(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024228
(43)【公開日】2024-02-22
(54)【発明の名称】調光ユニット
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1345 20060101AFI20240215BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20240215BHJP
G02F 1/1334 20060101ALI20240215BHJP
【FI】
G02F1/1345
G02F1/13 505
G02F1/1334
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022126901
(22)【出願日】2022-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】辻 真樹
【テーマコード(参考)】
2H088
2H092
2H189
【Fターム(参考)】
2H088EA34
2H088GA10
2H088HA02
2H088HA03
2H088JA04
2H088MA20
2H092GA03
2H092GA40
2H092GA44
2H092GA49
2H092GA50
2H092HA26
2H092NA16
2H092PA02
2H092QA15
2H092RA10
2H189AA04
2H189CA08
2H189HA16
2H189JA04
2H189LA04
2H189LA05
2H189MA15
(57)【要約】
【課題】電極部間における電流集中を抑えることを可能とした調光ユニットを提供する。
【解決手段】調光ユニット10は、調光シート11と、調光シート11に接続されるFPC12とを備える。第1透明電極層は、第2透明電極層から露出した第1電極部11AEを含み、第2透明電極層は、第1透明電極層から露出した第2電極部11BEを含み、第1電極部11AEと第2電極部11BEとは、第1方向D1に沿って間隔を空けて並ぶ。FPC12は、第1電極部11AEに電気的に接続される第1配線部12Aを含む。第1電極部11AEは、第1方向D1において第1配線部12Aと第2電極部11BEとの間に位置するとともに、第1方向D1に直交する第2方向D2において、第1配線部12Aと第2透明電極層との間に位置する第1絶縁部11ACを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1透明電極層と、第2透明電極層と、前記第1透明電極層と前記第2透明電極層との間に位置する調光層と、を備える調光シートと、前記調光シートに接続されるフレキシブルプリント基板と、を備える調光ユニットであって、
前記第1透明電極層は、前記第2透明電極層から露出した第1電極部を含み、
前記第2透明電極層は、前記第1透明電極層から露出した第2電極部を含み、
前記第1電極部と前記第2電極部とは、第1方向に沿って間隔を空けて並び、
前記フレキシブルプリント基板は、前記第1電極部に電気的に接続される第1配線部を含み、
前記第1電極部は、前記第1方向において前記第1配線部と前記第2電極部との間に位置するとともに、前記第1方向に直交する第2方向において、前記第1配線部と前記第2透明電極層との間に位置する第1絶縁部を備える
調光ユニット。
【請求項2】
前記第1絶縁部は、前記第1電極部を、前記第2透明電極層から絶縁され、かつ、前記第1配線部が電気的に接続された第1領域と、前記第1領域から絶縁され、かつ、前記第2透明電極層に電気的に接続された第2領域とに分離し、
前記第1電極部に位置し、かつ、前記第1領域と前記第2領域とに跨がる第1導電部をさらに備え、
前記第1配線部は、前記第1導電部のなかで前記第1領域に位置する部分に接続されている
請求項1に記載の調光ユニット。
【請求項3】
前記第1絶縁部は、前記第1電極部の厚さ方向に沿って前記第1電極部を貫通する貫通部である
請求項1または2に記載の調光ユニット。
【請求項4】
前記フレキシブルプリント基板は、前記第2電極部に電気的に接続される第2配線部をさらに含み、
前記第2電極部は、前記第1方向において前記第2配線部と前記第1電極部との間に位置するとともに、前記第2方向において、前記第2配線部と前記第1透明電極層との間に位置する第2絶縁部を備える
請求項1に記載の調光ユニット。
【請求項5】
前記第2絶縁部は、前記第2電極部を、前記第1透明電極層から絶縁され、かつ、前記第2配線部が電気的に接続された第3領域と、前記第3領域から絶縁され、かつ、前記第1透明電極層に電気的に接続された第4領域とに分離し、
前記第2電極部に位置し、かつ、前記第3領域と前記第4領域とに跨がる第2導電部をさらに備え、
