部を備えるカートリッジを備えてもよい。使用の際、消費者は、カートリッジの接続末端を制御本体の接続末端に接続するか、そうでなければカートリッジと制御本体とを組み合わせてもよく、それによって、この物品は、本明細書に考察されるとおり作動可能になる。一部の実施形態では、この制御本体およびカートリッジの接続末端は、ねじ式の係合で取り付けられてもよい。他の実施形態では、この接続末端は、圧入係合を有してもよい。
【0117】
使用の間、消費者は、抵抗性の加熱要素の加熱を開始し、この抵抗性の加熱要素によって生じた熱が、エアロゾル前駆体組成物、および必要に応じてさらに吸入可能な物質をエアロゾル化する。このような加熱は、エアロゾル前駆体組成物の少なくとも一部をエアロゾルの形態で放出し(これは、その中に含まれる任意のさらなる吸入可能な物質を含み得る)、このようなエアロゾルは、このカートリッジの口端部と液体連絡されているカートリッジの内側の空間内に提供される。消費者が、カートリッジの口端部で吸入するとき、空気は、カートリッジを通じて吸われて、吸われた空気とエアロゾルの組み合わせは、吸われた物質がカートリッジの口端部(存在する任意のマウスピース)を出て消費者の口へ向かうにつれて、消費者によって吸入される。加熱を開始するために、消費者は、プッシュボタン、静電容量センサー、または同様の構成要素を作動させてもよく、これによって抵抗性の加熱要素は、電池または他のエネルギー源(例えば、キャパシタ)から電気エネルギーを受け取る。この電気エネルギーは、事前に決定された時間の長さにわたって供給されても、手動で制御されてもよい。好ましくは、電気エネルギーの流れは、この物品でのふかしの間に実質的に進行することはない(エネルギーの流れが進行して、ベースラインの温度を周囲温度-例えば、活性な加熱温度まで急速な加熱を容易にする温度-よりも高く維持する場合もあるが)。さらなる実施形態では、加熱は、本明細書でその他に記載されるように、種々のセンサーの使用を通じて消費者のふかし行動によって開始されてもよい。一旦、ふかしが中断されれば、加熱は停止するか、または低減される。消費者が十分な回数のふかしを行い、それによって十分な量(例えば、典型的な喫煙経験と等しくなるのに十分な量)の吸入可能な物質を放出した場合、このカートリッジは、制御ハウジングから除去されて、破棄されてもよい。このカートリッジが消費された(すなわち、エアロゾル前駆体組成物が実質的に消費者によって消費された)という指標が提供され得る。一部の実施形態では、単独のカートリッジで、2回以上の喫煙経験を提供し得、これによって十分な含量のエアロゾル前駆体組成物を提供して、従来のシガレットまたはそれ以上のフルパックと同程度までシミュレートし得る。
【0118】
この物品の使用の前述の説明は、本明細書に提供されるさらなる開示に鑑みて当業者に明白であってよい、わずかな改変により、記載の種々の実施形態に適用することができる。しかし、使用の上記の説明は、本発明の物品の使用を限定する意図は無く、本発明の開示の全て必須の要件に適合するように示される。
【0119】
ここで図2を参照、本発明に係る喫煙物品10は一般に、シェル15と、そのシェル内に設けられる複数の構成要素とを備えてもよい。この物品は、口端部11(すなわち、その端部で消費者はこの物品からエアロゾルを吸入することができる)と、先端部12とを有すると特徴付けされ得る。図示された物品は、単独の単位装置として提供され(ただし、Aのラインは、任意の境界であって、これによってこの装置を2つの別々の構成要素に分けることが可能で、この構成要素は、接着などによって、取り外し可能にまたは恒久的に一緒に取り付けられる、境界を示す)。本明細書のさらなる開示から明らかであるとおり、この物品のさらなる実施形態については、各々がこの物品の別の構成要素を収容している2つ以上の結合可能なユニットから形成されることが好ましい場合がある。図2の実施形態で示される種々の構成要素は、複数のユニットから形成される実施形態を含む、他の実施形態に存在してもよい。
【0120】
物品10は、実質的に棹状であるか、または実質的に管状の形状であるか、または実質的に円筒の形状であるとして規定され得る全体的な形状を有し得る。図2に示すように、この物品は、実質的に丸い断面を有し;ただし、他の断面形状(例えば、卵形、四角、三角など)も本開示に包含される。この物品の物理的形状の指標であるこのような言い方はまた、制御本体およびカートリッジなどの複数のユニットを備える実施形態で、その物品の個々のユニットにあてはまる場合もある。
【0121】
喫煙物品10のシェル15は、管形状などの適切な高次構造を形成および維持するため、ならびにこの物品の適切な構成要素をその中に保持するために適切な任意の材料から形成されてもよい。このシェルは、図2に示されるような単独の壁から形成されてもよい。一部の実施形態では、このシェルは、耐熱性であり、それによってその構造の一体性を保持する(例えば、下にさらに考察されるように、抵抗性の加熱要素によって提供される少なくとも加熱温度の温度で分解しない)材料(天然または合成)から形成されてもよい。一部の実施形態では、この耐熱のポリマーまたは金属(例えば、ステンレス鋼)を用いてもよい。他の実施形態では、このシェルは、紙、例えば、実質的にわら形状の(straw-shaped)紙から形成されてもよい。紙管などのシェルは、それを通じた蒸気の動きを実質的に妨げるように機能する、それと関連した1つ以上の層を有してもよい。一実施例では、アルミニウムホイルの層をこのシェルの一面に積層してもよい。セラミック材料も用いてもよい。
【0122】
さらなる実施形態では、本発明に係る喫煙物品は、特定の機能を提供し得る種々の材料を含んでもよい。例えば、シェル15は、その物品の口端部でのように、その少なくとも一部の上にオーバーラップを備えてもよく、このようなオーバーラップはまた、複数の層から形成されていてもよい。このオーバーラップは、例えば、シガレットの典型的な包装紙であってもよい。このオーバーラップは特に、従来のシガレットのフィルター要素で典型的に用いられる材料、例えば、酢酸セルロースを含んでもよく、これによって消費者の口で従来のシガレットの感覚を得るように機能し得る。本発明のオーバーラップに用いられ得る、包装資材、包装資材構成要素、および処理された包装材料の例示的な種類は、Whiteらに対する米国特許第5,105,838号;Arzonicoらに対する米国特許第5,271,419号;Gentryに対する米国特許第5,220,930号;Woodheadらに対する米国特許第6,908,874号;Ashcraftらに対する米国特許第6,929,013号;Hancockらに対する米国特許第7,195,019号;Holmesに対する米国特許第7,276,120号;Hancockらに対する米国特許第7,275,548号;Fournierらに対するPCT WO 01/08514号;およびHajaligolらに対するPCT WO 03/043450(その開示は、その全体が参照により本明細書に援用される)に記載される。代表的な包装資材は、Schweitzer-Maudit InternationalからR.J.Reynolds Tobacco Companyグレード119、170、419、453、454、456、465、466、490、525、535、557、652、664、672、676および680として市販されている。
