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特開2024-24147取引フロー管理方法、取引フロー管理プログラム及び取引フロー管理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024147
(43)【公開日】2024-02-22
(54)【発明の名称】取引フロー管理方法、取引フロー管理プログラム及び取引フロー管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/16 20240101AFI20240215BHJP
【FI】
G06Q50/16
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022126754
(22)【出願日】2022-08-09
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-03-16
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 掲載年月日:令和4年4月28日、掲載アドレス:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000088419.html
(71)【出願人】
【識別番号】521478005
【氏名又は名称】GOGEN株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】230116539
【弁護士】
【氏名又は名称】恩田 俊明
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 勇人
(72)【発明者】
【氏名】和田 浩明
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC27
(57)【要約】
【課題】従来技術では実効性が限定的だった不動産取引の迅速化を、取引当事者間の情報提供を円滑にする観点において実現する。
【課題を解決するための手段】特定の不動産取引に関連して取引相手への書面又は電磁的方法による提供が必要となる一又は複数種類の情報である提供必須情報について、電磁的方法による提供を承諾する旨の情報である提供承諾情報を当該提供が必要となる一又は複数の対象から取得するための提供承諾情報取得ステップと、前記提供承諾情報が取得されている場合に限り当該提供承諾情報と紐付けられる提供必須情報を出力するための提供必須情報出力ステップと、をコンピュータにて実行する取引フロー管理方法などを提案する。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の不動産取引に関連して取引相手への書面又は電磁的方法による提供が必要となる一又は複数種類の情報である提供必須情報について、電磁的方法による提供を承諾する旨の情報である提供承諾情報を当該提供が必要となる一又は複数の対象から取得するための提供承諾情報取得ステップと、
前記提供承諾情報が取得されている場合に限り当該提供承諾情報と紐付けられる提供必須情報を出力するための提供必須情報出力ステップと、
をコンピュータにて実行する取引フロー管理方法。
【請求項2】
出力された提供必須情報の提供を受けた旨の情報である受領情報を当該受領の日時に関する情報と紐づけて取得する受領情報取得ステップをさらに有する請求項1に記載の取引フロー管理方法。
【請求項3】
提供必須情報出力ステップは、
前記対象から提供承諾情報の内容を撤回する旨の情報である提供撤回情報を取得すると、当該提供承諾情報と紐付けられる提供必須情報の印刷出力を促す印刷出力サブステップをさらに有する請求項1に記載の取引フロー管理方法。
【請求項4】
提供必須情報が動画像により提供される場合に、当該動画像を、当該動画像が提供される日時の情報とともに録画して取得するための録画取得ステップをさらに有する請求項1に記載の取引フロー管理方法。
【請求項5】
特定の不動産取引に関連して取引相手への書面又は電磁的方法による提供が必要となる一又は複数種類の情報である提供必須情報について、電磁的方法による提供を承諾する旨の情報である提供承諾情報を当該提供が必要となる一又は複数の対象から取得するための提供承諾情報取得ステップと、
前記提供承諾情報が取得されている場合に限り当該提供承諾情報と紐付けられる提供必須情報を出力するための提供必須情報出力ステップと、
をコンピュータにて実行可能とする取引フロー管理プログラム。
【請求項6】
特定の不動産取引に関連して取引相手への書面又は電磁的方法による提供が必要となる一又は複数種類の情報である提供必須情報について、電磁的方法による提供を承諾する旨の情報である提供承諾情報を当該提供が必要となる一又は複数の対象から取得するための提供承諾情報取得部と、
前記提供承諾情報が取得されている場合に限り当該提供承諾情報と紐付けられる提供必須情報を出力するための提供必須情報出力部と、
を備える取引フロー管理システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、賃貸借や売買等の不動産取引に伴う諸手続きの円滑化に資する仕組みに関する。
【背景技術】
【0002】
不動産物件の売買や賃貸借などの取引にあたっては、様々な種類の書類がやりとりされ、その取り寄せや記入、交付などの手間が煩雑であるとの問題意識が従来から広く共有されていた。そしてそのような課題を技術的に解決するための様々な手段が開示されている。例えば、特許文献1には、取引対象物件の登記情報を取得し、当該情報を用いて契約書等の取引手続書類を作成するための技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-089593号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ただ、これらの従来技術では、書類の雛形を埋める事ができるにとどまり、その効果が不動産取引の円滑化に資する程度はごくわずかである。というのも、それらの書類の記入が支援されても、書類の交付その他のやり取りの効率化に与える影響は限定的である。
【0005】
