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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024023821
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】媒体送り装置、記録装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 7/00 20060101AFI20240214BHJP
   B65H 85/00 20060101ALI20240214BHJP
   B65H 11/00 20060101ALI20240214BHJP
   B65H 5/06 20060101ALI20240214BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
B65H7/00
B65H85/00
B65H11/00 H
B65H5/06 J
B41J2/01 303
B41J2/01 305
B41J2/01 451
B41J2/01 401
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023217094
(22)【出願日】2023-12-22
(62)【分割の表示】P 2019231080の分割
【原出願日】2019-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 博樹
(74)【代理人】
【識別番号】100130535
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 明
(74)【代理人】
【識別番号】100183025
【弁理士】
【氏名又は名称】大角 孝一
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 恵亮
(72)【発明者】
【氏名】田中 太賀之
(72)【発明者】
【氏名】品川 洋輝
(57)【要約】
【課題】給送異常の原因が記録用紙のセットミスであるのか或いは給送開始後のジャムであるかの区別がつかない場合、適切なアラートをユーザーに対して発することができず、ユーザーの利便性を損なう。
【解決手段】媒体送り装置は、媒体を送る媒体送り経路に設けられ、モーターの動力を得て正転方向に回転することにより媒体を下流へ送る送りローラーと、媒体送り経路に設けられ、送りローラーとの間で媒体をニップして回転するニップローラーと、モーターを制御する制御部と、を備え、制御部は、モーターの駆動負荷に応じて変動する変動値の上昇に基づき、モーターを制御して送りローラーによる媒体送り動作を開始する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を送る媒体送り経路に設けられ、モーターの動力を得て正転方向に回転することにより媒体を下流へ送る送りローラーと、
前記媒体送り経路に設けられ、前記送りローラーとの間で媒体をニップして回転するニップローラーと、
前記媒体送り経路において前記送りローラーの下流に設けられ、媒体先端の通過を検出する通過検出部と、
前記モーターを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記モーターの駆動負荷に応じて変動する変動値の上昇に基づき、前記モーターを制御して媒体の先端を前記通過検出部より下流の位置に送る処理を実行する、
ことを特徴とする媒体送り装置。
【請求項2】
請求項1に記載の媒体送り装置において、前記媒体送り経路において前記送りローラーの上流に、媒体の通過を検出する媒体検出部を備え、
前記制御部は、前記媒体検出部により媒体先端の通過を検出してから、予め定められた時間が経過しても前記変動値の上昇を検出しない場合、媒体の挿入を促すアラートを発する、
ことを特徴とする媒体送り装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の媒体送り装置において、
前記制御部は、前記変動値の上昇を検出した場合、所定時間内に前記通過検出部により媒体先端を検出するか否かを判断し、前記所定時間内に前記通過検出部により媒体先端を検出しない場合、アラートを発する、
ことを特徴とする媒体送り装置。
【請求項4】
媒体を送る媒体送り経路に設けられ、モーターの動力を得て正転方向に回転することにより媒体を下流へ送る送りローラーと、
前記媒体送り経路に設けられ、前記送りローラーとの間で媒体をニップして回転するニップローラーと、
前記媒体送り経路において前記送りローラーの上流に位置し、媒体の通過を検出する媒体検出部と、
前記モーターを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記媒体検出部により媒体先端の通過を検出すると、前記モーターを制御して前記送りローラーを前記正転方向とは反対の逆転方向に回転させ、
前記送りローラーを前記逆転方向に回転させた状態で前記モーターの駆動負荷に応じて変動する変動値の上昇を検出すると、前記モーターの駆動方向を切り換えて前記送りローラーによる媒体送り動作を開始する、
ことを特徴とする媒体送り装置。
【請求項5】
請求項4に記載の媒体送り装置において、前記送りローラーを前記逆転方向に回転させる際の回転速度は、前記媒体送り動作において前記送りローラーを前記正転方向に回転させる際の回転速度より低速である、
