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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024150
(43)【公開日】2024-02-22
(54)【発明の名称】農作業機用リモコンシステム
(51)【国際特許分類】
   A01B 69/00 20060101AFI20240215BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20240215BHJP
【FI】
A01B69/00 B
H04Q9/00 301B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022126760
(22)【出願日】2022-08-09
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】000188009
【氏名又は名称】松山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】弁理士法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池内 善活
(72)【発明者】
【氏名】大村 英昭
【テーマコード(参考)】
2B043
5K048
【Fターム(参考)】
2B043AB11
2B043AB15
2B043BA02
2B043BB01
2B043ED14
2B043ED27
5K048AA05
5K048BA21
5K048DA01
5K048DB01
5K048EB02
5K048FB15
5K048GA09
(57)【要約】
【課題】トラクタに装着する作業機に備えるアクチュエータの操作時の利便性と安全性を高めた農作業機用リモコンシステムを提供することを目的とする。
【解決手段】手動モードの場合は、リモコン装置10の対応するスイッチを押している間だけアクチュエータ22が作動し、自動モードの場合は、リモコン装置10の対応するスイッチを押すとその後はスイッチを離してもアクチュエータ22が所定の位置まで作動し、制御装置20は、手動モードの場合においては、リモコン装置10に送信した確認のための信号の返信を第1の所定時間以内に受信しない場合はアクチュエータ22の作動を停止し、自動モードの場合においては、リモコン装置10に送った確認のための信号の返信を第2の所定時間以内に受信しない場合はアクチュエータ22の作動を停止し、第2の所定時間は、第1の所定時間よりも短い。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラクタに装着して農作業を行う作業機に用いる農作業機用リモコンシステムにおいて、
前記作業機に設けられ前記作業機に有するアクチュエータを制御する制御装置と、前記制御装置と無線通信可能なリモコン装置とを備え、
前記制御装置が前記アクチュエータの作動を制御する際に手動モードで制御するか、自動モードで制御するかを前記リモコン装置で選択可能であり、
前記手動モードの場合は、前記リモコン装置の対応するスイッチを押している間だけ前記アクチュエータが作動し、
前記自動モードの場合は、前記リモコン装置の対応するスイッチを押すとその後はスイッチを離しても前記アクチュエータが所定の位置まで作動し、
前記制御装置は、前記手動モードの場合においては、前記リモコン装置に送信した確認のための信号の返信を第1の所定時間以内に受信しない場合は前記アクチュエータの作動を停止し、前記自動モードの場合においては、前記リモコン装置に送った確認のための信号の返信を第2の所定時間以内に受信しない場合は前記アクチュエータの作動を停止し、
前記第2の所定時間は、前記第1の所定時間よりも短いことを特徴とする農作業機用リモコンシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の農作業機用リモコンシステムにおいて、
前記制御装置は、前記手動モードの場合においては、前記リモコン装置へ確認のための信号の送信は第1の所定間隔ごとに行い、前記自動モードの場合においては、前記リモコン装置へ確認のための信号の送信は第2の所定間隔ごとに行い、
前記第2の所定間隔は、前記第1の所定間隔よりも短いことを特徴とする農作業機用リモコンシステム。
【請求項3】
請求項2に記載の農作業機用リモコンシステムにおいて、
前記第1の所定時間は前記第1の所定間隔以下であり、前記第2の所定時間は前記第2の所定間隔以下であることを特徴とする農作業機用リモコンシステム。
【請求項4】
請求項2に記載の農作業機用リモコンシステムにおいて、
前記第1の所定間隔は前記第1の所定時間と同じであり、前記第2の所定間隔は前記第2の所定時間と同じであることを特徴とする農作業機用リモコンシステム。
【請求項5】
請求項1に記載の農作業機用リモコンシステムにおいて、
前記制御装置は、前記自動モードにおいて、前記リモコン装置へ送信した確認のための信号の返信を前記第2の所定時間以内に受信せずに前記アクチュエータの作動を停止した場合、第3の所定時間以内に前記リモコン装置から確認のための信号の返信がある場合は、前記アクチュエータの作動を再開することを特徴とする農作業機用リモコンシステム。
【請求項6】
請求項5に記載の農作業機用リモコンシステムにおいて、
前記第3の所定時間は、前記第2の所定時間よりも短いことを特徴とする農作業機用リモコンシステム。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の農作業機用リモコンシステムにおいて、
前記リモコン装置は表示部を有し、
前記制御装置は、前記自動モードの場合に、前記リモコン装置へ送信した確認のための信号の返信を前記第2の所定時間以内に受信しない場合は前記リモコン装置にその情報を送信し、
