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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024023961
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】二重管継手及び二重管継手の製造方法
(51)【国際特許分類】
   F16L 59/075 20060101AFI20240214BHJP
   F16L 39/00 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
F16L59/075
F16L39/00
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023220704
(22)【出願日】2023-12-27
(62)【分割の表示】P 2019163595の分割
【原出願日】2019-09-09
(31)【優先権主張番号】P 2018168947
(32)【優先日】2018-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】花木 博章
(57)【要約】
【課題】製造が容易な二重管継手を提供する。
【解決手段】二重管継手11は、内配管12と、内配管12の径方向外側を覆う外配管16と、を備え、内配管12と外配管16との間に、中空の断熱部17が形成され、外配管16は、複数の分割片28Aを組み合わせて構成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内配管と、
前記内配管の径方向外側を覆う外配管と、
を備え、
前記内配管と前記外配管との間に、中空の断熱部が形成され、
前記外配管は、複数の分割片を組み合わせて構成されている二重管継手。
【請求項2】
前記内配管の端部と前記外配管の端部との間を封止する封止部を備えることを特徴とする請求項1に記載の二重管継手。
【請求項3】
前記複数の分割片は、前記外配管を分割可能である請求項2に記載の二重管継手。
【請求項4】
前記内配管に設けられ、前記複数の分割片の少なくとも1つを支持する支持部を備える請求項1から3のいずれか一項に記載の二重管継手。
【請求項5】
内配管の径方向外側を、互いに分離した複数の分割片を組み合わせて構成された外配管により覆い、前記内配管と前記外配管との間に、中空の断熱部を形成する二重管継手の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二重管継手及び二重管継手の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自身の内部と外部との間の断熱性能を高めた二重管継手が知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
この種の二重管継手は、内配管と、外配管と、を備えている。外配管は、内配管を径方向外側から覆った状態で内配管に固定されている。内配管と外配管との間に、中空の断熱部が形成される。一般的に、断熱部の熱伝導率は、内配管及び外配管の熱伝導率よりも小さい。このため、内配管内と二重管継手の外部との間の断熱性能が高められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-200980号公報
【特許文献2】特開2007-292237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように構成された二重管継手を製造するためには、外配管内に内配管を挿入する。 しかしながら、二重管継手がいわゆるエルボやチーズ等のように、屈曲したり、分岐した形状である場合等には、外配管内に内配管を挿入することが困難になる。
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、製造が容易な二重管継手及び二重管継手の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の二重管継手は、内配管と、前記内配管の径方向外側を覆う外配管と、を備え、前記内配管と前記外配管との間に、中空の断熱部が形成され、前記外配管は、複数の分割片を組み合わせて構成されていることを特徴としている。
