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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024166
(43)【公開日】2024-02-22
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20240215BHJP
   B41J 29/17 20060101ALI20240215BHJP
【FI】
B41J2/01 303
B41J2/01 121
B41J29/17
B41J2/01 305
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022126796
(22)【出願日】2022-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 孝紀
【テーマコード(参考)】
2C056
2C061
【Fターム(参考)】
2C056EA16
2C056EA18
2C056EB13
2C056EB36
2C056EB37
2C056HA33
2C056HA36
2C056HA41
2C056JB18
2C061AP01
2C061AQ05
2C061AR01
2C061AS11
2C061CM03
2C061CM11
(57)【要約】
【課題】被印刷物に対して横方向に印刷を行う印刷装置において、塵埃に起因する印刷品質の低下を防止する。
【解決手段】印刷装置の一例であるインクジェット印刷装置1は、被印刷物Mに対し、この被印刷物Mの搬送方向D1に交差する横方向D2に印刷を行う印刷部の一例であるヘッドモジュール11と、被印刷物Mに接触し、この被印刷物Mとヘッドモジュール11との間隔Gを確保する接触部13bと、ヘッドモジュール11の搬送方向D1の上流側で、且つ、接触部13bよりも搬送方向D1の下流側又は接触部13bと搬送方向D1の位置が同じ位置において塵埃を除去する塵埃除去部の一例であるファン12とを備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被印刷物に対し、当該被印刷物の搬送方向に交差する横方向に印刷を行う印刷部と、
前記被印刷物に接触し、当該被印刷物と前記印刷部との間隔を確保する接触部と、
前記印刷部の前記搬送方向の上流側で、且つ、前記接触部よりも前記搬送方向の下流側又は前記接触部と前記搬送方向の位置が同じ位置において塵埃を除去する塵埃除去部と
を備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記塵埃除去部は、前記印刷部の前記搬送方向の上流側で、且つ、前記接触部よりも前記搬送方向の下流側又は前記接触部と前記搬送方向の位置が同じ位置に設けられた吹き出し孔から、前記被印刷物に対して風を吹き付ける送風部である
ことを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項3】
前記印刷部は、それぞれが前記被印刷物に印刷を行う複数の印刷ヘッドであり、
前記送風部は、前記複数の印刷ヘッドのそれぞれよりも前記搬送方向の上流側で、且つ、前記接触部よりも前記搬送方向の下流側又は前記接触部と前記搬送方向の位置が同じ複数の位置において塵埃を除去する
ことを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項4】
前記送風部によって前記被印刷物に吹き付けられる風を前記搬送方向とは反対方向にガイドするガイド部を更に備えること特徴とする請求項2記載の印刷装置。
【請求項5】
前記接触部は、前記ガイド部によって前記反対方向にガイドされた風の流路を隔てた上下のそれぞれにおいて前記被印刷物に接触することを特徴とする請求項4記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被印刷物に対し横方向に印刷を行う印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクジェット印刷装置において、キャリッジを有するヘッドユニットの主走査方向における斜め往動方向に向かって印刷用紙に対してエアーを吹き付けるファンを備える紙粉除去装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