【0123】
非多孔性のシガレットの紙の1つ以上の層は、この物品を包むために用いられ得る(オーバーラップの存在は有無がある)。適切な非多孔性シガレットの紙の例は、Kimberly-Clark Corp.からKC-63-5、P878-5、P878-16-2および780-63-5として市販されている。このオーバーラップ(またはオーバーラップが存在しない場合はシェル)は、弾性の板紙材料、ホイル貼りの(foil-lined)板紙、金属、ポリマー材料、発泡体、ナノファイバーウェブ、などを含んでもよく、この材料は、シガレットの紙のラップによって拘束され得る。この物品は、この物品を拘束するチップ紙を含んでもよく、必要に応じてこの物品に対してフィルター物質を結合するように用いられてもよい。
【0124】
図2の実施形態からわかるように、喫煙物品10は、電子制御構成要素20と、流量センサー30と、電池40とを備え、これらの構成要素は、この物品内で種々の順序で配置されてもよい。明示的に示してはいないが、物品10は、電池40からの電力をさらなる構成要素に対して提供するのに必要な配線、およびこの物品によって提供される必要な機能の適切な操作のための構成要素を相互接続するのに必要な配線を備え得ることが理解される。この物品10はさらに、本明細書に記載のようなマイクロヒーター50を備えてもよい。このマイクロヒーターは、このマイクロヒーターを通じて流れる電流によって閉じた電気回路の形成を容易にする適切な配線を通じて電池40に電気接続され得る。さらなる配線(不図示)が、この物品内で必要な電気接続を得るために含まれてもよい。特定の実施形態では、この物品10は、制御構成要素20が、既に上記したように、パルス幅調整を含む、1つ以上の規定のアルゴリズムに従ってマイクロヒーター50にエネルギー供給するために電池40からの電力を送達、制御、そうでなければ調整するように、電気回路で配線されてもよい。このような電気回路は特に、この物品10が消費者による使用の時点でのみ活性であるように、流量センサー30を組み込んでもよい。例えば、消費者が物品10をふかせば、流量センサーはそのふかしを検出し、次に制御構成要素20が起動されて、その物品を通じて直接電力供給し、その結果マイクロヒーター50が熱を生じ、これによって消費者による吸入のためのエアロゾルが提供される。この制御アルゴリズムは、マイクロヒーター50に回路への電力供給を求め、これによって規定の温度が維持され得る。従って、この制御アルゴリズムは、消費者によるふかしがなく規定の時間の遅延後に、物品10を自動的に停止させて、その物品を通る電力の流れを遮断するようにプログラムされてもよい。さらに、この物品は、制御構成要素へのフィードバックを提供するための温度センサーを備えてもよい。このようなセンサーは、例えば、マイクロヒーター50と直接接触されてもよい。抵抗性の加熱要素を通じて抵抗を増大し、このような抵抗をこの要素の温度と関連付けるような論理的制御構成要素に依拠するなどの別の温度検知手段も同様に用いられてもよい。他の実施形態では、流量センサー30は、本明細書の他のいずれかに記載したような、静電容量検知などの、代替的な検知手段を提供するための適切な構成要素によって置き換えられてもよい。任意の種々のセンサーおよびそれらの組み合わせは、本明細書に既に記載のとおり、組み込まれてもよい。なおさらには、物品10に電力供給をオンおよびオフすること、マイクロヒーター50をオンにして吸入用の蒸気またはエアロゾルを生じることなど、種々の機能を引き起こすための消費者による手動の作動を可能にする1つ以上の制御ボタン16を備えてもよい。
【0125】
さらに、この物品は、シェル15の上に配置された1つ以上の状況インジケーター19を備えてもよい。このようなインジケーターは上記のとおり、その物品で行ったふかしの回数または残りの回数を示してもよいし、活動もしくは休止の状態の指標であってもよいし、ふかしに応答して点灯してもよいなどである。6つのインジケーターが図示されているが、もっと多くのまたは少ないインジケーターが存在してもよく、そのインジケーターは、異なる形状および方向をとってもよいし、単にシェル中の開口であってさえよい(例えば、このようなインジケーターが存在する場合、音の放出のため)。
【0126】
図2の実施形態に示すように、容器として図示されるリザーバー205は、マイクロヒーター50に近くに示され、移動要素300は、エアロゾル前駆体組成物がエアロゾル化のためにマイクロヒーターに送達できるように、リザーバー205から、およびマイクロヒーターと十分に近くに伸びる。次いで、形成されたエアロゾルが、喫煙物品10の口端部11を通じて使用者によって吸われる。マイクロヒーターの加熱によってエアロゾル化されるエアロゾル前駆体組成物は、連続して補充されてもよく(例えば、移動要素を介してリザーバーからマイクロヒーターへのエアロゾル前駆体組成物のウィックまたは他の流れを通じて)、またはエアロゾル前駆体組成物の特定のアリコートが需要に応じてマイクロヒーターに送達されてもよい。このサイクルは、実質的に全てのエアロゾル前駆体組成物がエアロゾル化されるまで続く。
【0127】
図2の実施形態からわかるように、物品10の口端部11は実質的に開放の空洞であって、その中にマイクロヒーター50とリザーバー205とが配置されている。このような開放空洞は、マイクロヒーターで形成されたエアロゾルの放出のための容積を提供する。この物品はまた、口端部11中に口の開口18を備えて、この空洞からのエアロゾルの引き出しを可能にする。図2の図には明示はしていないが、その物品は、その構造的一体性を増大するか、および/または必要に応じて濾過能力を提供するか、および/または吸入に対する抵抗を生じさせるために、その口端部にフィルター材(例えば、酢酸セルロースまたはポリプロピレン)を備えてもよい。例えば、本発明に係る物品は、空気の流れ1秒あたり17.5ccで約50~250mmの水圧低下を示し得る。さらなる実施形態では、圧力低下は、約60mm~約180mmであっても、または約70mm~約150mmであってもよい。圧力低下の値は、Filtrona Instruments and Automation Ltdから入手可能なFiltrona Filter Test Station(CTS Series)またはCerulean Division of Molins,PLCから入手可能なQuality Test Module (QTM)を用いて測定され得る。この物品を通る空気の流れを促進するために、空気取り込み17を設けてもよく、これは実質的に、シェル15に、この物品の内側への空気の流れを可能にする開口部を備えてもよい。複数の空気の取り込みが提供されてもよく、空気の取り込みは、空気の取り込みからの空気が、形成されたエアロゾルと交流して、その物品の空洞からおよび口端部の開口を通じた、その除去を容易にするように、この物品の口端部から上流の任意の位置に配置されてもよい。
