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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024190
(43)【公開日】2024-02-22
(54)【発明の名称】太陽電池モジュールの換気構造
(51)【国際特許分類】
   H02S 40/42 20140101AFI20240215BHJP
   E04D 13/18 20180101ALI20240215BHJP
   H02S 20/10 20140101ALI20240215BHJP
   H02S 20/23 20140101ALI20240215BHJP
   H02S 20/26 20140101ALI20240215BHJP
   H02S 30/10 20140101ALN20240215BHJP
【FI】
H02S40/42
E04D13/18 ETD
H02S20/10 T
H02S20/23 Z
H02S20/26
H02S30/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022126840
(22)【出願日】2022-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】000165505
【氏名又は名称】元旦ビューティ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100174425
【弁理士】
【氏名又は名称】水崎 慎
(74)【代理人】
【識別番号】100203932
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 克宗
(72)【発明者】
【氏名】舩木 元旦
【テーマコード(参考)】
2E108
5F151
5F251
【Fターム(参考)】
2E108KK01
2E108LL01
2E108MM01
2E108MM04
2E108MM05
2E108MM06
2E108NN07
5F151BA03
5F151JA09
5F151JA30
5F251BA03
5F251JA09
5F251JA30
(57)【要約】
【課題】太陽電池モジュールの裏面側にて温められた空気を排出することで太陽電池モジュールの発電効率の低下を防止することができ、特に屋根勾配に沿う方向に寸法の大きな太陽電池モジュールの利用に好適な太陽電池モジュールの換気構造を提供する。
【解決手段】本発明の太陽電池モジュール1の換気構造は、上向きルーバー状に形成されている複数の通気孔21が設けられ、それらの水上側に、少なくとも通気孔21の巾より幅広な突状部22が形成されていることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根勾配に取り付けられた太陽電池モジュールの水下側に、上向きルーバー状に形成されている複数の通気孔が設けられ、それらの水上側に、少なくとも前記通気孔の巾より幅広な突状部が形成されていることを特徴とする太陽電池モジュールの換気構造。
【請求項2】
複数の前記通気孔の裏面側には、排水樋材が配設されていることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュールの換気構造。
【請求項3】
屋根勾配に直交する方向に隣り合うそれぞれの太陽電池モジュールの水下側に、前記突状部及び複数の前記通気孔が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の太陽電池モジュールの換気構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池モジュールの裏面側にて温められた空気を排出することで太陽電池モジュールの発電効率の低下を防止することができ、特に屋根勾配に沿う方向に寸法の大きな太陽電池モジュールの利用に好適な太陽電池モジュールの換気構造に関する。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化の緩和を目的として、二酸化炭素(CO2)の排出が少ない社会(低炭素社会)を構築するため、太陽光を用いた再生可能エネルギーを普及するという社会的気運の高まりがある。これらの気運やニーズに鑑み、大規模な太陽電池施設や既存或いは新設の建築物や住宅等への太陽電池の設置が積極的に進められている。
