(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024140
(43)【公開日】2024-02-22
(54)【発明の名称】薬液混合装置、薬液注入システム及び薬液の混合方法
(51)【国際特許分類】
A61M 5/14 20060101AFI20240215BHJP
【FI】
A61M5/14 580
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022126746
(22)【出願日】2022-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】391039313
【氏名又は名称】株式会社根本杏林堂
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107401
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 誠一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 孝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100182257
【弁理士】
【氏名又は名称】川内 英主
(72)【発明者】
【氏名】吹越 由美子
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066CC03
4C066DD07
(57)【要約】
【課題】注入時において複数種類の薬液を所望する濃度で均一に効率よく混合できる薬液混合装置、薬液注入システム及び薬液の混合方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る薬液混合装置は、第1薬液を収容する第1容器と、第2薬液を収容する第2容器と、前記第1容器と第1流路を介して接続され、前記第2容器と第2流路を介して接続され、前記第1薬液と前記第2薬液を混合する混合器と、前記混合器と第3流路を介して接続された第3容器とを有し、前記第3容器の内部を前記混合器の内部に対して負圧にすることにより、前記第1容器から前記第1薬液を、前記第2容器から前記第2薬液を、前記混合器に同時に流入させて混合し、混合した混合液を前記第3容器に導入することを特徴とする。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1薬液を収容する第1容器と、
第2薬液を収容する第2容器と、
前記第1容器と第1流路を介して接続され、前記第2容器と第2流路を介して接続され、前記第1薬液と前記第2薬液を混合する混合器と、
前記混合器と第3流路を介して接続された第3容器と、
を有し、
前記第3容器の内部を前記混合器の内部に対して負圧にすることにより、前記第1容器から前記第1薬液を、前記第2容器から前記第2薬液を、前記混合器に同時に流入させて混合し、混合した混合液を前記第3容器に導入することを特徴とする薬液混合装置。
【請求項2】
前記第3容器は、シリンダと、該シリンダ内で摺動するシール部材と、該シール部材に連結され、前記シール部材を移動操作するプランジャとを有するシリンジであり、
前記プランジャで前記シール部材を移動操作することにより、前記第3容器の内部は前記混合器の内部に対して負圧にされることを特徴とする請求項1に記載の薬液混合装置。
【請求項3】
前記混合器は、
旋回流を生成するための旋回流生成室と、
前記第1流路と接続し、前記旋回流の中心軸と平行な方向で前記第1薬液を前記旋回流生成室に導入するための第1流入口と、
前記第2流路と接続し、前記第1薬液の比重より小さい比重を有する前記第2薬液の旋回流が前記旋回流生成室において生成されるように、前記第2薬液を前記旋回流生成室に導入するための第2流入口と、
前記第3流路と接続し、前記第1薬液と前記第2薬液との混合薬液が流出する流出口と、
前記旋回流生成室と前記流出口との間に設けられ、前記流出口に向かって連続的に狭窄している空間を有する狭窄室とを備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の薬液混合装置。
【請求項4】
前記旋回流生成室は円柱状の空間を有しており、
前記狭窄室は円錐状の空間を有している、請求項3に記載の薬液混合装置。
【請求項5】
前記第1流入口は前記旋回流生成室の前方の端面に形成されており、
前記第2流入口は前記旋回流生成室の側面に形成されている、請求項3に記載の薬液混合装置。
【請求項6】
前記第2流入口の内径は前記第1流入口の内径よりも小さい、請求項3に記載の薬液混合装置。
【請求項7】
前記旋回流生成室の内側において、前記旋回流生成室の前方の内側端面と前記旋回流生成室の内面との境界部分にテーパ部が形成されている、請求項3に記載の薬液混合装置。
【請求項8】
前記旋回流生成室の内側において、前記旋回流生成室の前方の内側端面と前記旋回流生成室の内面との境界部分に湾曲部が形成されている、請求項3に記載の薬液混合装置。
【請求項9】
前記狭窄室の内面は流線形状を有している、請求項3に記載の薬液混合装置。
【請求項10】
前記第3容器から前記混合器への流れを防止する機構を有することを特徴とする請求項1に記載の薬液混合装置。
【請求項11】
前記混合器から前記第1容器への流れを防止する機構を有することを特徴とする請求項1に記載の薬液混合装置。
【請求項12】
前記混合器から前記第2容器への流れを防止する機構を有することを特徴とする請求項1に記載の薬液混合装置。
【請求項13】
前記第1薬液が造影剤であり、前記第2薬液が生理食塩水である、請求項1に記載の薬液混合装置。
【請求項14】
前記第1薬液が第1の濃度の造影剤であり、前記第2薬液が第1の濃度とは異なる第2の濃度の造影剤である、請求項1に記載の薬液混合装置。
【請求項15】
請求項2に記載の薬液混合装置と、
前記シリンジが装着されたヘッドと、
前記ヘッドに接続されたコントローラーと、
前記第3容器に接続され、患者に薬液を注入するための混合液注入路とを有することを特徴とする薬液注入システム。
【請求項16】
第1薬液を収容する第1容器と、
第2薬液を収容する第2容器と、
前記第1容器及び前記第2容器と接続され、前記第1薬液と前記第2薬液を混合する第1混合器と、
前記第1混合器と接続された第1シリンジと、
第3薬液を収容する第2シリンジと、
前記第1シリンジ及び前記第2シリンジに接続された第2混合器と、
前記第1シリンジ及び前記第2シリンジの駆動を制御するコントローラーと、
を有する薬液注入システムであって、
前記第2混合器は、
旋回流を生成するための旋回流生成室と、
前記第1シリンジと接続し、前記旋回流の中心軸と平行な方向で前記第1混合液を前記旋回流生成室に導入するための第1流入口と、
前記第2シリンジと接続し、前記第1混合液の比重より小さい比重を有する前記第3薬液の旋回流が前記旋回流生成室において生成されるように、前記第3薬液を前記旋回流生成室に導入するための第2流入口と、
前記第3流路と接続し、前記第1混合液と前記第3薬液との第2混合液が流出する流出口と、
前記旋回流生成室と前記流出口との間に設けられ、前記流出口に向かって連続的に狭窄している空間を有する狭窄室とを備え、
