(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024023878
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】販売データ処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G07G 1/12 20060101AFI20240214BHJP
G07G 1/01 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
G07G1/12 361E
G07G1/01 301D
G07G1/01 301E
G07G1/12 301E
G07G1/12 321L
G07G1/12 331A
G07G1/12 321Z
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023218514
(22)【出願日】2023-12-25
(62)【分割の表示】P 2023026509の分割
【原出願日】2017-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】勝亦 元宏
(57)【要約】
【課題】決済方法に応じたサービスの提供を効率的に行うことが可能な販売データ処理装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】顧客が購入する商品の登録処理を実行する登録手段と、一取引で登録された前記商品の決済方法を指定する指定手段と、前記指定手段で指定された決済方法が、サービスを提供するための条件として予め設定された決済方法の条件を満たすか否かを判定する判定手段と、前記判定手段が前記サービスを提供するための条件を満たすと判定した場合に、前記商品の決済時に前記顧客に対して前記サービスを提供する提供手段と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客が購入する商品の登録処理を実行する登録手段と、
一取引で登録された前記商品の決済方法を指定する指定手段と、
前記指定手段で指定された決済方法が、サービスを提供するための条件として予め設定された決済方法の条件を満たすか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段が前記サービスを提供するための条件を満たすと判定した場合に、前記商品の決済時に前記顧客に対して前記サービスを提供する提供手段と、
を備える販売データ処理装置。
【請求項2】
前記顧客が所持する記憶媒体から電子マネー情報を取得する取得手段を更に備え、
前記判定手段は、前記電子マネー情報を用いる決済方法が指定された場合に、前記サービスを提供するための条件を満たすと判定する請求項1に記載の販売データ処理装置。
【請求項3】
前記判定手段は、前記電子マネー情報を用いる決済方法が指定された場合であっても、当該電子マネー情報で決済可能な金額が前記商品の代金に満たない場合には、前記サービスを提供するための条件を満たしていないと判定する請求項2に記載の販売データ処理装置。
【請求項4】
前記判定手段は、更に前記取引の取引内容が、前記サービスを提供するための条件として予め設定された取引内容の条件を満たすか否かを判定し、前記決済方法の条件及び前記取引内容の条件を満たした場合に、前記サービスを提供するための条件を満たすと判定する請求項1~3の何れか一項に記載の販売データ処理装置。
【請求項5】
前記判定手段が前記サービスを提供するための条件を満たしていると判定した場合に、前記提供手段が提供するサービスの内容を報知する報知手段を更に備える請求項1~4の何れか一項に記載の販売データ処理装置。
【請求項6】
販売データ処理装置のコンピュータを、
顧客が購入する商品の登録処理を実行する登録手段と、
一取引で登録された前記商品の決済方法を指定する指定手段と、
前記指定手段で指定された決済方法が、サービスを提供するための条件として予め設定された決済方法の条件を満たすか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段が前記サービスを提供するための条件を満たすと判定した場合に、前記商品の決済時に前記顧客に対して前記サービスを提供する提供手段と、
して機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、販売データ処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スーパーマーケット、百貨店、コンビニエンスストア等の店舗では、販売促進の一環として、商品の組み合わせやその数量などが所定の条件を満たした場合に値引等のサービスを提供する場合がある。係る店舗では、POS(Point Of Sale)端末等の販売データ処理装置において、購入商品の組み合わせやその数量が条件を満たすか否かを判定し、当該条件を満たした場合に値引等のサービスを提供している。
【0003】