具体的には、不動産取引においては、一定の情報を適宜のタイミングで取引関係者間で明示することが法令上求められており、それらは従来「媒介契約書面(34条書面)」「重要事項説明書」「37条書面」などと呼ばれる書面に記載されたうえ、取引関係者に明示するとともに、同書面の記載事項を音読するなどの運用がなされていた。
【0006】
すなわち、従来技術では、これらの書面に記載された情報の交付や読上げ等の処理の効率化に資さないだけでなく、従来の運用に置換しうるものでもなかった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上のような課題を解決すべく、本発明は、特定の不動産取引に関連して取引相手への書面又は電磁的方法による提供が必要となる一又は複数種類の情報である提供必須情報について、電磁的方法による提供を承諾する旨の情報である提供承諾情報を当該提供が必要となる一又は複数の対象から取得するための提供承諾情報取得ステップと、前記提供承諾情報が取得されている場合に限り当該提供承諾情報と紐付けられる提供必須情報を出力するための提供必須情報出力ステップと、をコンピュータにて実行する取引フロー管理方法などを提案する。
【0008】
また上記発明に関連して、出力された提供必須情報の提供を受けた旨の情報である受領情報を当該受領の日時に関する情報と紐づけて取得する受領情報取得ステップをさらに有する取引フロー管理方法なども提案する。
【0009】
また上記各発明に関連し、提供必須情報出力ステップについて、前記対象から提供承諾情報の内容を撤回する旨の情報である提供撤回情報を取得すると、当該提供承諾情報と紐付けられる提供必須情報の印刷出力を促す印刷出力サブステップをさらに有する取引フロー管理方法なども提案する。
【0010】
また上記各発明に関連し、提供必須情報が動画像により提供される場合に、当該動画像を、当該動画像が提供される日時の情報とともに録画して取得するための録画取得ステップをさらに有する取引フロー管理方法なども提案する。
【0011】
また、上記各方法をコンピュータにて実行可能とするプログラムや、上記各方法を実行するシステムについても提案する。
【発明の効果】
【0012】
主に以上のような構成をとる本発明によって、取引当事者の要望に応じた態様を適切に管理し、迅速かつ効率的な不動産取引のための各種処理を実現することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の概略図
図2】実施形態1の取引フロー管理システムの機能ブロックの一例を示す図
図3】実施形態1の取引フロー管理システムの機能的な各構成をまとめて一のハードウェアとして実現した際の構成の一例を示す概略図
図4】実施形態1の取引フロー管理システムにおける処理の流れの一例を示す図
図5】実施形態2の取引フロー管理システムの機能ブロックの一例を示す図
図6】実施形態2の取引フロー管理システムにおける処理の流れの一例を示す図
図7】実施形態3の取引フロー管理システムの機能ブロックの一例を示す図
図8】実施形態3の取引フロー管理システムにおける処理の流れの一例を示す図
図9】実施形態4の取引フロー管理システムの機能ブロックの一例を示す図
図10】実施形態4の取引フロー管理システムにおける処理の流れの一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
まず図1を示す。図1は本発明の概要を示す図である。同図に示されているように、本発 明は、不動産取引の当事者が管理する端末である取引端末0111、0112や、当該取引を仲介する不動産仲介業者の管理する端末である仲介業者端末0121、それらの事業者の本支店や役職員が個別に管理する端末である各種端末0122、あるいは一又は複数の外部サーバ0131などとネットワークを介して接続された一又は複数のコンピュータ0101、0102により実現可能である。
【0015】
ここで本発明が一又は複数の外部サーバにより実現される場合について説明する。複数の外部サーバを用いる場合の具体例を上げると、不動産物件の地図上の立地場所を示すための地図サーバ、当該不動産物件の登記情報を保持するための登記情報サーバ、取引のための契約締結処理を行うための電子契約サーバ、各取引に用いられる情報を記録する取引情報記録サーバなどが考えられ、これらと相互にオンライン又はオフラインのネットワークを介して接続することで用いることが考えられる。
【0016】
ちなみに、これらの外部サーバを用いて各種機能を実現する具体的な態様は、本発明が具体的に提供される態様に応じて適宜選択可能である。例えば、本発明がウェブサービスにより実現されるような場合であれば、上記各種機能は、同ウェブサービスの利用に付随してAPI連携の形態により提供されることが考えられる。より具体的に言えば、提供必須情報が出力された場合に限り上記電子契約サーバとの通信を可能とする構成を採用するとともに、同ウェブサービス上の諸機能とAPI連携することにより、提供必須情報の出力後の簡易な入力操作を受け付けるのみで、以後の不動産取引のための電子契約締結処理に移行することが可能である。このように、不動産取引に関連する各種機能の提供を可能とする外部サーバとの連携を可能とし、提供必須情報の出力後に随時当該連携機能を提供することにより、多様な要望をもつ利用者の便宜にかなう不動産取引に係る手段を提供することが可能となる。
【0017】
次に、取引端末や仲介業者端末、各種端末については、その種別を特に限定することはなく、例えば、スマートフォン0111やタブレット0121、パソコン0112、0121などが考えられ、その他にもスマートペンやスマートグラスなどのスマートデバイスが考えられる。なお、ここで言及した各種端末については、その後の不動産取引を円滑に進めるため、ディスプレイを備えることはもちろん、カメラやマイクなど音声や画像を出力するためのデバイスないし機能を実装可能とすることが望ましい。
【0018】
以下、本発明の各実施形態について図面とともに説明する。まず実施形態と請求項の相互の関係は、以下のとおりである。まず、実施形態1は主に請求項1、5、6などに対応する。実施形態2は主に請求項2などに対応する。実施形態3は主に請求項3などに対応する。実施形態4は主に請求項4などに対応する。ただし、各実施形態にて説明する技術的特徴は、他の実施形態にて説明する技術的特徴と組み合わせて用いられることも可能である。