太陽電池は、温度の上昇によって発電効率が低下するという問題があることは知られている。
太陽電池を建築物等に設置する場合の多くは、屋根面、壁面に設置されるが、その特性上、太陽光の照射によって、即ち太陽電池の表側からの照射により温度上昇は避けられないものである。
また、太陽電池の裏側からも空気を媒体として太陽電池の温度が上昇する。即ち太陽電池を設置した場合には、新設であれば太陽電池と下地との間(空間)に、既存(後付けタイプ)であれば既存屋根と太陽電池との間(空間)に、温められた空気が存在するため、発電効率を低下させる要因となっている。
さらに、この裏面側の空間内にあっても温度の高い、即ち高温の空気は上昇するため、太陽電池裏面付近に滞留するように位置し、効率低下に繋がるものであった。
【0003】
そこで、本願出願人は、特許文献1~5にて、屋根勾配に沿って隣り合うように配設した平面視矩形状の太陽電池モジュールの間隔(目地部分)に起立状部を設置し、該起立状部に、水下側から水上側へ吹き上げる風を当てるようにすることで、太陽電池モジュールの裏面側の暖められた空気を排出する構造を提案した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6059924号公報
【特許文献2】特許第6063786号公報
【特許文献3】特許第6099321号公報
【特許文献4】特許第6415797号公報
【特許文献5】特許第6521622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1~5等に記載の提案では、用いる太陽電池モジュールの屋根勾配方向の寸法が比較的小さいものを用いているため、多数の目地部分を形成する必要があった。そのため、太陽電池モジュールの表面側に生じた雨水は、多くの目地部分から容易に裏面側へ落下するので、これらの雨水に対する高い耐性、即ち雨仕舞い性に優れた下葺き構造を太陽電池モジュールの裏面側に配設する必要があった。
【0006】
そこで、本発明は、太陽電池モジュールの裏面側にて温められた空気を排出することで太陽電池モジュールの発電効率の低下を防止することができ、特に屋根勾配に沿う方向に寸法の大きな太陽電池モジュールの利用に好適な太陽電池モジュールの換気構造を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記に鑑み提案されたもので、屋根勾配に取り付けられた太陽電池モジュールの水下側に、上向きルーバー状に形成されている複数の通気孔が設けられ、それらの水上側に、少なくとも前記通気孔の巾より幅広な突状部が形成されていることを特徴とする太陽電池モジュールの換気構造に関するものである。
【0008】
また、本発明は、前記換気構造において、複数の前記通気孔の裏面側には、排水樋材が配設されていることを特徴とする太陽電池モジュールの換気構造をも提案する。
【0009】
また、本発明は、前記換気構造において、屋根勾配に直交する方向に隣り合うそれぞれの太陽電池モジュールの水下側に、前記突状部及び複数の前記通気孔が設けられていることを特徴とする太陽電池モジュールの換気構造をも提案する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の太陽電池モジュールの換気構造は、屋根勾配に取り付けられた太陽電池モジュールの水下側に、上向きルーバー状に形成されている複数の通気孔が設けられ、それらの水上側に、少なくとも前記通気孔の巾より幅広な突状部が形成されているので、複数の通気孔や突状部(但し、貫通孔を形成している場合)から太陽電池モジュールの裏面側にて温められた空気を排出することができ、太陽電池セルの発電効率の低下を防止できる。
また、複数の通気孔及び突状部は、そのルーバー状(起立曲面部)等が木の葉等の固形物による流入を防止し、その導水口の閉塞が防止されるので、太陽電池モジュールの裏面空間内の排熱が円滑に行え、太陽電池セルの発電効率の低下を抑制できる。
【0011】
また、複数の通気孔の裏面側に、排水樋材が配設されている場合、通気孔から裏面側へ流入した雨水を排水樋材に導くことができる。
【0012】
