(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024039
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】衣服
(51)【国際特許分類】
A41D 13/002 20060101AFI20240214BHJP
A41D 13/005 20060101ALI20240214BHJP
A41D 1/00 20180101ALI20240214BHJP
【FI】
A41D13/002 105
A41D13/005 101
A41D13/005 103
A41D1/00 E
A41D1/00 D
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023223709
(22)【出願日】2023-12-28
(62)【分割の表示】P 2019098038の分割
【原出願日】2019-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136375
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 弘実
(74)【代理人】
【識別番号】100079290
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 隆
(72)【発明者】
【氏名】松岡 清人
(72)【発明者】
【氏名】西河 智雅
(57)【要約】
【課題】利便性の高い電気機器を提供する。
【解決手段】出力部を有する機器本体5と、機器本体に着脱可能な電池パック10と、を備え、電池パック10は外部機器(風量調節用機器8、一括管理用機器6)と無線通信可能な無線通信部(無線アンテナ50aを含む)と、外部機器との無線通信を制御する制御部50と、を有し、制御部50は、出力部が動作している状態において、外部機器8、6との無線通信によって出力部の動作を変更可能に構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力部を有する機器本体と、
前記機器本体に着脱可能な電池パックと、を備え、
前記電池パックは外部機器と無線通信可能な無線通信部と、前記外部機器との無線通信を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記出力部が動作している状態において、前記外部機器との無線通信によって前記出力部の動作を変更可能に構成した、電気機器。
【請求項2】
前記出力部への駆動電圧を供給する駆動回路を有し、
前記制御部は、前記駆動回路からの出力電圧を変更することで前記出力部の動作を変更するよう構成した、請求項1に記載の電気機器。
【請求項3】
前記無線通信部と前記制御部を一体にした無線制御部を構成し、
前記無線通信部は前記外部機器からの信号を受信する無線アンテナを有し、
前記制御部は、前記電池パックの放電制御、充電制御、保護制御の少なくともいずれかを制御するように構成した、請求項1又は2に記載の電気機器。
【請求項4】
前記駆動回路は、前記電池パックの電圧を変圧するDCコンバータ部と、前記DCコンバータ部の電源ラインに接続されたインダクタと、前記インダクタの出力側とグランドとの間に接続されコンデンサと、を備え、
前記DCコンバータ部は、前記電源ラインとグランドとの間に直列に接続される複数の第1スイッチング素子を備え、
前記複数の第1スイッチング素子のスイッチング動作により前記コンデンサに所望の電圧が充電されるように構成した、請求項1乃至3の何れか一項に記載の電気機器。
【請求項5】
前記駆動回路及び前記制御部を次の(1)又は(2)のように構成した、請求項4に記載の電気機器。
(1)前記駆動回路は、複数の抵抗と、前記複数の抵抗のそれぞれに直列接続された複数の第2スイッチング素子と、を備えた出力電圧調節回路を有し、
前記制御部は、前記外部機器からの信号に基づいて前記複数の第2スイッチング素子の状態を切り替えるように構成した、あるいは、
(2)前記駆動回路は、抵抗と、前記抵抗に直列接続された第3スイッチング素子と、を備えた出力電圧調節回路を有し、
前記制御部は、前記外部機器からの信号に基づいて前記第3スイッチング素子をPWM制御するように構成した。
【請求項6】
前記出力部はブラシレスモータを有し、
前記駆動回路は、複数の第4スイッチング素子を備えたインバータ回路を有し、
前記制御部は、前記外部機器からの信号に基づいて前記複数の第4スイッチング素子をPWM制御するように構成した、請求項1乃至3の何れか一項に記載の電気機器。
【請求項7】
前記外部機器は、前記機器本体に装着された前記電池パックによって駆動する前記出力部の残り駆動可能時間を報知あるいは管理可能に構成した、請求項1乃至6の何れか一項に記載の電気機器。
【請求項8】
前記残り駆動可能時間は、第1及び第2の残り駆動可能時間を含み、
前記第1の残り駆動可能時間は、前記電池パックの残容量及び前記出力部の現在の動作状態に基づいて算出し、
前記第2の残り駆動可能時間は、前記電池パックの残容量及び前記出力部の最大動作状態に基づいて算出するように構成した、請求項7に記載の電気機器。
【請求項9】
前記出力部の動作は、外部の温度、作業者の体温又は周囲温度、前記電池パックの温度のいずれかに応じて変更可能に構成した、請求項1乃至8の何れか一項に記載の電気機器。
【請求項10】
前記出力部の駆動終了時間に合わせて、前記出力部の動作を調整可能に構成した、請求項11乃至9の何れか一項に記載の送風装置。
【請求項11】
前記外部機器は、無線通信機能を有し、前記電池パックの前記無線通信部と無線通信可能な第1通信機器を有し、
前記第1通信機器は、前記電池パックとは別の電池パックと無線通信可能であり、前記出力部とは別の出力部を管理するよう構成した、請求項1乃至10の何れか一項に記載の電気機器。
【請求項12】
前記外部機器は、無線通信機能を有し、前記電池パックの前記無線通信部と無線通信可能な第2通信機器を有し、
前記第2通信機器は、無線通信によって前記出力部の動作を変更可能に構成し、
前記第1通信機器と前記第2通信機器は互いに無線通信可能に構成した、請求項11に記載の電気機器。
【請求項13】
前記第1通信部、前記第2通信機器、前記電池パックの少なくともいずれかは、前記電池パックによって駆動可能な前記出力部の残り駆動可能時間、前記出力部の動作状態を報知する報知部を有する、請求項12に記載の電気機器。
【請求項14】
前記機器本体は、前記出力部としてファン又はヒーターを有する衣服であり、
前記制御部は、前記外部機器との無線通信によって前記ファンの回転数、風量又は前記ファンに供給される電圧、あるいは、前記ヒーターの温度を変更可能に構成した、請求項1乃至13の何れか一項に記載の電気機器。
【請求項15】
作業者が身に着ける衣服であって、
前記作業者の周囲温度を調節するための温度調節装置と、
前記温度調節装置に着脱可能な電池パックと、を備え、
前記電池パックは外部機器と無線通信可能な無線通信部と、前記外部機器との無線通信を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記外部機器との無線通信によって前記温度調節装置の動作を変更可能に構成した、衣服。
【請求項16】
作業者の周囲温度を調節する温度調節装置であって、
ファン又はヒーターを有する機器本体と、
前記機器本体に着脱可能な電池パックと、を備え、
前記電池パックは外部機器と無線通信可能な無線通信部と、前記外部機器との無線通信を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記外部機器との無線通信によって前記ファンの回転数又は前記ヒーターの温度を変更可能に構成した、温度調節装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器、例えば衣服の内側に空気を送り込むのに用いられる送風装置や当該送風装置を備えた衣服に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1は、作業者が着る衣服の内側に空気を送り込むファン本体と、ファン本体に電力を供給する電源部と、を有する電気機器としての送風装置を開示する。このような送風装置は、建築現場等における作業者の暑さ対策に有効である。また、下記特許文献2は、電動工具を駆動するための設定パラメータを変更可能な電動工具を開示する。また、下記特許文献3は、電池セルの残容量を表示する表示部を備えた電池パックを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-104845号公報
【特許文献2】特開2014-018868号公報
【特許文献3】特開2010-170779号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、コードによって有線接続された操作部で出力部(例えばファン)の出力や動作(ファンの場合には風量や回転数)や駆動モードを変更する構成であるため、利便性の観点で改善の余地があった(第1の課題)。特許文献2では、電気機器が動作中のときには電気機器の設定パラメータを変更不能な構成であるため、利便性の観点で改善の余地があった(第2の課題)。
また、特許文献3では、電池セルの残容量を表示するだけのため、電気機器の使用状況、例えば出力部(例えばファン)の残り駆動可能時間を管理できず、利便性の観点で改善の余地があった(第3の課題)。
また、電気機器の出力部の動作(送風装置の場合にはファンの風量や回転数)を出力部(ファン本体)と有線接続された操作部以外、例えばスマートフォン等の通信機器を用いた無線通信により変更可能とする場合、電気機器(機器本体)や電池パックに無線通信機能を持たせることが考えられる。特許文献2では、電気機器(電動工具)のハウジングに通信部を設けている。一方、電池パックに無線通信機能を持たせることも考えられる。この場合、次のような第4の課題が生じる。すなわち、無線通信機能を実現するための無線アンテナは、通信への影響を考慮すると、電池パックの金属部から遠い配置とすることが望ましい。一方、電池パックのサイズを小さくしようとすると、無線アンテナを金属部から遠ざけるのが困難となる。
【0005】
本発明はこうした状況を認識してなされたものであり、その目的は、上記した第1、第2、又は/及び第3の課題を解決し、利便性の高い送風装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、電気機器である。この電気機器は、
出力部を有する機器本体と、
前記機器本体に着脱可能な電池パックと、を備え、
前記電池パックは外部機器と無線通信可能な無線通信部と、前記外部機器との無線通信を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記出力部が動作している状態において、前記外部機器との無線通信によって前記出力部の動作を変更可能に構成した。
【0007】
前記出力部への駆動電圧を供給する駆動回路を有し、
前記制御部は、前記駆動回路からの出力電圧を変更することで前記出力部の動作を変更するよう構成してもよい。
【0008】
前記無線通信部と制御部を一体にした無線制御部を構成し、
前記無線通信部は前記外部機器からの信号を受信する無線アンテナを有し、
前記制御部は、前記電池パックの放電制御、充電制御、保護制御の少なくともいずれかを制御するように構成してもよい。
【0009】
