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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000240
(43)【公開日】2024-01-05
(54)【発明の名称】レンズユニット
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/02 20210101AFI20231225BHJP
【FI】
G02B7/02 A
G02B7/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098915
(22)【出願日】2022-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(74)【代理人】
【識別番号】100196140
【弁理士】
【氏名又は名称】岩垂 裕司
(72)【発明者】
【氏名】中島 知昭
【テーマコード(参考)】
2H044
【Fターム(参考)】
2H044AA02
2H044AA19
2H044AJ02
(57)【要約】
【課題】光吸収性樹脂により第1鏡筒部材および第2鏡筒部材を形成した場合であっても、レーザー溶着により、第1鏡筒部材と第2鏡筒部材とを互いに容易に固定することができるレンズユニットを提供する。
【解決手段】レンズユニット1は、第1レンズ2を保持する第1鏡筒部材21と、レンズ群4を保持する第2鏡筒部材22と、第1鏡筒部材21と第2鏡筒部材22とを連結する連結部材23と、第1鏡筒部材21と連結部材23とを固定する第1固定部41と、第2鏡筒部材22と連結部材23とを固定する第2固定部42と、を有する。第1鏡筒部材21と第2鏡筒部材22とは、光吸収性を備える樹脂からなる。連結部材23は、光透過性を備える樹脂からなる。第1固定部41は、第1鏡筒部材21と連結部材23とをレーザー溶着することによって形成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1レンズを保持する第1鏡筒部材と、
前記第1鏡筒部材の内周側で前記第1レンズの像側に位置するレンズ群を保持する第2鏡筒部材と、
前記第1鏡筒部材と前記第2鏡筒部材とを連結する連結部材と、
前記第1鏡筒部材と前記連結部材とを固定する第1固定部と、
前記第2鏡筒部材と前記連結部材とを固定する第2固定部と、
を有し、
前記第1鏡筒部材と前記第2鏡筒部材とは、光吸収性を備える樹脂からなり、
前記連結部材は、光透過性を備える樹脂からなり、
前記第1固定部は、前記第1鏡筒部材と前記連結部材とをレーザー溶着することによって形成されることを特徴するレンズユニット。
【請求項2】
前記連結部材は、前記第1鏡筒部材および前記第2鏡筒部材の一方と同じ樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載のレンズユニット。
【請求項3】
前記連結部材は、前記第1鏡筒部材と同じ樹脂からなることを特徴とする請求項2に記載のレンズユニット。
【請求項4】
前記第1鏡筒部材は、前記光吸収性を備える結晶性樹脂からなり、
前記第2鏡筒部材は、前記光吸収性を備える非晶性樹脂からなることを特徴とする請求項2に記載のレンズユニット。
【請求項5】
前記第1鏡筒部材は、前記第1レンズを外周側から保持する保持部を備える第1筒部と、前記第1筒部における前記保持部の前記像側から内周側に突出する環状突部と、を備え、
前記第2鏡筒部材は、前記レンズ群を外周側から囲む第2筒部と、前記第2筒部の途中から外周側に突出するフランジ部と、を備え、
前記環状突部は、前記第1レンズを前記像側から支持する環状の支持面を備える第1レンズ支持部と、前記第2筒部に径方向外側から接触して前記第2鏡筒部材を径方向で位置決めする径方向位置決め部と、前記フランジ部に物体側から接触して前記第2鏡筒部材を光軸方向で位置決めする光軸方向位置決め部と、前記光軸方向位置決め部の径方向外側に位置する平面部と、を備え、
前記フランジ部は、環状の外周面を備え、
前記連結部材は、環状部材であって、前記外周面と当接する内周面と、前記平面部と光軸方向で当接する環状面と、を備え、
前記第1固定部は、前記平面部と前記環状面との間に設けられ、
前記第2固定部は、前記外周面と前記内周面との間に設けられることを特徴とする請求項1から4のうち何れか一項に記載のレンズユニット。
【請求項6】
前記第2筒部は、前記フランジ部よりも前記物体側に位置する第1部分と、前記フランジ部と前記光軸方向と直交する方向で重なる第2部分と、前記フランジ部よりも前記像側に位置する第3部分とを備え、
前記環状突部の内周側の端面には、周方向に配列された複数の突起が設けられ、
複数の前記突起は、前記第1部分に径方向外側から接触する前記径方向位置決め部であることを特徴とする請求項5に記載のレンズユニット。
【請求項7】
前記平面部および前記環状面の一方には、前記光軸方向に突出する溶着代用の第1突起が設けられ、
前記第1固定部は、レーザー溶着によって前記第1突起が溶融することによって、前記平面部および前記環状面が溶着して形成されることを特徴とする請求項6に記載のレンズユニット。
【請求項8】
前記第2固定部は、前記第2鏡筒部材と前記連結部材とをレーザー溶着することによって形成されることを特徴する請求項7に記載のレンズユニット。
【請求項9】
前記外周面および前記内周面の一方には、前記径方向に突出する溶着代用の第2突起が設けられ、
前記第2固定部は、レーザー溶着によって前記第2突起が溶融することによって、前記外周面および前記内周面が溶着して形成されることを特徴とする請求項8に記載のレンズユニット。
【請求項10】
前記複数のレンズ群は、前記第1レンズの前記像側に位置する第2レンズと、前記第2レンズの前記像側に位置する第3レンズと、を備え、
前記第2部分の内周面には、周方向に配列された複数の位置決め突起が設けられ、
前記第3レンズは、前記第2部分の径方向の内側に位置するとともに、前記物体側から前記像側に向かって、径方向で前記第2部分が隙間を開けて対向する対向部分と、複数の前記位置決め突起が径方向外側から接触する接触部分と、をこの順に備え、
