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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024090
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】電極部材
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/044 20060101AFI20240214BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
G06F3/044 122
G06F3/041 420
G06F3/044 125
G06F3/041 490
G06F3/041 495
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024001234
(22)【出願日】2024-01-09
(62)【分割の表示】P 2023503405の分割
【原出願日】2021-12-27
(31)【優先権主張番号】P 2021032048
(32)【優先日】2021-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135183
【弁理士】
【氏名又は名称】大窪 克之
(74)【代理人】
【識別番号】100085453
【弁理士】
【氏名又は名称】野▲崎▼ 照夫
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】高橋 亨
(72)【発明者】
【氏名】竹内 正宜
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 徹也
(72)【発明者】
【氏名】梅津 侑祐
(72)【発明者】
【氏名】眞島 広樹
(57)【要約】
【課題】絶縁ギャップを介して隣り合う金属細線の視認性を抑えることができ、金属細線のオーバーエッチングを抑えて所望の形状を得ることを可能とする電極部材を提供する。
【解決手段】第1電極パターンおよび第2電極パターンの各々において、第1金属細線の第1端部配線は絶縁ギャップを挟んで対をなし、当該対をなす第1端部配線の第1端面は、第1方向と交差する方向に所定距離を開けて、互いに対向する部分を有するように位置し、第1電極パターンおよび第2電極パターンの各々において、第2金属細線の第2端部配線は絶縁ギャップを挟んで対をなし、当該対をなす第2端部配線の第2端面は、第2方向と交差する方向に所定距離を開けて、互いに対向する部分を有するように位置している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極パターンと、
前記第1電極パターンに対して絶縁ギャップを介して形成された第2電極パターンと、を備えた電極部材であって、
前記第1電極パターンおよび前記第2電極パターンは、それぞれ、前記絶縁ギャップの延びる方向と交差する第1方向に延びる複数の第1金属細線と、前記絶縁ギャップの延びる方向および前記第1方向の双方と交差する第2方向に延びる複数の第2金属細線と、でメッシュ状に形成され、
前記第1金属細線は、前記第1電極パターンおよび前記第2電極パターンの各々における前記絶縁ギャップ側の端部に第1端部配線を有し、前記第1電極パターンおよび前記第2電極パターンの各々における前記第1端部配線は前記絶縁ギャップを挟んで対をなし、当該対をなす前記第1端部配線の第1端面は、前記第1方向と交差する方向に所定距離を開けて、互いに対向する部分を有するように位置し、
前記第2金属細線は、前記第1電極パターンおよび前記第2電極パターンの各々における前記絶縁ギャップ側の端部に第2端部配線を有し、前記第1電極パターンおよび前記第2電極パターンの各々における前記第2端部配線は前記絶縁ギャップを挟んで対をなし、当該対をなす前記第2端部配線の第2端面は、前記第2方向と交差する方向に所定距離を開けて、互いに対向する部分を有するように位置していることを特徴とする電極部材。
【請求項2】
前記対をなす前記第1端部配線は前記第1方向に延び、前記第1方向と交差する方向に所定間隔を開けてシフトして配置され、
前記対をなす前記第2端部配線は前記第2方向に延び、前記第2方向と交差する方向に前記所定間隔を開けてシフトして配置されている請求項1に記載の電極部材。
【請求項3】
前記対をなす前記第1端部配線は、前記第1端面同士が前記第1方向と交差する方向において前記所定距離を開けて離間するように、前記第1方向に対して傾いて延びる部分を有し、
前記対をなす前記第2端部配線は、前記第2端面同士が前記第2方向と交差する方向において前記所定距離を開けて離間するように、前記第2方向に対して傾いて延びる部分を有する請求項1に記載の電極部材。
【請求項4】
前記第1端部配線は、前記第2金属細線との交差位置から、前記第1方向と交差する方向に延びており、
前記第2端部配線は、前記第1金属細線との前記交差位置から、前記第2方向と交差する方向に延びている請求項3に記載の電極部材。
【請求項5】
前記第1端面および前記第2端面は先細り形状を有する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電極部材。
【請求項6】
前記第1端面および前記第2端面は曲面形状を有する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電極部材。
【請求項7】
前記絶縁ギャップは、所定の幅を有して延びており、前記絶縁ギャップの幅は前記第1金属細線の幅の0.5倍以上3.5倍以下である請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の電極部材。
【請求項8】
金属細線のパターンからなる、第1電極パターンおよび第2電極パターンと、
前記第1電極パターンと前記第2電極パターンとの間に位置し、第3方向に延びる絶縁ギャップと、を備え、
前記絶縁ギャップは、前記第3方向に沿って見たときに、前記金属細線が位置しない部分が見通せるように、前記第1電極パターンと前記第2電極パターンとの間に配置され、
前記第1電極パターンを構成する前記金属細線は、前記絶縁ギャップ側の端部に第3端部配線を備え、
前記第2電極パターンを構成する前記金属細線は、前記絶縁ギャップ側の端部に第4端部配線を備え、
前記第3端部配線と前記第4端部配線とは、前記絶縁ギャップを挟んで互いに対向して対をなし、前記第3方向に直交する第4方向から見たときに、重複する部分を有することを特徴とする電極部材。
【請求項9】
前記第1電極パターンは、前記第3端部配線以外は基本パターンの繰り返しにより構成され、
前記第2電極パターンは、前記第4端部配線以外は前記基本パターンの繰り返しにより構成され、
前記第1電極パターンの前記基本パターンと前記第2電極パターンの前記基本パターンとは、前記第4方向に離れて配置され、
前記第3端部配線および前記第4端部配線の少なくとも一つは、前記基本パターンの一部をなす前記金属細線が前記基本パターンの繰り返しに基づく位置に配置されてなる請求項8に記載の電極部材。
【請求項10】
前記第1電極パターンおよび前記第2電極パターンは、前記第3端部配線以外および前記第4端部配線以外は、基本パターンの繰り返しにより構成され、
前記第3端部配線および前記第4端部配線の少なくとも一つは、前記金属細線が前記基本パターンの繰り返しに基づく位置から外れて配置されてなる請求項8に記載の電極部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチセンサの入力領域に使用可能な電極部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のタッチセンサの電極部材として、特許文献1に記載の電極や特許文献2に記載の光透過性導電材料が提案されている。特許文献1においては、形成を容易とし、かつ、電極パターンの視認性を高めるための構成として、電極形成面の第一方向および第二方向に沿ってそれぞれ延びる複数の帯状電極を互いに交差させて格子状の単位電極パターンを形成し、その単位電極パターンが多数連接して設けられてなる、第一電極パターン領域および第二電極パターン領域を少なくとも有する電極が開示されている。これらの第一電極パターン領域および第二電極パターン領域は、隣接部分において互いに隣接して配されるとともに電気的に分離され、この隣接部分において、第一電極パターン領域の帯状電極の端部と、第二電極パターン領域の帯状電極の端部とが、電極形成面の第一方向および第二方向に交差する方向において互いに重なる重複部分とを有している。
【0003】
