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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024212
(43)【公開日】2024-02-22
(54)【発明の名称】水栓装置
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/05 20060101AFI20240215BHJP
【FI】
E03C1/05
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022126878
(22)【出願日】2022-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】辻田 正実
(72)【発明者】
【氏名】金子 義行
【テーマコード(参考)】
2D060
【Fターム(参考)】
2D060BC07
2D060CA04
(57)【要約】
【課題】水栓装置において、使用者の意図に反する止水を抑制すること。
【解決手段】実施形態に係る水栓装置は、導電部を有するスパウト本体部と、スパウト本体部に設けられ、洗浄水を吐水する吐水部と、所定の検知範囲内における検知対象を検知する第1センサと、導電部を電極として、検知対象を検知する静電式の第2センサと、第1センサによる検知結果に応じて吐止水を行う第1吐水モードと、第2センサによる検知結果に応じて吐止水を行う第2吐水モードとを実行可能な制御装置とを備える。制御装置は、第2吐水モードによる吐水が行われている状態において、第1センサが検知対象を検知していない場合、第2センサの検知結果に応じて第2吐水モードにおける止水を行う。制御装置は、第2吐水モードによる吐水が行われている状態において、第1センサが検知対象を検知している場合、第2センサの検知結果にかかわらず第2吐水モードによる吐水を継続する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電部を有するスパウト本体部と、
前記スパウト本体部に設けられ、洗浄水を吐水する吐水部と、
所定の検知範囲内における検知対象を検知する第1センサと、
前記導電部を電極として、検知対象を検知する静電式の第2センサと、
前記第1センサによる検知結果に応じて吐止水を行う第1吐水モードと、前記第2センサによる検知結果に応じて吐止水を行う第2吐水モードとを実行可能な制御装置と
を備え、
前記制御装置は、
前記第2吐水モードによる吐水が行われている状態において、前記第1センサが検知対象を検知していない場合、前記第2センサの検知結果に応じて前記第2吐水モードにおける止水を行い、
前記第2吐水モードによる吐水が行われている状態において、前記第1センサが検知対象を検知している場合、前記第2センサの検知結果にかかわらず前記第2吐水モードによる吐水を継続する、水栓装置。
【請求項2】
前記第1センサは、第1所定範囲、および前記第1所定範囲よりも狭い第2所定範囲における検知対象を検知可能であり、
前記制御装置は、
前記第1所定範囲内における検知対象の検知結果に応じて前記第1吐水モードによる吐止水を行い、
前記第2吐水モードによる吐水が行われている状態において、前記第1センサが前記第2所定範囲内で検知対象を検知していない場合、前記第2センサの検知結果に応じて前記第2吐水モードにおける止水を行い、
前記第2吐水モードによる吐水が行われている状態において、前記第1センサが前記第2所定範囲で検知対象を検知している場合、前記第2センサの検知結果にかかわらず前記第2吐水モードによる吐水を継続する、請求項1に記載の水栓装置。
【請求項3】
前記第1センサは、光電センサであり、前記スパウト本体部の下面に透過窓を備え、
前記透過窓は、前記吐水部よりも前記スパウト本体部の先端側に設けられる、請求項1または2に記載の水栓装置。
【請求項4】
前記第1センサは、光電センサであり、前記スパウト本体部の下面に透過窓を備え、
前記透過窓は、前記吐水部よりも前記スパウト本体部の基端側に設けられる、請求項1または2に記載の水栓装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、水栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、センサによる検知対象の検知結果に応じて、水道水を吐水、および止水する水栓装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-24808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記する水栓装置では、水栓装置に組み込んだ静電センサの検知電極により、吐水状態において人体が水に接触した際に静電容量が変化(増加)することを用いて、人体が水から離反した際の静電容量の変化(減少)との差から吐水状態から止水状態に切り替えることができる。
【0005】
一方、水栓装置に組み込んだ静電センサとして、導電性のスパウト本体部を検知電極とし、吐水状態において、人体が水に着水している時、及び、着水していない時にも吐水の継続を行い、使用者がスパウト本体部に手を近づけることによって止水を行う水栓装置を構成する場合には、吐水状態において、水が手に着水する地点がスパウト本体部の吐水口に近い場合、手が水に接触した際に静電容量が大きく変化(増加)することで、止水するためにスパウト本体部に手が近づけられたと誤検知してしまい、使用者が吐水の継続を望んでいるにもかかわらず、着水時に吐水状態から止水状態に切り替えられるおそれがある。
【0006】
実施形態の一態様は、使用者の意図に反する止水を抑制する水栓装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の一態様に係る水栓装置は、導電部を有するスパウト本体部と、スパウト本体部に設けられ、洗浄水を吐水する吐水部と、所定の検知範囲内における検知対象を検知する第1センサと、導電部を電極として、検知対象を検知する静電式の第2センサと、第1センサによる検知結果に応じて吐止水を行う第1吐水モードと、第2センサによる検知結果に応じて吐止水を行う第2吐水モードとを実行可能な制御装置とを備える。制御装置は、第2吐水モードによる吐水が行われている状態において、第1センサが検知対象を検知していない場合、第2センサの検知結果に応じて第2吐水モードにおける止水を行う。制御装置は、第2吐水モードによる吐水が行われている状態において、第1センサが検知対象を検知している場合、第2センサの検知結果にかかわらず第2吐水モードによる吐水を継続する。