前記光軸と直交する方向から見た場合に、前記第2突起は、前記対向部分と重なることを特徴とする請求項9に記載のレンズユニット。
【請求項11】
前記連結部材は、前記内周面から径方向内側に突出し、前記物体側を向く支持面を備える段部を備え、
前記支持面は、前記フランジ部に像側から当接することを特徴とする請求項5に記載のレンズユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鏡筒が2つの鏡筒部材から構成されるレンズユニットに関する。
【0002】
自動車や監視カメラに搭載される撮像装置で使用されるレンズユニットは特許文献1に記載されている。同文献のレンズユニットは、物体側に位置する第1レンズと、第2レンズの像側に位置するレンズ群と、第1レンズおよび第2レンズを保持する鏡筒と、を備える。鏡筒は、環状の内枠部材と、内枠部材を外周から囲む環状の外枠部材と、を備える。内枠部材は、筒部と、筒部の物体側の端部分から外周側に突出する鍔部を備える。外枠部材は、内枠部材を貫通させた状態で鍔部を像側から支持する環状段部を備える。レンズ群は、内枠部材の内周側に収容されている。第1レンズは、外枠部材により外周側から保持されるとともに、内枠部材の鍔部により像側から支持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-5019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のレンズユニットを組み立てる際には、内枠部材にレンズ群を収容し、次に、内枠部材を外枠部材の環状段部に支持させ、しかる後に、第1レンズを、外枠部材に保持させながら、内枠部材の鍔部に係止させる。したがって、レンズユニットの製造工程では、レンズ群を内枠部材に保持させる工程が終了した後でなければ、第1レンズを外枠部材に保持させる工程を行うことができない。
【0005】
そこで、第1レンズを保持する第1鏡筒部材と、第1鏡筒部材の内周側で第1レンズの像側に位置するレンズ群を保持する第2鏡筒部材と、別体とすることが考えられる。このようにすれば、レンズユニットの製造時に、第1レンズの第1鏡筒部材への保持と、レンズ群の第2鏡筒部材への保持とを、別々に独立して行うことができる。そして、第1鏡筒部材および第2鏡筒部材を互いに固定することによって、1つのレンズユニットが製造される。この場合、外部からの強い光の影響によりレンズユニットにゴーストやフレアが発生することを抑制するために、第1鏡筒部材および第2鏡筒部材は、光吸収性樹脂により形成される。
【0006】
ここで、第1鏡筒部材および第2鏡筒部材を互いに固定する方法としては、接着剤による固定、振動溶着による固定、レーザー溶着による固定がある。接着剤によって固定した場合は、接着剤が硬化する際にアウトガスが発生する。このアウトガスがレンズユニットの内部に滞留すると、レンズ性能が低下するという問題がある。振動溶着によって固定した場合は、固定の際の振動により、第1鏡筒部材および第2鏡筒部材が保持したレンズが振動の影響を受けて、レンズ性能が低下する恐れがある。したがって、レンズユニットの信頼性やレンズ性能を考慮すると、固定する方法としては、レーザー溶着による固定が望ましい。しかしながら、光吸収性樹脂により第1鏡筒部材および第2鏡筒部材が形成されていた場合には、レーザー溶着によって、第1鏡筒部材および第2鏡筒部材を互いに固定することが可能であるが、光吸収性樹脂同士をレーザー溶着することは容易ではなく、レーザー溶着した際の溶着強度が低いという問題がある。
【0007】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、光吸収性樹脂により第1鏡筒部材および第2鏡筒部材を形成した場合であっても、レーザー溶着により、第1鏡筒部材と第2鏡筒部材
とを互いに容易に固定することができるレンズユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明のレンズユニットは、第1レンズを保持する第1鏡筒部材と、前記第1鏡筒部材の内周側で前記第1レンズの像側に位置するレンズ群を保持する第2鏡筒部材と、前記第1鏡筒部材と前記第2鏡筒部材とを連結する連結部材と、前記第1鏡筒部材と前記連結部材とを固定する第1固定部と、前記第2鏡筒部材と前記連結部材とを固定する第2固定部と、を有し、前記第1鏡筒部材と前記第2鏡筒部材とは、光吸収性を備える樹脂からなり、前記連結部材は、光透過性を備える樹脂からなり、前記第1固定部は、前記第1鏡筒部材と前記連結部材とをレーザー溶着することによって形成されることを特徴する。
【0009】
本発明によれば、第1レンズは第1鏡筒部材に保持され、第1レンズの像側に位置するレンズ群は第2鏡筒部材に保持される。よって、レンズユニットの製造時に、第1レンズの第1鏡筒部材への保持と、レンズ群の第2鏡筒部材への保持とを、別々に行うことができる。
【0010】
また、第1鏡筒部材と第2鏡筒部材とは、光吸収性を備える樹脂からなる。よって、外部からの強い光の影響によりレンズユニットにゴーストやフレアが発生することを抑制することができる。
【0011】
また、第1鏡筒部材と第2鏡筒部材とは、連結部材を介して連結される。このとき、第1鏡筒部材と連結部材とは、第1固定部により固定される。第2鏡筒部材と連結部材とは、第2固定部により固定される。ここで、連結部材は、光透過性を備える樹脂からなる。このようにすれば、第1固定部を第1鏡筒部材と連結部材とをレーザー溶着することによって容易に形成することができる。よって、接着剤により第1固定部を形成しないので、接着剤から発生するアウトガスがレンズユニットの内部に滞留し、レンズユニットのレンズ性能が低下する恐れがない。また、振動溶着により第1固定部を形成しないので、溶着の際に、レンズユニットのレンズ性能が低下する恐れがない。また、第1鏡筒部材と連結部材との樹脂材料の特性が異なるので、第1鏡筒部材と連結部材とをレーザー溶着することが容易であり、レーザー溶着した際の溶着強度が高くなる。
【0012】
本発明において、前記連結部材は、前記第1鏡筒部材および前記第2鏡筒部材の一方と同じ樹脂からなるものとすることができる。
【0013】
