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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024023785
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】代謝を調節するための組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/105 20160101AFI20240214BHJP
   A61P 3/02 20060101ALI20240214BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20240214BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20240214BHJP
   A61P 19/06 20060101ALI20240214BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20240214BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20240214BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20240214BHJP
   A61K 31/165 20060101ALI20240214BHJP
   A61K 36/8962 20060101ALI20240214BHJP
   A61K 36/67 20060101ALI20240214BHJP
   A61K 36/899 20060101ALI20240214BHJP
   A61K 36/81 20060101ALI20240214BHJP
   A61K 36/815 20060101ALI20240214BHJP
   A61K 36/31 20060101ALI20240214BHJP
   A61K 36/21 20060101ALI20240214BHJP
   A61K 36/70 20060101ALI20240214BHJP
   A61K 36/185 20060101ALI20240214BHJP
   A61K 36/39 20060101ALI20240214BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20240214BHJP
   A61K 131/00 20060101ALN20240214BHJP
   A61K 127/00 20060101ALN20240214BHJP
   A61K 135/00 20060101ALN20240214BHJP
   A61K 125/00 20060101ALN20240214BHJP
【FI】
A23L33/105
A61P3/02
A61P3/06
A61P3/10
A61P19/06
A61P3/00
A61P1/16
A61P3/04
A61K31/165
A61K36/8962
A61K36/67
A61K36/899
A61K36/81
A61K36/815
A61K36/31
A61K36/21
A61K36/70
A61K36/185
A61K36/39
A23L33/10
A61K131:00
A61K127:00
A61K135:00
A61K125:00
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023215843
(22)【出願日】2023-12-21
(62)【分割の表示】P 2020538980の分割
【原出願日】2019-01-10
(31)【優先権主張番号】62/615,615
(32)【優先日】2018-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520253214
【氏名又は名称】ブライトシード・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】イ・ヒル・チェ
(57)【要約】
【課題】代謝の調節並びに非アルコール性脂肪肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎及びII型糖尿病等の代謝障害の根本的な病態形成への対処における使用のための、式Iの化合物を含有する抽出物を含む消費可能な組成物を提供する。
【解決手段】本明細書の化合物は、健康なHNF4α機能を促進及び/又は回復し、遊離脂肪酸の有害作用を緩和し、代謝を調節し、NAFLD、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)及びT2DM等の代謝障害の根本的な病態形成に対処する方法において役立つ。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの担体と、式Iの化合物又はその異性体、ヘテロ二量体若しくは抱合体を含む有効量の抽出物とを含む消費可能な組成物。
【化1】
(式中、
R1は、存在する又は存在せず、存在するとき、1つ又は複数の環原子の置換基であり、各環原子について独立して、ヒドロキシ基、ハロ基、置換若しくは非置換の低級アルキル基、又は置換若しくは非置換の低級アルコキシ基であり、
破線の結合は、存在する又は存在しない)
【請求項2】
前記化合物が、式IIの構造:
【化2】
(式中、
R2は、存在する又は存在せず、存在するとき、ヒドロキシ又はメトキシ基であり、
R3は、存在する又は存在せず、存在するとき、ヒドロキシ基であり、
R4は、存在する又は存在せず、存在するとき、ヒドロキシ又はメトキシ基である)
を有する、請求項1に記載の消費可能な組成物。
【請求項3】
前記抽出物が、ネギ属、セイヨウワサビ(Amoracia)属、アカザ属、ソバ属、バンレイシ属、コショウ属、スズメガヤ属、トウモロコシ属、アサ属、イポメア属、トウガラシ属、クコ属、ナス属、又はハマビシ属のメンバーのエタノール抽出物である、請求項1に記載の消費可能な組成物。
【請求項4】
前記組成物が、栄養補助食品、食品成分若しくは添加物、医療食、栄養補強食品又は薬学的組成物として製剤化されている、請求項1に記載の消費可能な組成物。
【請求項5】
前記有効量の組成物が、HNF4α活性、インスリン様成長因子レベル、血糖レベル、インスリンレベル、Cペプチドレベル、トリグリセリドレベル、遊離脂肪酸レベル、血中尿酸レベル、微量アルブミン尿レベル、グルコース輸送体発現、アディポネクチンレベル、総血清コレステロールレベル、高密度リポタンパク質レベル、低密度リポタンパク質レベル又はそれらの組合せを改善する、請求項1に記載の消費可能な組成物。
【請求項6】
前記有効量が、代謝、肝機能、空腹時血糖レベル、食後血糖レベル、糖化ヘモグロビンHbA1c、体重、インスリン感受性、血清脂質プロファイル、又はそれらの組合せを改善する、請求項1に記載の消費可能な組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年1月10日付で提出された米国仮特許出願第62/615,615号の優先権の利益を主張し、その内容は全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
「西洋食」は、肥満、II型糖尿病(T2DM)、メタボリックシンドローム、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、心疾患、及び卒中等の代謝障害における世界的規模の上昇に関連している。遺伝的因子と、食事及び生活習慣、特に栄養過剰及び座位行動等の環境因子との間の相互作用は、これらの多因子性の食事関連疾患の進行及び病態形成を助長する。現在これらの普及は劇的に増大し、蔓延している。栄養は、おそらく、代謝経路、並びに肥満、メタボリックシンドローム及びII型糖尿病に関連する様々な表現型に関与する遺伝子の発現を調節する、最も重要な環境因子である。更に、栄養の健康効果は、遺伝子変異体により調節されうる。
【0003】
ハマビシ(Tribulus terrestris)の70%エチルアルコール抽出物は、I型糖尿病のモデル(すなわち、ストレプトゾトシン導入糖尿病ラット)において、酸化ストレスを阻害することにより保護効果をもたらすことが示唆されている(Aminら(2006年)Ann. NY Acad. Sci. 1084巻:391~401頁)。
【0004】
米国特許第8,481,593号及び米国特許第9,089,499号は、ヒトチロシナーゼの阻害及び色素沈着過剰の処置における使用のための局所及び化粧品組成物におけるN-trans-フェルロイルチラミン等の、パラ-クマル酸誘導体を開示している。
【0005】
スミラックス・アリストロキーフォリア(Smilax aristolochiifolia)根からのアセトン抽出物は、N-trans-フェルロイルチラミンに富み、メタボリックシンドロームと関連する損傷モデルにおいて、一部の症状(例えば、高トリグリセリド血症、インスリン抵抗性、血圧、及び炎症)を妨げるのに有用であることが示唆されている(Amaroら(2014年)Molecules 19巻:11366~84頁)。
【0006】
米国特許出願公開第2008/0132544号では、内臓脂肪型肥満、T2DM、インスリン抵抗症候群及びメタボリックシンドロームの処置のための組成物における、コショウ(Piper nigrum)から単離されたN-trans-フェルロイルチラミンの使用が示唆されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第8,481,593号
【特許文献2】米国特許第9,089,499号
【特許文献3】米国特許出願公開第2008/0132544号
【特許文献4】米国特許第6,391,651号
【特許文献5】米国特許第6,316,209号
【特許文献6】米国特許出願公開第2004/0198656号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Aminら(2006年)Ann. NY Acad. Sci. 1084巻:391~401頁
【非特許文献2】Amaroら(2014年)Molecules 19巻:11366~84頁
【非特許文献3】King及びCalhoun(2005年)、Phytochemistry、66巻(20号):2468~73頁
【非特許文献4】Koら(2015年)、Internatl. J. Mol. Med.36巻(4号):1042~8頁
【非特許文献5】Kiselyukら(2012年)Chem Biol. 19巻(7号):806~818頁
【非特許文献6】Kiselyukら(2010年)J. Biomol. Screen 15巻(6号):663~70頁
【非特許文献7】Millarら、2005年、J. Lipid Res. 46巻:2023~2028頁
【非特許文献8】Sanders及びGriffin. 2016年. Biol. Rev. Camb. Philos. Soc. 91巻(2号):452~468頁
【非特許文献9】Drelら(2006年)Diabetes 55巻(12号):3335~43頁
【非特許文献10】Wangら(2014年)Curr. Diabetes Rev. 10巻(2号):131~145頁
【非特許文献11】Shiota及びPrintz(2012年)Methods Mol. Biol. 933巻:103~23頁
【非特許文献12】Figlewiczら(1986年)Peptides 7巻:61~65頁
【非特許文献13】Yaswenら(1999年)Nat. Med. 5巻:1066~1070頁
【非特許文献14】Huszarら(1997年)Cell 88巻:131~141頁
【非特許文献15】Butlerら(2000年)Endocrinology 141巻(9号):3518~21頁
【非特許文献16】Mulら(2011年)Obesity(Silver Spring)20巻(3号):612~21頁;
【非特許文献17】Chenら(2000年)Nat. Genet. 26巻(1号):97~102頁
【非特許文献18】Shepardら(1993年)J. Biol. Chem. 268巻:22243~22246頁
【非特許文献19】Bruningら(2000年)Science 289巻:2122~2125頁
【非特許文献20】Chatzigeorgiouら、2009年 In Vivo 28巻:345~358頁
【非特許文献21】King, A.J.K. 2012年. Br. J. Pharmacol. 166巻:877~894頁
【非特許文献22】Savage(2009年)Dis. Model Mech. 2巻(11~12号):554~62頁
【非特許文献23】Levinら(1997年)Am. J. Physiol. 273巻(2 Pt 2):R725~30頁
【非特許文献24】Rogers及びBlundell(1984年)Neurosci. Biobehav. Rev. 8巻(4号):441~53頁
【非特許文献25】Cleggら(2011年)Physiol. Behav. 103巻(1号):10~6頁
【非特許文献26】Hariri及びThibault(2010年)Nutr. Res. Rev. 23巻(2号):270~99頁
【非特許文献27】Kennedyら(2010年)Disease Models及びMechanisms 3巻(3~4号):156~66頁
【非特許文献28】Leiter及びReifsnyder(2004年)Diabetes 53巻 補遺1:S4~11頁
【非特許文献29】Tschop及びHeiman(2001年)Exp. Clin. Endocrinol. Diabetes 109巻(6号):307~19頁
【非特許文献30】Leiter(2009年)Methods Mol. Biol. 560巻:1~17頁
【非特許文献31】Hummelら(1972年)Biochem. Genet. 7巻(1号):1~13頁
【非特許文献32】Matsuokaら(2015年)J. Biol. Chem. 290巻:7647~7657頁
【非特許文献33】Joost(2010年)Results Probl. Cell Differ. 52巻:1~11頁
【非特許文献34】Leeら(2013年)ACS Chem. Biol. 8巻(8号):1730~6頁
【非特許文献35】Porterら(1999年)Br. J. Pharmacol. 128巻(1号):13~20頁
【非特許文献36】Yinら(2011年)Arterioscler. Thromb. Vasc. Biol. 31巻(2号):328~336頁
【非特許文献37】Hayhurstら(2001年)Mol. Cell Biol. 21巻(4号)1393~1403頁
【非特許文献38】Martinez-Jimenez(2010年)Mol. Cell. Biol. 30巻(3号):565~577頁
【非特許文献39】Guptaら(2005年)J. Clin. Invest. 115巻(4号)1006~15頁
