(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024023992
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 10/40 20180101AFI20240214BHJP
【FI】
G16H10/40
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023222101
(22)【出願日】2023-12-28
(62)【分割の表示】P 2022055293の分割
【原出願日】2020-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(72)【発明者】
【氏名】中平 律子
(57)【要約】
【課題】空港における利用者の滞在時間を短縮しつつ、利用者の健康状態を確認できる情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】本発明に係る情報処理装置は、第1国から第2国への渡航が予定されている利用者の生体情報を取得する生体情報取得部と、前記取得した生体情報と予め登録された登録生体情報との照合によって特定された前記登録生体情報に紐づく前記利用者の健康状態に関する審査結果を取得する取得部と、前記審査結果に基づき、前記利用者に対して案内情報を表示する表示部と、を備え、前記取得部は、前記利用者の前記第2国への入国履歴情報に基づいて実行される前記第2国への事前入国審査の結果を更に取得する。
【選択図】
図27A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1国から第2国への渡航が予定されている利用者の生体情報を取得する生体情報取得部と、
前記取得した生体情報と予め登録された登録生体情報との照合によって特定された前記登録生体情報に紐づく前記利用者の健康状態に関する審査結果を取得する取得部と、
前記審査結果に基づき、前記利用者に対して案内情報を表示する表示部と、
を備え、
前記取得部は、前記利用者の前記第2国への入国履歴情報に基づいて実行される前記第2国への事前入国審査の結果を更に取得する、情報処理装置。
【請求項2】
前記表示部は、前記審査結果が許可の場合、自動化ゲートの利用を促す前記案内情報を表示し、前記審査結果が許可ではない場合、伝染性の病気に関する検査の対象者であることを示す前記案内情報を表示する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記案内情報は、前記審査結果が許可ではない場合、前記利用者に対して前記検査の実施を促すメッセージを含む、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記取得部は、前記健康状態に関する前記審査結果を記憶するサーバ装置から前記利用者についての前記審査結果を取得し、
前記サーバ装置は、前記利用者に対して前記第1国の医療機関で行われた医療行為に関する健康情報を前記利用者が所持する利用者端末における入力操作に基づいて前記利用者端末又は前記医療機関から取得したときに、前記健康情報に基づいて前記第2国への入国者に課される前記健康状態に関する審査を実行する、
請求項2又は3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記健康情報は、前記検査の検査実施日を含み、
前記サーバ装置は、前記利用者端末から入力された前記渡航における予約番号に基づいて前記利用者の前記第1国からの出発予定時刻を更に取得し、
前記サーバ装置は、前記検査実施日が前記出発予定時刻から起算して所定時間内であり、かつ、前記検査の結果が陰性である場合に、前記利用者の前記健康状態が前記第2国における検疫に関する要件を満たすと判定する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記健康情報は、前記検査の検査実施日を含み、
前記サーバ装置は、前記利用者端末から入力された前記渡航における予約番号に基づいて前記利用者の前記第2国への到着予定時刻を更に取得し、
前記サーバ装置は、前記検査実施日が前記到着予定時刻から起算して所定時間内であり、かつ、前記検査の結果が陰性である場合に、前記利用者の前記健康状態が前記第2国における検疫に関する要件を満たすと判定する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記健康情報は、前記利用者が受けた遺伝子検査、予防接種、抗体検査及び抗原検査の少なくとも1つの情報を含む、
請求項4乃至6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記案内情報は、前記審査結果を示すバーコードを含む、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
コンピュータが、第1国から第2国への渡航が予定されている利用者の生体情報を取得するステップと、
前記コンピュータが、前記取得した生体情報と予め登録された登録生体情報との照合によって特定された前記登録生体情報に紐づく前記利用者の健康状態に関する審査結果を取得するステップと、
前記コンピュータが、前記審査結果に基づき、前記利用者に対して案内情報を表示するステップと、
を備え、
前記審査結果を取得するステップでは、前記コンピュータが、前記利用者の前記第2国への入国履歴情報に基づいて実行される前記第2国への事前入国審査の結果を更に取得する、情報処理方法。
【請求項10】
コンピュータに、
第1国から第2国への渡航が予定されている利用者の生体情報を取得するステップと、
前記取得した生体情報と予め登録された登録生体情報との照合によって特定された前記登録生体情報に紐づく前記利用者の健康状態に関する審査結果を取得するステップと、
前記審査結果に基づき、前記利用者に対して案内情報を表示するステップと、
を実行させ、
前記審査結果を取得するステップでは、前記利用者の前記第2国への入国履歴情報に基づいて実行される前記第2国への事前入国審査の結果を更に取得する、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、空港の保安検査場において利用者(搭乗者)の健康状態を示す体温やウイルス濃度などの物理量を検出することによって、利用者が伝染性の病気に感染している可能性を示す感染情報を生成する感染情報評価システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、空港内における伝染性の病気の感染拡大を防止する観点から、利用者が空港に到着してから航空機に搭乗するまでの滞在時間を短縮することが求められている。しかし、特許文献1に記載されているシステムのように、空港内において利用者の健康状態を検査する場合には、空港における利用者の滞在時間が更に延びる虞がある。
【0005】
そこで、本発明は、上述の問題に鑑み、空港における利用者の滞在時間を短縮しつつ、利用者の健康状態を確認できる情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの観点によれば、所定の撮影装置により撮影された利用者の顔画像に対応する顔画像情報を取得する生体情報取得部と、登録者の登録顔画像情報を記憶した認証装置に対して、前記顔画像情報を送信する送信部と、前記認証装置における前記顔画像情報を用いた顔認証が成功した場合、前記登録者の健康状態に関する審査の審査結果を記憶するサーバ装置から前記顔認証にかかる前記利用者の前記審査結果を取得する取得部と、前記審査結果に基づいて前記顔認証にかかる前記利用者に対して手続場所を案内する案内情報を表示する表示部と、を備える情報処理装置が提供される。
【0007】
本発明の他の観点によれば、コンピュータが、所定の撮影装置により撮影された利用者の顔画像に対応する顔画像情報を取得するステップと、前記コンピュータが、登録者の登録顔画像情報を記憶した認証装置に対して、前記顔画像情報を送信するステップと、前記コンピュータが、前記認証装置における前記顔画像情報を用いた顔認証が成功した場合、前記登録者の健康状態に関する審査の審査結果を記憶するサーバ装置から前記顔認証にかかる前記利用者の前記審査結果を取得するステップと、前記コンピュータが、前記審査結果に基づいて前記顔認証にかかる前記利用者に対して手続場所を案内する案内情報を表示するステップと、を備える情報処理方法が提供される。
【0008】
本発明の更に他の観点によれば、コンピュータに、所定の撮影装置により撮影された利用者の顔画像に対応する顔画像情報を取得するステップと、登録者の登録顔画像情報を記憶した認証装置に対して、前記顔画像情報を送信するステップと、前記認証装置における前記顔画像情報を用いた顔認証が成功した場合、前記登録者の健康状態に関する審査の審査結果を記憶するサーバ装置から前記顔認証にかかる前記利用者の前記審査結果を取得するステップと、前記審査結果に基づいて前記顔認証にかかる前記利用者に対して手続場所を案内する案内情報を表示するステップと、を実行させるためのプログラムが提供される。
【0009】
本発明の更に他の観点によれば、所定の撮影装置により撮影された利用者の顔画像に対応する顔画像情報を取得する生体情報取得部と、前記顔画像情報と登録顔画像情報との照合により前記登録顔画像情報に紐付けられた前記利用者の健康状態に関する審査の審査結果を特定し、前記審査結果に基づいて前記照合にかかる前記利用者に対して手続場所を案内する案内情報を表示する表示部と、を備える情報処理装置が提供される。
【0010】
本発明の更に他の観点によれば、コンピュータが、所定の撮影装置により撮影された利用者の顔画像に対応する顔画像情報を取得するステップと、前記コンピュータが、前記顔画像情報と登録顔画像情報との照合により前記登録顔画像情報に紐付けられた前記利用者の健康状態に関する審査の審査結果を特定し、前記審査結果に基づいて前記照合にかかる前記利用者に対して手続場所を案内する案内情報を表示するステップと、を備える情報処理方法が提供される。
【0011】
本発明の更に他の観点によれば、コンピュータに、所定の撮影装置により撮影された利用者の顔画像に対応する顔画像情報を取得するステップと、前記顔画像情報と登録顔画像情報との照合により前記登録顔画像情報に紐付けられた前記利用者の健康状態に関する審査の審査結果を特定し、前記審査結果に基づいて前記照合にかかる前記利用者に対して手続場所を案内する案内情報を表示するステップと、を実行させるためのプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、空港における利用者の滞在時間を短縮しつつ、利用者の健康状態を確認できる情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1実施形態に係る情報処理システムの全体構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】第1実施形態に係る検疫審査情報DBが記憶する情報の一例を示す図である。
【
図3】第1実施形態に係るトークンID情報DBが記憶する情報の一例を示す図である。
【
図4】第1実施形態に係る通過履歴情報DBが記憶する情報の一例を示す図である。
【
図5】第1実施形態に係る業務情報DBが記憶する情報の一例を示す図である。
【
図6】第1実施形態に係る利用者端末のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図7】第1実施形態に係る審査サーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図8】第1実施形態に係るチェックイン端末のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図9】第1実施形態に係る自動手荷物預け機のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図10】第1実施形態に係る保安検査装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図11】第1実施形態に係る第2自動化ゲート装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図12】第1実施形態に係るサイネージ端末のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図13A】第1実施形態に係る情報処理システムの検疫審査手続における処理の一例を示すシーケンスチャートである。