【0019】
なお、本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではなく、技術常識に従って特許請求の範囲の各請求項に記載の技術的思想を有し、その要旨を逸脱しない範囲内において、様々な態様で実施し得る。
【0020】
<<実施形態1>>
<概要>
図2は、本実施形態の取引フロー管理システムの機能ブロックの一例を示す図である。同図において示されているように、本実施形態の「取引フロー管理システム」0200は、「提供承諾情報取得部」0201と、「提供必須情報出力部」0202と、を有する。
【0021】
なお、以下で詳しく説明する取引フロー管理システムは、その機能の一又は複数の機能を複数の装置にて実現するようにも構成され得るものであって、その機能ブロックは、いずれもハードウェア又はソフトウェアとして実現され得る。コンピュータを用いるものを例にすれば、CPUやメインメモリ、GPU、TPU、画像メモリ、バス、二次記憶装置(ハードディスクや不揮発性メモリ)、キーボードやマイク、タッチパネル、タッチパネルをタッチするための電子ペンなどの各種入力デバイス、スピーカ、ディスプレイその他各種出力デバイス、その他の外部周辺装置などのハードウェア構成部、またその外部周辺装置用のインタフェース、通信用インタフェース、それらのハードウェアを制御するためのドライバプログラムやその他のアプリケーションプログラムなどが挙げられる。
【0022】
そしてメインメモリ上に展開したプログラムに従った演算処理によって、入力デバイスやその他インタフェースなどから入力されメモリやハードウェア上に保持されているデータなどが加工、蓄積されたり、前記各ハードウェアやソフトウェアを制御するための命令が作成されたりする。ここで、上記プログラムは、モジュール化された複数のプログラムとして実現されてもよいし、2以上の分散管理されたプログラムをクラウドコンピューティングその他の方法により組み合わせて一のプログラムとして実現されても良い。
【0023】
<機能的構成>
「提供承諾情報取得部」0201は、特定の不動産取引に関連して取引相手への書面又は電磁的方法による提供が必要となる一又は複数種類の情報である提供必須情報について、電磁的方法による提供を承諾する旨の情報である提供承諾情報を当該提供が必要となる一又は複数の対象から取得するための処理を行うように構成されている。ここでいう不動産取引の種別に特に限定はなく、土地、施設又は建物あるいはそれらの附属物などを対象とする取引が考えられる。取引態様についても、売買や賃貸借などのほか、それらの取引の媒介契約の締結はもちろん、抵当権設定や共有物分割、信託など多種多様な態様が含まれうる。
【0024】
個々の不動産取引における提供必須情報の有無及びその内容、それらの情報の提供が必要となる一又は複数の対象については、本発明の他の機能又は外部サーバ等で予め保持しておくことが考えられる。具体的な例を挙げると、不動産売買や賃貸借取引を行う場合、契約締結前に、宅建業者が物件の詳細な情報を説明する際に必要となる重要事項とも呼ばれるそれらの情報が提供必須情報となりうる。
【0025】
具体的な提供必須情報の有無は、特定の不動産取引の管理を行うための種々の情報の入力を受け付ける過程で判断することが考えられる。例えば、当時者端末や仲介事業者端末から特定の不動産取引(例えば不動産の賃貸)をおこなうことを意図する内容の情報の入力を受付けると、当該入力内容に応じた提供必須情報(賃貸借取引に伴い賃貸人が賃借人に提供する必要がある重要事項情報)を抽出する。ちなみに、ここでいう提供必須情報には、一般的抽象的な情報項目のみを意味することもあれば、予め入力されている個別特定の不動産取引における情報を意味することもある。一般的抽象的な情報項目のみが抽出されるような場合には、当該抽出結果を受信した端末において、個別特定の不動産取引において当該項目と紐づけられる個々の情報の入力をおこなうことで提供必須情報の内容を更新することとなる。
【0026】
提供承諾情報取得部においては、終局的には提供承諾情報を取得することが基本的な構成であるところ、提供承諾情報取得の契機は種々の態様が考えられ、情報の取得にいたるまでの種々の処理についても、同部の機能の一部として構成されていても良い。例えば、本発明の取引フロー管理システムから不動産取引当事者の管理する端末に対して、提供必須情報を電磁的方法により提供可能か否かを尋ねる情報を出力し、当該出力に応じて提供承諾情報を受信取得するような構成が考えられる。また、不動産取引の仲介業者端末から、特定の不動産取引当事者の情報と紐づけて提供承諾情報を取得するような構成も考えられる。
【0027】
上記提供承諾情報は、特定の不動産取引と紐づけられることはもちろん、不動産取引当事者と紐づけられていることが必要となる。提供承諾情報は具体的には、電子メール上の意思表示や、pdfその他の電子文書形式にて取得することが考えられるところ、ここで、取引当事者と紐づけられていることを担保するため、提供承諾情報には、特定の取引当事者を識別するための情報である当事者識別情報の紐づけを要求し、当事者識別情報が付与されていない限り、提供承諾情報を取得できないような識別処理を行う構成が考えられる。具体的には、電子署名をはじめとする特定の個人や法人を識別するための種々の認証手段が講じられていたりすることが考えられる。これらの構成を採用して取得した提供承諾情報が真に取引当事者からのものであることを担保することにより、取引当事者からの承諾を得たことのエビデンスを管理し、当該取引当事者本人を含む関係者や第三者の信頼感を高めることができる。
【0028】
なお、ここまで述べてきたような電子署名等を付与する構成のほか、多段階認証その他の本人確認手段を用いることで、取得した提供承諾情報が特定の不動産取引当事者からのものであることを確認するような構成も考えられる。例えば、予め特定の取引当事者と紐づけて本発明の取引フロー管理システムにおいて保持されている識別のための情報(電子メールアドレスや取引ID、氏名、住所、電話番号、パスワード)を一又は複数組み合わせて受け付けておき、種々の態様を通じてこれらの情報の入力を受け付けることで当事者識別情報として取扱うことが考えられる。さらに、取引当事者からの情報取得に加え、仲介業者その他当該不動産取引に関与する第三者から、当該提供承諾情報が真に取引当事者により出力されたものであることを証明する情報を取得することも考えられる。このように、多様な手段により取引当事者からの提供承諾情報取得の真正を確認可能な構成を採用可能とすることで、運用面でのコストを抑えつつ、適正な手続進行のプロセス管理ができるようになる。
