(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024145
(43)【公開日】2024-02-22
(54)【発明の名称】コーヒー飲料提供装置及びコーヒーミル
(51)【国際特許分類】
A47J 31/42 20060101AFI20240215BHJP
B02C 7/14 20060101ALI20240215BHJP
A47J 31/10 20060101ALI20240215BHJP
【FI】
A47J31/42
B02C7/14
A47J31/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022126752
(22)【出願日】2022-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】722012006
【氏名又は名称】サンデン・リテールシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【弁理士】
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(72)【発明者】
【氏名】高山 敦
(72)【発明者】
【氏名】鳥海 孝洋
【テーマコード(参考)】
4B104
4D063
【Fターム(参考)】
4B104AA12
4B104AA25
4B104BA12
4B104BA43
4B104BA53
4B104BA57
4B104CA18
4B104DA07
4B104DA41
4B104DA60
4B104EA09
4B104EA30
4D063DD07
4D063DD13
4D063GC01
4D063GC21
4D063GC29
4D063GD02
4D063GD12
4D063GD15
(57)【要約】
【課題】コーヒー飲料の提供時、コーヒー豆をコーヒーミルに供給する前に、コーヒー豆を粉砕して得られるコーヒー粉末の粒度を変更できるようにする。
【解決手段】コーヒー豆をコーヒー粉末に粉砕するコーヒーミル240は、駆動モータ240Dによって回転駆動される回転刃240Bと、回転刃240Bと同軸に配置された固定刃240Cと、粒度変更モータ240Hによって回転刃240Bと固定刃240Cとの間隔を変化させてコーヒー粉末の粒度を変更する粒度変更機構と、コントローラと、を備えている。コントローラは、駆動モータ240Dによって回転刃240Bを回転させながら、粒度変更モータ240Hを作動させて回転刃240Bと固定刃240Cとの間隔を狭めるように構成されている。そして、コーヒー飲料提供装置には、このようなコーヒーミル240が組み込まれている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーヒー豆をコーヒー粉末に粉砕するコーヒーミルであって、第1のモータによって回転駆動される回転刃、前記回転刃と同軸に配置された固定刃、及び第2のモータによって前記回転刃と前記固定刃との間隔を変化させてコーヒー粉末の粒度を変更する粒度変更機構を有するコーヒーミルと、
前記コーヒーミルによって粉砕されたコーヒー粉末、及び抽出湯の供給を受けて、前記抽出湯により前記コーヒー粉末からコーヒー飲料を抽出する抽出容器と、
前記抽出容器において抽出されたコーヒー飲料を濾過するフィルタと、
前記フィルタを通過したコーヒー飲料を受け入れてカップへと供給するドリップパンと、
前記第1のモータによって前記回転刃を回転させながら、前記第2のモータを作動させて前記回転刃と前記固定刃との間隔を狭めるように構成されたコントローラと、
を備えた、コーヒー飲料提供装置。
【請求項2】
前記コントローラは、前記コーヒーミルにコーヒー豆が供給されていないとき、前記第1のモータによって前記回転刃を回転させながら、前記第2のモータを作動させて前記回転刃と前記固定刃との間隔を狭めるように構成された、
請求項1に記載のコーヒー飲料提供装置。
【請求項3】
前記コントローラは、前記コーヒー豆の粉砕が完了した後に、前記回転刃及び前記固定刃の少なくとも一方を所定の原点位置に移動させるように構成された、
請求項1又は請求項2に記載のコーヒー飲料提供装置。
【請求項4】
前記所定の原点位置は、前記回転刃と前記固定刃との間隔が最小となる位置である、
請求項3に記載のコーヒー飲料提供装置。
【請求項5】
前記所定の原点位置は、前記回転刃と前記固定刃との間隔が最大となる位置であって、
前記コントローラは、前記所定の原点位置から前記回転刃と前記固定刃との間隔を狭めるとき、前記第1のモータによって前記回転刃を回転させながら、前記第2のモータを作動させて前記回転刃と前記固定刃との間隔を狭めるように構成された、
請求項3に記載のコーヒー飲料提供装置。
【請求項6】
コーヒー豆をコーヒー粉末に粉砕するコーヒーミルであって、
第1のモータによって回転駆動される回転刃と、
前記回転刃と同軸に配置された固定刃と、
第2のモータによって前記回転刃と前記固定刃との間隔を変化させてコーヒー粉末の粒度を変更する粒度変更機構と、
前記第1のモータによって前記回転刃を回転させながら、前記第2のモータを作動させて前記回転刃と前記固定刃との間隔を狭めるように構成されたコントローラと、