【
図13B】第1実施形態に係る情報処理システムの検疫審査手続における処理の一例を示すシーケンスチャートである。
【
図14】第1実施形態に係る利用者端末に表示されるアカウント作成画面の一例を示す図である。
【
図15】第1実施形態に係る利用者端末に表示される渡航情報入力画面の一例を示す図である。
【
図16】第1実施形態に係る利用者端末に表示される健康情報入力画面の一例を示す図である。
【
図17】第1実施形態に係る利用者端末に表示される審査結果表示画面の一例を示す図である。
【
図18】第1実施形態に係る情報処理システムのチェックイン手続における処理の一例を示すシーケンスチャートである。
【
図19】第1実施形態に係る情報処理システムの保安検査手続における処理の一例を示すシーケンスチャートである。
【
図20A】第1実施形態に係る情報処理システムの第2国における案内処理の一例を示すシーケンスチャートである。
【
図20B】第1実施形態に係る情報処理システムの第2国における案内処理の一例を示すシーケンスチャートである。
【
図21】第1実施形態に係るサイネージ端末に表示される案内画面の一例を示す図である。
【
図22A】第1実施形態に係る情報処理システムの検疫検査手続における処理の一例を示すシーケンスチャートである。
【
図22B】第1実施形態に係る情報処理システムの検疫検査手続における処理の一例を示すシーケンスチャートである。
【
図23A】第1実施形態に係る情報処理システムの検疫検査手続における処理の一例を示すシーケンスチャートである。
【
図23B】第1実施形態に係る情報処理システムの検疫検査手続における処理の一例を示すシーケンスチャートである。
【
図24】第2実施形態に係る審査サーバの全体構成の一例を示すブロック図である。
【
図25】第2実施形態に係る入国履歴情報DBが記憶する情報の一例を示す図である。
【
図26】第2実施形態に係る要注意人物情報DBが記憶する情報の一例を示す図である。
【
図27A】第2実施形態に係る情報処理システムの事前入国審査手続における処理の一例を示すシーケンスチャートである。
【
図27B】第2実施形態に係る情報処理システムの事前入国審査手続における処理の一例を示すシーケンスチャートである。
【
図28】第3実施形態に係る情報処理システムのチェックイン手続における処理の一例を示すシーケンスチャートである。
【
図29】第4実施形態に係る情報処理装置の機能ブロック図である。
【
図30】第5実施形態に係る情報処理装置の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の例示的な実施形態を説明する。図面において同様の要素又は対応する要素には同一の符号を付し、その説明を省略又は簡略化することがある。
【0015】
<第1実施形態>
図1は、本実施形態に係る情報処理システムSysの全体構成の一例を示すブロック図である。本実施形態に係る情報処理システムSysは、例えば、利用者が航空機によって第1国の空港A1から第1国を出国して第2国の空港A2から第2国に入国する場合に、当該利用者について第1国及び第2国でそれぞれ行われる一連の手続を支援するコンピュータシステムである。情報処理システムSysは、例えば、入出国の管理局等の公的機関又はその機関から業務の委託を受けた受託者により運用される。
【0016】
図1に示すように、情報処理システムSysは、利用者端末1、審査サーバ2、第1空港システム3及び第2空港システム4を備える。利用者端末1、審査サーバ2、第1空港システム3及び第2空港システム4は、ネットワークNWを介して接続されている。ネットワークNWは、インターネット等のWAN(Wide Area Network)により構成されている。接続方式は、有線方式に限らず、無線方式でもよい。なお、
図1では、説明の便宜上、2つの空港システムのみが示されているが、情報処理システムSysに含まれる空港システムの数はこれらに限られない。
【0017】
利用者端末1は、利用者が所持する端末装置である。利用者端末1の例としては、例えばスマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータ等が挙げられる。利用者端末1は、審査サーバ2に対して利用者の第2国への入国に関する審査を要求する。具体的には、利用者端末1は、第1国の医療機関で行われた医療行為に関する健康情報が利用者の入力操作によって入力されると、健康情報に基づいて第2国への入国に関する検疫審査を審査サーバ2に対して要求する。
【0018】
審査サーバ2は、第2国の政府機関(公的機関)の施設内に設置されたサーバである。審査サーバ2は、例えば入出国の管理局や疾病管理を行う衛生局等に設置されている。審査サーバ2は、利用者端末1から受信した健康情報に基づいて、利用者の第2国への入国に関する検疫審査を実行する。健康情報には、検査の種別、検査実施日及び検査結果等が含まれる。
【0019】
なお、審査サーバ2の機能の一部又は全部は、政府機関からの委託により第1空港システム3及び第2空港システム4のサーバが備える場合もあり得る。また、審査サーバ2と同様のサーバは第1国にも設置され得る。審査サーバ2は、単一のサーバである必要はなく、複数のサーバを含むサーバ群として構成されてもよい。また、審査サーバ2は、必ずしも国ごとに設ける必要はなく、複数の国の間で共通に用いられるサーバとして構成されてもよい。
【0020】
第1空港システム3は、第1国の空港(出発空港)A1に設置されたコンピュータシステムであり、利用者の入出国時における各種の手続を管理する。第2空港システム4は、第2国の空港(到着空港)A2に設置されたコンピュータシステムである。また、ネットワークNWには、航空会社の予約システム5が接続されている。予約システム5は、航空会社の施設内に設置されたコンピュータシステムであり、利用者の搭乗予約を受け付ける。
【0021】
また、
図1に示すように、審査サーバ2は、検疫審査情報DB2aを備える。このデータベースは一例であり、審査サーバ2は他のデータベースを更に備えてもよい。また、複数のデータベースを単一のデータベースに統合してもよい。
【0022】
検疫審査情報DB2aは、第2国への入国予定の利用者及び入国者に対する検疫審査の情報を記憶するデータベースである。本実施形態の検疫審査は、利用者の健康状態が第2国の法令又は規則により定められた検疫に関する要件を満たすか否かを判定するための審査である。
図2は、検疫審査情報DB2aが記憶する情報の一例を示す図である。検疫審査情報DB2aは、利用者ID、登録顔画像、予約番号、出発地、目的地、エアラインコード、便番号、出発予定日時、到着予定日時、国籍、旅券番号、姓、名、生年月日、性別、医療機関名、検査種別、検査実施日、検査結果、検疫審査要求日及び検疫審査の審査結果をデータ項目としている。
【0023】
利用者IDは、検疫審査を要求した利用者を一意に識別する識別情報である。登録顔画像は、利用者について登録された顔画像である。検疫審査情報DB2aが記憶する登録顔画像としては、利用者端末1から受信した撮影顔画像又は旅券顔画像が用いられる。予約番号は、搭乗予約情報を一意に識別する識別子である。エアラインコードは、航空会社を一意に識別する識別子である。医療機関名は、利用者が第1国において検査を受けた医療機関の名称又は識別コードである。検査種別は、検査の種類を示す。検査実施日は、医療機関において検査が実施された日付あるいは日時である。検疫審査要求日は、利用者が利用者端末1から審査サーバ2に対して検疫審査を要求した日付あるいは日時である。
【0024】
また、
図1に示すように、第1空港システム3は、管理サーバ10、チェックイン端末20、自動手荷物預け機30、保安検査装置40、第1自動化ゲート装置50、搭乗ゲート装置60、第2自動化ゲート装置70、自動税関ゲート装置80及びサイネージ端末90を備える。これは、第2空港システム4についても同様である。管理サーバ10は、LAN等のネットワーク(不図示)を介して他の装置にそれぞれ接続されている。接続方式は、有線方式に限らず、無線方式でもよい。
【0025】
管理サーバ10は、利用者の入出国時における各種の手続を管理する情報処理装置である。管理サーバ10は、例えば、空港会社、航空会社等の施設内に設置されている。なお、管理サーバ10は、単一のサーバである必要はなく、複数のサーバを含むサーバ群として構成されてもよい。また、管理サーバ10は、必ずしも国ごとに設ける必要はなく、複数の国の間で共通に用いられるサーバとして構成されてもよい。
【0026】
管理サーバ10は、顔認証端末であるチェックイン端末20において撮影された顔画像と、チェックイン端末20において旅券から読み取られた旅券顔画像とを照合することによって、利用者の本人確認を行う。
【0027】
更に、管理サーバ10は、他の顔認証端末(自動手荷物預け機30、保安検査装置40、第1自動化ゲート装置50、搭乗ゲート装置60、第2自動化ゲート装置70、自動税関ゲート装置80及びサイネージ端末90の各装置)において撮影された顔画像と、データベースに登録されている登録顔画像とをそれぞれ照合することによって、利用者の本人確認を行う。
【0028】
また、
図1に示すように、管理サーバ10は、トークンID情報DB10a、通過履歴情報DB10b及び業務情報DB10cを備える。これらのデータベースは一例であり、管理サーバ10は他のデータベースを更に備えてもよい。また、複数のデータベースを単一のデータベースに統合してもよい。
【0029】
また、本実施形態では、第1空港システム3のデータベースと、第2空港システム4のデータベースは、別々に設けられ、記録情報の一部又は全部が適切なタイミングで同期しているものとする。例えば、利用者が第1国を出発したタイミングで、第2空港システム4側のデータベースにもトークンIDに関連付けられた情報が登録されると好適である。なお、第1空港システム3及び第2空港システム4の一方のみが、トークンID情報DB10a、通過履歴情報DB10b及び業務情報DB10cを備え、第1国及び第2国の両方で利用される構成にしてもよい。
【0030】
図3は、トークンID情報DB10aが記憶する情報の一例を示す図である。トークンID情報DB10aは、トークンID、グループID、登録顔画像、特徴量、トークン発行時刻、トークン発行デバイス名、無効フラグ及び無効化時刻をデータ項目としている。
【0031】
トークンIDは、ID情報を一意に識別する識別子である。本実施形態のトークンIDは、チェックイン端末20等の顔認証端末を用いて自身の顔を撮影した撮影顔画像と、顔認証端末において旅券から読み取られた旅券顔画像との照合処理の結果が照合一致であることを条件として、管理サーバ10により発行される。そして、例えば、利用者が第1国から第2国への渡航を終えると、トークンIDは無効化される。すなわち、トークンIDは、永続的に使用される識別子ではなく、有効期間(ライフサイクル)を有するワンタイムIDである。
【0032】
なお、本実施形態において、“照合一致”の語句は、利用者の生体情報と登録者の登録生体情報との類似度を示す照合スコアが所定の閾値以上であることを意味する。逆に、“照合不一致”の語句は、照合スコアが所定の閾値未満であることを意味する。
【0033】
グループIDは、ID情報をグループ分けするための識別子である。登録顔画像は、利用者について登録された顔画像である。本実施形態において、トークンID情報DB10aが記憶する登録顔画像としては、第1国の空港A1での手続時に撮影された顔画像や読取装置により旅券のICチップから読み取られた旅券顔画像が用いられる。特徴量は、生体情報(登録顔画像)から抽出される値である。
