(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024023977
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】外科用鉗子
(51)【国際特許分類】
A61B 17/285 20060101AFI20240214BHJP
【FI】
A61B17/285
【審査請求】有
【請求項の数】40
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023221307
(22)【出願日】2023-12-27
(62)【分割の表示】P 2021502885の分割
【原出願日】2020-01-07
(31)【優先権主張番号】62/874,150
(32)【優先日】2019-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/796,998
(32)【優先日】2019-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/947,573
(32)【優先日】2019-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/790,938
(32)【優先日】2019-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516209360
【氏名又は名称】アトリキュア, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】サルヴァトーレ・プリヴィテラ
(72)【発明者】
【氏名】ケネス・ランス・ミラー
(72)【発明者】
【氏名】メリッサ・ダイツァー
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス・ジェー・セイス
(72)【発明者】
【氏名】アキヴァ・カーシュナー
(72)【発明者】
【氏名】シドニー・ゲイナー
(72)【発明者】
【氏名】カーティス・クリンゲンベルク
(57)【要約】
【課題】組織を挟み付けおよび切除するための外科用デバイスの構造および動作における改善を実現する。
【解決手段】外科用デバイスおよび関連する方法が開示されている。外科用デバイスのための例のエンドエフェクタは、第1の顎部と、第2の顎部と、第1の顎部を開位置、中間位置、および閉位置の間で移動させるように動作可能な関節機構と、を備え得る。例示的な関節機構は、第1の顎部に連結される第1の顎部取付部を、第1の顎部取付部の経路に沿った移動が第1の顎部取付部および第1の顎部の回転および並進を引き起こすように備え得る。枢動可能に取り付けられたクランクは、アクチュエータリンク機構を移動させることがクランクを回転させるように、アクチュエータリンク機構を第1の顎部取付部に動作可能に連結でき、クランクの回転は第1の顎部取付部を経路に沿って移動させることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクチュエータを備える遠位ハンドルと、
前記遠位ハンドルから遠位に延びるシャフトであって、前記シャフトは、それを貫いて延びるアクチュエータリンク機構を備え、前記アクチュエータリンク機構は前記アクチュエータに動作可能に結合される、シャフトと、
前記シャフトの遠位端に配置されるエンドエフェクタと、
を備え、
前記エンドエフェクタは、
ヘッド、
前記ヘッドにおいて遠位に配置される第1の顎部、
前記ヘッドにおいて遠位に配置される第2の顎部、および
関節機構、
を備え、
前記関節機構は、
近位端および遠位端を備える接続リンク機構であって、前記接続リンク機構の前記近位端は前記アクチュエータリンク機構の遠位端に枢動可能に連結される、接続リンク機構、
第1のアームと第2のアームとを備える枢動可能に取り付けられたクランクであって、前記第1のアームは前記接続リンク機構の前記遠位端に枢動可能に連結される、クランク、および
前記第1の顎部にしっかりと固定される第1の顎部取付部であって、前記クランクの前記第2のアームに枢動可能にかつスライド可能に連結される第1の顎部取付部、
を備え、
前記ハンドルにおける前記アクチュエータの移動は、前記第1の顎部を、前記第1の顎部と前記第2の顎部とが分離され、実質的に非平行である開位置から、前記第1の顎部と前記第2の顎部とが実質的に隣接し、実質的に平行である閉位置へと、移動させるように動作可能である、外科用デバイス。
【請求項2】
前記第1の顎部取付部は経路に沿って移動可能であり、前記経路に沿った前記第1の顎部取付部の移動は、前記第1の顎部取付部および前記第1の顎部の回転および並進を引き起こし、それによって、前記第1の顎部を前記開位置から前記閉位置へと移動させる、請求項1に記載の外科用デバイス。
【請求項3】
前記クランクの回転は前記第1の顎部取付部を経路に沿って移動させる、請求項1に記載の外科用デバイス。
【請求項4】
前記第1の顎部および前記第2の顎部は前記シャフトに対して概して横方向に延びる、請求項1に記載の外科用デバイス。
【請求項5】
前記ハンドルにおける前記アクチュエータの移動は、前記第1の顎部を、前記開位置と、前記第1の顎部と前記第2の顎部とが分離され、実質的に平行である中間位置と、前記閉位置と、の間で移動させるように動作可能である、請求項1に記載の外科用デバイス。
【請求項6】
前記クランクの前記第2のアームはクランクスロットを備え、前記第1の顎部取付部はピンを備え、
前記クランクが回転するとき、前記ピンは前記クランクスロットに沿って移動する、請求項1に記載の外科用デバイス。
【請求項7】
前記接続リンク機構の前記近位端は、案内スロット内にスライド可能に配置される案内部を備え、
前記案内スロットは概して線形であり、前記アクチュエータリンク機構と概して一列に配向される、請求項1に記載の外科用デバイス。
【請求項8】
前記アクチュエータは、前記第1の顎部を前記開位置から前記閉位置へと移動させるために遠位へと押されるプランジャを備える、請求項1に記載の外科用デバイス。
【請求項9】
前記シャフトは実質的に剛体である、請求項1に記載の外科用デバイス。
【請求項10】
前記シャフトの少なくとも一部分は曲げることができる、請求項1に記載の外科用デバイス。
【請求項11】
前記シャフトは実質的に真っ直ぐである、請求項1に記載の外科用デバイス。
【請求項12】
前記第1の顎部および前記第2の顎部の各々は、それぞれの先端において終端となっており、
前記開位置において、前記第1の顎部の前記先端および前記第2の顎部の前記先端は離間され、開口部を少なくとも部分的に定める、請求項1に記載の外科用デバイス。
【請求項13】
前記第1の顎部の前記先端と前記第2の顎部の前記先端とは、細長い柔軟な案内部のそれぞれの端部分に解放可能に連結するように構成される、請求項12に記載の外科用デバイス。
【請求項14】
前記第1の顎部および前記第2の顎部の各々は、湾曲した部分が介在した複数の実質的に真っ直ぐな部分を備える、請求項1に記載の外科用デバイス。
【請求項15】
前記第1の顎部および前記第2の顎部の各々は、前記第1の顎部と前記第2の顎部との間に挟み付けられる組織を切除するために、無線周波数エネルギーの供給源に動作可能に連結される少なくとも1つの電極を備える、請求項1に記載の外科用デバイス。
【請求項16】
シャフトと、
前記シャフトの遠位端に配置されるエンドエフェクタであって、前記エンドエフェクタはヘッドを備え、前記ヘッドは関節機構を備え、前記関節機構は、第1の顎部を、前記第1の顎部と第2の顎部とが分離され、実質的に非平行である開位置と、前記第1の顎部と前記第2の顎部とが実質的に隣接し、実質的に平行である閉位置との、間で移動させるように動作可能である、エンドエフェクタと、
を備え、
前記第1の顎部および前記第2の顎部の各々は、前記ヘッドに近接する第1の実質的に真っ直ぐな部分と、第2の実質的に真っ直ぐな部分と、前記ヘッドから遠くの第3の実質的に真っ直ぐな部分と、前記第1の実質的に真っ直ぐな部分と前記第2の実質的に真っ直ぐな部分との間の第1の湾曲した部分と、前記第2の実質的に真っ直ぐな部分と前記第3の実質的に真っ直ぐな部分との間の第2の湾曲した部分と、を備え、
前記第1の顎部および前記第2の顎部の各々は、前記第3の実質的に真っ直ぐな部分に近接するそれぞれの先端において終端となっており、
前記開位置において、前記第1の顎部の前記先端および前記第2の顎部の前記先端は離間され、開口部を少なくとも部分的に定める、外科用デバイス。
【請求項17】
前記関節機構は、前記第1の顎部を、前記開位置と、前記第1の顎部と前記第2の顎部とが分離され、実質的に平行である中間位置と、前記閉位置と、の間で回転および並進させるように動作可能である、請求項16に記載の外科用デバイス。
【請求項18】
前記第1の顎部の前記第1の実質的に真っ直ぐな部分、前記第2の実質的に真っ直ぐな部分、および前記第3の実質的に真っ直ぐな部分は、互いに対して斜めに配向される、請求項16に記載の外科用デバイス。
【請求項19】
前記第2の顎部の前記第1の実質的に真っ直ぐな部分、前記第2の実質的に真っ直ぐな部分、および前記第3の実質的に真っ直ぐな部分は、互いに対して斜めに配向される、請求項16に記載の外科用デバイス。
【請求項20】
前記第1の顎部の前記第1の実質的に真っ直ぐな部分、前記第2の実質的に真っ直ぐな部分、および前記第3の実質的に真っ直ぐな部分は、実質的に同一平面上にある、請求項16に記載の外科用デバイス。
【請求項21】
前記第2の顎部の前記第1の実質的に真っ直ぐな部分、前記第2の実質的に真っ直ぐな部分、および前記第3の実質的に真っ直ぐな部分は実質的に同一平面上にある、請求項16に記載の外科用デバイス。
【請求項22】
前記第2の顎部の前記第1の実質的に真っ直ぐな部分、前記第2の実質的に真っ直ぐな部分、および前記第3の実質的に真っ直ぐな部分は、前記シャフトと実質的に同一平面上にある、請求項21に記載の外科用デバイス。
【請求項23】
前記第1の顎部の前記第2の実質的に真っ直ぐな部分は、前記第1の顎部の前記第1の実質的に真っ直ぐな部分および前記第1の顎部の前記第2の実質的に真っ直ぐな部分の少なくとも一方より長い、請求項16に記載の外科用デバイス。
【請求項24】
前記第1の顎部の前記第2の実質的に真っ直ぐな部分は、前記第1の顎部の前記第1の実質的に真っ直ぐな部分および前記第1の顎部の前記第2の実質的に真っ直ぐな部分の両方より長い、請求項23に記載の外科用デバイス。
【請求項25】
前記第1の顎部および前記第2の顎部は前記ヘッドにおいて概して遠位に配置され、
前記第1の顎部および前記第2の顎部は前記ヘッドから概して横方向に配向される、請求項16に記載の外科用デバイス。
【請求項26】
前記閉位置において、前記第1の顎部の前記第2の実質的に真っ直ぐな部分は、前記シャフトに対しておおよそ垂直に配向される、請求項25に記載の外科用デバイス。
【請求項27】
前記閉位置において、前記第1の顎部の前記第1の実質的に真っ直ぐな部分は、前記ヘッドから概して対角線的に遠位におよび横方向に離れるように延びる、請求項16に記載の外科用デバイス。
【請求項28】
前記第1の顎部の前記第3の実質的に真っ直ぐな部分は、前記第2の湾曲した部分から概して対角線的に近位におよび横方向に離れるように延びる、請求項16に記載の外科用デバイス。
【請求項29】
前記第2の顎部は前記シャフトに対してしっかりと配置される、請求項16に記載の外科用デバイス。