前記駆動回路は、前記電池パックの電圧を変圧するDCコンバータ部と、前記DCコンバータ部の電源ラインに接続されたインダクタと、前記インダクタの出力側とグランドとの間に接続されコンデンサと、を備え、
前記DCコンバータ部は、前記電源ラインとグランドとの間に直列に接続される複数の第1スイッチング素子を備え、
前記複数の第1スイッチング素子のスイッチング動作により前記コンデンサに所望の電圧が充電されるように構成してもよい。
【0010】
前記駆動回路及び前記制御部を次の(1)又は(2)のように構成してもよい。
(1)前記駆動回路は、複数の抵抗と、前記複数の抵抗のそれぞれに直列接続された複数の第2スイッチング素子と、を備えた出力電圧調節回路を有し、
前記制御部は、前記外部機器からの信号に基づいて前記複数の第2スイッチング素子の状態を切り替えるように構成する。
(2)前記駆動回路は、抵抗と、前記抵抗に直列接続された第3スイッチング素子と、を備えた出力電圧調節回路を有し、
前記制御部は、前記外部機器からの信号に基づいて前記第3スイッチング素子をPWM制御するように構成する。
【0011】
前記出力部はブラシレスモータを有し、
前記駆動回路は、複数の第4スイッチング素子を備えたインバータ回路を有し、
前記制御部は、前記外部機器からの信号に基づいて前記複数の第4スイッチング素子をPWM制御するように構成してもよい。
【0012】
前記外部機器は、前記機器本体に装着された前記電池パックによって駆動する前記出力部の残り駆動可能時間を報知あるいは管理可能に構成してもよい。
【0013】
前記外部機器は、前記機器本体に装着された前記電池パックによって駆動する前記駆動部の残り駆動可能時間が所定時間以下の場合に報知可能に構成してもよい。
【0014】
前記残り駆動可能時間は、前記電池パックの残容量及び/又は前記出力部の動作状態に基づいて算出するように構成してもよい。
【0015】
前記残り駆動可能時間は、第1及び第2の残り駆動可能時間を含み、
前記第1の残り駆動可能時間は、前記電池パックの残容量及び前記出力部の現在の動作状態に基づいて算出し、
前記第2の残り駆動可能時間は、前記電池パックの残容量及び前記出力部の最大動作状態に基づいて算出するように構成してもよい。
【0016】
前記出力部の動作は、外部の温度、作業者の対応又は周温度、前記電池パックの温度のいずれかに応じて変更可能に構成してもよい。
【0017】
前記出力部の動作は、前記いずれかの温度に応じて自動的に変更する自動変更モードと、前記いずれか温度にかかわらず手動で変更する手動変更モードと、のいずれかにより変更可能に構成してもよい。
【0018】
前記出力部の駆動終了時間に合わせて、前記出力部の動作を調整可能に構成してもよい。
【0019】
前記残り駆動可能時間、前記出力部の動作の少なくとも一方が異常の場合に報知するように構成してもよい。
【0020】
前記外部機器は、無線通信機能を有し、前記電池パックの前記無線通信部と無線通信可能な第1通信機器を有し、
前記第1通信機器は、前記電池パックとは別の電池パックと無線通信可能であり、前記出力部とは別の出力部を管理するよう構成してもよい。
【0021】
前記第1通信機器、前記電池パック、前記出力部の少なくともいずれかは、前記出力部の残り駆動可能時間、前記出力部の状態を報知する報知部を有してもよい。
【0022】
前記第1通信機器は、前記電池パックの位置情報を管理するように構成してもよい。
【0023】
前記外部機器は、無線通信機能を有し、前記電池パックの前記無線通信部と無線通信可能な第2通信機器を有し、
前記第2通信機器は、無線通信によって前記駆動部の動作を変更可能に構成し、
前記第1通信機器と前記第2通信機器は互いに無線通信可能に構成してもよい。
【0024】
前記第1通信機器、前記第2通信機器、前記電池パックの少なくともいずれかは、前記電池パックによって駆動可能な前記出力部の残り駆動可能時間、前記出力部の動作状態を報知する報知部を有してもよい。
【0025】
前記機器本体は、作業者により操作される操作部と、前記操作部の操作に応じて前記出力部を制御する制御部と、を有してもよい。
【0026】
前記機器本体は、前記出力部としてファン又はヒーターを有する衣服であり、
前記制御部は、前記外部機器との無線通信によって前記ファンの回転数、風量又は前記ファンに供給される電圧、あるいは、前記ヒーターの温度を変更可能に構成してもよい。
【0027】
本発明のある態様は、衣服である。この衣服は作業者が身に着けるものであって、
前記作業者の周囲温度を調節するための温度調節装置と、
前記温度調節装置に着脱可能な電池パックと、を備え、
前記電池パックは外部機器と無線通信可能な無線通信部と、前記外部機器との無線通信を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記外部機器との無線通信によって前記温度調節装置の動作を変更可能に構成した。
【0028】
本発明のある形態は、温度調節装置である。この温度調節装置は、作業者の周囲温度を調節するものであって、
ファン又はヒーターを有する機器本体と、
前記機器本体に着脱可能な電池パックと、を備え、
前記電池パックは外部機器と無線通信可能な無線通信部と、前記外部機器との無線通信を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記外部機器との無線通信によって前記ファンの回転数又は前記ヒーターの温度を変更可能に構成した。
【0029】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法やシステムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、利便性の高い送風装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の実施の形態に係る、電池パック10を電源とする電気機器としての送風装置を、作業者4が身に着ける衣服9に設けた状態の概念図。
【
図2】作業者4が風量調節用機器8により前記送風装置の出力(風量)を変更する様子を示す概念図。
【
図3】施工管理者3が一括管理用機器6により複数の作業者4の前記送風装置を管理する様子を示す概念図。
【
図10】電池パック10の、上ケース12を開けた状態の平面図。
【
図14】電池パック10のケース内部の前方斜視図。
【
図15】電池パック10のケース内部の後方斜視図。
【
図22】本発明の他の実施の形態に係る電池パックに関し、
図14の状態から電池セル11a~11cの向きを左回りに90度回転させた状態の斜視図。
【
図24】
図23の電池パック10の放電回路54の具体構成例1を示す回路図。
【
図25】放電回路54の具体構成例2を示す回路図。
【
図26】放電回路54の具体構成例3を示す回路図。
【
図28】
図24に示す構成例1の動作の一例を示すタイムチャート。
【
図29】一括管理用機器6及び風量調節用機器8の簡易ブロック図。
【
図30】一括管理用機器6の管理用アプリケーションのホーム画面を示す図。
【
図31】管理用アプリケーションの一括チェック画面を示す図。
【
図32】管理用アプリケーションの風量チェック画面を示す図。
【
図33】管理用アプリケーションの稼働時間チェック画面を示す図。
【
図34】管理用アプリケーションのペアリング画面を示す図。
【
図35】管理用アプリケーションの風量調節用機器8との接続設定画面を示す図。
【
図36】風量調節用機器8の風量調節用アプリケーションの接続前画面を示す図。
【
図37】風量調節用アプリケーションの接続後画面を示す図。
【
図38】一括管理用機器6からの接続リクエストを受信した場合の風量調節用機器8の画面を示す図。
【
図39】前記送風装置の電池パック10と一括管理用機器6との接続(ペアリング)の手順の概略を示すフローチャート。
【
図40】一括管理用機器6による前記送風装置の残り駆動可能時間の管理方法の第1例を示すフローチャート。
【
図41】一括管理用機器6により複数の前記送風装置の残り駆動可能時間を一括管理する時間管理システムの第1例を示す概念図。
【
図42】一括管理用機器6による前記送風装置の風量の管理方法を示すフローチャート。
【
図43】気温と必要な風量、警告対象の関係をまとめた表。
【
図44】一括管理用機器6により複数の前記送風装置の風量を一括管理する風量管理システムの第1例を示す概念図。
【
図45】一括管理用機器6による前記送風装置の残り駆動可能時間の管理方法の第2例を示すフローチャート。
【
図46】ネットワークサービスを利用した一括管理用機器6と風量調節用機器8との接続の手順の概略を示すフローチャート。
【
図47】一括管理用機器6により複数の前記送風装置の残り駆動可能時間を一括管理する時間管理システムの第2例を示す概念図。
【
図48】一括管理用機器6により複数の前記送風装置の風量を一括管理する風量管理システムの第2例を示す概念図。
【
図49】前記送風装置の電池パック10と一括管理用機器6との通信の流れを示すフローチャート。
【
図50】風量調節用機器8を利用した前記送風装置の出力(風量)の変更手順を示すフローチャート。
【
図51】前記送風装置の電池パック10と一括管理用機器6との接続(ペアリング)解除の手順の概略を示すフローチャート。
【
図52】前記送風装置の電池パック10と風量調節用機器8との接続(ペアリング)の手順の概略を示すフローチャート。
【
図53】前記送風装置の電池パック10と風量調節用機器8との接続(ペアリング)解除の手順の概略を示すフローチャート。
【
図54】放電回路54の具体構成例4を示す回路図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態を詳述する。なお、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は発明を限定するものではなく例示であり、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0033】
本実施の形態は、衣服9に設けることの可能な送風装置(温度調節装置)、当該送風装置を備えた衣服9、及びその電源となる電池パック10に関する。この送風装置は、電気機器の例示であり、
図1に示すように、機器本体としてのファン本体5と、電池パック10と、を備える。なお、ファン本体5を含む衣服9を機器本体としてもよい。また、ファン本体5を含む送風装置を機器本体とし、当該機器本体と電池パックの組み合せを電気機器としてもよい。ファン本体5は、作業者4が身に着ける衣服9の内側に空気を送り込む。電池パック10は、ファン本体5に電力を供給する。ファン本体5と電池パック10は、ケーブル7により互いに接続される。ケーブル7の一端は電池パック10に着脱可能である。すなわち、電池パック10は、ファン本体5に対して着脱可能である。電池パック10は、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信機能を有する。電池パック10は、GPS(Global Positioning System)等を利用した位置情報を発信可能であってもよい。
【0034】
