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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002404
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】鋳造設備及び鋳造方法
(51)【国際特許分類】
   B22D 47/02 20060101AFI20231228BHJP
   B22C 25/00 20060101ALI20231228BHJP
   B22D 46/00 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
B22D47/02
B22C25/00
B22D46/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101561
(22)【出願日】2022-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 海彦
(72)【発明者】
【氏名】大岩 淳
(72)【発明者】
【氏名】大西 稔
【テーマコード(参考)】
4E094
【Fターム(参考)】
4E094CC71
4E094DD05
(57)【要約】
【課題】複数の工程を跨いで、容易に計測データを追跡、抽出できる、鋳造設備及び鋳造方法を提供する。
【解決手段】鋳造設備1の複数の工程について、一枠の鋳型分の固有データを取得し、各工程の前記固有データを、一枠の鋳型分ごとに、当該鋳型に対応付ける制御装置と、複数の工程の中の一の工程と、該一の工程よりも後の二の工程に対し、二の工程を実行する設備に設けられた表示装置と、を備え、制御装置は、表示装置に、二の工程において処理の対象となる鋳型に対応付けられた、一の工程の固有データを表示する、鋳造設備1を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋳造設備の複数の工程について、一枠の鋳型分の固有データを取得し、各工程の前記固有データを、一枠の前記鋳型分ごとに、当該鋳型に対応付ける制御装置と、
前記複数の工程の中の一の工程と、該一の工程よりも後の二の工程に対し、前記二の工程を実行する設備に設けられた表示装置と、
を備え、
前記制御装置は、前記表示装置に、前記二の工程において処理の対象となる前記鋳型に対応付けられた、前記一の工程の前記固有データを表示する、鋳造設備。
【請求項2】
前記複数の工程は、前記鋳型の造型を行う造型工程と、溶湯を製造して前記鋳型内に注湯する注湯工程を含み、
前記制御装置は、前記注湯工程を行う設備に設けられた前記表示装置に、前記注湯工程において処理の対象となる前記鋳型に対応付けられた、造型された前記鋳型の検査結果を含む、前記造型工程の前記固有データを表示する、請求項1に記載の鋳造設備。
【請求項3】
前記注湯工程を行う前記設備は、次に処理の対象となる前記鋳型への、注湯を行うか否かの入力を受け付け可能な入力装置を備え、
前記入力装置が、注湯を行わないという前記入力を受け付けた場合には、前記注湯工程を行う前記設備は、次に処理の対象となる前記鋳型への注湯を行わない、請求項2に記載の鋳造設備。
【請求項4】
前記複数の工程は、溶湯を製造して前記鋳型内に注湯する注湯工程と、前記鋳型、溶湯が鋳込まれた前記鋳型、及び前記鋳型により製造された鋳物を搬送し、かつ冷却する、冷却搬送工程を含み、前記鋳物には、当該鋳物が製造された前記鋳型と同じ固有データが対応付けられ、
前記制御装置は、前記冷却搬送工程を行う設備に設けられた前記表示装置に、前記冷却搬送工程において処理の対象となる前記鋳型に対応付けられた、鋳込み温度を含む、前記注湯工程の前記固有データを表示する、請求項1に記載の鋳造設備。
【請求項5】
前記複数の工程は、前記鋳型の造型を行う造型工程と、前記鋳型、溶湯が鋳込まれた前記鋳型、及び前記鋳型により製造された鋳物を搬送し、かつ冷却する、冷却搬送工程を含み、前記鋳物には、当該鋳物が製造された前記鋳型と同じ固有データが対応付けられ、
前記冷却搬送工程を行う設備は、前記鋳型をばらして前記鋳物から鋳型砂を分離する鋳型ばらし装置を備え、
前記制御装置は、前記冷却搬送工程を行う前記設備に設けられた前記表示装置に、前記鋳型ばらし装置において処理の対象となる前記鋳型に対応付けられた、造型に用いられたパターンの番号であるパターン番号と、当該鋳型により製造された前記鋳物の製品番号の、いずれか一方または双方を含む、前記造型工程の前記固有データを表示する、請求項1に記載の鋳造設備。
【請求項6】
前記複数の工程は、前記鋳型により製造された鋳物の最終検査を含む後処理を行う、後処理工程を含み、前記鋳物には、当該鋳物が製造された前記鋳型と同じ固有データが対応付けられ、
前記制御装置は、前記後処理工程を行う設備に設けられた前記表示装置に、前記鋳物の最終検査の結果とともに、当該鋳物に対応付けられた、前記後処理工程よりも前の少なくとも1つの工程の前記固有データを表示する、請求項1に記載の鋳造設備。
【請求項7】
鋳造設備の複数の工程について、一枠の鋳型分の固有データを取得し、各工程の前記固有データを、一枠の前記鋳型分ごとに、当該鋳型に対応付け、
前記複数の工程の中の一の工程と、該一の工程よりも後の二の工程に対し、前記二の工程を実行する設備に設けられた表示装置に、前記二の工程において処理の対象となる前記鋳型に対応付けられた、前記一の工程の前記固有データを表示する、鋳造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋳造設備及び鋳造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、鋳造設備においては、鋳型砂により鋳型を造型し、鋳型内に溶湯を注湯した後に冷却して鋳型をばらし、鋳物を取り出すことにより、鋳物が鋳造される。空洞がある鋳物を鋳造する場合には、鋳型内に中子が設置される。鋳型がばらされることにより鋳物から分離した鋳型砂は、異物除去や砂冷却が行われた後に混練調整されて、鋳型の造型に繰り返し使用される。
特許文献1には、上記のような鋳造方法及び鋳造ラインが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-9101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
鋳造設備により鋳造される鋳物には、鋳造設備の問題等により、不具合が生じることがある。また、鋳物の品質を向上させるために、鋳造設備の動作環境を変更することがある。このような場合においては、不具合を解析して鋳造設備の問題を洗い出したり、品質向上に有効な鋳造設備の変更点を抽出したりするために、鋳造設備における様々なデータを、各種計測器により計測して分析する必要がある。
しかし、既に説明したように、鋳造設備においては複数の様々な工程が実行される。このため、例えば鋳物に不具合が生じた場合に、各工程における当該鋳物に関連する計測データを追跡し、抽出するのが容易ではない。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、複数の工程を跨いで、容易に計測データを追跡、抽出できる、鋳造設備及び鋳造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。すなわち、本発明は、鋳造設備の複数の工程について、一枠の鋳型分の固有データを取得し、各工程の前記固有データを、一枠の前記鋳型分ごとに、当該鋳型に対応付ける制御装置と、前記複数の工程の中の一の工程と、該一の工程よりも後の二の工程に対し、前記二の工程を実行する設備に設けられた表示装置と、を備え、前記制御装置は、前記表示装置に、前記二の工程において処理の対象となる前記鋳型に対応付けられた、前記一の工程の前記固有データを表示する、鋳造設備を提供する。
【0007】
また、本発明は、鋳造設備の複数の工程について、一枠の鋳型分の固有データを取得し、各工程の前記固有データを、一枠の前記鋳型分ごとに、当該鋳型に対応付け、前記複数の工程の中の一の工程と、該一の工程よりも後の二の工程に対し、前記二の工程を実行する設備に設けられた表示装置に、前記二の工程において処理の対象となる前記鋳型に対応付けられた、前記一の工程の前記固有データを表示する、鋳造方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数の工程を跨いで、容易に計測データを追跡、抽出できる、鋳造設備及び鋳造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態における鋳造設備の模式的な平面図である。
図2】上記鋳造設備のブロック図である。
図3】上記鋳造設備の部分的な拡大斜視図である。
図4】上記鋳造設備の制御装置内に格納される製品情報テーブルを、表示装置に表示した画面の説明図である。
図5】上記制御装置内に格納される鋳型データテーブルを、表示装置に表示した画面の説明図である。
図6】上記制御装置内に格納される中子データテーブルを、表示装置に表示した画面の説明図である。
図7】上記制御装置内に格納される注湯データテーブルを、表示装置に表示した画面の説明図である。
図8】注湯工程において、造型工程の結果を基に注湯を行うか否かを選択する画面の説明図である。
図9】上記制御装置内に格納される冷却搬送データテーブルを、表示装置に表示した画面の説明図である。
図10】冷却搬送工程において、上記冷却搬送データテーブルとともに、搬送中の鋳型の鋳込み温度を、表示装置に表示した画面の説明図である。
