(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024023833
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】熱変色性筆記具
(51)【国際特許分類】
B43K 29/02 20060101AFI20240214BHJP
B43K 24/08 20060101ALI20240214BHJP
B43K 24/06 20060101ALI20240214BHJP
B43K 24/10 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
B43K29/02 F
B43K24/08 150
B43K24/06
B43K29/02 D
B43K24/10
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023217601
(22)【出願日】2023-12-25
(62)【分割の表示】P 2022091298の分割
【原出願日】2022-06-06
(31)【優先権主張番号】P 2007046226
(32)【優先日】2007-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2007190261
(32)【優先日】2007-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2008005267
(32)【優先日】2008-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000111890
【氏名又は名称】パイロットインキ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】303022891
【氏名又は名称】株式会社パイロットコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】今村 善典
(72)【発明者】
【氏名】関根 伸雄
(72)【発明者】
【氏名】安藤 正史
(57)【要約】
【課題】熱変色性筆跡を容易に摩擦変色することができるとともに、片手しか使用できない場合でも、迅速に筆記可能状態(ペン先突出状態)または保管状態(ペン先没入状態)にすることができる、熱変色性インキを内蔵した熱変色性筆記具を提供する。
【解決手段】熱変色性インキを内蔵した熱変色性筆記具であって、内部に熱変色性インキを収容する筆記体8と、内部に筆記体8を前後方向に移動可能に収容する軸筒2と、筆記体8を軸筒2の後方に付勢する弾発体7と、筆記体8のペン先81を軸筒2の前端孔31から出没させるための操作部5と、熱変色性インキの筆跡を摩擦し、その際に生じる摩擦熱で該筆跡を熱変色させることが可能な摩擦部4と、を備え、摩擦部4は、筆跡を摩擦したときに消しゴムよりも摩耗屑が生じない低摩耗性の弾性材料からなり、摩擦部4を軸筒2の前端部に設け、操作部5を軸筒2の前端部以外の部位に設けた構成としてある。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱変色性インキを内蔵した熱変色性筆記具であって、軸筒内に筆記体を前後方向に移動可能に収容し、軸筒の外面に操作部を設け、前記操作部を操作することにより前記筆記体のペン先を軸筒の前端孔から出没可能に構成し、前記筆記体の内部に熱変色性インキを収容し、前記筆記体の前端に前記熱変色性インキが吐出可能なペン先を設け、前記軸筒の外面に、前記熱変色性インキの筆跡を摩擦しその際に生じる摩擦熱で該筆跡を熱変色可能な摩擦部を設けたことを特徴とする熱変色性筆記具。
【請求項2】
前記摩擦部を軸筒の前端に設け、ペン先没入状態において、摩擦部前端がペン先前端より前方に位置し、ペン先突出状態において、ペン先前端が摩擦部前端より前方に位置する請求項1記載の熱変色性筆記具。
【請求項3】
前記前端孔を有する軸筒のペン先支持部が硬質材料よりなり、前記軸筒のペン先支持部の前端外面に軟質材料よりなる摩擦部を設けた請求項2記載の熱変色性筆記具。
【請求項4】
前記摩擦部と前記筆記体とが非接触状態に維持される請求項2記載の熱変色性筆記具。
【請求項5】
前記摩擦部の前端外周縁が凸曲面または傾斜面からなる請求項2記載の熱変色性筆記具。
【請求項6】
前記摩擦部の外面とペン先突出状態のペン先前端とに接する接線と、軸線とのなす角度を10度~60度の範囲に設定した請求項2記載の熱変色性筆記具。
【請求項7】
前記摩擦部を環状に設ける請求項2記載の熱変色性筆記具。
【請求項8】
前記操作部を軸筒の後端部に設け、前記操作部を前方に押圧操作することによりペン先没入状態からペン先突出状態にする出没機構を備える請求項2記載の熱変色性筆記具。
【請求項9】
前記操作部を軸筒の側壁より径方向外方に突出させ、前記操作部を前方に押圧操作することによりペン先没入状態からペン先突出状態にする出没機構を備える請求項2記載の熱変色性筆記具。
【請求項10】
前記操作部を軸筒の側壁より径方向外方に突出させ、前記操作部を径方向内方に押圧操作することによりペン先没入状態からペン先突出状態にする出没機構を備える請求項2記載の熱変色性筆記具。
【請求項11】
軸筒の後部に操作部を設け、前記操作部を軸筒の前部に対して回転操作することによりペン先を出没させる出没機構を備える請求項2記載の熱変色性筆記具。
【請求項12】
前記摩擦部を軸筒の後端に設けた請求項1記載の熱変色性筆記具。
【請求項13】
軸筒の後端部に操作部を設け、前記操作部を軸筒の前部に対して前方に押圧操作することによりペン先没入状態からペン先突出状態にする出没機構を備え、前記操作部の後端外面に摩擦部を設け、前記操作部の外周面に、前記摩擦部を用いて摩擦する際に把持可能な把持部を設けた請求項12記載の熱変色性筆記具。
【請求項14】
軸筒の後部に操作部を設け、前記操作部を軸筒の前部に対して回転操作することによりペン先没入状態からペン先突出状態にする出没機構を備え、前記操作部の後端外面に摩擦部を設け、前記操作部の外周面に、前記摩擦部を用いて摩擦する際に把持可能な把持部を設けた請求項12記載の熱変色性筆記具。
【請求項15】
前記操作部を軸筒の側壁より径方向外方に突出させ、前記操作部を前方に押圧操作することによりペン先没入状態からペン先突出状態にする出没機構を備える請求項12記載の熱変色性筆記具。
【請求項16】
前記操作部を軸筒の側壁より径方向外方に突出させ、前記操作部を径方向内方に押圧操作することによりペン先没入状態からペン先突出状態にする出没機構を備える請求項12記載の熱変色性筆記具。
【請求項17】
摩擦部操作部を軸筒の外面に設け、前記摩擦部操作部を操作することにより、摩擦部を軸筒の後端から出没可能に構成した請求項12記載の熱変色性筆記具。
【請求項18】
前記摩擦部を、軸筒の前端及び軸筒の後端に設け、ペン先没入状態において、前記軸筒の前端に設けた摩擦部の前端が、ペン先前端より前方に位置し、ペン先突出状態において、ペン先前端が、前記軸筒の前端に設けた摩擦部の前端より前方に位置する請求項1記載の熱変色性筆記具。
【請求項19】
軸筒内に、複数本の筆記体を前後方向に移動可能に収容し、前記複数本の筆記体の各々のペン先を軸筒の前端孔から択一的に出没可能に構成し、前記各々の筆記体のペン先から吐出される熱変色性インキによる筆跡を、前記軸筒外面に設けた摩擦部によって摩擦し、その際に生じる摩擦熱で前記筆跡の各々が熱変色可能である請求項1記載の熱変色性筆記具。
【請求項20】
軸筒内に、複数本の筆記体を前後方向に移動可能に収容し、前記複数本の筆記体の各々のペン先を軸筒の前端孔から択一的に出没可能に構成し、前記軸筒の前端部に着脱自在のキャップを設け、前記キャップを軸筒の前端部に装着したとき、前記キャップが軸筒の前端孔を密閉してなり、前記各々の筆記体のペン先から吐出される熱変色性インキによる筆跡を、前記軸筒外面に設けた摩擦部によって摩擦し、その際に生じる摩擦熱で前記筆跡の各々が熱変色可能である請求項1記載の熱変色性筆記具。
【請求項21】
軸筒内に、各々の筆記体の外面と密接摺動するシール部を設け、キャップを軸筒の前端部に装着したとき、前記シール部とキャップとの間で各々の筆記体のペン先を密封してなる請求項20記載の熱変色性筆記具。