【0029】
ちなみに、提供承諾情報は、一又は複数種類の情報である提供必須情報のうち一部についてのみ電磁的な提供を承諾すること内容とすることも否定されない。例えば、重要事項説明に用いられる情報や、取引に関する契約内容に関する情報が提供必須情報とされる場合において、重要事項説明に用いられる情報については電磁的方法による提供を承諾するいっぽう、取引に関する契約内容に関する情報(宅建業法第37条に基づき提供することが必須とされる情報など)については紙面による提供を求める、すなわち電磁的方法による提供を拒否するような内容としてもよい。当該構成をとることにより、不動産取引当事者の多様なニーズに対応した管理が可能となる。
【0030】
「提供必須情報出力部」0202は、前記提供承諾情報が取得されている場合に限り当該提供承諾情報と紐付けられる提供必須情報を出力するように構成されている。提供必須情報のうち、提供承諾情報が紐づけられていないものについては、仲介業者端末や当事者端末などに対し、電磁的方法による提供が不可能であることを示す情報を出力したり、紙面による提供を促す旨のメッセージを表示出力したりすることが考えられ、かかる処理を行うに際しては、提供承諾情報に代わり電磁的提供を明示的に又は黙示的に拒むことを意味する情報である電磁的提供拒否情報の取得を契機とするような処理を行うことが考えられる。
【0031】
また、提供必須情報を出力するにあたっては、予め出力先から電磁的方法による提供に関する具体的な出力態様の要求を受け付けることも考えられる(この場合、当該要求を前記提供承諾情報の内容として構成してもよい)。具体的には、電子メールでの提供、所定のウェブページからのダウンロード形式による提供、電磁的な情報が格納された記憶媒体の交付による提供といった提供態様に関する要求のほか、特定のフォーマット(Excel(登録商標)等特定のソフトウェアを用いた形式あるいはpdf等の記録形式)に関する要求などを受け付けることが考えられる。これらの要求は、予め仲介事業者から提示された選択肢に応じてなされるものであってもよいし、それらの提示内容に対する包括的な承諾を意味する内容の情報であってもよい。いずれにしても、当該構成を採用することにより、当事者の環境に応じた種々の態様での電磁的方法での情報提供が可能になり、円滑かつ迅速な情報提供が可能となる。
【0032】
また、提供必須情報の出力を行うにあたっては、当該出力先の情報(メールアドレス等)や、出力後に当該情報が出力先において閲覧されたか否か(開封情報や既読情報、ダウンロード等)あるいは出力に関する日時(出力日時、受信日時、ダウンロード日時、開封日時、閲覧日時等)をも取得して、提供必須情報等と紐づけて保持しておくことが望ましい。当該構成を採用することにより、提供必須情報が電磁的に提供されたことのエビデンスを管理することが可能となる(なお、提供されたことに加え提供必須情報が受信されたことのエビデンスについては、実施形態2において詳述する)。
【0033】
なお、提供必須情報を出力するにあたり、当該情報を音声でも出力可能とするための音声読上部をさらに設けるような構成も考えられる。予め提供必須情報を読み上げる音声情報を生成しておくとともに、取引当事者の選択に応じ当該音声情報を再生することにより、提供必須情報を音声でも出力することが考えられる。文字認識ないし識字処理及び音声合成処理を経て音声合成処理をおこない、音声読上げ処理に利用するような構成も考えられる。当該構成を採用することで、高齢者や若年者視覚に障害がある者など、提供必須情報の文字による認識が物理的に困難であったり、情報の意味内容が難解であったりするような場合であっても、音声読上げ処理を同時に行うことでそれらの困難性を緩和することが可能となる。
【0034】
ちなみに、ここでいう音声読上部においては、取引当事者の選択により、適宜の読み上げ箇所を繰り返し読み上げたり、所定の読み上げ箇所に移動したりすることが可能である。ただこの場合、すべての表記内容の読上げ処理が完了しない限り、提供必須情報の提供処理が完了したとは判断せず、不動産取引契約の締結等の次の処理に移行できないような制御を行うことも可能である。具体的には、取引当事者において一部の表記箇所のみの読み上げ処理をスキップしたり、ネットワーク環境の不備その他の都合で一部の表記箇所の読み上げ処理が円滑に行われなかったりする場合などである。当該構成を採用することで、読み飛ばし等に伴い提供必須情報の理解が不十分なままその後の取引が行われ、結果として当事者の真意に基づかない不動産取引が行われるような不都合が生じることを回避することができる。
【0035】
さらには、提供必須情報に含まれる各種の情報については、その意味内容が困難と思われる部分につき、適宜補足をするための補足情報を紐づけてもよい。補足情報は、当該意味内容を解説するための外部のウェブサイト等へのリンクや、直接それらの説明を加えるコメント表記など種々の態様により構成されてよく、補足内容も単に意味内容を説明するものにとどまらず、関連する事例の紹介や当該取引当事者に関連する情報といった参考情報を説明する内容であってもよい。これらの構成を採用することで、提供必須情報を対面で提供せずに電磁的方法により提供する場合であっても、提供相手を不安にさせず、納得感のある情報提供を行うことが可能となる。
【0036】
<具体的な構成>
ここで図3を示す。同図は本実施形態の取引フロー管理システムの機能的な各構成をまとめて一のハードウェアとして実現した際の構成の一例を示す概略図である。各装置はいずれも、それぞれ各種演算処理を実行するための「CPU」0301と、「記憶装置(記憶媒体)」0302と、「メインメモリ」0303と、「入出力インタフェース」0304、「ネットワークインタフェース」0305と、を備え、入出力インタフェースを介して、例えば「マイク」0306などの外部周辺装置と情報の送受信を行う。
【0037】
