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特開2024-24215防災システムおよび表示装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024215
(43)【公開日】2024-02-22
(54)【発明の名称】防災システムおよび表示装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   G08B 23/00 20060101AFI20240215BHJP
   G08B 21/10 20060101ALI20240215BHJP
   G08B 25/00 20060101ALI20240215BHJP
   G06Q 50/26 20240101ALI20240215BHJP
【FI】
G08B23/00 510D
G08B21/10
G08B25/00 510M
G06Q50/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022126885
(22)【出願日】2022-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中島 裕哉
【テーマコード(参考)】
5C086
5C087
5L049
【Fターム(参考)】
5C086AA11
5C086AA34
5C086CA12
5C086CA28
5C086DA07
5C086FA18
5C087AA02
5C087AA03
5C087AA19
5C087CC11
5C087DD02
5C087EE10
5C087EE19
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF04
5C087GG02
5C087GG06
5L049CC35
(57)【要約】      (修正有)
【課題】表示装置の起動および消灯を適切に実行する防災システム及び表示装置の制御方法を提供する。
【解決手段】水防情報表示システムにおいて、水防情報表示盤制御装置は、自然災害に関する観測データを受信し、観測データが設定時間外に基準値を超過した場合、第1期間を限度に稼働する一時的起動状態に水防情報表示盤を移行させ、水防情報表示盤が一時的起動状態に移行した後、赤外線人感センサが人体を検知しない場合、一時的起動状態から消灯状態に水防情報表示盤を移行させ、赤外線人感センサが人体を検知した場合、赤外線カメラの人体検知機能を起動し、赤外線カメラの人体検知機能が人体を検知しない場合、一時的起動状態から消灯状態に水防情報表示盤を移行させ、赤外線カメラの人体検知機能が人体を検知する都度、第1期間の計時時間が初期化されるように水防情報表示盤の一時的起動状態を更新する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置と、
赤外線人感センサと、
人体検知機能を有する赤外線カメラと、
前記赤外線人感センサの検知結果および前記赤外線カメラの前記人体検知機能の検知結果に基づき、前記表示装置の起動および消灯を制御する制御装置と、
を具備し、
前記制御装置は、
自然災害に関する観測データを受信し、
前記観測データが設定時間外に基準値を超過した場合、第1期間を限度に稼働する一時的起動状態に前記表示装置を移行させ、
前記表示装置が前記一時的起動状態に移行した後、前記赤外線人感センサが人体を検知しない場合、前記一時的起動状態から消灯状態に前記表示装置を移行させ、
前記赤外線人感センサが人体を検知した場合、前記赤外線カメラの前記人体検知機能を起動し、
前記赤外線カメラの前記人体検知機能が人体を検知しない場合、前記一時的起動状態から前記消灯状態に前記表示装置を移行させ、
前記赤外線カメラの前記人体検知機能が人体を検知する都度、前記第1期間の計時時間が初期化されるように前記表示装置の前記一時的起動状態を更新する、
防災システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記観測データが設定時間内に基準値を超過した場合、稼働期間が前記第1期間に限定されない起動状態に前記表示装置を移行させる
請求項1に記載の防災システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記観測データが基準値を下回った場合、前記一時的起動状態または前記起動状態から前記消灯状態に前記表示装置を移行させる
請求項2に記載の防災システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記観測データが基準値を超過したことを通知し、かつ、前記赤外線人感センサおよび前記赤外線カメラの前記人体検知機能による人体の検知結果を通知するための電子メールを作成して、管理者用として指定されているアドレスへ送信する
