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特開2024-24133メモリシステムおよび情報処理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024133
(43)【公開日】2024-02-22
(54)【発明の名称】メモリシステムおよび情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 12/00 20060101AFI20240215BHJP
【FI】
G06F12/00 564C
G06F12/00 597U
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022126726
(22)【出願日】2022-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100176599
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100205095
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 啓一
(74)【代理人】
【識別番号】100208775
【弁理士】
【氏名又は名称】栗田 雅章
(72)【発明者】
【氏名】加藤木 裕
【テーマコード(参考)】
5B160
【Fターム(参考)】
5B160CC02
(57)【要約】
【課題】本発明が解決しようとする課題は、接続先のオーディオ装置が楽曲情報をより高品質に再生できるようにするためのメモリシステムを提供することである。
【解決手段】実施形態のメモリシステムは、ホスト装置に接続可能であって、不揮発性メモリと、前記不揮発性メモリに接続される信号線と、メモリコントローラとを備える。前記メモリコントローラは、前記信号線と接続され、前記不揮発性メモリとデータを送信または受信する場合に、第1の周波数で前記信号線のデアサートとアサートとを繰り返す。
前記メモリコントローラは、前記ホストから第1のコマンドを受信した場合、前記不揮発性メモリとデータを送信または受信する場合に、前記第1の周波数よりも小さい第2の周波数で前記信号線のデアサートとアサートとを繰り返す。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホストに接続可能であって、
不揮発性メモリと、
前記不揮発性メモリに接続される第1の信号線と、
前記第1の信号線と接続され、前記不揮発性メモリとデータを送信または受信する場合に、第1の周波数で前記第1の信号線のデアサートとアサートとを繰り返すメモリコントローラと、
を備え、
前記メモリコントローラは、前記ホストから第1のコマンドを受信した場合、前記不揮発性メモリとデータを送信または受信する場合に、前記第1の周波数よりも小さい第2の周波数で前記第1の信号線のデアサートとアサートとを繰り返す
メモリシステム。
【請求項2】
前記第1の信号線とは異なる前記不揮発性メモリと前記メモリコントローラとに接続される第2の信号線をさらに備え、
前記不揮発性メモリは、前記メモリコントローラへデータを送信する際に、前記メモリコントローラにより繰り返される前記第1信号線のデアサートとアサートに連動して、前記第2の信号線のデアサートとアサートを繰り返す
請求項1に記載のメモリシステム。
【請求項3】
不揮発性メモリと、
前記不揮発性メモリに接続される第1の信号線と、
前記第1の信号線と接続され、前記不揮発性メモリとデータを送信または受信する場合に、第1の周波数で前記第1の信号線のデアサートとアサートとを繰り返すメモリコントローラと、
を備え、
前記メモリコントローラは、
前記メモリコントローラを制御する制御部と、
前記不揮発性メモリから読み出したデータが一時的に保存されるデータバッファと、
前記データバッファに保存されているデータから音声データを検出する検出部と、
判定部と、
を含み、
前記検出部は、前記データバッファ内のデータから前記音声データを検出した場合、前記判定部に前記音声データの再生時間を指定する第1のコマンドを送信し、
前記判定部は、第1のコマンドを受信した場合、前記再生時間の後に、前記制御部に第2のコマンドを送信し、
前記制御部は、前記判定部から第2のコマンドを受信した場合、前記不揮発性メモリとデータを送信または受信する場合に、前記第1の周波数よりも小さい第2の周波数で前記第1の信号線のデアサートとアサートとを繰り返す
メモリシステム。
【請求項4】
不揮発性メモリと、前記不揮発性メモリに接続される信号線と、前記不揮発性メモリを制御するメモリコントローラと、を有するメモリシステムと、
メモリインターフェースと、前記メモリインターフェース経由で前記メモリシステムを制御するCPUと、を有するホストと、
を備え、
前記メモリコントローラは、
前記信号線と接続され、前記不揮発性メモリとデータを送信または受信する場合に、第1の周波数で前記信号線のデアサートとアサートとを繰り返し、
前記メモリコントローラは、前記ホストから第1のコマンドを受信した場合、前記不揮発性メモリとデータを送信または受信する場合に、前記第1の周波数よりも小さい第2の周波数で前記信号線のデアサートとアサートとを繰り返す
情報処理システム。
【請求項5】
前記ホストは、前記メモリシステムから読み出したオーディオデータをD/A変換するための音声インターフェースをさらに有する請求項3に記載の情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、メモリシステムおよび情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
不揮発性メモリの一例としてのNAND型フラッシュメモリ(以下、単にNANDメモリと称する)と、NANDメモリを制御するメモリコントローラと、を備えるメモリシステムが知られている。メモリシステムの一例として、ソリッドステートドライブ(Solid State Drive:以下、SSDと称する)がある。
【0003】
また、ハードディスクやメモリカード等に保存された楽曲情報を読み出し、読み出した楽曲情報を再生するオーディオ装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-47318号公報
【特許文献2】特開2016-62172号公報