本発明において、前記連結部材は、前記第1鏡筒部材と同じ樹脂からなることが好ましい。このようにすれば、連結部材と第1鏡筒部材とは同じ樹脂であるので、連結部材と第1鏡筒部材との溶着強度を高めることができる。
【0014】
本発明において、前記第1鏡筒部材は、前記光吸収性を備える結晶性樹脂からなり、前記第2鏡筒部材は、前記光吸収性を備える非晶性樹脂からなることが好ましい。このようにすれば、第1鏡筒部材を非晶性樹脂製とした場合と比較して、第1鏡筒部材の耐候性を高くすることができる。したがって、レンズユニットが車載用の撮像装置や屋外に設置される撮像装置に搭載された場合に、第1鏡筒部材が経年劣化することを抑制することができる。また、このようにすれば、第2鏡筒部材を結晶性樹脂製とした場合と比較して、第2鏡筒部材の吸水性が低い。このため、第2鏡筒部材は、第2鏡筒部材の外部に存在する水分を吸収しにくいので、水分が第2鏡筒部材の内部に浸入しにくい。これにより、第1レンズの像側面や、レンズ群を構成する各レンズが曇ることを抑制することができる。さらに、第2鏡筒部材は、水分を吸収しにくいので、第2鏡筒部材の寸法形状が安定する。これにより、第2鏡筒部材が保持するレンズ群の光学性能が安定する。
【0015】
本発明において、前記第1鏡筒部材は、前記第1レンズを外周側から保持する保持部を備える第1筒部と、前記第1筒部における前記保持部の前記像側から内周側に突出する環状突部と、を備え、前記第2鏡筒部材は、前記レンズ群を外周側から囲む第2筒部と、前記第2筒部の途中から外周側に突出するフランジ部と、を備え、前記環状突部は、前記第1レンズを前記像側から支持する環状の支持面を備える第1レンズ支持部と、前記第2筒部に径方向外側から接触して前記第2鏡筒部材を径方向で位置決めする径方向位置決め部と、前記フランジ部に物体側から接触して前記第2鏡筒部材を光軸方向で位置決めする光軸方向位置決め部と、前記光軸方向位置決め部の径方向外側に位置する平面部と、を備え、前記フランジ部は、環状の外周面を備え、前記連結部材は、環状部材であって、前記外周面と当接する内周面と、前記平面部と光軸方向で当接する環状面と、を備え、前記第1固定部は、前記平面部と前記環状面との間に設けられ、前記第2固定部は、前記外周面と前記内周面との間に設けられることとすることができる。このようにすれば、第1鏡筒部材に対し、第2鏡筒部材は位置精度よく固定される。よって、鏡筒が2部材からなる場合でも、第1レンズとレンズ群との位置精度が低下することを抑制することができる。
【0016】
本発明において、前記第2筒部は、前記フランジ部よりも前記物体側に位置する第1部分と、前記フランジ部と前記光軸方向と直交する方向で重なる第2部分と、前記フランジ部よりも前記像側に位置する第3部分とを備え、前記環状突部の内周側の端面には、周方向に配列された複数の突起が設けられ、複数の前記突起は、前記第1部分に径方向外側から接触する前記径方向位置決め部であることとすることができる。このようにすれば、第1鏡筒部材の環状突部の内側に第2鏡筒部材の第2筒部を圧入したときに、周方向における突起と突起の間に隙間が形成される。よって、この隙間を介して、第1レンズを保持する第1鏡筒部材と、レンズ群を保持する第2鏡筒部材との間にある空気を、逃がすことができる。これにより、第1鏡筒部材の環状突部の内側にレンズ群を保持した第2鏡筒部材を圧入することが容易となる。
【0017】
本発明において、前記平面部および前記環状面の一方には、前記光軸方向に突出する溶着代用の第1突起が設けられ、前記第1固定部は、レーザー溶着によって前記第1突起が溶融することによって、前記平面部および前記環状面が溶着して形成されることが好ましい。このようにすれば、レーザーによって第1突起を溶融すれば、平面部および環状面を溶着することが容易となる。
【0018】
本発明において、前記第2固定部は、前記第2鏡筒部材と前記連結部材とをレーザー溶着することによって形成されることが好ましい。このようにすれば、第2固定部として接着剤を用いないので、接着剤から発生するアウトガスがレンズユニットの内部に滞留し、レンズユニットのレンズ性能が低下する恐れがない。また、振動溶着により第2固定部を形成しないので、溶着の際に、レンズユニットのレンズ性能が低下する恐れがない。また、第2鏡筒部材と連結部材との樹脂材料の特性が異なるので、第2鏡筒部材と連結部材とをレーザー溶着することが容易であり、レーザー溶着した際の強度が高くなる。
【0019】
本発明において、前記外周面および前記内周面の一方には、前記径方向に突出する溶着代用の第2突起が設けられ、前記第2固定部は、レーザー溶着によって前記第2突起が溶融することによって、前記外周面および前記内周面が溶着して形成されることが好ましい。このようにすれば、レーザーによって第2突起を溶融すれば、外周面および内周面を溶着することが容易となる。
【0020】
本発明において、前記複数のレンズ群は、前記第1レンズの前記像側に位置する第2レンズと、前記第2レンズの前記像側に位置する第3レンズと、を備え、前記第2部分の内周面には、周方向に配列された複数の位置決め突起が設けられ、前記第3レンズは、前記
第2部分の径方向の内側に位置するとともに、前記物体側から前記像側に向かって、径方向で前記第2部分が隙間を開けて対向する対向部分と、複数の前記位置決め突起が径方向外側から接触する接触部分と、をこの順に備え、前記光軸と直交する方向から見た場合に、前記第2突起は、前記対向部分と重なることが好ましい。このようにすれば、レーザー溶着の際に、第2突起が溶融することによって発生する応力が、第2部分の径方向内側に位置する第3レンズに伝わることを抑制することができる。これにより、第3レンズに歪みが発生することを抑制することができる。
【0021】