図2に示すように、作業者4は、第2通信機器としてのスマートフォン等の風量調節用機器8を携帯している。風量調節用機器8には、電池パック10の出力、すなわちファン本体5の風量を調節する機能やファン本体5の駆動モードを変更する機能、電池パック10の無線通信機能の有効、無効を切り替える機能等を有する風量調節用アプリケーションがインストールされている。風量調節用機器8は、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信機能、及びネットワークへの通信機能を有する。作業者4は、風量調節用機器8により、電池パック10と近距離無線通信を行い、ファン本体5の出力(風量や駆動モード等の動作)を変更することができる。風量調節用機器8による場合に替えて又はこれに加えて、電池パック10に設けた操作部あるいは電池パック10とは別(例えばファン本体5)に設けた操作部によってファン本体5の出力を変更可能としてもよい。電池パック10に設けた後述の制御部50bによって出力を変更することができるため、操作部を電池パック10に設ければ、電池パック10だけで出力の変更操作と変更制御を行うことができる。そのため、電池パック10に接続する機器本体が無線通信機能を備えていない構成であっても外部機器との無線通信が可能となり、汎用性を向上できる。なお、操作部と風量調節用機器8の両方が操作された場合、操作部の操作を優先することが好ましい。操作部は作業者が身に着ける衣服9に設けられているため、第三者に操作される可能性は低いが、風量調節用機器8は作業者から離れた場所に置かれる可能性があり第三者に操作される可能性が操作部より高いためである。制御部50bは両者から信号が入力された場合には、操作部からの信号に基づいて後述する出力電圧の調整を実行する。また、後述する一括管理用機器6からの信号が入力された場合にはこの信号を優先して制御することが好ましい。風量調節用機器8は、ネットワークを介して一括管理用機器6に電池パック10のデータを送信することで、一括管理用機器6と電池パック10との通信の中継役として機能することもできる。風量調節用機器8は、GPS等を利用した位置情報を発信可能であってもよい。風量調節用機器8の画面は、報知部の例示である。
【0035】
本実施の形態では、電池パック10の有する無線通信機能を利用して、
図3に示すように、複数の作業者4がそれぞれ使用する送風装置を、例えば施工管理者(現場監督)3が持つ第1通信機器としてのスマートフォン等の1台の一括管理用機器6によって一括して管理する。管理は、例えば、各送風装置の残り駆動可能時間の管理や、各送風装置の風量が現在の気温に対して必要な風量以上かどうかの管理など、様々である。具体的な管理方法は後述する。これらの管理を行うために、一括管理用機器6には、管理用アプリケーションがインストールされている。一括管理用機器6は、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信機能、及びネットワークへの通信機能を有する。一括管理用機器6及び風量調節用機器8は、ネットワークを介して互いに接続(通信)可能である。一括管理用機器6は、GPS等を利用した位置情報を発信可能であってもよい。一括管理用機器6の画面は、報知部の例示である。一括管理用機器6は、電池パック10及び風量調節用機器8の位置情報を管理してもよい。
【0036】
図4~
図21を参照し、電池パック10の構成を説明する。
図4により、電池パック10における互いに直交する前後、上下、左右の各方向を定義する。電池パック10において、左右方向は第1方向の例示であり、前後方向は第2方向の例示であり、上下方向は第3方向の例示である。電池パック10のケースは、例えば絶縁樹脂成形体である上ケース12及び下ケース13を組み合わせたものであり、全体として上下方向視で略四角形であり、左右方向視で略長方形に構成される。上ケース12は、
図8に示すように、自身の長手方向である前後方向における略中央部分が最も上方となるように(最も電池セル11a~11cから離れるように)湾曲する。
【0037】
上ケース12には、ボタン15及び表示部16が設けられる。
図9では、上ケース12のボタン15及び表示部16等の図示を省略している。ボタン15は、
図14等に示すスイッチ46を押すための操作部である。ボタン15は、ここでは2つあり、一方はファン本体5の風量を切り替えるためのボタンであり、他方は電池パック10の無線通信機能の有効、無効を切り替えるためのボタンである。なお、ファン本体5の駆動モード(風量強モードと風量弱モード、手動風量変更モードと自動風量変更モード、それら全てのモード)を切り替えるためのボタンを設けてもよい。表示部16は、LED等の光を透過させる部分である。表示部16は、複数設けられ、電池パック10の充電状態の表示や送風装置の風量の表示、無線通信機能の状態の表示等を行う。下ケース13の背面から、充電ジャック52及び放電ジャック55の開口部が後方に臨む。充電ジャック52は、開閉可能なカバー18によって覆われる。充電ジャック52には、充電器に接続するためのケーブルを接続可能である。放電ジャック55には、ファン本体5に接続するためのケーブル7を接続可能である。
【0038】
電池セル11a~11cは、ケース内、すなわち上ケース12及び下ケース13によって形成される内部空間において、長手方向が左右方向に延び、前後方向に並ぶ。電池セル11a~11c間は、下ケース13の内底面から上方に突出するリブ13aによって仕切られる。電池セル11cと充電ジャック52及び放電ジャック55との間は、下ケース13の内底面から上方に突出するリブ13bによって仕切られる。電池セルの数は、2つ又は4つ以上であってもよい。電池セル11a~11cの上方に基板20が設けられる。基板20の左右方向の長さは、電池セル11a~11cの長さと略等しい。基板20の上面(電池セル11a~11cとは反対側の面)には、スイッチ46と、無線制御部としての無線アンテナモジュール50と、が設けられる。スイッチ46は、ここでは2つあり、一方はファン本体5の風量を切り替えるためのスイッチ(以下「出力切替スイッチ」とも表記)であり、他方は電池パック10の無線通信機能の有効、無効を切り替えるためのスイッチである。
【0039】
無線アンテナモジュール50は、基板20の右端部であって、かつ、前後方向において電池セル11a、11bの間に設けられる。基板20の右端部は、左右方向における電池セル11a~11cの端部近傍となる位置である。前後方向における電池セル11a、11bの間は、前後方向における電池セル11a、11bの中心軸間であって当該中心軸の直上及びその近傍を避けた範囲をいう。また、無線アンテナモジュール50は、前後方向において上ケース12の端部近傍を避けた位置に配置される。基板20の下面(電池セル11a~11c側の面)には、入出力部としての充電ジャック52及び放電ジャック55が設けられる。充電ジャック52及び放電ジャック55は、上下方向において、電池セル11a~11cの存在範囲内に延在又は位置する。
【0040】
電池セル11a~11cは、金属であるタブ21~24によって、互いに直列接続されると共に基板20に電気的に接続される。タブ21は、電池セル11aの正極を基板20に電気的に接続する。タブ23は、電池セル11aの負極と電池セル11bの正極とを互いに電気的に接続すると共に基板20に電気的に接続する。タブ22は、電池セル11bの負極と電池セル11cの正極とを互いに電気的に接続すると共に基板20に電気的に接続する。タブ24は、電池セル11cの負極を基板20に電気的に接続する。タブ21の基板接続部21aは、電池セル11aの中心軸よりも前方(反電池セル11b側)において基板20の右端部に電気的に接続される。タブ23の基板接続部23aは、前後方向における電池セル11a、11bの間において基板20の左端部に電気的に接続される。タブ22の基板接続部22aは、前後方向における電池セル11b、11cの間において基板20の右端部に電気的に接続される。タブ24の基板接続部24aは、前後方向における電池セル11b、11cの間において基板20の左端部に電気的に接続される。
【0041】
図20に示すように、無線アンテナモジュール50は、外部機器(風量調節用機器8、一括管理用機器6)からの信号を受信する無線通信部としての無線アンテナ50aと、外部機器との無線通信を制御するマイクロコントローラ等の制御部50bと、を有する。無線アンテナ50aは、基板20の右端縁に近接する。制御部50bは、無線通信の制御に加え、電池セル11a~11cの放電及び充電の制御、及び電池セル11a~11cの保護制御、例えば過放電保護、過電流保護、高温保護等の制御を行う。基板20において、無線アンテナ50aに隣接する前後の所定範囲は、導体パターンが形成されないパターン非形成部20aとされている。なお、無線アンテナモジュール50は無線通信部(無線アンテナ50aを含む)と制御部50bが一体に構成されているが、別々に構成してもよい。ここで、一体とはワンチップの素子で構成されていることを意味する。
【0042】
図23を参照し、電池パック10の回路構成例を説明する。電池パック10は、二次電池セル(例えばリチウム電池セル)である電池セル11(
図14等に示す電池セル11a~11cに対応)を内蔵する。SCプロテクタ41は、電池セル11の過充電、過電流を防止するための保護素子である。電源回路42は、電池セル11の出力電圧Vbatを、制御部50b等の動作電圧Vctlに変換し、制御部50b等に供給する。セル電圧検出回路43は、電池セル11の各セル電圧を検出し、制御部50bに送信する。電流検出回路44は、電池セル11の出力電流(放電電流や充電電流)の経路に設けられた抵抗Rの電圧により前記出力電流を検出し、制御部50bに送信する。温度センサ45は、電池セル11の温度を検出し、制御部50bに送信する。電池パック10内の気温を検出する別の温度センサや、衣服9やファン本体5等に作業者の体温(作業者の周囲の温度)を検出する別の温度センサを設け、電池パック10内の気温あるいは作業者の体温を制御部50bに送信してもよい。
【0043】
操作部としてのスイッチ46は、ユーザによるスイッチ操作を受け付け、制御部50bに送信する。スイッチ46は、複数あってもよい。スイッチ46は、ファン本体5の駆動、停止を指示するスイッチや、ファン本体5の出力を切り替える(調節する)スイッチ、無線通信機能の有効、無効を切り替えるスイッチ、ファン本体5の駆動モードを切り替えるスイッチ、無線通信のペアリングを行うためのスイッチ等を含んでもよい。報知部としてのLED53は、状態表示用であり、制御部50bにより点灯が制御される。LED53は複数あってもよい。
【0044】
ACアダプタ接続検出回路47は、充電ジャック52に対するACアダプタ58の接続を検出すると、電源回路42に起動信号を送信する。充電回路51は、例えばDC/DCコンバータであり、制御部50bの制御に従って動作して、電池セル11に充電電流を供給する。すなわち、制御部50bからの充電電流切替信号に従って充電電流を切り替えて(制御して)電池セル11に供給する。更に、充電回路51は、制御部50bからのオンオフ信号に従って充電電流の供給を開始、停止する。充電回路51は、充電ジャック52を介して入力される直流電力を、電池セル11の充電用の直流電力に変換する。充電ジャック52は、外部のACアダプタ58の接続口である。ACアダプタ58は、外部の交流電源59に接続され、交流電源59から入力される交流電力を直流電力に変換して充電ジャック52に出力する。
【0045】
駆動回路としての放電回路54は、例えばDC/DCコンバータであり、制御部50bの制御に従って動作して、ファン本体5に供給するための直流電力を放電ジャック55に出力する。放電ジャック55は、ファン本体5と電池パック10とを接続するケーブル7の接続口である。ファン本体5は、ファンと、ファンを駆動するモータ(駆動部又は出力部)と、を含み、放電回路54からの供給電力で動作する。なお、ファンとモータは一体的に回転するため、それらを併せて駆動部又は出力部としてもよい。また、ファン本体5にモータを駆動制御する制御部を設けてもよい。また、後述する温度調節装置の一例となるヒーター、周辺機器の音量調節部やチャンネル切替部、電動工具のモータも出力部に該当する。