その他、印刷面のインク乾燥のために送風装置が配置される場合もある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-118095号公報
【特許文献2】特開2007-223129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、組立済み段ボール箱のような立体物である被印刷物の側面に横方向に印刷を行う横方向印刷方式が知られている。この横方向印刷方式では、ベルトコンベアなどの被印刷物を安定して保持できない搬送手段を用いて横方向印刷を行う場合、印刷時の被印刷物を一定に保つために、インクジェットヘッドなどの印刷部に取り付けたノズル面保護板などに被印刷物を押し当てて搬送する装置が用いられることが多い。そのため、被印刷物と保護板とが直接接することにより、被印刷物の擦れが多く発生する。これにより、紙媒体へ下方に印刷を行う態様と比較して、多くの紙粉が発生することが考えられる。このような紙粉等の塵埃が印刷部に付着したり被印刷物の印刷領域に付着したりすると、印刷品質が低下する。
【0006】
本発明の目的は、被印刷物に対して横方向に印刷を行う印刷装置において、塵埃に起因する印刷品質の低下を防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの態様では、印刷装置は、被印刷物に対し、当該被印刷物の搬送方向に交差する横方向に印刷を行う印刷部と、前記被印刷物に接触し、当該被印刷物と前記印刷部との間隔を確保する接触部と、前記印刷部の前記搬送方向の上流側で、且つ、前記接触部よりも前記搬送方向の下流側又は前記接触部と前記搬送方向の位置が同じ位置において塵埃を除去する塵埃除去部とを備える。
【発明の効果】
【0008】
前記態様によれば、被印刷物に対して横方向に印刷を行う印刷装置において、塵埃に起因する印刷品質の低下を防止する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態におけるインクジェットヘッドによる横方向の印刷を説明するための平面図である。
図2】第1実施形態におけるインクジェットヘッドによる横方向の印刷を説明するための正面図である。
図3】第1実施形態におけるインクジェットヘッドの内部のファンを示す右側面図である。
図4】第1実施形態におけるヘッドモジュールを示す背面図である。
図5】第1実施形態におけるヘッドモジュールを示す平面図である。
図6】第1実施形態におけるインクジェット印刷装置の制御構成を示す図である。
図7】第2実施形態におけるインクジェットヘッドを示す背面図である。
図8】第2実施形態におけるインクジェットヘッドを示す平面図である。
図9】第2実施形態の変形例におけるインクジェットヘッドを示す平面図である。
図10】第3実施形態におけるヘッドモジュールを示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の第1~第3実施形態に係る印刷装置について、図面を参照しながら説明する。
【0011】
<第1実施形態>
図1及び図2は、第1実施形態におけるインクジェットヘッド10による横方向の印刷を説明するための平面図及び正面図である。
【0012】
なお、図1及び図2並びに後述する図3図5及び図7図10における前後、左右、及び上下の各方向は、コンベア100の搬送方向D1を右方向とした場合の説明の便宜上の一例であり、前後方向及び左右方向が水平方向であり、上下方向が鉛直方向である。
【0013】
図1に示すように、インクジェットヘッド10は、コンベア100の前部側に配置されている。また、インクジェットヘッド10は、コンベア100上を搬送方向D1に搬送される被印刷物Mに対し、横方向D2にインクを吐出し、印刷を行う。この横方向D2は、鉛直方向(図1における上下方向)と、被印刷物Mの搬送方向D1(図1における右方向)とに交差する方向(図1における前後方向)であり、例えば水平方向である。但し、横方向D2は、水平方向に限らず、水平方向に対して上下に傾斜した方向であってもよい。また、被印刷物Mは、例えば、段ボール(箱体)などの立体物であるが、特に制限されない。
【0014】
