(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024023749
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】放射線及び磁場生成装置及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
A61N 2/04 20060101AFI20240214BHJP
A61N 2/12 20060101ALI20240214BHJP
A61N 5/06 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
A61N2/04
A61N2/12
A61N5/06 Z
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023214954
(22)【出願日】2023-12-20
(62)【分割の表示】P 2022564796の分割
【原出願日】2021-04-23
(31)【優先権主張番号】10-2020-0050313
(32)【優先日】2020-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0052174
(32)【優先日】2021-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】522416217
【氏名又は名称】ラデクセル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】RADEXEL INC.
【住所又は居所原語表記】301-ho, 10, Chunghon-gil 52beon-gil, Chuncheon-si, Gangwon-do 24437, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】イ,ジョン ウォン
(57)【要約】
【課題】磁場の影響を効果的に抑制する。
【解決手段】放射線及び磁場生成装置は、被照射体に光子ビーム放射線を照射し、光子ビーム放射線が照射された被照射体の領域で2次電子の発生を誘導する放射線発生部と、2次電子が発生した領域に磁場を形成する磁場発生部と、光子ビーム放射線が照射された領域と患部の位置関係に基づいて2次電子のうちの少なくとも一部が低密度空間に移動するように磁場の形成を制御し、2次電子が、患部組織と隣接している正常組織を回避して移動するように磁場の形成を制御する同期化制御部を含む。挿入構造体の形状は、光子ビーム放射線が照射された領域と患部の位置関係に基づいて予め決定される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光子ビーム放射線を被照射体の体内患部組織に照射する放射線及び磁場生成装置において、
前記被照射体に光子ビーム放射線を照射し、
前記光子ビーム放射線が照射された前記被照射体の領域で2次電子の発生を誘導する放射線発生部と、
体内に挿入されるように設けられ、低密度空間を形成する挿入構造体を含み、前記2次電子が発生した領域に磁場を形成する磁場発生部と、
前記光子ビーム放射線が照射された領域と患部の位置関係に基づいて前記2次電子のうちの少なくとも一部が前記低密度空間に移動するように前記磁場の形成を制御し、
前記2次電子が、患部組織と隣接している正常組織を回避して移動するように前記磁場の形成を制御する同期化制御部を含み、
前記挿入構造体の形状は、
前記光子ビーム放射線が照射された領域と前記患部の位置関係に基づいて予め決定される、放射線及び磁場生成装置。
【請求項2】
前記挿入構造体は、
前記体内に挿入され、予め決定された体積形成によって前記低密度空間を形成するバルーン(balloon)構造体として設けられることを特徴とする請求項1に記載の放射線及び磁場生成装置。
【請求項3】
前記磁場発生部は、少なくとも1つのコイル及びキャパシタ素子を含み、
前記同期化制御部は、
前記光子ビーム放射線が照射された領域と前記患部の位置関係に基づいて、前記少なくとも1つのコイルに供給される電流を制御して前記磁場を形成することを特徴とする請求項1に記載の放射線及び磁場生成装置。
【請求項4】
前記磁場発生部は、パルス電源の供給を受けてパルス状の前記磁場が発生するように設けられ、
前記同期化制御部は、前記磁場発生部で発生する発熱量が予め決定された値以下の状態で前記磁場を形成するように前記パルス電源を前記磁場発生部に供給するように制御することを特徴とする請求項3に記載の放射線及び磁場生成装置。
【請求項5】
前記同期化制御部は、
前記被照射体の大きさ情報を含み、前記被照射体に対応する識別情報を含み、
前記識別情報に基づいて前記磁場の形成を制御することを特徴とする請求項3に記載の放射線及び磁場生成装置。
【請求項6】
前記磁場発生部は、体内に挿入されるように設けられる第1領域及び第1領域を除く第2領域で設けられるカテーテル(catheter)構造として設けられ、
前記少なくとも1つのコイルは、前記第1領域に設けられ、
前記キャパシタ素子は、前記第2領域に設けられることを特徴とする請求項3に記載の放射線及び磁場生成装置。
【請求項7】
前記同期化制御部は、前記磁場に対応する磁力線と前記光子ビーム放射線の照射方向とがなす角度が垂直となるように、少なくとも1つの磁石の位置又は前記被照射体の位置を変更することを特徴とする請求項1に記載の放射線及び磁場生成装置。
【請求項8】
前記同期化制御部は、前記被照射体の前記正常組織に到達する前記2次電子の単位面積当たりの到達密度が予め決定された値未満になるように前記磁場の形成を制御することを特徴とする請求項1に記載の放射線及び磁場生成装置。
【請求項9】
前記同期化制御部は、前記患部に到達する前記2次電子の単位面積当たりの到達密度が予め決定された値を超えるように前記光子ビーム放射線の形成を制御することを特徴とする請求項8に記載の放射線及び磁場生成装置。
【請求項10】
光子ビーム放射線を被照射体の体内患部組織に照射する放射線及び磁場生成装置の制御方法において、
放射線生成装置の放射線発生部を介して前記被照射体に光子ビーム放射線を照射するステップと、
前記放射線発生部を介して前記光子ビーム放射線が照射された前記被照射体の領域で2次電子の発生を誘導するステップと、
磁場生成装置の磁場発生部を介して前記2次電子が発生した領域に磁場を形成するステップと、を含み、
前記磁場を形成するステップは、
前記光子ビーム放射線が照射された領域と患部の位置関係に基づいて前記2次電子のうちの少なくとも一部が患部組織を回避して移動するように前記磁場を形成し、
前記磁場を形成するステップは、
前記磁場発生部で発生する発熱量が予め決定された値以下の状態で前記磁場を形成するようにパルス電源を前記磁場発生部に供給するように制御するステップと、
を含む放射線及び磁場生成装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁場生成装置及びその制御方法に関し、より詳細には、放射線パルスと磁場パルスを同期化させることによって、磁場発生部の稼働量を低減させることができる磁場生成装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高齢化時代の到来に伴い、国民の生活水準が向上するにつれ、健康な生活を営むための疾病の早期診断と治療への関心が次第に高まっている傾向にある。特に、放射線治療装置は、疾病の治療に放射線を用いる医療装置であって、X線、ガンマ線のような光子又は陽子線などの放射線を用いて癌のような悪性腫瘍組織の成長を遅延させるか、破壊する治療装置である。
【0003】
ところが、人体の正常組織に高エネルギーを有している放射線量が過剰に照射される場合、正常組織細胞が死滅したり、遺伝的な欠陥を招いたり、癌を発生させたりもする。正常組織と腫瘍組織が近接している場合、放射線の副作用により放射線治療線量を十分に照射できない場合が発生する。例として、人体内の粘膜組織は、放射線に最も敏感な部位の1つであって、粘膜構造に一定の放射線量以上が伝達される際に副作用が発生する。従って、放射線治療時に、破壊する腫瘍が十分な放射線を受けるようにし、腫瘍を取り囲んでいる正常組織に対する損傷を最小化するように調節されなければならない。
【0004】
これに対して、大韓民国登録特許第10-1689130号では、磁場を用いた体内粘膜組織の線量制御光子ビーム放射線治療装置を開示しているが、磁場発生部のサイズが肥大して商用化に制約があった。例えば、従来の放射線を患者の腫瘍部位に照射する間、磁場発生部でも同様に持続的に磁場を生成した結果、磁場発生部の稼働時間を延長せざるを得ず、これは磁場を発生させる電磁石の発熱量及び電圧消耗量の増加につながった。従って、発熱の抑制及び十分な電圧供給のために磁場発生部に適用される冷却装置と電源供給装置のサイズを大きく製作することによって、患者が位置する治療空間を制限して患者の円滑な治療まで制約する問題があった。
【0005】
一方、磁場発生部で磁場が頻繁に発生する場合、外部漏洩磁場による放射線治療装置の誤作動だけでなく、放射線治療装置を構成する線形加速器内の電子ビームに影響を与えながら放射線線量に変化を招いたり、腫瘍組織に正確なビームターゲティングを妨害して正確な放射線治療を難しくしたりするという問題もあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、磁場発生部のデューティ比(duty factor)、発熱量及び磁場の外部漏洩量を低減すると共に、サイズが小型化された磁場生成装置を提供することにある。
【0007】
また、本発明の他の目的は、磁場発生部を磁場遮蔽部の内部領域に配置して線形加速器、電子銃、多葉コリメータなどに対する磁場の影響を効果的に抑制できる磁場生成装置を提供することにある。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、以上で言及した課題に制限されず、言及していない更に他の課題は、下記の記載から通常の技術者が明確に理解できるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施例に係る放射線及び磁場生成装置は、
【0010】
光子ビーム放射線を被照射体の体内患部組織に照射する放射線及び磁場生成装置において、前記被照射体に光子ビーム放射線を照射し、
【0011】
前記光子ビーム放射線が照射された前記被照射体の領域で2次電子の発生を誘導する放射線発生部と、体内に挿入されるように設けられ、低密度空間を形成する挿入構造体を含み、前記2次電子が発生した領域に磁場を形成する磁場発生部と、
【0012】
前記光子ビーム放射線が照射された領域と前記患部の位置関係に基づいて前記2次電子のうちの少なくとも一部が前記低密度空間に移動するように前記磁場の形成を制御し、
【0013】
前記2次電子が、前記患部組織と隣接している正常組織を回避して移動するように前記磁場の形成を制御する同期化制御部を含み、
【0014】
前記挿入構造体の形状は、
【0015】
前記光子ビーム放射線が照射された領域と前記患部の位置関係に基づいて予め決定されることができる。
【0016】
このとき、挿入構造体は、前記体内に挿入され、予め決定された体積形成によって前記低密度空間を形成するバルーン(balloon)構造体として設けることができる。
【0017】
また、磁場発生部は、少なくとも1つのコイル及びキャパシタ素子を含み、
【0018】
このとき、同期化制御部は、前記光子ビーム放射線が照射された領域と前記患部の位置関係に基づいて前記少なくとも1つのコイルに供給される電流を制御して前記磁場を形成できる。
【0019】
また、磁場発生部は、パルス電源の供給を受けてパルス状の前記磁場が発生するように設けられ、
【0020】
このとき、同期化制御部は、前記磁場発生部で発生する発熱量が予め決定された値以下の状態で前記磁場を形成するように前記パルス電源を前記磁場発生部に供給するように制御できる。
【0021】
また、同期化制御部は、前記被照射体の大きさ情報を含み、前記被照射体に対応する識別情報を含み、前記識別情報に基づいて前記磁場の形成を制御できる。
【0022】
更に、磁場発生部は、体内に挿入されるように設けられる第1領域及び第1領域を除く第2領域で設けられるカテーテル(catheter)構造として設けられ、