【請求項30】
前記第2の顎部の前記第1の実質的に真っ直ぐな部分、前記第2の実質的に真っ直ぐな部分、および前記第3の実質的に真っ直ぐな部分は、前記シャフトと実質的に同一平面上にある、請求項29に記載の外科用デバイス。
【請求項31】
前記シャフトにおいて近位に配置されるハンドルをさらに備え、前記ハンドルは、前記関節機構に動作可能に接続されるアクチュエータを備える、請求項16に記載の外科用デバイス。
【請求項32】
前記第1の顎部の前記先端と前記第2の顎部の前記先端とは、細長い柔軟な案内部のそれぞれの端部分に解放可能に連結するように構成される、請求項16に記載の外科用デバイス。
【請求項33】
前記第1の顎部および前記第2の顎部の各々は、前記第1の顎部と前記第2の顎部との間に挟み付けられる組織を切除するために、無線周波数エネルギーの供給源に動作可能に連結される少なくとも1つの電極を備える、請求項16に記載の外科用デバイス。
【請求項34】
前記関節機構は、
前記第1の顎部に連結される第1の顎部取付部であって、前記第1の顎部取付部は経路に沿って移動可能であり、前記経路に沿った前記第1の顎部取付部の移動は、前記第1の顎部取付部および前記第1の顎部の回転および並進を引き起こし、それによって、前記第1の顎部を前記開位置と前記閉位置との間で移動させる、第1の顎部取付部と、
枢動可能に取り付けられたクランクであって、前記クランクは、アクチュエータリンク機構を移動させることが前記クランクを回転させるように、前記アクチュエータリンク機構を前記第1の顎部取付部に動作可能に連結し、前記クランクの回転は前記第1の顎部取付部を前記経路に沿って移動させる、クランクと、
を備える、請求項16に記載の外科用デバイス。
【請求項35】
外科用デバイスのための案内部であって、
第1の端部分および第2の端部分を備える細長い柔軟な案内本体と、
前記第1の端部分に配置される第1の案内接続器と、
前記第2の端部分に配置される第2の案内接続器と
を備え、
前記第1の案内接続器は、前記第2の案内接続器と、外科用デバイスの第1の顎部の第1の先端および前記外科用デバイスの第2の顎部の第2の先端の少なくとも一方と、に選択的に解放可能に接続可能であり、
前記第2の案内接続器は、前記第1の案内接続器と、前記第1の先端および前記第2の先端の少なくとも一方と、に選択的に解放可能に接続可能であり、
前記第1の案内接続器が前記第2の案内接続器に接続される場合、前記案内部は閉ループを形成する、案内部。
【請求項36】
前記第1の案内接続器は第1の永久磁石を備え、
前記第2の案内接続器は第2の永久磁石を備え、
前記第1の永久磁石および前記第2の永久磁石は、反対の磁極が前記案内本体から離れる方を向くように配向され、それによって、前記第1の案内接続器および前記第2の案内接続器を互いに磁気的に連結させて、前記案内部を前記閉ループへと形成する、請求項35に記載の案内部。
【請求項37】
前記第1の案内接続器は、前記第1の永久磁石を受け入れるように構成されるカバーを備え、
前記第1の永久磁石は、前記第1の案内接続器の前記カバーの中にしっかりと収容される、請求項36に記載の案内部。
【請求項38】
前記第2の案内接続器は、前記第2の永久磁石を受け入れるように構成されるカバーを備え、
前記第2の永久磁石は、前記第2の案内接続器の前記カバーの中にしっかりと収容される、請求項37に記載の案内部。
【請求項39】
前記案内本体は概して管状である、請求項35に記載の案内部。
【請求項40】
ハンドル、
前記ハンドルから遠位に延びるシャフト、および
前記シャフトの遠位端に近接して配置されるエンドエフェクタであって、前記第1の顎部および前記第2の顎部を備えるエンドエフェクタ、
を備える外科用デバイスと、
請求項35に記載の前記案内部と、
を備える外科用装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、参照により組み込まれている2019年1月10日に出願された米国仮特許出願第62/790,938号、2019年1月25日に出願された米国仮特許出願第62/796,998号、2019年7月15日に出願された米国仮特許出願第62/874,150号、および2019年12月13日に出願された米国仮特許出願第62/947,573号の便益を主張する。
【0002】
本開示は、医療用の器具およびデバイス、ならびに関連する方法を対象としており、より詳細には、組織を挟み付けおよび切除するための外科用デバイス、ならびに関連する方法を対象としている。
【背景技術】
【0003】
本開示は、心房細動が一般的な心臓不整脈であり、米国だけで非常に多くの人々に影響を与えていることを検討している。心臓組織の切除は、心臓組織における逸脱した電気的刺激の経路に遮断をもたらす瘢痕組織を作り出すために、心臓不整脈を治療するための一般的に実施されている処置である。切除は、低温プローブを介しての凍結、無線周波数(RF)エネルギーを介しての加熱、外科的な切断、および他の技術など、様々な技術を使用して達成または提案されてきた。本明細書で使用されているように、「切除」は、切除を実行するために使用される装置または過程に関わらず、心臓組織などの身体部分の機能の除去または破壊と言うことができる。また、本明細書で使用されているように、「経壁」は、中空の器官または脈管の壁または厚さなど、壁または厚さを貫くことと言うことができる。概して、心臓組織の切除は、胸骨が分割され、外科医が心臓へと直接的にアクセスする、切開による外科的処置で実行できる、または心臓へと、肋骨の間から、もしくは静脈を通じて導入されるカテーテルを介して、など、低侵襲の経路を通じて実行できる。
【0004】
本開示は、鉗子式の切除デバイスが冠動脈バイパス移植処置に伴う使用のために設計されていたが、冠動脈バイパス移植処置を受ける心房細動を伴うごく一部の患者が、心房細動に向けて治療されることを検討している。
【0005】
本開示は、心臓の切除処置において直面する問題には、標的組織を正確に見つけることにおける難しさ、および組織の切除に関する難しさ、があり得ることを検討している。例えば、一部の状況では、心臓の構造のため、心臓における特定の所望の場所に切除デバイスを位置決めすることは難しい可能性がある。例として、一部の切除処置は、肺静脈を隔離することを伴う。肺静脈は心臓の後方側にあるため、所望の切除を達成するために切除デバイスを位置決めすることは難しい可能性がある。別の例として、一部の状況では、切除された組織の連続した十分に深い(例えば、経壁の)線を作り出すことは難しい可能性があり、これは、心臓の一部分を電気的に隔離するために必要なことがある。この難しさは、切除処置が、一体となって連続的な障害を形成するように意図されている異なる位置における一連のより短い障害を連続的に作り出すことを伴うとき、特に関係してくる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第8,876,820号
【特許文献2】米国特許第9,924,998号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
知られているデバイスは、組織(心臓組織など)を挟み付けおよび切除するために安全かつ効果的に使用されていたが、組織を挟み付けおよび切除するための外科用デバイスの構造および動作における改善は、使用者(例えば外科医)および患者にとって有益であり得る。本開示は、心臓組織などの組織を挟み付けおよび切除するための外科用デバイスの構造、動作、および使用の方法を高めることができる様々な改善を含む。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の顎部と、第2の顎部と、第1の顎部を、第1の顎部と第2の顎部とが分離され、実質的に非平行である開位置と、第1の顎部と第2の顎部とが分離され、実質的に平行である中間位置と、第1の顎部と第2の顎部とが実質的に隣接し、実質的に平行である閉位置と、の間で移動させるように動作可能な関節機構と、を備える外科用デバイスのためのエンドエフェクタを提供することが、本開示の第1の態様である。関節機構は、第1の顎部に連結される第1の顎部取付部であって、第1の顎部取付部は経路に沿って移動可能であり、経路に沿っての第1の顎部取付部の移動は第1の顎部取付部および第1の顎部の回転および並進を引き起こし、それによって、第1の顎部を開位置と中間位置と閉位置との間で移動させる、第1の顎部取付部と、枢動可能に取り付けられたクランクであって、クランクは、アクチュエータリンク機構を移動させることがクランクを回転させるように、アクチュエータリンク機構を第1の顎部取付部に動作可能に連結し、クランクの回転は第1の顎部取付部を経路に沿って移動させる、クランクと、を備え得る。
【0009】
第1の態様のより詳細な実施形態では、経路は、少なくとも1つの真っ直ぐな部分と少なくとも1つの湾曲した部分とを備え得る。経路はスロットによって少なくとも部分的に定められ得る。第1のピンが、経路に沿っての移動のためにスロットに移動可能に配置され得る。第1の顎部取付部は第1のピンを備え得る。経路に沿っての第1の顎部取付部の移動が、スロットに沿っての第1のピンの移動を含み得る。第1の顎部取付部は、経路に沿っての移動のためにスロットに移動可能に配置される第2のピンを備え得る。
【0010】
第1の態様のより詳細な実施形態では、エンドエフェクタは、近位端および遠位端を有する接続リンク機構であって、アクチュエータリンク機構とクランクとに動作可能に介在する接続リンク機構を備え得る。接続リンク機構の近位端はアクチュエータリンク機構に枢動可能に連結され得る、および/または接続リンク機構の遠位端はクランクに枢動可能に連結され得る。接続リンク機構の近位端は、案内スロットにスライド可能に配置される案内部を備え得る。案内スロットは、概して線形であり得る、および/またはアクチュエータリンク機構と概して一列に配向され得る。
【0011】
第1の態様のより詳細な実施形態では、クランクは第1のアームと第2のアームとを備え得る。クランクの第1のアームはアクチュエータリンク機構に動作可能に連結され得る、ならびに/またはクランクの第2のアームは第1の顎部取付部にスライド可能および/もしくは枢動可能に連結され得る。クランクの第2のアームはクランクスロットを備え得る、および/または第1の顎部取付部はピンを備え得る。クランクが回転し、第1の顎部取付部が経路に沿って移動するとき、ピンはクランクスロットに沿って移動できる。クランクスロットは実質的に真っ直ぐであり得る、および/またはクランクスロットは、クランクの回転の軸に対して実質的に径方向に配向され得る。
【0012】
第1の態様のより詳細な実施形態では、第1の顎部および第2の顎部の各々は、関節機構に近接する第1の端部分と、関節機構から概して離れる第2の端部分と、を備えてもよく、各々の第2の端部分はそれぞれの先端において途切れる。
【0013】
第1の態様のより詳細な実施形態では、外科用デバイスが、シャフトと、シャフトの遠位端に配置される前述したようなエンドエフェクタと、シャフトの近位端に配置されるハンドルと、を備え得る。ハンドルは、アクチュエータリンク機構に動作可能に連結されるアクチュエータを備え得る、および/またはアクチュエータリンク機構は、シャフトを通じてエンドエフェクタへと長手方向に延び得る。エンドエフェクタは、関節機構を少なくとも部分的に含むヘッドを備えてもよく、第1の顎部および/もしくは第2の顎部はヘッドにおいて概して遠位に配置でき、ならびに/または第1の顎部および第2の顎部はヘッドから概して横方向に配向され得る。
