(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024100
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】外科用アクセスポートの安定化
(51)【国際特許分類】
A61B 17/70 20060101AFI20240214BHJP
A61B 17/34 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
A61B17/70
A61B17/34
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024001761
(22)【出願日】2024-01-10
(62)【分割の表示】P 2022062327の分割
【原出願日】2018-03-08
(31)【優先権主張番号】62/468,475
(32)【優先日】2017-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/786,891
(32)【優先日】2017-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514046806
【氏名又は名称】メドス・インターナショナル・エスエイアールエル
【氏名又は名称原語表記】Medos International SARL
【住所又は居所原語表記】Chemin-Blanc 38, CH-2400 Le Locle, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】クレット・ジャン
(72)【発明者】
【氏名】リヒター・イェルン
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト・マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ガリー・ステファン
(72)【発明者】
【氏名】セン・ペーター
(57)【要約】
【課題】外科用のシステムを提供すること。
【解決手段】システムは、手術部位へのチャネルを画定するために患者に経皮挿入するように構成されたアクセスポートと、前記患者の脊椎中にインプラントを連結するように構成された延長タワーと、前記アクセスポートを受容するための第1の接続部、前記延長タワーを受容するための第2の接続部、および前記第1の接続部と前記第2の接続部との間に延びる複数の剛性セグメントを有する、リンク機構と、を備え、前記リンク機構は、前記延長タワーに対する前記アクセスポートの位置をロックするように選択的にロック可能である。
【選択図】
図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用のシステムであって、
手術部位へのチャネルを画定するために患者に経皮挿入するように構成されたアクセスポート(1306)と、
前記患者の脊椎中に埋め込まれるように構成されたインプラントと連結するように構成された管状の部材である延長タワー(1308)と、
前記アクセスポート(1306)を受容するための第1の接続部(1406)、前記延長タワー(1308)を受容するための第2の接続部(1408)、および前記第1の接続部(1406)と前記第2の接続部(1408)との間に延びる複数の剛性セグメント(1504、1506)を有する、リンク機構(1502)と、
を備え、
前記リンク機構(1502)は、前記延長タワー(1308)に対する前記アクセスポート(1306)の位置をロックするように選択的にロック可能であり、
前記リンク機構(1502)の前記複数の剛性セグメント(1504、1506)は、第1のセグメント(1504)、及び前記第1のセグメント(1504)に枢動可能に連結された第2のセグメント(1506)を含み、前記第1のセグメント(1504)は、第1の対のセグメント部分(1504a、1504b)を含み、前記第2のセグメント(1506)は、第2の対のセグメント部分(1506a、1506b)を含み、前記第1の対のセグメント部分(1504a、1504b)のうちの一方のセグメント部分(1504a)と他方のセグメント部分(1506b)とは互いに対向しており、前記第2の対のセグメント部分(1506b)のうちの一方のセグメント部分(1506a)と他方のセグメント部分(1506b)とは互いに対向している、システム。
【請求項2】
前記第1の対のセグメント部分(1504a、1504b)は、その遠位端に前記第1の接続部(1406)を含み、前記第2の対のセグメント部分(1506a、1506b)は、その遠位端に前記第2の接続部(1408)を含み、前記第1および第2の接続部はそれぞれ、分割リングクランプである、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1の接続部は前記アクセスポートを取り外し可能に受容するように構成され、前記第2の接続部は前記延長タワーを取り外し可能に受容するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
互いに独立して、前記第1の接続部は、前記アクセスポートにロックするように構成され、前記第2の接続部は、前記延長タワーにロックするように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記アクセスポートの側壁から延びる延長ポストを更に備え、前記リンク機構は前記第1の接続部を形成するために前記延長ポストに連結するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記アクセスポートの長手方向軸は、前記延長タワーの長手方向軸と非同軸である、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記アクセスポートの長手方向軸は、前記延長タワーの長手方向軸に対して斜めに角度が付けられている、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記アクセスポートが、1つ以上の器具をその中に受容するように構成された二次ルーメンを更に備え、前記二次ルーメンが、前記アクセスポートの長さを通して前記チャネルと実質的に平行に延在している、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記二次ルーメンは、前記アクセスポートの一部を横切って前記チャネルと合流する、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記二次ルーメンは、ユーザが外科処置を行うのを助けるために、カメラまたは光源をその中に受容するように構成されている、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記カメラが、前記チャネルの遠位端を越えて位置する前記手術部位を見るために、前記二次ルーメンの遠位端から出るように構成されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記延長タワー(1308)に対する前記アクセスポート(1306)の位置をロックするために、前記リンク機構に配置されたロック機構を更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記リンク機構は、前記アクセスポートに対して枢動するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記リンク機構が、前記延長タワーの外周の周りに配置されたスリーブを介して前記延長タワーに連結されている、請求項1記載のシステム。
【請求項15】
前記スリーブは、前記スリーブを前記延長タワーに選択的にロックするためのカムレバーを更に備える、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記アクセスポートが単一体である、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記アクセスポートが、そこから近位に延びる少なくとも1つのタブを更に備える、請求項1記載のシステム。
【請求項18】
前記少なくとも1つのタブが、前記アクセスポートを通過する器具の少なくとも一部をその中に受容するように構成された少なくとも1つの開口部を更に備える、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記インプラントは骨ネジである、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
前記ロック機構は、つまみネジ(1304)またはカム(1404)である、請求項12に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、外科用器具、システム、及び方法に関し、より具体的には、例えば脊椎固定術などの整形外科的又は神経外科的処置といった様々な処置で用いられ得る外科用アクセスポートを安定化させるための器具、システム、及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
外科処置は、広範な疾患、病気、及び外傷を処置及び治療するために用いられる。外科処置ではしばしば、観血的又は低侵襲的な外科処置によって内部組織にアクセスする必要がある。「低侵襲」なる用語は、内視鏡手術、腹腔鏡手術、関節鏡手術、自然開口部腔内手術、及び自然開口部経管的手術などのあらゆる種類の低侵襲的外科処置を指す。低侵襲手術は、従来の開腹外科処置と比べて、外傷が少ない、回復が早い、感染の危険性が少ない、及び傷痕が小さいなどの多数の利点を有し得る。
【0003】
低侵襲性であるか否かにかかわらず、多くの外科処置では、患者内の手術部位へのアクセスを提供するために、患者内にワーキングチャネルを形成することが望ましい場合がある。1つのこうした例は、例えば、脊椎固定術を含む整形外科的又は神経学的外科処置であり、ここでは患者の組織を通るワーキングチャネルを形成して、これらの椎骨、及び/又は隣接する椎骨間に配置される椎間板にアクセスすることが望ましい場合がある。
【0004】
患者が配置される外科用テーブルに固定される様々な装置、又は任意の他の構造に固定されることなく組織を貫通する装置を含む様々な外科用アクセス装置が知られている。このような構成では、アクセス装置の支持が不適切になる場合があり、又は患者が手術台に対して移動した場合に、アクセス装置が患者に対して望ましくない移動をする場合がある。
例えば、特許文献1にはアクセス装置の一例である開創装置が開示されている。
[特許文献1]
米国特許出願公開第2014/275793号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、様々な外科処置の器具類及び方法を合理化することができる、改善されたアクセスポート安定化装置、システム、及び方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、請求項1に記載の外科用アクセスシステムが提供される。
【0007】
外科用アクセスシステムの任意選択的な更なる特徴は、従属請求項で定義される。
【0008】
本発明の別の態様によれば、請求項20に記載の外科的方法が提供される。
【0009】
外科的方法の任意選択的な更なる特徴は、従属請求項で定義される。
【0010】
本発明の別の態様によれば、請求項31に記載の外科的方法が提供される。
【0011】
外科的方法の任意選択的な更なる特徴は、従属請求項で定義される。
【0012】
本発明によれば、手術部位付近の、例えば、同側の位置で、患者に埋め込まれた骨ネジなどのアンカーに連結するように構成されたアクセスポートを介して、改善された同側アクセスポートの安定化が提供され得る。アクセスポートは、リンク機構を介してアンカーに連結され得、アンカー及び患者に対するその位置を調節するために、様々な自由度を有することができる。更に、アクセスポートは、手術部位への安定化されたアクセスを可能にするために、所望の位置に選択的にロックされるように構成され得る。本明細書に記載されるシステム、装置、及び方法は、様々な外科処置で利用することができるが、これらは、脊椎手術などの様々な整形外科的又は神経外科的処置において特段の有用性を有し得る。