【0008】
これにより、水栓装置は、第2吐水モードによる吐水が行われており、第1センサによって検知対象が検知されている場合、第2センサによって検知対象が検知された場合であっても、第2吐水モードによる吐水を継続することができる。
【0009】
例えば、第2吐水モードによって使用者が洗浄しており、第1センサによって検知対象が検知されている場合に、水栓装置は、使用者の手に洗浄水が着水することに起因する静電容量の増加を、止水のためにスパウト本体部に手が近づけられたと第2センサが誤検知し、止水することを、抑制することができる。すなわち、水栓装置は、使用者の意図に反する止水を抑制することができる。
【0010】
また、第1センサは、第1所定範囲、および第1所定範囲よりも狭い第2所定範囲における検知対象を検知可能である。制御装置は、第1所定範囲内における検知対象の検知結果に応じて第1吐水モードによる吐止水を行う。制御装置は、第2吐水モードによる吐水が行われている状態において、第1センサが第2所定範囲内で検知対象を検知していない場合、第2センサの検知結果に応じて第2吐水モードにおける止水を行う。制御装置は、第2吐水モードによる吐水が行われている状態において、第1センサが第2所定範囲内で検知対象を検知している場合、第2センサの検知結果にかかわらず第2吐水モードによる吐水を継続する。
【0011】
これにより、水栓装置は、第2吐水モードによって使用者が洗浄している場合に、使用者の意図に反する止水を抑制しつつ、必要以上に第2吐水モードの止水が抑制されることを防止することができる。
【0012】
水栓装置は、第2センサによる検知対象の検知が、使用者の手に洗浄水が触れることに起因する誤検知によるものであるか、使用者の止水操作によるものであるか、判別することができる。そのため、水栓装置は、使用者の手に洗浄水が触れることに起因する第2センサの検知対象の誤検知を抑制しつつ、第1センサによって検知対象が検知される状態であっても使用者の止水操作に応じて洗浄水を止水することができる。
【0013】
また、第1センサは、光電センサであり、スパウト本体部の下面に透過窓を備える。透過窓は、吐水部よりもスパウト本体部の先端側に設けられる。
【0014】
これにより、水栓装置は、スパウト本体部の先端側からスパウト本体部の下方に差し出された検知対象を、第1センサによって正確に検知することができる。そのため、水栓装置は、第2吐水モードによって吐水が行われている場合に、検知対象の有無を第1センサによって正確に判定することができる。従って、水栓装置は、第2吐水モードによって使用者が洗浄している場合に、第2センサによる検知対象の誤検知を抑制し、使用者の意図に反する止水を抑制することができる。
【0015】
また、第1センサは、光電センサであり、スパウト本体部の下面に透過窓を備える。透過窓は、吐水部よりもスパウト本体部の基端側に設けられる。
【0016】
これにより、水栓装置は、第2吐水モードによる吐水が行われている状態において、例えば、使用者が止水するためにスパウト本体部の先端側に手を近づけた場合に、第1センサによる手の検知を抑制し、第2吐水モードにおける止水を実行することができる。すなわち、水栓装置は、使用者の意図に応じて第2吐水モードによる止水を実行することができる。また、水栓装置は、吐水部とスパウト本体部の先端との距離を短くすることができ、デザイン性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0017】
実施形態の一態様によれば、使用者の意図に反する止水を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、第1実施形態に係る水栓装置を説明する模式図である。
図2図2は、第1実施形態に係る制御装置を中心とした機能ブロック図を示す図である。
図3図3は、第1実施形態に係る吐止水処理を説明するフローチャートである。
図4図4は、第1実施形態に係る吐止水処理を説明するフローチャートである。
図5図5は、第2実施形態に係る制御装置を中心とした機能ブロック図を示す図である。
図6図6は、第2実施形態に係る吐止水処理を説明するフローチャートである。
図7図7は、第2実施形態に係る吐止水処理を説明するフローチャートである。
図8図8は、第3実施形態に係る制御装置を中心とした機能ブロック図を示す図である。
図9図9は、第4実施形態に係る制御装置を中心とした機能ブロック図を示す図である。
図10図10は、第4実施形態に係る吐止水処理を説明するフローチャートである。
図11図11は、第4実施形態に係る吐止水処理を説明するフローチャートである。
図12図12は、変形例に係る水栓装置を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する水栓装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。以下では、鉛直方向を下向きとする上下方向を規定し説明する。
【0020】
(第1実施形態)
第1実施形態に係る水栓装置1について、図1を参照し説明する。図1は、第1実施形態に係る水栓装置1を説明する模式図である。図1では、水栓装置1のスパウト本体部2が断面で示される。
【0021】
水栓装置1は、例えば、洗面台などの基部100に取り付けられ、検知対象を検知すると、洗浄水を吐水、および止水する。すなわち、水栓装置1は、自動で吐水、および止水する自動水栓である。
【0022】
検知対象は、人体を含む。検知対象は、使用者の手を含む。検知対象は、洗浄対象物を含む。洗浄対象物は、例えば、歯ブラシや、コップを含む。
【0023】
洗浄水は、原水を含む。洗浄水は、改質水を含んでもよい。原水は、例えば、水道水である。改質水は、除菌水、浄水、またはアルカリイオン水である。除菌水、およびアルカリイオン水は、例えば、水道水が電気分解されて生成される。浄水は、例えば、水道水がフィルターを通されることで生成される。以下では、原水として水道水、および改質水として除菌水が用いられる一例について説明する。