当該情報を受信した前記リモコン装置は、前記表示部にエラー表示を行うことを特徴とする農作業機用リモコンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農作業機用リモコンシステムに関し、特に、トラクタに装着する作業機に備えるアクチュエータの操作に用いる農作業機用リモコンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
トラクタに装着して農作業を行う作業機にはアクチュエータを備えていることが多く、このアクチュエータはリモコン装置の操作部からの操作により作業機側の制御装置で制御されることが一般的である。また、リモコン装置と制御装置の間の通信は無線通信を適用する場合も多い。このとき、アクチュエータの作動には、操作のしやすさと安全性の確保が求められる。
【0003】
特許文献1には、農作業機の作動の制御は、指令スイッチが押動されつづけなくても所定の作業を継続して行い、制御部は、所定の作業中に複数のスイッチの何れかが押された場合に所定の作業を停止する指令信号データを通信部に送るリモコン装置が開示されている。さらに、通信が途絶した場合は、所定の作業を停止することも開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-121199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
リモコン装置と制御装置の間の通信に無線通信を適用する場合、無線通信の不具合によるアクチュエータの誤作動は大きな事故にもつながり、誤作動を防止することが求められる。このとき、リモコン装置で操作をした後に、アクチュエータの動作が継続する場合は、操作の利便性は向上するが、無線通信が途切れた場合等、安全性の確保が重要である。
【0006】
ここで、特許文献1のように、通信が途絶した場合に所定の作業を停止することも考えられるが、通常の無線通信を適用すると、作業の停止が遅延する可能性もある。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みて、トラクタに装着する作業機に備えるアクチュエータの操作時の利便性と安全性を高めた農作業機用リモコンシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、代表的な本発明の農作業機用リモコンシステムの一つは、トラクタに装着して農作業を行う作業機に用いる農作業機用リモコンシステムにおいて、前記作業機に設けられ前記作業機に有するアクチュエータを制御する制御装置と、前記制御装置と無線通信可能なリモコン装置とを備え、前記制御装置が前記アクチュエータの作動を制御する際に手動モードで制御するか、自動モードで制御するかを前記リモコン装置で選択可能であり、前記手動モードの場合は、前記リモコン装置の対応するスイッチを押している間だけ前記アクチュエータが作動し、前記自動モードの場合は、前記リモコン装置の対応するスイッチを押すとその後はスイッチを離しても前記アクチュエータが所定の位置まで作動し、前記制御装置は、前記手動モードの場合においては、前記リモコン装置に送信した確認のための信号の返信を第1の所定時間以内に受信しない場合は前記アクチュエータの作動を停止し、前記自動モードの場合においては、前記リモコン装置に送った確認のための信号の返信を第2の所定時間以内に受信しない場合は前記アクチュエータの作動を停止し、前記第2の所定時間は、前記第1の所定時間よりも短いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、農作業機用リモコンシステムにおいて、アクチュエータの操作時の利便性と安全性を高めることができる。
上記以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の農作業機用リモコンシステムの一実施形態を示すブロック図である。
図2】本発明の第1の実施形態を示す平面図である。
図3】本発明の第1の実施形態のリモコン装置を示す図である。
図4】本発明の第1の実施形態のアクチュエータの操作例を説明するための図である。
図5】本発明の第1の実施形態のフローチャートである。
図6】本発明の第2の実施形態に適用される作業機の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を実施するための形態を説明する。
【0012】
<ブロック図>
図1は、本発明の農作業機用リモコンシステムの一実施形態を示すブロック図である。
【0013】
トラクタ1に農作業を行う作業部を備える作業機2を装着する。トラクタ1側には、リモコン装置10が配置可能となっている。また、作業機2側には、制御装置20、センサ21、アクチュエータ22を備えている。
【0014】
リモコン装置10は、主として作業機2側のアクチュエータ22の操作を遠隔で行うためのリモコン装置である。また、作業機2側の制御装置20から、アクチュエータ22の制御の情報やセンサ21の情報を取得してもよい。リモコン装置10と制御装置20は無線通信Rによって情報のやりとりが可能である。リモコン装置10は、表示部10a、操作部10b、無線通信部10c、処理部10dを備えている。なお、リモコン装置10には、スピーカー等の音による報知機能を有してもよい。リモコン装置10は、トラクタ1の運転席近傍に配置可能である。
【0015】
表示部10aは、操作や設定、作業機2に関する各種情報を表示する装置である。またエラー表示を行える。表示部10aは、例えば、液晶画面や有機EL(OLED)画面を適用してもよい。また、タッチパネルとして、操作部10bの機能を有していてもよい。
【0016】
操作部10bは、リモコン装置10を操作するためのスイッチを備えている。スイッチは押しボタンスイッチなど各種スイッチを適用できる。また、タッチパネルの方式を採用してもよい。
【0017】
無線通信部10cは、制御装置20の無線通信部20cと無線通信Rを行う。無線モジュール等で構成可能である。無線通信は、例えば、Wi-FiやBluetooth等の規格や、920MHz帯や2.4GHz帯等の周波数帯を用いることができる。