【0023】
前記少なくとも1つのコイルは、前記第1領域に設けられ、
【0024】
前記キャパシタは、前記第2領域に設けることができる。
【0025】
また、同期化制御部は、前記磁場に対応する磁力線と前記光子ビーム放射線の照射方向とがなす角度が垂直となるように、前記少なくとも1つの磁石の位置又は前記被照射体の位置を変更できる。
【0026】
更に、同期化制御部は、前記被照射体の前記正常組織に到達する前記2次電子の単位面積当たりの到達密度が予め決定された値未満になるように前記磁場の形成を制御できる。
【0027】
また、同期化制御部は、前記患部に到達する前記2次電子の単位面積当たりの到達密度が予め決定された値を超えるように前記光子ビーム放射線の形成を制御できる。
【0028】
本発明の一実施例に係る放射線及び磁場生成装置の制御方法は、光子ビーム放射線を被照射体の体内患部組織に照射する放射線及び磁場生成装置の制御方法において、
【0029】
前記磁場生成装置の放射線発生部を介して前記被照射体に光子ビーム放射線を照射するステップと、前記磁場生成装置の放射線発生部を介して前記光子ビーム放射線が照射された前記被照射体の領域で2次電子の発生を誘導するステップと、前記磁場生成装置の磁場発生部を介して前記2次電子が発生した領域に磁場を形成するステップと、を含み、
【0030】
前記磁場を形成するステップは、前記光子ビーム放射線が照射された領域と前記患部の位置関係に基づいて前記2次電子のうちの少なくとも一部が前記患部組織を回避して移動するように前記磁場を形成し、
【0031】
前記磁場を形成するステップは、
【0032】
前記磁場発生部で発生する発熱量が予め決定された値以下の状態で前記磁場を形成するようにパルス電源を前記磁場発生部に供給するように制御するステップを含むことができる。
【発明の効果】
【0033】
前記のような本発明は、以下のような多様な効果を有する。
【0034】
本発明によれば、磁場発生部に用いられる電力が減少して熱の発生を低減させることができ、これにより冷却装置などの内部構成が除外されるか、削減されることができる。
【0035】
また、本発明によれば、放射線パルスと磁場パルスを同期化させることによって、磁場発生部のデューティ比(duty factor)、発熱量及び磁場の外部漏洩量を低減でき、磁場生成装置を小型化できる。
【0036】
更に、本発明によれば、磁場遮蔽部の内部領域に磁場発生部を配置して磁場生成装置で磁場に敏感な部品に対する磁場の影響を最小化でき、外部漏洩磁場を内部に集束することによって、中心磁場を向上させることができる。
【0037】
また、本発明によれば、患者の患部組織(例えば、腫瘍部位)に光子ビーム放射線を照射すると同時に、患者の体内に磁場領域を形成し、磁場領域における磁場の方向、強度及び位相を調節することによって、正常組織に伝達される放射線量を最適化し、放射線の副作用を最小化して治療部位に伝達される放射線量の制約を除去することによって、光子ビーム放射線による治療効果を向上させることができる。
【0038】
更に、放射線ビームの方向と平行な磁場を形成させることによって、放射線散乱荷電粒子の発散を防ぎ、散乱荷電粒子を集中して、治療目標の腫瘍表面に伝達される放射線量を強化して放射線治療の効果を向上させると同時に、付加的な放射線の使用と散乱荷電粒子の発散による周辺の正常組織の損傷を減少して放射線の副作用を減らすことができる。
【0039】
本発明の効果は、以上で言及した効果に制限されず、言及していない更に他の効果は、下記の記載から通常の技術者が明確に理解できるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】本発明の一実施例に係る放射線治療装置を概略的に示す概念図である。
【
図2】本発明の一実施例に係る放射線治療装置を概略的に示す概念図である。
【
図3】本発明の一実施例に係る磁場生成装置を概略的に示す斜視図である。
【
図4a】本発明の一実施例に係る磁場生成装置の磁場分布を概略的に示す断面図である。
【
図4b】本発明の一実施例に係る磁場生成装置の磁場分布を概略的に示す断面図である。
【
図4c】本発明の一実施例に係る磁場生成装置の磁場分布を概略的に示す断面図である。
【
図4d】本発明の一実施例に係る磁場生成装置の磁場分布を概略的に示す断面図である。
【
図4e】本発明の一実施例に係る磁場生成装置の磁場分布を概略的に示す断面図である。
【
図5】
図4aないし
図4eの磁場を用いた放射線治療装置において放射線の照射による荷電粒子(例えば、電子)と磁場の作用関係を説明するための概略的な概念図である。
【
図6a】本発明の他の実施例に係る磁場生成装置の磁場分布を概略的に示す断面図である。
【
図6b】本発明の他の実施例に係る磁場生成装置の磁場分布を概略的に示す断面図である。
【
図6c】本発明の他の実施例に係る磁場生成装置の磁場分布を概略的に示す断面図である。
【
図6d】本発明の他の実施例に係る磁場生成装置の磁場分布を概略的に示す断面図である。
【
図7】
図6aないし
図6dの磁場を用いた放射線治療装置において放射線の照射による荷電粒子(例えば、電子)と磁場の作用関係を説明するための概略的な概念図である。
【
図8a】本発明の一実施例に係る磁場遮蔽部の構成を説明する図である。
【
図8b】本発明の一実施例に係る磁場遮蔽部の構成を説明する図である。
【
図8c】本発明の一実施例に係る磁場遮蔽部の構成を説明する図である。
【
図9】本発明の更に他の実施例に係る放射線治療装置の構成図である。
【
図10】本発明の更に他の実施例に係る放射線治療装置の構成図である。
【
図11a】本発明の更に他の実施例に係る放射線治療装置の外部領域における磁場分布を説明する図である。
【
図11b】本発明の更に他の実施例に係る放射線治療装置の外部領域における磁場分布を説明する図である。
【
図11c】本発明の更に他の実施例に係る放射線治療装置の外部領域における磁場分布を説明する図である。
【
図12a】本発明の更に他の実施例に係る放射線治療装置の外部領域における磁場分布を説明する図である。
【
図12b】本発明の更に他の実施例に係る放射線治療装置の外部領域における磁場分布を説明する図である。
【
図12c】本発明の更に他の実施例に係る放射線治療装置の外部領域における磁場分布を説明する図である。
【
図13a】本発明の更に他の実施例に係る放射線治療装置の内部領域における磁場分布を説明する図である。
【
図13b】本発明の更に他の実施例に係る放射線治療装置の内部領域における磁場分布を説明する図である。
【
図14a】本発明の更に他の実施例に係る放射線治療装置の磁場遮蔽部の構成を説明する図である。
【
図14b】本発明の更に他の実施例に係る放射線治療装置の磁場遮蔽部の構成を説明する図である。
【
図15a】本発明の更に他の実施例に係る放射線治療装置の磁場遮蔽部の種類による磁場分布を説明する図である。
【
図15b】本発明の更に他の実施例に係る放射線治療装置の磁場遮蔽部の種類による磁場分布を説明する図である。
【
図15c】本発明の更に他の実施例に係る放射線治療装置の磁場遮蔽部の種類による磁場分布を説明する図である。
【
図16】本発明の更に他の実施例に係る放射線治療装置の磁場遮蔽部の種類による磁場分布を説明する図である。
【
図17】本発明の一実施例に係る2次電子の単位面積当たりの到達密度に基づいて磁場生成装置が動作することを説明する図である。
【
図18a】本発明の一実施例に係る磁場生成部を構成する回路図を示す図である。
【
図18b】本発明の一実施例に係る磁場生成部の構成を示すブロック図である。
【
図19a】バルーン状の挿入構造体にコイルが設けられた形状を説明する図である。
【
図19b】バルーン状の挿入構造体にコイルが設けられた形状を説明する図である。
【
図20a】バルーン状の別の装置内で2次電子と磁場間の相互作用を説明する図である。
【
図20b】バルーン状の別の装置内で2次電子と磁場間の相互作用を説明する図である。
【
図21】本発明の一実施例に係るバルーン状の別の装置にガイド部が設けられることを示す図である。
【
図22a】本発明の一実施例に係る磁場発生装置に設けられた磁場発生部とバルーン状の別の装置に設けられたコイルの相互作用を説明する図である。
【
図22b】本発明の一実施例に係る磁場発生装置に設けられた磁場発生部とバルーン状の別の装置に設けられたコイルの相互作用を説明する図である。
【
図23a】本発明の一実施例に係る磁場発生装置に設けられた磁場発生部がコイルの集合によって形成されることを示す図である。
【
図23b】本発明の一実施例に係る磁場発生装置に設けられた磁場発生部がコイルの集合によって形成されることを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明の利点及び特徴、そしてそれらを達成する方法は、添付の図面と共に詳細に後述されている実施例を参照すると明確になる。しかし、本発明は、以下で開示される実施例に制限されるものではなく、互いに異なる多様な形態にて実現することができる。但し、本実施例は本発明の開示を完全なものにし、本発明が属する技術分野における通常の技術者に本発明の範疇を完全に理解させるために提供されるものであり、本発明は請求項の範囲により定義されるに過ぎない。
【0042】
本明細書で用いられた用語は、実施例を説明するためのものであり、本発明を制限しようとするものではない。本明細書において、単数型は特に言及しない限り複数型も含む。明細書で用いられる「含む(comprises)」及び/又は「含んでいる(comprising)」は、言及された構成要素以外に1つ以上の他の構成要素の存在又は追加を排除しない。明細書全体に亘って同一の図面符号は同一の構成要素を示し、「及び/又は」は言及された構成要素のそれぞれ及び1つ以上の全ての組み合わせを含む。たとえ、「第1」、「第2」などが多様な構成要素を叙述するために用いられていても、これらの構成要素は、これらの用語により制限されないのは当然である。これらの用語は、単に1つの構成要素を他の構成要素と区別するために用いる。従って、以下で言及される第1構成要素は、本発明の技術的思想内で第2構成要素でもあり得るのは言うまでもない。
【0043】
他の定義がなければ、本明細書で用いられる全ての用語(技術及び科学的用語を含む)は、本発明が属する技術分野における通常の技術者が共通して理解できる意味として用いられる。また、一般に用いられる辞典に定義されている用語は、明白に特に定義されていない限り、理想的に又は過度に解釈されない。
【0044】
空間的に相対的な用語である「下(below)」、「真下(beneath)」、「下部(lower)」、「上(above)」、「上部(upper)」などは図示されているように、1つの構成要素と他の構成要素との相関関係を容易に記述するために使用され得る。空間的に相対的な用語は図示されている方向に加えて使用時又は動作時に構成要素の互いに異なる方向を含む用語として理解されるべきである。例えば、図示されている構成要素をひっくり返す場合、他の構成要素の「下(below)」又は「真下(beneath)」と記述されている構成要素は、他の構成要素の「上(above)」に置くことができる。従って、例示的な用語である「下」は、下と上の方向を何れも含むことができる。構成要素は他の方向にも配向されることができ、これにより空間的に相対的な用語は配向によって解釈されることができる。
【0045】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。
【0046】
図1及び
図2は、本発明の一実施例に係る放射線治療装置を概略的に示す概念図である。
【0047】
図1を参照すると、本発明の一実施例に係る放射線治療装置10は、磁場生成装置を含むことができる。磁場生成装置は、磁場発生部200及び同期化制御部700を含むことができる。即ち、放射線治療装置10は、放射線発生部100と放射線量制御部500を基本構成としながら磁場生成装置を更に含むことができる。従って、下記で放射線治療装置10と磁場生成装置が互いに連動すると説明するのは、放射線治療装置10に磁場生成装置が追加で含まれている構成を説明するものと理解すればよい。
【0048】
