(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002396
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】車両用圧縮空気経路の制動装置
(51)【国際特許分類】
F04B 39/16 20060101AFI20231228BHJP
B01D 53/26 20060101ALI20231228BHJP
B01D 35/02 20060101ALI20231228BHJP
B60T 17/00 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
F04B39/16 F
B01D53/26 100
B01D35/02 Z
B60T17/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101549
(22)【出願日】2022-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】314012858
【氏名又は名称】パワードライヤー有限会社
(71)【出願人】
【識別番号】521182917
【氏名又は名称】株式会社大川製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
(74)【代理人】
【識別番号】100194261
【弁理士】
【氏名又は名称】栢原 崇行
(72)【発明者】
【氏名】本橋 孝雄
【テーマコード(参考)】
3D049
3H003
4D052
4D116
【Fターム(参考)】
3D049AA02
3D049AA03
3D049BB09
3D049BB41
3D049CC03
3D049HH04
3D049HH05
3D049HH06
3D049HH18
3D049HH26
3D049HH30
3H003AC02
3H003BG04
3H003CD07
4D052AA01
4D052AA06
4D052BB02
4D052EA00
4D116BB01
4D116BC27
4D116BC44
4D116BC47
4D116BC75
4D116DD05
4D116GG03
4D116KK04
4D116VV01
(57)【要約】
【課題】きわめて清浄でかつ低密度の乾燥空気をエアタンクに与えること。
【解決手段】圧縮機から吐出された圧縮空気に混入したゴミや油分を分離捕捉する油分除去手段と、油分除去手段によって油分が除去された圧縮空気に混入している水分を除去するエアドライヤと、このエアドライヤの下流側の空気経路に設けられたエアタンク、エアタンクに接続するブレーキバルブ・制御弁装置・エアマスタを含むブレーキシステムを備える車両用圧縮空気経路における制動装置に於いて、圧縮機とエアタンクとの間の圧縮空気経路に圧縮空気に含まれている水分を除去する機能を有する気液分離装置を、少なくとも一機介在させ、気液分離装置は、容器内に圧縮空気に含まれている水分を除去する筒状の第1の気液分離手段と、この第1の気液分離手段内に入り込んだ気液分離中の圧縮空気からさらに水分を除去する気体流量制御小孔を有する第2の気液分離手段を有すること。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機から吐出された圧縮空気に混入したゴミや油分を分離捕捉する油分除去手段と、前記油分除去手段によって油分が除去された圧縮空気に混入している水分を除去するエアドライヤと、このエアドライヤの下流側の空気経路に設けられたエアタンク、前記エアタンクに接続するブレーキバルブ・制御弁装置・エアマスタを含むブレーキシステムを備える車両用圧縮空気経路における制動装置に於いて、
前記圧縮機と前記エアタンクとの間の圧縮空気経路に前記圧縮空気に含まれている水分を除去する機能を有する気液分離装置を、少なくとも一機介在させ、前記気液分離装置は、容器内に、前記圧縮空気に含まれている水分を除去する筒状の第1の気液分離手段と、この第1の気液分離手段内に入り込んだ気液分離中の圧縮空気からさらに水分を除去する気体流量制御小孔を有する第2の気液分離手段を有する、車両用圧縮空気経路の制動装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用圧縮空気経路の制動装置に於いて、気液分離手段を構成する第1の気液分離手段は、前記圧縮空気の空気流を前記容器の吸入口側から該容器の底壁内面側へと整流的に案内する第1冷却部分又は前記容器の底壁内面側から筒状胴体部の下端開口へと方向転換して該筒状胴体部の中に入り込んだ気液分離中の空気流を上方に向かって整流的に案内する第2冷却部分のいずれか一方を有する筒状体であり、一方、第2の気液分離手段は、前記蓋体に接続する接続筒の下端部に設けられていると共に、気液分離中の空気流からさらに水分を除去する複数の気体流量制御小孔を有する盤状の邪魔部であることを特徴とする、車両用圧縮空気経路の制動装置。
【請求項3】
請求項1に記載の車両用圧縮空気経路の制動装置に於いて、前記エアタンクとプレッシャレギュレータとの間に前記エアタンクに貯留している空気の一部を前記プレッシャレギュレータに与える第1空気供給管と、前記プレッシャレギュレータとアンドロード機構とのとの間に第2空気供給管を接続し、かつ前記気液分離装置を構成する水排出手段に該第2空気供給管に流れた空気の一部を供給する第3空気供給管を接続したことを特徴とする、車両用圧縮空気経路の制動装置。
【請求項4】
請求項1に記載の車両用圧縮空気経路の制動装置に於いて、前記気液分離装置は、複数個配設されていることを特徴とする、車両用圧縮空気経路の制動装置。