ここで、図6に示すように、インクジェットヘッド10、制御部21、記憶部22、及びインターフェース部23を備えるインクジェット印刷装置1と、図1及び図2に示すコンベア100とを備えるシステムを印刷システムと呼ぶことができる。一例ではあるが、コンベア100は、製函機の一部として配置されるベルトコンベアである。なお、コンベア100は、ベルトコンベア以外のコンベア、例えばローラコンベアであってもよい。また、被印刷物Mは、コンベア100上を搬送されるものに限定されず、被印刷物Mと印刷部(インクジェットヘッド10)とが相対的に移動しながら印刷されるものであればよい。また、インクジェット印刷装置1は、印刷装置の一例であり、例えば感熱方式等のインクジェット方式以外の印刷装置が用いられてもよい。
【0015】
図2に示すように、インクジェットヘッド10は、複数のヘッドモジュール11(図2には表れないインクジェットヘッド10の後部側に位置するため、かくれ線である破線で図示)を有する。例えば、インクジェットヘッド10は、ブラック、シアン、マゼンタ、及びイエローのそれぞれの色ごとに6つずつのヘッドモジュール11を有する。各色の6つのヘッドモジュール11は、千鳥状に左右方向(搬送方向D1)の位置を異ならせながら高さ方向に配列されている。なお、複数のヘッドモジュール11のそれぞれは、横方向D2に印刷を行う印刷ヘッドである。本第1実施形態では、複数の印刷ヘッド(ヘッドモジュール11)のそれぞれが印刷部の一例である。
【0016】
そして、一例ではあるが、インクジェットヘッド10は、例えば、ブラック、シアン、マゼンタ、及びイエローの4色(フルカラー)で、「〇〇リンゴ」、「収穫日*月*日」などの文字(*についてはバリアブル印刷)や、2つのリンゴの模様などの所定の画像の印刷を被印刷物Mの側面(前面)に行う。
【0017】
なお、図1及び図2には図示しないが、コンベア100上を搬送される被印刷物Mを、コンベア100の後部側に配置された搬送ガイドによってガイドし、このようにガイドされた被印刷物Mにインクジェットヘッド10が印刷を行うとよい。
【0018】
図3は、インクジェットヘッド10の内部のファン12を示す右側面図である。
【0019】
図3に示すように、ファン12は、インクジェットヘッド10の内部に複数配置され、インクジェットヘッド10の後部に設けられた図3では図示しない上述の複数のヘッドモジュール11を、インクジェットヘッド10の内部を正圧にして正面側から冷却する。また、ファン12が送風する風は、後述する吹き出し孔13aから吹き出され、紙粉等の塵埃を吹き飛ばすためにも用いられる。なお、ファン12は、送風部(塵埃除去部)の一例である。この送風部としては、送風を行い得るものであれば、ファン12に限られない。
【0020】
図4及び図5は、ヘッドモジュール11を示す背面図及び平面図である。
【0021】
図5に示すように、ヘッドモジュール11よりも被印刷物M側には、例えば上下左右に拡がる板金であるカバー13が配置されている。このカバー13は、例えば、インクジェットヘッド10の全体に亘って設けられ、各ヘッドモジュール11において開口している(図4では開口部分を図示せず)。
【0022】
吹き出し孔13aは、例えば上記のカバー13の開口部分の一部であり、ヘッドモジュール11の搬送方向D1の上流側においてヘッドモジュール11に隣接して位置する。吹き出し孔13aは、上述のファン12が送風する風を吹き出す。なお、ヘッドモジュール11が横方向D2にインクを吐出するため、ヘッドモジュール11の周囲の粒子の粗い粉塵は、重力によりヘッドモジュール11の配列方向(下方向)に沿って、コンベア100に向かって落ちる傾向がある。そのため、吹き出し孔13aの下端を上向きの凹形状とし、紙粉等の塵埃を受け止めるようにしてもよい。また、この観点では、塵埃が、送風や被印刷物Mの搬送によって舞い上がったとしても下段に配置されたヘッドモジュール11に再付着することが無いように、個々のヘッドモジュール11の周囲の上部を含む、少なくとも1か所以上の位置に、落下してくる塵埃を防ぐ部分(例えば、カバー13から被印刷物M側に突出する凸形状部分など)が配置されていことが好ましい。
【0023】
図5に示すように、接触部13bは、カバー13から被印刷物M側に突出するように設けられている。接触部13bは、被印刷物Mに接触し、この被印刷物Mとヘッドモジュール11との間隔Gを確保する。
【0024】
図4に示すように、接触部13bは、吹き出し孔13aの上下の端部に対して搬送方向D1の上流側に隣接して2つ設けられているとともに、ヘッドモジュール11の上下の端部に対して搬送方向D1の下流側に隣接して2つ設けられている。なお、左右方向に隣接するヘッドモジュール11の間には、接触部13bは、2つ配置されるのではなく、1つが省略されて1つのみ設けられている。
