(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024171
(43)【公開日】2024-02-22
(54)【発明の名称】半導体装置及び半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 29/78 20060101AFI20240215BHJP
H01L 29/12 20060101ALI20240215BHJP
H01L 29/06 20060101ALI20240215BHJP
【FI】
H01L29/78 652E
H01L29/78 652T
H01L29/78 652C
H01L29/78 652J
H01L29/78 652P
H01L29/78 652N
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022126806
(22)【出願日】2022-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 浩之
(72)【発明者】
【氏名】井上 徹人
(72)【発明者】
【氏名】高橋 哲平
(72)【発明者】
【氏名】中島 早稀
(57)【要約】
【課題】深さが深く、ゲート電極85からより離れた位置で第二導電型チャネル領域のコーナーで電界集中を起こすことができ、耐圧を上げることができる半導体装置等を提供する。
【解決手段】半導体装置は、第一導電型エピタキシャル層20と、第一導電型半導体領域30と、第二導電型ボディ領域40と、ソース領域50と、前記第一導電型エピタキシャル層20のおもて面から第二導電型ボディ領域40に達するように形成された第二導電型ボディコンタクト領域45と、ゲート電極85と、前記ゲート電極85の下方に少なくとも一部が設けられ、前記第一導電型エピタキシャル層20のおもて面から前記第一導電型の第一導電型半導体領域30及び前記第二導電型ボディ領域40を貫通するように形成された第二導電型チャネル領域と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一導電型エピタキシャル層と、
前記第一導電型エピタキシャル層のおもて面に設けられ、前記第一導電型エピタキシャル層よりも不純物濃度が高い第一導電型半導体領域と、
前記第一導電型半導体領域よりも深い位置に形成された第二導電型ボディ領域と、
前記第一導電型エピタキシャル層のおもて面から第二導電型ボディ領域までの間で延在し、前記第一導電型半導体領域よりも不純物濃度が高い第一導電型からなるソース領域と、
前記第一導電型エピタキシャル層のおもて面から第二導電型ボディ領域に達するように形成され、前記第二導電型ボディ領域よりも不純物濃度が高い第二導電型ボディコンタクト領域と、
前記第一導電型半導体領域のおもて面にゲート絶縁膜を介して設けられたゲート電極と、
前記ゲート電極の下方に少なくとも一部が設けられ、前記第一導電型エピタキシャル層のおもて面から前記第一導電型の第一導電型半導体領域及び前記第二導電型ボディ領域を貫通するように形成された第二導電型チャネル領域と、
を備える半導体装置。
【請求項2】
前記第二導電型チャネル領域は、前記第一導電型半導体領域に形成された上方第二導電型チャネル領域と、前記第二導電型ボディ領域に形成された中央第二導電型チャネル領域と、前記第二導電型ボディ領域よりも深い深さ位置に形成された下方第二導電型チャネル領域と、を有し、
前記中央第二導電型チャネル領域の第二導電型不純物濃度は、前記第二導電型ボディ領域における不純物濃度よりも高くなっている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記ソース領域を含むセル領域と、
前記セル領域の周縁を取り囲む周縁領域と、
を備え、
前記周縁領域は、前記第二導電型チャネル領域と一体になった第二導電型周縁領域を含む、請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第二導電型チャネル領域は、前記第一導電型半導体領域に形成された上方第二導電型チャネル領域と、前記第二導電型ボディ領域に形成された中央第二導電型チャネル領域と、前記第二導電型ボディ領域よりも深い深さ位置に形成された下方第二導電型チャネル領域と、を有し、
