(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024141
(43)【公開日】2024-02-22
(54)【発明の名称】飲料供給装置
(51)【国際特許分類】
A47J 31/36 20060101AFI20240215BHJP
G07F 13/06 20060101ALI20240215BHJP
【FI】
A47J31/36 119
A47J31/36 132
G07F13/06 103
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022126747
(22)【出願日】2022-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】722012006
【氏名又は名称】サンデン・リテールシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【弁理士】
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(72)【発明者】
【氏名】鳥海 孝洋
(72)【発明者】
【氏名】海老原 由次
(72)【発明者】
【氏名】石井 勉
(72)【発明者】
【氏名】角田 貴也
【テーマコード(参考)】
3E047
4B104
【Fターム(参考)】
3E047AA03
3E047BA01
3E047EC05
3E047ED02
3E047ED03
3E047FA01
4B104AA16
4B104BA34
4B104BA64
4B104CA07
4B104CA10
4B104DA17
4B104DA45
4B104EA16
4B104EA17
(57)【要約】
【課題】フィルタ上面に堆積した原料の目詰りとフィルタの目詰りを抑制しつつ大容量の飲料を確実に供給することができる、飲料供給装置を提供する。
【解決手段】飲料供給装置1は、抽出容器4と、フィルタFと、ドリップパン5と、ドリップパン5に受け入れられた飲料を吸引し吸引した飲料を吐出してカップCへ供給するポンプ7と、ドリップパン5及びフィルタFを介してエアを抽出容器4に供給するエア供給部8と、飲料供給路L2を通じて流れる飲料の流速又は飲料の流量を計測する計測器10と、ポンプ7及びエア供給部8の動作を制御する制御部11と、を含み、制御部11は、ポンプ7からの飲料吐出開始からカップCへの飲料供給完了までの間において、エア供給部8を作動させてフィルタFをフラッシングするフラッシング運転を、計測器10による計測値に応じて実行するように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水及び原料を受け入れ、受け入れた水及び原料を用いて飲料を抽出する抽出容器と、
前記抽出容器において抽出された飲料を濾過するフィルタと、
前記フィルタを通過した飲料を受け入れるドリップパンと、
前記ドリップパンに接続された飲料供給路に設けられ、前記ドリップパンに受け入れられた飲料を吸引し、吸引した飲料を吐出してカップへ供給するポンプと、
を含む、飲料供給装置であって、
前記ドリップパン及び前記フィルタを介してエアを前記抽出容器に供給するエア供給部と、
前記飲料供給路を通じて流れる飲料の流速又は飲料の流量を計測する計測器と、
前記ポンプ及び前記エア供給部の動作を制御する制御部と、
を含み、
前記制御部は、前記ポンプからの飲料吐出開始から前記カップへの飲料供給完了までの間において、前記エア供給部を作動させて前記フィルタをフラッシングするフラッシング運転を、前記計測器による計測値に応じて実行するように構成されている、
飲料供給装置。
【請求項2】
水及び原料を受け入れ、受け入れた水及び原料を用いて飲料を抽出する抽出容器と、
前記抽出容器において抽出された飲料を濾過するフィルタと、
前記フィルタを通過した飲料を受け入れるドリップパンと、
前記ドリップパンに接続された飲料供給路に設けられ、前記ドリップパンに受け入れられた飲料を吸引し、吸引した飲料を吐出してカップへ供給するポンプと、
を含む、飲料供給装置であって、
前記ドリップパン及び前記フィルタを介してエアを前記抽出容器に供給するエア供給部と、
前記飲料供給路のうちの前記ポンプよりもドリップ側に位置する上流側飲料供給路内の圧力を計測する計測器と、
前記ポンプ及び前記エア供給部の動作を制御する制御部と、
を含み、
前記制御部は、前記ポンプからの飲料吐出開始から前記カップへの飲料供給完了までの間において、前記エア供給部を作動させて前記フィルタをフラッシングするフラッシング運転を、前記計測器による計測値に応じて実行するように構成されている、
飲料供給装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記計測器による流速計測値が所定の流速閾値より小さくなる又は前記計測器による流量計測値が所定の第1流量閾値より小さくなるという条件、及び、前記流速計測値に基づいて演算される流量演算値の累積又は前記流量計測値の累積である積算流量値が所定の第1積算流量閾値より大きくなるという条件のうちの少なくとも一方が満たされると、前記フラッシング運転を開始させる、請求項1に記載の飲料供給装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記ポンプによる前記カップへの飲料の供給運転中において、前記流量演算値又は前記流量計測値が前記第1流量閾値より小さい所定の第2流量閾値より小さくなるという条件、及び、前記積算流量値が前記第1積算流量閾値より大きい所定の第2積算流量閾値より大きくなるという条件のうちの少なくとも一方が満たされると、前記ポンプによる前記カップへの飲料の供給運転を終了させる、請求項3に記載の飲料供給装置。
【請求項5】
前記ポンプは、前記飲料の供給流量を可変に構成されており、
前記制御部は、前記ポンプによる前記カップへの飲料の供給運転中において、前記流量演算値又は前記流量計測値が前記第1流量閾値より小さく且つ前記第2流量閾値より大きい所定の第3流量閾値より小さくなるという条件、及び、前記積算流量値が前記第1積算流量閾値より大きく且つ前記第2積算流量閾値より小さい第3積算流量閾値より大きくなるという条件のうちの少なくとも一方が満たされると、前記ポンプの前記供給流量を、直前の供給流量よりも低下させるように構成される、請求項4に記載の飲料供給装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記フラッシング運転において、連続して又は断続的に、前記エア供給部を作動させる、請求項1又は2に記載の飲料供給装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記フラッシング運転の完了後に、残りの飲料についての前記ポンプによる前記カップへの飲料の供給運転を再開させ、再開させた前記供給運転中に、前記計測値に応じて、再び前記フラッシング運転を開始させる、請求項1又は2に記載の飲料供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料を抽出してカップに提供する飲料供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、コーヒー豆を粉砕することで得られたコーヒー粉末(挽き豆ともいう)や緑茶などの茶葉を原料として用い、この原料と水とを抽出容器に供給して飲料を抽出し、この飲料をカップに供給する飲料供給装置が知られている。このような飲料抽出タイプの飲料供給装置として、特許文献1に開示された飲料供給装置が知られている。特許文献1の飲料供給装置では、抽出容器の下端部には、フィルタを介してドリップパンが配置され、ドリップパンに接続された飲料供給路には、ポンプが設けられている。