本発明において、前記連結部材は、前記内周面から径方向内側に突出し、前記物体側を向く支持面を備える段部を備え、前記支持面は、前記フランジ部に像側から当接することが好ましい。このようにすれば、連結部材は、フランジ部に対して光軸方向で位置決めされる。また、レンズユニットを組み立てた後においては、支持面がフランジ部に像側から当接しているので、第2鏡筒部材が第1鏡筒部材から抜けにくい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、第1鏡筒部材と第2鏡筒部材とが光吸収性を備える樹脂からなる場合であっても、第1鏡筒部材と第2鏡筒部材とを連結する連結部材が光透過性を備える樹脂からなるので、レーザー溶着により、第1鏡筒部材と連結部材とを固定する第1固定部を容易に形成することができる。よって、接着剤や振動溶着によって第1固定部を形成しないので、レンズユニットのレンズ性能が低下する恐れがない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明を適用したレンズユニットの外観斜視図である。
図2図1のA-A線断面図である。
図3】レンズユニットの分解斜視図である。
図4】第1鏡筒部材を像側から見た場合の斜視図である。
図5】第2鏡筒部材を像側から見た場合の斜視図である。
図6】連結部材の断面斜視図である。
図7】第1鏡筒部材に第2鏡筒部材を圧入した状態の説明図である。
図8】変形例の連結部材を用いた場合における第1鏡筒部材に第2鏡筒部材を圧入した状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明を適用したレンズユニットの実施例について説明する。
【0025】
図1は、本発明を適用したレンズユニットの外観斜視図である。図2は、図1のA-A線におけるレンズユニットの断面図である。図3は、レンズユニットの分解斜視図である。本例のレンズユニット1は、自動車や監視カメラに搭載される撮像装置に用いられる。
【0026】
(光学系)
図1に示すように、レンズユニット1は、第1レンズ2と、鏡筒3と、を備える。また、図2に示すように、レンズユニット1は、第1レンズ2の光軸Lに沿った光軸方向Xで第1レンズ2の像側X1で鏡筒3に保持されたレンズ群4を有する。レンズ群4は、光軸方向Xを物体側X2から像側X1に向かって第2レンズ5、第3レンズ6、第4レンズ7、および第5レンズ8を備える。第5レンズ8は、2枚のレンズを接合した接合レンズである。レンズ群4を構成する各レンズ5~8は、第1レンズ2よりも外径寸法が小さい。また、レンズニットは、第2レンズ5と第3レンズ6との間に配置された円環状の遮光シート9と、第3レンズ6と第4レンズ7との間に配置された円環状の絞り10と、を備える。
【0027】
第1レンズ2は、樹脂製またはガラス製である。第1レンズ2は、メニスカスレンズである。第1レンズ2は、物体側X2に、物体側X2に突出する湾曲面を備える。また、第1レンズ2は、像側X1に、物体側X2に窪む湾曲面2aと、湾曲面2aの外周側で光軸Lに直交する方向に広がる環状のフランジ面2bと、を備える。フランジ面2bには、遮光のための黒墨が塗布されている。
【0028】
第2レンズ5は、樹脂製である。第2レンズ5は、メニスカスレンズである。第2レンズ5は、物体側X2に、物体側X2に突出する湾曲面を備え、像側X1に、物体側X2に窪む湾曲面を備える。第2レンズ5は、光軸方向Xの一方側から他方側に向かって、外周面が光軸Lと平行に延びる物体側レンズ部分5aと、外周面が像側X1に向かって内周側に傾斜する像側レンズ部分5bと、をこの順に備える。
【0029】
第3レンズ6は、樹脂製である。第3レンズ6は、物体側X2に、物体側X2にする湾曲面を備え、像側X1に、像側X1に突出する湾曲面を備える。第3レンズ6は、光軸方向Xの一方側から他方側に向かって、外周面が光軸Lと平行に延びる物体側レンズ部分6aと、外周面が像側X1に向かって内周側に傾斜する像側レンズ部分6bと、をこの順に備える。
【0030】
第4レンズ7は、ガラス製である。第4レンズ7は、第2レンズ5、第3レンズ6、および第5レンズ8よりも外径寸法が小さい。第4レンズ7は、環状のホルダ11に保持された状態で第3レンズ6と第5レンズ8との間に位置する。
【0031】
第5レンズ8は、物体側レンズ13と、物体側レンズ13の像側X1に位置する像側レンズ14と、を備える。物体側レンズ13および像側レンズ14は、いずれも樹脂製である。物体側レンズ13は、物体側X2に、像側X1に湾曲する湾曲面を備え、像側X1に、物体側X2に窪む湾曲面を備える。また、物体側レンズ13は、光軸方向Xの一方側から他方側に向かって、外周面が光軸Lと平行に延びる物体側レンズ部分8aと、外周面が像側X1に向かって内周側に傾斜する像側レンズ部分8bと、をこの順に備える。像側レンズ14は、物体側X2に、物体側X2に突出する湾曲面を備え、像側X1に、像側X1に突出する湾曲面を備える。像側レンズ14は、物体側X2に突出する湾曲面が、物体側レンズ13の物体側X2に窪む湾曲面に挿入された状態で、物体側レンズ13に接合されている。物体側レンズ13の外径寸法は、像側レンズ14の外径寸法よりも大きい。したがって、物体側レンズ13は、光軸方向Xから見た場合に、像側レンズ14の外周側に位置する環状のフランジ部分13aを備える。
【0032】
ここで、第2レンズ5の外径寸法、第3レンズ6の外径寸法、第4レンズ7を保持するホルダ11の外径寸法、および第5レンズ8の外径寸法は、この順番で、僅かに短くなる。また、図3に示すように、第2レンズ5、第3レンズ6、第4レンズ7、第5レンズ8、およびホルダ11は、周方向の一部分に、光軸方向Xから見た場合に周方向に直線に延びる切欠き部16を備える。
【0033】
(鏡筒)
図4は、第1鏡筒部材を像側X1から見た場合の斜視図である。図5は、第2鏡筒部材を物体側X2から見た場合の斜視図である。図2図3に示すように、鏡筒3は、第1レンズ2を保持する第1鏡筒部材21と、レンズ群4を保持する第2鏡筒部材22と、第1鏡筒部材21と第2鏡筒部材22とを連結する連結部材23と、第1鏡筒部材21と連結部材23とを固定する第1固定部41と、第2鏡筒部材22と連結部材23とを固定する第2固定部42と、を備える。図2に示すように、第2鏡筒部材22は、第1鏡筒部材21の内周側に収容されている。
【0034】
第1鏡筒部材21は、光吸収性を備える結晶性樹脂からなる。第2鏡筒部材22は光吸収性を備える非晶性樹脂からなる。本例では、第1鏡筒部材21は、ポリアミド系の樹脂からなる。第2鏡筒部材22は、ポリカーボネイト製である。連結部材23は、光透過性を備える結晶性樹脂からなる。本例では、連結部材23は、ポリアミド系の樹脂からなる。