一実施例において、放射線治療装置10と磁場生成装置は、互いに連動し得る。連動方式は、通信ネットワークを用いるか、光子ビーム放射線を検出して連動するか、互いに連動するように予め磁場や光子ビームの発生周期が設定されることができる。
【0049】
一実施例において、患者Bの内部には腫瘍T、正常組織N及び低密度空間Lが位置し、低密度空間Lは、腫瘍T又は正常組織Nのうちの少なくとも1つと隣接し得る。体内の低密度空間Lは、口腔、鼻腔、気道、肺のように正常に存在する空間であり、空気の挿入、バルーンの挿入、発泡剤の注入などによって形成された人工的な空間であり得る。また、低密度空間Lは、光子ビーム放射線から発生した2次電子が透過する空間であり得る。更に、低密度空間Lは、体内の空き空間、体腔(body cavity)を含むことができる。
【0050】
一実施例において、放射線治療装置10の放射線発生部100は、被照射体(例えば、患者、B)の患部組織(例えば、腫瘍、T)に光子ビーム放射線を照射できる。
【0051】
一実施例において、放射線治療装置10の放射線量制御部500は、磁場の強度、方向及び位相を調節して電子を体内の低密度空間Lで回折させて、患者Bの腫瘍T及び腫瘍Tに隣接している正常組織Nに吸収される放射線量を制御できる。例えば、放射線治療装置10と磁場生成装置が連動して放射線量制御部500が磁場発生部200を制御することによって、磁場の強度方向及び位相を調節できる。このような場合にも磁場パルスの生成時間の範囲は、同期化制御部700が制御できる。
【0052】
一実施例において、磁場生成装置の磁場発生部200は、患者Bの内部に磁場を形成できる。例えば、磁場発生部200は、低密度空間Lに磁場を形成できる。
【0053】
一実施例において、磁場生成装置の同期化制御部700は、光子ビーム放射線に対応する放射線パルスと磁場に対応する磁場パルスを同期化させることができる。ここで、パルスの同期化とは、互いにパルスの発生が時間的に重なることを意味し得る。例えば、同期化制御部700は、光子ビーム放射線パルスと磁場パルスの発生時期を一致させることができる。
【0054】
一実施例において、磁場生成装置の同期化制御部700は、放射線治療装置の放射線量制御部500と連動できる。同期化制御部700は、放射線量制御部500から光子ビーム放射線の出力周期を受信し、光子ビーム放射線の出力周期と磁場の出力周期を同期化させることができる。
【0055】
一実施例において、磁場生成装置は、光子ビーム放射線を検出するパルス検出部800を更に含むことができる。例えば、パルス検出部800は、磁場パルスと放射線パルスを検出できる。パルス検出部800は、磁場発生部200と放射線発生部100からそれぞれ磁場パルスと放射線パルスを有線又は無線ネットワークを介して受信し、磁場パルスと放射線パルスを検出できる。また、パルス検出部800は、外部から獲得した放射線と磁場を分析して磁場パルスと放射線パルスを検出できる。このために、パルス検出部800は、放射線検出センサ(図示せず)と磁場センサ(図示せず)を備えることができる。
【0056】
一実施例において、磁場生成装置の同期化制御部700は、パルス検出部800から検出した光子ビーム放射線を分析して光子ビーム放射線の出力周期を獲得できる。
【0057】
一実施例において、磁場生成装置の同期化制御部は、磁場が目標値に到達した後に光子ビーム放射線の照射によって発生する2次電子の生成区間が磁場生成時間の範囲に含まれるように磁場生成範囲を設定できる。これにより、光子ビーム放射線が人体物質(例えば、放射線が腫瘍に向かって進行する経路上に位置する正常組織)と反応して発生する2次電子を磁場生成時間に生成することができる。
【0058】
一実施例において、磁場生成装置の同期化制御部700は、磁場が目標値に到達するまでにかかるディレイ時間を考慮して磁場生成時間の範囲を設定できる。これにより、光子ビーム放射線が人体物質(例えば、放射線が腫瘍に向かって進行する経路上に位置する正常組織)と反応して発生する2次電子をディレイ時間まで考慮して磁場生成時間に生成することができる。
【0059】
一実施例において、同期化制御部700は、光子ビーム放射線パルスを毎回認知した後、直ちに磁場パルスを発生させるか、或いは反対に動作できる。例えば、同期化制御部700は、放射線パルスの検出に応答して磁場パルスを発生させるか、磁場パルスの検出に応答して前記放射線パルスを発生させることができる。また、同期化制御部700は、放射線パルスの規則性を学習して磁場のパルスを発生させるか、或いは反対に動作できる。例えば、同期化制御部700は、検出した放射線パルスを分析して獲得した放射線パルス周期に基づいて磁場パルスを発生させるか、検出した磁場パルスを分析して獲得した磁場パルス周期に基づいて放射線パルスを発生させることができる。もちろん、この他にも予め設定された放射線パルス周期と磁場パルス周期が存在する場合、同期化制御部700は、これを一致させることによって、放射線パルスと磁場パルスを同期化させることができる。
【0060】
このように、同期化制御部700が放射線パルスと磁場パルスの発生時期を一致させることによって、磁場発生部200は、光子ビーム放射線が照射される間に持続的に磁場を生成する必要がなく、デューティ比(duty factor)を大きく下げることができる。また、磁場発生部200のデューティ比が低くなるほど磁場発生部200はその分、駆動しなくてもよいので、磁場発生部200の発熱量も低くでき、磁場の外部漏洩量も全体的に低くなる。結果として、磁場発生部200で発生する発熱を制御する冷却装置と電源を供給する電源供給装置の大きさを小型化させることができ、これは放射線治療装置10の小型化につながり得る。
【0061】
また、同期化制御部700が放射線パルスと磁場パルスの発生時期を一致させることによって、磁場発生部200に用いられる電力が減少して熱の発生を低減でき、これにより冷却装置などの構成が除外されるか、削減できる。
【0062】
一方、本発明の一実施例に係る同期化制御部700は、光子ビーム放射線が照射された領域と患部の位置関係に基づいて、2次電子のうちの少なくとも一部が患部組織と隣接している正常組織を回避して移動するように磁場の形成を制御できる。
【0063】
即ち、光子ビーム放射線が被照射体に照射されると、該当領域で2次電子が生成されることになるが、2次電子が患部組織と隣接している正常組織に対応する被照射体にあまりにも多く到達すると、該当被照射体の組織が損傷する恐れがあり、一部の2次電子は、患部組織と隣接している正常組織を回避して移動しなければならない。
【0064】
一方、上述した動作のための磁場発生部200は、少なくとも1つのコイル及びキャパシタ素子を含むことができる。
【0065】
コイルは、パルス状磁場を形成するための構成で設けられ、キャパシタは、大電流を出力するために電荷を充電するために設けられるが、これについての詳しい説明は後述する。
【0066】
また、同期化制御部700は、光子ビーム放射線が照射された領域と患部の位置関係に基づいて少なくとも1つのコイルに供給される電流を制御して磁場を形成できる。
【0067】
具体的に、同期化制御部700は、光子ビーム照射線が照射された領域から患部までの距離を考慮できる。
【0068】
また、2次電子は、磁場発生部200が発生する磁場によって経路が変更され、磁場発生部200が生成する磁場は、同期化制御部700が供給する電流に基づいて形成できる。
【0069】
一方、磁場発生部200は、パルス電源の供給を受けてパルス状の磁場を発生するように設けることができる。
【0070】
磁場発生部200は、発熱量を低減するためにパルス状の磁場が発生するように設けられることができる。
【0071】
また、同期化制御部700は、磁場発生部200で発生する発熱量が予め決定された値以下の状態で磁場を形成するようにパルス電源を前記磁場発生部に供給するように制御できる。
【0072】
即ち、同期化制御部700は、磁場発生部200の発熱量をモニタリングし、パルス電源が磁場発生部に供給されて発生した発熱量が特定値を超えないように磁場発生部にパルス電源を供給できる。
【0073】
同期化制御部700は、被照射体の大きさ情報を含み、前記被照射体に対応する識別情報を含むことができる。
【0074】
識別情報は、被照射体に位置及び大きさだけでなく、被照射体の特性自体を含む情報を意味し得る。
【0075】
一方、同期化制御部は、識別情報に基づいて磁場の形成を制御できる。
【0076】
例えば、被照射体の大きさが小さい場合には、2次電子の短い進行経路上で2次電子が患部を回避しなければならないので、同期化制御部が強い電流を磁場発生部に供給して強い磁場を形成できる。
【0077】
磁場発生部は、体内に挿入されるように設けられる第1領域及び第1領域を除く第2領域で設けられるカテーテル(catheter)構造として設けられることができる。
【0078】
カテーテルは、体腔又は内腔のある臓器内に挿入するためのチューブ状の器具を意味し得る。
【0079】
少なくとも1つのコイルは、第1領域に設けられ、キャパシタは、前記第2領域に設けられることができる。
【0080】
第1領域は、カテーテルを用いた動作の遂行時に体内に挿入される領域を意味し、第2領域は、動作の遂行時に体外に設けられる領域を意味し得る。
【0081】
一方、同期化制御部は、放射線発生部と被照射体との間の位置関係に基づいて光子ビーム放射線の照射方向を決定できる。
【0082】
磁場に対応する磁力線と前記光子ビーム放射線の照射方向とがなす角度が予め決定された角度を超えるように前記磁場の形成を制御できる。
【0083】
同期化制御部700は、磁場に対応する磁力線と光子ビーム放射線の照射方向とがなす角度が垂直となるように、少なくとも1つの磁石の位置又は被照射体の位置を変更できる。
【0084】
磁力線の方向と電子の進行方向が垂直な場合、2次電子に電磁気力が多く発生するので、同期化制御部は、磁場発生部に含まれている磁石又は磁場発生装置に設けられた板状フレームの動作を制御して磁力線と光子ビーム放射線の照射方向とがなす角度が垂直となるように制御できる。
【0085】
同期化制御部700は、被照射体に到達する前記2次電子の単位面積当たりの到達密度が予め決定された値未満になるように前記磁場の形成を制御できる。
【0086】
同期化制御部700が2次電子の到達密度を制御して被照射体の組織損傷を防止できる。
【0087】
同期化制御部700は、患部に到達する2次電子の単位面積当たりの到達密度が予め決定された値を超えるように光子ビーム放射線の形成を制御できる。
【0088】
即ち、患部には、放射線照射の目的達成のために特定密度以上の2次電子が伝達されなければならない。
【0089】
従って、同期化制御部700は、放射線発生部で発生した光子ビーム放射線が患部に対応する被照射体に照射されるように放射線制御部を制御できる。
【0090】
図3ないし
図5を用いて放射線の照射方向と磁場の方向が垂直な場合のデフォーカシング実施例を説明し、
図6及び
図7を用いて放射線の照射方向と磁場の方向が水平な場合のフォーカシング実施例を説明する。例えば、光子ビーム放射線の照射方向と垂直な方向に磁場を形成することは、体腔を通過した後に正常組織が更に配置された後にターゲットの位置がある場合のための放射線治療実施例である。また、光子ビーム放射線の照射方向と水平な方向(並んでいる方向)に磁場を形成することは、体腔の表面にターゲット部位があり、体腔を行う2次電子を集中してターゲット部位に提供する実施例である。ここで、ターゲット部位は、患部組織(又は腫瘍部位)であり得る。
【0091】
光子ビーム放射線の照射方向と垂直な方向に磁場を生成する例は、患者の直腸に隣接して配置された前立腺癌の治療時に直腸にバルーンを入れる方式で直腸に空間を形成し、直腸の内部空間に磁場を形成することによって、直腸の表面に提供される2次電子を分散させる実施例である。
【0092】
図3ないし
図5の実施例は、放射線の照射方向と垂直な方向に磁場が生成される一例に関するものである。
図3は、本発明の一実施例に係る磁場生成装置を概略的に示す斜視図である。
図4aないし
図4eは、本発明の一実施例に係る磁場生成装置の磁場分布を概略的に示す断面図である。
図5は、
図4aないし
図4eの磁場を用いた放射線治療装置において放射線の照射による荷電粒子(例えば、電子)と磁場の作用関係を説明するための概略的な概念図である。