前記上方第二導電型チャネル領域及び前記中央第二導電型チャネル領域のおもて面側の一部は、前記周縁領域における不純物濃度と同程度の不純物濃度となっている、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
第一導電型エピタキシャル層を形成する工程と、
前記第一導電型エピタキシャル層内に、第二導電型ボディ領域を形成する工程と、
前記第一導電型エピタキシャル層のおもて面に、前記第一導電型エピタキシャル層よりも不純物濃度が高い第一導電型半導体領域を形成する工程と、
前記第一導電型エピタキシャル層のおもて面から第二導電型ボディ領域までの間で延在するようにして、前記第一導電型半導体領域よりも不純物濃度が高い第一導電型からなるソース領域を形成する工程と、
前記第一導電型エピタキシャル層のおもて面から前記第一導電型の前記第一導電型半導体領域及び前記第二導電型ボディ領域を貫通するように第二導電型チャネル領域を形成する工程と、
前記第二導電型チャネル領域の少なくとも一部の上方において前記第一導電型エピタキシャル層のおもて面にゲート絶縁膜を介してゲート電極を設ける工程と、
を備える半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記ソース領域を含むセル領域と、
前記セル領域の周縁を取り囲む周縁領域と、
を備え、
前記周縁領域と前記第二導電型チャネル領域の少なくとも一部は同時に形成される、請求項5に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、様々な半導体装置が提供されている。一例として特許文献1では、第一導電型エピタキシャル層と、第一導電型エピタキシャル層の表面に形成され、第一導電型エピタキシャル層よりも不純物濃度が高い第一導電型の第一半導体領域と、第一導電型の第一半導体領域よりも深い位置に形成された第二導電型ボディ領域と、第一導電型エピタキシャル層の表面側から第一導電型の第一半導体領域を貫通して第二導電型ボディ領域に達するように形成された第二導電型チャネル領域と、第一導電型エピタキシャル層の表面側から第二導電型ボディ領域に向けて形成され、第一導電型の第一半導体領域よりも不純物濃度が高い第一導電型の第二半導体領域と、第一導電型エピタキシャル層の表面側から第二導電型ボディ領域に達するように形成され、第二導電型ボディ領域よりも不純物濃度が高い第二導電型ボディコンタクト領域と、少なくとも第二導電型チャネル領域上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極とを備えた半導体装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1で示すような従来の態様では、p型ボディ領域の下方側のコーナーで電界集中が起こり、耐圧の観点からは十分ではないことがあった。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、耐圧を安定させて上げることができる半導体装置及び半導体装置の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[概念1]
本発明による半導体装置は、
第一導電型エピタキシャル層と、
前記第一導電型エピタキシャル層のおもて面に設けられ、前記第一導電型エピタキシャル層よりも不純物濃度が高い第一導電型半導体領域と、
前記第一導電型半導体領域よりも深い位置に形成された第二導電型ボディ領域と、
前記第一導電型エピタキシャル層のおもて面から第二導電型ボディ領域までの間で延在し、前記第一導電型半導体領域よりも不純物濃度が高い第一導電型からなるソース領域と、
前記第一導電型エピタキシャル層のおもて面から第二導電型ボディ領域に達するように形成され、前記第二導電型ボディ領域よりも不純物濃度が高い第二導電型ボディコンタクト領域と、
前記第一導電型半導体領域のおもて面にゲート絶縁膜を介して設けられたゲート電極と、
前記ゲート電極の下方に少なくとも一部が設けられ、前記第一導電型エピタキシャル層のおもて面から前記第一導電型の第一導電型半導体領域及び前記第二導電型ボディ領域を貫通するように形成された第二導電型チャネル領域と、