また、近年では、現金以外の決済方法として、前払い(プリペイド)方式の電子マネーカード等を用いて決済することも可能となっている。店舗では、このような電子マネーカードの利用促進を図るため、商品の代金を電子マネーで支払うという条件を満たした場合に、値引等のサービスを提供することがある。
【0004】
しかしながら、従来では、決済方法をサービス提供の条件とする場合、顧客が指定した決済方法が条件を満たすか否かを店員が判断しているため非効率的であり、判断ミスが発生する可能性があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、決済方法に応じたサービスの提供を効率的に行うことが可能な販売データ処理装置及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の販売データ処理装置は、顧客が購入する商品の登録処理を実行する登録手段と、一取引で登録された前記商品の決済方法を指定する指定手段と、前記指定手段で指定された決済方法が、サービスを提供するための条件として予め設定された決済方法の条件を満たすか否かを判定する判定手段と、前記判定手段が前記サービスを提供するための条件を満たすと判定した場合に、前記商品の決済時に前記顧客に対して前記サービスを提供する提供手段と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係るPOS端末の外観を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るPOS端末のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、
図2に示した条件設定ファイルのデータ構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るPOS端末の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、実施形態のPOS端末が実行する販売データ処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、実施形態のPOS端末が表示する第1報知画面の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態のPOS端末が表示する第2報知画面の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態のPOS端末が表示する第3報知画面の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、実施形態のPOS端末が表示する第4報知画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態に係る販売データ処理装置及びプログラムについて、図面を参照して説明する。以下の実施形態では、販売データ処理装置及びプログラムを、スーパーマーケット、百貨店、コンビニエンスストア等の店舗で用いられるPOS端末に適用した例について説明するが、適用先はこの例に限定されるものではない。
【0009】
図1は、本実施形態に係るPOS端末1の外観を示す斜視図である。POS端末1は、本体部2と金銭収納部3とを備えている。本体部2は、操作部4、店員用表示部5、顧客用表示部6、印字部7、カードリーダ8、バーコードリーダ9、タッチパネル10及び近距離無線通信部11等を備えている。
【0010】
本体部2は、電源部や回路基盤(何れも図示せず)を内蔵する。金銭収納部3は、ドロワを備え、顧客から受け取った金銭や釣銭準備金を収納する。
【0011】
操作部4は、小計キー41、電子マネー宣言キー42(
図2を参照)の他、数字を置数する置数キー等、種々の操作キー等を備えたキーボードである。
【0012】
店員用表示部5は、例えば液晶ディスプレイで構成される。店員用表示部5は、店員に向けて設置されている。店員用表示部5は、文字や画像を表示する。店員用表示部5の表面には、透明のタッチパネル10が設けられている。店員が、店員用表示部5に表示されるキー部分のタッチパネル10をタッチ操作することで、店員は、店員用表示部5に表示されたキーを操作することができる。
【0013】
顧客用表示部6は、例えば液晶ディスプレイで構成される。顧客用表示部6は、顧客に向けて設置されている。顧客用表示部6は、文字や画像を表示する。
【0014】
印字部7は、サーマルヘッドや、ロール状の用紙を収納する収納部や、搬送部(何れも図示せず)等を備えている。搬送部が、用紙の一端部を収納部から引き出して搬送し、サーマルヘッドが、搬送された用紙に商品に関する商品情報や決済情報等を印字する。POS端末1は、印字部7で印字された用紙をさらに搬送することでレシート等を発行する。
【0015】
商品情報は、商品の名称、商品の価格等を含む。また、決済情報は、商品の合計金額(以下、商品総額ともいう)、割引額(値引額)、釣銭額、決済方法(支払方法)、支払い金額等を含む。なお、本実施形態のPOS端末1は、少なくとも現金を用いる決済方法(現金決済)と、後述する電子マネー情報を用いる決済方法(電子マネー決済)とを実行可能に構成されているものとする。
