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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024230
(43)【公開日】2024-02-22
(54)【発明の名称】自走式飛散物防除用ネット
(51)【国際特許分類】
   A01D 75/20 20060101AFI20240215BHJP
   A01D 34/00 20060101ALI20240215BHJP
【FI】
A01D75/20 Z
A01D34/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022126905
(22)【出願日】2022-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】722007769
【氏名又は名称】岩井 一男
(72)【発明者】
【氏名】岩井一男
【テーマコード(参考)】
2B083
2B085
【Fターム(参考)】
2B083JA10
2B085AA10
2B085BC20
2B085BE25
2B085CA50
(57)【要約】      (修正有)
【課題】草刈り作業では草刈機で飛ばされた石などにる物損事故や人身事故を防ぐための飛散物防除ネットを保持する作業者の確保が人材不足により難しく、その解決手段を提供する。
【解決手段】動力を有する走行台車3に棒状の枠体の枠内にネットを取り付けた飛散物防除ネット5を取付けた自走式飛散物防除用ネットをリモコン1で飛散物防除できる位置に草刈り作業者が移動させる。飛散物防除ネット5を支柱9に取付けた軸方向に自由に移動できるスライド部材11に連結し、枠体下部に車輪13を取付け、飛散物防除ネット5が自量により常時接地することに依り、走行台車3へのモーメントは無くなり走行は安定し、風圧による転倒対策は走行輪ピッチと車体重量の最適な組合せに依り施される。また、走行台車3に草刈り作業者との相対位置を検出できる機器を搭載することに依り、飛散物防除に最適な位置へ走行台車が自動的に移動する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
草刈り作業における草刈り機による飛散物を防除する自走式飛散物防除ネット
であって、走行輪もしくは無限軌道を有し動力で走行する走行台車と、前記走行
台車の動力を駆動させる駆動回路と、前記駆動回路を制御する制御回路と、前記
走行台車の進行させたい方向を離れた所から送信する送信機能を有するリモコン
と、前記リモコンからの信号を受信する受信回路と、前記駆動回路と前記制御回路
と前記受信回路に電力を供給する電源と、棒状の枠体と枠内部に形成した網目状
のネットからなる飛散物防除用ネットと、前記飛散物防除用ネットと前記走行
台車からなる自走式飛散物防除用ネット
【請求項2】
前記走行台車に固定された支柱と、前記支柱に取付けた支柱の軸方向に
自由に移動できるスライド部材と、前記スライド部材と前記飛散物防除用
ネットを連結する連結部材と、前記飛散物防除用ネットの枠体の下部に車輪を
取り付けた請求項1記載の自走式飛散物防除用ネット
【請求項3】
前記走行台車の位置と草刈り作業者との相対位置を検出するセンサーと、
前記相対位置を検出するセンサーの信号を演算処理する演算処理回路と、
前記演算処理回路の結果の信号を前記制御回路に送り、自動的に最適位置
へ前記走行台車を移動させる請求項1記載の自走式飛散物防除用ネット














【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、草刈り作業時の飛散物防除用ネットを動力付き走行台車に
取付け、遠隔で走行台車を操作することによる作業の省人化、
事故防止を目的する自走式飛散物防除用ネットに関する。
【背景技術】
【0002】
草刈り作業時、草刈り作業者とは別の作業者が飛散物防除用ネットを常に持ち、
草刈り機による石、その他の飛散による物損事故、人身事故を防ぎ、草刈り作業
の移動とともに移動する必要があるが、
近年の飛散物防除用ネットを持つ人の不足、道路上作業の危険が潜在している。
【0003】