を備えてもよい。
【0007】
[概念2]
概念1による半導体装置において、
前記第二導電型チャネル領域は、前記第一導電型半導体領域に形成された上方第二導電型チャネル領域と、前記第二導電型ボディ領域に形成された中央第二導電型チャネル領域と、前記第二導電型ボディ領域よりも深い深さ位置に形成された下方第二導電型チャネル領域と、を有し、
前記中央第二導電型チャネル領域の第二導電型不純物濃度は、前記第二導電型ボディ領域における不純物濃度よりも高くなってもよい。
【0008】
[概念3]
概念1又は2による半導体装置は、
前記ソース領域を含むセル領域と、
前記セル領域の周縁を取り囲む周縁領域と、
を備え、
前記周縁領域が、前記第二導電型チャネル領域と一体になった第二導電型周縁領域を含んでもよい。
【0009】
[概念4]
概念1乃至3のいずれか1つによる半導体装置において、
前記第二導電型チャネル領域は、前記第一導電型半導体領域に形成された上方第二導電型チャネル領域と、前記第二導電型ボディ領域に形成された中央第二導電型チャネル領域と、前記第二導電型ボディ領域よりも深い深さ位置に形成された下方第二導電型チャネル領域と、を有してもよい。
【0010】
[概念5]
本発明による半導体装置の製造方法は、
第一導電型エピタキシャル層を形成する工程と、
前記第一導電型エピタキシャル層内に、第二導電型ボディ領域を形成する工程と、
前記第一導電型エピタキシャル層のおもて面に、前記第一導電型エピタキシャル層よりも不純物濃度が高い第一導電型半導体領域を形成する工程と、
前記第一導電型エピタキシャル層のおもて面から第二導電型ボディ領域までの間で延在するようにして、前記第一導電型半導体領域よりも不純物濃度が高い第一導電型からなるソース領域を形成する工程と、
前記第一導電型エピタキシャル層のおもて面から前記第一導電型の前記第一導電型半導体領域及び前記第二導電型ボディ領域を貫通するように第二導電型チャネル領域を形成する工程と、
前記第二導電型チャネル領域の少なくとも一部の上方において前記第一導電型エピタキシャル層のおもて面にゲート絶縁膜を介してゲート電極を設ける工程と、
を備えてもよい。
【0011】
[概念5]
本発明による半導体装置は、
前記ソース領域を含むセル領域と、
前記セル領域の周縁を取り囲む周縁領域と、
を備え、
半導体装置の製造方法において、
前記周縁領域と前記第二導電型チャネル領域の少なくとも一部は同時に形成されてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本件発明では、第二導電型チャネル領域が、第一導電型エピタキシャル層のおもて面から第一導電型半導体領域及び第二導電型ボディ領域を貫通するように形成されていることから、深さが深く、ゲート電極からより離れた位置で第二導電型チャネル領域のコーナーで電界集中を起こすことができ、耐圧を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施の形態による半導体装置の一例による断面図。
【
図2】本発明の実施の形態による半導体装置の別の例による断面図。
【
図3】本発明の実施の形態による半導体装置における上方平面図。
【
図4A】実施の形態による
図3の点線IV-IVで切断した断面であって、
図1及び
図2で示されているp型チャネル領域を点線IV'-IV'で切断した断面を示した図。
【
図6A】実施の形態による
図3の点線IV-IVで切断した断面であって、
図7で示されているp型チャネル領域を点線IV'-IV'で切断した断面を示した図。
【
図7】本発明の実施の形態による半導体装置のさらに別の例による断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施の形態
本発明の実施の形態による半導体装置は、一例として、炭化ケイ素や窒化ガリウム等のワイドバンドギャップを有する半導体であり、典型的にはパワーMOSFETである。
図1において上下方向が第一方向であり、左右方向が第二方向であり、紙面に対する法線方向が第三方向であり、第一方向に直交する面(第二方向及び第三方向を含む面)が面内方向である。