ことを特徴とする媒体送り装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の媒体送り装置において、前記制御部は、前記変動値の上昇を検出すると、報知音を発する、
ことを特徴とする媒体送り装置。
【請求項7】
媒体に記録を行う記録ヘッドと、
前記記録ヘッドと対向する領域に向けて媒体を送る、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の前記媒体送り装置と、
を備えた記録装置。
【請求項8】
請求項7に記載の記録装置において、前記記録ヘッドと対向する位置に媒体を支持する媒体支持部を備えるとともに、前記制御部の制御のもと、前記媒体支持部と前記記録ヘッドとの間隔を調整可能に構成され、
前記制御部は、前記変動値の上昇を検出すると、前記媒体支持部と前記記録ヘッドとの間隔を拡げる、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項9】
請求項7に記載の記録装置において、前記媒体送り経路が、上流から下流に向かって、前記記録ヘッドを備える装置本体の背面から前面に向けて水平に延びる直線状の経路であり、
前記媒体送り経路の一部を利用し、媒体の面を反転させる反転経路と、
前記記録ヘッドを備える装置本体に対して着脱可能であり、前記装置本体に装着されることで前記反転経路の一部を形成し、前記装置本体から取り外されることで前記反転経路の一部を露呈させる反転ユニットと、を備え、
前記反転ユニットを前記装置本体から取り外すことで前記媒体送り経路が利用可能となる、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項10】
請求項9に記載の記録装置において、前記記録ヘッドと対向する位置に媒体を支持する媒体支持部を備えるとともに、前記制御部の制御のもと、前記媒体支持部と前記記録ヘッドとの間隔を調整可能に構成され、
前記装置本体に対する前記反転ユニットの装着状態を検出するユニット検出部を備え、
前記制御部は、前記ユニット検出部により前記反転ユニットの前記装置本体からの取り外しを検出すると、前記媒体支持部と前記記録ヘッドとの間隔を拡げる、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項11】
請求項8または請求項10に記載の記録装置において、前記制御部は、前記記録ヘッドによる記録動作の開始前に、前記変動値に応じて前記媒体支持部と前記記録ヘッドとの間隔を調整する、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項12】
請求項7に記載の記録装置において、前記媒体送り経路を搬送される媒体を第1の媒体として、第2の媒体を収容する媒体カセット及び前記媒体カセットから前記第2の媒体を送り出すピックローラーを備え、
前記媒体送り経路には、前記媒体カセットから前記第2の媒体を給送する給送経路が合流し、
前記第1の媒体が前記媒体送り経路に供給される場合、前記第1の媒体は前記送りローラーと前記ニップローラーとで最初にニップされ、前記送りローラーと前記ニップローラーとで搬送され、
前記第2の媒体が前記給送経路を介して給送される場合、前記第2の媒体は前記ピックローラーによって給送された後に前記送りローラーと前記ニップローラーとでニップされ、前記送りローラーと前記ニップローラーとで搬送される、
ことを特徴とする記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体を送る媒体送り装置、及びこれを備えた記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ファクシミリやプリンターに代表される記録装置では、媒体の一例である記録用紙を装置内に手差し給送可能に構成されるものがある。また従来、この様な手差し給送が可能な記録装置では、特許文献1に示される様に手差しトレイに記録用紙がセットされたことを検知する検知手段を設け、手差しトレイに記録用紙がセットされたことを検知すると、手差し給送モードに移行する様に構成されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平05-162871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の様な仕組みを持つ記録装置では、ユーザーによりセットされた記録用紙の先端が検知手段による検知位置まで到達したものの用紙送りローラーまでは到達していない状態で、ユーザーが記録用紙から手を離してしまう場合がある。従来の記録装置では、この様な場合であっても記録用紙が正しくセットされたと判断し、給送動作を開始してしまう。