特許文献2においては、光透過性電極として好適で視認性を低くし、短絡の発生を低減するための構成として、基材上に、配線部を介して端子部に電気的に接続された金属パターンから構成されるセンサー部と、配線部を介して端子部に電気的に接続されない金属パターンから構成されるダミー部と、を有する光透過性導電材料が開示されている。この光透過性導電材料においては、上記センサー部とダミー部の境界が、センサー部を構成する金属パターンを仮の境界線により切断し、センサー部およびダミー部の少なくとも一方を、仮の境界線に沿ってずらした形状としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-192192号公報
【特許文献2】特開2014-127115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の電極では、隣り合う2つの電極パターン領域の帯状電極の端部が互いに重なって重複部分を形成するため、この部分において電極が視認されやすい。さらに、重複部分においては、帯状電極の端部同士が近接しているため、端部同士間にエッチング液が滞留し易く、帯状電極はオーバーエッチングとなりやすい。これにより、隣り合う2つの電極パターン領域の間隔が広がりやすくなるとともに、電極の形状が所望の形状とならないおそれがある。特許文献2に記載の光透過性導電材料においても、隣り合う金属パターンの端部が互いに近接しているため、オーバーエッチングによって所望の形状を得ることができないおそれがある。
【0006】
そこで本発明は、金属細線でメッシュ状に形成された、第1電極パターンおよび第2電極パターンが、絶縁ギャップを介して配置された電極部材において、絶縁ギャップを介して隣り合う金属細線の視認性、特に、隣り合う金属細線が境界部分で互いに分離していることが視認されやすくなるのを抑えることができ、かつ、金属細線のオーバーエッチングを抑えて所望の形状を得ることを可能とする電極部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る電極部材は、第1電極パターンと、第1電極パターンに対して絶縁ギャップを介して形成された第2電極パターンと、を備えた電極部材であって、第1電極パターンおよび第2電極パターンは、それぞれ、絶縁ギャップの延びる方向と交差する第1方向に延びる複数の第1金属細線と、絶縁ギャップの延びる方向および第1方向の双方と交差する第2方向に延びる複数の第2金属細線と、でメッシュ状に形成され、第1金属細線は、第1電極パターンおよび第2電極パターンの各々における絶縁ギャップ側の端部に第1端部配線を有し、第1電極パターンおよび第2電極パターンの各々における第1端部配線は絶縁ギャップを挟んで対をなし、当該対をなす第1端部配線の第1端面は、第1方向と交差する方向に所定距離を開けて、互いに対向する部分を有するように位置し、第2金属細線は、第1電極パターンおよび第2電極パターンの各々における絶縁ギャップ側の端部に第2端部配線を有し、第1電極パターンおよび第2電極パターンの各々における第2端部配線は絶縁ギャップを挟んで対をなし、当該対をなす第2端部配線の第2端面は、第2方向と交差する方向に所定距離を開けて、互いに対向する部分を有するように位置していることを特徴とする。
これにより、絶縁ギャップを介して隣り合う金属細線の視認性を抑えることができ、かつ、金属細線のオーバーエッチングを抑えて所望の形状を得ることが可能となる。
【0008】
上記の電極部材において、対をなす第1端部配線は第1方向に延び、第1方向と交差する方向に所定間隔を開けてシフトして配置され、上記対をなす第2端部配線は第2方向に延び、第2方向と交差する方向に所定間隔を開けてシフトして配置されていてもよい。
このように第1端部配線と第2端部配線を配置することにより、絶縁ギャップを介して隣り合う金属細線が連続しているように認識されやすくなり、隣り合う金属細線が境界部分で互いに分離して認識されることを抑えることができ、かつ、金属細線のオーバーエッチングを抑えて所望の形状を得ることが可能となる。
【0009】
上記の電極部材において、対をなす第1端部配線は、第1端面同士が第1方向と交差する方向において所定距離を開けて離間するように、第1方向に対して傾いて延びる部分を有し、対をなす第2端部配線は、第2端面同士が第2方向と交差する方向において所定距離を開けて離間するように、第2方向に対して傾いて延びる部分を有していてもよい。
このように第1端部配線と第2端部配線を配置することにより、絶縁ギャップを介して隣り合う金属細線が連続しているように認識されやすくなり、かつ、金属細線のオーバーエッチングを抑えて所望の形状を得ることが可能となる。
【0010】
この場合において、第1端部配線は、第2金属細線との交差位置から、第1方向と交差する方向に延びており、第2端部配線は、第1金属細線との交差位置から、第2方向と交差する方向に延びていることが好ましいことがある。
これにより、絶縁ギャップを確保しやすくなり、オーバーエッチングを抑えやすくなる。
【0011】
上記の電極部材において、第1端面および第2端面は先細り形状を有することが好ましい。これにより、金属細線のオーバーエッチングを抑えて所望の形状を得ることが可能となる。
【0012】
上記の電極部材において、第1端面および第2端面は曲面形状を有することが好ましい。これにより、金属細線のオーバーエッチングを抑えて所望の形状を得ることが可能となる。
【0013】
上記の電極部材において、絶縁ギャップは、所定の幅を有して延びており、絶縁ギャップの幅は第1金属細線の幅の0.5倍以上3.5倍以下であることが好ましい場合がある。
これにより、絶縁ギャップを介して隣り合う金属細線の視認性を抑えることができ、かつ、金属細線のオーバーエッチングを抑えて所望の形状を得ることが容易となる場合がある。
【0014】
本発明の他の態様に係る電極部材は、金属細線のパターンからなる、第1電極パターンおよび第2電極パターンと、第1電極パターンと第2電極パターンとの間に位置し、第3方向に延びる絶縁ギャップと、を備え、絶縁ギャップは、第3方向に沿って見たときに、金属細線が位置しない部分が見通せるように、第1電極パターンと第2電極パターンとの間に配置され、第1電極パターンを構成する金属細線は、絶縁ギャップ側の端部に第3端部配線を備え、第2電極パターンを構成する金属細線は、絶縁ギャップ側の端部に第4端部配線を備え、第3端部配線と第4端部配線とは、絶縁ギャップを挟んで互いに対向して対をなし、第3方向に直交する第4方向から見たときに、重複する部分を有することを特徴とする。
これにより、絶縁ギャップを介して隣り合う金属細線の視認性を抑えることができ、かつ、金属細線のオーバーエッチングを抑えて所望の形状を得ることが可能となる。
【0015】
上記の他の態様に係る電極部材において、第1電極パターンは、第3端部配線以外は基本パターンの繰り返しにより構成され、第2電極パターンは、第4端部配線以外は基本パターンの繰り返しにより構成され、第1電極パターンの基本パターンと第2電極パターンの基本パターンとは、第4方向に離れて配置され、第3端部配線および第4端部配線の少なくとも一つは、基本パターンの一部をなす金属細線が基本パターンの繰り返しに基づく位置に配置されていてもよい。
【0016】
上記の他の態様に係る電極部材において、第1電極パターンおよび第2電極パターンは、第3端部配線以外および第4端部配線以外は、基本パターンの繰り返しにより構成され、第3端部配線および第4端部配線の少なくとも一つは、金属細線が基本パターンの繰り返しに基づく位置から外れて配置されていてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、絶縁ギャップを介して隣り合う金属細線の視認性を抑えることができ、かつ、金属細線のオーバーエッチングを抑えて所望の形状を得ることが可能な電極部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態における静電容量型タッチセンサの概略構成を示す平面図である。
図2図1のA部分を拡大して示す平面図である。
図3】(a)は図2の3A-3A’線に沿った断面図、(b)は図2の3B-3B’線に沿った断面図である。
図4】本発明の実施形態における、第1電極パターンと第2電極パターンの構成を概念的に示す平面図である。
図5】(a)は図4のB部分を拡大して示す平面図、(b)は変形例における第1端面の形状を示す平面図である。
図6】実施形態の構成において、絶縁ギャップの幅を第1金属細線の幅の1倍とした場合の第1電極パターンと第2電極パターンの構成を概念的に示す平面図である。
図7】実施形態の構成において、絶縁ギャップの幅を第1金属細線の幅の2倍とした場合の第1電極パターンと第2電極パターンの構成を概念的に示す平面図である。
図8】実施形態の構成において、絶縁ギャップの幅を第1金属細線の幅の3倍とした場合の第1電極パターンと第2電極パターンの構成を概念的に示す平面図である。
図9】(a)は、実施形態の構成において、絶縁ギャップの幅を第1金属細線の幅の4倍とした場合の第1電極パターンと第2電極パターンの構成を概念的に示す平面図、(b)は、実施形態の構成において、絶縁ギャップの幅を第1金属細線の幅の5倍とした場合の第1電極パターンと第2電極パターンの構成を概念的に示す平面図である。