【請求項22】
前記筆記体の各々を後方に付勢する弾発体を軸筒内に収容し、前記弾発体の各々の後端を支持する弾発体支持部を軸筒内に設け、前記弾発体支持部に前記シール部を備えるシール体を固定してなる請求項21記載の熱変色性筆記具。
【請求項23】
前記各々の筆記体の内部に収容された熱変色性インキの発色状態の色が互いに異なる請求項19記載の熱変色性筆記具。
【請求項24】
前記各々の筆記体の内部に収容された熱変色性インキの、摩擦部の摩擦熱による変色温度を25℃~95℃に設定した請求項19記載の熱変色性筆記具。
【請求項25】
前記キャップの外面に、前記熱変色性インキの筆跡を摩擦しその際に生じる摩擦熱で該筆跡を熱変色可能な摩擦部を設けた請求項20記載の熱変色性筆記具。
【請求項26】
前記軸筒の前端部に着脱自在のキャップを設け、前記キャップを軸筒の前端部に装着したとき、前記キャップが軸筒の前端孔を密閉してなる請求項1記載の熱変色性筆記具。
【請求項27】
前記キャップの外面に、前記熱変色性インキの筆跡を摩擦しその際に生じる摩擦熱で該筆跡を熱変色可能な摩擦部を設けた請求項26記載の熱変色性筆記具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱変色性筆記具に関する。詳細には、熱変色性インキを内蔵した熱変色性筆記具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、熱変色性インキを内蔵した熱変色性筆記具において、特許文献1には、熱変色性インキによる筆跡を摩擦熱で熱変色させるための摩擦体を、キャップの頂部に設ける構成や、軸胴の後端に設ける構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】日本特開2004-148744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来の熱変色性筆記具は、キャップ式であるため、キャップの着脱動作を両手で行なう必要があり、片手しか使用できない場合、迅速に筆記可能状態または保管状態にすることが困難である。また、前記従来の熱変色性筆記具は、摩擦体を軸胴の後端に設ける構成の場合、筆記後、筆跡を摩擦変色する際に、軸胴の把持箇所をペン先側から後端側に反転させ、軸胴を大きく持ち替える必要あり、迅速に摩擦変色作業に移行できない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、前記従来の問題点を解決するものであって、熱変色性筆跡を容易に摩擦変色することができるとともに、片手しか使用できない場合でも、迅速に筆記可能状態(ペン先突出状態)または保管状態(ペン先没入状態)にすることができる、熱変色性インキを内蔵した熱変色性筆記具を提供しようとするものである。尚、本発明で、「前」とは、ペン先側を指し、「後」とは、その反対側を指す。尚、本発明で、「ペン先没入状態」とは、ペン先が軸筒内に没入した状態をいい、「ペン先突出状態」とは、ペン先が軸筒の前端より外部に突出した状態をいう。
【0006】
[1]本願の第1の発明は、熱変色性インキを内蔵した熱変色性筆記具であって、軸筒2内に筆記体8を前後方向に移動可能に収容し、軸筒2の外面に操作部5を設け、前記操作部5を操作することにより前記筆記体8のペン先81を軸筒2の前端孔31から出没可能に構成し、前記筆記体8の内部に熱変色性インキ83を収容し、前記筆記体8の前端に前記熱変色性インキ83が吐出可能なペン先81を設け、前記軸筒2の外面に、前記熱変色性インキ83の筆跡を摩擦しその際に生じる摩擦熱で該筆跡を熱変色可能な摩擦部4を設けたことを要件とする。
【0007】
前記第1の発明の熱変色性筆記具1は、操作部5の操作によって筆記体8のペン先81を軸筒2の前端孔31から出没可能に構成したことにより、片手で迅速に筆記可能状態(ペン先突出状態)または保管状態(ペン先没入状態)にすることができる。さらに、前記第1の発明は、軸筒2の外面に摩擦部4を設けたことにより、軸筒2を片手に把持した状態のまま、熱変色性インキ83による筆跡を容易に摩擦変色させることができる。尚、前記第1の発明において、前記摩擦部4は、軸筒2の外面(即ち熱変色性筆記具1の外面)の少なくとも一部に設けられればよく、前記摩擦部4の設ける箇所は、例えば、軸筒2の前端部外面、軸筒2の後端部外面、軸筒2の側壁外面、軸筒2の外面より突出するクリップの外面、またはペン先81を出没作動させるために軸筒2の外面より突出する操作部5の外面等が挙げられる。尚、本発明は、少なくとも1本の筆記体8が軸筒2内に前後方向に移動可能に収容される構成であればよく、例えば、1本の筆記体8が軸筒2内に前後方向に移動可能に収容される構成、または複数本の筆記体8が軸筒2内に前後方向に移動可能に収容される構成が挙げられる。
【0008】
前記第1の発明の熱変色性筆記具1において、前記軸筒2内には、操作部5の操作によりペン先81を出没させる出没機構が設けられる。前記操作部5は、軸筒2の後端や軸筒2の側壁に設けられる。前記操作部5は、熱変色性筆記具1を片手で把持した状態で、その把持した手によって、操作可能である。本発明の出没機構は、前記操作部5を軸筒2の後端部に設け、前記操作部5を、筆記体8の後方付勢に抗して前方に押圧操作することにより、ペン先没入状態からペン先突出状態にする構成(いわゆる後端ノック式)が好ましい。しかし、本発明の出没機構は、これ以外にも、前記操作部5を軸筒2側壁より径方向外方に突出させ、前記操作部5を後方付勢に抗して前方に押圧操作することにより、ペン先没入状態からペン先突出状態にする構成(いわゆるサイドスライド式)、前記操作部5を軸筒2側壁より径方向外方に突出させ、前記操作部5を径方向内方に押圧操作することにより、ペン先没入状態からペン先突出状態にする構成(いわゆるサイドノック式)、または、軸筒2の後部に設けた操作部5を軸筒2の前部に対して回転させることによりペン先81を出没させる構成(いわゆる回転式)等を採用することができる。
【0009】
[2]本願の第2の発明は、前記第1の発明において、前記摩擦部4を軸筒2の前端に設け、ペン先没入状態において、摩擦部4前端がペン先81前端より前方に位置し、ペン先突出状態において、ペン先81前端が摩擦部4前端より前方に位置することを要件とする。
【0010】
前記第2の発明の熱変色性筆記具1は、ペン先突出状態において、摩擦部4が被筆記面
に接触することを回避でき、円滑な筆記が可能となる。また、前記第2の発明の熱変色性
筆記具1は、ペン先没入状態において、軸筒2の前端に設けた摩擦部4で筆跡を摩擦する
ことができるため、筆記後、軸筒2を大きく持ち替えることが不要となり、迅速に摩擦変
色作業に移行できる。
【0011】
[3]本願の第3の発明は、前記第2の発明において、前記前端孔31を有する軸筒2のペン先支持部3が硬質材料よりなり、前記軸筒2のペン先支持部3の前端外面に軟質材料よりなる摩擦部4を設けたことを要件とする。
【0012】
前記第3の発明の熱変色性筆記具1は、ペン先支持部3が硬質材料からなるため、軸筒2の前端孔31から外部にペン先81が突出した状態(筆記時)において、ペン先81外面または筆記体8のペン先81近傍外面が、硬質材料からなるペン先支持部3の前端孔31内面により支持される。それにより、ペン先81のぐらつきが抑えられ、安定した筆記感が得られる。また、前記硬質材料よりなるペン先支持部3の前端外面に軟質材料よりなる摩擦部4を形成したことにより、筆跡を摩擦変色させる際、摩擦部4のぐらつきが抑えられ、安定した摩擦変色作業が可能となる。
【0013】
[4]本願の第4の発明は、前記第2の発明において、前記摩擦部4と前記筆記体8とが非接触状態に維持されることを要件とする。
【0014】
前記第4の発明の熱変色性筆記具1は、ペン先出没時、摩擦部4と筆記体8(即ちペン先81及び筆記体8のペン先81近傍外面)とが非接触状態に維持されるため、インキの付着による摩擦部4の汚れを防止できるとともに、円滑なペン先出没作動が得られる。
【0015】
[5]本願の第5の発明は、前記第2の発明において、前記摩擦部4の前端外周縁41が凸曲面または傾斜面からなることを要件とする。
