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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024180
(43)【公開日】2024-02-22
(54)【発明の名称】流体供給装置
(51)【国際特許分類】
   A01K 7/02 20060101AFI20240215BHJP
   A01K 7/00 20060101ALI20240215BHJP
【FI】
A01K7/02
A01K7/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022126827
(22)【出願日】2022-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】591129025
【氏名又は名称】株式会社塚田メディカル・リサーチ
(71)【出願人】
【識別番号】503361400
【氏名又は名称】国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】塚田 修
(72)【発明者】
【氏名】仲佐 昭彦
(72)【発明者】
【氏名】芳田 淳平
(72)【発明者】
【氏名】水野 浩靖
(72)【発明者】
【氏名】芝 大
(72)【発明者】
【氏名】専光寺 旭洋
(72)【発明者】
【氏名】萩原 裕介
【テーマコード(参考)】
2B102
【Fターム(参考)】
2B102AA13
2B102AB24
2B102AD02
2B102CA11
(57)【要約】
【課題】本発明は、動力源が不要であり、流体を効率的に貯留することのできる流体供給装置を提供することを目的とする。
【解決手段】
貯留した流体を外部に供給する流体供給装置100において、前記流体を貯留可能に弾性体で形成された第1のバルーン11と、前記流体を貯留可能に弾性体で形成されるとともに、前記第1のバルーン11よりも大きな収縮力を有する第2のバルーン12と、前記第1のバルーン11及び前記第2のバルーン12の両方を支持する支持部材10と、前記第1のバルーン11及び前記第2のバルーン12を収容し、前記第1のバルーン11及び前記第2のバルーン12の膨張範囲を画定する筐体15とを備え、前記支持部材10は、前記第1のバルーン11の内部及び前記第2のバルーン12の内部を流体的に連通させる流路10eが形成されるようにした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯留した流体を外部に供給する流体供給装置において、
前記流体を貯留可能に弾性体で形成された第1のバルーンと、
前記流体を貯留可能に弾性体で形成されるとともに、前記第1のバルーンよりも大きな収縮力を有する第2のバルーンと、
前記第1のバルーン及び前記第2のバルーンの両方を支持する支持部材と、
前記第1のバルーン及び前記第2のバルーンを収容し、前記第1のバルーン及び前記第2のバルーンの膨張範囲を画定する筐体とを備え、
前記支持部材は、前記第1のバルーンの内部及び前記第2のバルーンの内部を流体的に連通させる流路が形成されたことを特徴とする、流体供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の流体供給装置において、前記支持部材は、前記第1のバルーンと前記第2のバルーンとの隣り合う端部どうしを接続する接続部を有し、前記接続部内に前記流路が形成されたことを特徴とする、流体供給装置。
【請求項3】
請求項1に記載の流体供給装置において、前記支持部材は、管状部材であり、前記第1のバルーン及び前記第2のバルーンを貫通していることを特徴とする、流体供給装置。
【請求項4】
請求項1に記載の流体供給装置において、前記支持部材は、前記筐体の一方の端部から他方の端部にかけて延在していることを特徴とする、流体供給装置。
【請求項5】
請求項1に記載の流体供給装置において、前記支持部材は、板形状を有しており、一方の面に前記第1のバルーンが取り付けられ、他方の面に前記第2のバルーンが取り付けられたことを特徴とする、流体供給装置。
【請求項6】