請求項1~3のいずれか1項に記載の防災システム。
【請求項5】
照度センサをさらに具備し、
前記制御装置は、
前記観測データが基準値を超過した場合、前記照度センサの検知結果に基づき、前記表示装置の故障有無を判定し、
前記観測データが基準値を超過したことを通知し、かつ、前記照度センサによる前記表示装置の故障有無の判定結果を通知するための電子メールを作成して、管理者用として指定されているアドレスへ送信する
請求項1に記載の防災システム。
【請求項6】
照度センサをさらに具備し、
前記制御装置は、
所定の時間帯外であり、かつ、所定の期間を超えて前記観測データが基準値を超過していない場合、前記照度センサの検知結果に基づき、前記表示装置の故障有無を判定し、
前記照度センサによる前記表示装置の故障有無の判定結果を通知するための電子メールを作成して、管理者用として指定されているアドレスへ送信する、
請求項1に記載の防災システム。
【請求項7】
赤外線人感センサおよび赤外線カメラの人体検知機能を用いた、防災システムにおける表示装置の制御方法であって、
自然災害に関する観測データを受信し、
前記観測データが設定時間外に基準値を超過した場合、第1期間を限度に稼働する一時的起動状態に前記表示装置を移行させ、
前記表示装置が前記一時的起動状態に移行した後、前記赤外線人感センサが人体を検知しない場合、前記一時的起動状態から消灯状態に前記表示装置を移行させ、
前記赤外線人感センサが人体を検知した場合、前記赤外線カメラの前記人体検知機能を起動し、
前記赤外線カメラの前記人体検知機能が人体を検知しない場合、前記一時的起動状態から前記消灯状態に前記表示装置を移行させ、
前記赤外線カメラの前記人体検知機能が人体を検知する都度、前記第1期間の計時時間が初期化されるように前記表示装置の前記一時的起動状態を更新する、
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、防災システムおよび表示装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
河川を管理する河川情報システム等の防災システムは、自治体や土木事務所などに設置されている。河川情報システム等の防災システムは、気象情報・注意報、津波警報・注意報、指定河川洪水予報、土砂災害警戒警報、屋外警報、雨量、水位基準値超過といった河川に関連する情報を表示する表示装置が設置されている。
【0003】
表示装置は、注意報や警報などが発令されると自動的に起動し、また、注意報や警報などが解除されると自動的に消灯する。自治体や土木事務所などでは、表示装置が自動的に起動することで、注意報や警報などを発令直後に認証し、状況に即した水防活動を迅速に行うことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7-87573号公報
【特許文献2】特表2012-503251号公報
【特許文献3】特開2019-156248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
自治体や土木事務所などで人が不在となり得る深夜などに注意報や警報などが発令された場合に、実際に人が不在の状況下で表示装置を自動的に起動することは、電力を消費するだけの無駄な動作となる。一方で、深夜などであっても人が存在する可能性がない訳ではないため、注意報や警報などの発令に伴う表示装置の自動的な起動を特定の時間帯において抑止するといった単純な方法は採用することができない。
【0006】
本発明の1つの実施形態は、表示装置の起動および消灯を適切に実行することができる防災システムおよび表示装置の制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態によれば、防災システムは、表示装置と、赤外線人感センサと、赤外線カメラと、制御装置と、を具備する。赤外線カメラは、人体検知機能を有する。制御装置は、赤外線人感センサの検知結果および赤外線カメラの人体検知機能の検知結果に基づき、表示装置の起動および消灯を制御する。制御装置は、自然災害に関する観測データを受信し、観測データが設定時間外に基準値を超過した場合、第1期間を限度に稼働する一時的起動状態に表示装置を移行させ、表示装置が一時的起動状態に移行した後、赤外線人感センサが人体を検知しない場合、一時的起動状態から消灯状態に表示装置を移行させ、赤外線人感センサが人体を検知した場合、赤外線カメラの前記人体検知機能を起動し、赤外線カメラの人体検知機能が人体を検知しない場合、一時的起動状態から消灯状態に表示装置を移行させ、赤外線カメラの人体検知機能が人体を検知する都度、第1期間の計時時間が初期化されるように表示装置の一時的起動状態を更新する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態の水防情報表示システムを含む防災システムの一構成例を示す図。