また、本発明の二重管継手の製造方法は、内配管の径方向外側を、互いに分離した複数の分割片を組み合わせて構成された外配管により覆い、前記内配管と前記外配管との間に、中空の断熱部を形成することを特徴としている。
【0007】
これらの発明によれば、互いに分離した複数の分割片で内配管の径方向外側を覆うことにより、複数の分割片を組み合わせて外配管を構成する。このとき、内配管と外配管との間に、中空の断熱部が形成される。
このように、外配管内に内配管を挿入する必要が無いため、二重管継手の製造を容易に行うことができる。
【0008】
また、上記の二重管継手において、前記内配管の端部と前記外配管の端部との間を封止する封止部を備えてもよい。
この発明によれば、内配管の端部と外配管の端部との間から流体等が断熱部内に入るのを抑制することができる。
【0009】
また、上記の二重管継手において、前記複数の分割片は、前記外配管を分割可能であってもよい。
この発明によれば、互いに分離した複数の分割片を組み合わせることにより、外配管を容易に構成することができる。
【0010】
また、上記の二重管継手において、前記内配管に設けられ、前記複数の分割片の少なくとも1つを支持する支持部を備えてもよい。
この発明によれば、支持片により複数の外側分割片の少なくとも1つを支持して、内配管と外配管との間に形成された断熱部をより確実に保持することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の二重管継手及び二重管継手の製造方法によれば、製造を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態の二重管継手が用いられる配管システムの斜視図である。
図2】同配管システムの縦断面図である。
図3】同二重管継手の斜視図である。
図4】同二重管継手の継手本体の斜視図である。
図5図3中の切断線A1-A1の断面図である。
図6】同二重管継手の分割片の斜視図である。
図7】本発明の第1実施形態の二重管継手の変形例が用いられる配管システムの縦断面図である。
図8】同配管システムの正面図である。
図9】本発明の第2実施形態の二重管継手が用いられる配管システムの斜視図である。
図10】同配管システムの縦断面図である。
図11】本発明の第1実施形態の変形例の二重管継手における要部の縦断面図である。
図12】本発明の第1実施形態の変形例の二重管継手における要部の断面図であって、図2に示す切断線A-Aに相当する部分の断面図である。
図13】本発明の第1実施形態の変形例の二重管継手における要部の断面図であって、図2に示す領域Bに相当する部分の断面図である。
図14】本発明の第1実施形態の変形例の二重管継手における要部の断面図であって、図7に示す切断線C-Cに相当する部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る二重管継手の第1実施形態が用いられる配管システムを、図1から図8、及び図11を参照しながら説明する。二重管継手及び配管システムは、例えば空気調和装置用や、プラント設備用等に好適に用いられる。
【0014】
図1及び図2に示すように、この配管システム1は、本実施形態の二重管継手11と、一対の発泡管(配管)36と、を備えている。
図2及び図3に示すように、二重管継手11は、いわゆるエルボ型の継手である。二重管継手11は、内配管12と、封止部13A,13Bと、外配管16と、を備えている。なお、内配管12と外配管16との間に、中空の断熱部17が形成されている。
図2及び図4に示すように、内配管12は、曲管部20と、直管部21A,21Bと、を備えている。なお、図4は、後述する継手本体11Aの斜視図である。
【0015】
曲管部20は、軸線(中心軸線)が基準面S上で湾曲した管状に形成されている。以下では、配管システム1が、二重管継手11の曲管部20の基準面Sが上下方向に沿うように配置されるとともに、曲管部20の第1端部が水平面に沿って開口するように配置された場合を例にとって説明する。しかし、配管システム1の配置はこれに限定されない。
基準面S上で湾曲する曲管部20の中心角度は、例えば91.1°である。曲管部20の第2端部は下方に向かって開口している。
【0016】