道路脇の草刈り作業では飛散物防除用ネットは道路上で保持するため、
交通の妨げにならない幅が必要であり、更に風などによる転倒の対策が
必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3149175号
【特許文献2】実用新案登録第3107649号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
草刈り作業では草刈り機によって地表面にある石、木、草、葉、空き缶、
アスファルト片、コンクリート片、糞などが飛ぶことがあり、それが人、車両など
に当たり、けが、損傷、事故等、トラブルを引き起こす危険性がある。
その対策としてそれらを防除する飛散物防除ネットを草刈り作業者とは別の
作業者が保持している。
しかしながら、今日の人材不足で作業者を確保することが困難であり、道路上での
作業の場合、危険が潜在している。
草刈り作業を一人で行おうとする場合、飛散物防除ネットが風等による転倒で
交通の妨げにならないように、強度を持った転倒防止部品等を使い、設置する
必要がある。
しかしながら、草刈り作業は常に移動するため、それに合わせて設置し直す必要
があり、その為非常に手間が係り、作業時間が大幅に必要となり、費用が増大
する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の自走式飛散物防除ネットは、草刈り作業における草刈り機による飛散物
を防除する自走式飛散物防除ネットであって、走行輪もしくは無限軌道を有し動力
で走行する走行台車と、前記走行台車の動力を駆動させる駆動回路と、前記駆動
回路を制御する制御回路と、前記走行台車の進行させたい方向を離れた所から送信
する送信機能を有するリモコンと、前記リモコンからの信号を受信する受信回路
と、前記駆動回路と前記制御回路と前記受信回路に電力を供給する電源と、棒状の
枠体と枠体内部に形成した網目状のネットからなる飛散物防除用ネットと、前記飛
散物防除用ネットと前記走行台車からなる自走式飛散物防除用ネットである。
【0007】
この自走式飛散物防除ネットは前記走行台車に前記飛散物防除用ネットを取り
付けたものであり、草刈り作業において草刈り機によって、石、木、草、葉、
空き缶、アスファルト片、コンクリート片、糞などが飛散をする位置に遠隔から
作業者がリモコンの操作で自走式飛散物防除ネットを移動させ、それらの飛散物を
防除することができる。
走行台車は走行輪又は無限軌道を有し、それをモーターやエンジンなどの動力で
駆動する。
リモコンから送信された信号を受信回路が受け、その信号を制御回路に送り、制御
回路で処理された信号を駆動回路に送り、動力を動かす。
駆動回路、制御回路、受信回路は一体でも、別体であってもよい。
動力、駆動回路、制御回路、受信回路の電源は鉛蓄電池、リチュームイオン電池、
燃料電池、動力がエンジンの場合は燃料などを使用する。
飛散物防除用ネットの枠体は金属、非鉄金属、樹脂、木などが適用でき、
飛散物防除用ネットの材質は金属、非鉄金属、化学繊維、植物性繊維などが
適用される。
【0008】
本発明の自走式飛散物防除ネットは、前記走行台車に固定された支柱と、
前記支柱に取付けた支柱の軸方向に自由に移動できるスライド部材と、
前記スライド部材と前記飛散物防除用ネットを連結する連結部材と、前記飛散物
防除用ネットの枠体の下部に車輪を取り付けた請求項1記載の自走式飛散物防除
用ネットである。
【0009】
この飛散物防除ネットを走行台車に取付けるには、飛散物防除ネットを走行台車
の側面に固定部材にて固定する方法はあるが、固定し飛散物防除ネットの下部
が地表面と接触する場合、走行中、走行台車に摩擦に依る抵抗が掛かるため、地表
面に接触しないように地表面との隙間を確保する必要がある。
しかし、隙間があると飛散物防除ネットの重量による飛散物防除ネット側へ
走行台車を傾けようとするモーメントが走行台車に掛かり、走行輪または無限軌道
の片方に負荷が偏り、走行が不安定になる。
そこで、飛散物防除ネットを、走行台車に固定された支柱を自由に軸方向に移動で
きるスライド部材に連結部材を使い連結する。
更に、飛散物防除ネットの枠体の下部に車輪を取付け、走行時、車輪により地表面
との抵抗を軽減させる。