また、本実施形態の取引フロー管理システムは、ネットワークインタフェースを介して複数の「取引端末」0307や「仲介業者端末」0308、契約締結処理を行ったり提供必須情報の雛形等を保管したりする「外部サーバ」0309などの外部装置と情報の送受信を行いうる。このネットワークインタフェースの具体的な態様は有線、無線を問わず、また通信の方法も、両端末間で直接、間接なされるかを問わない。よって特定の外部端末ないし同端末の利用者と紐づけられた外部サーバとの間で情報の送受信を行ういわゆるクラウドコンピューティングの形式を採用することも可能である。
【0038】
記憶装置には以下で説明するような各種プログラムが格納されており、CPUはこれら各種プログラムをメインメモリのワーク領域内に読み出して展開、実行する。なお、これらの構成は、「システムバス」0399などのデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行う(以上の構成の基本的な構成は、以下で説明する他の装置のいずれについても同様である。
【0039】
(提供承諾情報取得部の具体的な構成)
提供承諾情報取得部は、コンピュータプログラムとコンピュータハードウェアにより構成され、具体的には、CPUが記憶装置から「提供承諾情報取得プログラム」0310をメインメモリに読み出して実行し、取引相手への書面又は電磁的方法による提供が必要となる一又は複数種類の情報である提供必須情報について、電磁的方法による提供を承諾する旨の情報である提供承諾情報を当該提供が必要となる一又は複数の対象から取得するための処理を行う。
【0040】
(提供必須情報出力部の具体的な構成)
提供必須情報出力部は、コンピュータプログラムとコンピュータハードウェアにより構成され、具体的には、CPUが記憶装置から「提供必須情報出力プログラム」0320をメインメモリに読み出して実行し、前記提供承諾情報が取得されている場合に限り当該提供承諾情報と紐付けられる提供必須情報を出力するための処理を行う。
【0041】
なお、上述したように、CPUが記憶装置から音声読上げプログラムをメインメモリに読み出して実行し、提供必須情報を音声にて読み上げる処理を行う事も考えられる。この場合提供必須情報の音声出力は、予め同情報を読み上げた音声データを格納しておき、同データを読み出して出力する場合もあれば、提供必須情報を文字認識したうえで音声合成処理して出力する場合などが考えられ、それらの各種処理は、本システムにて行われても良いし、外部サーバ等で行われても良い。
【0042】
<処理の流れ>
図4は、本実施形態の取引フロー管理システムにおける処理の流れの一例を示す図である。同図の処理の流れは以下のステップからなる。最初にステップS0401では、特定の不動産取引に関連して提供が必要となる一又は複数種類の情報である提供必須情報について、電磁的方法による提供を承諾する旨の情報である提供承諾情報を当該提供が必要となる一又は複数の対象から取得するための処理を行い(提供承諾情報取得ステップ)、ステップS0402では、前記提供承諾情報が取得されているか否かを判断する。ここでの判断結果が取得されているとの内容であればステップS0404以降の処理に移行し、取得されていないとの内容であれば、次にステップS0403において提供必須情報の電磁的提供を明示的又は黙示的に拒否しているか否かを判断する。ここで拒否していると判断される場合にはその後の処理を行わず、拒否しているとは判断できない場合には、ステップS0402以下の処理を繰り返す。
【0043】
ステップS0404では、当該提供承諾情報と紐付けられる提供必須情報を出力するための処理を行う(提供必須情報出力ステップ)。なお、図示してはいないが、ステップS0403において提供必須情報の電磁的提供を明示的又は黙示的に拒否していると判断される場合、ステップS0405として、提供必須情報を紙面に印刷出力するか、印刷出力すべきあるいは紙面にて提供すべき旨のメッセージを表示出力するなど、電磁的な情報提供以外の情報提供を促す処理を行う処理をおこなってもよい。
【0044】
<効果>
以上の構成を採用する取引フロー管理システムを利用することにより、取引当事者の要望に応じた態様を適切に管理し、迅速かつ効率的な不動産取引のための各種処理を実現することが可能となる。
【0045】
<<実施形態2>>
<概要>
本実施形態の取引フロー管理システムは、基本的には実施形態1に記載の取引フロー管理システムの構成と同様であるが、出力された提供必須情報の提供を受けた旨の情報である受領情報を当該受領の日時に関する情報と紐づけて取得する点において更なる特徴を有している。
【0046】
<機能的構成>
図5は、本実施形態の取引フロー管理システムの機能ブロックの一例を示す図である。同図において示されているように、本実施形態の「取引フロー管理システム」0500は、「提供承諾情報取得部」0501と、「提供必須情報出力部」0502と、「受領情報取得部」0503と、を有する。基本的な構成は、実施形態1の図2を用いて説明した取引フロー管理システムと共通するため、以下では相違点である「受領情報取得部」0503の機能について説明する。
【0047】
「受領情報取得部」0503は、出力された提供必須情報の提供を受けた旨の情報である受領情報を当該受領の日時に関する情報と紐づけて取得するように構成されている。受領情報は、提供必須情報の出力先に対してその出力を要求し、当該要求に応じて取得するような構成であっても、実施形態1の説明で提供必須情報の受領日時その他閲覧等の事実があった場合をトリガとし、当該処理結果の出力を受け付ける構成を採用してもよい。受領情報は、提供元の端末より電子メールにより提供を受けた旨の連絡を取得する構成であってもよいし、所定のウェブページにおいて、提供必須情報の内容を確認した旨のチェックボックスにチェックを入れるなど、受領情報を提供必須情報の内容確認にまで踏み込んだものとすることも考えられる。これらの情報をも取得する構成を採用することにより、真に提供必須情報が提供された、すなわち取引当事者において認識したことを担保することが可能となる。
【0048】
さらに、受領情報を取得しない限り、提供必須情報の提供処理が完了したとは判断せず、不動産取引契約の締結等の次の処理に移行できないような制御を行うことも可能である。実施形態1の音声読上げ処理との関連で説明したように、当該構成を採用することで、当事者の真意に基づかない不動産取引が行われるような不都合が生じることを回避することができる。