【0016】
それにより、前記第5の発明の熱変色性筆記具1は、前端外周縁に尖った角部を形成することがなく、摩擦変色時の摩擦部4と被筆記面との円滑な接触が可能となるとともに、摩擦部4と被筆記面との適正な接触面積が得られることにより摩擦熱の発生が容易となる。尚、前記傾斜面とは、軸線に対して傾斜した面(テーパ面)をいう。
【0017】
[6]本願の第6の発明は、前記第2の発明において、前記摩擦部4の外面とペン先突出状態のペン先前端とに接する接線と、軸線とのなす角度αを、10度~60度(好ましくは15度~60度、さらに好ましくは20度~50度)の範囲に設定したことを要件とする。
【0018】
それにより、前記第6の発明の熱変色性筆記具1は、摩擦部4の適正な摩擦変色性能が得られるとともに、ペン先突出状態(筆記時)において、ペン先81を容易に視認でき且つ摩擦部4と被筆記面との非接触状態が維持される。
【0019】
[7]本願の第7の発明は、前記第2の発明において、前記摩擦部4を環状に設けることを要件とする。
【0020】
それにより、前記第7の発明の熱変色性筆記具1は、摩擦部4を用いて摩擦する前に摩擦部4の周方向の向きを確認することが不要となり、迅速に摩擦変色作業を開始することができる。
【0021】
[8]本願の第8の発明は、前記第2の発明において、前記操作部5を軸筒2の後端部に設け、前記操作部5を前方に押圧操作することによりペン先没入状態からペン先突出状態にする出没機構を備えることを要件とする。
【0022】
それにより、前記第8の発明の熱変色性筆記具1は、摩擦変色作業後、軸筒2の把持箇所をペン先側から後端側に反転させ軸筒2を大きく持ち替える必要がなく、迅速にペン先突出操作に移行できる。
【0023】
[9]本願の第9の発明は、前記第2の発明において、前記操作部5を軸筒2の側壁より径方向外方に突出させ、前記操作部5を前方に押圧操作することによりペン先没入状態からペン先突出状態にする出没機構を備えることを要件とする。
【0024】
それにより、前記第9の発明の熱変色性筆記具1は、摩擦変色作業後、軸筒2の把持箇所をペン先側から後端側に反転させ軸筒2を大きく持ち替える必要がなく、迅速にペン先突出操作に移行できる。
【0025】
[10]本願の第10の発明は、前記第2の発明において、前記操作部5を軸筒2の側壁より径方向外方に突出させ、前記操作部5を径方向内方に押圧操作することによりペン先没入状態からペン先突出状態にする出没機構を備えることを要件とする。
【0026】
それにより、前記第10の発明の熱変色性筆記具1は、摩擦変色作業後、軸筒2の把持箇所をペン先側から後端側に反転させ軸筒2を大きく持ち替える必要がなく、迅速にペン先突出操作に移行できる。
【0027】
[11]本願の第11の発明は、前記第2の発明において、軸筒2の後部に操作部5を設け、前記操作部5を軸筒2の前部に対して回転操作することによりペン先81を出没させる出没機構を備えることを要件とする。
【0028】
それにより、前記第11の発明の熱変色性筆記具1は、摩擦変色作業後、軸筒2の把持箇所をペン先側から後端側に反転させ軸筒2を大きく持ち替える必要がなく、迅速にペン先突出操作に移行できる。
【0029】
[12]本願の第12の発明は、前記第1の発明において、前記摩擦部4を軸筒2の後端に設けたことを要件とする。それにより、前記第12の発明の熱変色性筆記具1は、ペン先突出状態であっても、摩擦部4で熱変色性インキ83の筆跡を摩擦することができる。
【0030】
[13]本願の第13の発明は、前記第12の発明において、軸筒2の後端部に操作部5を設け、前記操作部5を軸筒2の前部に対して前方に押圧操作することによりペン先没入状態からペン先突出状態にする出没機構を備え、前記操作部5の後端外面に摩擦部4を設け、前記操作部5の外周面に、前記摩擦部4を用いて摩擦する際に把持可能な把持部51を設けたことを要件とする。
【0031】
前記第13の発明の熱変色性筆記具1は、前記操作部5の外周面に、前記摩擦部4を用いて摩擦する際に把持可能な把持部51を設けたことにより、摩擦変色時、安定した把持が可能となる。前記把持部51は、軸方向の長さを10mm以上(好ましくは15mm以上)に設定することが有効である。また、前記第13の発明の熱変色性筆記具1は、操作部5の後端外面に軟質材料よりなる摩擦部4を設けることにより、操作部5を前方に押圧操作する際の指との滑り止めがなされる。
【0032】
[14]本願の第14の発明は、前記第12の発明において、軸筒2の後部に操作部5を設け、前記操作部5を軸筒2の前部に対して回転操作することによりペン先没入状態からペン先突出状態にする出没機構を備え、前記操作部5の後端外面に摩擦部4を設け、前記操作部5の外周面に、前記摩擦部4を用いて摩擦する際に把持可能な把持部51を設けたことを要件とする。
【0033】
前記第14の発明の熱変色性筆記具1は、前記操作部5の外周面に、前記摩擦部4を用いて摩擦する際に把持可能な把持部51を設けたことにより、摩擦変色時、安定した把持が可能となる。前記把持部51は、軸方向の長さを10mm以上(好ましくは15mm以上)に設定することが有効である。
【0034】
[15]本願の第15の発明は、前記第12の発明において、前記操作部5を軸筒2の側壁より径方向外方に突出させ、前記操作部5を前方に押圧操作することによりペン先没入状態からペン先突出状態にする出没機構を備えることを要件とする。
【0035】
前記第15の発明の熱変色性筆記具1は、操作部5を摩擦部4に対して独立して設けることができ、操作部5の外観や大きさを自由に設定できる。
【0036】
[16]本願の第16の発明は、前記第12の発明において、前記操作部5を軸筒2の側壁より径方向外方に突出させ、前記操作部5を径方向内方に押圧操作することによりペン先没入状態からペン先突出状態にする出没機構を備えることを要件とする。
【0037】
前記第16の発明の熱変色性筆記具1は、操作部5を摩擦部4に対して独立して設けることができ、操作部5の外観や大きさを自由に設定できる。
【0038】
[17]本願の第17の発明は、前記第12の発明において、摩擦部操作部2dを軸筒2の外面に設け、前記摩擦部操作部2dを操作することにより、摩擦部4を軸筒2の後端
から出没可能に構成したことを要件とする。
【0039】
前記第17の発明の熱変色性筆記具1は、摩擦時には、摩擦部4を軸筒2の後端から外部に突出させて摩擦に使用でき、一方、非摩擦時や保管時には、摩擦部4を軸筒2内に没入させ、摩擦部4の汚れを防止できる。尚、前記摩擦部操作部2dは、例えば、軸筒2に対して回転操作するタイプ、または軸筒2に対して前後にスライド操作するタイプが挙げられる。
【0040】
[18]本願の第18の発明は、前記第1の発明において、前記摩擦部4を、軸筒2の前端及び軸筒2の後端に設け、ペン先没入状態において、前記軸筒2の前端に設けた摩擦部4の前端が、ペン先前端より前方に位置し、ペン先突出状態において、ペン先前端が、前記軸筒2の前端に設けた摩擦部4の前端より前方に位置することを要件とする。
【0041】
前記第18の発明の熱変色性筆記具1は、ペン先突出状態において、軸筒2の前端に設けた摩擦部4が被筆記面に接触することを回避でき、円滑な筆記が可能となる。また、前記第18の発明の熱変色性筆記具1は、ペン先没入状態において、軸筒2の前端に設けた摩擦部4で筆跡を摩擦することができるため、筆記後、軸筒2を大きく持ち替えることが不要となり、迅速に摩擦変色作業に移行できる。また、前記第18の発明の熱変色性筆記具1は、ペン先突出状態であっても、軸筒2の後端に設けた摩擦部4で熱変色性インキ83の筆跡を摩擦することができる。
【0042】
[19]本願の第19の発明は、前記第1の発明において、軸筒2内に、複数本の筆記体8を前後方向に移動可能に収容し、前記複数本の筆記体8の各々のペン先81を軸筒2の前端孔31から択一的に出没可能に構成し、前記各々の筆記体8のペン先81から吐出される熱変色性インキ83による筆跡を、前記軸筒2外面に設けた摩擦部4によって摩擦し、その際に生じる摩擦熱で前記筆跡の各々が熱変色可能であることを要件とする。
【0043】