【0034】
なお、本実施形態における生体情報の語句は、顔画像及び顔画像から抽出される特徴量を意味するものとするが、生体情報は顔画像及び顔特徴量に限られない。すなわち、利用者の生体情報として、虹彩画像、指紋画像、掌紋画像及び耳介画像等を用いて生体認証を行ってもよい。
【0035】
トークン発行時刻は、管理サーバ10がトークンIDを発行した時刻である。トークン発行デバイス名は、トークンIDの発行の契機となった登録顔画像の取得元のデバイス名である。無効フラグは、トークンIDが現時点で有効であるか否かを示すフラグ情報である。無効フラグは、例えばトークンIDが発行されると、トークンIDが有効な状態を示す値に設定される。また、無効フラグは、所定の条件を満たすと、トークンIDが無効な状態を示す値に更新される。無効化時刻は、無効フラグが無効化されたときのタイムスタンプである。
【0036】
図4は、通過履歴情報DB10bが記憶する情報の一例を示す図である。通過履歴情報DB10bは、通過履歴ID、トークンID、タッチポイント通過日時、デバイス名、業務システム種別及び通過タッチポイントをデータ項目としている。通過履歴IDは、通過履歴情報を一意に識別する識別子である。タッチポイント通過日時は、タッチポイントを通過したときのタイムスタンプである。デバイス名は、タッチポイントにおける手続に使用した業務端末の機体名称である。業務システム種別は、業務端末が属する業務システムの種別である。通過タッチポイントは、利用者が通過したタッチポイントの名称である。なお、管理サーバ10は、通過履歴情報をトークンIDごとに抽出することにより、利用者がどのタッチポイントまでの手続を完了しているのかを把握できる。
【0037】
図5は、業務情報DB10cが記憶する情報の一例を示す図である。業務情報DB10cは、トークンID、搭乗者名、予約番号、出発地、目的地、エアラインコード、便番号、運行年月日、シート番号、国籍、旅券番号、姓、名、生年月日及び性別をデータ項目としている。このように、業務情報DB10cは、トークンIDに対して所定の業務に関する業務情報を関連付けて記憶している。本実施形態において、「所定の業務」とは空港内の各タッチポイントで行われる手続業務(チェックイン/手荷物預け入れ/保安検査/出国審査/搭乗者の本人確認/入国審査/税関検査)を意味する。
【0038】
業務情報は、搭乗者名、予約番号、出発地、目的地、エアラインコード、便番号、運行年月日、シート番号、国籍、旅券番号、姓、名、生年月日及び性別等の搭乗予約情報を含んでいる。
【0039】
続いて、第1空港システム3及び第2空港システム4において、管理サーバ10と協働して利用者に対する手続業務を担う装置について説明する。
【0040】
チェックイン端末20は、空港A1及び空港A2内においてチェックインロビーやチェックインカウンタに設置されている。以下、チェックイン端末20が設置されている手続エリアを「タッチポイントTP1」という。チェックイン端末20は、利用者が自身で操作することによって、チェックイン手続(搭乗手続)を行うためのセルフ端末である。利用者は、タッチポイントTP1におけるチェックイン手続を完了すると、手荷物の預け場所あるいは保安検査場へ移動する。
【0041】
自動手荷物預け機30は、空港A1及び空港A2内において手荷物カウンタ(有人カウンタ)の隣接領域あるいはチェックイン端末20の近傍領域に設置されている。以下、自動手荷物預け機30が設置されている手続エリアを「タッチポイントTP2」という。自動手荷物預け機30は、利用者が自身で操作することにより、客室内には持ち込まない手荷物を航空会社に預ける手続を行うためのセルフ端末である。利用者は、タッチポイントTP2における手荷物預け入れ手続を完了すると、保安検査場へ移動する。利用者が手荷物を預けない場合には、タッチポイントTP2での手続は省略される。
【0042】
保安検査装置40は、空港A1及び空港A2内において保安検査場(以下、「タッチポイントTP3」という。)に設置されている。本実施形態における“保安検査装置”の語句は、利用者が危険物となりうる金属類を身につけているか否かを確認する金属探知機、X線を用いて機内持ち込みの手荷物等の中の危険物の有無を確認するX線検査装置、保安検査場の出入口において利用者の通過可否を判定する通行制御装置等も全て含む意味で使用する。利用者は、タッチポイントTP3における保安検査手続を完了すると、出国審査場へ移動する。
【0043】
第1自動化ゲート装置50は、空港A1及び空港A2内において出国審査場(以下、「タッチポイントTP4」という。)に設置されている。第1自動化ゲート装置50は、利用者の出国審査手続を自動的に行う装置である。利用者は、タッチポイントTP4における出国審査手続を完了すると、免税店や搭乗ゲートが設けられている出国エリアへ移動する。
【0044】
搭乗ゲート装置60は、空港A1及び空港A2内において搭乗ゲート(以下、「タッチポイントTP5」という。)ごとに設置されている。搭乗ゲート装置60は、利用者が搭乗ゲートに関連付けられた航空機の搭乗者であるか否かを確認する通行制御装置である。利用者は、タッチポイントTP5における手続を完了すると、航空機に搭乗し、第2国へ向けて出発する。このように、チェックイン端末20、自動手荷物預け機30、保安検査装置40、第1自動化ゲート装置50及び搭乗ゲート装置60は、利用者が第1国から出国する際に用いられる。
【0045】
また、第1自動化ゲート装置50は、空港A1及び空港A2内において入国審査場(以下、「タッチポイントTP6」という。)に設置されており、利用者の入国審査手続を自動的に行う。本実施形態では、利用者は、タッチポイントTP6における入国審査手続を完了すると、検疫検査場へ移動する。
【0046】
第2自動化ゲート装置70は、空港A1及び空港A2内において検疫検査場(以下、「タッチポイントTP7」という。)に設置されている。第2自動化ゲート装置70は、利用者に対して事前に行われた検疫審査の審査結果が問題なし(“許可”)である場合には、ゲートを開放する。そして、利用者は、第2自動化ゲート装置70を通過すると、手荷物受取所や税関検査場へ移動する。なお、入国審査及び検疫検査の実施の順序は、これに限られない。すなわち、検疫審査は、入国審査の前に実施される場合もある。
【0047】
自動税関ゲート装置80は、空港A1及び空港A2内において税関検査場(以下、「タッチポイントTP8」という。)に設置されている。自動税関ゲート装置80は、利用者の税関検査手続を自動的に行う装置である。利用者は、タッチポイントTP8における手続を完了すると、第2国へ入国できる。このように、第1自動化ゲート装置50、第2自動化ゲート装置70及び自動税関ゲート装置80は、利用者が第2国へ入国する際に用いられる。
【0048】
サイネージ端末90は、空港A1及び空港A2内において任意の場所に設置されている。サイネージ端末90は、管理サーバ10から受信した各種の案内情報を利用者に提示するための表示用端末である。本実施形態のサイネージ端末90は、少なくとも検疫検査場(タッチポイントTP7)の入口付近に設置されるものとする。管理サーバ10は、利用者の生体情報(撮影顔画像)に基づいて生体認証を実行した後、審査サーバ2へ検疫審査の審査結果を問合せることにより、利用者が第2自動化ゲート装置70を利用可能な人物であるか否か、利用者が対面式での検疫検査の対象者であるか否かを判定する。サイネージ端末90は、管理サーバ10における判定結果に基づいて、利用者に対して検疫検査に関する案内情報を表示する。
【0049】
続いて、情報処理システムSysを構成する装置のハードウェア構成について説明する。なお、複数の図面において同一名称であって符号のみが異なる機器については、同等の機能を備える機器であるため、後続の図面においては詳細な説明を省略するものとする。
【0050】
図6は、利用者端末1のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。利用者端末1は、演算、制御及び記憶を行うコンピュータとして、プロセッサ11、RAM(Random Access Memory)12、ROM(Read Only Memory)13、ストレージ14、通信I/F(Interface)15、表示装置16、入力装置17及びカメラ18を備える。各装置は、バス、配線、駆動装置等を介して相互に接続される。
【0051】
プロセッサ11は、ROM13、ストレージ14等に記憶されたプログラムに従って所定の演算を行うとともに、利用者端末1の各部を制御する機能を有する。また、プロセッサ11としては、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等が用いられる。
【0052】
RAM12は、揮発性記憶媒体から構成され、プロセッサ11の動作に必要な一時的なメモリ領域を提供する。ROM13は、不揮発性記憶媒体から構成され、利用者端末1の動作に用いられるプログラム等の必要な情報を記憶する。
【0053】
ストレージ14は、不揮発性記憶媒体から構成され、データベースの記憶、利用者端末1の動作用プログラムの記憶等を行う。ストレージ14は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)により構成される。
【0054】
通信I/F15は、イーサネット(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、4G等の規格に基づく通信インターフェースであり、他の装置との通信を行うためのモジュールである。
【0055】
表示装置16は、動画、静止画、文字等を表示する液晶ディスプレイ、OLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイ等であって、利用者への情報の提示に用いられる。
【0056】
入力装置17は、キーボード、ポインティングデバイス、ボタン等であって、ユーザによる操作を受け付ける。表示装置16及び入力装置17は、タッチパネルとして一体に形成されていてもよい。
【0057】
カメラ18は、例えばCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)イメージセンサ、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ等を受光素子として有するデジタルカメラである。本実施形態のカメラ18は、利用者が自身の顔及び旅券に貼付されている顔写真を撮影するために用いられる。
【0058】
プロセッサ11は、ROM13、ストレージ14等に記憶されたプログラムをRAM12にロードして実行することで、所定の演算処理を行う。また、プロセッサ11は、当該プログラムに基づいて、通信I/F15等の利用者端末1の各部を制御する。
【0059】
図7は、審査サーバ2のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。審査サーバ2は、プロセッサ21、RAM22、ROM23、ストレージ24、通信I/F25、表示装置26及び入力装置27を備える。各装置は、バス、配線、駆動装置等を介して相互に接続される。また、プロセッサ21としては、CPU、GPU、FPGA、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)のうち一つを用いてもよいし、複数を並列で用いてもよい。なお、管理サーバ10のハードウェア構成は、審査サーバ2と同様であるため、説明を省略する。
【0060】
図8は、チェックイン端末20のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。チェックイン端末20は、プロセッサ201、RAM202、ROM203、ストレージ204、通信I/F205、表示装置206、入力装置207、生体情報取得装置208、媒体読取装置209及びプリンタ210を備える。各装置は、バス、配線、駆動装置等を介して相互に接続される。
【0061】