前記第2配線部は、前記第2導電部のなかで前記第3領域に位置する部分に接続されている
請求項4に記載の調光ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調光ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
調光シートは、第1透明導電シートと、第2透明導電シートと、第1透明導電シートと第2透明導電シートとの間に位置する調光層とを備えている。各透明導電シートは、透明電極層と、透明電極層を支持する基材シートとを備えている。調光層は、一対の透明電極層に挟まれている。調光層は、透明樹脂層と液晶組成物とを含んでいる。調光シートは、調光層に印加される電圧の大きさに応じて、2つ以上のヘイズ値を有することが可能に構成されている。調光シートは、透明支持体に貼り付けられ、これによって、調光シートと透明支持体との積層体が、2つ以上のヘイズ値を有することを可能にする。透明支持体は、例えば、建物が有する窓、建物内に位置するパーティション、および、車両が有する窓などである(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
図3は、調光ユニットの一例を示している。調光ユニットは、調光シートと調光シートに接続されたフレキシブルプリント基板(FPC)とを備えている。
図3が示すように、調光ユニット100は、調光シート111とFPC112とを備えている。調光シート111は、第1透明導電シート111Aと第2透明導電シート111Bとを備えている。第1透明導電シート111Aは、第2透明導電シート111Bを覆い、かつ、第2透明導電シート111Bの一部である第2電極部111BEが第1透明導電シート111Aから露出している。第2透明導電シート11Bは、第1透明導電シート111Aを覆い、かつ、第1透明導電シート111Aの一部である第1電極部111AEが第2透明導電シート111Bから露出している。第1電極部111AEと第2電極部111BEとは、第1方向D1に沿って間隔を空けて並んでいる。
【0004】
調光シート111は、第1導電部111E1と第2導電部111E2とを備えている。第1導電部111E1は、第1電極部111AEに位置し、かつ、第1方向D1に沿って延びる直線状を有している。第2導電部111E2は、第2電極部111BEに位置し、かつ、第1方向D1に沿って延びる直線状を有している。
【0005】
FPC112は、略T字状を有している。FPC112は、第1方向D1に沿って延びる部分において調光シート111に接続され、かつ、第2方向D2に沿って延びる部分において調光シート111外に延びている。FPC112は、第1配線部112A、第2配線部112B、および、被覆部112Cを備えている。第1配線部112Aおよび第2配線部112Bは、略L字状を有している。第1配線部112Aの先端には、第1櫛歯部112A1が位置している。第2配線部112Bの先端には、第2櫛歯部112B1が位置している。第1配線部112Aは、第1櫛歯部112A1において第1導電部111E1に接続されている。第2配線部112Bは、第2櫛歯部112B1において第2導電部111E2に接続されている。
【0006】
被覆部112Cは、絶縁性を有している。被覆部112Cは、第1配線部112Aのなかで、第1櫛歯部112A1のうちで第1導電部111E1に対向する面を除く部分を覆っている。被覆部112Cは、第2配線部112Bのなかで、第2櫛歯部112B1のうちで第2導電部111E2に対向する面を除く部分を覆っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、第1電極部111AEと第2電極部111BEとは第1方向D1に沿って並んでいるから、第1電極部111AEと第2電極部111BE間に電流集中が生じることを抑える上では、電極部111AE,111BE間の距離を大きくすることが必要である。これにより、FPC112が大型化するから、FPC112を形成するためのフィルムに対する面付効率が低下し、結果として、調光ユニット100の製造に要するコストが高くなる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための調光ユニットは、第1透明電極層と、第2透明電極層と、前記第1透明電極層と前記第2透明電極層との間に位置する調光層と、を備える調光シートと、前記調光シートに接続されるフレキシブルプリント基板と、を備える。前記第1透明電極層は、前記第2透明電極層から露出した第1電極部を含み、前記第2透明電極層は、前記第1透明電極層から露出した第2電極部を含み、前記第1電極部と前記第2電極部とは、第1方向に沿って間隔を空けて並ぶ。前記フレキシブルプリント基板は、前記第1電極部に電気的に接続される第1配線部を含む。前記第1電極部は、前記第1方向において前記第1配線部と前記第2電極部との間に位置するとともに、前記第1方向に直交する第2方向において、前記第1配線部と前記第2透明電極層との間に位置する第1絶縁部を備える。