【請求項5】
請求項1に記載の車両用圧縮空気経路の制動装置に於いて、前記気液分離装置は、前記エアドライヤの前後の空気経路に、少なくとも一機設けられていることを特徴とする、車両用圧縮空気経路の制動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用圧縮空気経路の制動装置に関し、特に大型自動車の縮空気経路に存在するエアタンクに、清浄な圧縮空気を供給することができる車両用圧縮空気経路の制動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
まず特許文献1は、車両のブレーキ装置に関するもので、該特許文献1には、トラック、バス等の大型自動車の駆動部(エンジン)によって駆動されて圧縮空気を吐出するエアコンプレッサ、前記圧縮空気に含まれている固形物(ゴミ)、油分及び水分を除去することができるエアドライヤが記載されている。この特許文献1に記載のエアドライヤは、ハウジング16と、このハウジング内に固定的に設けられた筒状ホルダー20を有し、前記筒状ホルダー20の内部に乾燥剤18が充填されている。エアコンプレッサから圧送されてくる圧縮空気の中には、少なくとも水分が含まれているが、前記水分は前記乾燥剤18を通過する際に除去される(符号は特許文献1のもの)。
【0003】
次に特許文献2には、トラック、バス等の大型自動車の駆動部(エンジン)によって駆動されて圧縮空気を吐出するエアコンプレッサからエアドライヤまでの圧縮空気経路に於いて、前記エアコンプレッサから吐出された圧縮空気中に混入した油分(潤滑油)を分離する油分除去フィルターを容器に内装した車両用圧縮空気経路の油排出装置が記載されている。前記油分除去フィルターを含む油排除手段は、エアコンプレッサとエアドライヤの間に空気配管に配設されていることから、前記エアドライヤに流れ込む圧縮空間には油分は含まれず、高密度の水分が含まれる。したがって、エアドライヤの容器内部に油分が残留しないようにすることができるという利点がある。
【0004】
ところで、トラック、バス等の大型自動車の圧縮空気経路を含む制動装置に使用されているエアドライヤを分解してみると、ゴミや油分は捕捉できているものの、容器の内部にゴミが貯まっており、さらに錆びも見受けられる。
【0005】
したがって、車両用圧縮空気経路の制動装置に清浄な圧縮空気を供給するためには、圧縮空気経路(流体の流れるライン)に、固形物と油分と水分を可能な限り、効率的に除去することができる装置を配設した制動装置の出現が要望される。
なお、特許文献3には、エアドライヤの技術は、精密電子部品製造工場でも使用され、圧縮空気を清浄及び除湿する機能がある旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭63-35425号
【特許文献2】実開平7-10478号
【特許文献3】特開昭63-205120号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の主たる目的は、特許文献1及び特許文献2の問題点に鑑み、圧縮空気経路(流体の流れるライン)を流れる圧縮空気に含まれる、固形物と、油分と、水分を可能な限り効率的に除去することにより、エアタンクにより清浄な低密度の乾燥空気を送ることである。第2の目的は、エアドライヤの容器内部に流れる圧縮空気の状態を「極力、低密度の乾燥空気」にすることである。その他の目的は、従属項によって特定される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の車両用圧縮空気経路の制動装置は、エンジンにより駆動されて圧縮空気を吐出する圧縮機と、前記圧縮機から吐出された圧縮空気に混入したゴミや油分を分離捕捉する油分除去手段と、前記油分除去手段によって油分が除去された圧縮空気に混入している水分を除去するエアドライヤと、このエアドライヤの下流側の空気経路に設けられたエアタンク、前記エアタンクに接続するブレーキバルブ・制御弁装置・エアマスタを含むブレーキシステムを備える車両用圧縮空気経路における制動装置に於いて、前記圧縮機と前記エアタンクとの間の圧縮空気経路に前記圧縮空気に含まれている水分を除去する機能を有する気液分離装置を、少なくとも一機介在させ、前記気液分離装置は、容器内に、前記圧縮空気に含まれている水分を除去する筒状の第1の気液分離手段と、この第1の気液分離手段内に入り込んだ気液分離中の圧縮空気からさらに水分を除去する気体流量制御小孔を有する第2の気液分離手段を有することを特徴とする。これにより、圧縮空気経路(流体の流れるライン)を流れる圧縮空気に含まれる、固形物と、油分と、水分を可能な限り効率的に除去することにより、エアタンクにより清浄な低密度の乾燥空気を送ることができる。
【0009】
上記構成に於いて、気液分離手段を構成する第1の気液分離手段は、前記圧縮空気の空気流を前記容器の吸入口側から該容器の底壁内面側へと整流的に案内する第1冷却部分又は前記容器の底壁内面側から筒状胴体部の下端開口へと方向転換して該筒状胴体部の中に入り込んだ気液分離中の空気流を上方に向かって整流的に案内する第2冷却部分のいずれか一方を有する筒状体であり、一方、第2の気液分離手段は、前記蓋体に接続する接続筒の下端部に設けられていると共に、気液分離中の空気流からさらに水分を除去する複数の気体流量制御小孔を有する盤状の邪魔部であることを特徴とする。これにより、圧縮空気経路を流れる圧縮空気に含まれている水分を可能な限り効率的に除去することができる。
【0010】
