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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024233
(43)【公開日】2024-02-22
(54)【発明の名称】ファン及びファン付きウェア
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/64 20060101AFI20240215BHJP
   F04D 29/52 20060101ALI20240215BHJP
   F04D 25/08 20060101ALI20240215BHJP
   A41D 13/002 20060101ALI20240215BHJP
【FI】
F04D29/64 C
F04D29/52 B
F04D25/08 301Z
A41D13/002 105
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022126910
(22)【出願日】2022-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】592171005
【氏名又は名称】株式会社セフト研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】市ヶ谷 弘司
(72)【発明者】
【氏名】市ヶ谷 秀樹
【テーマコード(参考)】
3B011
3B211
3H130
【Fターム(参考)】
3B011AA01
3B011AB01
3B011AC02
3B011AC03
3B211AA01
3B211AB01
3B211AC02
3B211AC03
3H130AA13
3H130AB26
3H130AB52
3H130AC27
3H130BA48A
3H130BA73A
3H130BA96A
3H130CA21
3H130EA01A
3H130EA07A
3H130EB01A
3H130ED04A
(57)【要約】      (修正有)
【課題】容易に内部清掃を行うことができるファンを提供する。
【解決手段】ファン1Aは、ケース本体2を備え、ケース本体2は、前ケース部20と、前ケース部20に着脱可能な後ケース部21を備え、前ケース部20は、前ケース部20と後ケース部21との周方向に沿った相対的な移動(回転)を規制する係合片部3を備え、後ケース部21は、前ケース部20と後ケース部21との周方向に沿った相対的な移動(回転)を規制する被係合部4を備える。係合片部3は、フランジ部23の周方向に沿って延伸する舌状片部と、舌状片部の延伸方向の端部に形成される係合部を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
羽根車を回転させるモータが取り付けられるモータケースを有したケース本体を備え、
前記ケース本体は、
第1のケース部と、
前記第1のケース部に着脱可能な第2のケース部を備え、
前記第1のケース部は、
筒状部と、
前記筒状部の外周から外側方向に突出するフランジ部と、
前記フランジ部の周方向に沿った前記第1のケース部と前記第2のケース部との相対的な移動を規制する係合手段とを備え、
前記第2のケース部は、
前記フランジ部の周方向に沿った前記第1のケース部と前記第2のケース部との相対的な移動を規制する被係合手段を備え、
前記係合手段は、
前記フランジ部の周方向に沿って延伸し、一方の端部が前記フランジ部に対する固定端となり、他方の端部が遊端となる可撓性を有した舌状片部と、
前記舌状片部の前記遊端の側に設けられ、前記第2のケース部と対向する前記フランジ部の表面から突出する凸部と前記凸部に対して凹状となる凹部が、前記フランジ部の周方向に沿って並ぶ係合部とを備え、
前記被係合手段は、
前記フランジ部と対向する前記第2のケース部の裏面に対して凹状となる凹部と前記凹部に対して凸状となる凸部が、前記第2のケース部の周方向に沿って並び、前記係合部と係合する被係合部とを備えた
ファン。
【請求項2】
前記第1のケース部は、
前記筒状部の軸方向に沿った前記第1のケース部と前記第2のケース部との相対的な移動を規制する係止手段を備え、
前記第2のケース部は、
前記筒状部の軸方向に沿った前記第1のケース部と前記第2のケース部との相対的な移動を規制する被係止手段を備え、