【0010】
上記調光ユニットによれば、第1電極部が第1絶縁部を有するから、第1配線部を通じて第1電極部に供給された電流は、第1電極部のなかで第2電極部からの距離が小さい部分を避けて第1電極部外に供給される。そのため、第1電極部と第2電極部との間において電流が集中することが抑えられる。
【0011】
上記調光ユニットにおいて、前記第1絶縁部は、前記第1電極部を、前記第2透明電極層から絶縁され、かつ、前記第1配線部が電気的に接続された第1領域と、前記第1領域から絶縁され、かつ、前記第2透明電極層に電気的に接続された第2領域とに分離し、前記第1電極部に位置し、かつ、前記第1領域と前記第2領域とに跨がる第1導電部をさらに備え、前記第1配線部は、前記第1導電部のなかで前記第1領域に位置する部分に接続されていてもよい。
【0012】
上記調光ユニットによれば、第1配線部を通じて第1電極部に供給された電流は、第1導電部のみを通じて第1電極部外に供給されるから、第1電極部と第2電極部との間において電流が集中することがさらに抑えられる。
【0013】
上記調光ユニットにおいて、前記第1絶縁部は、前記第1電極部の厚さ方向に沿って前記第1電極部を貫通する貫通部であってよい。この調光ユニットによれば、第1電極部の切断によって第1絶縁部を形成することが可能であるから、第1電極部の一部を変性させることによって第1絶縁部を形成する場合に比べて、第1絶縁部の形成が容易である。
【0014】
上記調光ユニットにおいて、前記フレキシブルプリント基板は、前記第2電極部に電気的に接続される第2配線部をさらに含み、前記第2電極部は、前記第1方向において前記第2配線部と前記第1電極部との間に位置するとともに、前記第2方向において、前記第2配線部と前記第1透明電極層との間に位置する第2絶縁部を備えてもよい。
【0015】
上記調光ユニットによれば、第2電極部が第2絶縁部を有するから、第2配線部を通じて第2電極部に供給された電流は、第2電極部のなかで第1電極部からの距離が小さい部分を避けて第2電極部外に供給される。そのため、第1電極部と第2電極部との間において電流が集中することがさらに抑えられる。
【0016】
上記調光ユニットにおいて、前記第2絶縁部は、前記第2電極部を、前記第1透明電極層から絶縁され、かつ、前記第2配線部が電気的に接続された第3領域と、前記第3領域から絶縁され、かつ、前記第1透明電極層に電気的に接続された第4領域とに分離し、前記第2電極部に位置し、かつ、前記第3領域と前記第4領域とに跨がる第2導電部をさらに備え、前記第2配線部は、前記第2導電部のなかで前記第3領域に位置する部分に接続されていてもよい。
【0017】
上記調光ユニットによれば、第2配線部を通じて第2電極部に供給された電流は、第2導電部のみを通じて第2電極部外に供給されるから、第1電極部と第2電極部との間において電流が集中することがさらに抑えられる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、電極部間における電流集中を抑えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、第1実施形態の調光シートの平面図である。
【
図2】
図2は、第2実施形態の調光シートの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1実施形態]
[調光ユニット]
図1を参照して、調光ユニットの第1実施形態を説明する。なお、本開示の調光シートの型式は、ノーマル型でもよいし、リバース型でもよい。
【0021】
図1が示すように、調光ユニット10は、調光シート11とフレキシブルプリント基板(FPC)12とを備えている。調光シート11は、第1透明導電シート11A、第2透明導電シート11B、および、調光層11Cを備えている。調光層11Cは、第1透明導電シート11Aと第2透明導電シート11Bとの間に位置している。
【0022】
調光シート11の型式がノーマル型である場合には、第1透明導電シート11Aは、第1透明電極層と、第1透明電極層を支持する第1基材シートとを備えている。第2透明導電シート11Bは、第2透明電極層と、第2透明電極層を支持する第2基材シートとを備えている。各透明導電シート11A,11Bのうち、透明電極層が、調光層11Cと基材シートとの間に位置している。
【0023】