を備えた、コーヒーミル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーヒー豆を粉砕したコーヒー粉末からコーヒー飲料を抽出して提供するコーヒー飲料提供装置、及びコーヒー豆をコーヒー粉末に粉砕するコーヒーミルに関する。
【背景技術】
【0002】
コーヒーミルによってコーヒー豆を粉砕したコーヒー粉末と抽出湯とを抽出容器に供給してコーヒー飲料を抽出し、このコーヒー飲料をカップに入れて利用者に提供するコーヒー飲料提供装置が知られている。この種の飲料抽出タイプのコーヒー飲料提供装置では、一般的に、抽出容器の下端部にフィルタを介してドリップパンが配置されている。そして、抽出容器の内部で抽出されたコーヒー飲料は、フィルタによって濾過されつつドリップパンで受け入れられて、このドリップパンに接続された飲料搬送路を介してカップへと供給される。
【0003】
コーヒー飲料提供装置のコーヒーミルでは、例えば、コーヒー豆種、豆量、抽出湯量、むらし時間、攪拌時間、攪拌強さ及び静置時間の少なくとも1つをパラメータとして、コーヒー粉末の粒度を変更することが望ましい。このため、特開2001-258766号公報(特許文献1)に記載されるように、モータによって固定刃と回転刃との間隔を変化させて、コーヒー粉末の粒度を可変とする技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、コーヒーミルによってコーヒー豆を粗挽き(粒度:大)に粉砕してコーヒー飲料を供給した状態では、コーヒーミルの固定刃と回転刃との間に粗挽きのコーヒー粉末が残留している可能性がある。この場合、これに引き続いて、コーヒーミルによってコーヒー豆を細挽き(粒度:小)に粉砕してコーヒー飲料を供給しようとしても、固定刃と回転刃との間に粗挽きのコーヒー粉末が残留しているため、固定刃と回転刃との間隔を小さくすることができなくなってしまう。これは、回転刃を回転駆動して硬いコーヒー豆を粉砕するためのモータのトルクと比較して、コーヒー豆を粉砕することなく固定刃と固定刃との間隔を変更するモータのトルクが小さいために起こり得る。そして、回転刃と固定刃との間隔を変更するモータとして、コーヒー豆を粉砕するためのモータのような大きなトルクを有するモータや、大きなトルクを得るための多段ギヤードモータを採用することが考えられるが、いずれの場合にも、モータの大型化やコストアップを招くため採用することができない。
【0006】
そこで、本発明は、コーヒー飲料の提供時、コーヒー豆をコーヒーミルに供給する前に、コーヒー豆を粉砕して得られるコーヒー粉末の粒度を変更できるようにした、コーヒー飲料提供装置及びコーヒーミルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
コーヒー飲料提供装置は、コーヒー豆をコーヒー粉末に粉砕するコーヒーミルと、コーヒーミルによって粉砕されたコーヒー粉末、及び抽出湯の供給を受け入れて、抽出湯によりコーヒー粉末からコーヒー飲料を抽出する抽出容器と、抽出容器において抽出されたコーヒー飲料を濾過するフィルタと、フィルタを通過したコーヒー飲料を受けてカップへと供給するドリップパンと、コントローラと、を備えている。コーヒーミルは、第1のモータによって回転駆動される回転刃、回転刃と同軸に配置された固定刃、及び第2のモータによって回転刃と固定刃との間隔を変化させてコーヒー粉末の粒度を変更する粒度変更機構を有している。また、コントローラは、第1のモータによって回転刃を回転させながら、第2のモータを作動させて回転刃と固定刃との間隔を狭めるように構成されている。
【0008】
コーヒー豆をコーヒー粉末に粉砕するコーヒーミルは、第1のモータによって回転駆動される回転刃と、回転刃と同軸に配置された固定刃と、第2のモータによって回転刃と固定刃との間隔を変化させてコーヒー粉末の粒度を変更する粒度変更機構と、コントローラと、を備えている。コントローラは、第1のモータによって回転刃を回転させながら、第2のモータを作動させて回転刃と固定刃との間隔を狭めるように構成されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、コーヒー飲料提供装置及びコーヒーミルにおいて、コーヒー飲料の提供時、コーヒー豆をコーヒーミルに供給する前に、コーヒー粉末を粉砕して得られるコーヒー粉末の粒度を変更することができる。その結果、目的とする味のコーヒー飲料を提供できるとともに、コーヒーミルの動作不良によりコーヒー飲料提供装置が停止することなくコーヒー飲料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】コーヒー飲料提供装置の一例を示す概略図である。
【
図3】飲料提供処理の一例を示すフローチャートである。
【
図4】飲料提供処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】コーヒー飲料提供装置の動作を説明するタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付された図面を参照し、本発明を実施するための実施形態について詳述する。