これらにより、飛散物防除ネットの重量により飛散物防除ネットは地表面に常に
接地し、走行時、地表面の凹凸に追従して動き、飛散物防除ネットの重量は走行
台車の支柱にかからないので、モーメントは発生しない。
この車輪を回転自在車輪にすれば、走行台車の回転時、抵抗は低減する。
尚、この支柱と連結部材は金属、非鉄金属、樹脂、木などを使用する。
【0010】
本発明における自走式飛散物防除ネットにおいて、前記走行台車の位置と
草刈り作業者との相対位置を検出するセンサーと、前記相対位置を検出する
センサーの信号を演算処理する演算処理回路と、前記演算処理回路の結果
の信号を前記制御回路に送り、自動的に最適位置へ前記走行台車を移動
させる請求項1記載の自走式飛散物防除用ネット
【0011】
作業者がリモコンを使い、自走式飛散物防除ネットを飛散防除に最適な位置
へ移動させることはできるが、移動を作業者の手に依らず、自動的に最適
な位置へ移動させる方法として、走行台車に走行台車と作業者との相対位置を
検出するセンサーを取付け、その信号を演算処理回路で演算処理し、前記制御
回路に送り、走行台車を飛散物防除に最適な位置へ自動的に移動させる。
このセンサーには超音波式あるいは電波式あるいはLIDARなどを使用し、
演算回路は駆動回路、制御回路、受信回路と一体でもよい。
【発明の効果】
【0012】
草刈り作業における飛散物防除ネットを持つ人材不足対策、作業者の
安全確保、作業の効率化が確保でき,草刈り作業による事故を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は本発明の自走式飛散物防除ネットを示す図である。
図2図2は自走式飛散物防除ネットのシステムを示す図である。
図3図3は飛散物防除ネットと支柱の連結部を示す図である。
図4図4は飛散物防除ネット枠体上下の車輪を示す図である。
図5図5は走行台車の受けるモーメントを示す図である。
図6図6は飛散物防除ネットを折り畳み後の図である。
図7図7はリモコンの装着方法の図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に図面を参照して、本発明の自走式飛散物防除ネットを詳しく説明する。
【0015】
図1に本発明の自走式飛散物防除ネットを示す。
本発明品は走行台車3と飛散物防除ネット5を組み合わせ、走行台車3に進行
させたい方向を電波又は赤外線で送信するリモコン1により離れた場所から
操作できる。
あるいは、走行台車3に作業者と走行台車3との相対位置を検出するセンサーを
搭載し自動的に飛散物を防除できる最適な位置に走行台車を移動させる。
走行台車3はモーター等の動力を有し、それを制御する駆動回路、制御回路、
受信回路、演算回路、電源などを内蔵している。
また、走行台車3には電源投入用スイッチ25、ブレーカー27、充電口29
電源投入/異常表示ランプ31、反射板43を有している。
走行台車3の駆動は本図では無限軌道を使用しているが、走行輪、それに類する
ものも適応可能である。
飛散物防除ネット5は棒状の枠体33とネット35を組み合わせ、枠体には伸展枠
固定部品15、折り畳み枠固定部品19を有し、枠体の上下に車輪13、41が
取り付けられている。
【0016】
図2は本発明の自走式飛散物防除ネットのシステムを示す。
リモコン1からの信号を受信回路51が受信し、その信号を制御回路49に送り、
制御回路において処理された信号を駆動回路47に送り、駆動回路47が動力45
をリモコン1の信号通りに動作させる。
更に、作業者と走行台車との相対位置を検出するセンサー57からの信号は演算
回路55に入り、演算処理された信号は制御回路49に送られ、駆動回路にて
動力を駆動し、走行台車を走行させる。
【0017】
図3は、飛散物防除ネット5の支柱9への取り付けを示す。
飛散物防除ネット5は支柱9に取付けられた支柱の軸方向に自由に移動
するスライド部材11を介して連結部材21で連結されている。
スライド部材11の両端にはストッパー37が取り付けられている。
ストッパー37は半割状のリングとボルトで構成され、ボルトを締め込む
ことにより、支柱に固定され、スライド部材11の移動を止めるものである。
支柱9は左右にある取り付け用U字切り欠き穴39を持つ固定板7に固定され、