【0013】
一態様では、手術部位へのチャネルを画定するために患者に経皮挿入するように構成されたアクセスポートと、患者の骨に挿入するように構成されたアンカーと、を含み得る、外科用システムが提供される。更に、アクセスポートは、アクセスポートの長手方向軸及びアンカーの長手方向軸が非同軸であるように、アンカーに連結され得る。
【0014】
本明細書で説明する装置及び方法は、多くの追加の特徴及び/又は変形形態を有することが可能であり、それらの全ては、本開示の範囲に含まれる。一部の実施形態では、例えば、アクセスポートは、患者の身体の同側、すなわち、同じ側にあるアンカーに連結されるように構成され得る。例えば、脊椎整形外科処置の状況においては、これは、アクセスポートが、患者の椎骨の、脊椎又は患者の正中線のアクセスポートと同じ側に配置されたアンカーと連結され得ることを意味し得る。これは、患者の身体の対側、すなわち、反対側に配置されたアンカーにアクセスポートを連結する、上記のもののようなその他の技術とは対照的である。一部の実施形態では、アクセスポートは、患者の身体の対側のアンカーに連結されるように構成され得る。
【0015】
任意選択的に、アンカーに対するアクセスポートの位置を選択的にロックして、アンカーに対して所望の位置にアクセスポートを維持することができる。これは、例えば、アクセスポートを所望の手術部位と位置合わせした状態に維持するのに有用であり得る。以下で説明するように、様々なロック機構が可能である。
【0016】
任意選択的に、アクセスポートは、リンク機構によってアンカーに連結され得る。リンク機構は様々な形態を有し得る。任意選択的に、リンク機構は、アクセスポートから突出する単一のシャフトであってもよい。任意選択的に、リンク機構は、調節及び選択的ロックが可能な多構成要素構造であってもよい。
【0017】
任意選択的に、リンク機構は変形可能であってもよい。例えば、リンク機構は、任意選択的に、力(すなわち、ユーザによる操作)の下で変形可能な金属から形成されてもよい。任意選択的に、リンク機構は、それ以上変形可能でないように選択的にロック可能であってもよい。例えば、リンク機構は、リンク機構に電気を印加することによって選択的にロックされてもよく、又はリンク機構は、調節ネジ又は他の機械的ロック機構によって選択的にロックされてもよい。
【0018】
任意選択的に、アクセスポートの長さを調節することができる。例えば、アクセスポートの長さは、アクセスポートの外側スリーブに対してアクセスポートの内側スリーブをテレスコープ式に伸縮させること(telescoping)によって調節することができる。これにより、アクセスポートが様々な高さを有し、患者の身体内への、かつ患者の皮膚表面から離れての両方で様々な距離を延伸することが可能となり得る。
【0019】
任意選択的に、リンク機構は、アクセスポートの外周の一部を形成し、アクセスポートに対して枢動することができる。任意選択的に、アクセスポートは、変形可能部分を含むことができる。任意選択的に、変形可能部分は、アンカーと連結することができる。更に、変形可能部分は、アンカーの多軸ヘッドの下方でアンカーと任意選択的に連結することができる。多くの追加の構成要素が、様々な方法でアクセスポートに含まれ、かつ連結され得る。例えば、神経シールド又は他の軟組織開創器は、任意選択的に、アクセスポートの変形可能部分に連結され得る。
【0020】
任意選択的に、アンカーは、その遠位部分から遠ざかるように近位方向に延在する、対向する延長部を含むことができ、アクセスポートは、対向する延長部の間でアクセスポートの一部を圧縮することによって、アンカーに連結することができる。任意選択的に、システムは、対向する延長部を互いに向かって圧縮するように構成されたクランプを更に含むことができる。
【0021】
クランプは様々な形態を有し得る。例えば、クランプは、クランプが対向する延長部の長さに沿って摺動するように、対向する延長部を受容するように構成された内側ルーメンを任意選択的に画定することができる。任意選択的に、アクセスポートは、アクセスポートの長手方向軸に対して横方向に延在するシャフトと、シャフトの周りで対向する延長部間に配置されたスプリットボールと、を含んでもよい。クランプは、延長部をスプリットボール及びシャフトに対して圧縮させ、それによってアンカーに対するアクセスポートの位置をロックすることができる。任意選択的に、クランプは、スプリットボールに連結され、スプリットボールに対して枢動して、対向する延長部をスプリットボールに対して圧縮するように構成されてもよい。
【0022】
別の態様では、アンカーを患者の骨に挿入することと、アクセスポートをアンカーに連結することと、アクセスポートを、アクセスポートの長手方向軸及びアンカーの長手方向軸が非同軸であるように、患者の身体の同じ側でアンカーに対して位置決めすることと、を含み得る外科的方法が提供される。更に、アクセスポートは、手術部位へのチャネルを画定することができる。
【0023】
上記のシステムと同様に、多くの変形例及び追加の特徴が可能である。例えば、アンカーは、任意選択的に、脊椎整形外科処置中などに、患者の椎骨に挿入され得る。
【0024】
更に、方法は、任意選択的に、アンカーに対するアクセスポートの位置をロックすることを更に含み得る。任意選択的に、アクセスポートを位置決めすることは、アクセスポートとアンカーとの間に延在するリンク機構を変形させることを含み得る。
【0025】
任意選択的に、本方法は、リンク機構に電気を印加して、アンカーに対するアクセスポートの位置をロックすることを含み得る。任意選択的に、方法は、調節ネジを作動させて、アンカーに対するアクセスポートの位置をロックすることを含み得る。任意選択的に、方法は、アクセスポートの外側スリーブに対してアクセスポートの内側スリーブをテレスコープ式に伸縮させることによってアクセスポートの長さを調節することを更に含み得る。
【0026】
任意選択的に、方法は、アクセスポートの一部を変形させることを更に含み得る。更に、アクセスポートをアンカーに連結することは、任意選択的に、アンカーをアクセスポートの変形可能部分と連結することを含み得る。なお更に、方法は、任意選択的に、神経シールド又は他の軟組織開創器をアクセスポートの変形可能部分に連結することを更に含み得る。
【0027】
任意選択的に、アクセスポートをアンカーに連結することは、アンカーの遠位部分から遠ざかるように近位方向に延在するアンカーの対向する延長部間でアクセスポートの一部を圧縮することを含んでもよい。
【0028】
別の態様では、外科的方法は、アクセスポート及びアンカーを、アクセスポートの長手方向軸とアンカーの長手方向軸とが同軸である構成で患者の身体内に導入すること、のみならず、アンカーに対するアクセスポートの位置を、アクセスポートの長手方向軸とアンカーの長手方向軸とが非同軸であり、かつアクセスポート及びアンカーが患者の身体の同じ側にあるように調節することを含むことができる。
【0029】
任意選択的に、アンカーは患者の椎骨に挿入されてもよく、あるいは方法は、アンカーを患者の身体の異なる部分に挿入することを含んでもよい。任意選択的に、アクセスポート及びアンカーは、患者の身体内に導入するためにドライバに連結され得る。ドライバは、任意選択的に、構成要素の位置合わせを維持し、かつアンカーを患者の骨に移植するためにアンカーを回転させることができる。方法は、任意選択的に、例えば、ドライバがアクセスポートとアンカーとの位置合わせを維持している場合に、アクセスポートをアンカーに対して自由に移動させるため、アンカーに対するアクセスポートの位置を調節する前にドライバを除去することを更に含むことができる。
【0030】
任意選択的に、方法は、アクセスポートを通して第2のアンカーを患者の身体内に挿入し、アクセスポートの長手方向軸及びアンカーの長手方向軸が同軸であるように、アンカーに対するアクセスポートの位置を再調節することを更に含むことができる。方法は、多軸受容ヘッドをアクセスポートに挿入して、受容ヘッドをアンカーに連結することと、アンカー及び第2のアンカーを脊椎固定要素と連結することと、アクセスポートを除去することと、を更に含むことができる。任意選択的に、本方法は、アンカーに対するアクセスポートの位置を調節した後に、アンカーに対するアクセスポートの位置をロックすることを更に含んでもよい。
【0031】
上述した特徴又は変形例のいずれも、多くの異なる組み合わせで、本開示の任意の特定の態様又は実施形態に適用することができる。任意の特定の組み合わせの明確な記述はないが、それは単に本概要での重複を回避するためである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本明細書で提供される教示による外科用システムの一実施形態の概略図である。
【
図2】アクセスポートの位置を調節するための変形可能なリンク機構を含む外科用システムの一実施形態の正面斜視図である。
【
図4】アクセスポートの位置をロックするために選択的に圧縮するアンカーに連結された対向する延長部を含む外科用システムの一実施形態の正面斜視図である。
【
図5】
図4のシステムの部分的に透明な詳細図である。
【
図6】
図4のシステムのアクセスポートの上面斜視図である。
【
図7】ラチェットクランプを含む外科用システムの一実施形態の正面斜視図である。
【
図8】クランプ器具を取り外した後の
図7のシステムの背面斜視図である。
【
図9】枢動するレバークランプを含む外科用システムの一実施形態の正面斜視図である。
【
図11】摺動リングクランプを含む外科用システムの一実施形態の側面図である。
【
図13A】第1の構成にある調節可能なリンク機構を含む外科用システムの一実施形態の側面図である。
【
図14】調節可能なリンク機構を含む外科用システムの一実施形態の上面斜視図である。
【
図15】調節可能なリンク機構を含む外科用システムの一実施形態の上面斜視図である。
【
図19A】テレスコープ式アクセスポートの一実施形態の斜視図である。
【
図20A】アンカーに連結されたアクセスポートの一実施形態の斜視図である。
【
図20B】アンカーに連結されたアクセスポートの一実施形態の代替的な斜視図である。
【
図21】アンカーに連結され、かつアンカーに対して選択的にロックするように構成されたアクセスポートの一実施形態の斜視図である。
【
図22】
図21のアクセスポート及びアンカーの斜視図である。
【
図23A】アクセスポート、アンカー、及びドライバの一実施形態の正面図である。
【
図23B】第1の構成にある
図23Aのアクセスポート及びアンカーの側面図である。
【
図23C】第2の構成にある
図23Aのアクセスポート及びアンカーの側面図である。
【
図23D】
図23Aのアクセスポート及びアンカーの側面図であり、受容部材がアクセスポートを通して導入されている。
【
図23F】第2のアンカーに隣接する
図23Eのアクセスポート、アンカー、及び受容部材の側面図である。
【
図23G】
図23Fのアンカーの受容部材及び隣接するアンカーを通して挿入されている脊椎固定要素の側面図である。
【
図23I】アクセスポート及び隣接するネジ延長部を取り外した後の
図23Hのアンカーの側面図である。
【
図24A】変形可能部分を有するアクセスポートの一実施形態の側面斜視図である。
【
図25】ライト及び/又はカメラを受容する
図24Aのアクセスポートの正面図である。
【
図26】アンカーと連結された
図24Aのアクセスポートの底面斜視図である。
【
図27】アクセスポートをアンカーに連結するための
図26のリンク機構の詳細図である。
【
図28A】第1の構成にあるアンカーに連結された、
図25のアクセスポート並びにライト及び/又はカメラの側面図である。
【
図28B】第2の構成にある
図28Aのアクセスポート並びにライト及び/又はカメラの側面図である。
【
図29】神経シールドと連結された
図24Aのアクセスポートの底面斜視図である。
【
図31C】神経シールドを前進させた後の
図31Bのアクセスポートの正面図である。
【
図31D】神経シールドを後退させた後の
図31Cのアクセスポートの正面図である。
【