【0046】
制御部50bは、例えば、マイクロコントローラを内蔵したBLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)モジュールである。制御部50bは、無線アンテナ50aを利用した近距離無線通信により一括管理用機器6や風量調節用機器8と通信すると共に、充電回路51及び放電回路54の制御等、電池パック10の全体の動作を制御する。制御部50bは、充電回路51の制御により、電池セル11への充電電流を調節して、電池セル11の充電を制御することができる。制御部50bは、放電回路54の制御により、ファン本体5への供給電力を調節し、ファン本体5の出力(風量)を調節することができる。制御部50bは、一括管理用機器6及び風量調節用機器8等、少なくとも2つ以上の通信機器と同時に接続できる機能を有する。
【0047】
図24は、放電回路54の具体構成例1を示す回路図である。本例において放電回路54は、DC/DCコンバータIC54a、チョークコイル(インダクタ)L、コンデンサ(電解コンデンサ)C、抵抗R1~R5、及びFET等のスイッチング素子Q3~Q5を含む。抵抗R1~R5及びスイッチング素子Q3~Q5は、出力電圧調節回路を構成する。DCコンバータIC54aは、内部アナログ回路54b、及びFET等のスイッチング素子Q1、Q2を含む。スイッチング素子Q1、Q2は、電池セル11の出力電圧Vbatが供給される電源ライン(以下「電源ラインVbat」とも表記)とグランドとの間に直列接続される。スイッチング素子Q1、Q2のゲート(制御端子)は、内部アナログ回路54bに接続される。スイッチング素子Q1、Q2の相互接続部(スイッチング素子Q1のソース及びスイッチング素子Q2のドレイン)は、チョークコイルLの一端に接続される。チョークコイルLの他端は、コンデンサC及び抵抗R1の一端に接続される。コンデンサCの他端は、グランドに接続される。コンデンサCの両端の電圧は、放電回路54の出力電圧Voutであって、放電ジャック55に出力される。抵抗R1の他端は、抵抗R2~R5の一端に接続される。抵抗R2の他端は、グランドに接続される。抵抗R1と抵抗R2~R5との相互接続部は、内部アナログ回路54bに接続される。抵抗R3~R5の他端は、スイッチング素子Q3~Q5を介してグランドに接続される。スイッチング素子Q3~Q5のゲート(制御端子)は、制御部50bに接続される。制御部50bと内部アナログ回路54bは、互いに接続される。
【0048】
スイッチング素子Q1、Q2は、内部アナログ回路54bからの駆動信号によりスイッチング動作(PWM制御)する。チョークコイル(インダクタ)LとコンデンサCによりスイッチングされた電池セル11の出力電圧Vbatが平滑され、これにより、コンデンサCの両端に、電池セル11の出力電圧Vbatを降圧した電圧が現れる。抵抗R1と抵抗R2~R5との相互接続部の電圧Vmが、内部アナログ回路54bにフィードバックされる。内部アナログ回路54bは、電圧Vmが一定となるようにスイッチング素子Q1、Q2の動作を制御する。抵抗R1と抵抗R2~R5との相互接続部の電圧Vmと、放電回路54の出力電圧Voutとの比率は、スイッチング素子Q3~Q5のオンオフの組合せによって変化する。すなわち抵抗とスイッチング素子の組み合せからなる複数の直列回路を切り替えることによって容易に出力電圧を変更することができる。スイッチング素子Q3~Q5のオンオフは、制御部50bが出力する出力電圧制御信号V1~V3によってそれぞれ切り替えられる。スイッチング素子Q3~Q5は、出力電圧制御信号V1~V3がハイレベルのときにオンとなり、ローレベルのときにオフとなる。
図24に、出力電圧制御信号V1~V3のレベルの組合せ、すなわちスイッチング素子Q3~Q5のオンオフの組合せと、放電回路54の出力電圧Voutとの関係を示す表を併せて示している。本表は、抵抗R3の抵抗値>抵抗R4の抵抗値>抵抗R5の抵抗値、という関係がある場合の一例であり、出力電圧Voutが8段階から選べるようになっている。出力電圧Voutの段階数が少なくてよければ、抵抗R3~R5の一部とそれに直列接続されたスイッチング素子を省略すればよい。出力電圧Voutの段階数を増やすには、抵抗とスイッチング素子の直列接続回路を抵抗R2と並列に追加すればよい。なお、出力電圧Voutを高精度にする必要がない場合には、電圧Vmを内部アナログ回路54bにフィードバックしなくてもよい。
【0049】
図25は、放電回路54の具体構成例2を示す回路図である。本例は、
図24の構成例1の抵抗R3~R5及びスイッチング素子Q3~Q5を、抵抗R7とFET等のスイッチング素子Q7の直列接続回路に置換したものであり、出力電圧調節回路を構成する。スイッチング素子Q7のゲート(制御端子)は、制御部50bに接続される。制御部50bは、スイッチング素子Q7のゲートにPWM(Pulse Width Modulation)信号を印加し、スイッチング素子Q7をPWM制御する。スイッチング素子Q7は、自身のゲート電圧がハイレベルのときにオンとなり、ローレベルのときにオフとなる。デューティ0%のPWM信号は、常時ローレベルの信号であり、スイッチング素子Q7を常時オフとする。デューティ100%のPWM信号は、常時ハイレベルの信号であり、スイッチング素子Q7を常時オンとする。0%と100%以外のデューティのPWM信号は、スイッチング素子Q7のオンオフを所定の周期で切り替える。一周期の中のスイッチング素子Q7のオン期間の割合はPWM信号のデューティ比と一致する。制御部50bがスイッチング素子Q7のゲートに印加するPWM信号のデューティが高いほど放電回路54の出力電圧Voutは高くなる。出力電圧Voutは、例えば5V~9Vの範囲で設定できる。
【0050】
図26は、放電回路54の具体構成例3を示す回路図である。本例は、
図25の構成例2の内部アナログ回路54b、抵抗R7及びスイッチング素子Q7を無くし、制御部50bがスイッチング素子Q1、Q2をスイッチング制御(PWM制御)するように変更したものである。制御部50bは、放電回路54の出力電圧Voutの設定値に対して電圧Vmが抵抗R1、R2の分圧比に応じた所定の比率となるようにスイッチング素子Q1、Q2を制御する。なお、出力電圧Voutを高精度にする必要がない場合には、電圧Vmを制御部50bにフィードバックしなくてもよい。
【0051】
図27は、電池パック10の制御フローチャートである。制御部50bは、自身の起動後、初期化処理を行い放電回路54の出力電圧Voutを0Vとする(S71)。なお、制御部50bは、ACアダプタ58やファン本体5が接続された際に電源回路42に起動信号が送信されることで起動する。あるいは電池パック10に制御部50b(電源回路42)の起動用スイッチを設けてもよい。制御部50bは、風量調節用機器8との接続が確立し(S72のYES)、風量調節用機器8からの受信信号がある場合(S73の「信号受信あり」)、放電回路54の出力電圧Voutを当該受信信号によって指示された設定値とする(S74)。なお、風量調節用機器8との接続は、電池パック10のスイッチ46によって無線通信機能を有効にした状態で、風量調節用機器8のディスプレイ上に表示されたタッチパネルのボタン(例えば接続ボタン)を操作することで行う。また、電池パック10のスイッチ46や風量調節用機器8のボタンを操作せずに自動的に接続する構成や、これらを組み合わせた構成であってもよい。制御部50bは、風量調節用機器8との接続が確立しない場合(S72のNO)、及び風量調節用機器8からの受信信号がない場合(S73の「信号受信なし」)は、出力切替スイッチ(スイッチ46)やファン本体5の駆動モードの切替スイッチ等の操作部の操作があれば(S75の「操作あり」)、放電回路54の出力電圧Voutを当該操作によって指示された設定値とする(S76)。ファン本体5(ファン)はS74で設定された出力電圧Voutで駆動中(動作中)にS76で再設定された出力電圧Voutで駆動することができる。言い換えると、ファン本体5を第1の状態で駆動中に出力電圧Vout(ファンの風量)を第2の状態に変更して駆動(動作)を継続することができる。制御部50bは、出力切替スイッチの操作がない場合(S75の「操作なし」)、終了操作があれば(S77の「操作あり」)、シャットダウン処理を行う(S78)。なお、シャットダウン処理は、制御部50bへの電源供給を遮断する処理、或いは、制御部50bをスリープ状態にする処理を含む。シャットダウン処理は、制御部50bが電源回路42に電源制御信号(シャットダウン信号又はスリープ信号)を送信することで行われる。なお、終了操作は、風量調節用機器8のディスプレイ上の接続ボタンの操作である。また、電池パック10のスイッチ46によって無線通信機能を無効に切り替える操作であってもよい。制御部50bは、終了操作がない場合(S77の「操作なし」)、風量調節用機器8との接続が切断されれば(S79のYES)ステップS72に戻り、切断されなければ(S79のNO)ステップS73に戻る。終了操作がなく(S77の「操作なし」)、外部機器からの信号も受信せず、電池パック10自身の操作(例えばスイッチ46の操作)も行われない、あるいは充電も放電もしていない状態が所定時間継続した場合には、S79の処理にかかわらず、制御部50bをスリープモード又はシャッドダウンに移行するように構成してもよい。これにより電池パック10を使用していない状態での電池パック10の消費電力を抑えることができる。
【0052】
図28は、
図24に示す構成例1の動作の一例を示すタイムチャートである。時刻t1において制御部50bは、風量調節用機器8から起動信号を受信し、DCコンバータIC54aの内部アナログ回路54bに送信するEN信号をローレベルからハイレベルとする。これにより内部アナログ回路54bが動作を開始し、放電回路54の出力電圧Voutが立ち上がる。制御部50bは、電圧制御信号V1~V3をいずれもローレベルとしており、放電回路54の出力電圧Voutは5Vとなる。時刻t2において制御部50bは、風量調節用機器8から出力電圧Voutを8Vに変更することを指示する出力変更信号を受信し、電圧制御信号V1、V3をハイレベルに切り替える。内部アナログ回路54bは、スイッチング素子Q1及びQ2をPWM制御(PWM信号のデューティ比を変更)する。これにより、放電回路54の出力電圧Voutは約8Vまで上昇する。時刻t3において制御部50bは、風量調節用機器8から停止信号を受信し、EN信号をハイレベルからローレベルとし、電圧制御信号V1、V3をローレベルとする。EN信号がローレベルとなったことで内部アナログ回路54bは動作を停止し、放電回路54の出力電圧Voutは0Vに降下する。
【0053】
図29は、一括管理用機器6及び風量調節用機器8の簡易ブロック図である。一括管理用機器6及び風量調節用機器8はそれぞれ、制御部70、メモリ71、タッチパネル(操作部)72、ディスプレイ部73、無線通信送受信部74、及びアンテナ75を備える。
【0054】
図30~
図35は、一括管理用機器6の管理用アプリケーションの画面表示の説明図であり、
図30はホーム画面、
図31は一括チェック画面、
図32は風量チェック画面、
図33は稼働時間チェック画面、
図34はペアリング画面、
図35は風量調節用機器8との接続設定画面を示す。