【0024】
水栓装置1は、スパウト本体部2(第2センサ6)と、第1通水部3と、第2通水部4と、第1センサ5と、制御装置7と、吐水部10とを備える。
【0025】
スパウト本体部2は、導電部を有する。具体的には、スパウト本体部2は、導電性の部材で構成される。スパウト本体部2は、金属製である。スパウト本体部2は、導電性のカーボンや、導電性のプラスチックなどであってもよい。スパウト本体部2は、一部が導電性の部材によって構成されてもよい。スパウト本体部2は、一部に非導電性の部材を含んでもよい。吐水部10は、第1吐水口11と、第2吐水口12とを備える。
【0026】
スパウト本体部2は、例えば、洗面台などの基部100に取り付けられる。スパウト本体部2は、例えば、略L字状である。スパウト本体部2は、略J字状であってもよく、直線状であってもよい。
【0027】
第1吐水口11は、スパウト本体部2の先端側に設けられる。第1吐水口11は、第1通水部3を介して供給される水道水を吐出する。第1吐水口11は、下方、または斜め下方に向けて水道水を吐出するように設けられる。
【0028】
第2吐水口12は、例えば、第1吐水口11よりも基部100側に設けられる。なお、第2吐水口12は、スパウト本体部2の先端側に設けられてもよく、第1吐水口11に近接して設けられてもよい。第2吐水口12は、第2通水部4を介して供給される除菌水を吐出する。第2吐水口12は、斜め下方、また下方に向けて除菌水を吐出するように設けられる。
【0029】
第1吐水口11、および第2吐水口12は、例えば、金属製である。第1吐水口11、および第2吐水口12は、スパウト本体部2と電気的に接続されない。例えば、第1吐水口11、および第2吐水口12と、スパウト本体部2との間には、空隙が設けられる。空隙は、水栓装置1のサイズやデザインを考慮し設けられる。なお、第1吐水口11、および第2吐水口12は、絶縁体である樹脂などのプラスチックなどで構成されてもよい。
【0030】
第1通水部3は、第1供給管20と、第1バルブ21とを含む。第1供給管20の一端は、水道水の供給源に接続される。第1供給管20の他端は、第1吐水口11に接続される。第1供給管20の一部は、スパウト本体部2に収容される。
【0031】
第1バルブ21は、第1供給管20に設けられる。第1バルブ21は、電磁バルブであり、アクチュエータを含む。アクチュエータは、モータなどを含む。第1バルブ21は、アクチュエータによって開閉される。第1バルブ21は、制御装置7から送信される信号に基づいてアクチュエータが動作することで開閉される。第1バルブ21が開くと、第1吐水口11から水道水が吐水される。第1バルブ21が閉じると、水道水が止水される。
【0032】
第2通水部4は、第2供給管25と、第2バルブ26とを含む。第2供給管25の一端は、除菌水の供給源に接続される。第2供給管25の他端は、第2吐水口12に接続される。第2供給管25の一部は、スパウト本体部2に収容される。
【0033】
第2バルブ26は、第2供給管25に設けられる。第2バルブ26は、電磁バルブであり、アクチュエータを含む。第2バルブ26は、アクチュエータによって開閉される。第2バルブ26は、制御装置7から送信される信号に基づいてアクチュエータが動作することで開閉される。第2バルブ26が開くと、第2吐水口12から除菌水が吐水される。第2バルブ26が閉じると、除菌水が止水される。
【0034】
第1センサ5は、第1吐水口付近の所定の検知範囲内における検知対象の有無を検知する。所定の検知範囲は、予め設定された範囲であり、第1吐水口11の下方側を含む範囲である。
【0035】
第1センサ5は、例えば、第1吐水口11よりもスパウト本体部2の先端側に設けられる。第1センサ5は、第1吐水口11の近傍に設けられる。第1センサ5は、第1吐水口11に隣接して設けられる。第1センサ5は、例えば、光電センサである。例えば、第1センサ5は、検出光を投光し、検知対象から反射した検出光の反射光を受光することによって、検知対象の有無を検知する。第1センサ5において光を透過させる透過窓5aは、第1吐水口11よりもスパウト本体部2の先端側に設けられる。透過窓5aは、例えば、スパウト本体部2の下面に設けられる。
【0036】
第2センサ6は、第1センサ5よりも広範囲の検知範囲内において検知対象の有無を検知する。第2センサ6は、スパウト本体部2を検出電極とする静電センサである。スパウト本体部2(第2センサ6)は、接続部6aを介して制御装置7に接続される。
【0037】
スパウト本体部2(第2センサ6)にて検知対象を検知した検知信号を制御装置7へ電送する接続部6aの長さを極力短くすることで、接続部6a(例えばハーネス)から侵入するノイズを抑制し、検知信号への影響を抑制することができる。
【0038】
スパウト本体部2(第2センサ6)に検知対象が近づくと、静電容量が変化する。スパウト本体部2(第2センサ6)は、静電容量の変化量に応じて、検知対象の有無を検知する。例えば、静電容量は、スパウト本体部2(第2センサ6)に検知対象が近づくと大きくなる。静電容量の変化量が、予め設定された閾値以上になると、検知対象がスパウト本体部2(第2センサ6)に近づいたと判定され、検知対象が検知される。
【0039】
第2センサ6は、スパウト本体部2を電極とするため、スパウト本体部2(第2センサ6)の上方、およびスパウト本体部2(第2センサ6)の側方を含むスパウト本体部2(第2センサ6)の周囲に検知範囲を有する。
【0040】
制御装置7は、例えばコンピュータであり、制御部7aと記憶部7bとを備える。
【0041】
記憶部7bには、水栓装置1において実行される各種の処理を制御するプログラムが格納される。記憶部7bは、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子等の記憶装置によって実現される。
【0042】
制御部7aは、記憶部7bに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって水栓装置1の動作を制御する。なお、プログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、記憶媒体から制御装置7の記憶部7bにインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体としては、例えばハードディスク、メモリカードなどがある。