【0016】
カードリーダ8は、カードを手前に引く操作をする操作部と、操作したカードからカード情報を磁気的に読み取る読取部(何れも図示せず)を備えている。バーコードリーダ9は、商品に付されたバーコードを読み取り、POS端末1に商品コードを入力する。
【0017】
近距離無線通信部11は、RFID(Radio Frequency Identifier)やNFC(Near Field Communication)等の近距離無線通信規格に準拠した通信装置である。近距離無線通信部11は、顧客が所持する記憶媒体と近距離無線通信を行う。近距離無線通信部11は、記憶媒体から電子マネー決済に係る電子マネー情報を読み取り、POS端末1に入力する。なお、
図1では、近距離無線通信部11は、POS端末1に外付けされる例を示しているが、これに限らず、POS端末1と一体的に設けてもよい。また、近距離無線通信部11は、顧客用表示部6と同様に顧客に向けて配置してもよい。
【0018】
記憶媒体は、近距離無線通信部11と通信可能なものであれば、その種別や形状は特に問わないものとする。例えば、記憶媒体は、非接触ICチップを搭載した電子マネーカード等であってもよい。また、記憶媒体は、電子マネー機能を搭載したスマートフォン等の電子機器であってもよい。電子マネー情報には、前払い(プリペイド)された金額(以下、チャージ金額という)や、電子マネーサービスを提供する会社(ホストコンピュータ)とのデータ通信に係る情報等、電子マネー決済に係る情報が含まれるものとする。なお、本実施形態では、プリペイド方式の電子マネー決済について説明する。
【0019】
図2は、POS端末1のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。POS端末1は、各部を制御するための制御部100を備えている。制御部100は、
図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)21と、ROM(Read Only Memory)22と、RAM(Random Access Memory)23とを有する。CPU21は、アドレスバス、データバス等のバスライン26を介して、ROM22及びRAM23に接続される。また、制御部100には、バスライン26を介してコントローラ27が接続される。制御部100は、CPU21が、メモリ部24に記憶されRAM23に展開されたプログラムに従って動作することによって、各種の処理を実行する。
【0020】
メモリ部24は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の、リード/ライト可能な不揮発性の記憶媒体である。メモリ部24は、POS端末1の動作に係る各種プログラムや各種設定情報を記憶する。また、メモリ部24は、商品マスタファイル241、条件設定ファイル242を記憶する。
【0021】
商品マスタファイル241は、店舗で販売する各商品の商品コードに対応付けて、商品名や単価等を記憶するファイルである。商品コードは、商品を識別するための識別情報であり、例えばJAN(Japanese Article Number)コード等を用いることができる。
【0022】
条件設定ファイル242は、サービスの提供に関する諸条件(条件情報)を記憶するファイルである。
図3は、条件設定ファイル242のデータ構成の一例を示す図である。
【0023】
図3に示すように、条件設定ファイル242は、グループ番号と、テーブル番号と、提供期間と、提供条件と、サービス内容とを対応付けて記憶する。ここで、提供期間、提供条件及びサービス内容の組が一の条件情報に対応する。
【0024】
テーブル番号は、条件情報の各々を識別するための識別子である。テーブル番号には、他のテーブル番号とは異なる固有の数値が設定される。グループ番号は、条件情報をグループ化するための識別子である。グループ番号には、同一グループの条件情報(テーブル番号)に対して同一の番号が設定される。例えば、グループ番号“2”に対応付けられたテーブル番号“2”、“3”の条件情報は、同一グループに属することになる。
【0025】
提供期間には、取引内容に係る条件の一例として、サービスの提供期間に係る条件が設定される。設定内容や設定方法は特に問わず、種々の条件を設定することが可能である。例えば、テーブル番号“1”に示すように、サービスの提供を開始、終了する日時を設定してもよい。この場合、設定された開始日時から終了日時までの期間が、サービス提供期間となる。また、テーブル番号“2”に示すように、サービス提供期間として曜日を設定してもよい。また、テーブル番号“3”に示すように、サービス提供期間を空(null)としてもよい。なお、本実実施形態では、サービス提供期間が空欄の場合、サービスの提供を常時行うことを意味する。
【0026】
提供条件には、決済方法に係る条件や、提供期間以外の取引内容に係る条件等が設定される。設定内容や設定方法は特に問わず、種々の条件を設定することが可能である。例えば、テーブル番号“1”に示すように、商品総額を、特定の決済方法(電子マネー決済)で支払うことを条件としてもよい。また、テーブル番号“2”に示すように、特定の決済方法(電子マネー決済)で支払う金額が所定金額(2000円)以上であることを条件としてもよい。また、テーブル番号“3”に示すように、特定の商品X(対象商品)を、特定の決済方法(電子マネー決済)で支払うことを条件としてもよい。