【0035】
(第1鏡筒部材)
図2図3図4に示すように、第1鏡筒部材21は、第1レンズ2の外周側に位置する第1筒部25と、第1筒部25の光軸方向Xの途中から径方向内側に突出する環状突部26と、を備える。図2図3に示すように、第1筒部25は、環状突部26の物体側X2に、第1レンズ2を外周側から保持する保持部27を備える。また、第1筒部25は、環状突部26の像側X1に、スカート部28を備える。さらに、第1筒部25は、物体側X2の端に、内周側に屈曲して第1レンズ2に物体側X2から当接する第1当接部29を備える。
【0036】
図2図3に示すように、環状突部26は、物体側X2を向く面に、第1レンズ2を像側X1から支持する環状の支持面31aを備える第1レンズ支持部31を有する。また、環状突部26は、支持面31aの外周側に、像側X1に窪む環状溝32を備える。環状溝32には、環状の弾性部材33が挿入される。弾性部材33は、Oリングである。
【0037】
環状突部26において径方向内側を向く内周側端面35には、複数の突起36が設けられている。複数の突起36は、周方向に配列されている。本例では、複数の突起36は、内周側端面35における像側X1の部分に設けられている。したがって、図4に示すように、環状突部26において径方向内側を向く内周側端面35は、物体側X2から像側X1に向かって、複数の突起36を備えてない環状面部分35aと、複数の突起36を備える環状の凹凸面部分35bと、を備える。
【0038】
環状突部26の像側X1を向く面は、光軸Lと垂直な第1基準面38と、第1基準面38の径方向外側に位置する第1溶着面(平面部)39と、を備える。第1溶着面39は、第1基準面38と平行で第1基準面38から像側X1にずれている。径方向における第1基準面38と第1溶接面との間には、径方向内側を向く第1環状面40が設けられている。
【0039】
(第2鏡筒部材)
図2図3図5に示すように、第2鏡筒部材22は、レンズ群4を外周側から囲む第2筒部50と、第2筒部50から外周側に突出するフランジ部51と、を備える。フランジ部51は、第2筒部50の物体側X2の部分から径方向外側に突出する。第2筒部50は、フランジ部51よりも物体側X2に位置する第1部分52aと、フランジ部51と光軸方向Xと直交する方向で重なる第2部分52bと、フランジ部51よりも像側X1に位置する第3部分52cとを備える。
【0040】
また、第2鏡筒部材22は、レンズ群4を光軸方向Xの両側から保持する保持機構53を有する。保持機構53は、第2筒部50の物体側X2の端から径方向内側に屈曲して第2レンズ5に物体側X2から接触する第2当接部54と、第2筒部50の像側X1の部分から径方向内側に突出してレンズ群4を支持する環状の支持部55と、を備える。支持部55は、第5レンズ8における物体側レンズ13のフランジ部分13aに像側X1から当接して、レンズ群4を像側X1から支持する。支持部55は、物体側X2の端部分に、径方向内側に突出する環状板部56を備える。環状板部56の内周側の端縁は、円形開口57を区画する。環状板部56の像側X1の面には、円形開口57を封鎖するように不図示の撮像素子が固定される。
【0041】
ここで、図2に示すように支持部55および環状板部56は、第5レンズ8の像側レンズ14に接触していない。すなわち、支持部55は、径方向で像側レンズ14と隙間を開けて対向する。環状板部56は、光軸方向Xで像側レンズ14と隙間を開けて対向する。
【0042】
第2筒部50の内周面60は、像側X1に向かって、僅かに、内周側に傾斜する。図3図5に示すように、第2筒部50の内周面60における第2当接部54と支持部55との間には、内周面60に沿って光軸方向Xに延びる複数のリブ61(位置決め突起)が設けられている。リブ61は、周方向に配列されている。図2に示すように、各リブ61は、レンズ群4が第2筒部50に収容されたときに、第2レンズ5の物体側レンズ部分5a、第3レンズ6の物体側レンズ部分6a、第4レンズ7を保持するホルダ11、および第5レンズ8の物体側レンズ13の物体側レンズ部分8aに径方向外側から当接して、レンズ群4を径方向で位置決めする。
【0043】
ここで、第2レンズ5、第3レンズ6、第4レンズ7を保持するホルダ11、および第5レンズ8と、第2筒部50との間には、これらに設けた切欠き部16により、光軸方向Xに延びる隙間が形成される。また、第2レンズ5、第3レンズ6、第4レンズ7を保持するホルダ11、および第5レンズ8と、第2筒部50との間には、周方向で隣り合うリブ61の間に、光軸方向Xに延びる隙間が形成される。
【0044】
図2図3に示すように、フランジ部51は、外周側を向く環状の外周面51aと、物体側X2を向く第2基準面51bと、を備える。外周面51aと第1環状面40との間には、径方向に隙間が形成されている。第2基準面51bは、光軸Lと垂直である。
【0045】
(連結部材)
図6は、連結部材23の断面斜視図である。図3および図6に示すように、連結部材23は、環状部材である。連結部材23は、第1溶着面(平面部)39と光軸方向で当接する環状面23aと、フランジ部51の外周面51aと当接する内周面23bと、を備える。環状面3aには、物体側X2に突出する溶着代用の第1突起23cが設けられている。第1突起23cは、環状面3aに沿って、環状に突出している。内周面23bには、径方向内側に突出する溶着代用の第2突起23dが設けられている。第2突起23dは、内周面23bに沿って、環状に突出している。
【0046】
(第1固定部)
図2に示すように、第1固定部41は、第1溶着面39と環状面23aとをレーザー溶着することによって形成される。本例では、第1固定部41は、レーザー溶着によって第1突起23cが溶融することによって、第1溶着面39および環状面23aが溶着して形成される。
【0047】
(第2固定部)
図2に示すように、第2固定部42は、フランジ部51の外周面51aと内周面23bとをレーザー溶着することによって形成される。本例では、第2固定部42は、レーザー溶着によって第2突起23dが溶融することによって、外周面51aおよび内周面23bが溶着して形成される。
【0048】
(レンズユニットの組み立て)