前記コントローラーは、前記第1シリンジの内部を前記第1混合器の内部に対して負圧にすることにより、前記第1容器から前記第1薬液を、前記第2容器から前記第2薬液を前記第1混合器に同時に流入させて混合し、混合した第1混合液を前記第1シリンジに導入し、前記第1シリンジから前記第1混合液及び前記第2シリンジから前記第3薬液を前記第2混合器に流出させて混合し、混合した前記第2混合液を前記流出口から流出させることを特徴とする薬液注入システム。
【請求項17】
前記第1薬液は造影剤であり、前記第2薬液及び前記第3薬液は生理食塩水であることを特徴とする請求項16に記載の薬液注入システム。
【請求項18】
第1薬液を収容する第1容器と、第2薬液を収容する第2容器と、前記第1容器及び前記第2容器と接続され、前記第1薬液と前記第2薬液を混合する混合器と、前記混合器と接続された第3容器とを有する薬液混合装置における薬液の混合方法であって、
前記第3容器の内部を前記混合器の内部に対して負圧にすることにより、前記第1容器から前記第1薬液を、前記第2容器から前記第2薬液を、前記混合器に同時に流入させて混合し、混合した混合液を前記第3容器に導入することを特徴とする薬液の混合方法。
【請求項19】
前記混合器において、前記第2薬液の旋回流を生成し、前記旋回流の中心軸と平行な方向に前記第1薬液を導入し、流出口に向かって連続的に狭窄している空間内に前記第1薬液と前記第2薬液とを案内することにより、前記第1薬液と前記第2薬液とを衝突させ、
前記第1薬液と前記第2薬液との混合薬液を前記流出口から流出させ、前記第3容器に案内することを特徴とする請求項18に記載の薬液の混合方法。
【請求項20】
前記第1薬液が造影剤であり、前記第2薬液が生理食塩水である、請求項18又は19に記載の薬液の混合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二種類の薬液を混合する薬液混合装置、混合された薬液を注入する薬液注入システム、及び薬液の混合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、医療用の透視撮像装置として、CT(Computed Tomography)スキャナ、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、PET(Positron Emission Tomography)装置、超音波診断装置、CTアンギオ装置、MRアンギオ装置、血管撮影装置等の装置がある。これらの装置を使用するときは、鮮明な画像を得ること等を目的として、比重や粘度の異なる複数種類の薬液の混合液が患者の体内に注入される。例えば、造影剤を生理食塩水で希釈した混合液を注入するときには、造影剤と生理食塩水の二種類の薬液が混合された後に、混合液が患者の体内に注入される。
【0003】
特許文献1には、造影剤の容器及び生理食塩水の容器が流路を切換えるコックを介してシリンジと接続され、シリンジに挿入されたプランジャ及び流路開閉手段を操作して、造影剤と生理食塩水を順次シリンジに導入し、混合液が作られることが記載されている。シリンジにおいて混合された造影剤及び生理食塩水の混合液が流路開閉手段を介して吐出口から、患者の血管に穿刺された留置針を介して患者に注入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示された装置を用いて混合液を作り、患者に注入する場合は、造影剤及び生理食塩水があまり混合されずに注入されてしまう虞がある。つまり、造影剤と生理食塩水の比重及び粘度が異なるため、比重の大きい造影剤の層と比重の小さい生理食塩水の層とが二層に分離してしまう虞がある。
【0006】
その結果、比重の大きい薬液の層と比重の小さい薬液の層とが接する面内、すなわち二次元平面内で二種類の薬液が平面的に混合されることになる。しかし、粘度が大きい造影剤と粘度が小さい生理食塩水とは混ざりにくいため、造影剤及び生理食塩水が二層に分離した状態のまま注入される虞がある。なお、以下本明細書では、上記平面的な混合を二次元的混合という。
【0007】
このように二層に分離した状態で薬液が注入されると、注入された造影剤の濃度が場所によって異なってしまう。その結果、透視撮像装置で撮影した画像にむらが生じてしまう虞がある。こうした画像のむらは、病変部の特定を困難にする虞があり、また血管を鮮明に写らなくする虞がある。
【0008】
この問題を解決するためには、予め造影剤及び生理食塩水を混合させておくという方法が考えられる。しかし、注入される造影剤の量は患者毎に異なるので、予め混合する方法では、撮影の度に造影剤及び生理食塩水の混合作業を独立して行う必要がある。さらに、造影剤及び生理食塩水を混合させる際に混合薬液が汚染されてしまう可能性もある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記問題を解決するために、本発明に係る薬液混合装置は、第1薬液を収容する第1容器と、第2薬液を収容する第2容器と、前記第1容器と第1流路を介して接続され、前記第2容器と第2流路を介して接続され、前記第1薬液と前記第2薬液を混合する混合器と、前記混合器と第3流路を介して接続された第3容器とを有し、前記第3容器の内部を前記混合器の内部に対して負圧にすることにより、前記第1容器から前記第1薬液を、前記第2容器から前記第2薬液を、前記混合器に同時に流入させて混合し、混合した混合液を前記第3容器に導入することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る薬液注入システムは、本発明に係る上記薬液混合装置と、前記シリンジが装着されたヘッドと、前記ヘッドに接続されたコントローラーと、前記第3容器に接続され、患者に薬液を注入するための混合液注入路とを有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る薬液の混合方法は、第1薬液を収容する第1容器と、第2薬液を収容する第2容器と、前記第1容器及び前記第2容器と接続され、前記第1薬液と前記第2薬液を混合する混合器と、前記混合器と接続された第3容器とを有する薬液混合装置における薬液の混合方法であって、前記第3容器の内部を前記混合器の内部に対して負圧にすることにより、前記第1容器から前記第1薬液を、前記第2容器から前記第2薬液を、前記混合器に同時に流入させて混合し、混合した混合液を前記第3容器に導入することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、混合作業を別途独立した作業として行うことなく、注入時において複数種類の薬液を所望する濃度で均一に効率よく混合することができる。そのため、透視撮像装置で撮影した画像のむらの発生を防止できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1実施例に係る薬液注入システムの斜視図である。
【
図2】第1実施例に係る薬液注入システムのミキシングチューブとシリンジを接続したヘッドの斜視図である。
【
図6】チューブを接続した混合器の長手方向断面の模式図である。
【
図10】混合器内での流れを説明するための長手方向断面での概念図である。
【
図11】混合器内での流れを説明するための
図10のXI-XI断面での概略図である。
【
図12】第1実施形態に係る混合器の長手方向断面の模式図である。
【
図13】第2実施形態に係る混合器の長手方向断面の模式図である。
【
図14】第3実施形態に係る混合器の長手方向断面の模式図である。