抽出容器の内部で抽出された飲料はフィルタによって濾過されつつドリップパンで受け入れられ、ドリップパンに受け入れられた飲料はポンプによって吸引されて飲料供給路を介してカップに吐出される。そして、特許文献1の飲料供給装置では、標準的な1杯分の容量よりも多い大容量の飲料の提供を、利用者の選択によって行えるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、飲料抽出タイプの飲料供給装置では、飲料をカップに供給する際に、ポンプが飲料を吸引し続けると、コーヒー粉末などの原料の大半が抽出容器においてフィルタの上面に層状に堆積する。その結果、必要な容量の飲料の供給が完了する前に、フィルタ上面に堆積した原料の目詰りとフィルタの目詰りが徐々に発生し、飲料の吸引に要する時間が目詰りに起因して長くなるおそれがある。このような目詰りは大容量の飲料を供給する際に顕著に発生するおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、このような実状に鑑み、フィルタ上面に堆積した原料の目詰りとフィルタの目詰りを抑制しつつ、大容量の飲料を確実に供給することができる、飲料供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため本発明の一態様によると、水及び原料を受け入れ、受け入れた水及び原料を用いて飲料を抽出する抽出容器と、前記抽出容器において抽出された飲料を濾過するフィルタと、前記フィルタを通過した飲料を受け入れるドリップパンと、前記ドリップパンに接続された飲料供給路に設けられ、前記ドリップパンに受け入れられた飲料を吸引し、吸引した飲料を吐出してカップへ供給するポンプと、を含む、飲料供給装置が提供される。この飲料供給装置は、前記ドリップパン及び前記フィルタを介してエアを前記抽出容器に供給するエア供給部と、前記飲料供給路を通じて流れる飲料の流速又は飲料の流量を計測する計測器と、前記ポンプ及び前記エア供給部の動作を制御する制御部と、を含み、前記制御部は、前記ポンプからの飲料吐出開始から前記カップへの飲料供給完了までの間において、前記エア供給部を作動させて前記フィルタをフラッシングするフラッシング運転を、前記計測器による計測値に応じて実行するように構成されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、フィルタ上面に堆積した原料の目詰りとフィルタの目詰りを抑制しつつ、大容量の飲料を確実に供給することができる、飲料供給装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る飲料供給装置の概略図である。
【
図2】フィルタ送り中の飲料供給装置の概略図である。
【
図3】標準(レギュラー)サイズのカップに飲料を供給する場合における飲料供給装置の動作の一例を説明するタイミングチャートである。
【
図4】大(ラージ)サイズのカップに飲料を供給する場合における飲料供給装置の動作の一例を説明するタイミングチャートである。
【
図10】別の変形例に係る飲料供給装置の概略図である。
【
図11】飲料供給装置における飲料供給路における圧力変動の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
図1及び
図2は、本発明の一実施形態に係る飲料供給装置1の概略図である。飲料供給装置1は、例えば、コーヒー豆を粉砕することで得られるコーヒー粉末を原料とし、この原料と水を用いてレギュラーコーヒーを抽出し、抽出したレギュラーコーヒー(コーヒー飲料)をカップCに入れて提供する、カップ式のコーヒーサーバーに組み込まれている。
【0010】
本実施形態では、飲料供給装置1は、標準的な1杯分の標準容量(例えば150ml)のコーヒー飲料の供給と、標準容量よりも多い大容量(例えば300ml)のコーヒー飲料の供給と、を選択的に行えるように構成されている。例えば、標準容量のコーヒー飲料は標準サイズのカップCに供給され、大容量のコーヒー飲料は標準サイズより大きいラージサイズのカップCに供給される。飲料供給装置1の図示しない装置本体の正面には、利用者がカップCのサイズを選択するための選択スイッチ1aと、カップCが載置されるカップステーションSが設けられている。選択スイッチ1aは、利用者による選択結果に応じたサイズ識別信号を出力する。例えば、カップCはコーヒーサーバーの隣に設けられるカップストック棚に置かれており、利用者は選択スイッチ1aを操作して好みのカップサイズ(換言すると、好みの飲料の容量)を選択すると共に、好みのサイズのカップCをカップストック棚から取り出してカップステーションSに置く。なお、これに限らず、飲料供給装置1は、サイズ識別信号に応じたサイズのカップCをカップステーションSに載置するカップ自動搬送部を有してもよい。
【0011】
飲料供給装置1は、原料を供給する原料供給部2と、水(本実施形態では、湯水)を供給する水供給部3と、原料及び水(湯水)を受け入れる円筒状の抽出容器4と、抽出容器4の下方にフィルタFを介在させて配置されたドリップパン5と、フィルタFのフィルタ送り機構6と、ポンプ7と、エア供給部8と、バッファ部9と、計測器10と、制御部11と、を含む。
【0012】
原料供給部2は、コーヒー豆を収容するキャニスタ21を有している。キャニスタ21の下方には、原料モータ22によって駆動されることで、キャニスタ21から所定容量のコーヒー豆を繰り出す繰り出し機構23が設けられている。繰り出し機構23の下方には、繰り出し機構23によってキャニスタ21から繰り出されたコーヒー豆を粉末状に粉砕して抽出容器4に供給する、モータ駆動式のミル24が配置されている。したがって、原料供給部2は、原料モータ22及びミル24が駆動されることで、原料としてのコーヒー粉末を抽出容器4に供給することができる。
【0013】
水供給部3は、所定温度の湯水(抽出湯とも言う)を沸かして貯蔵するタンク31を有している。タンク31の下部には、湯水の供給を制御するための給湯電磁弁32を介して、湯水を抽出容器4に供給する湯水供給路L1が接続されている。湯水供給路L1の先端部には、抽出容器4の上方においてその内部に向かって開口する複数の開口部(図示せず)が形成された抽出湯ノズル33が接続されている。したがって、水供給部3は、給湯電磁弁32が開弁されることで、タンク31に貯蔵されている湯水を抽出容器4に供給することができる。
【0014】
抽出容器4は、原料供給部2から供給されたコーヒー粉末、及び水供給部3から供給された湯水を受け入れて、受け入れた湯水及びコーヒー粉末を用いてコーヒー飲料を抽出する。抽出容器4は、例えば、一定の直径を有する円筒状に形成されている。抽出容器4の上端部は上方に向けて開口しており、この開口を介して水供給部3の抽出湯ノズル33から供給された湯水を受け入れ可能になっている。また、抽出容器4の下端部は下方に向けて開口している。抽出容器4の下端部とドリップパン5の上端部との間には、抽出容器4において抽出されたコーヒー飲料を濾過するフィルタFが挟まれている。ここで、フィルタFは、例えば、帯状の紙、不織布や合成繊維などで形成することができる。
【0015】
抽出容器4の内容積は、標準サイズのカップCへのコーヒー飲料の供給容量に応じて定められている。具体的には、抽出容器4に、標準容量のコーヒー飲料を供給するために必要な第1容量(例えば、150ml)の湯水と、大容量のコーヒー飲料を供給するために必要な所定容量(例えば、20g)のコーヒー粉末とが投入されても、これらの混合液が抽出容器4から溢れ出ないようになっている。
【0016】
ドリップパン5は、フィルタFを通過したコーヒー飲料を受け入れる、上方に向けて開口する凹形状の容器である。この開口は、抽出容器4の下端部の開口に倣った形状をなしている。また、ドリップパン5は、図示しないドリップパン移動機構によって、