【0093】
図3及び
図4aないし
図4eを参照すると、放射線治療装置10は、それぞれの構成が配置され得る多様な形状のハウジング20、30、40を含むことができる。ハウジングの構造は、横になっている患者に放射線を照射し、磁場を生成できるように多様に変形できる。
【0094】
放射線治療装置10の放射線発生部100は、中空の形状を有するボア(図示せず)の外側に配置された遮蔽構造物内に装着され、ボア内に位置する患者Bの腫瘍T部位に向かって光子ビーム放射線を照射する。
【0095】
ここで、放射線治療装置10の放射線発生部100は、MVx-rayを発生させる線形加速器(LINAC、Linear Acceleretor)が好ましい。発生するMV領域のx-rayビームの特性上、被曝される物質の表面でコンプトン(compton)効果による反応を通じて2次電子(secondary electron、以下「電子」という)に運動エネルギーを伝達し、その電子によって放射線を体内に伝達する。
【0096】
磁場生成装置の磁場発生部200は、ボアの外側に配置された更に他の遮蔽構造物内に装着され、患者Bの体内に磁場領域を形成する。磁場発生部200は、ボアを介在して互いに異なる極性を有し、対向して配置される一対の電磁石又は永久磁石からなる。
【0097】
ここで、磁場生成装置の磁場発生部200は、放射線発生部100と患者Bの腫瘍T部位との間の患者Bの体内の一領域に、より好ましくは、体内の空き空間、体腔(body cavity)に磁場領域を形成することが効果的である。また、磁場発生部200は、電磁石や永久磁石、又はその複合型を含むことができる。
【0098】
一方、磁場の方向の自由度を増大するために、磁場発生部200として一対の磁石がボアの外側周囲に沿って、例えば、ボア内に位置する患者Bの周囲に沿って回転することもできる。しかし、これに限定されず、磁場発生部200は、複数の磁石がボアの外側周囲に沿って、例えば患者Bの周囲に沿って固定配置され、放射線量制御部400の制御によって複数の磁石の中から選択された磁石によって磁場領域を形成することもできる。
【0099】
一実施例において、前述したのとは異なり、磁場生成装置は、磁場発生部200が配置される板状フレーム900を更に含むことができる。板状フレーム900は、患者が安着し、磁場生成物質を配置することができる。例えば、板状フレーム900は、磁場生成物質が移動する空間910を備えることができる。磁場生成物質は、空間910に配置することができる。例えば、空間910は、磁場生成物質が移動できるように、
図3のように、板状フレーム900の長手方向に長く形成することができる。空間910の長さは、
図3で例示的に示すものであって、板状フレーム900の両端まで長く形成することもできる。
【0100】
一実施例において、磁場生成物質は、移動棒230に繋ぐことができ、別の駆動部(図示せず)を介して移動棒230が空間910から板状フレーム900の長手方向に沿って動くことができる。従って、患者Bの位置によって磁場生成物質を移動させることによって、患者の体内の磁場生成領域を容易に変更できる。
【0101】
一実施例において、磁場発生部200は、光子ビーム放射線が照射される軸を基準に左右対称構造をなして配置される複数の電磁石、永久磁石又はその複合型(以下、通称して磁場生成物質)を含むことができ、
図4のように、磁場MTを生成できる。
【0102】
例えば、
図4aでN極の電磁石210とS極の電磁石220が配置され、磁場発生部200は、放射線の照射方向Rと垂直な方向の磁場MTを生成できる。ここで、磁場発生部200は、
図4aのように、電磁石210、220の長手方向に沿って有効領域を板状フレーム900の上に形成できる。また、一実施例として、磁場発生部200の下に磁場遮蔽部が含まれることができ、これにより板状フレームの下部には、磁場を形成しないことができる。即ち、患者に対する放射線治療に影響を及ぼさない板状フレームの下部に磁場を形成する必要がなく、放射線治療装置などの装置に磁場の影響が及ぶのを防止する必要があるので、板状フレーム内の磁場発生部200の下に磁場遮蔽部を含めることができる。
【0103】
また、例えば、
図4bに示されるように、N極の電磁石210とS極の電磁石220が配置され、磁場発生部200は、放射線の照射方向Rと垂直な方向の磁場MTを生成できる。ここで、磁場発生部200は、電磁石210、220が配置された面積よりも狭く、
図4bのように、有効領域を板状フレーム900の上と下に形成できる。
【0104】
更に、例えば、
図4cに示されるように、N極の電磁石210とS極の電磁石220が配置され、磁場発生部200は、放射線の照射方向Rと垂直な方向の磁場MTを生成できる。ここで、磁場発生部200は、電磁石210、220が配置された面積よりも大きく、
図4cのように、有効領域を板状フレーム900の上と下に形成できる。
【0105】
また、例えば、
図4dに示されるように、N極の電磁石210とS極の電磁石220が下段の板状フレーム920に配置され、N極の電磁石240とS極の電磁石250が上段の板状フレーム920に配置され、磁場発生部200は、放射線の照射方向Rと垂直な方向の磁場MTを2つ生成できる。ここで、磁場発生部200は、電磁石210、220、240、250が配置された面積よりも狭く、
図4dのように、有効領域を上段と下段の板状フレーム920それぞれの上と下に形成できる。この場合、板状フレーム920の間に磁場の強度が更に強くなり得る。
【0106】
更に、例えば、
図4eに示されるように、N極の電磁石210とS極の電磁石220が下段の板状フレーム920に配置され、N極の電磁石240とS極の電磁石250が上段の板状フレーム920に配置され、磁場発生部200は、放射線の照射方向Rと垂直な方向の磁場MTを2つ生成できる。ここで、磁場発生部200は、電磁石210、220、240、250が配置された面積よりも狭く、
図4eのように、有効領域を板状フレーム920の間にのみ形成できる。
【0107】
一実施例において、放射線治療装置の放射線量制御部500は、磁場発生部200の磁場の方向、強度及び位相を調節し、放射線発生部100から患者Bの腫瘍T部位に伝達される放射線量を制御する。例えば、磁場が正弦波状のパルス波の場合、放射線量制御部500は、磁場の位相を変更でき、正弦波状で所望の基準強度以上になる区間と光子ビーム放射線が発生させる2次電子の生成区間を互いに一致させることができる。
【0108】
一実施例において、放射線量制御部500は、放射線発生部100の動作を制御し、腫瘍Tに伝達される放射線量を演算する演算部(図示せず)を更に含むことができる。
【0109】
一実施例において、演算部は、次式1を用いて患者Bの腫瘍Tに伝達される放射線量を演算できる。
【0110】
【0111】
ここで、D(x、y、z)は、特定の位置(x、y、z)で吸収された放射線量値を意味し、TERMA(x’、y’、z’)は、微小体積dx'dy’dz’で減衰して入射した放射線ビームの総エネルギーを意味し、Kernel(x、x’、y、y’、z 、z’)は、微小体積dx'dy'dz'で減衰した単位エネルギーが特定の位置(x、y、z)で吸収された線量比率を意味する。このとき、磁場発生部200によって形成された磁場が考慮されたKernelが用いられる。
【0112】
従って、TERMA値とKernel値を全体体積に対してコンボリューション(convolution)させると、特定の位置(x、y、z)で吸収された放射線量値を演算できる。
【0113】
一方、TERMA値は、電荷を有さないx-rayの減衰した総エネルギーを表すので、磁場と関係がない。
【0114】
た、Kernel値は、主に減衰過程で発生した電子による空間的な線量分布を表すので、磁場により絶対的に影響を受ける。一般に、Kernelを求めるとき、電算模写によって求め、空間的に一定の磁場を電算模写プログラムで実現して新たなKernelを求め、これにより、次のようにKernel Deform mapを構成する。これを次式2のようにモデリングして適用する。
【0115】
【0116】
これにより、演算部は、放射線量分布の最適化のための磁場の強度、方向、位相、大きさを演算する。
【0117】
一方、演算部は、他の実施例として、フルモンテカルロシミュレーション法(Full Monte Carlo Simulation Method)によって演算することもできる。
【0118】
即ち、磁場をシミュレーションできるツールキット(toolkit)を用い、それぞれの粒子1つに対する確率的なモンテカルロ法を用いてヒストリを構成し、ヒストリのそれぞれの線量に対する空間的な影響を加えて全体的な線量分布を計算し、特定の位置で吸収された放射線量値を演算できる。
【0119】
図5を参照すると、
図3及び
図4aないし
図4eで説明した構成により、本発明に係る磁場を用いた体内線量制御放射線治療装置10を用いて患者Bの腫瘍Tを放射線治療する過程について説明すると、次の通りである。
【0120】
説明に先立ち、以下では、一実施例として、
図5に示すように、
図5の左側の放射線発生部100から右側の腫瘍Tに光子ビーム放射線が照射され、磁場が地面の入る方向に作用し、放射線発生部100と腫瘍Tとの間には、中空の消化器官(胃、小腸、大腸など)のような臓器が配置される場合、腫瘍Tを治療することについて説明する。
【0121】
まず、治療しようとする腫瘍Tを有している患者Bが板状フレーム900内に横になった状態で、放射線量制御部500の制御によって患者Bの体内に磁場領域を形成するように磁場発生部200を動作させる。
【0122】
次に、放射線量制御部500の制御によって患者Bの腫瘍Tに向かって光子ビーム放射線を照射するように放射線発生部100を動作させる。
【0123】
このとき、放射線発生部100から発生した光子ビーム放射線が患者Bの体内を通過しながら、電荷を有する粒子、即ち電子が放出される。放出された電子は、光子ビーム放射線の高エネルギーを伝達する役割を果たす。
【0124】
一方、放出された電子は、磁場発生部200によって体内に形成された磁場領域を通過する。このとき、放出された電子は、磁場による力、例えば、ローレンツ力(Lorentz’s Force)を受けて、磁場領域内で偏向するか、分散が発生する。
【0125】
即ち、
図5に示すように、左側に位置する放射線発生部100から右側の腫瘍Tに光子ビーム放射線が照射され、磁場が地面の入る方向に作用するとするとき、左側に位置する放射線発生部100から発生した光子(photon)が患者Bの体内を通過しながら電子が放出され、放出された電子は、光子と共に光子ビーム放射線の照射方向に沿って磁場領域を経てターゲットである腫瘍Tに移動する。
【0126】
このとき、放出された電子が磁場領域を通過する途中に、演算部の演算による放射線量制御部500の制御により磁場発生部200の磁場の方向、強度及び位相を、例えば、磁場が正弦波状のパルス波の場合、放射線量制御部500は、磁場の位相を変更でき、正弦波形で所望の基準強度以上になる区間と光子ビーム放射線が発生させる2次電子の生成区間を互いに一致させることができる。 これにより、一部の電子は、ローレンツ力によって一方に偏向し、適切な放射線量に対応する量の電子が粘膜Mを経てターゲットである腫瘍Tに伝達され、腫瘍Tには、適切な放射線量が照射される。
【0127】
即ち、演算部の演算を経て放射線量制御部500を介して磁場発生部200における磁場の方向、強度及び位相を調節することによって、
図5に示されるように、光子ビーム放射線によって放出された電子の一部を臓器内部の空き空間領域、例えば、体腔などに偏向させるか、分散させると、腫瘍Tの前方に位置する臓器の粘膜には最小限の電子が伝達される。
【0128】
これにより、正常組織に伝達される放射線量を最小化し、適切な放射線量を患者Bの腫瘍Tに伝達することになり、放射線の副作用を減らし、治療効果を向上させることができる。
【0129】
一方、磁場領域と粘膜を経てターゲットである腫瘍Tに到達した電子は、腫瘍Tの腫瘍細胞を撹乱させ、これにより、腫瘍細胞の成長を阻害するか、腫瘍細胞を壊死させることによって、腫瘍Tを治療する。
【0130】
図6aないし
図6d及び
図7の実施例は、放射線の照射方向と平行な方向に磁場が生成される一例に関するものである。
図6aないし
