(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024109
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】炭化珪素半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 29/78 20060101AFI20240214BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240214BHJP
H01L 29/12 20060101ALI20240214BHJP
H01L 29/739 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
H01L29/78 652M
H01L29/78 653C
H01L29/78 658F
H01L29/78 652T
H01L29/78 655A
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024002352
(22)【出願日】2024-01-11
(62)【分割の表示】P 2019188165の分割
【原出願日】2019-10-11
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104190
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 昭徳
(72)【発明者】
【氏名】脇本 節子
(57)【要約】
【課題】バリアメタルの剥離やクラックを抑制することができる炭化珪素半導体装置および炭化珪素半導体装置の製造方法を提供すること。
【解決手段】層間絶縁膜10の上面に、トレンチ5の内部のゲート電極7の上面の凹み7aを反映した第1凹部10aが設けられている。層間絶縁膜10の上面と側面との境界に、層間絶縁膜10の側面上端が扇状に除去されてなる第2凹部10bが設けられている。層間絶縁膜10の表面には、第1,2凹部10a,10bによる凸部10e,10fが形成され、これら第1,2凹部10a,10bおよび凸部10e,10fにより3つ以上の凹凸が繰り返し設けられている。層間絶縁膜10の表面の凸部10e,10fの頂点の角度θ1,θ2は100°以上程度の鈍角である。層間絶縁膜10を覆うバリアメタル12は、層間絶縁膜10の表面の凹凸を反映した凹凸を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の内部に設けられた第1導電型の第1半導体領域と、
前記半導体基板の第1主面と前記第1半導体領域との間に、前記第1半導体領域に接して設けられた第2導電型の第2半導体領域と、
前記半導体基板の第1主面と前記第2半導体領域との間に、前記第2半導体領域に接して選択的に設けられた第1導電型の第3半導体領域と、
前記半導体基板の第1主面から前記第3半導体領域および前記第2半導体領域を貫通して前記第1半導体領域に達するトレンチと、
前記トレンチの内部にゲート絶縁膜を介して設けられたゲート電極と、
前記ゲート電極を覆う層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜を深さ方向に貫通して前記半導体基板に達するコンタクトホールと、
前記層間絶縁膜の表面に設けられ、前記コンタクトホールの内部において前記第2半導体領域および前記第3半導体領域に接続された第1電極と、
前記第1半導体領域に電気的に接続された第2電極と、
を備え、
前記層間絶縁膜の表面に3つ以上の凹部が互いに離れて設けられ、
前記層間絶縁膜の表面は、前記凹部と、当該凹部の内壁と当該凹部の間の表面との境界を頂点とする凸部と、による凹凸を3つ以上繰り返した形状をなし、
前記第1電極は、
前記コンタクトホールの内部において前記第2半導体領域および前記第3半導体領域にオーミック接触する第1電極膜と、
前記第1電極膜の表面および前記層間絶縁膜の表面に沿って設けられた、チタンを含む第2電極膜と、
前記第2電極膜の表面に設けられた、アルミニウムを含む第3電極膜と、を有し、
前記第2電極膜は、前記層間絶縁膜の表面の前記凹部による凹凸を反映した凹凸形状をなすことを特徴とする炭化珪素半導体装置。
【請求項2】
半導体基板の内部に設けられた第1導電型の第1半導体領域と、
前記半導体基板の第1主面と前記第1半導体領域との間に、前記第1半導体領域に接して設けられた第2導電型の第2半導体領域と、
前記半導体基板の第1主面と前記第2半導体領域との間に、前記第2半導体領域に接して選択的に設けられた第1導電型の第3半導体領域と、
前記半導体基板の第1主面から前記第3半導体領域および前記第2半導体領域を貫通して前記第1半導体領域に達するトレンチと、
前記トレンチの内部にゲート絶縁膜を介して設けられたゲート電極と、
前記ゲート電極を覆う層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜を深さ方向に貫通して前記半導体基板に達するコンタクトホールと、
前記層間絶縁膜の表面に設けられ、前記コンタクトホールの内部において前記第2半導体領域および前記第3半導体領域に接続された第1電極と、
前記第1半導体領域に電気的に接続された第2電極と、
を備え、
前記層間絶縁膜の表面に3つ以上の凹部が設けられ、前記層間絶縁膜の表面は当該凹部による凹凸を3つ以上繰り返した形状をなし、
前記コンタクトホールに最も近い上記凹部は、前記層間絶縁膜の厚さ未満の所定深さを有し、かつ前記コンタクトホールに連続しており、
前記コンタクトホールの開口幅は、前記コンタクトホールに最も近い上記凹部により、前記半導体基板から離れた箇所で前記半導体基板に近い箇所よりも広くなっており、
前記第1電極は、
前記コンタクトホールの内部において前記第2半導体領域および前記第3半導体領域にオーミック接触する第1電極膜と、
前記第1電極膜の表面および前記層間絶縁膜の表面に沿って設けられた、チタンを含む第2電極膜と、
前記第2電極膜の表面に設けられた、アルミニウムを含む第3電極膜と、を有し、
前記第2電極膜は、前記層間絶縁膜の表面の前記凹部による凹凸を反映した凹凸形状をなすことを特徴とする炭化珪素半導体装置。
【請求項3】
前記層間絶縁膜の表面の前記凹部による凹凸の高低差は0.1μm以上0.5μm未満であることを特徴とする請求項1または2に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項4】
前記層間絶縁膜の表面の前記凹部による凹凸の高低差は0.3μm以下であることを特徴とする請求項3に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項5】
前記層間絶縁膜の表面の複数の前記凹部は、
前記層間絶縁膜の上面に、前記ゲート電極の前記層間絶縁膜との接触面に生じた凹みを反映して設けられた第1凹部と、
前記層間絶縁膜の上面と前記層間絶縁膜の側面との境界に設けられ、前記コンタクトホールに連続した、円弧状に凹んだ第2凹部と、を有することを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項6】
前記第1凹部と前記第2凹部とは互いに離れて設けられており、
前記層間絶縁膜の、前記第1凹部と前記第2凹部との間の表面は第1平坦面であり、
前記第2凹部の深さは、前記層間絶縁膜の前記第1平坦面から前記半導体基板の第1主面上の前記ゲート絶縁膜の上面までの厚さの20%以上50%以下であることを特徴とする請求項5に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項7】
前記層間絶縁膜の表面に、前記凹部の内壁と前記第1平坦面との境界を頂点とする三角形状の断面形状の第1凸部を有し、
すべての前記第1凸部の頂点の角度は100°以上程度の鈍角であることを特徴とする請求項6に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項8】
前記トレンチに近い位置に配置された前記第1凸部ほど頂点の角度が大きいことを特徴とする請求項7に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項9】
前記トレンチに近い位置に配置された前記第1凸部の角度は110°以上程度の鈍角であることを特徴とする請求項8に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項10】
前記層間絶縁膜の側面は、前記半導体基板の第1主面に対して斜度を有する第2平坦面であり、
前記層間絶縁膜の表面に、前記第2凹部の内壁と前記第2平坦面との境界を頂点とする三角形状の断面形状の第2凸部を有し、
前記第2凸部の頂点の角度は100°以上程度の鈍角であることを特徴とする請求項7~9のいずれか一つに記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項11】
前記第2凸部の頂点の角度は、前記第1凸部の頂点の角度よりも小さいことを特徴とする請求項10に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項12】
半導体基板の第1主面から所定深さに達するトレンチを形成する第1工程と、
前記半導体基板の第1主面および前記トレンチの内壁に沿ってゲート絶縁膜を形成する第2工程と、
前記半導体基板の第1主面にポリシリコン層を堆積して、前記ポリシリコン層で前記トレンチの内部を埋め込む第3工程と、
前記半導体基板の第1主面上のゲート絶縁膜が露出されるまで前記ポリシリコン層をエッチバックして、前記トレンチの内部にのみゲート電極となる前記ポリシリコン層を残す第4工程と、