【
図15】第4実施形態に係る混合器の長手方向断面の模式図である。
【
図16】第2実施例に係る薬液注入システムの斜視図である。
【
図17】第2実施例に係る薬液注入システムのミキシングチューブとシリンジを接続したヘッドの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る薬液混合装置、薬液注入システム及び薬液の混合方法を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は本願の特許請求の範囲に係る構成を限定するものではない。本実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが必須とは限らず、複数が任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては本実施形態に係る装置を容易に理解できるようにするために実際とは異なる縮尺で描かれており、同一もしくは同様の構成については同一の参照番号を付し、重複した説明を省略する。
【実施例0015】
図1は、本発明の第1の実施例に係る薬液注入システム100の斜視図を示す。この薬液注入システム100は、患者に造影剤等の薬液を注入するための薬液注入装置200(インジェクター)と、薬液注入装置200に装着されたシリンジ201と、シリンジ201に接続されたミキシングチューブ300とを備えている。また、透視撮像装置(不図示)が、薬液注入システム100のメインユニット212に接続され、薬液の注入時及び画像の撮影時には透視撮像装置と薬液注入システム100との間で各種データが送受信される。
【0016】
薬液注入装置200は、シリンジ201が装着されるヘッド210と、このヘッド210にヘッドケーブル211を介して接続されたメインユニット212とを備えている。このメインユニット212は、電源ケーブル218を介して不図示の電源に接続される。なお、
図1では、シリンジ201はシリンジ保護ケース内に収容した状態で示されている。
【0017】
シリンジ201には造影剤と生理食塩水とが混合した混合液が充填される。シリンジ(第3容器)201は、造影剤(第1薬液)403を収容する第1容器401と生理食塩水(第2薬液)404を収容する第2容器402と混合器1を介して接続されている。第1容器401の造影剤403と第2容器402の生理食塩水404は、シリンジ201に吸引される際に混合器1で混合され、混合液としてシリンジ201に導入される。詳細は後述する。
【0018】
造影剤403の具体例としては、ヨード濃度240mg/mLの造影剤(例えば、37℃において粘度3.3mPa・s、比重1.268~1.296)、ヨード濃度300mg/mLの造影剤(例えば、37℃において粘度6.1mPa・s、比重1.335~1.371)、ヨード濃度350mg/mLの造影剤(例えば、37℃において粘度10.6mPa・s、比重1.392~1.433)等がある。また、生理食塩水404の具体例としては、生理食塩水20mL中に塩化ナトリウム180mgを含有した生理食塩水(例えば、20℃において粘度0.9595mPa・s、比重1.004~1.006)等がある。
【0019】
ヘッド210は、床面に置かれた可動式のスタンドベース216上のスタンドポール217の上部に回動自在に保持されている。これにより、ヘッド210の先端側(シリンジ201が装着される側)を床面に向ける姿勢と、ヘッド210の後端側(シリンジ201が装着されない側)を床面に向ける姿勢とにヘッド210を回動できる。
【0020】
コンソール213は、タッチパネルを備えると共に、ケーブルを介してハンドスイッチ214に接続されている。また、コンソール213は、コントローラーとして機能し、コンソールケーブル215を介してメインユニット212に接続されていると共に、当該メインユニット212及びケーブル215,211を介してヘッド210に接続されている。そして、メインユニット212は、ヘッドケーブル211を介してヘッド210に接続されている。患者に薬液を注入する場合は、オペレータがタッチパネルを操作して、注入速度、注入量、注入時間、体重などの患者の身体的データ、及び薬液の種類のデータ等を入力する。
【0021】
また、コンソール213には、動作パターン(注入プロトコル)のデータ、及び薬液のデータ等が予め記憶されている。そして、コンソール213は、入力されたデータと予め記憶されているデータに応じて、最適な注入条件を算出する。その後、コンソール213は、算出された注入条件に基づいて、患者に注入する薬液の量及び注入プロトコルを決定する。
【0022】
コンソール213は、薬液の量及び注入プロトコルを決定すると、所定のデータ又はグラフなどをタッチパネルに表示させる。オペレータは表示されたデータ又はグラフなどを確認し、注入は注入ヘッドやハンドスイッチやコンソールのスタートボタン(物理ボタンやタッチパネル含む)により開始させることができる。なお、ハンドスイッチ214のボタンを押して注入が開始された場合、ハンドスイッチ214のボタンを押している間だけ注入が行われるようにしてもよい。
【0023】
図2は、薬液注入システム100の薬液注入装置200のヘッド210と、ミキシングチューブ300の斜視図を示す。ヘッド210に装着されたシリンジ201は、先端に導管部202、203を有している。なお、
図2では、シリンジ201は、シリンジ保護ケース内に収容した状態で示されている。
【0024】
導管部202は、可撓性チューブ(混合液注入路)105、不図示の分岐管及びカテーテルハブ104等を介して、カテーテル103と連通する。
【0025】
導管部203は、可撓性チューブ106を介して、ミキシングチューブ300に接続されている。ミキシングチューブ300は、造影剤403を収容する第1容器401及び生理食塩水404を収容する第2容器402に接続されている。
【0026】
図3は、ミキシングチューブ300の斜視図を示す。このミキシングチューブ300は、混合器1と、第1チューブ(第1流路)301と、第2チューブ(第2流路)302と、第3チューブ(第3流路)303を備えている。第1チューブ301は第1容器401と混合器1を接続し、第2チューブ302は第2容器402と混合器1を接続し、第3チューブ303は可撓性チューブ106と混合器1を接続する。そして、第1チューブ301を比重の大きな薬液(造影剤、第1薬液)が通過し、第2チューブ302を比重の小さな薬液(生理食塩水、第2薬液)が通過し、第3チューブ303を混合された薬液(第1混合液)が通過する。なお、本実施例では、第1チューブ301、第2チューブ302及び第3チューブ303は可撓性のチューブである。しかし、これらのチューブを剛性のチューブとしてもよい。
【0027】
第1チューブ301は、造影剤403を収容する第1容器401に接続される第1接続部304を有している。また、第2チューブ302は、生理食塩水404を収容する第2容器402に接続される第2接続部305を有している。さらに、第3チューブ303は、可撓性チューブ106に接続される第3接続部306を有している。なお、第1接続部304、第2接続部305及び第3接続部306は、螺合接続又は接合等の方法によって接続される。
【0028】