図1及び
図2に両矢印で示す上下方向に移動可能に構成されている。ドリップパン5の上端部は、フィルタFを介在させた状態で、抽出容器4の下端部に対して圧接されている。また、ドリップパン5の上端部には、環状のシール部材5a(パッキン)が取り付けられている。そして、ドリップパン5の上面には、フィルタFを支持しつつコーヒー飲料を通過させる、金網などのメッシュ部材からなるフィルタ受部(図示せず)が配置されている。ドリップパン5の下部に形成された飲料吸引ポート5bには、コーヒー飲料をドリップパン5からカップCまで搬送(供給)する、シリコンチューブなどの可撓性チューブからなる飲料供給路L2が接続されている。なお、ドリップパン移動機構によってドリップパン5を移動させる代わりに、図示しない移動機構によって抽出容器4を上下方向に移動させるように構成されてもよい。
【0017】
フィルタ送り機構6は、ロール状に巻き回されたフィルタFを長手方向に送り出す装置である。具体的には、抽出容器4及びドリップパン5の一側方(図示の例では左方)には、未使用のフィルタFが巻き回されたロールR1と、ロールR1から引き出されたフィルタFをガイドするガイドローラR2と、がそれぞれ配置されている。また、抽出容器4及びドリップパン5の他側方(図示の例では右方)には、フィルタFの送り出し方向(図示の例では時計回り方向)に回転してフィルタFを送り出すモータ駆動式の送り出しローラR3と、送り出しローラR3に向けてフィルタFを押圧する押圧ローラR4と、がそれぞれ配置されている。送り出しローラR3の下方には、送り出しローラR3によって送り出された使用済みのフィルタFを回収する回収ボックスBが配置されている。ここで、抽出容器4とドリップパン5との間に挟持されたフィルタFは、
図2に示すように、ドリップパン移動機構によってドリップパン5が下方に移動された後、送り出しローラR3によって送り出される。
【0018】
ポンプ7は、ドリップパン5に接続された飲料供給路L2の途中に設けられている。ポンプ7は、ドリップパン5に受け入れられたコーヒー飲料を吸引し、吸引したコーヒー飲料を吐出して飲料供給路L2を通じてカップCへ供給する。ポンプ7は、ドリップパン5の内部の圧力を減圧させることで抽出容器4の内部のコーヒー飲料のドリップパン5へのドリップを促進させ、ドリップパン5に受け入れられたコーヒー飲料を吸引してカップCに吐出(供給)する。
【0019】
より具体的には、ポンプ7は、チューブポンプからなる。ポンプ7は、中心にポンプ軸7aが挿通された環状のポンプケーシング7bを有する。ポンプケーシング7bの内部には、ポンプ軸7aに取り付けられた回転盤7cが回転可能に配置されている。また、ポンプケーシング7bの内壁と回転盤7cとの間には、飲料供給路L2の一部を構成するチューブが挿通されている。回転盤7cの外周であって、互いに周方向に等間隔に離間した複数位置(図示の例では3箇所)には、チューブを押圧するチューブローラ7dがそれぞれ配置されている。ポンプ7では、図示しないポンプモータによって回転盤7cが回転すると、各チューブローラ7dがチューブを押しつぶして閉塞しながら、その閉塞部分をチューブの長手方向に移動させる。したがって、ポンプ7は、互いに隣接する2つのチューブローラ7dの間でチューブ内に閉じ込められたコーヒー飲料又は空気を送り出すポンプ作用を発揮するチューブポンプからなる。回転盤7cを回転させるポンプモータは回転方向を正回転方向Rと逆回転方向Lとに切り替え可能に構成されている。
【0020】
ポンプ7は、正回転方向Rで作動することでドリップパン5に受け入れられたコーヒー飲料を吸引すると共に、吸引したコーヒー飲料を吐出してカップCに供給する。正回転方向Rとはドリップパン5の内部を負圧状態にする回転方向であり、逆回転方向Lとはドリップパン5の内部を加圧状態にする回転方向である。
【0021】
エア供給部8は、ドリップパン5及びフィルタFを介してエアを抽出容器4に供給する(噴出させる)。本実施形態において、上述のチューブポンプからなるポンプ7は、正回転時に抽出容器4(ドリップパン5)のコーヒー飲料を吸引してカップCに吐出(供給)する運転と、逆回転時にドリップパン5にエアを供給し、ドリップパン5及びフィルタFを介して抽出容器4にエアを供給する運転とに選択的に切替えて運転可能に構成されている。したがって、ポンプ7は、逆回転方向Lで作動することで、ドリップパン5及びフィルタFを介してエアを抽出容器4に供給するエア供給部8としても機能することができる。つまり、本実施形態では、エア供給部8は、ポンプ7を逆回転方向Lで作動させることで実現されており、ポンプ7はエア供給部8としての機能も有している。
【0022】
バッファ部9は、飲料供給路L2の下流の端部に接続され、コーヒー飲料を所定量受け入れるバッファとして機能する。バッファ部9は、下方に向けて開口する有底円筒形をなし、上方に位置する大径部91と、大径部91の下方に位置する小径部92と、が一体化された部材である。大径部91の側面には、円筒状の内周面の接線方向からコーヒー飲料が流入する流入口が形成され、ここに飲料供給路L2の下流の端部が接続されている。また、小径部92は、下方に向かうにつれて縮径する漏斗状に形成され、その下端面に下方に向けて開口する飲料吐出口が形成されている。したがって、バッファ部9に流入されたコーヒー飲料は、その内周面に沿って旋回しながら下方へと流れ、その飲料吐出口からカップCへと吐出される。また、本実施形態では、エア供給部8(逆回転方向Lで作動しているポンプ7)は、バッファ部9の飲料吐出口からエアを取り込み(吸引し)、取り込んだ(吸引した)エアを、飲料供給路L2を通じてドリップパン5に導く(吐出する)。
【0023】
本実施形態では、計測器10は、飲料供給路L2を通じて流れるコーヒー飲料の流量、即ち、ドリップパン5からカップCへと供給されるコーヒー飲料についての単位時間当たりの量(さらに言うと、例えば、体積流量)を計測し、その計測結果(計測値)に応じた計測信号を出力する流量計である。計測器10は、飲料供給路L2のうちのポンプ7よりもドリップパン5側に位置する上流側飲料供給路L2aに配置されている。計測器10による流量の計測値である流量計測値を示す計測信号は、例えば、所定のサンプリング時間間隔で制御部11に入力される。なお、飲料供給装置1が待機状態(初期状態)にあるとき、飲料供給路L2には、コーヒー飲料などの液体は残存しておらず、エアが充満しているだけである。
【0024】
制御部11は、ポンプ7及びエア供給部8の動作を含む装置全体の動作を制御する電子デバイスであって、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサ、不揮発性メモリ、揮発性メモリ、入出力回路などを内蔵したマイクロコンピュータから構成されている。具体的には、制御部11のプロセッサは、不揮発性メモリに格納されたアプリケーションプログラムを実行することで、計測器10の計測信号を含む各種の信号に応じて、原料供給部2の原料モータ22及びミル24、水供給部3の給湯電磁弁32、フィルタ送り機構6の送り出しローラR3、ポンプ7(エア供給部8)の動作をそれぞれ電子制御する。
【0025】