請求項1に記載の流体供給装置において、前記筐体は、前記第1のバルーン及び前記第2のバルーンの少なくとも一方が前記筐体に当接したことを検出するためのセンサが設けられたことを特徴とする、流体供給装置。
【請求項7】
貯留した流体を外部に供給する流体供給装置において、
前記流体を貯留可能に弾性体で形成された第1のバルーンと、前記第1のバルーンを支持する第1の支持部材と、前記第1のバルーンを収容し、前記第1のバルーンの膨張範囲を画定する第1の筐体とを備えた第1のユニットと、
前記流体を貯留可能に弾性体で形成されるとともに、前記第1のバルーンよりも大きな収縮力を有する第2のバルーンと、前記第2のバルーンを支持する第2の支持部材と、前記第2のバルーンを収容し、前記第2のバルーンの膨張範囲を画定する第2の筐体とを備えた第2のユニットとを備え、
前記第1の支持部材及び前記第2の支持部材は、前記第1のバルーンの内部と前記第2のバルーンの内部とを流体的に連通させるための流路が形成されたことを特徴とする、流体供給装置。
【請求項8】
請求項7に記載の流体供給装置において、前記第1の筐体は、前記第1のバルーンが前記第1の筐体に当接したことを検出するためのセンサが設けられたことを特徴とする、流体供給装置。
【請求項9】
請求項7に記載の流体供給装置において、前記第2の筐体は、前記第2のバルーンが前記第2の筐体に当接したことを検出するためのセンサが設けられたことを特徴とする、流体供給装置。
【請求項10】
請求項1または7に記載の流体供給装置において、前記第1のバルーンと、前記第2のバルーンとは、肉厚が異なることを特徴とする、流体供給装置。
【請求項11】
請求項1または7に記載の流体供給装置において、前記第1のバルーンと、前記第2のバルーンとは、内径が異なることを特徴とする、流体供給装置。
【請求項12】
請求項1または7に記載の流体供給装置において、前記第1のバルーンと、前記第2のバルーンとは、長さが異なることを特徴とする、流体供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体供給装置に関し、特に、マウス等の生物の飼育用の液体を供給するための流体供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、宇宙空間における無重力環境または微小重力環境が生物に与える影響を研究する目的等で、スペースシャトル等の宇宙機にマウス等の生物を乗せて宇宙へ輸送し、マウス等を宇宙空間で飼育する実験が行われている。宇宙空間におけるマウス等の飼育環境は、地上でマウス等を飼育する場合と同様に、マウス等に水や液体飼料(以下、水等という)を与える設備が必要となる(例えば、特許文献1参照)。地上におけるマウス等に水等を与える設備としては、重力を利用した自動流体供給装置が一般的に用いられる。しかしながら、無重力環境においては、このような重力を利用した自動流体供給装置は使用することはできない。
【0003】
そこで、宇宙空間でマウス等に水等を与える設備として、電動式のシリンジポンプ等を利用して水等を自動的に供給する装置が提案されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-017191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、電動式の装置は、動力源が必要であるので、重量とスペースとが比較的大きい。このため、積載重量及び積載スペースが限られる宇宙機にこのような電動式の装置を搭載することは好ましくない。また、電動式の装置は、故障することがある。電動式の装置が故障した場合は、宇宙飛行士による修理を要し、維持管理に手間がかかってしまう。
【0006】
本発明の目的は、上述した従来の技術が有する課題を解消し、動力源が不要であり、流体を効率的に貯留することのできる流体供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、貯留した流体を外部に供給する流体供給装置において、前記流体を貯留可能に弾性体で形成された第1のバルーンと、前記流体を貯留可能に弾性体で形成されるとともに、前記第1のバルーンよりも大きな収縮力を有する第2のバルーンと、前記第1のバルーン及び前記第2のバルーンの両方を支持する支持部材と、前記第1のバルーン及び前記第2のバルーンを収容し、前記第1のバルーン及び前記第2のバルーンの膨張範囲を画定する筐体とを備え、前記支持部材は、前記第1のバルーンの内部及び前記第2のバルーンの内部を流体的に連通させる流路が形成されたことを特徴とする。