【0043】
制御装置7は、第1吐水モードと、第2吐水モードとを実行可能である。
【0044】
第1吐水モードは、第1センサ5による検知結果に応じて第1吐水口11からの水道水の吐水、および止水を切り替えるモードである。
【0045】
制御装置7は、第1センサ5によって検知対象が検知され、かつ除菌水が吐水されていない場合に、第1バルブ21を開くための通電を行う。たとえば、制御装置7は、第1バルブ21を開くための信号を生成し、生成した信号を第1バルブ21に送信する。これによって、アクチュエータによって第1バルブ21が開き、水道水が第1吐水口11から吐水される。
【0046】
制御装置7は、水道水が吐水されており、かつ第1センサ5によって検知対象が検知されない場合、第1バルブ21を閉じるために通電を停止する。たとえば、制御装置7は、第1バルブ21を閉じるための信号を生成し、生成した信号を第1バルブ21に送信する。これによって、アクチュエータによって第1バルブ21が閉じ、水道水が止水される。
【0047】
第2吐水モードは、第2センサ6による検知結果に応じて第2吐水口12からの除菌水の吐水、および止水を切り替えるモードである。
【0048】
制御装置7は、第1センサ5によって検知対象が検知されておらず、第2センサ6によって検知対象が検知され、かつ水道水、および除菌水が吐水されていない場合、第2バルブ26を開くための通電を行う。たとえば、制御装置7は、第2バルブ26を開くための信号を生成し、生成した信号を第2バルブ26に送信する。これによって、アクチュエータによって第2バルブ26が開き、除菌水が第2吐水口12から吐水される。
【0049】
制御装置7は、除菌水が吐水されており、第1センサ5によって検知対象が検知されていない場合、第2センサ6によって検知対象の検知結果に応じて除菌水の止水を行う。具体的には、制御装置7は、除菌水が吐水されており、第1センサ5によって検知対象が検知されておらず、かつ第2センサ6による検知対象の検知結果が非検知から検知に変更された場合、第2バルブ26を閉じるために通電を停止する。たとえば、制御装置7は、第2バルブ26を閉じるための信号を生成し、生成した信号を第2バルブ26に送信する。これによって、アクチュエータによって第2バルブ26が閉じ、除菌水が止水される。
【0050】
制御装置7は、除菌水が吐水されており、第1センサ5によって検知対象が検知されている場合、第2センサ6による検知対象の検知結果にかかわらず、除菌水の吐水を継続する。すなわち、除菌水が吐水されており、第1センサ5によって検知対象が検知されている場合、第2センサ6による検知対象の検知結果が非検知から検知に変更された場合であっても、第2吐水モードによる除菌水の吐水が継続される。
【0051】
第1実施形態に係る第1モードによる水道水の吐止水、および第2吐水モードによる除菌水の吐止水の切替は、図2に示す構成によって実現される。図2は、第1実施形態に係る制御装置7を中心とした機能ブロック図を示す図である。
【0052】
第1センサ5は、検知対象を検知した場合、出力信号として「1」を出力する。第1センサ5は、検知対象を検知していない場合、出力信号として「0」を出力する。制御装置7には、第1センサ5による検知対象の検知結果として、第1センサ5から出力される出力信号が入力される。
【0053】
第2センサ6は、検知対象を検知した場合、出力信号として「1」を出力する。第2センサ6は、検知対象を検知していない場合、出力信号として「0」を出力する。第2センサ6と制御装置7との間には、第2センサ6の出力信号、および第1センサ5の出力信号が入力されるAND回路30が設けられる。
【0054】
なお、AND回路30と第1センサ5との間には、NOT回路31が設けられており、第1センサ5の出力信号は、反転されてAND回路30に入力される。そのため、第1センサ5の出力信号が「1」である場合、すなわち第1センサ5によって検知対象が検知されている場合、NOT回路31によって反転された「0」の信号がAND回路30に入力される。第1センサ5の出力信号が「0」である場合、すなわち第1センサ5によって検知対象が検知されていない場合、NOT回路31によって反転された「1」の信号がAND回路30に入力される。
【0055】
制御装置7には、AND回路30から出力される信号が、第2センサ6による検知結果として入力される。
【0056】
第2センサ6による検知結果として制御装置7に入力される入力信号は、第2センサ6の出力信号が「0」の場合、「0」である。
【0057】
第2センサ6による検知結果として制御装置7に入力される入力信号は、第2センサ6の出力信号が「1」の場合であっても、第1センサ5の出力信号が「1」の場合、「0」である。すなわち、第2センサ6によって検知対象が検知された場合であっても、第1センサ5によって検知対象が検知されている場合、第2センサ6による検知結果として制御装置7に入力される入力信号は「0」である。従って、制御装置7は、第2センサ6による検知対象の検出結果を、「非検知」として処理する。
【0058】
第2センサ6による検知結果として制御装置7に入力される入力信号は、第2センサ6の出力信号が「1」であり、かつ第1センサ5の出力信号が「0」の場合、「1」である。従って、制御装置7は、第2センサ6による検知対象の検出結果を、「検知」として処理する。
【0059】
次に、第1実施形態に係る吐止水処理について図3図4を参照し説明する。図3は、第1実施形態に係る吐止水処理を説明するフローチャートである。図4は、第1実施形態に係る吐止水処理を説明するフローチャートである。
【0060】
制御装置7は、第1センサ5による検知対象の検知結果を取得する(S100)。具体的には、第1センサ5の出力信号が制御装置7に入力される。
【0061】
制御装置7は、第2センサ6による検知対象の検知結果を取得する(S101)。具体的には、AND回路30から出力された信号が制御装置7に入力される。
【0062】
制御装置7は、水道水が吐水状態であるか否かを判定する(S102)。すなわち、制御装置7は、水道水が第1吐水口11から吐水されているか否かを判定する。
【0063】