図10】(a)は、比較例において、絶縁ギャップの幅を第1金属細線の幅の1倍とした場合の第1電極パターンと第2電極パターンの構成を概念的に示す平面図、(b)は、比較例において、絶縁ギャップの幅を第1金属細線の幅の4倍とした場合の第1電極パターンと第2電極パターンの構成を概念的に示す平面図である。
図11】変形例における、第1電極パターンと第2電極パターンの構成を概念的に示す平面図である。
図12】(a)は図11のC部分を拡大して示す平面図、(b)は変形例における第1端面の形状を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態に係る電極部材について図面を参照しつつ詳しく説明する。以下の説明では、静電容量型タッチセンサに適用した場合の実施形態を例に挙げるが、静電容量型以外のタッチセンサにも用いることができる。さらに、以下の実施形態では平板としての基材上に電極部材を設けた例を示すが、電極部材はこのような基材以外に対して設けることができる。例えば、形成面に凹凸や曲率を有する板材や、湾曲または変形可能な材料や、球・半球などの非板状の材料に電極部材を設けることも可能である。
【0020】
図1は、本実施形態に係る静電容量型タッチセンサ10の構成を概念的に示す平面図である。図2は、図1のA部分を拡大して示す平面図である。図3(a)は、図2の3A-3A’線における断面図、(b)は図2の3B-3B’線における断面図である。なお、透明電極は透明なので本来は視認できないが、各図では理解を容易にするため透明電極の外形を示している。
【0021】
図1図2、または、図3に示すように、本実施形態に係る静電容量型タッチセンサ10は、基材11と、第1透明電極21と、第2透明電極22と、絶縁層30と、ブリッジ配線部31と、連結部32と、光学透明粘着層12と、透光性を有するパネル13と、検知部および制御部(いずれも不図示)と、を備える。第1透明電極21と、第2透明電極22と、絶縁層30と、ブリッジ配線部31と、連結部32と、で電極部材20が構成される。
【0022】
図3に示すように、パネル13は、連結部32から見て基材11と反対側に設けられている。基材11とパネル13との間には、光学透明粘着層12(OCA;Optical Clear Adhesive)が設けられている。基材11と連結部32との間には、絶縁物からなる絶縁層30が設けられている。連結部32が設けられた部分において、光学透明粘着層12は、連結部32とパネル13との間に設けられている。
【0023】
基材11は、透光性を有し、ポリエチレンテレフタレート(PET)、環状オレフィンコポリマーやシクロオレフィンポリマーその他のポリオレフィン系ポリマー、ポリカーボネート等の樹脂フィルムを含む樹脂系基材やガラス基材等で形成される。基材11の一方の主面である第1面11aには、第1透明電極21、および、第2透明電極22が設けられている。
【0024】
パネル13は透光性を有し、パネル13側から操作者の指などの操作体が接触または近接されて透明電極部材への操作が行われる。パネル13の材料は、特には限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィン系ポリマー、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル(PMMA;Polymethylmethacrylate)等の樹脂系基材、ガラス基材などが挙げられる。樹脂系基材上に、透光性の無機微粒子(ジルコニアやチタニアが例示される。)が樹脂マトリックスに分散してなるハードコート層が設けられていてもよい。パネル13は、基材11とパネル13との間に設けられた光学透明粘着層12を介して基材11と接合されている。光学透明粘着層12は、アクリル系粘着剤や両面粘着テープ等からなる。
【0025】
本明細書において「透明」および「透光性」とは、可視光線透過率が50%以上(好ましくは80%以上)の状態を指す。さらに、ヘイズ値が6%以下であることが好適である。本明細書において「遮光」および「遮光性」とは、可視光線透過率が50%未満(好ましくは20%未満)の状態を指す。
【0026】
静電容量型タッチセンサ10は、パネル13の表面13aの法線に沿った方向(Z1-Z2方向)から見て、検出領域16と非検出領域17とからなる。検出領域16は、指などの操作体により操作を行うことができる領域であり、非検出領域17は、検出領域16の外周側に位置する額縁状の領域である。非検出領域17は、加飾層(不図示)によって遮光され、パネル13側から基材11への光、例えば外光、および、基材11側からパネル13側への光、例えば、静電容量型タッチセンサ10と組み合わせて使用される表示装置のバックライトからの光、は非検出領域17を透過しにくくなっている。
【0027】
静電容量型タッチセンサ10は、第1電極連結体21s(第1の電極層)と第2電極連結体22s(第2の電極層)とが基材11の一方の主面(第1面11a)に設けられた構成、すなわち同一表面に設けられた構成を有する。
【0028】
第1電極連結体21sは、透光性を有する第1の電極層として検出領域16に配置され、複数の第1透明電極21を有する。各第1透明電極21は、細長いブリッジ配線部31を介してX1-X2方向に連結されている。そして、X1-X2方向に連結された複数の第1透明電極21を有する第1電極連結体21sが、Y1-Y2方向に間隔を空けて配列されている。ブリッジ配線部31は、第1透明電極21とは別体として形成されている。ブリッジ配線部31は、隣り合う2つの第1透明電極21を互いに電気的に接続している。
【0029】
第2電極連結体22sは、透光性を有する第2の電極層として検出領域16に配置され、複数の第2透明電極22を有する。各第2透明電極22は、細長い連結部32を介してY1-Y2方向に連結されている。そして、Y1-Y2方向に連結された複数の第2透明電極22を有する第2電極連結体22sが、X1-X2方向に間隔を空けて配列されている。連結部32は、第2透明電極22と一体として形成されている。なお、Y1-Y2方向は、X1-X2方向と交差している。例えば、Y1-Y2方向は、X1-X2方向と垂直に交わっている。
【0030】
第1透明電極21は、第1方向に延びる第1金属細線と、第1方向に交差する第2方向に延びる第2金属細線と、でメッシュ状に形成される。第2透明電極22および連結部32は、第1透明電極21と共通で同層であって、第1方向に延びる第1金属細線と、第1方向に交差する第2方向に延びる第2金属細線と、でメッシュ状に形成される。図3(a)においては、第2透明電極22の第1金属細線と第2金属細線とを一律に金属細線22aとして表示し、図3(b)においては、第1透明電極21の第1金属細線と第2金属細線とを一律に金属細線21aとして表示している。第1金属細線と第2金属細線は、金属層をエッチングすることによって形成することができる。金属層から金属細線(第1金属細線と第2金属細線)を形成すべくエッチングする際に、金属細線の一部について連続しないようにエッチングすることによって、互いに導通しない第1透明電極21と第2透明電極22および連結部32を形成することができる。金属層に用いる金属としては、例えば、Cu、Ag、Au、Ni等の金属材料、CuNi、AgPd等の合金を用いることができる。透明電極を金属細線で構成することによって、接触抵抗を低減でき、透明電極の被視認性を低くでき、電極間の短絡の発生を抑えることができ、透明電極の大面積化が容易となり、さらに、曲げに強い電極部材を実現しやすくなる。金属細線の配置や形状等については後述する。
【0031】
また、ブリッジ配線部31は、ITO(酸化インジウムスズ)、IZO(酸化インジウム酸化亜鉛)等の透明な酸化物導電材料で形成され、基材11上に設けられた、不図示のインデックスマッチング層(IM層)上に設けられる。これにより、絶縁層30上にブリッジ配線部31を設ける場合と比較して、不可視性の点、すなわちパターンを視認されにくくできる点で有利となる。
【0032】
第1電極連結体21sおよび第2電極連結体22sの周囲には、第1透明電極21および第2透明電極22の外縁に沿って延びるように基材11の第1面11aを露出させた、絶縁領域41が設けられている。絶縁領域41は、隣り合う、第1透明電極21と第2透明電極22とを互いに絶縁可能な幅を有しており、基部41aと、基部41aよりも幅の狭い狭小部41bと、を備える。狭小部41bは、ブリッジ配線部31と連結部32の近傍に設けられている。
【0033】
基部41aは、基材11の第1面11aの法線に沿って見たときに、その内側の範囲に光学調整領域42(ダミー部)を設けている。一方、狭小部41bには光学調整領域42を設けていない。光学調整領域42は、第1透明電極21および第2透明電極22と同様の、第1金属細線と第2金属細線とでメッシュ状に形成される。光学調整領域42は、基部41aの幅方向の端部には形成されていない。これにより、隣り合う、第1透明電極21と第2透明電極22とは、絶縁領域41によって互いに絶縁される。一方、光学調整領域42は、第1透明電極21および第2透明電極22と同様の、第1金属細線と第2金属細線とでメッシュ状に形成されているため、第1透明電極21と第2透明電極22との境界部分の視認性を低減させることができる。第1透明電極21および第2透明電極22を金属層のエッチングにより形成する場合には、これらの電極と同様に金属層をエッチングすることにより、金属細線からなる光学調整領域42を形成することができる。