【0128】
他の実施形態では、このリザーバーは、エアロゾル前駆体組成物を保持するように適合された基板であってもよく、例えば、エアロゾル前駆体組成物で少なくとも部分的に飽和されている物質の層であってもよい。このような層は、吸収性であっても、吸着性であっても、そうでなければ多孔性であってもよく、それによってエアロゾル前駆体組成物を保持する能力が得られる。従って、エアロゾル前駆体組成物は、担体材料(または基板)上にコーティングされるか、それに吸着されるか、またはその中に吸収されるとして特徴付けられ得、これは、1つ以上のマイクロヒーターをまた担持し得る基板物質の全てまたは一部を形成してもよい。この担体材料は、1つ以上のマイクロヒーター(すなわち、複数のマイクロヒーター)と実質的に接触するようにこの物品内に配置されてもよい。
【0129】
図2に示されるとおり、リザーバー205は、内部容積を規定する1つ以上の壁から形成される容器であってもよく、ここにエアロゾル前駆体組成物またはその1つ以上の成分が保管される。この容器は、実質的に剛直な壁から形成されてもよく、それからのエアロゾル前駆体物質の移動は、本明細書に考察されるような能動的または受動的な移動方法によって進行され得る。あるいは、この容器は、その容器が圧縮されて(すなわち、エアバッグリザーバー)それからエアロゾル前駆体物質を移動することを容易にし得るように、実質的に可塑性の物質から形成されてもよい。
【0130】
好ましい実施形態では、この物品は、シガレットまたは葉巻の形状に匹敵するサイズをとってもよい。従って、この物品は、約5mm~約25mm、約5mm~約20mm、約6mm~約15mm、または約6mm~約10mmの直径を有してもよい。このような寸法は、このシェルの外径に特に相当し得る。
【0131】
図2に図示される実施形態の喫煙物品10は、使い捨て可能な物品として特徴付けられ得る。従って、このような実施形態におけるエアロゾル前駆体組成物を含むリザーバーについては、消費者がその物品の2回以上使用できるように十分な量のエアロゾル前駆体組成物を含むことが望ましい場合がある。例えば、この物品が複数の従来のシガレット(例えば、2以上、5以上、10以上、または20以上の従来のシガレット)から可能であるふかし(約2~4秒の期間)の回数と実質的に等価なふかしの回数を提供できるように、この物品は、十分なエアロゾル化可能なおよび/または吸入可能な物質を含んでもよい。さらに具体的には、図2の実施形態に係る使い捨て可能な単一ユニットの物品は、約20以上、約50以上、または約100以上のふかしを提供し得る(一回のふかしは、本明細書に既に記載されたとおり測定される)。
【0132】
一部の実施形態では、本明細書に記載の物品は、相互に脱着可能である2つのユニットを備えてもよい。例えば、図3は、制御本体80およびカートリッジ90から形成される1つの実施形態に係る喫煙物品10を示す。特定の実施形態では、この制御本体は、再使用可能であるといってもよく、このカートリッジは、使い捨て可能であるといえる。一部の実施形態では、この物品全体は、この制御本体が、カートリッジの数が限られており、ごく限られた回数の使用のために構成され得るという点で使い捨て可能であると特徴付けられ得、(例えば、電池の電力構成要素がもはや十分な電力をこの物品に提供しなくなるまで)、その後、この物品10の全体は、制御本体を含めて、廃棄されてもよい。換言すると、この制御本体は、交換式の電池を有してもよく、その結果、その制御本体は、多数の電池交換により、および多くのカートリッジによって再使用されてもよい。この物品10は、再充電可能であってよく、従って、任意の種類の再充電技術、例としては、通常の電気のコンセントへの接続、自動車の充電器(すなわち、シガレットライターのコンセント)への接続、およびUSBケーブルなどを通じたコンピューターへの接続と組み合わされてもよい。
【0133】
制御本体80およびカートリッジ90は、相互に係合して内部接続された機能的な装置を形成するように特別に構成されている。図3に示すように、制御本体80は、近くの結合端部13を備え、これは、制御本体に対して直径が小さくなっている突起82を備える。このカートリッジは、先端結合端部14を備え、これが制御本体80の基端係合端部を係合して、喫煙物品10を機能的な使用可能型にさせる。図3では、制御本体突起82は、ネジ山を備え、これによってカートリッジ90を、このカートリッジの先端結合端部の対応するネジ山(図3では見えない)を介して制御本体80にねじ留めすることが可能になる。従って、カートリッジ90の先端結合端部は、制御本体突起82を受容するための開放空洞を備えてもよい。ネジ山による係合は、図3に図示しているが、圧入係合、磁気係合などのような係合のさらなる手段が包含されることが理解される。
【0134】
この物品内のマイクロヒーターの配置は、変わってよい。特定の実施形態では、1つ以上のマイクロヒーターを基板に結合してもよく、この基板は、喫煙物品に恒久的に組み込まれても、喫煙物品から取り出されてもよい。このような実施形態の例は、図4および図5に示される。最初に図4を参照、基板600が示されており、その上に複数のマイクロヒーター50が取り付けられている。このマイクロヒーターは、基板の表面に取り付けられるか、基板内に埋め込まれるか、または基板内に収容されているとして特徴付けられ得る(例えば、下の他のところに記載されているように、ウェルまたは基板内に形成された他のくぼみのなか)。この基板は、喫煙物品での使用に適した任意の材料から形成されてもよく、好ましくは、電気絶縁材料を含んでもよい。この基板物質としては限定するものではないが、ポリマー材料、特に耐熱ポリマー、紙、ボール紙、セラミックなどが挙げられる。5つのマイクロヒーターが図示された実施形態では示されているが、比較的小さいサイズのマイクロヒーターを考慮すると、単一の基板上でこれより多いかまたは少ない数のマイクロヒーターが利用されてもよいことが理解される。さらに、各々の基板がその上に1つ以上のマイクロヒーターを備える、複数の基板を用いてもよい。明示的に示してはいないが、その基板は、マイクロヒーターが電源から電力を供給されるのに必要な電気的接続を形成するために有用な任意の電気配線を備えてもよいことが理解される。同様に、その基板は、この物品のプラグまたは他の電気部品との電気的接続を形成するために有用な電気的接触を備えてもよい。例えば、各々の個々のマイクロヒーターは、その基板上の一般的な電気的接触に配線されてもよい。