【0027】
サービス内容には、提供するサービスの内容が設定される。設定内容や設定方法は特に問わず、種々のサービス内容を設定することが可能である。例えば、テーブル番号“1”に示すように、商品総額から所定の割合(5%)の金額を割り引くことをサービス内容としてもよい。また、テーブル番号“2”に示すように、電子マネーで支払われる金額から所定の割合(3%)の金額を割り引くことをサービス内容としてもよい。また、テーブル番号“3”に示すように、対象商品の単価から所定の金額(20円)を値引きすることをサービス内容としてもよい。
【0028】
本実施形態のPOS端末1では、上記したグループ番号又はテーブル番号の単位で、条件情報の有効化/無効化を設定することができる。例えば、テーブル番号“1”が有効化された場合には、テーブル番号“1”の条件情報が有効化される。また、例えば、グループ番号“2”が有効化された場合には、テーブル番号“2”又は“3”の条件情報が有効化される。POS端末1は、各顧客の取引が、有効化された条件情報の条件を満たすか否かを判定し、条件を満たした場合に当該条件情報に設定されたサービス(サービス内容)を顧客に提供する。
【0029】
なお、条件設定ファイル242の設定内容は、
図3の例に限定されないものとする。例えば、提供条件の他の例として、一取引で使用される決済方法の種別が所定数以下であることを、サービス提供条件として設定してもよい。この場合、一取引で使用される決済方法が少ないほど、その取引に要する時間や店員の手間を減らすことができるため、例えば決済方法の種別を2以下等とすることが好ましい。また、決済方法の種別として、特定の決済方法(例えば電子マネー決済)を含むことを条件としてもよい。
【0030】
また、提供条件の他の例として、特定の電子マネーカードを用いて支払いが行われることを条件としてもよい。この場合、店舗等が独自に発行する電子マネーカードの使用を提供条件とすることで、当該電子マネーカードの販売促進や利用促進を図ることができる。なお、記憶媒体(電子マネーカード)の判別は、電子マネー情報に含まれる識別情報等に基づいて行うことができる。
【0031】
さらに、条件情報の有効化/無効化は、手動で設定する構成としてもよいし、自動で設定する構成としてもよい。自動で行う場合、POS端末1は、予め定められたスケジュールに従い、条件情報の有効化/無効化を切り替える構成としてもよい。例えば、POS端末1は、10時から14時までの間はテーブル番号“1”を有効化し、16時から20時までの間はグループ番号“2”を有効化する構成としてもよい。
【0032】
図2に戻り、制御部100は、バスライン26を介してタイマー25と接続している。タイマー25は、例えばRTC(Real Time Clock)等であり、現在の日時や曜日を計時する。
【0033】
また、コントローラ27は、金銭収納部3、操作部4、店員用表示部5、顧客用表示部6、印字部7、カードリーダ8、バーコードリーダ9、タッチパネル10、近距離無線通信部11と接続されている。コントローラ27は、制御部100からの指令に基づいて各種制御を実行する。操作部4は、小計キー41や電子マネー宣言キー42の他、置数キーや各種のファンクションキー等を備える。小計キー41は、商品情報の入力を終了して、決済処理を実行するためのキーである。電子マネー宣言キー42は、電子マネー決済の実行を宣言するためのキーである。
【0034】
また、バスライン26は、LAN(Local Area Network)I/F(Interface)28と接続されている。LANI/F28は、図示しないネットワークを介して、他のPOS端末1や上位サーバ(何れも図示せず)等と通信可能に接続される。
【0035】
次に、POS端末1の機能構成について説明する。
図4は、POS端末1の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0036】
図4に示すように、POS端末1の制御部100は、メモリ部24に記憶されたプログラムを実行することで、情報入力部1101と、特定部1102と、登録部1103と、算出部1104と、読取部1105と、サービス提供部1106と、決済処理部1107と、表示制御部1108とを実現する。なお、制御部100は、操作部4(電子マネー宣言キー42、置数キー等)とともに、決済方法を指定する指定手段の一例として機能する。
【0037】
情報入力部1101は、商品を識別するための商品識別情報を入力する。具体的には、情報入力部1101は、バーコードリーダ9から出力される商品コードを商品識別情報として入力する。
【0038】
特定部1102は、商品識別情報に基づいて商品を特定する。具体的には、特定部1102は、商品マスタファイル241を参照し、情報入力部1101が入力した商品コードに対応する商品を特定する。
【0039】