【特許文献3】国際公開第2010/084590号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、接続先のオーディオ装置が楽曲情報をより高品質に再生できるようにするためのメモリシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するために、実施形態のメモリシステムは、ホスト装置に接続可能であって、不揮発性メモリと、前記不揮発性メモリに接続される信号線と、メモリコントローラとを備える。前記メモリコントローラは、前記信号線と接続され、前記不揮発性メモリとデータを送信または受信する場合に、第1の周波数で前記信号線のデアサートとアサートとを繰り返す。前記メモリコントローラは、前記ホストから第1のコマンドを受信した場合、前記不揮発性メモリとデータを送信または受信する場合に、前記第1の周波数よりも小さい第2の周波数で前記信号線のデアサートとアサートとを繰り返す。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態に係るメモリシステムを含む情報処理システムの構成例を示すブロック図。
図2】第1の実施形態に係るメモリシステムの構成例を示すブロック図。
図3】第1の実施形態に係るメモリシステムにおける各NANDチップの構成の一例を示すブロック図。
図4】第1の実施形態に係るメモリシステムにおけるNANDメモリに対するリード動作時の信号波形の一例。
図5】第1の実施形態に係るメモリシステムのモード遷移の一例を示すフローチャート。
図6】第2の実施形態に係るメモリシステムの構成例を示すブロック図。
図7】第2の実施形態に係るメモリシステムのモード遷移の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、発明を実施するための実施形態について図面を参照して説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るメモリシステムを含む情報処理システムの構成例を示すブロック図である。情報処理システム1は、ホスト2と、メモリシステム3と、を含む。
【0010】
ホスト2は、例えば、パーソナルコンピュータやオーディオ装置などの情報処理装置であってもよいし、タブレットコンピュータやスマートフォンなどの携帯端末であってもよい。メモリシステム3は、ホスト2と通信線で接続され、ホスト2の外部記憶装置として機能する。
【0011】
ホスト2は、ホストCPU21と、ホストROM22と、ホストRAM23と、メモリインターフェース(メモリI/F)24と、音声インターフェース(音声I/F)25と、スピーカ251と、入力デバイス26と、映像I/F27と、ディスプレイ271と、通信I/F28と、を備えている。ホストCPU21、ホストROM22、ホストRAM、メモリI/F24、音声I/F25、入力デバイス26、映像I/F27および通信I/F28はバスによってそれぞれ接続されている。
【0012】
ホストCPU21は、CPU(Central Processing Unit)であり、ホスト2を統括的に制御する。ホストROM22は、ROM(Read Only Memory)であり、ブートプログラム、データ更新プログラム、特定情報取得プログラムなどのプログラムを記録している。
また、ホストRAM23は、RAM(Random Access Memory)であり、ホストCPU21のワークエリアとして使用される。すなわち、ホストCPU21は、ホストRAM23をワークエリアとして使用しながら、ホストROM22に記録された各種プログラムを実行することによって、ホスト2を統括的に制御する。
【0013】
メモリI/F24は、ホストCPU21の制御にしたがってメモリシステム3に対するデータの読み取りや書き込みを制御し、メモリシステム3へ読み出し要求や書き込み要求等を送信する。ここで、書き込み要求は、ライトデータ、論理アドレス(開始論理アドレス)とライトデータのサイズを指定する。書き込み要求は、メモリシステム3に対して、開始論理アドレスとサイズに対応するNANDメモリ40の記憶領域にライトデータを書き込むことを要求するためのコマンドである。なお、本実施の形態では、ホスト2からの書き込み要求によりNANDメモリ40へ書き込むデータをユーザデータと呼ぶ。
【0014】
読み出し要求は、論理アドレス(開始論理アドレス)とリードすべきデータのサイズを指定する。読み出し要求は、メモリシステム3に対して、開始論理アドレスとサイズに対応するNANDメモリ40の記憶領域からデータを読み出すことを要求するためのコマンドである。
【0015】
書き込み要求で指定されるライトデータの例としては、楽曲情報や、楽曲情報のうちのダイジェスト情報となる区間の情報や、楽曲情報に関する音声からなる情報がある。楽曲情報は音声データとも称される。また、楽曲情報のうちのダイジェスト情報となる区間の情報や、楽曲情報に関する音声からなる情報は、楽曲情報に関連付けられていてもよい。
【0016】
音声I/F25は、音声出力用のスピーカ251に接続される。スピーカ251からは、所定の音声信号を音声I/F25内でD/A変換した音声が出力される。また、音声I/F25は、たとえば利用者の右耳用および左耳用の2つのスピーカ251に接続されていてもよい。
【0017】
入力デバイス26は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えたリモコン、キーボード、タッチパネルなどが挙げられる。入力デバイス26は、リモコン、キーボード、タッチパネルのうちいずれか1つの要素によって実現されてもよいが、複数の要素によって実現されてもよい。
【0018】
映像I/F27は、ディスプレイ271に接続される。映像I/F27は、具体的には、たとえば、ディスプレイ271全体を制御するグラフィックコントローラと、即時表示可能な画像情報を一時的に記録するVRAM(Video RAM)などのバッファメモリと、グラフィックコントローラから出力される画像データに基づいてディスプレイ271を制御する制御ICなどによって構成される。
【0019】
ディスプレイ271には、アイコン、カーソル、メニュー、ウインドウ、あるいは文字や画像などの各種データが表示される。ディスプレイ271には、上述した楽曲情報に関する文字、画像の情報および再生時間が描画されてもよい。ディスプレイ271としては、たとえば、液晶ディスプレイなどを用いることができる。
【0020】
通信I/F28は、無線を介してネットワークに接続され、ネットワークとのインターフェースとして機能する。通信I/F28は、さらに、無線または有線を介してインターネットなどの通信網に接続され、この通信網とホストCPU21とのインターフェースとしても機能する。そして、インターネット上のサーバから所望の楽曲情報を取り込むことができる。
【0021】
ホストCPU21は、メモリシステム3へ書き込み要求を送信することにより、楽曲情報を保存出来る。また、メモリシステム3へ読み出し要求を送信することにより、メモリシステム3から楽曲情報を読み出すことが出来る。
【0022】