【0014】
第1の態様のより詳細な実施形態では、開位置において、第1の顎部の先端および/または第2の顎部の先端は、離間され得る、および/または開口部を少なくとも部分的に定め得る。第1の顎部の先端および/または第2の顎部の先端の各々は、柔軟な案内部の第1の端部分および/または第2の端部分の少なくとも一方と解放可能に連結するように構成され得る。第1の顎部の先端は、柔軟な案内部の第1の端部分と磁気的に解放可能に連結するように構成され得る、および/または第2の顎部の先端は、柔軟な案内部の第2の端部分と磁気的に解放可能に連結するように構成され得る。
【0015】
第1の態様のより詳細な実施形態では、第1の顎部および/または第2の顎部の各々は、湾曲した部分によって介在される複数の実質的に真っ直ぐな部分を備え得る。第1の顎部および/または第2の顎部の少なくとも一方は、それらの間で挟み付けられる組織を切除するように構成され得る。第1の顎部および/または第2の顎部の各々は、第1の顎部と第2の顎部との間に挟み付けられる組織を切除するために、無線周波数エネルギーの供給源に動作可能に連結される一対の細長い離間された電極を備え得る。電極の各々の対の電極同士は約0.1mmから約3.0mmで離間され得る。
【0016】
アクチュエータを備える遠位ハンドル、ハンドルから遠位に延びるシャフトであって、シャフトは、それを貫いて延びるアクチュエータリンク機構を備え、アクチュエータリンク機構はアクチュエータに動作可能に結合される、シャフト、および/またはシャフトの遠位端に配置されるエンドエフェクタ、を備える外科用デバイスを提供することが、本開示の第2の態様である。エンドエフェクタは、ヘッド、ヘッドにおいて遠位に配置される第1の顎部、ヘッドにおいて遠位に配置される第2の顎部、および/または関節機構、を備え得る。関節機構は、近位端および/または遠位端を備える接続リンク機構であって、接続リンク機構の近位端はアクチュエータリンク機構の遠位端に枢動可能に連結される、接続リンク機構、第1のアームと第2のアームとを備える枢動可能に取り付けられたクランクであって、第1のアームは接続リンク機構の遠位端に枢動可能に連結される、クランク、ならびに/または第1の顎部にしっかりと固定される第1の顎部取付部であって、クランクの第2のアームに枢動可能およびスライド可能に連結される第1の顎部取付部、を備えてもよく、ハンドル上におけるアクチュエータの移動は、第1の顎部を、第1の顎部と第2の顎部とが分離され、実質的に非平行である開位置から、第1の顎部と第2の顎部とが実質的に隣接し、実質的に平行である閉位置へと移動させるように動作可能である。
【0017】
第2の態様のより詳細な実施形態では、第1の顎部取付部は経路に沿って移動可能であり得る。経路に沿った第1の顎部取付部の移動は第1の顎部取付部および第1の顎部の回転および/または並進を引き起こすことができ、それによって、第1の顎部を開位置から閉位置へと移動させる。クランクの回転は第1の顎部取付部を経路に沿って移動させることができる。第1の顎部および/または第2の顎部はシャフトに対して概して横方向に延び得る。ハンドル上におけるアクチュエータの移動は、第1の顎部を、開位置、第1の顎部と第2の顎部とが分離され、実質的に平行である中間位置、および/または閉位置、の間で移動させるように動作可能であり得る。クランクの第2のアームはクランクスロットを備え得る、および/または第1の顎部取付部はピンを備え得る。クランクが回転するとき、ピンはクランクスロットに沿って移動できる。接続リンク機構の近位端は、案内スロットにスライド可能に配置される案内部を備え得る。案内スロットは、概して線形であり得る、および/またはアクチュエータリンク機構と概して一列に配向され得る。アクチュエータは、第1の顎部を開位置から閉位置へと移動させるために遠位へ押されるプランジャを備え得る。シャフトは実質的に硬くてもよい。シャフトの少なくとも一部分は曲げることが可能であり得る。シャフトは実質的に真っ直ぐであり得る。第1の顎部および/または第2の顎部の各々は、それぞれの先端において途切れ得る。開位置において、第1の顎部の先端および/または第2の顎部の先端は、離間され得る、および/または開口部を少なくとも部分的に定め得る。第1の顎部の先端および/または第2の顎部の先端は、細長い柔軟な案内部のそれぞれの端部分に解放可能に連結するように構成され得る。第1の顎部および/または第2の顎部の各々は、湾曲した部分によって介在される複数の実質的に真っ直ぐな部分を備え得る。第1の顎部および/または第2の顎部の各々は、第1の顎部および/または第2の顎部の間に挟み付けられる組織を切除するために、無線周波数エネルギーの供給源に動作可能に連結される少なくとも1つの電極を備え得る。
【0018】
シャフト、および/またはシャフトの遠位端に配置されるエンドエフェクタであって、エンドエフェクタはヘッドを備え、ヘッドは関節機構を備え、関節機構は、第1の顎部を、第1の顎部と第2の顎部とが分離され、実質的に非平行である開位置と、第1の顎部と第2の顎部とが実質的に隣接し、実質的に平行である閉位置と、の間で移動させるように動作可能である、エンドエフェクタ、を備える外科用デバイスを提供することが、本開示の第3の態様である。第1の顎部および/または第2の顎部の各々は、ヘッドに近接する第1の実質的に真っ直ぐな部分、第2の実質的に真っ直ぐな部分、ヘッドから遠くの第3の実質的に真っ直ぐな部分、第1の実質的に真っ直ぐな部分と第2の実質的に真っ直ぐな部分との間の第1の湾曲した部分、および/または第2の実質的に真っ直ぐな部分と第3の実質的に真っ直ぐな部分との間の第2の湾曲した部分を備え得る。第1の顎部および/または第2の顎部の各々は、第3の実質的に真っ直ぐな部分に近接するそれぞれの先端において途切れ得る。開位置において、第1の顎部の先端および/または第2の顎部の先端は、離間され得る、および/または、開口部を少なくとも部分的に定め得る。
【0019】
第3の態様のより詳細な実施形態では、関節機構は、第1の顎部を、開位置、第1の顎部と第2の顎部とが分離され、および/もしくは実質的に平行である中間位置、ならびに/または閉位置、の間で回転および/または並進させるように動作可能であり得る。第1の顎部の第1の実質的に真っ直ぐな部分、第2の実質的に真っ直ぐな部分、および/または第3の実質的に真っ直ぐな部分は互いに対して斜めに配向され得る。第2の顎部の第1の実質的に真っ直ぐな部分、第2の実質的に真っ直ぐな部分、および/または第3の実質的に真っ直ぐな部分は互いに対して斜めに配向され得る。第1の顎部の第1の実質的に真っ直ぐな部分、第2の実質的に真っ直ぐな部分、および/または第3の実質的に真っ直ぐな部分、は実質的に同一平面上にあり得る。第2の顎部の第1の実質的に真っ直ぐな部分、第2の実質的に真っ直ぐな部分、および/または第3の実質的に真っ直ぐな部分、は実質的に同一平面上にあり得る。第2の顎部の第1の実質的に真っ直ぐな部分、第2の実質的に真っ直ぐな部分、および/または第3の実質的に真っ直ぐな部分、はシャフトと実質的に同一平面上にあり得る。
【0020】
第3の態様のより詳細な実施形態では、第1の顎部の第2の実質的に真っ直ぐな部分は、第1の顎部の第1の実質的に真っ直ぐな部分および/または第1の顎部の第2の実質的に真っ直ぐな部分の少なくとも一方より長くてもよい。第1の顎部の第2の実質的に真っ直ぐな部分は、第1の顎部の第1の実質的に真っ直ぐな部分および/または第1の顎部の第2の実質的に真っ直ぐな部分の両方より長くてもよい。
【0021】
第3の態様のより詳細な実施形態では、第1の顎部および/または第2の顎部はヘッドにおいて概して遠位に配置され得る。第1の顎部および/または第2の顎部はヘッドから概して横方向に配向され得る。閉位置において、第1の顎部の第2の実質的に真っ直ぐな部分は、シャフトに対しておおよそ垂直に配向され得る。
【0022】
第3の態様のより詳細な実施形態では、閉位置において、第1の顎部の第1の実質的に真っ直ぐな部分は、ヘッドから概して対角線的に遠位および/または横方向に離れるように延び得る。第1の顎部の第3の実質的に真っ直ぐな部分は、第2の湾曲した部分から概して対角線的に近位および横方向に離れるように延び得る。第2の顎部はシャフトに対してしっかりと配置され得る。第2の顎部の第1の実質的に真っ直ぐな部分、第2の実質的に真っ直ぐな部分、および/または第3の実質的に真っ直ぐな部分、はシャフトと実質的に同一平面上にあり得る。
【0023】
第3の態様のより詳細な実施形態では、デバイスは、シャフトにおいて近位に配置されるハンドルを備えてもよく、ハンドルは、関節機構に動作可能に接続されるアクチュエータを備え得る。第1の顎部の先端および/または第2の顎部の先端は、細長い柔軟な案内部のそれぞれの端部分に解放可能に連結するように構成され得る。第1の顎部および/または第2の顎部の各々は、第1の顎部および/または第2の顎部の間に挟み付けられる組織を切除するために、無線周波数エネルギーの供給源に動作可能に連結される少なくとも1つの電極を備え得る。関節機構は、第1の顎部に連結される第1の顎部取付部であって、第1の顎部取付部は経路に沿って移動可能であり、経路に沿っての第1の顎部取付部の移動は第1の顎部取付部および第1の顎部の回転および/もしくは並進を引き起こし、それによって、第1の顎部を開位置と閉位置との間で移動させる、第1の顎部取付部、ならびに/または枢動可能に取り付けられたクランクであって、クランクは、アクチュエータリンク機構を移動させることがクランクを回転させるように、アクチュエータリンク機構を第1の顎部取付部に動作可能に連結し、クランクの回転は第1の顎部取付部を経路に沿って移動させる、クランク、を備え得る。
【0024】
第1の端部分および第2の端部分を備える細長い柔軟な案内本体、第1の端部分に配置される第1の案内接続器、および/または第2の端部分に配置される第2の案内接続器、を備える、外科用デバイスのための案内部を提供することが、本開示の第4の態様である。第1の案内接続器は、第2の案内接続器に、ならびに/または外科用デバイスの第1の顎部の第1の先端および/もしくは外科用デバイスの第2の顎部の第2の先端の少なくとも一方に、選択的に解放可能に接続可能であり得る。第2の案内接続器は、第1の案内接続器に、ならびに/または第1の先端および/もしくは第2の先端の少なくとも一方に、選択的に解放可能に接続可能であり得る。第1の案内接続器が第2の案内接続器に接続される場合、案内部は閉ループを形成できる。
【0025】
第4の態様のより詳細な実施形態では、第1の案内接続器は第1の永久磁石を備え得る。第2の案内接続器は第2の永久磁石を備え得る。第1の永久磁石および/または第2の永久磁石は、反対の磁極が案内本体から離れる方を向くように配向されてもよく、それによって、第1の案内接続器および第2の案内接続器を互いに磁気的に連結させて案内部を閉ループへと形成する。第1の案内接続器は、第1の永久磁石を受け入れるように構成されるカバーを備え得る。第1の永久磁石は、第1の案内接続器のカバーの中にしっかりと収容され得る。第2の案内接続器は、第2の永久磁石を受け入れるように構成されるカバーを備え得る。第2の永久磁石は、第2の案内接続器のカバーの中にしっかりと収容され得る。
【0026】
第4の態様のより詳細な実施形態では、案内本体は概して管状であり得る。
【0027】