調光シート11の型式がリバース型である場合には、第1透明導電シート11Aは、第1透明電極層および第1基材シートに加えて、第1垂直配向層を備えている。第1透明導電シート11Aにおいて、第1透明電極層は、第1基材シートと第1垂直配向層との間に位置している。第2透明導電シート11Bは、第2透明電極層および第2基材シートに加えて、第2垂直配向層を備えている。第2透明導電シート11Bにおいて、第2透明電極層は、第2基材シートと第2垂直配向層との間に位置している。各垂直配向層は、透明電極層と調光層11Cとの間に位置している。
【0024】
第1透明電極層は、第2透明電極層から露出した第1電極部11AEを含んでいる。第1電極部11AEは、第2透明導電シート11Bから露出している。すなわち、第1電極部11AEは、第1透明導電シート11Aの一部のみを含み、かつ、第2透明導電シート11Bおよび調光層11Cを含んでいない。第1電極部11AEは、第1透明導電シート11Aが含む第1透明電極層の一部である。第2透明電極層は、第1透明電極層から露出した第2電極部11BEを含んでいる。第2電極部11BEは、第1透明導電シート11Aから露出している。すなわち、第2電極部11BEは、第2透明導電シート11Bの一部のみを含み、かつ、第1透明導電シート11Aおよび調光層11Cを含んでいない。第2電極部11BEは、第2透明導電シート11Bが含む第2透明電極層の一部である。第1電極部11AEと第2電極部11BEとは、第1方向D1に沿って間隔を空けて並んでいる。
【0025】
図1が示す調光シート11は、第1方向D1と第2方向D2とによって定められる二次元平面に沿って広がる長方形状を有している。第1電極部11AEと第2電極部11BEとは、調光シート11の外縁に含まれる1つの辺に沿って配置されている。すなわち、第1方向D1は、当該辺が延びる方向である。各電極部11AE,11BEは、第1方向D1に沿って延びる長方形状を有している。
【0026】
FPC12は、第1電極部11AEに電気的に接続される第1配線部12Aを含んでいる。第1電極部11AEは、第1絶縁部11ACを備えている。第1絶縁部11ACは、第1方向D1において第1配線部12Aと第2電極部11BEとの間に位置するとともに、第1方向D1に直交する第2方向D2において、第1配線部12Aと第2透明電極層との間に位置している。第1電極部11AEが第1絶縁部11ACを有するから、第1配線部12Aを通じて第1電極部11AEに供給された電流は、第1電極部11AEのなかで第2電極部11BEからの距離が小さい部分を避けて第1電極部11AE外に供給される。そのため、第1電極部11AEと第2電極部11BEとの間において電流が集中することが抑えられる。
【0027】
FPC12は、第1配線部12Aに加えて、第2配線部12Bおよび被覆部12Cを備えている。FPC12は、略T字状を有している。第1配線部12Aと第2配線部12Bとは、第2方向D2に沿って延びる対称軸に対して線対称な形状を有している。第1配線部12Aと第2配線部12Bとは、L字状を有している。
【0028】
第1配線部12Aは、一方の端部に第1櫛歯部12A1を有している。第1櫛歯部12A1は、第1電極部11AEに対して電気的に接続される部分である。第2配線部12Bは、一方の端部に第2櫛歯部12B1を有している。第2櫛歯部12B1は、第2電極部11BEに対して電気的に接続される部分である。
【0029】
被覆部12Cは、第1配線部12Aおよび第2配線部12Bを覆っている。第1配線部12Aのうち、第1櫛歯部12A1において第1電極部11AEと対向する面のみが被覆部12Cから露出している。第2配線部12Bのうち、第2櫛歯部12B1において第2電極部11BEと対向する面のみが被覆部12Cから露出している。第1配線部12Aと第2配線部12Bとは、第1方向D1において隙間を空けて並び、かつ、当該隙間には被覆部12Cの一部が位置している。これにより、第1配線部12Aは、第2配線部12Bから絶縁されている。
【0030】
調光シート11は、第1導電部11E1をさらに備えている。第1導電部11E1は、第1電極部11AEに位置している。第1導電部11E1は、第1方向D1に沿って延びる直線状を有し、かつ、第1方向D1において第1電極部11AEの略全体にわたる長さを有している。第1導電部11E1のうち、第2電極部11BEからの距離が小さい端部には、第1配線部12Aの第1櫛歯部12A1が接続されている。
【0031】
第1絶縁部11ACは、第1電極部11AEの厚さ方向に沿って第1電極部11AEを貫通する貫通部である。そのため、第1電極部11AEの切断によって第1絶縁部11ACを形成することが可能であるから、第1電極部11AEの一部を変性させることによって第1絶縁部11ACを形成する場合に比べて、第1絶縁部11ACの形成が容易である。
【0032】