図1は、一例として挙げられるコーヒー飲料提供装置100の概略を示している。コーヒー飲料提供装置100は、例えば、コーヒー豆を粉末状に粉砕したコーヒー粉末からレギュラーコーヒーを抽出してカップCに入れて供給する、一般的なカップ式のコーヒーサーバーに組み込まれている。
【0012】
コーヒー飲料提供装置100は、原料を供給する原料供給部200と、抽出湯を供給する抽出湯供給部300と、原料及び抽出湯が供給される円筒状の抽出容器400と、抽出容器400の下方にフィルタFを介在させて配置されたドリップパン500と、フィルタFのフィルタ供給機構600と、チューブポンプ700と、バッファ部800と、少なくともドリップパン500を上下方向に移動させるスライダ900と、抽出容器400の下部にエアを供給して噴出させるエア供給部1000と、流量センサ1100と、コントローラ1200と、を備えて構成されている。
【0013】
原料供給部200は、コーヒー豆を収容するキャニスタ210を有している。キャニスタ210の下方には、原料モータ220によって駆動されることで、キャニスタ210から所定容量のコーヒー豆を繰り出す繰り出し機構230が設けられている。繰り出し機構230の下方には、繰り出し機構230によってキャニスタ210から繰り出されたコーヒー豆を粉末状に粉砕して抽出容器400へと供給する、詳細については後述するコーヒーミル240が配置されている。従って、原料供給部200は、原料モータ220及びコーヒーミル240が駆動されることで、原料としてのコーヒー粉末を抽出容器400へと供給することができる。
【0014】
コーヒーミル240は、
図2に示すように、有底円筒形状をなすケーシング240Aと、回転刃240Bと、固定刃240Cと、回転刃240Bを回転駆動する駆動モータ240Dと、回転刃240Bと固定刃240Cとの間にコーヒー豆を送り込むスパイラル240Eと、ケーシング240Aに対して固定刃240Cを軸方向にスライド可能に連結する連結部材240Fと、を備えて構成されている。ここで、駆動モータ240Dが、第1のモータの一例として挙げられる。
【0015】
コーヒー飲料提供装置100の所定箇所に固定されたケーシング240Aの底面の中央には、シール機能を有するベアリング240Gを介して、駆動モータ240Dの出力軸が相対回転可能に支持されている。そして、ケーシング240Aの内部へと突出する駆動モータ240Dの回転軸には、回転刃240Bと固定刃240Cとの間にコーヒー豆を送り込むスパイラル240E、及びスパイラル240Eによって送り込まれたコーヒー豆を粉砕する粉砕刃(図示せず)が少なくとも周縁部に形成された回転刃240Bが夫々固定されている。また、ケーシング240Aの内部には、回転刃240Bと同軸かつ対面した状態で、スパイラル240Eによって送り込まれたコーヒー豆を粉砕する粉砕刃(図示せず)が少なくとも周縁部に形成された固定刃240Cが配置されている。
【0016】
ケーシング240Aの開口側の外周端部には、例えば、ねじ結合によって、ケーシング240Aに対して円環状の連結部材240Fが回転しつつ軸方向にスライド可能に固定されている。連結部材240Fの軸方向の一面、具体的には、ケーシング240Aの内部を臨む一面は、固定刃240Cの背面に固定されている。従って、固定刃240Cが一体化された連結部材240Fをケーシング240Aに対して相対回転させることで、固定刃240Cがその軸方向に移動して、回転刃240Bと固定刃240Cとの間隔を変化させることができる。そして、回転刃240Bと固定刃240Cとの間隔が変化すると、それらの少なくとも周縁部に形成された粉砕刃の間隔が変化し、コーヒー豆を粉砕して得られるコーヒー粉末の粒度を可変とすることができる。
【0017】
コーヒー粉末の粒度を自動的に可変できるようにするために、コーヒー飲料提供装置100は、粒度変更モータ240Hと、粒度変更モータ240Hの出力軸の先端部に固定された駆動ギヤ240Iと、駆動ギヤ240Iと常時噛み合うリング状の被駆動ギヤ240Jと、を更に備えている。リング状の被駆動ギヤ240Jは、ケーシング240Aの開口側の外周端部に固定されている。また、粒度変更モータ240Hの出力軸には、2つの薄板円板状の被検知部材240K及び240Lが離間した状態で同軸に固定されている。一方の被検知部材240Kの周縁部には、固定刃240Cが所定の原点位置に到達したときに原点信号を出力する原点センサ240Mが配置されている。なお、所定の原点位置は、例えば、回転刃240Bと固定刃240Cとの間隔が最小となった位置である。このため、被検知部材240Kの板面の周縁部には、原点に対応する位置に、例えば、凹部や凸部などの被検知部が形成されている。また、他方の被検知部材240Lの周縁部には、原点を基準とした粒度変更モータ240Hの角度信号を出力するエンコーダ240Nが配置されている。このため、被検知部材240Lの板面の周縁部には、原点を基準とした粒度変更モータ240Hの単位角度ごとに、例えば、凹部や凸部などの被検知部が形成されている。なお、原点センサ240M及びエンコーダ240Nの各出力信号は、コントローラ1200へと出力される。