【0034】
各第1透明電極21間を接続するブリッジ配線部31の表面には、絶縁層30が設けられている。絶縁層30は、ブリッジ配線部31と第2透明電極22との間の空間を埋めている。絶縁層30としては、例えばノボラック樹脂(レジスト)が用いられる。
【0035】
連結部32は、第1透明電極21および第2透明電極22と同様の、第1金属細線と第2金属細線とでメッシュ状に形成される。連結部32は、絶縁層30の表面を覆うとともに、絶縁層30のY1-Y2方向の両側に位置する各第2透明電極22と一体に形成されている。すなわち、連結部32と第2透明電極22とは、それぞれの第1金属細線と第2金属細線とが連続するメッシュ状で連続している。これにより、連結部32は、隣り合う2つの第2透明電極22を互いに電気的に接続している。第1透明電極21および第2透明電極22を金属層のエッチングにより形成する場合には、絶縁層30を覆うように金属層を形成し、絶縁層30を覆う金属層から第2透明電極22と連続するメッシュが形成されるようにエッチングすることにより、連結部32を形成することができる。
【0036】
ブリッジ配線部31の表面に対して設けられた絶縁層30の表面に隣り合う2つの第2透明電極22間を接続する連結部32が設けられている。このように、ブリッジ配線部31と連結部32との間には絶縁層30が介在し、第1透明電極21と第2透明電極22とは互いに電気的に絶縁された状態となっている。静電容量型タッチセンサ10では、第1透明電極21と第2透明電極22とが同じ面(基材11の第1面11a)に設けられているため、静電容量型タッチセンサ10の薄型化を実現できる。
【0037】
本実施形態に係る静電容量型タッチセンサ10の説明では、ブリッジ配線部31を覆う絶縁層30の表面30aに、連結部32が第2透明電極22と一体として形成され、Y1-Y2方向に延びて第2電極連結体22sを構成する場合を例に挙げているが、第1電極連結体21sと第2電極連結体22sとの交差部の配置形態は、上述の形態には限定されない。例えば、第2電極連結体22sが有する複数の第2透明電極22が互いに分離してY1-Y2方向に並んで配置され、隣り合う2つの第2透明電極22の間に、ブリッジ配線部31と同様の構造の部材が設けられて、第2電極連結体22sが構成されてもよい。この場合には、第1電極連結体21sは、ブリッジ配線部31に代えて、第2電極連結体22sの連結部32と同様の部材を備えていてもよい。すなわち、複数の第1透明電極21がX1-X2方向に並び、隣り合う2つの第1透明電極21は、それらの第1透明電極21と一体であってメッシュ状の金属細線で形成された部材(連結部32に対応する。)により電気的に接続されていてもよい。
【0038】
図1に示すように、非検出領域17には、各第1電極連結体21sおよび各第2電極連結体22sから引き出された複数本の配線部14が形成されている。第1電極連結体21sおよび第2電極連結体22sのそれぞれは、検出領域16から非検出領域17へ延出する接続配線を介して、各配線部14と電気的に接続されている。図1は概略的に示しているため接続配線の図示は省略している。各配線部14は、図示しないフレキシブルプリント基板と電気的に接続される外部接続部15に接続されている。すなわち、各配線部14は、第1電極連結体21sおよび第2電極連結体22sと、外部接続部15と、を電気的に接続している。外部接続部15は、例えば導電ペースト、Cu、Cu合金、CuNi合金、Ni、Ag、Au等の金属を有する材料を介して、図示しないフレキシブルプリント基板と電気的に接続されている。
【0039】
このフレキシブルプリント基板と接続されたプリント配線板(不図示)には、操作体と透明電極(主に第1透明電極21および第2透明電極22)との間に生じる静電容量の変化を検知する検知部(不図示)と、検知部からの信号に基づいて操作体の位置を算出する制御部が搭載されている。なお、詳細な説明は行わないが、検知部や制御部には、集積回路が用いられている。
【0040】
各配線部14は、Cu、Cu合金、CuNi合金、Ni、Ag、Au等の金属を有する材料により形成されており、上記接続配線上に非検出領域17内で積層され電気的に接続されている。接続配線は、第1透明電極21および第2透明電極22と同様に、第1金属細線と第2金属細線とでメッシュ状に形成される。
【0041】
配線部14は、基材11の第1面11aにおける非検出領域17に位置する部分に設けられている。外部接続部15も、配線部14と同様に、基材11の第1面11aにおける非検出領域17に位置する部分に設けられている。
【0042】
図1では、理解を容易にするために配線部14や外部接続部15が視認されるように表示しているが、実際には、非検出領域17に位置する部分には、遮光性を有する加飾層(不図示)が設けられている。このため、静電容量型タッチセンサ10をパネル13側の面からみると、配線部14および外部接続部15は加飾層によって隠蔽され、視認されない。加飾層を構成する材料は、遮光性を有する限り任意である。加飾層は絶縁性を有していてもよい。
【0043】
静電容量型タッチセンサ10では、パネル13の表面13a上に操作体の一例として指を接触させると、指と指に近い第1透明電極21との間、および、指と指に近い第2透明電極22との間で静電容量が生じる。静電容量型タッチセンサ10は、このときの静電容量の変化を検知部により検知し、この静電容量変化に基づいて、指の接触位置を制御部によって算出することが可能である。つまり、静電容量型タッチセンサ10は、指と第1電極連結体21sとの間の静電容量変化に基づいて指の位置のY座標を検知し、指と第2電極連結体22sとの間の静電容量変化に基づいて指の位置のX座標を検知する(自己容量検出型)。
【0044】
これに対して、静電容量型タッチセンサ10は相互容量検出型であってもよい。すなわち、静電容量型タッチセンサ10は、第1電極連結体21sおよび第2電極連結体22sのいずれか一方の電極(例えば第1電極連結体21s)の一列に駆動電圧を印加し、第1電極連結体21sおよび第2電極連結体22sのいずれか他方の電極(例えば第2電極連結体22s)と指との間の静電容量の変化を検知してもよい。この場合には、静電容量型タッチセンサ10は、いずれの第1電極連結体21sに電圧を印加したときに静電容量の変化が検出されたかにより指の位置のY座標を検知し、いずれの第2電極連結体22sにおいて静電容量が変化したかにより指の位置のX座標を検知する。
【0045】
次に、図4図5(a)を参照しつつ、金属細線を備えた電極パターンについて説明する。図4は、本実施形態における、第1電極パターンと第2電極パターンの構成を概念的に示す平面図である。図5(a)は、図4のB部分を拡大して示す平面図である。
【0046】
図4図5(a)に示す、第1電極パターン110と第2電極パターン120は、所定の幅W1を有する絶縁ギャップ130を介して隣り合って配置されており、絶縁ギャップ130によって互いに絶縁されている。第1電極パターン110と第2電極パターン120は、互いに絶縁された状態で隣り合う、2つの電極パターンであって、図1図3に示す構成においては、第1透明電極21と第2透明電極22とが上記2つの電極パターンにそれぞれ対応し、または、第1透明電極21若しくは第2透明電極22と光学調整領域42とが、上記2つの電極パターンにそれぞれ対応する。
【0047】
第1電極パターン110は、第1方向D1に延びる、複数の第1金属細線111と、第1方向D1と交差する第2方向D2に延びる、複数の第2金属細線112と、でメッシュ状に形成されている。第2電極パターン120は、上記第1方向D1に延びる、複数の第1金属細線121と、上記第2方向D2に延びる、複数の第2金属細線122と、でメッシュ状に形成されている。
【0048】
第1方向D1と第2方向D2は、絶縁ギャップ130が延びる方向(縦方向Dg、図4図5(a)の上下方向)とは異なる方向であり、互いが交差する角度は0度以外の任意の角度に設定することができる。図5(a)では、この交差角度は2×φとなっており、絶縁ギャップ130の幅方向Dwを基準とすると、第1方向D1は時計回りに角度φの方向に延びており、第2方向D2は反時計回りに角度φの方向に延びている。
【0049】
第1電極パターン110における第1金属細線111と第2金属細線112の幅は互いにL1で同一であり、複数の第1金属細線111同士の間隔と複数の第2金属細線112同士の間隔も互いに同一である。第1金属細線111および第2金属細線112のそれぞれの幅、並びに、第1金属細線111同士の間隔および第2金属細線112同士の間隔は、金属細線の視認性、接触抵抗などを考慮して設定することが好ましい。