また上記構成に於いて、前記エアタンクとプレッシャレギュレータとの間に前記エアタンクに貯留している空気の一部を前記プレッシャレギュレータに与える第1空気供給管と、前記プレッシャレギュレータとアンドロード機構とのとの間に第2空気供給管を接続し、かつ前記気液分離装置を構成する水排出手段に該第2空気供給管に流れた空気の一部を供給する第3空気供給管を接続したことを特徴とする。これにより、気液分離装置の容器の下部側に貯まった水を自動的に排出することができる。
【0011】
また上記構成に於いて、前記気液分離装置は、複数個配設されていることを特徴とする。これにより、より一層、清浄な圧縮空気をブレーキ装置のエアタンクに送ることができる。なお、好ましい実施形態では、前記エアドライヤの前後の空気経路に、少なくとも一機設けられている。
【0012】
なお、油分除去手段としては、少なくとも圧縮空気の経路中に配設した油分除去装置4の容器内の油分除去手段、或いはエアドライヤ6の容器内に設けた油分除去手段4Aのいずれか一方であり、圧縮空気に含まれている油分を確実に捕集できるものであれば特に限定されず、(a)天然繊維、合成繊維等からなる、織布、不織布等の濾布、(b)焼結金属からなる金網、(c)焼結金属からなる不織布、(d)天然繊維、ガラス繊維等からなる濾過板(多孔板)、(e)合成樹脂からなる網、(f)その他、濾紙、ガラス繊維フィルター、セラミックス材料の筒体等が挙げられる。
【発明の効果】
【0013】
特許文献1及び特許文献2の問題点に鑑み、固形物と油分と水分を可能な限り効率的に除去することができので、きわめて清浄でかつ低密度の乾燥空気をエアタンクに与えることができる。実施形態では、エアドライヤの上流側に気液分離装置を一機、又は二連式に配設することにより、前記エアドライヤの容器にきわめて低密度の乾燥空気を与えることができる。したがって、エアドライヤの内部をきれいな状態に保つことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1乃至
図9は本発明の第1実施形態の制動装置を示す各説明図。
図10及び
図11は本発明の第2実施形態の制動装置を示す各説明図。
図12乃至
図17は気液分離装置の第2実施形態を示す各説明図。
図18は本発明の第3実施形態の制動装置を示す各説明図。
図19は本発明の第4実施形態の制動装置を示す各説明図。
【
図1】制動装置の全体の概略説明図(第1実施形態では、油分除去手段と水分除去手段が別個である)。
【
図4】要(接続管、気液分離手段)部の概略説明図。
【
図6】(a)は容器の蓋体に流れ込んだ圧縮空気の流線、(b)は蓋体内で方向変換して下方に流れる圧縮空気の流線をそれぞれ示す説明図。
【
図7】(c)は蓋体側から容器本体の内周壁と筒状体の外周壁の間の流路に向かって流れる圧縮空気の流線、(d)は容器本体の下端部側の内壁壁を旋回して方向変換し、筒状体の下端開口へ向かう圧縮空気の流線を示す説明図。
【
図8】(e)は筒状体の内部空間に入り込んだ圧縮空気の流線、(f)は邪魔板と接続管とを通過する乾燥空気の流線を示す説明図。
【
図10】制動装置の全体の概略説明図(第2実施形態では、エアドライヤは容器の中に油分除去手段と水分除去手段を内蔵している)。
【
図11】
図10における要部(エアドライヤ)の内部構造を示す概略説明図。
【
図12】気液分離装置の第2実施形態を示す概略説明図。
【
図13】気液分離手段の斜視図(第1の気液分離手段と第2の第1の気液分離手段が一体的に結合)。
【
図14】下端部に盤状の邪魔部を有する接続筒の斜視図。
【
図16】蓋体の吸引側及び第1の気液分離手段に案内される圧縮空気の流線及び水滴の落下状態の概略説明図。
【
図17】第2の気液分離手段に案内される圧縮空気の流線及び水滴の落下状態の概略説明図。
【
図18】制動装置の全体の概略説明図(3実施形態では、エアドライヤとエアタンクの間に気液分離装置が介在)。
【
図19】第1実施形態に於いて、エアドライヤの上流側の圧縮経路に気液分離装置を複数個(例えば二連式)に配設した実施形態を示す
図1と同様の概略説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1乃至
図9は、本発明の第1実施形態の車両用圧縮空気経路の制動装置(ここでは「制動装置」という。)を示す。
図1は制動装置Xの全体の概略説明図である。この
図1に於いて、1はトラック、バス等の大型自動車の駆動部(エンジン)、2はアンドロード機構、3はコンプレッサと称される車両用の圧縮機、4は容器の底部に開閉弁、油排出用流路などの油排出手段4aを有する油分除去装置、5は容器の底部に開閉弁、水排出用流路などの水排出手段5aを有する気液分離装置、6は容器内に水分除去手段(例えば乾燥剤)を内装したエアドライヤ、7は前記エアドライヤの下部に設けられ、かつ、開閉弁、水排出用流路などを有する水排出手段、8は逆止弁、9は前記逆止弁を介して前記エアドライヤ6に接続するエアタンク、10はエアタンクに接続するブレーキバルブ、11は図示しない制御部の制御信号によって開閉する差圧弁を含む複数の制御弁装置、12はエアマスタ、13はブレーキペタル、13aは車輪である。ここでは便宜上、前記エアタンク9乃至前記ブレーキペタル13の各構成部材をまとめて「ブレーキ装置Y又はブレーキシステムY」という。
【0016】
なお、前記複数の制御弁装置には、例えばエアマスタ12からブレーキバルブ10への圧縮空気の逆流を防ぐ電磁弁、ブレーキバルブ10側からウエマスタ12側へ図示しない記憶部に記憶されている閾値以上の圧力がかかった場合に圧縮空気を外部に抜く差圧弁、エアタンク9とプレッシャレギュレータ15の間にバイパス管が存在する実施形態の場合、前記バイパス管に設けられた流体制御弁等が含まれる。