登録部1103は、登録手段の一例である。登録部1103は、特定部1102が特定した商品について、商取引に係る内容を示した販売データを登録する。具体的には、登録部1103は、特定された商品の商品情報を商品マスタファイル241から取得する。また、登録部1103は、取得した商品情報と、別途入力された商品の個数(購入数)とを関連付けた販売データを生成する。そして、登録部1103は、生成した販売データをRAM23に保持することで商品の登録を行う。
【0040】
算出部1104は、登録された販売データの各々について、その販売データに含まれる商品の金額を算出する。具体的には、算出部1104は、販売データに含まれる商品の単価と個数とを乗算することで、その商品の商取引に係る金額を算出する。また、算出部1104は、販売データ毎に算出した金額を合算することで、一取引分の商品の合計金額(商品総額)を算出する。
【0041】
読取部1105は、取得手段の一例である。読取部1105は、近距離無線通信部11を介して、顧客が所持する記憶媒体から電子マネー情報を読み取る。具体的には、読取部1105は、電子マネー宣言キー42が操作されたことを条件に、近距離無線通信部11と通信が確立した顧客の記憶媒体から、電子マネー情報を読み取る。
【0042】
サービス提供部1106は、判定手段及び提供手段の一例である。サービス提供部1106は、条件設定ファイル242に基づいて、一取引に係る決済方法や取引内容がサービスを提供するための条件を満たしているか否かを判定する。具体的には、サービス提供部1106は、有効化された条件情報に基づいて、一取引に係る決済方法や取引内容がその条件情報に設定された条件(提供期間、提供条件)を満たすか否かを判定する。
【0043】
また、サービス提供部1106は、条件情報に設定された条件を満たしたと判定した場合、その条件情報に設定されたサービス(サービス内容)を提供する。例えば、サービス内容に割引や値引が指示されている場合には、サービス提供部1106は、対象となる金額(商品の合計金額、電子マネーで支払われる金額等)に対し所定金額の割引や値引を適用する。
【0044】
なお、複数の条件情報が有効化されており、一取引の間でこれら複数の条件情報の条件を満たしたような場合には、サービス提供部1106は、条件情報の各々に設定されたサービスを提供してもよいし、何れか一の条件情報に設定されたサービスを提供してもよい。後者の場合、例えばサービス提供部1106は、割引(値引)が多重に行われる商品の有無を判定し、当該商品が存在する場合に、何れか一の条件情報を用いてサービスを提供するように制御してもよい。条件情報の選定方法は特に問わないものとするが、例えば、サービス提供部1106は、値引額が大きい条件情報を優先的に選定するよう制御してもよい。
【0045】
決済処理部1107は、一取引で登録された各商品の決済処理を実行する。具体的には、決済処理部1107は、一取引で登録された各商品の合計金額(商品総額)や、サービス提供部1106によるサービス提供後の商品総額に基づき、一取引で登録された各商品の決済処理を実行する。例えば、決済処理部1107は、現金(紙幣、硬貨)で支払われた金額に基づき、現金による決済処理を実行する。また、決済処理部1107は、読取部1105が読み取った電子マネー情報に含まれるチャージ金額に基づき、電子マネーにより決済処理を実行する。
【0046】
表示制御部1108は、報知手段の一例である。表示制御部1108は、店員用表示部5及び顧客用表示部6の表示制御を行う。例えば、表示制御部1108は、登録部1103で登録された各商品の内訳や、算出部1104が算出した合計金額、サービス提供部1106による値引後の金額等を、店員用表示部5や顧客用表示部6に表示する。また、表示制御部1108は、各種の報知画面を店員用表示部5や顧客用表示部6に表示する。
【0047】
次に、POS端末1の動作について説明する。
図5は、POS端末1が実行する販売データ処理の一例を示すフローチャートである。なお、本処理では、
図3に示したテーブル番号“1”の条件情報のように、商品総額の全てを電子マネーで支払うことがサービスの提供条件として有効化されているものとする。
【0048】
まず、情報入力部1101は、商品を識別する商品識別情報が入力されたか否かを判定する(ステップS11)。商品識別情報が入力されない場合には(ステップS11;No)、ステップS14に移行する。
【0049】
商品識別情報が入力されると(ステップS11;Yes)、特定部1102は、商品マスタファイル241に基づいて、入力された商品識別情報の商品を特定する(ステップS12)。次いで、登録部1103は、特定された商品の商品名、単価、個数等を含んだ販売データをRAM23に登録し(ステップS13)、ステップS14に移行する。
【0050】
ステップS14では、制御部100が、小計キー41の操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS14)。小計キー41が操作されない場合(ステップS14;No)、制御部100は、ステップS11に処理を戻す。
【0051】
