(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024087
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】構造体およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
B01J 23/22 20060101AFI20240214BHJP
B01J 35/39 20240101ALI20240214BHJP
B01J 35/53 20240101ALI20240214BHJP
C01G 31/00 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
B01J23/22 M
B01J35/39
B01J35/53
C01G31/00
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024001099
(22)【出願日】2024-01-09
(62)【分割の表示】P 2020051174の分割
【原出願日】2020-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】597065329
【氏名又は名称】学校法人 龍谷大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】山本 伸一
(57)【要約】
【課題】光触媒効果の高い構造体と、その製造方法を提供する。
【解決手段】基板上に、単斜晶のバナジン酸ビスマスを有する構造体に関する。また、バナジウムを含有する化合物を基板上に積層する工程、積層されたバナジウムを含有する化合物上に、バナジン酸ビスマスを積層し、積層体を製造する工程、および、得られた積層体を熱処理する工程を含む構造体の製造方法に関する。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、単斜晶のバナジン酸ビスマス粒子を有する構造体であって、
バナジン酸ビスマス粒子の外周の一部に、バナジウムを含有する化合物を含む層を有し、酸化スズを含まない構造体であり、
バナジウムを含有する化合物が、V2O5(五酸化バナジウム(V))、VO2(酸化バナジウム(IV))、V2O3(酸化バナジウム(III))、または、V6O13(十三酸化六バナジウム(IV、V))である構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光触媒効果を有する構造体およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
単斜晶系のバナジン酸ビスマス(BiVO4)のバンドギャップは、2.4eV(波長約517nmに対応)であり、バンドギャップ3.2eVに対応する波長388nm以下の紫外光を利用する酸化チタンと比較して、太陽光エネルギーの受光量は約3.5倍となり、高効率な光触媒として期待されている。
【0003】
バナジン酸ビスマスを可視光応答性光触媒として利用するためには、壁のタイルなどの基板に薄く成膜する必要がある。成膜方法としては、以下の方法が挙げられる。
(1)基板に、バナジン酸ビスマス、有機溶剤、バインダーを有する塗料などを塗布する塗布法(たとえば特許文献1、2)
(2)基板に、ターゲット(バナジン酸ビスマス)をスパッタするスパッタ法
【0004】
塗布法では、含まれるバインダーが障害となり、分解するべき有機系環境汚染物質が触媒となるバナジン酸ビスマスと接触しにくいという課題や、バインダー自体が光触媒作用により分解劣化するという課題がある。一方、スパッタ法では、バナジン酸ビスマスが結晶とはならず、光触媒効果を発現しにくいという課題がある。10時間ほど時間をかけてスパッタすると、正方晶が形成されるが、実用性を考えると非現実的である。加えて、10時間ほど時間をかけても、光触媒効果の高い単斜晶は出現しなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-19156号公報
【特許文献2】WO2006/064799号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、光触媒効果の高い構造体と、その製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、バナジン酸ビスマスのスパッタ膜を熱処理することで、単斜晶に変化させることを検討したところ、バナジウムが基板に付着しにくく、バナジン酸ビスマスが酸化ビスマスになって、バナジン酸ビスマスの単斜晶が形成できないが、バナジウムを補うべく、バナジン酸ビスマス薄膜の下にバナジウムを含む薄膜を成膜すると、熱処理時に該薄膜からバナジウムが拡散し、基板上にバナジン酸ビスマスの単斜晶が形成されることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、基板上に、単斜晶のバナジン酸ビスマス粒子を有する構造体に関する。
【0009】