ホストCPU21がホストROM22などに記録された所定の楽曲再生プログラムを実行し、ホスト2における各要素を制御する。すなわち、ホスト2はホストROM22に記録されている楽曲再生プログラムを実行することにより、メモリシステム3から読み出した楽曲情報の再生を行うことが出来る。
【0023】
図2は、第1の実施形態に係るメモリシステムの構成例を示すブロック図である。
【0024】
メモリシステム3は、メモリコントローラ30とNANDメモリ40が1つのパッケージとして構成されるメモリカードであってもよいし、SSDであってもよい。
【0025】
メモリコントローラ30は、ホスト2からの書き込み要求に従ってNANDメモリ40へのデータの書き込みを制御する。本実施形態において、要求とは、例えば、命令、コマンドである。また、ホスト2からの読み出し要求に従ってNANDメモリ40からのデータの読み出しを制御する。メモリコントローラはコントローラとも称される。
【0026】
NANDメモリ40は、不揮発性メモリの一例である。不揮発性メモリとして、NANDメモリに限らず、NOR型フラッシュメモリや他の種類の不揮発性メモリを用いてもよい。不揮発性メモリは、2次元構造のメモリであってもよいし、3次元構造のメモリであってもよい。
【0027】
NANDメモリ40は、複数のNANDチップを有する。例えば、NANDメモリ40は、4個のNANDチップ(0)42-0、NANDチップ(1)42-1、NANDチップ(2)42-2、NANDチップ(3)42-3を有する。NANDチップ42-0~42-3は、区別する必要が無い場合、NANDチップ42と総称する。各NANDチップ42は、周辺回路44と、複数のプレーンを有する。例えば、各NANDチップ42は、2つのプレーン(0)46-0と、プレーン(1)46-1を有する。プレーン46-0、46-1は、区別する必要が無い場合、プレーン46と総称する。
【0028】
メモリコントローラ30は、ホストインターフェース(ホストI/F)31、制御部32、データバッファ34およびNANDインターフェース(NANDI/F)33を備える。ホストI/F31、制御部32、データバッファ34およびNAND I/F33は内部バス35で接続されている。
【0029】
ホストI/F31は、ホスト2との間のインターフェース規格に従った処理を実施し、ホスト2から受信した要求、ユーザデータなどを内部バス35に出力する。また、ホストI/F31は、NANDメモリ40から読み出されたユーザデータ、制御部32からの応答などをホスト2へ送信する。なお、本実施の形態では、ホスト2からの書き込み要求によりNANDメモリ40へ書き込むデータをユーザデータと呼ぶ。
【0030】
制御部32は、メモリシステム3の各構成要素を統括的に制御する。制御部32は、ハードウェアにより実現されてもよいし、CPU等のプロセッサがファームウェアを実行することにより実現されてもよい。後者の場合、例えば、プロセッサが、メモリシステム3が電源供給を受けたときに、図示しないROMに保存されているファームウェア(制御プログラム)をデータバッファ34または制御部32内の図示しないRAM上に読み出して所定の処理を実行することにより、制御部32の処理が実現される。ここで、プロセッサは、コアまたはプロセッサコアとも称される。
【0031】
制御部32は、ホスト2からホストI/F31経由で要求を受けた場合に、その命令に従った制御を行う。例えば、制御部32は、ホスト2からの要求に従って、符号化回路を使用してデータを符号化してデータと冗長部(パリティ)とを有する符号語を生成し、符号語のNANDメモリ40への書き込みをNAND I/F33へ指示する。また、制御部32は、ホスト2からの要求に従って、復号回路を使用してNANDメモリ40から読み出されたデータである符号語をNAND I/F33経由で取得し、取得した符号語を復号する。
【0032】
また、制御部32は、ホスト2から書き込み要求を受信した場合、書き込み要求で指定されるユーザデータに対して、NANDメモリ40上の保存領域(メモリ領域)を決定する。すなわち、制御部32は、ユーザデータの書込み先を管理する。ホスト2から受信したユーザデータの論理アドレスと当該ユーザデータが保存されるNANDメモリ40上の保存領域を示す物理アドレスとの対応はアドレス変換テーブルとして保存される。また、制御部32は、アドレス変換テーブルを管理情報として管理、保存し、アドレス変換テーブル以外のメモリシステム3を管理するための情報についても、管理情報に含めて保存する。
【0033】
また、制御部32は、ホスト2から読み出し要求を受信した場合、読み出し要求により指定された論理アドレスを上述のアドレス変換テーブルを用いて物理アドレスに変換し、該物理アドレスからの読み出しをNAND I/F33へ指示する。
【0034】
データバッファ34は、メモリコントローラ30がホスト2から受信したユーザデータを、NANDメモリ40へ記憶するまでの間、一時保存する。また、データバッファ34は、NANDメモリ40から読み出したユーザデータをホスト2へ送信するまでに一時保存する。データバッファ34は、例えば、SRAM(Static Random Access Memory)やDRAM(Dynamic Random Access Memory)などの汎用メモリで構成される。また、データバッファ34は、メモリコントローラ30内部に搭載されてもよく、メモリコントローラ30の外にメモリコントローラ30とは独立して搭載されてもよい。
【0035】
NAND I/F33は、NANDメモリ40を制御する。NAND I/F33は、制御部32等の制御に従って、不揮発性メモリ110に保存されているデータを消去する。
【0036】
メモリシステム3は、通常動作を行うことが可能な通常電力モードと、通常電力モードと比べて消費電力が小さいスリープモードとの2つの状態を含む複数の動作状態を持ち、何れかのモードにて動作する。制御部32は、メモリシステム3の動作状態が通常電力モードである場合に、ホスト2等の外部装置からスリープモードへの遷移指示を受信した場合、所定の条件を満たすことを前提として、メモリシステム3の動作状態をスリープモードへ遷移させる。また、制御部32は、メモリシステム3の動作状態が通常電力モードであり、ホスト2等の外部装置から何らかの指示を受信しないまま所定の時間が経過した場合、メモリシステム3の動作状態をスリープモードへと遷移させてもよい。制御部32は、メモリシステム3の動作状態がスリープモードである場合に、ホスト2等の外部装置から通常電力モードへの遷移指示を受信した場合、所定の条件を満たすことを前提として、メモリシステム3の動作状態を通常電力モードへ遷移させる。メモリシステム3の動作状態がスリープモードである場合、例えば、制御部32がNANDメモリ40や制御部32に含まれる回路への電源供給を断とすることにより、メモリシステム3の消費電力は通常電力モードの場合よりも小さくなる。
【0037】