前記半導体基板の第1主面に、前記ゲート電極を覆う層間絶縁膜を形成する第5工程と、
前記層間絶縁膜を深さ方向に貫通して前記半導体基板に達するコンタクトホールを形成する第6工程と、
熱処理により前記層間絶縁膜を平坦化する第7工程と、
前記コンタクトホールの内部において前記半導体基板にオーミック接触する第1電極膜を形成する第8工程と、
前記第1電極膜の表面および前記層間絶縁膜の表面に沿って、チタンを含む第2電極膜を形成する第9工程と、
前記第2電極膜の表面に、アルミニウムを含む第3電極膜を形成する第10工程と、
を含み、
前記第4工程では、前記ゲート電極の表面に凹みを生じさせ、
前記第5工程では、前記層間絶縁膜の表面に、前記ゲート電極の表面の前記凹みを反映した第1凹部を残し、
前記第6工程は、
前記層間絶縁膜の表面に、前記コンタクトホールの形成領域に対応する部分を開口したエッチング用マスクを形成するマスク形成工程と、
前記エッチング用マスクを用いて等方性エッチングを行い、前記層間絶縁膜の表面から所定深さの第1溝を形成する第1溝形成工程と、
前記エッチング用マスクを用いて異方性エッチングを行い、前記第1溝の底面から深さ方向に前記層間絶縁膜を貫通する第2溝を形成する第2溝形成工程と、
前記エッチング用マスクを除去する除去工程と、を含むことを特徴とする炭化珪素半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記第4工程では、前記ゲート電極の表面に0.1μm以上0.5μm未満の深さの前記凹みを生じさせることを特徴とする請求項12に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記第1溝形成工程では、前記第1溝の前記所定深さを、前記層間絶縁膜の、前記第1凹部以外の部分の表面から前記半導体基板の第1主面上の前記ゲート絶縁膜の上面までの厚さの20%以上50%以下とすることを特徴とする請求項12または13に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記第5工程では、前記層間絶縁膜として、第1絶縁層と、前記第1絶縁層よりもボロン濃度およびリン濃度が高く、ボロン濃度が1wt%以上3wt%以下で、かつリン濃度が1wt%以上3wt%以下の第2絶縁層を順に積層し、
前記第1溝形成工程では、前記第2絶縁層に前記第1溝を形成し、
前記第2溝形成工程では、前記第1溝の底面から深さ方向に前記第2絶縁層および前記第1絶縁層を貫通する前記第2溝を形成し、
前記第7工程では、前記熱処理の温度を1000℃以下とすることを特徴とする請求項12~14のいずれか一つに記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、炭化珪素半導体装置および炭化珪素半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トレンチゲート型MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor:金属-酸化膜-半導体の3層構造からなる絶縁ゲートを備えたMOS型電界効果トランジスタ)では、トレンチピッチを微細化するほど高電流密度化やチップサイズの小型化が可能であるが、層間絶縁膜の上面と、半導体基板のおもて面のコンタクトホールに露出される部分と、で形成される凹凸が大きくなるため、最上層のアルミニウム(Al)を含む金属電極層(以下、Al金属電極層とする)のステップカバレッジ(段差被覆性)が悪くなる。
【0003】
従来、シリコン(Si)を半導体材料としたトレンチゲート型MOSFETでは、Al金属電極層を平坦化するために、コンタクトホール形成後に、層間絶縁膜を軟化して変形し、層間絶縁膜の上面を半導体基板から離れる方向に凸に湾曲した曲面とすることで、層間絶縁膜の上面と、半導体基板のおもて面のコンタクトホールに露出される部分と、で形成される凹凸を小さくすることが一般的であった。炭化珪素(SiC)を半導体材料とした場合においても、層間絶縁膜の上面をシリコンを半導体材料とした場合と同じ曲面としてAl金属電極層を平滑化している(例えば、下記特許文献1参照。)。
【0004】
従来のトレンチゲート型MOSFETの構造について説明する。
図10は、従来の炭化珪素半導体装置の構造を示す断面図である。
図10は、下記特許文献1の
図1である。
図10に示す従来の炭化珪素半導体装置130は、炭化珪素からなる半導体基板120のおもて面側に一般的なトレンチゲートを備えた縦型MOSFETであり、ゲート電極107を覆う層間絶縁膜110の上面を半導体基板120から離れる方向に凸に湾曲した曲面としている。層間絶縁膜110は、半導体基板120のおもて面上に順に積層した第1,2絶縁層108,109の2層構造であり、ゲート電極107を覆う。
【0005】
第1絶縁層108は、NSG(Non doped Silicate Glass)膜である。第1絶縁層108の上面は平坦である。第2絶縁層109は、BPSG(Boron Phospho Silicate Glass)膜である。第2絶縁層109の厚さは、トレンチ105の中央で厚く、コンタクトホール115に近づくほど薄い。第2絶縁層109の上面は、半導体基板120から離れる方向に凸な曲面である。第2絶縁層109の上面を曲面とすることで、層間絶縁膜110の上面と、半導体基板120のおもて面のコンタクトホール115に露出される部分と、で形成される凹凸が小さくなる。
【0006】
これによって、半導体基板120のおもて面全体を覆う層間絶縁膜110上に順に積層された金属電極層112,113の各表面も平滑化される。符号111~113はソース電極114を構成する。符号112は、チタン(Ti)膜およびアルミニウムシリコン(AlSi)膜の積層膜である。符号113は、ニッケル(Ni)めっき膜および金(Au)めっき膜の積層膜である。符号101~107,116,117は、それぞれn-型ドリフト領域、p型ベース領域、n+型ソース領域、p+型コンタクト領域、トレンチ、ゲート絶縁膜、ソース電極、n+型ドレイン領域およびドレイン電極である。
【0007】
炭化珪素を半導体材料とするMOSFET(以下、SiC-MOSFETとする)では、ソース電極114と半導体基板120とのオーミックコンタクトを形成するために、ソース電極114の最下層に、ニッケルシリサイド(NiSi)膜111が必要である。ニッケルシリサイド膜111は、半導体基板120のおもて面のコンタクトホール115に露出された部分にオーミック接触する。ニッケルシリサイド膜111上に、Al金属電極層112から半導体基板120へのアルミニウム原子の拡散を防止するバリアメタルとして、Ti膜またはTiN膜、もしくはこれらを組み合わせた金属積層膜が必要である。
【0008】
従来のトレンチゲート構造のSiC-MOSFETとして、層間絶縁膜の上面を半導体基板から離れる方向に凸に湾曲した曲面とし、層間絶縁膜の上面を覆うように半導体基板のおもて面全体にバリアメタルが設けられた装置が提案されている(例えば、下記特許文献2~4参照。)。下記特許文献2,3では、バリアメタルとして、チタンを含むタングステン合金膜が設けられている。下記特許文献4では、バリアメタルとして、単層の窒化チタン(TiN)膜、または、チタン(Ti)膜および窒化チタン膜を順に積層した積層膜が設けられている。
【0009】
また、従来のトレンチゲート構造のSiC-MOSFETとして、ゲート電極の上面にトレンチの略中央でドレイン側に最も深くなる凹みが生じており、層間絶縁膜の上面に、ゲート電極の上面の凹みを反映してトレンチの略中央でドレイン側に凹んだ凹部が残った装置が開示されている(例えば、下記特許文献5(第28図)参照。)。下記特許文献5では、層間絶縁膜の上面の凹部の両側の部分が当該凹部によって半導体基板から離れる方向に凸に先端が鋭い形状で突出しており、バリアメタルの上面にも層間絶縁膜の上面の凹凸を反映した凹凸が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第6475142号公報
【特許文献2】特開2010-272676号公報
【特許文献3】特開2010-267899号公報
【特許文献4】国際公開第2016/039074号
【特許文献5】特開平7-235676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、従来の炭化珪素半導体装置130(
図10参照)に、バリアメタルとしてチタン膜および窒化チタン膜の積層膜を設けた場合、次の問題が生じる。
図11は、従来の炭化珪素半導体装置の層間絶縁膜およびバリアメタルを観察した状態を模式的に示す断面図である。
図11に示す従来の炭化珪素半導体装置140が
図10に示す従来の炭化珪素半導体装置130と異なる点は、ニッケルシリサイド膜111とAl金属電極層112との間にバリアメタル141を備える点である。
【0012】
図11には、従来の炭化珪素半導体装置140の層間絶縁膜110およびバリアメタル141を走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)で観察した状態を模式的に示す。
図11では、半導体基板120の内部のトレンチ105、ゲート絶縁膜106およびゲート電極107以外の各部を図示省略する。Al金属電極層112は、例えばアルミニウムシリコン膜である。
【0013】