【0025】
ここで、接触部13bは、例えば、インクジェットヘッド10の内部からカバー13を貫通する板材が折り返されて被印刷物Mに接触するものであってもよいし、カバー13の表面に設けられて被印刷物Mに接触するブロックであってもよいし、特に制限されない。
【0026】
図4に示すように、上述の吹き出し孔13aは、複数のヘッドモジュール11のそれぞれよりも搬送方向D1の上流側で、且つ、接触部13b(ヘッドモジュール11に対して搬送方向D1の上流側の2つの接触部13b)の搬送方向D1の下流側に設けられているといえる。なお、吹き出し孔13aは、搬送方向D1の位置が接触部13bと同じ位置に設けられていてもよい。また、ここでの接触部13bは、ヘッドモジュール11の近傍に設けられたものではなく搬送方向D1におけるインクジェットヘッド10の上流側などに設けられたものなどであってもよいし、或いは、突出部(接触部13b)を有さない場合の被印刷物Mに面接触する板金などのカバー13自体であってもよい。
【0027】
吹き出し孔13aの上下の端部に対して搬送方向D1の上流側に隣接して設けられている上下2つの接触部13bの間は、吹き出し孔13aから吹き出された風の流路13cである。この流路13cは、後述するガイド部13dによって搬送方向D1とは反対方向にガイドされた風(図4の矢印参照)の流路13cである。なお、この流路13cを通った風を吸引する吸引部(ファン)が配置されていてもよい。
【0028】
図5に示すガイド部13d(図4では図示せず)は、ヘッドモジュール11の搬送方向D1の上流側において、図3に示すファン12によって被印刷物Mに吹き付けられる風を搬送方向D1とは反対方向(左方向)にガイドするように、ヘッドモジュール11の搬送方向D1上流側端部から被印刷物Mに向かって搬送方向D1とは反対方向に傾斜している。ガイド部13dは、例えばガイド板である。なお、ファン12によって送風される風の流路が、被印刷物Mに向かって搬送方向D1とは反対方向に傾斜している場合には、流路の壁面がガイド部として機能する。
【0029】
なお、上述の説明では、紙粉等の塵埃を除去する塵埃除去部として送風部(例えばファン12)を用いて説明した。しかしながら、塵埃除去部としては、エアを吸引することにより塵埃を除去する吸引部(例えばファン)、浮遊する塵埃を吸着する吸着部(例えば、吸着シートや粘着シート)などが用いられてもよい。この場合も、塵埃除去部は、複数のヘッドモジュール11のそれぞれよりも搬送方向D1の上流側で、且つ、接触部13b(ヘッドモジュール11に対して搬送方向D1の上流側の2つの接触部13b)の搬送方向D1の下流側又は接触部13bと搬送方向D1の位置が同じ位置において塵埃を除去するとよい。例えば、塵埃除去部が吸引部である場合には、吹き出し孔13aに代えて吸引孔が設けられればよい。
【0030】
図6に示す制御部21は、インクジェット印刷装置1全体の動作を制御する演算処理装置として機能するプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit)を有する。例えば、制御部21は、ヘッドモジュール11によるインクの吐出や、ファン12の送風を制御する。
【0031】
記憶部22は、例えば、所定の制御プログラムが予め記録されている読み出し専用半導体メモリであるROM(Read Only Memory)、プロセッサが各種の制御プログラムを実行する際に必要に応じて作業用記憶領域として使用される随時書き込み読み出し可能な半導体メモリであるRAM(Random Access Memory)などのメモリを有する。
【0032】
インターフェース部23は、印刷制御装置、ユーザ端末などの外部機器との間で各種情報の授受を行う。例えば、インターフェース部23は、印刷対象の画像データを含む印刷ジョブを受信する。
【0033】
以上説明した第1実施形態では、印刷装置の一例であるインクジェット印刷装置1は、印刷部の一例である複数のヘッドモジュール11と、接触部13bと、塵埃除去部の一例であるファン12とを備える。ヘッドモジュール11は、被印刷物Mに対し、この被印刷物Mの搬送方向D1に交差する横方向D2に印刷を行う。接触部13bは、被印刷物Mに接触し、この被印刷物Mとヘッドモジュール11との間隔Gを確保する。ファン12は、ヘッドモジュール11の搬送方向D1の上流側で、且つ、接触部13bよりも搬送方向D1の下流側(又は接触部13bと搬送方向D1の位置が同じ位置)において塵埃を除去する。