【非特許文献40】Kleinerら(2005年)Hepatology 41巻(6号):1313~21頁
【非特許文献41】Bruntら(1999年)Am. J. Gastroenterol. 94巻:2467~2474頁
【非特許文献42】Ludwigら(1980年)Mayo Clin. Proc. 55巻:434~438頁
【非特許文献43】Neuschwander-Tetri及びCaldwell(2003年)Hepatology 37巻:1202~1219頁
【非特許文献44】Yeh(2004年)Can. J. Cardiol. 20巻(補遺 B):93~96B頁
【非特許文献45】Geiselら(2003年)Clin. Chem. Lab. Med. 41巻(11号):1513~7頁
【非特許文献46】Peddibhotlaら(2013年)ACS Med. Chem. Lett. 4巻:846~851頁
【非特許文献47】Inoueら(2002年)J. Biol. Chem. 277巻:25257~65頁
【非特許文献48】Carmiel-Haggaiら(2005年)FASEB J. 19巻:136~138頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、少なくとも1つの担体と、式Iの化合物又はその異性体、塩、ホモ二量体、ヘテロ二量体若しくは抱合体を含む有効量の抽出物とから構成される消費可能な組成物を提供する。
【0010】
【化1】
【0011】
(式中、
R1は、存在する又は存在せず、存在するとき、1つ又は複数の環原子の置換基であり、各環原子について独立して、ヒドロキシ基、ハロ基、置換若しくは非置換の低級アルキル基、又は置換若しくは非置換の低級アルコキシ基であり;
破線の結合は、存在する又は存在しない)。
【0012】
一部の実施形態では、化合物は、式IIの構造:
【0013】
【化2】
【0014】
(式中、R2は、存在する又は存在せず、存在するとき、ヒドロキシ又はメトキシ基であり;R3は、存在する又は存在せず、存在するとき、ヒドロキシ基であり;R4は、存在する又は存在せず、存在するとき、ヒドロキシ又はメトキシ基である)
を有する。
【0015】
好ましくは、抽出物は、ネギ(Allium)属、セイヨウワサビ(Amoracia)属、アカザ(Chenopodium)属、ソバ(Fagopyrum)属、バンレイシ(Annona)属、コショウ(Piper)属、スズメガヤ(Eragrostis)属、トウモロコシ(Zea)属、アサ(Cannabis)属、イポメア(Ipomea)属、トウガラシ(Capsicum)属、クコ(Lycium)属、ナス(Solanum)属、又はハマビシ(Tribulus)属のメンバーのエタノール抽出物である。一部の実施形態では、消費可能な組成物は、栄養補助食品、食品成分若しくは添加物、医療食、栄養補強食品又は薬学的組成物として製剤化されている。理想的には、有効量の組成物は、HNF4α活性、インスリン様成長因子レベル、血糖レベル、インスリンレベル、Cペプチドレベル、トリグリセリドレベル、遊離脂肪酸レベル、血中尿酸レベル、微量アルブミン尿レベル、グルコース輸送体発現、アディポネクチンレベル、総血清コレステロールレベル、高密度リポタンパク質レベル、低密度リポタンパク質レベル又はそれらの組合せの改善をもたらす。更に、有効量は、代謝、肝機能、空腹時血糖レベル、食後血糖レベル、糖化ヘモグロビンHbA1c、体重、インスリン感受性、血清脂質プロファイル、又はそれらの組合せの改善をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】インスリンプロモーター活性を測定するアッセイにおける、N-trans-カフェオイルチラミン、N-trans-フェルロイルチラミン、及びp-クマロイルチラミンの用量反応分析を示す図である。ジメチルスルホキシド(DMSO)及びアルベリン(20μM)を、それぞれ、陰性及び陽性対照として使用した。
図2】定量PCRにより決定された、N-trans-カフェオイルチラミン、N-trans-フェルロイルチラミン及びp-クマロイルチラミンの、インスリンmRNAレベルに対する効果を示す図である。DMSO及びアルベリン(20μM)を、それぞれ、陰性及び陽性対照として使用した。
図3】定量PCRにより決定された、N-trans-カフェオイルチラミン、N-trans-フェルロイルチラミン、及びクマロイルチラミンの、HNF4α mRNAレベルに対する効果を示す図である。DMSO及びアルベリン(20μM)を、それぞれ、陰性及び陽性対照として使用した。
図4】N-trans-カフェオイルチラミン媒介性のインスリン発現の増大が、周知のHNF4αアンタゴニストであるBI-6015により阻害されることを示す図である。
図5】N-trans-カフェオイルチラミン及びN-trans-フェルロイルチラミンの、エストロゲン様活性に対する効果を示す図である。アッセイを、タモキシフェン(Tam)の存在下(1μM)又は非存在下(0μM)で、アルベリン及び7005(CAS番号380336-90-3)(周知のHNF4α転写活性化因子)を陽性対照として、並びにcis-フェルロイルチラミン及びDMSOを陰性対照として使用して、実施した。
図6】N-trans-カフェオイルチラミン及びN-trans-フェルロイルチラミンが、脂肪蓄積を元に戻すことができることを実証する図である。T6PNE細胞を、15μM N-trans-カフェオイルチラミン又は対照(DMSO)を添加したときに、0.06mM、0.12mM又は0.25mMパルミチン酸で、1日、前処理した。細胞を、3日目、6日目及び8日目に回収し、ナイルレッド及びオイルレッドOを用いた染色に供した。結果を、ナイルレッド染色における倍率変化として表す:+パルミチン酸/10% FBS培地(パルミチン酸なし)。
図7】N-trans-カフェオイルチラミンが肝臓中のHNF4αの核発現を増大させることを示す図である。
図8】肝臓中の脂肪滴径が、N-trans-カフェオイルチラミンを用いた処置により減少することを示す図である。
図9】N-trans-カフェオイルチラミン又は対照(DMSO)で処置したマウスにおける、血液検体であるアルカリホスファターゼ(ALP)、アラニントランスアミナーゼ(ALT)、γ-グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)、胆道閉鎖症、総ビリルビン、アルブミン、血中尿素窒素(尿素)、及びコレステロールを含む血液検体のレベルを示す図である。
図10】高脂肪食を与えられ、N-trans-カフェオイルチラミン又は対照(DMSO)で処置したマウスの肝臓における、トリグリセリドレベルを示す図である。
図11】対照(DMSO)と比較した、N-trans-カフェオイルチラミンの、高脂肪食を与えられたマウスの膵臓におけるHNF4α発現に対する効果を示す図である。
図12】対照(DMSO)と比較した、N-trans-カフェオイルチラミンの、高脂肪食を与えられたマウスの腸におけるHNF4α発現に対する効果を示す図である。
図13】ハマビシ種子(1)、アサ(タイマ)種子、殻(2)、バンレイシ属(アテモヤ)種子(3)、サワーソップ(Annona muricata)(グアナバナ)種子(4)、チェリモヤ(A. cherimola)(チェリモヤ)葉(5)、トウモロコシ(Zea mays)(トウモロコシ)柄(6)、ハマビシ(ゴートヘッド)種子(7)、チェリモヤ硬材(樹皮及び中心部)(8)、トマト(Solanum lycopersicum)搾汁滓粉末(ground pomace)(9)、ジャガイモ(S. tuberosum)(イエローポテト)皮(10)、コショウ(黒コショウの実)果実(11)、ジャガイモ(パープルポテト)皮(12)、ジャガイモ(レッドポテト)皮(13)、トマト(トマト)搾汁滓(14)、トマト(トマト)押出搾汁滓(extruded pomace)(15)、サワーソップ(グアナバナ)葉(16)、ニンニク(Allium sativum)(ニンニク)球根(17)、ジャガイモ(パープルポテト)皮(18),アンティリス・モンタナ(A. montana)(ヤマトゲバンレイシ)葉(19)、トウモロコシ葉(20)、ジャガイモ(パープルポテト)芽(21)、チェリモヤ(チェリモヤ)種子(22)、ネギ(Allium fistulosum)(シャロット)全植物(23)、ジャガイモ(ホワイトポテト)皮(24)、チェリモヤ(チェリモヤ)緑枝(25)、アサ(タイマ)葉(26)、ジャガイモ(ホワイトポテト)皮(27)、トマト種子(28)、トマト(ビーフステーキ)全果実(29)、サワーソップ(グアナバナ(Guarabana))未熟果皮(30)、サワーソップ(グアナバナ)熟した生の果実(31)、バンレイシ(A. squamosa)(スイートソップ)全果実(32)、トウガラシ(Capsicum annuum)(セラノペッパー)果実(33)、ジャガイモ(ラセットポテト)皮(34)、ナガバクコ(Lycium barbarum)(ゴジベリー/クコシ)果実(35)、ジャガイモ(パープルポテト)中心部(36)、キノア(Chenopodium quinoa)(キノア)種子(37)、サツマイモ(Ipomoea batatas)(スイートポテト)全ポテト(38)、サツマイモ(スイートポテト)皮(39)、ホースラディッシュ(Armoracia rusticana)(ホースラディッシュ)根(40)、ジャガイモ(コロラドポテト)皮(41)、ソバ(Fagopyrum esculentum)(ソバ)殻(42)、キダチトウガラシ(Capsicum frutescens)(ピリピリペッパー)果実(43)、ジャガイモ(パープルポテト)中心部(44)、トウガラシ(タイチリ(Thai chili))茎及び葉(45)、サワーソップ(グアナバナ)未熟果(46)、ジャガイモ(イエローポテト)中心部(47)、及びテフ(Eragrostis tef)(テフ)種子(48)を含む様々な供給源由来のエタノール抽出物中に存在する、N-trans-カフェオイルチラミン、N-trans-フェルロイルチラミン及びp-クマロイルチラミンの量を示す図である(抽出物の%、w/w)。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、代謝、特にHNF4α活性を調節し、それによって肝細胞及び膵β細胞の両方における遊離脂肪酸の有害作用を緩和する、チラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミド類を提供する。本発明のチラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミド類は、周知のシグナル伝達経路を調節する薬剤についての従来のスクリーニングアッセイにおいて特定されたリード化合物の類似体である。チラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミド類は、T6PNE操作された膵細胞において最初に決定されたように、用量反応性HNF4α活性を示し、インスリン遺伝子発現を上方制御する。更に、これらの化合物は、脂肪肝疾患の肝細胞(hepG2)脂質負荷モデルにおける、強力な脂質除去活性(lipid clearing activity)を示す。理論により拘束されることを望むものではないが、本発明のチラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミド類は、HNF4α活性を下方制御する天然のリガンドであるパルミチン酸よりも、HNF4α結合部位に対して親和性が高く、その結果としてHNF4α活性を制御すると考えられる。遺伝学的、機能ゲノミクス、トランスクリプトーム及び臨床的な証拠は、HNF4αアゴニストが、身体が糖及び脂質恒常性を維持できるようにすることにより、代謝の健康全体を改善することができることを示す。したがって、本明細書の化合物は、健康なHNF4α機能を促進及び/又は回復し、遊離脂肪酸の有害作用を緩和し、代謝を調節し、NAFLD、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)及びT2DM等の代謝障害の根本的な病態形成に対処する方法において役立つ。本発明の組成物を使用することで、健康及びウェルビーイングが改善され、促進される。
【0018】
活性化合物
本発明は、1つ又は複数の酸性ヒドロキシル基が芳香族アレーン類に付着した、植物由来の芳香族代謝産物、及び代謝の調節におけるこれらの使用を提供する。一実施形態では、植物由来の芳香族代謝産物は、化合物1の構造類似体である。
【0019】
【化3】
【0020】
特に、本発明は、式Iの構造を有するチラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミド、又はその異性体、塩、ホモ二量体、ヘテロ二量体、若しくは抱合体を包含する。
【0021】
【化4】
【0022】
(式中、
R1は、存在する又は存在せず、存在するとき、1つ又は複数の環原子(例えば、2、3、及び/又は4位)の置換基であり、各環原子について独立して、ヒドロキシ基、ハロ基、置換若しくは非置換の低級アルキル基、又は置換若しくは非置換の低級アルコキシ基であり;
破線の結合は、存在する又は存在しない)。
【0023】
本明細書の基について、以下の挿入される下付き文字は、以下のように基を更に定義する。「(Cn)」は、基中の炭素原子の正確な数(n)を定義する。例えば、「C1~C6-アルキル」は、1から6の炭素原子(例えば、1、2、3、4、5、若しくは6、又はこれらの中から導き出せる任意の範囲(例えば、3~6炭素原子))を有するアルキル基を示す。
【0024】
「低級アルキル」という用語は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、tert-ブチル、ブチル、n-ヘキシル等の、1から6の炭素原子(すなわち、C1~C6-アルキル)を含有する、分枝又は非分枝の飽和一価炭化水素基を意味することを意図する。
【0025】
同様に、低級アルコキシ基は、構造-ORを有し、Rが上記で更に定義される「アルキル」である、C1~C6-アルコキシ基である。特定のアルコキシ基には、例として、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、tert-ブトキシ、イソ-ブトキシ、sec-ブトキシ、n-ペントキシ、1,2-ジメチルブトキシ等が含まれる。
【0026】
「ハロ」という用語は、クロロ(Cl)、フルオロ(F)、ブロモ(Br)及びヨード(I)基を指すために、本明細書で使用される。特定の実施形態では、ハロ基は、フルオロ基である。
【0027】
本明細書に記載される基のいずれかにおいて、置換基(例えば、置換低級アルキル基又は置換低級アルコキシ基)は、有効水素が、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルキルアリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、アルキルヘテロアリール、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、アルコキシアルコキシ、アシル、ハロ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アラルキルチオ、ヘテロアラルキルチオ、シクロアルキル、ヘテロシクリル又はグリコシル基と置換されていることを指す。