バナジン酸ビスマス粒子の外周の一部に、バナジン酸ビスマスとは異なるバナジウムを含む層を有することが好ましい。
【0010】
また、本発明は、バナジウムを含有する化合物を基板上に積層する工程、積層されたバナジウムを含有する化合物上に、バナジン酸ビスマスを積層し、積層体を製造する工程、および、得られた積層体を熱処理する工程を含む構造体の製造方法に関する。
【0011】
前記製造方法において、バナジウムを含有する化合物の積層法が塗布法であることが好ましい。
【0012】
前記製造方法において、バナジン酸ビスマスを積層する方法が、スパッタ法、分子線エピタキシー法、電子ビーム蒸着法、または、有機金属気相成長法であることが好ましい。
【0013】
前記製造方法において、熱処理時間は、1時間以上であることが好ましい。
【0014】
前記製造方法において、熱処理温度は600℃以上であることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の構造体は、バナジン酸ビスマスが単斜晶であるため、高い光触媒効果を奏する。また、本発明の製造方法によれば、前記構造体を、実用的に作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】(a)実施例2で作製した構造体の表面の電子顕微鏡写真である。(b)バナジン酸ビスマス粒子の電子顕微鏡写真である。(c)構造体表面の構造の模式図である。
【
図2】実施例2で作製した構造体および比較例5で作製した積層体のXRDチャートである。
【
図3】実施例1~4で作製した構造体のXRDチャートである。
【
図4】実施例5~8で作製した構造体のXRDチャートである。
【
図5】比較例1~4で作製した積層体のXRDチャートである。
【
図6】実施例2で作製した構造体および比較例5で作製した積層体で処理したメチレンブルー溶液の波長に対して透過率をプロットした図である。
【
図7】実施例1~4で作製した構造体で処理したメチレンブルー溶液の波長に対して透過率をプロットした図である。
【
図8】実施例1、2、5~8で作製した構造体で処理したメチレンブルー溶液の波長に対して透過率をプロットした図である。
【
図9】実施例8で作製した構造体で、所定時間処理したメチレンブルー溶液の波長に対して透過率をプロットした図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の構造体は、基板上に、単斜晶のバナジン酸ビスマス粒子を有することを特徴とする。該積層体において、バナジン酸ビスマス粒子の外周の一部に、バナジン酸ビスマスとは異なるバナジウムを含む層を有することが好ましい。
【0018】
基板の材質は特に限定されず、たとえばシリコン、ガラス、石英ガラス、金属板などが挙げられる。なかでも、耐熱性の点で、シリコン、石英ガラスが好ましい。
【0019】
バナジン酸ビスマスとは異なるバナジウムを含む層におけるバナジウムとしては、バナジウム単体だけでなく、V2O5、VO2、V2O4、V2O3、V6O13などが挙げられる。バナジウムを含有する薄膜は、バナジン酸ビスマス粒子の外周の一部を覆うように存在する。その膜厚は、1~10000nmが好ましく、10~1000nmがより好ましい。10000nmを超えると、透明度が悪くなり、1nm未満では、拡散するバナジウムの量が少なくなる傾向がある。
【0020】
バナジン酸ビスマスとは異なるバナジウムの含有量は、バナジン酸ビスマス100質量部に対して、1~100000質量部が好ましく、10~10000質量部がより好ましく、100~1000質量部がさらに好ましい。100000質量部を超えると、バナジウムの過供給となる他、透過率も低下する傾向にある。一方、1質量部未満では、バナジウムの供給不足となる傾向がある。
【0021】
バナジン酸ビスマスの粒子の粒子径は、10~100000nmが好ましく、50~10000nmがより好ましく、100~1000nmがさらに好ましい。100000nmを超えると、表面積が大きくなる他、試料の透過率が低下し、黄色に着色する傾向がある。また、1nm未満では、基板との接触面積が小さくなることから基板からはがれやすくなる傾向がある。
【0022】
バナジン酸ビスマスは単斜晶であるが、全ての結晶が単斜晶であることは必要ではなく、一部が単斜晶となっていればよい。単斜晶の割合は、50%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。結晶構造は、X線回折により同定することができる。なお、単斜晶の2θは、19、28.8、30.5、34.5、35.2、42.3度である。一方、正方晶の2θは、18.3、24.4、30.7、32.7、34.739.5、48.4度である。
【0023】
本発明の構造体は、可視光応答性光触媒として広く応用することができる。粉末状の光触媒の場合のように、浄化後に光触媒を濾過等により取り除く必要がなく、より簡便に使用することができる。たとえば、可視光を利用した水の浄化方法に応用でき、内分泌攪乱物質であるノニルフェノール、ビスフェノールA、天然エストロゲン等を光分解する方法などに適用可能である。
【0024】