図6dは、本発明の他の実施例に係る磁場生成装置の磁場分布を概略的に示す断面図である。
図7は、
図6aないし
図6dの磁場を用いた放射線治療装置において放射線の照射による荷電粒子(例えば、電子)と磁場の作用関係を説明するための概略的な概念図である。
図3及び
図4と重複する説明は、省略する。
【0131】
一方、光子ビーム放射線の照射方向と平行な方向に磁場を生成する例は、肺、口腔、鼻腔、気道のような低密度空間の内部に位置する腫瘍の治療時に低密度空間の内部で磁場を形成することによって、低密度空間における2次電子の分散を抑制して腫瘍に提供される2次電子を増加させ、周辺の正常組織に到達する2次電子を減少させる実施例であり得る。
【0132】
図6aないし
図6dを参照すると、放射線治療装置の放射線発生部100は、中空の形状を有するボア(図示せず)の外側に配置された構造物内に装着され、ボア内に位置する患者Bの腫瘍T部位に向かって光子ビーム放射線を照射する。
【0133】
ここで、放射線治療装置の放射線発生部100は、MV x-rayを発生させる線形加速器(LINAC、Linear Acceleretor)の他にも荷電粒子自体や荷電粒子と関連する全ての放射線(電子、陽子、中性子、重粒子など)に該当する。特に、発生するMV領域のx-rayビームの特性上、被曝される物質の表面でコンプトン(compton)効果による反応を通じて2次電子(secondary electron、以下「電子」という)に運動エネルギーを伝達し、その電子によって放射線量を体内に伝達する。
【0134】
磁場生成装置の磁場発生部200は、ボアの外側に配置された更に他の遮蔽構造物内に装着され、患者Bの体内に磁場領域を形成する。磁場発生部200は、ボアを介在して対向して配置され、放射線発生部100と患者Bの腫瘍T部位との間に位置し、腫瘍T部位に向かって照射される放射線ビームと平行な磁場を形成する。
【0135】
一方、磁場生成装置の磁場発生部200は、患者Bの腫瘍T部位に照射される放射線ビームと平行な磁場を発生するように、複数の磁石が同一の極性同士で向かい合うように放射線ビームの周囲に互いに対向して配置され、磁石は一定の長さに一定の長さを有することができる。
【0136】
また、磁場発生部200は、他の実施例として患者Bの腫瘍T部位に照射される放射線ビームと平行な磁場を発生するように、複数の磁石が同一の極性同士で向かい合うように放射線ビームの周囲に互いに対向して配置され、磁石の長さは、腫瘍Tの表面まで延びるように設けることができる。磁場発生部200の複数の磁石が同一の極性同士で向かい合うように放射線ビームの周囲に互いに対向して配置される場合、多様な長さを有する磁石が設けられることができる。
【0137】
更に、磁場発生部200は、更に他の実施例として、ヘルムホルツコイル(Helmholtz coil)状に患者Bの腫瘍T部位に照射される放射線ビームと平行な磁場を発生するように、コイルが巻き取られた複数の磁石が反対の極性同士で向かい合うように放射線ビームの周囲を取り囲み、放射線ビームの照射方向に沿って間隔を置いて配置されることができる。
【0138】
また、磁場発生部200は、更に別の実施例として、アンペールの右ねじの法則(Ampere’s law)によって患者Bの腫瘍T部位に照射される放射線ビームと平行な磁場を発生するように、複数のメイン磁石が同一の極性同士で向かい合うように放射線ビームの周囲に互いに対向して配置され、メイン磁石の一方には、磁場が放射線ビームの照射方向の内側に磁場が形成されるように補助磁石を配置し、メイン磁石の他方には、磁場が放射線ビームの照射方向の内側に磁場が形成されるように補助磁石を配置することができる。
【0139】
前記説明のように、磁場発生部200の磁石を配置することによって、放出された電子は、磁場領域を通過する途中に放射線ビームと平行に形成された磁場によって螺旋運動(helical motion)を行い、偏向するか、分散せず、放射線ビームと共に移動する。
【0140】
ここで、磁場発生部200は、放射線発生部100と患者Bの腫瘍T部位との間の患者Bの体内の一領域に、より好ましくは、体内の空き空間(body cavity)や密度の小さい部位(肺)に磁場領域を形成することが効果的である。また、磁場発生部200は、放射線ビーム軌跡の全体又は部分的に均質又は非均質の磁場領域を形成できる。そして、磁場発生部200は、電磁石や永久磁石、又はその複合型を含むことができる。
【0141】
一方、磁場の方向の自由度を増大するために、磁場発生部200として一対の磁石がボアの外側周囲に沿って、例えば、ボア内に位置する患者Bの周囲に沿って回転するものに限定されず、磁場発生部200は、複数の磁石がボアの外側周囲に沿って、例えば、患者Bの周囲に沿って固定配置され、放射線量制御部500の制御によって複数の磁石の中から選択された磁石によって磁場領域を形成することもできる。
【0142】
磁場生成装置は、互いに向かい合う2つの板状フレーム920を含むことができる。それぞれの板状フレーム920の構造は、
図3及び
図4の板状フレーム900と同一であるので、説明は省略する。
【0143】
一実施例において、2つの板状フレーム920を互いに向かい合うように配置することができる。ここで、互いに向かい合う構造は、2つの板状フレーム920を繋ぐ別途の垂直なフレームを配置することができる。もちろん、この他にも多様に変形でき、円形のフレームで構成することもできる。
【0144】
一実施例において、磁場発生部200は、放射線が照射される軸を基準に左右対称構造をなして配置される磁場生成物質を含むことができ、
図6aないし
図6dのように磁場MTを生成できる。
【0145】
例えば、
図6aでN極を有する2つの電磁石240、250が上部の板状フレーム920に配置され、S極を有する2つの電磁石210、220が下部の板状フレームに配置されることによって、磁場発生部200は、互いに向かい合い、放射線の照射方向Rと平行な方向の磁場MTを生成できる。ここで、磁場発生部200は、電磁石210、220、240、250の面積と一致し、
図6aのように、2つの有効領域を上部及び下部の板状フレーム920の間に形成できる。
【0146】
また、例えば、
図6bで同一の極性を有する2つの電磁石210、220が配置されて磁場発生部200は、放射線の照射方向Rと平行な方向の磁場MTを生成できる。ここで、磁場発生部200は、電磁石210、220が配置された面積よりも大きく、
図6bのように、2つの有効領域を板状フレーム920の上にのみ形成できる。
【0147】
更に、例えば、
図6cにおいて同一の極性を有する2つの電磁石210、2202が配置されて磁場発生部200は、放射線の照射方向Rと平行な方向の磁場MTを生成できる。ここで、磁場発生部200は、電磁石210、220が配置された面積よりも小さく、
図6cのように、2つの有効領域を板状フレーム920の上と下に形成できる。
【0148】
また、例えば、
図6dでN極を有する2つの電磁石240、250が上部の板状フレーム920に配置され、S極を有する2つの電磁石210、220が下部の板状フレームに配置されることによって、磁場発生部200は、互いに向かい合い、放射線の照射方向Rと平行な方向の磁場MTを生成できる。ここで、磁場発生部200は、電磁石210、220、240、250の面積よりも小さく、
図6dのように、2つの有効領域を上部及び下部の板状フレーム920の間に形成できる。
【0149】
一実施例において、放射線治療装置の放射線量制御部500は、磁場発生部200の磁場の強度、方向、位相と有効領域を調節して、放射線発生部100から患者Bの腫瘍T部位に伝達される腫瘍表面線量を制御して、患者Bの腫瘍T部位に腫瘍表面線量が集中及び強化されるようにする。放射線量制御部500は、磁場発生部200を患者Bの周囲に沿って、所望の位置に回転させながら、磁場の強度、方向、位相と有効領域を調節することもできる。
【0150】
一実施例において、放射線量制御部500は、放射線発生部100の作動を制御し、腫瘍Tに伝達される腫瘍表面線量を演算する演算部(図示せず)を更に含むことができる。
【0151】
一実施例において、演算部は、次式3を用いて患者Bの腫瘍Tに伝達される腫瘍表面線量を演算できる。
【0152】
【0153】
ここで、D(x、y、z)は、特定の位置(x、y、z)で吸収された腫瘍表面線量値を意味し、TERMA(x’、y’、z’)は、微小体積dx’dy’dz’で減殺して入射した放射線ビームの総エネルギーを意味し、Kernel(x、x’、y、y’、z、z’)は、微小体積dx’dy’dz’で減殺した単位エネルギーが特定の位置(x、y、z)で吸収された線量比率を意味する。このとき、磁場発生部200によって形成された磁場が考慮されたKernelが用いられる。
【0154】
従って、TERMA値とKernel値を全体体積に対してコンボルルション(convolution)させると、特定の位置(x、y、z)で吸収された腫瘍表面線量値を演算できる。
【0155】
一方、TERMA値は、電荷を有さないx-rayの減殺した総エネルギーを表すので、磁場と関係がない。
【0156】
また、Kernel値は、主に減殺過程で発生した電子による空間的な線量分布を表すので、磁場により絶対的に影響を受ける。一般に、Kernelを求めるとき、電算模写によって求め、空間的に一定の磁場を電算模写プログラムで実現して新たなKernelを求め、これにより、次のようにKernel Deform mapを構成する。これを次式4のようにモデリングして適用する。
【0157】
【0158】
これにより、演算部は、放射線量分布の最適化のための磁場の強度、方向、位相、大きさを演算する。
【0159】
一方、演算部は、他の実施例として、フルモンテカルロシミュレーション法(Full Monte Carlo Simulation Method)によって演算することもできる。
【0160】
即ち、磁場をシミュレーションできるツールキット(toolkit)を用い、それぞれの粒子1つに対する確率的なモンテカルロ法を用いて、ヒストリを構成し、ヒストリのそれぞれの線量に対する空間的な影響を加えて、全体的な線量分布を計算して、特定の位置で吸収された放射線量値を演算できる。
【0161】
従って、放射線量制御部500は、腫瘍表面線量を計画して、演算部を介してこれによる磁場の分布と強度を計算できる。
【0162】
図7を参照すると、このような構成により、本発明に係る患部組織治療装置10を用いて患者Bの腫瘍T部位を放射線治療する過程について説明すると、次の通りである。
【0163】
説明に先立ち、以下では、一実施例として、
図7に示すように、
図7の左側から右側の腫瘍T部位に放射線が照射され、磁場が放射線ビームと平行な方向に作用し、放射線発生部100と腫瘍T部位との間には、内部密度の小さい臓器(肺、口腔、気道など)が配置される場合、腫瘍Tの表面部位の治療を強化することについて説明する。
【0164】
まず、治療しようとする腫瘍T部位を有している患者Bが板状フレーム920内に横になった状態で、放射線量制御部500の制御によって患者Bの体内に磁場領域を形成するように磁場発生部200を動作させる。
【0165】
次に、放射線量制御部500の制御によって患者Bの腫瘍T部位に向かって放射線を照射するように放射線発生部100を動作させる。
【0166】
このとき、放射線発生部100から発生した放射線が患者Bの体内を通過しながら、電荷を有する粒子、即ち電子が放出される。放出された電子は、放射線の高エネルギーを伝達する役割を果たす。ここで、磁場領域の形成と放射線の照射は、同時に行うことができる。
【0167】
一方、放出された電子は、磁場発生部200によって体内に形成された磁場領域を通過することになり、放出された電子は、磁場領域を通過する途中に、放射線ビームと平行に形成された磁場によって螺旋運動(helical motion)を行って、放出された電子は偏向するか、分散せず、ターゲットである腫瘍T部位に移動する。
【0168】
より具体的に説明すると、放出された電子は、磁場による力によって螺旋運動をしながら放射線ビームの照射方向に沿って移動し、ターゲットである腫瘍T部位に移動する。
【0169】
即ち、