【0034】
そのため、コンベア100上を搬送される被印刷物Mと接触部13bとが接触し、特に被印刷物Mから紙粉等の塵埃が発生しても、ヘッドモジュール11の搬送方向D1の上流側で、且つ、接触部13bよりも搬送方向D1の下流側において、塵埃を除去することができる。これにより、被印刷物Mと接触部13bとが接触して生じた塵埃がヘッドモジュール11に付着したり被印刷物Mの印刷領域に付着したりするのを抑制することができる。したがって、塵埃に起因する印刷品質の低下を防止することができる。
【0035】
また、本第1実施形態では、塵埃除去部は、ヘッドモジュール11の搬送方向D1の上流側で、且つ、接触部13bよりも搬送方向D1の下流側(又は接触部13bと搬送方向D1の位置が同じ位置)に設けられた吹き出し孔13aから被印刷物Mに対して風を吹き付ける送風部の一例であるファン12である。
【0036】
そのため、吹き出し孔13aからの被印刷物Mへの風の吹き付けによって、塵埃がヘッドモジュール11に付着したり被印刷物Mの印刷領域に付着したりするのをより一層抑制することができる。したがって、塵埃に起因する印刷品質の低下をより一層防止することができる。
【0037】
また、本第1実施形態では、コンベア100上を搬送される被印刷物Mに対し、横方向D2に印刷を行う印刷部は、それぞれが被印刷物Mに印刷を行う複数のヘッドモジュール11(印刷ヘッドの一例)であり、ファン12は、複数のヘッドモジュール11のそれぞれよりも搬送方向D1の上流側で、且つ、接触部13bよりも搬送方向D1の下流側(又は接触部13bと搬送方向D1の位置が同じ)の複数の位置において塵埃を除去する。
【0038】
そのため、各ヘッドモジュール11に対応する位置において塵埃を除去することができる。これにより、塵埃がヘッドモジュール11に付着したり被印刷物Mの印刷領域に付着したりするのをより一層抑制することができる。したがって、塵埃に起因する印刷品質の低下をより一層防止することができる。
【0039】
また、本第1実施形態では、インクジェット印刷装置1は、ファン12によって被印刷物Mに吹き付けられる風を搬送方向D1とは反対方向にガイドするガイド部13dを更に備える。
【0040】
そのため、ファン12が被印刷物Mに吹き付けた風によって塵埃がヘッドモジュール11に付着したり被印刷物Mの印刷領域に付着したりするのをより一層抑制することができる。したがって、塵埃に起因する印刷品質の低下をより一層防止することができる。
【0041】
また、本第1実施形態では、接触部13bは、ガイド部13dによって搬送方向D1の反対方向にガイドされた風の流路13cを隔てた上下のそれぞれにおいて被印刷物Mに接触する。
【0042】
そのため、ファン12が被印刷物Mに吹き付けた風を上下の接触部13bの間の流路13cから逃がすことができる。これにより、塵埃がヘッドモジュール11に付着したり被印刷物Mの印刷領域に付着したりするのをより一層抑制することができる。したがって、塵埃に起因する印刷品質の低下をより一層防止することができる。
【0043】
<第2実施形態>
本第2実施形態では、吹き出し孔204aがヘッドモジュール11のそれぞれではなくインクジェットヘッド10の搬送方向D1の上流側に1つ配置される例について説明する。それに関連する事項以外については、上述の第1実施形態と同様にすることができるため、詳細な説明は省略する。
【0044】
図7及び図8は、第2実施形態におけるインクジェットヘッド10を示す背面図及び平面図である。
【0045】
本第2実施形態では、コンベア100上を搬送される被印刷物Mに対し、この被印刷物Mの搬送方向D1に交差する横方向D2に印刷を行う印刷部の一例が、ヘッドモジュール11ではなく、インクジェットヘッド10自体である。
【0046】
図8に示すダクト204は、インクジェットヘッド10の搬送方向D1の上流側においてインクジェットヘッド10に隣接して位置する。ダクト204は、インクジェットヘッド10のファン12から送風され、各ヘッドモジュール11を冷却する風を被印刷物Mに向かって流す。
【0047】
そして、ダクト204の被印刷物M側の端部である吹き出し孔204aも、インクジェットヘッド10の搬送方向D1の上流側においてインクジェットヘッド10に隣接して位置する。吹き出し孔204aは、ファン12が送風する風を吹き出す。