生体情報取得装置208は、利用者の生体情報として利用者の顔画像を取得する装置である。生体情報取得装置208は、例えばCMOSイメージセンサ、CCDイメージセンサ等を受光素子として有するデジタルカメラである。生体情報取得装置208は、例えば、装置の前に立つ利用者の顔を撮影してその顔画像を取得する。
【0062】
媒体読取装置209は、利用者の携帯する媒体に記録されている情報を読み取る装置である。媒体読取装置209としては、例えば、コードリーダ、イメージスキャナ、非接触IC(Integrated Circuit)リーダ、OCR(Optical Character Reader)装置等が挙げられる。また、記録媒体としては、例えば、紙の航空券、eチケットの控えを表示する携帯端末等が挙げられる。プリンタ210は、チェックイン手続の完了時に、搭乗情報及び搭乗までの手続に関する案内情報を印刷した搭乗券を印刷する。
【0063】
図9は、自動手荷物預け機30のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。自動手荷物預け機30は、プロセッサ301、RAM302、ROM303、ストレージ304、通信I/F305、表示装置306、入力装置307、生体情報取得装置308、媒体読取装置309、出力装置310、重量計311及び搬送装置312を備える。各装置は、バス、配線、駆動装置等を介して相互に接続される。
【0064】
出力装置310は、受託手荷物に付ける手荷物タグを出力する装置である。手荷物タグは、例えば、受託手荷物ID、利用者ID、便名等を含むタグ情報を記憶するICチップを備えたRFIDタグである。また、出力装置310は、目的地に到着した後に受託手荷物の引き換えに必要な手荷物引き換え証を更に出力する。手荷物タグや手荷物引き換え証は、例えば予約番号、搭乗券番号及びトークンIDの少なくとも1つに関連付けられる。
【0065】
重量計311は、受託手荷物の重量を測定し、測定値をプロセッサ301へ出力する。プロセッサ301は、受託手荷物の重量が所定の閾値を超える場合には、利用者に対応を促すエラー情報を出力する。搬送装置312は、利用者により受け取り部に置かれた受託手荷物を搬送する。
【0066】
図10は、保安検査装置40のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。保安検査装置40は、プロセッサ401、RAM402、ROM403、ストレージ404、通信I/F405、表示装置406、入力装置407、生体情報取得装置408、媒体読取装置409及び金属探知ゲート410を備える。各装置は、バス、配線、駆動装置等を介して相互に接続される。
【0067】
金属探知ゲート410は、ゲート型の金属探知機であり、金属探知ゲート410を通過する利用者の身に付けている金属類を探知する。
【0068】
図11は、第2自動化ゲート装置70のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。第2自動化ゲート装置70は、プロセッサ701、RAM702、ROM703、ストレージ704、通信I/F705、表示装置706、入力装置707、生体情報取得装置708、媒体読取装置709及びゲート710を備える。各装置は、バス、配線、駆動装置等を介して相互に接続される。なお、第1自動化ゲート装置50、搭乗ゲート装置60及び自動税関ゲート装置80のハードウェア構成は、第2自動化ゲート装置70と同様であるため、説明を省略する。
【0069】
ゲート710は、第2自動化ゲート装置70における利用者の本人確認に成功した場合に、プロセッサ701による制御に従って、待機時において利用者の通行を遮る閉鎖状態から、利用者の通行を許可する開放状態へ移行する。ゲート710の方式は、特に限定されるものではなく、例えば、通路の片側又は両側から設けられたフラッパーが開閉するフラッパーゲート、3本バーが回転するターンスタイルゲート等である。
【0070】
図12は、サイネージ端末90のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。サイネージ端末90は、プロセッサ901、RAM902、ROM903、ストレージ904、通信I/F905、表示装置906、入力装置907、生体情報取得装置908及び媒体読取装置909を備える。各装置は、バス、配線、駆動装置等を介して相互に接続される。
【0071】
なお、
図6乃至
図12に示されているハードウェア構成は一例であり、これら以外の装置が追加されていてもよく、一部の装置が設けられていなくてもよい。また、一部の装置が同様の機能を有する別の装置に置換されていてもよい。また、本実施形態の一部の機能がネットワークを介して他の装置により提供されてもよく、本実施形態の機能が複数の装置に分散されて実現されてもよい。このように、
図6乃至
図12に示されているハードウェア構成は適宜変更可能である。
【0072】
例えば、利用者端末1は、NFC(Near Field Communication)等の近距離無線通信の技術により、旅券に内蔵されたICチップとの無線通信を行う媒体読取装置を更に備えてもよい。この場合、カメラ18で旅券の顔写真を撮影する代わりに、旅券(ICチップ)から旅券顔画像や旅券情報を読み取ることが可能である。
【0073】
続いて、図面を参照しながら、本実施形態に係る情報処理システムSysにおける装置の動作を説明する。
【0074】
[検疫審査手続]
図13A及び
図13Bは、本実施形態に係る情報処理システムSysの検疫審査手続における処理の一例を示すシーケンスチャートである。
【0075】
先ず、利用者端末1は、利用者からの操作に応じて航空会社の予約システム5にアクセスし、搭乗予約を行う(ステップS101)。
【0076】
次に、予約システム5は、搭乗予約情報を登録する(ステップS102)と、利用者端末1に対して渡航管理用のアプリケーションをダウンロードするためのURLを送信する(ステップS103)。
【0077】
次に、利用者端末1は、予約システム5から受信したURLに基づいて、審査サーバ2にアクセスし、アプリケーションのダウンロードを要求する(ステップS104)。
【0078】
次に、利用者端末1は、審査サーバ2からアプリケーションをダウンロードすると(ステップS105)、端末内にアプリケーションをインストールする。なお、過去の渡航時にアプリケーションを利用者端末1にインストール済みである場合には、ステップS104~ステップS105の処理は省略できる。
【0079】
次に、利用者端末1は、利用者からの操作に応じて旅券に貼付された顔写真及び利用者の顔をそれぞれ撮影すると(ステップS106)、審査サーバ2に対してアカウントの発行要求を送信する(ステップS107)。アカウントの発行要求のデータには、旅券顔画像及び撮影顔画像が含まれる。
【0080】
図14は、利用者端末1に表示されるアカウント作成画面の一例を示す図である。利用者端末1の表示装置16には、利用者に対してアカウント作成に必要な操作を案内するメッセージ(「お客様のアカウントを作成します。お客様の顔と旅券に貼付されている顔写真を順番に撮影しますので、撮影対象のボタンを選択してください。」)と、3つの操作ボタン(顔の撮影/旅券顔写真の撮影/戻る)が表示されている。
【0081】
次に、審査サーバ2は、利用者端末1から受信したアカウントの発行要求に基づいて、受信データに含まれる撮影顔画像と旅券顔画像との1:1照合を行う(ステップS108)。
【0082】
次に、審査サーバ2は、ステップS108の照合結果が照合一致である場合には、利用者のアカウントを発行する(ステップS109)。このとき、審査サーバ2は、発行した利用者に関するアカウント情報を検疫審査情報DB2aに登録する。
【0083】
次に、審査サーバ2は、発行したアカウント情報を利用者端末1へ送信する(ステップS110)。アカウント情報には、利用者IDが含まれる。
【0084】
次に、利用者端末1は、利用者からの操作に応じて、画面の入力フォームに搭乗予約情報、旅の目的、目的地、期間等を入力すると(ステップS111)、審査サーバ2に対して入力情報をアップロードする(ステップS112)。なお、入力情報は、利用者IDに関連付けられている。
【0085】
図15は、利用者端末1に表示される渡航情報入力画面の一例を示す図である。利用者端末1の表示装置16には、利用者に対して操作方法を案内するメッセージ(「全ての項目を入力しましたら、アップロードボタンを押してください。」)と、6つの入力フォーム(予約番号/航空会社/旅の目的/目的地/滞在期間(開始日・終了日))と、3つの操作ボタン(検索/アップロード/戻る)が表示されている。
【0086】
なお、本実施形態のように、利用者端末1から航空会社の予約システム5にアクセスして搭乗予約を行っている場合(ステップS101~ステップS102)には、例えば利用者端末1が予約システム5と連携することで、
図15の予約番号や航空会社の入力フォームに情報が自動的に入力されると好適である。
【0087】
次に、審査サーバ2は、利用者端末1から受信した入力情報を、利用者IDをキーとして検疫審査情報DB2aに登録する(ステップS113)。
【0088】
次に、利用者端末1は、利用者からの操作に応じて、画面の入力フォームに検査種別、検査結果、検査実施日等を含む健康情報を入力すると(ステップS114)、審査サーバ2に対して健康情報をアップロードする(ステップS115)。検査としては、例えばPCR(Polymerase Chain Reaction)検査等の遺伝子検査、血液検査、X線検査、超音波検査、尿検査等が挙げられる。
【0089】
図16は、利用者端末1に表示される健康情報入力画面の一例を示す図である。利用者端末1の表示装置16には、利用者に対して操作方法を案内するメッセージ(「全ての項目を入力しましたら、アップロードボタンを押してください。」)と、5つの入力フォーム(医療機関/検査実施日/検査種別/整理番号/検査結果)と、5つの操作ボタン(検索/証明書を撮影/コード読取/アップロード/戻る)が表示されている。
【0090】
例えば、“証明書を撮影”のラベルが付されたボタンを押下すると、利用者端末1のカメラ18が起動され、医療機関から提供された紙媒体の検査証明書を撮影可能になる。同様に、“コード読取”のラベルが付されたボタンを押下すると、利用者端末1のカメラ18が起動され、紙媒体の検査証明書に印刷されているバーコードを読取可能になる。
【0091】
次に、審査サーバ2は、利用者端末1から受信した健康情報を、利用者IDをキーとして検疫審査情報DB2aに登録する(ステップS116)。
【0092】
次に、審査サーバ2は、利用者端末1から受信した健康情報に基づく検疫審査を実行する(ステップS117)。このとき、審査サーバ2は、利用者IDに対して検疫審査の審査結果を関連付けた検疫審査情報を検疫審査情報DB2aに登録する。
【0093】
次に、審査サーバ2は、検疫審査の結果が許可であるか否かを判定する(ステップS118)。ここで、審査サーバ2は、検疫審査の結果が許可であると判定した場合(ステップS118:YES)には、“許可”の審査結果を示すバーコードを発行し(ステップS119)、利用者端末1へ出力する(ステップS120)。その後、処理はステップS122へ移行する。
【0094】
これに対し、審査サーバ2は、検疫審査の結果が許可ではないと判定した場合(ステップS118:NO)には、利用者端末1に対してエラー情報を出力する(ステップS121)。その後、処理はステップS122へ移行する。
【0095】
具体的には、審査サーバ2は、健康情報に含まれる検査実施日が第2国への到着予定時刻(又は第1国からの出発予定時刻)から起算して所定時間内であり、かつ、検査結果が陰性である場合に、“許可”の審査結果を示すバーコードを出力する。逆に、審査サーバ2は、同条件を満たさない場合には、“不許可”の審査結果を示すエラー情報を出力する。例えば所定時間が72時間である場合について説明する。利用者が第1国で受けた検査の検査実施日(検査実施日時)が第2国への到着予定時刻(又は第1国からの出発予定時刻)から72時間以内である場合には、審査サーバ2は“許可”の審査結果を出力する。逆に、検査実施日(検査実施日時)が第2国への到着予定時刻(又は第1国からの出発予定時刻)から72時間を超えている場合には、審査サーバ2は“不許可”の審査結果を出力する。