【0028】
本願において示される構造の原子の、任意の定義されていない価数は、その原子と結合した水素原子を暗に示す。
【0029】
一部の実施形態では、R1は存在し、好ましくはパラ及びメタ位の独立した置換基を表す。特定の実施形態では、R1は存在し、パラ位のヒドロキシ基及びメタ位のヒドロキシ又は低級アルコキシ基を表す。ある特定の実施形態では、式Iの構造を有するチラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドは、トランス配置である。
【0030】
特定の実施形態では、チラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドは、式IIの構造:
【0031】
【化5】
【0032】
(式中、
R2は、存在する又は存在せず、存在するとき、ヒドロキシ又はメトキシ基であり;
R3は、存在する又は存在せず、存在するとき、ヒドロキシ基であり;
R4は、存在する又は存在せず、存在するとき、ヒドロキシ又はメトキシ基である)
を有する。
【0033】
「異性体」は、とりわけ光学異性体(例えば、本質的に純粋なエナンチオマー、本質的に純粋なジアステレオマー、及びそれらの混合物)並びに配座異性体(すなわち、それらの少なくとも1つの化学結合の角度のみが異なる異性体)、位置異性体(特に互変異性体)、及び幾何異性体(例えば、cis-trans異性体)を指す。
【0034】
ある特定の実施形態では、チラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドは、以下の化合物の1つである。
【0035】
【化6】
【0036】
本開示の化合物の塩は、親化合物の所望の薬学的活性を持ち、(1)塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸から形成される;若しくは酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2-エタン-ジスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、2ナフタレンスルホン酸、4-トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、4-メチルビシクロ[2.2.2]-オクタ-2-エン-1-カルボン酸、グルコヘプトン酸、3-フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、三級ブチル酢酸(tertiary butylacetic acid)、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸等の有機酸から形成される、酸付加塩;又は(2)親化合物中に存在する酸性プロトンが置換されるときに形成される塩を含む化合物を指す。
【0037】
当該技術分野で周知のように、ホモ二量体は、2つの同一のチラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドサブユニットから構成される分子である。比較して、ヘテロ二量体は、2つの異なるチラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドサブユニットから構成される分子である。本発明のホモ二量体の例には、限定されないが、架橋されたN-trans-フェルロイルチラミン二量体、架橋されたN-trans-カフェオイルチラミン二量体及び架橋されたp-クマロイルチラミン二量体が挙げられる。例えば、ジャガイモ痩果病病変からの架橋されたN-trans-フェルロイルチラミン二量体の単離を教示する、King及びCalhoun(2005年)、Phytochemistry、66巻(20号):2468~73頁を参照のこと。リグナンアミド等の、チラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドのモノマーと他の化合物の抱合体。抱合体の例には、限定されないが、カンナビシンA、カンナビシンB、カンナビシンC、カンナビシンD、カンナビシンE及びカンナビシンFが挙げられる。
【0038】
活性化合物の供給源
本発明の化合物は、式Iの化合物を持つことが周知である任意の好適な植物種及び/又は植物の原材料から得ることができる。好ましくは、化合物は、化合物を含む抽出物又は実質的に純粋な化合物として提供される。
【0039】
「抽出物」は、抽出物を得た天然の供給源の材料中に存在する他の所望されない物質から分離された、式Iの化合物を含有する組成物を指す。一部の実施形態では、天然の供給源の材料は、植物である。植物抽出物は、全植物;シュート栄養器官/構造(例えば、葉、茎及び塊茎)、根、花及び花器官/構造(例えば、包葉、萼片、花弁、雄蕊、心皮、葯及び笂)、種子(胚、胚乳及び種皮を含む)又は果実(熟した子房)等の植物部位;植物組織(例えば、維管束組織、基本組織等);細胞(例えば、孔辺細胞、卵細胞等)、又は滲出物、並びにその子孫及び培養物又は細胞株を含む任意の植物組織から得ることができる。好ましくは、抽出物は、ヒトの消費について一般に安全と認識される(GRAS)ことが判明する化合物を含有する。したがって、ある特定の実施形態では、抽出物は、食用の供給源からのものである。この観点において、抽出物は、食用の抽出物である。
【0040】
抽出物は、目的の供給源の材料の、凍結、粉砕、浸軟、微粉砕、発酵、浸出、煎剤、溶媒抽出(例えば、分配)若しくは沈殿、活性炭を用いた処理、蒸発、濾過、及び/又はクロマトグラフ分別により調製することができる。この観点において、本発明の「抽出物」は、粗製、分画、細分画、分離、単離、濃縮又は精製することができるが、これらに限定されない。「粗製」という用語は、化合物又は分子が存在した最初の組成物の成分から完全に分離されていない、化合物又は分子を意味する。分画又は細分画に関係する実施形態では、粗製抽出物中の分子は、他の物質を含有するより粗製でない抽出物を提供するために、部分的な分離に供されてもよい。一部の実施形態では、化合物は単離される。「単離された」という用語は、粗製抽出物のように、それが天然に発生する複合細胞環境に対して、化合物又は分子が実質的に濃縮又は精製されることを意味する。単離された分子が濃縮又は精製されるとき、純度の絶対レベルは必ずしも重要ではなく、当業者は、材料が供されるべき用途により、純度の適切なレベルを容易に決定することができる。一部の状況では、単離された分子は、組成物の一部を形成し(例えば、多数の他の物質を含有する幾分粗製の抽出物)、例えば他の成分を含有してもよい。他の状況では、単離された分子は、精製し、例えば分光測色的に、NMRにより又はクロマトグラフィー(例えばLC-MS)により決定する場合、本質的に均質としてもよい。
【0041】
抽出物を調製するための好適な溶媒には、例えば、n-ペンタン、ヘキサン、ブタン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジ-エチルエーテル、アセトニトリル、水、ブタノール、イソプロパノール、エタノール、メタノール、氷酢酸、アセトン、ノルフルラン(HFA134a)、酢酸エチル、ジメチルスルホキシド、ヘプタフルオロプロパン(HFA227)、並びに液体二酸化炭素及び水等の亜臨界若しくは超臨界流体、又は任意の割合でのそれらの組合せが挙げられる。上記に列挙したもの等の溶媒が使用されるとき、結果として生じた抽出物は、典型的に、非特異的な脂溶性材料を含有する。非特異的な脂溶性材料は、規定の温度、典型的には-20℃に冷却し、続いて濾過又は遠心分離してワックスバラスト(waxy ballast)を除去し、亜臨界又は超臨界の二酸化炭素又は非極性溶媒(例えば、ヘキサン)を用いた抽出及び蒸留を伴う「脱ろう」を含む、様々な工程により除去することができる。
【0042】
本発明の化合物について濃縮された抽出物は、理想的には、クロマトグラフ分別により得られる。クロマトグラフ分別は、典型的には、カラムクロマトグラフィーを含み、分子径分類、電荷、溶解度及び/又は極性に基づいてもよい。クロマトグラフ方法の種類に依存して、カラムクロマトグラフィーを、例えば、デキストラン、アガロース、ポリアクリルアミド、シリカ、C18、C8、ポリビニルピロリドン、ポリスチレン、セライト、及びフェニル-ヘキシル(phenyl-hexy)から構成される基質物質を用いて実施することができ、ジメチルスルホキシド、ピリジン、水、ジメチルホルムアミド、メタノール、生理食塩水、二塩化エチレン、クロロホルム、プロパノール、エタノール、イソブタノール、ホルムアミド、二塩化メチレン、ブタノール、アセトニトリル、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、クロロホルム/ジクロロメタン、メタノール、ヘキサン、及び酢酸エチル等の溶媒を含むことができる。
【0043】
典型的には、クロマトグラフ工程の生成物は、複数の画分において回収され、次いで、任意の好適な分析技術(例えば、薄層クロマトグラフィー、質量分析法、及び紫外線吸収)を使用して、所望の化合物の存在について検査されてもよい。所望の化合物が濃縮された画分は、次いで、更なる精製のために選択されてもよい。
【0044】
代わりに、又はクロマトグラフィーと併せて、結晶化を実施して高純度のチラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミド類を得てもよい。チラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドの溶解度は、温度及び/若しくは溶液の組成を変化させる、例えば、エタノールを除去することにより、並びに/又はpHを調整して沈殿を促進し、続いて沈殿した結晶又は油状物を濾過若しくは遠心分離することにより、調整される。他の好適な方法には、限定されないが、液液抽出、遠心分配クロマトグラフィー又は樹脂上への吸収若しくは樹脂を用いた不純物の除去が挙げられる。
【0045】
化合物の「実質的に純粋な」製剤は、HPLCプロファイルの面積百分率により決定される、95%を超える、より好ましくは96%を超える、より好ましくは97%を超える、より好ましくは98%を超える、より好ましくは99%を超える、及び最も好ましくは99.5%を超える、(所望の化合物の)クロマトグラフによる純度を有する製剤として定義される。
【0046】
「化合物を含む抽出物」という用語は、所望の化合物について、少なくとも2%、好ましくは少なくとも5%、より好ましくは少なくとも10%、クロマトグラフによる純度を有する製剤を包含する。このような抽出物は、一般に、「実質的に純粋な」製剤よりも、より大きな割合の不純物、非標的材料及び他の分子を含有する。
【0047】
特定の実施形態では、「化合物を含む抽出物」は、「植物」の生成物又は物質である。この文脈では、「植物」は、「植物材料、藻類、微細な菌類及びこれらの組合せを含む生成物」を指す。植物は、抽出物を調製するのに使用される方法工程により(例えば、微粉砕、煎剤、圧搾、水性及び/又はエタノール抽出により)定義され、定量化された量の1つ又は複数の目的の化合物を提供する。
【0048】
理想的には、本発明の化合物は、植物から抽出及び/又は精製される。例示的な植物供給源には、限定されないが、Table 1(表1)に列挙される属(genera)、科、目、属(genus)、種の中の植物が挙げられる。
【0049】
【表1】
【0050】
例示として、N-trans-カフェオイルチラミンを含有する抽出物は、ハマビシの乾燥果実を粉砕又は微粉砕し、微粉砕した材料を室温で80%エタノールに供し、80%エタノール抽出物を濾過及び濃縮し、濃縮した抽出物を水中に再懸濁し、水性溶液をヘキサンで分配し、クロロホルムを水性層に添加し、クロロホルム層をシリカゲルを用いた液体クロマトグラフィーに供することにより得られる。例えば、Koら(2015年)、Internatl. J. Mol. Med.36巻(4号):1042~8頁を参照のこと。
【0051】
チラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドを含有する抽出物は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)又は高速薄層クロマトグラフィー(HPTLC)等の従来の技術を使用して標準化することができる。「標準化された抽出物」という用語は、抽出物中に存在する特徴的な成分又は生理活性マーカーを特定することにより標準化された抽出物を指す。特徴付けは、例えば、質量分析(MS)、赤外線(IR)、紫外線(UV)及び核磁気共鳴(NMR)分光分析データ等のスペクトルデータの分析によるものとすることができる。
【0052】
生物活性
化合物及び/又は抽出物の生物活性は、公知の生物学的インビトロアッセイ、インビボアッセイ及び以下でより詳細を記載する動物モデルの1つ又は複数を使用して決定することができる。これらのアッセイの各々は、限定されないが、肥満、T2DM、心疾患、卒中、脂肪肝疾患(NAFLD)及び非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を含む代謝障害に関連付けられる細胞評価項目に対する有益効果を提供する、本発明の化合物の活性の尺度を提供する。
【0053】
培養肝細胞におけるトリグリセリドアッセイ。培養初代肝細胞におけるトリグリセリド合成を測定するために、新鮮な単離肝細胞(例えば、ラットから)を、24時間、通常培地(0.25%ウシ血清アルブミンを有するダルベッコ改変イーグル培地)で、一不飽和及び/又は飽和脂肪酸(例えばパルミチン酸(C16:0)若しくはオレイン酸(C18:1)、若しくは2つの2:1混合物)の存在下又は非存在下で、並びに本発明の抽出物若しくは化合物の存在下又は非存在下で、培養した。肝トリグリセリド蓄積の定量的概算は、クロロホルム/メタノール(2:1)を使用した細胞ホモジネートからの肝脂質の抽出、及びENZYCHROM(商標)トリグリセリドアッセイキット(Bioassay Systems社、Hayward、CA)を使用するトリグリセリド塊の酵素アッセイにより実施される。
【0054】
脂肪細胞のグルコース消費アッセイ。等量(5x105細胞)の3T3-L1脂肪前駆細胞を播種し、通常のD-グルコース、10%ウシ胎児血清(FBS)を有するDMEM、ペニシリン-ストレプトマイシン中で、95%空気及び5% CO2の加湿雰囲気下、37℃で培養する。細胞が100%コンフルエンスに達するとき、3T3-L1脂肪前駆細胞を、培養物を450mg/dL D-グルコース、0.32μMインスリン、0.5mM 3-イソブチル-1-メチルキサンチン及び1μMデキサメタゾンで2日間処理することにより、分化誘導する。その後、分化した脂肪細胞の培養培地を、本発明の化合物又は抽出物の投与を伴い又は伴わず、450mg/dL D-グルコースを含有するDMEMに変える。24時間後、グルコース消費活性を、陽性対照としてインスリンを使用して、培地のグルコース濃度を測定することにより決定する。細胞中へのグルコース取込のプロトコール及びアッセイは、市販されている(例えば、ABCAM社、Cambridge、MA;Promega社、Madison、WI)。