そうすると、用紙送りローラーより更に下流の検知手段が所定時間、用紙先端を検知しないことをもって給送異常と判定することとなる。その結果記録装置は、給送異常の原因が記録用紙のセットミスであるのか或いは給送開始後のジャムであるかの区別がつかず、適切なアラートをユーザーに対して発することができず、ユーザーの利便性を損なう場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための、本発明の媒体送り装置は、媒体を送る媒体送り経路に設けられ、モーターの動力を得て正転方向に回転することにより媒体を下流へ送る送りローラーと、前記媒体送り経路に設けられ、前記送りローラーとの間で媒体をニップして回転するニップローラーと、前記モーターを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記モーターの駆動負荷に応じて変動する変動値の上昇に基づき、前記モーターを制御して前記送りローラーによる媒体送り動作を開始することを特徴とする。
また上記課題を解決するための、本発明の記録装置は、媒体に記録を行う記録ヘッドと、前記記録ヘッドと対向する領域に向けて媒体を送る前記媒体送り装置とを備えたことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明に係るプリンターを前方から見た斜視図。
図2】本発明に係るプリンターの媒体送り経路の全体を示す図。
図3】本発明に係るプリンターを後方から見た斜視図。
図4】本発明に係るプリンターの媒体送り経路の一部を示す図。
図5】本発明に係るプリンターの制御系統を示すブロック図。
図6】搬送モーターの駆動電流値の波形例を示す図。
図7】制御部が行う第1制御例を示すフローチャート。
図8】制御部が行う第2制御例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を概略的に説明する。
第1の態様に係る媒体送り装置は、媒体を送る媒体送り経路に設けられ、モーターの動力を得て正転方向に回転することにより媒体を下流へ送る送りローラーと、前記媒体送り経路に設けられ、前記送りローラーとの間で媒体をニップして回転するニップローラーと、前記モーターを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記モーターの駆動負荷に応じて変動する変動値の上昇に基づき、前記モーターを制御して前記送りローラーによる媒体送り動作を開始することを特徴とする。
【0008】
前記送りローラーと前記ニップローラーとの間に媒体の先端が入り込むと、前記モーターの駆動負荷に応じて変動する変動値が変化し、これにより前記送りローラーと前記ニップローラーとの間に媒体の先端が入り込んだことを検知できる。本態様はこの性質を利用するものであり、前記制御部は、前記モーターの駆動負荷に応じて変動する変動値の上昇に基づき、前記モーターを制御して前記送りローラーによる媒体送り動作を開始するので、媒体のセットミスが生じた状態で給送動作を開始してしまうことを抑制できる。その結果、給送動作開始後に給送異常が生じた際に、適切なアラートをユーザーに対して発することができ、ユーザーの利便性を向上させることができる。
【0009】
第2の態様は、第1の態様において、前記制御部は、前記変動値の上昇を検出すると、報知音を発することを特徴とする。
本態様によれば、前記制御部は、前記変動値の上昇を検出すると、報知音を発するので、ユーザーは前記報知音によって媒体が前記送りローラーと前記ニップローラーとでニップされたことを知ることができ、利便性が向上する。
【0010】
第3の態様は、第1のまたは第2の態様において、前記媒体送り経路において前記送りローラーの上流に、媒体の通過を検出する媒体検出部を備え、前記制御部は、前記媒体検出部により媒体先端の通過を検出すると、前記モーターを制御して前記送りローラーを前記正転方向とは反対の逆転方向に回転させ、前記送りローラーを前記逆転方向に回転させた状態で前記変動値の上昇を検出すると、前記モーターの駆動方向を切り換えて前記媒体送り動作を開始することを特徴とする。
【0011】
本態様によれば、前記制御部は、前記媒体検出部により媒体先端の通過を検出すると、前記モーターを制御して前記送りローラーを前記正転方向とは反対の逆転方向に回転させるので、前記送りローラーと前記ニップローラーとの間に媒体の先端が入り込もうとする際の、前記変動値の変化が顕著となる。これにより、媒体の先端が前記送りローラーと前記ニップローラーとの間に達したことをより確実に検知できる。
【0012】
第4の態様は、第3の態様において、前記送りローラーを前記逆転方向に回転させる際の回転速度は、前記媒体送り動作において前記送りローラーを前記正転方向に回転させる際の回転速度より低速であることを特徴とする。
本態様によれば、前記送りローラーを前記逆転方向に回転させる際の回転速度は、前記媒体送り動作において前記送りローラーを前記正転方向に回転させる際の回転速度より低速であるので、前記送りローラーと前記ニップローラーとの間に媒体の先端が入り込む際の、媒体先端へのダメージ付与を抑制できる。
【0013】
第5の態様は、第1のまたは第2の態様において、前記媒体送り経路において前記送りローラーの上流に、媒体の通過を検出する媒体検出部を備え、前記制御部は、前記媒体検出部により媒体先端の通過を検出してから、予め定められた時間が経過しても前記変動値の上昇を検出しない場合、媒体の挿入を促すアラートを発することを特徴とする。
【0014】
本態様によれば、前記制御部は、前記媒体検出部により媒体先端の通過を検出してから、予め定められた時間が経過しても前記変動値の上昇を検出しない場合、媒体の挿入を促すアラートを発するので、ユーザーに対して適切な処置を促すことができ、ひいてはユーザーの利便性が向上する。
【0015】