【0018】
処理部10dは、操作部10bの操作による情報を無線通信部10cから送信する等の処理や表示部10aに必要な情報を表示させる等の処理を行う。さらに、後述する無線通信に関する処理を行うことができる。処理部10dは、CPU(中央処理装置)やメモリ等、演算処理のために必要な電子デバイス等で構成される。また、処理部10dには、必要な情報を記録する記憶部を備えている。
【0019】
制御装置20は、リモコン装置10から無線通信Rを介した操作信号に基づきアクチュエータ22の制御を行う。また、必要に応じてセンサ21の情報も制御に使用する。また、制御装置20から、アクチュエータ22の制御の情報やセンサ21の情報等をリモコン装置10に送信する。制御装置20は、制御部20a、入出力部20b、無線通信部20cを備える。
【0020】
制御部20aは、リモコン装置10からの操作信号の情報(電気信号)やセンサ21で検知した情報を入力し、アクチュエータ22の制御するための処理等を行う。さらに、後述する無線通信(手動モードや自動モード等)に関する処理を行うことができる。制御部20aは、CPU(中央処理装置)やメモリ等、演算処理のために必要な電子デバイス等で構成される。また、制御部20aには、必要な情報を記録する記憶部を備えている。
【0021】
入出力部20bは、制御部20aの制御に基づきアクチュエータ22に電源を供給する等の機能を果たす。また、入出力部20bは、センサ21からの情報を受け取り制御部20aへ送る。
【0022】
無線通信部20cは、リモコン装置10の無線通信部10cと無線通信Rを行う。無線モジュール等で構成可能である。
【0023】
センサ21は、作業機2側に設置されるセンサであり、作業機2の必要に応じて様々な種類のセンサが設けられる。センサ21は、例えば、加速度センサ、角速度センサ、傾斜センサ、地磁気センサ、回転センサ、ポテンショメータ、リミットスイッチ等である。これにより、アクチュエータ22による作業機2の状態等を検知することができる。
【0024】
アクチュエータ22は、作業機2側に設置される。アクチュエータ22は、例えば、作業機2の一部である可動部分を必要に応じて移動等させることを可能とするアクチュエータである。アクチュエータ22としては、例えば、油圧シリンダや電動油圧シリンダ等のシリンダや、モータ等を適用できる。特に、作業機2の作業部の位置を移動させるアクチュエータを用いることで、これを制御して農作業の作業性を高めることができる。
【0025】
ここで、リモコン装置10と制御装置20の無線通信Rについて説明する。リモコン装置10でアクチュエータ22を操作する場合、制御装置20と対応するリモコン装置10の間では無線通信の確立を行う。そして、無線通信が確立している間は、所定間隔で制御装置20と対応するリモコン装置10との間で確認のための無線通信を行っている。例えば、制御装置20からID(識別)情報を含むシリアル信号を送信して、それを受信したリモコン装置10は、制御装置20へ返信する。その返信を所定時間以内に受け取った制御装置20は、無線通信が確立していると判断できる。この処理を所定間隔で行っていく。
【0026】
<第1の実施形態>
図2は、本発明の第1の実施形態を示す平面図である。図2の左右方向が横方向であり、図2の上方向が前方向である。トラクタ1の後部に作業機2が装着されており、作業機2で農作業を行う。なお、トラクタの図示は簡略化してある。また、第1の実施形態では、作業機2が畦塗り機50の場合について説明する。
【0027】
メインバッテリ5はトラクタ1に備えるバッテリであり、トラクタ1の電源として使用可能である。一方、メインバッテリ5に接続することで各種機器の電源とすることが可能となる。メインバッテリ5と制御装置20は、電源ハーネス7で接続されており、途中に外部電源スイッチ6を介している。外部電源スイッチ6は、トラクタ1の電源をON・OFFとする始動スイッチ(例えば、エンジン始動のキースイッチ等)と共有又は連動できる。また、トラクタ1にはリモコン装置10を配置可能であり、畦塗り機50に備える第1電動油圧シリンダ61等のアクチュエータ22を遠隔操作可能となっている。
【0028】
畦塗り機50は、前部に備えられる装着部51をトラクタ1の後部に接続して装着する。装着部51と中間フレーム52は、水平方向に回動可能な支点52aにより連結され、中間フレーム52と作業部58は、水平方向に回動可能な支点52bにより連結されている。作業部58は、作業方向前側から前処理部55、耕耘部56、ディスク部57を有している。作業時は、トラクタ1から伝達された動力により前処理部55で旧畦の前処理をして、耕耘部56で旧畦の土を盛り上げ、ディスク部57の回転により畦形状に形成する。耕耘部56は、複数の爪56aが回転して土を盛り上げる。ディスク部57は、畦の法面を形成する本体ディスク部57aと、畦の上面を形成する上面ディスク部57bを有している。
【0029】
第1電動油圧シリンダ61は、装着部51と中間フレーム52の間に接続されている。第3電動油圧シリンダ63は、ディスク部57に対する耕耘部56の深さを変更可能に接続される。これらの電動油圧シリンダは、図1のアクチュエータ22に相当する。また、制御装置20は、装着部51に設置されている。なお、作業部58と中間フレーム52と連動するリンク機構に接続される第2電動油圧シリンダを設けてもよい。
【0030】
図2の状態は前進作業状態である。前進作業状態は、作業部58がトラクタ1の横方向の全幅よりも外側(右側)にはみ出して構成し、作業部58の外側へのはみ出し量(オフセット量)は、第1電動油圧シリンダ61により調整できるようになっている。すなわち第1電動油圧シリンダ61の全長を調節する制御を行うことにより、中間フレーム52の回動量が決まり、作業部58のオフセット量を決定することができる。また、図2の状態から第1電動油圧シリンダ61を矢印D1の方向へ縮めると、中間フレーム52が矢印D2の方向に回動し、作業部58がトラクタ1の幅方向中央に位置する格納状態となる。すなわち第1電動油圧シリンダ61の全長を所定量縮める制御を行うことにより、格納状態にすることが可能となる。