【0018】
ここで、粒度変更モータ240Hが、第2のモータの一例として挙げられる。また、駆動ギヤ240I、被駆動ギヤ240J及び連結部材240Fが、粒度変更機構の一例として挙げられる。さらに、被検知部材240K及び原点センサ240Mが、センサの一例として挙げられる。
【0019】
従って、粒度変更モータ240Hを回転させると、その出力軸の先端部に固定された駆動ギヤ240Iが回転し、これと常時噛み合っているリング状の被駆動ギヤ240Jが回転する。その結果、上述したように、固定刃240Cが一体化された連結部材240Fをケーシング240Aに対して相対回転させて、回転刃240Bと固定刃240Cとの間隔を変化させることができる。
【0020】
抽出湯供給部300は、所定温度の抽出湯を沸かして貯蔵するタンク310を有している。タンク310の下部には、抽出湯の供給を制御するための給湯電磁弁320を介して、抽出湯を抽出容器400へと供給する抽出湯供給路L1が接続されている。抽出湯供給路L1の先端部には、抽出容器400の上方においてその内部に向かって開口する複数の開口部(図示せず)が形成された抽出湯噴出部330が接続されている。従って、抽出湯供給部300は、給湯電磁弁320が開弁されることで、タンク310に貯蔵されている抽出湯を抽出容器400へと供給することができる。
【0021】
抽出容器400は、一定の直径を有する円筒形をなし、原料供給部200から供給されたコーヒー粉末、及び抽出湯供給部300から供給された抽出湯を受けて、抽出湯を用いてコーヒー粉末からコーヒー飲料を抽出する。抽出容器400の上端部は上方に向けて開口しており、この開口を介して抽出湯供給部300の抽出湯噴出部330から噴出された抽出湯を受け入れ可能になっている。また、抽出容器400の下端部は下方に向けて開口しており、この下端部とドリップパン500の上端部との間には、抽出容器400において抽出されたコーヒー飲料を濾過するフィルタFが挟まれた状態で配置されている。ここで、フィルタFは、例えば、帯状の紙、不織布や合成繊維などで形成することができる。
【0022】
ドリップパン500は、フィルタFを通過したコーヒー飲料を受け入れる、上方に向けて開口する漏斗状の容器である。この開口は、抽出容器400の下端部の開口に倣った形状をなしている。ドリップパン500の上端部は、フィルタFを介在させた状態で、抽出容器400の下端部に対して圧接されている。また、ドリップパン500の上面には、フィルタFを支持しつつコーヒー飲料を通過させる、金網などのメッシュ部材からなるフィルタ受部(図示せず)が配置されている。ドリップパン500の下端部には、コーヒー飲料をカップCまで搬送する、シリコンチューブなどの可撓性チューブからなる飲料搬送路L2が接続されている。
【0023】
フィルタ供給機構600は、帯状に巻き回されたロール状のフィルタFを長手方向に送り出す装置である。具体的には、抽出容器400及びドリップパン500の一側方(図示の例では左方)には、未使用のフィルタFが巻き回されたロールR1と、ロールR1から引き出されたフィルタFをガイドするガイドローラR2と、が夫々配置されている。また、抽出容器400及びドリップパン500の他側方(図示の例では右方)には、フィルタFの供給方向(図示の例では時計回り方向)に回転してフィルタFを送り出す送りローラR3と、送りローラR3に向けてフィルタFを押圧する従動ローラR4と、が夫々配置されている。送りローラR3の下方には、送りローラR3によって送り出された使用済みのフィルタFを回収する回収ボックスBが配置されている。
【0024】
チューブポンプ700は、ドリップパン500からカップCへとコーヒー飲料を搬送する飲料搬送路L2の途中に配置されている。チューブポンプ700は、ドリップパン500の内部の圧力を減圧させることで、フィルタFを介して、抽出容器400において抽出されたコーヒー飲料を吸引し、ドリップパン500によって受け入れられたコーヒー飲料をカップCへと供給する。なお、チューブポンプ700は、当業者にとって周知なポンプであるため、これ以上の説明は省略する。
【0025】
バッファ部800は、飲料搬送路L2の下流の端部に接続され、コーヒー飲料を所定量受け入れるバッファとして機能する。バッファ部800は、下方に向けて開口する有底円筒形をなし、上方に位置する大径部810と、大径部810の下方に位置する小径部820と、が一体化された部材である。大径部810の側面には、円筒状の内周面の接線方向からコーヒー飲料が流入する流入口が形成され、ここに飲料搬送路L2の下流の端部が接続されている。また、小径部820は、
図1から明らかなように、下方に向かうにつれて縮径する漏斗状に形成され、その下端面に下方に向けて開口する飲料供給口が形成されている。従って、バッファ部800に流入されたコーヒー飲料は、その内周面に沿って旋回しながら下方へと流れ、その飲料供給口からカップCへと供給される。
【0026】