【0048】
接触部201は、インクジェットヘッド10よりも被印刷物M側に突出するように設けられている。接触部201は、被印刷物Mに接触し、この被印刷物Mとヘッドモジュール11との間隔Gを確保する。
【0049】
図7に示すように、接触部201は、吹き出し孔204aの上下の端部近傍に対して搬送方向D1の上流側に2つ設けられているとともに、インクジェットヘッド10の上下の端部近傍に対して搬送方向D1の下流側に2つ設けられている。すなわち、本第2実施形態においては、合計で4つのみ接触部201が設けられている。なお、吹き出し孔204aは、搬送方向D1の位置が接触部201(インクジェットヘッド10に対して搬送方向D1の上流側の2つの接触部201)と同じ位置に設けられていてもよい。
【0050】
ここで、接触部201は、例えば、インクジェットヘッド10やダクト204を保持する部材に設けられて被印刷物M側に延びる板材が折り返されて被印刷物Mに接触するものであってもよいし、インクジェットヘッド10やダクト204を保持する部材に設けられたブロックであってもよいし、特に制限されない。
【0051】
インクジェットヘッド10よりも搬送方向D1の上流側に設けられた上下2つの接触部201の間は、吹き出し孔204aから吹き出された風(図7の矢印参照)の流路202である。
【0052】
図8に示すガイド部203(図7では図示せず)は、インクジェットヘッド10の搬送方向D1の上流側において、ファン12によって被印刷物Mに吹き付けられる風を搬送方向D1とは反対方向(左方向)にガイドするように、インクジェットヘッド10の搬送方向D1上流側端部から被印刷物Mに向かって搬送方向D1とは反対方向に傾斜している。ガイド部203は、例えばガイド板である。
【0053】
なお、本第2実施形態においても、塵埃除去部としては、エアを吸引することにより塵埃を除去する吸引部(例えばファン)、浮遊する塵埃を吸着する吸着部(例えば、吸着シートや粘着シート)などが用いられてもよい。この場合も、塵埃除去部は、インクジェットヘッド10の搬送方向D1の上流側で、且つ、接触部201(インクジェットヘッド10に対して搬送方向D1の上流側の2つの接触部201)の搬送方向D1の下流側又は接触部201と搬送方向D1の位置が同じ位置において塵埃を除去するとよい。例えば、塵埃除去部が吸引部である場合には、吹き出し孔204aに代えて吸引孔が設けられればよい。
【0054】
本第2実施形態において、印刷装置の一例であるインクジェット印刷装置1は、印刷部の一例であるインクジェットヘッド10と、接触部201と、送風部の一例であるファン12とを備える。インクジェットヘッド10は、被印刷物Mに対し、この被印刷物Mの搬送方向D1に交差する横方向D2に印刷を行う。接触部201は、被印刷物Mに接触し、この被印刷物Mとインクジェットヘッド10との間隔を確保する。ファン12は、インクジェットヘッド10の搬送方向D1の上流側で、且つ、接触部201よりも搬送方向D1の下流側(又は接触部201と搬送方向D1の位置が同じ位置)において、例えば吹き出し孔204aから被印刷物Mに対して風を吹き付けることによって塵埃を除去する。
【0055】
そのため、本第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、被印刷物Mと接触部201とが接触し、特に被印刷物Mから紙粉等の塵埃が発生しても、インクジェットヘッド10の搬送方向D1の上流側で、且つ、接触部201よりも搬送方向D1の下流側において、塵埃を除去することができる。これにより、塵埃がインクジェットヘッド10に付着したり被印刷物Mの印刷領域に付着したりするのを抑制することができる。したがって、塵埃に起因する印刷品質の低下を防止することができる。
【0056】
また、本第2実施形態においても、インクジェット印刷装置1は、ファン12によって被印刷物Mに吹き付けられる風を搬送方向D1とは反対方向にガイドするガイド部203を更に備える。また、接触部201は、ガイド部203によって搬送方向D1の反対方向にガイドされた風の流路202を隔てた上下のそれぞれにおいて被印刷物Mに接触する。
【0057】
そのため、塵埃がインクジェットヘッド10に付着したり被印刷物Mの印刷領域に付着したりするのをより一層抑制することができる。したがって、塵埃に起因する印刷品質の低下をより一層防止することができる。