【0031】
さらに、第2電動油圧シリンダを備える場合は、格納状態から、第2電動油圧シリンダを作動させると作業部58が支点52bを中心に回動して前後反転することが可能となる。この場合は、トラクタ1の横方向の全幅よりも反対側(左側)にはみ出す後進作業状態とすることができる。すなわち、この場合は、第2電動油圧シリンダの全長を制御することにより、後進作業状態にすることが可能となる。後進作業状態の場合は、トラクタ1の後ろ側が作業部58の進行方向となりトラクタ1を後進させながら作業を行うことができる。
【0032】
さらに、畦塗り機50は、散水装置65を備えており、モータ等によりタンク65aの水をディスク部57付近のノズル65bから放出してディスク部57にかける水量を調節する。散水装置65のモータは、図1のアクチュエータ22に相当する。
【0033】
図3は、本発明の第1の実施形態のリモコン装置を示す図である。
【0034】
リモコン装置70は、押しボタンによるスイッチ71a~71oを備えている。また表示部72を備えている。リモコン装置70は、図1のリモコン装置10の一例であり、スイッチ71a~71oは図1の操作部10bに相当し、表示部72は図1の表示部10aに相当する。
【0035】
スイッチ71aはリモコン装置70の電源スイッチである。スイッチ71bはモード切換スイッチである。スイッチ71mは設定を行うためのスイッチである。スイッチ71nは表示部72の表示内容を切り替えるスイッチである。スイッチ71oは選択した内容を決定するため等のスイッチである。
【0036】
スイッチ71cは、畦塗り機50を格納状態にするスイッチである。スイッチ71dは、第2電動油圧シリンダを備えている場合に畦塗り機50を後進作業状態にするスイッチである。スイッチ71eは、畦塗り機50を前進作業状態にするスイッチである。これらは、第1電動油圧シリンダ61と第2電動油圧シリンダを制御させて行うことができる。なお、第1の実施形態では、第1電動油圧シリンダ61のみの作動で格納状態から前進作業状態及び前進作業状態から格納状態にすることができる。
【0037】
スイッチ71fとスイッチ71gは、畦塗り機50の作業部58のオフセット量を調節するスイッチである。これらは、第1電動油圧シリンダ61を制御させて行うことができる。また、スイッチ71fとスイッチ71gは、設定時等の選択ボタンとしてもよい。
【0038】
スイッチ71hとスイッチ71iは、耕耘部56の深さを調節するスイッチである。これらは、第3電動油圧シリンダ63を制御させて行うことができる。また、スイッチ71hとスイッチ71iは、設定時等の選択ボタンとしてもよい。
【0039】
スイッチ71jは、散水装置65のON・OFFを行うスイッチである。スイッチ71kとスイッチ71lは散水装置65の散水量を調節するスイッチである。これらは、散水装置65のモータを制御させて行うことができる。
【0040】
表示部72は、液晶画面や有機EL画面を適用できる。表示部72は、操作や設定、作業機2に関する各種情報を表示可能である。さらに、表示部72は、エラー表示を行うことも可能である。
【0041】
なお、リモコン装置70には、スピーカー等の音による報知機能を有していてもよい。これにより、ブザー音や音声により、エラー等を報知可能とする。この場合、表示部72の表示と連動して音を発してもよい。
【0042】
図4は、本発明の第1の実施形態のアクチュエータの操作例を説明するための図である。ここでは、第1電動油圧シリンダ61をリモコン装置70で操作する例について説明する。
【0043】
図4は、第1電動油圧シリンダ61によるシリンダの伸縮の位置を示している。第1電動油圧シリンダ61はロッド61aが伸縮することで接続端部61bの位置が変更される。このことで、第1電動油圧シリンダ61の一方の接続端部61bと他方の接続端部61cの距離を変更することが可能である。Aが接続端部61bを最も短縮した点であり、Bが接続端部61bを最も延長した点である。図4では、説明のため最短縮点Aと最延長点Bの間の位置を[1]~[5]の5カ所で分割して決めている例を示している。図4の例では、第1電動油圧シリンダ61のオフセット位置を調整する[1]~[5]の間の距離を短くして、格納状態に移動するAと[1]の間の距離は他の間の距離よりも倍以上長くしてある。
【0044】
例えば、リモコン装置70のスイッチ71eを押すと図2の前進作業状態となる。このときの第1電動油圧シリンダ61の接続端部61bの位置は例えば[4]とすることができる。一方、リモコン装置70のスイッチ71cを押すと格納状態となる。このときの第1電動油圧シリンダ61の接続端部61bの位置は例えばAとすることができる。ここで、Aから[4]への第1電動油圧シリンダ61の伸縮の際に、リモコン装置70による2種類の出力方法があげられる。1つが手動モードで、もう1つが自動モードである。
【0045】
手動モードは、リモコン装置70のスイッチを押している間だけ、第1電動油圧シリンダ61が作動するモードである。例えば、格納状態から前進作業状態に移行する場合は、作業者は、リモコン装置70のスイッチ71eを押し続けている間、第1電動油圧シリンダ61の接続端部61bがAから[4]まで伸びる。一方、途中でリモコン装置70のスイッチ71eを離すと(押すのをやめると)、第1電動油圧シリンダ61の作動は停止し、接続端部61bが止まる。
【0046】
この場合、リモコン装置10の無線通信部10cと制御装置20の無線通信部20cとの間では、無線通信Rのやりとりが所定間隔(第1の所定間隔)で行われている。制御装置20がリモコン装置10からの操作信号(スイッチを押している信号)を受信し続ける限り、第1電動油圧シリンダ61を所定の位置まで作動させる。ここで、制御装置20からは、第1の所定間隔で、リモコン装置10に確認のための信号を送信して、それを受信したリモコン装置10は制御装置20へ返信している。その返信を制御装置20が所定時間(第1の所定時間)以内に受け取っている場合は、無線通信が継続していると判断される。この場合、第1の所定時間は第1の所定間隔以下の時間であり、第1の所定時間は第1の所定間隔と同じであってもよい。これにより、前の信号の確認後に次の信号を送信できる。