【0008】
この場合において、前記支持部材は、前記第1のバルーンと前記第2のバルーンとの隣り合う端部どうしを接続する接続部を有し、前記接続部内に前記流路が形成されていてもよい。前記支持部材は、管状部材であり、前記第1のバルーン及び前記第2のバルーンを貫通していてもよい。前記支持部材は、前記筐体の一方の端部から他方の端部にかけて延在していてもよい。前記支持部材は、板形状を有しており、一方の面に前記第1のバルーンが取り付けられ、他方の面に前記第2のバルーンが取り付けられていてもよい。前記筐体は、前記第1のバルーン及び前記第2のバルーンの少なくとも一方が前記筐体に当接したことを検出するためのセンサが設けられていてもよい。
【0009】
また、本発明は、貯留した流体を外部に供給する流体供給装置において、前記流体を貯留可能に弾性体で形成された第1のバルーンと、前記第1のバルーンを支持する第1の支持部材と、前記第1のバルーンを収容し、前記第1のバルーンの膨張範囲を画定する第1の筐体とを備えた第1のユニットと、前記流体を貯留可能に弾性体で形成されるとともに、前記第1のバルーンよりも大きな収縮力を有する第2のバルーンと、前記第2のバルーンを支持する第2の支持部材と、前記第2のバルーンを収容し、前記第2のバルーンの膨張範囲を画定する第2の筐体とを備えた第2のユニットとを備え、前記第1の支持部材及び前記第2の支持部材は、前記第1のバルーンの内部と前記第2のバルーンの内部とを流体的に連通させるための流路が形成されたことを特徴とする。
【0010】
この場合において、前記第1の筐体は、前記第1のバルーンが前記第1の筐体に当接したことを検出するためのセンサが設けられていてもよい。前記第2の筐体は、前記第2のバルーンが前記第2の筐体に当接したことを検出するためのセンサが設けられていてもよい。
【0011】
上記発明において、前記第1のバルーンと、前記第2のバルーンとは、肉厚が異なっていてもよい。前記第1のバルーンと、前記第2のバルーンとは、内径が異なっていてもよい。前記第1のバルーンと、前記第2のバルーンとは、長さが異なっていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態に係る流体供給装置の正面図を示す。
図2】シャフト及びバルーンの断面を模式的に示す。
図3図3(a)は、流体供給装置及びセンサを模式的に示し、図3(b)は、吐出経過時間の変化に伴う内圧の変化の様子をグラフで示す。
図4】本発明の第2実施形態に係る流体供給装置の斜視図示す。
図5】第2実施形態に係る流体供給装置の断面を示す。
図6】バルーンが膨張した状態の流体供給装置内の模式的な斜視図を示す。
図7】バルーンが膨張した状態の流体供給装置の模式的な断面図を示す。
図8】本発明の第3実施形態に係る流体供給装置の正面図を示す。
図9】バルーンユニットの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施の形態について説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る流体供給装置の正面図を示し、図2は、シャフト及びバルーンの断面を模式的に示し、図3(a)は、流体供給装置及びセンサを模式的に示し、図3(b)は、吐出経過時間の変化に伴う内圧の変化の様子をグラフで示している。
【0014】
本実施形態に係る流体供給装置100は、例えば、宇宙空間で飼育されるマウス等の生物を飼育するための水や液体飼料(生物飼育用液体、以下水等という)を与えるために、宇宙空間において使用される。特に、本実施形態に係る流体供給装置100は、打ち上げ及び/又は回収のための宇宙機に搭載され得る。
【0015】
流体供給装置100は、図1に示すように、シャフト10(支持部材)と、第1のバルーン11と、第2のバルーン12と、第1のキャップ13と、第2のキャップ14と、ケース(筐体)15とを備えている。
【0016】