また、制御部100は、ステップS14で小計キー41の操作を受け付けると(ステップS14;Yes)、RAM23に登録された各商品の販売データを一取引分の商品とし、ステップS15に移行する。
【0052】
続いて、制御部100は、決済方法が指定されるまで待機する。ここで、例えば、置数キーの入力等により現金で支払われた金額が入力されると、制御部100は、現金による決済方法が指定されたと判定する(ステップS15;No)。そして、制御部100は、指定された決済方法を決済処理部1107に指定(通知)する。
【0053】
決済処理部1107は、指定された決済方法で支払われる金額が商品総額以上か否か、つまり商品総額を充足するか否かを判定する(ステップS16)。例えば、決済処理部1107は、置数キー等を介して入力された現金の金額が商品総額以上か否かを判定する。
【0054】
ステップS16で商品総額を充足すると判定した場合(ステップS16;Yes)、決済処理部1107は、支払金額に基づいて商品総額の全額を決済する決済処理を実行し(ステップS17)、ステップS34に移行する。
【0055】
また、商品総額を充足しないと判定した場合(ステップS16;No)、決済処理部1107は、支払金額に基づいて商品総額の一部を決済する決済処理を実行し(ステップS18)、ステップS15に戻る。以下、一部の支払いが行われた後の商品総額の残額を、商品残額という。なお、ステップS17やS18等で実行された決済処理の内訳は、本処理が終了するまでの間、RAM23等に保持されるものとする。
【0056】
また、ステップS15において、電子マネー宣言キー42の操作を受け付けると、制御部100は、電子マネーによる決済方法が指定されたと判定する(ステップS15;Yes)。そして、制御部100は、指定された決済方法をサービス提供部1106及び決済処理部1107に指定(通知)する。
【0057】
サービス提供部1106は、指定された決済方法及び現在の取引内容が、サービスを提供するための条件を満たすか否かを判定する(ステップS19)。
【0058】
例えば、サービス提供部1106は、現在の日時や曜日が、条件設定ファイル242の条件情報に設定された提供期間の範囲内か否かを判定し、範囲内と判定した場合に条件の一要素を満たすと判定する。また、例えば、サービス提供部1106は、商品総額の全てが電子マネーで支払われるか否か、すなわち電子マネー以外の他の決済方法(現金決済)で決済処理が行われたか否かを判定し、他の決済方法が行われていないと判定した場合に、条件の一要素を満たすと判定する。そして、サービス提供部1106は、条件情報を構成する全ての要素が充足した場合に、サービスを提供するための条件を満たすと判定する。
【0059】
ステップS19で条件を満たさないと判定された場合(ステップS19;No)、表示制御部1108は、サービスが提供されないことを報知する画面(第1報知画面)を、店員用表示部5や顧客用表示部6に表示し(ステップS20)、ステップS23に移行する。
【0060】
図6は、第1報知画面の一例を示す図である。なお、
図6は、店員用表示部5に表示される第1報知画面を示している。
図6に示すように、表示制御部1108は、サービスが提供されないことや、提供できない理由を報知するメッセージG11を、第1報知画面G1に表示する。また、表示制御部1108は、処理の継続を確認するメッセージG12を第1報知画面G1に表示する。また、表示制御部1108は、電子マネー決済の中止を指示するためのボタンB11を、第1報知画面G1に表示する。表示制御部1108は、読取部1105が電子マネー情報を読み取ったことを条件に、第1報知画面G1を消去する。なお、画面中のボタンB11が操作された場合には、表示制御部1108が第1報知画面G1を消去した後、ステップS15に処理を戻すものとする。
【0061】
また、ステップS19で条件を満たした場合(ステップS19;Yes)、サービス提供部1106は、条件情報に設定されたサービス内容を提供する(ステップS21)。例えば、サービス内容として商品総額に対する割引が指示されていた場合、サービス提供部1106は、指定された割引率を商品総額に乗算することで割引額を算出する。そして、サービス提供部1106は、商品総額から割引額を減額した金額を、サービス適用後の商品総額に設定する。また、サービス内容として値引が指示されていた場合、サービス提供部1106は、指定された値引額を商品代金から減額した金額を、サービス適用後の商品総額に設定する。
【0062】
続いて、表示制御部1108は、サービスを提供したことを報知する第2報知画面を、店員用表示部5や顧客用表示部6に表示し(ステップS22)、ステップS23に移行する。
【0063】
図7は、第2報知画面の一例を示す図である。なお、
図7は、店員用表示部5に表示される第2報知画面を示している。
図7に示すように、表示制御部1108は、サービスが提供されたことや、サービス提供の成立理由を報知するメッセージG21を、第2報知画面G2に表示する。また、表示制御部1108は、サービスの提供によって割引された金額G22、割引後の商品総額G23を第2報知画面G2に表示する。また、表示制御部1108は、記憶媒体を近距離無線通信部11にかざすことを顧客に案内することを指示するメッセージG24を第2報知画面G2に表示する。