【0017】
この実施形態の制動装置Xは、前記ブレーキシステムYを構成するエアタンク9に貯留中の空気の一部を利用するために、例えばエアタンク9とプレッシャレギュレータ(圧力検出手段)15との間に接続手段としての第1空気供給管14を設ける。
【0018】
またプレッシャレギュレータ15と前述したアンドロード(空転)機構2の間に接続手段としての第2空気供給管16を設ける。さらに、前記第2空気供給管16に一端部が接続し、一方、途中で分岐し、かつ、各他端部が前述した油分除去装置4の油排出手段4a、気液分離装置5の水排出手段5a及びエアドライヤ6の水排出手段7にそれぞれ接続する第3空気供給管17を設ける。
【0019】
なお、実施形態では、エアドライヤ6内に油排出手段(金属フィルター、繊維フィルター、セラミックス製フィルター等)4aを内装するものではなく、油排出手段4aは水分除去手段(例えば乾燥剤、セラミックス製フィルター等)を内装したエアドライヤ6とは別個の部材である。付言すると、この第1実施形態では、エアドライヤ6の容器内の油分除去手段と水除去手段が別個であり、新しく加味した気液分離装置5の上流側の圧縮空気経路に油分除去装置4が設けられ、一方、気液分離装置5の下流側の圧縮空気経路にエアドライヤ6が設けられている。
【0020】
さて、制動装置Xの概要を簡単に説明する。車両用の圧縮機3から吐出された圧縮空気aは、まず、
図2で示す油分除去装置(オイルセパレータ或いはオイル吸着装置)4に送り込まれる。圧縮空気に含まれる油分は、油分除去装置4を構成する容器内に流れ込むと、例えば容器に内装した油分除去フィルターを通過することによって除去される。除去された前記油分は容器の底壁部に設けた油排出手段4aを介して外部に排出される。なお、外部に排出された油分は図示しない容器に収納される。油分除去装置4の具体的構成については後述する。
【0021】
次に、油分が除去された圧縮空気は、
図3、
図4等で示す第1実施形態の気液分離装置5に送り込まれる。この気液分離装置5は、エアドライヤの前後の圧縮空気経路に1機又は二連式に配設するのが望ましいが、
図1で示す実施形態では、エアドライヤの内部に固形分(例えばゴミ)と油分と水分が残らないように、固形分及び油分を除去する油分除去装置4と残存水分を除去するエアドライヤ6の間の圧縮空気経路に1機配設している。
【0022】
しかして、気液分離装置5に流れ込んだ圧縮空気に含まれている多くの水分は、後述する第1と第2の気液分離手段により分離され、容器の底部に落下し、落下した水は、水排出手段5aを介して外部に排出される。気液分離装置5の具体的構成については後述する。この実施形態では、エアドライヤ6の上流側に、少なくとも油分除去装置4と単数又は二連式の気液分離装置5が存在することから、圧縮空気に含まれている固形物、油分及び水分は略除去されているので、エアドライヤ6の内部に前記固形物、油分及び水分が残存する確率が非常に少なくなるという利点を有し、エアドライヤ6の品質や耐久性に悪影響を与えない(エアドライヤ6の内部をきれいな状態に保つことができる)。
【0023】
次に、気液分離装置5を通過した圧縮空気は、略乾燥状態となって容器に密閉されたエアドライヤ6に送り込まれる。エアドライヤ6に送り込まれた略乾燥状態の圧縮空気は、再度、水分除去手段(例えば乾燥剤)によって完璧状態に水分が除去される。仮に、完璧状態に水分が除去されないときは、水排出手段7によって外部に排出される。なお、前記水排出手段7は必ずしも本発明の必要な部材ではない。本実施形態では、エアドライヤ6の上流側の空気配管(圧縮空気経路)に第1・第2の気液分離手段(38、39、35)を有する気液分離装置5を配設しているので、エアドライヤ6に送り込まれた略乾燥状態の圧縮空気は、「清浄」かつ「非常に低密度の乾燥空気」となるからである。
【0024】
次に、エアドライヤ6を介して圧縮空気中に含まれる水分が略完璧に除去される。換言すれば、ゴミと油分と水分が略完璧に除去された清浄な圧縮空気は、逆止弁8を通りエアタンク9に送り込まれる。このエアタンク9に貯留された圧縮空気の一部は、ブレーキ装置に使用される。一方、前記エアタンク9に貯留された圧縮空気の一部は、第1空気供給管14を介してプレッシャレギュレータ15に送り込まれる。この清浄化された圧縮空気は、第2空気供給管16及び第3空気供給管17を介して、前述した油分除去装置4の油排出手段4a、気液分離装置5の水排出手段5a及びエアドライヤ6の水排出手段7に適宜圧送されるので、各手段の開閉弁が圧力媒体によりそれぞれ開くと、油や水が外部に排出される。
【0025】
ところで、実施形態では、上記エアタンク9は、プレッシャレギュレータ15等を介してアンロード機構2とつながっているので、前述した圧縮機1から吐出された圧縮空気の量が増し、エアタンク9内の圧縮空気の圧力が十分に高くなると、プレッシャレギュレータ15がこの圧力を検知して作動し、これにより圧縮空気の通路を開く。
付言すると、圧縮機1に付設されているアンロード機構2は、圧縮機1のシリンダ内と大気とを連通させて、圧縮機1を空運(アンロード)させることができる。またブレーキ操作によりエアタンク9内の圧力が低下すると、プレッシャレギュレータ15が圧縮空気系路を閉じて圧縮機(エアコンプレッサ)1を稼動させる。
【0026】
次に、
図2を参照にして「油分除去装置4」を説明する。
図2は油分除去装置4を概略的に示している。