第1の実施形態に係るメモリシステムでは、ホスト2から読み出し要求、書き込み要求、データ消去要求、トリムコマンドのようなデータ削除要求等を受信した場合や、バックグラウンドでメモリコントローラ30が、ガベージコレクションや、リフレッシュや、ウェアレベリングや、パトロールリード等を実行する場合に、メモリコントローラ30はNANDメモリ40にアクセスする。
【0038】
ガベージコレクションは、コンパクションとも称される。NANDメモリ40は、データの消去単位とデータの読み書き単位が異なるため、NANDメモリ40の書き換えが進むと、無効データによって、ブロックが断片化され、このような断片化されたブロックが増えると、使用可能なブロックが少なくなる。ガベージコレクションは、使用可能なブロックを増加させるための処理で、例えば、有効データおよび無効データが含まれている複数のアクティブブロックから有効データを集めて、別のブロックに書き直し、フリーブロックを確保する処理を意味する。
【0039】
アクティブブロックは、有効データが記録されているブロックを示す。フリーブロックは、有効データが記録されていないブロックを示す。フリーブロックは、消去した後、消去済みブロックとして再利用可能である。フリーブロックは、本実施形態では、有効データが記録されていない消去前のブロックと、消去済みブロックとの両方を含んでいる。有効データとは、論理アドレスと対応付けられているデータであり、無効データとは論理アドレスが対応付けられていないデータである。消去済みブロックは、データが書き込まれると、アクティブブロックとなる。
【0040】
リフレッシュは、例えば、誤り訂正処理における訂正ビット数が増加する等のようにあるブロック内のデータの劣化が検出された場合に、検出されたブロック内のデータを別のブロックに書き直す処理である。
【0041】
ウェアレベリングは、例えば、書き換え回数や消去回数が多いブロックに記憶されているデータと、書き換え回数や消去回数の少ないブロックに記憶されているデータとを入れ替えることで、NANDメモリ40のブロックの書き換え回数を平準化する処理である。
【0042】
パトロールリードは、エラーの増加したブロックを検出するために、例えば、NANDメモリ40に記憶されているデータを所定単位ずつ読み出し、読み出されたデータを誤り訂正結果に基づいてテストする処理である。このテスト処理では、例えば、読み出されたデータの誤りビット数を閾値と比較し、誤りビット数が閾値を越えたデータをリフレッシュの対象とする。
【0043】
図3は、第1の実施形態に係るメモリシステムにおける各NANDチップ42の構成の一例を示すブロック図である。各NANDチップ42の周辺回路44は、入出力回路102、ロジック制御回路104、チップ制御回路106、コマンドレジスタ108、アドレスレジスタ110、及びレディ/ビジー回路112を有する。各NANDチップ42の各プレーン46は、メモリセルアレイ120、カラムデコーダ122、データレジスタ124、センスアンプ126、及びロウデコーダ128を有する。
【0044】
各NANDチップ42とNAND I/F33とを接続する各チャネルCHは、I/O信号を転送するI/O信号線DQ[7:0]と制御信号を転送する制御信号線を有する。
I/O信号は、コマンド、アドレス、及びデータを含む。I/O信号線DQ[7:0]は入出力回路102に接続される。
【0045】
制御信号線は、チップイネーブル信号線CEn、コマンドラッチイネーブル信号線CLE、アドレスラッチイネーブル信号線ALE、ライトイネーブル信号線WEn、リードイネーブル信号線REn/RE、データストローブ信号線DQS/DQSn、レディ/ビジー信号線RY/BYnを含む。各制御信号線は1ビットの制御信号を転送する。I/O信号線DQ[7:0]はコマンドとアドレスとデータを転送する。コマンドラッチイネーブル信号線CLEは、I/O信号線DQ[7:0]を用いて送られる信号がコマンドであることを示すコマンドラッチイネーブル信号を転送する。アドレスラッチイネーブル信号線ALEは、I/O信号線DQ[7:0]を用いて送られる信号がアドレスであることを示すアドレスラッチイネーブル信号を転送する。チップイネーブル信号線CEn、コマンドラッチイネーブル信号線CLE、アドレスラッチイネーブル信号線ALE、及びライトイネーブル信号線WEnは、ロジック制御回路104に接続される。リードイネーブル信号線REn/RE及びデータストローブ信号線DQS/DQSnは、入出力回路102に接続される。レディ/ビジー信号線RY/BYnは、レディ/ビジー回路112に接続される。
【0046】
信号線を転送される信号は、ハイレベルの時にアクティブ(有効)なハイアクティブ信号線(正論理の信号)と、ローレベルの時にアクティブなローアクティブ信号(負論理の信号)を含む。通常、負論理の信号は、信号を表す記号にオーバーライン又は上線を付して表現するが、本明細書では、表記の便宜上、記号の後にnを付して表現する。例えば、チップイネーブル信号線CEnはNANDチップ42がイネーブルの時にローレベルとなり、ディスエーブルの時にハイレベルとなる負論理の信号を転送することを意味する。また、信号が有効なレベルであることを信号線が「アサート」されていると称し、信号が無効なレベルであることを信号線が「デアサート」されていると称する。正論理の信号を転送する信号線をアサートすると、信号レベルはハイレベルとなる。負論理の信号をアサートすると、信号レベルはローレベルとなる。
【0047】
通常、信号線は、正論理か負論理かいずれかの信号を転送するが、リードイネーブル信号線REn/REとデータストローブ信号線DQS/DQSnは、両論理の相補信号を転送する。
【0048】
I/O信号線DQ[7:0]は、データ、アドレス、及び各種コマンドを転送するための8ビットの信号線である。NAND I/F33は、I/O信号線DQ[7:0]を用いてコマンドを送信する場合、コマンドラッチイネーブル信号線をアサートする。NAND I/F33は、I/O信号線DQ[7:0]を用いてアドレスを送信する場合、アドレスラッチイネーブル信号線をアサートする。NAND I/F33は、ライトイネーブル信号線WEnの立ち上がりに同期して、I/O信号線DQ[7:0]を用いてコマンドとアドレスを送信する。
【0049】
NAND I/F33は、データストローブ信号線DQS/DQSnの両エッジに同期して、I/O信号線DQ[7:0]を用いてライトデータを送信する。周辺回路44は、データストローブ信号線DQS/DQSnの両エッジに同期して、I/O信号線DQ[7:0]を用いてリードデータを送信する。
【0050】
チップ制御回路106は、ロジック制御回路104を介して受信する各種制御信号に基づいて状態遷移する回路である。チップ制御回路106は、各NANDチップ42の動作を制御する。レディ/ビジー回路112は、チップ制御回路106による制御の下でレディ/ビジー信号線RY/BYnの状態をレディ状態(RY)とビジー状態(BY)の間で遷移させる。