ケース15は、透明な樹脂材料で形成された円筒形状を有している。ケース15は、一端に第1のキャップ13が組み込まれ、他端に第2のキャップ14が組み込まれている。これら第1のキャップ13及び第2のキャップ14に支持されたシャフト10に第1のバルーン11及び第2のバルーン12が支持されている。ケース15の内周面は、水等が注入されて膨張した第1のバルーン11及び第2のバルーン12が当接するように形成されている。これにより、ケース15は、第1のバルーン11及び第2のバルーン12の膨張範囲を画定するようになっている。
【0017】
第1のバルーン11は、第1のキャップ13側が長手方向xに凹んだリンゴのような形状に膨張するように形成されており、第2のバルーン12は、第2のキャップ14側が長手方向xに凹んだリンゴのような形状に膨張するように形成されている。これら第1のバルーン11及び第2のバルーン12は、1つのバルーンを用いる場合に比べて小径なことから表面の曲率が大きくなり、第1のバルーン11及び第2のバルーン12が膨張したときにケース15の両端に生じる隅部S1,S2を小さくしてケース15内の空間を効率的に利用することができるように設けられている。
【0018】
第1のバルーン11及び第2のバルーン12は、弾性部材で形成されており、特に限定されないが、生体適合性の観点から例えばシリコーンゴム等で形成されていることが好ましい。第1のバルーン11及び第2のバルーン12は、内部にマウス等の生物に与える水等を貯留可能に形成され、且つ貯留した水等の流体を排出可能に設けられている。
【0019】
第2のバルーン12は、第1のバルーン11よりも大きな収縮力を有している。本実施形態に係る第1のバルーン11は、第2のバルーン12よりも全長が長く形成されている、すなわち、シャフト10に取り付けられた第1のバルーン11及び第2のバルーン12は、第1のバルーン11の方が第2のバルーン12よりもシャフト10に沿って長手方向xに長くなっている。
【0020】
なお、本実施形態では、第2のバルーン12が第1のバルーン11よりも長手方向xに短く形成されていることにより、第2のバルーン12を第1のバルーン11よりも大きな収縮力を有するようにしているが、これに限定されない。第2のバルーン12の収縮力が第1のバルーン11よりも大きくなれば、第1のバルーン11及び第2のバルーン12の肉厚や内径を異なるようにしてもよい。
【0021】
第1のバルーン11は、一端に第1の孔11aが形成されており、他端に第2の孔11bが形成されている。これら第1の孔11a及び第2の孔11bは、シャフト10が貫通している。これら第1の孔11a及び第2の孔11bは、第1のバルーン11の端部から第1のバルーン11の内側に突出する円筒形状を有する軸部材11c,11dが設けられている。第1のバルーン11は、貫通したシャフト10の外周面に軸部材11c,11dを用いて密着するように形成されている。
【0022】
第1のバルーン11と同様に、第2のバルーン12も、一端に第1の孔12aが形成されており、他端に第2の孔12bが形成されている。これら第1の孔12a及び第2の孔12bは、シャフト10が貫通している。これら第1の孔12a及び第2の孔12bは、第2のバルーン12の端部から第2のバルーン12の内側に突出する円筒形状を有する軸部材12c,12dが設けられている。第2のバルーン12は、貫通したシャフト10の外周面に軸部材12c,12dを用いて密着するように形成されている。
【0023】
第1のバルーン11及び第2のバルーン12は、図1に示すように、シャフト10の長手方向xに隣り合うように取り付けられている。本実施形態では、第1のバルーン11がシャフト10の注入口10a側に配置され、第2のバルーン12がシャフト10の吐出口10b側に配置されている。これにより、第1のバルーン11及び第2のバルーン12は、第1のバルーン11の軸部材11dと第2のバルーン12の軸部材12cとが当接しており、第1のバルーン11の軸部材11dと第2のバルーン12の軸部材12cとの間から、シャフト10から離れる方向に広がって膨張するように設けられている。これにより、第1のバルーン11と第2のバルーン12とは、膨張するにつれて第1のバルーン11の軸部材11dと第2のバルーン12の軸部材12cとの周りで密着する領域が大きくなるようになっている。なお、図1では、第1のバルーン11及び第2のバルーン12が膨張した状態を示しているが、収縮した状態では、第1のバルーン11及び第2のバルーン12は、それぞれシャフト10に略密着した状態になっている。