【0135】
エアロゾル前駆体組成物(またはその1つ以上の構成要素)は、基板600の中または上に存在するリザーバー中に保管されてもよい。例えば、この基板の周囲の長さは、1つ以上の容器、多孔性材料など(その中にエアロゾル前駆体の1つ以上の成分を保管するために有用な)を含んでもよく、そして1つ以上の輸送要素が、エアロゾル前駆体組成物をリザーバーからマイクロヒーターへ輸送するために存在してもよい。このマイクロヒーター、リザーバー)および輸送要素は、単独の基板上に、または同じ基板上に自己包含されるものとして特徴付けられ得る。他の実施形態では、輸送要素は存在しなくてもよい。
【0136】
さらに具体的には、図5は、図4の線A-Aの基板の断面図としてみた時の閉じた装置の一実施形態を示す。この実施形態では、マイクロヒーター50は、基板600内にある距離で奥まっている。従って、この基板は、1つ以上のヒーターウェル610を備えるとして記載してもよい。次いで、個々のマイクロヒーターは、ヒーターウェル内に配置され、残りのウェル容積の全てまたは一部にエアロゾル前駆体組成物700(またはその成分)が充填されてもよい。ウェルの深さは、用いられるエアロゾル前駆体物質の容積に応じて変わってよい。このような実施形態では、エアロゾル前駆体組成物は、有益には、このエアロゾル前駆体組成物が、ヒーターウェル610から有意に外れないような形態で提供されてもよく、例えば、ゲルもしくは発泡体、または他の個体もしくは半固体の形態である。このゲルまたは(別の形態のエアロゾル前駆体)は、マイクロヒーター上にコーティングされてもよい。従って、このマイクロヒーターは、エアロゾル前駆体組成物と実質的に接触されている喫煙物品内に作動可能に配置されているものとして特徴付けられ得る。このような記載は、本明細書の他のいずれかに記載されるように、エアロゾル前駆体組成物およびマイクロヒーターのさらなる配列に適用可能である。
【0137】
図5に示すように、マイクロヒーターを備え、中にエアロゾル前駆体物質が配置されているヒーターのウェルは、基板の片側にのみ存在する。他の実施形態では、このウェルは、その基板の両側に存在してもよい。さらに、他の基板構成、例えば、三面(例えば、三角の断面を有する)、四面(例えば、四角、長方形、台形または他の同様の断面を有する)、またはマルチアームの断面(例えば、3つのアーム、4つのアーム、それ以上)が包含される。このような構成は、十分な表面積を提供して、単一の基板の上に比較的多数のマイクロヒーターを提供し得る。例えば、4アームの断面(例えば、十字の形状)を有する基板では、マイクロヒーターの配置のために最大8つの表面が利用できる。他の実施形態では、この基板は、円筒の形態であってもよく、このマイクロヒーターは、この円筒状の形状の基板の内面および外面の一方または両方の上に円周方向に分布されてもよい。
【0138】
比較的多くマイクロヒーターを提供することは、エアロゾル前駆体組成物の2つ以上の成分を別々に加熱することが望ましい場合、特に有益であってよい。具体的には、図5を参照、1つのヒーターウェル610は、前駆体組成物の1つの成分(例えば、ポリオール)を含んでもよく、別のヒーターのウェルは、異なる成分、例えば、香料または薬剤を含んでもよい。従って、この装置は、異なるアルゴリズムに応じてエアロゾル前駆体組成物の異なる成分に対応するマイクロヒーターを起動させるように適合された制御装置を備えてもよい。例えば、異なるマイクロヒーターは、異なる温度まで加熱しても、異なる時間の長さ加熱しても、または特定の順序で加熱してもよい。さらに、特定のマイクロヒーターは、その装置の起動に応答して(例えば、その装置での吸入を示している圧力センサーの起動の際)制御構成要素で自動的に起動されてもよく、他のマイクロヒーターが手動で(例えば、プッシュボタンによって)制御されてもよい。例えば、1つ以上のマイクロヒーターが、特定の香料(例えば、メントール)を加熱するために適合されてもよく、その装置の使用者は、必要に応じて香料だけを送達するような手動の制御を用いてもよい。前述から理解されるとおり、複数のマイクロヒーターの利用によって、その装置の加熱プロフィールのオーダーメードおよびそのデバイスでの個々のふかしで送達されるエアロゾル組成物のオーダーメードの変動を大きくすることができる。
【0139】
基板の中または上でのマイクロヒーターのなおさらなる構成は、本発明の開示によって包含され得る。例えば、複数のマイクロヒーターを、基板と組み合わせて、ヒーターのバンクを提供してもよい。図6の実施形態に示すように、マイクロヒーター50のバンクが基板中に提供されてもよい。この実施形態では、基板600は、第一の層603と第二の層605とを備え、このマイクロヒーターは、2つの層の間で挟持されてもよい。第一の層および第二の層のうちの1つは、エアロゾル前駆体組成物(またはその成分)のリザーバーとして機能し得る多孔性物質を含んでもよく、この前駆体組成物(またはその1つ以上の成分)は、その層の実質的に全体の領域にまたがって貯蔵されても、1つ以上のマイクロヒーターに相当する1つ以上の特定の領域にのみ沈着されてもよい。従って、個々のマイクロヒーターは、このマイクロヒーターに近くの領域で全体的なエアロゾル前駆体組成物をエアロゾル化するために起動され得る。あるいは、個々のマイクロヒーターを起動して、このマイクロヒーターの近くの領域のエアロゾル前駆体組成物の特定の成分をエアロゾル化してもよい。
【0140】
さらなる実施形態では、あるエアロゾル前駆体組成物(またはその1つ以上の成分)を含む基板が提供されてもよく、1つ以上のマイクロヒーターが、本明細書に記載の装置と一体に提供されてもよい。さらに具体的には、マイクロヒーターは、本明細書に考察されるような喫煙物品に対して内側に配置されてもよく、エアロゾル前駆体組成物を含む基板は、その物品内に配置されてもよく、その結果、その基板は、マイクロヒーターのバンクまたは単独のマイクロヒーターと実質的に接触される。この基板は、必要に応じて、入れ替え可能であり、その結果、マイクロヒーターのバンクを含む物品は、枯渇した基板を単に破棄することおよびその上にエアロゾル前駆体組成物を有する新鮮な基板をその物品に挿入することによって再使用可能である。1つのこのような実施形態は、図7に図示される。
【0141】