本実施形態では、制御部11は、標準容量のコーヒー飲料についての供給動作の制御と大容量のコーヒー飲料についての供給動作の制御とを、選択スイッチ1aのサイズ識別信号に基づいて選択的に実行する。制御部11は、大容量のコーヒー飲料についての供給動作の制御では、抽出容器4への大容量のコーヒー飲料の抽出に応じた所定容量のコーヒー粉末と標準容量のコーヒー飲料の抽出に応じた第1容量の湯水の供給後、ポンプ7によるコーヒー飲料の吐出中に、抽出容器4に不足容量分の第2容量の水を補給させ、ラージサイズのカップCのカップ容量に応じた大容量のコーヒー飲料をカップCに吐出させて供給させる制御を実行するように構成されている。本実施形態において、第1容量は標準サイズのカップCへコーヒー飲料を供給するために必要な容量(例えば、150ml)に設定され、第2容量はラージサイズのカップCへのコーヒー飲料を提供するために必要な容量(例えば、300ml)から第1容量を差し引いた不足分の容量(例えば、150ml)に設定されている。つまり、制御部11は、選択されたカップCのカップ容量(カップサイズ)に応じた所定の飲料供給容量の飲料を供給させる制御を実行するように構成されている。
【0026】
具体的には、制御部11には、標準容量のコーヒー飲料の抽出に必要な所定容量(例えば、10g)のコーヒー粉末が原料供給部2から抽出容器4に供給されるのに必要な時間と、大容量のコーヒー飲料の抽出に必要な所定容量(例えば、20g)のコーヒー粉末が原料供給部2から抽出容器4に供給されるのに必要な時間とがそれぞれ予め設定されている。また、制御部11には、上記第1容量の湯水が水供給部3から抽出容器4に供給されるのに要する時間と、上記第2容量の湯水が水供給部3から抽出容器4に供給されるのに要する時間とがそれぞれ予め設定されている。
【0027】
ところで、コーヒー飲料をカップCに供給する際に、ポンプ7がコーヒー飲料を吸引すると共に吸引したコーヒー飲料を吐出し続けると、コーヒー粉末の大半は抽出容器4の内部においてフィルタFの上面に層状に堆積する。したがって、例えば、大容量のコーヒー飲料の供給が完了する前に、フィルタFの上面に堆積したコーヒー粉末(原料)の目詰りとフィルタFの目詰りが徐々に発生し得る。具体的には、コーヒー粉末の粒度は均一ではなくばらついているため、例えば、抽出湯が抽出容器4内のコーヒー粉末に注がれると、コーヒー粉末のうちの微粉末が比較的に大粒な粉末同士の間の隙間に抽出湯と一緒に通過して粉末層の下方に移動するようになる。その結果、徐々に、コーヒー粉末のうちの比較的に大粒な粉末同士の間の隙間が微粉末によって埋められてしまい、フィルタFの上面に堆積したコーヒー粉末層自体に、目詰りが発生し得る。そして、フィルタFでは、繊維などの隙間がコーヒー粉末によって埋められてしまい、フィルタF自体に、目詰りが発生し得る。これらの目詰りが生じると、抽出湯や抽出飲料(コーヒー)がフィルタFの上面に堆積したコーヒー粉末の層やフィルタFを通過し難くなる。その結果、コーヒー飲料の吸引に要する時間が目詰りに起因して長くなるおそれがある。特に、大容量のコーヒー飲料の供給の際には、目詰りに起因して、飲料供給期間の終わり近くでの吸引効率の低下が顕著に出現し得る。飲料供給装置1の制御部11は、フィルタ上面に堆積する原料(コーヒー粉末)の目詰りとフィルタFの目詰りを抑制すべく以下の制御を実行する。
【0028】
制御部11は、上記目詰りを抑制すべく、ポンプ7からの飲料吐出開始からカップCへの飲料供給完了までの間において、エア供給部8を作動させてフィルタFをフラッシングするフラッシング運転を、計測器10による計測値(ここでは、流量計測値)に応じて実行するように構成されている。フィルタFがエアによりフラッシングされることで、フィルタFの目詰りが解消し、これと同時に、フィルタFを通過したエアがフィルタFの上面に目詰り状態で堆積し得るコーヒー粉末の層を崩すことで、コーヒー粉末の目詰りが解消する。換言すると、フラッシング運転は、フィルタFのフラッシングとフィルタFの上面に堆積した原料のフラッシングを行う。
【0029】
具体的には、ポンプ7が正回転方向R(負圧方向)で作動すると、ドリップパン5のコーヒー飲料は、飲料吸引ポート5b及び飲料供給路L2を通じて流れ、ドリップパン5からポンプ7までの飲料供給路L2の長さに応じた時間経過後にポンプ7に到達する。したがって、ポンプ7が正回転方向Rで作動した後、ドリップパン5のコーヒー飲料は、ポンプ7の作動開始からドリップパン5からポンプ7までの飲料供給路L2の長さに応じた時間経過後にポンプ7から吐出され始め、ポンプ7の作動開始から飲料供給路L2の全長に応じた時間経過後にカップC(本実施形態では、具体的には、バッファ部9)に吐出され始める。そして、ポンプ7からの飲料吐出開始からカップCへの飲料供給完了までの間において、エア供給部8の動作は制御部11によって制御される。
【0030】
本実施形態では、制御部11は、計測器10による流量計測値が所定の第1流量閾値V1(フラッシング開始閾値)を超えた後に第1流量閾値V1より小さくなるという条件が満たされると、フラッシング運転を開始させる。つまり、制御部11は、流量計測値が第1流量閾値V1を超えた後に、流量計測値が第1流量閾値V1より小さくなったか否かを判定する。流量計測値は、現在のフィルタFの上面に堆積した原料(コーヒー粉末)の目詰りの程度や現在のフィルタFの目詰りの程度(又は開孔程度)を示すと共に、飲料の流れの有無を示す値であるともいえる。例えば、原料の目詰りやフィルタFの目詰りが徐々に発生すると、ポンプ7が正常に作動していても、フィルタFを通過するコーヒー飲料の量が徐々に低下し得る。したがって、流量計測値は、ポンプ7の飲料吸引性能に応じた値まで上昇した後、目詰りの程度に応じて、低下し得る。第1流量閾値V1は、例えば、設定値(固定値)として、ポンプ7の飲料吸引性能に基づいて予め設定され、ポンプ7の最大吸引流量よりも若干低い値に設定されている(後述の
図5及び
図7参照)。
【0031】
なお、第1流量閾値V1は、予め設定された固定値に限らず、実際の運転時における流量計測値の傾向に応じて制御部11により演算される値であってもよい。具体的には、制御部11は、ポンプ7によるカップCへの飲料の供給運転中に、予め定まる時間長さの区間毎に計測器10からの複数の流量計測値に基づいて流量計測値の最大値(現在の最大流量値)を演算し続ける。そして、制御部11は、現在の最大流量値よりも低い流量値、例えば、最大流量値から予め定めた所定値だけ差し引いた値、又は、最大流量値から所定の減少率分(例えば、10%分)だけ差し引いた値を、第1流量閾値V1として定める。
【0032】
本実施形態では、計測器10による流量計測値は、ポンプ7によるカップCへのカップ容量に応じた所定の飲料供給容量のコーヒー飲料の供給運転(以下、適宜に、「飲料供給運転」という)が完了したか否かを判定するためにも用いられる。例えば、本実施形態では、制御部11は、飲料供給運転中において、流量計測値が第1流量閾値V1より小さい所定の第2流量閾値V2より小さくなるという条件が満たされると、所定の飲料供給容量の飲料供給運転が完了したと判定し、ポンプ7によるカップCへの飲料の供給運転を終了させる。つまり、制御部11は、流量計測値が第2流量閾値V2より小さいか否かも判定する。制御部11には、流量計測値の閾値として、飲料吐出開始後のフラッシング運転の開始の判定のための第1流量閾値V1(フラッシング開始閾値)と飲料供給完了の判定のための第2流量閾値V2(供給完了閾値)と、が設定されている。第2流量閾値V2は、第1流量閾値V1よりも十分に低い値に設定されている(例えば、後述の
図5及び
図7参照)。
【0033】
本実施形態では、制御部11は、フラッシング運転において、例えば、連続してエア供給部8を作動させる。本実施形態では、ポンプ7はエア供給部8を兼ねている。したがって、制御部11は、フラッシング運転を実行する場合には、飲料供給運転(ポンプ7によるカップCへのカップ容量に応じた所定の飲料供給容量のコーヒー飲料の供給運転)を中断し、フラッシング運転が完了した後に、ポンプ7を正回転方向Rで作動させることで、残りのコーヒー飲料についての飲料供給運転を再開させるように構成されている。
【0034】