【0024】
シャフト10は、円筒形状を有する管状部材である。シャフト10は、ケース15の長手方向xの一方の端部から他方の端部にかけて延在しており、図2に示すように、軸心に沿って水が流れるための流路10eが形成されている。シャフト10の一端には、第1のバルーン11の内部及び第2のバルーン12の内部に貯留された水等を吐出させるための吐出口10bを有している。一方、シャフト10の他端には、第1のバルーン11の内部及び第2のバルーン12の内部に水等を注入するための注入口10aを有している。流路10eは、注入口10aから吐出口10bにかけて延在するように形成されている。
【0025】
本実施形態に係る注入口10aは、シャフト10内の水等が流出しないようにするための一方弁40が接続されるようになっているが、注入口10a自体に一方弁が組み込まれていてもよい。注入口10aは、一方弁を介して図示しない配管等が接続されるように設けられている。
【0026】
シャフト10は、円筒形状に形成されたシャフト10の内部空間と第1のバルーン11の内部空間の流路10eとを直接的に繋げて流体的に連通させるための第1の連通孔10cが形成されている。また、円筒形状に形成されたシャフト10の内部空間と第2のバルーン12の内部空間とを直接的に繋げて流体的に連通させるための第2の連通孔10dが形成されている。
【0027】
また、シャフト10は、第1のバルーン11と第2のバルーン12との隣り合う端部どうし、すなわち、第1のバルーン11の軸部材11d(図1参照)と第2のバルーン12の軸部材12c(図1参照)とを接続する接続部10fを有し、流路10eは接続部10f内にも形成されている。接続部10fは、円筒形状に形成されており、この円筒形状部分の外周面は、第1のバルーン11の軸部材11dと第2のバルーン12の軸部材12cとが密着するような外径に形成されている。なお、本実施形態に係るシャフト10は、第1のバルーン11の第1の孔11aから第2のバルーン12の第2の孔12bにかけて一定の外径の円筒形状を有するように形成されているが、これに限定されず、第1のバルーン11の軸部材11c(図1参照)と軸部材11d(図1参照)との間の部分、及び第2のバルーン12の軸部材12c(図1参照)と軸部材12d(図1参照)との間の部分は異なる外径や外周形状を有していてもよい。流体供給装置100は、接続部10fを有することにより、第1のバルーン11及び第2のバルーン12は、流体的に連通するとともに、吐出口10b及び注入口10aとも流体的に連通するようになっている。
【0028】
ケース15は、図1に示すように、透明な樹脂材料で円筒形状に形成されている。なお、ケース15は、筒形状であれば、円筒形状に限らず、多角形断面を有する角筒形状であってもよい。シャフト10、第1のバルーン11、第2のバルーン12は、ケース15内に配置されている。ケース15の一方の開口を閉鎖するように、第1のキャップ13がケース15に取り付けられている。また、ケース15の他方の開口を閉鎖するように、第2のキャップ14がケース15に取り付けられている。したがって、シャフト10の両端は、ケース15の長手方向xの両端から外側に突出している。
【0029】
以下、流体供給装置100に水等を貯留する手順と流体供給装置100から水等を吐出させる手順について説明する。
流体供給装置100に水等を貯留させるときは、シャフト10の注入口10aに図示しない液体源を接続して、水等を注入口10aからシャフト10内に注入する。本実施形態では、第2のバルーン12の収縮力よりも第1のバルーン11の収縮力の方が小さいため、シャフト10内に注入された水等は、第1の連通孔10cを通って第1のバルーン11内に注入されていく。このとき、第1のバルーン11は、水等の注入量に応じて膨張していく。
【0030】
膨張する第1のバルーン11の外周面がケース15の内周面に当接すると、シャフト10内に注入されている水等は第2のバルーン12内に注入されるようになり、これにより第2のバルーン12は、水等の注入量に応じて膨張していく。