水道水が吐水状態ではなく止水状態である場合(S102:No)、制御装置7は、除菌水が吐水状態であるか否かを判定する(S103)。すなわち、制御装置7は、除菌水が第2吐水口12から吐水されているか否かを判定する。
【0064】
除菌水が吐水状態ではなく止水状態である場合(S103:No)、すなわち、水道水、および除菌水が吐水されていない場合、制御装置7は、第1センサ5によって検知対象が検知されたか否かを判定する(S104)。具体的には、制御装置7は、第1センサ5から入力される信号が「1」であるか否かを判定する。第1センサ5から入力される信号が「1」である場合、制御装置7は、第1センサ5によって検知対象が検知されたと判定する。第1センサ5から入力される信号が「0」である場合、制御装置7は、第1センサ5によって検知対象が検知されていないと判定する。
【0065】
第1センサ5によって検知対象が検知された場合(S104:Yes)、制御装置7は、水道水の吐水を開始する(S105)。具体的には、制御装置7は、第1バルブ21を開き、第1吐水口11からの水道水の吐水を開始する。
【0066】
第1センサ5によって検知対象が検知されていない場合(S104:No)、制御装置7は、第2センサ6による検出結果が「非検知」から「検知」に変化したか否かを判定する(S106)。具体的には、制御装置7は、AND回路30から入力される信号が「0」から「1」に変更されたか否かを判定する。制御装置7は、AND回路30から入力される信号が「0」から「1」に変更された場合、第2センサ6による検出結果が「非検知」から「検知」に変化したと判定する。
【0067】
第2センサ6による検出結果が「非検知」から「検知」に変化した場合(S106:Yes)、制御装置7は、除菌水の吐水を開始する(S107)。具体的には、制御装置7は、第2バルブ26を開き、第2吐水口12からの除菌水の吐水を開始する。
【0068】
第2センサ6による検出結果が「非検知」である場合(S106:No)、制御装置7は、今回の処理を終了する。
【0069】
水道水が吐水状態である場合(S102:Yes)、制御装置7は、第1センサ5によって検知対象が検知されているか否かを判定する(S108)。具体的には、制御装置7は、第1センサ5から入力される信号が「1」であるか否かを判定する。
【0070】
第1センサ5によって検知対象が検知されている場合(S108:Yes)、制御装置7は、今回の処理を終了する。すなわち、制御装置7は、水道水の吐水を継続する。
【0071】
第1センサ5によって検知対象が検知されていない場合(S108:No)、制御装置7は、水道水の吐水を終了する(S109)。すなわち、制御装置7は、水道水を止水する。具体的には、制御装置7は、第1バルブ21を閉じ、水道水を止水する。
【0072】
除菌水が吐水状態である場合(S103:Yes)、制御装置7は、第2センサ6による検出結果が「非検知」から「検知」に変化したか否かを判定する(S110)。
【0073】
第2センサ6による検出結果が「非検知」から「検知」に変化した場合(S110:Yes)、制御装置7は、除菌水の吐水を終了する(S111)。すなわち、制御装置7は、除菌水を止水する。具体的には、制御装置7は、第2バルブ26を閉じ、除菌水を止水する。
【0074】
第2センサ6による検出結果が「非検知」である場合(S110:No)、制御装置7は、除菌水の吐水を継続する。第2センサ6によって検知対象が検知されて第2センサ6から出力される信号が「0」から「1」に変更された場合であっても、第1センサ5によって検知対象が検知されている場合、AND回路30から入力される信号は「0」であり、第2センサ6による検出結果は「非検知」である。従って、制御装置7は、除菌水の吐水を継続する。
【0075】
水栓装置1では、例えば、第2吐水モードによって除菌水が吐水される場合、使用者の手に除菌水が触れた際に、水流がGNDと強く結合することによって静電容量が大きく変化(増加)する。この静電容量の変化(増加)は、以下のメカニズムで生じる。水栓装置1を利用する使用者である人体は、導体であり、GNDと電気的に接続されている。水栓装置1から吐水される除菌水も導体であり、除菌水は、第2供給管25を流れる。
【0076】
第2供給管25は、スパウト本体部2に収容されており、第2供給管25は、スパウト本体部2に近接して設けられている。そのため、第2供給管25とスパウト本体部2との距離が短く、第2供給管25内の除菌水と、スパウト本体部2とは静電結合している。
【0077】
除菌水が吐水されて、使用者の手に除菌水が触れると、GND、使用者、および、除菌水が導通し、除菌水とスパウト本体部2とが静電結合しているため、GND、使用者、除菌水、および、スパウト本体部2の経路で電気的につながる電気回路が形成される。スパウト本体部2は、第2センサ6の検出電極であるため、使用者の手に除菌水が触れて、電気回路が形成されることで、第2センサ6が検出する静電容量が増加する。
【0078】
第1実施形態が用いられない比較例に係る水栓装置では、使用者の手に除菌水が触れて、静電容量が大きく変化し、静電容量の変化量が閾値以上になると、止水するためにスパウト本体部に手が近づけられたと第2センサが誤検知してしまい、使用者が吐水を望んでいるにもかかわらず、水栓装置は、洗浄水を止水するおそれがある。
【0079】
水栓装置1は、スパウト本体部2と、吐水部10と、第1センサ5と、第2センサ6と、制御装置7とを備える。スパウト本体部2は、導電部を有する。吐水部10は、スパウト本体部2に設けられ、洗浄水を吐水する。第1センサ5は、所定の検知範囲内における検知対象を検知する。第2センサ6は、導電部を電極として、検知対象を検知する静電式のセンサである。制御装置7は、第1センサ5による検知結果に応じて吐止水を行う第1吐水モードと、第2センサ6による検知結果に応じて吐止水を行う第2吐水モードとを実行可能である。制御装置7は、第2吐水モードによる吐水が行われている状態において、第1センサ5が検知対象を検知していない場合、第2センサ6の検知結果に応じて第2吐水モードにおける止水を行う。制御装置7は、第2吐水モードによる吐水が行われている状態において、第1センサ5が検知対象を検知している場合、第2センサ6の検知結果にかかわらず第2吐水モードによる吐水を継続する。