第6の態様は、媒体に記録を行う記録ヘッドと、前記記録ヘッドと対向する領域に向けて媒体を送る、第1から第5の態様のいずれかに係る前記媒体送り装置とを備えたことを特徴とする。
本態様によれば、記録装置において、上述した第1から第5の態様のいずれかの作用効果が得られる。
【0016】
第7の態様は、第6の態様において、前記記録ヘッドと対向する位置に媒体を支持する媒体支持部を備えるとともに、前記制御部の制御のもと、前記媒体支持部と前記記録ヘッドとの間隔を調整可能に構成され、前記制御部は、前記変動値の上昇を検出すると、前記媒体支持部と前記記録ヘッドとの間隔を拡げることを特徴とする。
本態様によれば、前記制御部は、前記変動値の上昇を検出すると、前記媒体支持部と前記記録ヘッドとの間隔を拡げるので、媒体を給送した際に、厚みの厚い媒体と前記記録ヘッドとの擦れを回避でき、また、前記記録ヘッドの破損も回避できる。
【0017】
第8の態様は、第6の態様において、前記媒体送り経路が、上流から下流に向かって、前記記録ヘッドを備える装置本体の背面から前面に向けて水平に延びる直線状の経路であり、前記媒体送り経路の一部を利用し、媒体の面を反転させる反転経路と、前記記録ヘッドを備える装置本体に対して着脱可能であり、前記装置本体に装着されることで前記反転経路の一部を形成し、前記装置本体から取り外されることで前記反転経路の一部を露呈させる反転ユニットと、を備え、前記反転ユニットを前記装置本体から取り外すことで前記媒体送り経路が利用可能となることを特徴とする。
【0018】
第9の態様は、第8の態様において、前記記録ヘッドと対向する位置に媒体を支持する媒体支持部を備えるとともに、前記制御部の制御のもと、前記媒体支持部と前記記録ヘッドとの間隔を調整可能に構成され、前記装置本体に対する前記反転ユニットの装着状態を検出するユニット検出部を備え、前記制御部は、前記ユニット検出部により前記反転ユニットの前記装置本体からの取り外しを検出すると、前記媒体支持部と前記記録ヘッドとの間隔を拡げることを特徴とする。
【0019】
本態様によれば、前記制御部は、前記ユニット検出部により前記反転ユニットの前記装置本体からの取り外しを検出すると、前記媒体支持部と前記記録ヘッドとの間隔を拡げるので、媒体を給送した際に、厚みの厚い媒体と前記記録ヘッドとの擦れを回避できる。
【0020】
第10の態様は、第7のまたは第9の態様において、前記制御部は、前記記録ヘッドによる記録動作の開始前に、前記変動値に応じて前記媒体支持部と前記記録ヘッドとの間隔を調整することを特徴とする。
媒体の厚みが厚いほど、前記変動値の変動が大きくなる為、前記変動値に基づいて媒体の厚みを把握することができる。本態様ではこの様な性質に基づき、前記制御部は、前記記録ヘッドによる記録動作の開始前に、前記変動値に応じて前記媒体支持部と前記記録ヘッドとの間隔を調整するので、適切な記録品質を得ることができる。
【0021】
以下、本発明を具体的に説明する。
以下では記録装置の一例としてインクジェットプリンター1について説明する。以下、インクジェットプリンター1を単にプリンター1という。
尚、各図において示すX-Y-Z座標系は、X軸方向が記録ヘッド17(図2参照)の移動方向であり、記録が行われる媒体の幅方向となる。またX軸方向は、装置幅方向となる。プリンター1と対面して+X方向が左方向となり、-X方向が右方向となる。
Y軸方向は装置奥行方向であり、記録時の媒体送り方向に沿う方向である。+Y方向は装置背面から前面に向かう方向であり、-Y方向は装置前面から背面に向かう方向である。本実施形態ではプリンター1の周囲を構成する側面のうち、操作パネル6が設けられた側面が装置前面となる。
Z軸方向は鉛直方向に沿う方向であり、装置高さ方向である。+Z方向が鉛直上方向であり、-Z方向が鉛直下方向である。
尚、以下では媒体が送られていく方向を「下流」と称し、その逆方向を「上流」と称する場合がある。
【0022】
先ず、プリンター1の全体構成について概説する。図1においてプリンター1は、媒体にインクジェット記録を行う装置本体2の上部にスキャナーユニット3を備えており、即ちインクジェット記録機能に加えて原稿読み取り機能を備える複合機として構成されている。
スキャナーユニット3は、装置本体2に対して回動可能に設けられており、回動することにより、図1に示す閉じた状態と不図示の開いた状態とをとり得る。
スキャナーユニット3は、不図示の原稿台を開閉する原稿カバー5を備えている。
装置本体2は、装置前面に、各種操作設定を行う操作部や、印刷設定内容や印刷画像のプレビュー表示などを行う表示部を備えて成る操作パネル6を備えている。
【0023】
装置前面には前面カバー4が設けられており、この前面カバー4を開くことで、図1では不図示であって図2に示されている媒体カセット10、媒体排出口9、媒体受けトレイ21などが露呈する。
装置後方上面には上面カバー8が設けられており、この上面カバー8を開くことで、図1では不図示であって図2に示されている傾斜支持部12が露呈する。
【0024】
続いて、図2図4を参照しつつプリンター1の媒体送り経路について説明する。プリンター1は、図2に示す様に装置底部の媒体カセット10からの媒体送り経路T1、装置後方上部からの媒体送り経路T2、装置背面からの媒体送り経路T3(図4参照)、記録が行われた媒体を再び反転ローラー20に向けて送る媒体送り経路T4、のこれら4つの媒体送り経路を有している。各媒体送り経路は、経路形成部材によって形成されているが、詳細についての説明は省略する。