図11】冷却搬送工程において、上記冷却搬送データテーブルとともに、搬送中の鋳型のパターン番号と品番を、表示装置に表示した画面の説明図である。
図12】上記制御装置内に格納される後処理データテーブルを、表示装置に表示した画面の説明図である。
図13】上記制御装置内に格納される砂処理データテーブルを、表示装置に表示した画面の説明図である。
図14】全工程の固有データの代表的なものを選別して、表示装置に表示した画面の説明図である。
図15】上記鋳造設備により実行される鋳造方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施形態における鋳造設備1の模式的な平面図である。図2は、鋳造設備1のブロック図である。
以下の説明においては、鋳造設備1の水平面内における方向を特定するに際し、図1における右方向を第1方向X1、左方向すなわち第1方向X1の反対側を向く方向を第2方向X2と記載する。
【0011】
鋳造設備1においては、鋳物を鋳造するに際し、造型工程、中子設置工程、冷却搬送工程、注湯工程、後処理工程、及び砂処理工程を含む、複数の工程が実行される。鋳造設備1は、これらの各工程に対応する、造型設備2、中子設置設備3、冷却搬送設備4、注湯設備7、後処理設備8、及び砂処理設備10を備えている。
造型設備2は、砂処理設備10により処理された鋳型砂から鋳型を造型する。中子設置設備3は、鋳型内に中子を設置する。注湯設備7は、溶湯を製造して鋳型内に注湯する。冷却搬送設備4は、造型設備2において造型された鋳型を注湯設備7へと搬送する。冷却搬送設備4はまた、注湯設備7において溶湯が鋳込まれた鋳型を冷却しながら搬送し、鋳型をばらして鋳物を取り出し、取り出された鋳物を更に、冷却しながら後処理設備8へと搬送する。後処理設備8は、鋳物への刻印や鋳物の堰折り等の後処理を行う。砂処理設備10は、鋳型の造型に使用される鋳型砂を処理する。
また、鋳造設備1は、これらの設備を制御実行する、制御装置を備えている。本実施形態においては、制御装置は、全体制御装置11と、各設備2、3、4、7、8、10の各々に対応して当該設備2、3、4、7、8、10を制御する制御盤2P、3P、4P、7P、8P、10Pを備えている。
【0012】
まず、造型設備2及び中子設置設備3を説明する。
造型設備2は、鋳型砂から鋳型を造型する。造型設備2においては、上鋳型と下鋳型が造型される。本実施形態においては、造型設備2は抜枠式であり、造型された上鋳型と下鋳型は、上枠及び下枠から抜枠される。
また、本実施形態においては、鋳型内に中子を設置する中子設置設備3は、造型設備2内に設けられている。すなわち、造型された上鋳型と下鋳型は、造型設備2内において一旦上下に分離され、中子が設置された後に型合わせされて、冷却搬送設備4へと排出される。
本実施形態においては、後に説明する全体制御装置11によって指示される処理タイミングで、基本的には所定の鋳造サイクル、例えば約40秒に一個の速度で、鋳型が造型、排出される。ここで、鋳造サイクルとは、鋳造設備1の各工程において、一枠の鋳型分の処理が行われる、一回の処理単位である。
【0013】
造型設備2は、制御盤(制御装置)2Pと、鋳型が造型された時刻を計測するタイマを備えている。タイマは、造型設備2のスクイズボードにより上鋳型と下鋳型のスクイズが終了した時刻を、造型時刻として計測し、造型設備2の制御盤2Pへ送信する。
造型設備2の制御盤2Pは、各鋳型に対する造型時刻を、各鋳型に対する固有データとして全体制御装置11へと送信する。
造型設備2は、上枠ボードセット完位置、上枠鋳型厚み(鋳型厚み)、上枠圧縮率(鋳型圧縮率)、下枠ボードセット完位置等の鋳型データを計測する、各種の計測器を備えている。造型設備2の制御盤2Pは、各種の計測器により計測されたこれらの鋳型データを受信し、各鋳型に対する固有データとして全体制御装置11へと送信する。
【0014】
中子設置設備3は、制御盤(制御装置)3Pと、中子が設置された時刻を計測するタイマを備えている。本実施形態においては、既に説明したように、中子設置設備3は造型設備2内に設けられているため、本実施形態においては、制御盤3Pやタイマは、造型設備2の制御盤2Pやタイマと同一のものとなっている。タイマは、一対の上鋳型と下鋳型に対して、この中に中子が設置された時刻を、中子設置時刻として計測し、中子設置設備3の制御盤3Pへ送信する。
中子設置設備3のタイマは、中子の設置に要した中子入れ時間を、更に計測する。
中子設置設備3の制御盤3Pは、中子設置時刻と中子入れ時間を受信し、各鋳型に対する固有データ、すなわち中子データとして全体制御装置11へと送信する。
【0015】
造型設備2は、更に、検査装置2Cを備えている。造型設備2は抜枠式であり、したがって、造型設備2は、下鋳型の上に上鋳型が乗せられて、型合わせされた鋳型19Aを生成し、後に説明する冷却搬送設備4が、この鋳型19Aを、注湯設備7へと搬送する。この搬送の際に、例えば搬送速度が適切でない場合等には、下鋳型に対して、上鋳型がずれてしまうことがある。本実施形態においては、検査装置2Cは、造型設備2の本体よりも、冷却搬送設備4における搬送経路の下流に設けられて、上記のような型ずれを検査する。
造型設備2は、この、検査装置2Cによる型ずれの検査結果を、制御盤2Pへと送信する。制御盤2Pは、型ずれの検査結果を全体制御装置11へと送信する。
【0016】
冷却搬送設備4は、一次冷却搬送装置5、二次冷却搬送装置6、鋳型ばらし装置65、及び制御盤(制御装置)4Pを備えている。一次冷却搬送装置5は、造型設備2により造型された鋳型を受け取って注湯設備7へと搬送し、注湯設備7により注湯された鋳型を冷却しつつ、鋳型ばらし装置65を介して鋳型がばらされた鋳物を二次冷却搬送装置6へと搬送する。
ここではまず、一次冷却搬送装置5を説明し、注湯設備7を説明した後に、鋳型ばらし装置65、及び二次冷却搬送装置6を説明する。図3は、鋳造設備1の、一次冷却搬送装置5近傍の斜視図である。
【0017】
一次冷却搬送装置5は、第1ライン50と第2ライン51を備えている。
第1ライン50は、造型設備2に隣接し、第1方向X1に向けて延びる一対の鋳型レール55Aを備えている。第2ライン51は、第1ライン50の、造型設備2とは反対側に、第1ライン50と略平行に設けられた一対の鋳型レール55Bを備えている。鋳型レール55A、鋳型レール55B上には、第1ライン50と同様に、複数の定盤台車52が互いに接触するように設けられている。
第1ライン50上の定盤台車52は、第1ライン50の第2方向X2側の端部に設けられた第1プッシャ56Aによって、第1方向X1に向けて押され続けることにより、造型設備2から鋳型19Aを受け取り、第1方向X1に向けて搬送する。
【0018】
錘移載装置58は、第1ライン50と第2ライン51を跨るように設けられている。錘移載装置58は、後に説明する、第2ライン51上で搬送される溶湯が鋳込まれた錘載置注湯鋳型19Cから、錘とジャケットを除去し、第1ライン50上を搬送されてきた鋳型19Aの上に載せ替える。
図3において、錘移載装置58によって錘とジャケットが移載された錘載置鋳型19Bは、造型設備2より排出された鋳型19Aよりも高い高さで描かれている。
既に説明した検査装置2Cは、本実施形態においては、第1ライン50の、造型設備2と錘移載装置58の間に設けられている。
【0019】
錘載置鋳型19Bが載置された定盤台車52は、錘移載装置58から、後述する注湯設備7に到達する。錘載置鋳型19Bには、注湯設備7によって溶湯が鋳込まれる。溶湯が鋳込まれた錘載置鋳型19Bを、錘載置注湯鋳型19Cと呼称する。図3において、錘載置注湯鋳型19Cは、錘載置鋳型19Bの形状にドットパターンで塗りつぶされて示されている。
錘載置注湯鋳型19Cが載置された定盤台車52は、第1ライン50の第1方向X1方向の端に到達し、第1トラバーサ57Aにより、第2ライン51へと移送される。
第2ライン51へ移送された定盤台車52は、第2ライン51の第1方向X1側の端部に設けられた第2プッシャ56Bによって、第2方向X2に向けて押され続けることにより、錘載置注湯鋳型19Cを第2方向X2に向けて搬送する。
【0020】
第2ライン51において、錘載置注湯鋳型19Cが載置された定盤台車52は、錘移載装置58に再度到達する。錘移載装置58は、錘載置注湯鋳型19Cから錘とジャケットを除去し、第1ライン50上を搬送されてきた鋳型19Aの上に載せ替える。錘とジャケットが除去された、溶湯が鋳込まれた鋳型を、注湯鋳型19Dと呼称する。図3において、注湯鋳型19Dは、鋳型19Aの形状にドットパターンで塗りつぶされて示されている。
注湯鋳型19Dが載置された定盤台車52は、鋳型ばらし装置65に到達する。鋳型ばらし装置65に到達した定盤台車52上の注湯鋳型19Dは、図示されないプッシャにより鋳型ばらし装置65へと移載される。
注湯鋳型19Dが鋳型ばらし装置65へと移載されて、上に何も載置しない状態となった定盤台車52は、第2ライン51の第2方向X2方向の端に到達し、第2トラバーサ57Bにより、第1ライン50へと移送される。
【0021】
上記のようにして、各定盤台車52は、後に説明する全体制御装置11によって指示される処理タイミングで、基本的には上記所定の鋳造サイクルおきに、一台の定盤台車52分だけ、第1ライン50及び第2ライン51を循環するように移動する。
注湯設備7により鋳型に溶湯が鋳込まれてから、当該鋳型を載置した定盤台車52が鋳型ばらし装置65へ到達するまでの間に、鋳型は時間をかけて冷却され、固化する。
【0022】
注湯設備7は、炉70、取鍋71、及び自動注湯装置72を備えている。
炉70は、例えば誘導炉であり、内部に投入された金属をジュール熱によって溶解する。炉70により製造された溶湯は、取鍋71に一旦受湯されて、一次冷却搬送装置5の第1ライン50に隣接して設けられた自動注湯装置72へと運ばれる。