第4の態様のより詳細な実施形態では、外科用装置は、ハンドル、ハンドルから遠位に延びるシャフト、ならびに/またはシャフトの遠位端に近接して配置され、第1の顎部および第2の顎部を備えるエンドエフェクタ、を備える外科用デバイス、および/または前述したような案内部、を備え得る。
【0028】
外科用デバイスを使用する方法であって、細長い柔軟な案内部が、案内部の第1の端部分から、横洞を通じて右から左へと、左肺静脈に下方で近接して、斜洞を通じて左から右へと、案内部の第2の端部分へと延びるように、案内部を心臓に近接して位置決めするステップ、案内部の第1の端部分を鉗子の第1の顎部の先端に連結するステップ、案内部の第2の端部分を鉗子の第2の顎部の先端に連結するステップ、案内部を概して右から左へと前方に引っ張ることで、第1の顎部および第2の顎部を左心房に近接して位置決めするステップ、ならびに/または左心房の一部分を第1の顎部と第2の顎部との間に挟み付けるステップ、を含む方法を提供することが、本開示の第5の態様である。
【0029】
第5の態様のより詳細な実施形態では、方法は、左心房の一部分を挟み付けた後、第1の顎部と第2の顎部との間の左心房の一部分を少なくとも一部で切除するステップを含み得る。第1の顎部と第2の顎部との間の左心房の一部分を切除するステップは、第1の顎部において概して平行に配置される第1の電極および第2の電極と、第2の顎部において概して平行に配置される第3の電極および第4の電極と、を使用して、双極無線周波数エネルギーを第1の顎部と第2の顎部との間の左心房の一部分に適用することを含み得る。
【0030】
第5の態様のより詳細な実施形態では、細長い柔軟な案内部を心臓に近接して位置決めするステップは、案内部が、案内部の第1の端部分から、斜洞を通じて左から右へと、右肺静脈に上方で近接して、横洞を通じて右から左へと、案内部の第2の端部分へと延びるように、案内部を心臓に近接して位置決めすること、案内部を閉ループへと形成するために、第1の端部分を第2の端部分に解放可能に連結すること、案内部が、解放可能に連結された第1の端部分および第2の端部分から、横洞を通じて右から左へと、左肺静脈に下方で近接して、斜洞を通じて左から右へと、解放可能に連結された第1の端部分および第2の端部分へと延びるように、案内部を移動させること、ならびに/または第1の端部分を第2の端部分から連結解除すること、を含み得る。第1の端部分を第2の端部分に解放可能に連結することは、案内部の第1の端部分に配置される第1の永久磁石を、案内部の第2の端部分に配置される第2の永久磁石と解放可能に磁気的に連結することを含み得る。
【0031】
第5の態様のより詳細な実施形態では、鉗子は、ハンドルと、ハンドルから遠位に延びるシャフトと、シャフトの遠位端に配置されるエンドエフェクタと、を備えてもよく、エンドエフェクタは第1の顎部と第2の顎部とを備える。第1の顎部および第2の顎部を左心房に近接して位置決めするステップは、第1の顎部を横洞に少なくとも途中まで通して位置決めすることと、第2の顎部を斜洞に少なくとも途中まで通して位置決めすることと、を含み得る。左心房の一部分を第1の顎部と第2の顎部との間に挟み付けるステップは、右肺静脈を囲む左心房の一部分を挟み付けることを含み得る。方法は、第1の顎部と第2の顎部との間の右肺静脈を囲む左心房の一部分を切除するステップを含み得る。方法は、左肺静脈を囲む左心房の一部分を第1の顎部と第2の顎部との間に挟み付けるステップ、および/または第1の顎部と第2の顎部との間の左肺静脈を囲む左心房の一部分を切除するステップ、を含み得る。右肺静脈を囲む左心房の一部分、および/もしくは左肺静脈を囲む左心房の一部分は重ならない、ならびに/またはそれぞれの切除する動作は、離間した肺静脈隔離障害を形成し得る。右肺静脈を囲む左心房の一部分、および/もしくは左肺静脈を囲む左心房の一部分は、右肺静脈および/もしくは左肺静脈の間で重なってもよい、ならびに/またはそれぞれの切除する動作は、8の字形の障害を形成し得る。
【0032】
第5の態様のより詳細な実施形態では、左心房の一部分を第1の顎部と第2の顎部との間に挟み付けるステップは、第1の顎部と第2の顎部との間の左心房の一部分が右肺静脈および左肺静脈を同時に囲むように、左心房を挟み付けることを含み得る。方法は、左心房の一部分を挟み付けた後、第1の顎部と第2の顎部との間の左心房の一部分を少なくとも部分的に切除するステップを含み得る。第1の顎部と第2の顎部との間の左心房の一部分を切除するステップは、第1の顎部および/または第2の顎部を再位置決めすることなく、単一の切除動作で右肺静脈および左肺静脈の周りに完全な箱状の障害を形成することを含み得る。
【0033】
第5の態様のより詳細な実施形態では、案内部の第1の端部分を鉗子の第1の顎部の先端に連結するステップは、案内部の第1の端部分を鉗子の第1の顎部の先端に解放可能に連結することを含み得る。案内部の第2の端部分を鉗子の第2の顎部の先端に連結するステップは、案内部の第2の端部分を鉗子の第2の顎部の先端に解放可能に連結することを含み得る。
【0034】
第5の態様のより詳細な実施形態では、鉗子は、シャフト、シャフトにおいて近位に配置されるハンドル、および/またはシャフトにおいて遠位に配置されるエンドエフェクタ、を備えてもよく、エンドエフェクタは第1の顎部および/または第2の顎部を備える。第1の顎部および/または第2の顎部を左心房に近接して位置決めするステップは、シャフトを心臓の右側面の様相に沿って概して前方から後方への方向に位置決めすることを含み得る。鉗子は、シャフト、シャフトにおいて近位に配置されるハンドル、および/またはシャフトにおいて遠位に配置されるエンドエフェクタ、を備えてもよく、エンドエフェクタは第1の顎部および/または第2の顎部を備える。左心房の一部分を第1の顎部と第2の顎部との間に挟み付けるステップは、ハンドルにおけるアクチュエータを動作させることを含んでもよく、アクチュエータは、第1の顎部を開位置から閉位置へと移動させるように動作可能に連結される。
【0035】
例の実施形態が、添付の図面との組み合わせで記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図2】例のエンドエフェクタの詳細な斜視図である。
【
図3】顎部が開位置にある例のエンドエフェクタの側面図である。
【
図4】顎部が中間位置にある例のエンドエフェクタの側面図である。
【
図5】顎部が閉位置にある例のエンドエフェクタの側面図である。
【
図8】例の関節機構を備える例のエンドエフェクタの分解斜視図である。
【
図9】例のヘッド外殻部分の詳細な内部の斜視図である。
【
図10】例のヘッド外殻部分の詳細な内部の斜視図である。
【
図12】例の第1の顎部の内向きの(例えば、組織を挟み付ける)面の詳細図である。
【
図13】例の第2の顎部の内向きの(例えば、組織を挟み付ける)面の詳細図である。
【
図16】鉗子の顎部の先端に取り付けられる例の案内部の斜視図である。
【
図17】例の案内接続器の詳細な分解斜視図である。
【
図18】案内部および/または鉗子を使用する例の動作を示す、心臓の単純化された後方からの斜視図である。
【
図19】案内部および/または鉗子を使用する例の動作を示す、心臓の単純化された後方からの斜視図である。
【
図20】案内部および/または鉗子を使用する例の動作を示す、心臓の単純化された後方からの斜視図である。
【
図21】案内部および/または鉗子を使用する例の動作を示す、心臓の単純化された後方からの斜視図である。
【
図22】案内部および/または鉗子を使用する例の動作を示す、心臓の単純化された後方からの斜視図である。
【
図23】案内部および/または鉗子を使用する例の動作を示す、心臓の単純化された後方からの斜視図である。
【
図24】案内部および/または鉗子を使用する例の動作を示す、心臓の単純化された後方からの斜視図である。
【
図25】例の鉗子を示す、心臓の単純化された上方からの斜視図である。
【
図26】例の箱状の障害を示す、心臓の左心房の概略的な後面図である。
【
図27】例の肺静脈隔離障害を示す、心臓の左心房の概略的な後面図である。
【
図28】例の8の字形の障害を示す、心臓の左心房の概略的な後面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
すべての図は、本開示の少なくとも一部の態様によっている。
【0038】
本開示による例の実施形態は、医療処置に関する装置、方法、および技術を包含するために、以下に記載および図示されている。当然ながら、以下に記載されている実施形態が例であり、本開示の範囲および精神から逸脱することなく再構成され得ることは、当業者には明らかである。当業者によって検討される例の実施形態の変形が本開示の一部を同時に含み得ることも、理解されるものである。しかしながら、明確性および正確性のために、以下に検討されているような例の実施形態は、当業者が本開示の範囲内になる必要条件ではないとして認識しなければならない任意選択のステップ、方法、および特徴を含んでもよい。
【0039】
本開示は、とりわけ、医療用の器具およびデバイス、ならびに関連する方法を含み、より詳細には、組織を挟み付けおよび切除するための外科用デバイス、ならびに関連する方法を含む。本開示の少なくとも一部の態様による一部の例の実施形態は、導入部分と、本明細書において参照により組み込まれている特許文献とにおいて先に詳述した理由のため、心房細動などの心臓不整脈を治療するなどのために、心臓組織の切除との関連において特に有用であり得る。
【0040】
図1は、本開示の少なくとも一部の態様による外科用鉗子100などの例の外科用デバイスの斜視図である。一部の例の実施形態では、外科用鉗子100は、概して細長いシャフト300の近位端302に配置されるハンドル200を含み得る。エンドエフェクタ400が、シャフト300の遠位端304に配置され得る。エンドエフェクタ400は、ヘッド402において概して遠位に配置され得る第1の顎部502および/または第2の顎部504などの1つ以上の顎部を備え得る。ハンドル200は、標的組織102において閉じる(例えば挟み付ける)ためになど、第1の顎部502および/または第2の顎部504をヘッド402に対して移動させるように動作可能であり得るプランジャ202などのアクチュエータを備え得る。
【0041】
本明細書で使用されているように、「近位」は、外科用鉗子100のハンドル200の端に向かう方向を概して参照できる。本明細書で使用されているように、「遠位」は、外科用鉗子100のエンドエフェクタ400の端に向かう方向を概して参照できる。
【0042】
図2は、本開示の少なくとも一部の態様による例のエンドエフェクタ400の詳細な斜視図である。第1の顎部502および第2の顎部504の各々は、ヘッド402に近接するそれぞれの第1の端部分506、508と、ヘッド402から概して離れるそれぞれの第2の端部分510、512と、を備え得る。第2の端部分510、512の各々はそれぞれの先端514、516において途切れ得る。
図2の開位置において、顎部502、504は、離間した先端514、516の間に開口部518を定め得る。
【0043】
図3は、顎部502、504が開位置にある状態での例のエンドエフェクタ400の側面図であり、
図4は、顎部502、504が中間位置にある状態での例のエンドエフェクタ400の側面図であり、
図5は、顎部502、504が閉位置にある状態での例のエンドエフェクタ400の側面図であり、すべて本開示の少なくとも一部の態様によっている。