図1の上方向が半導体装置のおもて面側の方向であり、下方向が導体装置の裏面側の方向である。n型においてはn
-、n、n
+、n
++の順に、p型においてはp、p
+、p
++の順に、それぞれ当該導電型の不純物濃度が高くなっていることを示す。これらは、不純物濃度の相対的な大小の概略を示すものであり、例えばn
+型の領域は、n
-型の領域及びn型の領域よりも高く、かつ、n
++型の領域よりも低い不純物濃度を有する。
【0015】
n-の不純物濃度は例えば0.5~2.0×1016cm-3であり、nの不純物濃度は例えば2.0~3.0×1016cm-3であり、n+の不純物濃度は例えば0.5~50.0×1018cm-3であり、n++の不純物濃度は例えば1.0~50.0×1019cm-3である。pの不純物濃度は例えば2.0×1017~1.0×1019cm-3であり、p+の不純物濃度は例えば2.0×1017~5.0×1019cm-3であり、p++の不純物濃度は例えば1.0~50.0×1019cm-3である。
【0016】
図1に示すように、本実施の形態の半導体装置は、第一導電型半導体基板であるn型半導体基板(n
+半導体基板)10と、n型半導体基板10のおもて面に設けられ、エピタキシャル成長によって形成されるn型エピタキシャル層(n
-エピタキシャル層)20と、を備えている。n型エピタキシャル層20のおもて面側の領域には、n型エピタキシャル層20よりもn型の不純物濃度が高いn型半導体領域(n半導体領域)30が設けられ、n型半導体領域30よりも深い位置に第二導電型であるp型からなるp型ボディ領域(pボディ領域)40が設けられてもよい。n型エピタキシャル層20のおもて面からp型ボディ領域40までの間で延在し、n型半導体領域30よりもn型の不純物濃度が高いn型ソース領域(n
++ソース領域)35が設けられてもよい。本実施の形態では、第一導電型としてn型を用い、第二導電型としてp型を用いて説明するが、一例にすぎず、第一導電型としてp型を用い、第二導電型としてn型を用いてもよい。
【0017】
n型エピタキシャル層20のおもて面(半導体層のおもて面)からp型ボディ領域40に達するように形成され、p型ボディ領域40よりもp型の不純物濃度が高いp型ボディコンタクト領域(p
++ボディコンタクト領域)45と、n型半導体領域30のおもて面にゲート絶縁膜81を介して設けられたゲート電極85と、ゲート電極85の下方に少なくとも一部(
図1に示す態様ではゲート電極85の下方に全部)が設けられ、n型エピタキシャル層20のおもて面からn型半導体領域30及びp型ボディ領域40を貫通し、p型ボディ領域40よりも深さの深い位置まで達するように形成されたp型チャネル領域50が設けられてもよい。本実施の形態のようにn型エピタキシャル層20のおもて面からn型半導体領域30及びp型ボディ領域40を貫通し、p型ボディ領域40よりも深さの深い位置まで達するように形成されたp型チャネル領域50が設けられることで、深さが深く、ゲート電極85からより離れた位置でp型チャネル領域50のコーナーで電界集中を起こすことができ、耐圧を上げることができる。特に炭化ケイ素半導体装置の場合、絶縁電界強度に電界方向依存性があるため、電界集中する部分によって耐圧がばらついてしまうという問題がある。このため、本実施の形態のようなp型ボディ領域40よりも深さの深い位置まで達するように形成されたp型チャネル領域50が設けられない場合には、電界集中ポイントがp型ボディ領域40の角部となってしまい、耐圧を安定化させることが難しい(炭化ケイ素半導体装置の場合には結晶多型であり、結晶構造によっては特定の方向に電界がかかった場合、耐圧が低下するという特性があることから、p型チャネル領域50のコーナーで電界集中を起こすことは好ましくない。)。これに対して、本実施の形態のようなp型チャネル領域50を設けることで、炭化ケイ素半導体装置のようなワイドバンドギャップ半導体からなる半導体装置においても、耐圧を安定化させることができる点で有益である。
【0018】
図1に示す態様では、ゲート電極85の上方及び側方には層間絶縁膜80が設けられている。層間絶縁膜80及びゲート絶縁膜81は同じ絶縁材料(例えば二酸化ケイ素)から構成されてもよい。ゲート電極85は多結晶質シリコンであってもよい。