バリアメタル141は、ニッケルシリサイド膜111の表面から層間絶縁膜110の表面にわたって設けられている。バリアメタル141は、例えば、窒化チタン膜、チタン膜および窒化チタン膜を順に積層した積層膜である。バリアメタル141を構成するチタン膜および窒化チタン膜は、応力が強い。このため、層間絶縁膜110の上面が半導体基板120から離れる方向に凸な曲面になっていると、バリアメタル141の、層間絶縁膜110上でのステップカバレッジが悪くなる。
【0014】
バリアメタル141は、ステップカバレッジが悪い箇所で、滑らかに連続しない比率が高く、表面の凹凸が大きくなる。バリアメタル141は、表面の凹凸が大きい部分が引張応力で縮まり、この部分で応力に弱くなる。バリアメタル141の表面の凹凸が大きい部分とは、具体的には、例えば、バリアメタル141の、トレンチ105直上の部分141aである。バリアメタル141の、ニッケルシリサイド膜111上の部分は、ステップカバレッジが良く、縮まらない。
【0015】
このバリアメタル141にかかる応力差によるバリアメタル141の変形は、バリアメタル141の剥離やクラックの原因となる。バリアメタル141の剥離やクラックについて、本発明者の鋭意研究により、次の点が確認されている。バリアメタル141のクラックの主な基点は、コンタクトホール115の側壁と半導体基板120のおもて面との境界141bである。バリアメタル141のクラックは、規則性なくランダムに生じ、ゲート電極107のレイアウトに依存しない。バリアメタル141のクラックからバリアメタル141が剥離する。
【0016】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、バリアメタルの剥離やクラックを抑制することができる炭化珪素半導体装置および炭化珪素半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、次の特徴を有する。半導体基板の内部に、第1導電型の第1半導体領域が設けられている。前記半導体基板の第1主面と前記第1半導体領域との間に、前記第1半導体領域に接して、第2導電型の第2半導体領域が設けられている。前記半導体基板の第1主面と前記第2半導体領域との間に、前記第2半導体領域に接して、第1導電型の第3半導体領域が選択的に設けられている。トレンチは、前記半導体基板の第1主面から前記第3半導体領域および前記第2半導体領域を貫通して前記第1半導体領域に達する。ゲート電極は、前記トレンチの内部にゲート絶縁膜を介して設けられている。層間絶縁膜は、前記ゲート電極を覆う。コンタクトホールは、前記層間絶縁膜を深さ方向に貫通して前記半導体基板に達する。
【0018】
第1電極は、前記層間絶縁膜の表面に設けられ、前記コンタクトホールの内部において前記第2半導体領域および前記第3半導体領域に接続されている。第2電極は、前記第1半導体領域に電気的に接続されている。前記層間絶縁膜の表面に3つ以上の凹部が互いに離れて設けられている。前記層間絶縁膜の表面は、前記凹部と、当該凹部の内壁と当該凹部の間の表面との境界を頂点とする凸部と、による凹凸が3つ以上繰り返した形状をなす。前記第1電極は、第1~3電極膜を有する。前記第1電極膜は、前記コンタクトホールの内部において前記第2半導体領域および前記第3半導体領域にオーミック接触する。前記第1電極膜の表面および前記層間絶縁膜の表面に沿って、チタンを含む第2電極膜が設けられている。前記第2電極膜の表面に、アルミニウムを含む第3電極膜が設けられている。前記第2電極膜は、前記層間絶縁膜の表面の前記凹部による凹凸を反映した凹凸形状をなす。
【0019】
また、上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、次の特徴を有する。半導体基板の内部に、第1導電型の第1半導体領域が設けられている。前記半導体基板の第1主面と前記第1半導体領域との間に、前記第1半導体領域に接して、第2導電型の第2半導体領域が設けられている。前記半導体基板の第1主面と前記第2半導体領域との間に、前記第2半導体領域に接して、第1導電型の第3半導体領域が選択的に設けられている。トレンチは、前記半導体基板の第1主面から前記第3半導体領域および前記第2半導体領域を貫通して前記第1半導体領域に達する。ゲート電極は、前記トレンチの内部にゲート絶縁膜を介して設けられている。
【0020】
層間絶縁膜は、前記ゲート電極を覆う。コンタクトホールは、前記層間絶縁膜を深さ方向に貫通して前記半導体基板に達する。第1電極は、前記層間絶縁膜の表面に設けられ、前記コンタクトホールの内部において前記第2半導体領域および前記第3半導体領域に接続されている。第2電極は、前記第1半導体領域に電気的に接続されている。前記層間絶縁膜の表面に3つ以上の凹部が設けられ、前記層間絶縁膜の表面は当該凹部による凹凸が3つ以上繰り返した形状をなす。前記コンタクトホールに最も近い上記凹部は、前記層間絶縁膜の厚さ未満の所定深さを有し、かつ前記コンタクトホールに連続している。
【0021】
前記コンタクトホールの開口幅は、前記コンタクトホールに最も近い上記凹部により、前記半導体基板から離れた箇所で前記半導体基板に近い箇所よりも広くなっている。前記第1電極は、第1~3電極膜を有する。前記第1電極膜は、前記コンタクトホールの内部において前記第2半導体領域および前記第3半導体領域にオーミック接触する。前記第1電極膜の表面および前記層間絶縁膜の表面に沿って、チタンを含む第2電極膜が設けられている。前記第2電極膜の表面に、アルミニウムを含む第3電極膜が設けられている。前記第2電極膜は、前記層間絶縁膜の表面の前記凹部による凹凸を反映した凹凸形状をなす。
【0022】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、上述した発明において、前記層間絶縁膜の表面の前記凹部による凹凸の高低差は0.1μm以上0.5μm未満であることを特徴とする。
【0023】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、上述した発明において、前記層間絶縁膜の表面の前記凹部による凹凸の高低差は0.3μm以下であることを特徴とする。
【0024】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、上述した発明において、前記層間絶縁膜の表面の複数の前記凹部は、第1,2凹部を有する。前記第1凹部は、前記層間絶縁膜の上面に、前記ゲート電極の前記層間絶縁膜との接触面に生じた凹みを反映して設けられている。前記第2凹部は、前記層間絶縁膜の上面と前記層間絶縁膜の側面との境界に設けられ、円弧状に凹んでおり、前記コンタクトホールに連続することを特徴とする。
【0025】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、上述した発明において、前記第1凹部と前記第2凹部とは互いに離れて設けられている。前記層間絶縁膜の、前記第1凹部と前記第2凹部との間の表面は第1平坦面である。前記第2凹部の深さは、前記層間絶縁膜の前記第1平坦面から前記半導体基板の第1主面上の前記ゲート絶縁膜の上面までの厚さの20%以上50%以下であることを特徴とする。
【0026】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、上述した発明において、前記層間絶縁膜の表面に、前記凹部の内壁と前記第1平坦面との境界を頂点とする三角形状の断面形状の第1凸部を有する。すべての前記第1凸部の頂点の角度は100°以上程度の鈍角であることを特徴とする。
【0027】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、上述した発明において、前記トレンチに近い位置に配置された前記第1凸部ほど頂点の角度が大きいことを特徴とする。
【0028】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、上述した発明において、前記トレンチに近い位置に配置された前記第1凸部の角度は110°以上程度の鈍角であることを特徴とする。
【0029】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、上述した発明において、前記層間絶縁膜の側面は、前記半導体基板の第1主面に対して斜度を有する第2平坦面である。前記層間絶縁膜の表面に、前記第2凹部の内壁と前記第2平坦面との境界を頂点とする三角形状の断面形状の第2凸部を有する。前記第2凸部の頂点の角度は100°以上程度の鈍角であることを特徴とする。
【0030】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、上述した発明において、前記第2凸部の頂点の角度は、前記第1凸部の頂点の角度よりも小さいことを特徴とする。
【0031】
また、上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、次の特徴を有する。半導体基板の第1主面から所定深さに達するトレンチを形成する第1工程を行う。前記半導体基板の第1主面および前記トレンチの内壁に沿ってゲート絶縁膜を形成する第2工程を行う。前記半導体基板の第1主面にポリシリコン層を堆積して、前記ポリシリコン層で前記トレンチの内部を埋め込む第3工程を行う。前記半導体基板の第1主面上のゲート絶縁膜が露出されるまで前記ポリシリコン層をエッチバックして、前記トレンチの内部にのみゲート電極となる前記ポリシリコン層を残す第4工程を行う。
【0032】
前記半導体基板の第1主面に、前記ゲート電極を覆う層間絶縁膜を形成する第5工程を行う。前記層間絶縁膜を深さ方向に貫通して前記半導体基板に達するコンタクトホールを形成する第6工程を行う。熱処理により前記層間絶縁膜を平坦化する第7工程を行う。前記コンタクトホールの内部において前記半導体基板にオーミック接触する第1電極膜を形成する第8工程を行う。前記第1電極膜の表面および前記層間絶縁膜の表面に沿って、チタンを含む第2電極膜を形成する第9工程を行う。前記第2電極膜の表面に、アルミニウムを含む第3電極膜を形成する第10工程を行う。前記第4工程では、前記ゲート電極の表面に凹みを生じさせる。