なお、シリンジ201の導管部203は可撓性チューブ106を介してミキシングチューブ300に接続されている構成を例示したが、本発明はこの構成に限定されることはない。シリンジ201の導管部203は、直接ミキシングチューブ300の第3接続部306に接続される構成としてもよい。シリンジ201の導管部203と、ミキシングチューブ300の第3接続部306との接続は、例えば、螺合接続等の方法による着脱可能な構成としてもよいし、接合等での固定接続された構成としてもよい。
【0029】
また、第1チューブ301又は第2チューブ302には、逆止弁を設けることができる。逆止弁を設けることで、混合薬液等が第1容器401及び第2容器402側に逆流することを防止できる。また、逆止弁は第3チューブ303に設けるようにしてもよい。
【0030】
シリンジ201は、シリンダと、シリンダ内で摺動するシール部材(不図示)と、シール部材に連結され、シール部材を移動操作するプランジャ(不図示)とを有する。そして、プランジャが取り付けられた状態で、シリンジ201がシリンジ保護ケースに固定されている。このシリンジ保護ケースは、シリンジクランパーによってヘッド210に固定されている。
【0031】
さらに、ヘッド210には、シリンジプレッサー(不図示)が設けられている。このシリンジプレッサーは、シリンジ201に取り付けられたプランジャの係止部と係合し、当該プランジャをシリンジに対して出し入れさせるように動作する。なお、薬液吸引時には、シリンジ201の先端の導管部203に接続された可撓性チューブ106及び混合器1を介して、第1容器401から造影剤403と第2容器402から生理食塩水404をシリンジ201に充填する。この際、シリンジプレッサーは、シリンジ201の軸線方向において、シリンジ先端部までプランジャを前進させ、その後シリンジ後端部まで後退させる。
【0032】
プランジャの動作によりシリンジ201内が負圧にされることにより、造影剤及び生理食塩水は吸引されて、ミキシングチューブ300の混合器1に流入し、この混合器1内にて混合される。その後、造影剤及び生理食塩水の混合薬液は、第3チューブ303、可撓性チューブ106を介してシリンジ201内に流入する。
【0033】
薬液注入時には、シリンジ201の先端の導管部202に、可撓性チューブ105を取り付け、不図示の分岐管及びカテーテルハブ104等を介して、カテーテル103と連通させる。そして、シリンジプレッサーは、シリンジ201の軸線方向にプランジャを前進させる。これにより、シリンジ201内の混合液が押し出され、カテーテル103を介して患者の血管内に薬液が注入される。
【0034】
なお、ミキシングチューブ300には、シリンジ201側から、第1容器401側、第2容器402側への流れを防止するための、例えば逆止弁のような、逆流防止機構が備えられている。この逆流防止機構により、プランジャの動作によりシリンジ201内が加圧状態になっても、シリンジ201内の混合液が第1容器401や第2容器402、或いは混合器1へ流入することはない。
【0035】
なお、シリンジ201の導管部203には、シリンジ201から、ミキシングチューブ300側への流れを防止するための、例えば逆止弁のような、逆流防止機構が備えられていてもよい。この逆流防止機構により、プランジャの動作によりシリンジ201内が加圧状態になっても、シリンジ201内の混合液がミキシングチューブ300側へ流入することはない。
【0036】
また、シリンジ201の先端の導管部202、又は/及び、可撓性チューブ105には、シリンジ201側への流れを防止するための、例えば逆止弁のような、逆流防止機構が備えられていてもよい。この逆流防止機構により、プランジャの動作によりシリンジ201内が負圧状態になっても、シリンジ201の先端の導管部202に取り付けられた可撓性チューブ105側からシリンジ201への流れが発生することはない。すなわち、造影剤と生理食塩水をシリンジ201内へ吸引して混合する場合に、カテーテル103側からエア、薬液、患者の血液等がシリンジ201内へ吸引されて流入することを防止できる。
【0037】
なお、薬液の注入前には、エア抜きを目的としたプライミングが行われる。このプライミングにはいくつかの方法があり、ミキシングチューブ300内が生理食塩水、造影剤のいずれかの薬液、又は混合液で満たされる。具体的には、プランジャの動作によりシリンジ201内を負圧にして、第1容器401から造影剤403を、第2容器402から生理食塩水404を吸引する。これにより、第1チューブ301は造影剤で満たされ、第2チューブ302は生理食塩水で満たされ、混合器1及び第3チューブ303は生理食塩水及び造影剤の混合液で満たされる。
【0038】
さらに、プランジャの後進動作を継続してシリンジ201内を負圧にすると、第3チューブ303を介して混合液がシリンジ201内に流入する。これによりミキシングチューブ300内の流路全体が薬液で満たされ、エアが抜かれた状態となる。
【0039】
続いて、ヘッド210の後端側(シリンジ201が装着されない側)を床面に向ける姿勢にするようにヘッド210を回動させる。この姿勢において、プランジャを動作させてシリンジ201内を加圧する。シリンジ201の先端側の上部には、シリンジ201内の空気が集まっているので、その位置に備えらえているガス抜き流路(不図示)やシリンジ201の先端の導管部から可撓性チューブ105を通してシリンジ201内の空気はシリンジ201外へ排出される。例えば、このようにして、エア抜きを目的としたプライミングが行われる。
【0040】
混合器1として、T字状の継手、Y字状の継手、又は、静止型混合器(スタティックミキサー)などの混合器を用いることができる。本実施例の薬液混合装置では、後述するスパイラルフローによって薬液の混合を実現する混合器を適用する。
【0041】
図4及び
図5は、本発明に係る混合器1の斜視図を示す。
図4は、第1チューブ301、第2チューブ302及び第3チューブ303が接続された混合器1を示し、
図5は、これらのチューブが接続されていない混合器1を示す。
【0042】
本実施例の混合器1は、旋回流を生成する旋回流生成室2である第1室と、旋回流を軸方向に集中させる狭窄室3である第2室とを備えている。本実施例の旋回流生成室2は、円筒状の外形と円柱状の内部空間とを有する。また、本実施例の狭窄室3は、漏斗状の外形と、旋回流生成室2の内部空間と共軸な円錐状の内部空間とを有する。
【0043】
なお、旋回流生成室2の円筒状外形の軸に垂直な断面での内面の形状は、円、楕円、その他の曲線から形成される種々の形状が考えられる。また、旋回流生成室2は、狭窄室3に近づくにつれて内径が小さくなる狭窄形状とするように構成してもよい。この場合は、旋回流生成室2の内面と狭窄室3の内面とを、旋回流生成室2が有する円錐状空間の対称軸に対して、同じ傾きで接続する面で構成することができる。さらに、旋回流生成室2の対称軸に対する狭窄室3の内面の傾きが、旋回流生成室2の対称軸に対する旋回流生成室2の内面の傾きよりも大きくなるように、旋回流生成室2の狭窄形状を構成することができる。
【0044】
図5には、混合薬液の流れ方向Aが矢印で示されている。そして、旋回流生成室2の中央から流れ方向Aの上流側の位置には、第1チューブ301に接続される円筒状の第1導管部4が流れ方向Aに沿って延在するように設けられている。同じく旋回流生成室2の中央から上流側の位置には、第2チューブ302に接続される円筒状の第2導管部5も設けられている。さらに、狭窄室3の中央から流れ方向Aの下流側の位置には、第3チューブ303に接続される円筒状の第3導管部6が設けられている。