【0080】
これにより、水栓装置1は、第2吐水モードによる吐水が行われており、第1センサ5によって検知対象が検知されている場合、第2センサ6によって検知対象が検知された場合であっても、第2吐水モードによる吐水を継続することができる。例えば、第2吐水モードによって使用者が洗浄しており、第1センサ5によって検知対象が検知されている場合に、水栓装置1は、第2センサ6による検知対象が誤検知に起因した止水を抑制することができる。すなわち、水栓装置1は、使用者の意図に反する止水を抑制することができる。
【0081】
また、第1センサ5は、光電センサであり、スパウト本体部2の下面に透過窓5aを備える。透過窓5aは、吐水部10よりもスパウト本体部2の先端側に設けられる。
【0082】
これにより、水栓装置1は、スパウト本体部2の先端側からスパウト本体部2の下方に差し出された検知対象を、第1センサ5によって正確に検知することができる。そのため、水栓装置1は、第2吐水モードによって吐水が行われている場合に、検知対象の有無を第1センサ5によって正確に判定することができる。従って、水栓装置1は、第2吐水モードによって使用者が洗浄している場合に、第2センサ6による検知対象の誤検知を抑制し、使用者の意図に反する止水を抑制することができる。
【0083】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る水栓装置1について図5を参照し説明する。ここでは、第1実施形態と異なる箇所を中心に説明し、第1実施形態と同じ構成、および処理について説明は省略する。図5は、第2実施形態に係る制御装置7を中心とした機能ブロック図を示す図である。
【0084】
第2実施形態においては、第1実施形態におけるAND回路30、およびNOT回路31は設けられない。すなわち、第2センサ6の出力信号が制御装置7に直接入力される。第1センサ5によって検知対象が検知されている場合、制御装置7は、第2センサ6によって検知対象が検知され、第2センサ6の出力信号が「1」であっても、第2センサ6による検知対象の検知結果を「非検知」として処理する。
【0085】
次に、第1実施形態に係る吐止水処理について図6図7を参照し説明する。図6は、第2実施形態に係る吐止水処理を説明するフローチャートである。図7は、第2実施形態に係る吐止水処理を説明するフローチャートである。
【0086】
制御装置7は、第1センサ5による検知対象の検知結果を取得し(S200)、第2センサ6による検知対象の検知結果を取得する(S201)。ステップS201では、第2センサ6の出力信号が制御装置7に入力される。
【0087】
制御装置7は、第1センサ5によって検知対象が検出されたか否かを判定する(S202)。第1センサ5によって検知対象が検出された場合(S202:Yes)、制御装置7は、第2センサ6による検知対象の検出結果を「非検知」とする(S203)。すなわち、第2センサ6の出力信号が「1」であっても、制御装置7は、第2センサ6による検出結果を「非検知」とする。
【0088】
第1センサ5によって検知対象が検出されていない場合(S202:No)、制御装置7は、ステップS203の処理をスキップする。
【0089】
ステップS204~ステップS207における処理は、第1実施形態のステップS102~ステップS105と同じ処理である。
【0090】
第1センサ5によって検知対象が検知されていない場合(S206:No)、制御装置7は、第2センサ6による検出結果が「非検知」から「検知」に変化したか否かを判定する(S208)。制御装置7は、第2センサ6の出力信号が「0」から「1」に変更されたか否かを判定する。制御装置7は、第2センサ6の出力信号が「0」から「1」に変更された場合、第2センサ6による検出結果が「非検知」から「検知」に変化したと判定する。
【0091】
ステップS209~ステップS211における処理は、第1実施形態のステップS107~ステップS109と同じ処理である。
【0092】
除菌水が吐水状態である場合(S205:Yes)、制御装置7は、第2センサ6による検出結果が「非検知」から「検知」に変化したか否かを判定する(S212)。なお、制御装置7は、ステップS203において第2センサ6による検知対象の検出結果を「非検知」とした場合、ステップS203の処理を適用して、第2センサ6による検出結果が「非検知」から「検知」変化したか否かを判定する。すなわち、制御装置7は、ステップS203において第2センサ6による検知対象の検出結果を「非検知」とした場合、ステップS212において第2センサ6による検知結果を「非検知」であると判定する。
【0093】
第2センサ6による検出結果が「非検知」から「検知」に変化した場合(S212:Yes)、制御装置7は、除菌水の吐水を終了する(S213)。第2センサ6による検出結果が「非検知」である場合(S212:No)、制御装置7は、除菌水の吐水を継続する。第2センサ6によって検知対象が検知されて第2センサ6の出力信号が「0」から「1」に変更された場合であっても、第1センサ5によって検知対象が検知されている場合、第2センサ6による検出結果は「非検知」である。従って、制御装置7は、除菌水の吐水を継続する。
【0094】
水栓装置1は、第1実施形態と同様に、第2吐水モードによって使用者が洗浄しており、第1センサ5によって検知対象が検知されている場合に、第2センサ6によって検知対象が誤検知されることに起因した使用者の意図に反する止水を抑制することができる。
【0095】
また、水栓装置1は、AND回路30(図2参照)などを用いずに、第2吐水モードにおいて、使用者の意図に反する除菌水の止水を抑制することができる。
【0096】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る水栓装置1について図8を参照し説明する。図8は、第3実施形態に係る制御装置7を中心とした機能ブロック図を示す図である。ここでは、第1実施形態と異なる箇所を中心に説明し、第1実施形態と同じ構成、および処理について説明は省略する。
【0097】
第1センサ5は、第1吐水口11付近の第1所定範囲内、および第2所定範囲内における検知対象の有無を検知可能である。第1所定範囲、および第2所定範囲は、予め設定された範囲である。第2所定範囲は、第1所定範囲よりも狭い。第2所定範囲は、第1所定範囲よりも第1吐水口11に近い距離の範囲である。