【0050】
第2電極パターン120における第1金属細線121と第2金属細線122の幅は、第1電極パターン110における第1金属細線111と第2金属細線112の幅と同一であり、複数の第1金属細線121同士の間隔と複数の第2金属細線122同士の間隔は、第1電極パターン110における複数の第1金属細線111同士の間隔と複数の第2金属細線112同士の間隔と同一である。
【0051】
第1電極パターン110は、絶縁ギャップ130側の端部110eにおいて、第1金属細線111と第2金属細線112の交差位置CP11から、第1端部配線111bが第1方向D1に沿って延び、第2端部配線112bが第2方向D2に沿って延びている。第1端部配線111bの先端面である第1端面111aおよび第2端部配線112bの先端面である第2端面112aは、絶縁ギャップ130に面している。第1電極パターン110は、第1端部配線111bおよび第2端部配線112bを除いて、平面視菱形状の基本パターンP1を、第1方向D1および第2方向D2のそれぞれに沿って繰り返して構成される。
【0052】
第2電極パターン120についても、絶縁ギャップ130側の端部120eにおいて、第1金属細線121と第2金属細線122の交差位置CP12から、第1端部配線121bが第1方向D1に沿って延び、第2端部配線122bが第2方向D2に沿って延びている。第1端部配線121bの先端面である第1端面121aおよび第2端部配線122bの先端面である第2端面122aは、絶縁ギャップ130に面している。第2電極パターン120は、第1端部配線121bおよび第2端部配線122bを除いて、平面視菱形上の基本パターンP1を、第1方向D1および第2方向D2のそれぞれに沿って繰り返して構成される。
【0053】
図5(a)に示すように、第1電極パターン110の第1端部配線111bおよび第2電極パターン120の第1端部配線121bは、絶縁ギャップ130を挟んで対をなしており、これらの対をなす第1端部配線(第1端部配線111b、第1端部配線121b)の第1端面(第1端面111a、第1端面121a)は、第1方向D1と交差する方向(具体的には絶縁ギャップ130の幅方向Dw)に所定距離を開けて、互いに対向する部分を有するように位置している。
【0054】
第1電極パターン110の第1金属細線111の端部である第1端部配線111bは、交差位置CP11から第1方向D1に沿って延びる金属細線から構成される。第2電極パターン120の第1金属細線121の端部である第1端部配線121bは、交差位置CP12から第1方向D1に沿って延びる金属細線から構成される。
【0055】
図5(a)に示されるように、第1端部配線111bを構成する金属細線を第1方向D1に沿って延ばすと、その金属細線の第2電極パターン120側の端部が作る仮想線V1と、第1端部配線121bを構成する金属細線の第1電極パターン110側の端部との間の離間距離は、金属細線の幅L1に等しい。すなわち、第1電極パターン110の第1端部配線111bと第2電極パターン120の第1端部配線121bとは、いずれも第1方向D1に沿い離間距離L1で並んで延びる2本の金属細線のそれぞれの一部から構成されている。
【0056】
これらの2本の金属細線の第1方向D1の幅方向Dwへの離間幅は、前述のように、第1方向D1の幅方向Dwに対する角度はφであるから、L1/sinφとなる。したがって、絶縁ギャップ130を挟んで対をなす第1端部配線(第1端部配線111b、第1端部配線121b)は、第1方向D1と交差する方向(幅方向Dw)に所定間隔としてL1/sinφを開けてシフトして配置されている。
【0057】
第1端面111aと第1端面121aとは、いずれも、縦方向Dgに沿って切断されてなる先細り形状を有する。このような形状とすることにより、細線の形成時に形状を出しやすくなり、絶縁ギャップ130の幅を確保することができる。
【0058】
また、第1電極パターン110の第2端部配線112bおよび第2電極パターン120の第2端部配線122bは、絶縁ギャップ130を挟んで対をなしており、これらの対をなす第2端部配線(第2端部配線112b、第2端部配線122b)の第2端面(第2端面112a、第2端面122a)は、第2方向D2と交差する方向(具体的に幅方向Dw)に所定距離を開けて、互いに対向する部分を有するように位置している。
【0059】
第1電極パターン110の第2金属細線112の端部である第2端部配線112bは、交差位置CP11から第2方向D2に沿って延びる金属細線から構成される。第2電極パターン120の第2金属細線122の端部である第2端部配線122bは、交差位置CP12から第2方向D2に沿って延びる金属細線から構成される。
【0060】
図5(a)に示されるように、第2端部配線112bを構成する金属細線を第2方向D2に沿って延ばすと、その金属細線の第2電極パターン120側の端部が作る仮想線V2と、第2端部配線122bを構成する金属細線の第1電極パターン110側の端部との間の離間距離は、金属細線の幅L1に等しい。すなわち、第1電極パターン110の第2端部配線112bと第2電極パターン120の第2端部配線122bとは、いずれも第2方向D2に沿い離間距離L1で並んで延びる2本の金属細線のそれぞれの一部から構成されている。
【0061】
これらの2本の金属細線の第2方向D2の幅方向Dwへの離間幅は、前述のように、第2方向D2の幅方向Dwに対する角度はφであるから、これらの対をなす第2端部配線(第2端部配線112b、第2端部配線122b)は、第2方向D2と交差する方向(幅方向Dw)に所定間隔としてL1/sinφを開けてシフトして配置されている。
【0062】
第2端面112aと第2端面122aとは、いずれも、縦方向Dgに沿って切断されてなる先細り形状を有する。このような形状とすることにより、細線の形成時に形状を出しやすくなり、絶縁ギャップ130の幅を確保することができる。
【0063】
このように、対をなす端面が適切に離間しているため、本実施形態に係る電極部材20は、縦方向Dgに沿って見たときに、第1電極パターン110と第2電極パターン120とが重複しない領域が存在し、これが絶縁ギャップ130を形成している。それゆえ、例えば金属細線を金属膜から湿式のエッチングプロセスで形成する際に、金属細線を構成する材料のエッチング液は、絶縁ギャップ130を通って、検出領域16から容易に排出されうる。したがって、特許文献1に開示される電極との対比で、本実施形態に係る電極部材20は、絶縁ギャップ130近傍に位置する金属細線の加工精度を適切に確保することができ、エッチング残渣も残留しにくい。これに対し、特許文献1に開示される電極を同様に湿式で形成しようとすると、帯状電極の端部が重複する領域においてエッチング液が滞留しやすい。それゆえ、特許文献1に開示される電極では、オーバーエッチングによる加工精度の低下や残渣の残留などが懸念される。絶縁ギャップ130の視認性を抑えることとエッチング液の残留を適切に抑制することと両立する観点から、絶縁ギャップ130の幅W1は、金属細線(第1金属細線111、121、第2金属細線112、122)の幅L1の0.5倍以上3.5倍以下とすることが好ましい場合がある。
【0064】
なお、図4および図5(a)に示される金属パターンでは、W1=2L1/sinφを満たす場合には、幅方向Dwから見たときに、対をなす端部配線(第1端部配線111bおよび第1端部配線121b、第2端部配線112bおよび第2端部配線122b)の端面(第1端面111aおよび第1端面121a、第2端面112aおよび第2端面122a)が互いに完全に重複する。図5(a)はこの場合の金属パターンを示している。この場合よりも絶縁ギャップ130の幅W1が大きくなると、対をなす端部配線の端面の幅方向Dwから見たときの重複が少なくなり、W1>3L1/sinφを満たすと、これらの端面が重複しなくなる。対をなす端部配線が連続的に視認されることを容易にする観点、すなわち絶縁ギャップ130の視認性を低下させる観点からは、絶縁ギャップ130の幅W1は、3L1/sinφ以下とすることが好ましい。この視認性の観点からは絶縁ギャップ130の幅W1の下限は設定されないが、オーバーエッチングの影響を抑制する観点から、絶縁ギャップ130の幅W1は、金属細線の幅L1の0.5倍以上であることが好ましく、1倍以上であることがより好ましい。
【0065】
このような幅方向Dwから見たときの重複部分を形成するためには、対をなす第1端部配線(第1端部配線111b、第1端部配線121b)の第1方向D1における長さの合計、および、対をなす第2端部配線(第2端部配線112b、第2端部配線122b)の第2方向D2における長さの合計が、いずれも、上記基本パターンP1における各辺の長さよりも長くするとよい。このような重複する部分を有する構成により、絶縁ギャップ130の幅を確保してオーバーエッチングの影響を抑制しつつ、第1電極パターン110と第2電極パターン120との間の絶縁ギャップ130の視認性を抑えることができる。