また、屋根勾配に直交する方向に隣り合うそれぞれの太陽電池モジュールの水下側に、突状部及び複数の通気孔が設けられている場合、太陽電池モジュールの設置作業を先に行った後に、それぞれの太陽電池モジュールの水下側に複数の通気孔や突状部を取り付ける作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施例(実施例1)を示す側断面図である。
図2】実施例1の正面図である。
図3】(a)実施例1におけるカバー材を示す平面図、(b)B-B線における断面図、(c)C-C線における断面図、(d)加工前のカバー材を示す平面図(展開図)、(e)D-D線における断面図である。
図4】(a)実施例1における排水樋材を示す平面図、(b)その側面図、(c)その水下側から見た正面図、(d)その拡大側面図、(e)加工前の排水樋材を示す平面図(展開図)である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の太陽電池モジュールの換気構造は、屋根勾配に取り付けられた太陽電池モジュールの水下側に、上向きルーバー状に形成されている複数の通気孔が設けられ、それらの水上側に、少なくとも前記通気孔の巾より幅広な突状部が形成されていることを特徴とする。
また、複数の前記通気孔の裏面側には、排水樋材が配設されていることが望ましい。
【0015】
なお、前記複数の通気孔及び前記突状部は、裏面側に雨水を導く排水樋材を配したカバー材に設けることで、このカバー材と排水樋材を太陽電池モジュールの水下側に配設すれば、後述する図示実施例の太陽電池モジュールの換気構造を形成できる。このカバー材は、太陽電池モジュールの水下側に配する部材であって、排水樋材の表面側に空間を介して配設する部材である。
【0016】
本発明に用いる太陽電池モジュールは、結晶系等の太陽電池セルをガラス等に積層させてモジュール化したものであっても、アモルファス等の薄膜のものであってもよく、薄膜等にあっては、太陽光を透過可能な透明板材の裏面側に複数の太陽電池モジュールを印刷等にて作成したものでもよいし、基材となる金属板等に一体化してシート状(板状)或いはボード状にでもよい。なお、本発明に用いる太陽電池モジュールとしては、特に屋根勾配に沿う方向に寸法が大きな透明板材の裏面に複数の太陽電池モジュールを作成した太陽電池パネルを用いることが望ましい。
上記太陽電池パネルは、太陽電池モジュールの周縁に枠体(フレーム)を配してなり、この枠体は、上端に前記太陽電池パネルの周縁を支持する支持部が設けられ、下方へ垂下する側面部が形成されて裏面空間を確保する構成が一般的であるが、特にその具体的な構成を問うものではない。
この太陽電池モジュール(パネル)の裏面空間の暖められた空気(熱量)を、排出するために、水上端に位置するフレーム(側面部)を設けないか、導出部を形成したフレームを設けるようにしてもよい。
【0017】
この太陽電池パネルの配設についても、特に限定するものではないが、屋根勾配に沿うように連続的に設けるようにしてもよい。
また、この太陽電池パネルは、傾斜勾配を備える陸屋根等に組み付け設置した支持架台上に支持させてもよいし、後述する図示実施例に示すように屋根勾配に裏面空間を隔てて縦葺き状に連続するように敷設してもよい。なお、設置する屋根勾配としては、既存の瓦、スレート、金属等の公知の屋根でも、新たに敷設される瓦、スレート、金属等からなる屋根でも、太陽電池の裏面側に屋根としての雨仕舞性能を有するものが望ましく、その仕様を問うものではなく、例えば塩ビ等の防水シートからなる防水層でもよい。また、金属等によって構成される既存もしくは新設の屋根は、横葺き状、縦葺き(瓦棒葺き、平滑状等)、折板等の如何なるものであってもよい。
【0018】
本発明は、前述のように屋根勾配に取り付けられた太陽電池モジュールの水下側に、上向きルーバー状に形成されている複数の通気孔が設けられ、それらの水上側に、少なくとも前記通気孔の巾より幅広な突状部が形成されている換気構造を提案する。
なお、前記複数の通気孔及び前記突状部は、裏面側に雨水を導く排水樋材を配したカバー材に設けることで、このカバー材と排水樋材を太陽電池モジュールの水下側に配設すれば、後述する図示実施例の太陽電池モジュールの換気構造を形成できる。
【0019】