以下、制御部11による飲料供給装置1の動作の制御について、利用者によって標準サイズのカップCが選択された場合と、ラージサイズのカップCが選択された場合とのそれぞれについて、詳述する。
【0035】
まず、標準サイズのカップCへコーヒー飲料を供給する場合(つまり、標準容量の飲料供給運転を実行する場合)の制御について、
図1~
図3を参照して説明する。
【0036】
図3は、利用者からのコーヒー飲料の供給指示があったことを契機として、制御部11がアプリケーションプログラムに従って実行する、飲料供給処理の一例のタイムチャートを示している。なお、
図3に示す例(標準容量の飲料供給運転)では、ポンプ7からの飲料吐出開始から飲料供給完了直前までの間において、第1流量閾値V1を一旦超えた流量計測値が第1流量閾値V1より小さくなることはなく、上述のフラッシング運転は実行されないものとする。
【0037】
待機時には、ドリップパン5は、
図2に示すように、下位置にあり、抽出容器4と離間した状態にある。ここで、利用者が選択スイッチ1aにより標準サイズのカップCを選択すると、サイズ識別信号が選択スイッチ1aから制御部11に入力され、制御部11は動作開始信号をドリップパン移動機構に出力してドリップパン5を上位置に移動させ、フィルタFをドリップパン5と抽出容器4との間に挟持させる。続いて、制御部11は、上記動作開始信号を、給湯電磁弁32、原料モータ22及びミル24に出力する。
【0038】
図3に示すように、制御部11からの動作開始信号により、給湯電磁弁32が開弁されると共に、原料モータ22、ミル24の駆動モータが起動(ON)される。これにより、タンク31の湯水が抽出容器4に注入されると同時に、キャニスタ21のコーヒー豆がミル24に供給されて粉砕され、粉砕されたコーヒー粉末が抽出容器4に投下される。そして、コーヒー粉末と湯水とが、抽出容器4のフィルタFの上で混合する。ここで、制御部11は、原料モータ22及びミル24の駆動モータに動作開始信号を出力した後、例えば、10gのコーヒー粉末の供給に要する予め設定された時間が経過した時に、原料モータ22及びミル24の駆動モータを停止(OFF)させる。これにより、適切な容量のコーヒー粉末が抽出容器4に供給される。一方、制御部11は、給湯電磁弁32を開弁させた後、第1容量の湯水の供給に要する予め設定された時間が経過した時に、給湯電磁弁32を閉弁させる。
【0039】
そして、制御部11は、給湯電磁弁32を閉弁させた時から所定時間経過後に、ポンプ7を逆回転方向Lで作動させ、ドリップパン5及びフィルタFを介してエアを抽出容器4に供給する混合運転を開始させる。具体的には、ポンプ7は、逆回転時には、バッファ部9の飲料吐出口からエアを取り込み、取り込んだエアをドリップパン5に向けて飲料供給路L2を通じて圧送し、ドリップパン5の内部の圧力を増圧させる。これにより、ドリップパン5の内部が加圧状態になり、ポンプ7は、ドリップパン5及びフィルタFを介してエアを抽出容器4の内部に供給することで、抽出容器4のコーヒー粉末と湯水とを撹拌混合させる。この混合運転により、コーヒー粉末と湯水との混合が促進され、コーヒー飲料の抽出が促進される。制御部11は、予め定めた時間T1の間、ポンプ7(エア供給部8)による混合運転を継続させ、この時間T1が経過した時に、ポンプ7を停止させて混合運転を停止させる。
【0040】
さらに、制御部11は、例えば、ポンプ7による上記混合運転を停止させた時から予め定めた時間T2経過したタイミングで、ポンプ7を正回転方向Rで作動させ、ポンプ7による飲料供給運転を開始させる。具体的には、ポンプ7は、正回転時には、ドリップパン5の内部の空気を吸い込んでドリップパン5の内部の圧力を減圧させる。これにより、ドリップパン5の内部が大気圧より低い負圧状態になり、抽出容器4の内部の混合液のうち、コーヒー粉末はフィルタFで捕獲され、コーヒー飲料のみがフィルタFで濾過されてドリップパン5にドリップされる。ドリップしたコーヒー飲料は、ポンプ7に吸い込まれ、ポンプ7から吐出され(飲料吐出開始)、バッファ部9へ圧送される。バッファ部9へ圧送されたコーヒー飲料は、バッファ部9から流出してカップCに注がれる。
【0041】
そして、計測器10による流量計測値を示す計測信号は、制御部11に所定のサンプリング時間間隔で入力されている。
図3に示す例では、ポンプ7からの飲料吐出開始から飲料供給完了直前までの間において、第1流量閾値V1を一旦超えた流量計測値は第1流量閾値V1よりも小さくならず、上述のフラッシング運転は実行されない。そして、制御部11は流量計測値に基づいてポンプ7を停止させ、標準サイズのカップCへのコーヒー飲料の供給を完了させ、標準容量の飲料供給運転が終了する。具体的には、抽出容器4により抽出されたコーヒー飲料の全量がポンプ7によって吸引されカップCに供給されると(飲料供給完了)、図示しないが、流量計測値は、例えば、急激に低下する(又はゼロになる)。その結果、図示しないが、流量計測値は、例えば、急激に(瞬時に)第2流量閾値V2より小さくなり、制御部11は、流量計測値が第2流量閾値V2より低いと判定し、ポンプ7を停止させる。制御部11はドリップパン移動機構によりドリップパン5を下位置に移動させる。これにより、飲料供給装置1は待機状態になる。
【0042】
次に、ラージサイズのカップCへコーヒー飲料を供給する場合(つまり、大容量の飲料供給運転を実行する場合)の制御について、
図4を参照して説明する。なお、標準容量の飲料供給運転を実行する場合の制御と同じ制御については説明を簡略化する。
【0043】
制御部11に選択スイッチ1aからサイズ識別信号が入力されると、制御部11はドリップパン移動機構によってドリップパン5を上位置に移動させ、フィルタFをドリップパン5と抽出容器4との間に挟持させる。続いて、制御部11は動作開始信号を給湯電磁弁32、原料モータ22及びミル24に出力する。これにより、
図4に示すように、給湯電磁弁32が開弁すると共に、原料モータ22、ミル24の駆動モータが起動(ON)する。ここで、制御部11は、原料モータ22及びミル24の駆動モータに動作開始信号を出力した後、例えば、20gのコーヒー粉末の供給に要する予め設定された時間が経過した時に、原料モータ22及びミル24の駆動モータを停止(OFF)させる。これにより、適切な容量のコーヒー粉末が一括して抽出容器4内に供給される。一方、制御部11は、給湯電磁弁32を開弁させた後、150ml(第1容量)の湯水の供給に要する予め設定された時間が経過した時に、給湯電磁弁32を閉動作させる。制御部11は、給湯電磁弁32を閉弁させた時から所定時間経過後に、ポンプ7を逆回転方向Lで作動させる混合運転を開始させ、予め定めた時間T1の間、この混合運転を継続する。そして、この時間T1が経過した時に、ポンプ7を停止させる。
【0044】
次に、制御部11は、混合運転を停止させた時から予め定めた時間T2経過したタイミングで、ポンプ7を正回転方向Rで作動させ、飲料供給運転を開始させる。そして、制御部11は、
図4に示すように、飲料供給運転を開始させた時から所定時間T3経過後に、例えば、150ml(第2容量)の湯水、つまり、大容量の飲料に対する不足容量分の湯水の抽出容器4への供給を開始する。ここで、上記所定時間T3は、水供給部3による湯水の供給流量とポンプ7によるコーヒー飲料の吸入性能(流量)とに基づいて定められる。所定時間T3は、湯水が抽出容器4から溢れることを防止するための、遅延パラメータである。
【0045】
そして、