【0033】
前記第5工程では、前記層間絶縁膜の表面に、前記ゲート電極の表面の前記凹みを反映した第1凹部を残す。前記第6工程は、マスク形成工程、第1,2溝形成工程および前記除去工程を含む。前記マスク形成工程では、前記層間絶縁膜の表面に、前記コンタクトホールの形成領域に対応する部分を開口したエッチング用マスクを形成する。前記第1溝形成工程では、前記エッチング用マスクを用いて等方性エッチングを行い、前記層間絶縁膜の表面から所定深さの第1溝を形成する。前記第2溝形成工程では、前記エッチング用マスクを用いて異方性エッチングを行い、前記第1溝の底面から深さ方向に前記層間絶縁膜を貫通する第2溝を形成する。前記除去工程では、前記エッチング用マスクを除去する。
【0034】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記第4工程では、前記ゲート電極の表面に0.1μm以上0.5μm未満の深さの前記凹みを生じさせることを特徴とする。
【0035】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記第1溝形成工程では、前記第1溝の前記所定深さを、前記層間絶縁膜の、前記第1凹部以外の部分の表面から前記半導体基板の第1主面上の前記ゲート絶縁膜の上面までの厚さの20%以上50%以下とすることを特徴とする。
【0036】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記第5工程では、前記層間絶縁膜として、第1絶縁層と、前記第1絶縁層よりもボロン濃度およびリン濃度が高く、ボロン濃度が1wt%以上3wt%以下で、かつリン濃度が1wt%以上3wt%以下の第2絶縁層を順に積層する。前記第1溝形成工程では、前記第2絶縁層に前記第1溝を形成する。前記第2溝形成工程では、前記第1溝の底面から深さ方向に前記第2絶縁層および前記第1絶縁層を貫通する前記第2溝を形成する。前記第7工程では、前記熱処理の温度を1000℃以下とすることを特徴とする。
【0037】
上述した発明によれば、層間絶縁膜の表面が凹凸を繰り返した形状になることで、層間絶縁膜の表面上のバリアメタルにかかる応力が分散される。また、層間絶縁膜の表面の凹凸のアンカー効果により、層間絶縁膜とバリアメタルとの密着性が向上する。
【発明の効果】
【0038】
本発明にかかる炭化珪素半導体装置および炭化珪素半導体装置の製造方法によれば、バリアメタルの剥離やクラックを抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す断面図である。
【
図3】実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【
図4】実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【
図5】実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【
図6】実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【
図7】実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【
図8】実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【
図9】実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【
図10】従来の炭化珪素半導体装置の構造を示す断面図である。
【
図11】従来の炭化珪素半導体装置の層間絶縁膜およびバリアメタルを観察した状態を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる炭化珪素半導体装置および炭化珪素半導体装置の製造方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。本明細書および添付図面においては、nまたはpを冠記した層や領域では、それぞれ電子または正孔が多数キャリアであることを意味する。また、nやpに付す+および-は、それぞれそれが付されていない層や領域よりも高不純物濃度および低不純物濃度であることを意味する。なお、以下の実施の形態の説明および添付図面において、同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0041】
(実施の形態)
実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の構造について説明する。
図1は、実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す断面図である。
図2は、
図1の一部を拡大して示す断面図である。
図2には、
図1の半導体基板(半導体チップ)20上の層間絶縁膜10およびバリアメタル12を走査型電子顕微鏡で観察した状態を模式的に示す。
図2では、半導体基板20の内部のトレンチゲート以外の各部を図示省略する。
【0042】
図1,2に示す実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置30は、炭化珪素からなる半導体基板20のおもて面側に一般的なトレンチゲートを備えた縦型のトレンチゲート型SiC-MOSFETであり、ゲート電極7を覆う層間絶縁膜10の表面に3つの凹部(後述する1つの第1凹部10aおよび2つの第2凹部10b)を有する。トレンチゲートは、後述するトレンチ5、ゲート絶縁膜6およびゲート電極7で構成される。
【0043】
半導体基板20の内部に、n-型ドリフト領域(第1半導体領域)1が設けられている。半導体基板20おもて面とn-型ドリフト領域1との間に、n-型ドリフト領域1に接して、p型ベース領域(第2半導体領域)2が設けられている。半導体基板20おもて面とp型ベース領域2との間に、p型ベース領域2に接して、n+型ソース領域(第3半導体領域)3およびp+型コンタクト領域4がそれぞれ選択的に設けられている。
【0044】
n+型ソース領域3およびp+型コンタクト領域4は、半導体基板20おもて面に露出されている。p+型コンタクト領域4は設けられていなくてもよい。p+型コンタクト領域4が設けられていない場合、p+型コンタクト領域4に代えてp型ベース領域2が半導体基板20おもて面に露出される。n+型ソース領域3の深さは、半導体基板20のおもて面から例えば0.5μm程度である。
【0045】
半導体基板20は、炭化珪素からなるn+型出発基板21上にn-型ドリフト領域1およびp型ベース領域2となる各エピタキシャル層22,23を順に積層して作製されたエピタキシャル基板であってもよい。この場合、n+型ソース領域3およびp+型コンタクト領域4はそれぞれp型エピタキシャル層23の表面領域に設けられ、p型エピタキシャル層23の、表面領域を除く部分がp型ベース領域2となる。
【0046】
トレンチ5は、半導体基板20のおもて面から、n+型ソース領域3およびp型ベース領域2を貫通してn-型ドリフト領域1に達する。トレンチ5の上側コーナー部および底面コーナー部は、所定曲率で丸められていてもよい。トレンチ5の上側コーナー部とは、半導体基板20のおもて面とトレンチ5の側壁との境界である。トレンチ5の底面コーナー部とは、トレンチ5の底面と側壁との境界である。
【0047】
トレンチ5の内部には、トレンチ5の内壁に沿ってゲート絶縁膜6が設けられている。ゲート絶縁膜6は、トレンチ5の側壁から半導体基板20のおもて面上へ延在する。トレンチ5の内部において、ゲート絶縁膜6上に例えばポリシリコン(poly-Si)からなるゲート電極7が設けられている。ゲート電極7の上面(層間絶縁膜10との接触面)に、トレンチ5の略中央でドレイン側(トレンチ5の底面側)に最も深くなる凹み7aが生じている。
【0048】
ゲート電極7の上面の凹み7aは、ゲート電極7を形成するための後述するポリシリコン層41(
図3参照)のエッチバックによって生じる。ゲート電極7の上面の凹み7aの深さd1は、ゲート電極7がトレンチ5の側壁に沿った部分でゲート絶縁膜6を介してn
+型ソース領域3に対向していればよく、例えば最も深い部分(トレンチ5の略中央)において0.1μm以上0.5μm未満程度であり、好ましくは0.3μm以下程度であることがよい。
【0049】
層間絶縁膜10は、半導体基板20のおもて面上に順に積層した第1,2絶縁層8,9の2層構造である。第1絶縁層8はボロン(B)およびリン(P)を含まない、または、第2絶縁層9と比べてボロン濃度およびリン濃度が非常に低い絶縁材料で形成される。第2絶縁層9は、ボロンおよびリンを後述する所定濃度で含む絶縁材料で形成される。第2絶縁層9の軟化点は、第1絶縁層8の軟化点よりも低い。
【0050】
具体的には、第1絶縁層8は、例えばNSG(ノンドープシリケートガラス)膜である。第1絶縁層8は、第2絶縁層9中のボロンおよびリンのゲート電極7への拡散を防止する機能を有する。第1絶縁層8に、第2絶縁層9から拡散したボロンおよびリンが含まれていてもよい。第1絶縁層8は、半導体基板20のおもて面上のゲート絶縁膜6と、ゲート電極7の上面と、を覆う。
【0051】