【0047】
一方、何らかの原因でこれらの間の無線通信が途切れると、制御装置20は、リモコン装置10からの操作信号を受信できない。このため、制御装置20は、第1電動油圧シリンダ61の作動を停止させる。すなわち、手動モードでは、無線通信が途中で途切れた場合は、操作信号を受信できなくなるため、第1電動油圧シリンダ61の作動は自動で止まる仕組みである。手動モードでは、作業者が操作し続けるため、常に第1電動油圧シリンダ61の動きに意識をしている。このため、安全性は下記の自動モードよりも高い。
【0048】
自動モードは、リモコン装置70のスイッチを一度だけ押すとその後スイッチを離しても、第1電動油圧シリンダ61があらかじめ定めた所定の位置まで作動するモードである。ここで、リモコン装置70のスイッチを一度だけ押す場合には、一定時間以上スイッチを押した場合や、スイッチを押したまま一定量以上第1電動油圧シリンダ61が動いた場合も含まれる。この場合、一定時間未満でスイッチを離した場合や、一定量以上第1電動油圧シリンダ61が動いていない場合にスイッチを離すと、第1電動油圧シリンダ61の動きは止まる。一方、一定時間以上スイッチを押した後や、スイッチを押したまま一定量以上第1電動油圧シリンダ61が動いた後に、スイッチを離しても、第1電動油圧シリンダ61があらかじめ定めた所定の位置まで作動する。このことで、押し間違いによる誤作動を防止する。例えば、格納状態から前進作業状態に移行する場合は、作業者は、リモコン装置70のスイッチ71eを一度押すと(その後スイッチを離しても)、第1電動油圧シリンダ61の接続端部61bがAから[4]まで伸び続ける。一方、安全のため、途中でリモコン装置70のいずれかのスイッチを押すと、第1電動油圧シリンダ61の作動は停止し、接続端部61bが止まるようにしてもよい。また、過負荷を検知するセンサ21を設けて、第1電動油圧シリンダ61の作動中に過負荷を検知した場合も第1電動油圧シリンダ61の作動は停止してもよい。
【0049】
この場合、リモコン装置10の無線通信部10cと制御装置20の無線通信部20cとの間では、無線通信のやりとりが所定間隔(第2の所定間隔)で行われている。ここで、制御装置20からは、第2の所定間隔で、リモコン装置10に確認のための信号を送信して、それを受信したリモコン装置10は制御装置20へ返信している。その返信を制御装置20が所定時間(第2の所定時間)以内に受け取っている場合は、無線通信が継続していると判断される。この場合、第2の所定時間は第2の所定間隔以下の時間であり、第2の所定時間は第2の所定間隔と同じであってもよい。これにより、前の信号の確認後に次の信号を送信できる。
【0050】
そして、何らかの原因でこれらの間の無線通信が途切れる(確認ができない)と、制御装置20は、安全のため、第1電動油圧シリンダ61の動作を停止させる。すなわち、自動モードでは、無線通信が途中で途切れた場合は自動で(強制的に)第1電動油圧シリンダ61の作動を止める機能を有して安全性を担保している。
【0051】
ここで、自動モードの場合は、リモコン装置70のスイッチ71eを一度押すと、自動で第1電動油圧シリンダ61が作動する。このため、作業者の意識も第1電動油圧シリンダ61の作動から離れる可能性があり、安全性の確保が重要になる。特に、作業部58等の作業機2の作業部は重量も重く大きな事故につながる可能性もある。
【0052】
このため、自動モードの第2の所定時間を手動モードの第1の所定時間よりも短くすることで安全性を高める。例えば、自動モードの第2の所定時間を手動モードの第1の所定時間よりも、8割以下にする、さらに7割以下にする等である。また、(エラーの頻発を防止するため)ある程度の時間を確保するため、第2の所定時間を第1の所定時間に対して3割以上にする、さらに5割以上としてもよい。また、第2の所定時間は、例えば、1秒以下、さらには0.8秒以下、さらには0.7秒以下とすることができ、ある程度の時間を確保するため、0.3秒以上、さらには0.5秒以上としてもよい。また、第1の所定時間は、例えば、2秒以下、さらには1.5秒以下、さらには1秒以下とすることができ、ある程度の時間を確保するため、0.7秒以上、さらには1秒以上としてもよい。
【0053】
また、自動モードの第2の所定間隔は、手動モードの第1の所定間隔よりも短くして、確認頻度を高める。また、第1の所定時間は第1の所定間隔と同じとし、第2の所定時間を第2の所定間隔と同じとすれば、必然的に、第2の所定間隔は第1の所定間隔よりも短くなる。これにより、自動モードの方が手動モードよりも細かく通信の確認が可能となる。
【0054】
自動モードの第2の所定時間及び第2の所定間隔は、自動モードに設定している間の全般に適用してもよいし、自動モードで第1電動油圧シリンダ61の作動中のみに適用してもよい。また、第2の所定時間及び第2の所定間隔を適用する以外は、第1の所定時間及び第1の所定間隔としてもよい。
【0055】
図4で例示した第1電動油圧シリンダ61の手動モードと自動モードに関する制御は、他のアクチュエータ22でも上記と同様に適用することができる。例えば、第2電動油圧シリンダや第3電動油圧シリンダ63等にも適用できる。さらに、自動モードにおいて第2の所定時間及び第2の所定間隔を適用できるアクチュエータ22を限定して、それ以外のアクチュエータ22は、自動モードにおいても第1の所定時間及び第1の所定間隔を適用してもよい。特に、重さの重い部分(例えば10kg以上、さらには20kg以上の部分)を移動させるアクチュエータ22のみに自動モードにおいて第2の所定時間及び第2の所定間隔を適用する等である。この場合、第1電動油圧シリンダ61、第2電動油圧シリンダ、第3電動油圧シリンダ63はこのアクチュエータに該当する。
【0056】
図5は、本発明の第1の実施形態のフローチャートである。