スライダ900は、例えば、図示しないレールに沿って上下動する架台やパンタグラフ機構などを有し、フィルタFを介在させた状態で、抽出容器400の下端部に対してドリップパン500を離接させる。従って、スライダ900は、抽出容器400においてコーヒー飲料を抽出するときには、抽出容器400の下端部に向けてドリップパン500を上昇させて圧接させ、カップCへのコーヒー飲料の供給が完了したときには、抽出容器400の下端部から離れるようにドリップパン500を下降させてフィルタFを供給する準備に備える。
【0027】
エア供給部1000は、エアを圧縮して抽出容器400へと供給するエアポンプ1010を有している。エアポンプ1010は、ドリップパン500とチューブポンプ700との間に位置する飲料搬送路L2から分岐する分岐路L3に接続されている。分岐路L3の途中には、抽出容器400へとエアを供給しないときに分岐路L3を閉止する閉止電磁弁1020が配置されている。従って、エア供給部1000は、エアポンプ1010が作動し、かつ閉止電磁弁1020によって分岐路L3が開通されると、分岐路L3、閉止電磁弁1020及び飲料搬送路L2を介してドリップパン500へとエアを供給し、その後、フィルタFを介して抽出容器400の内部へとエアを供給して噴出させる。なお、飲料搬送路L2の内部にはコーヒー飲料が満たされているが、エア供給部1000は、このコーヒー飲料をエアによってドリップパン500の内部へと押し戻すことができる吐出圧を有しているので、ドリップパン500へのエア供給、ひいては抽出容器400へのエア供給に支障が生じることはない。
【0028】
流量センサ1100は、ドリップパン500とチューブポンプ700との間に位置する飲料搬送路L2、より具体的には、分岐路L3の分岐点とチューブポンプ700との間に位置する飲料搬送路L2に配置されている。そして、流量センサ1100は、飲料搬送路L2を流れるコーヒー飲料の流量、即ち、ドリップパン500からカップCへと供給されるコーヒー飲料の流量を測定し、その測定結果に応じた測定信号を出力する。
【0029】
コントローラ1200は、コーヒー飲料提供装置100の動作を制御する電子デバイスであって、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサ、不揮発性メモリ、揮発性メモリ、入出力回路などを内蔵したマイクロコンピュータから構成されている。コントローラ1200のプロセッサは、不揮発性メモリに格納されたアプリケーションプログラムを実行することで、流量センサ1100の測定信号を含む各種の信号に応じて、原料供給部200の原料モータ220及びコーヒーミル240、抽出湯供給部300の給湯電磁弁320、フィルタ供給機構600の送りローラR3、チューブポンプ700、スライダ900、並びにエア供給部1000のエアポンプ1010及び閉止電磁弁1020の動作を夫々電子制御する。
【0030】
ここで、コントローラ1200によるコーヒー飲料提供装置100の制御について説明する。
図3及び
図4は、利用者によってコーヒー飲料の供給要求があったことを契機として、コントローラ1200のプロセッサがアプリケーションプログラムに従って実行する、飲料提供処理の一例のフローチャートを示している。なお、以下の説明では、簡略化のために「コントローラ1200のプロセッサ」を「コントローラ1200」と略記する。
【0031】
ステップ10(
図3及び
図4では「S10」と略記する。以下同様。)では、コントローラ1200が、フィルタFを介在させた状態で、抽出容器400の下端部に対してドリップパン500の上端部を圧接すべく、スライダ900を上昇させる。ここで、コントローラ1200は、例えば、リミットスイッチ、エンコーダ、時間制御などによって、スライダ900が上昇したか否かを判定することができる(以下同様)。
【0032】
ステップ11では、コントローラ1200が、コーヒーミル240の粒度変更モータ240Hを作動させて、コーヒー豆を粉砕して得られるコーヒー粉末の粒度を変更する。具体的には、コントローラ1200は、利用者が希望するコーヒー飲料を抽出するのに適したコーヒー粉末の粒度となる、粒度変更モータ240Hの出力軸の目標回転角度を決定する。そして、コントローラ1200は、エンコーダ240Nの角度信号を監視し、粒度変更モータ240Hの出力軸が目標回転角度まで回転するまで、粒度変更モータ240Hを作動させる。なお、コントローラ1200は、オーバシュートなどを抑制するために、PID制御などによって粒度変更モータ240Hを制御することが好ましい。
【0033】
ステップ12では、コントローラ1200が、コーヒーミル240の駆動モータ240Dに駆動信号を出力することで、コーヒーミル240を作動させる。従って、コーヒーミル240において、固定刃240Cに対して回転刃240Bが相対回転し、ここに供給されたコーヒー豆を粉砕する準備が行われる。
【0034】
ステップ13では、コントローラ1200が、抽出湯供給部300の給湯電磁弁320を第1の所定時間t1作動させる。ここで、第1の所定時間t1は、利用者が希望するサイズのカップCに応じた量の抽出湯を供給するために必要な時間であって、例えば、抽出湯の量、抽出湯供給部300の能力などを考慮して適宜決定することができる。なお、利用者が希望するサイズのカップCの容量が抽出容器400の容量より多い場合、コントローラ1200は、抽出湯供給部300の給湯電磁弁320を複数回に分けて作動させるようにしてもよい。