ゲート電極7の上面がトレンチ5の上側コーナー部よりもドレイン側に深い位置にある場合、第1絶縁層8は、トレンチ5の上側コーナー部の表面上のゲート絶縁膜6も覆う。第1絶縁層8の厚さd11は、半導体基板20のおもて面の全面に略一様であり、例えば100nm以上300nm以下程度である。厚さが略一様とは、プロセスのばらつきによって許容される誤差を含む範囲で同じ厚さであることを意味する。
【0052】
第2絶縁層9は、第1絶縁層8上に設けられている。第2絶縁層9は、ゲート絶縁膜6およびゲート電極7に接していない。第2絶縁層9は、例えばBPSG膜であり、従来構造の層間絶縁膜110を構成する第2絶縁層109(
図10,11参照)よりもボロン濃度およびリン濃度が高い。第2絶縁層9とゲート電極7との間に第1絶縁層8が配置されていることで、第2絶縁層9中のボロンおよびリンによるゲート電極7の導電率変動を抑制することができる。
【0053】
第2絶縁層9のボロン濃度は、例えば1wt%以上3wt%以下程度であり、好ましくは1.6wt%以上2.6wt%以下程度あることがよい。第2絶縁層9のリン濃度は、例えば1wt%以上3wt%以下程度であり、好ましくは1.5wt%以上2.5wt%以下程度であることがよい。その理由は、第2絶縁層9のボロン濃度およびリン濃度を上記範囲にすることで、従来方法と比べて層間絶縁膜10のリフロー温度を低くしても、第2絶縁層9が流動しやすいからである。
【0054】
第2絶縁層9のボロン濃度およびリン濃度が上記下限値未満である場合、従来方法と比べて層間絶縁膜10のリフロー温度を低くすることができない。その理由は、第2絶縁層9のボロン濃度およびリン濃度が上記下限値未満である場合、従来方法と比べて層間絶縁膜10のリフロー温度が低くなると、第2絶縁層9が流動しにくく、第2絶縁層9の表面に後述する第1,2凹部10a,10bおよび第1,2平坦面10c,10dを形成することができないからである。第2絶縁層9のボロン濃度およびリン濃度が上記上限値を超える場合、第2絶縁層9の剥離の原因となる。
【0055】
第2絶縁層9の厚さd12は、第1絶縁層8の厚さd11よりも厚く、例えば400nm以上800nm以下程度である。層間絶縁膜10の総厚さd10は、ゲート電極7とソース電極(第1電極)14とを電気的に絶縁することができる厚さとなっており、例えば800nm程度である(例えば、第1絶縁層8の厚さd11が200nm程度、第2絶縁層9の厚さd12が600nm程度)。層間絶縁膜10の表面に後述する第1,2凹部10a,10bおよび凸部10e~10gによって凹凸が形成されていることで、ゲート電極7とソース電極14とを電気的に絶縁するための層間絶縁膜10の総厚さd10を確保しやすい。
【0056】
層間絶縁膜10の上面には、下層のゲート電極7の上面の凹み7aに深さ方向Zに対向する部分(すなわちトレンチ5の略中央)で当該ゲート電極7の上面の凹み7aを反映して凹んだ凹みをそのまま残してなる第1凹部10aが設けられている。層間絶縁膜10の上面とは、層間絶縁膜10の、バリアメタル12との接触面(表面)のうち、コンタクトホール15の側壁となる表面(層間絶縁膜10の側面)を除く部分である。
【0057】
図1を参照して、層間絶縁膜10の上面と層間絶縁膜10の側面との境界(以下、層間絶縁膜10の側面上端とする)において第2絶縁層9の表面には、層間絶縁膜10の側面上端が断面視で扇状に除去されることで下に凸の円弧状に凹んだ第2凹部10bが形成されている。第2凹部10bは、後述する等方性エッチングにより第2絶縁層9に形成される第1溝15a(
図8参照)の側壁および底面コーナー部を残したものである。第1溝15aの底面コーナー部とは、第1溝15aの底面と側壁との境界である。
【0058】
また、例えば
図2を参照して、層間絶縁膜10の側面上端の第2凹部10bは、層間絶縁膜10の側面上端が後述する深さd3分だけ面取りされた形状であってもよい。層間絶縁膜10の側面上端が面取りされた形状とは、例えば、半導体基板20のおもて面に対して層間絶縁膜10の側面よりも大きい斜度を有する平坦面、または、半導体基板20のおもて面に対して層間絶縁膜10の側面よりも大きい斜度を有し、かつ下に凸にわずかに湾曲した平坦面に近い湾曲面である。
【0059】
層間絶縁膜10の上面の第1凹部10aの深さd2は、ゲート電極7の上面の凹み7aの深さd1と略同じである。深さが略同じとは、プロセスのばらつきによって許容される誤差を含む範囲で同じ深さであることを意味する。層間絶縁膜10の側面上端の第2凹部10bの深さd3は、円弧状の第2凹部10bの半径であり、層間絶縁膜10の上面から0.1μm以上程度で、かつ層間絶縁膜10の総厚さd10の最大値の20%以上50%以下程度の深さである。
【0060】
層間絶縁膜10の上面の第1凹部10aと第2凹部10bとの間は、第1,2凹部10a,10bの内壁にそれぞれで滑らかに連続する第1平坦面10cである。層間絶縁膜10の側面は、層間絶縁膜10の側面上端の第2凹部10bの内壁に滑らかに連続する第2平坦面10dである。第1凹部10aは、半導体基板20のおもて面に略平行である。第2平坦面10dは、半導体基板20のおもて面に対して斜度を有していてもよい。
【0061】
層間絶縁膜10の表面には、第1,2凹部10a,10bの内壁と、第1,2平坦面10c,10dと、をそれぞれ1辺とし、これら2辺の境界を頂点とする略三角形状の断面形状の凸部10e~10gが形成される。これら凸部10e~10gの頂点の角度θ1~θ3は例えば100°以上程度の鈍角である。第1,2凹部10a,10bにより、従来構造(
図11参照)と比べて、層間絶縁膜10の表面に、頂点が鈍角となる凸部10e~10gを増やすことができる。
【0062】
具体的には、実施の形態においては、層間絶縁膜10の上面の第1凹部10aと、層間絶縁膜10の両側面(第2平坦面10d)と、の間にそれぞれ凸部が3つずつ(符号10e~10gで示す)形成されるため、層間絶縁膜10の表面に凸部が計6個形成される。一方、従来構造(
図10,11参照)では、層間絶縁膜110の表面が層間絶縁膜110の側面から上面に滑らかに連続するため、層間絶縁膜110の表面に凸部は存在しない。
【0063】
トレンチ5に近い位置に配置された凸部10e~10gほど頂点の角度θ1~θ3が大きい。すなわち、第1凹部10aの内壁と第1平坦面10cとで形成される凸部10eの頂点の角度θ1が最も大きく、例えば110°以上程度の鈍角であってもよい。第1平坦面10cと第2凹部10bの内壁とで形成される凸部10fの頂点の角度θ2、および、第2凹部10bの内壁と第2平坦面10dとで形成される凸部10gの頂点の角度θ3は、凸部10eの頂点の角度θ1よりも小さい(θ1>θ2、θ1>θ3)。
【0064】
このように層間絶縁膜10の表面に互いに離れて第1,2凹部10a,10bが設けられていることで、層間絶縁膜10の表面には、第1,2凹部10a,10bと、第1,2凹部10a,10bの内壁と第1,2平坦面10c,10dとの境界を頂点とする凸部10e~10gと、による凹凸が3つ以上繰り返し形成される。層間絶縁膜10の表面の第1,2凹部10a,10bおよび凸部10e~10gによる凹凸の高低差は、層間絶縁膜10の表面の第1,2凹部10a,10bの深さd2,d3に相当し、ゲート電極7の上面の凹み7aの深さd1と略同じである。
【0065】
層間絶縁膜10を深さ方向に貫通して半導体基板20に達するコンタクトホール15が設けられている。コンタクトホール15には、n+型ソース領域3およびp+型コンタクト領域4が露出されている。コンタクトホール15の、トレンチ5が並ぶ方向(横方向Y)の開口幅は、層間絶縁膜10の側面上端にコンタクトホール15に連続する第2凹部10bにより、半導体基板20から離れた上端側で半導体基板20側よりも1段階広くなっている(w1>w2)。
【0066】
ソース電極14は、ニッケルシリサイド膜(第1電極膜)11、バリアメタル(第2電極膜)12、およびアルミニウム(Al)を含む金属電極層(Al金属電極層:第3電極膜)13で構成される。最下層のニッケルシリサイド膜11は、半導体基板20のおもて面のコンタクトホール15に露出された部分(n+型ソース領域3およびp+型コンタクト領域4、またはp+型コンタクト領域4のみ)にオーミック接触して、ソース電極14と半導体基板20とのオーミックコンタクトを形成する。
【0067】
バリアメタル12は、ニッケルシリサイド膜11の表面から層間絶縁膜10の表面に沿って略一様な厚さで設けられ、層間絶縁膜10の表面の第1,2凹部10a,10bおよび凸部10e~10gによる凹凸を反映した凹凸形状をなす。バリアメタル12は、Al金属電極層13から半導体基板20へのアルミニウム原子の拡散を防止する機能を有する。バリアメタル12は、製造プロセス中にAl金属電極層13と半導体基板20との相互反応を防止する機能を有する。
【0068】
バリアメタル12は、チタン(Ti)膜もしくは窒化チタン(TiN)膜の単層、またはこれらを任意に複数積層した積層構造を有し、例えば、窒化チタン膜、チタン膜および窒化チタン膜を順に積層した3層構造の積層膜であってもよい。最上層のAl金属電極層13は、例えばアルミニウムシリコン(AlSi)膜である。Al金属電極層13の厚さd13は、例えば5μm程度である。
【0069】
半導体基板20の裏面の表面領域に、半導体基板20の裏面の全域にわたってn+型ドレイン領域16が設けられている。半導体基板20が上述したエピタキシャル基板である場合、n+型出発基板21がn+型ドレイン領域16となる。半導体基板20の裏面の全面にドレイン電極(第2電極)17が設けられている。ドレイン電極17は、n+型ドレイン領域16にオーミック接触している。
【0070】
次に、実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法について説明する。