【0045】
比重の大きい薬液が流入する第1導管部4は、旋回流生成室2の第1流入口14(
図7)と連通する。そのため、第1導管部4は、流れ方向Aの上流側において、旋回流生成室2の前方の外側端面11Aの中央に設けられている。また、混合薬液が流出する第3導管部6は、この第3導管部6の中心線と第1導管部4の中心線とが一致するように、すなわち両者が共軸となるように、流出口16の端部に設けられている。
【0046】
他方、比重の小さい薬液が流入する第2導管部5は、旋回流生成室2の第2流入口15と連通する。そのため、第2導管部5は、旋回流生成室2の外部の湾曲した側面に設けられ、断面円形である旋回流生成室2の円周の接線方向に延在する。つまり、本実施例の第2導管部5は、旋回流生成室2が有する円柱状空間の中心軸線から旋回流生成室2の周縁側にずれた位置に設けられている。これにより、第2導管部5から流入した比重の小さい薬液の旋回流が生成される。
【0047】
本実施例では、第1導管部4から造影剤が流入し、第2導管部5から生理食塩水が流入する。そして、旋回流生成室2及び狭窄室3において、造影剤と生理食塩水とが混合される。その後、造影剤及び生理食塩水の混合薬液は、第3導管部6から流出する。
【0048】
なお、旋回流生成室2内において渦を発生させる限りにおいては、第2導管部5から狭窄室3までに適当な容積が形成されるような寸法であればよい。そのため、第2導管部5から狭窄室3までに十分な容積があれば、旋回流生成室2の中央付近に第2導管部5を設けても良い。ただし、この場合であっても、第2導管部5は旋回流生成室2の側面に設けられ、旋回流生成室2の円周の接線方向に延在する。
【0049】
図6及び
図7は、本発明に係る混合器1の長手方向の断面の模式図を示す。具体的には、
図6及び
図7は、第1導管部4、旋回流生成室2、狭窄室3及び第3導管部6の中心線を含み、第2導管部5の軸方向に平行な断面の模式図である。また、この中心線上の断面には表れない部分も便宜的に点線で示されている。なお、
図6は、第1チューブ301、第2チューブ302及び第3チューブ303が接続された混合器1を示し、
図7は、これらのチューブが接続されていない混合器1を示す。
【0050】
旋回流生成室2は、円柱状の空間を形成する円筒形状の内面である湾曲した内面17を有する。そして、第2流入口15は、第2流入口15の軸が旋回流生成室2の軸と垂直となるように構成され、第2流入口15の流路を形成する円筒と旋回流生成室2の湾曲した円筒形状の内面17が、共通の接平面を有するように構成されている。これにより、第2流入口15から流入した薬液が旋回流を発生させる。また、狭窄室3は、旋回流生成室2と流出口16との間に設けられ、流出口16に向かって連続的に狭められている狭窄形状を有する。さらに、狭窄室3は、漏斗状の空間を形成するように流出口16に向かって傾斜した内面18を有すると共に、旋回流生成室2に連通する。これにより、発生した旋回流が、渦の中心軸方向に集中することになる。
【0051】
また、造影剤が流入する第1導管部4は、第1流入口14を介して旋回流生成室2と連通している。これにより、第1流入口を通過した比重の大きい薬液を、比重の小さい薬液の旋回流の中心軸と平行な方向で旋回流生成室2に導入することができる。つまり、比重の大きい薬液は、旋回流生成室2が有する円柱状空間の中心軸線と平行な方向に導入される。また、生理食塩水が流入する第2導管部5は、第2流入口15を介して旋回流生成室2と連通している。これにより、旋回流が旋回流生成室2において生成されるように、生理食塩水を旋回流生成室2に導入することができる。
【0052】
また、第2導管部5は、旋回流生成室2の中心軸線と垂直な方向に延在している。さらに、旋回流生成室2は、図中点線で示された境界Cにおいて狭窄室3の大径側開口12に連通している。また、狭窄室3は、小径側開口13を介して流出口16に連通している。なお、本実施例では、第2導管部5が旋回流生成室2の対称軸に垂直な平面内に延在している。しかし、第2導管部5を旋回流生成室2の対称軸に垂直な平面に対して傾いて延在させることもできる。
【0053】
本実施例では、第1流入口14の中心線、旋回流生成室2の中心軸線、狭窄室3の中心軸線、及び流出口16の中心線が、いずれも図中の点線で示された直線B(混合器1の中心線)と重なる。このように各構成部分が共軸を有するように配置することにより、混合器1内において発生する渦の等方性を高めることができる。つまり、渦を空間内で淀みなく均一に発生させ,混合効率を向上させることができる。
【0054】
第1チューブ301は、第1導管部4の内側に形成された第1受け部21内に接合されている。また、第3チューブ303は、第3導管部6の内側に形成された第3受け部23内に接合されている。なお、第1チューブ301及び第3チューブ303は、第1受け部21及び第3受け部23に螺合接続されてもよい。
【0055】
ところで、比重の小さい薬液の流速が遅い場合、注入開始時に混合器1内に停滞し且つ残存する比重の大きい薬液に流れが衝突することにより、旋回流の慣性力が減衰する虞がある。そして、慣性力が減衰すると、旋回強度が不足してしまい、短時間で渦を発生させることができない。又は、発生した渦を、渦の流速が十分に速くなるまで成長させるのに長時間を必要としてしまう。そのため、薬液の混合効率が低下してしまう。
【0056】
そこで、本実施例においては、図中点線で示された第2流入口15の内径を、第1流入口14の内径よりも狭くしている。つまり、比重の小さい薬液が流入する第2流入口15は、比重の大きい薬液が流入する第1流入口14よりも狭い。具体的には、第2流入口15の内径は、第1流入口14の内径の3分の2~3分の1程度の大きさで形成されている。例えば、第1流入口14の内径が1.5mmの場合、第2流入口15の内径は1mm~0.5mmである。
【0057】
これにより、所定の圧力で薬液を注入する場合、断面積が小さい第2流入口15から流入する比重の小さい薬液の流速は、断面積が大きい第1流入口14から流入する比重の大きい薬液の流速よりも速くなる。ただし、本発明は比重が小さい薬液の流速を比重が大きい薬液の流速よりも速くする構成に限られず、両者の流速を同じ速さとすることもできる。この場合は、例えば、第2流入口15の内径が第1流入口14の内径と同じ大きさとなる。
【0058】
なお、本実施例では、旋回流生成室2の内径及び狭窄室3の大径側開口12の内径は7.5mmであり、狭窄室3の小径側開口13及び流出口16の内径は1.5mmである。また、狭窄室3の傾斜した内面18は、狭窄室3の中心軸線に対して15°傾いている。さらに、
図7に矢印で示した旋回流生成室2の中心軸線に平行な流れ方向Aにおいて、旋回流生成室2の長さは7.5mmであり、狭窄室3の長さは11.2mmである。
【0059】
なお、これらの寸法は一例であり、本発明に係る混合器1の寸法がこれらに限定されるものではない。例えば、狭窄室3の傾斜した内面18は、狭窄室3の内部空間が流出口16に近づくにつれて軸対称の形態で狭められるように構成されていれば良い。また、旋回流生成室2と狭窄室3との境界Cにおける角度の変化は、なだらかであることがより好ましい。これは、角度変化が大きい部分、すなわち角があると、その部分で抵抗力が発生してしまうからである。
【0060】