自動注湯装置72は、全体制御装置11によって指示される処理タイミングで、基本的には上記所定の鋳造サイクルおきに、第1ライン50上で搬送される鋳型19Aに対して注湯する。
【0023】
注湯設備7は、制御盤(制御装置)7Pと、溶湯が鋳込まれた時刻を計測するタイマを備えている。タイマは、一対の上鋳型と下鋳型に対して、溶湯を鋳込んだ時刻を、鋳込み時刻として計測し、注湯設備7の制御盤7Pへ送信する。
注湯設備7は、鋳込み重量、鋳込み時間、接種剤の添加量、受湯経過時間、鋳込み温度等を計測する、各種の計測器を備えている。注湯設備7の制御盤7Pは、各種の計測器により計測されたこれらの計測値を受信し、注湯した取鍋に対応する取鍋ロット番号(取鍋番号)、材質番号、及び鋳込み時刻とともに、これらを各鋳型に対する固有データ、すなわち注湯データとして全体制御装置11へと送信する。
【0024】
二次冷却搬送装置6は、鋳物レール60、複数の懸吊装置61、及び図示されない駆動部を備えている。鋳物レール60は、一次冷却搬送装置5の造型設備2とは反対側に、一次冷却搬送装置5の定盤台車52よりも上方の空中に位置するように、配設されている。鋳物レール60は、環状に形成されている。複数の懸吊装置61の各々は、等間隔おきに、鋳物レール60に懸吊されて設けられている。
鋳型ばらし装置65は、二次冷却搬送装置6と、一次冷却搬送装置5の第2ライン51との間に設けられている。鋳型ばらし装置65は、注湯鋳型19Dを形成する鋳型砂を、当該注湯鋳型19Dにより製造された鋳物19Eから分離しつつ、鋳物19Eを懸吊装置61に懸吊する。
図1に示される複数の懸吊装置61の各々は、駆動部によって、鋳物レール60を反時計回りに移送されるように、冷却搬送設備4の制御盤4Pによって制御されている。このため、鋳型ばらし装置65により懸吊装置61に掛けられた鋳物19E(図1においては三角形で示されている)は、懸吊装置61と共に反時計回りに移動する。
鋳物19Eは、後述するロボット81に到達し、ロボット81により、懸吊装置61から外される。鋳物19Eが外された懸吊装置61は、更に反時計回りに移送されて、再度鋳型ばらし装置65へと到達し、鋳物19Eが掛けられる。
【0025】
冷却搬送設備4の制御盤4Pは、全体制御装置11によって指示される処理タイミングで、基本的には上記所定の鋳造サイクルおきに、各懸吊装置61が、隣接する懸吊装置61間の間隔分だけ、鋳物レール60上を移動するように、駆動部を制御する。
鋳型ばらし装置65により鋳型がばらされてから、当該鋳型の中の鋳物を懸吊した懸吊装置61がロボット81へ到達するまでの間に、鋳型は時間をかけて冷却される。
【0026】
冷却搬送設備4は、鋳型がばらされた時刻を計測する、図示されないタイマを備えている。タイマは、鋳型がばらされた時刻を、鋳型ばらし時刻として計測し、冷却搬送設備4の制御盤4Pへ送信する。
また、冷却搬送設備4のタイマは、鋳物が冷却された時間を、冷却時間として計測し、冷却搬送設備4の制御盤4Pへ送信する。冷却搬送設備4の制御盤4Pは、各鋳型に対する冷却時間と、鋳型ばらし時刻を、各鋳型に対する固有データ、すなわち冷却搬送データとして全体制御装置11へと送信する。
【0027】
後処理設備8は、ロボット81、ショットブラスト装置82、コンベア83、刻印装置84、及び制御盤(制御装置)8Pを備えている。
ロボット81は、例えば垂直多関節型の6軸ロボットであり、二次冷却搬送装置6によって搬送されている鋳物19Eを、懸吊装置61から掴み取る。ロボット81は、掴み取った鋳物19Eを、ショットブラスト装置82内へ載置する。
ショットブラスト装置82は、ロボット81により載置された鋳物19Eに対し、ショットブラスト処理を実行する。ショットブラスト処理が終了すると、ロボット81は、ショットブラスト処理がなされた鋳物19Eを掴み取り、コンベア83へと載置する。
コンベア83に載置された鋳物19Eは、出荷エリア14へ向けて、第1方向X1に搬送される。
【0028】
刻印装置84は、コンベア83上を搬送される鋳物19Eに含まれる、1つの、または複数の鋳物製品の各々に対して、レーザ等により刻印する。その後、各鋳物19Eは、堰折りされて、1つの、または複数の鋳物製品が形成される。
コンベア83の刻印装置84よりも下流、または出荷エリア14においては、堰折りにより形成された各鋳物19Eの最終検査が行われる。検査においては、鋳物製品の寸法や傷の有無等がチェックされる。最終検査は、図示されない検査装置や、作業員の目視等によって行われる。
各該鋳型により形成された1または複数の鋳物製品に対する最終検査の検査結果は、制御盤8Pへと入力される。
【0029】
後処理設備8の制御盤8Pは、全体制御装置11によって指示される処理タイミングで、基本的には上記所定の鋳造サイクルおきに、コンベア83上の載置治具が、隣接する載置治具間の間隔分だけ移動するように、コンベア83を制御する。
【0030】
後処理設備8は、刻印がなされた時刻を計測する、図示されないタイマを備えている。タイマは、鋳物に刻印した時刻を、刻印時刻として計測し、刻印の種類と共に、後処理設備8の制御盤8Pへ送信する。
また、後処理設備8のタイマは、各鋳物に対して、堰折りを実行した時刻である堰折り時刻を計測する。タイマは、鋳物を堰折りした時刻を、堰折り時刻として計測し、後処理設備8の制御盤8Pへ送信する。
更に、制御盤8Pは、図示されない検査装置から、あるいは作業員による入力装置を介した入力等により、最終検査の検査結果を受け付け可能とされている。
後処理設備8の制御盤8Pは、各鋳物に対する堰折り時刻と、刻印時刻、刻印種類、及び最終検査の検査結果を、各鋳型に対する固有データ、すなわち後処理データとして全体制御装置11へと送信する。
【0031】
図1に示されるように、鋳物レール60の下方には、コンベア101が設けられている。鋳型ばらし装置65によってばらされた鋳型砂は、コンベア101により、砂処理設備10へと搬送される。砂処理設備10は、搬送された鋳物砂を再生処理する。コンベア131は、造型設備2へと、再生処理された鋳型砂を搬送する。
【0032】
砂処理設備10は、制御盤(制御装置)10Pを備えている。制御盤10Pは、全体制御装置11によって指示される計測タイミングで、基本的には上記所定の鋳造サイクルおきに、砂性状と計測時刻等の各種の計測結果を、一対の上鋳型と下鋳型として造型される鋳型砂に対応する固有データ、すなわち砂処理データとして、全体制御装置11へと送信する。
【0033】
次に、図1図3、及び図4図15を用いて、本実施形態における制御装置、すなわち各制御盤2P、3P、4P、7P、8P、10P、及び全体制御装置11の動作を説明する。
全体制御装置(制御装置)11は、鋳造設備1の複数の工程、例えば造型工程、中子設置工程、注湯工程、冷却搬送工程、後処理工程、及び砂処理工程の各々について、一枠の鋳型分の固有データを取得し、各工程の固有データを、一枠の鋳型分ごとに、当該鋳型に対応付け、複数の工程の中の一の工程と、該一の工程よりも後の二の工程に対し、二の工程を実行する設備に設けられた表示装置に、二の工程において処理の対象となる鋳型に対応付けられた、一の工程の固有データを表示する。
ここで、砂処理工程は、鋳型から回収した鋳型砂を処理して再利用するという工程であるため、その性質上、上記においては最後に説明した。しかし、処理された鋳物砂は造型工程において鋳型を製造するために用いられ、かつ鋳型の品質に鋳物砂の性状は大きく影響するため、本実施形態においては、砂処理工程は造型工程の前の工程と位置付ける。
また、造型工程と中子設置工程に関しては、造型工程において鋳型が製造され、その中に中子が設けられるという観点においては、本来であれば、中子設置工程は造型工程の後の工程である。しかし、本実施形態においては、中子設置設備3は、造型設備2内に設けられているため、造型工程と中子設置工程は同時に行われ前後の差異はないものとする。
更に、注湯工程と冷却搬送工程に関しては、造型工程において製造された鋳型が冷却搬送工程によって注湯工程を実行する注湯設備7へと搬送され、注湯された後に、更に冷却搬送工程によって搬送されるという観点においては、本来であれば、これらは前後の区別をつけられるものではない。しかし、本実施形態においては、冷却搬送工程は、鋳型を搬送しつつ、注湯工程において注湯された溶湯を冷却する工程であるという意味において、冷却搬送工程は注湯工程の後の工程であるものと位置付ける。
【0034】
造型設備2、中子設置設備3、冷却搬送設備4、注湯設備7、後処理設備8、砂処理設備10の各々は、入力装置2N、3N、4N、7N、8N、10Nと表示装置2D、3D、4D、7D、8D、10Dを備えている。より詳細には、造型設備2、中子設置設備3、冷却搬送設備4、注湯設備7、後処理設備8、砂処理設備10の各々の制御盤2P、3P、4P、7P、8P、10Pが、それぞれ、図2に示されるように、入力装置2N、3N、4N、7N、8N、10Nと表示装置2D、3D、4D、7D、8D、10Dを備えている。本実施形態においては、表示装置2D、3D、4D、7D、8D、10Dはディスプレイであり、入力装置2N、3N、4N、7N、8N、10Nは、当該ディスプレイに設けられたタッチパネルである。
なお、上記のように、本実施形態においては、中子設置設備3の制御盤3Pは、造型設備2の制御盤2Pと同一のものとなっている。したがって、中子設置設備3の入力装置3Nと表示装置3Dは、造型設備2の入力装置2Nと表示装置2Dと、同一のものである。
【0035】