【0051】
入出力回路102は、NAND I/F33との間でI/O信号を送受信するためのバッファ回路である。ロジック制御回路104からの指示に基づき入出力回路102がラッチしたコマンド、アドレス、及びデータは、コマンドレジスタ108、アドレスレジスタ110、及びデータレジスタ124に夫々振り分けられて記憶される。
【0052】
アドレスレジスタ110に記憶されたアドレスは、チップ番号、ロウアドレス、及びカラムアドレスを含む。チップ番号は、各NANDチップ42を区別するための識別情報である。チップ番号はチップ制御回路106に供給され、ロウアドレスはロウデコーダ128に供給され、カラムアドレスはカラムデコーダ122に供給される。なお、アドレスは、プレーンを区別するためのプレーン番号も含んでもよい。アドレスがプレーン番号を含まない場合は、アドレス空間をプレーン毎に区別して、アドレスがプレーンを識別できるようにしてもよい。同様に、アドレスはチップ番号を含まなくてもよい。この場合、アドレス空間をチップ毎に区別して、アドレスがチップを識別できるようにしてもよい。
【0053】
ロジック制御回路104は、制御信号の入力を受け付ける。ロジック制御回路104は、受け付けた制御信号に基づいて、入出力回路102が受け付けたI/O信号の記憶先のレジスタの振り分けを実行する。ロジック制御回路104は、受け付けた制御信号をチップ制御回路106に転送する。
【0054】
各NANDチップ42の各プレーン46のメモリセルアレイ120は、複数のブロックを有する。各ブロックは、複数のページを有する。各ページは、同一ワード線に接続された複数のメモリセルを有する。ブロックは、NANDメモリ40からデータを消去するデータ消去動作(ブロックイレーズとも称する)の単位である。ページは、データ書き込み動作とデータ読み出し動作の単位である。
【0055】
カラムデコーダ122とロウデコーダ128は、カラムアドレスとロウアドレスに応じてメモリセルアレイ120のメモリセルを指定する。ライト動作時、データレジスタ124内のデータは、カラムデコーダ122とロウデコーダ128により指定されたメモリセルに書き込まれる。リード動作時、センスアンプは、カラムデコーダ122とロウデコーダ128により指定されたメモリセルからデータを読み出す。読み出されたデータは、データレジスタ124に書き込まれる。
【0056】
次に、メモリコントローラ30のNAND I/F33とNANDメモリ40(の周辺回路44)の間のトグルインターフェースの概要を、NANDメモリ40に対するリード動作を例にとり説明する。
【0057】
図4は、第1の実施形態に係るメモリシステムにおけるNANDメモリに対するリード動作時の信号波形の一例である。リード動作は、リードデータコマンドに後続するアドレスにより指定されたメモリセルからデータを読み出し、読み出したデータをNANDチップ42内のデータレジスタ124に書き込むデータ出力準備動作と、データレジスタ124内のデータを入出力回路102によりメモリコントローラ30へ転送するデータ出力動作からなる。
【0058】
初期状態では、チップイネーブル信号線CEnはデアサート状態であり、データストローブ信号線DQS/DQSnはハイインピーダンス(Hi-z)状態であり、他の信号線の状態は不問である。図4の斜線は不問の状態を示す。
【0059】
NAND I/F33は、チップイネーブル信号線CEnとコマンドラッチイネーブル信号線CLEをアサートし、アドレスラッチイネーブル信号線ALEとリードイネーブル信号線REn/REをデアサートし、データストローブ信号線DQS/DQSnのハイインピーダンス状態を維持する。
【0060】
NAND I/F33は、ライトイネーブル信号線WEnの周期的なアサート/デアサートを開始する。すなわち、ライトイネーブル信号線WEnのレベルは周期的にローレベルとハイレベルになる。NAND I/F33は、ライトイネーブル信号線WEnの立ち上がり(デアサート)に同期して、リードデータコマンドを示すコマンド01h/02h/03h、00hをI/O信号線DQ[7:0]を用いてNANDチップ42へ順次転送する。NANDチップ42の入出力回路102は、I/O信号線DQ[7:0]を用いて順次入力されたコマンド01h/02h/03h、00hをライトイネーブル信号線WEnの立ち上がりに同期して順次ラッチする。
【0061】
コマンド01h/02h/03hは、下位ページ、中位ページ、又は上位ページを示す。コマンド00hは、リードのアドレスが後続することを示す。
【0062】
NAND I/F33は、コマンド00hの転送後、コマンドラッチイネーブル信号線CLEをデアサートし、アドレスラッチイネーブル信号線ALEをアサートする。
【0063】
NAND I/F33は、ライトイネーブル信号線WEnの立ち上がりに同期して、2サイクルのカラムアドレスADDと3サイクルのロウアドレスADDをI/O信号線DQ[7:0]を用いてNANDチップ42へ順次転送する。入出力回路102は、I/O信号線DQ[7:0]を用いて順次入力されたカラムアドレスとロウアドレスをライトイネーブル信号線WEnの立ち上がりに同期して順次ラッチする。
【0064】
NAND I/F33は、ロウアドレスADDの転送後、コマンドラッチイネーブル信号線CLEをアサートし、アドレスラッチイネーブル信号線ALEをデアサートする。
【0065】
NAND I/F33は、ライトイネーブル信号線WEnの立ち上がりに同期して、直前に入力されたアドレスのメモリセルアレイからデータをリードすることを指示するコマンド30hをI/O信号線DQ[7:0]を用いてNANDチップ42へ転送する。入出力回路102は、I/O信号線DQ[7:0]を用いて入力されたコマンド30hをライトイネーブル信号線WEnの立ち上がりに同期してラッチする。
【0066】
NANDチップ42は、コマンド30hを受け付けると、メモリセルアレイからデータを読み出し始める。データの読み出しに要する時間は図4の時間tRである。
【0067】
NAND I/F33は、コマンド30hの転送後、時間tRの間、各信号線の状態を維持する。
【0068】
時間tRの経過後、NAND I/F32は、コマンドラッチイネーブル信号線CLEをアサートし、アドレスラッチイネーブル信号線ALEのデアサート状態を維持する。
【0069】
NAND I/F33は、ライトイネーブル信号線WEnの周期的なアサート/デアサートを開始する。NAND I/F33は、ライトイネーブル信号線WEnの立ち上がり(デアサート)に同期して、データ出力コマンドの開始を示すコマンド05hをI/O信号線DQ[7:0]を用いてNANDチップ42へ転送する。NANDチップ42の入出力回路102は、I/O信号線DQ[7:0]を用いて入力されたコマンド05hをライトイネーブル信号線WEnの立ち上がりに同期してラッチする。