図2】第1実施形態の水防情報表示システムの一構成例を示す図。
図3】第1実施形態の水防情報表示システムにおける水防情報表示盤制御装置による水防情報表示盤の起動・消灯の制御手順を示すフローチャート。
図4】第1実施形態の水防情報表示システムにおける執務室の状況を管理者へ通知する手順を示すフローチャート。
図5】第2実施形態の水防情報表示システムにおける水防情報表示盤制御装置による水防情報表示盤の自動点検の制御手順を示すフローチャート。
図6】第30実施形態の水防情報表示システムにおける水防情報表示盤制御装置による水防情報表示盤の自動点検の制御手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態について説明する。
【0011】
図1は、第1実施形態の水防情報表示システムを含む防災システムの一構成例を示す図である。
【0012】
自治体401などによって運用される防災システム1000は、水防情報表示システム100と、情報集配信装置200と、気象台交換サーバ300とを有する。
【0013】
水防情報表示システム100は、情報集配信装置200および気象台交換サーバ300によって収集される自然災害に関する情報を入力する。以下、自然災害に関する情報を、観測データと称することがある。
【0014】
情報集配信装置200は、土木事務所402などに設置されている他の情報集配信装置200との間で観測データを提供し合うための通信を行う。情報集配信装置200間で授受される観測データには、雨量、水位、潮位、排水機場、風向風速、海象、ダム、警報発令/解除などに関する情報が含まれている。
【0015】
情報集配信装置200は、他の情報集配信装置200との間の通信によって収集した観測データを、河川監視システム201、国土交通省の地方整備局202、洪水予測システム203などに提供する。
【0016】
河川監視システム201は、雨量、水位に関する観測データを情報集配信装置200から入力する。国土交通省の地方整備局202は、雨量、水位に関する観測データを情報集配信装置200から入力する。
【0017】
その一方で、国土交通省の地方整備局202は、逆に、より広域の雨量、水位に関する観測データを情報集配信装置200に提供する。つまり、情報集配信装置200は、国土交通省の地方整備局202からも観測データを収集している。
洪水予測システム203は、雨量、水位、潮位、排水機場、風向風速、海象、ダムに関する観測データを情報集配信装置200から入力する。
【0018】
情報集配信装置200は、電話応答通報装置204、防災情報表示盤制御装置205、情報提供サーバ206、メール配信装置207などに対しても、他の情報集配信装置200との間の通信によって収集した観測データを提供する。
【0019】
電話応答通報装置204は、雨量、水位、潮位に関する観測データを情報集配信装置200から入力する。防災情報表示盤制御装置205は、雨量、水位、ダム、潮位に関する観測データを情報集配信装置200から入力する。
【0020】
防災情報表示盤制御装置205は、たとえば、観測データが基準値を超過した場合、大型映像表示装置205Aを起動し、基準値を超過している観測データを表示する。
【0021】
情報提供サーバ206は、雨量、水位、潮位、排水機場、風向風速、海象、ダムに関する観測データを情報集配信装置200から入力する。情報提供サーバ206は、情報集配信装置200から入力した観測データの一部または全部を、情報端末装置206Aを介して適宜表示する。また、情報提供サーバ206は、観測データの欠測、復旧に関する情報を死活監視用端末206Bに提供する。死活監視用端末206Bは、情報提供サーバ206から観測データの欠測、復旧に関する情報を入力した場合、その情報を担当者へ通知するためのメールを作成して情報政策部門のメールサーバ207Aへ送信する。
【0022】
メール配信装置207は、雨量、水位、潮位、警報発令/解除に関する観測データを情報集配信装置200から入力する。メール配信装置207は、たとえば、観測データが基準値を超過した場合、基準値を超過している観測データを担当者へ通知するためのメールを作成して情報政策部門のメールサーバ207Aへ送信する。
【0023】
第1実施形態の水防情報表示システム100も、情報集配信装置200から観測データの提供を受ける。具体的には、水防情報表示盤制御装置1が、雨量、水位、潮位、警報発令/解除に関する観測データを入力する。
【0024】
水防情報表示盤制御装置1は、たとえば、観測データが基準値を超過した場合、水防情報表示盤2を起動し、基準値を超過している観測データを表示する。第1実施形態の水防情報表示システム100は、水防情報表示盤制御装置1が、この水防情報表示盤2の起動・消灯を、たとえば省電力化を図るために、より適応的に制御するものである。この点については後述する。