図7は、第1鏡筒部材21に第2鏡筒部材22を圧入した状態の説明図である。レンズユニット1を組み立てる際には、第1鏡筒部材21に第1レンズ2を保持する第1ユニット組み立て動作と、第2鏡筒部材22にレンズ群4を保持する第2ユニット組み立て動作とは、それぞれ別々に独立して行われる。その後、組み立てが完了した第2ユニットに連
結部材23をレーザー溶着によって固定する固定動作が行われる。その後、固定動作が行われた第2ユニットと、組み立てが完了した第1ユニットとを連結して固定する連結動作が行われる。
【0049】
第1ユニット組み立て動作では、第1鏡筒部材21の環状溝32に弾性部材33を挿入する。次に、第1鏡筒部材21の保持部27の内周側に物体側X2から第1レンズ2を挿入し、フランジ面2bを環状突部26の第1レンズ支持部31の支持面31aに当接させる。しかる後に、第1鏡筒部材21の物体側X2の端をカシメることにより、第1当接部29を形成する。これにより、第1レンズ2は、第1当接部29と第1レンズ支持部31の支持面31aとによって光軸方向Xから保持される。第1レンズ2が第1鏡筒部材21に保持された状態では、弾性部材33は、光軸方向Xで圧縮された状態となる。弾性部材33は、第1レンズ2と環状突部26との間を封止する。
【0050】
第2ユニット組み立て動作では、第2鏡筒部材22にレンズ群4を物体側X2から収容して、レンズ群4を支持部55に支持させる。しかる後に、第2鏡筒部材22の物体側X2の端をカシメることにより、第2当接部54を形成する。これにより、レンズ群4は、保持機構53により、光軸方向Xの両側から保持される。レンズ群4が第2鏡筒部材22に保持されたときに、第1部分22aの径方向内側には、第2レンズ5が位置し、第2部分22bの径方向内側には、第3レンズ6が位置し、第3部分22cの径方向内側には、第4レンズ7および第5レンズ8が位置する。
【0051】
次に、第2ユニットに連結部材23をレーザー溶着によって固定する固定動作を行う。まず、固定動作では、連結部材23に第2鏡筒部材22のフランジ部51を挿入する。そして、外周面51aと内周面23bとが当接させた状態で、連結部材23の径方向外側からレーザーを照射し、外周面51aと内周面23bとをレーザー溶着することによって第2固定部42を形成する。溶着に際しては、連結部材23の内周面23bに設けられた第2突起23dをレーザーによって溶融させながら外周面51aおよび内周面23bを溶着させる。
【0052】
ここで、図7に示すように、第3レンズ6の物体側レンズ部分6aは、物体側X2から像側X1に向かって、径方向で第2部分22bが隙間を開けて対向する対向部分6cと、複数のリブ61が径方向外側から接触する接触部分6dと、をこの順に備える。そして、光軸Lと直交する方向から見た場合に、第2突起23dは、対向部分6cと重なる。よって、レーザー溶着の際に、第2突起23dが溶融することによって発生する応力が、第2部分22bの径方向内側に位置する第3レンズ6に伝わることを抑制することができる。これにより、第3レンズ6に歪みが発生することを抑制することができる。
【0053】
次に、第2ユニットを第1ユニットに連結して固定する連結動作を行う。連結動作では、まず、レンズ群4を保持する第2鏡筒部材22を、スカート部28の内側に挿入する。そして、第2筒部50におけるフランジ部51よりも物体側X2の第1部分52aを第1鏡筒部材21の環状突部26に圧入する。
【0054】
ここで、図7に示すように、第1鏡筒部材21の環状突部26において径方向内側を向く内周側端面35に設けられた複数の突起36は、第1部分52aが圧入されたときに、物第1部分52aの外周面に径方向外側から当接して、第2環状筒部を径方向で位置決めする。すなわち、第1鏡筒部材21の複数の突起36は、第2鏡筒部材22を径方向で位置決めする径方向位置決め部である。また、本例では、環状突部26において径方向内側を向く内周側端面35に複数の突起36が設けられているので、第1鏡筒部材21の環状突部26の内側に第2鏡筒部材22の第2筒部50を圧入したときに、周方向における突起36と突起36の間に隙間が形成される。したがって、第2鏡筒部材22を第1鏡筒部
材21に圧入する際に、第1レンズ2を保持する第1鏡筒部材21と、レンズ群4を保持する第2鏡筒部材22との間にある空気を、隙間を介して、外部に逃がすことができる。よって、第1鏡筒部材21の環状突部26の内側にレンズ群4を保持した第2筒部50を圧入することが容易となる。
【0055】
その後に、第1溶着面39と環状面23aとを当接させた状態で、連結部材23の像側X1からレーザーを照射し、第1溶着面39と環状面23aとをレーザー溶着することによって第1固定部41を形成する。溶着に際しては、連結部材23の環状面23aに設けられた第1突起23cをレーザーによって溶融させながら外第1溶着面39と環状面23aを溶着させるとともに、環状突部26の第1基準面38と、フランジ部51の第2基準面51bとを密着させる。これにより、環状突部26の第1基準面38は、第2鏡筒部材22を光軸方向Xに位置決めする光軸方向位置決め部となる。
【0056】
(作用効果)
本例によれば、第1レンズ2は第1鏡筒部材21に保持され、第1レンズ2の像側X1に位置するレンズ群4は第2鏡筒部材22に保持される。よって、レンズユニット1の製造時に、第1レンズ2の第1鏡筒部材21への保持と、レンズ群4の第2鏡筒部材22への保持とを、別々に行うことができる。
【0057】
また、第1鏡筒部材21と第2鏡筒部材22とは、光吸収性を備える樹脂からなる。よって、外部からの強い光の影響によりレンズユニット1にゴーストやフレアが発生することを抑制することができる。
【0058】
また、第1鏡筒部材21と第2鏡筒部材22とは、連結部材23を介して連結される。このとき、第1鏡筒部材21と連結部材23とは、第1固定部41により固定される。第2鏡筒部材22と連結部材23とは、第2固定部42により固定される。ここで、連結部材23は、光透過性を備える樹脂からなる。よって、第1固定部41を第1鏡筒部材21と連結部材23とをレーザー溶着することによって容易に形成することができる。よって、接着剤によって第1固定部41を形成しないので、接着剤から発生するアウトガスがレンズユニット1の内部に滞留し、レンズユニット1のレンズ性能が低下する恐れがない。また、振動溶着により第1固定部41を形成しないので、溶着の際に、レンズユニット1のレンズ性能が低下する恐れがない。また、第1鏡筒部材21と連結部材23との樹脂材料の特性が異なるので、第1鏡筒部材21と連結部材23とをレーザー溶着することが容易であり、レーザー溶着した際の溶着強度が高くなる。