図7からわかるように、電子喫煙物品10の実施形態を図示しており、これは本質的に単一の連続の本体150であって、開き扉101を有する。開放位置の場合、その扉は、一連のマイクロヒーター50を裏うちされているエアロゾル化空洞を見せている。図示された実施形態では、このマイクロヒーターは、開き扉101の内面上に、およびその物品の内側の表面上に設けられている。この物品の使用に関しては、エアロゾル前駆体組成物を含む基板600は、この物品のエアロゾル化空洞内に配置される。次いで、基板600の上面および底面が各々一連のマイクロヒーターと実質的に接触するように、この空洞内に略平坦な基板を配置して、開き扉101を閉じる。物品の使用が、このエアロゾル前駆体組成物の基板を実質的に枯渇した後、開き扉を開口してもよく、その基板を取り外してエアロゾル前駆体組成物を含む新規な基板で置き換えてもよい。他の実施形態では、このマイクロヒーターは、開き扉の内側にのみ、またはエアロゾル化空洞の内面にのみ配置されてもよい。一連のマイクロヒーターは、本明細書に前述したように、所望の任意のアルゴリズムに従って基板を加熱するように構成されてもよい。
【0142】
一部の実施形態では、マイクロヒーターは連続配列されるものとして特徴付けられ得る。あるいは、このマイクロヒーターは、1つ以上の異なる空間配列で提供されてもよい。このマイクロヒーターの特定の配列は、基板の特定の位置を特別な順序で加熱するように予め規定されてもよいし、および/または基板の2つ以上の異なる部分を同じ時点で同時に加熱するように予め規定されてもよい。従って、開示された装置における複数のマイクロヒーターの組み合わせは、ヒーターのアレイであるとして特徴付けられ得る。
【0143】
図7の基板600は、略平坦な長方形に図示されているが、例えば、円筒などの他の形状も可能である。他の実施形態では、この基板は、規定の断面、例えば、四角、丸、三角などを有する実質的に長尺状の部材であってもよく、この基板の寸法は、この物品内のエアロゾル化空洞内にあてはまるようにサイズが設定される限り、その基板が1つ以上のマイクロヒーターと実質的に接触するように、必要に応じて変わってよい。さらに、エアロゾル化空洞の裏打ちのあるマイクロヒーターの数は変わってよい。同様に、基板の形状および寸法は変化されるので、この物品内のエアロゾル化空洞の形状および寸法は適宜変化し得、エアロゾル化空洞は、その基板と実質的に同一の形状および寸法であってよい。さらに他の実施形態では、開き扉101がこの物品10のいずれかにそって配置されてもよく、それによってエアロゾル化空洞への接近が容易になる。例えば、この物品の口端部11は、この物品の口端部の全部分がヒンジで開口して、基板600の配置および除去のためにエアロゾル化空洞に接近することを可能にするように、開き扉であってもよい。例えば、このような構造は、使用者によるマイクロヒーターへの直接の接近を制限し得る。
【0144】
特定の実施形態では、エアロゾル前駆体組成物を貯蔵するために用いられるリザーバーは、容器(例えば、エアバッグ)であってもよく、この物品は、この容器から規定量のエアロゾル前駆体組成物を測定するために適合され得る。機械的構成要素(例えば、プランジャーおよび駆動機構、例えば、バネ)が備えられてもよく、この物品のマイクロヒーターまたは同様の構成要素によって電気的に制御されてもよい。マイクロポンプ装置が特に用いられてもよい。関連の構成要素はまた、リザーバーの液体充填状態の指標を提供し得る。同様に、受動的マイクロ流体装置を、エアロゾル前駆体組成物またはその1つ以上の構成要素のマイクロヒーターへの移動のために用いてもよい。このような装置は、特に有用である。この理由は、それらは必ずしも別に電源を必要とせず、この装置によって行われる制御は、移動されている液体から引き出されたエネルギーに少なくとも一部は基づくか、または表面張力、選択的な疎水性/親水性制御などのような表面効果に基づくことができるからである。受動的なマイクロ流体装置の例は、例えば、スプリンガー・ハンドブック・オブ・ナノテクノロジー(Springer Handbook of Nanotechnology),Bharat Bhushan編集,セクション19.3,スマート・パッシブ・マイクロフルイディック・デバイス(Smart Passive Microfluidic Devices),2006年11月29日、532~540頁に見ることができる(その開示は全体が参照により本明細書に援用される)。
【0145】
エアロゾル前駆体組成物を含むリザーバーは、1つ以上のさらなる部品を介して本明細書に考察されるようなマイクロヒーターと液体連絡されてもよい。例えば、この容器は、容器の外およびマイクロヒーターの上への液体のエアロゾル前駆体組成物の移動を容易にするディスペンサーと接触されてもよい。このディスペンサーは、適切な寸法の配管または他の輸送要素などの、適切な通路を介して容器に接続されてもよい。必要に応じて、1つ以上のバルブを、そのバルブの開口が(例えば、マイクロ制御装置またはその物品の同様の構成要素による電子制御を介して)リザーバーの外のもしくは通路を通じた、またはディスペンサーの外およびマイクロヒーターの上への液体エアロゾル前駆体組成物の通過を可能にし得るという点で備えてもよい。このようなバルブの機構は、容器からエアロゾル前駆体組成物を能動的に置き換える他の機械的構成要素に加えて、またはその代わりに存在してもよい。
【0146】
このディスペンサーは、マイクロヒーター(別の基板上に存在してもよい)上にエアロゾル前駆体組成物を分注し得る。一部の実施形態では、このディスペンサーは、マイクロヒーター基板と一体であっても、ほかの方法によってマイクロヒーター基板に取り付けられてもよく、このディスペンサーは、そのエアロゾル化のため、および形成されたエアロゾルの放出のためにマイクロヒーターの近くにエアロゾル前駆体組成物を維持するための種々の構成要素を備えてもよい。
【0147】
このマイクロヒーターはまた、噴霧器具として効果的に特徴付けられ得る積層された基板の一部として設けられてもよい。例えば、図8は、本明細書で考察されるマイクロヒーターに積層する開口空洞を形成する積層構造である、噴霧器800を図示している。従って、このマイクロヒーターは、噴霧器と一体であるとして特徴付けられ得る。具体的には、噴霧器800は、支持層510を備えており、その上に導電性層520がある。保護層540は、導電性層と積層して示されている。保護層の上は、噴霧チャンバ810であり、これは、噴霧チャンバ壁820と、チャンバカバー830と、マイクロヒーター(特にマイクロヒーターの保護層)とによって画定される開放空間である。このチャンバカバーおよび保護層は、図示を容易にするために部分的に透明に示しているが、不透明または半透明の物質も同様に用いられてもよい。複数の開口840を噴霧チャンバ壁中に設けて、蒸発したエアロゾル前駆体物質の噴霧器の外への通過を可能にする。好ましくは、この開口は、蒸気がそれを通過するが、液体のエアロゾル前駆体組成物はそれを通過しないようにサイズが設定される。