図4に示す例では、特に限定されるものではないが、第2容量の湯水の供給が完了した後に、流量計測値は第1流量閾値V1よりも小さくなっている。制御部11は、第1流量閾値V1を一旦超えた流量計測値が第1流量閾値V1より小さくなったことを検知し、ポンプ7を停止させる。その直後、制御部11は、フラッシング運転を開始させる。つまり、制御部11は、ポンプ7を逆回転方向Lで作動させてドリップパン5及びフィルタFを介してエアを抽出容器4の内部に供給することで、フィルタFをフラッシングすると共にフィルタFの上面に堆積したコーヒー粉末をフラッシングする。具体的には、ポンプ7は、逆回転時には、バッファ部9の飲料吐出口からエアを取り込み、取り込んだエアをドリップパン5に向けて飲料供給路L2を通じて圧送し、ドリップパン5の内部の圧力を増圧させ、ドリップパン5及びフィルタFを介してエアを抽出容器4の内部に供給する。その結果、フィルタFがリフレッシュされると共に、フィルタFの上面に堆積したコーヒー粉末の層が崩れ、ひいては、フィルタFの上面に堆積したコーヒー粉末の目詰りとフィルタFの目詰りが低減又は解消される。制御部11は、予め定めた時間T4の間、連続してポンプ7(エア供給部8)を作動させ、この時間T4が経過した時に、ポンプ7を停止させてフラッシング運転を停止させる。制御部11は、フラッシング運転が完了した後に、ポンプ7を正回転方向Rで作動させることで、残りのコーヒー飲料についての飲料供給運転を再開させる。つまり、制御部11は、フラッシング運転を実行する場合には、ポンプ7による飲料供給運転を中断し、フラッシング運転が完了した後に、ポンプ7を正回転方向で作動させることで飲料供給運転を再開する。そして、制御部11は流量計測値に基づいてポンプ7を停止させ、ラージサイズのカップCへのコーヒー飲料の供給を完了させ、大容量の飲料供給運転が終了する。
【0046】
そして、制御部11はドリップパン移動機構によりドリップパン5を下位置に移動させ、飲料供給装置1は待機状態になる。なお、大容量の飲料供給運転中に、第1流量閾値V1を一旦超えた流量計測値が第1流量閾値V1より小さくならない場合には、フラッシング運転は実行されない。この場合、飲料供給装置1は、ポンプ7によるコーヒー飲料のカップCへの吐出中に、抽出容器4に第2容量の湯水を補給し、大容量のコーヒー飲料をカップCに間断なく吐出させて供給することになる。
【0047】
かかる本実施形態による飲料供給装置1によれば、制御部11は、ポンプ7からの飲料吐出開始からカップCへの飲料供給完了までの間において、エア供給部8を作動させてフィルタFをフラッシングするフラッシング運転を、計測器10による流量計測値に応じて実行するように構成されているので、ポンプ7からの飲料吐出開始から飲料供給完了までの間において、コーヒー粉末やフィルタFに軽度な目詰りが生じたとしても、エアを用いてフィルタFをフラッシングしてリフレッシュすることができる。
【0048】
したがって、飲料供給装置1は、大容量の飲料を供給する場合でも、フィルタFの上面に堆積した原料(コーヒー粉末)の目詰まりとフィルタの目詰りを抑制しつつ、大容量の飲料を確実に供給することができる。また、重度の目詰りが生じる前に、フィルタFがリフレッシュされ得るので、飲料の吸引速度の増大が図られ、ひいては、飲料供給時間の短縮が図られる。ここで、抽出過程において、抽出成分はコーヒー粉末から酸味、甘味、苦み、雑味の順で抽出される。したがって、吸引速度が速くなることで、雑味が抽出される前に、抽出容器4からの飲料の吸引が完了することになり、雑味のないコーヒー飲料が提供される。
【0049】
本実施形態では、流量計測値についての閾値(第1流量閾値V1、第2流量閾値V2)に基づいて、フラッシング運転が開始され、又、ポンプによるカップCへの飲料の供給運転(飲料供給運転)が終了される。したがって、第1流量閾値V1や第2流量閾値V2が予め適切に設定されるだけで、各運転の動作が適切に制御される。
【0050】
本実施形態では、ポンプ7は正回転方向Rで作動することでドリップパン5に受け入れられた飲料を吸引してカップCに供給し、エア供給部8はポンプ7を逆回転方向Lで作動させることで実現され、制御部11は、フラッシング運転を実行する場合には、ポンプ7によるカップCへの飲料の供給運転を中断し、フラッシング運転が完了した後に、ポンプ7を正回転方向Rで作動させることで、残りのコーヒー飲料についての飲料供給運転を再開させるように構成されている。これにより、部品コストの増大を抑制しつつ、フィルタFの上面に堆積したコーヒー粉末(原料)の目詰りとフィルタFの目詰りが抑制される。
【0051】
なお、本実施形態では、制御部11は、フラッシング運転において、連続してエア供給部8(本実施形態では、ポンプ7)を作動させているが、これに限らず、フラッシング運転において、断続的にエア供給部8を作動させてもよい。
【0052】
ところで、本実施形態では、カップ容量に応じた所定の飲料供給容量の飲料供給完了直前において、流量計測値は急激に(瞬時に)第2流量閾値V2より小さくなるものとした。しかし、実際には、流量計測値は概ね一定の勾配で低下し、流量計測値が第2流量閾値V2より低くなるためには、時間が掛かる場合が多い。
【0053】
具体的には、
図5は前述の低下特性を示す流量計測値の変化の一例を示す図であり、
図6は積算流量値の変化の一例を示す図である。
図6に示された積算流量値は、
図5に示されるように変化した流量計測値の累積値である。
図5に示されるように、飲料供給運転が開始されると、流量計測値は急激に上昇して第2流量閾値V2及び第1流量閾値V1を超え、その後、徐々に小さくなる。このとき、
図6に示されるように、積算流量値はポンプ7の飲料吸引性能に応じた勾配で増加し始める。そして、流量計測値が第1流量閾値V1より小さくなり、飲料供給運転が中断され、フラッシング運転が開始されると、フラッシング運転中において、流量計測値はゼロになり、積算流量値は変化なく一定になる(
図5及び
図6参照)。その後、飲料供給運転が再開され、流量計測値は飲料供給運転の後半で所定の勾配で低下していく。
【0054】
流量計測値及び積算流量値は前述のような変化特性を有する場合が多い。このため、制御部11は、フラッシング運転の開始判定や飲料供給運転の完了判定のための閾値として、以下に説明する種々の閾値を用いることもできる。
【0055】
本実施形態では、制御部11は、流量計測値についての閾値(第1流量閾値V1)のみをフラッシング運転の開始判定に用いているが、これに限らない。フラッシング運転の開始判定の閾値として、流量計測値の閾値と流量計測値の累積である積算流量値についての閾値との両方が用いられてもよいし、積算流量値の閾値のみが用いられてもよい。具体的には、積算流量値は、ポンプ7による飲料供給運転開始時(換言すると、混合運転後の正回転開始時)を起点とする流量計測値の累積である。積算流量値は、流量計測値に基づいて計測器10によって演算され、制御部11に入力されてもよいし、計測器10からの流量計測値に基づいて制御部11によって演算されてもよい。積算流量値は、飲料供給運転の完了毎に制御部11によりリセットされるように構成されている。
【0056】
具体的には、制御部11は、(1)本実施形態のように、流量計測値が所定の第1流量閾値V1を超えた後に第1流量閾値V1より小さくなるという条件(以下、「第1開始条件」という)が満たされると、フラッシング運転を開始させてもよいし、(2)第1開始条件、及び、積算流量値が所定の第1積算流量閾値Vi1より大きくなるという条件(以下、「第2開始条件」という)の両方が満たされると、フラッシング運転を開始させてもよいし、(3)第2開始条件が満たされるとフラッシング運転を開始させてもよい。つまり、制御部11は、第1開始条件及び第2開始条件のうちの少なくとも一方が満たされると、フラッシング運転を開始させればよい。第1積算流量閾値Vi1は、例えば、飲料供給運転において供給すべき飲料供給容量の概ね半分の値に設定される。
【0057】
上記(1)の場合(つまり、本実施形態の場合)、制御部11は、原料やフィルタFの目詰りが発生したときに、フラッシング運転を確実に開始させることができる。