【0059】
また、本例では、第1鏡筒部材21は、光吸収性を備える結晶性樹脂からなり、第2鏡筒部材22は、光吸収性を備える非晶性樹脂からなる。ここで、結晶性樹脂は、非晶性樹脂と比較して、耐候性に優れる。また、非晶性樹脂は、結晶性樹脂と比較して、吸水性が低い。したがって、レンズユニット1を、車載用の撮像装置や屋外に設置される撮像装置に搭載した場合に、外光に晒されやすい第1鏡筒部材21の経年劣化を抑制することができる。また、第2鏡筒部材22は、第2鏡筒部材22の外部に存在する水分を吸収しにくいので、水分が第2鏡筒部材22の内部に浸入しにくい。これにより、第1レンズ2の像側面や、レンズ群4を構成する各レンズ5~8が曇ることを抑制することができる。さらに、第2鏡筒部材22は、水分を吸収しにくいので、第2鏡筒部材22の寸法形状が安定する。これにより、第2鏡筒部材22が保持するレンズ群4の光学性能が安定する。
【0060】
本例では、連結部材23は、第1鏡筒部材21と同じ樹脂からなる。すなわち、連結部材23は、非晶性樹脂からなるので、連結部材23と第1鏡筒部材21との溶着強度を高めることができる。
【0061】
また、第1鏡筒部材21の環状突部26の像側X1の面は、フランジ部51に物体側X2から接触する光軸方向位置決め部としての第1基準面38を備える。また、第1鏡筒部材21の環状突部26において径方向内側を向く内周側端面35は、複数の突起36を備える。複数の突起36は、第2鏡筒部材22を径方向で位置決めする径方向位置決め部である。これにより、第1鏡筒部材21に対し、第2鏡筒部材22は位置精度よく固定される。したがって、鏡筒3を、第1レンズ2を保持する第1鏡筒部材21とレンズ群4を保持する第2鏡筒部材22の2部材から構成した場合でも、第1レンズ2とレンズ群4との位置精度が低下することを抑制することができる。
【0062】
環状面23aには、光軸方向に突出する溶着代用の第1突起23cが設けられている。第1固定部41は、レーザー溶着によって第1突起23cが溶融することによって、第1溶着面39と環状面23aが溶着して形成される。よって、レーザーによって第1突起23cを溶融すれば、第1溶着面39と環状面23aとを溶着することが容易となる。
【0063】
第2固定部42は、第2鏡筒部材22と連結部材23とをレーザー溶着することによって形成される。よって、第2固定部42として接着剤を用いないので、接着剤から発生するアウトガスがレンズユニット1の内部に滞留し、レンズユニット1のレンズ性能が低下する恐れがない。また、振動溶着により第2固定部42を形成しないので、溶着の際に、レンズユニット1のレンズ性能が低下する恐れがない。また、第2鏡筒部材22と連結部材23との樹脂材料の特性が異なるので、第2鏡筒部材22と連結部材23とをレーザー溶着することが容易であり、レーザー溶着した際の強度が高くなる。
【0064】
内周面23bには、径方向に突出する溶着代用の第2突起23dが設けられる。第2固定部42は、レーザー溶着によって第2突起23dが溶融することによって、外周面51aと内周面23bが溶着して形成される。よって、レーザーによって第2突起23dを溶融すれば、外周面51aと内周面23bとを溶着することが容易となる。
【0065】
第2筒部50の第2部分52bの内周面には、周方向に配列された複数のリブ61が設けられる。第3レンズ6は、第2部分52bの径方向の内側に位置するとともに、物体側X2から像側X1に向かって、径方向で第2部分52bが隙間を開けて対向する対向部分6cと、複数のリブ61が径方向外側から接触する接触部分6dと、をこの順に備える。光軸Lと直交する方向から見た場合に、第2突起23dは、対向部分6cと重なる。よって、レーザー溶着の際に、第2突起23dが溶融することによって発生するヒケや歪などによる応力が、第2部分22bの径方向内側に位置する第3レンズ6に伝わることを抑制することができる。これにより、第3レンズ6に歪みが発生することを抑制することができる。
【0066】
(変形例)
連結部材23は、内周面23bから径方向内側に突出し、物体側を向く支持面231を備える段部230を備えてもよい。図8は、変形例の連結部材23を用いた場合における第1鏡筒部材21に第2鏡筒部材22を圧入した状態の説明図である。図8に示すように、連結部材23は、内周面23bから径方向内側に突出し、物体側X2を向く支持面231を備える段部230を備える。フランジ部51は、像側X1の外周縁から物体側に切り欠かれた段部51cを備える。連結部材23に第2鏡筒部材22のフランジ部51を挿入した際、連結部材23の段部230は、フランジ部51の段部51cに嵌る。このとき、支持面231は、フランジ部51の段部51cの当接面51dに像側から当接する。これにより、連結部材23は、フランジ部51に対して光軸方向Xで位置決めされる。
【0067】
また、レンズユニット1を組み立てた後においては、支持面231がフランジ部51の段部51cの当接面51dに像側から当接しているので、第2鏡筒部材22が第1鏡筒部
材21から抜けにくい。
【0068】
なお、上記実施例では、第2固定部42は、第2鏡筒部材22と連結部材23とをレーザー溶着することによって形成されたが、接着剤によって形成してもよい。ここで、接着剤を使用した場合には、接着剤が硬化する際にアウトガスが発生する。しかしながら、上記実施例で説明したように、第1ユニットと第2ユニットは別々に組み立てられるので、第2固定部42を接着剤で形成した場合であっても、第2固定部42から発生したアウトガスは、第2鏡筒部材22の内部には滞留せずに、外部へ発散する。そして、接着剤が硬化した状態では、アウトガスの発生が終了している。このため、連結部材23が固定された第2鏡筒部材22を第1鏡筒部材21に挿入して、第1ユニットと第2ユニットとを連結して固定した場合であっても、第2固定部42からはアウトガスが発生しないので、アウトガスがレンズユニット1の内部に滞留し、レンズユニット1のレンズ性能が低下する恐れがない。