図30に示すように、ホーム画面には、接続(ペアリング)ボタン、一括チェックボタン、風量チェックボタン、稼働時間チェックボタン、及び風量調節用機器との接続設定ボタンが表示される。接続(ペアリング)ボタンがタップされると、
図34のペアリング画面に遷移する。一括チェックボタンがタップされると、稼働時間チェック及び風量チェックのフローチャート(
図40及び
図42)が行われ、
図31の一括チェック画面に遷移する。風量チェックボタンがタップされると、風量チェックのフローチャート(
図42)が行われ、
図32の風量チェック画面に遷移する。稼働時間チェックボタンがタップされると、稼働時間チェックのフローチャート(
図40)が行われ、
図33の稼働時間チェック画面に遷移する。風量調節用機器との接続設定ボタンがタップされると、
図35の風量調節用機器8との接続設定画面に遷移する。
【0055】
図31に示すように、一括チェック画面には、風量チェック結果と稼働時間チェック結果が表示される。風量チェック結果がタップされると、
図32の風量チェック画面に遷移する。稼働時間チェック結果がタップされると、
図33の稼働時間チェック画面に遷移する。
図32に示すように、風量チェック画面には、現在の気温(温度)と、各電池パックに対する風量チェック結果が表示される。
図33に示すように、稼働時間チェック画面には、各電池パック10A~10Dによる残り駆動可能時間の計算値が表示される。
図34に示すように、ペアリング画面には、接続(ペアリング)済みの電池パックのリスト、及びペアリング追加ボタンが表示される。ペアリング追加ボタンがタップされると、ペアリングのフローチャート(
図39)に従う動作が行われる。
図35に示すように、風量調節用機器8との接続設定画面には、過去に1度リクエストが承認された登録済みの風量調節用機器8及びそれによって風量調節が可能な電池パック10のリスト、並びに風量調節用機器8のIDを入力するID入力欄、及びリクエストボタンが表示される。登録済リストがタップされると、該当する風量調節用機器8のIDがID入力欄に自動入力される。リクエストボタンがタップされると、ID入力欄に入力された風量調節用機器8に接続リクエストに従う動作が実行される(
図46のフローチャートに従う動作が行われる)。
【0056】
図36は、風量調節用機器8の風量調節用アプリケーションの接続前画面を示す図である。本画面には、接続ボタンが表示される。接続ボタンがタップされると、接続フローチャート(
図52)に従う動作が行われる。
図37は、風量調節用アプリケーションの接続後画面を示す図である。本画面には、接続した電池パック10の名称、電源ON/OFF切替えボタン、接続状態、接続した電池パック10の残量表示、風量、風量変更ボタン、及び切断ボタンが表示される。風量変更ボタンがタップされると、風量変更フローチャート(
図50)に従う動作が行われる。切断ボタンがタップされると、切断フローチャート(
図53)に従う動作が行われる。
図38は、一括管理用機器6からの接続リクエストを受信した場合の風量調節用機器8の画面を示す図である。本画面には、接続リクエストを送信してきた相手のID(リクエスト先のID)、はい(許可)ボタン、いいえ(許可しない)ボタンが表示される。はい(許可)ボタンがタップされると、
図46のフローチャートのS46からS47に移る。
【0057】
図39は、電池パック10と一括管理用機器6との接続(ペアリング)の手順の概略を示すフローチャートである。施工管理者3は、一括管理用機器6及び管理対象となる送風装置の電池パック10の各々に接続要求の操作を行う(S1)。ここで行う一括管理用機器6に対する操作は、例えば、
図34のペアリング追加ボタンを押すことである。電池パック10に対する操作は、例えばスイッチ46を長押しすることである。
【0058】
接続要求の操作を受けた一括管理用機器6は、近距離無線通信の範囲内で接続先を探索する(S2)。同様に、接続要求の操作を受けた電池パック10は、近距離無線通信の範囲内で接続先を探索する(S3)。このとき、一括管理用機器6は、画面表示等により、施工管理者3に接続先の探索が開始されたことを通知してもよい。電池パック10は、LED53の点滅等により、施工管理者3に接続先の探索が開始されたことを通知してもよい。
【0059】
一括管理用機器6及び電池パック10が互いを接続先として発見すると(S4)、接続シークエンスが開始され(S5)、接続(ペアリング)が完了する(S6)。このとき、一括管理用機器6は、画面表示等により、施工管理者3に接続処理が完了したことを通知してもよい。電池パック10は、LED53の点灯等により、施工管理者3に接続処理が完了したことを通知してもよい。なお、上記の説明では、一括管理用機器6及び電池パック10の双方を施工管理者3が操作するものとしたが、電池パック10は作業者4が操作してもよい。風量調節用機器8と電池パック10との接続(ペアリング)も、一括管理用機器6と電池パック10との接続(ペアリング)と同様に行える。
【0060】
図40は、一括管理用機器6による前記送風装置の残り駆動可能時間の管理方法の第1例を示すフローチャートである。このフローチャートは、一括管理用機器6の
図30の一括チェックボタン又は稼働時間チェックボタンがタップされることで開始する。一括管理用機器6は、電池パック10の制御部50bから、電池パック10の残容量及びファン本体5の稼働状況(風量)データを取得する(S11)。一括管理用機器6は、電池パック10の残容量とファン本体5の現在の風量に基づき、現在の風量でのファン本体5の残り駆動可能時間(以下「第1の残り駆動可能時間」とも表記)を計算する(S12)。一括管理用機器6は、第1の残り駆動可能時間が所定時間以下の場合(S13のYES)、画面表示等により施工管理者3に警告を行う(S14)。警告は、電池パック10あるいは風量調節用機器8に対して送信してもよい。
【0061】
一括管理用機器6は、第1の残り駆動可能時間が所定時間以下でない場合(S13のNO)、最大風量でのファン本体5の残り駆動可能時間(以下「第2の残り駆動可能時間」とも表記)を計算する(S15)。一括管理用機器6は、第2の残り駆動可能時間が所定時間以下の場合(S16のYES)、画面表示等により施工管理者3に報知を行う(S17)。報知は、電池パック10あるいは風量調節用機器8に対して送信してもよい。一括管理用機器6は、第2の残り駆動可能時間が所定時間以下でない場合(S16のNO)、警告及び報知を行わない(S18)。上記の説明では、一括管理用機器6により
図40の各ステップを実行するものとしたが、電池パック10の制御部50bあるいは風量調節用機器8が各ステップを実行してもよい。「警告」は、「報知」の一態様であるが、本実施の形態では、報知の中でもより重要度ないし緊急度の高いものを警告とし、それ以外を報知として区別している。なお、駆動可能時間は、外部機器(一括管理用機器6や風量調整用機器8)で計算する必要はなく、電池パック10の制御部50bで計算してもよい。
【0062】
図41は、一括管理用機器6により複数の送風装置の残り駆動可能時間を一括管理する時間管理システムの第1例を示す概念図である。本システムは、1つの一括管理用機器6と、4つの送風装置の電池パック10によって構成される。
図41では、4つの電池パック10を互いに区別するために、符号(電池パック名)を10A~10Dとしている(
図44、
図47、及び
図48においても同様)。一括管理用機器6には、電池パック10A~10Dの各々による第1の残り駆動可能時間の計算値が表示される。ここで、電池パック10A~10Cについては、いずれも一括管理用機器6の近距離無線通信の範囲内にあるため、直近のデータ(電池残容量及び風量)に基づく第1の残り駆動可能時間が表示される。一方、電池パック10Dについては、一括管理用機器6の近距離無線通信の範囲外にあるため、最後に一括管理用機器6が電池パック10Dと近距離無線通信を行ったときに取得したデータ(電池残容量及び風量)に基づく第1の残り駆動可能時間の推定値が表示される。この推定値は、例えば、最後に取得した電池残容量及び風量が現在まで継続しているものとして計算する。
図41の例では、電池パック10Cによる第1の残り駆動可能時間が所定時間の例示である1時間以下となっていて、一括管理用機器6の画面には太字あるいは他と異なる文字色で警告表示されている。また、一括管理用機器6は、電池パック10Cあるいは風量調節用機器8に対して警告を発信している。一括管理用機器6には、第2の残り駆動可能時間を表示してもよいし、第1及び第2の残り駆動可能時間を並べて表示あるいは切り替えて表示可能としてもよい。
【0063】
図42は、一括管理用機器6による送風装置の風量の管理方法を示すフローチャートである。このフローチャートは、一括管理用機器6の
図30の風量チェックボタンがタップされることで開始する。
図43は、気温と必要な風量、警告対象の関係をまとめた表である。一括管理用機器6は、電池パック10のある場所の気温を取得する(S20)。気温の取得形式は限定されないが、例えば、インターネット上に公開されている各地の気温から現在地(電池パック10や風量調節用機器8の位置)の気温を取得してもよい。あるいは、電池パック10内の温度をそのまま取得してもよいし、作業者の体温を取得してもよい。一括管理用機器6は、気温がA以上の場合(S21)、風量がW未満であれば(S22のYES)、画面表示等により施工管理者3に警告を行う(S30)。一括管理用機器6は、気温がA~Bの範囲の場合(S23)、風量がX未満であれば(S24のYES)、警告を行う(S30)。一括管理用機器6は、気温がB~Cの範囲の場合(S25)、風量がY未満であれば(S26のYES)、警告を行う(S30)。一括管理用機器6は、気温がC~Dの範囲の場合(S27)、風量がZ未満であれば(S28のYES)、警告を行う(S30)。一括管理用機器6は、気温がD未満の場合(S29)、警告を行わない(S31)。一括管理用機器6は、風量が気温に対して必要な量以上の場合(S22、S24、S26、S28のNO)、警告を行わない(S31)。警告は、電池パック10あるいは風量調節用機器8に対して送信してもよい。この場合、警告は、現在の気温に対して必要な風量を報知する内容を含んでもよく、警告を受信した電池パック10あるいは風量調節用機器8は、ファン本体5の風量を必要な風量以上に変更してもよい。上記の説明では、一括管理用機器6により
図42の各ステップを実行するものとしたが、電池パック10の制御部50bあるいは風量調節用機器8が各ステップを実行してもよい。
【0064】
図44は、一括管理用機器6により複数の送風装置の風量を一括管理する風量管理システムの第1例を示す概念図である。本システムは、
図41のものと同様に、1つの一括管理用機器6と、4つの送風装置の電池パック10A~10Dによって構成される。一括管理用機器6には、現在の気温(温度)と、電池パック10A~10Dの各々に対する風量チェック結果が表示される。なお、電池パック10Dについては、一括管理用機器6の近距離無線通信の範囲外にあるため、風量チェック結果は未確認との表示となっている。
図44の例では、電池パック10Cは気温に対して風量が不足しているため、一括管理用機器6の画面には太字、下線付き、あるいは他と異なる文字色で警告表示されている。また、一括管理用機器6は、電池パック10Cあるいは風量調節用機器8に対して警告を発信している。
図41に示す残り駆動可能時間の管理と
図44に示す風量チェックの機能は、同じ管理用アプリケーションの機能に含めることができる。