【0055】
インスリン分泌活性。インスリン分泌細胞、例えばラットRIN-m5F細胞を、96ウェルプレート中に播種し、24時間のインキュベーション後にサブコンフルエンスで使用する。細胞を100μlの準毒性濃度の本発明の化合物又は抽出物に曝露し、37℃で5% CO2とともに3時間インキュベートする。処置に続いて、プレートを1000gで10分間遠心分離し、上清のインスリン濃度を、固相2サイト酵素イムノアッセイ、例えばDRG超高感度ラットインスリンELISAキット(DRG International, Inc社)を使用して、決定する。
【0056】
インスリンプロモーター活性。T6PNE細胞(Kiselyukら(2012年)Chem Biol. 19巻(7号):806~818頁;Kiselyukら(2010年)J. Biomol. Screen 15巻(6号):663~70頁)を、1μMタモキシフェン及び0.03mMパルミチン酸の存在下で、384ウェル組織培養プレート中、ウェルあたり2000細胞で播種する。24時間のインキュベーション後、本発明の化合物又は抽出物を、細胞に添加する。化合物又は抽出物の添加の48時間後、細胞を4%パラホルムアルデヒドで固定し、DAPIを用いて染色する。青(DAPI)及び緑(ヒトインスリンプロモーター駆動GFP)チャネルを画像化する。
【0057】
肝臓におけるトリグリセリドアッセイ。マウスに、本発明の化合物又は抽出物を与える。肝抽出物を、0.25%スクロース中、1mmol/L EDTAとともに均質化することにより調製し、脂質を、クロロホルム/メタノール(2:1 v/v)を使用して抽出し、5%脂肪酸不含ウシ血清アルブミンに懸濁する。トリグリセリドレベルを、トリグリセリドアッセイ試薬(Sigma Chemical Co.社)を使用して測定する。
【0058】
インビボの肝トリグリセリド分泌。このアッセイは、すべてのリポタンパク質リパーゼ、したがって、血液からのトリグリセリドのクリアランスを阻害する、TRITON WR1339の使用を採用する(Millarら、2005年、J. Lipid Res. 46巻:2023~2028頁)。マウスに、本発明の化合物又は抽出物を与える。その後、マウスに、1動物あたり10% TRITON WR1339を静脈内(IV)注入により注入し、血液を回収し、トリグリセリドを、0分、1時間及び2時間で評価した。血漿を分離し、トリグリセリドについてアッセイする。トリグリセリド分泌率を、マウスの肝重量で正規化した後の、キログラムあたり時間あたりのミリグラムとして示す。
【0059】
de novoの脂質生成アッセイ。de novoの脂質生成は、NAFLDの病態形成に関与すると考えられる(Sanders及びGriffin. 2016年. Biol. Rev. Camb. Philos. Soc. 91巻(2号):452~468頁)。本発明の化合物又は抽出物で処置した動物からの初代肝細胞を、終夜、インスリン(100nM)及びデキサメタゾン(1μM)を含有する10% DMEMとともに培養する。細胞を、その後、74KBq/ml(2~14℃)酢酸ナトリウム(2.07GBq/mmol)で1時間インキュベートする。細胞を1N NaOHに溶解し、酸性化し、脂質を石油エーテルで抽出する。放射能を、液体シンチレーションカウンターにより測定する。
【0060】
T2DMの動物モデル。T2DMのモデルには、限定されないが、レプチン欠損マウス(ob/ob;Drelら(2006年)Diabetes 55巻(12号):3335~43頁;Wangら(2014年)Curr. Diabetes Rev. 10巻(2号):131~145頁)、レプチン受容体欠損マウス(db/db;Wangら(2014年)Curr. Diabetes Rev. 10巻(2号):131~145頁)、肥満Zuckerラット(fa/fa;Shiota及びPrintz(2012年)Methods Mol. Biol. 933巻:103~23頁)、ウィスター京都ラット(fa/fa;Figlewiczら(1986年)Peptides 7巻:61~65頁)、プロオピオメラノコルチン欠損マウス(POMC-/-;Yaswenら(1999年)Nat. Med. 5巻:1066~1070頁)、メラノコルチン3及び4受容体ノックアウト動物(Huszarら(1997年)Cell 88巻:131~141頁;Butlerら(2000年)Endocrinology 141巻(9号):3518~21頁;Mulら(2011年)Obesity(Silver Spring)20巻(3号):612~21頁;Chenら(2000年)Nat. Genet. 26巻(1号):97~102頁)、グルコース輸送体サブタイプ4を過剰発現している動物(Shepardら(1993年)J. Biol. Chem. 268巻:22243~22246頁)及びニューロン特異的インスリン受容体ノックアウトマウス(NIRKOマウス;Bruningら(2000年)Science 289巻:2122~2125頁)が挙げられる。このような動物モデルの使用の概説は入手可能である(例えば、Chatzigeorgiouら、2009年 In Vivo 28巻:345~358頁; King, A.J.K. 2012年. Br. J. Pharmacol. 166巻:877~894頁)。これらのモデルは、インスリン抵抗性、高血糖症及び高インスリン血症、ヒトT2DMと類似する症状により、特徴付けられる。動物に、本発明の化合物又は抽出物を与え、最大耐用量及び代謝の改善を評価する。
【0061】
脂肪萎縮症の動物モデル。脂肪組織の完全な欠失(脂肪萎縮症)は、重度肥満と同様の代謝の変化をもたらし、インスリン抵抗性に関連する。脂肪組織を欠失した遺伝子改変マウスは、過食症、脂肪肝、高トリグリセリド血症、インスリン抵抗性及びT2DMにより特徴付けられる(Savage(2009年)Dis. Model Mech. 2巻(11~12号):554~62頁)。機能的脂肪組織の欠失に起因して、これらのマウスはレプチン欠損であり、本発明の化合物又は抽出物の制御不全の代謝に対する効果を評価するのに役立つ。このようなモデルは、本発明の化合物についてのインビボ反応を実証するのに、及び用量反応等の鍵概念を探索するのに有用である。
【0062】
食事誘導性肥満のラットモデル。非近交系のSprague-Dawleyラットを、肥満の多遺伝子モデルとして使用している(Levinら(1997年)Am. J. Physiol. 273巻:R725~30頁)。同様に、いわゆるヒトの西洋食(カフェテリア食)を模倣する様々な口当たりのよい食事を提供されたラットは、過食症に起因する肥満となる(Rogers及びBlundell(1984年)Neurosci. Biobehav. Rev. 8巻(4号):441~53頁)。同じように、高脂肪(HF)食に曝露した動物は肥満を発症し、インスリン及びレプチン感受性の減少を示す(Cleggら(2011年)Physiol. Behav. 103巻(1号):10~6頁;Hariri及びThibault(2010年)Nutr. Res. Rev. 23巻(2号):270~99頁)。このようなモデルは、本発明の化合物についてのインビボ反応を実証するのに、及び用量反応等の鍵概念を探索するのに有用である。
【0063】
食事誘導性肥満のマウスモデル。食事誘導性肥満(DIO)マウスは、インビボで脂肪毒性を試験するためのスタンダードである(Kennedyら(2010年)Disease Models及びMechanisms 3巻(3~4号):156~66頁)。高脂肪を与えられたマウスは、肝臓及び膵臓の両方において異常を発現する。遺伝的背景に依存して、マウスは、高脂肪食であるとき、β細胞萎縮及び完全な糖尿病を伴い又は伴わずにインスリン抵抗性を発現する(Leiter及びReifsnyder(2004年)Diabetes 53巻 補遺1:S4~11頁;Tschop及びHeiman(2001年)Exp. Clin. Endocrinol. Diabetes 109巻(6号):307~19頁)。β細胞萎縮を発現する傾向が異なるマウスの系統には、β細胞萎縮を発現するNONcNZOl0/LtJ(The Jackson Laboratory社、Bar Harbor、ME)及びβ細胞消失を示さないC57BL/6J(The Jackson Laboratory社、Bar Harbor、ME)が挙げられる。これらのモデルを使用して、通常対高脂肪食±試験化合物の効果を分析することができる。およそ半分のNONcNZ0l0/LtJ雄は、高脂肪食であると、糖尿病になり、高頻度で膵島萎縮を発症する(Leiter(2009年)Methods Mol. Biol. 560巻:1~17頁)。試験されうる他の系統には、β細胞消失の傾向は高くないが、血中グルコースの上昇及びグルコース耐性の障害を伴うT2D予備軍及び肥満の良好なモデルである、C57B1/6背景のDIOマウスが挙げられる(Leiter(2009年)Methods Mol. Biol. 560巻:1~17頁)。C57Bl/6KsJ db/dbマウスは、β細胞衰退に関連する糖尿病を発症し(Hummelら(1972年)Biochem. Genet. 7巻(1号):1~13頁)、MafA過剰発現により修正可能であることが示されており(Matsuokaら(2015年)J. Biol. Chem. 290巻:7647~7657頁)、有効性試験におけるこれらの使用が示唆される。このようなモデルは、本発明の化合物についてのインビボ反応を実証するのに、及び用量反応等の鍵概念を探索するのに有用である。
【0064】
メタボリックシンドロームの動物モデル。ニュージーランド肥満(NZO)マウスは、肥満であり、重度のT2DMを有する。脂肪症及び高血糖症の発症に好都合であるいくつかの遺伝子感受性部位は、NZOマウスにおいて特定されている。レプチン受容体遺伝子に加えて、いくつかの転写因子の遺伝子は、潜在的な候補遺伝子として特定され、これらの遺伝子の一部のオルソログは、ヒトのメタボリックシンドロームと関連付けられている(Joost(2010年)Results Probl. Cell Differ. 52巻:1~11頁)。このようなモデルは、本発明の化合物についてのインビボ反応を実証するのに、及び用量反応等の鍵概念を探索するのに有用である。
【0065】
カウンタースクリーニング(Counter Screen)。カウンタースクリーニングは、標的外効果を避けるために、化合物のライブラリーの中から選択するのにしばしば使用される。本発明では、HNF4α活性の調節剤としての化合物の活性は、たとえ他の標的外効果が発生しうるとしても、望ましい標的である。HNF4α以外の標的効果に基づいてヒトにおける使用のために売買されている薬物は、その後、HNF4α活性剤としての活性を有することが示されている(アルベリン及びベンフルオレクス;Leeら(2013年)ACS Chem. Biol. 8巻(8号):1730~6頁)。アルベリンは、胃腸障害のための平滑筋弛緩剤として売買されており、一方、ベンフルオレクスは、食欲抑制剤として売買されている。ベンフルオレクスは、エステル部分を切断して代謝され、セロトニン5-ヒドロキシトリプタミン2(5-HT2)受容体の強力なアゴニストであるフェンフルラミンとなることが周知であり、効果は、食欲抑制剤としてのベンフルオレクスの活性に関すると考えられた(Porterら(1999年)Br. J. Pharmacol. 128巻(1号):13~20頁)。しかし、ベンフルオレクスによる5-HT2受容体の調節は、所望されない心肺の副作用と関連付けられた。したがって、合成化合物を用いたこれらの実験に基づき、本発明の化合物又は抽出物を、例えば、CHO-K1細胞におけるヒト5-HT2A、5-HT2B又は5-HT2c受容体を発現する細胞における細胞内カルシウムレベル上昇の急速な検出を可能とする蛍光イメージングプレートリーダー(FLIPR)アッセイを使用して、5-ヒドロキシトリプタミン受容体活性化に対する標的外効果について検査する。例えば、Porterら(1999年)Br. J. Pharmacol. 128巻(1号):13~20頁を参照のこと。他のカウンタースクリーニングは、毒性作用が他の標的外作用と関連付けられうる最初のインビボ試験に基づいて選択されてもよい。
【0066】
製剤
本発明の化合物を含む実質的に純粋な化合物又は抽出物は、担体と合わせ、対象による消費又は対象への投与のための任意の好適な形態で提供することができる。この観点において、化合物又は抽出物は、外因性成分又は添加物として消耗品に添加される。好適な消費可能な形態には、限定されないが、栄養補助食品、食品成分若しくは添加物、医療食、栄養補強食品又は薬学的組成物が挙げられる。
【0067】
食品成分又は添加物は、結果として直接又は間接的に、それが成分となるか、そうでなければ任意の食品の特徴に影響を与えることを意図する、食用の物質である(食品を製造する、生産する、包装する、加工する、調製する、処理する、梱包する、輸送する又は保持することを意図する任意の物質を含む)。食品製品、特に機能性食品は、処理の間に強化又は濃縮され、追加の補完的な栄養及び/又は有益な成分を含む食品である。本発明による食品製品は、例えば、バター、マーガリン、甘い又は香ばしいスプレッド、調味料、ビスケット、健康バー、パン、ケーキ、シリアル、キャンディ、菓子類、スープ、乳、ヨーグルト又は発酵乳製品、チーズ、ジュースベース及び野菜ベースの飲料、発酵飲料、シェーク、フレーバーウォーター、茶、油、又は任意の他の好適な食品の形態であってもよい。
【0068】
栄養補助食品は、本発明の化合物又は抽出物を含有し、食事を補うことを意図する、口から摂取される製品である。栄養補強食品は、食品中に見出される基本の栄養価に加えて追加の健康利益を提供する、食品供給源に由来する製品である。薬学的組成物は、疾患の診断、治癒、緩和、処置又は予防における薬学的活性若しくは他の直接的な影響をもたらす、又はヒト若しくは他の動物の身体の構造若しくは任意の機能に影響を与えることを意図する、薬物製品の任意の成分として定義される。栄養補助食品、栄養補強食品及び薬学的組成物は、錠剤、被覆錠剤、丸剤、カプセル剤、ペレット、顆粒、軟質ゲル、ジェルキャップ、液体、粉末、エマルション、懸濁液、エリキシル、シロップ及び使用に好適な任意の他の形態等の多数の形態において見出すことができる。
【0069】