【0044】
図1~
図3を参照すると、開位置において、第1の顎部502と第2の顎部504とは分離され、実質的に非平行であり得る。
図4を参照すると、中間位置において、第1の顎部502と第2の顎部504とは分離され、実質的に平行であり得る。
図5を参照すると、閉位置において、第1の顎部502と第2の顎部504とは実質的に隣接し、実質的に平行であり得る。閉位置での顎部502、504を参照して本明細書において使用されているように、「実質的に隣接」は、顎部502、504の間に挟み付けられ得る標的組織102(
図1)の厚さのためなど、顎部502、504の間に小さい隙間を含むこともある。
【0045】
図3~
図5を参照すると、開位置(
図3)から中間位置(
図4)への第1の顎部502の移動は、シャフト300に対して概して垂直である回転の軸の周りなどで、ヘッド402に対する実質的な角度変化(例えば枢動または回転)を含み得る。中間位置(
図4)から閉位置(
図5)への第1の顎部502の移動は、第1の顎部502および第2の顎部504が実質的に平行なままである間など、ヘッド402に対する実質的な並進を含み得る。
【0046】
一部の実施形態では、第2の顎部504がヘッド402に対して固定され得る(例えば動かないままであり得る)間、第1の顎部502はヘッド402に対して移動可能であり得る。一部の状況では、1つの動かない顎部504を有することは、鉗子100(
図1)を位置決めするとき、外科医に固定された分かっている基準の点を提供できるため、有利であり得る。他の例の実施形態では、第1の顎部502と第2の顎部504との両方がヘッド402に対して移動可能であり得る。明確性および簡潔性の目的のために、本明細書の記載は、第1の顎部502の移動と、このような移動を容易にする関連する構成要素と、に焦点を当てている。しかしながら、実質的に同様の構成要素が、第2の顎部504の移動を容易にするために使用でき、それによって、第1の顎部502と第2の顎部504との両方がヘッド402に対して開位置と中間位置と閉位置との間で移動可能とできる代替の例の実施形態を提供し、このような実施形態は本開示の範囲内にあることを、当業者は理解するものである。
【0047】
一部の例の実施形態では、シャフト300は実質的に硬くてもよい。他の例の実施形態では、シャフト300の少なくとも一部分は、曲げることが可能であり得るか、または従順であり得る(例えば塑性的に変形可能であり得る)、これによって、使用者は患者の特定の生体構造に適応させるようにシャフト300を構成することができる。一部の例の実施形態では、シャフトは実質的に真っ直ぐ(例えば線形)であり得る。他の例の実施形態では、シャフト300は少なくとも1つの湾曲した部分を備え得る。例えば、シャフト300は概してC字形(例えば、1つの曲線)またはS字形(例えば、反対方向での2つの曲線)であり得る。
【0048】
図6および
図7は、例の関節機構600の斜視での切断図であり(
図6および
図7は同じ例のデバイスの異なる側の斜視図である)、
図8は、例示的な関節機構600を含む例示的なエンドエフェクタ400の分解斜視図であり、
図9および
図10は、例示的なヘッド外殻部分404、406の詳細な内部の斜視図であり、すべて本開示の少なくとも一部の態様によっている。概して、関節機構600は、使用者によるアクチュエータ202(
図1)の操作によって、第1の顎部502を開位置と中間位置と閉位置との間で移動させるために動作可能であり得る。移動可能な第2の顎部504を含む実施形態では、同様の関節機構が第2の顎部504と関連して利用されてもよい。
【0049】
図6~
図10を参照すると、例示的な関節機構600は、第1の顎部502に連結され得る(例えばしっかりと固定され得る)第1の顎部取付部602を備え得る。一部の例の実施形態では、第1の顎部取付部602は、
図8に示されているものなど、第1の顎部502の少なくとも一部分と一体に形成され得る。他の実施形態では、第1の顎部502は、第1の顎部取付部602を備える別体の構成要素に固定され得る。
【0050】
一部の例の実施形態では、第1の顎部取付部602はヘッド402に対して経路604(
図9および
図10)に沿って移動可能とでき、これは、開位置、中間位置、および/または閉位置の間での第1の顎部取付部602および第1の顎部502の回転および/または並進を引き起こすことができる。例えば、第1の顎部502は、開位置と中間位置との間で約45度回転することができる、および/または第1の顎部は、中間位置と閉位置との間で約10mm並進することができる。例えば、第1の顎部取付部602は、経路604に沿ってスライド可能および/または回転可能に移動可能であり得る第1のピン606および/または第2のピン608を備えてもよく、経路604は、1つ以上のスロットによって少なくとも一部で定められ得る。例えば、経路604は、ヘッド402の外殻部分404の内面におけるスロット610によって少なくとも部分的に定められ得る、および/または経路604は、ヘッド402の外殻部分406の内面におけるスロット612によって少なくとも部分的に定められ得る。図示されている実施形態は、経路604に沿っての第1の顎部取付部602の移動を容易にするために、スロット610、612の中で移動可能なピン606、608を利用しているが、経路604に沿っての第1の顎部取付部602の移動を容易にするために軌道、ローラ、スライダなどの他の構成要素および/または機構を利用することは、本開示の範囲内にある。
【0051】
図9および
図10を参照すると、一部の例示的な実施形態では、経路604(および/またはスロット610、612)は、少なくとも1つの概して真っ直ぐな部分614および/または少なくとも1つの概して湾曲した部分616を備え得る。スロット610、612によって定められた経路604に沿って移動する2つのピン606、608を備える一部の実施形態では、概して湾曲した部分616は、第1の顎部取付部602(および取り付けられた第1の顎部502)をヘッド402に対して実質的に枢動または回転させるように動作可能であり得る。概して湾曲した部分616の長さ、配向、および/または曲率は、第1の顎部取付部602の角度回転の範囲、および/またはヘッド402に対する第1の顎部取付部602の並進の量、を確立することができる。同様に、スロット610、612によって定められた経路604に沿って移動する2つのピン606、608を備える一部の実施形態では、概して真っ直ぐな部分614は、第1の顎部取付部602(および取り付けられた第1の顎部502)を、ヘッド402に対する第1の顎部取付部602の角度を実質的に変えることなく、ヘッド402に対して並進させるように動作可能であり得る。概して真っ直ぐな部分614の長さおよび/または配向は、ヘッド402に対する第1の顎部取付部602の並進の範囲を確立することができる。所望の経路604を提供して第1の顎部取付部602(および取り付けられた第1の顎部502)の所望の移動を得るために、概して湾曲した部分616および/または概して真っ直ぐな部分614の任意の組み合わせを利用することは、本開示の範囲内にある。例えば、代替の経路は、その長さにわたって曲率が変化する連続した曲線を含んでもよい。または、例えば、代替の経路は、湾曲した部分616によって介在させられる2つの概して真っ直ぐな部分614を含んでもよい。
【0052】
図6~
図10を参照すると、一部の例の実施形態では、関節機構600は、ヘッド402に対して枢動可能に取り付けられるクランク618を備え得る。例えば、クランク618は、外殻部分404、406の枢動孔408、410内にそれぞれ受け入れられる枢動ピン620によってなど、ヘッド402の中に枢動可能に配置され得る。クランク618は、第1の顎部取付部602を経路604に沿って移動させるために第1の顎部取付部602に動作可能に連結され得る。例えば、クランク618の回転は、第1の顎部取付部602を経路604に沿って移動させることができる。
【0053】
一部の例の実施形態では、クランク618は、アクチュエータリンク機構306に動作可能に連結され得る第1のアーム622、および/または第1の顎部取付部602に動作可能に連結され得る第2のアーム624、を備え得る。アクチュエータ202(
図1)は、シャフト300を通じて概して長手方向に延び得るアクチュエータリンク機構306に動作可能に連結され得る。一部の例示的な実施形態は、アクチュエータリンク機構306およびクランク618を介在する接続リンク機構626を備え得る。関節機構600は、アクチュエータ202の移動が(例えば、アクチュエータリンク機構306および/または接続リンク機構626を介して)クランク618の回転を引き起こすように構成され得る。クランク618が回転するとき、第2のアーム624は、第1の顎部取付部602を経路604に沿って移動させて、第1の顎部502を開位置、中間位置、および/または閉位置、の間で移動させることができる。
【0054】
図示されている実施形態のクランク618は、2つの概して別々に延びるアーム622、624を備えるが、実質的に別々に形成されていないアームを伴うクランクを利用することは、本開示の範囲内にある。例えば、このようなクランクは、概して、アーム同士の間の領域が少なくとも一部で連続である約120度の円形区域の形態であってもよい。一部の例示的な実施形態では、回転の軸から径方向で遠くの位置においてアーム622、624を一体に接続することは、クランク618の強度を増加させ、それによって、所与の材料および厚さについて最大の許容可能なトルクおよび/または力を増加させることができる。一部の例示的な実施形態では、アーム622、624の有効長さ(例えば枢動ピン620と第1のピン606との間、および/または枢動ピン620と枢動可能な接続部632(後で記載されている)との間の径方向の距離)を変化させることは、最大の許容可能なトルクおよび/または力を変化させることを容易にすることができる。
【0055】
一部の例の実施形態では、クランク618の枢動軸(例えば枢動ピン620)と経路604(第1のピン606が移動するのに沿う)との間の距離が、経路604の長さにわたって変化してもよい。したがって、クランク618の第2のアーム624は第1の顎部取付部602にスライド可能および/または枢動可能に連結され得る。例えば、クランク618の第2のアーム624はクランクスロット628を備えてもよく、クランクスロット628は、第1の顎部取付部602が経路604に沿って移動するときに第1のピン606がクランクスロット628に沿って移動するように、第1の顎部取付部602の第1のピン606をスライド可能および/または枢動可能に受け入れることができる。一部の例の実施形態では、クランクスロット628は、実質的に真っ直ぐであり得る、および/またはクランク618の回転の軸(例えば枢動ピン620)に対して実質的に径方向に配向され得る。
【0056】
接続リンク機構626を備える一部の例の実施形態では、接続リンク機構626の近位端が、枢動可能接続部630によってアクチュエータリンク機構306の遠位端に連結され得る。接続リンク機構626の遠位端が、枢動可能接続部632によってクランクの第1のアーム622に連結され得る。アクチュエータリンク機構306の遠位端と接続リンク機構626の近位端との間の枢動可能接続部630は、ヘッド402の外殻部分404、406の内面におけるそれぞれの案内スロット638、640の中でスライド可能であり得る1つ以上の案内部634、636を備え得る。一部の例の実施形態では、アクチュエータリンク機構306が実質的に真っ直ぐな線において(例えば概してアクチュエータリンク機構306と一列に)概して近位および遠位に移動するように、案内スロット638、640は概して線形であり得る、および/またはシャフト300に対して実質的に軸方向で位置決めされ得る。