前記通気孔は、カバー材に複数形成した空気の排出用であって、上向きルーバー状に形成されている構成である。このカバー材は、前述のように太陽電池モジュールの水下側に配する部材であって、金属又は硬質樹脂等の板状材に適宜に複数の通気孔及び突状部を設けることで、カバー材として用いられる。
この通気孔は、上向きルーバー状に形成される開口部分であって、後述する図示実施例では表面側へ湾曲状に折り曲げられた部位であって、一つ一つの通気孔は、湾曲状に折り曲げられた起立曲面部と表裏に貫通される導出口とで形成されると言い換えることができる。
起立曲面部は、カバー材の表面を流れる水下側から水上側へ流れる風(吹き上げ風)に対して当たることで、その風下に減圧空間を形成し、導出口から裏面側の空気(熱量)を吸い出すように排出する役割を果たすが、雨水等に含まれる木の葉等の固形物が導出口を塞ぐことを防止する役割も果たされる。
【0020】
この通気孔では、前述のように起立曲面部がカバー材の表面を流れる水下側から水上側へ流れる風(吹き上げ風)に対して当たるため、その風下に減圧空間が形成され、導出口から裏面側の空気(熱量)を吸い出すように排出することができる。なお、この通気孔の配列については何ら限定するものではなく、後述する図示実施例では水平方向に二つずつ、水流れ方向に三列ずつの合計6つの一群を、水平方向に三群並ぶように配設したので、合計18つの通気孔が形成されている。また、この通気孔の水上側には突状部が形成されているので、水上側の太陽電池モジュール(パネル)の表面を流れてくる雨水は、導出口から殆ど裏面側へ流入(落下)されることがない。
【0021】
前記突状部は、カバー材にて少なくとも前記通気孔の巾より幅広に形成される部位であって、表面側へ突出状(起立状片)に形成しても、表面側へ隆出状に形成してもよい。後述する図示実施例では、前記通気孔の三郡のそれぞれの水上側に、起立状片及び貫通孔からなる突状部が形成されているが、必ずしも貫通孔を必須とするものではない。
この突状部は、水上側を頂部とする平面視円弧状でも平面視三角状でもよく、水上側の頂部に至った雨水を、この突状部にて水下側の通気孔に流すことなく、なだらかに左右に分けて流すことができる。
【0022】
この突状部は、前記通気孔の水上側に通気孔の巾より幅広に形成されているので、前述のように水上側の太陽電池モジュール(パネル)の表面を流れてくる雨水等が直接通気孔に流入されることを防止する。また、雨水等に含まれる木の葉等の固形物が貫通孔を塞ぐことを防止する役割も果たされる。
なお、前述のようにこの突状部には必ずしも貫通孔を必須とするものではないが、形成された場合の貫通孔は、前記通気孔と同様に裏面側の空気(熱量)を吸い出すように排出することができるし、水上側の太陽電池モジュール(パネル)の表面を流れてくる雨水を裏面側へ流入(落下)させることもできる。
【0023】
これらの通気孔や突状部が形成されるカバー材は、前述のように太陽電池モジュールの水下側に配する部材であって、排水樋材の表面側に空間を介して配設される板状材であって、後述する図示実施例では通気孔や突状部が形成される面板部の周縁を裏面側へ折り曲げて取付固定部としている。
前記カバー材の裏面側に配設される排水樋材は、前記通気孔の導出口や前記突状部に形成した場合の貫通孔から裏面側へ流入(落下)する雨水を受ける部材であって、後述する図示実施例では雨水を受ける受面部の水下端を立ち上げてそれ以上の流下を防止し、受面部に流入した雨水はその側方の排水部材へ導くようにしている。
【0024】
このような構成を有する本発明の太陽電池モジュールの換気構造は、屋根勾配に取り付けられた太陽電池モジュールの水下側に、上向きルーバー状に形成されている複数の通気孔が設けられ、それらの水上側に、少なくとも前記通気孔の巾より幅広な突状部が形成されているので、複数の通気孔や突状部(但し、貫通孔を形成している場合)から太陽電池モジュールの裏面側にて温められた空気を排出することができ、太陽電池モジュールの発電効率の低下を防止できる。
また、複数の通気孔及び突状部は、太陽電池モジュールの裏面空間内の排熱が円滑に行え、太陽電池セルの発電効率の低下を抑制できる。
【0025】
また、カバー材の裏面側に、排水樋材が配設されている場合、通気孔から裏面側へ流入した雨水を排水樋材に導くことができる。
【0026】