直管部21Aは、水平面に沿って延びる管状に形成されている。直管部21Aの第1端部は、曲管部20の第1端部に連結されている。直管部21Aの第2端部には、第1開口(開口)22Aが形成されている。直管部21Aの第2端部は、内配管12における第1開口22Aの周縁部である。第1開口22Aには、発泡管36が接続される。
直管部21Bは、上下方向に沿って延びる管状に形成されている。直管部21Bの第1端部は、曲管部20の第2端部に連結されている。直管部21Bの第2端部には、第2開口(開口)22Bが形成されている。第2開口22Bには、発泡管36が接続される。
なお、本明細書では、径方向とは、曲管部20、直管部21A、21Bの各軸線に直交する方向を意味する。すなわち、内配管12の軸線方向の位置に対して、径方向の向きは異なる。
【0017】
内配管12には、開口22A,22B同士を互いに連結する内部空間12aが形成されている。開口22A,22Bの内径は、互いに等しい。
開口22A,22Bは、開口22A,22Bの軸線が基準面S上にそれぞれ位置するように配置されている。
【0018】
封止部13Aは、リング状に形成され、直管部21Aの第2端部から、直管部21Aの径方向外側に向かって延びている。封止部13Aは、内配管12の端部と外配管16の端部との間を封止している。
封止部13Aの外周縁には、直管部21Aとは反対側に向かって張り出す円環状の保持部25Aが固定されている。保持部25Aの内径、及び発泡管36の外径は、互いに同程度である。具体的には、保持部25Aの内径は発泡管36の外径より若干大きい。その結果、保持部25Aの内面と発泡管36(後述する発泡樹脂層38)との間には、わずかな隙間が形成される。この隙間は、例えば、発泡管36を保持部25A内に挿入するときにおける遊びとして利用され、挿入の実現を容易にする。言い換えると、隙間は、発泡管36を保持部25A内に挿入可能な程度の大きさである。保持部25Aと発泡管36とは、内配管12を流れる流体が流出しないよう、例えば、不図示の接着剤により固定接合されている。
なお、保持部25Aの内面と発泡管36(発泡樹脂層38)の外面との間(前述した隙間)に、ゴム輪やパッキンなどを介在させることで、内配管12を流れる流体が流出しないようにしつつ、伸縮や抜き差し可能に接合することができる。この場合、ゴム輪やパッキンは保持部25Aの内面に設けること(予め固定しておくこと)が好ましい。
【0019】
封止部13Bは、封止部13Aと同様に構成されている。すなわち、封止部13Bは、円板状に形成され、直管部21Bの第2端部から、直管部21Bの径方向外側に向かって延びている。封止部13Bは、断熱部17の第2開口22B側の端部を覆っている。
封止部13Bの外周縁には、直管部21Bとは反対側に向かって張り出す円環状の保持部25Bが固定されている。保持部25Bの内径、及び発泡管36の外径は、互いに同程度である。
なお、封止部13A,13Bは、外配管16に設けられてもよい。さらに、外配管16、封止部13A,13B、及び保持部25A,25Bが一体に形成されてもよい。
【0020】
この例では、内配管12、封止部13A,13B、及び保持部25A,25B(以下、継手本体11Aと言う)は、例えば樹脂を材料とする射出成型により一体に形成されている。
【0021】
継手本体11Aは、例えば射出成形により形成される。この場合、図2に示すように、継手本体11Aを形成する図示しない金型のキャビティに樹脂を導入するためのゲートGは、内配管12の曲管部20の外側に配置される。ゲートG、及び、金型のパーティングライン(割り面)は、基準面S上に配置される。継手本体11Aには、ゲートGに起因するゲートカット痕や、パーティングラインに起因する微小な凸部(バリ)(図11の凸部11A1参照)が形成される場合がある。
【0022】
継手本体11Aを形成する樹脂としては、ポリ塩化ビニル樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂(ABS樹脂)、メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン共重合樹脂(MBS樹脂)、ポリカーボネート樹脂等の、非晶性の熱可塑性樹脂が好ましい。透明性の観点からは、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂が好ましく、耐薬品性の観点からは、ポリ塩化ビニル樹脂が好ましい。