図7に示すように、左側に位置する放射線発生部100から右側の腫瘍T部位に放射線が照射され、磁場が放射線ビームの照射方向に沿って平行に作用するとするとき、左側に位置する放射線発生部100から発生した放射線光子(photon)が患者Bの体内を通過しながら電子が放出され、放出された電子は、光子と共に放射線の照射方向に沿ってターゲットである腫瘍T部位に移動する。
【0170】
このとき、放出された電子が磁場領域を通過する途中に、演算部の演算による放射線量制御部500の制御により磁場発生部200の磁場の強度、位相、方向と有効領域を調節することによって、磁場領域を通過した電子は、放射線ビームと共に移動し、適切な放射線量に対応する量の電子が低密度空間を経てターゲットである腫瘍T部位に伝達され、腫瘍Tの表面部位には、適切な腫瘍表面線量が集中して照射される。
【0171】
また、演算部の演算を経て放射線量制御部500を介して磁場発生部200における磁場の強度、方向、位相と有効領域を調節することによって、
図7に示されるように、放射線によって放出された電子の一部が臓器内部の空き空間領域などに偏向するか、分散されず、腫瘍Tの表面に最大限の電子が伝達される。
【0172】
これにより、放射線散乱荷電粒子の発散を防ぎ、散乱荷電粒子を集中して、治療目標の腫瘍T部位の表面に伝達される放射線量を強化して放射線治療の効果を向上させることができる。また、付加的な放射線の使用と散乱荷電粒子の発散による周辺の正常組織の損傷を減少して放射線の副作用を減らすことができる。
【0173】
一方、外部漏洩磁場は、放射線治療装置10の誤作動を起こす恐れがあり、治療の妨げになる要素であるので、前述した磁場パルスと放射線パルスを同期化して外部漏洩磁場を低減する方法以外に別の遮蔽部を放射線治療装置10に備えて外部漏洩磁場を低減する方法を下記の
図8によって説明し、更に他の例を下記の
図9ないし
図16によって具体的に説明する。
【0174】
図8aないし
図8cは、本発明の一実施例に係る磁場遮蔽部の構成を説明する図である。
【0175】
図8aないし
図8cを参照すると、磁場遮蔽部50は、患者の空間側ではなく、放射線治療装置10のヘッド40を取り囲む形状であり得る。例えば、磁場遮蔽部50は、「指サック」のように放射線治療装置10のヘッド40の下と横を取り囲む形状であり得る。また、磁場遮蔽部50を構成する遮蔽物質は、鉄(iron)又はミューメタル(Mu-metal)であり得る。
【0176】
一方、
図9ないし
図16で説明する本発明の更に他の実施例に係る放射線治療装置10は、
図1で説明する同期化制御部700と放射線量制御部500の動作を当然追加されることができる。
【0177】
近年、放射線治療装置10には、正常組織に対する放射線の照射を最小化しながらも腫瘍組織のみを集中的に治療するために多葉コリメータ(Multi-Leaf Collimator、MLC)を採用しているが、このような多葉コリメータ(MLC)は、モータを用いて駆動されるバーモータの誤動作を防止するためには、モータにおける磁場を最大600ガウス(Gauss、G)以下に抑制しなければならない。
【0178】
図9及び
図10では、本発明の更に他の実施例に係る放射線治療装置10の具体的な構成を示している。
【0179】
このとき、
図9では、磁場発生部200として電磁石(electromagnet)を用いる場合を示しており、
図10では、磁場発生部200として永久磁石(permanent magnet)を用いる場合を示している。
【0180】
以下、
図9及び
図10を参照して本発明の一実施例に係る放射線治療装置10を各構成別に分けてより詳細に説明する。
【0181】
まず、放射線発生部100では、放射線を被照射体(例えば、患者)の患部組織(例えば、腫瘍部位)に照射する。
【0182】
より具体的に、
図9及び
図10に見られるように、放射線発生部100は、電子ビームを生成する電子銃110、電子銃110で生成された電子ビームを加速する線形加速器120、加速した電子ビームの方向を変える曲げ磁石(bending magnet)130、電子ビームが衝突しながらX線など放射線を生成するターゲット(target)140及びターゲット140で生成された放射線が照射される領域を制限する多葉コリメータ(Multi-Leaf Collimator)150を含んで構成することができる。これにより、本発明の更に他の実施例に係る放射線治療装置10では、放射線発生部100で生成した放射線を患者など被照射体の患部組織に照射して治療を行えることになる。
【0183】
ところが、放射線が照射される軌跡に放射線に敏感な部位がある場合、一定の放射線量以上が伝達される際に副作用が発生する。特に、放射線に敏感な正常組織と腫瘍組織が近接している場合、腫瘍組織に十分な治療放射線線量を伝達できないため、治療効果が低くならざるを得ない。従って、放射線治療の際に、破壊する腫瘍が十分な放射線を受けるようにし、腫瘍を取り囲んでいる正常組織に対する損傷を最小化するように調節されなければならない。
【0184】
これにより、本発明の更に他の実施例に係る放射線治療装置10では、
図9及び
図10に見られるように、磁場を患部組織に形成する磁場発生部200を備え、磁場発生部200で磁場を放射線が照射される第1方向と垂直な第2方向に形成するようにすることで、放射線の照射によって患部組織で発生できる荷電粒子(例えば、電子)を制御して正常組織に対する放射線線量を低減できる。
【0185】
より具体的に、
図9及び
図10に見られるように、磁場発生部200は、放射線が照射される軸を基準に左右対称構造をなして配置される複数の電磁石(
図9)又は永久磁石(
図10)を含んで構成されることができる。
【0186】
ところが、本発明の一実施例に係る放射線治療装置10で磁場発生部200を用いる場合、これにより発生する磁場が放射線発生部100などに影響を与え、誤動作などを招く問題が発生し得る。
【0187】
より具体的に、磁場発生部200の多葉コリメータ150には、モータ151が備えられ、放射線が照射される開口の形状に多葉(multi-leaf)を駆動することになるが、モータ151の場合、外部に漏洩する磁場により誤動作又は動作不能がもたらされる恐れがあり、特に多葉(multi-leaf)が誤って駆動されて位置がずれる場合、正常組織に多量の放射線が照射される危険な状況が起きる恐れがあるため、多葉コリメータ150のモータ151の正常な動作を保障するために、外部磁場が必ず600ガウス(Gauss、G)以下に調節され得るように維持することが好ましい。
【0188】
また、モータ151以外に電子銃110及び線形加速器120でも、外部磁場により電子ビームの経路などがずれ、放射線の照射量などに差が生じる恐れがあり、更にはビームターゲティング(beam targeting)も難しくなり、正確な放射線の照射及び治療も困難になるという問題が伴う。
【0189】
これにより、本発明の一実施例に係る放射線治療装置10では、
図9及び
図10に見られるように、磁場発生部200を内部領域に配置して外部領域に漏洩する磁場を減衰させる磁場遮蔽部300を備えて、磁場発生部200で発生する磁場が放射線発生部100などに影響を与えて現れる誤動作などを防止する。
【0190】
このとき、磁場遮蔽部300は、鉄(iron)又はミューメタル(Mu-metal)などの磁性体(magnetic material)からなる円筒状に構成されることが好ましく、これにより磁場発生部200から形成される磁場に対してループ(loop)状の磁気回路構造をなすと同時に、外部領域が漏洩する磁場を減衰させることができる。
【0191】
次に、
図11及び
図12は、本発明の一実施例に係る放射線治療装置10の外部領域における磁場分布を示している。
【0192】
先に、
図11では、電磁石を用いる磁界発生部200を備える放射線治療装置10の外部領域における磁場分布を示している。
【0193】
このとき、
図11(a)では、磁場遮蔽部300を備えていない場合を示しているが、
図11(a)から分かるように、モータ151における外部磁場の強度が500ガウス(G)でモータ151の正常動作条件(600ガウス(G)以下)には満すが、境界値に近いため、誤動作が誘発される可能性を排除し難い状況を示す。
【0194】
反面、
図11(b)では、磁場遮蔽部300を備える場合を示しているが、
図11(b)から分かるように、モータ151における外部磁場の強度が70ガウス(G)でモータ151の正常動作条件(600ガウス(G)以下)を十分満していることを確認でき、更には患部組織に対応する中心領域における磁場も2320ガウス(G)に強化されることが分かる(
図11(a)では2100ガウス(G))。
【0195】
また、
図11(c)では、磁場遮蔽部300と共に磁場集束部400も備える場合を示している。
図11(c)から分かるように、磁場集束部400を備えることで、患部組織に対応する中心領域における磁場は集束されて2670ガウス(G)まで強化され、このとき、モータ151における外部磁場の強度も200ガウス(G)で正常動作条件を十分に満たしていることを確認できる。
【0196】
更に、
図12では、永久磁石を用いる磁場発生部200を備える放射線治療装置10の外部領域における磁場分布を示している。
【0197】
先に、
図12(a)では、磁場遮蔽部300を備えていない場合を示しているが、
図12(a)から分かるように、モータ151における外部磁場の強度が1000ガウス(G)でモータ151の正常動作条件(600ガウス(G)以下)から外れており、誤動作が誘発される可能性が非常に高い状況であることが分かる。
【0198】
反面、
図12(b)では、磁場遮蔽部300を備える場合を示しているが、
図12(b)から分かるように、モータ151における外部磁場の強度が250ガウス(G)でモータ151の正常動作条件(600ガウス(G)以下)を十分に満たしていることを確認でき、更には患部組織に対応する中心領域における磁場も2460ガウス(G)に強化されることが分かる(
図12(a)では2090ガウス(G))。
【0199】
また、
図12(c)では、磁場遮蔽部300と共に磁場発生部200にハルバッハ磁石210を備えてハルバッハ配列(Halbach array)構造をなす場合を示している。
図12(c)から見られるように、前記磁場発生部200にハルバッハ磁石210を備えてハルバッハ配列(Halbach array)構造をなすようにすることで、患部組織に対応する中心領域における磁場を2890ガウス(G)まで強化しながらも、モータ151における外部磁場の強度も120ガウス(G)に更に改善できることが確認できる。
【0200】
更に、
図13は、本発明の一実施例に係る放射線治療装置10の内部領域における磁場分布を説明している。
【0201】
より具体的に、
図13(a)では、電磁石を用いて磁場発生部200を構成する場合を示しており、
図13(b)では、永久磁石を用いて磁場発生部200を構成する場合を示している。
【0202】
図13から分かるように、本発明の一実施例に係る放射線治療装置10では、磁場遮蔽部300の内部領域に磁場発生部200が備えられて放射線発生部100で照射される放射線の方向と垂直な方向に磁場が形成される。
【0203】
このとき、本発明の一実施例に係る放射線治療装置10において、磁場遮蔽部300は、円筒状の磁性体(magnetic material)を備えて構成され、磁場発生部200から形成される磁場に対する磁気回路構造をなすと同時に、外部領域へ漏洩する磁場を減衰させることができる。
【0204】
また、磁場集束部400は、磁場遮蔽部300の内部領域の両側終端に備えられ、前記内部領域の磁場を集束(focusing)させて患部組織に形成される磁場の強度を増加させることができる。
【0205】
更に、
図13から分かるように、磁場集束部400は、磁場発生部200の側部に位置する第1外径の外側部410と、磁場発生部200の内部に位置する第2外径の内側部420を含んで構成できる。このとき、第1外径は、第2外径よりも大きな値を有しながら前記磁場発生部200の形状に対応する形状をなして締結される構造をなすことができる。
【0206】
また、磁場発生部200は、前記放射線が照射される軸を基準に左右対称構造をなして配置される複数の電磁石又は永久磁石を含んで構成できる。
【0207】
更に、