【0096】
ステップS122において、利用者端末1は、審査サーバ2からバーコードを受信したか否かを判定する。ここで、利用者端末1は、バーコードを受信したと判定した場合(ステップS122:YES)には、例えばストレージ14にバーコードを記憶し(ステップS123)、処理を終了する。
【0097】
これに対し、利用者端末1は、審査サーバ2からバーコードを受信していないと判定した場合(ステップS122:NO)には、利用者に対してエラーメッセージを通知し(ステップS124)、処理を終了する。
【0098】
なお、顔認証(ステップS108)、アカウントの発行(ステップS109)、搭乗予約情報のデータベースへの登録(ステップS113)、健康情報に基づく検疫審査(ステップS116~ステップS118)の実行順序は、
図13A及び
図13Bに示した順序に限られない。これらの処理は、任意の順序に変更し得る。
【0099】
図17は、利用者端末1に表示される審査結果表示画面の一例を示す図である。利用者端末1の表示装置16には、利用者に対して審査結果を案内するメッセージ(「審査結果:許可/A国における検疫審査が完了しました。下記のバーコードは、検疫審査に関する審査結果を証明する情報です。」)と、2次元バーコードBと、操作ボタン(閉じる)が表示されている。
【0100】
[チェックイン手続]
図18は、本実施形態に係る情報処理システムSysのチェックイン手続時の処理の一例を示すシーケンスチャートである。
【0101】
先ず、チェックイン端末20は、航空券媒体が媒体読取装置209の読取部にかざされると、かざされた航空券媒体から利用者の搭乗予約情報を取得する(ステップS201)。搭乗予約情報には、利用者の属性情報(姓、名、性別等)やフライト情報(エアラインコード、便名、搭乗日、出発地(出発空港)、経由地、目的地(到着空港)、シート番号、出発時間、到着時間等)が含まれる。
【0102】
次に、チェックイン端末20は、旅券が媒体読取装置209の読取部にかざされたとき、かざされた旅券から利用者の旅券情報を取得する(ステップS202)。旅券情報には、利用者の旅券顔画像、本人確認情報、旅券番号、旅券発行国の情報等が含まれる。
【0103】
次に、チェックイン端末20は、生体情報取得装置208により利用者の顔を撮影し、撮影顔画像を対象顔画像として取得する(ステップS203)。なお、顔画像を撮影する前に、利用者の同意を得るための画面を表示すると好適である。
【0104】
次に、チェックイン端末20は、管理サーバ10に顔画像の照合要求を行う(ステップS204)。照合要求のデータには、現地で撮影された撮影顔画像及び旅券から読み取られた旅券顔画像が含まれる。
【0105】
管理サーバ10は、チェックイン端末20から情報を受信すると、チェックイン端末20で撮影された撮影顔画像と、旅券顔画像とを1対1で照合する(ステップS205)。
【0106】
管理サーバ10は、ステップS205における照合結果が照合一致であることを条件として、トークンIDを発行し(ステップS206)、照合結果及びトークンIDをチェックイン端末20へ送信する(ステップS207)。
【0107】
次に、チェックイン端末20は、管理サーバ10から受信した照合結果に基づいて、チェックイン手続を実行できるか否かを判定する(ステップS208)。ここで、チェックイン端末20が、チェックイン手続を実行できないと判定した場合(ステップS208:NO)には、利用者に対してエラーメッセージを通知し(ステップS213)、処理を終了する。
【0108】
これに対し、チェックイン端末20は、チェックイン手続を実行できると判定した場合(ステップS208:YES)、利用者の入力情報に基づいて旅程の確認や座席の選択等のチェックイン手続を実行する(ステップS209)。チェックイン端末20は、チェックイン手続の完了に伴い、管理サーバ10に対してデータベースの登録・更新要求を送信する(ステップS210)。
【0109】
次に、管理サーバ10は、チェックイン端末20からの登録更新要求を受信すると、通過履歴情報DB10b及び業務情報DB10cに対する登録処理及び更新処理を実行する(ステップS211)。
【0110】
そして、チェックイン端末20は、搭乗予約情報及び搭乗までの手続に関する案内情報を記載した搭乗券を印刷し(ステップS212)、処理を終了する。
【0111】
[保安検査手続]
図19は、本実施形態に係る情報処理システムSysの保安検査手続時の処理の一例を示すシーケンスチャートである。なお、手荷物預け入れ手続、出国審査手続、搭乗ゲートにおける本人確認における処理は、
図19と略同一であるため、説明を省略する。
【0112】
先ず、保安検査装置40は、生体情報取得装置408によって利用者の顔を検出すると、その利用者の顔を撮影して、利用者の顔画像を取得する(ステップS301)。
【0113】
次に、保安検査装置40は、利用者の撮影顔画像を含む照合要求を管理サーバ10に送信する(ステップS302)。このとき、保安検査装置40は、利用者の撮影顔画像と、管理サーバ10のトークンID情報DB10aに登録された複数の登録顔画像との1対N照合の実行を管理サーバ10に対して要求する。
【0114】
次に、管理サーバ10は、保安検査装置40から撮影顔画像及び照合要求を受信すると、利用者の撮影顔画像と、登録顔画像との1対N照合を実行する(ステップS303)。
【0115】
次に、管理サーバ10は、ステップS303における照合結果が照合一致であることを条件として、トークンIDを特定する(ステップS304)。
【0116】
次に、管理サーバ10は、照合結果及びトークンIDを保安検査装置40へ送信する(ステップS305)。また、管理サーバ10は、保安検査手続の実行のために、登録顔画像に関連付けられている情報を照合結果と併せて保安検査装置40へ送信する。
【0117】
次に、保安検査装置40は、管理サーバ10から照合結果を受信すると、利用者の保安検査手続を実行できるか否かを判定する(ステップS306)。ここで、保安検査装置40は、利用者の保安検査手続を実行できないと判定した場合(ステップS306:NO)には、エラーメッセージを通知し(ステップS310)、処理を終了する。
【0118】
これに対し、保安検査装置40は、利用者の保安検査手続を実行できると判定した場合(ステップS306:YES)、すなわち、照合結果が照合一致であり、利用者のトークンIDが特定されている場合には、保安検査手続を実行する(ステップS307)。次に、保安検査装置40は、保安検査手続の完了に伴い、管理サーバ10に対してデータベースの登録・更新要求を送信する(ステップS308)。
【0119】
そして、管理サーバ10は、保安検査装置40からデータベースの登録・更新要求を受信すると、通過履歴情報DB10b及び業務情報DB10cに対する登録処理及び更新処理を実行し(ステップS309)、処理を終了する。
【0120】
[検疫検査の実施場所に関する案内]
図20A及び
図20Bは、本実施形態に係る情報処理システムSysの第2国における案内処理の一例を示すシーケンスチャートである。最初に、
図20Aを参照しながら、サイネージ端末90が空港システムの管理サーバ10を介して審査サーバ2から審査結果を取得する場合について説明する。
【0121】
先ず、サイネージ端末90は、サイネージ端末90の前を生体情報取得装置908により常時又は定期的に撮影し、利用者の顔を検出したか否かを判定する(ステップS401)。
【0122】
次に、サイネージ端末90は、撮影した画像の中からサイネージ端末90の前に立つ利用者の顔画像を取得する(ステップS402)。
【0123】
次に、サイネージ端末90は、利用者の顔画像を含む照合要求を管理サーバ10へ送信する(ステップS403)。これにより、サイネージ端末90は、利用者の撮影顔画像と、トークンID情報DB10aに登録された複数の登録顔画像との1対N照合の実行を管理サーバ10に対して要求する。
【0124】
次に、管理サーバ10は、サイネージ端末90から受信した利用者の撮影顔画像と、トークンID情報DB10aに記憶された登録顔画像との1対N照合を実行する(ステップS404)。
【0125】
次に、管理サーバ10は、照合結果が照合一致である場合には、利用者を特定する(ステップS405)。具体的には、管理サーバ10は利用者のトークンIDを特定すると、トークンIDをキーとして業務情報DB10cの中から利用者の旅券番号、搭乗予約情報、登録顔画像等の利用者情報を特定する。
【0126】
次に、管理サーバ10は、特定した利用者の利用者情報に基づいて審査サーバ2に対して検疫審査の審査結果の問合せを行う(ステップS406)。
【0127】
次に、審査サーバ2は、管理サーバ10から受信した利用者情報(例えば顔画像又は旅券番号)に基づいて検疫審査情報DB2aから審査結果を取得し(ステップS407)、これを管理サーバ10へ送信する(ステップS408)。
【0128】
次に、管理サーバ10は、審査サーバ2から受信した審査結果に対応する案内情報を作成すると(ステップS409)、サイネージ端末90に案内情報を送信する(ステップS410)。
【0129】
そして、サイネージ端末90は、管理サーバ10から案内情報を受信すると、利用者に対する案内情報を表示装置906に表示し(ステップS411)、処理を終了する。
【0130】
図21は、サイネージ端末90に表示される案内画面の一例を示す図である。ここでは、利用者の顔画像Fと、利用者に対して手続場所を案内するメッセージ(「検疫審査の審査結果を取得できませんでした。*番の対面式レーンに進み、検疫検査手続を行ってください。」)と、進行方向を示す矢印Aが画面内に表示されている。
【0131】
続いて、
図20Bを参照しながら、サイネージ端末90が審査サーバ2から検疫審査の審査結果を直接取得する場合について説明する。なお、以下では
図20Aとの共通部分の説明は省略し、相違点について詳細に説明する。
【0132】
ステップS403において、サイネージ端末90は、利用者の顔画像を含む照合要求を審査サーバ2へ送信する。これにより、サイネージ端末90は、利用者の撮影顔画像と、検疫審査情報DB2aに登録された複数の登録顔画像との1対N照合の実行を審査サーバ2に対して要求する。
【0133】
ステップS404において、審査サーバ2は、サイネージ端末90から受信した利用者の撮影顔画像と、検疫審査情報DB2aに記憶された登録顔画像との1対N照合を実行する。
【0134】
次に、審査サーバ2は、照合結果が照合一致である場合には、利用者を特定する(ステップS405)。その後、処理はステップS407へ移行する。
【0135】
ステップS407において、審査サーバ2は、特定した利用者の審査結果を検疫審査情報DB2aから取得する。その後、処理はステップS409へ移行する。
【0136】
ステップS409において、審査サーバ2は、審査結果に対応する案内情報を作成すると。その後、審査サーバ2は、サイネージ端末90に案内情報を送信する(ステップS410)。
【0137】
そして、サイネージ端末90は、審査サーバ2から案内情報を受信すると、利用者に対する案内情報を表示装置906に表示し(ステップS411)、処理を終了する。
【0138】
このように、情報処理システムSysは、サイネージ端末90が審査サーバ2に対して顔認証を利用して問合せを行い、審査サーバ2から検疫審査の審査結果を直接取得するシステム構成でもよい。
【0139】
なお、
図20A、
図20B及び
図21に示す案内処理は、顔認証以外の方法でも実行され得る。例えば、案内処理は、サイネージ端末90の媒体読取装置909を用いて、利用者端末1等に表示されている2次元バーコードを読み取ることで実行されてもよい。
【0140】
[検疫検査手続(1)]
図22A乃至
図23Bは、本実施形態に係る情報処理システムSysの検疫検査手続における処理の一例を示すシーケンスチャートである。
図22A及び
図22Bは、顔認証モードでの処理を示す。一方、
図23A及び
図23Bは、バーコード認証モードでの処理を示す。
【0141】
最初に、