なお、本実施形態においては、各装置や設備を制御する制御装置として、全体制御装置11と各制御盤2P、3P、4P、7P、8P、10Pを有し、全体制御装置11が鋳造設備1全体を制御しつつ、この制御下において各制御盤2P、3P、4P、7P、8P、10Pが造型設備2、中子設置設備3、冷却搬送設備4、注湯設備7、後処理設備8、及び砂処理設備10を制御するような構成となっている。しかし、全体制御装置11と各制御盤2P、3P、4P、7P、8P、10Pは、これら全体で協働して鋳造設備1を制御するものであり、このような観点においては、制御盤2P、3P、4P、7P、8P、10Pと全体制御装置11が、全体で、鋳造設備1を制御するひとつの制御装置であると見做すことができる。
すなわち、上記のような構成に代えて、例えば制御装置が全体制御装置11のみを備える構成としてもよい。この場合には、全体制御装置11が各制御盤2P、3P、4P、7P、8P、10Pの役割をも兼ねるような構成となり、各制御盤2P、3P、4P、7P、8P、10Pが廃されて、造型設備2、中子設置設備3、冷却搬送設備4、注湯設備7、後処理設備8、砂処理設備10の各々は、個別の制御機構を備えず、表示装置2D、3D、4D、7D、8D、10Dと入力装置2N、3N、4N、7N、8N、10Nのみが設けられた構成となる。
あるいは、制御装置が制御盤2P、3P、4P、7P、8P、10Pのみを備える構成としてもよい。この場合には、鋳造設備1が全体制御装置11を有さず、制御盤2P、3P、4P、7P、8P、10Pが協働して、本実施形態における全体制御装置11の役割を果たすような構成となる。
このように、制御装置は、本実施形態において説明する形態に限定されず、様々な構成を有し得る。すなわち、以下の説明において、全体制御装置11や各制御盤2P、3P、4P、7P、8P、10Pが何らかの処理を実行すると説明する場合においては、これらを含む全体としての制御装置が当該処理を実行する場合をも含み得る。
【0036】
全体制御装置11は、所定の鋳造サイクル、例えば40秒を計測し、所定の鋳造サイクルごとに、造型設備2、中子設置設備3、冷却搬送設備4、注湯設備7、後処理設備8、砂処理設備10へ、例えば各設備において作業を開始する処理タイミングや、各設備の制御盤2P、3P、4P、7P、8P、10Pから全体制御装置11へと固有データを送付する計測タイミングを送信し指示する。
全体制御装置11は、このような処理タイミングや計測タイミングを送信した時刻を保持している。
【0037】
全体制御装置11は、造型設備2の制御盤2Pから、造型時刻、鋳型データ、及び検査装置2Cによる型ずれの検査結果を、各鋳型に対する造型設備2の固有データとして受信する。全体制御装置11は、中子設置設備3の制御盤3Pから、中子データを、各鋳型に対する中子設置設備3の固有データとして受信する。全体制御装置11は、注湯設備7の制御盤7Pから、注湯データを、各鋳型に対する注湯設備7の固有データとして受信する。全体制御装置11は、冷却搬送設備4の制御盤4Pから、冷却搬送データを、各鋳型に対する冷却搬送設備4の固有データとして受信する。全体制御装置11は、後処理設備8の制御盤8Pから、後処理データを、各鋳型に対する後処理設備8の固有データとして受信する。全体制御装置11は、砂処理設備10の制御盤10Pから、砂処理データを、一枠の鋳型分の、すなわち型合わせされた一対の上鋳型と下鋳型として造型される鋳型砂に対応する、砂処理設備10の固有データとして受信する。
【0038】
全体制御装置11は、上記の各種データを各設備から受信しつつ、次のようにして、各工程の固有データを一枠の鋳型分ごとに対応付ける。
全体制御装置11は、図4に示される、製品情報テーブル200を保持している。製品情報テーブル200は、造型された各鋳型を管理するテーブルであり、各鋳型に対して、造型時刻、パターン番号、鋳造結果、品番、製品名、材質を含む、製品データが対応付けられた構成となっている。
全体制御装置11は、造型設備2から、造型した各鋳型に対する造型時刻、鋳型データを受信するたびに、造型された鋳型に対する固有の鋳型識別番号を発行し、製品情報テーブル200にこの新たな鋳型に対応する項目を追加して、追加された項目の各欄に、発行された鋳型識別番号と、造型時刻、パターン番号、品番、製品名、材質を登録する。製品情報テーブル200の鋳造結果の項目には、注湯工程において、この鋳型が造型不良であり注湯されなかったか、正常に造型されて注湯されたのかが入力される。すなわち、鋳造結果の項目は、造型工程で鋳型が製造された直後においては、実際には、値は入力されていない。
上記の製品データには、造型に使用されたパターンの番号が含まれており、したがって、本実施形態においては、製品データは、造型工程の固有データとして取り扱う。
【0039】
全体制御装置11は、図5に示される鋳型データテーブル201を保持している。鋳型データテーブル201は、造型された各鋳型の製造履歴データを管理するテーブルであり、各鋳型に対して、鋳型データの各々が対応付けられた構成となっている。
全体制御装置11は、鋳型識別番号を発行して製品情報テーブル200に新たな鋳型に対応する項目を追加する際に、鋳型データテーブル201においても、新たな鋳型に対応する項目を追加し、この追加された項目の各欄に、発行された鋳型識別番号と、造型設備2から受信した鋳型データを登録する。
更に、全体制御装置11は、造型設備2から、検査装置2Cによる型ずれの検査結果を、発行された鋳型識別番号に対応付けて登録する。
【0040】
全体制御装置11は、造型工程と中子工程、及びこれらよりも後の工程となる注湯工程、冷却搬送工程、後処理工程に対応する制御盤2P、3P、4P、7P、8Pに、製品情報テーブル200、鋳型データテーブル201を送信する。これらの制御盤2P、3P、4P、7P、8Pは、表示装置2D、3D、4D、7D、8Dに、受信した製品情報テーブル200、鋳型データテーブル201を表示することができる。
例えば、図4図5は、造型設備2の制御盤2Pにおいて、表示装置2Dに、全体制御装置11から受信した製品情報テーブル200、鋳型データテーブル201を表示した例である。表示装置2Dには、製品情報テーブル200、鋳型データテーブル201とともに、ボタンBが表示されている。ボタンBは、製品ボタンB1、鋳型ボタンB2、中子ボタンB4、及び砂処理ボタンB9を含む。
造型設備2の表示装置2Dには、造型工程よりも前の工程となる、砂処理工程に対応する砂処理ボタンB9と、当該造型工程に対応する製品ボタンB1、鋳型ボタンB2が表示されている。また、本実施形態においては、造型工程と中子設置工程は同時に行われるため、造型設備2の表示装置2Dには、中子ボタンB4も表示されている。
制御盤2Pの入力装置2Nで、表示装置2Dに表示された製品ボタンB1、鋳型ボタンB2が選択されると、図4図5に示されるように、表示装置2Dに、対応する製品情報テーブル200、鋳型データテーブル201がそれぞれ表示される。
選択されたボタンBは、現在表示装置2Dに表示されているテーブルが何であるのかを容易に認識可能とするため、他のボタンBとは異なるように、例えばドットパターンがつけられて表示されている。
【0041】
全体制御装置11は、図6に示される中子データテーブル203を保持している。中子データテーブル203は、中子に関する中子データを管理するテーブルであり、各鋳型に対して、中子データの各々が対応付けられた構成となっている。
本実施形態においては、中子設置設備3は、造型設備2内に設けられているため、中子設置設備3内において中子が鋳型に設置された時刻と、この鋳型が造型設備2内で造型されたとされて造型時刻として打刻された時刻との間の経過時間は、略一定である。したがって、全体制御装置11は、中子設置設備3の制御盤3Pから受信した中子設置時刻と、製品情報テーブル200に登録された造型時刻との間の差分を基に、受信した中子設置時刻に中子が設置された鋳型に対応する鋳型識別番号を取得可能である。
全体制御装置11は、中子設置設備3から中子データを受信するたびに、中子データテーブル203に新たな鋳型に対応する項目を追加して、この追加された項目の各欄に、上記のように取得した鋳型識別番号と、中子設置設備3から受信した中子データの各々を登録する。
【0042】
全体制御装置11は、造型工程と中子工程、及びこれらよりも後の工程となる注湯工程、冷却搬送工程、後処理工程に対応する制御盤2P、3P、4P、7P、8Pに、中子データテーブル203を送信する。これらの制御盤2P、3P、4P、7P、8Pにおいては、入力装置2N、3N、4N、7N、8Nで中子ボタンB4が選択されると、例えば図6に示されるように、表示装置2D、3D、4D、7D、8Dに、受信した中子データテーブル203が表示される。
【0043】
このように、全体制御装置11は、造型された各鋳型に対して鋳型識別番号を発行し、造型工程の固有データに鋳型識別番号を対応付けることで、造型工程の、一枠の鋳型分の固有データを、一枠の鋳型分ごとに、鋳型に対応付ける。
また、全体制御装置11は、中子設置工程の固有データに鋳型識別番号を対応付けることにより、中子設置工程の、一枠の鋳型分の固有データを、一枠の鋳型分ごとに、鋳型に対応付ける。
造型設備2と中子設置設備3の表示装置2D、3Dにおいて、造型工程及び中子設置工程(二の工程)よりも前の工程となる砂処理工程(一の工程)に対応する砂処理ボタンB9が選択されると、砂処理工程よりも後の工程となる造型工程及び中子設置工程において処理の対象となる鋳型に対応付けられた、当該鋳型を製造する際に用いられた鋳物砂の、砂処理工程における固有データが、図13を用いて後に説明するものと同様に、表示される。
【0044】
全体制御装置11は、図7に示される注湯データテーブル204を保持している。注湯データテーブル204は、注湯に関する注湯データを管理するテーブルであり、各鋳型に対して、注湯データの各々が対応付けられた構成となっている。