前記第19の発明の熱変色性筆記具1は、熱変色性インキ83による、複数(少なくとも2種類)の筆跡を1本の筆記具で得ることができる。また、前記第19の発明の熱変色性筆記具1は、各々の筆記体8のペン先81から吐出される熱変色性インキ83の筆跡が、摩擦部4によって熱変色可能であるため、各々の筆記体8による熱変色性インキ83の筆跡を、摩擦部4によって一度に熱変色させることができる。
【0044】
[20]本願の第20の発明は、前記第1の発明において、軸筒2内に、複数本の筆記体8を前後方向に移動可能に収容し、前記複数本の筆記体8の各々のペン先81を軸筒2の前端孔31から択一的に出没可能に構成し、前記軸筒2の前端部に着脱自在のキャップ11を設け、前記キャップ11を軸筒2の前端部に装着したとき、前記キャップ11が軸筒2の前端孔31を密閉してなり、前記各々の筆記体8のペン先81から吐出される熱変色性インキ83による筆跡を、前記軸筒2外面に設けた摩擦部4によって摩擦し、その際に生じる摩擦熱で前記筆跡の各々が熱変色可能であることを要件とする。
【0045】
前記第20の発明の熱変色性筆記具1は、熱変色性インキ83による、複数(少なくとも2種類)の筆跡を1本の筆記具で得ることができる。前記第20の発明の熱変色性筆記具1は、各々の筆記体8のペン先81から吐出される熱変色性インキ83の筆跡の各々が、摩擦部4によって熱変色可能であるため、各々の筆記体8による熱変色性インキ83の筆跡を、摩擦部4によって一度に熱変色させることができる。また、前記第20の発明の熱変色性筆記具1は、キャップ11を軸筒2の前端部に装着した際、キャップ11が軸筒2の前端孔31を密閉してなることにより、非筆記時、各々の筆記体8のペン先81からのインキの蒸発を防止できる。
【0046】
[21]本願の第21の発明は、前記第20の発明において、軸筒2内に、各々の筆記体8の外面と密接摺動するシール部101を設け、キャップ11を軸筒2の前端部に装着したとき、前記シール部101とキャップ11との間で各々の筆記体8のペン先81を密封してなることを要件とする。
【0047】
前記第21の発明の熱変色性筆記具1は、キャップ11を軸筒2の前端部に装着したとき、シール部101とキャップ11との間で密封空間を形成でき、非筆記時、各々の筆記体8のペン先81を確実に密封することができる。
【0048】
[22]本願の第22の発明は、前記第21の発明において、前記筆記体8の各々を後方に付勢する弾発体7を軸筒2内に収容し、前記弾発体7の各々の後端を支持する弾発体支持部2bを軸筒2内に設け、前記弾発体支持部2bに前記シール部101を備えるシール体10を固定してなることを要件とする。
【0049】
前記第22の発明の熱変色性筆記具1は、弾発体支持部2bに前記シール部101を備えるシール体10を固定してなることにより、シール体10の確実な固定が可能となる。
【0050】
[23]本願の第23の発明は、前記第19の発明において、前記各々の筆記体8の内部に収容された熱変色性インキ83の発色状態の色が互いに異なることを要件とする。
【0051】
前記第23の発明の熱変色性筆記具1は、各々の筆記体8の内部に収容された熱変色性インキ83による、発色状態の色が異なる複数種の筆跡を、摩擦部4の摩擦熱により一度に熱変色させることができる。また、前記第23の発明の熱変色性筆記具1は、各々の熱変色性インキ83の筆跡が重なった状態の場合でも、異なる発色状態の色によって前記複数種の筆跡の各々を識別できる。
【0052】
[24]本願の第24の発明は、前記第19の発明において、前記各々の筆記体8の内部に収容された熱変色性インキ83の、摩擦部4の摩擦熱による変色温度を25℃~95℃に設定したことを要件とする。
【0053】
前記第24の発明の熱変色性筆記具1は、摩擦部4による摩擦熱によって、各々の筆記体8の熱変色性インキ83による複数種の筆跡を、確実に、一度に熱変色させることができる。もし、各々の筆記体8の熱変色性インキ83の変色温度が、前記温度範囲から外れている場合、複数種の筆跡を、摩擦部4の摩擦熱で一度に熱変色できないおそれがある。
【0054】
[25]本願の第25の発明は、前記第20の発明において、前記キャップ11の外面に、前記熱変色性インキ83の筆跡を摩擦しその際に生じる摩擦熱で該筆跡を熱変色可能な摩擦部4を設けたことを要件とする。
【0055】
前記第25の発明の熱変色性筆記具1は、キャップ11の外面に摩擦部4を設けたことにより、キャップ11を軸筒2の後端部に装着させた状態、キャップ11が軸筒2と分離した状態、及びキャップ11が軸筒2のペン先側に装着された状態において、キャップ11外面の摩擦部4を使用できる。即ち、前記第25の発明の熱変色性筆記具1は、キャップ11が軸筒2に対していかなる状態であっても、筆記使用後、即座に熱変色性インキ83の筆跡を摩擦により熱変色させることができる。
【0056】
[26]本願の第26の発明は、前記第1の発明において、前記軸筒2の前端部に着脱自在のキャップ11を設け、前記キャップ11を軸筒2の前端部に装着したとき、前記キャップ11が軸筒2の前端孔31を密閉してなることを要件とする。
【0057】
前記第26の発明の熱変色性筆記具1は、キャップ11を軸筒2の前端部に装着した際、キャップ11が軸筒2の前端孔31を密閉してなることにより、非筆記時、ペン先81からのインキの蒸発を防止できる出没式の熱変色性筆記具を得る。
【0058】
[27]本願の第27の発明は、前記第26の発明において、前記キャップ11の外面に、前記熱変色性インキ83の筆跡を摩擦しその際に生じる摩擦熱で該筆跡を熱変色可能な摩擦部4を設けたことを要件とする。
【0059】
前記第27の発明の熱変色性筆記具1は、キャップ11の外面に摩擦部4を設けたことにより、キャップ11を軸筒2の後端部に装着させた状態、キャップ11が軸筒2と分離した状態、及びキャップ11が軸筒2のペン先側に装着された状態において、キャップ11外面の摩擦部4を使用できる。即ち、前記第27の発明の熱変色性筆記具1は、キャップ11が軸筒2に対していかなる状態であっても、筆記使用後、即座に熱変色性インキ83の筆跡を摩擦により熱変色させることができる。
【0060】
・摩擦部
尚、本発明で、前記摩擦部4を構成する軟質材料とは、弾性を有する樹脂(ゴム、エラストマー)が挙げられ、例えば、シリコーン樹脂、SBS樹脂(スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体)、SEBS樹脂(スチレン-エチレン-ブタジエン-スチレン共重合体)、フッ素系樹脂、クロロプレン樹脂、ニトリル樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)等が挙げられる。前記摩擦部4を構成する軟質材料は、高摩耗性の弾性材料(例えば、消しゴム等)からなるものよりも、紙面等の摩擦で摩耗屑が殆ど生じない低摩耗性の弾性材料からなるものが有効である。前記摩擦部4は、軸筒2のペン先支持部3の外面に2色成形により一体に形成する構成、または摩擦部4を構成する別部品を軸筒2のペン先支持部3に固着(例えば、嵌着、圧入、螺着、接着)する構成が挙げられる。前記摩擦部4は、軸筒2の軟質部材からなる把持部51(グリップ部)と一体に形成する構成でもよい。
【0061】
・軸筒
前記前端孔31を備えた軸筒2のペン先支持部3は、ペン先突出状態のペン先81外面または筆記体8のペン先81近傍外面を支持するものである。前記ペン先支持部3を構成する硬質材料は、合成樹脂(例えば、ポリカーボネイト、ポリプロプレン、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ABS樹脂等)または金属等が挙げられる。
【0062】
・ペン先
尚、本発明で、前記ペン先81は、例えば、ボールペンチップ、繊維束の樹脂加工体、繊維束の熱融着加工体、フェルト加工体、パイプ状ペン体、先端にスリットを有する万年筆型板状ペン体、毛筆ペン体、合成樹脂の多孔質気泡体、軸方向のインキ誘導路を有する合成樹脂の押出成形体等が挙げられる。前記ペン先81がボールペンチップの場合、ペン先没入状態のペン先乾燥防止機構として、ペン先ボールを前方に付勢し、チップ前端の内向きのカシメ部(前端縁部)内面にボールを圧接させる構成が有効である。前記ペン先81が、ボールペンチップ以外の構成の場合、ペン先没入状態のペン先乾燥防止機構として、軸筒2の前端孔31を閉鎖し軸筒2内に没入状態のペン先81を密封する構成が有効である。