【0025】
媒体送り経路T1では、媒体は媒体カセット10から、ピックローラー11によって送り出され、反転ローラー20によって反転させられ、送りローラー対15に向けて送られる。図2において符号Sは、媒体カセット10にセットされた媒体を示している。
媒体送り経路T2では、傾斜支持部12によって傾斜姿勢に支持された媒体が、給送ローラー13によって送りローラー対15に向けて送られる。
媒体送り経路T3は、装置背面から前面に向けて手差しで媒体を送り込む為の経路であり、後に詳しく説明するが、本明細書では媒体送り経路T3を、後述するアダプター23(図4参照)から、媒体受けトレイ21までの経路とする。媒体送り経路T3は、ほぼ直線状の経路であり、本実施形態では水平方向に沿って延びる経路である。
【0026】
媒体の一例としては記録用紙などの可撓性を有するシート材や、光ディスクなどの撓み難い板状体が挙げられる。このうち光ディスクなどの撓み難い板状体は、媒体送り経路T3を利用して給送する。また光ディスクなどのサイズの小さく、また形状が方形ではない媒体は、専用のトレイにセットした状態で媒体送り経路T3に給送する。
【0027】
媒体を記録ヘッド17と対向する位置へ送る送りローラー対15は、図5に示す様に送りローラー15aと、ニップローラー15bとを備えて成る。送りローラー15aは、後述する搬送モーター53から動力を受け、媒体を下流に送る正転方向(図2図5において反時計回り方向)及び媒体を上流に送る逆転方向(図2図5において時計回り方向)のいずれかに回転できる。送りローラー15aは、本実施形態では金属軸体の表面に高摩擦層を備えて形成されている。
【0028】
ニップローラー15bは、送りローラー15aに対して進退可能に設けられるとともに、不図示のばねによって送りローラー15aに向けて押圧されており、送りローラー15aとの間で媒体をニップして従動回転する。ニップローラー15bは、図示は省略するが送りローラー15aの軸線方向に沿って適宜の間隔を空けて複数設けられている。ニップローラー15bは、低摩擦材料により形成され、本実施形態ではPOM(Polyoxymethylene)により形成されている。
送りローラー15aとニップローラー15bは、媒体送り装置14を構成する。
【0029】
図2に戻り、送りローラー対15の下流には、記録ヘッド17と、媒体支持部18とが対向配置されている。媒体支持部18は、媒体を支持することにより、記録ヘッド17と媒体との間のギャップを規定する。
記録ヘッド17が設けられたキャリッジ16は、媒体幅方向に往復動可能に設けられているとともに、制御部50(図5参照)により制御されるキャリッジモーター51(図5参照)から動力を得て、X軸方向に移動する。
尚、キャリッジ16は、制御部50(図5参照)のもとで制御される調整機構49(図5参照)によりZ軸方向に変位可能となっており、この調整機構49により、記録ヘッド17と媒体支持部18の間隔が調整可能となっている。調整機構49は、例えば不図示のモーターとカム機構によって構成することができる。
【0030】
記録ヘッド17及び媒体支持部18の下流には、排出ローラー対19が設けられており、記録の行われた媒体は、排出ローラー対19によって装置外に向けて排出され、媒体受けトレイ21によって支持される。
尚、媒体の両面に記録する場合には、媒体の第1面を記録ヘッド17で記録した後、媒体を-Y方向にバックフィードして媒体送り経路T4に送り込み、反転ローラー20によって反転させる。これにより、媒体の第2面に記録を行うことが可能となる。
【0031】
次に、媒体送り経路T3について図3及び図4を参照して説明する。装置本体2の背面には、反転ユニット24が装置本体2に対して着脱可能に設けられている。反転ユニット24は反転ローラー20を含んでおり、図3の上の図から下の図への変化で示す様に反転ユニット24を装置本体2から取り外すことで、図3の下の図で示す様に装置本体2の背面に開口部2aが形成され、装置本体2の内部でジャムが生じた場合に詰まった媒体を除去することができる。
また反転ユニット24を装置本体2から取り外すことで、図4の上の図で示す様に媒体送り経路T3が露呈し、媒体送り経路T3が利用可能となる。
【0032】
反転ユニット24の上部には、図2で示す様にアダプター23が設けられている。アダプター23は、反転ユニット24に対して着脱可能であり、反転ユニット24を装置本体2から取り外すことで、反転ユニット24に対して着脱できる。反転ユニット24から取り外したアダプター23は、図4の下の図で示す様に装置本体2において反転ユニット24が装着されていた領域に装着することができる。装着されたアダプター23により、媒体送り経路T3を送られる媒体Sが支持される。
【0033】
続いて図5を参照しつつプリンター1における制御系統について説明する。
制御部50は、媒体の給送、搬送、排出及び記録を含め、その他プリンター1の各種制御を行う。制御部50は、媒体送り装置14の構成要素でもある。制御部50には操作パネル6からの信号が入力され、また、操作パネル6の表示、特にユーザーインターフェース(UI)を実現する為の信号が制御部50から操作パネル6に送信される。
【0034】
制御部50は、キャリッジモーター51、給送モーター52、搬送モーター53、のこれら媒体送り動作及び記録動作に係わるモーターを制御する。本実施形態では各モーターはDCモーターである。搬送モーター53は、媒体送り装置14を構成する。