【0031】
膨張する第2のバルーン12の外周面がケース15の内周面に当接すると、流体供給装置100への水の注入は完了する。
【0032】
本実施形態に係る流体供給装置100は、図3(a)に示すように、第1のバルーン11がケース15に当接したことを検出するための第1の圧力センサ33と、第2のバルーン12がケース15に当接したことを検出するための第2の圧力センサ34と、シャフト10の流路10e内に組み込まれて流路10e内の内圧を検出するための第3の圧力センサ35とが設けられている。流体供給装置100の使用者は、これら第1の圧力センサ33及び第2の圧力センサ34の検出結果に基づいて、第1のバルーン11及び第2のバルーン12の外周面がケース15の内周面に当接したことを判断し、第3の圧力センサ35の検出結果に基づいて流体供給装置100に貯留されている液体の圧力を検出することができるようになっている。
【0033】
マウス等の生物に水等を供給するときは、シャフト10に接続された図示しない配管等が有するバルブを開く。これにより、第1のバルーン11及び第2のバルーン12の収縮力によって第1のバルーン11及び第2のバルーン12の内部の水等が吐出口10bから配管内へ吐出され、マウス等の生物に水等を自動的に供給することができる。
【0034】
第1のバルーン11及び第2のバルーン12の内部の水等が吐出口10bから吐出される際に、第1のバルーン11の内圧は、図3(b)に示すように変化する。この図において、縦軸は内圧(kPa)を示し、横軸は経過時間(hr)を示している。なお、図3(b)では、第1のバルーン11の内圧を用いて説明しているが、これに限らず、第2のバルーン12の内圧を用いてもよい。
【0035】
流体供給装置100の吐出口10bから水を吐出させる際には、先ず、収縮力が第1のバルーン11よりも大きな第2のバルーン12内に貯留されていた水等が吐出口10bから吐出される。第2のバルーン12内に貯留されていた水等の吐出が終了して第1のバルーン11内に貯留されていた水等の吐出に切り換わる際、すなわち図3(b)において約36時間経過したときに、第1のバルーン11の内圧が上昇して第1のピークP1が生じる。これにより、流体供給装置100の使用者は、第1のバルーン11及び第2のバルーン12を目視しなくても、第3の圧力センサ35を用いて第1のピークP1を検出することにより、水等を突出しているバルーンが第2のバルーン12から第1のバルーン11に切り換わったことを判断することができる。
【0036】
第2のバルーン12からの水等の吐出が終了すると、流体供給装置100は、第1のバルーン11内に貯留されていた水等を吐出させる。このとき、第1のバルーン11の内圧は水等の吐出とともに低下していくが、第1のバルーン11内に貯留されていた水等の吐出が終了する際、すなわち図3(b)において約72時間経過したときに、第1のバルーン11の内圧が若干上昇して第2のピークP2が生じる。流体供給装置100の使用者は、第1のバルーン11及び第2のバルーン12を目視しなくても、第3の圧力センサ35を用いて第2のピークP2を検出することにより、第1のバルーン11内に貯留していた水等がもうすぐ無くなることを判断することができる。なお、本実施形態では、第1のバルーン11及び第2のバルーン12の貯留量を第3の圧力センサ35を用いて判断しているが、第1の圧力センサ33を用いて第1のバルーン11の貯留量が減ったことを判断し、第2の圧力センサ34を用いて第2のバルーン12の貯留量が減ったことを判断してもよい。
【0037】
本実施形態に係る流体供給装置100は、水等を貯留可能に弾性体で形成された第1のバルーン11と、水等を貯留可能に弾性体で形成されるとともに、第1のバルーン11よりも大きな収縮力を有する第2のバルーン12と、第1のバルーン11及び第2のバルーン12の両方を支持するシャフト10と、第1のバルーン11及び第2のバルーン12を収容し、第1のバルーン11及び第2のバルーン12の膨張範囲を画定するケース15とを備え、シャフト10は、第1のバルーン11の内部及び第2のバルーン12の内部を流体的に連通させる流路10eが形成されている。これにより、小分けにされた第1のバルーン11及び第2のバルーン12は、1つのバルーンを用いる場合に比べて小径なことから表面の曲率が大きくなり、第1のバルーン11及び第2のバルーン12が膨張したときにケース15の両端に生じる隅部S1,S2を小さくしてケース15内の空間を効率的に利用することができる。このため、動力源が不要であり、効率的に流体を貯留することができる。