【0070】
NAND I/F33は、コマンド05hの転送後、コマンドラッチイネーブル信号線CLEをデアサートし、アドレスラッチイネーブル信号線ALEをアサートする。
【0071】
NAND I/F33は、ライトイネーブル信号線WEnの立ち上がりに同期して、2サイクルのカラムアドレスADDと3サイクルのロウアドレスADDをI/O信号線DQ[7:0]を用いてNANDチップ42へ順次転送する。入出力回路102は、I/O信号線DQ[7:0]を用いて順次入力されたカラムアドレスとロウアドレスをライトイネーブル信号線WEnの立ち上がりに同期して順次ラッチする。
【0072】
NAND I/F33は、ロウアドレスADDの転送後、アドレスラッチイネーブル信号線ALEをデアサートし、CLEをアサートする。
【0073】
NAND I/F33は、ライトイネーブル信号線WEnの立ち上がりに同期して、データ出力動作の開始を指示するコマンドE0hをI/O信号線DQ[7:0]を用いてNANDチップ42へ転送する。NANDチップ42の入出力回路102は、I/O信号線DQ[7:0]を用いて入力されたコマンドE0hをライトイネーブル信号線WEnの立ち上がりに同期してラッチする。入出力回路102は、I/O信号線DQ[7:0]を用いて入力されたコマンドE0hをライトイネーブル信号線WEnの立ち上がりに同期してラッチする。
【0074】
NANDチップ42は、コマンドE0hを受け付けると、データ出力動作を開始する。
【0075】
この後、NAND I/F33は、コマンドラッチイネーブル信号線CLEをデアサートし、ライトイネーブル信号線WEnのデアサート状態を維持することによりライトイネーブル信号線WEnの周期的なアサート/デアサートを停止する。
【0076】
I/O信号線DQ[7:0]の転送方向は双方向である。上述したコマンドの転送中は、I/O信号線DQ[7:0]の伝送方向は、メモリコントローラ30(NAND I/F33)からNANDチップ42(入出力回路102)への方向である。NAND I/F33はI/O信号線DQ[7:0]を駆動してコマンドを転送し、入出力回路102はコマンドを受信する。
【0077】
NAND I/F33は、コマンドE0hの転送後、I/O信号線DQ[7:0]の伝送方向をNANDチップ42からメモリコントローラ30への方向に切り替える。入出力回路102は、コマンドE0hの受信後、I/O信号線DQ[7:0]の伝送方向をNANDチップ42からメモリコントローラ30への方向に切り替える。この後、入出力回路102はI/O信号線DQ[7:0]を駆動してデータを転送することができるようになり、NAND I/F33はデータを受信することができるようになる。
【0078】
I/O信号線DQ[7:0]の伝送方向の切り替えが完了すると、NAND I/F33は、リードイネーブル信号線REn/REの周期的なアサート/デアサートを開始する。最初の周期は2番目以降の周期より長い。入出力回路102は、リードイネーブル信号線REn/REの周期的なアサート/デアサートに連動(一定時間tDQSRE遅延)してデータストローブ信号線DQS/DQSnの周期的なデアサート/アサートを開始し、データストローブ信号線DQS/DQSnと同期してリードデータをI/O信号線DQ[7:0]を用いてNAND I/F33へ転送する。NAND I/F33は、I/O信号線DQ[7:0]を用いて入力されたリードデータをデータストローブ信号線DQS/DQSnに同期してラッチする。
【0079】
リードデータの転送完了後、NAND I/F33は、リードイネーブル信号線REn/REの周期的なアサート/デアサートを停止する。これにより、データストローブ信号線DQS/DQSnの周期的なアサート/デアサートも停止される。NAND I/F33は、コマンドラッチイネーブル信号線CLEをデアサートする。
【0080】
トグルインターフェースでは、I/O信号線DQを用いてコマンドとデータを転送しているので、データ転送中はコマンドを転送することができない。同様に、コマンド転送中はデータを転送することができない。
【0081】
なお、メモリコントローラ30の各チャネルに複数のNANDチップが接続されている場合は、同一チャネルに接続されている複数のNANDチップの中で転送するデータが対象とするNANDチップ以外のNANDチップに対してもコマンドを転送できない。
【0082】
上述のように、リードイネーブル信号線REn/REの周期的なアサート/デアサートに連動して、データストローブ信号線DQS/DQSn、I/O信号線DQ[7:0]もデアサート/アサートが繰り返される。
【0083】
また、メモリコントローラ10は、NANDメモリ40へデータを書き込む際に、書き込み用のデータをNAND I/F33経由でNANDメモリ40へ送信する。その際に、NAND I/F33は、データストローブ信号線DQS/DQSnの周期的なデアサート/アサートを開始する。NAND I/F33は、データストローブ信号線DQS/DQSnの立ち上がりと立ち下がりの両エッジに同期して、ライトデータをI/O信号線DQ[7:0]を用いてNANDチップ42へ順次転送する。
【0084】
つまり、メモリコントローラ30が、NANDメモリ40へデータを書き込む場合や、NANDメモリ40からデータを読み出す場合には、リードイネーブル信号線REn/RE、データストローブ信号線DQS/DQSnおよびI/O信号線DQ[7:0]のデアサート/アサートが繰り返される。そして、これらの信号の周波数が高くなるにつれて、メモリシステム3内に発生する高周波ノイズが発生する可能性も高くなる。
【0085】
そこで、メモリシステム3は、通常モードまたは高品質モードのいずれかで動作し、高品質モードで動作する場合には、NAND I/F33は、通常モードの場合よりも小さい周波数でリードイネーブル信号線REn/REのデアサート/アサートを繰り返すように制御する。
【0086】
具体的には、メモリコントローラ30は、リードイネーブル信号線REn/REのデアサート/アサートを繰り返す際、通常モードにおいては、NAND I/F33が所定の周波数でリードイネーブル信号線REn/REのデアサート/アサートを繰り返し、高品質モードにおいては、NAND I/F33は、通常モードの場合よりも少ない周波数でリードイネーブル信号線REn/REのデアサート/アサートを繰り返す。ここで、周波数は、1秒間にリードイネーブル信号線REn/REやデータストローブ信号線DQS/DQSnのデアサート/アサートを繰り返す回数を指すが、所定時間内にリードイネーブル信号線REn/REやデータストローブ信号線DQS/DQSnのデアサート/アサートを繰り返す回数に基づく値や、リードイネーブル信号線REn/REやデータストローブ信号線DQS/DQSnがデアサートになった後次にデアサートになるまでの時間に基づく値であってもよい。