前記係合部と前記被係合部が係合する位置に、前記フランジ部の周方向に沿って前記第1のケース部と前記第2のケース部が相対的に移動すると、前記係止手段と前記被係止手段が係止する
請求項1に記載のファン。
【請求項3】
前記舌状片部は、前記フランジ部の周方向に沿った前記第1のケース部と前記第2のケース部との相対的な移動で、前記係合部と前記被係合部が係合する方向の下流側が前記遊端側となる
請求項1または請求項2に記載のファン。
【請求項4】
前記係合部は、前記被係合部に押圧されることで前記舌状片部を撓ませる誘導面を備え、前記被係合部は、前記係合部を押圧することで前記舌状片部を撓ませる誘導面を備えた
請求項1または請求項2に記載のファン。
【請求項5】
前記ケース本体を被取り付け体に装着する装着手段を備えた
請求項1または請求項2に記載のファン。
【請求項6】
前記舌状片部は、前記フランジ部の裏面に露出し、前記装着手段で前記ケース本体に装着された前記被取り付け体が接する
請求項5に記載のファン。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のファンと、
着用者の身体の少なくとも一部を覆うウェア本体とを備えた
ファン付きウェア。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファン及びファン付きウェアに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、身体を冷却するファン付きウェアが実用化され、急速に普及しつつある。ファン付きウェアは、通気性の低い素材で形成されたウェア本体に、ウェア本体内に空気を取り込むためのファンが取り付けられており、ファンを作動させると、大量の空気がファンからウェア本体内に取り込まれ、着用者の身体又は下着の表面に沿って流通した後に、襟部や袖部の開口部に形成された空気排出部から外部に排出される。
【0003】
そして、ファンによってウェア本体内に取り込まれた空気が、着用者の身体又は下着の表面に沿って流通する間に、身体から出た汗を蒸発させ、蒸発する際の気化熱により身体が冷却される。
【0004】
ファン付きウェアに用いられるファンは、例えば、モータによって回転される羽根車を内蔵するケース体と、ケース体の開口を塞ぐように取り付けられている後方ガードを備えており、ケース体を衣服の内側に配し、後方ガードを衣服の外側に配するように取り付けて使用される。
【0005】
このようなファン付きウェアに用いられるファンとして、ファンの内部清掃を行えるようにした技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
特許文献1では、後方ガードは、ケース体の筒状部に内接する内筒部を備え、内筒部には、後方ガードをケース体に取り付けるための係合爪が設けられている。係合爪の先端には、フック状の係合部と、ケース体に係合した係合爪の係合を解除するための傾斜部が形成されており、後方ガードを所定方向に回転させることで、係合爪の係合が解除される構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2021-181755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1では、ケース体に対して後方ガードを相対的に所定方向に回転させることにより、ケース体の切欠部と後方ガード部の係合爪の係合や係合の解除が行えるので、後方ガードをケース体から外してファンの内部を清掃することができる。このようなファンの内部清掃を行えるファンにおいて、さらに容易に後方ガードをケース体から外せるようにしてファンの内部清掃を行えるファンを提供することを課題とする。
【0009】