制御部50には、位置検出部57、回転検出部58、第1媒体検出部59、第2媒体検出部60、ユニット検出部61、のこれら検出部からの検出信号も入力される。
位置検出部57はリニアエンコーダーであり、キャリッジ16のX軸方向における位置を検出する為の検出部である。回転検出部58はロータリーエンコーダーであり、送りローラー15aの回転量及び回転速度を検出する為の検出部である。
ユニット検出部61は、反転ユニット24(図3参照)が装着されているか否かを検出する為の検出部である。ユニット検出部61は、接触式或いは非接触式のセンサーで構成することができる。
【0035】
第1媒体検出部59は送りローラー対15の上流近傍に設けられ、媒体の先端及び後端の通過を検出する為の検出部である。第2媒体検出部60はキャリッジ16において媒体と対向する位置に設けられ、媒体の幅方向端部位置の検出に利用され、また場合により媒体の先端や後端の通過検出に利用される。第2媒体検出部60は、非接触式のセンサーで構成することができ、第1媒体検出部59は、接触式或いは非接触式のセンサーで構成することができる。
本実施形態において第1媒体検出部59、第2媒体検出部60、およびユニット検出部61は、媒体送り装置14を構成する。
【0036】
制御部50は、CPU54、フラッシュROM55、及びRAM56を備えている。CPU54はフラッシュROM55に格納されたプログラムに従って各種演算処理を行い、プリンター1全体の動作を制御する。記憶手段の一例であるフラッシュROM55は読み出し及び書き込みが可能な不揮発性メモリである。また操作パネル6を介してユーザーが入力した各種設定情報も、フラッシュROM55に記憶される。記憶手段の一例であるRAM56には、一時的に各種情報が格納される。
また制御部50はインターフェース57を備えており、このインターフェース57を介して外部コンピューター90との通信が可能となっている。
【0037】
続いて図5及び図6以降を参照し、媒体送り経路T3に媒体を手差しで給送する際に制御部50が実行する制御について説明する。以下では媒体を媒体Sと称し、媒体Sの先端を先端Sfと称する。
制御部50は、搬送モーター53の駆動負荷に応じて変動する変動値と、この変動値に対する閾値と、を参照して、送りローラー対15に媒体Sの先端Sfが入り込んだことを検出することができる。変動値としては、一例として搬送モーター53の駆動電流値を用いることができる。
【0038】
図6は、搬送モーター53の駆動電流値の波形Lの一例を示しており、縦軸が駆動電流値Hであり、横軸が時間tである。波形Lで示す様に、送りローラー対15に媒体Sの先端Sfが入り込むと、搬送モーター53の駆動電流値Hが一時的に上昇する。
従って閾値Hs1を設定することにより、送りローラー対15に媒体Sの先端Sfが入り込んだことを検出することができる。また閾値Hs2を設定すれば、入り込んだ媒体Sの厚みが所定の厚みを超えたか否かを検出することができる。閾値Hs1、Hs2等の予め定められた値は、フラッシュROM55(図5)に保持されている。
【0039】
図7は、制御部50が行う第1制御例である。図7において制御部50は、搬送モーター53の駆動電流値Hが、閾値Hs1を超えたか否かを判断し(ステップS101)、超えた場合には(ステップS101においてYes)、報知音を発出させる(ステップS102)。この報知音は、例えば「ピッ」という様な短いビープ音とすることができる。これによりユーザーは、媒体Sの先端Sfが送りローラー対15にニップされたことを知ることができる。報知音は、操作パネル6(図1参照)に設けられた不図示のスピーカーから発することができる。
【0040】
次いで制御部50は、所定時間待機し(ステップS103)、その後、搬送モーター53即ち送りローラー15aを所定量正転させて媒体Sを印刷開始位置に位置決めする(ステップS104)。
尚、制御部50は所定時間内に第2媒体検出部60により媒体Sの先端Sfを検出しない場合(ステップS105においてNo)、アラートを操作パネル6に発出させる。この場合のアラートは、例えば「用紙が詰まりました。詰まった用紙を取り除いて下さい。」等のエラーメッセージとすることができる。
【0041】
次に図8は、制御部50が行う第2制御例である。第2制御例では、送りローラー対15の上流に設けられた第1媒体検出部59を利用する。
まず、制御部50は第1媒体検出部59により媒体Sの先端Sfを検出すると(ステップS201においてYes)、搬送モーター53の駆動電流値Hが、閾値Hs1を超えたか否かを判断する(ステップS202)。搬送モーター53の駆動電流値Hが、閾値Hs1を超えていない場合(ステップS202においてNo)、第1媒体検出部59により媒体Sの先端Sfを検出してからの経過時間が予め定められた第1設定時間を経過しているか否かを判断する(ステップS207)。その結果、前記経過時間が第1設定時間を経過している場合には(ステップS207においてYes)、第1アラートを操作パネル6に発出させる。この場合の第1アラートは、例えば「用紙が正しくセットされていません。用紙をセットし直してください。」等のエラーメッセージとすることができる。
【0042】
次いで搬送モーター53の駆動電流値Hが、閾値Hs1を超えた場合には(ステップS202においてYes)、報知音を発出させる(ステップS203)。この報知音は、図7のステップS102における報知音と同様である。