【0087】
メモリシステム3のモードは、メモリコントローラ30が管理し、メモリシステム3のモードの情報を管理情報等に保存する。また、メモリコントローラ30は、メモリシステム3の起動時に、メモリシステム3を通常モードで動作させる。
【0088】
次に、メモリシステム3のモードの遷移について説明する。図5は、第1の実施形態に係るメモリシステムのモード遷移の一例を示すフローチャートである。
【0089】
ホスト2は、メモリシステム3へ高品質モードへの遷移を要求する(ステップS501)。具体的にはホストCPU21が、メモリI/F24経由で、メモリシステム3へ高品質モードへの遷移を要求するコマンドを送信する。
【0090】
メモリコントローラ30は、ホスト2からの高品質モードへの遷移の要求に対して、メモリシステム3のモードを高品質モードへ変更する(ステップS502)。具体的には、制御部32は、高品質モードへの遷移を要求するコマンドをホストI/F31経由で受信した場合に、管理情報等に保存されているモードの情報を高品質モードに変更し、NAND I/F33を高品質モードで制御させる。
【0091】
ホスト2は、メモリシステム3へ楽曲情報の読み出しを要求する(ステップS503)。具体的には、ホストCPU21が、メモリI/F24経由で、メモリシステム3へ論理アドレスを指定した読み出し要求を送信する。
【0092】
メモリコントローラ30は、ホスト2からの楽曲情報の読み出し要求に対して、ホスト2へ読み出した楽曲情報を送信する(ステップS504)。具体的には、制御部32は、論理アドレスを指定した読み出し要求をホストI/F31経由で受信した場合に、アドレス変換テーブルを用いて読み出し要求で指定された論理アドレスを物理アドレスに変換し、変換された物理アドレスからの読み出しをNANDI/F33へ指示する。そして、制御部32は,NANDI/F33経由でNANDメモリ40からデータを読み出し、読み出したデータをホストI/F31経由でホスト2へ送信する。
【0093】
ホスト2は、メモリシステム3へ高品質モードの解除を要求する(ステップS505)。具体的にはホストCPU21が、メモリI/F24経由で、メモリシステム3へ高品質モードの解除を要求するコマンドを送信する。
【0094】
メモリコントローラ30は、ホスト2からの高品質モードの解除の要求に対して、メモリシステム3のモードを通常モードへ変更する(ステップS506)。具体的には、制御部32は、高品質モードの解除を要求するコマンドをホストI/F31経由で受信した場合に、管理情報等に保存されているモードの情報を通常モードに変更し、NAND I/F33を通常モードで制御させる。
【0095】
以上のように、第1の実施形態によれば、メモリシステム3は、通常モードまたは高品質モードのいずれかで動作し、高品質モードで動作する場合には、NAND I/F33は、通常モードの場合よりも小さい周波数でリードイネーブル信号線REn/REのデアサート/アサートを繰り返すように制御する。また、メモリシステム3は、メモリシステム3のモードを変更する要求をホスト2から受信することに応じてモードを変更する。
【0096】
ホスト2は、メモリシステム3のモードを高品質モードへ変更させた後に、楽曲情報の再生を行うことで、メモリシステム3における高周波ノイズの発生可能性を低くすることができる。そして、楽曲情報再生中に、メモリシステム3からホストI/F31を経由してホスト2へ伝播するノイズの発生可能性を低くすることができる。
【0097】
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係るメモリシステムを、図6乃至図7を参照して説明する。第2の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、楽曲情報検出部36および高品質モード維持判定部37を有する点である。第2の実施形態に係るメモリシステムの各部について、第1の実施形態に係るメモリシステムの各部と同一部分は同一符号で示す。第2の実施形態に係るメモリシステムと、第1の実施形態に係るメモリシステムが重複する部分の詳細な説明は省略する。
【0098】
図6は、第2の実施形態に係るメモリシステムを含む情報処理システムの構成例を示すブロック図である。
【0099】
図6に示すように、第2の実施形態に係るメモリコントローラ30は、第1の実施形態に加えて、楽曲情報検出部36および高品質モード維持判定部37をさらに備える。楽曲情報検出部36および高品質モード維持判定部37はそれぞれ内部バス35と接続されている。
【0100】
楽曲情報検出部36はデータバッファ34に定期的にアクセスしている。ホスト2が楽曲情報の読み出しを要求した際、制御部32はアドレス変換テーブルを用いて読み出し要求で指定された論理アドレスを物理アドレスに変換し、変換された物理アドレスからの読み出しをNANDI/F33へ指示する。制御部32は,NANDI/F33経由でNANDメモリ40からデータを読み出し、読み出したデータをデータバッファ34に一時的に保存する。楽曲情報はデータバッファ34に一時的に保存されるため、楽曲情報検出部36は、データバッファ34に、楽曲情報が保存されているかどうかを判定することができる。楽曲情報検出部36が、データバッファ34に楽曲情報が存在すると判定した場合、楽曲情報検出部36は、データバッファ34内の楽曲情報から、楽曲情報の再生時間を取得する。楽曲情報検出部36は、楽曲情報制御部32および高品質モード維持判定部37に楽曲情報検出通知を出す。楽曲情報検出通知には、楽曲情報の再生時間が含まれる。
【0101】
楽曲情報検出部36および高品質モード維持判定部37について、ハードウェアにより実現されてもよいし、ファームウェアにより実現されてもよい。後者の場合、楽曲情報検出部36および高品質モード維持判定部37のファームウェアは、メモリコントローラ30の図示しないROMに保存されている。制御部32は楽曲情報検出部36および高品質モード維持判定部37のファームウェアを図示しないRAM上に読み出して所定の処理を実行することにより、楽曲情報検出部36および高品質モード維持判定部37の処理が実現される。
【0102】
高品質モード維持判定部37は、楽曲情報検出通知を受信した場合に、時間のカウントを始める。高品質モード維持判定部37は、楽曲情報検出通知を受信し、楽曲情報の再生時間が経過した時期に、高品質モード終了通知を制御部32に出力する。
【0103】
次に第2の実施形態に係るメモリシステム3のモードの遷移について説明する。図7は、第2の実施形態に係るメモリシステム3のモード遷移の一例を示すフローチャートである。
【0104】
ホスト2は、メモリシステム3へ楽曲情報の読み出しを要求する(ステップS701)。具体的には、ホストCPU21が、メモリI/F24経由で、メモリシステム3へ論理アドレスを指定した読み出し要求を送信する。