図13(b)から分かるように、磁場発生部200は、永久磁石を用いて構成することができる。このとき、磁場発生部200は、左右対称構造をなして配置される複数の磁石の間に永久磁石が追加で配置されてハルバッハ配列(Halbach array)構造をなすようにもできる。
【0208】
なお、磁場発生部200では、左右対称構造をなして配置される複数の磁石の間に中心磁場の方向と反対の磁場方向を有する永久磁石を追加で配置することで、磁場の強度及び外部漏洩磁場などの特性を更に改善することもできる。
【0209】
また、
図14では、本発明の一実施例に係る放射線治療装置10の磁場遮蔽部300の構成を示している。
【0210】
先に、
図14(a)から分かるように、磁場遮蔽部300は、放射線が照射される軸を基準に左右に配置される2つの円筒状の磁性体310、320を含んで構成できる(=分離型遮蔽構造)。このとき、放射線発生部100は、2つの円筒状の磁性体310、320の間を介して放射線を患部組織に照射できる。
【0211】
また、
図14(b)から分かるように、磁場遮蔽部300は、放射線が透過できる第1開口構造330を備える円筒状の磁性体を含んで構成できる(=一体型遮蔽構造)。このとき、放射線発生部100は、第1開口構造330を介して放射線を患部組織に照射できる。このとき、磁場遮蔽部300は、放射線が前記第1開口構造330を介して照射できるように放射線発生部100と連動して駆動されることが好ましい。更に、磁場遮蔽部300には、患部組織をモニタリングするための放射線ビームを照射する第2開口構造340が備えられることが更に好ましい。
【0212】
更に、
図15及び
図16では、本発明の一実施例に係る放射線治療装置10の磁場遮蔽部300の種類による磁場分布を示している。
【0213】
まず、
図15(a)では、
図14(a)の分離型遮蔽構造を有する磁場遮蔽部300を備える場合の磁場分布を示している。
図15(a)から分かるように、モータ151における外部磁場が450ガウス(G)に近接する高い値を有することが分かる。
【0214】
また、
図15(b)では、
図14(b)の一体型遮蔽構造を有する磁場遮蔽部300を備える場合の磁場分布を示している。
図15(b)から分かるように、モータ151における外部磁場が300ガウス(G)に近接する値を有することが分かる。
【0215】
更に、
図15(c)では、
図14(b)の一体型遮蔽構造を有する磁場遮蔽部300と共にハルバッハ磁石210を有する磁場発生部200を備える場合の磁場分布を示している。
図15(c)から見られるように、モータ151における外部磁場が100ガウス(G)程度に止まっていることが確認できる。
【0216】
より具体的に、
図16では、前記
図15(a)ないし
図15(c)の場合について角度によるモータ151の位置における磁場分布をグラフで示している。
図16から分かるように、分離型遮蔽構造を有する磁場遮蔽部300を備える場合(
図16の(A)には約0.041テスラ(T)から0.045テスラ(T)に近接する範囲の磁場を有することができることが分かり、一体型遮蔽構造を有する磁場遮蔽部300を備える頃(
図16の(B))には約0.026テスラ(T)から0.028テスラ(T)範囲の磁場を有することができることが分かる。
【0217】
特に、一体型遮蔽構造を有する磁場遮蔽部300と共にハルバッハ磁石210を有する磁場発生部200を備える場合(
図16の(C))には、約0.01テスラ(T)程度の磁場を示すところ、磁場発生部200による外部磁場を抑制して電子銃110、線形加速器120、モータ151などの誤動作などを効果的に防止できることが分かる。
【0218】
これにより、本発明の更に他の実施例に係る放射線治療装置10では、磁場発生部200で磁場を放射線の照射方向と垂直な方向に患部組織に形成されるようにしながら、前記磁場発生部200を磁場遮蔽部300の内部領域に配置して外部領域が漏洩する磁場を減衰させることで、放射線の照射によって患部組織で発生できる荷電粒子による放射線線量の減少を防止し、更には磁場の漏洩によって現れかねない誤動作を効果的に抑制できる。
【0219】
本発明の一実施例に係る光子ビーム放射線を用いて被照射体の患部組織を治療する放射線治療装置と連動する磁場生成装置は、前記被照射体の内部に磁場を形成する磁場発生部と、前記光子ビーム放射線に対応する放射線パルスと前記磁場に対応する磁場パルスを同期化させる同期制御部とを含むことができる。
【0220】
多様な実施例によると、前記同期化制御部は、前記放射線治療装置の放射線量制御部と連動し、前記同期化制御部は、前記放射線量制御部から光子ビーム放射線の出力周期を受信し、前記光子ビーム放射線の出力周期と磁場の出力周期を同期化させることができる。
【0221】
多様な実施例によると、前記光子ビーム放射線を検出するパルス検出部を更に含み、前記同期化制御部は、前記検出した光子ビーム放射線を分析して光子ビーム放射線の出力周期を獲得できる。
【0222】
多様な実施例によると、前記同期化制御部は、前記磁場が目標値に到達した後に前記光子ビーム放射線の照射により発生する2次電子生成区間が磁場生成時間の範囲に含まれるように前記磁場生成範囲を設定できる。
【0223】
多様な実施例によると、前記同期化制御部は、前記磁場が目標値に到達するまでかかるディレイ時間を考慮して磁場生成時間の範囲を設定できる。
【0224】
多様な実施例によると、前記被照射体の前記内部に前記患部組織、正常組織及び低密度空間が位置し、前記低密度空間は、前記患部組織又は前記正常組織のうちの少なくとも1つと隣接し、前記磁場発生部は、前記低密度空間に磁場を形成できる。
【0225】
多様な実施例によると、前記磁場発生部は、電磁石、永久磁石又はその複合型を含み、前記磁場発生部は、前記被照射体の周囲に沿って回転するか、又は前記被照射体の周囲に沿って固定又は流動型に配置することができる。
【0226】
多様な実施例によると、前記磁場発生部は、前記放射線が照射される軸を基準に左右対称構造をなして配置される複数の電磁石、永久磁石又はその複合型を含むことができる。
【0227】
多様な実施例によると、前記被照射体が安着し、前記電磁石、前記永久磁石又は前記複合型が配置される板状フレームを更に含み、前記板状のフレームは、前記電磁石、前記永久磁石又は前記複合型が移動する空間を備えることができる。
【0228】
本発明の一実施例に係る放射線治療装置は、第1項の磁場生成装置と連動し、前記被照射体の前記患部組織に放射線を照射する放射線発生部を含むことができる。
【0229】
本発明の一実施例に係る磁場生成装置は、
【0230】
光子ビーム放射線を用いて被照射体の患部組織を治療する放射線治療装置と連動する磁場生成装置において、
【0231】
前記被照射体の内部に磁場を形成する磁場発生部と、
【0232】
前記光子ビーム放射線に対応する放射線パルスと前記磁場に対応する磁場パルスを同期化させる同期化制御部とを含むことができる。
【0233】
本発明の一実施例に係る磁場生成装置は、第1項において、前記同期化制御部が、前記放射線治療装置の放射線量制御部と連動し、
【0234】
前記同期化制御部は、前記放射線量制御部から光子ビーム放射線の出力周期を受信し、前記光子ビーム放射線の出力周期と磁場の出力周期を同期化させることを特徴とする。
【0235】
本発明の一実施例に係る磁場生成装置は、前記光子ビーム放射線を検出するパルス検出部を更に含み、
【0236】
前記同期化制御部は、検出した前記光子ビーム放射線を分析して光子ビーム放射線の出力周期を獲得することを特徴とする。
【0237】
前記同期化制御部は、前記磁場が目標値に到達した後に前記光子ビーム放射線の照射によって発生する2次電子生成区間が磁場生成時間の範囲に含まれるように前記磁場生成範囲を設定することを特徴とする。
【0238】
前記同期化制御部は、前記磁場が目標値に到達するまでかかるディレイ時間を考慮して磁場生成時間の範囲を設定することを特徴とする。
【0239】
本発明の一実施例に係る磁場生成装置は、前記被照射体の前記内部に前記患部組織、正常組織及び低密度空間が位置し、前記低密度空間は、前記患部組織又は前記正常組織のうちの少なくとも1つと隣接し、
【0240】
前記磁場発生部は、前記低密度空間に磁場を形成することを特徴とする。
【0241】
本発明の一実施例に係る前記磁場発生部は、電磁石、永久磁石又はその複合型を含み、
【0242】
前記磁場発生部は、前記被照射体の周囲に沿って回転するか、又は前記被照射体の周囲に沿って固定又は流動型に配置されることを特徴とする。
【0243】
本発明の一実施例に係る磁場生成装置は、前記磁場発生部が、前記放射線が照射される軸を基準に左右対称構造をなして配置される複数の電磁石、永久磁石又はその複合型を含むことを特徴とする。
【0244】
本発明の一実施例に係る磁場生成装置は、前記被照射体が安着し、前記電磁石、前記永久磁石又は前記複合型が配置される板状フレームを更に含み、前記板状フレームは、前記電磁石、前記永久磁石又は前記複合型が移動する空間を備えることを特徴とすることができる。
【0245】
図17は、本発明の一実施例に係る2次電子の単位面積当たりの到達密度に基づいて放射線及び磁場生成装置が動作することを説明する図である。
【0246】
図17を参照すると、同期化制御部は、被照射体に到達する2次電子17eの単位面積当たりの到達密度が予め決定された値未満になるように光子ビーム放射線の形成を制御できる。
【0247】
一方、本発明の一実施例によれば、磁場発生部は、体内に挿入されるように設けられ、低密度空間を形成する挿入構造体を含むことができる。
【0248】
このような挿入構造体の形状は、光子ビーム放射線が照射された領域と患部の位置関係に基づいて予め決定できる。
【0249】
即ち、ユーザは、光子ビーム放射線を照射する場合、光子ビーム放射線が照射される領域と患部の位置を予め決定し、患部の周辺に正常組織に2次電子が少なく到達して正常組織の損傷を防止できるように低密度空間の形成を算出できる。
【0250】
一方、挿入構造体は、このような低密度空間の形状に対応するように生成できる。
【0251】
また、挿入構造体は、上述した形状の実現のためにバルーン(balloon)構造体として設けることができる。挿入構造体についての具体的な説明は、以下で説明する。
【0252】
一方、同期化制御部は、光子ビーム放射線が照射された領域と患部Tの位置関係に基づいて2次電子のうちの少なくとも一部が正常組織N以外の低密度空間Lに移動するように磁場の形成を制御できる。
【0253】
図17でもこのように発生した2次電子が正常組織N以外の低密度空間に移動することを示している。
【0254】
このような動作を通じて、同期化制御部は、2次電子が患部組織(T)と隣接している正常組織Nを回避して移動するように制御できる。
【0255】
図17では、本発明の一実施例によって半径がRである低密度空間Lを形成する球状の被照射体Bを示している。
【0256】
一方、
図17のような状況で放射線発生部が生成した光子ビーム放射線と電子の経路変更に対する関係は、下記の式5で表現できる。
【0257】
【0258】
式5を参照すると、Rは、上述した低密度空間Lの半径の長さ、即ち2次電子の移動方向と垂直方向である移動距離を意味し、Eは、放射線発生部から放射線を供給して発生した2次電子の初期の運動エネルギーを意味し、qは、電子の電荷量を意味し、Bは、磁場発生部が生成した磁場の大きさを意味し、mは、電子の質量を意味する。θは、電子の進行方向と磁場とがなす角度を意味し得る。
【0259】
上述したように、放射線発生装置は、各被照射体に関する識別情報を格納できる。一方、識別情報には、被照射体の大きさ情報を含めることができる。
【0260】
このとき、同期化制御部は、低密度空間Lの大きさを知っているので、これに基づいて患部以外の正常組織Nに放射線の影響を最小化するようにエネルギーを加えて2次電子17eを生成できる。
【0261】
本実施例では、被照射体Bが球状に設けられることを示しているが、被照射体Bの形状には制限がない。
【0262】
一方、同期化制御部は、被照射体のイメージを獲得するか、予め決定された識別情報から被照射体の体積及び表面積を獲得できる。
【0263】
このとき、低密度空間Lは、後述するように、磁場発生部に含まれている挿入構造体によって形成されることができる。
【0264】
挿入構造体は、バルーン状の構造体として設けられて体内に挿入され、低密度空間Lを形成できる。