【0019】
n型エピタキシャル層20のおもて面側にはソース電極90が設けられ、半導体基板の裏面側にはドレイン電極95が設けられてもよい。ソース電極90は金属から構成されもよく、例えばチタン(Ti)とアルミニウム(Al)の積層構造が設けられ、その上面にアルミニウム及び銅を含む金属層が設けられてもよい。ドレイン電極95は、例えば金属又は金属半導体化合物であってもよく、例えば、ニッケルシリサイド、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)及び金(Au)からなる群から選択される1つ以上の金属を含んでもよい。
【0020】
p型チャネル領域50は、n型半導体領域30に形成された上方p型チャネル領域(上方pチャネル領域)51と、p型ボディ領域40に形成された中央p型チャネル領域(中央p+チャネル領域)52と、p型ボディ領域40よりも深い深さ位置に形成された下方p型チャネル領域(下方pチャネル領域)53と、を有してもよい。ここで「n型半導体領域30に形成された」とは「n型エピタキシャル層20」のおもて面から「n型半導体領域30」と同じ深さ位置までで設けられていることを意味し、「p型ボディ領域40に形成された」とは「p型ボディ領域40」と同じ深さ位置の範囲で設けられていることを意味し、「p型ボディ領域40よりも深い深さ位置に形成された」とは「p型ボディ領域40」の下端よりも深い位置のn型エピタキシャル層20に設けられていることを意味している。
【0021】
中央p型チャネル領域52のp型不純物濃度は、p型ボディ領域40における不純物濃度と同程度であってもよい(
図2参照)。本願において、不純物濃度が「同程度」とは、対象となる不純物濃度を100%としたときに±10%の範囲にあることを意味している。このため、「p型ボディ領域40における不純物濃度と同程度」ということは、「p型ボディ領域40における不純物濃度」の±10%の範囲内にあることを意味している。
【0022】
n型ソース領域35を含むセル領域100と、上方(おもて面側)から見た平面視において、すなわち面内においてセル領域100の周縁を取り囲む周縁領域200とが設けられてもよい(
図3参照)。周縁領域200は一例としてガードリングである。
図4A乃至
図4Cの各々は
図3の点線IV-IVで切断
した断面であって、
図1及び
図2で示されているp型チャネル領域50を点線IV'-IV'で切断した断
面を示した図である。
図4A乃至
図4Cにおける左側が周縁内方側(
図3の点線IV-IVの左側)であり
、右側が周縁外方側(
図3の点線IV-IVの右側)である。本実施の形態の周縁領域200は、
図4A乃
至
図4Cで示されるように、p型チャネル領域50と一体になったp型の周縁領域200を含んでもよい。このような構成を採用することで、製造工程における工程数を削減でき、また無駄な深さ勾配の追加を防ぐことができる。
【0023】
周縁領域200の深さはp型ボディ領域40よりも浅くなってもよい。一例としては、周縁領域200の深さは、n型半導体領域30に形成された上方p型チャネル領域(上方pチャネル領域)51よりも深く、かつp型ボディ領域40に形成された中央p型チャネル領域(中央p
+チャネル領域)52よりも浅くなってもよい(
図4A乃至
図4C参照)。
【0024】
周縁領域200の深さはp型チャネル領域50、つまり下方p型チャネル領域(下方pチャネル領域)53よりも浅くなってもよい。この場合、セル領域100と周縁領域200の境界において、p型チャネル領域50の深さよりも周縁領域200の深さが浅くなってもよい(
図4A乃至
図4C参照)。p型チャネル領域50の深さを深くすることで、前述したとおり、ゲート電極85からより離れた位置でp型チャネル領域50のコーナーで電界集中を起こすことができ、耐圧を上げることができるが、周縁領域200ではその必要性がないためである。
【0025】
また、
図4Bで示すように、セル領域100内において、p型チャネル領域50は周縁内方側(周縁領域200から離間する側)において、深さが深くなってもよい。
【0026】
また、
図4Cで示すように、周縁領域200内において、セル領域100に近接する側において、深さが深くなってもよい。