本発明の構造体の製造方法は、バナジウムを含有する化合物を基板上に積層する工程、積層されたバナジウムを含有する化合物上に、バナジン酸ビスマスを積層し、積層体を製造する工程、および、得られた積層体を熱処理する工程を含むことを特徴とする。
【0025】
基板としては前述したものを使用することができる。また、バナジウムを含有する化合物としては、バナジン酸ビスマス以外のバナジウムを含む化合物であり、前述したものを使用することができる。
【0026】
バナジウムを含有する化合物を基板上に積層する方法は特に限定されず、たとえば塗布法、スパッタ法、分子線エピタキシー法(MBE法)、電子ビーム法(EB法)、有機金属気相成長法(MOCVD法)などが挙げられるが、蒸気圧や融点、沸点の点で塗布法が好ましい。塗布法としては、バーコート法、スピンコート法、ディップ法などが挙げられる。バナジウム源となる化合物としては、たとえばV (バナジウム)、V2O5(五酸化バナジウム(V))、VO2(酸化バナジウムIV))、V2O3(酸化バナジウム(III))、V6O13(十三酸化六バナジウムIV、V))、F3VO(三フッ化酸化バナジウム(V))、NH4VO3(メタバナジン酸アンモニウム)、VOCl3(オキシ3塩化バナジウム(V))、NaVO3(メタバナジン酸ナトリウム(V))、KVO3(バナジン酸カリウム(V))、VCl4(四塩化バナジウムIV))、VOSO4(オキシ硫酸バナジウム)、VOCl2(オキシ2塩化バナジウムIV))、VCl3(三塩化バナジウム(III))、Na3VO4(バナジン酸ナトリウム(V))などが挙げられる。これらの化合物は併用して使用することもできる。また、基板上に積層したバナジウムを含有する化合物の形態は、特に限定されず、薄膜、粒子、粒子を含む薄膜などが挙げられる。
【0027】
バナジウムを含有する化合物の層の厚さは、1~10000nmが好ましく、10~1000nmがより好ましい。10000nmを超えると、透明度が悪くなり、1nm未満では、拡散するバナジウムの量が少なくなる傾向がある。
【0028】
バナジウムを含有する化合物を基板に積層した後、焼成することが好ましい。焼成温度は、300℃以上が好ましく、500℃以上がより好ましく、600℃以上がさらに好ましい。300℃未満では、バナジン酸ビスマスが単斜晶にならなくなることがある。焼成温度の上限は特に限定されないが、1000℃以下が好ましい。焼成時の雰囲気は特に限定されないが、大気中で行うことが好ましい。
【0029】
焼成時間は、焼成温度にも依存するが、0.5時間以上が好ましく、1時間以上がより好ましく、2時間以上がさらに好ましい。0.5時間未満では、バナジン酸ビスマスが単斜晶にならなくなることがある。焼成時間の上限は特に限定されないが、15時間以下が好ましい。
【0030】
バナジン酸ビスマスの積層法は特に限定されず、たとえばスパッタ法、塗布法、MBE法、EB法、MOCVD法などが挙げられるが、作製コストの点で、スパッタ法が好ましい。また、バナジン酸ビスマスの積層前に予め、バナジン酸ビスマスを含有する微粒子を塗布後、バナジン酸ビスマスを積層することもできる。
【0031】
スパッタ法において、基板を加熱することもできる。加熱温度は50℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましく、300℃以上がさらに好ましい。50℃未満では、バナジン酸ビスマスが正方晶となる傾向がある。加熱温度の上限は特に限定されないが、500℃以下が好ましい。
【0032】
バナジン酸ビスマスを含有する層の厚さは、1~10000nmが好ましく、10~1000nmが好ましい。10000nmを超えると、層が不透明となり、1nm未満では、バナジン酸ビスマスが単斜晶とならず、正方晶となる傾向がある。また、バナジン酸ビスマスを含有する層は、微粒子を含んだバナジン酸ビスマスを含有する層であっても良い。
【0033】
スパッタ法で作製した薄膜において、バナジン酸ビスマスは非晶質であるが、熱処理することで、単斜晶に結晶化させることができる。また、もともと薄膜であったバナジン酸ビスマスは、熱処理により粒子に形態が変化する。ここで、バナジン酸ビスマスの下層に存在したバナジン酸ビスマスと異なるバナジウムを含む薄層も、バナジン酸ビスマスの粒子の外周の一部を覆うように形態が変化する。ここで、バナジン酸ビスマスの粒子の外周を覆うことがなかった残りのバナジウムを含む薄膜は、針状結晶となる場合もある。
【0034】
熱処理温度は、600℃以上が好ましく、700℃以上がより好ましい。600℃未満では、バナジン酸ビスマスが正方晶となる傾向がある。熱処理温度の上限は特に限定されないが、1000℃以下が好ましい。焼成時の雰囲気は特に限定されないが、大気中で行うことが好ましい。
【0035】
熱処理時間は、熱処理温度にも依存するが、1時間以上が好ましく、3時間以上がより好ましい。1時間未満では、バナジン酸ビスマスが単斜晶にならなくなることがある。熱処理時間の上限は特に限定されないが、10時間以下が好ましい。
【実施例0036】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されない。