図32】アンカーとアクセスポートとの間の選択的に変形可能なリンク機構の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本願で開示する装置、システム、及び方法の構造、機能、製造、及び使用の原理が総括的に理解されるように、特定の例示的実施形態について、これから説明する。これらの実施形態のうちの1つ又は2つ以上の実施例が、添付の図面に示されている。当業者であれば、本明細書で詳細に説明され、添付の図面に示される装置、システム、及び方法は、非限定的な例示的実施形態である点を理解するであろう。1つの例示的な実施形態に関連して例示又は説明される特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせることができる。そのような修正及び変形は、本開示の範囲内に含まれるものとする。
【0034】
更に、直線又は円形の寸法が、開示される装置及び方法の説明で使用される限りにおいて、このような寸法は、このような装置及び方法と共に使用され得る形状のタイプを限定することを意図しない。当業者には、任意の幾何学的形状についてかかる直線寸法及び円寸法に相当する寸法を容易に決定することができる点が認識されるであろう。更に、本開示において、実施形態の同様な番号が付された構成要素は、概して類似する特徴を有する。更に、装置の寸法及び形状、並びにその構成要素は、装置が使用されることになる患者の解剖学的形態、装置が使用されることになる構成要素の寸法及び形状、並びに装置が使用されることになる方法及び手技に少なくとも依存し得る。
【0035】
例えば、患者の身体の同側の点に対する同側安定化又は患者の身体の対側の点に対する対側安定化などの、患者の手術部位付近の位置に埋め込まれ得る骨ネジなどのアンカーに連結するように構成されたアクセスポートを介したアクセスポートの安定化を提供する外科用装置、システム、及び方法が本明細書で説明される。アクセスポートは、アンカー及び患者に対するその位置を調節するための様々な自由度を提供する様式で、アンカーに連結され得る。更に、アクセスポートは、手術部位への安定化されたアクセスを可能にするために、所望の位置に選択的にロックされるように構成され得る。本明細書に記載される装置、システム、及び方法は、様々な外科処置で利用することができるが、これらは、脊椎手術などの様々な整形外科的又は神経外科的処置において特段の有用性を有し得る。
【0036】
図1は、本明細書で提供される教示による例示的な外科用システム100を示すが、こうしたシステムの構成要素は、代わりに又は追加的に様々な他の用途で使用されてもよいことが理解されるであろう。
図1に示されるものと同様のシステムに関する更なる詳細は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる2017年2月21日出願の米国特許出願公開第2017/0156814号、表題「Multi-Shield Spinal Access System」に見出すことができる。システム100は、マイクロサージャリーによる骨切除術、脊髄減圧術、脊椎固定などの脊椎手術を含む様々な外科処置において使用することができる。一般に、システム100は、椎弓根柱又は他のアンカー102及びアクセスポート104のうちの任意の1つ以上を含むことができる。本明細書に図示されない他の可能な構成要素としては、組織開創器、カメラ又は可視化システム、及び様々な他の外科用器具のいずれかが挙げられ得る。アクセスポート104は、例えば、本明細書と同日出願の米国特許出願第15/786,858号、表題「DEVICES AND METHODS FOR PROVIDING SURGICAL ACCESS」に記載されるように、調節可能な長さを有することができる。アクセスポート104は、例えば、2017年8月31日出願の米国特許出願第15/692,845号、表題「SURGICAL VISUALIZATION SYSTEMS AND RELATED METHODS」に記載されるような外科用可視化システムと共に使用することができる。アクセスポート104は、例えば、本明細書と同日出願の米国特許出願第15/786,846号、表題「DEVICES AND METHODS FOR SURGICAL RETRACTION」に記載される神経開創器又は神経シールドと共に使用することができる。上記の出願はそれぞれ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0037】
図1のシステムを使用する例示的な方法は、様々な順序のうちのいずれかで実施される、以下の行程、すなわち、a)患者の皮膚に切開部を作る工程、b)略管状の形状を有するアクセス装置(管又は複数のスロットを有する開創器など)を、切開部を通して経皮挿入する工程であって、アクセス装置は切開部から患者の脊椎の感受性組織と非感受性組織(例えば、上関節突起(SAP又は)椎弓板)との境界まで延在するように適合された長さを有する、工程、c)アクセス装置をアンカー(例えば、椎弓根アンカー)に対して安定化させる工程、d)アクセス装置と一体化された光学的可視化器具を挿入する工程、e)上関節突起の一部を切除し、かつ/又はマイクロサージェリーによる減圧手術を行う工程、f)組織開創器の遠位端部分が椎間板まで延在するように、組織開創器を、アクセス装置を介して又はアクセス装置から挿入するか又は展開する工程であって、開創器が外面を有する、工程、g)開創器の外面を神経根と接触させて神経根を遮蔽する工程、h)神経障害の原因となっていると考えられる全ての組織をマイクロサージェリーによって減圧する工程、i)椎骨終板からの軟骨状物質の除去を含む、椎間板物質を摘出する工程、j)椎体間装置を挿入する工程、及びk)安定化機構を展開して椎間部分を安定化させる工程、の1つ以上を含むことができる。
【0038】
図1に示すように、アクセスポート又は装置104の安定化は、それをアンカー102に連結することによって達成することができる。一部の実施形態では、これはリンク機構106を通して達成され得る。なお更なる実施形態では、システムは、アクセスポートを通るルーメン、チャネル、又は通路108が所望の手術部位と位置合わせされるように、アンカー102に対するアクセスポート104の位置を選択的にロックするように構成され得る。いくつかの外科処置では、アクセスポートは、患者の身体の、アクセスポートとは反対側に配置された(対側性)解剖学的アンカーポイント(例えば、椎弓根ネジ延長タブ又はタワー)に取り付けることができる。例えば、脊椎手術では、アンカーは、脊椎又は患者の正中線を間にしてアクセスポートの反対側に配置され得る。こうした安定化のための例示的なコネクタは、本明細書に記載されており、また、参照によりその全体が本明細書に援用される本明細書と同日出願の「SURGICAL INSTRUMENT CONNECTORS AND RELATED METHODS」と題する米国特許出願第15/786,923号で開示されている。場合によっては、患者の身体の同じ側に配置された(同側性)アンカーに対してアクセスポートを安定化させることが望ましい場合がある。
図1のシステム100では、アクセスポート104はアンカー102に対して安定化され、両方の構成要素は、患者の脊椎110又は正中線軸MLの同じ側に配置される(同側性)。他の構成では、アクセスポート104は、対側性アンカー102又は他の構造体に対して安定化され得る。
図2~
図32は、アクセスポート安定化のための様々なシステム、装置、及び方法を示す。
【0039】
一部の実施形態では、手術台などの外部構造体とは対照的に、患者の身体に固定されるアクセス装置又はシステムを利用することが有利であり得る。例えば、患者の身体に対する固定は、患者が処置中に動いても、アクセス装置と患者との間の相対位置を維持することによって利点を提供することができる。更に、他の実施形態では、患者の身体の同側、例えば、患者の脊椎の単一側又は同じ側に全ての装置を固定することが有利である場合がある。いくつかの処置では、これは、外科処置で利用される器具の複雑性を低減することができ、並列操作を患者の脊椎又は正中線軸の両側で並列して進行させることを可能にする。更に、これは、処置を実行するために必要とされる装置又は工程の数を低減することができる。
【0040】
図2及び
図3は、変形可能なリンク機構206によって延長タワー204に連結されたアクセスポート202を含むシステム200の一実施形態を示す。アクセスポート又は装置202は、様々な外科用器具のうちのいずれかを通過させることができる内側ルーメン208を備える略円筒形状を有することができる。アクセスポート202は、意図される用途(例えば、ポートを通してアクセスされる手術部位のサイズ、患者の身体に対する位置など)に基づいて、内側ルーメン直径、長さ、側壁厚さなどを含む、様々なサイズのうちのいずれかを有することができる。更に、アクセスポート202は、ステンレス鋼及びチタンなどの金属、並びに様々なポリマーを含む様々な材料のいずれかから形成することができる。
【0041】
図2及び
図3に示される延長タワー204は、例えば、患者の脊椎210に埋め込まれた骨ネジ又はアンカーと連結するように構成され得る(アンカーは図示せず)。例えば、延長タワー204は、骨アンカーの近位部分に連結された単軸又は多軸受容ヘッドの近位端と連結するように構成することができる。
図2及び
図3には示されていないが、こうした骨アンカーアセンブリは、当該技術分野において既知であり、また例えば、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる2016年7月13日出願の米国特許出願第15/208,872号、表題「BONE ANCHOR ASSEMBLIES AND RELATED INSTRUMENTATION」に記載されている。更に、延長タワー204は、例えば、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,179,261号、表題「PERCUTANEOUS ACCESS DEVICES AND BONE ANCHOR ASSEMBLIES」で説明されるタワーのうちのひとつを含む、当該技術分野において既知の様々なタワーのうちのいずれかであってよい。
【0042】
アクセスポート202は、ユーザによって適用される力がない状態でその位置を維持するのに十分な剛性のある、金属又は他の変形可能な材料の長さを含み得る、変形可能なリンク機構206によって延長タワー204に連結され得る。更に、リンク機構206は、タワーの外周の周りに配置されたスリーブ212を介して延長タワー204に連結することができる。スリーブ212は、スリーブを延長タワー204に選択的にロックすることを可能にし得るカムレバー214又は他のロック機構を含むことができる。これにより、スリーブを延長タワー204に対する様々な高さのいずれかに位置決めすることができる。特定の実施形態では、スリーブ212は、カムレバー214の作動によって、延長タワー204を中心とする回転を選択的にロックするようにも構成され得る。
【0043】
リンク機構206は、各端部で、当該技術分野において既知の様々なクランプ機構のいずれかを介して、アクセスポート202及び延長タワー204のうちの1つに連結され得る。例えば、図示された実施形態では、ボルト及び複数のナットを含むクランプアセンブリ216が、リンク機構206の一方の端部を、アクセスポート202の側壁から延在する延長ポスト218に連結するために用いられる。リンク機構206の反対側の端部は、ボルト及びつまみネジを含む同様のアセンブリ302を使用してスリーブ212に連結され得る。こうした機構は、カムレバー214、クランプアセンブリ216、及びつまみネジアセンブリ302のいずれかを固定する前に、様々な構成要素の互いに対する位置を調節することができるように、カムレバー214と同様の選択的なロック能力を提供することができる。これらの機構のそれぞれを締め付けた後、延長タワー204に対するアクセスポート202の位置を調節するには、リンク機構206を変形させるのに十分な力を加えることが必要である場合がある。
【0044】
図2に示されるように、アクセスポート202は、アクセスポートの長手方向軸L
1が延長タワー204の長手方向軸L
2、又は延長タワーが連結される任意のアンカーの長手方向軸と非同軸になるように位置決めされ得る。例えば、軸L
1は、軸線L