【0066】
図5(b)は、図5(a)に示す第1端面111a、121aの形状の変形例を示す図である。図5(a)に示す第1端面111a、121aは、縦方向Dgに沿って切り取られてなる先細り形状を有しているが、端部配線(第1端部配線111b、第1端部配線121b、第2端部配線112bおよび第2端部配線122b)を含む金属細線がウエットエッチングプロセスで形成される場合には、その除去加工が等方的に進行するため、上記の先細り形状を正確に形成することは容易でない。そこで、端部配線の端部形状を曲面化することにより、加工形状の形状精度を高めることができる。
【0067】
具体的には、図5(b)に示されるように、第1方向D1に沿って延びる第1端部配線211bの第1端面211aを半円形状とすることにより、エッチングが等方的に行われても端部形状の変化が生じにくくなる。図5(b)では、第1端部配線221bの第1端面221aも半円形状となっている。
【0068】
なお、このように第1端面211a、221aを半円形状とすると、図5(a)に示されるような第1端面111a、121aが先細りの形状を有する場合との対比で、端面間の離間距離は、やや短くなる。図5(b)に示される例では、絶縁ギャップ130の幅W1’は、図5(a)に示される絶縁ギャップ130の幅W1よりも狭く、70%程度となる。この場合であっても、向かい合う第1端部配線211bと第1端部配線221bとの間で絶縁が確保され、縦方向Dgに金属細線が位置しない部分が見通せていれば、ウエットエッチングプロセスで金属細線の加工が行われても、オーバーエッチングによる加工精度の低下を防ぐことができる。このような曲面の端面形状は、隣接して対をなす、第2端面112a、122aについても同様に適用可能である。
【0069】
ここで、第1電極パターン110の端部配線を第3端部配線と総称し、第2電極パターン120の端部配線を第4端部配線と総称すると、絶縁ギャップ130を挟んで互いに対向して対をなす第3端部配線と第4端部配線とは、第4方向としての幅方向Dwに沿って見ると、重複する部分を有する。具体的には、絶縁ギャップ130を挟んで互いに対向して対をなす、第3端部配線としての第1端部配線111bと第4端部配線としての第1端部配線121bとは、第4方向(幅方向Dw)に沿って見ると、重複する部分を有する。絶縁ギャップ130を挟んで互いに対向して対をなす、第2端部配線112bと第2端部配線122bとについても、第4方向(幅方向Dw)に沿って見ると、重複する部分を有する。この重複する部分が存在するため、第3端部配線と第4端部配線との間隙が視認されにくくなる。その一方で、第3方向(縦方向Dg)に沿って見たときには、金属細線が位置しない部分が見通せるため、金属細線のオーバーエッチングが適切に抑制される。
【0070】
図4および図5(a)に示される金属パターンでは、第1電極パターン110と第2電極パターン120とは、絶縁ギャップ130の幅方向Dw(縦方向Dgに直交する方向)に幅L1/sinφだけ互いに離間するように、第1電極パターン110と第2電極パターン120の一方がシフトした関係にある。具体的には、第2電極パターン120は、第1電極パターン110を基準にすると、幅方向Dwの右側に幅L1/sinφだけシフトした位置にある。図5(b)に示す例でも、絶縁ギャップ130の幅L1/sinφだけ離間するように第1電極パターン110と第2電極パターン120の一方がシフトしている。換言すれば、第1電極パターン110の基本パターンP1と第2電極パターン120の基本パターンP1とは、第4方向(幅方向Dw)にL/sinφだけ離れて配置されている。
【0071】
そして、第3端部配線および第4端部配線のそれぞれは、基本パターンP1の一部をなす金属細線が基本パターンP1の繰り返しに基づく位置に配置されている。具体的に説明すると、第1電極パターン110は、第3端部配線(第1端部配線111b、第2端部配線112b)以外は、上記基本パターンP1の繰り返しによって構成される。一方、第3端部配線を構成する第1端部配線111bおよび第2端部配線112bは、いずれも、基本パターンP1の一部をなす金属細線が上記の基本パターンP1の繰り返しに基づく位置に配置された構成を有する。同様に、第2電極パターン120は、第4端部配線(第1端部配線121b、第2端部配線122b)以外は、上記基本パターンP1の繰り返しによって構成される。一方、第4端部配線を構成する第1端部配線121bおよび第2端部配線122bは、上記基本パターンP1の一部をなす金属細線が基本パターンP1の繰り返しに基づく位置に配置された構成を有する。図5(b)に示す例においても、第3端部配線(第1端部配線211b)および第4端部配線(第1端部配線221b)は、それぞれ、基本パターンP1の一部をなす金属細線が上記の基本パターンP1の繰り返しに基づく位置に配置された構成を有する。
【0072】
図6図7図8図9(a)、および図9(b)は、図4図5(a)に示す本実施形態の構成において、第3端部配線と第4端部配線との間に位置する絶縁ギャップ130の幅W1を変えた場合の第1電極パターン110と第2電極パターン120の構成を概念的に示す平面図である。絶縁ギャップ130の幅W1は、図6では第1金属細線111、121の幅L1の1倍、図7では第1金属細線111、121の幅L1の2倍、図8では第1金属細線111、121の幅L1の3倍、図9(a)では第1金属細線111、121の幅L1の4倍、図9(b)では第1金属細線111、121の幅L1の5倍としている。
【0073】
なお、図6図7図8図9(a)、および図9(b)では、第1電極パターン110の基本パターンP1と第2電極パターンの基本パターンP1との第4方向(幅方向Dw)でのずれ幅(パターンずれ幅)はL1/(2×sinφ)で一定とされている。このパターンずれ幅は、図4および図5(a)に示した第1電極パターン110と第2電極パターン120とのパターンずれ幅の1/2である。したがって、絶縁ギャップ130の幅W1が0.5×L1/sinφ≦W1≦2.5×L1/sinφを満たす範囲では、対をなす第3端部配線および第4端部配線を第4方向(幅方向Dw)から見たときに、これらの端部配線の端面は重複する部分を有する。図6(a)図7(a)、図8(a)、図9(a)、および図9(b)では、角度φは60°であるから、絶縁ギャップ130の幅W1が、第1金属細線111、121の幅L1の0.7倍程度から3.5倍程度の範囲において、第4方向(幅方向Dw)から見たときに、対をなす第3端部配線の端面と第4端部配線との端面は重複する部分を有する。
【0074】
図6図7および図8に示す例では、絶縁ギャップ130の幅W1は第1金属細線111、121の幅L1の1倍から3倍であるから、第4方向(幅方向Dw)から見たときに、対をなす第3端部配線と第4端部配線とが重複する部分を有する。このため、これらの配線は連続して視認されやすい。すなわち、絶縁ギャップ130は視認されにくい。
【0075】
図9(a)および図9(b)に示す例では、絶縁ギャップ130の幅W1は第1金属細線111、121の幅L1の4倍および5倍であるから、第4方向(幅方向Dw)から見たときに、対をなす第3端部配線と第4端部配線とは重複する部分を有しない。これらの構成においても、例えばパターンずれ幅を広げると、絶縁ギャップ130を挟んで向き合って対をなす端部配線(第3端部配線、第4端部配線)は、金属細線の延びる方向に沿って長くなる。その結果、上記の対をなす端部配線は、第4方向(幅方向Dw)から見たときに重複する部分を有するようになる。このようにすることによって、絶縁ギャップ130の視認性を低下させることが可能である。具体的には、図9(a)では、パターンずれ幅がL1/(2×sinφ)であるが、図5(a)に示される金属パターンのようにパターンずれ幅がL1/sinφであれば、対をなす端部配線(第3端部配線、第4端部配線)は重複する部分を有する。
【0076】
図10(a)および図10(b)は、比較例の構成において、絶縁ギャップ330の幅W3を変えた場合の第1電極パターン310と第2電極パターン320の構成を概念的に示す平面図である。
【0077】
図10(a)および図10(b)に示される比較例は、上記実施形態の基本パターンP1と同一の菱形状のパターンで、上記実施形態と同じ幅の第1金属細線311、321、および、第2金属細線312、322で電極パターン310、320がそれぞれ構成されており、絶縁ギャップ330を介して対向して対をなす第1金属細線311、321の第1端部配線は同一直線上に配置され、かつ、絶縁ギャップ330を介して対向して対をなす第2金属細線312、322の第2端部配線も同一直線上に配置されている。絶縁ギャップ330が縦方向Dgに沿って直線状に設けられることで、第1端部配線の第1端面と第2端部配線の第2端面はそれぞれ、図6から図8に示す本実施形態における、第1端面と第2端面と同様の先細り形状となっている。
【0078】