【0065】
図45は、一括管理用機器6による送風装置の残り駆動可能時間の管理方法の第2例を示すフローチャートである。一括管理用機器6は、
図40の場合と同様に、電池パック10の制御部50bから電池パック10の残容量及びファン本体5の稼働状況データ(風量)を取得し(S11)、第1の残り駆動可能時間を計算する(S12)。一括管理用機器6は、第1の残り駆動可能時間を基に、ファン本体5が現在の風量で定時(作業終了時間)まで稼働可能かどうかを判定する(S33)。一括管理用機器6は、ファン本体5が現在の風量で定時まで稼働可能であれば(S33のYES)、報知や風量調整を行わない(S34)。一括管理用機器6は、ファン本体5が現在の風量で定時まで稼働可能でない場合(S33のNO)、電池パック10の残容量に基づき、定時まで稼働できる風量を計算する(S35)。一括管理用機器6は、計算した風量が現在の気温において
図43の表に示す必要な風量以上であれば(S36のYES)、計算した風量に調整する(S37)。具体的には、一括管理用機器6は、電池パック10の制御部50bに対して、風量調整を指示する信号を送信し、当該信号を受信した制御部50bが風量の調整を行う。一括管理用機器6は、計算した風量が現在の気温において
図43の表に示す必要な風量未満であれば(S36のNO)、画面表示等により施工管理者3に報知する(S38)。報知は、電池パック10あるいは風量調節用機器8に対して送信してもよい。一括管理用機器6によって
図40と
図45の管理方法(駆動モード)を任意に切替可能にしてもよい。あるいは風量調節用機器8によって
図40と
図45の管理方法(駆動モード)を任意に設定可能にしてもよい。
【0066】
図46は、ネットワークサービスを利用した一括管理用機器6と風量調節用機器8との接続の手順の概略を示すフローチャートである。施工管理者3は、一括管理用機器6に接続要求の操作を行う(S41)。ここで行う操作は、例えば、一括管理用機器6の
図35ID入力欄にリクエスト先の風量調節用機器8のIDを入力した状態で
図35のリクエストボタンをタップすることである。接続要求の操作を受けた一括管理用機器6は、クラウド等のネットワークサービスに対して、風量調節用機器8との接続リクエストを発信する(S42)。ネットワークサービスは、接続リクエストを受信すると(S43)、一括管理用機器6から接続リクエストが来ていることを風量調節用機器8に通知する(S44)。風量調節用機器8は、ネットワークサービスからの通知を受信すると(S45)、その旨を例えば
図38に示すような画面表示あるいはアラート等により作業者4に通知する。作業者4は、通信用アプリケーションによって風量調節用機器8の画面上に表示されたボタン(
図38の、はい(許可)ボタン)をタップする等の承認操作を行う(S46)。承認操作を受けた風量調節用機器8は、接続リクエストを受理する処理を行う(S47)。これにより、一括管理用機器6と風量調節用機器8はネットワークサービスを利用して接続され、通信が可能となる(S48)。このとき、一括管理用機器6及び風量調節用機器8は、接続完了通知を画面表示等により行ってもよい。
【0067】
図47は、一括管理用機器6により複数の送風装置の残り駆動可能時間を一括管理するシステムの第2例を示す概念図である。以下、
図41に示す第1例との相違点を中心に説明する。本システムには、電池パック10A~10Dにそれぞれ対応する風量調節用機器8A~8Dと、クラウド等のネットワークサービス60が含まれる。一括管理用機器6の近距離無線通信の範囲内に無い電池パック10Dによる第1及び第2の残り駆動可能時間は、ネットワークサービス60を介して風量調節用機器8Dから受信した稼働状況データ(電池パック10Dの電池残容量及び風量)により一括管理用機器6が計算し、表示する。本システムによれば、一括管理用機器6の近距離無線通信の範囲内に無い電池パック10Dによる第1及び第2の残り駆動可能時間も直近のデータに基づく正確性の高いものとなる。ネットワークサービスを利用することで、一括管理用機器6が遠隔地にあっても電池パック10及びファン本体5の管理が可能となる。
【0068】
図48は、一括管理用機器6により複数の送風装置の風量を一括管理するシステムの第2例を示す概念図である。以下、
図44に示す第1例との相違点を中心に説明する。本システムには、電池パック10A~10Dにそれぞれ対応する風量調節用機器8A~8Dと、クラウド等のネットワークサービス60が含まれる。一括管理用機器6の近距離無線通信の範囲内に無い電池パック10Dに対する風量チェック結果は、ネットワークサービス60を介して風量調節用機器8Dから受信した稼働状況データ(電池パック10Dの場所における気温及び電池パック10による風量)により一括管理用機器6が計算し、表示する。本システムによれば、一括管理用機器6の近距離無線通信の範囲内に無い電池パック10Dによる風量もチェック可能となる。
図47に示す残り駆動可能時間の管理と
図48に示す風量チェックの機能は、同じ管理用アプリケーションの機能に含めることができる。
【0069】
図49は、送風装置の電池パック10と一括管理用機器6との通信の流れを示すフローチャートである。施工管理者3は、検査要求の操作を行う(S51)。ここで行う操作は、例えば、管理用アプリケーションによって表示された検査開始ボタンを押すことである。検査開始ボタンは、例えば、残り駆動可能時間チェック用のボタンと、風量チェック用のボタンと、の二種類があってもよい。検査要求の操作を受けた一括管理用機器6は、電池パック10に対して必要なデータを要求する(S52)。必要なデータは、例えば、残り駆動可能時間のチェックであれば電池パック10の残容量及び現在の風量であり、風量チェックであれば現在の風量と気温である。要求を受けた電池パック10は、一括管理用機器6に必要なデータを送信する(S53)。一括管理用機器6は、受信したデータを基に演算を行い(S54)、警告が必要であれば(S55のYES)、警告を発信する(S56)。警告は、施工管理者3に対するアラートや画面表示と、電池パック10に対して警告を行うことを指示する信号の発信を含む。電池パック10の制御部50bは、一括管理用機器6からの受信信号に従ってアラートやLED53の点灯表示等の警告アクションを行う(S57)。警告アクションは、ファン本体5のオンオフを切り替えたり、風量を所定パターンで変化させたりすることであってもよい。ファン本体5側に警告報知用のLED等の報知手段を有してもよい。一括管理用機器6は、報知が必要であれば(S58のYES)、報知を発信する(S59)。報知は、例えば施工管理者3に対する画面表示である。電池パック10に対しても報知を行ってもよい。一括管理用機器6は、警告及び報知が不要であれば(S55のNO、S58のNO)、警告及び報知を行わない(S60)。
【0070】
図50は、風量調節用機器8を利用した前記送風装置の出力(風量)の変更手順を示すフローチャートである。作業者4は、風量変更要求操作を行う(S65)。ここで行う操作は、例えば、風量調節用機器8の
図37の風量変更ボタンをタップすることである。風量変更要求操作を受けた風量調節用機器8は、電池パック10に対して風量変更リクエストを送信する(S66)。風量変更リクエストを受けた電池パック10は、ファン本体5への供給電力を調節し、ファン本体5の風量を変更する(S67)。すなわち、ファン本体5は駆動中に風量を変更することができる。電池パック10の制御部50bは、自身の有するスイッチ46の操作や風量調節用機器8の操作によって気温にかかわらず手動で風量を変更する手動変更モードと、気温に応じて
図43の表に示す必要な風量を満たすように自動で風量を変更する自動変更モードと、を有してもよい。風量調節用機器8や電池パック10(スイッチ46)の操作によって手動変更モードと自動変更モードとを任意に切替可能にしてもよい。ここで、手動変更モードでの風量の変更は、
図24及び
図28で示した通りである。すなわち、風量調節用機器8の風量変更ボタンの操作(設定)に応じて電圧制御信号V1~V3を制御し、スイッチング素子Q3~Q5のオンおよびオフを切り替えることで出力電圧Voutを変更する。そして電圧Vmが目標値(設定値)である出力電圧Voutに相当する一定の電圧になるようにスイッチング素子Q1及びQ2を制御する。あるいは、
図25に示すように、スイッチング素子Q7をPWM制御してもよい。この場合、風量調節用機器8の風量変更ボタンの操作(設定)に応じてPWM信号のデューティ比を変更する。そして電圧Vmが目標値(設定値)である出力電圧Voutに相当する一定の電圧になるようにスイッチング素子Q1及びQ2をPWM制御する。あるいは、
図26に示すように、風量調節用機器8の風量変更ボタンの操作(設定)に応じてスイッチング素子Q1及びQ2をスイッチング制御(例えばPWM制御)してもよい。
【0071】
図51は、電池パック10と一括管理用機器6との接続(ペアリング)解除の手順の概略を示すフローチャートである。施工管理者3は、一括管理用機器6に切断要求の操作を行う(S81)。切断要求の操作は、例えばホーム画面に戻る操作(管理アプリケーションを終了あるいは非アクティブとする操作)である。または、一括管理用機器6の画面上の切断ボタンをタップする操作でもよい。切断要求の操作を受けた一括管理用機器6は、電池パック10に切断リクエストを送信する(S82)。切断リクエストを受けた電池パック10は、切断許可を行い(S83)、一括管理用機器6及び電池パック10の双方で接続(ペアリング)解除の処理が行われる(S84)。
【0072】
図52は、電池パック10と風量調節用機器8との接続(ペアリング)の手順の概略を示すフローチャートである。作業者4は、風量調節用機器8及び電池パック10の各々に接続要求の操作を行う(S91)。ここで行う風量調節用機器8に対する操作は、例えば、
図36の接続ボタンをタップすることである。電池パック10に対する操作は、例えばスイッチ46を長押しすることである。接続要求の操作を受けた風量調節用機器8は、近距離無線通信の範囲内で接続先を探索する(S92)。同様に、接続要求の操作を受けた電池パック10は、近距離無線通信の範囲内で接続先を探索する(S93)。このとき、風量調節用機器8は、画面表示等により、作業者4に接続先の探索が開始されたことを通知してもよい。電池パック10は、LED53の点滅等により、作業者4に接続先の探索が開始されたことを通知してもよい。風量調節用機器8及び電池パック10が互いを接続先として発見すると(S94)、接続シークエンスが開始され(S95)、接続(ペアリング)が完了する(S96)。このとき、風量調節用機器8は、画面表示等により、作業者4に接続処理が完了したことを通知してもよい。電池パック10は、LED53の点灯等により、作業者4に接続処理が完了したことを通知してもよい。
【0073】
図53は、電池パック10と風量調節用機器8との接続(ペアリング)解除の手順の概略を示すフローチャートである。作業者4は、風量調節用機器8に切断要求の操作を行う(S86)。切断要求の操作は、例えば
図37の切断ボタンをタップする操作である。切断要求の操作を受けた風量調節用機器8は、電池パック10に切断リクエストを送信する(S87)。切断リクエストを受けた電池パック10は、切断許可を行い(S88)、風量調節用機器8及び電池パック10の双方で接続(ペアリング)解除の処理が行われる(S89)。
【0074】
本実施の形態によれば、下記の効果を奏することができる。
【0075】