2に対してオフセットされてもよく、かつ/又は斜めに角度が付けられてもよい。
図2に示されるように、例えば、アクセスポート202は、延長タワー204がそれに対して同側(例えば、患者の脊椎又は正中線軸MLに対して同じ側)に連結される椎骨に隣接する椎間板腔又は椎骨などの手術部位へのアクセスを提供することができる。
【0045】
図4~
図12Cは、アクセスポートの位置を捕捉し、かつ選択的にロックするためにアンカーの遠位部分から近位方向に延在する延長タブを利用するシステムの実施形態を示す。
図4~
図6に示されるように、こうしたシステム400の第1の実施形態は、アンカーアセンブリ404に連結されたアクセスポート402と、アンカーアセンブリに対するアクセスポートの位置を選択的にロックするように構成されたロック器具406(例えば、鉗子)と、を含むことができる。図示した実施形態では、アンカーアセンブリ404は、患者の骨に挿入するように構成されたシャンク408のみならず、シャンクの近位部分に連結された受容ヘッド410を含む、多軸椎弓根ネジである。受容ヘッド410は、受容ヘッドの対向するアームから近位方向に延在する延長タブ412a、412bを含むことができる。延長タブ412a、412bは、受容ヘッド410と一体的に形成されてもよく、又は他の実施形態では、様々な取り付け機構のいずれかを介して受容ヘッド410に連結されてもよい。
【0046】
アクセスポート402は、アクセスポート402と一体的に形成されるか又はアクセスポート402に連結され、アクセスポート402から遠ざかるように横方向又は半径方向に延在して、その結果、アクセスポートの長手方向軸L3及びシャフトの長手方向軸L4が互いに横断するか又は斜めとなるような、シャフト414又は他の嵌合機構を含んでもよい。シャフト414は、アクセスポート402と一体的に形成されてもよく、又はクランプ若しくは他の接続機構を介してアクセスポート402に連結されてもよい。一部の実施形態では、シャフト414は、その長さに沿ってスプリットボール416又は他のロック要素を位置決めするために、隆起部又はリブなどの一連の反復する表面特徴部418をネジ山付けされるか又は有することができる。
【0047】
スプリットボール416は、シャフト414の周りに位置決めされ、
図5及び
図6の詳細図に示されるように延長タブ412a、412bの間に配置され得る。ボール内に形成されたリリーフスロット502は、例えば、並進摺動移動、シャフト414のネジ山418に沿った回転などによって、シャフト414の長さに沿ったその調節を可能にすることができる。スプリットボール416は、例えばロック器具406によってタブに適用される圧力が存在しない状態で、延長タブ412a、412bに対して、延長タブの長さに沿って摺動する、及び回転することを含む多軸方向の移動を行い、タブに対するその向きを調節することができる。シャフト414及び延長タブ412a、412bに対するボール416の所望の位置が達成されたら、ロック器具406が作動されて延長タブを互いに向かって付勢し、それによって、スプリットボールを延長タブ間にクランプすることができる。より具体的には、図示した実施形態では、ロック器具ハンドル420a、420bを互いに向かって移動させるユーザの作動により、遠位アーム422a、422bを互いに向かって移動させ、延長タブ412a、412b.の長さに沿って摺動させることができる。遠位アーム422a、422bのこの移動により、延長タブ412a、412bを互いに向かって付勢し、それによって、その間に配置されたスプリットボール416に圧縮力を付与することができる。この圧縮力は、延長タブ412a、412bに対するスプリットボール416の多軸方向の移動を防ぎ、それによって延長タブに対するボールの位置をロックすることができる。更に、圧縮力は、リリーフスロット502によって分離されたスプリットボールの対向する部分を互いに向かって付勢し、それによってボールをシャフト414にクランプして、これらの構成要素間の相対的な移動を防止することができる。その結果、ロック器具の作動により、アンカーアセンブリ404に対するアクセスポート402の位置及び向きを選択的にロックすることができる。
【0048】
上記の先行する実施形態と同様に、アクセスポート402から水平方向、半径方向、又は横方向に遠ざかるシャフト414又は他の嵌合機構の延伸は、その長さに沿って位置決めされたスプリットボール416と組み合わせて、アクセスポートの長手方向軸L3とアンカーアセンブリ404の長手方向軸L5とが非同軸となるようにアクセスポート402が位置決めされ、かつ選択的にロックされることを可能とし得る。例えば、アクセスポート402は、患者の身体の同側でアンカーアセンブリ404に隣接する手術部位にアクセスするように位置決めされ得る。
【0049】
延長タブ412a、412bの選択的なクランプを達成して、アンカーアセンブリ404に対するアクセスポート402の位置をロックすることが可能な多種多様な機構が存在する。
図4及び
図5の実施形態では、例えば、ロック器具406は、遠位アーム422a、422bを介して延長タブ412a、412bと直接接触することができる。こうした実施形態では、ハンドル420a、420bの解放によって、延長タブ412a、412bに加わる圧力を解放し、それによってスプリットボール416及びアクセスポート402のロックを解除することができる。しかしながら、
図7及び
図8に示される別の実施形態では、ロック器具702は、ユーザが器具ハンドル708a、708bを解放したとしても、遠位アーム706a、706bの位置を維持して、アンカーアセンブリ404に対するアクセスポート402の位置ロックを維持することができるラチェットクランプ704を含むことができる。実際に、器具ハンドル708a、708bは、作動後にラチェットクランプ704から分離されるように構成され、その結果、
図8に示されるように、遠位アーム706a、706b及びラチェットクランプ704を含む、より合理化された又は薄型のアセンブリを残すことができる。
【0050】
ラチェットクランプ704は、複数の歯802が上部に形成されているラチェットトラック710と、歯と係合して、遠位アーム706a、706bを互いに向かって移動させるが、互いから遠ざかるアームの反対方向の移動には抵抗するように構成された歯止め712と、を含むことができる。解除装置が、歯止め712をラチェットトラック710から係合解除し、アンカーアセンブリ404に対するアクセスポート402のロック解除を可能にするように含まれ得る。
【0051】
図9及び
図10に示される別の実施形態では、クランプ902を、上記のロック器具406及び702と置き換えることができる。クランプ902は、スプリットボール416の近位部分602に枢動可能に連結された本体904を含み、本体904はスプリットボール416に対して軸R
1を中心に回転可能である。一対のアーム1002a、1002bを含むフォークは、本体904から延在して、クランプ本体904及びアームが延長タブに向かって回転すると、延長タブ412a、412bの外面に接触して、これらに沿って摺動するように構成され得る。アーム1002a、1002bは、上記の遠位アーム422a、422b及び706a、706bと同じ方法で対向する延長タブ412a、412bに圧縮力を加えることができ、これによりアクセスポート402の位置がアンカーアセンブリ404に対してロックされ得る。ここでも、こうしたロックは、延長タブ412a、412bを互いに向かって付勢して、スプリットボール416に圧縮力を付与し、スプリットボールと延長タブとの間の相対的な移動を防ぐことによって達成される。こうした圧縮はまた、スプリットボール416の対向する部分をシャフト414内へと圧縮させ、それによってスプリットボールとシャフトとの間の相対的な移動を防ぐことができる。これらのデュアルロック機能は、アクセスポート402とアンカーアセンブリ404との間の相対的な移動を効果的に防ぐことができる。
【0052】
ハンドル906は本体904から延在して、本体904及びアーム1002a、1002bを延長タブ412a、412bに向けて回転させることによりロックを作動させたときにユーザにてこ作用を提供することができる。一部の実施形態では、ハンドル906は、アクセスポート402の位置がロックされたら、ハンドルを作動後に取り外して、より合理化された又は薄型のアセンブリを可能とし得るように、ネジ式に又は別の方法で本体904と取り外し可能に連結するように構成され得る。
【0053】
図11~
図12Cに示される更に別の実施形態では、上述のロック器具の代わりに、リングロック1102を使用することができる。リングロック1102は、延長タブ412a、412bの長さに沿って並進することができるように、延長タブ412a、412b上に摺動可能に配置することができる。リングロック1102は、延長タブ412a、412bが内部を通って延在し得る内側ルーメン1208を画定する閉鎖近位部分1202を含むことができる。リングロック1102は、リングロックが延長タブ412a、412b及びスプリットボール416の周囲の位置まで平行移動すると、シャフト414を受容することができるU字形凹部1206を画定し得る、遠位に延在するアーム1204a、1204bの対向する組を更に含むことができる。
【0054】
一部の実施形態では、リングロック1102が延長タブに沿って並進されると延長タブに圧縮力を加えるように、内側ルーメン1208の直径は、延長タブ412a、412bの静止外径よりも小さくてよい。他の実施形態では、リングロック1102の内径は、遠位アーム1204a、1204bによって圧縮力が加えられるが、近位部分1202には加えられないようにテーパ状であってもよい。更に他の実施形態では、リングロック1102は、延長タブ412a、412bに圧縮力を付与するように構成され得る対向するばねアーム1210a、1210bを含み、それによって、リングロック1102が延長タブ412a、412b及びスプリットボール416上の位置まで摺動すると上述の選択的ロックを可能にすることができる。こうしたばねアーム1210a、1210bは、延長タブ412a、412b及びスプリットボール416に様々な圧縮力を加えるために、異なる内側ルーメン直径の代わりに、又はそれに加えて利用することができる。
【0055】
図13A~
図18は、例えば患者の身体の、アンカーと同側に位置する手術部位などの手術部位に至るチャネルを画定するためにアクセスポートをアンカーに連結することができるリンク機構又は嵌合機構の更に他の例を示す。より具体的には、これらの図は、選択的にロック可能でかつ多軸方向に調節可能なリンク機構の様々な実施形態を示す。例えば、
図13A及び
図13Bは、ボルトと、リンク機構の対向する本体部分を一体に圧縮し、それによりリンク機構の一方の端部で第1の接続部をアクセスポート1306に対して圧縮し、リンク機構の反対側の端部で第2の接続部を、例えば、椎弓根ネジ又はその他のアンカー(図示せず)に連結可能な延長タワー1308に対して圧縮するつまみネジ1304と、を介して選択的にロック可能な、多軸方向に調節可能なリンク機構1302の一実施形態を示す。つまみネジ1304の締まりを変更することにより、延長タワー1308に対するアクセスポートの移動を選択的に許可することができる。更に、リンク機構1302は、アクセスポート1306及びタワー1308のそれぞれに対して多軸方向に調節可能であるため、アクセスポートは、
図13A及び
図13Bでこれらの構成要素の様々な相対的位置で示されるように、タワーに対して多軸方向に調節することができる。
【0056】
つまみネジ1304が
図13A及び
図13Bに示されているが、アクセスポート1306とタワー1308との間の相対的な移動を選択的に許可又は防止するために様々な他のロック機構を採用してもよい。例えば、
図14は、リンク機構1402a、1402bの対向する部分を選択的に圧縮して延長タワー1308に対するアクセスポート1306の位置を選択的にロックするためにカム1404が用いられる一実施形態を示す。また更に、一部の実施形態では、リンク機構は、
図15及び