これにより、走行台車3の固定用ネジ23にて固定用ネジ23を取り外すこと
なく、飛散物防除ネット5を着脱ができる。
尚、ストッパー37は飛散物防除ネット5が支柱に対し移動できないように
ロックする場合に使用でき、更に走行台車から外した時、支柱9が自由に動かない
ようにロックする為にも使用できる。
【0018】
図4は、飛散物防除ネット5の枠体の下部に取付けられた車輪13を示す。
飛散物防除ネット5はスライド部材11により支柱9の軸方向に自由にスライド
できるので、車輪13は飛散物防除ネット5の重量により常に地表面に接地する。
これにより、飛散物防除ネット5の重量は支柱9を自由に移動できるスライド部材
11によって支柱9へは伝わらなく、その結果走行台車3へのモーメントは発生しな
い。
モーメントが発生しないことにより、走行台車3の走行輪又は無限軌道への負荷
の偏りは発生しなく、走行の安定が図られる。
また、走行台車3と共に車輪13が回転することにより飛散物防除ネット5と
地表面との摩擦が低減され、走行台車3に対し走行抵抗は低減される。
【0019】
図5は風による走行台車3に掛かるモーメントを示す図である。
飛散物防除ネット5は面積が広く、屋外で使用されるため風圧により、ネット面に
力が掛かり、走行台車3を傾けるモーメントが発生する。本自走式飛散物防除
ネットは道路上で使用する場合、交通の妨げにならないように自走式飛散物防除用
ネットの幅を小さくする必要があり、単に左右走行輪の間隔を上げることはできな
い。そこで、このモーメントによる転倒を回避する為、以下の設定を行う。
飛散物防除ネット5側からの風により、ネット面には以下の風圧Pが発生する。
P=Ps+((1/2)×ρ×V2 ) Ps;静圧(Pa)、ρ;密度[kg/m3]、 V;風速(m/s)
ネット面積は A=V×H ×α V;幅、H;高さ、α;充実率(ネット全面積に
占める糸の占める比率)
ネット面に受ける力は F=A×P×cf cf;風力係数
走行台車が受けるモーメントは M1=F×h1 h1;ネットの風圧中心高さ
走行台車の耐力は M2=W×L W;走行台車重量、L;走行台車重心と走行輪重心
の距離M2>M1 よって W>F×h1/L
したがって、転倒しないためには、走行台車の重量W及び軸間距離は
上記条件を満たす必要がある。
飛散物防除ネット5の反対側からの風に対しても同様である。
【0020】
図6は飛散物防除ネット5の折り畳み状態を示す図である。
飛散物防除ネット5を走行台車3から取り外すには、伸展枠固定具15を外し、
折り畳んだ後、折り畳み枠固定具19で枠体を固定し、固定用ネジ23を緩め、
取り外すことにより、枠体の上下部の車輪により簡単に押して運ぶことができる。
車輪を回転自在車輪にすれば、方向転換が容易になる。
【0021】
図7はリモコン1の装着方法を示す図である。
リモコン1は草刈り作業中の移動に合わせ、自走式飛散物防除ネットを移動する
必要があり、草刈り機等を持ちながらの操作を容易にする。
また、リモコンに紐を付け、首に掛けることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
幅広い気象条件に対応し、草刈り作業の省人化、効率化、安全性確保を満たす
ものである。
【符号の説明】
【0023】
1・・・リモコン、 3・・・走行台車、 5・・・飛散物防除ネット、 7・・・
固定板、9・・・支柱、11・・・スライド部材、 13・・・枠体の下部の車輪、
15・・・伸展枠固定部品、 17・・・伸展枠固定ネジ、 19・・・折り畳み枠
固定部品、 21・・・連結部材、 23・・・固定用ネジ、25・・・電源投入用
スイッチ、27・・・ブレーカー、 29・・・充電口、 31・・・電源投入/
異常表示ランプ、33・・・枠体、 35・・・ネット、 37・・・ストッパー、
39・・・取り付け用U字切り欠き穴、 41・・・枠体の上部の車輪、
43・・・反射板、 45・・・動力、47・・・駆動回路、49・・・制御回路、
51・・・受信回路、 53・・・電源、 55・・・演算回路、
57・・・相対位置検出センサー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7