(1) 出力部の動作(ファンの風量)を外部機器との無線通信によって変更可能に構成したため、利便性が高い。また、出力部が第1の動作中に外部機器との無線通信によって第2の動作に変更して動作を継続できるよう構成したため、利便性が高い。
【0076】
(2) 単一の制御部によって無線通信だけでなく電池パックの制御(充電制御や放電制御)や電池パック(電池セル)の保護も行うように構成したため、電気機器の部品点数を抑え回路構成を簡素化することができる。
【0077】
(3) 単一の制御部によって無線通信だけでなく電池パックの制御(充電制御や放電制御)や電池パック(電池セル)の保護も行うように構成したため、それらの情報(放電電流や充電電流、電池セルの電圧、温度等)に基づいて高度な制御、例えば残り駆動可能時間の推定が可能となる。各制御を複数の制御部に分散させた構成の場合、各制御部間を接続する接続線の接触不良やいずれかの制御部の故障等によって制御が不安定になる虞がある。一方、単一の制御部によれば制御部間の接触不良の虞はなく、それ自身が故障した場合には制御自体が不能となるため望まない制御が実行されてしまうことを回避することができる。また、単一の制御部のため、複数の制御部を設ける構成と比較し構成を簡素化することができる。
【0078】
(4) 駆動回路を簡素化でき、容易に出力部の動作(出力電圧、ファンの風量)を変更することができる。
【0079】
(5) 駆動回路のスイッチング素子をPWM制御するだけで容易に出力部の動作(出力電圧、ファンの風量)を変更することができる。
【0080】
(6) 電池パック内で駆動回路の出力電圧を変更可能に構成したため、機器本体側の構成を簡素化でき小型化を図ることができる。また、電気機器が送風装置を有する衣服やヒーターを有するヒートジャケット等、温度調節装置を有する衣服の場合、機器本体(送風装置やヒーター部)を小型化できるため、衣服をコンパクトに折り畳んで収納することができる。
【0081】
(7) 電池パック内で駆動回路の出力電圧を変更可能に構成したため、電池パックと機器本体とを接続する接続線又は端子の数を抑えることができ、接続部を簡素化することができる。
【0082】
(8) 電池パックに、無線通信、電池パックの制御及び電池パックの保護を行う単一の制御部と、電池パックの電圧を降圧して機器本体の駆動電圧を生成する駆動回路を設けたため、機器本体側の構成を簡素化でき小型化を図ることができる。また、電気機器が送風装置を有する衣服やヒーターを有するヒートジャケット等、温度調節装置を有する衣服の場合、送風装置(機器本体)を小型化できるため、衣服をコンパクトに折り畳んで収納することができる。
【0083】
(9) 出力部が第1の状態で動作中に、出力部の動作条件を第2の状態に変更して、出力部の動作を継続することができるため、利便性を向上できる。
【0084】
(10) 電池パックに無線通信機能を設けたため、電池パックを装着すれば無線通信機能を有さない機器本体の出力部の動作を変更することができる。なお、出力部は冷却装置のファン(ファン駆動用モータ)やヒートジャケットのヒーターが該当する。
【0085】
(11) 電池パック10は、ファン本体5の残り駆動可能時間、あるいは残り駆動可能時間を特定するのに必要なデータを一括管理用機器6に報知(送信)可能なため、一括管理用機器6において電池パック10による残り駆動可能時間を管理でき、利便性が高い。
【0086】
(12) 一括管理用機器6は、複数の電池パック10の各々による残り駆動可能時間を一括して管理でき、利便性が高い。
【0087】
(13) 残り駆動可能時間として、第1及び第2の残り駆動可能時間、すなわち現在の風量でのファン本体5の残り駆動可能時間と最大風量でのファン本体5の残り駆動可能時間を計算し報知可能なため、管理上好都合である。
【0088】
(14) 電池パック10は、ファン本体5の残り駆動可能時間が所定時間以下になると(残り駆動可能時間が異常になると)報知可能なため、早めの電池パック10の交換を促すことができ、利便性が高い。
【0089】
(15) 電池パック10は、ファン本体5の風量を一括管理用機器6に報知(送信)可能なため、一括管理用機器6において電池パック10による風量が気温に対して必要な風量以上か否かを管理でき、利便性が高い。
【0090】
(16) 電池パック10の制御部50bは、気温に応じて
図43の表に示す必要な風量を満たすように自動で風量を変更する自動変更モードを実行可能であり、利便性が高い。
【0091】
(17)
図45に示すように、電池パック10の制御部50bは、定時(ファン本体5の駆動終了時間)に合わせてファン本体5の風量を調整することができ、利便性が高い。
【0092】
(18) 電池パック10は、風量が異常の場合、すなわち風量が気温に対して不足している場合に報知するため、風量不足による体調不良を未然に防ぐことができ、利便性が高い。
【0093】
(19) 一括管理用機器6は、複数のファン本体5の風量を一括して管理でき、利便性が高い。
【0094】
(20) 無線アンテナモジュール50が前後方向において電池セル11a、11bの間に設けられるため、無線アンテナモジュール50が前後方向において電池セル11a、11bの中心軸の直上付近に設けられる場合と比較して、無線アンテナ50aを電池セル11a、11bの金属である外周面から離すことができ、無線アンテナ50aが電池セル11a、11bの外周面の金属から受ける影響を抑制できる。
【0095】
(21) 無線アンテナモジュール50が基板20の右端部、すなわち左右方向における電池セル11a~11cの端部近傍となる位置に設けられるため、無線アンテナモジュール50が基板20の左右方向における電池セル11a~11cの端部近傍となる位置以外に設けられる場合と比較して、電池セル11a~11cの外周面のうち無線アンテナ50aと対面する部分の面積を減らすことができ、無線アンテナ50aが電池セル11a~11cの外周面の金属から受ける影響を抑制できる。
【0096】
(22) 無線アンテナモジュール50が基板20の上面、すなわち基板20の電池セル11a~11cとは反対側の面に設けられるため、無線アンテナモジュール50が基板20の下面に設けられる場合と比較して、無線アンテナ50aを電池セル11a~11cの外周面から離すことができ、無線アンテナ50aが電池セル11a~11cの外周面の金属から受ける影響を抑制できる。
【0097】
(23) 電池セル11aの負極と電池セル11bの正極とを互いに電気的に接続すると共に基板20に電気的に接続するタブ23の基板接続部23aは、前後方向における電池セル11a、11bの間において基板20の左端部に電気的に接続され、無線アンテナモジュール50は、前後方向における電池セル11a、11bの間において基板20の右端部に設けられる。このため、タブ23の基板接続部23aと無線アンテナモジュール50とが基板20の左右同じ側の端部に設けられる場合と比較して、無線アンテナ50aを金属であるタブ23の基板接続部23aから離すことができ、無線アンテナ50aが金属であるタブ23の基板接続部23aから受ける影響を抑制できる。
【0098】
(24) 基板20において無線アンテナ50aに隣接する前後の所定範囲がパターン非形成部20aとされるため、パターン非形成部20aに導体パターンが存在する場合と比較して、無線アンテナ50aを基板20の導体パターンから離すことができ、無線アンテナ50aが基板20の導体パターン(金属)から受ける影響を抑制できる。
【0099】
(25) 上記のように無線アンテナ50aが金属から受ける影響を抑制できる構成は、いずれも上ケース12及び下ケース13の大型化を要しないため、金属部による無線通信機能への影響抑制と大型化の抑制とをバランス良く実現できる。
【0100】
(26) 無線アンテナモジュール50が前後方向において上ケース12の端部近傍を避けて配置されるため、無線アンテナモジュール50が前後方向において上ケース12の端部近傍に配置される場合と比較して、上ケース12の高さの増大を抑制できる。すなわち、上ケース12のうち最も高さの低い前後方向の端部の直下に無線アンテナモジュール50があると、最も高さの低い端部においても無線アンテナモジュール50と干渉しない高さを確保しなければならず、全体として上ケース12の高さが増大するが、無線アンテナモジュール50が前後方向において上ケース12の端部近傍を避けて配置することで、そのような問題を好適に回避できる。
【0101】
(27) 充電ジャック52及び放電ジャック55が、基板20の下面(電池セル11a~11c側の面)に設けられ、かつ上下方向において電池セル11a~11cの存在範囲内に延在又は位置するため、電池パック10のケースの高さ増大を抑制できる。
【0102】
(28) 無線アンテナモジュール50の制御部50bが電池パック10の充放電も制御するため、充放電の制御用の別途制御部を設ける場合と比較して部品点数を削減でき低コストである。
【0103】
(29) 上ケース12が長手方向に湾曲した形状のため、ポケットに入れやすく、利便性が高い。
【0104】
以上、実施の形態を例に本発明を説明したが、実施の形態の各構成要素や各処理プロセスには請求項に記載の範囲で種々の変形が可能であることは当業者に理解されるところである。以下、変形例について触れる。
【0105】
図22は、本発明の他の実施の形態に係る電池パックに関し、
図14の状態から電池セル11a~11cの向きを左回りに90度回転させた状態の斜視図である。以下、
図14等に示した実施の形態との相違点を中心に説明する。
図22では、前後方向は第1方向の例示であり、左右方向は第2方向の例示であり、上下方向は第3方向の例示である。電池セル11a~11cは、長手方向が前後方向に延び、左右方向に並ぶ。無線アンテナモジュール50は、
図14の場合と同様に基板20の右端部に設けられる。電池セル11a~11cの存在範囲の長さは、基板20の左右方向の長さと略等しい。基板20の右端部は、左右方向における電池セル11a~11cの存在範囲の端部近傍となる位置である。本実施の形態によれば、無線アンテナモジュール50が左右方向における電池セル11a~11cの存在範囲の端部近傍以外に設けられる場合と比較して、電池セル11a~11cの外周面のうち無線アンテナ50aと対面する部分の面積を減らすことができ、無線アンテナ50aが電池セル11a~11cの外周面から受ける影響を抑制できる。
【0106】
図54は、放電回路部54の具体構成例4を示す回路図である。放電回路54としてインバータ回路を用いた構成であり、ファン本体5のモータがブラシレスモータの場合に有効である。風量調節用機器8の風量変更ボタンの操作(設定)に応じてインバータ回路のスイッチング素子Q1~Q6のゲートに印加する信号H1~H6のデューティ比を制御するPWM制御を行うことで出力電圧Voutを制御しファンモータ5aの回転数を変更する。
【0107】
第1例では、電池パック10側に、インバータ回路(放電回路)54、制御部50b、電源回路42を設け、制御部50bによってファン(ファンモータ)の回転数を変更する。ファン本体5側に、ファンモータ(ファンと一体のモータ)となるブラシレスモータ5aと、ブラシレスモータ5aの位置情報を検出する位置検出素子(ホール素子)5bを設ける。放電ジャック55には、ブラシレスモータ5aの各相のリード線、位置検出素子5bの信号線が設けられる。制御部50bは位置検出素子5bからの情報に基づいてブラシレスモータ5aの回転数を算出する。そして風量調節用機器8で設定された目標回転数になるようにインバータ回路54のスイッチング素子Q1~Q6のデューティ比を制御してPWM制御を行う。設定された風量が大きい場合は風量が小さい場合と比較してデューティ比が大きくなる。