【0064】
また、表示制御部1108は、電子マネー決済の中止を指示するためのボタンB21を、第2報知画面G2に表示する。表示制御部1108は、読取部1105が電子マネー情報を読み取ったことを条件に、第2報知画面G2を消去する。なお、画面中のボタンB21が操作された場合には、表示制御部1108が第1報知画面G1を消去した後、ステップS15に処理を戻すものとする。
【0065】
図5に戻り、読取部1105は、顧客が所持する記憶媒体から電子マネー情報を読み取るまで待機する(ステップS23;No)。読取部1105により電子マネー情報が読み取られると(ステップS23;Yes)、決済処理部1107は、電子マネー情報に含まれたチャージ金額が商品総額(又は商品残額)以上か否か、つまり商品総額(又は商品残額)を充足するか否かを判定する(ステップS24)。
【0066】
チャージ金額が商品総額(又は商品残額)未満の場合(ステップS24;No)、サービス提供部1106は、ステップS21で提供したサービスを解除し(ステップS25)、ステップS26に移行する。具体的には、サービス提供部1106は、現在設定されているサービス適用後の商品総額を、サービス適用前の商品総額に戻すことでサービスの解除を行う。なお、ステップS21でサービスの提供が行われていない場合には、ステップS25をスキップし、ステップS26に直ちに移行する。
【0067】
続くステップS26では、表示制御部1108が、チャージ金額の不足を報知する画面(第3報知画面)を店員用表示部5や顧客用表示部6に表示する(ステップS26)。
【0068】
図8は、第3報知画面の一例を示す図である。なお、
図8は、店員用表示部5に表示される第3報知画面を示している。
図8に示すように、表示制御部1108は、チャージ金額の不足を報知するメッセージG31を第3報知画面G3に表示する。また、表示制御部1108は、現在のチャージ金額G32、不足分の金額G33を第3報知画面G3に表示する。また、表示制御部1108は、現在のチャージ金額で支払いを行う残高支払いを行う場合、サービス(割引)が提供されないことを報知するメッセージG34、サービス非提供時の商品総額G35を第3報知画面G3に表示する。また、表示制御部1108は、サービス提供後の商品総額G36を第3報知画面G3に表示する。ここで、表示制御部1108は、商品総額G35と商品総額G36とを対比可能な状態で表示することが好ましい。なお、ステップS21でサービスの提供が行われていない場合には、表示制御部1108は、メッセージG34、商品総額G35及び商品総額G36を非表示とする。
【0069】
また、表示制御部1108は、ボタンB31~B33を第3報知画面G3に表示する。ボタンB31は、電子マネー決済の中止を指示するための操作子である。また、ボタンB32は、電子マネーのチャージを指示するための操作子である。また、ボタンB33は、処理の継続を指示するための操作子である。
【0070】
図5に戻り、制御部100は、ボタンB31~B33の何れかが操作されるまで待機する(ステップS27;No→ステップS28;No→ステップS29;No)。ここで、ボタンB31の操作により電子マネー決済の中止が指示されると(ステップS27;Yes)、制御部100は、ステップS15に処理を戻す。この場合、顧客は、電子マネー決済以外の他の決済方法によって商品総額(又は商品残金)を支払うことができる。
【0071】
また、ボタンB32の操作により電子マネーのチャージが指示されると(ステップS28;Yes)、制御部100は、近距離無線通信部11及び読取部1105等と協働することで、顧客の記憶媒体に追加分の金額をチャージするチャージ処理を実行する(ステップS30)。そして、制御部100は、チャージ処理が完了すると、ステップS15に処理を戻す。この場合、顧客は、電子マネー決済又は他の決済方法によって商品総額(又は商品残金)を支払うことができる。
【0072】
また、ボタンB33の操作により処理の継続が指示されると(ステップS29;Yes)、表示制御部1108は、処理の継続を確認する画面(第4報知画面)を店員用表示部5や顧客用表示部6に表示する(ステップS31)。
【0073】
図9は、第4報知画面の一例を示す図である。なお、
図9は、店員用表示部5に表示される第4報知画面を示している。
図9に示すように、表示制御部1108は、サービスが提供されないことや、提供できない理由を報知するメッセージG41を第4報知画面G4に表示する。また、表示制御部1108は、記憶媒体を近距離無線通信部11にかざすことを顧客に案内することを指示するメッセージG42を第4報知画面G4に表示する。
【0074】
また、表示制御部1108は、継続中止を指示するためのボタンB41を、第4報知画面G4に表示する。表示制御部1108は、読取部1105が電子マネー情報を読み取ったことを条件に、第4報知画面G4を消去する。なお、画面中のボタンB41が操作された場合には、表示制御部1108は、第4報知画面G4を消去した後、ステップS26に戻ることで、第3報知画面G3を再度表示する。
【0075】