本明細書において使用される場合、「担体」という用語は、液体又は固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、加工助剤(manufacturing aid)(例えば、滑沢剤、タルクマグネシウム、ステアリン酸カルシウム若しくはステアリン酸亜鉛、若しくはステアリン酸)、又は身体の1つの器官若しくは部位から身体の別の器官若しくは部位への対象の化合物の運搬若しくは輸送に関与する、溶媒を封入する材料等の、材料、組成物又はビヒクルを意味する。各担体は、製剤の他の成分と適合性であり、対象に無害であるべきである。担体としての役割を果たすことができる材料の一部の例には、(1)ラクトース、グルコース及びスクロース等の糖;(2)トウモロコシデンプン及びジャガイモデンプン等のデンプン;(3)セルロース、及びカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、酢酸セルロース及びヒドロキシルプロピルメチルセルロース等のその誘導体;(4)トラガント粉末;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)タルク;(8)ココアバター及びワックス等の賦形剤;(9)ピーナッツ油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油及び大豆油等の油;(10)プロピレングリコール等のグリコール;(11)グリセリン、ソルビトール、マンニトール及びポリエチレングリコール等のポリオール;(12)オレイン酸エチル及びラウリン酸エチル等のエステル;(13)寒天;(14)水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウム等の緩衝剤;(15)アルギン酸;(16)発熱性物質除去水(pyrogen-free water);(17)等張食塩水;(18)リンガー溶液;(19)エチルアルコール(20)pH緩衝溶液;(21)ポリエステル、ポリカーボネート及び/又はポリ無水物;及び(22)従来の製剤中に採用される他の非毒性適合性物質が挙げられる。
【0070】
本発明の特定の実施形態では、消費可能な組成物には、化合物又は抽出物、担体及び微生物の増殖を減少又は阻止するための保存剤が含まれる。保存剤は、フィルムの最大約5質量%、好ましくは約0.01質量%から1質量%の量で添加される。好ましい保存剤には、安息香酸ナトリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン、亜硝酸ナトリウム、二酸化硫黄、ソルビン酸ナトリウム及びソルビン酸カリウムが含まれる。他の好適な保存剤には、限定されないが、エデト酸塩(二ナトリウムEDTA等の、エチレンジアミン四酢酸すなわちEDTAの塩としても周知)が含まれる。
【0071】
錠剤又はカプセル剤等の固体組成物を調製するために、化合物又は抽出物を担体(例えば、トウモロコシデンプン、ラクトース、スクロース、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム又はガム等の従来の打錠成分)及び他の希釈剤(例えば、水)と混合し、固体組成物を形成する。この固体組成物を、次いで、本発明の有効量の化合物を含有する単位剤形に細分する。化合物又は抽出物を含有する錠剤又は丸剤は、コーティングすることができ、そうでなければ、固体マトリックスからの活性化合物の持続放出及び/又は潜在的に強化される吸収による、持続性作用の利点を与える剤形を提供するために配合することができる。
【0072】
本発明の化合物又は抽出物が経口又は非経口投与のために組み込まれた液体形態には、水性溶液、好適にはフレーバーシロップ、水性又は油性懸濁液、及び食用油並びにエリキシル及び同様のビヒクルを伴うフレーバーエマルションが含まれる。水性懸濁液のための好適な分散又は懸濁剤には、トラガカント、アカシア、アルギン酸塩、デキストラン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン又はゼラチン等の合成天然ガムが挙げられる。経口投与のための液体製剤は、例えば、溶液、シロップ又は懸濁液の形態をとってもよく、又はこれらは、使用前の水若しくは他の好適なビヒクルでの再構成のための乾燥製品として存在してもよい。このような液体製剤は、従来の手段で、懸濁剤(例えば、ソルビトールシロップ、メチルセルロース又は硬化食用脂肪)、乳化剤(例えば、レシチン又はアカシア);非水性ビヒクル(例えば、アーモンド油、油性エステル又はエチルアルコール);保存剤(例えば、メチル又はプロピルp-ヒドロキシベンゾエート又はソルビン酸);及び人工の又は天然の着色料及び/又は甘味料等の許容される添加物とともに調製してもよい。
【0073】
本発明の製剤又は組成物を調製するための方法には、本発明の化合物又は抽出物を、担体、任意選択で1つ又は複数の付属物及び/又は活性成分と会合させる工程が含まれる。一般に、製剤は、本発明の化合物又は抽出物を、液体担体又は細かく分けられた固体担体、又はその両方と均質且つ本質的に会合し、次いで、必要な場合、製品を成形することにより調製される。かくして、開示されている製剤は、好適な担体と組み合わせた、本明細書に記載される化合物又は抽出物からなる、又は本質的にそれからなる。
【0074】
本発明の化合物又は抽出物が、医薬品、栄養補強食品又は栄養補助食品としてヒト及び動物に投与されるとき、これらはそれ自体で与えることができ、又は、例えば、許容される担体と組み合わせた0.1から99%(より好ましくは、10から30%)の活性成分を含有する組成物として与えることができる。
【0075】
消費可能な製品は、対象により消費され、1日あたり100mg未満の本明細書に記載される化合物を提供することができる。ある特定の実施形態では、消耗品は、10から60mg/日の間のチラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミドを提供する。有効量は、当該技術分野において周知の方法により確立することができ、バイオアベイラビリティ、毒性等に依存する。
【0076】
個別のチラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミド類が本発明の消耗品において使用されうることが考慮されるが、2つ以上の化合物又は抽出物を任意の相対量で合わせ、所望の比で2つ以上のチラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミド類を含有する成分の慣習的な組合せを提供し、製品の有効性を強化し、製品の最終使用に重要である官能的性質又は一部の他の質の尺度を改善することができることが更に考慮される。
【0077】
分子標的
HNF4α(肝細胞核因子4α)は、包括的な核転写因子であり、安定した代謝(恒常性)の維持に関与する多数の遺伝子の発現を制御する。とりわけ、HNF4αは、肝臓(肝細胞)及び膵臓(β細胞)の両方において発現する。HNF4αの発現及び転写活性は、NAFLD及びT2DMにおいて、ヒト肝細胞及びヒト膵β細胞において低減する。HNF4αは、糖尿病の常染色体優性単一遺伝子形態であり、糖尿病の病態形成における直接的な役割についてのヒトの遺伝学的証拠を提供するMODY1において変異する。HNF4α遺伝子発現は、T2Dにおいて下方制御される。加えて、遊離脂肪酸は、体重超過及び肥満の個体において上昇し、HNF4α活性を阻害する。HNF4αハプロ不全は糖尿病を引き起こし、HNF4αはT2Dにおいて下方制御されるという事実の観点から、HNF4α活性の通常の野生型状態への回復又は増大は、健康全般及び治療的利益をもたらすであろう。
【0078】
HNF4αノックアウト齧歯類モデルは、脂肪肝表現型、並びに脂質生成の減少、de-novoのコレステロール合成の減少、超低密度リポタンパク質(VLDL)分泌及び高密度リポタンパク質(HDL)生合成の減少、並びにインスリン不耐性の増大を示す。加えて、ノックアウトマウスは、FFA取込の強化及びβ酸化を介する分解の減少を示す。これは、低コレステロール血症、低い血中トリグリセリドレベル、及び脂肪肝をもたらす。このすべては、HNF4α欠乏に起因する脂質代謝の有意な制御不全を表す(Yinら(2011年)Arterioscler. Thromb. Vasc. Biol. 31巻(2号):328~336頁;Hayhurstら(2001年)Mol. Cell Biol. 21巻(4号)1393~1403頁;Martinez-Jimenez(2010年)Mol. Cell. Biol. 30巻(3号):565~577頁)。比較して、肝臓中のHNF4αの発現の増大は、過剰なFFA蓄積に対処する手段として、肝FFA酸化、ケトン体生成、及び超低密度リポタンパク質(VLDL)分泌を促進する遺伝子の転写を増大させうる(Martinez-Jimenez(2010年)Mol. Cell. Biol. 30巻(3号):565~577頁)。したがって、HNF4αは、NAFLDにおいて特徴的に上昇する、FFAの有害作用を緩和するための標的を提供する。
【0079】
T2DMでは、HNF4αは、グルコース輸送及び解糖に関与する遺伝子の直接制御を担う。β細胞中のHNF4αなしでは、齧歯類は、β細胞中の不完全なグルコース刺激インスリン分泌を示し、これはインスリン分泌の低減を意味する(Guptaら(2005年)J. Clin. Invest. 115巻(4号)1006~15頁)。HNF4α遺伝子発現は、おそらく慢性的に上昇したFFAへの曝露に起因して、T2DMを有する個体において下方制御されることが観察されている。特に、遊離パルミチン酸(C16飽和FA)が膵β細胞の機能及び生存能力を障害し、HNF4αの作用に起因する通常のインスリン産生を抑制することが示されている(Leeら(2013年)ACS Chem. Biol. 8巻(8号):1730~1736頁)。したがって、HNF4αは、T2DMの症状を回復させるための標的を提供する。
【0080】
代謝障害
「代謝障害」という用語は、身体が適切に炭水化物、脂質、タンパク質、及び/又は核酸を代謝することができないときに発生する障害又は状態を指す。したがって、本発明の文脈において、代謝の異常に関する障害は、「代謝障害」という用語を包含する。代謝障害という用語には、限定されないが、インスリン抵抗性、高血糖症、糖尿病(特にT2DM)、肥満、グルコース不耐性、高コレステロール血症、高リポタンパク血症、異常脂血症、高インスリン血症、動脈硬化性疾患、冠動脈疾患、メタボリックシンドローム、高血圧、又は異常な血漿リポタンパク質、トリグリセリドに関連する関連障害又は膵ベータ細胞再生等のグルコースレベルに関する障害が挙げられる。
【0081】
T2DMは、膵臓が十分なインスリンを産生しないとき、又は膵臓が産生するインスリンを身体が有効に使用することができないときに発生する、慢性疾患又は状態を指す。T2DMは、血中のグルコースの濃度の増大をもたらす(高血糖症)。血漿グルコース濃度、血糖曝露の尺度、及び糖尿病性網膜症のリスクの間の関係を確立した試験に基づき、以下の基準を、糖尿病の診断のために採用する:126mg/dL(7.0mmol/L)を超える若しくはそれと等しい空腹時血糖;経口グルコース耐性検査における75g無水グルコースの摂取後2時間での、200mg/dL(11.1mmol/L)を超える若しくはこれに等しい血糖;又は糖尿病の症状を有するヒトにおける200mg/dL(11.1mmol/L)を超えるランダム血糖。他の重要な定義には、経口グルコース耐性試験において、2時間で血糖が140mg/dL(7.8mmol/L)と等しい又はそれを超えるが200mg/dL(11.1mmol/L)未満である、グルコース耐性の障害;及び空腹時血糖(FPG)が100mg/dL(5.6mmol/L)と等しい又はそれを超えるが126mg/dL未満である、空腹時グルコースの障害が挙げられる。本発明の化合物又は抽出物は、空腹時血糖、75g無水グルコースの摂取後の血糖、又はランダム血糖レベルの1つ又は複数を、本明細書において参照するものより低く低減させることにより、代謝を調節すると言われている。代謝活性の評価の一部としてモニタリングすることができる別の評価項目は、HbA1cの血中レベルであり、HbA1cは、過去2から3ヶ月にわたる血中の平均グルコースレベルの尺度である。HbA1cのレベルは、糖尿病のリスクの臨床指標として使用され、レベルの増大は、T2DMのリスクの増大を示す。よって、HbA1cの減少はまた、血糖管理の指標を支持するために使用することができる。
【0082】
肥満は、過剰な体脂肪により定義される、慢性、再発性の健康リスクである。体脂肪量は、ハイドロデンシトメトリー(hydrodensitometry)及び二重エネルギーX線吸収測定法(DEXA)を使用して正確に測定することができる。二乗したメートル単位の身長で割った重量のキログラム(kg/m2)として示されるボディマス指数(BMI)は、単純であり、算出するのに費用がかからず、非高齢者において体脂肪量と強く相関するため、体脂肪量の代わりとして一般に使用される。肥満は、National Institutes of Healthにより、30kg/m2以上のBMIを有することとして定義される。BMI及び死亡リスク及び主な合併症の間の関係は、年齢、性別、人種及び喫煙経験により変動するが、一般には、BMIが18.5kg/m2から24.9kg/m2の個人で最も低く、BMIが25kg/m2からおよそ40kg/m2で曲線的又は直線的に増大する。本発明の化合物又は抽出物は、平均及び/又は絶対的体重を低減させることにより代謝を調節すると言われている。平均体重は、活性製品で処置した群対プラセボで処置した群における、ベースライン体重の平均減少パーセントの差として定義される。絶対的体重は、活性製品で処置した群対プラセボで処置した群における、ベースライン体重の少なくとも5パーセントが減少した対象の割合として定義される。副次有効性評価項目には、限定されないが、血圧及び脈拍、リポタンパク質脂質、空腹時グルコース及びインスリン、(T2DMにおいて)HbA1c、腹囲、並びに生活の質の改善が挙げられる。
【0083】
NAFLD又は「脂肪肝」は、肝臓中の脂肪の過剰な蓄積により特徴付けられる代謝疾患である。NAFLDは、主に大滴性脂肪変性により特徴付けられ、肝細胞の>5%における可視脂肪変性の存在は、脂肪肝の実用的定義として一般に認められる(Kleinerら(2005年)Hepatology 41巻:1313~1321頁)。非アルコール性脂肪性肝炎又はNASHは、NAFLDの最も極端な形態であり、原因不明の肝硬変の主原因として考えられる。NASHの診断についての最小基準には、典型的に成人において主に小葉中心(腺房領域3)に分布する、肝細胞>5%大滴性脂肪変性、炎症及び膨れの存在が挙げられる。脂肪性肝炎は、単純に炎症及び脂肪変性が存在するのではなく、特異的な組織学的実態である(Kleinerら(2005年)Hepatology 41巻(6号):1313~21頁;Bruntら(1999年)Am. J. Gastroenterol. 94巻:2467~2474頁;Ludwigら(1980年)Mayo Clin. Proc. 55巻:434~438頁;Neuschwander-Tetri及びCaldwell(2003年)Hepatology 37巻:1202~1219頁)。本発明の化合物又は抽出物は、肝臓中の脂肪の蓄積を測定可能なほど減少させることにより代謝を調節し、それにより肝機能を改善すると言われている。
【0084】