【0035】
ステップ14では、コントローラ1200が、原料供給部200のコーヒーミル240の駆動モータ240Dを作動させてから第2の所定時間t2経過したか否かを判定する。ここで、第2の所定時間t2は、コーヒーミル240の作動が安定するまでに必要な時間であって、例えば、コーヒーミル240の性能などを考慮して適宜決定することができる。そして、コントローラ1200は、コーヒーミル240の駆動モータ240Dを作動させてから第2の所定時間t2経過したと判定すれば(Yes)、処理をステップ15へと進める。一方、コントローラ1200は、コーヒーミル240の駆動モータ240Dを作動させてから第2の所定時間t2経過していないと判定すれば(No)、ステップ14の判定処理を再度実行する。
【0036】
ステップ15では、コントローラ1200が、原料供給部200の原料モータ220を第3の所定時間t3作動、即ち、原料供給部200の繰り出し機構230を第3の所定時間t3作動させる。ここで、第3の所定時間t3は、利用者が希望するサイズのカップCに応じた量のコーヒー豆がキャニスタ210からコーヒーミル240へと供給されるのに必要な時間であって、例えば、繰り出し機構230の性能などを考慮して適宜決定することができる。
【0037】
ステップ16では、コントローラ1200が、原料供給部200の繰り出し機構230の停止後、第4の所定時間t4経過したか否かを判定する。ここで、第4の所定時間t4は、繰り出し機構230を停止させたときに、その内部に残っているコーヒー豆がコーヒーミル240へと供給されるのに必要な時間であって、例えば、繰り出し機構230の幾何学的形状などを考慮して適宜決定することができる。そして、コントローラ1200は、繰り出し機構230の停止後に第4の所定時間t4経過したと判定すれば(Yes)、処理をステップ17へと進める。一方、コントローラ1200は、繰り出し機構230の停止後に第4の所定時間t4経過していないと判定すれば(No)、ステップ16の判定処理を再度実行する。
【0038】
ステップ17では、コントローラ1200が、コーヒーミル240の粒度変更モータ240Hを適宜作動させて、コーヒーミル240における回転刃240Bと固定刃240Cとの間隔を最小にする。要するに、コントローラ1200は、次回のコーヒー飲料の提供に備えて、回転刃240Bと固定刃240Cとの間隔を狭めて、固定刃240Cを原点位置である、コーヒー粉末の粒度を最も細かい細挽き位置に変更する。
【0039】
ステップ18では、コントローラ1200が、コーヒーミル240の駆動モータ240Dへの駆動信号の出力を停止することで、コーヒーミル240を停止させる。
【0040】
ステップ19では、コントローラ1200が、抽出湯供給部300の給湯電磁弁320を作動させてから第5の所定時間t5経過したか否かを判定する。ここで、第5の所定時間t5は、抽出容器400においてコーヒー粉末からコーヒー飲料を抽出する準備ができるまでに必要な時間であって、例えば、原料供給部200及び抽出湯供給部300の性能などを考慮して適宜決定することができる。そして、コントローラ1200は、給湯電磁弁320を作動させてから第5の所定時間t5経過したと判定すれば(Yes)、処理をステップ20へと進める。一方、コントローラ1200は、給湯電磁弁320を作動させてから第5の所定時間t5経過していないと判定すれば(No)、ステップ19の判定処理を再度実行する。
【0041】
ステップ20では、コントローラ1200が、エア供給部1000のエアポンプ1010を第6の所定時間t6作動させる。ここで、第6の所定時間t6は、抽出容器400にエアを供給して噴出させることで、抽出容器400において抽出湯とコーヒー粉末との攪拌を促進させるための時間であって、例えば、抽出湯の量、コーヒー粉末の量、粒度及び特性(コーヒー豆の特性)などを考慮して適宜決定することができる。なお、コントローラ1200は、エアポンプ1010を作動させている間、抽出容器400へのエア供給を可能にすべく、エア供給部1000の閉止電磁弁1020を開弁させることはいうまでもない。
【0042】
ステップ21では、コントローラ1200が、エア供給部1000のエアポンプ1010を停止させてから第7の所定時間t7経過したか否かを判定する。ここで、第7の所定時間t7は、抽出容器400に供給されたエアによって抽出湯とコーヒー粉末の攪拌が促進された結果、抽出容器400においてコーヒー飲料の抽出が完了するまでに必要な時間であって、例えば、抽出容器400の幾何学的形状、抽出湯及びコーヒー粉末の量などを考慮して適宜決定することができる。そして、コントローラ1200は、エアポンプ1010を停止させてから第7の所定時間t7経過したと判定すれば(Yes)、処理をステップ22へと進める。一方、コントローラ1200は、エアポンプ1010を停止させてから第7の所定時間t7経過していないと判定すれば(No)、ステップ21の判定処理を再度実行する。
【0043】