【0063】
・熱変色性インキ
尚、本発明で、前記熱変色性インキ83は、可逆熱変色性インキが好ましい。前記可逆熱変色性インキは、発色状態から加熱により消色する加熱消色型、発色状態又は消色状態を互変的に特定温度域で記憶保持する色彩記憶保持型、又は、消色状態から加熱により発色し、発色状態からの冷却により消色状態に復する加熱発色型等、種々のタイプを単独又は併用して構成することができる。
【0064】
また、前記可逆熱変色性インキに含有される可逆熱変色性マイクロカプセル顔料は、従来より公知の(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、及び(ハ)前記両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体、の必須三成分を少なくとも含む可逆熱変色性組成物をマイクロカプセル中に内包させたものが有効である。
【0065】
本発明では、
図6に示すように、温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで異なる経路を辿って変色し、完全発色温度(t
1)以下の低温域での発色状態、又は完全消色温度(t
4)以上の高温域での消色状態が、特定温度域〔t
2~t
3の間の温度域(実質的二相保持温度域)〕で記憶保持できる色彩記憶保持型熱変色性インキが適用されることが好ましい。
図6において、ΔHは、ヒステリシスの程度を示す温度幅(即ちヒステリシス幅)を示す。ΔHの値が小さいと、変色前後の両状態のうち一方の状態しか存在しえない。ΔHの値が大きいと、変色前後の各状態の保持が容易となる。
【0066】
前記実質的二相保持温度域は、目的に応じて設定できるが、本発明では、前記高温側変色点〔完全消色温度(t4)〕を、25℃~95℃(好ましくは、36℃~90℃)の範囲に設定し、前記低温側変色点〔完全発色温度(t1)〕を、-30℃~+20℃(好ましくは、-30℃~+10℃)の範囲に設定することが有効である。それにより、常態(日常の生活温度域)で呈する色彩の保持を有効に機能させることができると共に、可逆熱変色性インキによる筆跡を摩擦部による摩擦熱で容易に変色することができる。
【0067】
前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料は、粒子径の平均値が0.5~5.0μm、好ましくは1~4μmの範囲にあることが好ましい。平均粒子径が5.0μmを越える系では、ボールペンチップやマーキングペンチップの毛細間隙からの流出性が低下し、平均粒子径が0.5μm未満の系では高濃度の発色性を示し難くなる。
【0068】
前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料は、インキ組成物全量に対し、2~50重量%(好ましくは3~40重量%、更に好ましくは、4~30重量%)配合することができる。2重量%未満では発色濃度が不充分であり、50重量%を越えるとインキ流出性が低下し、筆記性が阻害される。
【発明の効果】
【0069】
本発明は、熱変色性筆跡を容易に摩擦変色でき、且つ、片手しか使用できない場合でも、迅速に筆記可能状態及び保管状態にすることができる、熱変色性インキを内蔵した熱変色性筆記具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【
図1】本発明の第1の実施の形態のペン先突出状態を示す一部切欠縦断面図である。
【
図3】本発明の第1の実施の形態のペン先没入状態を示す一部切欠縦断面図である。
【
図5】第1の実施の形態に用いた筆記体の縦断面図である。
【
図6】熱変色性インキの変色挙動を示す説明図である。
【
図7】本発明の第2の実施の形態のペン先突出状態を示す一部切欠縦断面図である。
【
図8】本発明の第3の実施の形態のペン先突出状態を示す一部切欠縦断面図である。
【
図9】本発明の第4の実施の形態のペン先突出状態を示す一部切欠縦断面図である。
【
図10】本発明の第5の実施の形態のペン先突出状態を示す一部切欠縦断面図である。
【
図11】第5の実施の形態に用いた筆記体の縦断面図である。
【
図12】本発明の第6の実施の形態のペン先突出状態を示す一部切欠縦断面図である。
【
図13】本発明の第7の実施の形態のペン先突出状態を示す一部切欠縦断面図である。
【
図14】本発明の第8の実施の形態のペン先突出状態を示す一部切欠縦断面図である。
【
図15】本発明の第9の実施の形態のペン先突出状態を示す一部切欠縦断面図である。
【
図16】本発明の第10の実施の形態のペン先突出状態を示す一部切欠縦断面図である。
【
図17】本発明の第11の実施の形態の非筆記状態を示す縦断面図である。
【
図18】本発明の第12の実施の形態の非筆記状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0071】
<第1の実施の形態>
本発明の熱変色性筆記具の第1の実施の形態を
図1乃至
図5に示す。
本実施の形態の熱変色性筆記具1は、軸筒2と、軸筒2内に前後方向に移動可能に収容された筆記体8とからなる。
【0072】
・軸筒
前記軸筒2は、硬質材料(例えば、ポリカーボネイト樹脂)の射出成形によって得られる。前記軸筒2の前端部は、先細状に形成される。前記先細状の前端部の前端(即ち軸筒2の前端)には前端孔31が前後方向に貫設される。前記前端孔31を通して、軸筒2内に収容した筆記体8のペン先81が出没可能(即ち外部に突出可能且つ軸筒2内に没入可能)となる。前記軸筒2の後部外面には、ポケット等に挟持可能なクリップ6が突設される。また、前記軸筒2内には、筆記体8を常時後方に付勢する弾発体7(具体的には圧縮コイルスプリング)が収容される。前記軸筒2は、前軸と該前軸の後端に着脱自在に螺着される後軸とからなるため、前記軸筒2内から前記筆記体8を取り出して交換することが可能である。
【0073】
・ペン先支持部
前記前端孔31を備える軸筒2の前端は、ペン先81が軸筒2の前端より外部に突出した状態(筆記時)において、ペン先81の径方向外面を支持するペン先支持部3となる。前記ペン先支持部3は、軸筒2の前端に一体に形成されるため、軸筒2と同じ硬質材料(例えば、ポリカーボネイト樹脂)によって構成される。
【0074】
・摩擦部
前記軸筒2の前端外面(即ちペン先支持部3の前端外面)に、軟質材料(例えば、SBS樹脂、SEBS樹脂等の低摩耗性の弾性材料)からなる摩擦部4が設けられる。
【0075】
前記摩擦部4は、ペン先支持部3の前端外周面に環状に設けられる。それにより、摩擦部4を用いて摩擦する前に摩擦部4の周方向の向きを確認することが不要となり、迅速に摩擦変色作業を開始することができる。尚、前記摩擦部4の形状は、非環状(例えば、周方向に複数分散される構成、周方向の1箇所に形成される構成等)でもよい。
【0076】
前記摩擦部4の前端外周縁41には、凸曲面または傾斜面が形成される。それにより、摩擦変色時、摩擦部4と被筆記面との円滑な接触が可能となるとともに、摩擦部4と被筆記面との適正な接触面積が得られることにより摩擦熱の発生が容易となる。
【0077】
前記摩擦部4の径方向内面は、前端孔31内面より径方向外方に位置する。即ち、前記摩擦部4は、前端孔31の内面より径方向内方に突出されていない。そのため、ペン先出没時、前記摩擦部4と軸筒2内に収容された筆記体8(具体的にはペン先81)との非接触状態が維持される。それにより、軸筒2内に収容された筆記体8のペン先81が出没する際、筆記体8(具体的にはペン先81)が摩擦部4と接触せず、円滑なペン先81の出没作動が得られ、さらに、摩擦部4がインキの付着によって汚れることがない。
【0078】
前記摩擦部4は、軸筒2の前端外面に別部品を固着すること(例えば、嵌着、圧入、螺着、接着等)により得られる。または、前記摩擦部4は、軸筒2との2色成形により得られる。
【0079】
・出没機構