メタボリックシンドロームという用語は、冠動脈心疾患、卒中、末梢血管疾患及び/又はT2DMのリスク増大についてのマーカーとして役立つ検査及び臨床所見群を表す。メタボリックシンドロームに関連するリスク因子には、腹部の肥満(すなわち、腹部における又はその周りの過剰な脂肪組織)、限定されないが、高トリグリセリド、低HDLコレステロール及び高LDLコレステロール、血圧、インスリン抵抗性若しくはグルコース不耐性の上昇を含むアテローム性脂質異常血症、血栓形成促進性の状態(例えば、血中の高フィブリノーゲン又はプラスミノーゲン活性化因子阻害剤-1)、並びに/又は炎症性状態(例えば、血中のC反応性タンパク質の上昇)が含まれる。本発明の化合物又は抽出物は、メタボリックシンドロームの成分を改善することにより代謝を調節し、最終的に、T2DMの発症の予防、並びに心血管性の罹患率及び死亡率の減少を示すと言われている。
【0085】
代謝調節
本発明はまた、代謝を調節して代謝障害を緩和、予防又は処置するための方法を提供する。このような方法に従うと、有効量の本発明の化合物又は抽出物は、対象の代謝を調節し、それにより1つ又は複数の代謝障害の根本的な病態形成に対処し、対象の健康、ウェルビーイング、及び生活の質を促進するために、処置を必要とする対象に投与される。本明細書において使用される場合、「対象」という用語は、動物、好ましくは哺乳類を指す。一部の実施形態では、対象は、荷物運搬用の動物、コンパニオンアニマル、家畜、実験動物、又は動物学的な動物である。他の実施形態では、対象はヒトである。
【0086】
処置の必要のある対象には、代謝障害の観察可能な症状を有する対象(例えば、異常なグルコース又は脂質代謝を有する対象)、並びに観察可能な代謝障害の症状を有しないが、代謝障害を発症しやすいと決定された対象(すなわち、代謝障害を発症するリスクのある対象)が挙げられる。例えば、American Heart Associationによると、(心疾患、糖尿病、卒中、及び他の健康問題のリスクを上昇させる)メタボリックシンドロームは、以下の5つのリスク因子:高血糖(糖);低レベルの血中HDL(「善玉」)コレステロール;高レベルの血中トリグリセリド;巨大な腹囲若しくは「リンゴ型の」身体;又は高血圧のうちいずれか3つが存在するときに診断される。
【0087】
更なる例示として、インスリンに対する自己抗体(IAA);グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD);及びIA-2と呼ばれるチロシンホスフェートファミリーの受容体タイプの膵島細胞メンバーが、T2DMの臨床的発生に先立つマーカーとして特定されている。例えば、米国特許第6,391,651号及び米国特許第6,316,209号を参照のこと。同様に、C反応性タンパク質(CRP)、アポリポタンパク質CIII、及び血漿ホモシステインレベルは、高コレステロール(又は高コレステロール血症又は高脂血症)についてのリスクのある対象を特定するためのマーカーとして特定されている。例えば、米国特許出願公開第2004/0198656号;Yeh(2004年)Can. J. Cardiol. 20巻(補遺 B):93~96B頁;及びGeiselら(2003年)Clin. Chem. Lab. Med. 41巻(11号):1513~7頁を参照のこと。対象が高コレステロール血症を発症するリスクがあるか又はその傾向にあるかどうかを決定するために単独又は組合せで使用することのできる更なる因子には、限定されることなく、遺伝(すなわち、家族性高コレステロール血症)、高血圧、喫煙歴、アルコール消費、糖尿病、肥満、肉体的不活発、年齢及び性別(すなわち、50歳を超える閉経後の女性)、並びにストレスが挙げられる。
【0088】
本明細書において使用される場合、「有効量」という用語は、障害を有意に改善するのに十分な、化合物、抽出物、又は化合物若しくは抽出物を含有する製剤の量を意味する。ヒトにおいて使用される有効量を決定するときにまた重要なことは、化合物の使用に関連するリスクに対する所望の効果(利益)を比較考量することである。このようなリスク/利益の評価について問題となるのは、観察される有害作用の種類及びそれらが発生する可能性である。有効量が、処置されている特定の障害、例えば、糖尿病又は肥満、最終消費者の年齢及び体調、状態の重症度、処置の期間、利用する特定の担体、並びに同様の因子で変動しうるという事実も考慮される。
【0089】
一般に、本発明の化合物又は抽出物の好適な1日量は、所望の利益をもたらすのに有効な最も低い用量である化合物又は抽出物の量であり、この場合、効果は、脂肪及び糖の代謝を改善し、結果として健康全般及びウェルビーイングを支持する。このような有効量は、一般に、本明細書に記載される因子に依存する。経口投与について、用量は、1日あたり体重1キログラムあたり約0.0001mgから約10グラム、1日あたり体重1キログラムあたり約5mgから約5グラム、1日あたり体重1キログラムあたり約10mgから約2グラム、又は任意の他の好適な用量の範囲としてもよい。所望の場合、化合物又は抽出物の有効な1日量は、任意選択で単位剤形で、1日を通して適切な間隔で別個に投与される2、3、4、5、6以上のサブ用量(sub-dose)として投与されてもよい。好ましい投薬は、1日あたり1回の投与である。
【0090】
本発明の化合物又は抽出物は、単独で、又は特定の食事(例えば、低血糖指数の食品)若しくは標準治療との組合せで、使用することができる。
【0091】
本発明の化合物又は抽出物の投与は、対象の代謝を調節し、それにより1つ若しくは複数の代謝障害の根本的な病態形成に対処し、及び/又は対象の健康、ウェルビーイング、及び生活の質を促進する。理想的には、有効量の化合物又は抽出物は、1つ又は複数の代謝化合物のレベル又は活性における、測定可能な改善をもたらす。例として、HNF4α活性、インスリン様成長因子レベル(インスリン様成長因子1又はIGF-1等の)、血糖レベル、インスリンレベル、Cペプチドレベル、トリグリセリドレベル、遊離脂肪酸レベル、血中尿酸レベル、微量アルブミン尿レベル、グルコース輸送体発現、アディポネクチンレベル、総血清コレステロールレベル、高密度リポタンパク質(HDL)レベル、及び/又は低密度リポタンパク質(LDL)レベルが挙げられる。
【0092】
より特には、本発明の化合物又は抽出物の投与は、代謝、肝機能、空腹時血糖レベル、食後血糖レベル、糖化ヘモグロビンHbA1c、体重、インスリン感受性、脂質クリアランスを改善することによる血清脂質プロファイル、又はこれらの組合せを改善する。特定の実施形態では、本発明の化合物若しくは抽出物の使用は、好ましくは、T2DM、グルコース耐性の障害、空腹時血糖の障害、高血糖症、食後高血糖症、高インスリン血症、NASH、NAFLD、若しくはメタボリックシンドローム等の代謝障害を予防する、進行を遅らせる、遅延する若しくは処置する;糖尿病予備軍の進行を遅らせる、遅延する若しくは処置する;血糖コントロールを改善する及び/若しくは空腹時血糖、食後血糖及び/若しくは糖化ヘモグロビンHbA1cを減少させる;グルコース耐性の障害、空腹時血糖の障害、インスリン抵抗性若しくはメタボリックシンドロームのT2DMへの進行を予防する、遅らせる、遅延する若しくは元に戻す;白内障、若しくは腎障害、網膜障害、神経障害、組織虚血、糖尿病性足病変、脂質異常症、動脈硬化、心筋梗塞、急性冠症候群、不安定狭心症、安定狭心症、卒中、末梢動脈閉塞性疾患、心筋症、心不全、心調律障害若しくは血管再狭窄等の細小若しくは大血管疾患等の糖尿病の合併症を予防する、進行を遅らせる、遅延する、予防する若しくは処置する;体重及び/若しくは体脂肪を減少させる、若しくは体重及び/若しくは体脂肪の増加を予防する、若しくは体重及び/若しくは体脂肪の減少を促進する;異所性脂肪、特に肝脂肪の異常な蓄積に起因する疾患若しくは状態を予防する、遅らせる、遅延する若しくは処置する;インスリン感受性を維持及び/若しくは改善する、及び/若しくは高インスリン血症及び/若しくはインスリン抵抗性を処置する若しくは予防する;脂肪沈着を減少させる;脂肪肝のNASHへの進行を予防する、遅らせる、遅延する若しくは元に戻す;並びに/又はNASHの肝硬変、末期肝疾患及び/若しくは肝細胞癌への進行を予防する、遅らせる、遅延する若しくは元に戻す。
【0093】
以下の非限定的な実施例を、本発明を更に例示するために提供する。
【実施例0094】
代謝活性の評価指標:材料及び方法
インスリン及びHNF4αの発現。RNAをRNEASY(登録商標)クロマトグラフ分離及び単離キット(Qiagen社)を使用して精製し、qScript(商標)cDNA SuperMix(Quanta Biosciences社)を使用してcDNAに変換した。RNA 2μgに対応するcDNAを用いて、Opticonリアルタイムシステム(MJ Research社)及びQPCR SuperMix(BioPioneer社)を使用して、Q-PCRを実行した。すべてのmRNA値が18S rRNA値に対して正規化され、ビヒクル処置対照を超える倍率変化として示されることを理解されたい。
【0095】
エストロゲン様活性についてのカウンタースクリーニング。エストロゲン様活性を、ホタルルシフェラーゼ遺伝子(4RTK-luc)と縮合した多量体化したミニマルプロモーターのE-box 5'を含有するレポータープラスミドと野生型E47又はE47MERの同時遺伝子導入によりモニタリングした(Kiselyukら(2010年)J. Biomol. Screen 15巻(6号):663~70頁)。HeLa細胞を、ウェルあたり50μlの血清不含ダルベッコ改変イーグル培地中、ポリエチレンイミン、0.2μg 4RTK-Lucプラスミド及び0.3μgのヒトE47、E47MER又はpMSCVhphベクターのいずれかを使用して、遺伝子導入した。遺伝子導入は、遺伝子導入の有効性についての対照として、ウミシイタケ(Renilla)ルシフェラーゼ(pRL-TK)プラスミドを含んだ。遺伝子導入条件は、Kiselyukら((2010年)J. Biomol. Screen 15巻(6号):663~70頁)のPPRE-Lucレポーターアッセイにおいて記載されているとおりである。遺伝子導入の16時間後、培養培地を換え、48時間、タモキシフェン及び/若しくは化合物又はビヒクル(DMSO)とともに維持した。細胞を次いで溶解し、Promega DUAL-LUCIFERASE(登録商標)レポーターアッセイキット(Promega Corp.社、Madison、WI)を使用してルシフェラーゼ活性についてアッセイし、蛍光をVeritas(商標)マイクロプレートルミノメーター(Turner Biosystems社、Sunnyvale、CA)を使用して測定した。データを、ウミシイタケルシフェラーゼ(pRL-TK)に対して正規化し、ビヒクル単独を超える倍率変化として示した。
【0096】
HNF4αGFP発現の阻害。本明細書に記載されるインスリンプロモーターアッセイを使用して、HNF4αの活性を、N-trans-カフェオイルチラミン(0、5、10、20μM)と組み合わせた、HNF4αの周知のアンタゴニストであるBI-6015(0、2.5、5μM)(Kiselyukら(2012年)Chem. Biol. 19巻(7号):806~818頁)の存在下で、評価した。
【0097】
【化7】
【0098】
肝ミクロソームアッセイ。肝ミクロソーム安定性アッセイを、周知の方法(Peddibhotlaら(2013年)ACS Med. Chem. Lett. 4巻:846~851頁)に従って実施した。簡潔には、アセトニトリル中25μM化合物溶液3μLを、マウス、ヒト又はラットの肝ミクロソーム123μL(Xenotech社、Kansas City、KS)とともにインキュベートした。37℃で10分間のプレインキュベーションの後、NADPH生成システム120μL(2mM NADP+、10mMグルコース-6-リン酸、0.4U/mlグルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ、及び5mM MgCl2)を100mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)の存在下で添加することにより、酵素反応を開始した。使用した各化合物の最終濃度は、1μMであった。使用したミクロソーム濃度は、1.0mg/mLであった。化合物を、ミクロソーム中で、0、5、15、30及び60分間インキュベートした。反応を、氷冷ACNの添加により停止させ、反応混合物を10,000gで10分間遠心分離した後、上清を分析のために除去した。結果として生じた抽出物の10μL部分を、Thermo Scientific Accucore C18(2.6μM、2.1x50mm)カラムを使用して、PAL CTCプレートサンプラー(96ウェルプレート)、Dionex Ultimate 3000バイナリポンプ(0.600mL/分の流量)、Dionex Ultimate 3000サーモスタットカラムコンパートメント(40℃の温度)、Thermo Endura質量分析計(ESI供給源)を備えたThermo HPLCシステムに注入した。勾配を、95% H2O(0.1%ギ酸)及び5% ACN(0.1%ギ酸)で最初の0.5分開始し、次いで5~100% ACN(0.1%ギ酸)の勾配条件で0.5から3.5分、95% H2O(0.1%ギ酸)及び5% ACN(0.1%ギ酸)を0.5分にわたり、95:5で再平衡まで別の1分間かけた。
【0099】
HepG2及びT6PNE細胞中の脂質クリアランス(脂肪変性アッセイ)。脂肪変性アッセイを、HepG2細胞株中0.25mMパルミチン酸とともにN-trans-カフェオイルチラミンについて20μM、及びT6PNE細胞株中0.25mMパルミチン酸とともに10μMのN-trans-カフェオイルチラミン、N-trans-カフェオイルチラミン、又はp-クマロイルチラミンである薬物濃度を例外として、記載するように実施した(Kiselyukら(2012年)Chem. Biol. 19巻(7号):806~818頁)。脂肪変性を、Oil Red O Method for Fatsキット(Poly Scientific社;Warrington、PA)を製造者のガイドラインに従って使用して評価した。簡潔には、凍結組織スライド又は固定した細胞を、無溶媒プロピレングリコール中で2分間、オイルレッドO溶液中にスライドについて15時間又は固定した細胞について1時間インキュベートし、85%プロピレングリコール溶液中で1分間分化し、蒸留水で2回洗浄し、ヘマトキシリン中で10秒間染色した。スライドをグリセリンゼリー封入媒体に搭載した。
【0100】
アルカリホスファターゼ(ALP)定量化。増大した血中ALPレベルは、肝機能異常を示すと考えられる。よって、ALPを、周知の方法(Kiselyukら(2012年)Chem. Biol. 19巻(7号):806~818頁)に従ってアッセイした。簡潔には、屠殺前に、採血し、Vet Scan血液分析器を使用して分析し、アルカリホスファターゼ(ALP、IU/L)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT、IU/L)、ガンマグルタミルトランスフェラーゼ(GGT、IU/L)、胆汁酸(BA,μmol/L)、総ビリルビン(TBIL、mg/dL)、アルブミン(ALB、g/dL)、血清尿素窒素(BUN、mg/dL)、及びコレステロール(CHOL、mg/dL)を測定した。