比較例における絶縁ギャップ330の幅W3は、図10(a)では第1金属細線311、321の幅L1の1倍、図10(b)では第1金属細線311、321の幅L1の4倍としている。比較例では、第1電極パターン110と第2電極パターン120との間にパターンずれはなく、すなわち、パターンずれ幅は0であり、連続した金属パターンの一部に幅W3の絶縁ギャップ330が配置されて、第1電極パターン110と第2電極パターン120とが形成される構造となっている。
【0079】
図10(a)に示される構成では、絶縁ギャップ330が狭いため、第1電極パターン310の金属細線と第2電極パターン320の金属細線とは連続的に視認されやすい。しかしながら、このような構成では、エッチングプロセスにおいて端部配線が先端からオーバーエッチングされやすく、オーバーエッチングが生じると、縦方向Dgおよび幅方向Dwの双方に端部配線は金属細線の延びる方向に沿って後退する。このため、対になる端部配線の離間距離は容易に広くなってしまう。これに対して、図6から図9に示す本実施形態の構成の場合には、オーバーエッチングが生じて端部配線(第3端部配線と第4端部配線)の先端が消滅しても、幅方向Dwから見てこれらの配線における重複していた部分が消滅するだけであれば、対になる端部配線の離間距離の広がりとして顕在化しにくい。このため、端部配線にオーバーエッチングが生じても、絶縁ギャップ130の不可視性が維持されやすい。
【0080】
以上のように構成されたことから、本実施形態の静電容量型タッチセンサ10においては、絶縁ギャップ130を介して隣り合う、第1電極パターン110と第2電極パターン120における金属細線の視認性を抑えることができ、絶縁ギャップ130を介して隣り合う金属細線が連続しているように認識されやすくなり、かつ、金属細線のオーバーエッチングを抑えて所望の形状を得ることが可能となる。
【0081】
以下に変形例について説明する。
図11は、変形例における、第1電極パターンと第2電極パターンの構成を示す平面図である。図12(a)は、図11のC部分を拡大して示す平面図である。図11図12(a)に示す電極パターンでは、上記実施形態の第1電極パターン110と第2電極パターン120と同様に、第1電極パターン160と第2電極パターン170が、所定の幅W2を有する絶縁ギャップ180を介して隣り合って配置されており、絶縁ギャップ180によって互いに絶縁されている。第1電極パターン160と第2電極パターン170は、互いに絶縁された状態で隣り合う2つの電極パターンである。
【0082】
第1電極パターン160は、第1方向D1に延びる、複数の第1金属細線161と、第1方向D1と交差する第2方向D2に延びる、複数の第2金属細線162と、でメッシュ状に形成されている。第2電極パターン170は、上記第1方向D1に延びる、複数の第1金属細線171と、上記第2方向D2に延びる、複数の第2金属細線172と、でメッシュ状に形成されている。第1方向D1と第2方向D2は、上記実施形態と同様であって、絶縁ギャップ180が延びる方向(縦方向Dg)とは異なる方向である。
【0083】
第1電極パターン160における第1金属細線161と第2金属細線162、および、第2電極パターン170における第1金属細線171と第2金属細線172は、端部配線を除いて、上記実施形態と同様に構成されている。
【0084】
図4図5(a)に示す実施形態においては、第1端部配線111b、121bは第1方向D1に沿って延び、第2端部配線112b、122bは第2方向D2に沿って延びていたが、図11図12に示す変形例においては、絶縁ギャップ180側の端部160eにおいて、第1電極パターン160の第1端部配線161bが延び、絶縁ギャップ180側の端部170eにおいて、第2電極パターン170の第1端部配線171bが延びている。第1端部配線161b、171bは、それぞれ第1方向D1に対して、図12に示す平面視で時計回り方向において角度θをなして延びている。また、絶縁ギャップ180側の端部160eにおいて、第1電極パターン160の第2端部配線162bが延び、絶縁ギャップ180側の端部170eにおいて、第2電極パターン170の第2端部配線172bが延びている。第2端部配線162b、172bは、それぞれ第2方向D2に対して、平面視で反時計回り方向において角度θをなして延びている。ここで角度θは、平面視における時計回り方向および反時計回り方向のいずれにおいても、ゼロよりも大きく、第1方向D1と第2方向D2とがなす角度よりも小さい。
【0085】
別言すると、第1電極パターン160の第1端部配線161b、および、第2電極パターン170の第1端部配線171bは、それぞれ第1方向D1に対して互いに反対向きに傾いて延びる部分を有する。具体的には、これらの端部配線は、第1方向D1に交差する方向(絶縁ギャップ180の幅方向Dw)において所定距離(絶縁ギャップ180の幅W2)を開けて離間するように、第1方向D1に交差する方向(幅方向Dw)の成分を有した方向に、端部配線の全体が延びている。
【0086】
また、第1電極パターン160の第2端部配線162b、および、第2電極パターン170の第2端部配線172bは、それぞれ第2方向D2に対して互いに反対向きに傾いて延びる部分を有する。具体的には、これらの端部配線は、第2方向D2に交差する方向(幅方向Dw)において所定距離(幅W2)を開けて離間するように、第2方向D2に交差する方向(幅方向Dw)の成分を有した方向に、それぞれの端部配線の全体が延びている。
【0087】
ここで、第1電極パターン160の第1端部配線161bは、第2金属細線162との交差位置CP21から、平面視で第1方向D1と交差する方向に直線状に延びており、第2電極パターン170の第1端部配線171bは、第2金属細線172との交差位置CP22から、平面視で第2方向D2と交差する方向に直線状に延びている。第1電極パターン160の第2端部配線162bは、第2金属細線162との交差位置CP21から、平面視で第1方向D1と交差する方向に直線状に延びており、第2電極パターン170の第2端部配線172bは、第2金属細線172との交差位置CP22から、平面視で第2方向D2と交差する方向に直線状に延びている。
【0088】
以上の構成により、第1電極パターン60の第1端部配線161bおよび第2電極パターン170の第1端部配線171bは、絶縁ギャップ180を挟んで対をなしており、これらの対をなす第1端部配線(第1端部配線161b、第1端部配線171b)の第1端面(第1端面161a、第1端面171a)は、第1方向D1と交差する方向(具体的には幅方向Dw)に所定距離(具体的には幅W2)を開けて、互いに対向する部分を有するように位置している。
【0089】
絶縁ギャップ180は、絶縁ギャップ180の延びる方向(縦方向Dg)である第3方向に沿って見たときに、金属細線が位置しない部分が見通せるように、第1電極パターン160と第2電極パターン170との間に配置されている。そして、対をなす端部配線(第3端部配線に属する第1端部配線161b、第4端部配線に属する第1端部配線171b)は、絶縁ギャップ180を挟んで互いに対向し、第3方向(縦方向Dg)に直交する第4方向(幅方向Dw)から見たときに、重複する部分を有する。その重複する部分の第3方向(縦方向Dg)に沿った長さはL2である。
【0090】
図11に示されるように、本変形例では、第1電極パターン160を構成する基本パターンP2と第2電極パターン170を構成する基本パターンP2とは形状が同一であり、これらの2つの基本パターンP2に第4方向(幅方向Dw)の位置ずれもない。このパターン位置ずれがない点は、図4に示される例とは異なっている。本変形例では、図12(a)に示されるように、2つの第3端部配線(第1端部配線161b、第2端部配線162b)および2つの第4端部配線(第1端部配線171b、第2端部配線172b)は、いずれも、基本パターンP2の一部が基本パターンP2の繰り返しに基づく位置から外れて配置されている。
【0091】
図12(b)は、図12(a)に示す第1端面の形状の変形例を示す図である。図12(b)に示す、第1端部配線261bの第1端面261aと、第1端部配線271bの第1端面271aは、図12(a)において隣接して対をなす、2つの第1端面161a、171aと同様に、絶縁ギャップ180の幅W2に対応する所定間隔を開けて互いに離間している。これらの第1端面261a、271aは、平面視において曲面形状(具体的には半円形状)を有しており、絶縁ギャップ180を介して互いに対向している。これにより、金属細線を形成する際の形状安定性が高まり、絶縁ギャップ180の幅W2のばらつきが少なくなる。この傾向は金属細線を湿式のエッチングプロセスにて形成する際に顕著である。このような曲面形状は、隣接して対をなす、第2端面162a、172aについても同様に適用可能である。
【0092】
なお、上記実施形態および変形例に対して、第1端部配線は、第2金属細線との交差位置とは異なる位置、例えば、交差位置よりも絶縁ギャップに近い位置、または、遠い位置から延びるようにしてもよい。これは、第2端部配線も同様であって、第1金属細線との交差位置とは異なる位置、例えば、交差位置よりも絶縁ギャップに近い位置、または、遠い位置から延びるようにしてもよい。また、第1端部配線と第2端部配線は、それぞれの端面(第1端面および第2端面)が互いに対向する部分を有していれば、平面視において曲線を含むような形状であってもよい。