本発明は、このような課題を解決するためなされたもので、容易に内部清掃を行うことができるファン及びファン付きウェアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、羽根車を回転させるモータが取り付けられるモータケースを有したケース本体を備え、ケース本体は、第1のケース部と、第1のケース部に着脱可能な第2のケース部を備え、第1のケース部は、筒状部と、筒状部の外周から外側方向に突出するフランジ部と、フランジ部の周方向に沿った第1のケース部と第2のケース部との相対的な移動を規制する係合手段とを備え、第2のケース部は、フランジ部の周方向に沿った第1のケース部と第2のケース部との相対的な移動を規制する被係合手段を備え、係合手段は、フランジ部の周方向に沿って延伸し、一方の端部がフランジ部に対する固定端となり、他方の端部が遊端となる可撓性を有した舌状片部と、舌状片部の遊端の側に設けられ、第2のケース部と対向するフランジ部の表面から突出する凸部と凸部に対して凹状となる凹部が、フランジ部の周方向に沿って並ぶ係合部とを備え、被係合手段は、フランジ部と対向する第2のケース部の裏面に対して凹状となる凹部と前記凹部に対して凸状となる凸部が、第2のケース部の周方向に沿って並び、係合部と係合する被係合部とを備えたファンである。
【0011】
請求項2に記載の発明は、第1のケース部は、筒状部の軸方向に沿った第1のケース部と第2のケース部との相対的な移動を規制する係止手段を備え、第2のケース部は、筒状部の軸方向に沿った第1のケース部と第2のケース部との相対的な移動を規制する被係止手段を備え、係合部と被係合部が係合する位置に、フランジ部の周方向に沿って第1のケース部と第2のケース部が相対的に移動すると、係止手段と被係止手段が係止する請求項1に記載のファンである。
【0012】
請求項3に記載の発明は、舌状片部は、フランジ部の周方向に沿った第1のケース部と第2のケース部との相対的な移動で、係合部と被係合部が係合する方向の下流側が遊端側となる請求項1または請求項2に記載のファンである。
【0013】
請求項4に記載の発明は、係合部は、被係合部に押圧されることで舌状片部を撓ませる誘導面を備え、被係合部は、係合部を押圧することで舌状片部を撓ませる誘導面を備えた請求項1または請求項2に記載のファンである。
【0014】
請求項5に記載の発明は、ケース本体を被取り付け体に装着する装着手段を備えた請求項1または請求項2に記載のファンである。
【0015】
請求項6に記載の発明は、舌状片部は、フランジ部の裏面に露出し、装着手段でケース本体に装着された被取り付け体が接する請求項5に記載のファンである。
【0016】
請求項7に記載の発明は、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のファンと、着用者の身体の少なくとも一部を覆うウェア本体とを備えたファン付きウェアである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、フランジ部の周方向に沿った第1のケース部と第2のケース部との相対的な移動で、舌状片部が弾性変形しやすく、第2のケース部を第1のケース部から取り外して、容易に内部清掃を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態に係るファン付きウェアの開閉手段を閉じた状態における背面図である。
図2】実施形態に係るファン付きウェアの開閉手段を開いた状態における正面図である。
図3】実施の形態に係るファンの一例を示す分解斜視図である。
図4】実施の形態に係るファンの一例を示す分解斜視図である。
図5】前ケース部と後ケース部が取り付けられた状態を示す要部側断面図である。
図6A】係合片部及び係止部の一例を示す前ケース部の要部側面図である。
図6B】被係合部及び被係止部の一例を示す後ケース部の要部側断面図である。
図7A】係合片部及び係止部の一例を示す前ケース部の要部斜視図である。
図7B】被係合部及び被係止部の一例を示す後ケース部の要部破断斜視図である。
図8】装着部材の一例を示す平面図である。
図9A】後ケース部を前ケース部から取り外す動作の一例を示す要部側断面図である。
図9B】後ケース部を前ケース部から取り外す動作の一例を示す要部側断面図である。
図9C】後ケース部を前ケース部から取り外す動作の一例を示す要部側断面図である。
図10A】後ケース部を前ケース部に取り付ける動作の一例を示す要部側断面図である。
図10B】後ケース部を前ケース部に取り付ける動作の一例を示す要部側断面図である。
図10C】後ケース部を前ケース部に取り付ける動作の一例を示す要部側断面図である。
図10D】後ケース部を前ケース部に取り付ける動作の一例を示す要部側断面図である。