【0098】
使用者の手に洗浄水(水道水、または除菌水)が触れた場合に生じる第2センサ6による検知対象の誤検知は、使用者の手と吐水部10までの距離が短い場合に生じ易い。例えば、使用者の手と吐水部10までの距離が、一般的な手洗いよりも短い距離で生じる。洗浄水は、導体であるが、抵抗成分を有している。使用者の手に洗浄水が触れた場合の洗浄水の抵抗値は、吐水部10から使用者の手に着水するまでの距離、すなわち、使用者の手と吐水部10までの距離によって決まる。使用者の手に洗浄水が触れた場合の洗浄水の抵抗値は、吐水部10から使用者の手までの距離が短くなるほど、小さくなる。そのため、例えば、吐水部10と使用者の手との距離が短い状態で、使用者の手に除菌水が触れた場合に形成される電気回路では、第2供給管25とスパウト本体部2との静電結合の影響が大きくなり、第2センサ6が検出する静電容量が大きくなる。そのため、使用者の手に洗浄水(水道水、または除菌水)が触れた場合に生じる第2センサ6による検知対象の誤検知は、使用者の手と吐水部10までの距離が短い場合に生じ易い。
【0099】
第1所定範囲は、一般的な手洗いにおける検知対象を検知する範囲である。第2所定範囲は、一般的な手洗いよりも、吐水部10までの距離が短い範囲であり、使用者の手に洗浄水(水道水、または除菌水)が触れた場合に、第2センサ6による検知対象の誤検知が生じる範囲である。
【0100】
第1センサ5は、第1所定範囲内において検知対象が検知された場合、通常検知信号として「1」を出力する。第1センサ5は、第1所定範囲内において検知対象が検知されない場合、通常検知信号として「0」を出力する。
【0101】
第1センサ5は、第2所定範囲内において検知対象が検知された場合、接近検知信号として「1」を出力する。第1センサ5は、第2所定範囲内において検知対象が検知されない場合、接近検知信号として「0」を出力する。なお、第1センサ5は、第2所定範囲内において検知対象が検知された場合、第1所定範囲内においても検知対象が検知されるため、通常検知信号として「1」を出力する。
【0102】
第1センサ5は、例えば、検知対象から反射した検出光の反射光の強さ(大きさ)に基づいて、第1所定範囲内、および第2所定範囲内の検知対象を検知する。第1センサ5は、検知対象から反射した検出光の反射光の強さが、第1閾値よりも大きい場合、第1所定範囲内における検知対象を検知し、通常検知信号として「1」を出力する。第1センサ5は、検知対象から反射した検出光の反射光の強さが、第2閾値よりも大きい場合、第2所定範囲内における検知対象を検知し、接近検知信号として「1」を出力する。第2閾値は、第1閾値よりも大きい。
【0103】
通常検知信号は、制御装置7に入力される。通常検知信号は、第1センサ5による検知対象の検知結果として、制御装置7に入力される。
【0104】
接近検知信号は、NOT回路31に入力されて反転された後に、AND回路30に入力される。そのため、第1センサ5によって第2所定範囲内において検知対象が検知されている場合、NOT回路31によって反転された「0」の接近検知信号がAND回路30に入力される。そのため、第2センサ6によって検知対象が検知され、第2センサ6の出力信号が「1」であっても、第2センサ6の検知結果として制御装置7に入力される入力信号は「0」である。
【0105】
また、第1センサ5によって第2所定範囲内において検知対象が検知されていない場合、NOT回路31によって反転された「1」の接近検知信号がAND回路30に入力される。
【0106】
第3実施形態に係る水栓装置1の吐止水処理は、第1実施形態における吐止水処理と同じである。
【0107】
水栓装置1において、第1センサ5は、第1所定範囲、および第1所定範囲よりも狭い第2所定範囲における検知対象を検知可能である。制御装置7は、第1所定範囲内における検知対象の検知結果に応じて第1吐水モードによる吐止水を行う。制御装置7は、第2吐水モードによる吐水が行われている状態において、第1センサ5が第2所定範囲内で検知対象を検知していない場合、第2センサ6の検知結果に応じて第2吐水モードにおける止水を行う。制御装置7は、第2吐水モードによる吐水が行われている状態において、第1センサ5が第2所定範囲内で検知対象を検知している場合、第2センサ6の検知結果にかかわらず第2吐水モードによる吐水を継続する。
【0108】
これにより、水栓装置1は、第2吐水モードによって使用者が洗浄している場合に、使用者の意図に反する止水を抑制しつつ、必要以上に第2吐水モードの止水が抑制されることを防止することができる。
【0109】
水栓装置1は、第2センサ6による検知対象の検知が、使用者の手に除菌水が触れることに起因する誤検知によるものであるか、使用者の止水操作によるものであるか、判別することができる。そのため、水栓装置1は、使用者の手に除菌水が触れることに起因する第2センサ6の検知対象の誤検知を抑制しつつ、第1センサ5によって検知対象が検知される状態であっても使用者の止水操作に応じて除菌水を止水することができる。
【0110】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態に係る水栓装置1について図9を参照し説明する。図9は、第4実施形態に係る制御装置7を中心とした機能ブロック図を示す図である。ここでは、第1実施形態、および第3実施形態と異なる箇所を中心に説明し、第1実施形態、および第3実施液体と同じ構成、および処理について説明は省略する。
【0111】
第1センサ5は、検出光を投光し、検知対象から反射した検出光の反射光の強さ(大きさ)に関するデータを出力する。第1センサ5から出力された反射光の強さに関するデータは、制御装置7に入力される。
【0112】
制御装置7は、第1センサ5から入力される反射光の強さに関するデータに基づいて、第1センサ5による検知対象の検知結果を判定する。制御装置7は、第1センサ5から入力される反射光の強さに関するデータに基づいて、第2センサ6による検知対象の検知結果を処理する。
【0113】
制御装置7は、検出光の反射光の強さが、第1閾値よりも大きい場合、第1所定範囲内における検知対象を検知する。すなわち、制御装置7は、検出光の反射光の強さが、第1閾値よりも大きい場合、第1センサ5による検知対象の検知結果を「検知」とする。第1閾値、および第1所定範囲は、第3実施形態と同様である。