本実施例の薬液混合注入装置では、シリンジ201内を負圧にすることによって、第1容器401及び第2容器402から混合器1に薬液が流入する。そのため、混合器1に流入する第1容器401及び第2容器402それぞれの薬液の流量は、第1流入口14の径、第2流入口15の径、第1流入口14の前後の圧力差、第2流入口15の前後の圧力差、温度、それぞれの薬液の粘度等によって決まる。一定の濃度分布の混合薬液として二液を混合するためには、第1容器401及び第2容器402からの薬液の流量バランスを一定に維持することが必要である。そのため、第1容器401及び第2容器402からの薬液の流量バランスを一定に維持できるように、温度、それぞれの薬液の粘度、適用するシリンジ201内の負圧のレベル等を考慮して、第1流入口14、第2流入口15が設計される。第1流入口14、第2流入口15の設計に関わるパラメータとしては、開口径、オリフィス部の流れ方向を含む断面の形状などが含まれる。
【0061】
また、第1流入口14、第2流入口15の設計に加えて、第1チューブ301及び第2チューブ302の少なくともいずれかに薬液の流路の開口面積を調整する機構(流量調整機構)を有するようにしてもよい。
図1~3に記載した例では、生理食塩水404の流路である第2チューブ302に流量調整機構307を配置する例を示した。
【0062】
本発明の構成によると、混合器1に造影剤403と生理食塩水404を流入させて両液を混合し、混合液(混合薬液)としてシリンジ201内に導入するために、シリンジ201内に挿入されているプランジャの動作がヘッド210により制御される。従って、造影剤403と生理食塩水404がそれぞれシリンジに準備されて、2つのシリンジのプランジャの駆動を同調制御する方法に対して、本発明の混合方法はより簡易な制御で効率的に薬液を混合することができる。
【0063】
また、本発明に係る混合器1の内面には、親水化処理を施すことができる。親水化処理を施すことにより、エア抜きを行う際に、混合器1内面に気泡が付着することを防止できる。この親水化処理の方法としては、プラズマ処理、オゾン処理、コロナ放電処理、グロー放電処理及び紫外線照射処理等がある。なお、親水化処理を施す場合は、旋回流生成室2の湾曲した内面17、旋回流生成室2の前方の内側端面11B、又は狭窄室3の傾斜した内面18の少なくとも一面に処理が施される。
【0064】
図8及び
図9は、旋回流生成室2の中心軸線Dに垂直で、第2導管部5の軸を含む断面での模式図を示す。なお、
図8は、第2チューブ302が接続された混合器1を示し、
図9は、第2チューブ302が接続されていない混合器1を示す。
【0065】
生理食塩水が流入する第2チューブ302は、第2導管部5の内側に形成された第2受け部22内に接合されている。また、第2導管部5は、旋回流生成室2の軸に垂直な断面内での内周円の接線に平行に延在する。そして、第2導管部5は、旋回流生成室2の外周の湾曲した側面から連続するように設けられている。そのため、第2流入口15は、旋回流生成室2の湾曲した内面17の形状に沿って湾曲した形状で開口している。なお、第2チューブ302は、第2受け部22に螺合接続されてもよい。
【0066】
図10及び
図11を参照して、本発明に係る混合器1内に発生する旋回流を利用した混合を説明する。なお、以下本明細書では、混合器1内に発生する旋回流による混合の工程をスパイラルフローという。
図10及び
図11では、比重が大きい薬液である造影剤の流れが実線の矢印で示されており、比重が小さい薬液である生理食塩水の流れが点線の矢印で示されている。
図11の点線の円は、旋回流生成室2の中心軸線Dの位置を模式的に示す。
【0067】
第1容器401から第1チューブ301を介して混合器1に流入する造影剤は、内径が小さい第1流入口14から旋回流生成室2に流入すると、矢印Eで示す噴流となる。そして、噴流の運動量は、矢印Fで示すように旋回流生成室2の外周方向に拡散される。すなわち、造影剤の流れは、旋回流生成室2の外周方向に拡散される流れとなる。
【0068】
一方、第2容器402から第2チューブ302を介して混合器1に流入する生理食塩水は、第2流入口15から旋回流生成室2の湾曲した内面17に案内され、矢印Gで示すように湾曲した内面17に沿って旋回する旋回流となる。そして、生理食塩水の旋回流は、狭窄室3に導かれて旋回流の中心軸方向に集中する(軸中心化)。このような渦はランキン渦として知られ、旋回流のもつ慣性力を渦の回転軸の近傍に集中させることができる。
【0069】
図10で示すように、旋回流生成室2において、造影剤の噴流は生理食塩水の旋回流に衝突する。そして、旋回流は、噴流を周囲から巻き込むように、旋回運動を形成しはじめる。その後、狭窄室3に向かうにつれて、旋回流の旋回強度のピークは、旋回流生成室2の外周側から混合器1の中心軸に近接するように遷移する。そして、このように旋回強度がフォーカスされた旋回流の渦中心に、噴流が誘導され巻き込まれる。
【0070】
これにより、高粘度流体である造影剤に強い回転力が加わるため、遠心力が発生する。その結果、造影剤が、旋回流生成室2の外周方向へ飛散する。この流れ構造は、注入過程で連続的に構成され、結果として混合器1内の流れ場全体を乱流化させる。その後、造影剤と生理食塩水の混合薬液の流れは、狭窄室3で整流化される。そして、整流化された混合薬液は、流出口16から第3チューブ303へと流出する。
【0071】
つまり、造影剤と生理食塩水との混合薬液が、流出口16に向かって連続的に狭窄している狭窄室3内に案内されることにより、ベクトルの異なる二つの流体が積極的に衝突する。これにより、造影剤を渦の中心に巻き込み、旋回流生成室2の外周方向へ連続的に飛散させることができる。その結果、流れ場全体が乱流化され、造影剤と生理食塩水が効率的に混合される。
【0072】
このように、生理食塩水の旋回流の回転軸と平行な方向に造影剤の噴流を導入することにより、旋回流と噴流は積極的に衝突する。これにより、比重が大きく高粘度の流体である造影剤を乱流化させ、混合器1内の三次元方向で効率的に混合させることができる。その結果、二次元的混合と比較して、混合効率が著しく向上する。なお、以下本明細書では、このような立体的な混合を三次元混合という。
【0073】
また、少量の造影剤と生理食塩水であっても、数十ミリ秒で渦を発生させることができる。そのため、本発明の混合器1を用いたスパイラルフローによれば、僅かな時間で造影剤と生理食塩水を混合させることが可能となると共に、少量の造影剤と生理食塩水を確実に混合させることができる。その結果、画像のむらの発生を防止できるという効果を奏する。
【0074】
さらに、本発明の混合器1によれば、造影剤と生理食塩水の合計流量が0.6~10mL/secという広範な条件において、T字状の継手よりも高い混合効率を発揮できる。また、造影剤の流量が生理食塩水の流量よりも多い条件、例えば造影剤の流量が生理食塩水の4倍である場合でも、高い混合効率を発揮できる。
【0075】
本発明に係る混合器1を用いたスパイラルフローの場合は、三次元混合によって、数十ミリ秒で造影剤と生理食塩水がほぼ完全に混合される。そのため、流出口16から流れ出る混合薬液は二層に分離していない。
【0076】
本発明の薬液混合装置を用いることによって、高効率で薬液を混合することができる。
【0077】
続いて
図12を参照して、本発明の第1実施形態を説明する。なお、上記実施例と同一の構成要素には、同じ参照番号を用い説明は省略する。
【0078】