ABS樹脂を透明あるいは半透明とするため、ABS樹脂としてポリメタクリル酸メチル樹脂を含有するものを用いることが好ましい。
ポリ塩化ビニル系樹脂を透明あるいは半透明とするため、ポリ塩化ビニル系樹脂に添加する安定剤としては、スズ系安定剤又はCa-Zn系安定剤を用いることが好ましい。スズ系安定剤としては、マレート類、カルボキシレート類等の硫黄を含まないものを用いることがさらに好ましい。Ca-Zn系安定剤としては、成形加工時の滑性とプレートアウトのバランスから、ステアリン酸塩がさらに好ましい。
【0023】
継手本体11A及び外配管16を透明な樹脂で形成することにより、継手本体11Aの内部を流れる排水の状況を外部から確認することができる。また、保持部25A,25Bを透明な樹脂で形成することにより、保持部25A,25Bと発泡管36との接続状況を外部から確認することができる。
【0024】
外配管16は、内配管12の外側を覆っている。外配管16は、内配管12と同軸に配置され、内配管12を径方向外側に拡径した形状に形成されている。外配管16の内径は、内配管12の外径よりも大きい。外配管16は、複数(本実施形態では2つ)の分割片28A,28Bを組み合わせて構成されている。図5及び図6に示すように、分割片28A,28Bは、外配管16をほぼ基準面Sにより分割した形状である。分割片28A,28Bは、基準面Sに対して対称(面対称)形状である。
なお、外配管16を分割する面は、図5において、基準面Sに直交する基準面S1でもよいし、基準面Sに平行な基準面S2でもよい。
【0025】
図2及び図6に示すように、分割片28Aは、内配管12の曲管部20、直管部21A、直管部21Bの径方向外側に配置された曲り片30A、直状片31A、直状片32Aを備えている。直状片31A、直状片32Aにおける曲り片30Aに連結された端部とは反対側の端部には、フランジ33A,34Aがそれぞれ設けられている。
図3に示すように、分割片28Bは、分割片28Aの曲り片30A、直状片31A、直状片32Aと基準面Sに対してほぼ対称に形成された曲り片30B、直状片31B、直状片32Bを備えている。直状片31B、直状片32Bの端部には、直状片31A、直状片32Aと同様に、符号を省略したフランジがそれぞれ設けられている。
【0026】
曲り片30A,30Bは、全体として基準面S上で湾曲した管状に形成され、内配管12の曲管部20の径方向外側を覆っている。直状片31A,31Bは、全体として水平面に沿って延びる管状に形成され、内配管12の直管部21Aの径方向外側を覆っている。 直状片32A,32Bは、全体として水平面に沿って延びる管状に形成され、内配管12の直管部21Bの径方向外側を覆っている。
【0027】
図2に示すように、分割片28Aは、内配管12における開口22A,22Bの周縁部の外側を、これらの周縁部から離間した状態で覆っている。分割片28Bは、分割片28Aと同様に、内配管12における開口22A,22Bの周縁部の外側を、これらの周縁部から離間した状態で覆っている。
分割片28Aは、封止部13A,13Bにそれぞれ接触している。分割片28Bは、分割片28Aと同様に、封止部13A,13Bにそれぞれ接触している。
【0028】
分割片28A,28Bは、例えば樹脂を材料とする射出成型によりそれぞれ形成されている。分割片28A,28Bは、公知の嵌合構造や締結構造等により継手本体11Aに着脱可能である。分割片28A,28Bは、分割片28A,28Bの厚さ方向(内配管12の径方向)に重なるように接着代を備えていてもよい。分割片28A,28Bの接合は、接着剤による接合ではなくてもよく、分割片28A,28Bを物理的に接合するための嵌合構造が設けられていてもよい(嵌合構造の詳細は後述する)。さらに、分割片28A,28Bの接合は、接着剤による接合と物理的な接合の両方(併用)であってもよく、嵌合構造が接着代を兼ねていても良く、嵌合構造に接着剤を導入するための隙間があってもよい。
図3に示すように、分割片28Aは、継手本体11Aに対して、基準面Sに対する第1の側D1に分割可能である。分割片28Bは、継手本体11Aに対して、基準面Sに対する第1の側D1とは反対の第2の側D2に分割可能である。