【0025】
また、情報集配信装置200は、危機管理部門301に対して、雨量、水位、潮位、ダムに関する観測データを提供する。情報集配信装置200からの観測データに基づき、危機管理部門301は、気象台302から気象情報を取得する。危機管理部門301は、取得した気象情報を気象台交換サーバ300に提供する。
【0026】
気象台交換サーバ300は、危機管理部門301から入力した気象情報を、メール配信装置207および水防情報表示システム100に提供するサーバである。メール配信装置207は、気象台交換サーバ300から提供された気象情報を担当者へ通知するためのメールを作成して情報政策部門のメールサーバ207Aへ送信する。
【0027】
水防情報表示システム100の水防情報表示盤制御装置1は、気象台交換サーバ300から提供された気象情報を水防情報表示盤2に表示する。気象台交換サーバ300は、土木事務所402などに設置されている水防情報表示盤制御装置1に対しても、危機管理部門301から入力した気象情報を提供する。
【0028】
図2は、第1実施形態の水防情報表示システム100の一構成例を示す図である。
【0029】
第1実施形態の水防情報表示システム100は、図1にも示される水防情報表示盤制御装置1および水防情報表示盤2と、センサユニット3と、電源制御装置4とを有する。
【0030】
水防情報表示盤制御装置1は、センサユニット3のセンサ値に基づき、電源制御装置4を介して、水防情報表示盤2の起動および消灯を制御する。また、水防情報表示盤制御装置1は、電源制御装置4を介して、水防情報表示盤2上への観測データや気象情報の表示制御も実行する。
【0031】
水防情報表示盤2は、水防情報表示盤制御装置1の制御下で動作する電源制御装置4からの指示に基づき、起動または消灯する。また、水防情報表示盤2は、水防情報表示盤制御装置1から電源制御装置4経由で送られてくる表示データに基づき、観測データや気象情報などを表示する。
【0032】
センサユニット3は、水防情報表示盤2が設置されている部屋に人がいるか否かを検知する。以下、水防情報表示盤2が設置されている部屋を、執務室と称することがある。また、センサユニット3は、水防情報表示盤2の表示部の故障有無を判定するための照度を検知する。
【0033】
電源制御装置4は、水防情報表示盤制御装置1からの指示に基づき、起動または消灯を示す信号を水防情報表示盤2へ出力する。また、電源制御装置4は、水防情報表示盤制御装置1から送られてくる表示データを水防情報表示盤2へ中継する。
【0034】
水防情報表示盤制御装置1は、データ送信部11と、データ受信部12と、制御機能部13と、データ演算部14と、データ保存部15と、信号送信部16と、時計部17とを有する。これらの各部は、プロセッサがソフトウェア(プログラム)を実行することによって実現されるものであってもよいし、電気回路のようなハードウェアとして実現されるものであってもよい。
【0035】
データ送信部11は、たとえば管理者が使用するPC(Personal Computer)へのメールによる通知を含むデータ送信を実行する。
データ受信部12は、情報集配信装置200からの観測データの入力および気象台交換サーバ300からの気象情報の入力を含むデータ受信を実行する。
【0036】
制御機能部13は、水防情報表示システム100全体を統合的に制御する。前述の、情報集配信装置200からの観測データが基準値を超過した場合などにおける水防情報表示盤2の起動・消灯の適応的な制御は、この制御機能部13によって実現される。
【0037】
データ演算部14は、センサユニット3のセンサ値を用いた、人の有無や水防情報表示盤2の故障有無を判定するための演算を行う。
【0038】
データ保存部15は、たとえば観測データと比較する基準値を含む各種データを保存する。
【0039】
信号送信部16は、水防情報表示盤2の起動または消灯を示す信号を電源制御装置4へ送信する。また、信号送信部16は、観測データや気象情報を水防情報表示盤2上に表示するための表示データを電源制御装置4へ送信する。なお、水防情報表示盤制御装置1には、たとえば管理者向けのモニタ1Aが接続されている。モニタ1Aには、水防情報表示盤2と比較して簡易的な表示が行われる。信号送信部16は、この簡易的な表示のための表示データをモニタ1Aへ送信する。
【0040】
時計部17は、システム時刻を計時する。時計部17は、タイマ機能を有する。タイマ機能は、設定時間分の計時のために使用することもできるし、経過時間の計時のために使用することもできる。
【0041】
センサユニット3は、照度センサ31と、赤外線カメラ32と、赤外線人感センサ33とを有する。
【0042】
照度センサ31は、たとえば水防情報表示盤2の近傍に設けられ、水防情報表示盤2の表示面の照度を検知する。
【0043】