【0265】
図17では、このような挿入構造体が、半径がRである球状の空間Lを形成することを示したが、挿入構造体が形成する形状には、その制限がない。
【0266】
同期化制御部は、光子ビーム放射線で形成される2次電子17eに磁場を制御して2次電子の経路を変更し、経路を変更した2次電子17eが低密度空間Lの一面に到達する量を計算できる。
【0267】
従って、同期化制御部は、低密度空間の面積と低密度空間の一面に到達する2次電子の量を用いて下式を基に2次電子の単位面積当たりの到達密度を計算できる。
【0268】
【0269】
式6を参照すると、Sは、低密度空間の一部の単位面積17Sを意味し、Dは、2次電子の到達密度を意味し、Cは、該当単位面積に到達する2次電子の個数を意味し得る。
【0270】
一方、同期化制御部は、上述した式6を基に決定された2次電子の正常組織の到達密度が特定値を超えると、患部の放射線照射以外の正常組織に害を及ぼしかねない。
【0271】
同期化制御部は、特定の面積に到達する2次電子17eの密度が特定値未満になるように磁場を形成できる。
【0272】
このような動作に基づいて同期化制御部は、患部以外の正常組織Nの損傷を最小化できる。
【0273】
同期化制御部は、患部Tに到達する2次電子17eの単位面積当たりの到達密度が予め決定された値を超えないように光子ビーム放射線17uの形成を制御できる。
【0274】
上述したように、光子ビーム放射線17uが被照射体Bに照射されると、該当位置で2次電子が発生する。一方、光子ビーム放射線17uが患部周辺の被照射体Bに到達するためには、患部T周辺以外の正常組織Nにも光子ビーム放射線17uが到達する。
【0275】
ここでも2次電子が生成される可能性があり、患部周辺以外で発生する2次電子17eは、患部Tの治療に直接利用されない。
【0276】
但し、光子ビーム放射線17uが患部T周辺の被照射体Bに到達すると、2次電子が形成されて患部Tに伝達される可能性がある。
【0277】
但し、患部の除去及び治療のためには、特定量以上の2次電子が発生して患部Tに伝達されなければならないので、同期化制御部は、放射線発生部を制御して患部T領域の被照射体に光子ビーム放射線17uを到達させながら、正常組織Nに影響が少ないように光子ビーム放射線17uの生成を制御できる。
【0278】
一方、
図17で示した被照射体Bの形状や2次電子の経路などは、本発明の動作を説明するための一実施例に過ぎず、被照射体Bの形状、2次電子17eの経路及び2次電子17eに適用される磁場の形状には、その制限がない。
【0279】
図18aは、本発明の一実施例に係る磁場生成部を構成する回路図を示す図であり、
図18bは、本発明の一実施例に係る磁場生成部の構成を示すブロック図である。
【0280】
図18a及び
図18bを共に参照すると、磁場発生部は、少なくとも1つのコイルL、L1、L2、L3、Ln及びキャパシタ素子C1、C2、C3、Cnを含むことができる。
【0281】
また、磁場発生部は、キャパシタC1、C2、C3、CnとコイルL、L1、L2、L3、Lnを接続するか、遮断するスイッチ素子SW1、SW2、SW3、SWnを更に含むことができる。
【0282】
一方、本発明では、大きな電力消耗と発熱及び漏洩磁場の危険を防止するために、パルス状電磁石を用いることができる。従って、
図18a及び
図18bで示した構成では、パルス状磁場の駆動のためのパルス電源を供給することができる。
【0283】
このとき、同期化制御部は、磁場発生部で発生する発熱量が予め決定された値以下の状態で磁場を形成するようにパルス電源を磁場発生部に供給するように制御できる。
【0284】
本発明の一実施例に係る磁場発生部は、短いパルスのために、小さなコイルL、L1、L2、L3、Lnが複数組み合わせられた電磁石で形成することができる。
【0285】
また、パルス状で動作する磁場発生部には、短時間で多くの電流を出力するためのキャパシタC1、C2、C3、Cnを設けることができる。
【0286】
一方、同期化制御部は、光子ビーム放射線が照射された領域と患部の位置関係に基づいてコイルL、L1、L2、L3、Lnに供給される電流を制御して磁場を形成できる。
【0287】
このとき、同期化制御部は、スイッチ素子SW1、SW2、SW3、SWn及び供給される電源Pを制御してコイルL、L1、L2、L3、Lnに伝達される電流を制御できる。
【0288】
一方、磁場発生部がカテーテルの形状に設けられる場合には、上述したコイルL、L1、L2、L3、Lnを体内に挿入される領域に設けることができるが、これについての詳しい説明は後述する。
【0289】
一方、
図18a及び
図18bに示された磁場発生部の回路図及びブロック図は、本発明の一実施例に過ぎず、コイルL、L1、L2、L3、Ln、スイッチSW1、SW2、SW3、SWn及びキャパシタC1、C2、C3、Cnが含まれているモジュールであれば、磁場発生部の構成には、その制限がない。
【0290】
図19a及び
図19bは、バルーン状の挿入構造体にコイルが設けられた形状を説明する図である。
【0291】
図19aは、挿入構造体19CAが体内に挿入された側面の形状を示す図であり、
図19bは、挿入構造体19CAが体内に挿入された前面の形状を示す図である。
【0292】
一方、磁場発生部は、体内に挿入されるように設けられる挿入構造体に対応する第1領域とその他の領域で設けられる第2領域を含むことができる。
【0293】
一方、上述したように、磁場発生部を構成するコイル19Iは、
図19a及び
図19bに示されるように、挿入構造体上の第1領域に設けることができる。
【0294】
具体的に、コイル19Iは、バルーン状の別の挿入構造体の第1領域に設けることができ、図示してはいないが、磁場発生部を構成するキャパシタとスイッチは、第1領域以外の領域、即ち第2領域に設けることができる。
【0295】
以下では、バルーン(balloon)状の挿入構造体に磁場生成部が設けられた場合の2次電子の経路変更及び磁場の生成について詳細に説明する。
【0296】
図20a及び
図20bは、バルーン状の挿入構造体における2次電子と磁場間の相互作用を説明する図である。
【0297】
図20a及び
図20bを参照すると、被照射体上に挿入構造体20CAが設けられ、挿入構造体20CAは、バルーン状に設けられ、被照射体上の低密度空間を形成できる。
【0298】
コイル20Iに電流が加えられると、磁場20Bが形成される。
【0299】
図20bでは、磁場20Bの方向を前面から後面に向かう方向とすることができる。
【0300】
一方、同期化制御部は、磁場20Bに対応する磁力線と光子ビーム放射線の照射方向とがなす角度が予め決定された角度を超えるように磁場の形成を制御できる。
【0301】
磁場の方向と2次電子20Eが形成する電流の方向が実質的に直角を形成する場合、2次電子20Eに加えられる電磁力が最大になり得る。
【0302】
従って、同期化制御部は、磁場20Bに対応する磁力線と光子ビーム放射線の照射方向とがなす角度が垂直となるように磁場生成部に含まれているコイルの位置又は被照射体の位置を変更できる。
【0303】
一方、
図20aに示すように、2次電子20Eは、磁場の影響により進行方向を迂回できる。
【0304】
このとき、粘膜組織のような正常組織の被照射体に2次電子20Eが到達して組織が損傷するのを防止できる。
【0305】
反面、磁場発生部で発生した光子ビーム放射線が正常組織に到達し、該当位置で2次電子20Eを発生でき、2次電子20Eは、患部に到達して治療を行うことができる。
【0306】
このとき、他の被照射体の領域で発生した2次電子20Eは、磁場20Bによって迂回されて患部周辺の正常組織に到達せず、正常組織を保護することができる。
【0307】
図21は、本発明の一実施例に係るバルーン状の別の装置にガイド部が設けられることを示す図である。
【0308】
図21を参照すると、挿入構造体がカテーテル状に設けられた場合であって、この場合、挿入構造体は、カテーテル内にカテーテルを支持するガイド部21Gが設けられ、光線ビーム放射線がガイド部21Gに到達して2次電子21Eを生成することを示している。
【0309】
ガイド部21Gで生成された2次電子21Eは、経路を迂回するのに距離が短いため、
図20aとは異なり、一部の2次電子21Eが正常組織に到達できる。
【0310】
図20aとは異なり、2次電子が正常組織Nに一部到達して
図20aよりも正常組織の損傷が増加し得る。
【0311】
即ち、
図21のような場合、ガイド部で2次電子を新たに発生できるが、この位置で発生した2次電子は、正常組織Nに到達して正常組織を損傷させる恐れがある。但し、この際にも腫瘍Tに到達する2次電子の量は同一である。
【0312】
従って、正常組織Nの損傷を防止するために、ユーザは、ガイド部21Gが存在しないカテーテル21CAを用いることが好ましい。
【0313】
一方、
図20a、
図20b及び
図21で説明した挿入構造体の構成は、本発明の一実施例に過ぎず、挿入構造体の形状及びカテーテルを構成する構成には制限がない。
【0314】
図22a及び
図22bは、本発明の一実施例に係る磁場発生装置に設けられた磁場発生部とバルーン状の挿入構造体22CAに設けられたコイル200-1の相互作用を説明する図である。
【0315】
図22a及び
図22bを参照すると、磁場発生部200-2は、カテーテル以外に磁場生成装置自体200-2にも設けられて磁場を形成できる。
【0316】
即ち、同期化制御部は、挿入構造体自体に設けられたコイル200-1に電流を供給して磁場を形成するか、磁場発生装置200-2で生成される磁場を用いて被照射体で発生する2次電子の経路を迂回できる。
【0317】
図22a及び
図22bでは、挿入構造体22CAに設けられたコイル200-1は、電磁石の形状に設けられて磁場が形成され、磁場生成装置に設けられた永久磁石200-2が磁場を形成して被照射体の2次電子の経路を制御できる構成を示している。
【0318】
図22aに示されるように、磁場発生装置の磁石200-2で形成される磁場は、挿入構造体に設けられたコイル200-1で形成された磁場と同じ方向に形成できる。従って、コイル200-1で生成された磁場と磁場発生装置の磁石200-2で発生した磁場は、重畳して2次電子の経路を変更できる。
【0319】
図23a及び
図23bは、本発明の一実施例に係る磁場発生装置に設けられた磁場発生部がコイルの集合200N、200Sで形成されることを示す図である。
【0320】
磁場発生装置に設けられた磁石は、
図22a及び
図22bのように、永久磁石とすることもできるが、
図23a及び
図23bのように、コイル200N、200Sで形成された電磁石とすることもできる。この場合、同期化制御部は、挿入構造体に設けられたコイルに電流を伝達するのとは別に、磁場生成装置に電流を供給して磁場を形成できる。
【0321】
図23a及び
図23bのように、コイルの集合を用いて電磁石が形成された場合、1つのコイルの集合200Nは、磁石のN極を形成でき、他のコイルの集合200Sは、磁石のS極を形成できる。
【0322】
一方、
図22a、22b、23a及び23bで説明した磁場発生部の構成は、本発明の一実施例に過ぎず、磁場発生部を構成する磁石の物理的な形態と動作の形態には、その制限がない。
【0323】
【0324】
図24を参照すると、放射線生成装置の放射線発生部により前記被照射体に光子ビーム放射線を照射できる(S2401)。
【0325】
また、放射線生成装置の放射線発生部により光子ビーム放射線が照射された被照射体の領域で2次電子の発生を誘導できる(S2402)。
【0326】
また、放射線生成装置の磁場発生部により2次電子が発生した領域に磁場を形成できる(S2403)。
【0327】
一方、磁場を形成するにおいて、光子ビーム放射線が照射された領域と前記患部の位置関係に基づいて前記2次電子のうちの少なくとも一部が前記患部組織を回避して移動するように磁場を形成できる。
【0328】
以上、添付の図面を参照して本発明の実施例を説明したが、本発明が属する技術分野における通常の技術者は、本発明がその技術的思想や必須な特徴を変更することなく、他の具体的な形態に実施され得るということが理解できるだろう。従って、以上で述べた実施例はあらゆる面で例示的なものであり、制限的ではないものとして理解すべきである。