図2に於いて、縦方向の容器20は、容器本体21と蓋体22とから成り、前記容器本体21の底壁の略中央部に開閉弁と流出路を有する排出弁手段(排出弁機構)4aが一体的に設けられている。実施形態では、前記排出弁手段4aには容器状のオイル収納部23が排出管を介して接続している。また前記容器本体21の周胴部の適宜箇所には圧縮機1から圧送された圧縮空気を受け入れる突起状の入口24が設けられ、一方、前記蓋体22の略中央部には、油分が除去された圧縮空気を吐出する出口25が突起状に設けられている。
【0027】
容器20の内部構造を簡単に説明する。容器本体21の底壁と対向するように下部仕切り板26が水平状態に設けられ、一方、容器本体21の上端部と蓋体22の下端部には、前記下部仕切り板26に対向する上部仕切り板27が水平状態に設けられている。前記下部仕切り板26と上部仕切り板27の適宜箇所には、複数個のパイプ状のセラミックス製部材28の中心孔29とそれぞれ連通する貫通孔が形成されている。
【0028】
ところで、セラミックス製部材28は、好ましくは複数本、例えば2本乃至6本立設されている。特に図示しないが、各セラミックス製部材28の上下端部には金属製のキャップ状嵌合筒を一体的に設けることが望ましい。その場合、キャップ状嵌合筒の短筒の小突起部分を設け、該短筒の小突起部分を下部仕切り板26と上部仕切り板27の各貫通孔に支持させると、各セラミックス製部材28は、容器20内での揺れを防止することができる。
【0029】
しかして、前記入口24から容器本体21に入り込んだ圧縮空気は、各セラミックス製部材28の外周面から中心孔29へと通過する。その際、圧縮空気に含まれている固形物(細かなゴミ)及び油分が前記外周面に付着することにより除去される。油分が除去された圧縮空気は、上方のキャップ状嵌合筒を通過して蓋体22の内部に流れ込み、次いで出口25から吐出されて気液分離装置5へと向かう。この段階では、圧縮空気に含まれているゴミや油分が除去されたものの、圧縮空気にはまだ水分が含まれている。
なお、詳細な図面及び説明は割愛するが、容器本体21と蓋体22はリング状の締付輪及び締付ボルト等の締付手段を介して一体的に結合することができる。それ故に、締付手段を解くと、容器本体21から蓋体22を外すことができる。
【0030】
また特に図示しないが、前記各セラミックス製部材28の外周面に固形物及び油分が付着した場合には、図示しない圧縮空気導入経路を介して前記蓋体22内に洗浄液や圧縮空気を導入し、いわゆる流体の逆流れ方式で、各セラミックス製部材28の中心孔29の内周面から外周面に向って洗浄液や圧縮空気を通過させることにより、外周面に付着した付着物を除去することができる。洗浄された油分は排出弁手段(排出弁機構)4aから外部に排出される。
【0031】
次に、
図3乃至
図9を参照にして「気液分離装置5」を説明する。本発明の実施形態の気液分離手段37を構成する第1の気液分離手段38は、圧縮空気の空気流を容器31の吸入口33側から該容器31の容器本体31aの底壁内面側へと整流的に案内する放射状の第1冷却部分(例えば冷却フィン)42又は前記容器31の容器本体31aの底壁内面側から筒状胴体部の下端開口40へと方向転換して該筒状胴体部の中に入り込んだ気液分離中の空気流を上方に向かって整流的に案内する放射状の第2冷却部分(例えば冷却フィン)44のいずれか一方を有する筒状体38であり、一方、第2の気液分離手段39は、蓋体31bに接続する接続筒39及び該接続筒の下端部に設けられていると共に、気液分離中の空気流からさらに水分を除去する複数の気体流量制御小孔35aを有する盤状の邪魔部35である。以下、(1)乃至(5)で詳しく説明する。
【0032】
(1)気液分離装置5の全体構造
気液分離装置5は容器31を有し、この容器31の下端部に突出形成された部分に水排出手段5aが一体的に設けられている。水排出手段5aの詳細は図示しないが、例えばプレッシャレギュレータ15から第3空気供給管17を介して送られて来た圧力媒体としての圧縮空気を受け入れるケースの入口、ケースに内装されたシリンダ、ピストン、ピストンと一体の作動杆、作動杆の上端部に一体的に設けられた開閉弁、前記作動杆に巻装された付勢バネ、ケースの水排出口等を有し、一時的に圧縮空気が前記入口に入り込むと、前記ピストン・作動杆が前記付勢バネのバネ力に抗して所要量上昇し、それによって弁座から前記開閉弁が離れることにより、容器本体の下部側に貯まっていた水がケースの下端部へと落下し、前記水排出口から排出される。なお、前述した油排出手段4aの構造も前記水排出手段5aと同一である。
【0033】
(2)容器31の構造
図4は要部の概略説明図(管を取り付けられる蓋体と接続筒は縦断面であり、筒状体は斜視図)である。容器31は、例えば角筒又は円筒(本実施形態)の容器本体31aと、この容器本体の上端部に設けられた蓋体31bとから成り、環状の締付手段31cが前記容器本体31aと蓋体31bを一体的に結合する。
【0034】
前記容器本体31aは、底壁部の下部中央部に気液分離後の液体を水排出手段5a側に排出するための落下口32を有し、一方、前記蓋体31bは、周壁部の一部(
図3では左側)に油分除去装置4から圧送されてくる圧縮空気を吸引する吸入口33を有し、一方、前記吸入口33の位置とは反対側の周壁部の一部(
図3では右側)に気液分離後の乾燥空気を排出する排風口34を有している。
【0035】
前記蓋体31bの内部には、ランドルド環状空間(
図6で示すように、視力検査のCマークに似た流路)35を形成し、かつ前記吸入口33と排風口34とを区画するC型状の案内壁部36や水平支持部が設けられ、前記案内壁部の基端部は蓋体の内周壁に接続している。
【0036】