【0114】
制御装置7は、検出光の反射光の強さが、第1閾値以下である場合、第1所定範囲内における検知対象を検知しない。すなわち、制御装置7は、検出光の反射光の強さが、第1閾値以下である場合、第1センサ5による検知対象の検知結果を「非検知」とする。
【0115】
制御装置7は、検出光の反射光の強さが、第2閾値よりも大きい場合、第2所定範囲内における検知対象を検知する。制御装置7は、検出光の反射光の強さが、第2閾値以下である場合、第2センサ6による検知対象の検出結果を「非検知」とする。第2閾値、および第2所定範囲は、第3実施形態と同様である。
【0116】
次に、第4実施形態に係る吐止水処理について図10図11を参照し説明する。図10は、第4実施形態に係る吐止水処理を説明するフローチャートである。図11は、第4実施形態に係る吐止水処理を説明するフローチャートである。
【0117】
制御装置7は、第1センサ5から反射光の強さに関するデータを取得する(S300)。制御装置7は、第2センサ6による検知対象の検知結果を取得する(S301)。
【0118】
制御装置7は、第1センサ5から取得したデータに基づいて、反射光の強さが第1閾値よりも大きいか否かを判定する(S302)。すなわち、制御装置7は、検知対象が第1所定範囲内で検知されたか否かを判定する。
【0119】
反射光の強さが第1閾値よりも大きい場合(S302:Yes)、制御装置7は、第1センサ5による検知対象の検知結果を「検知」とする(S303)。
【0120】
反射光の強さが第1閾値以下である場合(S302:No)、制御装置7は、第1センサ5による検知対象の検知結果を「非検知」とする(S304)。
【0121】
制御装置7は、第1センサ5から取得したデータに基づいて、反射光の強さが第2閾値よりも大きいか否かを判定する(S305)。すなわち、制御装置7は、検体対象が第2所定範囲内で検知されたか否かを判定する。
【0122】
反射光の強さが第2閾値よりも大きい場合(S305:Yes)、制御装置7は、第2センサ6による検知対象の検出結果を「非検知」とする(S306)。すなわち、第2センサ6から制御装置7に入力される入力信号が「1」であっても、制御装置7は、第2センサ6による検出結果を「非検知」とする。
【0123】
反射光の強さが第2閾値以下である場合(S305:No)、制御装置7は、ステップS306の処理をスキップする。
【0124】
ステップS307~ステップS310における処理は、第1実施形態のステップS102~ステップS105と同じ処理である。
【0125】
第1センサ5によって検知対象が検知されていない場合(S309:No)、制御装置7は、第2センサ6による検出結果が「非検知」から「検知」に変化したか否かを判定する(S311)。制御装置7は、第2センサ6によって出力される信号が「0」から「1」に変更されたか否かを判定する。
【0126】
ステップS312~ステップS314における処理は、第1実施形態のステップS107~ステップS109と同じ処理である。
【0127】
除菌水が吐水状態である場合(S308:Yes)、制御装置7は、第2センサ6による検出結果が「非検知」から「検知」に変化したか否かを判定する(S315)。なお、制御装置7は、ステップS306において第2センサ6による検知対象の検出結果を「非検知」とした場合、ステップS306の処理を適用して、第2センサ6による検出結果が「検知」となったか否かを判定する。すなわち、制御装置7は、ステップS306において第2センサ6による検知対象の検出結果を「非検知」とした場合、ステップS315おいて第2センサ6による検知結果を「非検知」であると判定する。
【0128】
第2センサ6による検出結果が「検知」になった場合(S315:Yes)、制御装置7は、除菌水の吐水を終了する(S316)。第2センサ6による検出結果が「非検知」である場合(S315:No)、制御装置7は、除菌水の吐水を継続する。
【0129】
水栓装置1は、第3実施形態と同様に、第2吐水モードによって使用者が洗浄している場合に、使用者の意図に反する止水を抑制しつつ、必要以上に第2吐水モードの止水が抑制されることを防止することができる。
【0130】
水栓装置1は、AND回路30(図8参照)などを用いずに、第2吐水モードにおいて、使用者の意図に反する除菌水の止水を抑制することができる。
【0131】
変形例に係る水栓装置1において、図12に示すように、第1センサ5は、吐水部10よりもスパウト本体部2の基端側に設けられてもよい。すなわち、透過窓5aは、吐水部10よりもスパウト本体部2の基端側に設けられてもよい。図12は、変形例に係る水栓装置1を説明する模式図である。
【0132】
なお、第1センサ5(透過窓5a)は、第1吐水口11よりもスパウト本体部2の基端側に設けられてもよい。例えば、第1センサ5(透過窓5a)は、第1吐水口11と第2吐水口12との間に設けられてもよい。
【0133】
これにより、水栓装置1は、第2吐水モードによる吐水が行われている状態において、例えば、使用者が止水するためにスパウト本体部2の先端側に手を近づけた場合に、第1センサ5による手の検知を抑制し、第2吐水モードにおける止水を実行することができる。すなわち、水栓装置1は、使用者の意図に応じて第2吐水モードによる止水を実行することができる。また、水栓装置1は、吐水部10とスパウト本体部2の先端との距離を短くすることができ、デザイン性を向上させることができる。
【0134】
変形例に係る水栓装置1は、第1吐水モード、および第2吐水モードにおいて、水道水の吐水方法を変更してもよい。例えば、第1吐水モードでは、水道水がシャワー吐水される。第2吐水モードでは、水道水がストレート吐水される。
【0135】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0136】
1 水栓装置
2 スパウト本体部
5 第1センサ
5a 透過窓
6 第2センサ
7 制御装置
10 吐水部
11 第1吐水口
12 第2吐水口
21 第1バルブ
26 第2バルブ
30 AND回路
31 NOT回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12