【0105】
メモリコントローラ30は、ホスト2からの楽曲情報の読み出し要求に対して、ホスト2へ読み出した楽曲情報を送信する(ステップS702)。具体的には、制御部32は、論理アドレスを指定した読み出し要求をホストI/F31経由で受信した場合に、アドレス変換テーブルを用いて読み出し要求で指定された論理アドレスを物理アドレスに変換し、変換された物理アドレスからの読み出しをNANDI/F33へ指示する。制御部32は,NANDI/F33経由でNANDメモリ40から楽曲情報を読み出し、読み出した楽曲情報をデータバッファ34に一時的に保存する。そして制御部32は読みだしたデータをホストI/F31経由でホスト2へ送信する。
【0106】
楽曲情報検出部36は、ホスト2からの楽曲情報の読み出し要求の有無を判定し、制御部32と高品質モード維持判定部37に楽曲情報検出通知を送信する(ステップS703)。具体的には、楽曲情報検出部36はデータバッファ34に定期的にアクセスして、データバッファ34に楽曲情報が存在しているのかどうかを判断している。ホストからの楽曲情報の読み出し要求があった場合、楽曲情報はデータバッファ34に一時的に保存される。そのため楽曲情報検出部36は、ホスト2から楽曲情報の読み出し要求があったことを判定できる。楽曲情報検出部36はデータバッファ34から楽曲情報の再生時間を取得する。そして楽曲情報検出部36は、制御部32および高品質モード維持判定部37に、楽曲情報の再生時間を含む楽曲情報検出通知を送信する。
【0107】
制御部32は、楽曲情報検出通知を受けて、メモリシステム3のモードを高品質モードへ変更する(ステップS704)。具体的には、制御部32は、楽曲情報検出通知を楽曲情報検出部36から受信した場合に、管理情報等に保存されているモードの情報を高品質モードに変更し、NAND I/F33を高品質モードで制御させる。
【0108】
高品質モード維持判定部37は、ホスト2が楽曲情報を再生しているかどうかを判定する(ステップS705)。具体的には、高品質モード維持判定部37は定期的に、高品質モードを維持すべきかどうかの判定を行う。高品質モード維持判定部37は、楽曲情報検出部36から楽曲情報検出通知を受け取ると、時間のカウントを開始する。高品質モード維持判定部37は、高品質モード維持の判定を行った際、時間のカウントが楽曲情報の再生時間に満たない場合、定期的に高品質モードを維持すべきかどうかの判定を行う。高品質モード維持判定部37は、楽曲情報の再生時間中であれば、ホスト2が楽曲の再生をしていると判断する。
【0109】
高品質モード維持判定部37は、楽曲の再生が終了する時期に、制御部32へ高品質モードの解除を要求する(ステップS706)。具体的には、高品質モード維持判定部37は、高品質モードを維持すべきかどうかの判定を行った際、時間のカウントが楽曲の再生時間を超えた場合に、制御部32へ高品質モードの解除を要求する。
【0110】
制御部32は、高品質モード維持判定部37からの高品質モードの解除の要求に対して、メモリシステム3のモードを通常モードへ変更する(ステップS707)。具体的には、制御部32は、高品質モードの解除を要求するコマンドを受信した場合に、管理情報等に保存されているモードの情報を通常モードに変更し、NAND I/F33を通常モードで制御させる。
【0111】
以上のように、第2の実施形態によれば、制御部32は、楽曲情報検出部36および高品質モード維持判定部37から、NAND I/F33のモードを変更する要求を受信する。そのため、ホスト2はメモリシステム3へ高品質モードへの遷移を要求するコマンドおよび高品質モードの解除を要求するコマンドを送信する必要がない。
【0112】
一方で第2の実施形態において、ホスト2は、高品質モードの解除を要求するコマンドを送信し、メモリシステム3は、高品質モードの解除を要求するコマンドを受信してもよい。メモリシステム3は、例えばホスト2が楽曲の再生を中止した場合に、メモリシステム3がホスト2から高品質モードの解除を要求するコマンドを受信しなければ、楽曲情報の再生時間が経過するまで高品質モードを解除しない。しかしメモリシステム3がホスト2から高品質モードの解除を要求するコマンドを受信する場合、メモリシステム3は楽曲情報の再生時間の経過を待たずに、高品質モードから通常モードに戻ることができる。
【0113】
また、第2の実施形態において、メモリシステム3は、スリープモードに遷移することによって、ホスト2へ発生するノイズの伝播可能性を低くしてもよい。以下、メモリシステム3のモード遷移について記述する。ホスト2は、メモリシステム3へ楽曲情報の読み出しを要求する。メモリシステム3はホスト2へ楽曲情報を送信する。楽曲情報検出部36が、制御部32と高品質モード維持判定部37に楽曲情報検出通知を送信する。制御部32は、楽曲情報検出通知を受けて、メモリシステム3のモードをスリープモードに変更する。高品質モード維持判定部37は、楽曲情報検出部36から楽曲情報検出通知を受け取ると、時間のカウントを開始する。高品質モード維持判定部37は、定期的にスリープモードを維持すべきかどうかの判定を行う。時間のカウントが楽曲情報の再生時間を超えた場合、制御部32へスリープモードの解除を要求する。制御部32はメモリシステム3を通常電力モードに遷移させる。以上のようにモードを遷移させることで、メモリシステム3は、楽曲再生中にスリープモードへ遷移することができ、消費電力を少なくすることができる。
【0114】
なお、本発明は、上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0115】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他のさまざまな形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0116】
1・・・情報処理システム
2・・・ホスト
3・・・メモリシステム
21・・・ホストCPU
22・・・ホストROM
23・・・ホストRAM
24・・・メモリI/F
25・・・音声I/F
251・・・スピーカ
26・・・入力デバイス
27・・・映像I/F
271・・・ディスプレイ
28・・・通信I/F
30・・・メモリコントローラ
31・・・ホストI/F
32・・・制御部
33・・・NAND I/F
34・・・データバッファ
35・・・内部バス
36・・・楽曲情報検出部
37・・・高品質モード維持判定部
40・・・NANDメモリ
42・・・NANDチップ
44・・・周辺回路
46・・・プレーン
102・・・入出力回路
104・・・ロジック制御回路
120・・・メモリセルアレイ
124・・・データレジスタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7