図10E】後ケース部を前ケース部に取り付ける動作の一例を示す要部側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明のファン及びファン付きウェアの実施の形態について説明する。
【0020】
<本実施の形態のファン付きウェアの構成例>
図1は、実施の形態に係るファン付きウェアの開閉手段を閉じた状態における背面図、図2は、実施の形態に係るファン付きウェアの開閉手段を開いた状態における正面図である。
【0021】
ファン付きウェア10は、ウェア本体11と、ウェア本体11内に空気を導入するファン1Aと、ファン1Aに電力を供給する電源装置12と、電源装置12とファン1Aとの間を接続する接続ケーブル13とを備える。ファン付きウェア10は、ファン1Aによってウェア本体11内に取り込まれた空気を、着用者の身体又は下着の表面に沿って流通させた後に、ウェア本体11の襟部及び袖部に形成された空気排出部14から排出することで、身体から出た汗を蒸発させ、蒸発する際の気化熱により身体を冷却するものである。
【0022】
ウェア本体11は、通気性のない又はファン1Aによる空気の導入によって膨らませることができる程度の通気性を有する服地によって、着用者の胴部及び腕部を覆う形状に形成されている。図1から図3においては、ウェア本体11をブルゾン型の上衣の形状に形成しているが、ウェア本体11の形状は着用者の身体の少なくとも一部を覆うものであればよく、これに限られない。例えば、着用者の胴部のみを覆うベスト型に形成してもよい。
【0023】
なお、着用者がファン付きウェア10を着用した状態を基準として、着用者の前方向を前、着用者の後方向を後と定める。また、ファン付きウェア10の着用時において着用者に向く面を内面側、その反対側の外部空間に向く面を外面側とする。
【0024】
ウェア本体11は、前身頃に、線ファスナー等を備えて形成された着脱自在な分割部分である開閉手段15を備える。また、ウェア本体11は、裾部に、ゴム紐等の伸縮性のある部材を着用者の身体を周回するように備えることによって形成された、ウェア本体11と着用者の身体との間の空間内の空気がウェア本体11の裾部から外部に漏れることを防止するための手段である空気漏れ防止手段16を備える。
【0025】
また、着用者の首とウェア本体11の襟部の端部との間の開口部と、着用者の腕とウェア本体11の袖部の端部との間の開口部とには、ファン1Aによってウェア本体11と着用者の身体との間の空間内に導入された空気を、着用者の身体又は下着に沿って流通させた後に排出するための開口部である空気排出部14が形成されている。
【0026】
また、ウェア本体11の内面側には、図2に示すように、電源装置12を接続ケーブル13を通じてファン1Aへと電力を供給可能な位置において保持するため、電源装置12を収納可能なポケット状に形成された電源装置保持手段17と、接続ケーブル13をウェア本体11の内面側に保持するため、上下方向に長い布を上下2か所において縫い付けることにより、接続ケーブル13を挿通可能な開口部を有するリング状に形成されたケーブル保持手段18とが備えられている。
【0027】
また、ウェア本体11の後見頃の着用者の腰の左右に対応する位置には、図1及び図2に示すように、ファン付きウェア10の着用時において、ウェア本体11と着用者の身体との間の空間と、ウェア本体11の外部の空間とを繋ぐこととなる円形の孔部であるファン取付孔19が形成されている。
【0028】
ファン取付孔19の直径は、後述のファン1Aのケース本体2の筒状部22の直径と略同一に形成され、筒状部22がファン取付孔19を挿通するようにして、ウェア本体11にファン1Aを取り付けることで、ファン取付孔19を介して、外部の空気をウェア本体11と着用者の身体との間の空間に取り込むことができる。
【0029】
ファン取付孔19の周囲は、例えばプラスチック等によって形成された扁平な環状の部材を取り付ける、ウェア本体11を形成する服地のファン取付孔19周囲の部分を折り返して縫合する等の方法で、補強されていることが好ましい。
【0030】
<本実施の形態のファンの構成例>
図3及び図4は、実施の形態に係るファンの一例を示す分解斜視図である。ファン1Aは、図1に示すファン取付孔19を通して、ウェア本体11と着用者の身体との間の空間に空気を導入するための手段であり、図2に示すように、電源装置12より、接続ケーブル13を介して必要な電力が供給される。