第1絶縁部11ACは、第1電極部11AEのなかで、第2電極部11BEからの距離が小さい端部から、第2電極部11BEからの距離が大きい端部に向かう方向に沿って延びる形状を有している。第1絶縁部11ACは、第1電極部11AEの外縁に沿うL字状を有している。第1絶縁部11ACは、第2方向D2に沿って延びる第1部分11AC1と、第1方向D1に沿って延びる第2部分11AC2とを備え、かつ、第2部分11AC2は第1部分11AC1に接続されている。第1部分11AC1は、調光シート11の外縁に接続され、かつ、第2部分11AC2に接続されている。
【0033】
第2方向D2において、第1部分11AC1の長さは、第1櫛歯部12A1の長さよりも長く、かつ、第1導電部11E1の長さよりも長い。第1方向D1において、第2部分11AC2の長さは、第1櫛歯部12A1の長さよりも長く、かつ、第1導電部11E1の長さの1/2以下である。第1櫛歯部12A1が第1部分11AC1と第2部分11AC2とによって囲まれるから、第1櫛歯部12A1から第1電極部11AEに供給された電流は、第1方向D1において、第1櫛歯部12A1よりも外側から第1透明導電層における第1電極部11AE以外の部分に供給される。
【0034】
第2電極部11BEは、第2絶縁部11BCを備えている。第2絶縁部11BCは、第1方向D1において第2配線部12Bと第1電極部11AEとの間に位置するとともに、第2方向D2において、第2配線部12Bと第1透明電極層との間に位置している。第2電極部11BEが第2絶縁部11BCを有するから、第2配線部12Bを通じて第2電極部11BEに供給された電流は、第2電極部11BEのなかで第1電極部11AEからの距離が小さい部分を避けて第2電極部11BE外に供給される。そのため、第1電極部11AEと第2電極部11BEとの間において電流が集中することがさらに抑えられる。
【0035】
調光シート11は、第2導電部11E2をさらに備えている。第2導電部11E2は、第2電極部11BEに位置している。第2導電部11E2は、第1方向D1に沿って延びる直線状を有し、かつ、第1方向D1において第2電極部11BEの略全体にわたる長さを有している。第2導電部11E2のうち、第1電極部11AEからの距離が小さい端部には、第2配線部12Bの第2櫛歯部12B1が接続されている。
【0036】
第2絶縁部11BCは、第2電極部11BEの厚さ方向に沿って第2電極部11BEを貫通する貫通部である。そのため、第2電極部11BEの切断によって第2絶縁部11BCを形成することが可能であるから、第2電極部11BEの一部を変性させることによって第2絶縁部11BCを形成する場合に比べて、第2絶縁部11BCの形成が容易である。
【0037】
第2絶縁部11BCは、第2電極部11BEのなかで、第1電極部11AEからの距離が小さい端部から、第1電極部11AEからの距離が大きい端部に向かう方向に沿って延びる形状を有している。第2絶縁部11BCは、第2電極部11BEの外縁に沿うL字状を有している。第2絶縁部11BCは、第2方向D2に沿って延びる第1部分11BC1と、第1方向D1に沿って延びる第2部分11BC2とを備え、かつ、第2部分11BC2は第1部分11BC1に接続されている。第1部分11BC1は、調光シート11の外縁に接続され、かつ、第2部分11BC2に接続されている。
【0038】
第2方向D2において、第1部分11BC1の長さは、第2櫛歯部12B1の長さよりも長く、かつ、第2導電部11E2の長さよりも長い。第1方向D1において、第2部分11BC2の長さは、第2櫛歯部12B1の長さよりも長く、かつ、第2導電部11E2の長さの1/2以下である。第2櫛歯部12B1が第1部分11BC1と第2部分11BC2とによって囲まれるから、第2櫛歯部12B1から第2電極部11BEに供給された電流は、第1方向D1において、第2櫛歯部12B1よりも外側から第2透明導電層における第2電極部11BE以外の部分に供給される。
【0039】
[調光ユニットの製造方法]
調光ユニット10を製造する際には、まず、第1透明導電シート11Aと第2透明導電シート11Bとを準備する。各透明導電シート11A,11Bは、調光シート11の型式がノーマル型である場合には、透明電極層と、透明電極層を支持する基材シートとを備えている。透明電極層を形成するための材料は、例えば、酸化インジウムスズ、フッ素ドープ酸化スズ、酸化スズ、酸化亜鉛、カーボンナノチューブ、ポリ(3,4‐エチレンジオキシチオフェン)から構成される群から選択されるいずれか1つであってよい。基材シートを形成するための材料は、合成樹脂、または、無機化合物であってよい。合成樹脂は、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアクリレート系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などであってよい。ポリエステル系樹脂は、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどであってよい。ポリアクリレート系樹脂は、例えばポリメチルメタクリレートなどであってよい。無機化合物は、例えば、二酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、窒化ケイ素などであってよい。