図1図3に示されるように、本実施形態においては、造型設備2から鋳型が排出される定盤台車52の位置52Aと、注湯設備7により鋳型内に注湯される定盤台車52の位置52Bは定まったものとなっており、これらの位置52Aと位置52Bの間の定盤台車52の数も一定のものとなっている。このため、ある特定の定盤台車52が位置52Aに位置していた時刻は、位置52Bにおける時刻がわかれば、それに対応する処理タイミングから、位置52Aと位置52Bの間の定盤台車52の数だけ遡った処理タイミングが送信された時刻を基に推定可能である。すなわち、全体制御装置11は、注湯設備7の制御盤7Pから受信した鋳込み時刻から、当該鋳型が載置された定盤台車52が位置52Aに位置していた時刻を推定し、これを製品情報テーブル200に登録された造型時刻と比較して、受信した鋳込み時刻を固有データとして有する鋳型に対応する鋳型識別番号を取得する。
全体制御装置11は、注湯設備7から注湯データを受信するたびに、注湯データテーブル204に新たな鋳型に対応する項目を追加して、この追加された項目の各欄に、上記のように取得した鋳型識別番号と、注湯設備7から受信した注湯データの各々を登録する。
また、全体制御装置11は、鋳型に注湯したか否かに応じて、製品情報テーブル200において、取得した鋳型識別番号に対応する鋳造結果を登録する。
【0045】
ボタンBは、注湯ボタンB5を含む。注湯設備7の表示装置7Dには、注湯工程よりも前の工程となる、砂処理工程に対応する砂処理ボタンB9、造型工程に対応する製品ボタンB1、鋳型ボタンB2、中子設置工程に対応する中子ボタンB4、及び注湯工程に対応する注湯ボタンB5が表示されている。
全体制御装置11は、注湯工程、及び注湯工程よりも後の工程となる冷却搬送工程、後処理工程に対応する制御盤4P、7P、8Pに、注湯データテーブル204を送信する。これらの制御盤4P、7P、8Pにおいては、入力装置4N、7N、8Nで注湯ボタンB5が選択されると、例えば図7に示されるように、表示装置4D、7D、8Dに、受信した注湯データテーブル204が表示される。
【0046】
また、図8に示されるように、ボタンBは、注湯選択ボタンB20を備えている。注湯設備7の制御盤7Pにおいては、表示装置7Dには、注湯選択ボタンB20が表示されている。制御盤7Pの入力装置7Nで、表示装置7Dに表示された注湯選択ボタンB20を選択することにより、製品情報テーブル200の一部と、検査装置2Cによる型ずれの検査結果とが、表示される。
検査装置2Cによって、鋳型19Aの型ずれが検知された場合においては、当該鋳型19Aに対して注湯を行っても、後処理工程における最終検査で合格する程度の品質の鋳物19Eは、基本的には得られない。したがって、溶湯を無駄にしないためにも、型ずれが検知された鋳型19Aに対しては、注湯を行わないことが考えられる。
【0047】
これに対し、本実施形態においては、図8に示されるように、注湯設備7の制御盤7Pにおいて注湯選択ボタンB20を選択することで、注湯工程において、現在処理の対象となる鋳型19Aの鋳型識別番号と、これに対応付けられた、造型工程における固有データ、特に検査装置2Cによる型ずれの検査結果が、表示装置7Dに表示される。
このとき、表示装置7Dには、検査結果が「型ずれ」と表示された鋳型識別番号に対応する鋳型に対し、例えば「鋳型識別番号が[鋳型識別番号]の鋳型に対する注湯を行いますか?」とのメッセージと、「はい」「いいえ」のボタンが表示される。入力装置7Nは、次に処理の対象となる鋳型への、注湯を行うか否かの入力を受け付け可能に構成されている。この入力装置7Nによって「いいえ」が選択されると、当該鋳型識別番号に対応する鋳型への注湯は行われない。入力装置7Nによって「はい」が選択されると、当該鋳型識別番号に対応する鋳型への注湯は、型ずれが検知されていた場合であっても、行われる。
なお、表示装置7Dには、造型工程の固有データとして、少なくとも鋳型の検査結果が表示されて、注湯を行うか否かの判断ができるように構成されていればよい。
各鋳型に対して注湯が行われたか否かの結果は、全体制御装置11へと送信される。全体制御装置11は、製品情報テーブル200の鋳造結果の項目に、例えば注湯が行われた場合には「注湯」の値を、行われなかった場合には「造型不良」の値を、それぞれ入力し、製品情報テーブル200を更新する。全体制御装置11は、更新された製品情報テーブル200を、造型工程と中子工程、及びこれらよりも後の工程となる注湯工程、冷却搬送工程、後処理工程に対応する制御盤2P、3P、4P、7P、8Pに送信する。図4においては、鋳造結果の値がこのようにして更新された製品情報テーブル200が表示されている。
【0048】
このように、全体制御装置11は、注湯工程の固有データに鋳型識別番号を対応付けることにより、注湯工程の、一枠の鋳型分の固有データを、一枠の鋳型分ごとに、鋳型19Aに対応付ける。
また、注湯設備7の表示装置7Dにおいて、注湯工程(二の工程)よりも前の工程となる砂処理工程(一の工程)に対応する砂処理ボタンB9が選択されると、砂処理工程よりも後の工程となる注湯工程において処理の対象となる鋳型に対応付けられた、当該鋳型を製造する際に用いられた鋳物砂の、砂処理工程における固有データが、図13を用いて後に説明するものと同様に、表示される。
また、注湯設備7の表示装置7Dにおいて、注湯工程(二の工程)よりも前の工程となる造型工程及び中子設置工程(一の工程)に対応する製品ボタンB1、鋳型ボタンB2、中子ボタンB4が選択されると、これらの工程よりも後の工程となる注湯工程において処理の対象となる鋳型の、造型工程及び中子設置工程における固有データが、図4図6を用いて説明したものと同様に、表示される。
このように、制御装置は、二の工程(例えば注湯工程)を実行する設備に設けられた表示装置に、二の工程において処理の対象となる鋳型に対応付けられた、一の工程(例えば造型工程、中子設置工程)の固有データを表示する。
【0049】
全体制御装置11は、図9に示される冷却搬送データテーブル206を保持している。冷却搬送データテーブル206は、冷却、搬送に関する冷却搬送データを管理するテーブルであり、各鋳型に対して、冷却搬送データの各々が対応付けられた構成となっている。
図3に示されるように、本実施形態においては、造型設備2から鋳型が排出される定盤台車52の位置52Aと、鋳型ばらし装置65により鋳型がばらされる定盤台車52の位置52Cは定まったものとなっており、これらの位置52Aと位置52Cの間の定盤台車52の数も一定のものとなっている。このため、ある特定の定盤台車52が位置52Aに位置していた時刻は、位置52Cにおける時刻がわかれば、それに対応する処理タイミングから、位置52Aと位置52Cの間の定盤台車52の数だけ遡った処理タイミングが送信された時刻を基に推定可能である。すなわち、全体制御装置11は、冷却搬送設備4の制御盤4Pから受信した鋳型ばらし時刻から、当該鋳型が載置された定盤台車52が位置52Aに位置していた時刻を推定し、これを製品情報テーブル200に登録された造型時刻と比較して、受信した鋳型ばらし時刻を固有データとして有する鋳型に対応する鋳型識別番号を取得する。
全体制御装置11は、冷却搬送設備4から冷却搬送データを受信するたびに、冷却搬送データテーブル206に新たな鋳型に対応する項目を追加して、この追加された項目の各欄に、上記のように取得した鋳型識別番号と、冷却搬送設備4から受信した冷却搬送データの各々を登録する。
【0050】
ボタンBは、冷却搬送ボタンB7を含む。冷却搬送設備4の表示装置4Dには、冷却搬送工程よりも前の工程となる、砂処理工程に対応する砂処理ボタンB9、造型工程に対応する製品ボタンB1、鋳型ボタンB2、中子設置工程に対応する中子ボタンB4、注湯工程に対応する注湯ボタンB5、及び冷却搬送工程に対応する冷却搬送ボタンB7が表示されている。
全体制御装置11は、冷却搬送工程、及び冷却搬送工程よりも後の工程となる後処理工程に対応する制御盤4P、8Pに、冷却搬送データテーブル206を送信する。これらの制御盤4P、8Pにおいては、入力装置4N、8Nで冷却搬送ボタンB7が選択されると、例えば図9に示されるように、表示装置4D、8Dに、受信した冷却搬送データテーブル206が表示される。
【0051】
また、図10に示されるように、ボタンBは、鋳込み温度表示ボタンB22を備えている。冷却搬送設備4の制御盤4Pにおいては、表示装置4Dには、鋳込み温度表示ボタンB22が表示されている。制御盤4Pの入力装置4Nで、表示装置4Dに表示された鋳込み温度表示ボタンB22を選択することにより、冷却搬送データテーブル206と、冷却搬送データテーブル206の各鋳型識別番号に対応する、注湯工程における固有データである注湯データテーブル204の鋳込み温度が、併せて表示される。
なお、注湯工程における固有データとしては、少なくとも鋳込み温度が表示される構成とすればよく、また、鋳込み温度以外の固有データが表示されるようにしてもよい。
更に、図11に示されるように、ボタンBは、パターン番号表示ボタンB23を備えている。冷却搬送設備4の制御盤4Pにおいては、表示装置4Dには、パターン番号表示ボタンB23が表示されている。制御盤4Pの入力装置4Nで、表示装置4Dに表示されたパターン番号表示ボタンB23を選択することにより、冷却搬送データテーブル206と、冷却搬送データテーブル206の各鋳型識別番号に対応する、造型工程における固有データである製品情報テーブル200のパターン番号と品番とが、併せて表示される。
パターン番号表示ボタンB23が選択された場合には、鋳型識別番号に対応してパターン番号と品番のいずれか一方のみが表示されるようにしてもよい。
【0052】