【0101】
トリグリセリド(TG)定量化。TG量を、トリグリセリド比色アッセイキット(Cayman Chemicals社;Ann Arbor、MI)を製造者の指示に従って使用してアッセイした。
【0102】
脂肪滴径分析。すべてのスライドを、20xの倍率で、Aperio Scanscope FLシステム(Aperio Technologies Inc.社;Vista、CA)を使用してスキャンした。適切な染料を選定し、照度レベルを事前設定された手順を使用して較正し、パラメーターを保存し、すべてのスライドに適用した。得られたディジタル画像は、全組織切片を表す。切片を画質について評価した。すべての得られた画像を、その後、専用のプロジェクトフォルダーに置き、指定されたローカルサーバー上に保管した。スライドの選択された領域をAperio Imagescope(12版 Aperio Technologies Inc.社)を使用して選択した。分析のために、スライドを検視し、全組織領域を選択し、ウェブベースのイメージスコープ(Image Scope)ビューアを使用して分析した。スライドを、オイルレッドo染色のための「Color Deconvolution v9」アルゴリズム(11版 Aperio Technologies Inc.社)を使用して定量化した。アルゴリズムを、事前設定された手順を使用して最適化し、強力な赤色陽性油滴シグナルのノイズに対する比を最大化し、その後のマクロを保存し、すべてのスライドに適用した。
【0103】
器官試料におけるHNF4α免疫染色。試料をマウスから回収し、4%パラホルムアルデヒド中で固定し、パラフィン又はO.C.T.凍結培地(Sakura Finetek社;Torrance、CA)中に包埋した。5μm厚さのスライドをPBSで4回洗浄し、PBS中の0.3% Triton(商標)で10分間処置した。抗原賦活化を、CitriSolv(商標)(Fisher Scientific社;Waltham、MA)を用いて、10分間、サブボイリング温度で実施した。PBSで10分間洗浄した後、スライドを、5%正常ロバ血清(Jackson Immuno Research;West Grove、PA)を伴うブロッキング溶液中で、60分、室温でインキュベートした。細胞を4%パラホルムアルデヒド中で15分間、4℃で固定し、PBSで洗浄し、PBS中の0.3% Triton(商標)で、10分間処置し、スライド試料について前に記載したように遮断した。
【0104】
一次抗体。HNF4α抗体を使用した(#sc-6556、Santa Cruz Biotechnology社;Santa Cruz、CA及び#3113、Cell Signaling Technology社;Danvers、MA)。蛍光イメージングのために、試料をALEXA FLOUR(登録商標)488緑色蛍光色素又はローダミンで標識した抗マウス、ウサギ又はヤギとともにインキュベートし、核をDAPI(4',6-ジアミジノ-2-フェニルインドール)で対比染色した。二次抗体単独を使用した対照を、免疫染色の特異性を保証するために使用した。蛍光標識した切片を、従来の倒立顕微鏡(Olympus社、PlanFl 40x/0.60)又はクリプトン/アルゴンレーザーを備えた共焦点顕微鏡で分析した。
【0105】
バイオアベイラビリティの決定。雄C57BL/6マウスに、N-trans-カフェオイルチラミン又はN-trans-フェルロイルチラミンを、静脈注射、腹腔内又は経口経路(各経路について3匹のマウス)により投与した(Table 2(表2))。
【0106】
【表2】
【0107】
各マウスからの血液試料を、投与後、0.25、0.5、1、2、4、6及び24時間で採血した。血液の8μLの分割量を、分析のために使用した。ACN中に100ng/mLラベタロール、100ng/mLデキサメタゾン、100ng/mLトリブタミド、100ng/mLベラパミル、100ng/mLグリブリド、及び100ng/mLセレコキシブを含む200μLの内部標準を添加した後、混合物を渦流混合し、12000rpmで15分間、4℃で遠心分離し、沈殿したタンパク質を小球形にした。4μLの上清を、LC-MS/MS分析のために注入した。バイオアベイラビリティ(%)を、AUC0-inf(% AUCExtra<20%)又はAUC0-last(% AUCExtra>20%)を使用して、名目用量で算出した。
【0108】
pH安定性評価。個別のストック溶液を、DMSO中に、10mg/mLの濃度で調製した。4つの異なる緩衝溶液を調製して、pHが2、7.4、8.5及び10の溶液を達成した。各pHアッセイについて、5μLのストック溶液を、2mL管に245μLの緩衝溶液に添加して、ボルテックスし、37℃の水浴中でインキュベートした。各時点で、50μLの分割量を取り、中和し、DAD検出器を使用して、280nmでHPLC分析により分析した。280nmでのピーク領域の倍率変化を、最初及び最後の時点、それぞれ0.5及び72時間について、分析した。
【実施例0109】
化合物のHNF4αアゴニストとしての活性についての評価
HNF4αのヒトにおける健康代謝を維持する役割を考慮して、試験化合物を、HNF4αアゴニストとしての活性(直接又は間接的効果のいずれか)についてスクリーニングした。周知のインスリンプロモーターレポーターアッセイを使用して、Kiselyuk及び同業者ら(2010年. J. Biomol. Screen 15巻(6号):663~70頁)は、化合物のライブラリーを、インスリン活性化を促進する活性についてスクリーニングした。彼らは、インスリン活性化因子として化合物1を特定し(Kiselyukら(2012年)Chem. Biol. 19巻(7号):806~18頁)、化合物は、その後、オルニチントランスカルバモイラーゼ(OTC)プロモーターアッセイにおいて、HNF4αアゴニスト活性を有することが示された。OTCプロモーターは、一過性トランスフェクションアッセイにおいてHNF4αに反応することが周知である(Inoueら(2002年)J. Biol. Chem. 277巻:25257~65頁)。
【0110】
この合成剤(化合物1)と同様の生物活性を有する植物化合物を特定するために、バイオインフォマティクス的手段を取り、すべての周知の植物化合物のセットから、所望のHNF4αアゴニスト活性を有する標的となるサブセットを予測した。訓練データ(すなわち、陽性データ)と組み合わせたいくつかのアルゴリズムを使用して、所望の生物学的活性を予測する、陽性データの重要な特性についてのモデルを構築した。より具体的には、HNF4α活性に影響を与える周知の能力を有する18の合成化合物(例えば、化合物1)のセットを、陽性データセットに含めた。これらの構造を使用して、類似の構造的特性を有する化学的構造について植物化合物のデータベースを探索した。いくつかのメトリックスを使用して、グラフ理論及び情報理論の分野の単独又は組合せのいずれかからの概念に基づく類似性を測定した。
【0111】
18の標的の構造と上位10パーセンタイルの類似性がある植物化合物を選択し、それらの化学構造特性を考慮して、HNF4α活性の潜在的なアゴニストであると予測された化合物を、HNF4αアッセイにおいてスクリーニングした。スクリーニングの結果により、HNF4α調節剤として作用することが可能な、植物のチラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミド類のクラス(すなわち、N-trans-カフェオイルチラミン、N-cis-カフェオイルチラミン、N-trans-フェルロイルチラミン、p-クマロイルチラミン)が特定された。とりわけ、N-trans-カフェオイルチラミンは、HNF4αの活性化においてアルベリンよりも概ね一桁強力であると決定された(図1)。両方のフェニル環のヒドロキシル誘導体化に起因して、N-trans-カフェオイルチラミンは親油性が低く、したがって、より生物学的に利用可能であることが予期される。全体として、増大した効能及び予期される強化されたバイオアベイラビリティは、N-trans-カフェオイルチラミン及び他のチラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミド類が、本明細書において記載される方法における使用のためにより所望される化合物であると予期されるであろうことを示す。
【0112】
これらの化合物がHNF4α活性を直接調節することを実証するために、二次的な実験を実施した。特に、N-trans-カフェオイルチラミン及びN-trans-フェルロイルチラミンの存在下で、インスリン(図2)及びHNF4α(図3)遺伝子発現が上方制御される(例えば、定量PCR分析により決定される場合)ことが実証された。加えて、p-クマロイルチラミンも、インスリン及びHNF4α遺伝子発現を上方制御するが、cis-フェルロイルチラミン、N-クマロイルドーパミン、N-trans-フェルロイルオクトパミン及びp-クマロイルオクトパミンは不活性であることが分かった。更に、インスリンプロモーターアッセイを使用して、インスリン発現におけるN-trans-カフェオイルチラミン媒介性の増大は、周知のHNF4αアンタゴニストであるBI-6015により阻害される(図4)。加えて、N-trans-カフェオイルチラミン及びN-trans-フェルロイルチラミンは、エストロゲン様活性を示さなかったことが示された(図5)。
【0113】
ヒト、ラット及びマウスの肝ミクロソームを使用して、インビトロの薬学は、N-trans-カフェオイルチラミンは安定であり、ヒトにおけるより高い生物活性は、マウス肝ミクロソームと比較した、ヒト細胞におけるN-trans-カフェオイルチラミンのより長い半減期に原因がありうることを示した(Table 3(表3))。ヒトミクロソームについて、明らかな主な体内変化経路は、左方のアリール環の酸化であった。
【0114】
【表3】
【0115】
N-trans-カフェオイルチラミン(20μM)又はN-trans-フェルロイルチラミン(20μM)で処置したHepG2肝細胞の分析は、脂肪についてのオイルレッドO染色により証拠付けられるように、これらの化合物が有害な脂肪を肝臓から取り除き、更に0.25mMパルミチン酸で処置したHepG2肝細胞における脂肪の蓄積を阻害することが可能であることを示した。同様の脂肪蓄積の阻害は、0.25mMパルミチン酸及び10μM N-trans-カフェオイルチラミン、10μM N-trans-フェルロイルチラミン又は10μM p-クマロイルチラミンで処置したT6PNE細胞において観察された。N-trans-カフェオイルチラミンは、化合物投与の前にパルミチン酸を添加したときに、脂質蓄積を減少させた(図6)。
【0116】
本発明の化合物の有益効果を実証するアッセイの実施に加えて、最初の安全性/毒性アッセイを実施した。これらの分析の収集した結果を、Table 4(表4)に表す。
【0117】
【表4】
【実施例0118】
食事誘導性肥満マウスにおける有効性
本発明の化合物のインビトロの有効性を実証することに加えて、実験をインビボでヒト疾患の動物モデル、すなわち食事誘導性肥満マウスにおいて実施した。実験を実施して、給餌及び処置計画、投薬及び投与計画を確立し、N-trans-カフェオイルチラミンのグルコース及び脂質恒常性、脂肪肝、β細胞機能及び肝細胞機能に対する有益効果の証拠を提示した。12匹のマウス(10週齢)に高脂肪食を4週間与え、肥満を誘導した。4週間後、及び高脂肪食である間、6匹のマウスに、5% DMSO又は120mg/kg N-trans-カフェオイルチラミンを、1日2回、腹腔内に、14日間投与した。DMSO又はN-trans-カフェオイルチラミンの最後の腹腔内注入の1時間後、動物を屠殺し、血液及び器官(肝臓、腎臓、腸及び膵臓)試料を収集した。器官試料を、組織学的、RNA、トリグリセリド及びタンパク質分析に供した。とりわけ、本試験におけるマウスは、検査された用量のいずれにおいても、いかなる毒性作用も示さなかった。処置を受けたマウスは、対照群と一貫した、活性、注意力、毛づくろい及び食欲のレベルを示した。処置されたマウスのうち、対照群と比較して、体重減少、疾病又は異常行動を示したものはいなかった。
【0119】
結果は、N-trans-カフェオイルチラミン処置が、脂質蓄積を低減させ、肝臓中のHNF4α発現(P=0.0042)、特にHNF4αの核発現を有意に増大させたことを示した(図7)。免疫染色の結果は、N-trans-カフェオイルチラミンがHNF4α活性を増大させたことを示した。加えて、肝臓中の脂肪滴径は、N-trans-カフェオイルチラミン処置動物において減少した(図8)。加えて、アルカリホスファターゼ(図9)及びトリグリセリド(図10)のレベルは、N-trans-カフェオイルチラミンで処置したマウスにおいて有意に減少した。肝脂肪及び滴径の減少、及びアルカリホスファターゼの低減は、HNF4α活性増大の有益効果を実証する。アルカリホスファターゼ及びトリグリセリドレベルはヒトにおける血液検査の一環であることが多く、上昇したレベルは、肝機能の不良、肥満及びメタボリックシンドロームの指標であることを考慮すると、アルカリホスファターゼ及びトリグリセリドレベルは、本発明の化合物を投与したヒトにおけるチラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミド類の効果を評価するために有用なマーカーを提供するであろう。膵臓では、HNF4α発現は、DMSO対照マウスと比較して、N-trans-カフェオイルチラミンで処置された動物において増大した(図11)。同様に、N-trans-カフェオイルチラミンを投与すると、腸におけるHNF4α発現は増大した(図12)。
【0120】
これらのインビボデータは、HNF4α発現と肝脂肪レベルの間の相関を実証した。加えて、結果は、N-trans-カフェオイルチラミンがインビボでHNF4α活性を増大させ、脂質、トリグリセリド、アルカリホスファターゼ及びHNF4αレベルに対する有益効果をもたらすことを示した。
【実施例0121】
化合物関連毒性の評価
本発明の化合物の利益とリスクを比較考量する必要を考慮して、実験動物(例えば、マウス、ラット、イヌ)におけるインビボの毒性試験が典型的に実施される。このような試験は、規制の目的で信頼性及び再現性を保証するために、Good Laboratory Practice(GLP)規則に従って、典型的に実施される。化合物をヒトにおいて数週間から数ヶ月間から数年間の期間投与する場合、典型的に慢性毒性試験(6ヶ月から1年の期間の試験)が実施される。食品中に使用される化合物については、経口毒性試験が推奨される。
【0122】
慢性毒性試験の目的は、試験化合物の毒性学的プロファイルを決定することである。検査の最初のフェーズでは、試験はラットにおいて実施される。各々がおよそ5~7週齢且つ80~100gの間の重量である合計160匹のSprague Dawleyラット(雄80匹及び雌80匹)を、無作為に選択し、各群の平均体重が著しく異ならないように、重量により処置群に割り当てた。試験化合物又は抽出物を、1日あたり0.5、1及び2g/kg体重の用量レベルで、ラットに、連続した180日の期間、経口投与する。動物を、毎日、何らかの毒性の臨床徴候(例えば、行動の変化、皮膚及び毛皮の外観、摂食及び飲水等)並びに死亡率について観察する。実験の終了時、動物を、標準的な毒性学的方法を用いて、血液学的、生化学的及び病理組織学的評価に供する。