【0093】
あるいは、図4図5などに示されるように、第1電極パターン110の基本パターンP1と第2電極パターン120の基本パターンP1とが幅方向Dwにずれている場合において、基本パターンP1がずれる方向は、縦方向Dgに沿った成分を有していてもよいし、図11および図12に示されるように、端部配線を構成する金属細線が基本パターンP1からずれた位置に配置されていてもよい。
【0094】
本発明について上記実施形態を参照しつつ説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、改良の目的または本発明の思想の範囲内において改良または変更が可能である。
【符号の説明】
【0095】
10 静電容量型タッチセンサ
11 基材
11a 第1面
12 光学透明粘着層
13 パネル
13a 表面
14 配線部
15 外部接続部
16 検出領域
17 非検出領域
20 電極部材
21 第1透明電極(電極部材)
21a 金属細線
21s 第1電極連結体
22 第2透明電極(電極部材)
22a 金属細線
22s 第2電極連結体
30 絶縁層(電極部材)
30a 表面
31 連結部(電極部材)
32 ブリッジ配線部(電極部材)
41 絶縁領域
41a 基部
41b 狭小部
42 光学調整領域
110、160、310 第1電極パターン
120、170、320 第2電極パターン
110e、120e、160e、170e 絶縁ギャップ側の端部
111、121、161、171、311、321 第1金属細線
111a、121a、161a、171a 第1端面
111b、121b、161b、171b 第1端部配線
112、122、162、172、312、322 第2金属細線
112a、122a、162a、172a 第2端面
112b、122b、162b、172b 第2端部配線
130、180、330 絶縁ギャップ
211a、221a、261a、271a 第1端面
211b、221b、261b、271b 第1端部配線
CP11、CP12、CP21、CP22 交差位置
D1 第1方向
D2 第2方向
Dg 縦方向
Dw 幅方向
L1、L2 所定間隔
P1、P2 基本パターン
V1、V2 仮想線
W1、W1’W2、W3 ギャップ幅
φ、θ 角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2024-01-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極パターンと、
前記第1電極パターンに対して絶縁ギャップを介して形成された第2電極パターンと、を備えた電極部材であって、
前記第1電極パターンおよび前記第2電極パターンは、それぞれ、前記絶縁ギャップの延びる方向と交差する第1方向に延びる複数の第1金属細線と、前記絶縁ギャップの延びる方向および前記第1方向の双方と交差する第2方向に延びる複数の第2金属細線と、でメッシュ状に形成され、
前記絶縁ギャップの延びる方向を縦方向、平面視で前記縦方向と直交する方向を幅方向としたときに、
前記第1電極パターンにおいて前記第1方向および前記第2方向のそれぞれに沿って繰り返す平面視菱形状の第1基本パターンと、前記第1基本パターンと同一形状を有し前記第2電極パターンにおいて前記第1方向および前記第2方向のそれぞれに沿って繰り返す第2基本パターンとは、前記絶縁ギャップの前記幅方向にずれて配置され、
前記第1金属細線は、前記第1電極パターンおよび前記第2電極パターンの各々における前記絶縁ギャップ側の端部に第1端部配線を有し、前記第1電極パターンおよび前記第2電極パターンの各々における前記第1端部配線は前記絶縁ギャップを挟んで対をなし、当該対をなす前記第1端部配線の第1端面は、前記幅方向に所定距離を開けて、互いに対向する部分を有するように位置し、
前記第2金属細線は、前記第1電極パターンおよび前記第2電極パターンの各々における前記絶縁ギャップ側の端部に第2端部配線を有し、前記第1電極パターンおよび前記第2電極パターンの各々における前記第2端部配線は前記絶縁ギャップを挟んで対をなし、当該対をなす前記第2端部配線の第2端面は、前記幅方向に所定距離を開けて、互いに対向する部分を有するように位置していることを特徴とする電極部材。
【請求項2】
前記対をなす前記第1端部配線は前記第1方向に延び、前記第1方向と交差する方向に所定間隔を開けてシフトして配置され、
前記対をなす前記第2端部配線は前記第2方向に延び、前記第2方向と交差する方向に前記所定間隔を開けてシフトして配置されている請求項1に記載の電極部材。
【請求項3】
前記第1方向は前記幅方向を基準として時計回りに角度φの方向に延び、前記第2方向は前記幅方向を基準として反時計回りに角度φの方向に延び、前記第1金属細線および前記第2金属細線の幅は互いにL1で同一である場合に、前記第1基本パターンと前記第2基本パターンとは、前記幅方向にL1/sinφだけ離間している、請求項2に記載の電極部材。
【請求項4】
前記第1端面および前記第2端面は先細り形状を有する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電極部材。
【請求項5】
前記第1端面および前記第2端面は平面視において曲面形状を有する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電極部材。
【請求項6】
前記絶縁ギャップの前記幅方向の長さは前記第1金属細線の幅の0.5倍以上3.5倍以下である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電極部材。
【請求項7】
金属細線のパターンからなる、第1電極パターンおよび第2電極パターンと、
前記第1電極パターンと前記第2電極パターンとの間に位置し、第3方向に延びる絶縁ギャップと、を備え、
前記絶縁ギャップは、前記第3方向に沿って見たときに、前記金属細線が位置しない部分が見通せるように、前記第1電極パターンと前記第2電極パターンとの間に配置され、
前記第1電極パターンを構成する前記金属細線は、前記絶縁ギャップ側の端部に第3端部配線を備え、
前記第2電極パターンを構成する前記金属細線は、前記絶縁ギャップ側の端部に第4端部配線を備え、
前記第3端部配線と前記第4端部配線とは、前記絶縁ギャップを挟んで互いに対向して対をなし、前記第3方向に直交する第4方向から見たときに、重複する部分を有し、
前記第1電極パターンは、前記第3端部配線以外は基本パターンの繰り返しにより構成され、
前記第2電極パターンは、前記第4端部配線以外は、前記第1電極パターンを構成する前記基本パターンと同一形状の基本パターンの繰り返しにより構成され、
前記第1電極パターンの前記基本パターンと前記第2電極パターンの前記基本パターンとは、前記第4方向に離れて配置され、
前記第3端部配線は、前記第1電極パターンを構成する前記基本パターンの一部をなす前記金属細線が、前記基本パターンの繰り返しに基づく位置に配置されたものであって、
前記第4端部配線は、前記第2電極パターンを構成する前記基本パターンの一部をなす前記金属細線が、前記基本パターンの繰り返しに基づく位置に配置されたものであることを特徴とする電極部材。
【請求項8】
前記第2電極パターンの基本パターンは、前記第1電極パターンの基本パターンを基準にすると、前記第4方向にシフトした位置にある、請求項7に記載の電極部材。
【請求項9】
前記基本パターンは平面視菱形状である、請求項7または請求項8に記載の電極部材。
【請求項10】
前記絶縁ギャップの前記第4方向の長さは前記金属細線の幅の0.5倍以上3.5倍以下である請求項7から請求項9のいずれか1項に記載の電極部材。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0070
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0070】
図4および図5(a)に示される金属パターンでは、第1電極パターン110と第2電極パターン120とは、絶縁ギャップ130の幅方向Dw(縦方向Dgに直交する方向)に幅L1/sinφだけ互いに離間するように、第1電極パターン110と第2電極パターン120の一方がシフトした関係にある。具体的には、第2電極パターン120は、第1電極パターン110を基準にすると、幅方向Dwの右側に幅L1/sinφだけシフトした位置にある。図5(b)に示す例でも、絶縁ギャップ130の幅L1/sinφだけ離間するように第1電極パターン110と第2電極パターン120の一方がシフトしている。換言すれば、第1電極パターン110の基本パターンP1と第2電極パターン120の基本パターンP1とは、第4方向(幅方向Dw)にL1/sinφだけ離れて配置されている。