(3)気液分離手段37
容器31の内部には、複数個の気液分離手段37が固定的に設けられている。実施形態の気液分離手段37は、容器本体31aの内部空間に該容器本体の内周壁から離間して位置する第1の気液分離手段としての筒状体38と、この筒状体の上端部と蓋体31bのC型状の案内壁部36の下端部に連続する水平支持部の螺合孔に螺着し、かつ複数の気体流量制御小孔35aが形成された第2の気液分離手段としてのを有する接続筒39とから成る。
【0037】
ここでは、筒状体38を第1の気液分離手段とし、一方、複数の気体流量制御小孔35aを有する盤状邪魔部35を一体的に備えた接続筒39を第2の気液分離手段という。
ところで、接続筒39は、
図4で示すように、フランジ39a、筒状体38用の筒状嵌合部39b、盤状の邪魔部35用取付け部39c、前記フランジ39aの上面から突出する筒状螺合部39dを有する。
【0038】
なお、第2の気液分離手段である邪魔部35は、前記フランジ39a、嵌合部39b、取付け部39c、連結用の螺合筒部39dと同一の材質(例えば合成樹脂材、アルミニューム)で一体成形しても良い。実施形態では、接続筒39と盤状の邪魔部35とは別部材であるが、前記邪魔部35は前記接続筒39の下端部に一体的に取付けられ、接続筒39の螺合筒部39dを介して蓋体31bの水平部に連結される。
【0039】
さて、
図3で示すように、筒状体38が接続筒39を介して容器本体31aの内部空間に垂設状態に位置付けられると、筒状体38の下端開口40は、容器本体31aの略中央部に位置し、前述の落下口32との間に所要の空間ができる。ここでは、説明の便宜上、筒状体38の下端開口を空気成分が入り込む「通気口40」ともいう。筒状体38は通気口40を基準として吸入口33側の気体上流室と排風口34側の気体下流室に区画される。なお、特に図示しないが、容器本体31aの底壁部の内面側には、縦断面漏斗状に形成された液体跳ね防止用隔壁部材を配設するのが好ましい(例えば特許第54673180号の
図3を参照)。
【0040】
(4)気液分離手段の具体的構成
まず、第1実施形態の気液分離手段37を構成する筒状体(第1の気液分離手段)38は、半径外方向に延びる多数の第1冷却フィン42を有する外筒41と、半径内方向に延びる多数の第2冷却フィン44を有する内筒43とから構成されている。筒状体38の多数の第1冷却フィン42は、高密度の圧縮空気の空気流を容器31の蓋体31bの吸入口33側から該容器31の底壁内面側へと冷却しながら整流的に案内する。
【0041】
これに対して、筒状体38の多数の第2冷却フィン44は、前記第1冷却フィン42を通過し、かつ、底壁内面側で折り返し、容器本体の底壁内面側から筒状胴体部の下端開口(通気口)40へと方向転換して該筒状胴体部の中に入り込んだ気液分離中の空気流を上端開口に向かってさらに冷却しながら整流的に案内する。
【0042】
付言すると、筒状体38は、外周面に半径外方向に前記第1冷却フィン42が一体に設けられた外筒41と、この外筒の内周面にその外周面が密着状態に接合し、かつその内周面に半径内方向に前記第2冷却フィン44が一体に設けられた内筒43とからなり、前記外筒41の外周面と容器本体31の内周面との間が、前記第1冷却フィン42によって整流化される下向方向成分の空気流が通過する第1流路となる。実施形態では、第1冷却フィン42及び第2冷却フィン44は、各筒体の長手方向に沿って略直線状の羽体であるが、少なくとも第1冷却フィン42又は第2冷却フィン44のいずれか一方は、空気流との接触面積を増やすために、やや螺旋状或いは曲線状に成形しても良い。
【0043】
次に、第1実施形態の気液分離手段37を構成する接続筒(第2の気液分離手段)39は、上端部側の筒状螺合部39dが蓋体31bの排風側に接続すると共に、下端部側が筒状体38の上端部に外嵌合状態に接続し、かつ気液分離中の空気流を邪魔部35の多数の流量制御小孔35aに通過させ、これにより、前記気液分離中の空気流からさらに水分を除去する。
【0044】
前述したように接続筒39は大径部側の上端部にフランジ39aを有し、このフランジの下方に肉厚状の嵌合部39bを有し、さらに、この嵌合部の下方に縮経状の取付け部39cを有する。一方、前記フランジ39aの上面には筒状螺合部39dが形成され、該筒状螺合部39dは蓋体31bの水平支持部に形成したメネジに螺合する。そして、接続筒39が蓋体31bの水平支持部に螺着すると、接続筒39の中心孔と蓋体31bの排風口34が連通状態となる。第1実施形態では、前記邪魔部35の気体流量制御小孔35aは、下面から上面に向って貫通状に形成されている。また貫通状の気体流量制御小孔35aは、放射状に多数形成され、内筒の内部空間及び接続筒の中心孔とそれぞれ連通状態となる。なお、流量制御小孔35aは、例えば1~2mm程度である。
【0045】
ところで、圧縮空気を整流化・結露化させながら、液状化現象の促進を図るという発明の課題との関係では、気液分離手段37は、液分離中の空気流の温度を奪うアルミニウム又は銅のいずれかの熱伝導性の高い材質で成形された吸熱部材であることが望ましい。このような実施形態の場合には、少なくとも第1の気液分離手段38は簡単な冷却器の構造となるので、安価に製造することができると共に、容器本体31aに流れ込んだ圧縮空気を全体的に冷却かつ整流化させながら、結露を積極的に発生させ、より多くの液状化現象の促進を図ることができる。付言すると、前記筒状体8、前記第1・第2冷却フィン42、44及び邪魔部35は、気液分離中の空気流の温度を奪うアルミニウム又は銅のいずれかの熱伝導性の高い材質で成形された吸熱部材であり、該吸熱部材の熱は、接続筒39及び蓋体31bを介して容器31の外部に放出される。