【0057】
最初に、ステップS101では、自動モードであるか否かを判定する。ここでは、制御装置20の制御部20aにより判定を行う。自動モードは図4で説明した自動モードである。自動モードの設定は、例えば、リモコン装置70を用いる場合は、スイッチ71mを用いて設定モードとして、スイッチ71f~71iやスイッチ71o等を用いて自動モードを選択して設定できる。その情報は制御装置20の制御部20aへ送られる。自動モードの場合はステップS102へ進み、自動モードでない場合はステップS110へ進む。
【0058】
ステップS102では、無線通信の自動モード出力を行う。ここでは、リモコン装置10の操作部10bの操作に基づき、自動モードによるアクチュエータ22の出力を制御装置20の制御部20aが行う。自動モードは、リモコン装置10のスイッチを一度操作する(押す等する)と、制御装置20の制御部20aの制御によりアクチュエータ22をそのスイッチに応じた条件まで作動するモードである。例えば、図4で説明したように、リモコン装置70のスイッチを一度だけ押すとその後スイッチを離しても、第1電動油圧シリンダ61が所定の位置まで作動するモードである。
【0059】
次に、ステップS103では、無線通信の確認を行う。無線通信の確認ができた場合はステップS109へ進み、できない場合はステップS104へ進む。ここでは、制御装置20の制御部20aにより行う。自動モードによりアクチュエータ22が作動している場合、リモコン装置10と制御装置20の間は通信の確立を継続するための確認を行っている。制御装置20からは、第2の所定間隔でリモコン装置10へ確認のための信号を送信する。その信号を受信したリモコン装置10は、制御装置20へ確認のための信号を送信(返信)する。この返信の信号を受信した制御装置20は、無線通信が確立していることを確認できる。ここでは、制御装置20は、第2の所定時間以内にリモコン装置10からの返信の信号を受信できた場合は無線通信が確認できるとする。また、返信の信号を受信できない場合は無線通信が確認できないとする。第2の所定時間として、例えば0.6秒があげられる。
【0060】
ステップS104では、出力の停止を行う。ここでは、作動させていたアクチュエータ22の停止である。例えば、リモコン装置70のスイッチ71eを一度押して作動していた第1電動油圧シリンダ61を途中で停止する。
【0061】
次に、ステップS105では、瞬時無線停止確認を行う。ここでは、制御装置20の制御部20aにより行う。瞬時無線停止確認は、ステップS104で出力停止を行った場合でも、瞬間的な無線通信の停止の場合は、無線通信がすぐに復旧するため、その場合を想定したものである。これにより、アクチュエータ22を一旦停止して安全性を確保した上でアクチュエータ22の完全停止となる回数を減らすことができる。瞬時無線停止確認は、制御装置20が第3の所定時間以内にリモコン装置10から確認のための信号の返信があるか否かで判定される。返信がある場合はステップS106へ進み、返信がない場合はステップS107へ進む。すなわち、第2の所定時間経過後に第3の所定時間が考慮されることになる。
【0062】
瞬時無線停止確認の第3の所定時間は、第2の所定時間よりも短い。例えば、第2の所定時間の半分以下、さらには3割以下、さらには2割以下などである。具体的には例えば0.1秒等と設定できる。
【0063】
ステップS106では、出力再開を行う。ここでは、制御装置20の制御部20aにより一端停止していたアクチュエータ22の作動を再開する。そしてステップS103へ戻る。
【0064】
ステップS107では、表示部にエラー内容を表示して処理が終了する。ここでは、無線通信の不具合によりアクチュエータ22が停止したことの情報を制御部20aの処理により制御装置20からリモコン装置10へ送る。この情報を受信したリモコン装置10は処理部10dの処理により表示部10aにエラー内容を表示する。ここでの表示は、文字や絵などでアクチュエータ22が停止したことやその理由(例えば無線通信の不具合等)の表示をできる。また音や音声で報知してもよい。リモコン装置70であれば表示部72に表示を行う。
【0065】
ステップS107の処理の終了後、無線通信が回復したら、作業者はリモコン装置10を操作してアクチュエータ22を作動させることができる。例えば、リモコン装置10の再操作により、自動モードが継続してアクチュエータ22を途中の停止位置から、所定の停止位置まで作動させてもよい。また、リモコン装置10の再操作により、手動モードに切り替わりアクチュエータ22を途中の停止位置から、所定の停止位置まで作動させてもよい。図4の例であれば、リモコン装置70のスイッチ71eを押して、第1電動油圧シリンダ61がAから[4]の途中で停止した場合、自動モードが継続する場合は、無線通信が回復したら、スイッチ71eを再び押すと、[4]の位置まで第1電動油圧シリンダ61が自動で伸びる。また、手動モードに切り替わる場合は、無線通信が回復したら、スイッチ71eを押し続けると[4]の位置まで第1電動油圧シリンダ61が伸びる。
【0066】
一方、ステップS109では、自動停止条件に該当するか否かを判定する。ここでの判定は、制御装置20の制御部20aにより行う。ここでの自動停止条件は、リモコン装置10の他の操作が行われる場合や、アクチュエータ22があらかじめ定めた所定の位置までの移動が完了した等である。例えば、リモコン装置70であれば、今回の操作とは別の他のスイッチが押された等である。自動停止条件に該当する場合はステップS108へ進む。自動停止条件に該当しない場合はステップS103へ戻り、アクチュエータ22は作動状態のままである。
【0067】
ステップS108では、出力停止を行い処理が終了する。ここでは、制御装置20の制御部20aによりアクチュエータ22の作動を停止させる。
【0068】