このように、全体制御装置11は、冷却搬送工程の固有データである冷却搬送データに鋳型識別番号を対応付けることにより、冷却搬送工程の、一枠の鋳型分の固有データを、一枠の鋳型分ごとに、冷却搬送工程において搬送される、鋳型19A、錘載置鋳型19B、錘載置注湯鋳型19C、注湯鋳型19D、及び鋳物19Eに対応付ける。すなわち、同一の一枠の鋳型に対応する、鋳型19A、錘載置鋳型19B、錘載置注湯鋳型19C、注湯鋳型19D、及び鋳物19Eには、当該鋳型に対応する、同一の固有データが対応付けられる。
冷却搬送設備4の表示装置4Dにおいて、冷却搬送工程(二の工程)よりも前の工程となる砂処理工程(一の工程)に対応する砂処理ボタンB9が選択されると、砂処理工程よりも後の工程となる冷却搬送工程において処理の対象となる鋳型に対応付けられた、当該鋳型を製造する際に用いられた鋳物砂の、砂処理工程における固有データが、図13を用いて後に説明するものと同様に、表示される。
また、冷却搬送設備4の表示装置4Dにおいて、冷却搬送工程(二の工程)よりも前の工程となる造型工程、中子設置工程、及び注湯工程(一の工程)に対応する製品ボタンB1、鋳型ボタンB2、中子ボタンB4、注湯ボタンB5が選択されると、これらの工程よりも後の工程となる冷却搬送工程において処理の対象となる鋳型の、造型工程、中子設置工程及び注湯工程における固有データが、図4図7を用いて説明したものと同様に、表示される。
このように、制御装置は、二の工程(例えば冷却搬送工程)を実行する設備に設けられた表示装置に、二の工程において処理の対象となる鋳型に対応付けられた、一の工程(例えば造型工程、中子設置工程、注湯工程)の固有データを表示する。
【0053】
全体制御装置11は、図12に示される後処理データテーブル207を保持している。後処理データテーブル207は、後処理に関する後処理データを管理するテーブルであり、各鋳型に対して、後処理データの各々が対応付けられた構成となっている。
図1に示されるように、本実施形態においては、造型設備2から鋳型が排出される定盤台車52の位置52Aと、当該鋳型から取り出された鋳物が刻印装置84により刻印される載置治具の位置83Dは定まったものとなっており、これらの位置52Aと位置83Dの間の定盤台車52、懸吊装置61、及びコンベア83の載置治具の数も一定のものとなっている。このため、ある特定の定盤台車52が位置52Aに位置していた時刻は、位置83Dにおける時刻がわかれば、それに対応する処理タイミングから、位置52Aと位置83Dの間の定盤台車52、懸吊装置61、及び載置治具の数だけ遡った処理タイミングが送信された時刻を基に推定可能である。すなわち、全体制御装置11は、後処理設備8の制御盤8Pから受信した刻印時刻から、これに対応する鋳型が載置された定盤台車52が位置52Aに位置していた時刻を推定し、これを製品情報テーブル200に登録された造型時刻と比較して、受信した鋳型ばらし時刻を固有データとして有する鋳型に対応する鋳型識別番号を取得する。
全体制御装置11は、後処理設備8から後処理データを受信するたびに、後処理データテーブル207に新たな鋳型に対応する項目を追加して、この追加された項目の各欄に、上記のように取得した鋳型識別番号と、後処理設備8から受信した後処理データの各々を登録する。
【0054】
ボタンBは、後処理ボタンB8と、全体ボタンB30を含む。後処理設備8の表示装置8Dには、後処理工程よりも前の工程となる、砂処理工程に対応する砂処理ボタンB9、造型工程に対応する製品ボタンB1、鋳型ボタンB2、中子設置工程に対応する中子ボタンB4、注湯工程に対応する注湯ボタンB5、冷却搬送工程に対応する冷却搬送ボタンB7、及び後処理工程に対応する後処理ボタンB8が表示されている。
全体制御装置11は、後処理工程に対応する制御盤8Pに、後処理データテーブル207を送信する。制御盤8Pにおいては、入力装置8Nで後処理ボタンB8が選択されると、例えば図12に示されるように、表示装置8Dに、受信した後処理データテーブル207が表示される。
全体ボタンB30については、後に説明する。
【0055】
このように、全体制御装置11は、後処理工程の固有データに鋳型識別番号を対応付けることにより、後処理工程の、一枠の鋳型分の固有データを、一枠の鋳型分ごとに、鋳物19Eに対応付ける。
後処理設備8の表示装置8Dにおいて、後処理工程(二の工程)よりも前の工程となる砂処理工程(一の工程)に対応する砂処理ボタンB9が選択されると、砂処理工程よりも後の工程となる後処理工程において処理の対象となる鋳型に対応付けられた、当該鋳型を製造する際に用いられた鋳物砂の、砂処理工程における固有データが、図13を用いて後に説明するものと同様に、表示される。
また、後処理設備8の表示装置8Dにおいて、後処理工程(二の工程)よりも前の工程となる造型工程、中子設置工程、注湯工程、及び冷却搬送工程(一の工程)に対応する製品ボタンB1、鋳型ボタンB2、中子ボタンB4、注湯ボタンB5、冷却搬送ボタンB7が選択されると、これらの工程よりも後の工程となる後処理工程において処理の対象となる鋳型の、造型工程、中子設置工程、注湯工程、及び冷却搬送工程における固有データが、図4図7図9を用いて説明したものと同様に、表示される。
このように、制御装置は、二の工程(例えば後処理工程)を実行する設備に設けられた表示装置に、二の工程において処理の対象となる鋳型に対応付けられた、一の工程(例えば造型工程、中子設置工程、注湯工程、冷却搬送工程)の固有データを表示する。
【0056】
全体制御装置11は、図13に示される砂処理データテーブル208を保持している。砂処理データテーブル208は、砂処理に関する砂処理データを管理するテーブルであり、各鋳型に対して、砂処理データの各々が対応付けられた構成となっている。
砂処理設備10においては、鋳型砂の性状が計測されてから、砂処理設備10から排出されて、コンベア131を介して造型設備2に供給され、造型されて鋳型19Aが造型設備2から排出されるまでの処理砂移動時間は、基本的には略一定である。
このため、全体制御装置11はまず、砂処理設備10から砂処理データを受信するたびに、砂処理データテーブル208に新たな鋳型に対応する項目を追加して、この追加された項目の各欄に、鋳型識別番号を除いた、砂処理設備10から受信した砂処理データの各々を登録する。
全体制御装置11は更に、造型設備2から固有データを受信し、製品情報テーブル200に新たな鋳型に対応する項目を追加して新規に鋳型識別番号を発行し、鋳型識別番号と造型時刻を登録するに際し、造型時刻から上記の処理砂移動時間を減算して、当該鋳型の造型に使用された鋳型砂の砂性状が計測された時刻を推定する。全体制御装置11は、この推定された時刻を、砂処理データテーブル208の各計測時刻(図13におけるIDST計測時刻)と比較し、砂処理データテーブル208の、最も近い計測時刻を備えた計測結果の鋳型識別番号欄に、新規に発行された鋳型識別番号を登録する。
【0057】
全体制御装置11は、砂処理工程、及び砂処理工程よりも後の工程となる造型工程と中子工程、注湯工程、冷却搬送工程、後処理工程に対応する制御盤2P、3P、4P、7P、8P、10Pに、砂処理データテーブル208を送信する。これらの制御盤2P、3P、4P、7P、8P、10Pにおいては、入力装置2N、3N、4N、7N、8N、10Nで砂処理ボタンB9が選択されると、例えば図13に示されるように、表示装置2D、3D、4D、7D、8D、10Dに、受信した砂処理データテーブル208が表示される。
【0058】
このように、全体制御装置11は、砂処理工程の固有データに対して鋳型識別番号を対応付けることにより、砂処理工程の、一枠の鋳型分の固有データを、一枠の鋳型分ごとに、鋳型に対応付ける。
制御装置は、二の工程(例えば造型工程、中子設置工程、注湯工程、冷却搬送工程、及び後処理工程)を実行する設備に設けられた表示装置に、二の工程において処理の対象となる鋳型に対応付けられた、一の工程(例えば砂処理工程)の固有データを表示する。
【0059】
全体制御装置11は、表示装置11Dと入力装置11Nを備えている。表示装置11Dは、上記の各テーブルの内容等の、全体制御装置11が保持する情報を表示する。
全体制御装置11の表示装置11Dには、砂処理工程に対応する砂処理ボタンB9、造型工程に対応する製品ボタンB1、鋳型ボタンB2、中子設置工程に対応する中子ボタンB4、注湯工程に対応する注湯ボタンB5、冷却搬送工程に対応する冷却搬送ボタンB7、及び後処理工程に対応する後処理ボタンB8が表示されている。
また、全体制御装置11の表示装置11Dには、全体ボタンB30が表示されている。入力装置11Nで全体ボタンB30が選択されると、図14に示されるように、表示装置11Dに、互いに関連付けられた各固有データの全体またはその一部が表示される。
本実施形態においては、全体ボタンB30が選択されると、造型工程に関連する固有データから、製品情報テーブル200(図4参照)の造型時刻、パターン番号、品番が、中子設置工程に関連する固有データから、中子データテーブル203(図6参照)の中子設置時刻が、注湯工程に関連する固有データから、注湯データテーブル204(図7参照)の鋳込み時刻、鋳込み温度が、冷却搬送工程に関連する固有データから、冷却搬送データテーブル206(図9参照)の枠バラシ時刻が、後処理工程に関連する固有データから、後処理データテーブル207(図12参照)の刻印時刻、刻印種類、堰折り時刻、最終検査の検査結果が、砂処理工程に関連する固有データから、砂処理データテーブル208(図13参照)のIDST測定時刻、砂温、CB、水分が、それぞれ抽出されて、鋳型識別番号に対応付けられて、表示されている。
全体ボタンB30が選択された際に表示される固有データ及びその組み合わせは、上記に限られないのは言うまでもない。