【0046】
(5)空気成分の流線方向
まず、
図6の上方の概略図(a)は、容器31の蓋体31bに流れ込んだ圧縮空気a1の流線を示し、下方の概略図(b)は、蓋体31b内で方向変換して下方に流れる圧縮空気の流線を示す。前述した如く、蓋体31bの壁部の内周壁と平面視C型状の案内壁部との間には、ランドルド環状空間35が形成されていることから、吸入口33から内部空間に入り込んだ圧縮空気aの流線方向は、矢印で示すように、時計方向と半時計方向に分流する。分流した空気成分は、蓋体の上壁の内壁に遮られるから概略図(b)で示すように下方方向へ流れる。
【0047】
次に、
図7の上方の概略図(c)は蓋体31b側から容器本体31aの上端部側の内周壁と筒状体38の外筒41の外周壁の間の流路に向かって流れる圧縮空気の流線を示し、下方の概略図(d)は容器本体31aの下端部側の内壁壁を旋回して方向変換し、前記外筒41の下端開口40へ向かう圧縮空気の流線を示す。
図7に於いて、圧縮空気は容器本体31aの上端部側の内周壁、筒状体38の外筒41の外周壁及び放射状の多数の第1冷却フィン42の各面に接触しながら下降するが、この時、水分を含んだ空気は第1冷却フィン42の各面に案内され、かつ下方方向へと整流化され、外筒41の外周壁及び放射状の多数の第1冷却フィン42によって冷やされる。
【0048】
付言すると、圧縮空気中の水分が外筒411の外周壁と放射状の多数の第1冷却フィン42の各面に接触させることにより、積極的に結露を発生させることができるから、これにより液状化現象が促進する。ここでは一次的に圧縮空気が冷やされることにより、水滴化現象が効率良く発生し、気体から不純物(空気よりも比重の大きい物質)を除去することができる。
【0049】
次に、
図8の上方の概略図(e)は筒状体の内部空間に入り込んだ圧縮空気の流線を示し、下方の概略図(f)は邪魔板と接続管とを通過する乾燥空気の流線を示す。実施形態では、内筒43にも第2冷却フィン44が設けられているから、内筒43の下端開口40から入り込んだ冷風状態の圧縮空気aは、さらに、内筒43の内周壁と放射状の多数の第2冷却フィン44の各面に接触して二次的に冷やされる。
【0050】
したがって、ここでも結露によって液状化現象がさらに促進し、この内筒43内でも水滴化現象が効率良く発生し、気体から不純物(空気よりも比重の大きい物質)を除去することができる。そして、概略図(f)で示すように、二次的に冷やされた気液分離中の圧縮空気aは、仕切り状の邪魔部35の多数の流量制御小孔35aを通過する際、気液分離中の空気流からさらに水分を除去され乾燥空気となって排風口34から排出される。
【0051】
なお、仕切り部材に形成した流体制御孔を通過する際、空気(気流)の速度が増し、その結果、高密度物質を通過させない効果を生み出し、圧縮空気内に存在する高密度物質である水滴・異物を除去する性能があることは、当業者に知られている。
【0052】
次に、
図9を参照にして「エアドライヤ6」の構成を説明する。このエアドライヤ6の構成は、非常にシンプルなものになっている。何故ならば、油分除去装置4が該エアドライヤ6の上流側の圧縮空気経路に配設されているからである。もちろん、実施形態によってはエアドライヤ6の容器内の入口側に油吸着手段を内蔵しても良い。
【0053】
図9は簡易化した説明図である。
図9に於いて、50は容器で、この容器50は容器本体50aと蓋体50bとから構成されている。容器本体50aの側壁の適宜箇所には、気液分離装置5から送り込まれる圧縮空気の入口51が設けられ、一方、蓋体50bの適宜箇所には清浄な圧縮空気を吐出する出口52が設けけられている。実施形態では、前述したように、容器本体50aの底壁には水排出手段7が設けられている。この水排出手段7の構成は気液分離装置5の水排出手段5aと同一なので、詳細な説明は割愛する。
【0054】
容器50の内部構造を簡単に説明する。容器本体50aの底壁側には複数の貫通孔を有する第1支持板53が略水平状態に設けられている。この第1支持板53は隔壁板に相当するものである。一方、容器本体50aの上端部と蓋体50bの下端部には、前記第1支持板53に対向する第2支持板54が設けられている。この第2支持板54も第1支持板53と同様に複数の貫通孔を有している。しかして、前記第1支持板53と前記第2支持板54の内部空間には、セラミックス製のフィルター、粒状の乾燥剤等の水分吸着部材55が充填されている。
【0055】
上記構成に於いて、入口51から容器本体50aな流れ込んだ圧縮空気に水分が含まれている場合には、該水分は前記水分吸着部材55を通過するときに該水分吸着部材55によって除去される。このように水分が略完璧に除去された清浄な圧縮空気は、出口52を通過してブレーキシステムを構成するエアタンク9へと流れ込む。
【0056】
ここで、
図1に戻る。
図1に於いて、狭義のエアブレーキシステムYは、前述した如く、逆止弁を介してエアドライヤ6に接続するエアタンク9、このエアタンクに接続するブレーキバルブ10、図示しない制御部の制御信号によって開閉する差圧弁を含む複数の制御弁装置11、エアマスタ12、ブレーキペタル13を有し、車輪13aに制動をかけることができる。車両のエアブレーキシステムYは、公知知技術なので、詳細な説明は割愛する(例えば特開平6-1219号公報)。
【実施例0057】
ここでは、
図10及び
図11を参照にして本発明の第2実施形態の制動装置X1を説明する。また
図12乃至
図17を参照にして第2実施形態の気液分離装置5Aを説明する。さらに、