【0049】
<具体的な構成>
本実施形態の取引フロー管理システムのハードウェア構成は、基本的には、図3を用いて説明した実施形態1の取引フロー管理システムにおけるハードウェア構成と同様である。そこで以下については、これまで説明していない「受領情報取得部」の具体的な処理について説明する。
【0050】
(受領情報取得の具体的な構成)
受領情報取得部は、具体的にはコンピュータプログラムとコンピュータハードウェアにより構成され、CPUが記憶装置から「受領情報取得プログラム」をメインメモリに読み出して実行し、提供必須情報の出力先より当該情報の提供を受けた旨の情報である受領情報を、当該受領の日時に関する情報と紐づけて取得し、メインメモリの所定のアドレスに格納する。
【0051】
<処理の流れ>
図6は、本実施形態の取引フロー管理システムにおける処理の流れの一例を示す図である。同図の処理の流れは、以下のステップからなる。最初にステップS0601では、特定の不動産取引に関連して提供が必要となる一又は複数種類の情報である提供必須情報について、電磁的方法による提供を承諾する旨の情報である提供承諾情報を当該提供が必要となる一又は複数の対象から取得するための処理を行い(提供承諾情報取得ステップ)、ステップS0602では、前記提供承諾情報が取得されているか否かを判断する。ここでの判断結果が取得されているとの内容であればステップS0604以降の処理に移行し、取得されていないとの内容であれば、次にステップS0603において提供必須情報の電磁的提供を明示的又は黙示的に拒否しているか否かを判断する。ここで拒否していると判断される場合には、ステップS0605の処理に移行し、拒否しているとは判断できない場合には、ステップS0602以下の処理を繰り返す。
【0052】
ステップS0604では、当該提供承諾情報と紐付けられる提供必須情報を出力するための処理を行う(提供必須情報出力ステップ)。そしてステップS0605では、提供必須情報を紙面に印刷出力するか、印刷出力すべきあるいは紙面にて提供すべき旨のメッセージを表示出力するなど、電磁的な情報提供以外の情報提供を促す処理を行い、その後の処理を行わない。
【0053】
ステップS0604のあと、ステップS0606では、前記提供必須情報の出力先から同情報の提供を受けた旨の情報である受領情報を受信したかどうかを判断する。個々での判断結果が受信したとの内容であれば、ステップS0607の処理に移行し、受信していない場合には、同じ処理を繰り返し行う。そしてステップS0607では、受信した受領情報を当該受領の日時に関する情報と紐づけて取得する(受領情報取得ステップ)。
【0054】
<効果>
本実施形態の取引フロー管理システムを用いることにより、実施形態1の取引フロー管理システムを用いる場合に比べて、より不動産取引を迅速に行えるのみならず、その適正を担保することが可能となる。
【0055】
<<実施形態3>>
<概要>
本実施形態の取引フロー管理システムは、基本的には実施形態1や2に記載の取引フロー管理システムの構成と同様であるが、提供必須情報出力に際し、前記対象から提供承諾情報の内容を撤回する旨の情報である提供撤回情報を取得すると、当該提供承諾情報と紐付けられる提供必須情報の印刷出力を促す点を更なる特徴として備えている。
【0056】
<機能的構成>
図7は、本実施形態の取引フロー管理システムの機能ブロックの一例を示す図である。同図において示されているように、本実施形態の「取引フロー管理システム」0700は、「提供承諾情報取得部」0701と、「提供必須情報出力部」0702と、を有し、提供必須情報出力部は、「印刷出力手段」0712をさらに有する。基本的な構成は、実施形態1の図2を用いて説明した取引フロー管理システムと共通するため、以下では相違点である「印刷出力手段」0712の機能について説明する。
【0057】
「印刷出力手段」0712は、提供必須情報出力部において、前記対象から提供承諾情報の内容を撤回する旨の情報である提供撤回情報を取得すると、当該提供承諾情報と紐付けられる提供必須情報の印刷出力を促すように構成されている。当該構成を採用することで、いちど電磁的方法による情報提供を承諾したものの、電磁的方法による情報の取得に不安があったり、ネットワーク環境その他の事情により電磁的方法による情報の取得が困難である場合にも、紙への印字による情報提供を受けることで、以後の不動産取引を滞りなく進める事が可能となる。
【0058】
提供撤回情報は、提供必須情報出力対象となる取引当事者からの電子メールによって取得したり、所定のウェブページやシステムを通じて取得することが考えられる。そして、当該取得に際しては、取得元となる取引当事者の真正を確認するための種々の認証処理が行われるべきことは、実施形態1の関連箇所において説明した内容と同様である。
【0059】
なお、印刷出力手段は、上記のような趣旨のもと、いったん提供必須情報が電磁的方法により出力された後は、すでに取引当事者においてはその内容が把握可能となっているとして、その処理ができないような構成にしてもよい。ただ、取引当事者においては電磁的方法による提供に加え、印刷による方法での提供をも求めるような場合もありうるため、そのような要請にも対応できるようにしてもよい。この場合、従前の説明にもあるように、電磁的方法により提供必須情報を提供したり、同情報が受領された情報を取得し保持しておくとともに、その後印刷出力の要求が併存してなされた旨の情報もともに保持しておくことが望ましい。それらの各種処理が行われた時系列が把握可能なエビデンスを管理しておくことで、取引当事者が、どのような手段で提供必須情報に接し、その内容を把握したかを客観的に確認することを容易にすることができる。
【0060】
<具体的な構成>
本実施形態の取引フロー管理システムのハードウェア構成は、基本的には、図3を用いて説明した実施形態1の取引フロー管理システムにおけるハードウェア構成と同様である。そこで以下については、これまで説明していない「印刷出力手段」の具体的な処理について説明する。
【0061】
(印刷出力手段の具体的な構成)
印刷出力手段は、具体的にはコンピュータプログラムとコンピュータハードウェアにより構成され、提供必須情報出力プログラムの処理に際し、CPUが記憶装置から「印刷出力サブプログラム」をメインメモリに読み出して実行し、提供必須情報の出力対象から提供承諾情報の内容を撤回する旨の情報である提供撤回情報を取得すると、当該提供承諾情報と紐付けられる提供必須情報の印刷出力を促す。