次いで制御部50は、所定時間待機し(ステップS204)、その後、搬送モーター53即ち送りローラー15aを所定量正転させて媒体Sを印刷開始位置に位置決めする(ステップS205)。
尚、制御部50は第2設定時間内に第2媒体検出部60により媒体Sの先端Sfを検出しない場合(ステップS206においてNo)、第2アラートを操作パネル6に発出させる。この場合のアラートは、例えば「用紙が詰まりました。詰まった用紙を取り除いて下さい。」等のエラーメッセージとすることができる。
【0043】
尚、制御部50は搬送モーター53の駆動負荷に応じて変動する駆動電流値Hの測定に際し、例えばプリンター1の電源投入時に、搬送モーター53に作用する回転負荷と駆動電流値Hとの関係を測定するメジャーメント処理を行う。
媒体Sを搬送していない待機状態で搬送モーター53を回転させた際の駆動電流値を基準値H0とすると、基準値H0はプリンター1の個体差、プリンター1の使用環境、経年劣化等の種々の要因により変動する。例えば、装置の経年劣化により基準値H0が上がると、基準値H0と閾値Hs1との差が小さくなり、送りローラー15に媒体Sの先端Sfが入り込んだか否かを検出するに際して、誤検出を招く恐れがある。
このため制御部50は、前記メジャーメント処理を行うことにより基準値H0を求め、基準値H0に基づいて閾値Hs1を調整することが好ましい。前記メジャーメント処理は、上述の様にプリンター1の電源投入時のほか、記録ジョブ毎に行うこともでき、或いは、前回のメジャーメント処理から一定期間を超えた際に行うこともできる。
【0044】
以上の様に媒体送り装置14は、媒体Sを送る媒体送り経路T3に設けられ、搬送モーター53の動力を得て正転方向に回転することにより媒体Sを下流へ送る送りローラー15aを備え、制御部50は、搬送モーター53の駆動負荷に応じて変動する変動値の一例である駆動電流値Hの上昇に基づき、搬送モーター53を制御して送りローラー15aによる媒体送り動作を開始する。
これにより、媒体Sのセットミスが生じた状態で給送動作を開始してしまうことを抑制できる。その結果、媒体Sの給送動作開始後に給送異常が生じた際に、適切なアラートをユーザーに対して発することができ、ユーザーの利便性を向上させることができる。
【0045】
また制御部50は、搬送モーター53の駆動電流値Hの上昇を検出すると、報知音を発する。これによりユーザーは報知音によって媒体Sが送りローラー対15によりニップされたことを知ることができ、利便性が向上する。
【0046】
尚、図8の第2制御例において、制御部50は第1媒体検出部59により媒体Sの先端Sfを検出した場合(ステップS201においてYes)、搬送モーター53すなわち送りローラー15aを逆転させ、その逆転を継続しながら搬送モーター53の駆動電流値Hが閾値Hs1を超えるか否かを監視しても良い。これにより、駆動電流値Hの上昇が顕著となり、媒体Sの先端Sfが送りローラー対15にニップされたことをより確実に検知できる。
【0047】
また送りローラー15aを逆転方向に回転させる際の回転速度は、送りローラー15aを正転方向に回転させて媒体Sを給送する際の回転速度より低速であることが好適である。それにより、媒体Sの先端Sfが送りローラー対15に入り込む際の、先端Sfへのダメージ付与を抑制できる。
【0048】
また上記第2制御例では、制御部50は、第1媒体検出部59により媒体Sの先端Sfの通過を検出してから、予め定められた時間が経過しても駆動電流値Hの上昇を検出しない場合(図8のステップS207においてYes)、媒体Sの挿入を促す第1アラートを発する。これにより、ユーザーに対して適切な処置を促すことができ、ひいてはユーザーの利便性が向上する。
【0049】
また制御部50は、上記第1制御例および第2制御例において、駆動電流値Hの上昇を検出した際、調整機構49により、媒体支持部18と記録ヘッド17との間隔を拡げることが好適である。これにより、厚みの厚い媒体Sを給送した際に、媒体Sと記録ヘッド17との擦れを回避でき、また記録ヘッド17の破損も回避できる。
尚、媒体支持部18と記録ヘッド17との間隔を拡げる場合、最大間隔まで拡げても良いし、最大間隔までは達しないものの予め定められた安全が見込める間隔まで拡げても良い。
【0050】
またこれに代えて、制御部50は、ユニット検出部61により反転ユニット24(図3参照)の装置本体2からの取り外しを検出した際に、媒体支持部18と記録ヘッド17との間隔を拡げることもできる。この場合も上記と同様に、媒体支持部18と記録ヘッド17との間隔を最大間隔まで拡げても良いし、最大間隔までは達しないものの予め定められた安全が見込める間隔まで拡げても良い。
【0051】
また制御部50は、記録ヘッド17による記録動作の開始前に、駆動電流値Hに応じて媒体支持部18と記録ヘッド17との間隔を調整することもできる。図6を参照して説明したように、媒体Sの厚みに応じて駆動電流値Hの上昇量が異なるので、例えば媒体支持部18と記録ヘッド17との間隔を最大間隔まで拡げた後、駆動電流値Hに基づいて媒体支持部18と記録ヘッド17との間隔を媒体Sの厚みに適合する様に小さくする。これにより、適切な記録品質を得ることができる。
【0052】