図3~9は、実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。まず、炭化珪素からなるn
+型出発基板21のおもて面上にエピタキシャル層22,23(
図1参照)を順に積層して半導体基板(半導体ウエハ)20を作製する。半導体基板20のp型エピタキシャル層23側の主面をおもて面とし、n
+型出発基板21側の主面を裏面とする。
【0071】
次に、
図3に示すように、フォトリソグラフィおよびイオン注入を一組とする工程を異なる条件で繰り返し行い、半導体基板20のおもて面の表面領域において、n
-型エピタキシャル層22の内部にn
+型ソース領域3およびp
+型コンタクト領域4をそれぞれ選択的に形成する。これによりp型エピタキシャル層23の、n
+型ソース領域3およびp
+型コンタクト領域4を除く部分がp型ベース領域2となる。
【0072】
次に、半導体基板20のおもて面から、n+型ソース領域3およびp型ベース領域2を貫通してn-型ドリフト領域1であるn-型エピタキシャル層22に達するトレンチ5を形成する(第1工程)。次に、半導体基板20のおもて面およびトレンチ5の内壁に沿ってゲート絶縁膜6を形成する(第2工程)。次に、半導体基板20のおもて面上にポリシリコン層41を堆積して、ポリシリコン層41でトレンチ5の内部を完全に埋め込む(第3工程)。
【0073】
次に、
図4に示すように、半導体基板20のおもて面上のゲート絶縁膜6をエッチングストップ層とし、半導体基板20のおもて面上のゲート絶縁膜6が露出するまでポリシリコン層41をエッチバックする。さらに、ポリシリコン層41を所定のエッチング量でオーバーエッチングして、トレンチ5の内部においてポリシリコン層41の表面を、半導体基板20のおもて面上のゲート絶縁膜6の上面よりも深さd1だけ低い位置まで落ち込ませる(第4工程)。
【0074】
これによって、トレンチ5の内部にのみゲート電極7となるポリシリコン層41が残り、ゲート電極7の上面に凹み7aが生じる。ポリシリコン層41のエッチバックは、例えば、四フッ化炭素(CF4)に酸素(O2)を添加した混合ガスのプラズマで発生させた反応性の高いフッ素ラジカルによりシリコン(ポリシリコン層41を)をエッチングするケミカルドライエッチング(CDE:Chemical Dry Etching)であってもよい。
【0075】
次に、
図5に示すように、半導体基板20のおもて面上のゲート絶縁膜6の表面およびゲート電極7の上面に、層間絶縁膜10の第1,2絶縁層8,9として例えばNSGおよびBPSGを順に堆積する(第5工程)。層間絶縁膜10の表面(上面)に、ゲート電極7の上面の凹み7aを反映して第2絶縁層9の上面が凹んでなる凹みが生じる。この層間絶縁膜10の表面の凹みを第1凹部10aとして残す。第1凹部10aの深さd2は、ゲート電極7の上面の凹み7aの深さd1と略同じである。
【0076】
次に、
図6に示すように、層間絶縁膜10の表面に、コンタクトホール15の形成領域に対応する部分を開口したレジスト膜42を形成する(マスク形成工程)。レジスト膜42は、第2絶縁層9の上面の第1凹部10aを覆うように形成される。次に、
図7に示すように、レジスト膜42をエッチング用マスクとして例えばCDE等による等方性エッチングによって層間絶縁膜10を選択的に除去し、第2絶縁層9の上面に所定深さd3の第1溝15aを形成する(第1溝形成工程)。
【0077】
このとき、予め設定された所定時間だけ等方性エッチングを行って、第2絶縁層9の上面に所定深さd3(例えば0.3μm程度)の第1溝15aを形成する。層間絶縁膜10の等方性エッチングは、深さ方向Zへ進行するとともに横方向X,Yにも進行する。このため、層間絶縁膜10はレジスト膜42の直下までエッチング(サイドエッチ)され、第1溝15aの横方向Yの幅(開口幅w1)はレジスト膜42の横方向Yの開口幅w11よりも広くなる。
【0078】
次に、
図8に示すように、レジスト膜42をエッチング用マスクとして異方性エッチングによって層間絶縁膜10を選択的に除去し、第1溝15aの底面から深さ方向Zに層間絶縁膜10を貫通する第2溝15bを形成する(第2溝形成工程)。異方性エッチングは横方向X,Yにはほぼ進行しないため、第2溝15bの横方向Yの幅(開口幅w2)は、レジスト膜42の横方向Yの開口幅w11と略同じ幅となり、第1溝15aの横方向Yの幅(開口幅w1)よりも狭くなる。
【0079】
これら深さ方向Zに連続する第1,2溝15a,15bによりコンタクトホール15が形成される(第6工程)。コンタクトホール15の横方向Yの開口幅は、第1,2溝15a,15bの横方向Yの幅の違いにより半導体基板20から離れた開口側で半導体基板20側よりも1段階広くなる。コンタクトホール15の上側コーナー部に残る第1溝15aの側壁および底面コーナー部が、層間絶縁膜10の側面上端の第2凹部10bとなる。
【0080】
次に、
図9に示すように、レジスト膜42を除去した後(除去工程)、例えば1000℃以下程度の低い温度(リフロー温度)の熱処理により第2絶縁層9を軟化して流動させることで層間絶縁膜10を平坦化(リフロー)する(第7工程)。層間絶縁膜10のリフロー温度を上記範囲とすることで、層間絶縁膜10のリフロー後に、第2絶縁層9の表面に第1,2凹部10a,10bおよび第1,2平坦面10c,10dを残すことができる。
【0081】
また、層間絶縁膜10のリフロー温度の上限値を上記範囲とすることで、1000℃を超える温度でゲート電極7が加熱されないため、ゲート特性の劣化を防止することができる。次に、半導体基板20のおもて面のコンタクトホール15に露出された部分に堆積したニッケル(Ni)膜を、熱処理により半導体基板20と反応させてシリサイド化することで、半導体基板20にオーミック接触するニッケルシリサイド膜11を形成する(第8工程)。
【0082】
次に、半導体基板20のおもて面のコンタクトホール15に露出された部分の表面および層間絶縁膜10の表面に沿ってバリアメタル12を形成する(第9工程)。層間絶縁膜10の表面には第1,2凹部10a,10bが形成されることで第1,2平坦面10c,10dが形成され、第1,2凹部10a,10bおよび第1,2平坦面10c,10dによって凸部(第1,2凸部)10e~10gが生じることで複数(計6か所)の凹凸が形成されている。
【0083】
層間絶縁膜10の表面の第1,2凹部10a,10bおよび凸部10e~10gによる凹凸により、層間絶縁膜10とバリアメタル12との接触面積が増える。このため、層間絶縁膜10の表面の当該凹凸によるアンカー効果により、従来構造と比べて、層間絶縁膜10とバリアメタル12との密着力が向上する。また、層間絶縁膜10の表面の凸部10e~10gにより、層間絶縁膜10の総厚さd10を、バリアメタル12とゲート電極7とを電気的に絶縁することができる厚さで確保しやすくなる。
【0084】
次に、バリアメタル12の表面にAl金属電極層13を堆積することで(第10工程)、ニッケルシリサイド膜11、バリアメタル12およびAl金属電極層13で構成されるソース電極14を形成する。次に、半導体基板20の裏面(n
+型ドレイン領域16であるn
+型出発基板21の裏面)にドレイン電極17を形成する。その後、半導体基板(半導体ウエハ)20をダイシング(切断)して個々のチップ状(半導体チップ)に個片化することで、
図1に示すSiC-MOSFETが完成する。
【0085】
以上、説明したように、実施の形態によれば、層間絶縁膜の上面に、ゲート電極の上面の凹みに応じて凹んだ第1凹部を有する。層間絶縁膜10の上面と側面との境界に、層間絶縁膜の側面上端が扇状に除去されてなる第2凹部を有する。層間絶縁膜の第1,2凹部の間の表面、および第2凹部と半導体基板との間の表面は平坦面である。第1,2凹部と、第1,2凹部の内壁と第1,2平坦面との境界を頂点とする凸部と、による凹凸が層間絶縁膜の表面に3つ以上繰り返し形成されている。
【0086】
層間絶縁膜の表面の凸部の頂点は鈍角であり、第1凹部のみを層間絶縁膜の上面に有する従来構造(例えば引用文献5の
図28参照)と比べて、層間絶縁膜は平坦化されている。バリアメタルは、下層の層間絶縁膜の表面の凹凸を反映した凹凸形状となる。バリアメタルが凹凸形状となることにより、バリアメタルにかかる応力が分散される。また、層間絶縁膜の表面に形成された凹凸のアンカー効果により、層間絶縁膜とバリアメタルとの密着性が向上する。これによって、バリアメタルの剥離やクラックを抑制することができる。
【0087】
以上において本発明は、上述した実施の形態に限らず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、上述した実施の形態では、層間絶縁膜の表面が、第1,2凹部と、第1,2凹部の内壁と第1,2平坦面との境界を頂点とする凸部と、による3つの凹凸を繰り返した形状をなす場合を例に説明しているが、これに限らず、層間絶縁膜の表面の凹凸が上記範囲内の高低差となっていればよく、層間絶縁膜の表面が4つ以上の凹凸を繰り返した形状となるように、層間絶縁膜の表面の表面に複数の凹部が形成されていてもよい。
【0088】
また、例えば、上述した実施の形態ではMOSFETを例に説明しているが、これに限らず、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)やダイオードなど、トレンチゲート構造とすることができる様々な半導体装置に本発明を適用可能である。また、本発明は、導電型(n型、p型)を反転させても同様に成り立つ。
【産業上の利用可能性】
【0089】