赤外線カメラ32は、人体検知機能を有し、執務室の中を対象として人体を検知する。赤外線カメラ32の人体検知機能は、撮像画像を認識して人体を検知する。赤外線人感センサ33も、赤外線カメラ32の人体検知機能と同様、執務室の中を対象として人体を検知する。
【0044】
赤外線人感センサ33の消費電力量は、赤外線カメラ32の消費電力量よりも小さい。また、赤外線人感センサ33の精度は、赤外線カメラ32の人体検知機能の精度よりも低い。ここで、精度が低いとは、人体以外のものを人体として誤検出する度合いが高いことである。
【0045】
電源制御装置4は、信号受信部41と、データ出力部42と、表示盤電源操作部43とを有する。これらの各部は、プロセッサがソフトウェア(プログラム)を実行することによって実現されるものであってもよいし、電気回路のようなハードウェアとして実現されるものであってもよい。
【0046】
信号受信部41は、水防情報表示盤制御装置1から送られてくる、水防情報表示盤2の起動または消灯を示す信号や、観測データや気象情報を水防情報表示盤2上に表示するための表示データを受信する。
【0047】
データ出力部42は、信号受信部41によって受信された表示データを水防情報表示盤2へ出力する。表示盤電源操作部43は、信号受信部41によって受信された水防情報表示盤2の起動または消灯を示す信号に基づき、起動または消灯を指示する信号を水防情報表示盤2へ送信する。
【0048】
次に、図3は、以上のような構成を持つ水防情報表示システム100における水防情報表示盤制御装置1による水防情報表示盤2の起動・消灯の制御手順について説明する図である。
【0049】
S101において、水防情報表示盤制御装置1は、情報集配信装置200から観測データを受信する。
【0050】
次に、S102において、水防情報表示盤制御装置1は、観測データが基準値を超過しているか否かを判定する。
【0051】
ここで、超過している観測データがある場合(S102:YES)、水防情報表示盤制御装置1は、設定時間内か否かを判定する(S103)。設定時間とは、たとえば、いわゆる勤務時間であり、執務室に人がいることが想定されている時間である。
【0052】
設定時間内である場合(S103:YES)、水防情報表示盤制御装置1は、水防情報表示盤2を起動状態とする(S104)。これにより、基準値を超過している観測データが水防情報表示盤2に表示される。
【0053】
水防情報表示盤制御装置1は、水防情報表示盤2の状態を把握し、非起動状態であったならば、起動を示す信号を電源制御装置4へ送信してもよいし、水防情報表示盤2の状態を把握することなく、起動状態であっても、一律に、起動を示す信号を電源制御装置4へ送信してもよい。水防情報表示盤2が自動的に起動することで、執務室の中の人の意識を、基準値を超過している観測データが表示された水防情報表示盤2へ向けさせることができる。
【0054】
水防情報表示盤制御装置1は、水防情報表示盤2を起動状態とすると、設定時間内にある間、水防情報表示盤2を起動状態に保つ。
【0055】
なお、S103~S104のループを抜ける契機としては、設定時間外となる場合(S103:NO)のほか、S101で新たに受信される観測データが基準値を下回り(S102:NO)、水防情報表示盤制御装置1が水防情報表示盤2を消灯状態とする場合(S109)がある。
【0056】
一方、設定時間外であった場合(S103:NO)、S105において、水防情報表示盤制御装置1は、水防情報表示盤2を一時的起動状態とする。一時的起動状態とは、たとえば5分間や10分間などあらかじめ定められた時間だけ稼働する状態である。この場合も、水防情報表示盤制御装置1は、非一時的起動状態であったならば、一時的な起動を示す信号を電源制御装置4へ送信してもよいし、一律に、一時的な起動を示す信号を電源制御装置4へ送信してもよい。
【0057】
S106において、水防情報表示盤2を一時的起動状態とするとともに、水防情報表示盤制御装置1は、赤外線人感センサ33を起動して、赤外線人感センサ33が人体を検知しているか否かを判定する。
【0058】
もし、検知している場合(S106:YES)、S107において、水防情報表示盤制御装置1は、次に、赤外線カメラ32の人体検知機能を起動して、赤外線カメラ32の人体検知機能が人体を検知しているか否かを判定する。
【0059】
また、検知している場合(S107:YES)、S108において、水防情報表示盤制御装置1は、水防情報表示盤2の一時的起動状態を更新する。一時的起動状態の更新とは、前述の、あらかじめ定められた時間の計時時間を初期化することである。つまり、水防情報表示盤制御装置1は、赤外線カメラ32の人体検知機能が人体を検知している間、水防情報表示盤2を一時的起動状態に保つ。
【0060】
なお、S107~S108のループを抜ける契機としては、赤外線カメラ32の人体検知機能が人体を検知していない場合(S107:NO)のほか、S101で新たに受信される観測データが基準値を下回り(S102:NO)、水防情報表示盤制御装置1が水防情報表示盤2を消灯状態とする場合(S109)がある。