【0058】
また、吹き出し孔204aがインクジェットヘッド10に対して1つのみ配置されているため、上述の第1実施形態と比較して、インクジェット印刷装置1の構造を簡素化することができる。
【0059】
図9は、第2実施形態の変形例におけるインクジェットヘッド10を示す平面図である。
【0060】
図9に示すように、本変形例では、インクジェットヘッド10とダクト204との間に蛇腹部材205が配置されている。この蛇腹部材205は、搬送方向D1における長さを伸縮自在な長さ可変ダクト(ホース)である。
【0061】
蛇腹部材205は、インクジェットヘッド10の搬送方向D1の上流側においてインクジェットヘッド10に隣接して位置する。蛇腹部材205が搬送方向D1における長さを伸縮自在であるため、ダクト204と、ガイド部203と、インクジェットヘッド10よりも搬送方向D1の上流側の上下2つの接触部201(図7参照)とは、搬送方向D1における位置が可変である。
【0062】
蛇腹部材205は、インクジェットヘッド10のファン12から送風され、各ヘッドモジュール11を冷却する風をダクト204に流す。
【0063】
本変形例のように、搬送方向D1における長さを伸縮自在な長さ可変ダクトの一例である蛇腹部材205が配置されていることによって、被印刷物Mの搬送距離や、被印刷物Mにおける印刷領域のサイズや、送風によって吹き飛ばされる塵埃の種類や、被印刷物Mとインクジェットヘッド10との接触のしやすさなどに応じて、吹き出し孔204aや接触部201とインクジェットヘッド10との搬送方向D1における距離を調整することができる。
【0064】
<第3実施形態>
本第3実施形態では、吹き出し孔13eが、ヘッドモジュール11のそれぞれ(第1実施形態参照)や、インクジェットヘッド10に対応して1つ(第2実施形態参照)配置されるのではなく、ヘッドモジュール11の色(6つのヘッドモジュール11)ごとに配置される例について説明する。それに関連する事項以外については、上述の第1実施形態と同様にすることができるため、詳細な説明は省略する。
【0065】
図10は、第3実施形態におけるヘッドモジュール11を示す背面図である。
【0066】
図10に示すように、吹き出し孔13eは、第1実施形態における吹き出し孔13a(図4参照)と同様に、インクジェットヘッド10のカバー13(図5参照)に設けられている。
【0067】
吹き出し孔13eは、各色6つのヘッドモジュール11の搬送方向D1の上流側において、搬送方向D1の上流側の3つのヘッドモジュール11に隣接して位置する。吹き出し孔13eは、上述のファン12が送風する風を吹き出す。
【0068】
接触部13fは、カバー13から被印刷物M側に突出するように設けられている。接触部13fは、被印刷物Mに接触し、この被印刷物Mとヘッドモジュール11との間隔を確保する。
【0069】
接触部13fは、吹き出し孔13eの上下の端部近傍に対して搬送方向D1の上流側に2つ設けられているとともに、この2つの接触部13fと同じ高さで、搬送方向D1下流側の3つのヘッドモジュール11よりも搬送方向D1の下流側に2つ設けられている。すなわち、接触部13fは、各色6つのヘッドモジュール11ごとに4つ設けられている。
【0070】
ここで、接触部13fは、例えば、インクジェットヘッド10の内部からカバー13を貫通する板材が折り返されて被印刷物Mに接触するものであってもよいし、カバー13の表面に設けられて被印刷物Mに接触するブロックであってもよいし、特に制限されない。
【0071】
上述の吹き出し孔13eは、各色6つのヘッドモジュール11よりも搬送方向D1の上流側で、且つ、接触部13f(各色6つのヘッドモジュール11に対して搬送方向D1の上流側の2つの接触部13f)の搬送方向D1の下流側に設けられているといえる。なお、吹き出し孔13eは、搬送方向D1の位置が接触部13fと同じ位置に設けられていてもよい。
【0072】
吹き出し孔13eの上下の端部に対して搬送方向D1の上流側に隣接して設けられている上下2つの接触部13fの間は、吹き出し孔13eから吹き出された風(図10の矢印参照)の流路13gである。
【0073】
なお、本第3実施形態においても、図3に示すファン12によって被印刷物Mに吹き付けられる風を搬送方向D1とは反対方向(左方向)にガイドするガイド部が配置されているとよい。
【0074】