以上のように、本発明にかかる炭化珪素半導体装置および炭化珪素半導体装置の製造方法は、電力変換装置や種々の産業用機械などの電源装置などに使用されるパワー半導体装置に有用である。
【符号の説明】
【0090】
1 n-型ドリフト領域
2 p型ベース領域
3 n+型ソース領域
4 p+型コンタクト領域
5 トレンチ
6 ゲート絶縁膜
7 ゲート電極
7a ゲート電極の上面の凹み
8 第1絶縁層
9 第2絶縁層
10 層間絶縁膜
10a 層間絶縁膜の上面の第1凹部
10b 層間絶縁膜の側面上端の第2凹部
10c 層間絶縁膜の上面の第1平坦面
10d 層間絶縁膜の側面(第2平坦面)
10e~10g 層間絶縁膜10の表面の凸部
11 ニッケルシリサイド膜
12 バリアメタル
13 Al金属電極層
14 ソース電極
15 コンタクトホール
15a 層間絶縁膜に形成する第1溝
15b 層間絶縁膜に形成する第2溝
16 n+型ドレイン領域
17 ドレイン電極
20 半導体基板
21 n+型出発基板
22 n-型エピタキシャル層
23 p型エピタキシャル層
30 炭化珪素半導体装置
41 ポリシリコン層
42 レジスト膜
d1 ゲート電極の上面の凹みの深さ
d2 層間絶縁膜の上面の第1凹部の深さ
d3 層間絶縁膜の上面の第2凹部の深さ
d10 層間絶縁膜の総厚さ
d11 第1絶縁層の厚さ
d12 第2絶縁層の厚さ
d13 Al金属電極層の厚さ
w1,w2 コンタクトホールの、トレンチが並ぶ横方向の開口幅
w11 レジスト膜(エッチング用マスク)の、トレンチが並ぶ横方向の開口幅
X 半導体基板のおもて面に平行でかつトレンチが並ぶ方向と直交する横方向
Y トレンチが並ぶ横方向
Z 深さ方向
θ1~θ3 層間絶縁膜の表面の凸部の頂点の角度
【手続補正書】
【提出日】2024-01-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に凹みを有するポリシリコン層が内部に埋め込まれたトレンチが半導体基板のおもて面側において前記半導体基板のおもて面に平行な横方向に並んで設けられたトレンチゲート型の炭化珪素半導体装置であって、
前記半導体基板のおもて面に積層され、前記ポリシリコン層を覆う層間絶縁膜と、
少なくとも一部が前記層間絶縁膜の表面に沿って設けられたバリアメタルと、
を備え、
前記横方向および前記半導体基板の深さ方向のY-Z断面において、
前記半導体基板のおもて面側に、前記深さ方向に前記凹みに対向し0.1μm以上の高低差を有する第1凹部と、前記第1凹部と前記横方向に並んで設けられ0.1μm以上の高低差を有する第2凹部と、が設けられ、
前記バリアメタルは、前記第1凹部および前記第2凹部の表面に沿って設けられていることを特徴とする炭化珪素半導体装置。
【請求項2】
前記Y-Z断面において、前記第1凹部および前記第2凹部の最も深い部分は、前記深さ方向に対して反対側に前記半導体基板のおもて面よりも高い位置にあることを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項3】
前記Y-Z断面において、前記半導体基板のおもて面側の前記第1凹部および前記第2凹部による凹凸の高低差は、0.1μm以上0.5μm未満であることを特徴とする請求項1または2に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項4】
前記Y-Z断面において、前記半導体基板のおもて面側の前記第1凹部および前記第2凹部による凹凸の高低差は、0.3μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項5】
前記ポリシリコン層がゲート電極であるトレンチゲートを備え、
前記Y-Z断面において、
前記第1凹部は、前記深さ方向に前記ゲート電極に対向し、
前記第2凹部は、前記深さ方向に、前記横方向に互いに隣り合う前記トレンチゲートの間の領域に対向することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項6】
前記Y-Z断面において、
前記バリアメタルは、
前記深さ方向に前記凹みに対向する最も深い部分である第1頂点と、
前記横方向で前記ポリシリコン層よりも外側に位置し、前記第1頂点との間に前記第1凹部の内壁が位置する第2頂点と、を有し、
前記第1頂点と前記第2頂点との間の凹凸の高低差が0.1μm以上0.5μm未満であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項7】
前記Y-Z断面において、
前記バリアメタルは、
前記第2凹部の最も深い部分である第3頂点と、
前記横方向に前記第3頂点よりも前記凹み側に位置し、前記第3頂点との間に前記第2凹部の内壁が位置する第4頂点と、を有し、
前記第3頂点と前記第4頂点との間の凹凸の高低差が0.1μm以上、前記層間絶縁膜の総厚さの最大値の50%以下であることを特徴とする請求項6に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項8】
前記Y-Z断面において、
前記バリアメタルは、
前記第2凹部の最も深い部分である第3頂点と、
前記横方向に前記第3頂点よりも前記凹み側に位置し、前記第3頂点との間に前記第2凹部の内壁が位置する第4頂点と、を有し、
前記第3頂点と前記第4頂点との間の凹凸の高低差が0.1μm以上0.4μm以下であることを特徴とする請求項6に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項9】
前記Y-Z断面において、前記第2頂点と前記第4頂点との間に平坦面が設けられていることを特徴とする請求項7または8に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項10】
上面に凹みを有するポリシリコン層が内部に埋め込まれたトレンチが半導体基板のおもて面側において前記半導体基板のおもて面に平行な横方向に並んで設けられたトレンチゲート型の炭化珪素半導体装置であって、
前記半導体基板のおもて面に積層され、前記ポリシリコン層を覆う層間絶縁膜と、
少なくとも一部が前記層間絶縁膜の表面に沿って設けられたバリアメタルと、
を備え、
前記横方向および前記半導体基板の深さ方向のY-Z断面において、
前記バリアメタルは、
前記深さ方向に前記凹みに対向する最も深い部分である第1頂点と、
前記横方向で前記ポリシリコン層よりも外側に位置し、前記第1頂点との間に第1凹部の内壁が位置する第2頂点と、
前記横方向に前記第2頂点よりも前記ポリシリコン層から離れて位置し、前記第2頂点との間に平坦面を形成する他の頂点と、を有し、
前記第1頂点と前記第2頂点との間の凹凸の高低差が0.1μm以上0.5μm未満であることを特徴とする炭化珪素半導体装置。
【請求項11】
前記半導体基板の内部に設けられ、前記半導体基板のおもて面に露出する第1導電型のソース領域を備え、
前記Y-Z断面において、前記第2頂点は、前記深さ方向に前記ソース領域に対向することを特徴とする請求項6から10のいずれか1項に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項12】
前記バリアメタルは、チタンを含む電極膜であることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の炭化珪素半導体装置。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
この発明は、炭化珪素半導体装置に関する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、バリアメタルの剥離やクラックを抑制することができる炭化珪素半導体装置を提供することを目的とする。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、次の特徴を有する。上面に凹みを有するポリシリコン層が内部に埋め込まれたトレンチが半導体基板のおもて面側に前記半導体基板のおもて面に平行な横方向に並んで設けられたトレンチゲート型の炭化珪素半導体装置であって、前記半導体基板のおもて面に積層され、前記ポリシリコン層を覆う層間絶縁膜と、少なくとも一部が前記層間絶縁膜の表面に沿って設けられたバリアメタルと、が設けられている。前記横方向および前記半導体基板の深さ方向のY-Z断面において、前記半導体基板のおもて面側に、前記深さ方向に前記凹みに対向し0.1μm以上の高低差を有する第1凹部と、前記第1凹部と前記横方向に並んで設けられ0.1μm以上の高低差を有する第2凹部と、が設けられている。前記バリアメタルは、前記第1凹部および前記第2凹部の表面に沿って設けられている。
また、上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、次の特徴を有する。上面に凹みを有するポリシリコン層が内部に埋め込まれたトレンチが半導体基板のおもて面側に前記半導体基板のおもて面に平行な横方向に並んで設けられたトレンチゲート型の炭化珪素半導体装置であって、前記半導体基板のおもて面に積層され、前記ポリシリコン層を覆う層間絶縁膜と、少なくとも一部が前記層間絶縁膜の表面に沿って設けられたバリアメタルと、が設けられている。前記横方向および前記半導体基板の深さ方向のY-Z断面において、前記バリアメタルは、前記深さ方向に前記凹みに対向する最も深い部分である第1頂点と、前記横方向で前記ポリシリコン層よりも外側に位置し、前記第1頂点との間に第1凹部の内壁が位置する第2頂点と、前記横方向に前記第2頂点よりも前記ポリシリコン層から離れて位置し、前記第2頂点との間に平坦面を形成する他の頂点と、を有する。前記第1頂点と前記第2頂点との間の凹凸の高低差が0.1μm以上0.5μm未満である。