【0037】
比較例1~4
1.5cm×1.5cmのシリコン基板に、はUV照射を20分間行い、基板を洗浄した。基板温度を200℃に加熱しながら、スパッタ法によりBiVO4を成膜し、積層体を作製した。スパッタ条件は、反応ガス:Ar、流量:2.5sccm、圧力:1.0Pa、電力:50W、成膜時間:90分間とした。バナジン酸ビスマス薄膜の膜厚は、100nmであった。
【0038】
作製した積層体を、600℃で0.5、1、1.5または10時間、熱処理し、それぞれ比較例1~4の積層体を作製した。
【0039】
比較例5
1.5cm×1.5cmのシリコン基板に、はUV照射を20分間行い、基板を洗浄した。基板上に、V2O5の2%酢酸ブチル溶液30μLを滴下し、1000rpmで10秒間、2000rpmで20秒間、スピンコートした後に、500℃で3時間焼成し、シリコン基板上にV2O5薄膜を成膜した。V2O5薄膜の膜厚は、100nmであった。
【0040】
基板温度を200℃に加熱しながら、スパッタ法によりBiVO4を成膜し、構造体を作製した。スパッタ条件は、反応ガス:Ar、流量:2.5sccm、圧力:1.0Pa、電力:50W、成膜時間:90分間とした。バナジン酸ビスマス薄膜の膜厚は、100nmであった。
【0041】
実施例1~4
比較例5で作製した積層体を、600℃で1、2、3または4時間、熱処理し、それぞれ実施例1~4の構造体を作製した。
【0042】
実施例5~6
比較例5で作製した積層体を、500℃で1または2時間、熱処理し、それぞれ実施例5~6の構造体を作製した。
【0043】
実施例7~8
比較例5で作製した積層体を、700℃で1または2時間、熱処理し、それぞれ実施例7~8の構造体を作製した。
【0044】
図1に、実施例2で作製した構造体表面の電子顕微鏡写真を示す。(a)に示すように、基板の表面に無数の粒子が存在することがわかる。バナジン酸ビスマス粒子の平均粒子径は、150nmであった。この粒子径は、薄膜の厚さや焼成したときの熱処理温度や熱処理時間によって変化する。なお、実施例8で作製した構造体のバナジン酸ビスマス粒子の平均粒子径は、730nmであった。(b)には1つの粒子について、透過電子顕微鏡(TEM)で観察後、EDXで元素分析した写真を示す。バナジン酸ビスマス粒子の基板側の一部が、酸化バナジウム(V
xO
y、ただし、xとyは整数である。)で被覆されていることがわかる。(c)に本発明の構造体の形成スキームを示すが、積層体を熱処理することで、バナジン酸ビスマスの薄膜が単斜晶の結晶粒子に変化するものと考えられる。
【0045】
<X線回折>
比較例5で作製した積層体および実施例2で作製した構造体について、XRD測定装置(株式会社リガク製RINT2500V)でX線回折を測定した。
図2に、X回折チャートを示すが、比較例5の積層体では、BiVO
4は正方晶であって、単斜晶は存在しなかった。一方、実施例2の構造体では、BiVO
4薄膜には単斜晶が存在していた。
【0046】
図3に、実施例1~4の構造体のX線回折チャートを、
図4に、実施例5~8の構造体のX線回折チャートを示す。BiVO
4薄膜には単斜晶が存在していた。熱処理時間については、1時間でも単斜晶が形成されるが、2時間以上が好ましいことが分かる。一方、熱処理温度については、700℃では1時間でも充分に単斜晶が形成されることがわかった。
【0047】
図5に、比較例1~4の積層体のX線回折チャートを示す。熱処理を行っても正方晶しか発現せず、単斜晶は現れなかった。
【0048】
<光触媒効果>
比較例5で作製した積層体または実施例2で作製した構造体と、メチレンブルー3000μL(0.1mM)を有する水溶液をプラスチック容器に入れ、撹拌しながら太陽光シミュレーター装置(XES-301S+EL-100、株式会社三永電機製作所製)を用いて可視光(波長100~1400nm)を60分間照射した。照射後、溶液を、回転速度:13000rpm、稼働時間:30分で遠心分離した。得られた溶液300μLを石英セルに入れ、分光光度計(大塚電子株式会社製)を用い透過率を測定した。
【0049】
図6に、比較例5で作製した積層体または実施例2で作製した構造体を用いて1時間処理した処理液について、波長にして透過率をプロットした図を示す。比較例5で作製した積層体に対し、実施例2で作製した構造体では、可視光領域の透過率が、特に350~550nm、700~800nmの領域において、高くなっており、高い可視光触媒効果を示した。
【0050】
図7に、実施例1~4で作製した構造体を用いて1時間処理した処理液について、波長に対して透過率をプロットした図を示す。
図8に、実施例1、2、5~8で作製した構造体を用いて1時間処理した処理液について、波長に対して透過率をプロットした図を示す。BiVO
4薄膜に単斜晶が多く存在する構造体が、メチレンブルーの分解能力が高く、光触媒能が高いことがわかる。
【0051】
図9に、実施例8で作製した構造体を用い、7~10時間処理した処理液について、波長にして透過率をプロットした図を示す。10時間処理することによって、ほぼメチレンブルーが分解していることが分かる。