図7の実施例においては、旋回流生成室2の湾曲した内面17と第1流入口14側の内側端面11Bとが角部30を構成している。そして、このような角部には気泡が付着しやすい。また、角部での角度変化が大きい場合は、抵抗も大きくなる。そこで、
図12の第1実施形態においては、旋回流生成室2の湾曲した内面17と、第1流入口14側の内側端面11Bとの間にテーパ部31が形成されている。これにより、旋回流生成室2の内面に気泡が付着しにくくなると共に、抵抗を小さくすることができる。
【0079】
図13を参照して、本発明の第2実施形態を説明する。なお、上記実施例と同一の構成要素には、同じ参照番号を用い説明は省略する。
【0080】
図7の実施例においては、旋回流生成室2と狭窄室3の境界Cに角部32が存在する。そこで、第2実施形態においては、狭窄室3の内面が流線形状を構成し、旋回流生成室2と狭窄室3の境界部分になだらかな曲面33が設けられている。さらに、旋回流生成室2の湾曲した内面17と、第1流入口14側の内側端面11Bとの間の境界に湾曲部34が形成されている。これにより、気泡が付着しにくくなると共に、抵抗が小さくなる。
図13の第2実施形態では、混合器1の外部における旋回流生成室2と狭窄室3の境界もなだらかな曲面で形成されている。しかし、旋回流生成室2と狭窄室3の外部の境界は、上記実施例と同様に角部で構成してもよい。
【0081】
図14を参照して、本発明の第3実施形態を説明する。なお、上記実施例と同一の構成要素には、同じ参照番号を用い説明は省略する。
【0082】
図7の実施例においては、狭窄室3が漏斗状の外形を有しており、旋回流生成室2が円筒状の外形を有している。しかし、このように外形が異なる場合、混合器1を金型で製造する際に、複雑な形状の金型を用意する必要があり製造コストが高くなる。また、母材を削って混合器1を製造する場合は、母材の削り量が多くなり製造時間が長くなる。
【0083】
そこで、
図14の第3実施形態においては、旋回流生成室2の外部の湾曲した側面を狭窄室3と第3導管部6まで延在させている。すなわち、旋回流生成室2、狭窄室3及び第3導管部6が共通の湾曲した側面35を有しており、旋回流生成室2、狭窄室3及び第3導管部6が円筒状の外形を構成している。これにより、金型で製造する場合は、金型の形状を簡素化することができる。また、母材を削って製造する場合は、削り量を少なくすることができる。
【0084】
なお、本発明に係るミキシングチューブ300には、第1チューブ301、第2チューブ302、第3チューブ303又は混合器1の内部の気泡を検出する空気検出器として、光センサー、超音波センサー、静電容量センサー等が設けられてもよい。例えば、混合器1の外部に空気検出器を配置する場合は、混合器1の外面に、空気検出器を取り付けるための取り付け部を形成することができる。
【0085】
図15を参照して、本発明の第4実施形態を説明する。なお、上記実施例と同一の構成要素には、同じ参照番号を用い説明は省略する。
【0086】
図7の実施例においては、旋回流生成室2、狭窄室3、第1導管部4、第2導管部5及び第3導管部6が同一の部材により一体で構成されている。しかし、旋回流生成室2及び狭窄室3と比較して狭い内径を有する第1流入口14、第2流入口15及び流出口16は、旋回流生成室2及び狭窄室3よりも高い強度が要求される。そこで、
図15の第4実施形態においては、第1流入口14を有する第1導管部4、第2流入口15を有する第2導管部5、及び流出口16を有する第3導管部6を、旋回流生成室2及び狭窄室3とは別の部材36,37,38で構成している。
【0087】
すなわち、第1導管部4を別の部材36で構成し、第2導管部5を別の部材37で構成し、第3導管部6を別の部材38で構成している。これにより、第1導管部4、第2導管部5及び第3導管部6を、旋回流生成室2及び狭窄室3よりも高い強度の材料で形成することができる。なお、第1導管部4、第2導管部5及び第3導管部6と、旋回流生成室2及び狭窄室3とは、接合又は螺合接続等の方法で接続することができる。
【0088】
なお、本発明の範囲内において、混合器1には種々の変形を加えることができる。例えば、流出する混合薬液に対する抵抗を小さくするために、流出口16の内径を第1流入口14よりも大きくすることもできる。さらに、十分な容積を確保するために、旋回流生成室2の中心軸線に沿った方向における旋回流生成室2の長さを、狭窄室3の長さよりも長くすることができる。
【0089】
また、上記実施例では、造影剤と生理食塩水の二種類の薬液を混合させる場合について説明した。しかし、二種類の薬液の一方を第1容器401に充填される第1の濃度の造影剤とし、二種類の薬液の他方を第2容器402に充填され第1の濃度とは異なる第2の濃度の造影剤としてもよい。その場合、第1の濃度の造影剤の比重及び粘度は、第2の濃度の造影剤の比重及び粘度よりも大きい。
また、第1シリンジ201及び第2シリンジ205には、いずれも不図示のプランジャが取り付けられている。そして、プランジャが取り付けられた状態で、第1シリンジ201及び第2シリンジ205がシリンジ保護ケースに固定されている。このシリンジ保護ケースは、シリンジクランパーによってヘッド260に固定されている。
さらに、ヘッド260には、二つのシリンジプレッサー(不図示)が設けられている。このシリンジプレッサーは、第1シリンジ201及び第2シリンジ205に取り付けられたプランジャの係止部と係合し、当該プランジャをそれぞれのシリンジに対して出し入れさせるように動作する。なお、第1シリンジ201への薬液吸引は、実施例1で説明したように行われるのでここでの説明は省略する。
第2シリンジ205への薬液吸引は、先端の導管部206に充填用の吸引チューブ(不図示)を取り付け、この吸引チューブを介して薬液バッグから薬液(ここでは生理食塩水)を充填する。この際、シリンジプレッサーは、第2シリンジ205の軸線方向において、シリンジ先端部までプランジャを前進させ、その後シリンジ後端部まで後退させる。
薬液注入時には、第1シリンジ201及び第2シリンジ205の先端の導管部202、206にミキシングチューブ310を取り付ける。そして、それぞれのシリンジプレッサーは、第1シリンジ201及び第2シリンジ205の軸線方向にそれぞれのプランジャを前進させる。これにより、第1シリンジ201内の造影剤と生理食塩水の混合液、及び第2シリンジ205内の生理食塩水が押し出される。なお、二つのシリンジプレッサーは、別々に駆動することもできるし、同時に駆動することもできる。
押し出された混合液及び生理食塩水は、ミキシングチューブ310の混合器(第2混合器)110に流入し、この混合器110にて混合される。その後、混合器110にて混合された混合薬液及び生理食塩水の混合薬液(第2混合液)は、カテーテル103を介して患者の血管内に注入される。
なお、薬液の注入前には、エア抜きを目的としたプライミングが行われる。このプライミングにはいくつかの方法があり、ミキシングチューブ310内が造影剤と生理食塩水の混合液、又は、生理食塩水のいずれかの薬液で満たされる。具体的には、まず第1シリンジ201から混合液を押し出し、混合器110までの第4チューブ111を混合液で満たす。
次いで、第2シリンジ205から生理食塩水を押し出して、第5チューブ112、混合器110、第6チューブ113、及び、第6チューブ113からカテーテル103までを生理食塩水で満たす。これによりミキシングチューブ310、及びミキシングチューブ310からカテーテル103までの薬液の回路全体が薬液で満たされ、エアが抜かれた状態となる。