一方、ステップS110では、無線通信の手動モード出力を行う。ここでは、リモコン装置10の操作部10bの操作に基づき、手動モードによるアクチュエータ22の出力を制御装置20の制御部20aが行う。手動モードは、リモコン装置10のスイッチを操作し続ける(押し続ける等する)と、制御装置20の制御部20aの制御によりアクチュエータ22をそのスイッチに応じた条件まで作動するモードである。例えば、図4で説明したように、リモコン装置70のスイッチを押している間だけ、第1電動油圧シリンダ61が所定の位置まで作動するモードである。
【0069】
次に、ステップS111では、無線通信の確認を行う。無線通信の確認ができた場合はステップS114へ進み、できない場合はステップS112へ進む。ここでは、制御装置20の制御部20aにより行う。手動モードによりアクチュエータ22が作動している場合、リモコン装置10と制御装置20の間は通信の確立を継続するための確認を行っている。制御装置20からは、第1の所定間隔でリモコン装置10へ確認のための信号を送信する。その信号を受信したリモコン装置10は、制御装置20へ確認のための信号を送信(返信)する。この返信の信号を受信した制御装置20は、無線通信が確立していることを確認できる。ここでは、制御装置20は、第1の所定時間以内にリモコン装置10からの返信の信号を受信できた場合は無線通信が確認できるとする。また、返信の信号を受信できない場合は無線通信が確認できないとする。また手動モードの場合は、制御装置20は通信の確認と同時にリモコン装置10の操作信号を受信している。ここで、上述したように第2の所定時間は第1の所定時間よりも短く、第2の所定間隔は第1の所定間隔よりも短い。第1の所定時間として、例えば1秒があげられる。
【0070】
ステップS112では、表示部にエラー内容を表示する。ここでは、無線通信の不具合によりアクチュエータ22が停止したことの情報を制御部20aの処理により制御装置20からリモコン装置10へ送る。この情報を受信したリモコン装置10は処理部10dの処理により表示部10aにエラー内容を表示する。ここでの表示は、文字や絵などでアクチュエータ22が停止したことやその理由(例えば無線通信の不具合等)の表示をできる。また音や音声で報知してもよい。リモコン装置70であれば表示部72に表示を行う。
【0071】
次にステップS113では、出力停止を行い処理が終了する。ここでは、制御装置20の制御部20aによりアクチュエータ22の作動を停止させる。
【0072】
一方、ステップS114では、停止条件に該当するか否かを判定する。ここでの判定は、制御装置20の制御部20aにより行う。ここでの停止条件は、リモコン装置10の操作が中断された場合や、アクチュエータ22があらかじめ定めた所定の位置までの移動が完了した等である。例えば、リモコン装置70であれば、今回の操作のためのスイッチが押されなくなった等である。停止条件に該当する場合はステップS113へ進み出力が停止する。自動停止条件に該当しない場合はステップS111へ戻り、アクチュエータ22は作動状態のままである。
【0073】
<第2の実施形態>
図6は、本発明の第2の実施形態に適用される作業機の背面図である。図6の左右方向が横方向であり、図6の上下方向が上下方向である。第2の実施形態では、作業機2が代掻き作業機100の場合について説明する。それ以外の構成は、第1の実施形態と同様である。なお、図6では、トラクタ1の図示は省略してある。
【0074】
中央作業部105の両側に設置されたサイド作業部105’は、中央作業部105に対して折り畳み可能となっている。中央作業部105には、装着部101であるマスト101aと左右のヒッチ101bが設けられ、これらを介して代掻き作業機100がトラクタ1の後方に装着される。トラクタ1からの動力は、前側に設けられる入力軸を介して入力され、カバー102やその後方の第1の整地体103の内側で代掻き爪を備える耕耘部が回転して土を細かくする。そして、第1の整地体103とその後方に備えられる第2の整地体104により土の表面を平らにする。このようにして代掻き作業を行う。
【0075】
左右の電動油圧シリンダ106は、シリンダが伸び縮みすることにより、回動機構107を作用させ中央作業部105に対して両側のサイド作業部105’をそれぞれ内側に折りたたむことができ、代掻き作業機100の全幅を短くすることができる。左右の延長整地体駆動装置110は、内部のモータが回転することにより、アーム112やワイヤ113を介して左右の延長整地体111をそれぞれ回動軸111aを中心に回動させることができる。このことで、第2の整地体104の両側端部に設けられた延長整地体111を外側に延長するか内側に折り畳むかを選択することができる。第2の整地体駆動装置116は、内部のモータが回転することにより、第2の整地体リンク手段117を介して第2の整地体104を回動させ下側で固定した土引き状態とするか回動が固定されていない通常の代掻き状態とするかを選択することができる。
【0076】
これら、電動油圧シリンダ106や、延長整地体駆動装置110(のモータ)、第2の整地体駆動装置116(のモータ)をアクチュエータ22として適用できる。これらのアクチュエータ22は、第1の実施形態と同様に手動モードと自動モードを設定可能とすることができる。また、これ以外に、自動モードにおいて第2の所定間隔を適用できるアクチュエータ22を重さの重いサイド作業部105’を移動させる電動油圧シリンダ106に限定してもよい。電動油圧シリンダ106以外のアクチュエータ22である延長整地体駆動装置110(のモータ)、第2の整地体駆動装置116(のモータ)は、自動モードにおいても第1の所定間隔を適用してもよい。制御装置20は、マスト101aの側面に設けられている。
【0077】
これらの構成により、第2の実施形態では、代掻き作業機100の各アクチュエータの操作をリモコン装置10から行うことができる。リモコン装置10の構成は、図3のリモコン装置70に準じて、代掻き作業機100の各アクチュエータを作動させるボタン構成とすることが可能である。
【0078】
<効果>