【0057】
図11は、本開示の少なくとも一部の態様による例のハンドル200の内部の側面図である。概して、ハンドル200は、参照により組み込まれている特許文献1に記載されているように、構築され得る、および/または動作させられ得る。ハンドル200は把持部204、206、208を備え得る。ハンドル200は、ワイヤ212または管がハンドル200の内部から外部へと延び得るのに通るポート210を備え得る。例えば、切除電極のためのワイヤ212または顎部502、504におけるセンサが、シャフト300を通じて、ハンドル200へと、およびポート210を通じて外へと、経路決定され得る。
【0058】
一部の例示的な実施形態では、ハンドル200はアクチュエータ機構214を収容できる。この例の実施形態では、プランジャ202は、顎部502、504の1つ以上を関節動作させるために使用され得る。プランジャ202はシャフト300と概して並べられ得る。プランジャ202が完全に後退または近位の位置にある状態で、第1の顎部502は開位置にあり得る(
図3)。プランジャ202が遠位方向に押されるとき、第1の顎部502は開位置(
図3)から中間位置(
図4)へと移動することができる。プランジャ202をさらに押すことで、第1の顎部502を中間位置(
図4)から閉位置(
図5)へと移動させることができる。
【0059】
一部の例示的な実施形態では、アクチュエータ機構214は係止機構を備え得る。例えば、プランジャ202は、幅広の近位開口218を伴う概して長手方向のスロット216を備え得る。顎部502、504が閉位置にあるとき、開口218は係止ボタン220と並ぶことができ、係止ボタン220は、係止ボタン220を開口218へと押し込み、それによってプランジャ202が近位に移動するのを防止し、顎部502、504を閉位置で維持させるために、バネで付勢され得る。係止ボタン220を押すことで、係止ボタン220を開口218から係合解除し、それによってプランジャ202を解放し、プランジャ202を近位に移動させて顎部502、504を開放することができる。
【0060】
一部の例の実施形態では、アクチュエータ機構214は、プランジャ202が押されるとき、顎部502、504によって適用され得る力の大きさを制御および/または制限するように構成され得る。例えば、アクチュエータ機構214は解放ロッド222と力制限バネ224とを備え得る。解放ロッド222はアクチュエータリンク機構306に対してスライド可能とできるが、力制限バネ224は、遠位への力をアクチュエータリンク機構306に加えるために配置され得る。プランジャ202が押されるとき、力制限バネ224は、プランジャ202における段差226とアクチュエータリンク機構306との間で圧縮され得る。したがって、アクチュエータ202を押すことは、力制限バネ224に荷重を付与し、その荷重は、アクチュエータリンク機構306を遠位に移動させるアクチュエータリンク機構306へと伝えられる。プランジャ202が押され続ける間に、顎部の挟み付ける荷重が所望の最大を超える場合、力制限バネ224はさらに圧縮され、解放ロッド222はアクチュエータリンク機構306を移動させることなく遠位に移動する。したがって、力制限バネ224は、顎部の挟み付ける最大荷重を実質的に制限する。当業者は、組織を挟み付ける圧力が、顎部の挟み付ける力と、挟み付けられている組織の面積と、の関数であり得ることを認識するものである。アクチュエータ機構214は、アクチュエータ202を解放するとアクチュエータリンク機構306を近位へ移動させるように動作可能であり得る戻りバネ228を備え得る。
【0061】
図12は、例示的な第1の顎部502の内向きの(例えば組織を挟み付ける)面の詳細図であり、
図13は、例示的な第2の顎部504の内向きの(例えば組織を挟み付ける)面の詳細図であり、
図14は、例示的な第1の顎部502の断面図であり、すべて本開示の少なくとも一部の態様によっている。
図14は、第1の顎部502と関連付けられた特定の構成要素および寸法を示しているが、第2の顎部504は、明示的に指示されていない場合、同様の寸法を伴う同様の構成要素を備え得る。
【0062】
図2、
図8、および
図12~
図14を参照すると、一部の例示的な実施形態では、第1の顎部502は、概して近位端部分506(例えば第1の顎部取付部602に近接する)から遠位端部分510(例えば先端514に近接する)へと延びる実質的に硬い顎ビーム520を備え得る。同様に、第2の顎部504は、概して近位端部分508から遠位端部分512(例えば先端516に近接する)へと延びる実質的に硬い顎ビーム522を備え得る。顎ビーム520、522はステンレス鋼から構築でき、例えばこれは、所望の曲げ強度と、切除を伴う一部の処置の間にヒートシンクとして作用することと、を提供することができる。他の金属(例えばアルミニウム)など、適切な機械特性および熱特性を提供する他の生体適合材料が、代替の顎ビームに使用されてもよい。
【0063】
一部の例示的な実施形態では、絶縁体524、526が、各々のそれぞれの顎ビーム520、522の内向きの面においてなど、各々のそれぞれの顎部に配置されてもよい。絶縁体524、526は、成型プラスチックなどの非導電性の材料から構築され得る。適切な絶縁特性および熱特性を提供する他の生体適合材料が、代替の絶縁体に使用されてもよい。
【0064】
一部の例の実施形態では、無線周波数(RF)切除のために構成されているものなど、顎部502、504は1つ以上の電極を備えてもよく、それら電極は絶縁体524、526に配置され得る(例えば、絶縁体524、526内に少なくとも一部で取り付けられ得る)。例えば、電極は絶縁体524、526に接合またはオーバーモールドされ得る。第1の顎部は、1つ以上の細長い離間した電極、すなわち第1の電極528および/または第2の電極530を備え得る。同様に、第2の顎部は、1つ以上の細長い離間した電極、すなわち第3の電極532および/または第4の電極534を備え得る。一部の例の実施形態では、電極528、530、532、534は、顎部502、504の間に挟み付けられる標的組織102の双極無線周波数切除を実施するように構成され得る。各々の電極528、530、532、534は幅536を有してもよく、幅536は、電極の局所的な細長い方向に対して概して垂直な方向において組織を向く面の幅であり得る。1つの顎部502、504当たりで2つ以上の電極528、530、532、534を備える実施形態では、電極528、530、532、534は電極間隔538によって離間されてもよい。各々の電極528、530、532、534は、絶縁体524、526の表面を突出高さ540だけ越えて延び得る。各々の電極528、530、532、534は、それぞれの顎ビーム520、522から絶縁深さ542に配置されて離間され得る。各々の電極528、530、532、534は電極高さ572を有し得る。
【0065】
一部の例示的な実施形態では、電極幅536は約0.1mm~約2.0mmであり得る。一部の例示的な実施形態では、電極幅536は約0.2mm~約0.4mmであり得る。
図12~
図14に示されている例示的な実施形態では、電極幅536は約0.30mmであり得る。一部の例示的な実施形態では、各々の電極528、530、532、534は、各々の電極528、530、532、534の長さにわたって実質的に一定であり得る実質的に同じ幅536を有してもよい。他の実施形態では、幅536は、電極528、530、532、534の長さにわたって変化してもよく、および/または電極528、530、532、534によって異なってもよい。
【0066】
一部の例示的な実施形態では、電極間隔538は約0.1mm~約3.0mmであり得る。一部の例示的な実施形態では、電極間隔538は約0.3mm~約0.6mmであり得る。
図12~
図14に示されている例示的な実施形態では、電極間隔538は約0.43mmであり得る。一部の例示的な実施形態では、電極間隔538は、電極528、530、532、534が任意の局所的な領域において実質的に平行となるように、複数の電極528、530、532、534の長さにわたって実質的に一定であり得る。他の実施形態では、電極間隔538は、電極528、530、532、534が一部の領域においてより近くになり得るように、および/または他の領域においてより遠くになり得るように、複数の電極528、530、532、534の長さにわたって変化してもよい。
【0067】
一部の例示的な実施形態では、突出高さ540は約0.0mm(例えば面一)~約0.5mmであり得る。一部の例示的な実施形態では、突出高さ540は約0.1mm~約0.2mmであり得る。
図12~
図14に示されている例示的な実施形態では、突出高さ540は約0.15mmであり得る。一部の例示的な実施形態では、突出高さ540は、特定の電極528、530、532、534の長さにわたって実質的に一定であり得る、および/または2つ以上の電極528、530、532、534について実質的に同じであり得る。他の実施形態では、突出高さ540は、電極528、530、532、534の長さにわたって変化してもよく、および/または電極528、530、532、534によって変化してもよい。
【0068】
一部の例示的な実施形態では、絶縁深さ542は約0.1mm~約5.0mmであり得る。一部の例示的な実施形態では、絶縁深さ542は約0.8mm~約1.6mmであり得る。
図12~
図14に示されている例示的な実施形態では、絶縁深さ542は約1.25mmであり得る。一部の例示的な実施形態では、絶縁深さ542は、特定の電極528、530、532、534の長さにわたって実質的に一定であり得る、および/または2つ以上の電極528、530、532、534について実質的に同じであり得る。他の実施形態では、絶縁深さ542は、電極528、530、532、534の長さにわたって変化してもよく、および/または電極528、530、532、534によって変化してもよい。
【0069】
一部の例示的な実施形態では、電極高さ572は約0.25mm~約3.0mmであり得る。一部の例示的な実施形態では、電極高さ572は約0.3mm~約0.7mmであり得る。
図12~
図14に示されている例示的な実施形態では、電極高さ572は約0.5mmであり得る。一部の例示的な実施形態では、電極高さ572は、特定の電極528、530、532、534の長さにわたって実質的に一定であり得る、および/または2つ以上の電極528、530、532、534について実質的に同じであり得る。他の実施形態では、電極高さ572は、電極528、530、532、534の長さにわたって変化してもよく、および/または電極528、530、532、534によって変化してもよい。
【0070】
一部の例示的な実施形態では、電極528、530、532、534は、ヘッド402と先端514、516との間で顎部502、504の実質的に全体の長さで延び得る。
図2、
図12、および
図13に示した例示的な実施形態では、電極528、530、532、534は約105mmの長さであり得る。より短い顎部を伴う代替の例の実施形態では、電極528、530、532、534は約86mmの長さであり得る。