内配管12と外配管16との間に形成される断熱部17には、空気が収容される。断熱部17の熱伝導率は、内配管12及び外配管16の熱伝導率よりもそれぞれ小さい。
【0029】
前述の断熱部17は、内配管12の外面に、内配管12の全長にわたり、かつ内配管12の全周にわたり、それぞれ形成されている。断熱部17の厚さは、内配管12と外配管16との間の位置によらずほぼ均一である。
【0030】
図1及び図2に示すように、発泡管36は、非発泡樹脂層37と、発泡樹脂層38と、を備えている。非発泡樹脂層37及び発泡樹脂層38は、それぞれ円筒状に形成され、非発泡樹脂層37は、発泡樹脂層38内に発泡樹脂層38と同軸に配置されている。
非発泡樹脂層37を形成する樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、MBS樹脂、ポリカーボネート樹脂等の熱可塑性樹脂が好ましく、耐薬品性や成形性の観点から、ポリ塩化ビニル樹脂がもっとも好ましい。
【0031】
発泡樹脂層38は、発泡性樹脂組成物を発泡し成形してなる。発泡樹脂層38は、非発泡樹脂層37よりも断熱性に優れている。発泡樹脂層38における発泡倍率は、1.0倍以上8.0倍以下が好ましい。発泡性樹脂組成物は、エチレン・プロピレン・ジエンゴムやクロロプレン等のゴム、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、MBS樹脂、ポリカーボネート樹脂等の熱可塑性樹脂が好ましく、耐薬品性や成形性の観点から、ポリ塩化ビニル樹脂がもっとも好ましい。
発泡管は、発泡樹脂層38の外側に非発泡樹脂層を備える3層構造でもよい。また、発泡管は、発泡樹脂層38が非発泡状態となったスキン層を発泡樹脂層38の外側に備える3層構造でもよい。
【0032】
発泡管36の内径及び開口22A,22Bの内径は、互いに等しい。発泡管36の端部は、二重管継手11の封止部13A,13Bに突き合わせられている。発泡管36は、図示しない固定手段により、二重管継手11に着脱可能に固定されている。
【0033】
次に、以上のように構成された二重管継手11を製造する二重管継手11の製造方法(以下、単に製造方法とも言う)について説明する。
まず、継手本体11A(内配管12)の外側を、互いに分離した複数の分割片28A,28Bを組み合わせて構成された外配管16により覆う。これにより、内配管12と外配管16との間に、中空の断熱部17を形成する。
以上の工程により、二重管継手11が製造される。
【0034】
以上説明したように、本実施形態の二重管継手11によれば、互いに分離した分割片28A,28Bで内配管12の径方向外側を覆うことにより、分割片28A,28Bを組み合わせて外配管16を構成する。このとき、内配管12と外配管16との間に、中空の断熱部17が形成される。
このように、二重管継手11を構成するのに外配管16内に内配管12を挿入する必要が無いため、二重管継手11の製造を容易に行うことができる。
【0035】
二重管継手11が、封止部13A,13Bを備えている。このため、内配管12の端部と外配管16の端部との間から流体等が断熱部17内に入るのを抑制することができる。 分割片28A,28Bは、外配管16を分割可能である。従って、互いに分離した分割片28A,28Bを組み合わせることにより、外配管16を容易に構成することができる。
【0036】
継手本体11Aの封止部13Aに形成された凸部が、外配管16のフランジ33Aに干渉すると、封止部13Aとフランジ33Aとの間に隙間が生じ、断熱部17の内外の空気が置換されて断熱部17の断熱性が低下する虞がある。
これに対して、本実施形態の二重管継手11によれば、継手本体11Aを製造する際のパーティングラインを、外配管16を分割片28A,28Bに分割する基準面Sに一致させることにより、凸部がフランジ33Aに接触、干渉するのを抑制することができる。
【0037】
なお、図2に示すように、封止部13A,13Bと発泡管36の端面との間に、発泡パッキン39を配置してもよい。発泡パッキン39としては、ポリエチレンやポリプロピレン等で形成された円環状の発泡体を用いることができる。
発泡管36の発泡樹脂層38が連続気泡の場合、封止部13A,13Bと発泡管36の端面との間の隙間に内配管12から排水等が漏れ出した場合でも、発泡パッキン39により発泡管36の発泡樹脂層38に排水がしみ込むのを抑制できる。