また、上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、次の特徴を有する。半導体基板の内部に、第1導電型の第1半導体領域が設けられている。前記半導体基板の第1主面と前記第1半導体領域との間に、前記第1半導体領域に接して、第2導電型の第2半導体領域が設けられている。前記半導体基板の第1主面と前記第2半導体領域との間に、前記第2半導体領域に接して、第1導電型の第3半導体領域が選択的に設けられている。トレンチは、前記半導体基板の第1主面から前記第3半導体領域および前記第2半導体領域を貫通して前記第1半導体領域に達する。ゲート電極は、前記トレンチの内部にゲート絶縁膜を介して設けられている。層間絶縁膜は、前記ゲート電極を覆う。コンタクトホールは、前記層間絶縁膜を深さ方向に貫通して前記半導体基板に達する。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
第1電極は、前記層間絶縁膜の表面に設けられ、前記コンタクトホールの内部において前記第2半導体領域および前記第3半導体領域に接続されている。第2電極は、前記第1半導体領域に電気的に接続されている。前記層間絶縁膜の表面に3つ以上の凹部が互いに離れて設けられている。前記層間絶縁膜の表面は、前記凹部と、当該凹部の内壁と当該凹部の間の表面との境界を頂点とする凸部と、による凹凸が3つ以上繰り返した形状をなす。前記第1電極は、第1~3電極膜を有する。前記第1電極膜は、前記コンタクトホールの内部において前記第2半導体領域および前記第3半導体領域にオーミック接触する。前記第1電極膜の表面および前記層間絶縁膜の表面に沿って、チタンを含む第2電極膜が設けられている。前記第2電極膜の表面に、アルミニウムを含む第3電極膜が設けられている。前記第2電極膜は、前記層間絶縁膜の表面の前記凹部による凹凸を反映した凹凸形状をなす。前記層間絶縁膜の表面の前記凹部による凹凸の高低差は0.1μm以上0.5μm未満である。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
層間絶縁膜は、前記ゲート電極を覆う。コンタクトホールは、前記層間絶縁膜を深さ方向に貫通して前記半導体基板に達する。第1電極は、前記層間絶縁膜の表面に設けられ、前記コンタクトホールの内部において前記第2半導体領域および前記第3半導体領域に接続されている。第2電極は、前記第1半導体領域に電気的に接続されている。前記層間絶縁膜の表面に3つ以上の凹部が設けられ、前記層間絶縁膜の表面は当該凹部による凹凸が3つ以上繰り返した形状をなす。前記コンタクトホールに最も近い前記凹部は、前記層間絶縁膜の厚さ未満の所定深さを有し、かつ前記コンタクトホールに連続している。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
前記コンタクトホールの開口幅は、前記コンタクトホールに最も近い前記凹部により、前記半導体基板から離れた箇所で前記半導体基板に近い箇所よりも広くなっている。前記第1電極は、第1~3電極膜を有する。前記第1電極膜は、前記コンタクトホールの内部において前記第2半導体領域および前記第3半導体領域にオーミック接触する。前記第1電極膜の表面および前記層間絶縁膜の表面に沿って、チタンを含む第2電極膜が設けられている。前記第2電極膜の表面に、アルミニウムを含む第3電極膜が設けられている。前記第2電極膜は、前記層間絶縁膜の表面の前記凹部による凹凸を反映した凹凸形状をなす。前記層間絶縁膜の表面の前記凹部による凹凸の高低差は0.1μm以上0.5μm未満である。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
また、上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、次の特徴を有する。半導体基板の第1主面から所定深さに達するトレンチを形成する第1工程を行う。前記半導体基板の第1主面および前記トレンチの内壁に沿ってゲート絶縁膜を形成する第2工程を行う。前記半導体基板の第1主面にポリシリコン層を堆積して、前記ポリシリコン層で前記トレンチの内部を埋め込む第3工程を行う。前記半導体基板の第1主面上の前記ゲート絶縁膜が露出されるまで前記ポリシリコン層をエッチバックして、前記トレンチの内部にのみゲート電極となる前記ポリシリコン層を残す第4工程を行う。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0032】
前記半導体基板の第1主面に、前記ゲート電極を覆う層間絶縁膜を形成する第5工程を行う。前記層間絶縁膜を深さ方向に貫通して前記半導体基板に達するコンタクトホールを形成する第6工程を行う。熱処理により前記層間絶縁膜を平坦化する第7工程を行う。前記コンタクトホールの内部において前記半導体基板にオーミック接触する第1電極膜を形成する第8工程を行う。前記第1電極膜の表面および前記層間絶縁膜の表面に沿って、チタンを含む第2電極膜を形成する第9工程を行う。前記第2電極膜の表面に、アルミニウムを含む第3電極膜を形成する第10工程を行う。前記第4工程では、前記ゲート電極の表面に0.1μm以上0.5μm未満の深さの凹みを生じさせる。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0038】
本発明にかかる炭化珪素半導体装置によれば、バリアメタルの剥離やクラックを抑制することができるという効果を奏する。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0040】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。本明細書および添付図面においては、nまたはpを冠記した層や領域では、それぞれ電子または正孔が多数キャリアであることを意味する。また、nやpに付す+および-は、それぞれそれが付されていない層や領域よりも高不純物濃度および低不純物濃度であることを意味する。なお、以下の実施の形態の説明および添付図面において、同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0041】
(実施の形態)
実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の構造について説明する。
図1は、実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す断面図
(Y-Z断面)である。
図2は、
図1の一部を拡大して示す断面図である。
図2には、
図1の半導体基板(半導体チップ)20上の層間絶縁膜10およびバリアメタル12を走査型電子顕微鏡で観察した状態を模式的に示す。
図2では、半導体基板20の内部のトレンチゲート以外の各部を図示省略する。
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0056
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0056】
層間絶縁膜10の上面には、下層のゲート電極7の上面の凹み7aに深さ方向Zに対向する部分(すなわちトレンチ5の略中央)で当該ゲート電極7の上面の凹み7aを反映して凹んだ凹み(第1頂点)をそのまま残してなる第1凹部10aが設けられている。層間絶縁膜10の上面とは、層間絶縁膜10の、バリアメタル12との接触面(表面)のうち、コンタクトホール15の側壁となる表面(層間絶縁膜10の側面)を除く部分である。
【手続補正18】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0063
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0063】
トレンチ5に近い位置に配置された凸部10e~10gほど頂点の角度θ1~θ3が大きい。すなわち、第1凹部10aの内壁と第1平坦面10cとで形成される凸部10eの頂点(第2頂点)の角度θ1が最も大きく、例えば110°以上程度の鈍角であってもよい。第1平坦面10cと第2凹部10bの内壁とで形成される凸部10fの頂点(第4頂点、他の頂点)の角度θ2、および、第2凹部10bの内壁と第2平坦面10dとで形成される凸部10gの頂点(第3頂点)の角度θ3は、凸部10eの頂点の角度θ1よりも小さい(θ1>θ2、θ1>θ3)。
【手続補正19】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0065
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0065】
層間絶縁膜10を深さ方向に貫通して半導体基板20に達するコンタクトホール15が設けられている。コンタクトホール15には、n+型ソース領域3およびp+型コンタクト領域4が露出されている。コンタクトホール15の、トレンチ5が並ぶ方向(Y-Z断面における横方向Y)の開口幅は、層間絶縁膜10の側面上端にコンタクトホール15に連続する第2凹部10bにより、半導体基板20から離れた上端側で半導体基板20側よりも1段階広くなっている(w1>w2)。
【手続補正20】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0089
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0089】
以上のように、本発明にかかる炭化珪素半導体装置は、電力変換装置や種々の産業用機械などの電源装置などに使用されるパワー半導体装置に有用である。