ステップ22では、コントローラ1200が、チューブポンプ700を作動させる。
ステップ23では、コントローラ1200が、流量センサ1100の測定信号を読み込み、飲料搬送路L2を流れるコーヒー飲料の流量が所定閾値未満になったか否かを判定する。ここで、所定閾値は、チューブポンプ700の作動によって、抽出容器400においてコーヒー粉末から抽出されたコーヒー飲料の全量又は略全量がカップCへと供給されたか否かを判定するための閾値であって、例えば、チューブポンプ700の性能及びカップCの容量などを考慮して適宜決定することができる。そして、コントローラ1200は、コーヒー飲料の流量が所定閾値未満になったと判定すれば(Yes)、処理をステップ24へと進める。一方、コントローラ1200は、コーヒー飲料の流量が所定閾値以上のままであると判定すれば(No)、ステップ23の判定処理を再度実行する。
【0044】
ステップ24では、抽出容器400において抽出されたコーヒー飲料の全量又は略全量がカップCへと供給された結果、飲料搬送路L2を流れるコーヒー飲料の流量が減少して所定閾値未満になったので、コントローラ1200が、チューブポンプ700を停止させる。
【0045】
ステップ25では、コントローラ1200が、スライダ900を下降させて、抽出容器400からドリップパン500を切り離す。なお、コントローラ1200は、例えば、リミットスイッチ、エンコーダ、時間制御などによって、スライダ900が下降したか否かを判定することができる。
【0046】
ステップ26では、コントローラ1200が、フィルタ供給機構600を第8の所定時間t8作動させる。ここで、第8の所定時間t8は、フィルタ供給機構600の送りローラR3を作動させてフィルタFを送り出すのに必要な時間であって、例えば、抽出容器400及びドリップパン500の幾何学的形状、送りローラR3の送り出し性能などを考慮して適宜決定することができる。
【0047】
ステップ27では、コントローラ1200が、フィルタFを介在させた状態で、スライダ900を待機位置まで上昇させ、抽出容器400の下端部に対してドリップパン500の上端部を隔離した状態で停止させる。
【0048】
かかる飲料提供処理によれば、コーヒー飲料提供装置100は、
図5に示すようなタイミングチャートに従って動作する。なお、
図5に示すタイミングチャートは、コーヒー飲料提供装置100の動作を時系列に説明する概略的なチャートであって、各構成要素の作動時間、作動タイミングなどは必ずしも図示のものでなくてもよいことを理解されたい。
【0049】
飲料供給処理が開始されると、最初に、スライダ900が上昇して、抽出容器400の下端部に対してドリップパン500の上端部が圧接される。このため、フィルタFを介在させた状態での抽出容器400とドリップパン500のシール性能が確保されて、抽出容器400に抽出湯及びコーヒー粉末を供給しても、抽出容器400とドリップパン500との間からコーヒー粉末を含んだ抽出湯が周囲に流出することを抑制できる。スライダ900の上昇が完了すると、利用者が希望するコーヒー飲料を抽出するのに適したコーヒー粉末の粒度となるように、コーヒーミル240の粒度変更モータ240Hが作動される。そして、コーヒー粉末の粒度変更が完了すると、コーヒーミル240の駆動モータ240Dが作動されるとともに、抽出湯供給部300の給湯電磁弁320が第1の所定時間t1作動される。
【0050】
コーヒーミル240の駆動モータ240Dを作動させてから第2の所定時間t2経過するとコーヒーミル240の作動が安定するので、原料供給部200の繰り出し機構230が第3の所定時間t3作動し、所定容量のコーヒー豆がキャニスタ210からコーヒーミル240へと繰り出されて所定粒度のコーヒー粉末に粉砕される。コーヒーミル240においてコーヒー豆を粉砕して得られたコーヒー粉末は、重力によって抽出容器400へと供給される。また、抽出湯供給部300の給湯電磁弁320が第1の所定時間t1作動することで、タンク310に貯蔵されている所定温度の抽出湯は、給湯電磁弁320及び抽出湯供給路L1を通って、抽出湯噴出部330の複数の開口部から抽出容器400へと供給される。
【0051】
原料供給部200の繰り出し機構230が停止してから第4の所定時間t4経過すると、所定容量のコーヒー豆の粉砕が完了したと見做されるので、コーヒーミル240の駆動モータ240Dを作動させたまま、回転刃240Bと固定刃240Cとの間隔が最も小さくなるように粒度変更モータ240Hが作動される。このとき、駆動モータ240Dの作動により回転刃240Bが回転しているので、回転刃240Bと固定刃240Cとの間にコーヒー豆があってもこれが粉砕されるので、回転刃240Bと固定刃240Cとの間隔を狭めることに支障が生じない。従って、次回にコーヒー飲料を提供するときには、利用者がどのようなコーヒー飲料の提供を希望しても、回転刃240Bと固定刃240Cとの間隔を広げる方向に粒度変更モータ240Hを作動させることとなる。このため、コーヒーミル240の駆動モータ240Dを停止させたときに回転刃240Bと固定刃240Cとの間にコーヒー粉末が残留していても、そのコーヒー粉末によってコーヒー粉末の粒度を変更できないという不具合を回避することができる。そして、コーヒーミル240の粒度変更モータ240Hの作動が停止すると、コーヒーミル240の駆動モータ240Dが停止される。