図5に戻り、読取部1105による電子マネー情報の読み取りにより、処理の継続が指示されると、決済処理部1107は、電子マネー情報に含まれたチャージ金額に基づき、商品総額(又は商品残額)の一部を決済する決済処理を実行する(ステップS32)。そして、制御部100は、ステップS15に処理を戻す。この場合、顧客は、残りの代金(商品残金)を、電子マネー以外の他の支払方法で支払うことができる。
【0076】
一方、チャージ金額が商品総額(又は商品残金)を充足する場合(ステップS24;Yes)、決済処理部1107は、電子マネー情報に含まれたチャージ金額に基づき、商品総額(又は商品残額)の全額を決済する決済処理を実行し(ステップS33)、ステップS34に移行する。なお、サービス提供後の商品総額が設定されている場合には、決済処理部1107は、そのサービス提供後の商品総額に基づいて決済処理を実行する。
【0077】
そして、制御部100は、登録された各商品の商品情報や、決済処理の内訳を示す決済情報等を印字したレシートを発行し(ステップS34)、本処理を終了する。
【0078】
なお、上記の販売データ処理では、電子マネー決済が指定された場合に、サービスの提供に係る条件判定を行う例を説明したが、電子マネー以外の決済方法が指定された場合にも条件判定を行う構成としてもよい。具体的には、ステップS16の直前に、ステップS19~S22と同様の処理を行う構成としてもよい。
【0079】
また、上記の販売データ処理では、店員用表示部5に表示する画面例を説明したが、顧客用表示部6に表示する場合も同様の内容を表示してもよい。この場合、表示制御部1108は、店員向けのメッセージを顧客用のメッセージに変更した内容を顧客用表示部6に表示する。例えば、表示制御部1108は、メッセージG12等に含まれる文言「…して頂けるようお客様にご案内ください。」を、「…してください。」等に変更して表示する。
【0080】
以上のように、POS端末1は、条件設定ファイル242に設定された条件情報に基づいて、顧客が指定した決済方法がサービスの提供に係る条件を満たすか否かを自動で判定することできる。これにより、POS端末1は、決済方法に応じたサービスの提供を効率的に行うことができるため、各取引に係る処理の効率化を図ることができる。
【0081】
また、POS端末1は、サービスの提供が成立した場合に、そのサービス内容を報知する。これにより、店員や顧客は、サービスが提供されたことや、その内容を容易に確認することができるため、利便性を向上させることができる。さらに、POS端末1は、サービスを提供できない場合に、その旨を報知するとともに、その理由を報知する。これにより、店員や顧客は、サービスが提供されないことや、その理由を容易に確認することができるため、利便性を向上させることができる。また、顧客は、サービスが提供されない理由を知ることで、サービスが提供される決済方法に切り替える等対処することができるため、サービス享受に係る機会を増やすことができる。
【0082】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0083】
例えば、上記実施形態では、電子マネー以外の他の決済方法として現金決済を挙げたが、他の決済方法はこれに限らず、クレジット決済やポイント決済等を含めてもよい。
【0084】
また、上記実施形態では、電子マネー決済で支払いが行われることを、サービスの提供条件としたが、これに限らず、他の決済方法をサービスの提供条件としてもよい。
【0085】
また、上記実施形態では、POS端末1が商品マスタファイル241及び条件設定ファイル242を保持する構成としたが、これに限らないものとする。例えば、POS端末1がアクセス可能な外部装置(例えば上位サーバ)が、商品マスタファイル241及び条件設定ファイル242の両方又は一方を保持する構成としてもよい。
【0086】
また、上記実施形態のPOS端末1で実行されるプログラムは、当該POS端末1が備える記憶媒体(ROM22又はメモリ部24)に予め組み込んで提供するが、提供方法はこれに限らないものとする。例えば、プログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。更に、記憶媒体は、コンピュータ或いは組み込みシステムと独立した媒体に限らず、LANやインターネット等により伝達されたプログラムをダウンロードして記憶または一時記憶した記憶媒体も含まれる。
【0087】
また、上記実施形態のPOS端末1で実行されるプログラムをインターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることで提供してもよいし、インターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0088】
1 POS端末
100 制御部
1101 情報入力部
1102 特定部
1103 登録部
1104 算出部
1105 読取部
1106 サービス提供部
1107 決済処理部
1108 表示制御部
241 商品マスタファイル
242 条件設定ファイル
【先行技術文献】
【特許文献】
【0089】