また、屋根勾配に直交する方向に隣り合うそれぞれの太陽電池モジュールの水下側に、突状部及び複数の通気孔が設けられている場合、太陽電池モジュールの設置作業を先に行った後に、それぞれの太陽電池モジュールの水下側に複数の通気孔や突状部を取り付ける作業を行うことができる。なお、複数の通気孔や突状部を取り付ける作業は、前記カバー材を取り付ける作業に他ならないので、それに加えて裏面側に排水樋材を配設する作業も極めて容易に行うことができる。
【実施例0027】
図1に示す本発明の実施例1の太陽電池モジュールの換気構造は、屋根勾配(=同図では右側から左側へ下る傾斜勾配)に取り付けられた太陽電池モジュール1の水下側(左方側)に、上向きルーバー状に形成されている複数の通気孔21が設けられ、それらの水上側に、少なくとも前記通気孔21の巾より幅広な突状部22が形成されている。
そのため、複数の通気孔21(導出口210)や突状部22(貫通孔220が形成されている)から太陽電池モジュール1の裏面側にて温められた空気Eを表面側へ排出することができ、太陽電池セル11の発電効率の低下を防止できる。
【0028】
図1及び図2に示すように複数の前記通気孔21や前記突状部22は、平面視矩形状のカバー材2の面板部23に形成されており、図中に示す曲線矢印は、太陽電池モジュール1の裏面側にて温められた空気Eの流れを示している。
【0029】
このカバー材2は、金属又は硬質樹脂等の板状材を原料素材とするものであり、図3(a)に示すように平面視矩形状の面板部23の水下側(図面の下方側)に水平方向(図面の左右方向)に二つずつ、水流れ方向(図面の上下方向)に三列ずつの合計6つの一群を、水平方向に三群並ぶように配設したので、合計18つの通気孔が形成されている。
一つ一つの通気孔21は、上向きルーバー状に形成される開口部分であって、表面側へ湾曲状に折り曲げられた起立曲面部211と表裏に貫通される導出口210とで形成されている。
一つ一つの突状部22は、表面側へ湾曲状に折り曲げられた折り上げ片221と貫通孔220とで形成される突状部分であって、平面視は水上側を頂部とする円弧状に形成されている。
また、通気孔21や突状部22が形成される面板部23の左右端を裏面側へ折り下げて外側へ延在させて取付固定部24とすると共に、水上端及び水下端を裏面側へ折り下げて外側へ延在させて取付固定部25としている。なお、その延在片の端部及び水上端の中央に形成される円孔250は、同図には図示しない固定具2bを取り付ける円孔である。
【0030】
なお、図3(b)はB-B線における断面図、図3(c)はC-C線における断面図である。また、図3(d)は加工前のカバー材(2)を示す平面図(展開図)であって、図3(e)はD-D線における断面図である。
そして、図中の括弧付き符号は、加工前の部位を示しているので、中央部分に相当する面板部(23)の左右端が、取付固定部(24)となる部位であると共に、水上端及び水下端が、取付固定部(25)となる部位である。
【0031】
前記カバー材2の裏面側に配設される排水樋材3は、図4(a)に示すように平面視矩形状の受面部31を備え、該受面部31には、その表面側に配したカバー材2に設けた前記通気孔21の導出口210や前記突状部22に形成した貫通孔220から裏面側へ流入(落下)してくる雨水を受けている。
前記受面部31の水平方向(図面の左右方向)の端縁を裏面側へ折り下げ(折下片32,32)、流れ方向に連続状に配される排水部材内に雨水を導くことで排水するようにしている。また、この受面部31の水上端には水返し部33を、水下端にはそれ以上の流下を防止すると共に取付用の取付立上部34を設けている。
【0032】
なお、図4(b)は流れ方向における側面図、図4(c)は水下側から見た正面図である。また、図4(e)は加工前の排水樋材(3)を示す平面図(展開図)であって、図4(d)は流れ方向における側面図を拡大して示している。
そして、図中の括弧付き符号は、加工前の部位を示しているので、中央部分に相当する受面部(31)の左右端が、雨水を左右方向へ流す下向き片である折下片(32)となる部位であり、水上端が、表面側への折り返し状の水返し部(33)となる部位であると共に、水下端が、縦片と係合部とを備える取付立上部(34)となる部位である。
【0033】