以上のような実施形態により、自動モードと手動モードを設けることで、アクチュエータの操作時の作業者の利便性を高めることができる。この場合、特に安全性の向上が求められる自動モードにおいては、無線通信の確認時間を短くして、確認が取れない場合は、アクチュエータを停止させることでより安全性をより高めることが可能となる。これにより自動モードにおける通信間隔も短くできる。さらに、自動モードの場合は、瞬時無線停止確認を設けることで、アクチュエータの完全停止となる回数を減らして、作業の効率悪化を防止できる。さらに、手動モードでは、無線通信の確認時間を自動モードよりも長くすることで、無線通信の一時的な不安定によるアクチュエータの不要な停止を減らすことができる。さらに、無線通信の確認時間を短くするアクチュエータを限定することで、それ以外のアクチュエータでは、無線通信の一時的な不安定による不要な停止を減らすことができる。さらに、アクチュエータの停止をリモコン装置10のエラー表示で的確に知ることが可能となる。
【0079】
以上の様に、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、上述した以外の様々な変形例も含まれる。例えば、上記した実施形態に設けられた全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を削除したり、他の構成に置き換えたりすることも可能である。
【0080】
例えば、適用する作業機として、畦塗り機と代掻き作業機の実施形態を示したが、これ以外に、例えば、ロータリー作業機、施肥機、播種機等、アクチュエータを備えるトラクタに装着する作業機であれば、適用することができる。
【0081】
なお、自動モードにおいて無線通信が途切れた場合(確認できない場合)に、リモコン装置10においてエラー表示やブザーや音声などの音による報知を行うことができる。ただし、ここでの音による報知は自動モードでアクチュエータ22を作動させている場合に限定して、それ以外の場合は、音等による報知をしなくてもよい。
【0082】
本明細書には以下の態様の開示も含まれる。
【0083】
(態様1)
トラクタに装着して農作業を行う作業機に用いる農作業機用リモコンシステムにおいて、
前記作業機に設けられ前記作業機に有するアクチュエータを制御する制御装置と、前記制御装置と無線通信可能なリモコン装置とを備え、
前記制御装置が前記アクチュエータの作動を制御する際に手動モードで制御するか、自動モードで制御するかを前記リモコン装置で選択可能であり、
前記手動モードの場合は、前記リモコン装置の対応するスイッチを押している間だけ前記アクチュエータが作動し、
前記自動モードの場合は、前記リモコン装置の対応するスイッチを押すとその後はスイッチを離しても前記アクチュエータが所定の位置まで作動し、
前記制御装置は、前記手動モードの場合においては、前記リモコン装置に送信した確認のための信号の返信を第1の所定時間以内に受信しない場合は前記アクチュエータの作動を停止し、前記自動モードの場合においては、前記リモコン装置に送った確認のための信号の返信を第2の所定時間以内に受信しない場合は前記アクチュエータの作動を停止し、
前記第2の所定時間は、前記第1の所定時間よりも短いことを特徴とする農作業機用リモコンシステム。
【0084】
(態様2)
態様1に記載の農作業機用リモコンシステムにおいて、
前記制御装置は、前記手動モードの場合においては、前記リモコン装置へ確認のための信号の送信は第1の所定間隔ごとに行い、前記自動モードの場合においては、前記リモコン装置へ確認のための信号の送信は第2の所定間隔ごとに行い、
前記第2の所定間隔は、前記第1の所定間隔よりも短いことを特徴とする農作業機用リモコンシステム。
【0085】
(態様3)
態様2に記載の農作業機用リモコンシステムにおいて、
前記第1の所定時間は前記第1の所定間隔以下であり、前記第2の所定時間は前記第2の所定間隔以下であることを特徴とする農作業機用リモコンシステム。
【0086】
(態様4)
態様2に記載の農作業機用リモコンシステムにおいて、
前記第1の所定間隔は前記第1の所定時間と同じであり、前記第2の所定間隔は前記第2の所定時間と同じであることを特徴とする農作業機用リモコンシステム。
【0087】
(態様5)
態様1から態様4のいずれかに記載の農作業機用リモコンシステムにおいて、
前記制御装置は、前記自動モードにおいて、前記リモコン装置へ送信した確認のための信号の返信を前記第2の所定時間以内に受信せずに前記アクチュエータの作動を停止した場合、第3の所定時間以内に前記リモコン装置から確認のための信号の返信がある場合は、前記アクチュエータの作動を再開することを特徴とする農作業機用リモコンシステム。
【0088】
(態様6)
態様5に記載の農作業機用リモコンシステムにおいて、
前記第3の所定時間は、前記第2の所定時間よりも短いことを特徴とする農作業機用リモコンシステム。
【0089】
(態様7)
態様1から態様6のいずれかに記載の農作業機用リモコンシステムにおいて、
前記リモコン装置は表示部を有し、
前記制御装置は、前記自動モードの場合に、前記リモコン装置へ送信した確認のための信号の返信を前記第2の所定時間以内に受信しない場合は前記リモコン装置にその情報を送信し、
当該情報を受信した前記リモコン装置は、前記表示部にエラー表示を行うことを特徴とする農作業機用リモコンシステム。
【符号の説明】
【0090】
1 トラクタ
2 作業機
10 リモコン装置
10a 表示部
10b 操作部
10d 処理部
20 制御装置
20a 制御部
21 センサ
22 アクチュエータ
50 畦塗り機
51 装着部
52 中間フレーム
52a、52b 支点
56 耕耘部
58 作業部
61 第1電動油圧シリンダ
63 第3電動油圧シリンダ
65 散水装置
70 リモコン装置
71a~71o スイッチ
72 表示部
100 代掻き作業機
105 中央作業部
105’ サイド作業部
106 電動油圧シリンダ
110 延長整地体駆動装置
116 第2の整地体駆動装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6