図18を参照にして本発明の第3実施形態の制動装置X2を説明する。加えて、
図19を参照にして本発明の第4実施形態の制動装置X3を説明する。なお、これらの各実施形態を説明するにあたって、第1実施形態と同一又は同様の部分には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0058】
まず
図10及び
図11の制動装置X1が第1実施形態制動装置Xの主に異なる点は、エアドライヤ6Aの構造である。このエアドライヤ6Aの構造は大型自動車で公然と実施されており、その基本的に構造は、例えば実公昭63-35425号の第1図や各社のHPに記載されているので、ここでは詳細は割愛するが、要するに、エアドライヤ6Aは、密閉状の容器内に筒状のホルダーを隔壁状に内設し、該筒状のホルダー内に、水分除去手段の一例として粒状の乾燥剤55を充填している。そして、前記乾燥剤55の下方にセラミックス製の油分除去手段4Aを設けている。
【0059】
上記構成に於いて、容器50の入口から入り込んだ圧縮空気は、前記セラミックス製の油分除去手段4Aを通過する際に油分が除去され、次いで、油分が除去された圧縮空気が前記乾燥剤55を通過する際に水分が略完璧に除去される。油分及び水分が除去された清浄に圧縮空気は、容器の出口から吐出され、逆止弁8を介してエアタンク9に流れ込む。
【0060】
次に
図12乃至
図17を参照にして、第2実施形態の気液分離装置5Aを説明する。前述した第1実施形態の気液分離装置と主に異なる点は、次の通りである。
【0061】
(a)気液分離手段37Aの第1の気液分離手段38Aは、圧縮空気の空気流を容器31の吸入口33側から該容器の底壁内面側へと整流的に案内する複数個の筋状溝45を外周面に有する傘状の外筒38Aと、この外筒に内端部が一体的に設けられた内筒38Bから成り、一方、第2の気液分離手段は、蓋体31bに接続する接続筒39Aと、この接続筒の下端部に設けられていると共に、前記内筒38Bの内部に入り込んだ気液分離中の空気流からさらに水分を除去する複数の気体流量制御小孔35aを有する盤状の邪魔部35Aである。
【0062】
(b)付言すると、第2の気液分離手段は、接続筒39Aを含む盤状の邪魔部35Aであり、この接続筒39Aの邪魔部35Aは、嵌合部39bの下端部に同一の材質で肉厚状に一体形成されている。そして、複数の気体流量制御小孔35aは、望ましくは盤状の邪魔部35Aの外周面から半径内方向へその内周面まで貫通状に形成されている。
【0063】
(c)気体流量制御小孔35aは、外周面の周方向に所定間隔を有して、例えば6個~8個形成され、かつ接続筒39Aの流路に連通している。
【0064】
(d)接続筒39Aの盤状の邪魔部35Aの下面中央部には、柱状の連結部46
が下方に向って突出形成されている。この連結部46は、例えば同一構成の気液分離手段5Aが複数個存在する場合に於いて、上方に位置する気液分離手段5Aに対して、下方に位置する気液分離手段の筒状螺合部39dを連結部46に緊密状態に嵌合することにより、上下方向に2個、3個という具合に連結するために用いられる。
【0065】
(e)傘状の外筒38Aの外周面に上端から下端に形成された筋状溝45は、圧縮空気を、冷却化する機能、整流化させる機能及び水滴化した水分を容器本体31aの内壁面に衝突させるために設けたものである。したがって、外筒38Aの外周面の傾斜角度は、任意に設定することができる。実施形態では、筋状溝45は外筒38Aの外周面の周方向に所定間隔を有して8個形成されている。
【0066】
(f)実施形態では、傘状の外筒38Aよりも略寸胴状の内筒38Bが長い。しかし、両方の長さの相違は、発明の本質的事項ではない。また略寸胴状の内筒38Bの外周面と外筒38Aの内周面との間に環状の間隙が形成されている。
一方、内筒38Aの内部に入り込んだ気液分離中の気体は、接続筒39Aの流路に流れ込んで行く必要があるので、接続筒39Aの下端部の邪魔部35Aの外周面と内筒38Aの内周面の上端部との間には、狭い環状間隙47が設定されていることが必要である。
【0067】
(g)筋状溝21及び気体流量制御小孔15aの数は、任意に設定することができる。なお、気液分離手段5Aの傘状の外筒38A及び内筒38Bは、第1実施形態と同様に、気液分離中の空気流の温度を奪うアルミニウム又は銅のいずれかの熱伝導性の高い材質で成形された吸熱部材であることが望ましい。
上記のように構成しても、第1実施例と同様に、本発明の主たる課題を達成することができる。
【0068】
次に、
図18は本発明の第3実施形態の制動装置X2である。また
図19は本発明の第4実施形態の制動装置X3である。これらの実施形態は、気液分離装置5を配設箇所及び数を任意に設計変更できることを示したものである。すなわち、
図18の気液分離装置5は、第1実施形態に於いて、エアドライヤ6とエアタンク9の間に介在しても良い旨を示したものであり、また
図19の気液分離装置は、エアドライヤの前後のいずれか一方に圧縮経路に気液分離装置を複数個(例えば二連式)に配設しても良い旨を示したものである。
【0069】
図19の実施形態では、エアドライヤの上流側の圧縮経路に気液分離装置5を複数個(例えば二連式)に配設したものである。なお、特に図示しないが、
図19の二連式に代えて、気液分離装置5の容器31内に、複数個の接続筒39を一連に接続することによって、第1の気液分離手段38と第2の気液分離手段35をそれぞれ複数個設けても良い。
要するに、本発明の課題を逸脱しない範囲で、気液分離装置5の配設箇所、個数及び第1・第2の気液分離手段38、35の数を適宜に変更することができる。