【実施例0123】
チラミン含有ヒドロキシケイ皮酸アミド類の植物供給源からの単離
エタノール抽出物を、種々の植物種及びそれらの植物組織から調製した。個別の化合物を、抽出物中、乾燥植物粉末材料を95%水性エタノールを用いて抽出することにより特定した。エタノール抽出物を濃縮し、セライト上に吸着させ、C18固相抽出カラム上に乾式充填した(dry-loaded)。抽出物を2カラム体積の水で洗浄し、水を収集し廃棄することにより脱塩した。化合物を2カラム体積のメタノールに溶出し、抽出物を濃縮して乾燥させた。分析の前に、抽出物を、1:1アセトニトリル:水中に再懸濁した。分析の前に、周知の濃度の合成標準を使用し、較正曲線を作成した。分析に使用した供給源の一覧を、以下のTable 5(表5)中に表す。植物を、各化合物について降順に、最も高い量の化合物を生産する植物を一覧の最も上に、最も低い生産体を一覧の最も下に、表示する。
【0124】
【表5A】
【0125】
【表5B】
【0126】
ある特定のエタノール抽出物(抽出物の%、w/w)中に存在する、N-trans-カフェオイルチラミン、N-transフェルロイルチラミン及びp-クマロイルチラミンの量を決定した。化合物の定量化は、結果をエタノール抽出物の重量で正規化することにより実施した。これらの分析の結果を、図13に表す。
【実施例0127】
試験化合物のNAFLDの動物モデルにおける有効性
食事誘導性肥満マウスモデルのように、NAFLDにおける化合物の利益を調査するための他の十分に確立された動物モデルがある。
【0128】
動物及び食事。成体雄Sprague-Dawleyラット(250~300グラム)を入手する。カスタム調製した食事には、対照、高脂肪のみ、及び試験化合物又は抽出物を含有する高脂肪食が挙げられる。対照の食事は、脂肪からの総カロリーの12%がトウモロコシ油からのものであり、脂肪の大半がリノール酸である、低脂肪食とする。高脂肪(HF)食は、総カロリーの60%を豚脂として、並びに2%をトウモロコシ油として含有し、食事はオレイン酸及び飽和脂肪酸のパルミチン酸及びステアリン酸に富む。このような高脂肪食は、ラットにおいてNAFLDを誘導するために、以前使用された(Carmiel-Haggaiら(2005年)FASEB J. 19巻:136~138頁)。4群の各々に7匹のラットを無作為化し、食事を4週間与える。群I:対照食;群II:HF食、群III:HF+0.5% 化合物/抽出物食;群IV:HF+l% 化合物/抽出物。ラットを12時間の昼/夜サイクルに置き、自由摂食及び飲水を提供する。4週間の終了時、ラットを16~18時間絶食させ、麻酔し、血液及び肝試料を生化学的及び組織学的分析のために収集する。
【0129】
血清及び肝トリグリセリド及びコレステロール。血清トリグリセリド及び総コレステロールを、市販のアッセイキット(例えば、Wako Diagnostics社;Richmond、VA)で測定する。総脂質を、クロロホルム-メタノール混合物(2:1)で肝試料から抽出し(約0.25g)、0.73%塩化ナトリウム溶液で洗浄する。有機及び水性相を、2000rpmで10分間の遠心分離により分離する。総脂質を含有する有機相を窒素下で完全に乾燥させ、脂質抽出物をイソプロパノール中に再構成する。脂質抽出物の分割量を使用して、トリグリセリド及び総コレステロールを、アッセイキット(例えば、Wako Diagnostics社からの)を使用して測定する。
【0130】
血清及び肝チオバルビツール酸反応性物質(TBARS)の測定。血清及び肝TBARSを、脂質過酸化生成物の指標として測定する。
【0131】
肝組織学。肝試料を、10%ホルマリン中で固定し、パラフィン中に包埋する。切片(5μm)をヘマトキシリン及びエオシンで染色し、実験群及び状態について盲検化される病理学者により評価する。切片を、脂肪変性を評価するために半定量化に供する。
【0132】
統計的分析。データを、平均+ S.Eとして表す。群についての統計的分析は、両側スチューデントのt検定を使用して行われ、p<0.05は、統計的に有意であると考えられる。
【実施例0133】
T2DMを有する対象におけるNASHの処置における、試験化合物の安全性及び有効性の評価
試験の目的は、T2DM及びNASHを患う対象において、プラセボと比較して、本発明の試験化合物又は抽出物が肝臓の健康及び肝脂肪量を改善することができるかどうか評価することとする。試験には、血清アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)レベルの評価、及び(MRI誘導性プロトン密度脂肪率又はMRI-PDFFにより測定する場合)試験化合物又は抽出物が、肝脂肪量を減少させることにおいてプラセボ処置よりも有効であるかどうかを決定することも含まれる。血清ALTレベル及び肝脂肪量の、試験化合物又は抽出物処置とプラセボ処置との比較が、NASH及びT2DMを有する成体対象において、24週(又は最後のベースライン後の観察)に実行される。
【0134】
試験の副次目的は、プラセボ処置と比較した、本発明の試験化合物又は抽出物の、肝臓の健康に対する効果を評価することとする。モニタリングされる評価項目には、24週の処置後の血清ASTレベル;24週後の糖化ヘモグロビン(HbA1c)レベル;フィブロスキャンを用いる一過性エラストグラフィーを使用して測定した、肝線維症のレベルが含まれる。一緒に考慮すると、結果は、プラセボ処置と比較した、試験化合物及び抽出物処置の安全性及び忍容性の評価を可能とする。
【0135】
更に、いくつかの探索的目的は、試験デザイン中に含まれる。例えば、試験化合物又は抽出物の対象の免疫プロファイルに対する効果は、1)高感度C反応性タンパク質(hsCRP)及び赤血球沈降速度(ESR)のベースラインからの変化;2)腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)の血清レベルのベースラインからの変化;トランスフォーミング増殖因子(TGF)ベータ;3)インターロイキン(IL)-2、-4、-6、-10、及び-12のレベルのベースラインからの変化;4)インターフェロン(IFN)ガンマのレベルのベースラインからの変化;並びに5)分化抗原群3(CD3)、CD4、CD8、CD25、CD40、CD56、CD69、CD127、フォークヘッドボックスP3(FOXP3+)、IL17、及びレチノイン酸関連オーファン受容体-γt(RORγt)等の免疫学的マーカーのベースラインからの変化を測定する蛍光活性化セルソーティング(FACS)分析に基づいて評価することができる。更に別の探索的目的は、試験化合物又は抽出物の、血中炎症マーカー(TNF-α、線維芽細胞増殖因子19(FGF-19))、肝線維症又は細胞死マーカー(サイトケラチン-18(CK-18)、可溶性Fas(sFas))、並びにヒドロキシエイコサテトラエン酸(HETE)、ヒドロキシオクタデカジエン酸(HODE)、オキソエイコサテトラエン酸(oxoETE)、オキソオクタデカジエン酸(oxoODE)及びox-非アルコール性脂肪性肝炎(oxNASH)等の酸化ストレスマーカーに対する効果を評価することとする。更に、試験は、インスリンを測定するためのインスリン抵抗性の恒常性モデルアセスメント(HOMA IR)を使用して試験化合物又は抽出物の効果を評価し;試験化合物又は抽出物の血清脂質プロファイル(トリグリセリド、高密度リポタンパク質(HDL)、低密度リポタンパク質(LDL)、及び総コレステロール)に対する効果を評価し;試験化合物又は抽出物のGLP1及びアディポネクチンに対する効果を評価する。
【0136】
安全性又は忍容性評価項目を、試験化合物又は抽出物での24週間の処置後に評価する。評価項目には、任意の報告された有害事象の数及び重症度;ベースラインから試験完了までの、理学的検査所見、臨床検査値評価(血清化学、血液学及び尿検査)及び12誘導心電図(ECG);並びにプロトコールの完了前に試験を中止した対象の数の評価が挙げられる。安全性の臨床検査の結果を、試験中の以下の時点、1日及び3日並びに1、2、3、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22及び24週(又は早期の中止)で収集し測定する。
【0137】
合計80例のT2DM及びNASH対象を2群に無作為化し、1つの群はプラセボを1日1回受け(n=40)、1つの群は試験化合物又は抽出物の用量80mgを、1日1回受ける(n=40)。
【0138】
試験化合物又は抽出物を1日あたり80mgの用量で投与するが、用量は対象の忍容性に基づいて調整してもよく、又は忍容性にかかわらず、試験の期間中固定した量に設定してもよい。
【実施例0139】
肥満の対象におけるNASHの処置における、試験化合物の安全性及び有効性の評価
試験を実施例7の方法に従って実行するが、対象の組み入れ基準に、対象が、T2DMの代わりに≧30のBMIを有すると定義される肥満であるという要件を含むことのみが異なる。
【実施例0140】
T2DMを有する対象におけるNAFLDの処置における、試験化合物の安全性及び有効性の評価
この試験の目的は、24週間の処置後に核磁気共鳴画像法由来プロトン密度脂肪率(magnetic resonance imaging-derived proton density fat fraction(MRI-PDFF))を評価することにより、T2DM及びNAFLDの両方を患う対象において、プラセボと比較して、試験化合物又は抽出物が、肝脂肪量及び肝臓の健康を改善することができるかどうかを決定することである。
【0141】
この試験の副次目的は、1)血清ALTレベルを24週間の処置後に評価することにより、プラセボ処置と比較した、試験化合物又は抽出物処置の肝臓の健康に対する効果を評価すること;2)血清ASTレベルを24週間の処置後に評価することにより、プラセボ処置と比較した、試験化合物又は抽出物処置の肝臓の健康に対する効果を評価すること;3)試験化合物又は抽出物処置の糖化ヘモグロビン(HbA1c)に対する効果を評価すること;4)フィブロスキャンを用いる一過性エラストグラフィーを使用して測定した、試験化合物又は抽出物処置の肝線維症に対する効果を評価すること;及び5)プラセボ処置と比較した、試験化合物又は抽出物処置の全体の安全性及び忍容性を評価することとする。この試験の探索的目的には、実施例7に列挙されたものが挙げられる。
【0142】
合計80例のT2DM及びNAFLD対象を2群に無作為化し、実施例7に記載したように、1つの群はプラセボを1日1回受け(n=40)、1つの群は試験化合物又は抽出物の用量80mgを、1日1回受ける(n=40)。対象を、-28日と-2日の間の来診1でスクリーニングする。スクリーニング時、対象は、肝脂肪量を定量的に測定するための腹部MRIを含む、組み入れ/除外基準に合うことを保証することを意図したスクリーニング手順を受ける。スクリーニング評価の結果に基づいて組み入れ/除外基準に合う対象は、試験センターに-1日に戻り、ベースライン評価を受ける(来診2)。ベースラインの来診で、組み入れ/除外基準の確認を実施し、ベースラインの検査値、理学的検査所見、及びECG結果の評価も実施する。
【0143】
対象は、NAFLDの診断を確認する、脂肪変性、小葉内炎症、肝細胞の風船化、及び線維症の度合いを記録及び評価した、認証された組織学的報告書を有することを求められる。
【0144】
24週の来診18(又は早期の終了)で、すべての対象は、MRIによる肝脂肪イメージング及び臨床検査安全性評価を含む、処置終了評価を受ける。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2023-12-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書及び図面に記載の消費可能な組成物。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの担体、
タイマ殻由来N-trans-カフェオイルチラミン、及び
タイマ殻由来N-transフェルロイルチラミン
を含む経口消費可能な組成物であって、
粉末又は顆粒の形態である、経口組成物
【請求項2】
タイマ殻由来N-trans-カフェオイルチラミン又はタイマ殻由来N-transフェルロイルチラミンが、薬学的に許容可能な塩の形態である、請求項1に記載の経口消費可能な組成物。
【請求項3】
栄養補助食品、食品成分、食品添加物、医療食、栄養補強食品又は薬学的組成物を含む群より選択される適切な形態である、請求項1又は2に記載の経口消費可能な組成物。
【請求項4】
バター、マーガリン、甘い又は香ばしいスプレッド、調味料、ビスケット、健康バー、パン、ケーキ、シリアル、キャンディ、菓子類、スープ、乳、ヨーグルト又は発酵乳製品、チーズ、ジュースベースの飲料、野菜ベースの飲料、発酵飲料、シェーク、フレーバーウォーター、茶、又は油を含む群より選択される、請求項3に記載の経口消費可能な組成物。
【請求項5】
単位剤形であり、1日あたり100mg未満の投与のために設定されている、請求項3に記載の経口消費可能な組成物。
【請求項6】
10から60mg/日の間の前記化合物が提供される、請求項1に記載の経口消費可能な組成物。
【請求項7】
少なくとも一つの保存剤、及び活性成分をさらに含む、請求項1に記載の経口消費可能な組成物。
【請求項8】
タイマ殻由来N-trans-カフェオイルチラミン又はタイマ殻由来N-transフェルロイルチラミンが、エタノール抽出物の形態である、請求項1に記載の経口消費可能な組成物。
【請求項9】
p-クマロイルチラミンをさらに含む、請求項1に記載の経口消費可能な組成物。
【請求項10】
前記経口消費可能な組成物のpHが2から7.4の間である、請求項1に記載の経口消費可能な組成物。
【請求項11】
前記栄養補助食品、食品成分、食品添加物、医療食、栄養補強食品又は薬学的組成物のpHが2から7.4の間である、請求項3に記載の経口消費可能な組成物。
【請求項12】
前記担体が、糖、デンプン、セルロース及びその誘導体、ワックス、油及びエステルからなる群より選択される、請求項1又は2に記載の経口消費可能な組成物。
【請求項13】
前記セルロース及びその誘導体が、カルボキシメチルセルロース又はメチルセルロースである、請求項12に記載の経口消費可能な組成物。
【請求項14】
HNF4α活性、インスリン様成長因子レベル、血糖レベル、インスリンレベル、Cペプチドレベル、トリグリセリドレベル、遊離脂肪酸レベル、血中尿酸レベル、微量アルブミン尿レベル、グルコース輸送体発現、アディポネクチンレベル、総血清コレステロールレベル、高密度リポタンパク質レベル、低密度リポタンパク質レベル又はそれらの組合せを改善する有効量で提供される、請求項1に記載の消費可能な組成物。
【請求項15】
代謝、肝機能、空腹時血糖レベル、食後血糖レベル、糖化ヘモグロビンHbA1c、体重、インスリン感受性、血清脂質プロファイル、又はそれらの組合せを改善する有効量で提供される、請求項1に記載の消費可能な組成物。
【外国語明細書】