図22Aを参照しながら、第2自動化ゲート装置70が、顔認証を利用しつつ、空港システムの管理サーバ10を介して審査サーバ2から検疫審査の審査結果を取得する場合について説明する。
【0142】
先ず、第2自動化ゲート装置70は、生体情報取得装置708によって利用者の顔を検出すると、その利用者の顔を撮影して、利用者の顔画像を取得する(ステップS501)。
【0143】
次に、第2自動化ゲート装置70は、利用者の撮影顔画像を含む照合要求を管理サーバ10に送信する(ステップS502)。このとき、第2自動化ゲート装置70は、利用者の撮影顔画像と、管理サーバ10のトークンID情報DB10aに登録された複数の登録顔画像との1対N照合の実行を管理サーバ10に対して要求する。
【0144】
次に、管理サーバ10は、第2自動化ゲート装置70から撮影顔画像及び照合要求を受信すると、利用者の撮影顔画像と、登録顔画像との1対N照合を実行する(ステップS503)。
【0145】
管理サーバ10は、ステップS503における照合結果が照合一致であることを条件として、利用者を特定する(ステップS504)。具体的には、管理サーバ10は利用者のトークンIDを特定すると、トークンIDをキーとして業務情報DB10cの中から利用者の旅券番号、搭乗予約情報、登録顔画像等の利用者情報を特定する。
【0146】
次に、管理サーバ10は、特定した利用者の利用者情報に基づいて審査サーバ2に対して検疫審査の審査結果の問合せを行う(ステップS505)。
【0147】
次に、審査サーバ2は、管理サーバ10から受信した利用者情報(例えば顔画像又は旅券番号)に基づいて検疫審査情報DB2aから審査結果を取得し(ステップS506)、これを管理サーバ10へ送信する(ステップS507)。
【0148】
次に、管理サーバ10は、管理サーバ10における照合結果及び審査サーバ2から取得した検疫審査の審査結果を第2自動化ゲート装置70へ送信する(ステップS508)。また、管理サーバ10は、業務情報DB10cにおいて利用者の登録顔画像に関連付けられている情報を第2自動化ゲート装置70へ送信する。
【0149】
次に、第2自動化ゲート装置70は、管理サーバ10において顔認証に成功したか否かを判定する(ステップS509)。ここで、第2自動化ゲート装置70は、顔認証に失敗したと判定した場合(ステップS509:NO)には、エラーメッセージを通知し(ステップS511)、処理を終了する。
【0150】
これに対し、第2自動化ゲート装置70は、顔認証に成功したと判定した場合(ステップS509:YES)には、処理はステップS510へ移行する。
【0151】
ステップS510において、第2自動化ゲート装置70は、利用者が第2国における検疫審査で許可された人物であるか否かを判定する。ここで、第2自動化ゲート装置70は、利用者が検疫審査で許可された人物であると判定した場合(ステップS510:YES)には、処理はステップS512へ移行する。
【0152】
これに対し、第2自動化ゲート装置70は、利用者が検疫審査で許可された人物ではないと判定した場合(ステップS510:NO)には、処理はステップS513へ移行する。
【0153】
ステップS512において、第2自動化ゲート装置70は、ゲート710を開放する。これにより、利用者は、検疫検査場から退出し、入国審査場に移動できる。
【0154】
ステップS513において、第2自動化ゲート装置70は、利用者に対面式での検疫検査を促すメッセージを通知し、処理を終了する。
【0155】
ステップS514において、第2自動化ゲート装置70は、検疫検査手続の完了に伴い、管理サーバ10に対してデータベースの登録・更新要求を送信する。
【0156】
そして、管理サーバ10は、第2自動化ゲート装置70からデータベースの登録・更新要求を受信すると、通過履歴情報DB10b及び業務情報DB10cに対する登録処理及び更新処理を実行し(ステップS515)、処理を終了する。
【0157】
続いて、
図22Bを参照しながら、第2自動化ゲート装置70が顔認証により審査サーバ2から検疫審査の審査結果を直接取得する場合について説明する。なお、以下では
図22Aとの共通部分の説明は省略し、相違点について詳細に説明する。
【0158】
ステップS502において、第2自動化ゲート装置70は、利用者の撮影顔画像を審査サーバ2に送信する。これにより、第2自動化ゲート装置70は、利用者の撮影顔画像と、検疫審査情報DB2aに登録された複数の登録顔画像との1対N照合の実行を審査サーバ2に対して要求する。
【0159】
ステップS503において、審査サーバ2は、第2自動化ゲート装置70から撮影顔画像及び照合要求を受信すると、利用者の撮影顔画像と、登録顔画像との1対N照合を実行する。
【0160】
次に、審査サーバ2は、ステップS503における照合結果が照合一致であることを条件として、利用者を特定する(ステップS504)。その後、処理はステップS506へ移行する。
【0161】
ステップS506において、審査サーバ2は、特定した利用者の審査結果を検疫審査情報DB2aから取得する。その後、処理はステップS508へ移行する。
【0162】
ステップS508において、審査サーバ2は、第2自動化ゲート装置70に対して照合結果及び検疫審査の審査結果を送信する。その後、第2自動化ゲート装置70では、ステップS509~ステップS513の処理が実行される。
【0163】
ステップS514において、第2自動化ゲート装置70は、検疫検査手続の完了に伴い、審査サーバ2に対してデータベースの登録・更新要求を送信する。
【0164】
そして、審査サーバ2は、第2自動化ゲート装置70からデータベースの登録・更新要求を受信すると、検疫審査情報DB2aに対する登録処理及び更新処理を実行し(ステップS515)、処理を終了する。
【0165】
このように、情報処理システムSysは、第2自動化ゲート装置70が審査サーバ2に対して顔認証を利用して問合せを行い、審査サーバ2から検疫審査の審査結果を直接取得するシステム構成でもよい。
【0166】
[検疫検査手続(2)]
続いて、
図23A及び
図23Bを参照しながら、バーコード認証モードでの処理について説明する。
【0167】
最初に、
図23Aを参照しながら、第2自動化ゲート装置70が、バーコード認証を利用しつつ、空港システムの管理サーバ10を介して審査サーバ2から検疫審査の審査結果を取得する場合について説明する。なお、以下では、
図22A及び
図22Bとの共通部分の説明は省略し、相違点について詳細に説明する。
【0168】
先ず、第2自動化ゲート装置70は、媒体読取装置709を用いて、旅券の記録情報を読み取る(ステップS601)。なお、バーコードのみで利用者の本人確認を併せて実行できるため、ステップS601の処理(旅券の読取処理)は任意であり、省略してもよい。
【0169】
次に、第2自動化ゲート装置70は、媒体読取装置709を用いて、利用者端末1に表示されたバーコードを読み取る(ステップS602)。
図17で例示したバーコードには、利用者の認証情報と、審査サーバ2(検疫審査情報DB2a)における利用者の審査結果を特定するための情報とが含まれている。
【0170】
次に、第2自動化ゲート装置70は、旅券及びバーコードの読取データを管理サーバ10へ送信する(ステップS603)。
【0171】
次に、管理サーバ10は、旅券の読取情報(例えば、旅券番号)あるいはバーコードの記録情報に基づいて利用者を特定する(ステップS604)。その後、
図22Aの場合と同様に、ステップS505~ステップS515の処理が実行される(ステップS509及びステップS511を除く。)。
【0172】
続いて、
図23Bを参照しながら、第2自動化ゲート装置70がバーコード認証により審査サーバ2から検疫審査の審査結果を直接取得する場合について説明する。なお、以下では
図22A及び
図23Aとの共通部分の説明は省略し、相違点について詳細に説明する。
【0173】
ステップS603において、第2自動化ゲート装置70は、旅券及びバーコードの読取データを審査サーバ2へ送信する。
【0174】
次に、審査サーバ2は、旅券の読取情報(例えば、旅券番号)あるいはバーコードの記録情報(例えば、利用者ID、旅券番号、予約番号)に基づいて検疫審査情報DB2aを参照し、利用者を特定する(ステップS604)。その後、処理はステップS506へ移行する。
【0175】
ステップS506において、審査サーバ2は、特定した利用者の審査結果を検疫審査情報DB2aから取得する。その後、処理はステップS508へ移行する。
【0176】
ステップS508において、審査サーバ2は、第2自動化ゲート装置70に対して検疫審査の審査結果を送信する。その後、第2自動化ゲート装置70では、ステップS510~ステップS513の処理が実行される。
【0177】
ステップS514において、第2自動化ゲート装置70は、検疫検査手続の完了に伴い、審査サーバ2に対してデータベースの登録・更新要求を送信する。
【0178】
そして、審査サーバ2は、第2自動化ゲート装置70からデータベースの登録・更新要求を受信すると、検疫審査情報DB2aに対する登録処理及び更新処理を実行し(ステップS515)、処理を終了する。
【0179】
このように、情報処理システムSysは、第2自動化ゲート装置70が審査サーバ2に対してバーコード認証を利用して問合せを行い、審査サーバ2から検疫審査の審査結果を直接取得するシステム構成でもよい。
【0180】
以上のように、本実施形態によれば、第1国から第2国へ渡航予定の利用者が第1国の出発空港に到着する前あるいは出発空港において出国に関する手続を行う前に、利用者端末1から管理サーバ10へアップロードした健康情報に基づいて第2国への入国に関する審査として、検疫審査を完了できる。
【0181】
これにより、利用者は第1国の出発空港において第2国の入国者に課される検査を実際に受ける必要がなくなる又は検査の一部を省略できるため、空港における滞在時間を短縮できる。更に、本実施形態によれば、空港システム側で利用者の健康状態を確認することができるため、伝染性の病気の感染拡大の防止に寄与できる。
【0182】
<第2実施形態>
以下、本実施形態における情報処理システムSysについて説明する。なお、第1実施形態の図中において付与した符号と共通する符号は同一の対象を示す。第1実施形態と共通する箇所の説明は省略し、異なる箇所について詳細に説明する。
【0183】
本実施形態は、利用者の第2国への入国に関する審査として、利用者の健康情報に基づく検疫審査に加えて、利用者の第2国への入国履歴情報に基づく審査と、第2国における要注意人物情報に基づく審査とを実行する点で第1実施形態とは異なる。本実施形態においては、第2国への入国に関する審査を“事前入国審査(プレクリアランス)”と呼ぶ。なお、検疫審査以外の審査は、検疫審査を担当する政府機関とは異なる政府機関のサーバで行われる場合もあるが、本実施形態では同じ審査サーバ2で全ての審査が行われるものとする。
【0184】
図24は、本実施形態に係る審査サーバ2の全体構成の一例を示すブロック図である。
図24に示すように、本実施形態の審査サーバ2は、入国履歴情報DB2b及び要注意人物情報DB2cを更に備える。
【0185】
入国履歴情報DB2bは、所定の期間内において、第2国へ入国した全ての入国者の入国履歴情報を記憶するデータベースである。
図25は、入国履歴情報DB2bが記憶する情報の一例を示す図である。入国履歴情報DB2bは、入国履歴ID、登録顔画像、旅券番号、国籍、氏名、入国日及び出国日をデータ項目に含んでいる。
【0186】
要注意人物情報DB2cは、第2国において要注意人物として認定された人物の情報、すなわち、ブラックリストを記憶するデータベースである。
図26は、要注意人物情報DB2cが記憶する情報の一例を示す図である。要注意人物情報DB2cは、人物ID、登録顔画像、旅券番号、国籍、登録事由をデータ項目に含んでいる。人物IDは、要注意人物を一意に識別する識別子である。なお、入国履歴情報DB2b及び要注意人物情報DB2cは、単一のデータベースとして統合してもよい。
【0187】
[事前入国審査手続]
図27A及び