【0062】
<処理の流れ>
図8は、本実施形態の取引フロー管理システムにおける処理の流れの一例を示す図である。同図の処理の流れは以下のステップからなる。最初にステップS0801では、特定の不動産取引に関連して提供が必要となる一又は複数種類の情報である提供必須情報について、電磁的方法による提供を承諾する旨の情報である提供承諾情報を当該提供が必要となる一又は複数の対象から取得するための処理を行い(提供承諾情報取得ステップ)、ステップS0802では、前記提供承諾情報が取得されているか否かを判断する。ここでの判断結果が取得されているとの内容であればステップS0804以降の処理に移行し、取得されていないとの内容であれば、次にステップS0803において提供必須情報の電磁的提供を明示的又は黙示的に拒否しているか否かを判断する。ここで拒否していると判断される場合には、ステップS0805の処理に移行し、拒否しているとは判断できない場合には、ステップS0802以下の処理を繰り返す。
【0063】
ステップS0804では、当該提供承諾情報と紐付けられる提供必須情報を出力するための処理を行う(提供必須情報出力ステップ)。ただし、ステップS0802において提供承諾情報を取得したと判断した後ステップS0804の処理が行われるよりも前に、ステップS0814として提供撤回情報を取得した場合には、その後はステップS0804の処理を行わず、ステップS0805の処理に移行する。
【0064】
そしてステップS0805では、提供必須情報を紙面に印刷出力するか、印刷出力すべきあるいは紙面似て提供すべき旨のメッセージを表示出力するなど、電磁的な情報提供以外の情報提供を促す処理を行い、その後の処理を行わない。
【0065】
<効果>
本実施形態の取引フロー管理システムを用いることにより、実施形態1の取引フロー管理システムを用いる場合に比べて、取引当事者のITリテラシやネットワーク環境に応じた柔軟な対応が可能になる。
【0066】
<<実施形態4>>
<概要>
本実施形態の取引フロー管理システムは、基本的には実施形態1に記載の取引フロー管理システムの構成と同様であるが、提供必須情報が動画像により提供される場合に、当該動画像を、当該動画像が提供される日時の情報とともに録画して取得する点を更なる特徴として備えている。
【0067】
<機能的構成>
図9は、本実施形態の取引フロー管理システムの機能ブロックの一例を示す図である。同図において示されているように、本実施形態の「取引フロー管理システム」0900は、「提供承諾情報取得部」0901と、「提供必須情報出力部」0902と、「録画取得部」0903と、を有する。基本的な構成は、実施形態1の図2を用いて説明した取引フロー管理システムと共通するため、以下では相違点である「録画取得部」0903の機能について説明する。
【0068】
「録画取得部」0903は、提供必須情報が動画像により提供される場合に、当該動画像を、当該動画像が提供される日時の情報とともに録画して取得するように構成されている。実施形態1において、提供必須情報を音声読上げする処理について説明したが、本実施形態においては、提供必須情報を電磁的方法にて出力することに加え、別途動画像を出力し、当該動画像を録画することを技術的特徴として備えている。具体的には、提供必須情報の出力元たる不動産取引の仲介業者(宅建業者)と、同情報の出力先である不動産取引当事者(非宅建業者)とがウェブカメラその他の録画手段により撮像され、同画像において、不動産取引当事者が出力した提供必須情報を読み上げたり、取引当事者がその内容に質問をしたりする状況を逐次録画することが考えられる。当該動画像が、提供必須情報の読上げ開始から終了までの間途切れることなく録画されることにより、同読上げを通じて取引当事者が提供必須情報の内容を理解した旨の記録を動画像にて管理保持することができるようになる。ここで読上げ対象となる電磁的記録たる提供必須情報は、予め出力先たる取引当事者に出力されていることが望ましい。
【0069】
なお、録画取得部においては、動画像が提供される日時の情報がともに取得対象となっている。ここでは例えば、単に動画像提供の日時にとどまらず、動画像の録画時間をも取得することが考えられる。この場合予め、動画像の適正な録画時間に関する情報として適正録画時間情報を保持しておき、録画取得部にて取得する動画像が適正録画時間情報に照らして不適正であると判断される場合には、読上げ処理ないし録画取得処理のやり直しを促す処理が行われるように設定しても良い。提供必須情報が一定の情報量となることが予め予定される場合、あまりにも短い時間で動画像が終了している場合には、当該時間内では、必要な提供必須情報がすべて読み上げられていないか、不適正な態様にて読上げられていると判断されるためである。このような構成を採用することにより、読上げを行う者と読上げられる者とが安易な合意を行うことで、提供必須情報が十分に提供されないような事態の発生を抑止ないし回避することができる。
【0070】
<具体的な構成>
本実施形態の取引フロー管理システムのハードウェア構成は、基本的には、図3を用いて説明した実施形態1の取引フロー管理システムにおけるハードウェア構成と同様である。そこで以下については、これまで説明していない「録画取得部」の具体的な処理について説明する。
【0071】
(録画取得部の具体的な構成)
録画取得部は、具体的にはコンピュータプログラムとコンピュータハードウェアにより構成され、提供必須情報が動画像により提供されるとの指示を受けた場合、CPUが記憶装置から「録画取得プログラム」をメインメモリに読み出して実行し、当該動画像を提供される日時の情報とともに録画して取得するための処理を行い、メインメモリの所定のアドレスに格納する。
【0072】
<処理の流れ>