【0058】
上記(2)の場合、制御部11は、第1開始条件と第2開始条件の一方のみが満たされているときには、フラッシング運転を開始せず飲料供給運転を継続することができる。例えば、飲料供給運転の前半(フラッシング運転の必要性の低い期間)において、第1開始条件のみが満たされたとしても、第2開始条件が満たされないので、制御部11は、フラッシング運転を開始しない。また、飲料供給運転の後半において、第2開始条件のみが満たされたとしても、第1開始条件が満たされないので、制御部11は、フラッシング運転を開始しない。したがって、制御部11は、フラッシング運転を必要性の低いときに開始することを阻止することができる。
【0059】
上記(3)の場合、制御部11は、積算流量値の閾値のみでフラッシング運転を開始することができる。したがって、重度の目詰りが生じるときの積算流量値が実験などによって予め確実に判明している場合などにおいて、制御部11は積算流量値の閾値のみでフラッシング運転の開始判定を容易に行うことができる。
【0060】
また、本実施形態では、制御部11は、流量計測値についての閾値(第2流量閾値V2)のみを飲料供給運転の完了判定に用いているが、これに限らない。飲料供給運転の完了判定の閾値として、流量計測値の閾値と積算流量値の閾値との両方が用いられてもよいし、積算流量値の閾値のみが用いられてもよい。
【0061】
具体的には、制御部11は、(4)本実施形態のように、飲料供給運転中において、流量計測値が所定の第2流量閾値V2より小さくなるという条件(以下、「第1完了条件」という)が満たされると、飲料供給運転を終了させてもよいし、(5)飲料供給運転中において、第1完了条件、及び、積算流量値が第1積算流量閾値Vi1より大きい所定の第2積算流量閾値Vi2より大きくなるという条件(以下、「第2完了条件」という)の両方が満たされると、飲料供給運転を終了させてもよいし、(6)飲料供給運転中において、第2完了条件が満たされると、飲料供給運転を終了させてもよい。つまり、制御部11は、飲料供給運転中において、第1完了条件及び第2完了条件のうちの少なくとも一方が満たされると、飲料供給運転を終了させればよい。例えば、上記(5)の場合、第2積算流量閾値Vi2は飲料供給容量の90%に設定され、上記(6)の場合、第2積算流量閾値Vi2は飲料供給容量と同じ値に設定される。
【0062】
上記(4)の制御内容は、例えば、本実施形態のように、飲料供給容量の飲料供給完了直前において、流量計測値が急激に(瞬時に)第2流量閾値V2より小さくなる場合に、有用である。また、上記(4)の制御内容は、流量計測値が
図5に示されるように低下特性を示す場合にも、有用である。例えば、流量計測値が第1流量閾値V1より小さくなり、フラッシング運転が実行されても、目詰りが解消しないおそれがある。このような場合であっても、フラッシング運転の完了後、飲料供給運転が再開されているときに、制御部11は、流量計測値が低下して第2流量閾値V2より小さくなっていることを検知することで、飲料供給運転を強制的に終了させる。その結果、過度な負荷がポンプ7に作用することが防止される。
【0063】
上記(5)の場合、供給すべき飲料供給容量の大半の容量(例えば飲料供給容量の90%の容量)の飲料の供給が完了し、第2完了条件が満たされているときに、フィルタFの目詰りが発生した場合には、制御部11は、飲料供給運転を強制的に終了させる。その結果、過度な負荷がポンプ7に作用することが防止される。
【0064】
上記(6)の場合、制御部11は、積算流量値の閾値のみで飲料供給運転を終了させるので、カップ容量に応じた飲料供給容量の飲料の供給を確実に実行することができる。
【0065】
また、ポンプ7は、飲料の供給流量(換言すると、吸引流量又は吐出流量)を可変に構成されてもよい。例えば、ポンプ7は、図示しないポンプモータの回転数を変更することで飲料の供給流量を変更できるように構成される。この場合、制御部11は、飲料供給運転中において、流量計測値が第1流量閾値V1より小さく且つ第2流量閾値V2より大きい所定の第3流量閾値V3より小さくなるという条件(以下、「第1流量変更条件」という)、及び、積算流量値が第1積算流量閾値Vi1より大きく且つ第2積算流量閾値Vi2より小さい第3積算流量閾値Vi3より大きくなるという条件(以下、「第2流量変更条件」という)のうちの少なくとも一方が満たされると、ポンプ7の供給流量を、直前の供給流量よりも低下させるように構成される。これにより、
図5及び
図6に示されるように、飲料供給完了の直前における流量計測値の低下勾配や積算流量値の増加勾配が緩やかになる。その結果、制御部11はより正確な計測値に基づいて、フラッシング運転の開始判定や飲料供給運転の完了判定を行うことができる。
【0066】
ところで、フラッシング運転の完了後に再開された飲料供給運転において、原料やフィルタFの目詰まりが再び発生するおそれがある。このような可能性が想定される場合には、制御部11は、フラッシング運転の完了後に、残りの飲料についての飲料供給運転を再開させ、再開させた飲料供給運転中に、流量計測値に応じて、再びフラッシング運転を開始させるように構成される。これにより、制御部11は、所定の飲料供給容量の飲料供給運転を確実に完了させることができる。
【0067】
図7及び
図8はフラッシング運転を再び実行する場合の制御内容を説明するための図である。
図7は流量計測値の変化の別の例を示す図であり、
図8は積算流量値の変化の別の例を示す図である。
図8に示された積算流量値は、
図7に示されるように変化した流量計測値の累積値である。
【0068】
具体的には、制御部11は、最初のフラッシング運転(1回目のフラッシング運転)の完了後に所定時間T5経過しても、流量計測値が所定の第4流量閾値V4より小さいという条件(以下、「第1再開条件」という)、及び、最初のフラッシング運転の完了後に所定時間T6経過しても、積算流量値が所定の第4積算流量閾値Vi4より小さいという条件(以下、「第2再開条件」という)のうちの少なくとも一方が満たされると、再びフラッシング運転を開始させるように構成される。なお、所定の第4流量閾値V4は第1流量閾値V1より小さく且つ第3流量閾値V3より大きく、所定の第4積算流量閾値Vi4は第1積算流量閾値Vi1より大きく且つ第3積算流量閾値Vi3より小さい。
【0069】
また、エア供給部8は、ポンプ7とは別に設けられてもよい。以下では、エア供給部8がポンプ7と別の部品として設けられた場合について、
図9を参照して説明する。
図9は、変形例に係る飲料供給装置の概略図である。
【0070】
図9に示す変形例では、エア供給部8は、ポンプ7とは別に設けられている。具体的には、エア供給部8は、飲料供給路L2とは別に設けられたエア供給路L3を介してドリップパン5にエアを供給する。エア供給路L3の一端はエア供給部8に接続され、エア供給路L3の他端はドリップパン5に接続されている。そして、ドリップパン5は、飲料供給路L2が接続される前述の飲料吸引ポート5bと、エア供給路L3が接続されるエア吐出ポート5cと、飲料吸引ポート5bの上方に設けられる蓋板5d1を有しエア吐出ポート5cから飲料吸引ポート5bへのエアの流入(逆流)を抑制するカバー部5dとを含む。
【0071】
図9に示す変形例では、制御部11は、フラッシング運転を実行する場合には、(構成1)ポンプ7を停止させると共にエア供給部8を作動させて、ポンプ7によるカップCへの飲料の供給運転を中断するように構成されてもよいし、(構成2)ポンプ7をそのまま作動させながら、エア供給部8を作動させて、ポンプ7によるカップCへの飲料の供給運転を継続しながら、フラッシング運転を実行するように構成されてもよい。上記(構成1)の場合、ポンプ7の総動作時間が低減され、逆回転方向の動作が低減又は無くなり、モータ及びチューブへの負荷が低減され、ひいては、チューブポンプからなるポンプ7の高寿命化が図られる。上記(構成2)の場合、制御部11はポンプ7による飲料の供給運転とエア供給部8によるフラッシング運転とを並列して実行することができる。したがって、飲料供給運転を中断させずに、フラッシング運転が実行されるので、飲料供給時間の短縮が図られる。