図16に示されるように、複数の剛性セグメントを含むことができる。例えば、リンク機構1502は、アクセスポート1306に連結された第1のセグメント1504と、延長タワー1308に連結された第2のセグメント1506とを含むことができる。第1及び第2のセグメント1504、1506は、枢動継手1508において互いに枢動可能に連結され得る。こうした構成は、延長タワー1308に対するアクセスポート1306の位置決めにおいてより大きな柔軟性及び到達範囲を実現することができる。例えば、
図15のリンク機構1502は、アクセスポート1306と延長タワー1308との間に配置されたその他の器具上又はその周辺まで延伸するように位置決めされ得る。任意の数のリンク機構セグメントが含まれてもよく、各セグメントは、例えばつまみネジ、カムロック、又は対向する部分1504a、1504b(すなわち、第1の対のセグメント部分1504a、1504b)又は対向する部分1506a、1506b(すなわち、第2の対のセグメント部分1506a、1506b)を一体に圧縮することによってそれに連結された構成要素の移動を選択的にロックするその他のロック機構などのロック機構を受容することができる。図示された実施形態では、例えば、第1及び第2のセグメント1504、1506は、
図13A~
図14に示されるように、つまみネジ又はカムロック機構を受容するための貫通孔1510、1512を含む。
【0057】
図13A~
図16に示される実施形態は、例えば、分割リングクランプを使用してアクセスポート1306及び延長タワー1308に連結することができる。例えば、
図14のリンク機構1402は、アクセスポート1306の周りに配置された第1の分割リングクランプ1406と、延長タワー1308の周りに配置された第2の分割リングクランプ1408と、を含むことができる。分割リングクランプ1406、1408は、アクセスポート1304及び延長タワー1308に連結されたブッシングリングの球状外面とインターフェースできる球状内面を含むことができる。例えば、
図17は、延長タワー1308に連結されたブッシングリング1702の一実施形態を示し、
図18は、アクセスポート1306に連結されたブッシングリング1802の一実施形態を示す。ブッシングリング1702、1802は、これらにクランプ力が加えられていないときに、ブッシングリングが延長タワー1308及びアクセスポート1306に沿って摺動し、かつ/又はこれらを中心に回転することを可能にする外側球状面及びリリーフスロット1704、1804を含むことができる。延長タワー1308及びアクセスポート1306に対してブッシングリング1702、1802を選択的に移動させる能力によって、例えば、延長タワーに対するアクセスポートの高さを調節することが可能となり得る。しかしながら、他の実施形態では、ブッシングリング1702、1802は、これらの構成要素間の相対的な移動が可能でないように、延長タワー1308及びアクセスポート1306と一体的に形成されてもよい。こうした実施形態では、リリーフスロット1704、1804は除去されてもよい。
【0058】
分割リングクランプ1406、1408及びブッシングリング1702、1802の内側球状面と外側球状面とのインターフェースによって、圧縮力が存在しない状態での構成要素間の多軸方向移動が可能となり得る。例えば、つまみネジ1304又はカムロック1404を介して分割リングクランプ1406、1408に圧縮力が加えられると、分割リングクランプ1406、1408は、ブッシングリング1702、1802の周囲で圧縮し、それによりブッシングリングをアクセスポート1306及び延長タワー1308の周囲で圧縮させ、これらの構成要素間の相対的な移動を防止させることができる。これは、リンク機構全体を効果的にロックして、アクセスポート1306と延長タワー1308との間の相対的な移動を防止することができる。
図15及び
図16の多部品リンク機構1502では、リンク機構の各セグメント1504、1506を個別に選択的にロックすることが可能であり得る。
【0059】
一部の実施形態では、アクセスポートの高さは、アクセスポートが患者の皮膚表面上方の様々な高さ(例えば、延長タワー又はネジ延長タブなどに沿った位置)から患者の身体内の様々な深さまで(例えば、患者の皮膚表面下の様々な位置に位置する手術部位まで)延在することができるように調節可能であり得る。
図19A~
図19Cは、内側管又はスリーブ1904及び外側管又はスリーブ1906の相対的な移動によって達成される調節可能な高さを有するアクセスポート1902の一実施形態を示す。より具体的には、内側管1904は、外側管1906に対して並進することができる。こうした移動は、一部の実施形態では、内側管1904及び外側管1906の表面上に形成された、協働する隆起部及びノッチなどの様々な位置決め機構1908によって誘導され得る。一部の実施形態では、内側管1904上に平坦なばねアームを設けることができ、外側管1906は、ばねアームに係合するための複数の歯を含むことができる。更に、一部の実施形態では、内側スリーブ1904及び外側スリーブ1906の相対的な移動は、アクセスポートの高さの更なる調節を防止するために選択的にロックされ得る。例えば、外側スリーブ1906内に形成されたリリーフスロット1910によって、例えば、クランプ1406などの分割リングクランプが、外側スリーブ1906又は外側スリーブ1906の周囲に配置されたブッシング1802の周囲で圧縮すると、内側スリーブ1904の周囲で外側スリーブが圧縮されることにより、これらの相対的な位置をロックすることが可能となり得る。したがって、一部の実施形態では、アクセスポート及びアンカーの相対位置、並びにアクセスポートの高さの両方をロックするために、つまみネジ1304又はカムロック1404などのロック機構を利用することができる。
【0060】
図20A~
図31Dは、アクセスポート及びアンカーの長手方向軸が非同軸であるように、例えば、患者の身体の同側のアンカーに連結され得るアクセスポートの更に他の実施形態を示す。しかしながら、例示される実施形態では、アンカーをアクセスポートに連結するリンク機構は、アクセスポートに対して枢動するアクセスポートの外周の一部を形成することができる。こうした実施形態は、特定の構成では、アクセスポートの長手方向軸がアンカーの長手方向軸と位置合わせするように調節可能であり得る。脊椎固定又は変形矯正処置などの特定の処置では、これにより、アクセスポートが、処置の異なる部分の間に脊椎固定ロッドを挿入するためのネジタワーとしても機能することが有利に可能となり得る。
【0061】
図20A及び
図20Bは、椎弓根ネジなどのアンカー2002に連結され得る分割管アクセスポート2000の一実施形態の代替的な図を示す。アクセスポート2000は、その長手方向軸L
6に沿って延在する内側ルーメン2006を画定する、略円筒形本体2004を含むことができる。本体2004のリンク機構部分2008は、残りの部分から分割され、軸R
2を中心にして残りの部分に対して枢動することができる。本体2004とリンク機構部分2008との間の枢動運動を選択的にロックするために、つまみネジ2010を含むことができる。言うまでもなく、カムロック又は様々な他のロック機構のうちのいずれかを、つまみネジ2010の代わりに用いてもよい。内側ルーメン2006に加えて、追加の外科用器具を受容するために、二次ルーメン2012を設けることができる。例えば、例示される実施形態における二次ルーメン2012は、ユーザが外科処置を行うのを助けるために、カメラ及び/又は光源を受容するように構成され得る。二次ルーメン2012は、内側ルーメン2006に対して平行又は横方向に延在することができ、2つのルーメンは、特定の実施形態では合流してもよい。例えば、一部の実施形態では、二次ルーメン2012は、二次ルーメン2012を通過する光源及び/又はカメラが、アクセスポート2000の近位端の遠位にある内側ルーメン2006内に延伸するように、内側ルーメン2006に対して横方向に延在してもよい。その他の実施形態では、ルーメンは分離した状態を維持し得るが、二次ルーメン2012は、例えば、二次ルーメン2012の遠位端から出てくる内視鏡カメラが内側ルーメン2006の遠位端を越えて位置する手術部位を見ることができるように、内側ルーメン2006に対して角度をなしてもよい。
【0062】
リンク機構部分2008は、様々な様式のいずれかでアンカー2002と連結することができる。例えば、一部の実施形態では、一対の対向するアームを含むフォーク2014は、リンク機構部分2008の遠位端に形成され、アーム間の凹部にアンカー2002を受容するように構成され得る。一部の実施形態では、例えば、フォーク2014のアームは、より広い近位ヘッド部分2018から遠位方向に延在するアンカー2002の狭まったネック又はシャンク部分2016を受容するように構成され得る。例えば、多軸椎弓根ネジの骨アンカー部分は、典型的には、多軸受容ヘッドとインターフェースするより球状の近位ヘッド部分から延在する円筒状シャンクを含む。フォーク2014の対向するアームをアンカー2002の近位ヘッド部分2018の下方に配置することにより、リンク機構部分2008は、上向き又は近位力を適用してフォーク2014のアームをアンカー2002の近位ヘッド2018に対して摩擦ロックすることによって、アンカーに対して選択的にロックされ得る。
【0063】
こうしたロック力は、様々な方法で適用することができる。例えば、一部の実施形態では、アンカー2002を取り囲む切開壁部を形成する組織がフォーク2014に対して十分な力を及ぼし、フォーク2014とアンカー2002との間の相対的な移動を防止することができる。こうした力は、アンカー2002を取り囲む組織によって及ぼされる内向きの力又は圧縮力であってもよく、あるいはフォーク2014が上方に引き上げられ、その結果、患者の皮膚表面がフォークの下方に配置され、フォークに対して上向きの力を及ぼしてもよい。別の例として、アンカー2002を締め付けて、アンカーのヘッド部分2018と骨表面との間でフォーク2014を圧縮することができる。
【0064】
他の実施形態では、リンク機構部分2008をアンカー2002に対して選択的にロックするために、様々なロック機構のいずれかが提供され得る。
図20A及び
図20Bでは、例えば、リンク機構部分2008をアンカー2002に対して上方に駆動するためにロックネジ2020が利用され得る。より具体的には、ロックネジ2020の遠位端は、アンカー2002の近位面に接触するように構成することができ、フック2022は、ロックネジ2020上に螺合することができる。フック2022は、ロックネジ2020が回転すると、フック2022が上方に並進してリンク機構部分2008に対して上向きの力を及ぼし、それによりフォーク2014をアンカー2002の近位ヘッド2018と接触させるように、リンク機構部分2008内に形成された貫通孔2024と係合することができる。ロックネジ2020は、アンカー2002に対するリンク機構部分2008の相対位置をロックするのに十分な力を及ぼすことができる。つまみネジ2010と組み合わせると、アンカー2002に対するアクセスポート2000の位置を選択的にロックすることができ、又はこれらの構成要素間の多軸方向の移動を可能にするための移動を許すこともできる。
【0065】
図21及び
図22は、枢動リンク機構部分2102と、椎弓根又は他の骨ネジなどのアンカー2106に対するアクセスポートの位置を選択的にロックするためのロック機構2104と、を備えるアクセスポート2100の代替実施形態を示す。上述の実施形態と同様に、アクセスポート2100は、手術部位にアクセスするためのチャネルとして機能することができる内側ルーメン2110を画定する、略円筒形本体2108を含むことができる。リンク機構部分2102は、本体2108に枢動可能に連結され得る。ロック機構2104は、近位ロックネジ2114に螺合されたアクチュエータアーム2112をその近位端に含むことができる。アクチュエータアーム2112の遠位部分は、リンク機構部分2102の近位部分に形成されたテーパ状スロット2118内に配置された楔形又はダブテール形状2116を含むことができる。
【0066】