【0038】
また、本実施形態に係る流体供給装置100は、第2のバルーン12が第1のバルーン11よりも大きな収縮力を有しているため、第1のバルーン11よりも先に第2のバルーン12が収縮するように、かつ、第2のバルーン12よりも先に第1のバルーンが膨張するように、第1のバルーン11及び第2のバルーン12が膨張したり収縮したりする順序を制御することができる。
【0039】
さらに、本実施形態に係る流体供給装置100は、複数のバルーンが順番に収縮していくことにより、流体供給装置100内に貯留されている水等の減少を段階的に把握することができる。
【0040】
さらにまた、本実施形態に係る流体供給装置100は、収縮力が小さな第1のバルーン11を備えているため、低圧力で流体が注入された場合でも無理なく膨張することができる。このため、1つのバルーンのみ備えた場合に比べて容易に膨張することができて、流体の圧力をあまり高くしなくても隅部S1,S2を埋めるように膨張することができるため、バルーンに対する負荷を小さくすることができる。
【0041】
(第2実施形態)
図4は、本発明の第2実施形態に係る流体供給装置の斜視図を示し、図5は、第2実施形態に係る流体供給装置の断面を示し、図6は、バルーンが膨張した状態の流体供給装置内の模式的な斜視図を示し、図7は、バルーンが膨張した状態の流体供給装置の模式的な断面図を示す。なお、第2実施形態では第1実施形態と異なる部分について説明し、図中の第1実施形態と略同一の構成に対しては同一の符号を用いている。
【0042】
本実施形態に係る流体供給装置200は、図4に示すように、板形状を有する支持プレート(支持部材)110と、この支持プレート110の両面を覆うように形成された一対のケース(筐体)115,115とを備えている。
【0043】
ケース115,115は、図5に示すように、それぞれ支持プレート110から離れる方向に膨らんだ形状を有しており、支持プレート110との間に空洞が形成されている。これらケース115,115内で、支持プレート110の一方の面110aに第1のバルーン111が取り付けられ、他方の面110bに第1のバルーン111よりも大きな収縮力を有する第2のバルーン112が取り付けられている。
【0044】
支持プレート110は、面110a,110bに対して面内方向に延在する流路110eが形成されており、この流路110eは、吐出口10b及び注入口10aに流体的に連通している。流路110eは、支持プレート110の中央近傍で分岐して面110a,110bに対して面外方向に延在する分岐路110fが形成されており、分岐路110fは、面110a,110bで第1のバルーン111の内部及び第2のバルーン112の内部に流体的に連通している。
【0045】
第1のバルーン111及び第2のバルーン112は、それぞれ膨張していない状態で支持プレート110の面110a,110bに密着するように平坦な板形状に形成されている。これら第1のバルーン111及び第2のバルーン112は、流路110e及び分岐路110fを介して流体が注入されたときに、図6に示すように、それぞれ支持プレート110の面110a,110bから離れる方向に膨張するようになっている。ケース115は、図7に示すように、第1のバルーン111及び第2のバルーン112の膨張範囲を画定するように設けられており、膨張した第1のバルーン111及び第2のバルーン112は、それぞれケース115,115の内面に密着するように当接して膨張が制限されるようになっている。
【0046】
以下、第1のバルーン111及び第2のバルーン112の膨張について説明する。
第1のバルーン111及び第2のバルーン112が実際に膨張する際には、先ず、第1のバルーン111が膨張を開始し、第1のバルーン111がケース115の内面に当接する。
【0047】
第1のバルーン111がケース115の内面に当接すると、次に第2のバルーン112が膨張を開始し、第2のバルーン112がケース115の内面に当接すると膨張が停止するようになっている。