液体通路850は、噴霧器をリザーバーに接続し、その液体通路は、噴霧チャンバへ開口しており、液体前駆体物質が蒸発用のチャンバに入ることを可能にする。この液体通路は、約250μm~約1,000μm、約300μm~約750μm、または約400μm~約600μmの直径を有する配管であってもよい。本明細書に考察されるとおり、液体の通過は能動的手段を介しても、または受動的手段を介して行ってもよい。受動的手段が使用される場合、その液体は、チャンバに自由に通過し、そこで蒸気を待ち受けるが、開口840を通って出ることはない。このヒーターが起動された場合、液体が蒸発されて、開口を通ってチャンバを出て、そのチャンバは、追加の液体前駆体物質の進入によって埋め戻される。噴霧チャンバは好ましくは、チャンバに存在する液体の実質的に全てが、それから除去のために単回で完全に蒸発されるようにサイズが設定される。必要に応じて、噴霧チャンバから液体通路への、形成された蒸気の通過を妨げる手段が設けられてもよい。例えば、ボール弁(不図示)が、噴霧チャンバへの液体通路の開口に設けられてもよい。噴霧器の層は、共晶金属結合のように一緒に取り付けられてもよい。
【0148】
導電性層520から延在する端子530は、この物品のさらなる電気的構成要素とマイクロヒーター(特に導電性材料)を電気的に接続させる。このチャンバ壁およびチャンバカバーは、耐熱性であり、エアロゾル前駆体組成物と化学的に非反応性である任意の適切な材料から形成され得る。例えば、チャンバ壁は、ケイ素から形成されてもよく、チャンバカバーは、ガラスから形成されてもよいが、例えば、支持層および/または保護層として用いるための、本明細書に考察される他の材料を用いて、独立して、チャンバ壁およびチャンバカバーを形成してもよい。
【0149】
上記で考察される構造は、特に有益であってよいが、それは必要ではなく、むしろ上記の構成要素が、種々の方式で組み合わされてもよい。例えば、マイクロヒーターが1つ以上の壁から形成される噴霧チャンバと熱的に結合されるように、噴霧器を形成してもよい。そのチャンバは、そのチャンバ壁中の開口を通じるなど、所定量のエアロゾル前駆体組成物を受容するように適合されてもよい。このチャンバを規定している壁(規定どおりに、カバーを含む)は好ましくは、チャンバからの蒸気またはエアロゾルの出口に適合された開口およびチャンバへの空気の進入に適合された開口を1つ以上備える。特定の実施形態では、蒸気またはエアロゾルの出口に適合された開口はまた、チャンバへの空気の進入のためにも用いられてもよい。
【0150】
図9に図示される例示的な実施形態は、噴霧器800を示しており、これは、支持層510と、噴霧チャンバ壁820と、噴霧器チャンバカバー830とを備える。この噴霧チャンバ、導電性層、および保護層は、この視野では見えない。この実施形態では、カバー830は、複数のカバー開口845を備え、このチャンバ壁は、噴霧器の周囲の長さにそって連続している。液体通路850は、噴霧器をリザーバーに接続し、この液体通路は、噴霧チャンバへ開口して、液体前駆体物質が蒸発用のチャンバに通過することを可能にする。この実施形態では、このカバーは、金属メッシュから形成されてもよく、このカバー開口は、蒸発したエアロゾル前駆体組成物が、それを通過できるが、液体のエアロゾル前駆体組成物はそれを通過できないようにサイズが設定される。あるいはこのカバーは、他の適切な物質、例えば、セラミック、高温ポリマー、シリコン、ガラスなどから形成されてもよい。この噴霧器カバーおよび噴霧器チャンバ壁は有益なことに、適切なフォトリソグラフィー技術の使用などにより、一体の構造として形成されてもよい。具体的には、カバーを、噴霧チャンバ壁に用いられる材料のブランクに結合してもよく、エッチングを用いて壁を形成するのに必要な材料を取り除き、所望の寸法のチャンバを残してもよい。次にこのチャンバ壁を、支持層または支持層上の導電性層に積層しているカバーに層結合してもよい。
【0151】
マイクロヒーター自体の大きさのために、噴霧器は同様に、比較的小型であってよい。例えば、噴霧器は、約2mm~約12mm、約3mm~約10mm、または約4mm~約8mmという全長、および約1mm~約7mm、約1.5mm~約6mm、または約2mm~約5mmという全幅を有し得る。この噴霧チャンバは、約0.2ml~約1ml、約0.3ml~約0.9ml、または約0.4ml~約0.8mlという容積を有してもよい。1つ以上の噴霧器がこの物品に備えられてもよく、この噴霧器は、1つ以上のリザーバー(これは、エアロゾル前駆体組成物の全体またはエアロゾル前駆体組成物の特定の成分を含んでもよい)と液体連絡されてもよい。この物品は、複数の個々の成分を含むエアロゾル前駆体組成物と、エアロゾル前駆体組成物の個々の成分を別々に含む複数のリサーバーと、このリザーバーからエアロゾル前駆体組成物の所定量の個々の成分を受容するように適合された複数の噴霧器またはチャンバとを備えると特徴付けされ得る。
【0152】
特に上記した噴霧器は、本明細書に記載したような喫煙物品のカートリッジ中に組み込まれてもよい。例えば、この噴霧器は、壁のある容器などのリザーバーへ液体通路(例えば、ステンレス鋼管)を介して接続されてもよい。このリザーバーは、その中でエアロゾル前駆体組成物に対して陽圧を維持し得、その結果、この液体エアロゾル前駆体組成物は、使用の間、蒸発後に噴霧器のチャンバを連続して満たす。一実施形態では、このリザーバーは、バネなどによって付勢されているプランジャーを備えて、このリザーバー中の液体エアロゾル前駆体組成物に対する陽圧を維持してもよい。必要に応じて、プランジャーに対して取り付けられるのは、そのプランジャーで移動するインジケーターであってもよい。従って、喫煙物品は、本体に、それを通じてインジケーターが見える窓を備えてもよい。液体エアロゾル前駆体組成物が枯渇されるにつれ、プランジャーは規定の方向に移動する。従って、インジケーターは同様に同じ方向に移動する。この窓は、インジケーターがその窓を通過して移動するように配置されてもよく、液体エアロゾル前駆体組成物の充填状態の指標が提示されてもよい。例えば、色のコードを利用して、液体が枯渇するにつれてその窓に現れる1つ以上の異なる色で充填状態を示してもよい。同様に、漸減のインジケーターを用いて、液体が枯渇するにつれて、漸減無しから完全に漸減まで移動するインジケーターによって充填状態を示してもよい。他の実施形態では、窓ではなくデジタルスクリーンを設けてもよく、プランジャーの機械的な動きを、適切な信号へ電気的に変換して、デジタルスクリーン上に充填状態を示してもよい。同様に、一連のLEDを用いて充填状態を示してもよい。
【0153】