【0027】
図5で示すように、最も内面側に位置する周縁領域部210だけがp型チャネル領域50と一体となり、その外側に位置する周縁領域部210は面内方向で離間して設けられてもよい。
【0028】
また、上方p型チャネル領域(上方pチャネル領域)51及び中央p型チャネル領域(中央p
+チャネル領域)52の上方側の一部は周縁領域200と同程度の不純物濃度となってもよく、周縁領域200と上方p型チャネル領域(上方pチャネル領域)51及び中央p型チャネル領域(中央p
+チャネル領域)52が同じ工程で生成されてもよい。このような構成を採用することで、周縁領域200と同じ深さで不純物を注入することができ、製造工程をより容易にすることができる。
図6A乃至
図6Cで示す態様では、図面中の「D」で示している深さ領域で、上方p型チャネル領域(上方pチャネル領域)51及び中央p型チャネル領域(中央p
+チャネル領域)52は周縁領域200と同程度の不純物濃度となっている。この態様を採用した場合の断面図は、例えば
図7で示すような構成となる。
【0029】
n型半導体基板10の厚さは、例えば100~500μm程度である。n型エピタキシャル層20の厚さは、例えば3~30μm程度である。n型半導体基板10は、例えば、不純物として窒素がドープされたn+型の半導体である低抵抗炭化珪素基板である。炭化珪素(SiC)は、C原子およびSi原子の配列によって、2H,3C,4H,6H,8H,10H,15R等の結晶構造の異なる種類が存在するが、いずれの結晶構造の炭化珪素であってもn型半導体基板10として用いることができる。
【0030】
n型エピタキシャル層20のおもて面からのn型半導体領域30の深さは、例えば0.4~0.8μm程度である。n型半導体領域30は、n型エピタキシャル層20の第一主面であるおもて面からn型不純物イオン(例えばリンイオンや窒素イオン)を注入することにより形成する。
【0031】
n型エピタキシャル層20のおもて面からのn型ソース領域35の深さは、例えば0.2~0.6μm程度である。n型ソース領域35は、n型エピタキシャル層20の第一主面であるおもて面からn型不純物イオン(例えばリンイオンや窒素イオン)を注入することにより形成する。
【0032】
n型エピタキシャル層20のおもて面からのp型ボディ領域40の最深部の深さは、例えば1.0~2.0μm程度である。p型ボディ領域40は、n型エピタキシャル層20のおもて面からp型不純物イオン(例えばアルミニウムイオンやボロンイオン)を注入することにより形成する。
【0033】
n型エピタキシャル層20のおもて面からのp型ボディコンタクト領域45の深さは、例えば0.05~2.5μm程度(p型ボディ領域40に到達しない深さを除く。)である。p型ボディコンタクト領域45は、n型エピタキシャル層20のおもて面からp型不純物イオン(例えばアルミニウムイオンやボロンイオン)を注入することにより形成する。
【0034】
本実施の形態の半導体装置100においては、p型チャネル領域50の深さは例えば0.2~2.2μm程度である。p型チャネル領域50の紙面の横方向に沿った長さ(チャネル長)は、例えば0.1~2.0μm程度である。また、p型チャネル領域50とn型ソース領域35の間隔は、例えば0.01~0.5μm程度である。
【0035】
上述した実施の形態の記載及び図面の開示は、特許請求の範囲に記載された発明を説明するための一例に過ぎず、上述した実施の形態の記載又は図面の開示によって特許請求の範囲に記載された発明が限定されることはない。
【符号の説明】
【0036】
10 n型半導体基板(第一導電型半導体基板)
20 n型エピタキシャル層(第一導電型エピタキシャル層)
30 n型半導体領域(第一導電型半導体領)
40 p型ボディ領域(第二導電型ボディ領域)
45 p型ボディコンタクト領域(第二導電型ボディコンタクト領域)
50 n型ソース領域(ソース領域)
51 上方p型チャネル領域(上方第二導電型チャネル領域)
52 中央p型チャネル領域(中央第二導電型チャネル領域)
53 下方p型チャネル領域(下方第二導電型チャネル領域)
80 層間絶縁膜
81 ゲート絶縁膜
85 ゲート電極
100 セル領域
200 周縁領域