ロック機構2104を操作するために、ユーザは、ロックネジ2114をアクセスポート2100の近位端で回転させることができる。ネジ2114の回転によって、アクチュエータアーム2112は本体2108に対して近位方向に並進することができる。アクチュエータアーム2112の近位方向の移動によって、楔部2116は、リンク機構部分2102の近位部分内に形成されたテーパ状スロット2118の側壁と接触することができる。この結果、リンク機構部分2102の対向する近位アーム2120a、2120bが横方向外方に付勢されて、本体2108の側壁と接触することができる。本体2108の側壁、近位アーム2120a、2120b、及びアクチュエータアーム2112間の摩擦によって、アクセスポート2000の本体2108に対するリンク機構部分2102の位置をロックすることができる。
【0067】
更に、リンク機構部分2102は、対向する遠位アーム2124a、2124bを含むリンク機構部分の遠位端にフォークが形成されるように、その遠位部分に形成されたスロット2122を含むことができる。対向する遠位アーム2124a、2124bは、例えば、より広い近位アンカーヘッドの下方に配置された、狭まったシャンク又はネックの周りで、上記と同様にアンカー2106とインターフェースするように構成され得る。こうした実施形態では、近位アーム2120a、2120bを横方向外方に付勢して本体2108の側壁と摩擦係合させるアクチュエータアーム2112の近位方向の並進は、更に、アーム2124a、2124bの横方向内方への対応する移動を生じさせ、それによってアーム2124a、2124bのアンカー2106に対する摩擦を増加させることができる。これは、リンク機構部分2102の中央部分2126が、リンク機構部分の2つの側部がそれを中心に互いに対して枢動することができる支点として機能することができるからである。したがって、ロックネジ2114の作動は、アクセスポート本体2108及びアンカー2106に対するリンク機構部分2102の移動を同時にロックし、それによって、アンカーに対するアクセスポート2000の位置をロックすることができる。
【0068】
ロック機構の他の実施形態もまた可能である。例えば、一実施形態では、ロック機構は、遠位方向に駆動されて、アンカーとインターフェースするフォークを押すアクチュエータアームを含むことができる。アクチュエータアームの遠位前進によって、フォークを含むリンク機構部分を、アクセスポートの中心に向けて枢動させて戻すことができる。この枢動移動により、フォークとアクセス管の外面との間にネジ又はアンカーヘッドを挟み、それによって管をネジに対する所定の位置にロックすることができる。更に別の実施形態では、アクセス管の長手方向軸に垂直な平面内に延在するフックを利用することができる。フックは、アクセス管の長さに沿って下方に延在する長手方向ネジに取り付けることができる。ネジが回転すると、フックはアクセス管の長手方向軸に平行な軸を中心に回転することができる。回転するフックは、埋め込まれた骨アンカーを掴み、アクセス管の外までしっかりと引っ張り、管を定位置にロックすることができる。
【0069】
上記のアクセスポート2000及び2100は、そのリンク機構部分がアクセスポートの外周の一部を形成する第1の構成と、リンク機構部分がアクセスポート本体の残りの部分から枢動又は分離する第2の構成と、の間を有利に移行することができる。これにより、アクセスポート2000及び2100が、アクセスポートの内側ルーメンの長手方向軸がアンカーの長手方向軸と同軸である構成で挿入され、その後、例えば
図20A~
図22で示されるように、アクセスポートの内側ルーメンの長手方向軸とアンカーの長手方向軸とが非同軸である構成へと移動されることが可能となり得る。更に、アクセスポートは、外科処置中にこれらの構成の間を繰り返し移動することができる。したがって、アクセスポート2000及び2100は両方とも、アンカーに隣接する手術部位へのチャネルを画定するだけでなく、アンカー自体にチャネルを提供するネジ延長部としても機能し、それによって、受容ヘッドの挿入、脊椎固定要素の挿入、ロックキャップの挿入などを含む他の処置工程を容易にすることができる。
【0070】
図23A~
図23Iは、
図20A及び
図20Bに示されるものと同様のアクセスポート2300を利用する外科処置の一実施形態を示す。同様の手順は、
図21及び
図22のアクセスポート2100を利用しても可能である。
図23Aに示すように、処置は、アクセスポートの長手方向軸L
7がアンカーの長手方向軸L
8と位置合わせされる構成で、アクセスポート2100に予め組み付けられた骨ネジ又は他のアンカー2302を埋め込むことを含み得る。構成要素は、拡張器及び/又はドライバ2304をアクセスポート2300のルーメン又はチャネルを通して挿入し、アンカー2302の近位端に係合することによって、こうした位置に維持され得る。ドライバ2304によってアンカー2302に遠位力を印加することによって、ドライバ2304の遠位端とアクセスポート2300のフォーク2306との間のアンカーの位置をしっかりと拘束することができる。一部の実施形態では、ドライバ2304及びフォーク2306は協働して、アンカー2302のその長手方向軸L
8に沿った軸方向移動は拘束するが、患者の骨への挿入中、ドライバ及びアンカーのフォークに対する回転移動は可能にすることができる。
【0071】
拡張器及び/又はドライバ2304を利用してアクセスポート2300及びアンカー2302を経皮挿入した後、ドライバをアクセスポートチャネル又はルーメンから近位方向に引き出し、それによって、アンカーに連結され、かつアンカーと一直線に位置決めされたアクセスポートを残すことができる。一部の実施形態では、また上述したように、アクセスポートフォーク2306は、アンカー及びアクセスポートを取り囲む組織からフォークに加えられる上向き又は内向きの力によって、又はアクセスポート2000に関連して上述したロックネジ2020及びフック2022などのロック要素を挿入することによって、アンカー2302の近位ヘッド2308に対して保持され得る。
【0072】
アンカー2302が埋め込まれた椎骨に隣接する椎間板腔などの手術部位へのアクセスを提供するために、ユーザは、アクセスポート本体2310などのアクセスポート2300の一部をアンカーに対して角度付けするか、又は別の方法で移動させて、そのチャネル2312を手術部位と位置合わせさせてもよい。
図23Bに示されるように、こうした位置では、アクセスポート2300の長手方向軸L
7は、アンカー2302の長手方向軸L
8と非同軸であり得る。アクセスポート本体2310は、本体に対して枢動可能なリンク機構部分2314を介してアンカー2302に連結され、かつアンカー2302によって安定化された状態を維持することができる。更に、一部の実施形態では、サムホイールロック2316などのロックを利用して、本体2310に対するリンク機構部分2314の位置を選択的にロックすることができる。
【0073】
図23Bに示すようにアクセスポート2300を位置決めした後、ユーザは、アクセスポートチャネル2312を通して1つ以上の器具を導入することによって、手術部位で様々な外科処置のうちのいずれかを実行することができる。例えば、アクセスポートが椎間板腔にアクセスするように位置決めされる実施形態では、ユーザは、アクセスポートがアンカー2302に対して所定の位置に固定されている間に、アクセスポート2300のチャネル2312を介して脊椎固定ケージ挿入処置を実施することができる。
【0074】
椎間板処置又は任意の他の外科処置の完了後、任意のロック(例えば、サムホイールロック2316並びに/又はネジ2020及びフック2022のようなフォーク/アンカーロック)は、少なくとも部分的に係合解除されてもよく、またアクセスポート本体2310は、その挿入位置に戻ることができ、ここで長手方向軸L
7及びL
8は位置合わせされる。アクセスポート2300が、受容ヘッド挿入、脊椎固定要素挿入、ロックキャップ挿入及び締め付けなどの更なる外科処置のためのアンカー延長タワーとして機能することができるような構成で任意のロックを再係合させることができる。
図23Cは、
図23Aの構成に戻るが、拡張器及び/又はドライバ2304を含まないアクセスポート2300を示す。
図23Dは、ツール2320を使用してアクセスポート2300のチャネル2312に挿入される多軸ネジ受容ヘッド2318を示す。受容ヘッド2318は、アクセスポートのチャネル2312を通って遠位方向に前進し、アンカー2302の近位ヘッド2308に連結され得る。フォークはアンカーの球状近位ヘッド2308の遠位、又は図では下方でアンカーに係合するため、ヘッド2318は、アクセスポートフォーク2306からの干渉なしにアンカー2302に連結され得る(ロックネジ2020及びフック2022が用いられる場合は、これらの構成要素は受容ヘッド2318をアンカー2302に連結する前に除去される必要がある場合がある)。
図23Eは、アンカー2302の近位ヘッド(不可視)の上に配置された受容ヘッド2318を示す。受容ヘッド2318とアンカー2302との連結に続いて、アクセスポートチャネル2312を通してヘッドを導入するために利用される挿入ツール2320を除去することができる。
【0075】
図23Fは、隣接するアンカー2322が、患者の骨、例えば、患者の身体の同側の隣接する椎骨に導入される更なる工程を示す。アンカー2322は、受容ヘッド2324、及び患者の体外からのアンカー2322の操作及びアクセスを可能にする延長タワー2326に予め組み付けられて導入され得る。
図23Gに示すように、ロッド2328などの脊椎固定要素は、ツール2330を使用して受容ヘッド2324及び2318を通過することができる。延長タワー2326及びアクセスポート2300は、ロッド2328又は他の脊椎固定要素の通過を可能にするために、その側壁に形成された対向する貫通孔を含み得ることに留意されたい。例えば、アクセスポート2300のリンク機構部分2314は、ロッド通路に利用され、また上記のロックネジ2020及びフック2022などのロック機構とインターフェースし得る貫通孔2332を含むことができる。アクセスポート本体2310は、更に、その内部に形成された貫通孔2334若しくはスロット、又はその他の切り欠き部を含むことができ、これは貫通孔2332と位置合わせされて、挿入中にロッド2328が通過することを可能にする。ロッドの挿入に続いて、ユーザは、
図23Iに示されるロックキャップ又は止めネジ2336及び2338などのロックキャップを、延長タワー2326及びアクセスポートチャネル2312を通して導入して、ロッド2328又は他の脊椎固定要素を各受容ヘッド/アンカーアセンブリに対して固定することができる。
【0076】
図23Hに示すように、更なる工程は、延長タワー2326及びアクセスポート2300を除去して、
図23Iに示されるように、最終インサイチュ固定構造体を残すことを含み得る。一部の実施形態では、アクセスポート2300の除去は、サムホイールロック2316を緩めて、リンク機構部分2314をロッド2328及びアンカー2302から解放することを可能にすることを含み得る。
【0077】
図24A~
図31Dは、上記で説明したような手順においてアクセスポートの使用を容易にするために1つ以上の展延性又は屈曲性のタブを含む、アクセスポートの更なる実施形態を示す。例えば、
図24A及び
図24Bは、様々な金属及びポリマーのうちのいずれかなどの展延性材料から形成され得る、アクセスチャネル2403を画定する略円筒形の本体2402を有するアクセスポート2400の一実施形態を示す。本体2402は、その内部に形成され、その近位端2406及び遠位端2408のいずれかから軸方向に延在してアクセスポート2400の各端部に1つ以上の屈曲性タブを形成する、複数のスロット又はスリット2404a~2404kを含み得る。例えば、
図24A及び
図24Bに示されるスロット2404a~2404kは、図示される構成から遠ざかるように変形又は屈曲可能な複数のタブ2410a~2410gを形成することができ、これらは円筒形本体2402の外周の一部を形成する。スロット又はスリット2404a~2404kの位置決めは、材料の展延性と相まって、
図24Aに示されるタブ2404aの仮想ヒンジ線2411などの所望の場所での隔離された変形を可能にすることができる。
【0078】
1つ以上のタブ2410は、異なる外科処置において様々な目的を果たすことができる。例えば、一部の実施形態では、対応する近位タブ及び遠位タブ(例えば、タブ2410a及び2410b)は、アクセスポート2000に関連して上述された二次ルーメン2012と同様の、外科用可視化システム、カメラ、スコープ、又はライトに対応するためにその内部に形成された貫通孔2412、2414をそれぞれ含むことができる。