上記に加えて、上記の種々の実施形態について、種々のリザーバーを利用してもよいことに注意すべきである。例えば、リザーバーはボトルなどの容器であってもよく、ここにエアロゾル前駆体組成物が貯蔵される。この容器は、その材料が容器の壁を通って逃げることができないように、エアロゾル前駆体に対して実質的に不浸透性であってもよい。このような実施形態では、開口を、それからのエアロゾル前駆体組成物の通過のために設けてもよい。「ボトル」との用語は、壁および少なくとも1つの開口を有する任意の容器を一般的に包含することを意味する。ボトルの外側およびチューブまたは他の導管を通じたエアロゾル前駆体組成物の通過のためにチューブまたは他の導管を用いてもよい。このような通過はまた、毛細管現象を通じて生じ得る。あるいは、ボトルからの液体の受動的な流れは、喫煙物品が使用中である場合、エアロゾル前駆体組成物の流れを可能にするため、および喫煙物品が使用中でない場合、エアロゾル前駆体組成物の流れを防ぐため、開口され得る適切なバルブ機構で制御されてもよい。マイクロ-ポンプ装置を組み込んでいる能動的な流動機構もまた、本発明に係る使用のために想定される。このような容器は、エアロゾル前駆体組成物の任意の成分と実質的に反応性でない任意の適切な材料、例えば、ガラス、金属、低多孔性または非多孔性のセラミック、プラスチックなどから形成されてもよい。
【0154】
一部の実施形態では、リザーバーは、エアロゾル前駆体組成物を(例えば、吸収、吸着などを通じて)保持するため、およびマイクロヒーターへ輸送のために前駆体組成物を逃すことを可能にするために適切な織物または不織布または繊維の別の塊であってもよい。このようなリザーバー層は、天然の繊維、合成の繊維、またはそれらの組み合わせから形成されてもよい。有用な材料の非限定的な例としては、綿、セルロース、ポリエステル、ポリアミド、ポリ乳酸それらの組み合わせなどが挙げられる。同様に、リザーバーは、セラミック、他の多孔性物質、焼結物質などから形成されてもよい。本発明に係る喫煙物品は、1つのリザーバーを備えても、または複数のリザーバー(例えば、2つのリザーバー、3つのリザーバー、4つのリザーバー、またはそれ以上)を備えてもよい。本明細書において考察されるとおり、リザーバーは、事実上、1つ以上のマイクロヒーターを備える基板であってもよい。このような基板は、上記などの多孔性材料から形成されてもよい。
【0155】
特定の実施形態では、ウィックを用いて、1つ以上のエアロゾル前駆体組成物を、喫煙物品のリザーバーからマイクロヒーターへ輸送してもよい。従って、本発明に係る使用のためのウィックは、エアロゾル前駆体組成物の1つ以上の成分をマイクロヒーターへ輸送するための十分なウィックの作用を提供する任意の材料であってよい。非限定的な例としては、天然または合成の繊維、例えば、綿、セルロース、ポリエステル類、ポリアミド類、ポリ乳酸類、ガラスファイバー、それらの組み合わせなどが挙げられる。ウィックに用いられ得る他の例示的な物質としては、金属セラミック、および炭化フィラメントが挙げられる(例えば、材料の非炭素成分を追い払うために焼成を受けた炭素質物質から形成された材料)。ウィックはさらに、繊維の毛細管現象を変える物質でコーティングされてもよく、ウィックを形成するのに用いられる繊維は、特定の断面形状を有してもよく、繊維の毛細管現象を変更するように溝をつけられてもよい。ウィックを形成するのに用いられる繊維は、1つずつ提供されても、束ねて、織物として(メッシュおよび編み込みを含む)、または不織布として提供されてもよい。ウィックの材料の多孔性はまた、ウィックの毛細管現象を変更するように制御されてもよく、これには平均細孔サイズおよび全孔隙率の制御、ウィックの幾何形状(または繊維の幾何形状)の制御、および表面特徴の制御が挙げられる。別のウィックはまた、異なる長さを有してもよい。「ウィック」との用語はまた、毛細管を包含するものとし、所望の毛細管現象を提供する要素の任意の組み合わせを用いてもよい。
【0156】
喫煙物品で利用されるエアロゾル前駆体組成物は、第一の成分および少なくとも第二の個々の成分から形成されてもよい。従って、エアロゾル前駆体組成物は、複数の成分、例えば、2つの個々の成分、3つの個々の成分、4つの個々の成分、5つの個々の成分などから形成されてもよい。一部の実施形態では、エアロゾル前駆体組成物の個々の成分は、別のマイクロヒーターに別々に輸送されてもよい。別々の輸送は、これに関して、エアロゾル前駆体組成物の各々の個々の成分に、または個々の成分の任意の組み合わせに適用されてよい。一部の実施形態では、エアロゾル前駆体組成物の2つ以上の成分を同じリザーバーに貯蔵してもよく、さらに別のマイクロヒーターに対して別々に輸送しても、または同じマイクロヒーターに対して輸送してもよい。1つ以上のリザーバー、1つ以上の輸送要素、および1つ以上のマイクロヒーターの種々の組み合わせ(全てが種々のデザインを有し、種々の材料で形成されている)を用いて、エアロゾル前駆体組成物の成分の制御された速度の輸送および加熱を達成してもよい。
【0157】
有利なことに、加熱要素を分けるためにエアロゾル前駆体組成物の個々の成分の別の輸送を利用することによって、個々の成分を異なる温度まで加熱して、使用者が吸引するためにより一貫性のあるエアロゾルを得ることが可能となってよい。別のヒーターのエアロゾル化温度は実質的に同じであるが、一部の実施形態では、別のヒーターのエアロゾル化温度は、2℃以上、5℃以上、10℃以上、20℃以上、30℃以上、または50℃以上異なってもよい。
【0158】
前述に加えて、制御本体およびカートリッジは、全長に関して特徴付けられてもよい。例えば、制御本体は、約50mm~約110mm、約60mm~約100mm、または約65mm~約95mmの長さを有してもよい。このカートリッジは、約20mm~約60mm、約25mm~約55mm、または約30mm~約50mmの長さを有してもよい。組み合わせたカートリッジおよび制御本体の全体的な長さ(または単独の単一シェルから形成される本発明に係る喫煙物品の全長)は、典型的なシガレットの長さにほぼ等しいか、またはその長さ未満であってもよい(例えば、約70mm~約130mm、約80mm~約125mm、または約90mm~約120mm)。
【0159】
カートリッジおよび制御本体は、完全な喫煙物品、または一般に薬剤送達物品として一緒に提供されてもよいが、その成分はまた、別々に提供されてもよい。例えば、本発明はまた、再使用可能な喫煙物品または再使用可能な薬剤送達物品との使用のための使い捨て可能ユニットを包含し得る。
【0160】
特定の実施形態では、本発明に係る使い捨て可能なユニットまたはカートリッジは、添付の図面に関して上記したようなカートリッジと実質的に同一であってもよい。従って、使い捨て可能なカートリッジは、再使用可能な喫煙物品、または薬剤送達物品を係合するために構成された先端結合末端と、消費者に対して形成された蒸気および任意のさらなる吸入可能な物質の通過を可能にするように構成された対向する口端部とを有する実質的に環状の形状のカートリッジシェルを備えてもよい。このカートリッジシェルは、追加のカートリッジ構成要素、特に1つ以上のマイクロヒーターを備える内部カートリッジ空間を規定し得る。