前記太陽電池モジュール(パネル)1は、太陽光を透過可能な透明板材の裏面側に複数の太陽電池セル11を印刷等にて一体状に作成した構成であって、C形鋼である躯体4C上に断熱下地材を敷設してなる外装下地4(表面側に防水シート4bが敷設)上には、ピース状の支持材5(固定具5b)が取り付けられ、その表面側には、流れ方向に連続する排水部材6に跨るように左右対称状の取付部材7が固着具7bにて固定され、該取付部材7の左右方向の配設間隔に前記太陽電池モジュール1が取り付けられている。
そして、この太陽電池モジュール1は、複数部材8A~8Fからなる押さえ部材8にてその左右の側縁を抑え保持している。即ち左右方向に隣り合う太陽電池モジュール1,1や左右方向に隣り合うカバー材2,2は、これらの支持材5や押さえ部材8にてその側端縁を保持されている。
【0034】
前記支持材5は、その底面部の左右に固定具5bが上方から打ち込まれる谷状固定部が設けられ、その中央に形成された突出状隆起部が、取付部材7を固定する固着具7bを受ける被固着部である。
前記排水部材6は、前記支持材5の上面に載置される略樋状の連続材であって、略中央には、前記突出状隆起部に被覆状に嵌合される山状の被覆部が設けられ、左右の側壁の上端はそれぞれ内側へ折り返されている。そのため、この排水部材6に流入された雨水は、被覆部の左右に形成された排水部61,61を流れ方向に流下する。
前記取付部材7には、その左右に前記太陽電池モジュール(パネル)1の側端を受支する受部が設けられ、前記支持材5に固定具7bにて固定されている。
前記押さえ部材8は、前述のように複数部材からなり、左右方向に隣り合う太陽電池モジュール1,1及び隣り合うカバー材2,2に跨って正面視略T字状の下方部材8Bが押さえるように配され、その上面に固定ビス8Dにて内方部材8Cが固定され、更にその上方に賦形材8E及び丸桟状の外観を備える外方部材8Aが取り付けられている構成であって、下方部材8Bの裏面には止水材8Fが添設されている。
【0035】
なお、図中に符号9Aで示される部材は、流れ勾配に隣り合う太陽電池モジュール1,1間に配される排水材であり、それを固定具9cで取付部材7に固定しており、符号9Bは、支持材5及び取付部材7の高さ寸法に等しい厚みを備えて太陽電池モジュール1の凹みを防止する反発材である。
【0036】
このような構成を有する本発明の実施例1の太陽電池モジュール1の換気構造は、屋根勾配に取り付けられた太陽電池モジュール1の水下側に、上向きルーバー状に形成されている複数の通気孔21が設けられ、それらの水上側に、少なくとも前記通気孔21の巾より幅広な突状部22が形成されているので、複数の通気孔21や突状部22から太陽電池モジュール1の裏面側にて温められた空気Eを排出することができ、太陽電池セル11の発電効率の低下を防止できる。
また、複数の通気孔21及び突状部22は、その起立曲面部211や立ち上げ片等が木の葉等の固形物による流入を防止し、その導出口210や貫通孔220の閉塞が防止されるので、太陽電池モジュール1の裏面空間内の排熱が円滑に行え、太陽電池セル11の発電効率の低下を抑制できる。
【0037】
また、この実施例1では、複数の通気孔21の裏面側に、排水樋材3が配設されているので、通気孔21から裏面側へ流入した雨水を排水樋材3に導くことができる。
【0038】
また、この実施例1では、屋根勾配に直交する方向に隣り合うそれぞれの太陽電池モジュール1,1の水下側に、突状部22び複数の通気孔21が設けられているので、太陽電池モジュール1の設置作業を先に行った後に、それぞれの太陽電池モジュール1の水下側に複数の通気孔21や突状部22を取り付ける作業、即ち前記カバー材2の取付作業を行うことができる。
【符号の説明】
【0039】
1 太陽電池モジュール(パネル)
11 太陽電池セル
2 カバー材
21 通気孔
210 導出口
211 起立曲面部
22 突状部
220 貫通孔
221 折り上げ片
23 面板部
24 取付固定部
25 取付固定部
3 排水樋材
31 受面部
32 折下片
33 水返し部
34 取付立上部
4 外装下地
4b 防水シート
4C 躯体
5 支持材
5b 固定具
6 排水部材
61 排水部
7 取付部材
7b 固着具
8 押さえ部材
8A 外方部材
8B 下方部材
8C 内包部材
8D 固定ビス
8E 賦形材
8F 止水材
9A 排水材
9B 反発材
9c 固定具
E 空気(空気の流れ、又は空気層)
図1
図2
図3
図4