図25は、円筒形本体2402から遠ざかるように変形又は屈曲されたタブ2410a、2410bの貫通孔2412、2414を通して配置された可視化システム2502を有するアクセスポート2400を示す。
【0079】
アクセスポート2400の遠位端2408では、タブ2410gは、
図26に示されるようにアンカー2602と連結するためのリンク機構として利用することができる。より具体的には、タブ2410gは、アンカー2602と連結するリンク2604に連結されるように構成され得る。
図27に詳細に示されるリンク2604は、アンカー2602の近位ヘッド部分の下方でアンカー2602と係合するように構成された対向するアーム2702a、2702bを有するフォーク2606を有する遠位部分を含むことができる。アンカーの近位ヘッド部分は、上述のように組み付けられていない骨アンカーの場合に球状ヘッドを、又は組み付けられた多軸骨ネジの場合には受容ヘッド2608の遠位端を含むことができる。リンク2604の近位部分は、タブ2410gを捕捉して、
図26に示すようにリンクとアクセスポート本体2402とを連結させるように構成され得る一対の対向するアーム2704a、2704bを含むことができる。
【0080】
アクセスポート2400のリンク2604は、上述のように、リンクをアンカー2602に固定することを容易にするための機構を含み得る。例えば、リンクは、
図20A及び
図20Bのロックネジ2020及びフック2022と同様に、ロック機構の一部を形成するフック2612を受容することができる、その内部に形成された貫通孔2610を含むことができる。一部の実施形態では、ロック機構は使用されなくてもよく、周囲組織によって及ぼされる上向き及び/又は内向きの力に依存して、フォーク2606をアンカー2602に対して固定してもよい。
【0081】
使用中、アクセスポート2300は、
図28Aの構成に挿入することができ、ここでアクセスポート2300の長手方向軸L
9は、アンカー2602の長手方向軸
10と位置合わせされる。一部の実施形態では、
図28Aに示すような予め組み立てられたアセンブリは、
図23Aに示される実施形態と同様に、ドライバを使用して挿入することができる。他の実施形態では、アクセスポート2400は、埋め込み部位の上方に位置決めすることができ、アンカー2602及びリンク2604は、アクセスポートの中央チャネル又はルーメンを通して、その近位端からその遠位端まで通過させることによって埋め込むことができる。続いて、
図28A及び
図28Bに示されるように、リンク2604は、例えば、リンクの対向するアーム2704a、2704bの間でタブ2410fを摺動させることによって、アクセスポート2400の遠位部分に連結することができる。更にその他の実施形態では、アンカー2602は、アクセスポートチャネルを通すことによって、又はアクセスポートの補助なしに埋め込むことによって、独立して埋め込むことができ、続いてリンク2604をアンカー2602及びアクセスポート2400に連結することができる。更に他の実施形態では、アクセスポート2400は、患者の骨に埋め込まれたアンカー2602に既に連結されているリンク2604上に下向きに挿入され得る。
【0082】
本実施形態では、ポートがリンク機構に取り付けられるアクセスポートの上部にロック/ロック解除サムホイール又はノブを有する代わりに、アクセスポート2400は、ポートがアンカー2602に対して移動され、続いてポートを適所に保持することを可能にする屈曲可能なタブ2410f又は2410gを含むことができる。
図26~
図28Bを比較すると、アクセスポート2400が、リンク2604を様々な向きで連結するために、アクセスポート2400の中心線を中心として対向するタブ2410f及び2410gなどの複数の遠位タブを含み得ることは明らかである。どのタブが利用されるかにかかわらず、ポート2400は、タブを屈曲させるか又は変形させることによって所望の位置/向きに配置することができ、材料固有の剛性によって位置決めされた後にその位置に維持されることができる。
【0083】
図28A及び
図28Bに示されるように、アクセスポート2400は、
図28Aの上記で説明した軸方向に位置合わせされる構成から、
図28Bに示す、アクセスポートの長手方向軸L
9がアンカーの長手方向軸L
10と非同軸になる構成まで移動させることができる。更に、アクセスポート2400は、
図23A~
図23Iに関連して上述した処置などの様々な処置で使用することができるように、
図28Aの構成と
図28Bの構成との間を繰り返し移動することができる。
【0084】
アクセスポート2400はまた、神経シールド又は軟組織開創器2902などの他の外科用構成要素と連結するように構成され得る。
図29は、タブ2410c、2410dにそれぞれ連結された複数の開創器2902a、2902bを示す。
図30は、開創器2902をより詳細に示す。開創器2902は、開創器及び開創器が連結される任意のタブを操作するための近位ハンドル3002、並びに軟組織を遮蔽及び/又は後退させるように構成された細長い本体3004及び遠位後退先端部3006を含むことができる。開創器2902は更に、アクセスポート2400のタブ2410を捕捉するための、上記のリンク2604の対向するアーム2704a、2704bと同様の、一対の対向するアーム3008a、3008bを含むことができる。
【0085】
図31A~
図31Dは、アクセスポート2400に関連して軟組織開創器又は神経シールド2902を利用するための方法の一実施形態を示す。
図31Aに示すように、方法は、アクセスポート2400の近位端2406において、タブがアクセスポートの円筒形本体2402の外周の一部を形成する初期構成からタブが分離するように、タブ2910dを中央長手方向軸L
9から遠ざかるように変形又は屈曲させることを含み得る。次に、軟組織開創器2902は、
図31B及び
図31Cに示されるように、タブ2410d及び開創器2902の対向するアーム3008a、3008bと係合する様式で、アクセスポート2400のチャネル又はルーメン2403内に導入されることができる。その際、遠位後退先端部3006は、長手方向軸L
9又はチャネル2403の中心線を横断して、ポートのタブ2410dの反対側にあるアクセスポートの遠位端2408から突出することができる。開創器2902の遠位前進が完了した後、ユーザはハンドル3002を利用して、
図31Dに示されるように、タブ2910dを、アクセスポートの円筒形本体2402の外周と位置合わせされたその元の位置まで屈曲又は変形させることができる。タブが移動すると、遠位開創器先端部3006は、先端部がタブ2910dと同じ側に位置決めされるように、アクセス管の長手方向軸L
9又は中心線を横切って戻ることができる。開創器先端部が移動すると、開創器先端部は、神経などの、タブが遭遇する任意の軟組織を捕捉して移動させることができる。こうした開創器2902は、例えば、患者の椎骨の外科処置中に一般的に遭遇する神経を移動させるのに有用であり得る。
図29に示すように、一部の実施形態では、複数の開創器を同時に用いることができる。例えば、アクセスポート2400の近位端2406は、開創器2902を連結することができる3つの同一のタブ2410c~2410eを形成する4つのスリット又はスロット2404c~2404fを含むことができる。
【0086】
別の実施形態では、アクセスポート2400を利用するための方法は、近位及び遠位タブ2410a、2410bを変形させることと、内視鏡又は外科用可視化システム2502を、タブ2410a、2410b内に形成された穴2412、2414を通して位置決めすることと、を含み得る。アクセスポート2400及び内視鏡又は他の可視化システム2502は、椎弓根ネジ又は他のアンカー2602を用いて患者に導入することができる(ネジは、例えば、多軸、一軸、好ましい角度などの様々な受容ヘッドのいずれかに予め組み付けられてもよく、又はヘッドレスであってもよい)。患者の身体内に導入するために、ポート2400は、ポート2400の長手方向軸とアンカー2602の長手方向軸とが位置合わせされるように、アンカー2602と位置合わせされ得る。導入及び挿入は、拡張器及び/又はドライバツールを、アンカー2602とインターフェースするように、アクセスポート2400のワーキングチャネルを通して挿入することによって促進され得る。アンカー2602を患者の骨内に導入及び挿入することに続いて、任意の拡張器又はドライバツールを除去することができ、リンク2604によってアンカーに連結されたタブ2410f、2410gのいずれかを変形させることによって、ポート2400を、例えば、アンカー2602が挿入された椎骨に隣接する椎間板腔上などの所望の位置まで操作することができる。一部の実施形態では、所望の位置は、患者の身体の同側であってもよい(例えば、患者の脊椎又は正中線軸の同じ側でアンカー2602に隣接する)。所望の位置にあるとき、アクセスポート2400の長手方向軸は、アンカーの長手方向軸と非同軸であり得る。一部の実施形態では、リンク2604及びポート2400の位置を、例えばロックネジ及びフック2612を使用してアンカー2602に対してロックして、リンク2604の遠位フォーク2606をアンカーの近位部分に対して上向きに駆動することができる。
【0087】
本方法は、近位タブ2410c、2410d、2410eのうちの1つ以上を、アクセスポートの中央長手方向軸から遠ざかるように外向きに変形させることを更に含み得る。開創器2902は、変形されたタブ2410に連結され、例えば軟組織のクリープが生じている場合のあるポート2400の遠位端を越えて遠位方向に前進されてもよい。開創器2902の遠位開創器先端部3006は、開創器の近位部分に連結された変形されたタブ2910から軟組織の反対側に位置決めすることができる。次に、開創器に連結されたタブを元の位置に戻るように変形させる様式で、開創器を操作することができる。この移動により、遠位開創器先端部3006が軟組織を捕捉して、タブ2410が開創器2902に連結するアクセスポート2400の側部まで軟組織を後退させ、それによりアクセス管ルーメン2403の中央部分をクリアにすることができる。捕捉された組織によって及ぼされる力は、タブ2410を変形させるために必要とされる力よりも小さくあり得るため、開創器2902及び捕捉された組織をこの位置に維持することができる。
【0088】
ユーザは、アクセスポート2400のルーメン2403を介して様々な外科処置のいずれかを完了することができる。例えば、椎間板交換、椎間板切除、終板調製、固定ケージ挿入、骨移植片送達などの椎間板腔に対する処置は、器具又はインプラントをアクセスポート2400に通すことによって行うことができる。一旦完了すると、アンカー2602に対する全てのロックを解放し、また存在する場合は全ての組織開創器2902を除去してもよく、リンク2604に連結するタブ2410f、2410gのいずれかを変形させてその元の位置に戻し、それによって、アクセスポートの長手方向軸がアンカーの長手方向軸と位置合わせされるその挿入構成にアクセスポート2400を戻してもよい。アクセスポート2400は、
図23A~
図23Iに関連して上述したように、アンカー受容ヘッドの挿入及び連結、脊椎固定要素の挿入、並びにロックキャップの挿入及び締め付けを補助するため、アンカー2602の上のネジタワーとして機能し続けることができる。全ての作業が完了したら、リンク2604はアンカー2602から係合解除され得、ポート2400は除去され得る。
【0089】
図32は、選択的にロック可能な様式でアクセスポートとアンカーとを連結するためのリンク機構3200の更に別の実施形態を示す。リンク機構3200の遠位部分3202は、椎弓根ネジなどのアンカーに連結するように構成され得る。連結は、アンカー上に形成された1つ以上のノッチ又は他の嵌合機構とインターフェースする、ネジ係合を含む様々な既知の機構を使用して達成することができる。同様に、リンク機構3200の近位部分3204は、様々な既知の機構のいずれかを使用してアクセスポートに連結するように構成され得る。近位部分3202及び遠位部分3204は、電流又は他の入力の印加によって変化され得る機械的特性を有する「スマート」材料3206によって互いに連結させることができる。例えば、材料3206は、通常は自由に移動及び屈曲することができるが、電流3208又はその他の入力を印加することによって剛性となることができる。あるいは、材料3206は、通常は剛性であり、電流又は他の入力を印加することによって可撓性となるように、逆にすることもできる。