また、まず第1シリンジ201から混合液を押し出し、次いで第2シリンジ205から生理食塩水を押し出した後に、第1シリンジ201及び第2シリンジ205から同時に薬液を押し出す方法もある。さらに、まず第2シリンジ205から生理食塩水を押し出し、次いで第1シリンジ201から混合液を押し出して薬液の回路全体を薬液で満たす方法がある。
これらの方法に加えて、まず第2シリンジ205から生理食塩水を押し出し、次いで第1シリンジ201から混合液を押し出した後に、第1シリンジ201及び第2シリンジ205から同時に薬液を押し出す方法もある。その他に、初めから第1シリンジ201及び第2シリンジ205から同時に薬液を押し出して、薬液の回路全体を薬液で満たす方法もある。
なお、ミキシングチューブ300には、実施例1と同様に、第1シリンジ201側から、第1容器401側、第2容器402側への流れを防止するための、例えば逆止弁のような、逆流防止機構が備えられている。この逆流防止機構により、プランジャの動作により第1シリンジ201内が加圧状態になっても、第1シリンジ201内の混合液が第1容器401や第2容器402、或いは混合器1へ流入することはない。
なお、第1シリンジ201の導管部203には、第1シリンジ201から、ミキシングチューブ300側への流れを防止するための、例えば逆止弁のような、逆流防止機構が備えられていてもよい。この逆流防止機構により、プランジャの動作により第1シリンジ201内が加圧状態になっても、第1シリンジ201内の混合液がミキシングチューブ300側へ流入することはない。
また、第1シリンジ201の先端の導管部202、第2シリンジ205の先端の導管部206、ミキシングチューブ310には、第1シリンジ201側及び第2シリンジ205側への流れを防止するための、例えば逆止弁のような、逆流防止機構が備えられていてもよい。なお、第2シリンジ205の逆流防止機構(逆止弁)については、第2シリンジ205への吸引時には取り外され(機能せず)、第2シリンジ205への吸引後に取り付けられる(機能する)構成であれば良い。
この逆流防止機構により、プランジャの動作により第1シリンジ201内、第2シリンジ205内が負圧状態になっても、ミキシングチューブ310側から第1シリンジ201側、第2シリンジ205側への流れが発生することはない。すなわち、造影剤と生理食塩水を第1シリンジ201内へ吸引して混合する場合に、カテーテル103やミキシングチューブ310側からエア、薬液、患者の血液等が第1シリンジ201、第2シリンジ205内へ吸引されて流入することを防止できる。
なお、第1シリンジ201の導管部203は可撓性チューブ106を介してミキシングチューブ300に接続されている構成を例示したが、本発明はこの構成に限定されることはない。第1シリンジ201の導管部203は、直接ミキシングチューブ300の第3接続部306に接続される構成としてもよい。第1シリンジ201の導管部203と、ミキシングチューブ300の第3接続部306との接続は、例えば、螺合接続等の方法による着脱可能な構成としてもよいし、接合等での固定接続された構成としてもよい。
このように、混合器110における混合薬液の流れ方向Aを重力方向に向けることにより、混合器110内の混合薬液の系の軸対称性が増す。そのため、混合する薬液の比重の影響が大きい場合であっても、効果的な薬液の混合が達成される。すなわち、混合する薬液の比重差が大きい場合、又は混合する薬液の慣性力が小さい(旋回速度が低い)ために相対的に比重の影響が強くなる場合であっても、効果的な薬液の混合が達成される。
このように混合器110を配置する構成としては、混合器110を重力方向と平行に、薬液注入装置250へ固定する構成が考えられる。また、薬液注入装置250と患者との間に中継台を配置すると共に、混合器110を重力方向と平行に中継台上で固定する構成が考えられる。さらに、第4チューブ111及び第5チューブ112を床面に向かって折れ曲がる形状の剛性のチューブとし、混合器110を重力方向と平行に保持する構成が考えられる。これらの他、ミキシングチューブ310が薬液注入装置250から床面に向かって垂れ下がるように、第4チューブ111及び第5チューブ112を十分に長くし、混合器110を重力方向と平行に保持する構成も考えられる。
実施例2の構成においては、患者に注入される前に、薬液は必ずミキシングチューブ310のスパイラルフローによる混合器110において高効率で混合されることになる。
実施例2の薬液注入システム101の構成によると、2つのプランジャ装置の駆動制御により、混合器1及び混合器110による2段階で造影剤を生理食塩水で希釈混合することができる。すなわち、1段階の混合プロセスで、より高効率に、かつ、より簡易な構成で薬液を混合し、均一に混合された混合薬液を得ることができるという効果を奏する。
また、患者毎に異なる造影剤の量(濃度)に対して、注入直前に造影剤及び生理食塩水の適切な混合と注入を独立して行うことなく、連続して実施することができる。そのため、予め混合することによる混合薬液が汚染されてしまう懸念を低減させることができる。
上記した実施例2では、混合器1で造影剤と生理食塩水を混合して第1の混合薬液を作り、混合器110で第1の混合薬液と生理食塩水を混合して第2の混合薬液を作って、第2の混合薬液を患者に注入する構成を例示した。しかし、本発明はその構成に限定されることはない。混合器1で造影剤(第1薬液)と生理食塩水(第2薬液)を混合して第1の混合薬液を作り、混合器110で第1の混合薬液と生理食塩水ではない第3薬液とを混合して第3の混合薬液を作って、第3の混合薬液を患者に注入する構成としてもよい。これにより、連続的に異なる薬液を混合して患者に注入可能とすることにより、混合順序に制約のある薬液の混合であっても、汚染されることなく実施することができるという効果を奏する。
実施例2では、第2シリンジ205には生理食塩水等(第3薬液)が充填されている構成を示したが、第2シリンジ205に対しても、第1シリンジ201と同様の混合薬液の吸引・混合を可能とする構成を適用してもよい。この構成により、オンサイトで最大4種の薬液を連続的に混合した上での注入を可能とし、薬液混合の自由度を高めるという効果を奏することができる。この場合の第2シリンジ205の逆流防止機構については、第1シリンジ201の逆流防止機構と同様に、常時取り付けられた(機能する)構成とすることができる。
実施例2では、混合薬液が充填される第1シリンジ201と生理食塩水が充填される第2シリンジ205を含む2つのシリンジの薬液注入装置において、第1シリンジ201の系統に吸引型薬液混合機構を導入した構成を例示した。しかし、本発明はこれに限定されることはなく、3つ以上のシリンジを含む薬液(混合)注入装置に適用してもよい。すなわち、3つ以上のシリンジを含む薬液(混合)注入装置において、1つ以上のシリンジの系統それぞれ導入する混合薬液に対して本発明の吸引型薬液混合機構を適用してもよい。
上述の実施例及び各実施形態によって本発明を説明したが、本発明は上述の実施例及び各実施形態の構成に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載された発明の範囲内における、本発明の構成要素の変形、及び本発明の構成要素と均等な構成も、本発明に含まれる。また、上述の実施例及び各実施形態は、本発明の内容を実質的に変更しない範囲で、適宜組み合わせることができる。