【0038】
なお、本実施形態では、図7及び図8に示す配管システム1Aのように、二重管継手11Bが一対の二重管(配管)41に接続されてもよい。
二重管41は、内管42と、外管43と、支持部材44と、を備えている。この例では、二重管41は、支持部材44を複数備えている。複数の支持部材44は、内管42の軸線周りに互いに間隔を空けて配置され、内管42及び外管43にそれぞれ連結されている。二重管41では、内管42と外管43との間が中空である。
【0039】
二重管継手11Bには、開口22A,22Bの周縁部に、開口22A,22Bから外側に向かって突出する受け口47A,47Bがそれぞれ設けられている。受け口47A,47Bは、二重管41の内管42の端部内に挿入される。
さらに、二重管継手11Bは、図7に示す第1支持部14及び第2支持部15を備えている。第1支持部14及び第2支持部15は、内配管12の外面から内配管12の外側に向かって延びる板状部材である。
【0040】
第1支持部14は、曲管部20の外面における湾曲の外側となる部分、直管部21Aの外面における上部、及び直管部21Bの外面における直管部21Aから離間した側の部分にそれぞれ設けられている。第1支持部14は、基準面S上に配置されている。第1支持部14が曲管部20、直管部21A,21Bの外面から延びる長さは、封止部13Aの外径と内径との差の半分程度である。
第1支持部14は、内配管12に対して分割片28A及び分割片28Bの少なくとも一方を支持している。
なお、第1支持部は、内配管12の外面から径方向外側に向かって延びてもよい。この場合、第1支持部は、リング状に形成される。
【0041】
第2支持部15は、直管部21Aの外面における下部、及び直管部21Bの外面における直管部21A側の部分にそれぞれ設けられている。第2支持部15は、基準面S上に配置されている。第2支持部15が直管部21A,21Bの外面から延びる長さは、封止部13Aの外径と内径との差の半分程度である。第2支持部15は、第2支持部15の厚さ方向にみたときに、矩形状に形成されている。
【0042】
変形例の二重管継手11Bは、分割片28A及び分割片28Bの少なくとも一方を支持する支持部14を備えている。従って、内配管12と外配管16との間に形成された断熱部17をより確実に保持することができる。
【0043】
図11に示す配管システム1Bのように、二重管継手11Cにおいて、封止部13Aにおける内配管12側の面に窪み13A1を形成してもよい。窪み13A1は、内配管12における前記面とは反対側の面に向かって凹んでいる。窪み13A1は、封止部13Aの外縁に達していることが好ましい。窪み13A1が凹む深さは、二重管継手11Cの継手本体11Aに形成される凸部11A1が、継手本体11Aの外面から突出する高さ以上にする。窪み13A1は、封止部13Aの周方向において、その全周にわたって形成されていてもよいが、凸部11A1が形成された部分の近傍だけに形成されることが好ましい。 分割片28Aの直状片31Aの内径は、窪み13A1と直管部21Aの中心軸線との距離程度、又は、その距離より大きくする。
このように構成された二重管継手11Cでは、継手本体11Aの凸部11A1に外配管16のフランジ33Aが接触、干渉するのを抑制することができる。
【0044】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図9及び10を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図9及び図10に示す配管システム2は、本実施形態の二重管継手51と、3本の発泡管36と、を備えている。
二重管継手51は、いわゆるチーズ型の継手である。二重管継手51は、内配管52と、封止部13A,13B,13Cと、第1支持部53と、外配管54と、を備えている。なお、内配管52と外配管54との間に、中空の断熱部55が形成されている。
【0045】
内配管52は、側面視でT字状に形成されている。内配管52には、前述の開口22A,22Bに加えて、第3開口(開口)22Cが形成されている。内配管52には、開口22A,22B,22C同士を互いに連結する内部空間52aが形成されている。
開口22A,22B,22Cは、開口22A,22B,22Cの軸線が基準面S上にそれぞれ位置するように配置されている。
【0046】