【0090】
こうした実施形態では、アクセスポートは、所望に応じて骨ネジ又は他のアンカーに対して位置決めすることができ、次いで、電流又は他の入力をスマート材料3206に印加して、それを定位置に保持することができる。
図32の構成は、こうした材料をどのように利用できるかの一例であるが、こうした材料は、本明細書に記載されるシステム及び装置に関連して様々な方法で用いることも可能である。例えば、こうした材料は、上記の
図4~
図12Cに関連して説明されるタブなどの延長タブのクランプを達成するために利用することもできる。こうした材料はまた、コネクタをネジタワー又はポートなどにクランプするために利用することができる。
【0091】
こうした「スマート」材料3206の一例は、印加された電流に基づいて、変化した引張強度(例えば、可撓性から硬質へと)を示し得る電気塑性エラストマーヒドロゲルであってもよい。他の例示的な材料としては、電気活性ポリマー(EAP)、ニチノール又は形状記憶材料、ヒドロゲルなどを挙げることができる。
【0092】
上記の説明若しくは添付図面において表現された又は示唆された方法工程の任意の順序は、その順序でステップ工程を実施することに開示された方法を限定するものと解釈すべきではないことに留意すべきである。むしろ、本明細書で開示された方法のそれぞれの様々なステップは、任意の様々な順序で行うことができる。更に、説明された方法は、例示的な実施形態に過ぎず、追加の工程を含む、又はより少ない工程を含む、様々な他の方法も本開示の範囲内である。
【0093】
本明細書に開示される器具は、様々な既知の材料のうちのいずれかから構成されることができる。例示的な材料としては、例えば、ステンレス鋼、チタン、ニッケル、コバルトクロム、又はそれらの合金及び組み合わせのような金属、PEEKなどのポリマー、セラミックス、炭素繊維などを含む、外科用途で使用するのに適した材料が挙げられる。本明細書に開示される器具の様々な構成要素は、それらの使用に適切な様々な程度の剛性又は可撓性を有することができる。装置のサイズもまた、使用目的及び手術部位の生体構造によって大きく異なり得る。更に、特定の構成要素は、他の構成要素とは異なる材料から形成され得る。器具の1つ以上の構成要素又は部分は、蛍光透視法及び他の画像処理技法下の視覚化を容易にするために、放射線不透過性材料から形成されてもよく、あるいは他の構造物の可視化を干渉しないように放射線透過性材料から形成されてもよい。例示的な放射線透過性の材料としては、炭素繊維及び高強度のポリマーが挙げられる。
【0094】
本明細書で開示された装置及び方法は、最小侵襲性手術及び/又は切開手術で用いることができる。本明細書に開示される装置及び方法は、一般に、ヒト患者における脊椎手術の文脈で説明されているが、本明細書に開示される方法及び装置は、任意のヒト若しくは動物の対象との様々な外科処置のいずれかで、又は非外科処置で使用され得ることが理解されるであろう。
【0095】
本明細書に開示される装置は、1回の使用後に廃棄されるように設計することができ、又は複数回使用されるように設計することができる。しかしながら、いずれの場合も、装置は、少なくとも1回の使用後に再使用のために再調整することができる。再調整には、装置の分解工程、それに続く特定の部品の洗浄工程又は交換工程、及びその後の再組立工程の任意の組み合わせを含むことができる。特に、装置は分解することができ、装置の任意の数の特定の部品又は部分を、任意の組み合わせで選択的に交換するか又は取り外すことができる。特定の部分を洗浄及び/又は交換した後、装置を後の使用のために、再調整施設で、又は外科手技の直前に外科チームによってのいずれかで再組み立てることができる。当業者であれば、装置の再調整が、分解、洗浄/交換、及び再組立のための様々な技術を利用できることを理解するであろう。こうした技術の使用、及び結果として得られる再調整された装置は、全て本出願の範囲内にある。
【0096】
本明細書に記載の装置は、手術に使用される前に処理されてもよい。まず、新品又は使用済みの器具を入手し、必要に応じて洗浄してもよい。次いで、器具を滅菌することができる。1つの滅菌技術では、器具は、プラスチックバッグ又はTYVEKバッグなど、閉鎖され密封された容器に入れられてもよい。次に、容器及びその内容物は、γ線、X線、又は高エネルギー電子などの、容器を貫通できる放射線場の中に設置されてもよい。放射線は、器具上及び容器内の細菌を死滅させることができる。この後、滅菌された器具を滅菌容器内で保管することができる。密封された容器は、医療施設において開封されるまで器具を滅菌状態に保つことができる。当技術分野で既知の別の形態の滅菌も可能である。これにはβ線又はその他の放射線、酸化エチレン、蒸気、又は液体浴(例えば寒冷浸漬)を挙げることができる。使用される材料、電気部品の存在などによって、特定の形態の滅菌技術が、装置の異なる部分で使用するのにより好適であり得る。
【0097】
当業者は、上記で説明された実施形態に基づき、更なる特徴及び利点を理解するであろう。したがって、本開示は、具体的に示され、かつ説明された内容によって限定されるものではない。本明細書に引用される全ての刊行物及び参照文献はそれらの全容が参照によって本明細書に明示的に組み込まれる。
【0098】
〔実施の態様〕
(1) 手術部位へのチャネルを画定するために患者に経皮挿入するように構成されたアクセスポートと、
前記患者の骨に挿入するように構成されたアンカーと、
を備え、
前記アクセスポートは、前記アクセスポートの長手方向軸及び前記アンカーの長手方向軸が非同軸であるように、前記アンカーに連結されている、
外科用システム。
(2) 前記アンカーに対する前記アクセスポートの位置が選択的にロックされ得る、実施態様1に記載のシステム。
(3) 前記アクセスポートは、リンク機構によって前記アンカーに連結されている、実施態様1に記載のシステム。
(4) 前記リンク機構は変形可能である、実施態様3に記載のシステム。
(5) 前記リンク機構は金属から形成されている、実施態様4に記載のシステム。
【0099】
(6) 前記リンク機構は選択的にロック可能である、実施態様4に記載のシステム。
(7) 前記リンク機構は、前記リンク機構に電気を印加することによって選択的にロックされる、実施態様6に記載のシステム。
(8) 前記リンク機構は、調節ネジによって選択的にロックされる、実施態様6に記載のシステム。
(9) 前記アクセスポートの長さは、前記アクセスポートの外側スリーブに対して前記アクセスポートの内側スリーブをテレスコープ式に伸縮させることによって調節することができる、実施態様1に記載のシステム。
(10) 前記リンク機構は、前記アクセスポートの外周の一部を形成し、前記アクセスポートに対して枢動する、実施態様3に記載のシステム。
【0100】
(11) 前記アクセスポートは変形可能部分を含む、実施態様1に記載のシステム。
(12) 前記変形可能部分は前記アンカーと連結する、実施態様11に記載のシステム。
(13) 前記変形可能部分は、前記アンカーの多軸ヘッドの下方で前記アンカーと連結する、実施態様12に記載のシステム。
(14) 前記変形可能部分に連結された神経シールドを更に含む、実施態様11に記載のシステム。
(15) 前記アンカーは、その遠位部分から遠ざかるように近位方向に延在する対向する延長部を含み、
前記アクセスポートは、前記対向する延長部の間で前記アクセスポートの一部を圧縮することによって前記アンカーに連結する、
実施態様1に記載のシステム。
【0101】
(16) 前記対向する延長部を互いに向かって圧縮するように構成されたクランプを更に含む、実施態様15に記載のシステム。
(17) 前記クランプは、前記クランプが前記対向する延長部の長さに沿って摺動するように、前記対向する延長部を受容するように構成された内側ルーメンを画定する、実施態様16に記載のシステム。
(18) 前記アクセスポートは、前記アクセスポートの長手方向軸に対して横方向に延在するシャフトと、前記シャフトの周りで前記対向する延長部間に配置されたスプリットボールと、を含む、実施態様15に記載のシステム。
(19) 前記スプリットボールに連結され、前記スプリットボールに対して枢動して、前記対向する延長部を前記スプリットボールに対して圧縮するように構成されたクランプを更に備える、実施態様18に記載のシステム。
(20) アンカーを患者の骨に挿入することと、
アクセスポートを前記アンカーに連結することと、
前記アクセスポートを、前記アクセスポートの長手方向軸及び前記アンカーの長手方向軸が非同軸であるように、前記患者の身体の同じ側で前記アンカーに対して位置決めすることと、
を含み、前記アクセスポートが手術部位へのチャネルを画定する、
外科的方法。
【0102】
(21) 前記アンカーは患者の椎骨に挿入される、実施態様20に記載の方法。
(22) 前記アンカーに対する前記アクセスポートの位置をロックすることを更に含む、実施態様20に記載の方法。
(23) 前記アクセスポートを位置決めすることが、前記アクセスポートと前記アンカーとの間を延在するリンク機構を変形させることを含む、実施態様20に記載の方法。
(24) 前記リンク機構に電気を印加して、前記アンカーに対する前記アクセスポートの位置をロックすることを更に含む、実施態様23に記載の方法。
(25) 調節ネジを作動させて、前記アンカーに対する前記アクセスポートの前記位置をロックすることを更に含む、実施態様22に記載の方法。
【0103】
(26) 前記アクセスポートの外側スリーブに対して前記アクセスポートの内側スリーブをテレスコープ式に伸縮させることによって前記アクセスポートの長さを調節することを更に含む、実施態様20に記載の方法。
(27) 前記アクセスポートの一部を変形させることを更に含む、実施態様20に記載の方法。
(28) 前記アクセスポートを前記アンカーに連結することは、前記アンカーを前記アクセスポートの前記変形可能部分と連結することを含む、実施態様27に記載の方法。
(29) 神経シールドを前記アクセスポートの前記変形可能部分に連結することを更に含む、実施態様27に記載の方法。
(30) 前記アクセスポートを前記アンカーに連結することは、前記アンカーの遠位部分から遠ざかるように近位方向に延在する前記アンカーの対向する延長部間で前記アクセスポートの一部を圧縮することを含む、実施態様20に記載の方法。
【0104】
(31) アクセスポートの長手方向軸及びアンカーの長手方向軸が同軸である構成で、前記アクセスポート及び前記アンカーを患者の身体内に導入することと、
前記アクセスポートの前記長手方向軸及び前記アンカーの前記長手方向軸が非同軸であり、前記アクセスポート及び前記アンカーが前記患者の身体の同じ側にあるように、前記アンカーに対する前記アクセスポートの位置を調節することと、
を含む外科的方法。
(32) 前記アンカーは患者の椎骨に挿入される、実施態様31に記載の方法。
(33) 前記アクセスポート及び前記アンカーは、前記患者の身体内に導入するためにドライバに連結されている、実施態様31に記載の方法。
(34) 前記アンカーに対する前記アクセスポートの前記位置を調節する前に、前記ドライバを除去することを更に含む、実施態様33に記載の方法。
(35) 前記アクセスポートを介して前記患者の身体内に第2のアンカーを挿入することと、
前記アクセスポートの前記長手方向軸及び前記アンカーの前記長手方向軸が同軸であるように、前記アンカーに対する前記アクセスポートの位置を再調節することと、
多軸受容ヘッドを前記アクセスポートに挿入して、前記受容ヘッドを前記アンカーに連結することと、
前記アンカー及び前記第2のアンカーを脊椎固定要素と連結することと、
前記アクセスポートを除去することと、
を更に含む、実施態様31に記載の方法。
【0105】
(36) 前記アンカーに対する前記アクセスポートの位置を調節した後に、前記アンカーに対する前記アクセスポートの位置をロックすることを更に含む、実施態様31に記載の方法。