【0061】
(1)基準値を超過する観測データがない場合(S102:NO)、(2)赤外線人感センサ33が人体を検知していない場合(S106:NO)、または(3)赤外線カメラ32の人体検知機能が人体を検知していない場合(S107:NO)、水防情報表示盤制御装置1は、水防情報表示盤2を消灯状態とする(S109)。この場合も、水防情報表示盤制御装置1は、非消灯状態であったならば、消灯を示す信号を電源制御装置4へ送信してもよいし、一律に、消灯を示す信号を電源制御装置4へ送信してもよい。
【0062】
以上のように、第1実施形態の水防情報表示システム100においては、観測データが基準値を超過した場合、水防情報表示盤2が一律に稼働状態となるのではなく、水防情報表示盤2が設置される部屋に人がいない可能性のある設定時間外には、人体が検知されている間だけ水防情報表示盤2を一時的稼働状態となる。これにより、第1実施形態の水防情報表示システム100は、無人の執務室で水防情報表示盤2を稼働状態に保ち続けることによる無駄な電力消費を防ぐことができる。
【0063】
また、第1実施形態の水防情報表示システム100においては、まず、消費電力量の小さい赤外線人感センサ33による大まかな人体検知を行い、赤外線人感センサ33で人体が検知されたならば、(赤外線人感センサ33と比較して)消費電力量の大きい赤外線カメラ32の人体検知機能による精緻な人体検知を行う。これにより、第1実施形態の水防情報表示システム100は、より一層の省電力化を実現する。
【0064】
ところで、観測データの基準値の超過が設定時間外に発生した場合、管理者は、担当者などへの連絡のため、執務室の状況を速やかに把握できることが好ましい。そこで、第1実施形態の水防情報表示システム100は、さらに、観測データの基準値超過の通知とともに、執務室の状況を管理者へ通知する。
【0065】
図4は、第1実施形態の水防情報表示システム100が執務室の状況を管理者へ通知する手順を示すフローチャートである。
【0066】
S201において水防情報表示盤制御装置1は、情報集配信装置200から観測データを受信する。
【0067】
次に、S202において、水防情報表示盤制御装置1は、観測データが基準値を超過しているか否かを判定する。
【0068】
ここで、超過している観測データがある場合(S202:YES)、S203で、水防情報表示盤制御装置1は、観測データが基準値を超過していることを管理者へ通知するためのメールを作成する。
【0069】
続いて、S204において、水防情報表示盤制御装置1は、赤外線人感センサ33および赤外線カメラ32の人体検知機能による人体検知を行う。
【0070】
次に、S205において、水防情報表示盤制御装置1は、人体検知の結果を、S203で作成したメールへ追記する。
【0071】
更に、S206において、水防情報表示盤制御装置1は、S205で人体検知の結果を追記したメールを管理者に宛てて送信する。
【0072】
以上のように、第1実施形態の水防情報表示システム100は、水防情報表示盤2の無駄な電力消費の削減に加えて、管理者への執務室の状況の迅速な通知を実現する。
【0073】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。
【0074】
第1実施形態で説明したように、水防情報表示システム100は、水防情報表示盤2が自動的に起動することで、執務室の中の人の意識を向けさせる。これは、水防情報表示盤2が故障していないことが大前提であり、管理者は、水防情報表示盤2の点検を欠かすことができない。
【0075】
第2実施形態の水防情報表示システム100は、水防情報表示盤2の起動時に故障有無を診断することで、水防情報表示盤2の点検という管理者の負担を軽減する。
【0076】
図5を参照して、第2実施形態の水防情報表示システム100における水防情報表示盤制御装置1による水防情報表示盤2の自動点検の制御手順について説明する。
【0077】
S301において、水防情報表示盤制御装置1は、情報集配信装置200から観測データを受信する。ここでは、基準値を超過している観測データがあるものとする。
【0078】
次にS302において、水防情報表示盤制御装置1は、水防情報表示盤2を起動状態とする。S302は、水防情報表示盤2を一時的起動状態とすることであってもよい。
【0079】
次に、S303において、水防情報表示盤制御装置1は、水防情報表示盤2を起動状態とすると、照度センサ31による水防情報表示盤2の状態検知(照度測定)を行う。
S304において、水防情報表示盤制御装置1は、S303での検知結果を、水防情報表示盤2が正常状態にある時の照度センサ31による検知結果と比較する。
【0080】