前記軸筒2には、ペン先を出没させる出没機構が内蔵されている。本実施の形態では、前記出没機構として、いわゆる後端ノック式が採用される。前記出没機構は、前記軸筒2の後端より後方に突出された操作部5を、前方に押圧することによって、筆記体8を後方付勢に抗して前方に移動させ、ペン先没入状態からペン先突出状態にするものである。さらに、本実施の形態では、再度、操作部5を前方に押圧することにより、ペン先突出状態からペン先没入状態にすることができる。
【0080】
・筆記体
前記筆記体8は、ペン先81と、前記ペン先81を前端に備え且つ内部に熱変色性インキ83を収容するインキ収容部82とからなる。前記ペン先81より前記熱変色性インキ83が吐出される。
【0081】
前記ペン先81は、前端に回転可能に抱持されたボール81aを備えるボールペンチップからなる。前記ペン先81の内部には、前端のボール81aを前方に押圧する弾発体81bが収容される。前記弾発体81bは、圧縮コイルスプリングの前端部にロッド部を備えた構成であり、前記ロッド部の前端がボール81a後面に接触している。非筆記時、前記弾発体81bの前方付勢によりボール81aがボールペンチップ前端の内向きのカシメ部内面に密接され、ペン先81の前端からのインキの漏出及びインキの蒸発を防止できる。
【0082】
前記インキ収容部82は、ペン先81を保持するペン先ホルダー82aと、前記ペン先ホルダー82aが前端に固着されるインキ収容管82bとからなる。前記インキ収容部82内には、熱変色性インキ83と、該インキ83の後端に配置される追従体84とが収容される。
【0083】
前記熱変色性インキ83は、低温側変色点(完全発色温度t1)が-30℃~-10℃の範囲の任意の温度に設定され、高温側変色点(完全消色温度t4)が60℃~80℃の範囲の任意の温度に設定され、ヒステリシス幅ΔHが40℃~60℃の範囲を示す可逆熱変色性インキが採用される。前記熱変色性インキ83は、消色状態において、無色となる。
【0084】
前記追従体84は、インキの消費に伴い前進し且つインキの後退(即ち逆流)を防止するものであり、例えば、高粘度流体、弾性材料よりなる可動栓、または高粘度流体中に固体物を収容させた構成等が挙げられる。
【0085】
前記インキ収容管82bの後端には、通気孔を有する尾栓85が嵌着される。
【0086】
・角度α
尚、本実施の形態において、前記摩擦部4の外面と突出状態のペン先81前端とに接する接線と、軸線とのなす角度αは、15度~50度の範囲に設定される。それにより、摩擦部4の適正な摩擦変色性能が得られるとともに、筆記時(ペン先突出時)、ペン先81を容易に視認でき且つ摩擦部4と被筆記面との非接触状態が維持される。
【0087】
・筆記時(
図1及び
図2参照)
本実施の形態の熱変色性筆記具1を片手に持ち、操作部5を前方に押圧操作することによって、迅速にペン先没入状態からペン先突出状態にすることできる。この突出状態のペン先で、紙面等の被筆記面に筆記することにより、熱変色性インキ83による筆跡を被筆記面に形成することができる。
【0088】
・摩擦変色時(
図3及び
図4参照)
筆記後、前記熱変色性筆記具1を片手に持った状態で、熱変色性筆記具1を大きく持ち替えること無く、操作部5を前方に押圧操作することによって、迅速にペン先突出状態からペン先没入状態にすることができる。前記ペン先没入状態において、摩擦部4を用いて、被筆記面に形成された前記熱変色性インキ83による筆跡を摩擦し、その際に生じる摩擦熱で前記筆跡を熱変色させることができる。
【0089】
<第2の実施の形態>
本発明の熱変色性筆記具の第2の実施の形態を
図7に示す。
本実施の形態の熱変色性筆記具1は、第1の実施の形態の変形例であり、第1の実施の形態と異なる点は、軸筒2の後端部外周面に、筒状の操作部5を前後方向に移動可能に設けた点である。前記操作部5の外面には、ポケット等に挟持可能なクリップ6が突設されている。
【0090】
尚、前記第2の実施の形態において、他の構成及び作用効果は、第1の実施の形態と共通であるため説明を省略する。
【0091】
<第3の実施の形態>
本発明の熱変色性筆記具の第3の実施の形態を
図8に示す。
本実施の形態の熱変色性筆記具1は、第1の実施の形態の変形例であり、第1の実施の形態と異なる点は、軸筒2の後端部外周面に、操作部5を軸筒2に対して回転可能に設けた点である。前記操作部5の外面には、ポケット等に挟持可能なクリップ6が突設されている。
【0092】
即ち、本実施の形態の出没機構は、いわゆる回転式であり、軸筒2に対して操作部5を回転操作することにより、前端孔31よりペン先81を出没させるものである。
【0093】
尚、前記第3の実施の形態において、他の構成及び作用効果は、第1の実施の形態と共通であるため説明を省略する。
【0094】
<第4の実施の形態>
本発明の熱変色性筆記具の第4の実施の形態を
図9に示す。
本実施の形態の熱変色性筆記具1は、第1の実施の形態の変形例であり、第1の実施の形態と異なる点は、軸筒2の側壁に形成された孔より、操作部5が径方向外方に突出された点である。
【0095】
即ち、本実施の形態の出没機構は、いわゆるサイドノック式であり、前記操作部5を径方向内方に押圧操作することにより、前端孔31よりペン先81を出没させるものである。
【0096】
尚、前記第4の実施の形態において、他の構成及び作用効果は、第1の実施の形態と共通であるため説明を省略する。
【0097】
<第5の実施の形態>
本発明の熱変色性筆記具の第5の実施の形態を
図10及び
図11に示す。
本実施の形態の熱変色性筆記具1は、軸筒2と、軸筒2内に前後方向に移動可能に収容された複数本の筆記体8とからなる。
【0098】
軸筒2内には、複数本の筆記体8の各々が前後方向(軸方向)に移動可能に収容されている。前記筆記体8の各々は、弾発体7(具体的には圧縮コイルスプリング)により、後方に付勢されている。
【0099】
前記軸筒2には、ペン先81を出没させる出没機構が内蔵されている。本実施の形態では、前記出没機構として、いわゆるサイドスライド式が採用される。前記出没機構は、軸筒2側壁より径方向外方に突出された各々の操作部5を、弾発体7の後方付勢に抗して前方に押圧操作することにより、前端孔31よりペン先81を出没させるものである。
【0100】
前記軸筒2は、先細状の円筒体からなる前軸2aと、該前軸2aの後端部と螺合または圧入により取り付けられる円筒状の弾発体支持部2bと、該弾発体支持部2bの後端部と螺合または圧入により取り付けられる円筒状の後軸2cとからなる。
【0101】
前記前軸2aの前端には、筆記体8の各々が択一的に突出可能な前端孔31が軸方向に貫設される。
【0102】
前記後軸2cの後部の側壁には、軸筒2内に収容する筆記体8の本数に応じた複数(ここでは2本)の前後方向に延びる細長状の窓孔21が、径方向に貫設される。また、前記後軸2cの窓孔21の相互間の側壁内面には、前後方向に延びるリブよりなる係止壁部22が形成され、前記係止壁部22に、ペン先81が突出した際のその突出したペン先81に対応した操作体9の後端が係止される。前記後軸2cの後端壁内面には、当接壁部23が形成され、前記当接壁部23に、ペン先81が没入した際のその没入したペン先81に対応した操作体9の後端が係止される。
【0103】
前記筆記体8の各々は、ボールペンレフィルであり、前端にボール81aが回転可能に抱持されたペン先81と、該ペン先81を前端に備え且つ後端が開口されたインキ収容管82bとからなる。前記インキ収容管82bの内部には、剪断減粘性を有する水性ゲルよりなる熱変色性インキが収容される。前記インキ収容管82b内の熱変色性インキ83の後端には、該インキ83の消費に伴い前進する高粘度流体からなる追従体84が充填される。
【0104】
前記ペン先81の各々は、前端に回転可能に抱持されたボール81aを備えるボールペンチップからなる。前記ペン先81の各々の内部には、前端のボール81aを前方に押圧する弾発体81bが収容される。前記弾発体81bは、圧縮コイルスプリングの前端部にロッド部を備えた構成であり、前記ロッド部の前端がボール81a後面に接触している。非筆記時、前記弾発体81bの前方付勢によりボール81aがボールペンチップ前端の内向きの前端縁部内面に密接され、ペン先81の各々の前端からのインキの漏出及びインキの蒸発を防止できる。また、ペン先81は、インキ収容管82bの前端開口部に圧入等により直接、取り付けてもよいが、本実施の形態ではペン先ホルダー82aを介してインキ収容管82bの前端開口部に固着される。