封止部13C、保持部25Cは、封止部13A、保持部25Aと同様に構成され、内配管52における第3開口22Cの周縁部に設けられている。
第1支持部53は、内配管52の外面における上端部に設けられている。
この例では、内配管52、封止部13A,13B,13C、第1支持部53、及び保持部25A,25B,25C(以下、継手本体51Aと言う)は、例えば樹脂を材料とする射出成型により一体に形成されている。
【0047】
外配管54は、内配管52を外側にオフセットした形状に形成されている。
外配管54は、複数(本実施形態では2つ)の分割片57A,57Bを組み合わせて構成されている。分割片57A,57Bは、外配管54を基準面Sにより分割した形状である。分割片57A,57Bは、基準面Sに対してほぼ対称形状である。
分割片57Aは、継手本体51Aに対して第1の側D1に分割可能である。分割片57Bは、継手本体51Aに対して第2の側D2に分割可能である。
【0048】
以上のように構成された二重管継手51によっても、第1実施形態の二重管継手11と同様の効果を奏することができる。
【0049】
以上、本発明の第1実施形態及び第2実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。さらに、各実施形態で示した構成のそれぞれを適宜組み合わせて利用できることは、言うまでもない。
例えば、前記第1実施形態では、二重管継手11は第1支持部14を備えなくてもよい。前記第2実施形態の二重管継手51も同様である。
【0050】
また、分割片57A,57Bは、分割片57A,57Bの強度を向上させるために、外面や内面にリブを設けてもよい。
さらに、分割片57A,57Bどうしの位置合わせのために分割片57A,57Bのそれぞれに目印を備えてもよい。この目印は、分割片57A,57Bどうしを組合せた時にずれが生じない様にするため、分割片57A,57Bを組み合わせた時に基準面Sを介して目印の端部同士が一致する形状となっている。上記リブが、目印を兼ねていてもよい。 前記第2実施形態の二重管継手51も同様である。
【0051】
外配管が備える複数の分割片が二重管継手11,51から分割可能な構成は、前述の構成に限定されない。例えば、外配管が3以上の分割片を組み合わせて構成されてもよい。 内配管に形成される開口の数は複数であれば特に限定されず、開口の数は4以上でもよい。すなわち、二重管継手に4以上の配管が接続されるように構成してもよい。
【0052】
図2に示す二重管継手11における分割片28A,28Bの接合は、前述したように接着剤による接合に限られない。分割片28A,28Bの接合の形態は、分割片28A,28Bが前記基準面Sに沿う方向に相対的に移動することを規制可能で、かつ、分割片28A,28Bが前記基準面Sに直交する方向に相対的に移動することを規制可能な、他の形態に適宜変更可能である。
例えば、二重管継手11が、図12に示すような嵌合構造60を備えていてもよい。嵌合構造60は、分割片28Aに設けられた第1嵌合部61と、分割片28Bに設けられた第2嵌合部62と、を備えている。第1嵌合部61は、径方向の外側に突出する基部61aと、基部61aから周方向に突出する突出部61bと、を備えている。第2嵌合部62は、径方向の外側に突出する基部62aと、基部62aから周方向に突出する第1突出部62bと、第1突出部62bから径方向の内側に突出する第2突出部62cと、第2突出部62cから周方向に突出する第3突出部62dと、を備えている。第1突出部62b、第2突出部62cおよび第3突出部62dの間には、凹部62eが設けられている。凹部62eには、第1嵌合部61の突出部61bが嵌合される。
なお、嵌合構造60は、分割片28Aと分割片28Bとが接触する端部(分割片28A,28Bの各周端部)における、外配管16の軸方向の全長にわたって設けられていてもよく、一部のみに設けられていてもよい。さらに、第1嵌合部61が分割片62Bに設けられ、第2嵌合部62が分割片28Aに設けられていてもよい。さらにまた、分割片28Aおよび28Bのそれぞれが、第1嵌合部61と第2嵌合部62を軸方向に交互に備えていても良い。