【0040】
なお、調光シート11の型式がリバース型である場合には、各透明導電シート11A,11Bは、透明電極層に対して基材シートとは反対側に位置する垂直配向層をさらに備えている。配向層を形成するための材料は、有機化合物、無機化合物、および、これらの混合物である。有機化合物は、例えば、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニルアルコール、および、シアン化化合物などである。無機化合物は、シリコン酸化物、酸化ジルコニウムなどである。なお、配向層を形成するための材料は、シリコーンであってもよい。シリコーンは、無機性の部分と有機性の部分とを有する化合物である。
【0041】
次いで、調光層11Cを形成するための塗液を準備する。塗液は、例えば光重合性組成物、重合開始剤、および、液晶化合物を含む。塗液は、二色性色素を含んでもよいし、各種の添加物を含んでもよい。第1透明導電シート11Aと第2透明導電シート11Bとの間に塗液を挟んだ状態で塗液に光を照射することによって、塗液中において光重合性組成物を重合させる。これにより、空隙を有した透明高分子層と、空隙内に位置する液晶組成物とを含む調光層11Cを形成する。これにより、一対の透明導電シート11A,11Bと調光層11Cとを含む調光シート11を得る。
【0042】
そして、調光シート11の外縁において、第2透明導電シート11Bの一部と、調光層11Cの一部とを取り除くことによって、第1透明導電シート11Aに含まれる第1電極部11AEを露出させる。また、調光シート11の外縁において、第1透明導電シート11Aの一部と、調光層11Cの一部とを取り除くことによって、第2透明導電シート11Bに含まれる第2電極部11BEを露出させる。そして、第1電極部11AEの一部を厚さ方向に沿って切断することによって第1絶縁部11ACを形成し、かつ、第2電極部11BEの一部を厚さ方向に沿って切断することによって第2絶縁部11BCを形成する。
【0043】
次いで、第1電極部11AEに導電ペーストを用いて第1導電部11E1を形成し、かつ、第2電極部11BEに導電ペーストを用いて第2導電部11E2を形成する。そして、FPC12を準備する。続いて、FPC12の第1配線部12Aを異方性導電フィルムを用いて第1導電部11E1に貼り付け、かつ、FPC12の第2配線部12Bを異方性導電フィルムを用いて第2導電部11E2に貼り付ける。これにより、調光ユニット10を得ることができる。
【0044】
以上説明したように、調光ユニットの第1実施形態によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1‐1)第1電極部11AEが第1絶縁部11ACを有するから、第1配線部12Aを通じて第1電極部11AEに供給された電流は、第1電極部11AEのなかで第2電極部11BEからの距離が小さい部分を避けて第1電極部11AE外に供給される。そのため、第1電極部11AEと第2電極部11BEとの間において電流が集中することが抑えられる。
【0045】
(1‐2)第1電極部11AEの切断によって第1絶縁部11ACを形成することが可能であるから、第1電極部11AEの一部を変性させることによって第1絶縁部11ACを形成する場合に比べて、第1絶縁部11ACの形成が容易である。
【0046】
(1‐3)第2電極部11BEが第2絶縁部11BCを有するから、第2配線部12Bを通じて第2電極部11BEに供給された電流は、第2電極部11BEのなかで第1電極部11AEからの距離が小さい部分を避けて第2電極部11BE外に供給される。そのため、第1電極部11AEと第2電極部11BEとの間において電流が集中することがさらに抑えられる。
【0047】
[第2実施形態]
図2を参照して、調光ユニットの第2実施形態を説明する。第2実施形態の調光ユニットでは、第1実施形態の調光ユニットと比べて、各電極部が備える絶縁部の形状が異なっている。そのため以下では、第2実施形態の調光ユニットのうち、第1実施形態の調光ユニットとの相違点を説明する一方で、第1実施形態の調光ユニットと共通する構成には同一の符号を付すことによって、当該構成の詳しい説明を省略する。
【0048】