【0105】
前記熱変色性インキ83の各々は、低温側変色点(完全発色温度t1)が-30℃~-10℃の範囲の任意の温度に設定され、高温側変色点(完全消色温度t4)が60℃~80℃の範囲の任意の温度に設定され、ヒステリシス幅ΔHが40℃~60℃の範囲を示す可逆熱変色性組成物を有するインキが採用される。前記熱変色性インキ83の各々は、発色状態において、例えば、黒、青、赤、黄、緑、橙、紫、紺、ピンク、水色等を呈する。前記熱変色性インキ83の各々は、消色状態において、無色となる。前記熱変色性インキ83の各々は、発色状態において、異なる色を呈する。
【0106】
前記筆記体8の各々の後端には、操作体9が取り付けられる。前記各々の操作体9は、後端部に形成され且つ軸筒2の窓孔21から外部に突出する操作部5と、該操作部5の反対側に設けられる後側突出部91と、該操作部5の反対側の後側突出部91の前方に設けられる前側突出部92と、前端部に形成され且つインキ収容管82bの後端開口部に嵌入される嵌入部93と、該嵌入部93の後方に形成される鍔部94とを備える。前記嵌入部93は、インキ収容管82bの後端開口部に嵌入された際、インキ収容管82bの後端開口部を完全には塞がず、インキ収容管82bの内部と外部とを通気可能にする。また、前記鍔部94の前面には、弾発体7の後端が係止される。
【0107】
筆記体8のペン先81のいずれかが没入状態のとき、そのペン先没入状態の筆記体8に取り付けられた操作体9の後端部は、軸筒2の後端部内壁に形成された当接壁部23に当接される。一方、筆記体8のペン先81のいずれか突出状態のとき、そのペン先突出状態の筆記体8に取り付けられた操作体9の後端部は、軸筒2の内壁に形成された係止壁部22に係止される。
【0108】
ペン先没入状態にある筆記体8の後端に連結された操作体9の前側突出部92は、その操作体9の操作部5を前方にスライド操作した際、先にペン先突出状態にある筆記体8の後端に連結された操作体9の後側突出部91と当接され、筆記体8のペン先突出状態が解除される。
【0109】
軸筒2の内壁(即ち後軸2cの前端部内面)には、円筒状の弾発体支持部2bが固着される。前記弾発体支持部2bは、円板状の支持壁部を備え、前記支持壁部に、筆記体8が挿通される複数(ここでは2個)の内孔が軸方向に貫設され。前記弾発体支持部2bの後面(即ち支持壁部の後面)と、各々の操作体9の鍔部94の前面との間には、各々の弾発体7が配置される。前記各々の弾発体7の内部に筆記体8の各々が遊挿されるとともに、各々の弾発体7の前端が弾発体支持部2bの後面により係止され、各々の弾発体7の後端が操作体9の鍔部94の前面に係止される。
【0110】
前記弾発体支持部2bの前面(即ち支持壁部の後面)には筒状部が前方に延設され、その筒状部内面と後軸2cの後端部外面とが螺合または圧入により取り付けられる。
【0111】
前記各々の弾発体7は、各々の操作体9を、常時、後方に付勢している。前記各々の弾発体7は、ペン先突出状態、ペン先没入状態のいずれにおいても圧縮状態(即ち筆記体8が後方に付勢された状態)にあり、それにより、各々の操作体9の前後のがたつきが防止される。
【0112】
軸筒2の前端部外面(即ち前軸2aの前端部外面)には、軟質材料(例えば、SBS樹脂、SEBS樹脂等の低摩耗性の弾性材料)よりなる摩擦部4が形成される。前記摩擦部4は、軸筒2外面に、2色成形、嵌合、圧入、螺合、接着等の手段により、固着される。
【0113】
本実施の形態の熱変色性筆記具1を片手に持ち、一つの操作部5を前方に押圧操作することによって、迅速にペン先没入状態からペン先突出状態にすることできる。この突出状態のペン先で、紙面等の被筆記面に筆記することにより、熱変色性インキ83による筆跡を被筆記面に形成することができる。
【0114】
筆記後、前記熱変色性筆記具1を片手に持った状態で、熱変色性筆記具1を大きく持ち替えること無く、他の操作部5(即ちペン先没入状態にある筆記体8に連結された操作体9)を前方に押圧操作することによって、迅速にペン先突出状態からペン先没入状態にすることができる。このペン先没入状態における摩擦部4で、被筆記面に形成された前記熱変色性インキ83による筆跡を摩擦し、その際に生じる摩擦熱で前記筆跡を熱変色させることができる。
【0115】
尚、前記第5の実施の形態において、他の構成及び作用効果は、第1の実施の形態と共通であるため説明を省略する。
【0116】
<第6の実施の形態>
本発明の熱変色性筆記具の第6の実施の形態を
図12に示す。
本実施の形態の熱変色性筆記具1は、第2の実施の形態の変形例であり、操作部5の後端外面に軟質材料(例えば、SBS樹脂、SEBS樹脂等の低摩耗性の弾性材料)よりなる摩擦部4を設けた点が、前記第2の実施の形態と異なる。
【0117】
本実施の形態の熱変色性筆記具1は、前記操作部5の外周面に、前記摩擦部4を用いて摩擦する際に把持可能な把持部51が設けられる。それにより、摩擦変色時、安定した把持が可能となる。前記把持部51は、軸方向の長さが10mm以上(好ましくは15mm以上)に設定される。また、本実施の形態の熱変色性筆記具1は、操作部5の後端外面に軟質材料よりなる摩擦部4を設けることにより、操作部5を前方に押圧操作する際の指との滑り止めがなされる。
【0118】
本実施の形態の熱変色性筆記具1を用いて筆記した後、前記熱変色性筆記具1の操作部5の把持部51を把持し、摩擦部4で、被筆記面に形成された前記熱変色性インキ83による筆跡を摩擦し、その際に生じる摩擦熱で前記筆跡を熱変色させることができる。それにより、本実施の形態の熱変色性筆記具1は、前記摩擦変色する際、ペン先81を軸筒2内に没入させることが不要となり、ペン先突出状態、ペン先没入状態の何れの状態でも摩擦変色可能である。
【0119】
尚、前記第6の実施の形態において、他の構成及び作用効果については、第1及び第2の実施の形態と共通であるため説明を省略する。
【0120】
<第7の実施の形態>
本発明の熱変色性筆記具の第7の実施の形態を
図13に示す。
本実施の形態の熱変色性筆記具1は、第3の実施の形態の変形例であり、操作部5の後端外面に軟質材料(例えば、SBS樹脂、SEBS樹脂等の低摩耗性の弾性材料)よりなる摩擦部4を設けた点が、前記第3の実施の形態と異なる。
【0121】
本実施の形態の熱変色性筆記具1は、前記操作部5の外周面に、前記摩擦部4を用いて摩擦する際に把持可能な把持部51が設けられる。それにより、摩擦変色時、安定した把持が可能となる。前記把持部51は、軸方向の長さが10mm以上(好ましくは15mm以上)に設定される。
【0122】
本実施の形態の熱変色性筆記具1を用いて筆記した後、前記熱変色性筆記具1の操作部5の把持部51を把持し、摩擦部4で、被筆記面に形成された前記熱変色性インキ83による筆跡を摩擦し、その際に生じる摩擦熱で前記筆跡を熱変色させることができる。それにより、本実施の形態の熱変色性筆記具1は、前記摩擦変色する際、ペン先81を軸筒2内に没入させることが不要となり、ペン先突出状態、ペン先没入状態の何れの状態でも摩擦変色可能である。
【0123】
尚、前記第7の実施の形態において、他の構成及び作用効果については、第1及び第3の実施の形態と共通であるため説明を省略する。
【0124】
<第8の実施の形態>
本発明の熱変色性筆記具の第8の実施の形態を
図14に示す。
本実施の形態の熱変色性筆記具1は、第4の実施の形態の変形例であり、軸筒2の後端外面に軟質材料(例えば、SBS樹脂、SEBS樹脂等の低摩耗性の弾性材料)よりなる摩擦部4を設けた点が、前記第4の実施の形態と異なる。
【0125】
本実施の形態の熱変色性筆記具1は、操作部5を摩擦部4に対して独立して設けることができ、操作部5の外観や大きさを自由に設定できる。また、本実施の形態の熱変色性筆記具1は、摩擦変色時、軸筒2の後部を把持することにより、安定した把持が可能となる。
【0126】
本実施の形態の熱変色性筆記具1を用いて筆記した後、前記熱変色性筆記具1の軸筒2後部を把持し、摩擦部4で、被筆記面に形成された前記熱変色性インキ83による筆跡を摩擦し、その際に生じる摩擦熱で前記筆跡を熱変色させることができる。それにより、本実施の形態の熱変色性筆記具1は、前記摩擦変色する際、ペン先81を軸筒2内に没入させることが不要となり、ペン先突出状態、ペン先没入状態の何れの状態でも摩擦変色可能である。