【0071】
2018年3月27日に発行された「Ablation System, Clamp and Method of Use」という名称の特許文献2は、参照により組み込まれており、無線周波数エネルギーを使用する組織切除に関する様々な装置および方法を記載しており、それらの一部は、本開示の少なくとも一部の態様による一部の例示的な実施形態と関連して使用され得る。概して、電極間隔538を小さくすることで、より狭い障害および/またはより迅速な切除をもたらすことができる。概して、絶縁深さ542を大きくすることで、より狭い障害、より迅速な切除、および/または単位体積当たりでのより小さいエネルギー、をもたらすことができる。
【0072】
本開示の少なくとも一部の態様による一部の例示的な実施形態では、鉗子100の顎部502、504は、特定の標的組織102に隣接しての位置決めと、所望の様態での標的組織102の係合と、を容易にするように構成され得る。例えば、ヘッド402の近くの第1の端部分506、508と先端514、516との間での顎部502の形は、標的組織102に基づいて、および/または他の解剖学的構造との関係における標的組織102の場所に基づいて、選択され得る。後に詳細に記載されているように、一部の例の鉗子100は、心臓の後方部分に概して位置付けられる肺静脈の周りに障害を作り出すために使用され得る。心臓が胸骨正中切開を介してアクセスされる場合、肺静脈の周りに障害を作り出すことは、鉗子100を心臓の後方の様相の周りに少なくとも一部で位置決めする一方で、左心房に係合し、切除されない近くの構造を回避することを必要とし得る。
【0073】
図12および
図13を参照すると、一部の例示的な実施形態では、顎部502、504は、1つ以上の概して湾曲したまたは曲がった部分556、558、560、562によって介在され得る1つ以上の実質的に真っ直ぐな(例えば概して線形の)部分544、546、548、550、552、554から形成され得る。例えば、第1の顎部502では、第1の実質的に真っ直ぐな部分544が、第1の端部分506から第1の湾曲した部分556へと延び得る。第2の実質的に真っ直ぐな部分546が、第1の湾曲した部分556から第2の湾曲した部分558へと延び得る。第3の実質的に真っ直ぐな部分548が、第2の湾曲した部分558から第2の端部分510へと延び得る。一部の例の実施形態では、実質的に真っ直ぐな部分544、546、548の各々が、他の実質的に真っ直ぐな部分544、546、548の各々に対して斜めに(例えば非平行および非垂直に)配向され得る。例えば、第1の実質的に真っ直ぐな部分544と第2の実質的に真っ直ぐな部分546との間の角度564は、約110度から約150度までであり得る、および/または第2の実質的に真っ直ぐな部分546と第3の実質的に真っ直ぐな部分548との間の角度566は、約110度から約150度までであり得る。
図12に示された例の実施形態では、部分544は約2.9cmの長さを有することができ、部分546は約5.0cmの長さを有することができ、部分548は約2.8cmの長さを有することができ、角度564は約128度とでき、および/または角度566は約133度とできる。
【0074】
同様に、第2の顎部504では、第1の実質的に真っ直ぐな部分550が、第1の端部分508から第1の湾曲した部分560へと延び得る。第2の実質的に真っ直ぐな部分552が、第1の湾曲した部分560から第2の湾曲した部分562へと延び得る。第3の実質的に真っ直ぐな部分554が、第2の湾曲した部分562から第2の端部分512へと延び得る。一部の例の実施形態では、実質的に真っ直ぐな部分550、552、554の各々が、他の実質的に真っ直ぐな部分550、552、554の各々に対して斜めに(例えば非平行および非垂直に)配向され得る。例えば、第1の実質的に真っ直ぐな部分550と第2の実質的に真っ直ぐな部分552との間の角度568は、約110度から約150度までであり得る、および/または第2の実質的に真っ直ぐな部分552と第3の実質的に真っ直ぐな部分554との間の角度570は、約110度から約150度までであり得る。
図13に示された例示的な実施形態では、部分550は約2.9cmの長さを有することができ、部分552は約5.0cmの長さを有することができ、部分554は約2.8cmの長さを有することができ、角度568は約128度とでき、および/または角度570は約133度とできる。
【0075】
より短い顎部を伴う代替の例示的な実施形態では、部分544は約2.9cm未満の長さを有することができ、部分546は約5.0cm未満の長さを有することができ、部分548は約2.8cm未満の長さを有することができ、角度564は約128度とでき、および/または角度566は約133度とできる。同様に、部分550は約2.9cm未満の長さを有することができ、部分552は約5.0cm未満の長さを有することができ、部分554は約2.8cm未満の長さを有することができ、角度568は約128度とでき、および/または角度570は約133度とできる。
【0076】
一部の例示的な実施形態では、第1の顎部502と第2の顎部504とは概して互いの鏡像として成形でき、これは標的組織102を顎部502、504の長さの任意の部分にわたって顎部502、504の間に挟み付けることを容易にし得る。他の実施形態では、第1の顎部502と第2の顎部504とは異なる寸法を有し得る。
【0077】
図3~
図5、
図12、および
図13を参照すると、一部の例示的な実施形態では、第1の顎部502と関連付けられるそれぞれの実質的に真っ直ぐな部分544、546、548は、実質的に同一平面上にあり得る(例えば実質的に同じ平面に位置し得る)。同様に、第2の顎部504と関連付けられるそれぞれの実質的に真っ直ぐな部分550、552、554は、実質的に同一平面上にあり得る。他の例の実施形態では、特定の顎部502、504と関連付けられる実質的に真っ直ぐな部分544、546、548、550、552、554のうちの少なくとも1つは、その特定の顎部502、504と関連付けられる別の実質的に真っ直ぐな部分544、546、548、550、552、554に対して実質的に同一平面上になくてもよい。
【0078】
一部の例示的な実施形態では、各々の顎部502、504の第1および第3の実質的に真っ直ぐな部分544、548、550、554は、患者の生体構造での所望の位置における鉗子100の位置決めを容易にすることができる。例えば、各々の顎部502、504の第1および第3の実質的に真っ直ぐな部分544、548、550、554は、それらがいくらか前方を指し得るため、心臓の後方側(例えば左心房)における鉗子100の位置決めを容易にすることができる。完全に湾曲した顎部と比較して、第1および第3の実質的に真っ直ぐな部分544、548、550、554のより積極的な前方の配向は、前方の外科アクセス場所(例えば胸骨正中切開)からの心臓の周りでの鉗子100の位置決めを向上させることができる。
【0079】
一部の例の実施形態では、各々の顎部502、504の第2の実質的に真っ直ぐな部分546、552は、標的組織との鉗子100の所望の係合を容易にすることができる。例えば、各々の顎部502、504の第2の実質的に真っ直ぐな部分546、552は、(例えば概して肺静脈の周りでの)左心房との鉗子100の係合を容易にすることができる。一部の完全に湾曲した顎部と比較して、第2の実質的に真っ直ぐな部分546、552は、右肺静脈と左肺静脈との間の真っ直ぐな線において左心房に概して係合でき、これは、左心房での概して前方における挟み付け(および切除)の場所を位置決めできる、および/または効果的な経壁の障害を形成することを容易にすることができる。また、第2の実質的に真っ直ぐな部分546、552は、一部の完全に湾曲した顎部と比較して、左心房の後方の様相から滑り落ち難くなり得る。
【0080】
図1~
図5、
図12、および
図13を参照すると、一部の例示的な実施形態では、顎部502、504は、ヘッド402において概して遠位に配置され得る、および/または(例えば、概して第1の端部分506、508から第2の端部分510、512へと)ヘッド402から概して横方向に配向され得る。例えば、各々の顎部502、504の第2の実質的に真っ直ぐな部分546、552は、シャフト300に対しておおよそ垂直に配向され得る。
図1~
図5、
図12、および
図13に示されている例示的な実施形態では、閉位置において、第2の実質的に真っ直ぐな部分546、552は、シャフト300に対して約98度の角度で配向され得る。より短い顎部を備える代替の例の実施形態では、閉位置において、第2の実質的に真っ直ぐな部分546、552は、シャフト300に対して約98度の角度で配向され得る。一部の他の実施形態では、閉位置において、第2の実質的に真っ直ぐな部分546、552は、シャフト300に対して約45度~約135度の角度で配向され得る。他の例示的な実施形態では、顎部502、504は、シャフト300と概して一列になど、シャフト300に対して他の角度で配向されてもよい(例えば、概して直接的に遠位に延びる)。
【0081】
図15は例示的な案内部700の斜視図であり、
図16は、鉗子100の顎部502、504の先端514、516に取り付けられた例の案内部700の斜視図であり、
図17は、例示的な案内接続器708の詳細な分解斜視図であり、すべて本開示の少なくとも一部の態様によっている。
図17は、案内部700の第1の端部分704と関連付けられる案内接続器708と関連付けられる特定の構成要素を示しているが、第2の端部分706と関連付けられる案内接続器710は、明示的に指示されていない場合、同様の構成要素を備えてもよい。
【0082】
図15~
図17を参照すると、一部の例示的な実施形態では、案内部700が、第1の端部分704と第2の端部分706との間に延びる細長い柔軟な案内本体702を備え得る。一部の例示的な実施形態では、案内本体702は概して管状であり得る。一部の例示的な実施形態では、案内本体702は約2.0mm~約10.0mmの直径を有し得る。一部の例示的な実施形態では、案内本体702は約30cm~約180cmの長さを有し得る。
図15~
図17に示された実施形態では、案内本体702は、約5mmの直径を有し得る、および/または約80cmの長さを有し得る。案内本体702は、熱可塑性加硫物(TPV)(例えばサントプレーン(登録商標))などの熱可塑性弾性重合体から構築され得る。案内本体702のための他の潜在的に適切な材料には、適切な強度、柔軟性、および耐よじれ性を有する生体適合材料がある。
【0083】
一部の例示的な実施形態では、端部分704、706の1つ以上は、それに配置されるそれぞれの案内接続器708、710を有し得る。一部の例示的な実施形態では、案内接続器708、710は、互いに解放可能に連結し、それによって案内部700を閉ループへと形成するように構成され得る。一部の例の実施形態では、案内接続器708、710は、鉗子100の顎部502、504の先端514、516に解放可能に連結するように構成され得る(
図16参照)。
【0084】
図17を参照すると、例示的な案内接続器708が、連結器714とカバー716との間に収容され得る永久磁石712を備え得る。例えば、カバー716は、全体的に閉じた遠位端を有し、磁石712を受け入れる大きさとされる中空の円筒形の形態であり得る。カバー716の近位面718は、溶接などによって連結器714の遠位面720に永久的に取り付けでき、これによって磁石712をカバー716の中にしっかりと収容できる。連結器714の近位端部分722が、案内本体702の第1の端部分704において空洞724の中に永久的に固定され得る。