【0048】
(第3実施形態)
図8は、本発明の第3実施形態に係る流体供給装置の正面図を示し、図9は、バルーンユニットの断面図を示している。なお、第3実施形態では第2実施形態と異なる部分について説明し、図中の第1実施形態と略同一の構成に対しては同一の符号を用いている。
【0049】
本実施形態に係る流体供給装置300は、図8に示すように、第1のバルーン111(図9参照)が収容された第1のバルーンユニット50aと、第1のバルーン111よりも大きな収縮力を有する第2のバルーンが収容された第2のバルーンユニット50bと、第2のバルーンよりも大きな収縮力を有する第3のバルーンが収容された第3のバルーンユニット50cとを備えている。これら第1のバルーンユニット50a、第2のバルーンユニット50b、及び第3のバルーンユニット50cのバルーンは、配管316を介して並列に接続されている。なお、第1のバルーンユニット50a、第2のバルーンユニット50b、及び第3のバルーンユニット50cは、略同じ構成を備えており、バルーンの収縮力のみが異なっているので、以下第1のバルーンユニット50aを用いて説明する。
【0050】
第1のバルーンユニット50a、第2のバルーンユニット50b、及び第3のバルーンユニット50cは、図9に示すように、それぞれ1つのバルーン111のみを収容している点が第2実施形態と異なっている。
【0051】
配管316に流体が注入されて第1のバルーンユニット50a、第2のバルーンユニット50b、及び第3のバルーンユニット50cのバルーン111がそれぞれ膨張する際には、先ず、第1のバルーンユニット50aのバルーン111がケース115の内面に当接するまで膨張する。第1のバルーンユニット50aのバルーン111が膨張を終了すると、次に第2のバルーンユニット50bのバルーン111がケース115の内面に当接するまで膨張する。第2のバルーンユニット50bのバルーン111が膨張を終了すると、次に第3のバルーンユニット50cのバルーン111がケース115の内面に当接するまで膨張し、流体供給装置300への流体の注入が完了する。
【0052】
流体供給装置300から流体が吐出する際には、先ず、第3のバルーンユニット50cのバルーン111が収縮して流体を配管316内に吐出させる。第3のバルーンユニット50cのバルーン111の収縮が終了すると、次に第2のバルーンユニット50bのバルーン111が収縮して流体を配管316内に吐出させる。第2のバルーンユニット50bのバルーン111が収縮を終了すると、次に第1のバルーンユニット50aのバルーン111が収縮して流体を配管316内に吐出させる。
【0053】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、ケース15,115を透明な樹脂材料で形成しているが、膨張したバルーンによって加えられる圧力に耐え得る十分な剛性を有していれば、例えば、その一部のみに透明な材料が用いられていたり、その全部が透明でない材料で形成されていたりしてもよい。
【符号の説明】
【0054】
P1…第1のピーク
P2…第2のピーク
S1…隅部
10…シャフト(支持部材)
10a…注入口
10b…吐出口
10c…第1の連通孔
10d…第2の連通孔
10e…流路
10f…接続部
11…第1のバルーン
11a…第1の孔
11b…第2の孔
11c…軸部材
11d…軸部材
12…第2のバルーン
12a…第1の孔
12b…第2の孔
12c…軸部材
12d…軸部材
13…第1のキャップ
14…第2のキャップ
15…ケース(筐体)
33…第1の圧力センサ
34…第2の圧力センサ
35…第3の圧力センサ
40…一方弁
50a…第1のバルーンユニット
50b…第2のバルーンユニット
50c…第3のバルーンユニット
100…流体供給装置
110…支持プレート
110a…面
110b…面
110e…流路
110f…分岐路
111…第1のバルーン
112…第2のバルーン
115…ケース(筐体)
200…流体供給装置
300…流体供給装置
316…配管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9