【0052】
また、抽出容器400に抽出湯及びコーヒー粉末が供給されると、抽出容器400において抽出湯によりコーヒー粉末からコーヒー飲料が抽出され始める。この抽出過程において、抽出湯供給部300の給湯電磁弁320を作動させてから第5の所定時間t5経過、要するに、抽出容器400への抽出湯の供給開始から第5の所定時間t5経過すると、エア供給部1000のエアポンプ1010及び閉止電磁弁1020が第6の所定時間t6作動される。このため、エアポンプ1010から供給されるエアは、分岐路L3、閉止電磁弁1020、飲料搬送路L2、ドリップパン500及びフィルタFを介して抽出容器400へと供給されて噴出する。抽出容器400へと供給されて噴出されたエアは、抽出容器400に存在する抽出湯とコーヒー粉末の攪拌を促進し、例えば、コーヒー飲料の抽出効率を向上させることができる。
【0053】
エアポンプ1010が停止してから第7の所定時間t7経過すると、抽出容器400におけるコーヒー飲料の抽出が完了したと見做せるため、チューブポンプ700作動して抽出容器400からカップCへのコーヒー飲料の供給が開始される。そして、抽出容器400からカップCへと供給されるコーヒー飲料の流量が所定閾値未満になると、抽出容器400のコーヒー飲料の全量又は略全量がカップCへと供給されたと見做せるため、チューブポンプ700が停止される。このとき、コーヒー飲料提供装置100は、例えば、ランプや音声などによって利用者に対してコーヒー飲料の提供が完了したことを報知し、カップCを取り出してもよいことを認識させることができる。
【0054】
チューブポンプ700が停止すると、スライダ900が下降して、フィルタFを介在させた状態で、抽出容器400の下端部からドリップパン500の上端部が切り離される。スライダ900が完全に下降すると、フィルタ供給機構600が第8の所定時間t8作動されて、抽出容器400においてコーヒー飲料を濾過した使用済みのフィルタFが送り出される。そして、抽出容器400に未使用のフィルタFが供給されるとともに、使用済みのフィルタFは、抽出容器400及びドリップパン500の他側方に配置された回収ボックスBへと回収される。フィルタFの交換が完了すると、スライダ900が待機位置まで上昇して、フィルタFを介在させた状態で、抽出容器400の下端部に対してドリップパン500の上端部が隔離した状態で停止される。従って、次回のコーヒー飲料の提供に際して、初期化処理に要する時間を短縮することができる。
【0055】
このような動作を経て、コーヒー飲料提供装置100は、カップCにコーヒー飲料を提供する。その後、利用者は、コーヒー飲料提供装置100からカップCを取り出して、コーヒー飲料を楽しむことができる。
【0056】
なお、当業者であれば、様々な上記実施形態の技術的思想について、その一部を省略したり、その一部を適宜組み合わせたり、その一部を周知技術に置換したりすることで、新たな実施形態を生み出せることを容易に理解できるであろう。
【0057】
その一例を挙げると、抽出容器400へのエア供給は、エア供給部1000に限らず、例えば、チューブポンプ700を逆転させて実現するようにしてもよい。また、抽出容器400からカップCへとコーヒー飲料を供給するチューブポンプ700は、流量センサ1100の測定信号に限らず、ドリップパン500の内部の圧力を測定する圧力センサの測定信号に応じて停止するようにしてもよい。さらに、コーヒーミル240は、ケーシング240Aに対して固定刃240Cを軸方向にスライドさせる構成に限らず、ケーシング240Aに対して回転刃240B及び固定刃240Cの少なくとも一方を軸方向にスライドさせる構成であってもよい。
【0058】
スライダ900は、少なくともドリップパン500を上下方向に移動させる代わりに、少なくとも抽出容器400を上下方向に移動させることで、フィルタFを介在させた状態で、抽出容器400とドリップパン500とを離接させるようにしてもよい。また、所定の原点位置は、回転刃240Bと固定刃240Cとの間隔が最小となった位置に限らず、回転刃240Bと固定刃240Cとの間隔が最大となった位置としてもよい。この場合、コントローラ1200は、この所定の原点位置から回転刃240Bと固定刃240Cとの間隔を狭めるとき、駆動モータ240Dによって回転刃240Bを回転させながら、粒度変更モータ240Hを作動させて回転刃240Bと固定刃240Cとの間隔を狭めるように構成されていればよい。
【符号の説明】
【0059】
100 コーヒー飲料提供装置
240 コーヒーミル
240B 回転刃
240C 固定刃
240D 駆動モータ(第1のモータ)
240F 連結部材(粒度変更機構)
240H 粒度変更モータ(第2のモータ)
240I 駆動ギヤ(粒度変更機構)
240J 被駆動ギヤ(粒度変更機構)
240K 被検知部材(センサ)
240M 原点センサ(センサ)
400 抽出容器
500 ドリップパン
1200 コントローラ
C カップ
F フィルタ