【0085】
案内接続器708、710において磁石712を利用する一部の例の案内部700では、磁石は、案内接続器708、710が互いに磁気的に連結し、案内部700に完全な閉ループを形成させることができるように配向され得る。例えば、第1の端部分704における案内接続器708での磁石712は、そのN極が遠位を向く(例えば、案内本体702から離れる方を向く)ように配向され得る。第2の端部分706における案内接続器710での磁石712は、そのS極が遠位を向く(例えば、案内本体702から離れる方を向く)ように配向され得る。したがって、それら磁石712の最も遠位の端同士が互いに反発するのではなく引き付け合うことになる。
【0086】
一部の例の実施形態では、案内接続器708、710は、鉗子100の顎部502、504の先端514、516に磁気的に解放可能に連結するように構成され得る。例えば、顎部502、504の少なくとも一部分は、案内接続器708、710において磁石712によって引き付けられる強磁性材料から構築され得る。一部の例の実施形態では、案内接続器708、710は、摩擦係合、掛金を掛けること、スナップ留めの構造などによって、鉗子100の顎部502、504の先端514、516に機械的に解放可能に連結するように構成され得る。さらに、一部の実施形態は機械的な連結と磁気的な連結との両方を利用できる。例えば、
図8および
図15~
図17を参照すると、先端514、516は、案内接続器708、710のカバー716の少なくとも一部を受け入れ得る開放した端の中空部分を備え得る。先端514、516は、案内接続器708、710の横方向の移動を機械的に防止することができ、案内接続器は、顎ビーム520、522の金属への引き付けによって、先端514、516の中で磁気的に保持され得る。
【0087】
図18~
図24は、すべて本開示の少なくとも一部の態様による案内部700および/または鉗子100を使用する例示的な動作を示す、心臓800の単純化された後方の斜視図である。以下の記載は、単に例として、1回の挟み付けて切除する動作におけるすべての4つの肺静脈の周りに「箱状の障害」を形成するように、鉗子100を位置決めすることを助けるための案内部700の使用に焦点を当てているが、当業者は、以下の記載における様々なステップおよび方法が、他の挟み付け動作および/または切除動作について、案内部700および/または鉗子100と関連して利用され得ることを認識するものである。
【0088】
図18を参照すると、例示的な方法では、案内部700の第1の端部分704が、概して下大静脈804と右肺静脈806との間の斜洞802を通じてなど、心臓800の後方へ経路決定され得る。これは、右肺静脈806と下大静脈804との間の心膜の鏡映を通じて解剖することを含み得る。
【0089】
図19を参照すると、例示的な方法では、案内部700の第2の端部分706が、右肺静脈806と上大静脈810との間の横洞808を通じて途中までなど、心臓800の後方で経路決定され得る。これは、右肺静脈806と上大静脈810との間の心膜の鏡映を通じて解剖することを含み得る。次に、第2の端部分706は、上大静脈810と大動脈812との間で概して前方へ経路決定され得る。
【0090】
図20を参照すると、例示的な方法では、案内部700の第2の端部分706が、概して大動脈812と左肺静脈814との間の横洞808の残りの部分を通じて経路決定され得る。
【0091】
図21を参照すると、例示的な方法では、案内部700が概して肺静脈806、814の周りに完全なループを形成するように、第1の端部分704と第2の端部分706とが解放可能に接合され得る。例えば、案内接続器708、710(
図15および
図17)は互いと(例えば磁気的に)解放可能に連結され得る。
【0092】
図22を参照すると、例示的な方法では、案内部700(例えば完全なループとして)は、解放可能に連結された端部分704、706が概して患者の右にある状態で案内部700が後方から心臓800へと前方へ延びるように、概して患者の右に向けて引っ張られ得る、および/または回転させられ得る。
【0093】
図23を参照すると、例示的な方法では、案内部700の解放可能に連結された端部分704、706が互いから接続解除され得る。案内部の第1の端部分704は、鉗子100の第1の顎部502の先端514に解放可能に接続され得る。案内部700の第2の端部分706は、鉗子100の第2の顎部504の先端516に解放可能に接続され得る。
【0094】
図24を参照すると、例示的な方法では、案内部700は概して患者の左に向けて引っ張られ、これは、鉗子100の顎部502、504を、肺静脈806、814および/または左心房816の近くの位置へと引っ張ることができる。鉗子100は、概して患者の心臓800の前方右側から挿入できる。ハンドル200は概して前方に位置決めでき、一方、シャフト300は心臓800の右側に沿って概して後方へ延び得る。ヘッド402は、心臓800の右後方の様相において、概して右肺静脈806の右へ位置決めされ得る。顎部502、504の先端514、516は、概して左肺静脈814の左へとされ得る。第1の顎部502は、概して右から左へと、概して肺静脈806、814の前方および上方で、上大静脈810および大動脈812の後方で(例えば概して横洞808を通じて)延び得る。第2の顎部504は、概して右から左へと、概して肺静脈806、814の前方および下方で、下大静脈804の上方で(例えば概して斜洞802を通じて)延び得る。
【0095】
図25は、本開示の少なくとも一部の態様による例示的な鉗子100を示す、心臓800の単純化された上方からの斜視図である。鉗子100は、顎部502、504が右心房と係合することなく左心房816(
図24)が顎部502、504の間に挟み付けられるように位置決めされ得る。顎部502、504の先端514、516は、概して左肺静脈814の前方に位置決めされ得る。顎部502、504は、概して左心耳818の後方にあり得る。
【0096】
図26は、例示的な箱状の障害820を示す、心臓800の左心房816の概略的な後面図であり、
図27は、例の肺静脈隔離障害822、824を示す、心臓800の左心房816の概略的な後面図であり、
図28は、例の8の字形の障害826(例えば重なる障害828、830を備える)を示す、心臓800の左心房816の概略的な後面図であり、すべて本開示の少なくとも一部の態様によっている。概して、
図18~
図25に関して先に記載した処置は、単一の挟み付けおよび切除のステップにおいてなど、
図26の箱状の障害820を作り出すために使用できる。代替で、同様の処置が、
図27の肺静脈隔離障害822、824および/または
図28の8の字形の障害826を作り出すために使用されてもよい。概して、これらの代替の処置は、左心房816の一部分だけが一度に挟み付けおよび切除される、1つが左からの接近で1つが右からの接近などの2つ以上の挟み付けおよび切除のステップを含んでもよい。一部のこのような処置において、鉗子100は、顎部502、504の先端514、516が左肺静脈814と右肺静脈806との間に位置決めされるように、心臓の周りで一部後方に延び得る。
【0097】
本開示の少なくとも一部の態様による一部の例示的な装置は、顎部同士の角度の関係への組織の影響を考慮するために、先端の偏りを組み込んでもよい。例えば、組織において例の鉗子の顎部を閉じることは、曲げ応力により、顎部同士を離すように曲げる可能性がある。したがって、組織において閉じられるときの顎部同士の角度位置は、何もない状態で閉じられるときの顎部同士の角度位置と異なる可能性がある。一部の例示的な実施形態は、例えば、顎部同士が何もない状態での閉位置において顎部同士がわずかに平行にならないようにエンドエフェクタを構築することで、このような差を考慮することができる。例えば、顎部の先端は、何もない状態での閉位置において平行から内向きに約0.020インチだけ偏らせられてもよく、これによって、組織が顎部同士の間にあるとき、顎部同士は結果的に閉位置で実質的に平行になり得る。より一般的には、一部の例の実施形態では、エンドエフェクタおよび顎部の設計は、顎部同士が組織において作動させられるときに実質的に平行になるようにされ得る。
【0098】
上記の記載および本発明のまとめに続いて、本明細書に記載されている方法および装置が本開示による例の実施形態を構成する一方で、本明細書に含まれる開示の範囲が上記の詳細な実施形態に限定されないことと、以下の請求項によって定められるような範囲から逸脱することなく変更が行われ得ることとが理解されるものであることは、当業者には明らかなはずである。同様に、特許請求の範囲内となるために、本明細書に開示されている特定の利点または物体のいずれかかまたは全部を満たすことが必要ではないこと、および/または、予測不可能な利点が、本明細書において明示的に詳述されていない可能性があるとしても存在し得ることは、理解されるものである。
【符号の説明】
【0099】
100 外科用鉗子
102 標的組織
200 ハンドル
202 プランジャ、アクチュエータ
204、206、208 把持部
210 ポート
212 ワイヤ
214 アクチュエータ機構
216 スロット
218 近位開口
220 係止ボタン
222 解放ロッド
224 力制限バネ
226 段差
228 戻りバネ
300 シャフト
302 近位端
304 遠位端
306 アクチュエータリンク機構
400 エンドエフェクタ
402 ヘッド
404、406 外殻部分
408、410 枢動孔
502 第1の顎部
504 第2の顎部
506、508 第1の端部分、近位端部分
510、512 第2の端部分、遠位端部分
514、516 先端
518 開口部
520、522 顎ビーム
524、526 絶縁体
528 第1の電極
530 第2の電極
532 第3の電極
534 第4の電極
536 電極幅
538 電極間隔
540 突出高さ
542 絶縁深さ
544、550 第1の実質的に真っ直ぐな部分
546、552 第2の実質的に真っ直ぐな部分
548、554 第3の実質的に真っ直ぐな部分
556、560 第1の湾曲した部分
558、562 第2の湾曲した部分
564、566、568、570 角度
572 電極高さ
600 関節機構
602 第1の顎部取付部
604 経路
606 第1のピン
608 第2のピン
610、612 スロット
614 真っ直ぐな部分
616 湾曲した部分
618 クランク
620 枢動ピン
622 第1のアーム
624 第2のアーム
626 接続リンク機構
628 クランクスロット
630 枢動可能接続部
632 接続部
634、636 案内部
638、640 案内スロット
700 案内部
702 案内本体
704 第1の端部分
706 第2の端部分
708、710 案内接続器
712 永久磁石
714 連結器
716 カバー
720 遠位面
722 近位端部分
724 空洞
802 斜洞
804 下大静脈
806 右肺静脈
808 横洞
810 上大静脈
812 大動脈
814 左肺静脈
816 左心房
818 左心耳
820 箱状の障害
822、824 肺静脈隔離障害
826 8の字形の障害
【外国語明細書】