また、本第3実施形態においても、塵埃除去部としては、エアを吸引することにより塵埃を除去する吸引部(例えばファン)、浮遊する塵埃を吸着する吸着部(例えば、吸着シートや粘着シート)などが用いられてもよい。この場合も、塵埃除去部は、各色6つのヘッドモジュール11の搬送方向D1の上流側で、且つ、接触部13f(インクジェットヘッド10に対して搬送方向D1の上流側の2つの接触部13f)の搬送方向D1の下流側又は接触部13fと搬送方向D1の位置が同じ位置において塵埃を除去するとよい。例えば、塵埃除去部が吸引部である場合には、吹き出し孔13eに代えて吸引孔が設けられればよい。
【0075】
本第3実施形態のように、吹き出し孔13eの数は、ヘッドモジュール11(印刷ヘッド)の数よりも少なく、且つ、インクジェットヘッド10の数(1つ)よりも多くともよい。例えば、図10のように1色分の6個のヘッドモジュール11ごとに1つの吹き出し孔13eが設けられるのに代えて、2色分の12個のヘッドモジュール11ごとに1つ吹き出し孔13eが設けられてもよい。
【0076】
本第3実施形態によっても、上述の第1及び第2実施形態と同様に、例えば、吹き出し孔13eから被印刷物Mに対して風を吹き付けることによって、塵埃を除去することができる。これにより、塵埃がインクジェットヘッド10に付着したり被印刷物Mの印刷領域に付着したりするのを抑制することができる。したがって、塵埃に起因する印刷品質の低下を防止することができる。
【0077】
なお、本発明は、上述の第1~第3実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階でその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上述の第1~第3実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、各実施形態に示される全構成要素を適宜組み合わせてもよい。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることはもちろんである。以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0078】
[付記1]
被印刷物に対し、当該被印刷物の搬送方向に交差する横方向に印刷を行う印刷部と、
前記被印刷物に接触し、当該被印刷物と前記印刷部との間隔を確保する接触部と、
前記印刷部の前記搬送方向の上流側で、且つ、前記接触部よりも前記搬送方向の下流側又は前記接触部と前記搬送方向の位置が同じ位置において塵埃を除去する塵埃除去部と
を備えることを特徴とする印刷装置。
【0079】
[付記2]
前記塵埃除去部は、前記印刷部の前記搬送方向の上流側で、且つ、前記接触部よりも前記搬送方向の下流側又は前記接触部と前記搬送方向の位置が同じ位置に設けられた吹き出し孔から、前記被印刷物に対して風を吹き付ける送風部である
ことを特徴とする付記1記載の印刷装置。
【0080】
[付記3]
前記印刷部は、それぞれが前記被印刷物に印刷を行う複数の印刷ヘッドであり、
前記送風部は、前記複数の印刷ヘッドのそれぞれよりも前記搬送方向の上流側で、且つ、前記接触部よりも前記搬送方向の下流側又は前記接触部と前記搬送方向の位置が同じ複数の位置において塵埃を除去する
ことを特徴とする付記1記載の印刷装置。
【0081】
[付記4]
前記送風部によって前記被印刷物に吹き付けられる風を前記搬送方向とは反対方向にガイドするガイド部を更に備えること特徴とする付記2記載の印刷装置。
【0082】
[付記5]
前記接触部は、前記ガイド部によって前記反対方向にガイドされた風の流路を隔てた上下のそれぞれにおいて前記被印刷物に接触することを特徴とする付記4記載の印刷装置。
【符号の説明】
【0083】
1 インクジェット印刷装置
10 インクジェットヘッド
11 ヘッドモジュール
12 ファン
13 カバー
13a 吹き出し孔
13b 接触部
13c 流路
13d ガイド部
13e 吹き出し孔
13f 接触部
13g 流路
21 制御部
22 記憶部
23 インターフェース部
100 コンベア
201 接触部
202 流路
203 ガイド部
204 ダクト
204a 吹き出し孔
205 蛇腹部材
D1 搬送方向
D2 横方向
G 間隔
M 被印刷物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10