図2が示すように、第1絶縁部21ACは、第1電極部21AEを第1領域21AE1と第2領域21AE2とに分離する。第1領域21AE1は、第2透明電極層から絶縁され、かつ、第1領域21AE1には、第1配線部12Aが電気的に接続されている。第2領域21AE2は、第1領域21AE1から絶縁され、かつ、第2透明電極層に電気的に接続されている。すなわち、第1電極部21AEは、第1領域21AE1と、第1絶縁部21ACによって第1領域21AE1から絶縁された第2領域21AE2とを備えている。第1領域21AE1は、第1透明電極層における第1領域21AE1以外の部分から絶縁されている。これに対して、第2領域21AE2は、第1透明電極層のなかで、第1電極部21AE以外の部分に接続されている。
【0049】
調光シート21は、第1導電部21E1をさらに備えている。第1導電部21E1は、第1電極部21AEに位置し、かつ、第1領域21AE1と第2領域21AE2とに跨がっている。第1導電部21E1は、第1実施形態の調光シート11が備える第1導電部11E1と同様に、第1方向D1に沿う直線状を有している。第1導電部21E1は、第1電極部21AEの第1領域21AE1を、第1電極部21AEの第2領域21AE2に電気的に接続している。
【0050】
第1配線部12Aは、第1導電部21E1のなかで第1領域21AE1に位置する部分に接続されている。そのため、第1配線部12Aを通じて第1電極部21AEに供給された電流は、第1導電部21E1のみを通じて第1電極部21AE外に供給されるから、第1電極部21AEと第2電極部21BEとの間において電流が集中することがさらに抑えられる。
【0051】
第1絶縁部21ACは、第1電極部21AEの厚さ方向に沿って第1電極部21AEを貫通する貫通部である。そのため、第1電極部21AEの切断によって第1絶縁部21ACを形成することが可能であるから、第1電極部21AEの一部を変性させることによって第1絶縁部21ACを形成する場合に比べて、第1絶縁部21ACの形成が容易である。
【0052】
第1絶縁部21ACは、略U字状を有している。第1絶縁部21ACは、第1実施形態の調光シート11が備える第1絶縁部11ACと同様に、第2方向D2に沿って延びる第1部分21AC1と、第1方向D1に沿って延びる第2部分21AC2とを備え、さらに、第2方向D2に沿って延びる第3部分21AC3を備えている。第1部分21AC1は、調光シート21の外縁に接続され、かつ、第2部分21AC2における第1の端部に接続されている。これに対して、第3部分21AC3は、調光シート21の外縁に接続され、かつ、第2部分21AC2における第2の端部に接続されている。
【0053】
第2方向D2において、第1部分21AC1の長さおよび第3部分21AC3の長さは、第1櫛歯部12A1の長さよりも長く、かつ、第1導電部21E1の長さよりも長い。第1方向D1において、第2部分21AC2の長さは、第1櫛歯部12A1の長さよりも長く、かつ、第1導電部21E1の長さの1/2以下である。第1櫛歯部12A1が第1部分21AC1から第3部分21AC3によって囲まれている。そのため、第1櫛歯部12A1から第1電極部21AEの第1領域21AE1に供給された電流は、第1導電部21E1を通じて第2領域21AE2に供給され、次いで、第2領域21AE2から第1透明導電層における第1電極部21AE以外の部分に供給される。
【0054】
第2絶縁部21BCは、第2電極部21BEを第1領域21BE1と第2領域21BE2とに分離する。第1領域21BE1は第3領域の一例であり、第2領域21BE2は第4領域の一例である。第1領域21BE1は、第1透明電極層から絶縁され、かつ、第1領域21BE1には、第2配線部12Bが電気的に接続されている。第2領域21BE2は、第1領域21BE1から絶縁され、かつ、第1透明電極層に電気的に接続されている。すなわち、第2電極部21BEは、第1領域21BE1と、第2絶縁部21BCによって第1領域21BE1から絶縁された第2領域21BE2とを備えている。第1領域21BE1は、第2透明電極層における第1領域21BE1以外の部分から絶縁されている。これに対して、第2領域21BE2は、第2透明電極層における第2電極部21BE以外の部分に接続されている。
【0055】
調光シート21は、第2導電部21E2をさらに備えている。第2導電部21E2は、第2電極部21BEに位置し、かつ、第1領域21BE1と第2領域21BE2とに跨がっている。第2導電部21E2は、第1実施形態の調光シート11が備える第2導電部21E2と同様に、第1方向D1に沿う直線状を有している。第2導電部21E2は、第2電極部21BEの第1領域21BE1を、第2電極部21BEの第2領域21BE2に電気的に接続している。
【0056】