【0108】
第2例では、電池パック10側に、制御部50b、電源回路42を設け、制御部50bによってファン(ファンモータ)の回転数を変更する。ファン本体5側に、ブラシレスモータ5a、位置検出素子5b、インバータ回路(放電回路)54を設ける。放電ジャック55には、スイッチング素子Q1~Q6の制御信号線H1~H6、位置検出素子5bの信号線が設けられる。制御部50bは位置検出素子5bからの情報に基づいてブラシレスモータ5aの回転数を算出する。そして風量調節用機器8で設定された目標回転数になるようにインバータ回路54のスイッチング素子Q1~Q6のデューティ比を制御してPWM制御を行う。
【0109】
第3例では、電池パック10側に、制御部50b、電源回路42を設ける。ファン本体5側に、ブラシレスモータ5a、位置検出素子5b、インバータ回路(放電回路)54、ファン側制御部5cを設ける。ファン側制御部5cによってファン(ファンモータ)の回転数を変更する。放電ジャック55には、電源ライン、ファン側制御部5cの電源ライン(電源回路42の出力)、電池パック側制御部50bとファン側制御部5cとの信号線(放電電圧切替信号又は回転数切替信号)が設けられる。ファン側制御部5cは位置検出素子5bからの情報に基づいてブラシレスモータ5aの回転数を算出する。電池パック側制御部50bは放電ジャック55を介して放電電圧切替信号(回転数切替信号)をファン側制御部5cに出力し、ファン側制御部5cは、位置検出素子からの信号によりモータの回転数を算出し、入力された回転数切替信号(風量)なるようにインバータ回路54のスイッチング素子Q1~Q6のデューティ比を制御してPWM制御を行う。
【0110】
第4例では、電池パック10側に、制御部50bを設ける。ファン本体5側に、ブラシレスモータ5a、位置検出素子5b、インバータ回路(放電回路)54、ファン側制御部5c、ファン側電源回路5dを設ける。ファン側制御部5cの駆動電源はファン側電源回路5dから供給される。放電ジャック55には、電源ライン、電池パック側制御部50bとファン側制御部5cとの信号線(放電電圧切替信号又は回転数切替信号)が設けられる。他の構成は第3例と同様である。なお、第3例及び第4例において、ファン側制御部5cが電池パック側制御部50bからスイッチング素子Q1~Q6の制御信号(デューティ信号)を受信し、その制御信号に基づいてスイッチング素子Q1~Q6をPWM制御するようにしてもよい。この場合、制御信号は固定された複数のデューティ信号(例えばデューティ比30%、50%、80%、100%)としてもよい。また、第1例~第4例において、また、ブラシレスモータ5aの回転数を高精度で制御する必要がない場合には、回転数をフィードバックしなくてもよく、構成を簡素化することができる。なお、第1例~第4例において、信号線等の配線や端子の配置等を踏まえると第3例又は第4例が構成を簡素化できるため有効である。
【0111】
電気機器として送風装置を例に説明したが、送風装置や当該送風装置を有する衣服に限らず、外部機器との無線通信によって出力部の動作を変更可能であればよい。例えば、同じ衣服でも出力部としてのヒーターを内蔵したヒートジャケットにも適用できる。言い換えると、衣服(作業者の周囲)の温度を調整可能とした送風装置やヒーターを含む温度調節装置、当該温度調節装置を有する衣服にも適用することができる。衣服側の構成を簡素化できコンパクトに折り畳んで収納することができるため、温度調節装置を有する衣服に有効である。また、ラジオやテレビに適用して出力部としての音量(音量調節部)やチャンネル(チャンネル切替部)を無線通信によって変更可能にする構成や、出力部としてのライト(ライト調節部)に適用して明るさを無線通信によって変更可能にする構成等、周辺機器に適用してもよい。さらに、インパクトドライバや丸のこ等の電動工具に適用して出力部としてのモータの回転数を無線通信によって変更可能にする構成としてもよい。これら変形例においても上記した効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0112】
3 施工管理者(現場監督)、4 作業者、5 ファン本体、6 一括管理用機器(第1通信機器)、7 ケーブル、8 風量調節用機器(第2通信機器)、9 衣服、10 電池パック、11 電池セル、11a~11c 電池セル、12 上ケース、13 下ケース、13a リブ、13b リブ、15 ボタン、16 表示部、18 カバー、20 基板、20a パターン非形成部、21 タブ、21a 基板接続部、22 タブ、22a 基板接続部、23 タブ、23a 基板接続部、24 タブ、24a 基板接続部、46 スイッチ、50 無線アンテナモジュール、50a 無線アンテナ、50b 制御部、52 充電ジャック、54 放電回路、54a DCコンバータIC、54b 内部アナログ回路、55 放電ジャック、58 ACアダプタ、59 交流電源、60 ネットワークサービス、70 制御部、71 メモリ、72 タッチパネル(操作部)、73 ディスプレイ部、74 無線通信送受信部、75 アンテナ。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファン又はヒーターと、前記ファン又は前記ヒーターと有線接続されて前記ファン又は前記ヒーターに電力を供給する電池パックと、が取り付けられて作業者が身に着ける衣服であって、
前記ファン又は前記ヒーターは、前記作業者に携帯される前記電池パックの操作部が操作された場合、及び、前記電池パックの無線通信部と無線接続され前記作業者に携帯されるスマートフォンが操作された場合、のいずれでも駆動状態を変更可能である、
ことを特徴とする衣服。
【請求項2】
作業者に携帯されるファン又はヒーターと、
前記作業者に携帯され、前記ファン又は前記ヒーターとケーブルで接続され、前記ファン又は前記ヒーターに電力を供給する電池パックと、
を備えた衣服であって、
前記電池パックは、
電池セルと、前記作業者に携帯されるスマートフォンと無線通信可能な無線通信部と、を収容するケースと、
前記ケースに設けられ、前記作業者に操作される操作部と、
を有し、
前記ファン又は前記ヒーターは、前記操作部が操作された場合、及び、前記スマートフォンが操作された場合、のいずれでも駆動状態を変更可能である、
ことを特徴とする衣服。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の衣服であって、
前記電池パックは、
前記電池セルの電圧を変圧するDC/DCコンバータ部と、
前記DC/DCコンバータ部で変圧された電圧を出力する出力部と、
前記電池セルの充電状態に関する表示と、前記出力部が出力する電圧に関する表示と、前記スマートフォンとの無線通信の状態に関する表示と、を行う表示部と、
を有する、
ことを特徴とする衣服。
【請求項4】
請求項3に記載の衣服であって、
前記ファン又は前記ヒーターは、前記出力部からの出力の大きさに応じて前記駆動状態が変更される、
ことを特徴とする衣服。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の衣服であって、
前記電池パックは、前記無線通信部の有効及び無効を切り替える第2操作部を有する、
ことを特徴とする衣服。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の衣服であって、
前記スマートフォンは、前記スマートフォンと前記無線通信部との無線通信を行うためのアプリケーションを有し、
前記アプリケーションは、
前記無線通信部と無線接続するための接続ボタンと、
前記ファン又は前記ヒーターの駆動状態を変更するための変更ボタンと、
前記ファン又は前記ヒーターの駆動状態に関する情報を表示する状態表示部と、
前記電池パックの残量に関する情報を表示する残量表示部と、
を有する、
ことを特徴とする衣服。
【請求項7】
請求項6に記載の衣服であって、
前記変更ボタンが操作されると、前記ファン又は前記ヒーターに供給される電圧が変更され、前記ファンの風量又は前記ヒーターの温度が変更される、
ことを特徴とする衣服。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の衣服であって、
前記ファン又は前記ヒーターは、前記操作部と前記スマートフォンの両方が操作された場合、前記操作部の操作を優先する、
ことを特徴とする衣服。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明のある態様は、衣服である。この衣服は、
ファン又はヒーターと、前記ファン又は前記ヒーターと有線接続されて前記ファン又は前記ヒーターに電力を供給する電池パックと、が取り付けられて作業者が身に着ける衣服であって、
前記ファン又は前記ヒーターは、前記作業者に携帯される前記電池パックの操作部が操作された場合、及び、前記電池パックの無線通信部と無線接続され前記作業者に携帯されるスマートフォンが操作された場合、のいずれでも駆動状態を変更可能である、
ことを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明の別の態様は、衣服である。この衣服は、
作業者に携帯されるファン又はヒーターと、
前記作業者に携帯され、前記ファン又は前記ヒーターとケーブルで接続され、前記ファン又は前記ヒーターに電力を供給する電池パックと、
を備えた衣服であって、
前記電池パックは、
電池セルと、前記作業者に携帯されるスマートフォンと無線通信可能な無線通信部と、を収容するケースと、
前記ケースに設けられ、前記作業者に操作される操作部と、
を有し、
前記ファン又は前記ヒーターは、前記操作部が操作された場合、及び、前記スマートフォンが操作された場合、のいずれでも駆動状態を変更可能である、
ことを特徴とする。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正18】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正19】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正20】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正21】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正22】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正23】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正24】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正書】
【提出日】2024-01-29
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、衣服に関する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
本発明はこうした状況を認識してなされたものであり、その目的は、上記した第1の課題を解決し、利便性の高い衣服を提供することにある。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
本発明によれば、利便性の高い衣服を提供することができる。