【0060】
図12に示されるように、全体ボタンB30は、後処理設備8の表示装置8Dにも表示されている。後処理設備8の入力装置8Nにおいて、全体ボタンB30が選択された際においても、後処理設備8の表示装置8Dには、図14に示されたような、互いに関連付けられた各固有データの全体またはその一部が表示される。
特に、本実施形態においては、表示された項目は、後処理工程における検査結果を含んでいる。
このように、後処理設備8の制御盤8P(制御装置)は、後処理設備8に設けられた表示装置8Dに、鋳物19Eの最終検査の結果とともに、鋳物19Eに対応付けられた、後処理工程よりも前の他の工程の固有データを表示する。後処理設備8に設けられた表示装置8Dには、鋳物19Eの最終検査の結果とともに、鋳物19Eに対応付けられた、後処理工程よりも前の工程のなかの、少なくとも1つの固有データが表示されてもよい。
【0061】
次に、図1~14、及び図15を用いて、上記の鋳造設備1による鋳造方法を説明する。
まず、砂処理設備10において、砂処理が実行される(ステップS1)。砂処理においては、砂性状が計測される。
砂処理設備10の制御盤10Pは、全体制御装置11によって指示される計測タイミングで、基本的には上記所定の鋳造サイクルおきに、砂処理データを全体制御装置11へと送信する。
全体制御装置11は、砂処理設備10から砂処理データを受信すると、砂処理データテーブル208に新たな鋳型に対応する項目を追加して、この追加された項目の各欄に、鋳型識別番号を除いた、砂処理設備10から受信した砂処理データの各々を登録する。
砂性状が計測された鋳型砂は、コンベア131により、造型設備2へと搬送される。
【0062】
次に、造型設備2が、砂処理設備10によって処理された鋳型砂から鋳型を造型する(ステップS2)。また、造型された上鋳型と下鋳型は、造型設備2内において一旦上下に分離され、中子が設置された後に型合わせされて(ステップS3)、冷却搬送設備4へと排出される。
本実施形態においては、全体制御装置11によって指示される処理タイミングで、基本的には所定の鋳造サイクルに一個の速度で、鋳型が造型、排出される。
【0063】
造型設備2のタイマは、一対の上鋳型と下鋳型に対して、造型設備2のスクイズボードにより上鋳型と下鋳型のスクイズが終了した時刻を、造型時刻として計測し、造型設備2の制御盤2Pへ送信する。造型設備2の制御盤2Pは、各鋳型に対する造型時刻を、各鋳型に対する固有データとして全体制御装置11へと送信する。
造型設備2は、計測器により鋳型データの各々を計測する。造型設備2の制御盤2Pは、各種の計測器により計測されたこれらの鋳型データを受信し、全体制御装置11へと送信する。
中子設置設備3のタイマは、一対の上鋳型と下鋳型に対して、この中に中子が設置された時刻を、中子設置時刻として計測し、中子設置設備3の制御盤3Pへ送信する。
中子設置設備3のタイマは、中子入れ時間を、更に計測する。中子設置設備3の制御盤3Pは、中子設置時刻と中子入れ時間を受信し、中子データとして全体制御装置11へと送信する。
【0064】
上記のようにして製造された鋳型19Aは、後に説明するように冷却搬送設備4によって搬送されるが、この搬送時において鋳型19Aに型ずれが生じた場合には、検査装置2Cがこれを検出する。
造型設備2は、この、検査装置2Cによる型ずれの検査結果を、制御盤2Pへと送信する。制御盤2Pは、型ずれの検査結果を全体制御装置11へと送信する。
【0065】
全体制御装置11は、造型設備2から、造型した各鋳型に対する造型時刻、鋳型データを受信すると、造型された鋳型に対する固有の鋳型識別番号を発行し、製品情報テーブル200にこの新たな鋳型に対応する項目を追加して、追加された項目の各欄に、発行された鋳型識別番号と、造型時刻、パターン番号、品番、製品名、材質を、製品データとして登録する。
また、全体制御装置11は、鋳型識別番号を発行して製品情報テーブル200に新たな鋳型に対応する項目を追加する際に、鋳型データテーブル201においても、新たな鋳型に対応する項目を追加し、この追加された項目の各欄に、発行された鋳型識別番号と、造型設備2から受信した鋳型データを登録する。
全体制御装置11は、中子設置設備3から中子データを受信すると、中子データテーブル203に新たな鋳型に対応する項目を追加して、この追加された項目の各欄に、既に説明した要領で取得した鋳型識別番号と、中子設置設備3から受信した中子データの各々を登録する。
全体制御装置11は更に、造型時刻から処理砂移動時間を減算して、当該鋳型の造型に使用された鋳型砂の砂性状が砂特性計測器129によって計測された時刻を推定する。全体制御装置11は、この推定された時刻を、砂処理データテーブル208の各計測時刻と比較し、砂処理データテーブル208の、最も近い計測時刻を備えた計測結果の鋳型識別番号欄に、新規に発行された鋳型識別番号を登録する。
【0066】
全体制御装置11は、砂処理工程、及び砂処理工程よりも後の工程となる造型工程と中子工程、注湯工程、冷却搬送工程、後処理工程に対応する制御盤2P、3P、4P、7P、8P、10Pに、砂処理データテーブル208を送信する。
全体制御装置11は、造型工程と中子工程、及びこれらよりも後の工程となる注湯工程、冷却搬送工程、後処理工程に対応する制御盤2P、3P、4P、7P、8Pに、製品情報テーブル200、鋳型データテーブル201、及び中子データテーブル203を送信する。
【0067】
造型された鋳型は、冷却搬送設備4により搬送される(ステップS4)。鋳型19Aには、注湯設備7によって溶湯が鋳込まれる(ステップS5)。
冷却搬送設備4の各定盤台車52は、全体制御装置11によって指示される処理タイミングで、基本的には上記所定の鋳造サイクルおきに、一台の定盤台車52分だけ、第1ライン50及び第2ライン51を循環するように移動する。
注湯設備7の自動注湯装置72は、全体制御装置11によって指示される処理タイミングで、基本的には上記所定の鋳造サイクルおきに、第1ライン50上で搬送される鋳型19Aに対して注湯する。
【0068】
ここで、例えば作業員が、注湯設備7の制御盤7Pにおいて、入力装置7Nで、表示装置7Dに表示された注湯選択ボタンB20を選択することにより、注湯工程において、現在処理の対象となる鋳型19Aの鋳型識別番号と、これに対応付けられた、検査装置2Cによる型ずれの検査結果を、図8に示されるように表示し、当該表示画面において、検査結果が「型ずれ」と表示された鋳型識別番号に対応する鋳型に対し、注湯を行わないことを選択すると、当該鋳型識別番号に対応する鋳型への注湯は行われない。
【0069】
注湯設備7のタイマは、一対の上鋳型と下鋳型に対して、溶湯を鋳込んだ時刻を、鋳込み時刻として計測し、注湯設備7の制御盤7Pへ送信する。
注湯設備7の制御盤7Pは、注湯設備7の各計測器により計測された計測値を受信し、注湯した取鍋に対応する取鍋ロット番号(取鍋番号)、材質番号、及び鋳込み時刻とともに、これらを注湯データとして全体制御装置11へと送信する。
【0070】
全体制御装置11は、注湯設備7から注湯データを受信すると、注湯データテーブル204に新たな鋳型に対応する項目を追加して、この追加された項目の各欄に、既に説明した要領で取得した鋳型識別番号と、注湯設備7から受信した注湯データを登録する。
また、全体制御装置11は、鋳型に注湯したか否かに応じて、製品情報テーブル200において、取得した鋳型識別番号に対応する鋳造結果を登録する。
【0071】
全体制御装置11は、注湯工程、及び注湯工程よりも後の工程となる冷却搬送工程、後処理工程に対応する制御盤4P、7P、8Pに、注湯データテーブル204を送信する。
【0072】
注湯設備7によって注湯された錘載置注湯鋳型19Cは、一次冷却搬送装置5により冷却されつつ搬送され、鋳型ばらし装置65へ到達する。
鋳型ばらし装置65においては、鋳型がばらされて鋳物19Eが取り出される。
鋳物19Eは、二次冷却搬送装置6によって、冷却されつつ搬送される。
鋳型を形成していた鋳型砂は、コンベア101によって回収されて、ステップS1の砂処理工程に供給される。
冷却搬送設備4の制御盤4Pは、全体制御装置11によって指示される処理タイミングで、基本的には上記所定の鋳造サイクルおきに、各懸吊装置61が、隣接する懸吊装置61間の間隔分だけ、鋳物レール60上を移動するように、駆動部を制御する。
【0073】
冷却搬送設備4のタイマは、一対の上鋳型と下鋳型に対して、鋳型ばらし時刻と冷却時間を計測し、冷却搬送設備4の制御盤4Pへ送信する。冷却搬送設備4の制御盤4Pは、各鋳型に対する鋳型ばらし時刻と冷却時間を、冷却搬送データとして全体制御装置11へと送信する。
全体制御装置11は、冷却搬送設備4から冷却搬送データを受信すると、冷却搬送データテーブル206に新たな鋳型に対応する項目を追加して、この追加された項目の各欄に、既に説明した要領で取得した鋳型識別番号と、冷却搬送設備4から受信した冷却搬送データの各々を登録する。
【0074】
全体制御装置11は、冷却搬送工程、及び冷却搬送工程よりも後の工程となる後処理工程に対応する制御盤4P、8Pに、冷却搬送データテーブル206を送信する。
【0075】
冷却され搬送された鋳物19Eに対しては、後処理工程が実行される(ステップS6)。後処理設備8においては、鋳物19Eは、ショットブラスト装置82によりショットブラストされ、かつ刻印装置84により刻印される。
その後、各鋳物19Eは、堰折りされて、1つの、または複数の鋳物製品が形成される。
【0076】
後処理設備8の制御盤8Pは、全体制御装置11によって指示される処理タイミングで、基本的には上記所定の鋳造サイクルおきに、コンベア83上の載置治具が、隣接する載置治具間の間隔分だけ移動するように、コンベア83を制御する。