図27Bは、本実施形態に係る情報処理システムSysの第2国への事前入国審査手続における処理の一例を示すシーケンスチャートである。
図27A及び
図27Bの処理は、ステップS701~ステップS707以外は第1実施形態の
図13A及び
図13Bと共通するため、共通部分の説明は省略し、相違点について詳細に説明する。
【0188】
審査サーバ2は、ステップS117において健康情報に基づく検疫審査を完了すると、検疫審査情報DB2aから取得した利用者の登録顔画像と、入国履歴情報DB2bに記憶されている登録者の登録顔画像との1:N照合を実行する(ステップS701)。
【0189】
次に、審査サーバ2は、ステップS702における照合処理の照合結果が照合一致であることを条件として、入国履歴情報DB2bから利用者の第2国における入国履歴情報を取得する(ステップS702)。
【0190】
次に、審査サーバ2は、入国履歴情報に基づく事前入国審査を実行する(ステップS703)。具体的には、審査サーバ2は、利用者について第2国への入国履歴が存在するか否かを判定する。
【0191】
次に、審査サーバ2は、検疫審査情報DB2aから取得した利用者の登録顔画像と、要注意人物情報DB2cに記憶されている登録者の登録顔画像との1:N照合を実行する(ステップS704)。
【0192】
次に、審査サーバ2は、ステップS704における照合処理の照合結果が照合一致であることを条件として、要注意人物情報DB2cから利用者の第2国における要注意人物情報を取得する(ステップS705)。
【0193】
次に、審査サーバ2は、要注意人物情報に基づく事前入国審査を実行する(ステップS706)。具体的には、審査サーバ2は、利用者が第2国において要注意人物として認定された人物であるか否かを判定する。なお、検疫審査(ステップS117)、入国履歴情報に基づく事前入国審査(ステップS703)及び要注意人物情報に基づく事前入国審査(ステップS706)の実行順序は、これに限られない。いずれの審査を先に実行してもよいし、並列に実行してもよい。
【0194】
次に、審査サーバ2は、ステップS117、ステップS703及びステップS706の全ての審査結果に基づいて、利用者が第2国への入国要件を満たすか否かを判定する(ステップS707)。ここで、審査サーバ2は、利用者が第2国への入国要件を満たすと判定した場合(ステップS707:YES)には、処理はステップS119へ移行する。
【0195】
これに対し、審査サーバ2は、利用者が第2国への入国要件を満たさないと判定した場合(ステップS707:NO)には、処理はステップS121へ移行する。ステップS119及びステップS121以降の処理は、第1実施形態と同様である。
【0196】
なお、ステップS707では、例えば以下の(A)~(D)の全てを満たすことを条件として入国要件を満たすものと判定できる。
(A)健康情報に含まれる検査結果が“陰性”であること。
(B)検査実施日が第2国への到着予定時刻(又は第1国からの出国予定時刻)から所定の期間内であること。
(C)所定期間内に第2国への入国履歴が存在すること。
(D)利用者が第2国において要注意人物として認定された人物ではないこと。
ただし、判定方法はこれに限られず、任意に設定できる。
【0197】
以上のように、本実施形態によれば、利用者は、第1国において取得された利用者の健康情報だけでなく、第2国における入国履歴情報や要注意人物情報を考慮して事前入国審査を受けることができる。これにより、第1実施形態の効果に加えて、事前入国審査をより適切に実施できる効果を奏する。
【0198】
<第3実施形態>
以下、本実施形態における情報処理システムSysについて説明する。なお、第1実施形態の図中において付与した符号と共通する符号は同一の対象を示す。第1実施形態と共通する箇所の説明は省略し、異なる箇所について詳細に説明する。
【0199】
本実施形態は、第2国への入国に関する審査に用いられる健康情報に基づいて、第1国において航空機への搭乗可否を判定する機能を更に有する点で第1及び第2実施形態とは異なっている。
【0200】
[チェックイン手続]
図28は、本実施形態に係る情報処理システムSysのチェックイン手続における処理の一例を示すシーケンスチャートである。
図28の処理は、ステップS801~ステップS809以外は第1実施形態の
図18と共通するため、共通部分の説明は省略し、相違点について詳細に説明する。
【0201】
管理サーバ10は、ステップS206においてトークンIDを発行した後、利用者を特定する(ステップS801)。具体的には、利用者の旅券番号、搭乗予約情報、登録顔画像等の利用者情報を特定する。
【0202】
次に、管理サーバ10は、特定した利用者の利用者情報に基づいて審査サーバ2に対して検疫審査の審査結果の問合せを行う(ステップS802)。
【0203】
次に、審査サーバ2は、管理サーバ10から受信した利用者情報(例えば旅券番号)に基づいて検疫審査情報DB2aから審査結果を取得し(ステップS803)、これを管理サーバ10へ送信する(ステップS804)。
【0204】
次に、管理サーバ10は、チェックイン端末20に対して、管理サーバ10における照合結果、トークンID及び審査サーバ2から取得した審査結果を送信する(ステップS805)。
【0205】
次に、チェックイン端末20は、管理サーバ10において利用者の顔認証に成功したか否かを判定する(ステップS806)。ここで、チェックイン端末20は、利用者の顔認証に成功したと判定した場合(ステップS806:YES)には、処理はステップS807へ移行する。
【0206】
これに対し、チェックイン端末20は、利用者の顔認証に失敗したと判定した場合(ステップS806:NO)には、エラーメッセージを通知し(ステップS808)、処理を終了する。
【0207】
ステップS807において、チェックイン端末20は、利用者が第2国における検疫検査で許可された人物であるか否かを判定する。ここで、チェックイン端末20は、利用者が検疫検査で許可された人物であると判定した場合(ステップS807:YES)には、処理はステップS209へ移行する。ステップS209以降の処理は第1実施形態と同様である。
【0208】
これに対し、チェックイン端末20は、利用者が検疫検査で許可された人物ではないと判定した場合(ステップS807:NO)には、搭乗拒否のエラーメッセージを通知し(ステップS809)、処理は終了する。
【0209】
以上のように、本実施形態によれば、利用者の健康情報を用いて事前に実施された検疫審査の結果に基づいて、第1国の出発空港において各利用者の航空機への搭乗可否を判定できる。これにより、空港及び航空機内における感染の拡大を更に防止できる効果を奏する。
【0210】
<第4実施形態>
図29は、本実施形態に係る情報処理装置100の機能ブロック図である。情報処理装置100は、取得部100A及び要求部100Bを備える。取得部100Aは、第1国から第2国への渡航が予定されている利用者に対して第1国の医療機関で行われた医療行為に関する健康情報を取得する。要求部100Bは、利用者が出国に関する手続を行う前に、健康情報に基づいて第2国への入国に関する検疫審査を要求する。
【0211】
本実施形態によれば、空港における利用者の滞在時間を短縮しつつ、利用者の健康状態を確認できる情報処理装置100が提供される。
【0212】
<第5実施形態>
図30は、本実施形態に係る情報処理装置200の機能ブロック図である。情報処理装置200は、取得部200A及び審査部200Bを備える。取得部200Aは、第1国から第2国への渡航が予定されている利用者に対して第1国の医療機関で行われた医療行為に関する健康情報を取得する。審査部200Bは、利用者が出国に関する手続を行う前に、健康情報に基づいて第2国への入国に関する検疫審査を実行する。
【0213】
本実施形態によれば、空港における利用者の滞在時間を短縮しつつ、利用者の健康状態を確認できる情報処理装置200が提供される。
【0214】
<変形実施形態>
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。本発明の構成及び詳細には本発明の要旨を逸脱しない範囲で、当業者が理解し得る様々な変形が可能である。例えば、いずれかの実施形態の一部の構成を、他の実施形態に追加した実施形態、あるいは他の実施形態の一部の構成と置換した実施形態も本発明を適用し得る実施形態であると理解されるべきである。
【0215】
上述した実施形態では、利用者が利用者端末1を用いて航空会社の予約システム5において搭乗予約を行った場合に、渡航管理用のアプリケーションをダウンロードするためのURLの情報を、利用者端末1が予約システム5から受信する構成について説明した。しかし、このようなURLを送信するシステムは、航空会社の予約システム5のみに限られない。例えば、利用者が宿泊予約システムから第2国のホテルを予約した場合には、宿泊予約システムが利用者端末1へURLを送信してもよい。また、URLが示すサーバへのアクセスの要件として搭乗券やホテル等の予約の完了を必要としなくてもよい。例えば、利用者端末1を用いて審査サーバ2又は当該政府機関から業務委託された企業のシステムのWEB上でのアドレスを示すURLに任意のタイミングでアクセスしてもよい。
【0216】
また、上述した実施形態では、利用者端末1がURLの情報に基づいて審査サーバ2から渡航管理用のアプリケーションをダウンロードする構成について説明した。しかし、アプリケーションを提供するシステムは審査サーバ2のみに限られない。例えば、第1国又は第2国の政府機関から業務委託された企業のサーバ、第1空港システム3の管理サーバ10及び第2空港システム4の管理サーバ10等の装置が、ネットワークNWを介して利用者端末1にアプリケーションを提供してもよい。
【0217】
また、上述した実施形態では、審査サーバ2が利用者端末1から健康情報を直接的に取得するシステム構成について説明したが、審査サーバ2における健康情報の取得方法はこれに限られない。例えば、審査サーバ2が、利用者端末1における入力情報(例えば整理番号)に基づいて医療機関のデータベースにアクセスし、医療機関から健康情報を取得するシステム構成としてもよい。この場合、利用者から医療機関から特定の検査情報を取得することに関して同意を得るように構成すると好適である。
【0218】
また、上述した実施形態では、審査サーバ2は、第2国における審査の審査結果が“許可”の場合にのみバーコードを出力するシステム構成について説明したが、審査結果が“不許可”である場合にもバーコードを出力できるシステム構成にしてもよい。
【0219】
また、上述した実施形態では、第2国の検疫検査手続においてバーコード認証を行う構成について説明したが、第1国及び第2国の既存のタッチポイント(保安検査場/出国審査場/搭乗ゲート/税関検査場等)でバーコード認証を行ってもよい。これは、将来的に利用者の健康状態の確認するためのタッチポイントが新設される場合も同様である。
【0220】
例えば、第2国の検疫検査場では、顔認証及びバーコード認証によって登録済みの健康情報を取得できるため、追加の検査が不要となり、第2国の空港A2における滞在時間の短縮が可能になる。また、追加の検査を行う場合にも、第1国における検査結果を共有できるため、安全に検査を実施できる。
【0221】
上述した実施形態では、第2自動化ゲート装置70が、検疫検査場に設置される場合を説明したが、第2自動化ゲート装置70の設置場所はこれに限られない。例えば、第2自動化ゲート装置70は、利用者の健康状態の確認するために新設されるタッチポイントや、到着ゲートから入国審査場までの移動経路上等にも設置され得る。
【0222】
また、上述した実施形態では、第1国の医療機関で受けた検査の検査実施日、検査結果を健康情報として利用する場合について説明したが、健康情報はこれに限られない。例えば、予防接種の実施記録、接種されたワクチンの有効期限の情報、抗体検査及び抗原検査の検査記録、通院履歴、投薬の記録、ウェアラブル端末における身体測定の結果、既往症の情報等も健康情報として利用可能である。
【0223】