【0069】
なお、本技術は以下のような構成をとることが可能である。
【0070】
(1)
第1レンズを保持する第1鏡筒部材と、
前記第1鏡筒部材の内周側で前記第1レンズの像側に位置するレンズ群を保持する第2鏡筒部材と、
前記第1鏡筒部材と前記第2鏡筒部材とを連結する連結部材と、
前記第1鏡筒部材と前記連結部材とを固定する第1固定部と、
前記第2鏡筒部材と前記連結部材とを固定する第2固定部と、
を有し、
前記第1鏡筒部材と前記第2鏡筒部材とは、光吸収性を備える樹脂からなり、
前記連結部材は、光透過性を備える樹脂からなり、
前記第1固定部は、前記第1鏡筒部材と前記連結部材とをレーザー溶着することによって形成されることを特徴するレンズユニット。
【0071】
(2)
前記連結部材は、前記第1鏡筒部材および前記第2鏡筒部材の一方と同じ樹脂からなることを特徴とする(1)に記載のレンズユニット。
【0072】
(3)
前記連結部材は、前記第1鏡筒部材と同じ樹脂からなることを特徴とする(1)または(2)に記載のレンズユニット。
【0073】
(4)
前記第1鏡筒部材は、前記光吸収性を備える結晶性樹脂からなり、
前記第2鏡筒部材は、前記光吸収性を備える非晶性樹脂からなることを特徴とする(1)から(3)の何れかに記載のレンズユニット。
【0074】
(5)
前記第1鏡筒部材は、前記第1レンズを外周側から保持する保持部を備える第1筒部と、前記第1筒部における前記保持部の前記像側から内周側に突出する環状突部と、を備え、
前記第2鏡筒部材は、前記レンズ群を外周側から囲む第2筒部と、前記第2筒部の途中から外周側に突出するフランジ部と、を備え、
前記環状突部は、前記第1レンズを前記像側から支持する環状の支持面を備える第1レンズ支持部と、前記第2筒部に径方向外側から接触して前記第2鏡筒部材を径方向で位置
決めする径方向位置決め部と、前記フランジ部に物体側から接触して前記第2鏡筒部材を光軸方向で位置決めする光軸方向位置決め部と、前記光軸方向位置決め部の径方向外側に位置する平面部と、を備え、
前記フランジ部は、環状の外周面を備え、
前記連結部材は、環状部材であって、前記外周面と当接する内周面と、前記平面部と光軸方向で当接する環状面と、を備え、
前記第1固定部は、前記平面部と前記環状面との間に設けられ、
前記第2固定部は、前記外周面と前記内周面との間に設けられることを特徴とする(1)から(4)の何れかに記載のレンズユニット。
【0075】
(6)
前記第2筒部は、前記フランジ部よりも前記物体側に位置する第1部分と、前記フランジ部と前記光軸方向と直交する方向で重なる第2部分と、前記フランジ部よりも前記像側に位置する第3部分とを備え、
前記環状突部の内周側の端面には、周方向に配列された複数の突起が設けられ、
複数の前記突起は、前記第1部分に径方向外側から接触する前記径方向位置決め部であることを特徴とする(5)に記載のレンズユニット。
【0076】
(7)
前記平面部および前記環状面の一方には、前記光軸方向に突出する溶着代用の第1突起が設けられ、
前記第1固定部は、レーザー溶着によって前記第1突起が溶融することによって、前記平面部および前記環状面が溶着して形成されることを特徴とする(5)または(6)に記載のレンズユニット。
【0077】
(8)
前記第2固定部は、前記第2鏡筒部材と前記連結部材とをレーザー溶着することによって形成されることを特徴する(6)に記載のレンズユニット。
【0078】
(9)
前記外周面および前記内周面の一方には、前記径方向に突出する溶着代用の第2突起が設けられ、
前記第2固定部は、レーザー溶着によって前記第2突起が溶融することによって、前記外周面および前記内周面が溶着して形成されることを特徴とする(8)に記載のレンズユニット。
【0079】
(10)
前記複数のレンズ群は、前記第1レンズの前記像側に位置する第2レンズと、前記第2レンズの前記像側に位置する第3レンズと、を備え、
前記第2部分の内周面には、周方向に配列された複数の位置決め突起が設けられ、
前記第3レンズは、前記第2部分の径方向の内側に位置するとともに、前記物体側から前記像側に向かって、径方向で前記第2部分が隙間を開けて対向する対向部分と、複数の前記位置決め突起が径方向外側から接触する接触部分と、をこの順に備え、
前記光軸と直交する方向から見た場合に、前記第2突起は、前記対向部分と重なることを特徴とする(9)に記載のレンズユニット。
【0080】
(11)
前記連結部材は、前記内周面から径方向内側に突出し、前記物体側を向く支持面を備える段部を備え、
前記支持面は、前記フランジ部に像側から当接することを特徴とする(5)から(10
)の何れかに記載のレンズユニット。
【符号の説明】
【0081】
1…レンズユニット、2…第1レンズ、2a…湾曲面、2b…フランジ面、3…鏡筒、4…レンズ群、5…第2レンズ、5a…物体側レンズ部分、5b…像側レンズ部分、6…第3レンズ、6a…物体側レンズ部分、6b…像側レンズ部分、7…第4レンズ、8…第5レンズ、8a…物体側レンズ部分、8b…像側レンズ部分、9…遮光シート、10…絞り、11…ホルダ、13…物体側レンズ、13a…フランジ部分、14…像側レンズ、16…切欠き部、21…第1鏡筒部材、22…第2鏡筒部材、23…連結部材、23a…環状面、23b…内周面、23c…第1突起、23d…第2突起、25…第1筒部、26…環状突部、27…保持部、28…スカート部、29…第1当接部、31…第1レンズ支持部、31a…支持面、32…環状溝、33…弾性部材、35…内周側端面、35a…環状面部分、35b…凹凸面部分、36…突起、38…第1基準面、39…第1溶着面、41…第1固定部、42…第2固定部、50…第2筒部、51…フランジ部、51a…外周面、51b…第2基準面、51c…段部、51d…当接面、52a…第1部分、52b…第2部分、52c…第3部分、53…保持機構、54…第2当接部、55…支持部、56…環状板部、57…円形開口、60…内周面、61…リブ、64…第2溶着面、230段部、231…支持面、L…光軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8