後処理設備8のタイマは、一対の上鋳型と下鋳型に対して、刻印時刻と堰折り時刻を計測し、後処理設備8の制御盤8Pへ送信する。
堰折りにより形成された各鋳物製品は、作業員等により検査される。検査においては、鋳物製品の寸法や傷の有無等がチェックされる。作業員は、一対の上鋳型と下鋳型に対して、当該鋳型により形成された1または複数の鋳物製品に対する最終検査の検査結果を、制御盤8Pへと入力する。
後処理設備8の制御盤8Pは、各鋳物に対する刻印時刻と刻印種類、堰折り時刻、及び最終検査の検査結果を、後処理データとして全体制御装置11へと送信する。
全体制御装置11は、後処理設備8から後処理データを受信すると、後処理データテーブル207に新たな鋳型に対応する項目を追加して、この追加された項目の各欄に、既に説明した要領で取得した鋳型識別番号と、後処理設備8から受信した後処理データの各々を登録する。
【0077】
全体制御装置11は、後処理工程に対応する制御盤8Pに、後処理データテーブル207を送信する。
全体制御装置11または後処理設備8の制御盤8Pにおいて、入力装置8N、11Nで全体ボタンB30が選択されると、表示装置8D、11Dに、互いに関連付けられた各固有データの全体またはその一部が表示される。
【0078】
次に、上記の鋳造設備及び鋳造方法の効果について説明する。
上記の鋳造設備1は、複数の工程について、一枠の鋳型分の固有データを取得し、各工程の固有データを、一枠の鋳型分ごとに、当該鋳型に対応付ける制御装置(全体制御装置11、制御盤2P、3P、4P、7P、8P、10P)と、複数の工程の中の一の工程と、該一の工程よりも後の二の工程に対し、二の工程を実行する設備に設けられた表示装置と、を備え、制御装置は、表示装置に、二の工程において処理の対象となる鋳型に対応付けられた、一の工程の固有データを表示する。
上記のような構成によれば、鋳造設備での鋳造において鋳物製品に不具合が生じた場合に、一枠の鋳型分ごとに対応付けられた各工程の固有データを基に、対応付けられた工程間を関連付け、工程全体を俯瞰した状態の解析環境で、不具合の解析が可能である。同様に、鋳物の品質を向上させるために、鋳造設備の動作環境を変更する場合においても、品質向上に有効な鋳造設備の変更点を、工程間を関連付けられた固有データを辿ることで、比較的容易に抽出可能となる。このように、工程を跨いで固有データ間を関連付けることにより、計測データの追跡性が向上し、容易に計測データを追跡、抽出できる。
また、上記のような構成においては、各工程の固有データが鋳型に対応付けられ、これを表示装置に表示することができるため、計測データの追跡、抽出が、より容易である。
特に、二の工程を実行する設備に設けられた表示装置において、より前の工程である一の工程の固有データが表示されるため、例えば二の工程において処理中の鋳型に何らかの問題が生じた場合に、当該鋳型に関連付けられた、より前の工程の固有データを、二の工程が実行されるその場で確認することができる。したがって、状況に応じた適切な対応を、即時、行うことができる。
【0079】
また、複数の工程は、鋳型の造型を行う造型工程と、溶湯を製造して鋳型内に注湯する注湯工程を含み、制御装置は、注湯設備7(注湯工程を行う設備)に設けられた表示装置7Dに、注湯工程において処理の対象となる鋳型に対応付けられた、造型された鋳型の検査結果を含む、造型工程の固有データを表示する。
また、注湯設備7(注湯工程を行う設備)は、次に処理の対象となる鋳型への、注湯を行うか否かの入力を受け付け可能な入力装置7Nを備え、入力装置7Nが、注湯を行わないという入力を受け付けた場合には、注湯設備7は、次に処理の対象となる鋳型への注湯を行わない。
上記のような構成によれば、注湯設備7において、処理の対象となる造型された鋳型の検査結果が表示され、なおかつ注湯設備7は、次に処理の対象となる鋳型への、注湯を行うか否かの入力を受け付け可能な入力装置7Nを備え、入力装置7Nが、注湯を行わないという入力を受け付けた場合には、注湯設備7は、次に処理の対象となる鋳型への注湯を行わないため、検査結果によって、鋳型への注湯を行わないようにすることができる。これにより、造型不良の鋳型に対する注湯を行わずに済み、溶湯の無駄な消費が低減される。
【0080】
また、複数の工程は、溶湯を製造して鋳型内に注湯する注湯工程と、鋳型、溶湯が鋳込まれた鋳型、及び鋳型により製造された鋳物を搬送し、かつ冷却する、冷却搬送工程を含み、鋳物には、当該鋳物が製造された鋳型と同じ固有データが対応付けられ、制御装置は、冷却搬送設備4(冷却搬送工程を行う設備)に設けられた表示装置4Dに、冷却搬送工程において処理の対象となる鋳型に対応付けられた、鋳込み温度を含む、注湯工程の固有データを表示する。
上記のような構成によれば、鋳型に対応付けて鋳込み温度が表示されるため、現在搬送されている鋳型の搬送時間と、当該鋳型に対して鋳込まれた溶湯の温度とから、例えば鋳型が鋳型ばらし装置65によって型ばらしされるまでに、十分な冷却時間が設けられたかを確認し、これを基に、例えば冷却搬送により多くの時間を要するような設定とすることができる。
【0081】
また、複数の工程は、鋳型の造型を行う造型工程と、鋳型、溶湯が鋳込まれた鋳型、及び鋳型により製造された鋳物を搬送し、かつ冷却する、冷却搬送工程を含み、鋳物には、当該鋳物が製造された鋳型と同じ固有データが対応付けられ、冷却搬送設備4(冷却搬送工程を行う設備)は、鋳型をばらして鋳物から鋳型砂を分離する鋳型ばらし装置65を備え、制御装置は、冷却搬送設備4に設けられた表示装置4Dに、鋳型ばらし装置65において処理の対象となる鋳型に対応付けられた、造型に用いられたパターンの番号であるパターン番号と、当該鋳型により製造された鋳物の製品番号の、いずれか一方または双方を含む、造型工程の固有データを表示する。
上記のような構成によれば、鋳型ばらし装置65において鋳型をばらす際に、当該鋳型のパターン番号や品番を確認することができる。
【0082】
また、複数の工程は、鋳型により製造された鋳物の最終検査を含む後処理を行う、後処理工程を含み、鋳物には、当該鋳物が製造された鋳型と同じ固有データが対応付けられ、制御装置は、後処理設備8(後処理工程を行う設備)に設けられた表示装置8Dに、鋳物の最終検査の結果とともに、当該鋳物に対応付けられた、後処理工程よりも前の少なくとも1つの工程の固有データを表示する。
上記のような構成によれば、鋳物の最終検査の結果とともに、当該鋳物に対応付けられた、後処理工程よりも前の少なくとも1つの工程の固有データを表示することができるため、データの追跡、抽出が、より容易である。
【0083】
また、上記の鋳造方法は、鋳造設備1の複数の工程について、一枠の鋳型分の固有データを取得し、各工程の固有データを、一枠の鋳型分ごとに、当該鋳型に対応付け、複数の工程の中の一の工程と、該一の工程よりも後の二の工程に対し、二の工程を実行する設備に設けられた表示装置に、二の工程において処理の対象となる鋳型に対応付けられた、一の工程の固有データを表示する。
上記のような構成によれば、計測データの追跡、抽出が、より容易である。
【0084】
なお、本発明の鋳造設備及び鋳造方法は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において他の様々な変形例が考えられる。
例えば、上記実施形態において、造型設備2は抜枠式であったが、枠付き式とすることもできる。すなわち、この場合においては、造型設備は、冷却搬送設備に、下枠付き下鋳型と上枠付き上鋳型を交互に供給し、造型設備とは別に、冷却搬送設備において造型設備よりも下流に位置する中子設置設備により中子を設置した後に、型合わせ装置により上枠付き上鋳型を下枠付き下鋳型の上へと設置して型合わせし、その後注湯する構成となる。
このような鋳造設備においても、上記実施形態と同様な原理で、複数の工程について、一枠の鋳型分の固有データを取得し、各工程の固有データを、一枠の鋳型分ごとに、当該鋳型に対応付ける制御装置と、複数の工程の中の一の工程と、該一の工程よりも後の二の工程に対し、二の工程を実行する設備に設けられた表示装置と、を備え、制御装置は、表示装置に、二の工程において処理の対象となる鋳型に対応付けられた、一の工程の固有データを表示する構成とすることができるのは、言うまでもない。この場合においては、下枠付き下鋳型と上枠付き上鋳型の組み合わせが、一枠の鋳型分に相当する。
上記実施形態においては、検査装置2Cは、型ずれの検査を行うものであったが、上記のような枠付き式の鋳造設備においては、これに代えて、下枠付き下鋳型と上枠付き上鋳型の、型合わせされる際に内側に位置して、鋳物を形成する表面を検査することがある。より具体的には、例えば、鋳物の角を形成する部分に対応する表面が欠け落ちる、型落ちの検査が行われることがある。この場合においては、造型後の検査結果としては、型落ちの検査結果が、制御装置に登録され得る。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0085】
1 鋳造設備
2 造型設備
2P 制御盤(制御装置)
2D 表示装置
3 中子設置設備
3P 制御盤(制御装置)
3D 表示装置
4 冷却搬送設備(冷却搬送工程を行う設備)
4P 制御盤(制御装置)
4D 表示装置
7 注湯設備(注湯工程を行う設備)
7P 制御盤(制御装置)
7D 表示装置
7N 入力装置
8 後処理設備(後処理工程を行う設備)
8P 制御盤(制御装置)
8D 表示装置
10 砂処理設備
10P 制御盤(制御装置)
10D 表示装置
11 全体制御装置(制御装置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15