第2配線部12Bは、第2導電部21E2のなかで第1領域21BE1に位置する部分に接続されている。そのため、第2配線部12Bを通じて第2電極部21BEに供給された電流は、第2導電部21E2のみを通じて第2電極部21BE外に供給されるから、第1電極部21AEと第2電極部21BEとの間において電流が集中することがさらに抑えられる。
【0057】
第2絶縁部21BCは、第2電極部21BEの厚さ方向に沿って第2電極部21BEを貫通する貫通部である。そのため、第2電極部21BEの切断によって第2絶縁部21BCを形成することが可能であるから、第2電極部21BEの一部を変性させることによって第2絶縁部21BCを形成する場合に比べて、第2絶縁部21BCの形成が容易である。
【0058】
第2絶縁部21BCは、略U字状を有している。第2絶縁部21BCは、第1実施形態の調光シート11が備える第2絶縁部11BCと同様に、第2方向D2に沿って延びる第1部分21BC1と、第1方向D1に沿って延びる第2部分21BC2とを備え、さらに、第2方向D2に沿って延びる第3部分21BC3を備えている。第1部分21BC1は、調光シート21の外縁に接続され、かつ、第2部分21BC2における第1の端部に接続されている。これに対して、第3部分21BC3は、調光シート21の外縁に接続され、かつ、第2部分21BC2における第2の端部に接続されている。
【0059】
第2方向D2において、第1部分21BC1の長さおよび第3部分21BC3の長さは、第2櫛歯部12B1の長さよりも長く、かつ、第2導電部21E2の長さよりも長い。第1方向D1において、第2部分21BC2の長さは、第2櫛歯部12B1の長さよりも長く、かつ、第2導電部21E2の長さの1/2以下である。第2櫛歯部12B1が第1部分21BC1から第3部分21BC3によって囲まれている。そのため、第2櫛歯部12B1から第2電極部21BEの第1領域21BE1に供給された電流は、第2導電部21E2を通じて第2領域21BE2に供給され、次いで、第2領域21BE2から第2透明導電層における第2電極部21BE以外の部分に供給される。
【0060】
なお、本実施形態の調光ユニット20の製造方法には、第1実施形態の調光ユニット10の製造方法と同様の製造方法を用いることが可能である。ただし、本実施形態の調光ユニット20の製造方法では、第1実施形態の調光ユニット10の製造方法に対して、絶縁部21AC,21BCの形状が異なる。
【0061】
以上説明したように、調光ユニットの第2実施形態によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(2‐1)第1配線部12Aを通じて第1電極部21AEに供給された電流は、第1導電部21E1のみを通じて第1電極部21AE外に供給されるから、第1電極部21AEと第2電極部21BEとの間において電流が集中することがさらに抑えられる。
【0062】
(2‐2)第2配線部12Bを通じて第2電極部21BEに供給された電流は、第2導電部21E2のみを通じて第2電極部21BE外に供給されるから、第1電極部21AEと第2電極部21BEとの間において電流が集中することがさらに抑えられる。
【0063】
[変更例]
上述した各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。
[絶縁部]
・第1絶縁部11AC,21ACは、第1透明電極層の一部が変性することによって導電性を失った変性部であってもよい。例えば、第1透明電極層にレーザー光線を照射することによって、変性部を形成することが可能である。また、第2絶縁部11BC,21BCは、第2透明電極層の一部が変性することによって導電性を失った変性部であってもよい。例えば、第2透明電極層にレーザー光線を照射することによって、変性部を形成することが可能である。
【0064】
・調光シート11,21は、第1絶縁部11AC,21ACのみを備える一方で第2絶縁部11BC,21BCを備えなくてもよい。あるいは、調光シート11,21は、第2絶縁部11BC,21BCのみを備える一方で第1絶縁部11AC,21ACを備えなくてもよい。いずれの場合であっても、調光シート11,21が1つの絶縁部を備えることによって、調光シート11,21が絶縁部を備えない場合に比べて、電極部間での電流集中を抑えることは可能である。
【符号の説明】
【0065】
10…調光ユニット
11,21…調光シート
11A…第1透明導電シート
11AC,21AC…第1絶縁部
11AE,21AE…第1電極部
11B…第2透明導電シート
11BC,21BC…第2絶縁部
11BE,21BE…第2電極部
11C…調光層
11E1,21E1…第1導電部
11E2,21E2…第2導電部
12…フレキシブルプリント基板(FPC)
12A…第1配線部
12B…第2配線部
21AE1,21BE1…第1領域
21AE2,21BE2…第2領域