また、健康情報がワクチンの有効期限である場合には、ワクチンの有効期限が第2国の入国日又は第2国での滞在日において有効である場合に、審査サーバ2は検疫審査において“許可”の審査結果を出力できる。以下、ワクチンの有効期限が6ヵ月に設定されている場合を例として具体的に説明する。第2国への到着予定日(又は第1国からの出発予定日)が有効期限以内である場合、つまり第2国への到着予定日(又は第1国からの出発予定日)がワクチンを接種してから6ヵ月以内である場合には、審査サーバ2は検疫審査において“許可”の審査結果を出力できる。
【0224】
続いて、滞在日が10日である場合を例として具体的に説明する。第2国への到着予定日に10日を足した日、つまり第2国を出国する日が、有効期限以内である場合、つまり第2国への到着予定日に10日を足した日がワクチンを接種してから6ヵ月以内である場合に、審査サーバ2は検疫審査において“許可”の審査結果を出力できる。
【0225】
また、医療機関のサーバと連携して、利用者の健康情報を一元的に管理するアプリケーションが利用者端末1にインストールされている場合には、利用者が医療機関で受けた検査の検査結果は、医療機関のサーバから利用者端末1へ直接的に提供され得る。これにより、利用者は、上述したバーコードを提示する代わりに、利用者端末1のアプリケーションを起動することで、空港における入出国に関する各種の手続時に健康情報を利用し得る。
【0226】
また、上述した第3実施形態では、利用者がチェックイン手続を行う際に、管理サーバ10が審査サーバ2とのデータ連携によって検疫審査の審査結果を取得し、搭乗可否を判定する構成について説明した。しかし、検疫審査の審査結果を利用できるタッチポイントは、これに限られない。すなわち、チェックイン手続以外の他の手続(手荷物預け入れ手続、保安検査手続、出国審査、搭乗ゲートでの本人確認)においても、チェックイン手続時と同様に検疫審査の審査結果を利用できる。
【0227】
更に、上述の実施形態で情報処理システムSysに登録された健康情報は、空港以外の場所でも利用可能である。例えば、上述した情報処理システムSysに対して、第2国のホテルやレンタカーの事業者のサーバを接続可能にすることにより、利用者は街中でバーコード認証及び顔認証を利用してホテルへの宿泊あるいは自動車のレンタルに関する手続を容易に行うことができる。
【0228】
上述の実施形態の機能を実現するように該実施形態の構成を動作させるプログラムを記録媒体に記録させ、該記録媒体に記録されたプログラムをコードとして読み出し、コンピュータにおいて実行する処理方法も各実施形態の範疇に含まれる。すなわち、コンピュータ読取可能な記録媒体も各実施形態の範囲に含まれる。また、上述のプログラムが記録された記録媒体はもちろん、そのプログラム自体も各実施形態に含まれる。
【0229】
該記録媒体としては例えばフロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、磁気テープ、不揮発性メモリカード等を用いることができる。また該記録媒体に記録されたプログラム単体で処理を実行しているものに限らず、他のソフトウェア、拡張ボードの機能と共同して、OS上で動作して処理を実行するものも各実施形態の範疇に含まれる。
【0230】
上述の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0231】
(付記1)
第1国から第2国への渡航が予定されている利用者に対して前記第1国の医療機関で行われた医療行為に関する健康情報を取得する取得部と、
前記利用者が出国に関する手続を行う前に、前記健康情報に基づいて前記利用者の前記第2国への入国に関する検疫審査を要求する要求部と、
を備える情報処理装置。
【0232】
(付記2)
前記取得部は、前記第2国への入国に関する前記利用者の旅の目的、目的地及び期間を更に取得し、
前記要求部は、前記旅の目的、前記目的地及び前記期間を含めて前記検疫審査を要求する、
付記1に記載の情報処理装置。
【0233】
(付記3)
前記取得部は、前記利用者の顔を撮影した撮影顔画像と、旅券に記録された旅券顔画像とを更に取得し、
前記要求部は、前記撮影顔画像及び前記旅券顔画像を含めて前記検疫審査を要求する、
付記1又は2に記載の情報処理装置。
【0234】
(付記4)
前記取得部は、前記旅券に貼付された顔写真の撮影によって前記旅券顔画像を取得する、
付記3に記載の情報処理装置。
【0235】
(付記5)
前記取得部は、前記旅券に内蔵された記録媒体から無線通信による読取によって前記旅券顔画像を取得する、
付記3に記載の情報処理装置。
【0236】
(付記6)
前記取得部は、前記検疫審査を実行する装置から前記検疫審査の審査結果を特定する画像を取得する、
付記1乃至5のいずれかに記載の情報処理装置。
【0237】
(付記7)
前記画像は、バーコードである、
付記6に記載の情報処理装置。
【0238】
(付記8)
前記健康情報は、前記第2国への入国者に課される伝染性の病気に関する検査の検査結果を含む、
付記1乃至7のいずれかに記載の情報処理装置。
【0239】
(付記9)
前記健康情報は、前記利用者が受けた遺伝子検査、予防接種、抗体検査及び抗原検査の少なくとも1つの情報を含む、
付記1乃至8のいずれかに記載の情報処理装置。
【0240】
(付記10)
第1国から第2国への渡航が予定されている利用者に対して前記第1国の医療機関で行われた医療行為に関する健康情報を取得する取得部と、
前記利用者が出国に関する手続を行う前に、前記健康情報に基づいて前記利用者の前記第2国への入国に関する検疫審査を実行する審査部と、
を備える情報処理装置。
【0241】
(付記11)
前記取得部は、前記第2国への入国に関する前記利用者の旅の目的、目的地及び期間を更に取得し、
前記審査部は、前記旅の目的、前記目的地及び前記期間を含めて前記検疫審査を実行する、
付記10に記載の情報処理装置。
【0242】
(付記12)
前記取得部は、前記利用者の前記第2国への入国履歴情報を更に取得し、
前記審査部は、前記入国履歴情報に基づいて前記第2国への事前入国審査を更に実行する、
付記10又は11に記載の情報処理装置。
【0243】
(付記13)
前記取得部は、前記利用者が所持する利用者端末から前記健康情報を取得する、
付記10乃至12のいずれかに記載の情報処理装置。
【0244】
(付記14)
前記取得部は、前記利用者が所持する利用者端末における入力情報に基づいて前記医療機関のデータベースから前記健康情報を取得する、
付記10乃至12のいずれかに記載の情報処理装置。
【0245】
(付記15)
前記審査部は、前記利用者端末に対して前記検疫審査の審査結果を特定する画像を出力する、
付記13又は14に記載の情報処理装置。
【0246】
(付記16)
前記画像は、バーコードである、
付記15に記載の情報処理装置。
【0247】
(付記17)
前記利用者端末により撮影された前記利用者の顔の撮影顔画像と、前記利用者端末により旅券から取得された旅券顔画像との照合処理を実行する照合部と、
前記照合処理により前記利用者が前記旅券を発行された人物と同一人物であると認証された場合に、前記利用者の識別情報に対して前記健康情報及び前記検疫審査の審査結果を関連付ける処理部と、
を更に備える付記13乃至16のいずれかに記載の情報処理装置。
【0248】
(付記18)
前記処理部は、前記撮影顔画像又は前記旅券顔画像を登録顔画像として前記識別情報に対して更に関連付ける、
付記17に記載の情報処理装置。
【0249】
(付記19)
前記健康情報は、前記第2国への入国者に課される伝染性の病気に関する検査の検査結果を含む、
付記10乃至18のいずれかに記載の情報処理装置。
【0250】
(付記20)
前記審査部は、前記健康情報に含まれる前記検査の検査実施日が前記第1国からの出発予定時刻から起算して所定時間内であり、かつ、前記検査結果が陰性である場合に、前記第2国における検疫に関する要件を満たす審査結果を出力する、
付記19に記載の情報処理装置。
【0251】
(付記21)
前記審査部は、前記健康情報に含まれる前記検査の検査実施日が前記第2国への到着予定時刻から起算して所定時間内であり、かつ、前記検査結果が陰性である場合に、前記第2国における検疫に関する要件を満たす審査結果を出力する、
付記19に記載の情報処理装置。
【0252】
(付記22)
前記健康情報は、前記利用者が受けた遺伝子検査、予防接種、抗体検査及び抗原検査の少なくとも1つの情報を含む、
付記10乃至21のいずれかに記載の情報処理装置。
【0253】
(付記23)
付記10乃至22のいずれかに記載の情報処置装置と、
サーバと、
を備えた情報処理システムであって、
前記サーバは、
前記第1国の出発空港において出国に関する手続業務を行う顔認証端末により撮影された前記利用者の他の撮影顔画像と、前記利用者について予め登録された顔画像との他の照合処理により前記利用者を特定する特定部と、
特定された前記利用者の識別情報に基づいて、情報処理装置に対して前記利用者の前記第2国への入国に関する前記検疫審査の結果を問合せる問合せ部と、
前記サーバは、問合せに対して返信された前記検疫審査の結果に基づいて、前記利用者の航空機への搭乗可否を判定する判定部と、
を有する。
【0254】
(付記24)
付記10乃至22のいずれかに記載の情報処置装置と、
サーバと、
を備えた情報処理システムであって、
前記サーバは、
前記第2国の到着空港に設置された表示用端末により撮影された前記利用者の他の撮影顔画像と、前記利用者について予め登録された顔画像との他の照合処理により前記利用者を特定する特定部と、
特定された前記利用者の識別情報に基づいて、情報処理装置に対して前記検疫審査の結果を問合せる問合せ部と、
問合せに対して返信された前記検疫審査の結果に基づいて、前記表示用端末に入国審査の実施場所に関する案内情報を提示する案内部と、
を有する。
【0255】
(付記25)
第1国から第2国への渡航が予定されている利用者に対して前記第1国の医療機関で行われた医療行為に関する健康情報を取得するステップと、
前記利用者が出国に関する手続を行う前に、前記健康情報に基づいて前記利用者の前記第2国への入国に関する検疫審査を要求するステップと、
を備える情報処理方法。
【0256】
(付記26)
コンピュータに、
第1国から第2国への渡航が予定されている利用者に対して前記第1国の医療機関で行われた医療行為に関する健康情報を取得するステップと、
前記利用者が出国に関する手続を行う前に、前記健康情報に基づいて前記利用者の前記第2国への入国に関する検疫審査を要求するステップと、
を実行させるためのプログラムが記録された記録媒体。
【0257】
(付記27)
第1国から第2国への渡航が予定されている利用者に対して前記第1国の医療機関で行われた医療行為に関する健康情報を取得するステップと、
前記利用者が出国に関する手続を行う前に、前記健康情報に基づいて前記利用者の前記第2国への入国に関する検疫審査を実行するステップと、
を備える情報処理方法。
【0258】
(付記28)
コンピュータに、
第1国から第2国への渡航が予定されている利用者に対して前記第1国の医療機関で行われた医療行為に関する健康情報を取得するステップと、
前記利用者が出国に関する手続を行う前に、前記健康情報に基づいて前記利用者の前記第2国への入国に関する検疫審査を実行するステップと、
を実行させるためのプログラムが記録された記録媒体。
【符号の説明】
【0259】
NW・・・ネットワーク
Sys・・・情報処理システム
1・・・利用者端末
2・・・審査サーバ
2a・・・検疫審査情報DB
2b・・・渡航履歴情報DB
2c・・・要注意人物情報DB
3・・・第1空港システム
4・・・第2空港システム
5・・・予約システム
10・・・管理サーバ
10a・・・トークンID情報DB
10b・・・通行履歴情報DB
10c・・・業務情報DB
20・・・チェックイン端末
30・・・自動手荷物預け機
40・・・保安検査装置
50・・・第1自動化ゲート装置
60・・・搭乗ゲート装置
70・・・第2自動化ゲート装置
80・・・自動税関ゲート装置
90・・・サイネージ端末
100・・・情報処理装置
100A・・・取得部
100B・・・要求部
200・・・情報処理装置
200A・・・取得部
200B・・・審査部