また制御部50は、駆動電流値Hに基づいて把握した媒体Sの厚みに応じて、記録品質を調整しても良い。例えばドライバ情報から得られた媒体Sの種類が光沢紙であっても、駆動電流値Hに基づいて把握した媒体Sの厚みが普通紙相当である場合には、記録品質を普通紙に適合する様に調整しても良い。またその逆にドライバ情報から得られた媒体Sの種類が普通紙であっても、駆動電流値Hに基づいて把握した媒体Sの厚みが光沢紙相当である場合には、記録品質を光沢紙に適合する様に調整しても良い。ドライバ情報から得られた媒体Sの種類と、駆動電流値Hに基づいて把握した媒体Sの厚みとが適合しない場合には、記録品質の調整に代えて、その旨のアラートを操作パネル6に表示しても良い。
【0053】
本発明は上記において説明した実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0054】
1…インクジェットプリンター、2…装置本体、2a…開口部、3…スキャナー部、4…前面カバー、5…原稿カバー、6…操作パネル、8…上部カバー、9…媒体排出口、10…媒体カセット、11…ピックローラー、12…傾斜支持部、13…給送ローラー、14…媒体送り装置、15…送りローラー対、15a…送りローラー、15b…ニップローラー、16…キャリッジ、17…記録ヘッド、18…媒体支持部、19…排出ローラー対、20…反転ローラー、21…媒体受けトレイ、23…アダプター、24…反転ユニット、50…制御部、51…キャリッジモーター、52…給送モーター、53…搬送モーター、54…CPU、55…フラッシュROM、56…RAM、57…位置検出部、58…回転検出部、59…第1媒体検出部、60…第2媒体検出部、61…ユニット検出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2024-01-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体に記録を行う記録ヘッドと、
前記記録ヘッドと対向する位置で媒体を支持する媒体支持部と、
前記記録ヘッドと前記媒体支持部との間隔を調整する調整機構と、
前記記録ヘッドと対向する領域に向けて媒体を送る媒体送り装置と、
を備え、
前記媒体送り装置は、
媒体を送る媒体送り経路に設けられ、モーターの動力を得て正転方向に回転することにより媒体を下流へ送る送りローラーと、
前記媒体送り経路に設けられ、前記送りローラーとの間で媒体をニップして回転するニップローラーと
記モーターを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記モーターの駆動負荷に応じて変動する変動値に応じ、前記記録ヘッドによる記録動作の開始前に、前記調整機構を制御して前記間隔を調整する、
ことを特徴とする記録装置
【請求項2】
請求項1に記載の記録装置において、
前記制御部は、前記変動値が上昇した場合、前記間隔を最大間隔まで拡げた後、前記変動値に基づいて前記間隔を媒体の厚みに適合する様に小さくする、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の記録装置において、
前記媒体送り経路において前記送りローラーの下流に、媒体先端の通過を検出する通過検出部を備え、
前記制御部は、前記変動値の上昇に基づき、前記モーターを制御して媒体の先端を前記通過検出部より下流の位置に送る処理を実行する、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項4】
請求項3に記載の記録装置において、
前記媒体送り経路において前記送りローラーの上流に、媒体の通過を検出する媒体検出部を備え、
前記制御部は、前記媒体検出部により媒体先端の通過を検出すると、前記モーターを制御して前記送りローラーを前記正転方向とは反対の逆転方向に回転させ、
前記送りローラーを前記逆転方向に回転させた状態で前記変動値の上昇を検出すると、
前記モーターの駆動方向を切り換えて前記媒体送り動作を開始する、
ことを特徴とする記録装置
【請求項5】
請求項4に記載の記録装置において、
前記送りローラーを前記逆転方向に回転させる際の回転速度は、前記媒体送り動作において前記送りローラーを前記正転方向に回転させる際の回転速度より低速である、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項6】
請求項に記載の記録装置において、
前記媒体送り経路において前記送りローラーの上流に、媒体の通過を検出する媒体検出部を備え、
前記制御部は、前記媒体検出部により媒体先端の通過を検出してから、予め定められた時間が経過しても前記変動値の上昇を検出しない場合、媒体の挿入を促すアラートを発する、
ことを特徴とする記録装置
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の記録装置において、
前記変動値は、前記モーターの駆動電流値であり、
前記制御部は、前記駆動電流値に基づき媒体の厚みを把握し、前記厚みに基づき媒体の種類を把握し、前記種類に応じて記録品質を調整する、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項8】
請求項7に記載の記録装置において、
表示部を有する操作パネルを備え、
前記制御部は、ドライバー情報から取得した媒体の種類と、前記駆動電流値から把握した媒体の種類と、が適合しない場合には、前記適合しない旨のアラートを前記表示部に表示する、
ことを特徴とする記録装置。