【0072】
図9に示す変形例では、ポンプ7は、飲料の供給流量(換言すると、吸引流量又は吐出流量)を可変に構成されている。例えば、ポンプ7は、図示しないポンプモータの回転数を変更することで飲料の供給流量を変更できるように構成されている。そして、上記(構成2)の場合には、制御部11は、フラッシング運転を実行しているときのポンプ7における供給流量を、フラッシング運転を実行していないときのポンプ7の供給流量よりも低下させるように構成されるとよい。これにより、ポンプ7による飲料供給運転が継続されたとしても、エア供給部8からのエアが確実にドリップパン5及びフィルタFを介して抽出容器4に供給されるようになる。また、フラッシング運転中において、エア吐出ポート5cから飲料吸引ポート5bへのエアの流入(逆流)は、主にカバー部5dの蓋板5d1によって抑制される。これにより、エアがより確実にドリップパン5及びフィルタFを介して抽出容器4に供給される。
【0073】
なお、エア供給路L3は、ドリップパン5ではなく、
図10に示されるように、上流側飲料供給路L2aのうちの計測器10よりもドリップパン5側の部分に接続されてもよい。この場合、通常時閉の電磁弁SVがエア供給路L3に設けられ、制御部11はフラッシング運転を実行する時に、電磁弁SVを閉方向に作動させることで、エア供給部8からのエアを、エア供給路L3、電磁弁SV、飲料供給路のうちのドリップパン5と計測器10との間の部分、ドリップパン5及びフィルタFを介して抽出容器4に供給させる。
【0074】
また、上記説明において、計測器10は、飲料供給路L2を通じて流れる飲料の流量を計測する流量計であるものとしたが、これに限らず、飲料供給路L2を通じて流れる飲料の流速を計測する流速計であってもよい。この場合、制御部11は、ポンプ7からの飲料吐出開始から前記カップへの飲料供給完了までの間において、フラッシング運転を、計測器10による流速の計測値である流速計測値に応じて実行するように構成される。
【0075】
具体的には、計測器10が流速計である場合には、制御部11は、計測器10からの流速計測値に基づいて飲料の流量を演算し、この流量演算値を流量計測値に替えて用いると共に、流量演算値の累積を積算流量値として用いる。そして、制御部11は、計測器10による流速計測値が所定の流速閾値より小さくなるという条件(前述の「第1開始条件」に相当)、及び、流速計測値に基づいて演算される流量演算値の累積が所定の第1積算流量閾値Vi1より大きくなるという条件(前述の「第2開始条件」に相当)のうちの少なくとも一方が満たされると、フラッシング運転を開始させる。
【0076】
計測器10が流速計である場合には、制御部11は、飲料供給運転中において、流量演算値が所定の第2流量閾値V2より小さくなるという条件(前述の「第1完了条件」に相当)、及び、流量演算値の累積である積算流量値が所定の第2積算流量閾値Vi2より大きくなるという条件(前述の「第2完了条件」に相当)のうちの少なくとも一方が満たされると、ポンプ7によるカップCへの飲料の供給運転を終了させる。
【0077】
計測器10が流速計である場合には、制御部11は、飲料供給運転中において、流量演算値が第1流量閾値V1より小さく且つ第2流量閾値V2より大きい所定の第3流量閾値V3より小さくなるという条件(前述の「第1流量変更条件」に相当)、及び、流量演算値の累積である積算流量値が第1積算流量閾値Vi1より大きく且つ前記第2積算流量閾値Vi2より小さい第3積算流量閾値Vi3より大きくなるという条件(前述の「第2流量変更条件」に相当)のうちの少なくとも一方が満たされると、ポンプ7の前記供給流量を、直前の供給流量よりも低下させるように構成される。
【0078】
計測器10が流速計である場合には、制御部11は、最初のフラッシング運転(1回目のフラッシング運転)の完了後に所定時間T5経過しても、流量演算値が所定の第4流量閾値V4より小さいという条件(前述の「第1再開条件」に相当)、及び、最初のフラッシング運転の完了後に所定時間T6経過しても、流量演算値の累積である積算流量値が所定の第4積算流量閾値Vi4より小さいという条件(前述の「第2再開条件」に相当)のうちの少なくとも一方が満たされると、再びフラッシング運転を開始させるように構成される。
【0079】
さらに、計測器10は、飲料供給路L2のうちのポンプ7よりもドリップパン5側に位置する上流側飲料供給路L2a内の圧力を計測する圧力計であってもよい。この場合、制御部11は、ポンプ7からの飲料吐出開始から前記カップへの飲料供給完了までの間において、フラッシング運転を、計測器10による圧力の計測値である圧力計測値に応じて実行するように構成される。
【0080】
図11は、上流側飲料供給路L2aにおける圧力変動の一例を示した図である。
図11を参照すると、ポンプ7による飲料の吸引が開始されると(飲料供給運転が開始されると)、フィルタFの上面に堆積した原料の目詰りとフィルタFの目詰りが徐々に進行するため、計測器10による圧力計測値は、時間の経過とともに大気圧より低い圧力値に減少し、負圧が大きくなる。そして、目詰りが進行するにつれて、負圧が加速的に大きくなる。
したがって、圧力計測値は、目詰りの程度を示すパラメータとして用いられ得る。そこで、制御部11は、計測器10による圧力計測値が圧力大気圧P0より低い第1圧力閾値P1より小さくなった場合に、フラッシング運転を開始させる。第1圧力閾値P1は、例えば、実験結果などによって予め設定される。また、この場合、フラッシング運転は、制御部11は、予め定めた時間T4の間、連続してポンプ7(エア供給部8)を作動させ、この時間T4が経過した時に、ポンプ7を停止させてフラッシング運転を停止させる。その後、制御部11は、再びポンプ7を正回転方向Rで作動させて飲料供給運転を再開し、圧力計測値に基づいてポンプ7を停止させて飲料供給運転を終了させる。具体的には、圧力計測値は、飲料供給運転が再開されると、下降傾向を示し、その後、抽出容器4内のコーヒー飲料がなくなると、大気圧に近付く上昇傾向に向かう。制御部11は、圧力計測値が上昇傾向に向かうタイミングを検知し、例えば、圧力上昇の検知時から所定の時間経過したときにポンプ7を停止させるように構成されている。
【0081】
そして、本実施形態では、制御部11は、大容量の飲料供給の際に、一度に第2容量の湯水を抽出容器4に供給するように給湯電磁弁32の動作を制御しているが、これに限らず、複数回に分けて合計して第2容量の湯水を抽出容器4に供給するように給湯電磁弁32の動作を制御してもよい。また、供給する飲料の容量は、標準容量と大容量の二種類に限らず、三種類以上であってもよいし、一種類であってもよい。また、抽出容器4に供給される水は、湯水に限らず冷水でもよい。
【0082】
以上、本発明の実施形態及びその変形例について説明したが、本発明は上述の実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて更なる変形や変更が可能であることはもちろんである。
【符号の説明】
【0083】
1…飲料供給装置、4…抽出容器、5…ドリップパン、5b…飲料吸引ポート、5c…エア吐出ポート、5d…カバー部、5d1…蓋板、7…ポンプ(チューブポンプ)、8…エア供給部、10…計測器、11…制御部、C…カップ、F…フィルタ、L2…飲料供給路、L2a…上流側飲料供給路、L3…エア供給路