図10は、本実施形態の取引フロー管理システムにおける処理の流れの一例を示す図である。同図の処理の流れは以下のステップからなる。最初にステップS1001では、特定の不動産取引に関連して提供が必要となる一又は複数種類の情報である提供必須情報について、電磁的方法による提供を承諾する旨の情報である提供承諾情報を当該提供が必要となる一又は複数の対象から取得するための処理を行い(提供承諾情報取得ステップ)、ステップS1002では、前記提供承諾情報が取得されているか否かを判断する。ここでの判断結果が取得されているとの内容であればステップS1004以降の処理に移行し、取得されていないとの内容であれば、次にステップS1003において提供必須情報の電磁的提供を明示的又は黙示的に拒否しているか否かを判断する。ここで拒否していると判断される場合には、ステップS1005の処理に移行し、拒否しているとは判断できない場合には、ステップS1002以下の処理を繰り返す。
【0073】
ステップS1004では、当該提供承諾情報と紐付けられる提供必須情報を動画像にて出力するための処理を行う(提供必須情報動画像出力ステップ)とともに、ステップS1006の処理に移行する。そしてステップS1005では、提供必須情報を紙面に印刷出力するか、印刷出力すべきあるいは紙面似て提供すべき旨のメッセージを表示出力するなど、電磁的な情報提供以外の情報提供を促す処理を行い、その後の処理を行わない。
【0074】
ステップS1006では、提供必須情報を動画像で提供し、ステップS1007にて当該動画像を、提供される日時の情報とともに録画して取得するための処理を行う(録画取得ステップ)。
【0075】
<効果>
本実施形態の取引フロー管理システムを用いることにより、実施形態1の取引フロー管理システムを用いる場合に比べて、不動産取引当事者の提供必須情報に対する理解度を高める事ができるのみならず、当該理解の過程を好適な態様にて記録管理することが可能になる。
【符号の説明】
【0076】
0200・・・取引フロー管理システム、0201・・・提供承諾情報取得部、0202・・・提供必須情報出力部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2022-12-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不動産取引のための契約締結処理を行うための電子契約サーバと相互にオンライン又はオフラインのネットワークを介してコンピュータを接続する取引フロー管理方法であって、
特定の不動産取引に関連して取引相手への書面又は電磁的方法による提供が必要となる一又は複数種類の情報である提供必須情報について、電磁的方法による提供を承諾する旨の情報である提供承諾情報を当該提供が必要となる一又は複数の対象から取得するための提供承諾情報取得ステップと、
前記提供承諾情報が取得されている場合に限り当該提供承諾情報と紐付けられる提供必須情報を出力するための提供必須情報出力ステップと、
出力された提供必須情報の提供を受けた旨の情報である受領情報を当該受領の日時に関する情報と紐づけて取得する受領情報取得ステップと、
をコンピュータにて実行する取引フロー管理方法であり、
前記受領情報を取得しない限り前記不動産取引契約の締結の処理に移行できないような制御を行うことで前記提供必須情報が出力された場合に限り前記電子契約サーバとの通信を可能とすることを特徴とする取引フロー管理方法。
【請求項2】
提供必須情報出力ステップは、
前記対象から提供承諾情報の内容を撤回する旨の情報である提供撤回情報を取得すると、
当該提供承諾情報と紐付けられる提供必須情報の印刷出力を促す印刷出力サブステップをさらに有する請求項1に記載の取引フロー管理方法。
【請求項3】
提供必須情報が動画像により提供される場合に、当該動画像を、当該動画像が提供される日時の情報とともに録画して取得するための録画取得ステップをさらに有する請求項1に記載の取引フロー管理方法。
【請求項4】
不動産取引のための契約締結処理を行うための電子契約サーバと相互にオンライン又はオフラインのネットワークを介してコンピュータを接続するための取引フロー管理プログラムであって、
特定の不動産取引に関連して取引相手への書面又は電磁的方法による提供が必要となる一又は複数種類の情報である提供必須情報について、電磁的方法による提供を承諾する旨の情報である提供承諾情報を当該提供が必要となる一又は複数の対象から取得するための提供承諾情報取得ステップと、
前記提供承諾情報が取得されている場合に限り当該提供承諾情報と紐付けられる提供必須情報を出力するための提供必須情報出力ステップと、
出力された提供必須情報の提供を受けた旨の情報である受領情報を当該受領の日時に関する情報と紐づけて取得する受領情報取得ステップと、
をコンピュータにて実行可能とする取引フロー管理プログラムであり、
前記受領情報を取得しない限り前記不動産取引契約の締結の処理に移行できないような制御を行うことで前記提供必須情報が出力された場合に限り前記電子契約サーバとの通信を可能とすることを特徴とする取引フロー管理プログラム。
【請求項5】
不動産取引のための契約締結処理を行うための電子契約サーバと相互にオンライン又はオフラインのネットワークを介してコンピュータを接続するための取引フロー管理システムであって、
特定の不動産取引に関連して取引相手への書面又は電磁的方法による提供が必要となる一又は複数種類の情報である提供必須情報について、電磁的方法による提供を承諾する旨の情報である提供承諾情報を当該提供が必要となる一又は複数の対象から取得するための提供承諾情報取得部と、
前記提供承諾情報が取得されている場合に限り当該提供承諾情報と紐付けられる提供必須情報を出力するための提供必須情報出力部と、
出力された提供必須情報の提供を受けた旨の情報である受領情報を当該受領の日時に関する情報と紐づけて取得する受領情報取得部と、
を備える取引フロー管理システムであり、
前記受領情報を取得しない限り前記不動産取引契約の締結の処理に移行できないような制御を行うことで前記提供必須情報が出力された場合に限り前記電子契約サーバとの通信を可能とすることを特徴とする取引フロー管理システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
以下、本発明の各実施形態について図面とともに説明する。まず実施形態と請求項の相互の関係は、以下のとおりである。まず、実施形態1は主に請求項1、4、5などに対応する。実施形態2主に請求項などに対応する。実施形態3は主に請求項などに対応する。実施形態4は主に請求項などに対応する。ただし、各実施形態にて説明する技術的特徴は、他の実施形態にて説明する技術的特徴と組み合わせて用いられることも可能である。