S305において、水防情報表示盤制御装置1は、たとえば、照度センサ31によって検知された照度が正常状態時と比較して一定幅以上下回っていないか等を基準として、水防情報表示盤2の故障有無を判定する。
【0081】
ここで、故障が発生している場合(S305:YES)、S306に進み、水防情報表示盤制御装置1は、水防情報表示盤2の故障を管理者へ通知する。
【0082】
もしここで、故障が発生していない場合は(S305:NO)、S307に進み水防情報表示盤制御装置1は、水防情報表示盤2の無故障を管理者へ通知する。
【0083】
その後、S308において、水防情報表示盤制御装置1は、たとえば観測データが基準値を下回ったことを契機として、水防情報表示盤2を消灯状態とする。
【0084】
以上のように、第2実施形態の水防情報表示システム100は、水防情報表示盤2の点検という管理者の負担を軽減することができる。
【0085】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。
【0086】
第2実施形態では、水防情報表示システム100は、水防情報表示盤2の起動時に故障有無の診断が行われる。この場合、観測データが基準値を超過しない限り、水防情報表示盤2の点検は実施されない。
【0087】
第3実施形態の水防情報表示システム100は、水防情報表示盤2の点検が一定期間実施されていない場合、適切なタイミングで、水防情報表示盤2の点検を実行する。
図6は、第3実施形態の水防情報表示システム100における水防情報表示盤制御装置1による水防情報表示盤2の自動点検の制御手順である。
【0088】
まず、S401において、水防情報表示盤制御装置1は、現在時刻を取得し、所定の時間帯外か否かを判定する。所定の時間帯は、管理者への通知を控えるべき、日付が変わる午前0時から午前6時などである。
【0089】
ここで、所定の時間帯外である場合(S401:YES)、S402に進み、水防情報表示盤制御装置1は、一定時間内の水防情報表示盤2の起動有無を判定する。一定時間は、たとえば半日の12時間である。
【0090】
もし、一定時間内に水防情報表示盤2が起動していなければ(S402:NO)、水防情報表示盤制御装置1は、水防情報表示盤2の点検を実施する。
【0091】
具体的には、S403において、水防情報表示盤制御装置1は、水防情報表示盤2を起動状態とする。そして、S404において、照度センサ31による水防情報表示盤2の状態検知を行う。
【0092】
S405において、水防情報表示盤制御装置1は、S404での検知結果を、水防情報表示盤2が正常状態にある時の照度センサ31による検知結果と比較する()。
【0093】
水防情報表示盤制御装置1は、たとえば、照度センサ31によって検知された照度が正常状態時と比較して一定幅以上下回っていないか等を基準として、水防情報表示盤2の故障有無を判定する(S406)。
【0094】
ここで、故障が発生している場合(S406:YES)、S407に進み、水防情報表示盤制御装置1は、水防情報表示盤2の故障を管理者へ通知する。
【0095】
故障が発生していない場合は(S406:NO)、S408に進み、水防情報表示盤制御装置1は、水防情報表示盤2の無故障を管理者へ通知する。
【0096】
その後、S409において、水防情報表示盤制御装置1は、たとえば基準値を超過する観測データが受信されていないならば、水防情報表示盤2を消灯状態とする。
【0097】
以上のように、第3実施形態の水防情報表示システム100は、観測データが基準値を超過しない期間が一定期間以上続いた場合においても、適切なタイミングで、水防情報表示盤2の点検を実行し、管理者の負担を軽減することができる。
【0098】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0099】
1…水防情報表示盤制御装置、1A…モニタ、2…水防情報表示盤、3…センサユニット、4…電源制御装置、11…データ送信部、12…データ受信部、13…制御機能部、14…データ演算部、15…データ保存部、16…信号送信部、17…時計部、31…照度センサ、32…赤外線カメラ、33…赤外線人感センサ、41…信号受信部、42…データ出力部、43…表示盤電源操作部、100…水防情報表示システム、200…情報集配信装置、201…河川監視システム、202…国土交通省地方整備局、203…洪水予測システム、204…電話応答通報装置、205…防災情報表示盤制御装置、
205A…大型映像表示装置、206…情報提供サーバ、206A…情報端末装置、206B…死活監視用端末、207…メール配信装置、207A…メールサーバ、300…気象台交換サーバ、301…危機管理部門、302…気象台、401…自治体、402…土木事務所、1000…防災システム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6