【0161】
本明細書に記載される種々の図は、制御本体およびカートリッジを、作業上の関連で示すが、制御本体およびカートリッジは、個々の装置として存在してもよいことが理解される。従って、組み合わせた成分に関して本明細書のどこか他に記載される任意の考察は、制御本体およびカートリッジに対して、個々の構成要素および別々の構成要素としてあてはまることが理解されるべきである。
【0162】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載したような種々の構成要素を提供するキットに関し得る。例えば、キットは1つ以上のカートリッジを備える制御本体を備えてもよい。キットはさらに、1つ以上の充電構成要素を備える制御本体を備えてもよい。キットはさらに、1つ以上の電池を備える制御本体を備えてもよい。キットはさらに、1つ以上のカートリッジ、1つ以上の充電構成要素、および/または1つ以上の電池を備える制御本体を備えてもよい。さらなる実施形態では、キットは複数のカートリッジを備えてもよい。キットはさらに、複数のカートリッジ、および1つ以上の電池および/または1つ以上の充電構成要素を備えてもよい。本発明のキットはさらに、さらなるキット成分の1つ以上に適合するケース(または他のパッケージ、キャリー、または保管構成要素)を備えてもよい。このケースは、再使用可能な硬性または軟性の容器であってもよい。さらに、このケースは、単にボックスであってもまたは他の包装構造であってもよい。
【0163】
さらなる実施形態では、本発明の開示はさらに、喫煙物品にエアロゾルを形成する方法を包含する。具体的には、この方法は、喫煙物品の中の電源から喫煙物品のマイクロヒーターへ電流を起動して、それによって、エアロゾル前駆体組成物を加熱するマイクロヒーターを加熱させることを包含し得る。
【0164】
一部の実施形態では、この方法で利用される喫煙物品は、複数のマイクロヒーターを備えてもよい。2つ以上のマイクロヒーターを同時に加熱してもよい。なおさらには、このエアロゾル前駆体組成物は、2つ以上の個々の成分を含んでもよく、このエアロゾル前駆体組成物の個々の成分は、同時に加熱されたマイクロヒーターによって別々に加熱されてもよい。さらに具体的には、この同時に加熱されたマイクロヒーターは、異なる条件下での電源からの電流を受容してもよく、その結果、このマイクロヒーターは異なる温度まで加熱されるか、または異なる時間加熱される。必要に応じて、2つ以上のマイクロヒーターを連続して加熱してもよい(すなわち、規定の配列またはパターンで)。
【0165】
本方法のさらなる実施形態では、エアロゾル前駆体組成物は、担体材料(すなわち、基板)上にコーティングされても、それに吸着されても、またはその中に吸収されてもよく、そして、電流を起動する工程の前に、この方法は、担体材料を喫煙物品中に挿入することを包含し得る。同様に、マイクロヒーターは、基板に取り付けられてもよく、そして電流を起動する工程の前に、その方法は、基板を喫煙物品中に挿入することを包含し得る。特定の実施形態では、エアロゾル前駆体組成物は、基板に取り付けられたマイクロヒーター上にコーティングされてもよい。他の実施形態では、この方法は、エアロゾル前駆体組成物の流れをリザーバーから、そのリザーバーと熱的に結合されているチャンバへ開始し、それによってチャンバ内でエアロゾル前駆体組成物を加熱することを包含し得る。
【0166】
前述の説明および関連の図面に示される技術から利益を得る当業者であれば、本発明の変形例および他の実施形態を想到できるであろう。従って、本発明は、本明細書に開示の特定の実施形態に限定されないこと、ならびに変形例および他の実施形態は、添付の特許請求の範囲内に包含されるものとすることが理解されるべきである。本明細書で使用される特定の用語は、一般的および記述的な意味でのみ用いられ、限定を目的とするものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-01-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
喫煙物品であって、
エアロゾル前駆体組成物を含む液体を貯蔵するための内部容積を画定する1つ以上の壁から形成されるリザーバーと、
噴霧チャンバを備える噴霧器であって、前記噴霧チャンバが、1つ以上の壁によって画定され、マイクロヒーターを含む、噴霧器と、
液体通路であって、前記リザーバーからの液体が前記液体通路を通じて前記噴霧チャンバに入る、液体通路と、
を含む、喫煙物品。
【請求項2】
前記マイクロヒーターは、前記噴霧チャンバと熱的に結合される、請求項1に記載の喫煙物品。
【請求項3】
前記液体通路はチューブとして構成される、請求項1に記載の喫煙物品。
【請求項4】
前記エアロゾル前駆体組成物を含む液体を前記マイクロヒーターに輸送するためのウィックの材料をさらに含む、請求項1に記載の喫煙物品。
【請求項5】
前記マイクロヒーターを前記喫煙物品のさらなる電気的構成要素と電気的に接続するための端子をさらに含む、請求項1に記載の喫煙物品。
【請求項6】
前記マイクロヒーターおよび前記端子は、前記端子が液体の前記エアロゾル前駆体組成物と接触しないように配置されている、請求項5に記載の喫煙物品。
【請求項7】
前記マイクロヒーターが薄膜ヒーターである、請求項1に記載の喫煙物品。
【請求項8】
前記マイクロヒーターが、パターニングされた導電性材料を含む、請求項1に記載の喫煙物品。
【請求項9】
前記導電性材料は、元素金属、金属合金、シリコン、セラミック、炭素、カーバイド、窒化物、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項8に記載の喫煙物品。
【請求項10】
前記マイクロヒーターは、約0.25mm~約5mmの長さおよび約0.25mm~約5mmの幅を有する、請求項1に記載の喫煙物品。
【請求項11】
前記マイクロヒーターは基板に取り付けられている、請求項1に記載の喫煙物品。
【請求項12】
前記噴霧チャンバは、蒸気の出口に適合された開口を含む、請求項1に記載の喫煙物品。
【請求項13】
前記マイクロヒーターは、前記噴霧器と一体である、請求項1に記載の喫煙物品。
【請求項14】
前記喫煙物品は、制御本体及びカートリッジを含み、前記リザーバー、前記噴霧器、および前記液体通路は、前記カートリッジ内で画定されている、請求項1に記載の喫煙物品。
【請求項15】
前記制御本体および前記カートリッジは、圧入係合または磁気係合をするように構成されている、請求項14に記載の喫煙物品。