また、図12に示す嵌合構造60において、第1嵌合部61の突出部61bおよび第2嵌合部62の第3突出部62dがなくてもよい。この場合であっても、この嵌合構造60が、少なくとも、分割片28A,28Bが前記基準面Sに直交する方向に相対的に移動することを規制可能である。このとき、分割片28A,28Bが前記基準面Sに沿う方向に相対的に移動することを規制する機能を、他の接合構造により実現することができる。前記他の接合構造としては、例えば、嵌合構造60に対して、外配管16の軸方向に沿って異なる位置に設けられた他の嵌合構造であって、分割片28A,28Bが前記基準面Sに直交する方向に相対的に移動することを規制する嵌合構造が挙げられる。
いずれにしても、上記のような嵌合構造を採用することで、分割片28A,28Bが前記基準面Sに沿う方向に相対的に移動することを規制可能で、かつ、分割片28A,28Bが前記基準面Sに直交する方向に相対的に移動することを規制可能となる。これにより、接着剤により接合しなくとも、嵌合構造が分割片28A,28Bを一体に保持可能になり、ある程度の気密性が担保される。
【0053】
さらに、図2に示す二重管継手11における外配管16と封止部13A、13Bとの接合も、接着剤による接合に限られない。二重管継手11が、図13に示すような嵌合構造70を備えていてもよい。嵌合構造70は、外配管16に設けられた第1嵌合部71と、封止部13A、13Bに設けられた第2嵌合部72と、を備えている。第1嵌合部71は、径方向の外側に突出する基部71aと、基部71aから軸方向に突出する突出部71bと、を備えている。第2嵌合部72は、径方向の外側に突出する基部72aと、基部72aから軸方向に突出する第1突出部72bと、第1突出部72bから径方向の内側に突出する第2突出部72cと、第2突出部72cから軸方向に突出する第3突出部72dと、を備えている。第1突出部72b、第2突出部72cおよび第3突出部72dの間には、凹部72eが設けられている。凹部72eには、第1嵌合部71の突出部71bが嵌合される。
なお嵌合構造70は、外配管16と封止部13A、13Bとが接触する部分における周方向の全長にわたって設けられていてもよく、一部のみに設けられていてもよい。
【0054】
また、図7に示す二重管継手11Bにおける分割片28A,28Bの接合も、前述したように接着剤による接合に限られない。二重管継手11Bが、図14に示すような嵌合構造80を備えていてもよい。嵌合構造80は、分割片28Aに設けられた第1嵌合部81と、分割片28Bに設けられた第2嵌合部82と、第1支持部14に設けられた第3嵌合部83と、を備えている。第1嵌合部81は、周方向に沿って第1支持部14側に突出する基部81aと、基部81aから径方向の内側に突出する突出部81bと、を備えている。第2嵌合部82は、周方向に沿って第1支持部14側に突出する基部82aと、基部82aから径方向の内側に突出する突出部82bと、を備えている。第3嵌合部83は、第1支持部14を間に挟んで一対設けられている。第3嵌合部83は、周方向に突出する基部83aと、基部83aから径方向の外側に突出する突出部83bと、を備えている。第1嵌合部81および第2嵌合部82はそれぞれ、第3嵌合部83によって径方向の内側から支持されている。第1嵌合部81の突出部81bと第3嵌合部83の突出部83bとは、周方向に係止されている。第2嵌合部82の突出部82bと第3嵌合部83の突出部83bとは、周方向に係止されている。
【0055】
また、ゲートGの位置は内配管12の曲管部20の外側に限らない。例えばゲートGを、保持部25Aの外周面や、保持部25Aの端面に設けても良い。いずれにしても、ゲートGが設けられたそれぞれの位置に、ゲートカット痕が形成される。
【0056】
本発明は、空調機から排出される凝縮水(ドレン排水)を排出するためのドレン配管どうしの接合に主に用いることができる。しかしながら、本発明の用途はこれに限るものではない。例えば、本発明を、断熱性が求められる配管に適用することができる。
【符号の説明】
【0057】
11,11B,11C,51 二重管継手
12,52 内配管
13A,13B,13C 封止部
14,53 第1支持部(支持部)
16,54 外配管
17,55 断熱部
36 発泡管(配管)
41 二重管(配管)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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