【0127】
尚、前記第8の実施の形態において、他の構成及び作用効果については、第1及び第4の実施の形態と共通であるため説明を省略する。
【0128】
<第9の実施の形態>
本発明の熱変色性筆記具の第9の実施の形態を
図15に示す。
本実施の形態の熱変色性筆記具1は、第5の実施の形態の変形例であり、軸筒2の後端外面に軟質材料(例えば、SBS樹脂、SEBS樹脂等の低摩耗性の弾性材料)よりなる摩擦部4を設けた点が、前記第5の実施の形態と異なる。
【0129】
本実施の形態の熱変色性筆記具1は、操作部5を摩擦部4に対して独立して設けることができ、操作部5の外観や大きさを自由に設定できる。また、本実施の形態の熱変色性筆記具1は、摩擦変色時、軸筒2の後部を把持することにより、安定した把持が可能となる。
【0130】
本実施の形態の熱変色性筆記具1を用いて筆記した後、前記熱変色性筆記具1の軸筒2後部を把持し、摩擦部4で、被筆記面に形成された前記熱変色性インキ83による筆跡を摩擦し、その際に生じる摩擦熱で前記筆跡を熱変色させることができる。それにより、本実施の形態の熱変色性筆記具1は、前記摩擦変色する際、ペン先81を軸筒2内に没入させることが不要となり、ペン先突出状態、ペン先没入状態の何れの状態でも摩擦変色可能である。
【0131】
尚、前記第9の実施の形態において、他の構成及び作用効果については、第1及び第5の実施の形態と共通であるため説明を省略する。
【0132】
<第10の実施の形態>
本発明の熱変色性筆記具の第10の実施の形態を
図16に示す。
本実施の形態の熱変色性筆記具1は、第8の実施の形態の変形例であり、摩擦部操作部2dを軸筒2の外面に設け、前記摩擦部操作部2dを回転操作することにより、摩擦部4を軸筒2の後端から出没可能に構成した点が、前記第5の実施の形態と異なる。
【0133】
本実施の形態の熱変色性筆記具1は、摩擦時には、摩擦部4を軸筒2の後端から外部に突出させて摩擦に使用でき、一方、非摩擦時や保管時には、摩擦部4を軸筒2内に没入させ、摩擦部4の汚れを防止できる。
【0134】
本実施の形態の熱変色性筆記具1を用いて筆記した後、前記熱変色性筆記具1の軸筒2後部を把持し、摩擦部操作部2dを軸筒2に対して回転操作することにより、摩擦部4を軸筒2の後端より外部に突出させ、その突出状態の摩擦部4で、被筆記面に形成された前記熱変色性インキ83による筆跡を摩擦し、その際に生じる摩擦熱で前記筆跡を熱変色させることができる。本実施の形態の熱変色性筆記具1は、前記摩擦変色する際、ペン先81を軸筒2内に没入させることが不要となり、ペン先突出状態、ペン先没入状態の何れの状態でも摩擦変色可能である。
【0135】
尚、前記第10の実施の形態において、他の構成及び作用効果については、第1及び第5の実施の形態と共通であるため説明を省略する。
【0136】
<第11の実施の形態>
本発明の熱変色性筆記具の第11の実施の形態を
図17に示す。
本実施の形態の熱変色性筆記具1は、第2の実施の形態の変形例であり、軸筒2の前端外面に摩擦部4を設けるとともに、操作部5の後端外面に軟質材料(例えば、SBS樹脂、SEBS樹脂等の低摩耗性の弾性材料)よりなる摩擦部4を設けた点が、前記第2の実施の形態と異なる。前記操作部5の後端外面に設けた摩擦部4は、外面に凸曲面を備える。前記軸筒2の前端外面に設けた摩擦部4と、前記操作部5の後端外面に設けた摩擦部4とは、形状が異なり、摩擦時の被筆記面との接触面積の大きさが異なる。
【0137】
本実施の形態の熱変色性筆記具1は、操作部5の後端外面に設けた摩擦部4を用いて摩擦する際に把持可能な把持部51が、前記操作部5の外周面に設けられる。それにより、摩擦変色時、安定した把持が可能となる。前記把持部51は、軸方向の長さが10mm以上(好ましくは15mm以上)に設定される。また、本実施の形態の熱変色性筆記具1は、操作部5の後端外面に軟質材料よりなる摩擦部4を設けたことにより、操作部5を前方に押圧操作する際の指との滑り止めがなされる。
【0138】
本実施の形態の熱変色性筆記具1を用いて筆記した後、前記熱変色性筆記具1の操作部5の把持部51を把持し、操作部5の後端外面に設けた摩擦部4で、被筆記面に形成された前記熱変色性インキ83による筆跡を摩擦し、その際に生じる摩擦熱で前記筆跡を熱変色させることができる。それにより、本実施の形態の熱変色性筆記具1は、前記摩擦変色する際、ペン先81を軸筒2内に没入させることが不要となり、ペン先突出状態、ペン先没入状態の何れの状態でも摩擦変色可能である。
【0139】
また、本実施の形態の熱変色性筆記具1を用いて筆記した後、ペン先没入状態にして、軸筒2の前端外面に設けた摩擦部4を用いて、被筆記面に形成された前記熱変色性インキ83による筆跡を摩擦し、その際に生じる摩擦熱で前記筆跡を熱変色させることができる。
【0140】
尚、前記第11の実施の形態において、他の構成及び作用効果については、第1及び第2の実施の形態と共通であるため説明を省略する。
【0141】
<第12の実施の形態>
本発明の熱変色性筆記具の第12の実施の形態を
図18乃至
図20に示す。
本実施の形態の熱変色性筆記具1は、第5の実施の形態の変形例であり、第5の実施の形態と異なる点は、軸筒2の前端部及び軸筒2の後端部に着脱自在のキャップ11を設けた点である。
【0142】
前記弾発体支持部2bの前面(即ち支持壁部の前面)と、軸筒2aの後端とにより、弾性材料よりなる円板状のシール体10が挟持固定される。前記シール体10は軸筒2aの後端と環状に密接される。前記シール体10は、複数(ここでは2個)の孔が貫設され、前記孔の内周面と各々の筆記体8の外周面とが環状に密接摺動される。前記孔が、筆記体8の各々の外面と密接摺動するシール部101を構成する。
【0143】
キャップ11は、非筆記時または保管時、軸筒2の前端部の外面に装着される。キャップ11を軸筒2の前端部の外面に装着した際、キャップ11内面が、軸筒2の前端部の外面と環状に密接し、それにより、軸筒2の前端孔31が密閉される。筆記時、キャップ11を軸筒2の前端部から取り外し、キャップ11を軸筒2の後端部外面に装着し、キャップ11の紛失を防止できる。
【0144】
キャップ11の頂部外面、軸筒2の前端部外面(即ち軸筒2aの前端部外面)、及び軸筒2の後端部外面(即ち後軸2cの後端部外面)には、摩擦部4が形成される。前記摩擦部4は、摩擦時に磨耗屑が殆ど生じない低摩耗性の弾性材料(例えば、SBS樹脂、SEBS樹脂)よりなる摩擦部4が形成される。前記摩擦部4は、キャップ11外面及び軸筒2外面に、2色成形、嵌合、圧入、螺合、接着等の手段により固着される。
【0145】
尚、前記第12の実施の形態において、他の構成及び作用効果については、第1及び第5の実施の形態と共通であるため説明を省略する。
【0146】
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
本出願は、2007年2月26日出願の日本特許出願(特願2007-046226)、2007年7月21日出願の日本特許出願(特願2007-190261)、2008年1月15日出願の日本特許出願(特願2008-005267)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
【符号の説明】
【0147】
1 熱変色性筆記具
2 軸筒
2a 前軸
2b 弾発体支持部
2c 後軸
2d 摩擦部操作部
21 窓孔
22 係止壁部
23 当接壁部
3 ペン先支持部
31 前端孔
4 摩擦部
41 前端外周縁
5 操作部
51 把持部
6 クリップ
7 弾発体
8 筆記体
81 ペン先
81a ボール
81b 弾発体
82 インキ収容部
82a ペン先ホルダー
82b インキ収容管
83 インキ
84 追従体
85 尾栓
9 操作体
91 後側突出部
92 前側突出部
93 嵌入部
94 鍔部
10 シール体
101 シール部
11 キャップ
【手続補正書】
【提出日】2024-01-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載の発明。