【0031】
ファン1Aは、ケース本体2と、ケース本体2を被取り付け体であるウェア本体11に装着する装着部材200を備える。
【0032】
ケース本体2は、2分割された構成で、前ケース部20と、前ケース部20に着脱可能な後ケース部21を備える。前ケース部20と後ケース部21は、樹脂で構成される。
【0033】
前ケース部20は第1のケース部の一例で、筒状部22と、筒状部22の外周から外側方向に突出するフランジ部23を備える。
【0034】
筒状部22は円筒形状で、円筒形状の軸方向に沿った一方の端部である前側の端部に、空気が通る通気口22aと、図示しないモータが取り付けられるモータケース22bが形成される。また、筒状部22は、軸方向に沿った他方の端部である後方の端部にフランジ部23が形成される。前ケース部20は、フランジ部23に後ケース部21が取り付けられる。
【0035】
通気口22aは、格子状、放射状などの所定の形状の桟部と、桟部の間の開口部の組み合わせで構成され、空気は通すと共に、通気口22aから筒状部22内に異物が侵入することが抑制されるように、桟部の間隔及び形状などが設定される。
【0036】
モータケース22bは、筒状部22の前側の端部の径方向の中心に、後側の端部に向けて突出する凸部を設けて構成される。ファン1Aは、図示しないモータがモータケース22bに取り付けられ、このモータの軸に図示しない羽根車が取り付けられる。
【0037】
フランジ部23は、周方向の全周に亘ってつながる形状で、筒状部22の後側の端部の外周から外側に突出する。フランジ部23は、前ケース部20に取り付けられる後ケース部21と対向する端面23aが、筒状部22の後側の端部に露出する。
【0038】
後ケース部21は第2のケース部の一例で、前ケース部20のフランジ部23が形成された後側の端部を覆う円板形状である。後ケース部21は、空気が通る通気口21aが形成される。通気口21aは、格子状、放射状などの所定の形状の桟部と、桟部の間の開口部の組み合わせで構成される。通気口21aは、空気は通すと共に、後ケース部21が取り付けられた前ケース部20の筒状部22内に異物が侵入することが抑制されるように、桟部の間隔及び形状などが設定される。
【0039】
後ケース部21は、通気口21aの外側に、前ケース部20のフランジ部23と対向する周縁部21bが形成される。
【0040】
<前ケース部と後ケース部の取り付け構造の一例>
図5は、前ケース部と後ケース部が取り付けられた状態を示す要部側断面図、図6Aは、係合片部及び係止部の一例を示す前ケース部の要部側面図、図6Bは、被係合部及び被係止部の一例を示す後ケース部の要部側断面図である。また、図7Aは、係合片部及び係止部の一例を示す前ケース部の要部斜視図、図7Bは、被係合部及び被係止部の一例を示す後ケース部の要部破断斜視図である。
【0041】
前ケース部20は、前ケース部20と後ケース部21との周方向に沿った相対的な移動(回転)を規制する係合片部3を備える。また、後ケース部21は、前ケース部20と後ケース部21との周方向に沿った相対的な移動(回転)を規制する被係合部4を備える。
【0042】
更に、前ケース部20は、前ケース部20と後ケース部21との軸方向に沿った相対的な移動を規制する係止部5を備える。また、後ケース部21は、前ケース部20と後ケース部21との軸方向に沿った相対的な移動を規制する被係止部6を備える。
【0043】
本例では、係合片部3は、前ケース部20のフランジ部23の周方向に沿った4か所に設けられる。また、被係合部4は、係合片部3の位置に対応して、後ケース部21の周縁部21bの周方向に沿った4か所に設けられる。更に、係止部5は、係合片部3に隣接して前ケース部20のフランジ部23の周方向に沿った4か所に設けられる。また、被係止部6は、係止部5の位置に対応して、被係合部4に隣接して後ケース部21の周縁部21bの周方向に沿った4か所に設けられる。
【0044】
係合片部3は係合手段の一例で、フランジ部23の周方向に沿って延伸する舌状片部30と、舌状片部30の延伸方向の端部に形成される係合部31を備える。係合片部3は、舌状片部30と係合部31がフランジ部23と一体に構成され、舌状片部30の一方の端部がフランジ部23とつながる。これにより、係合片部3は、フランジ部23とつながる舌状片部30の基端部が、フランジ部23に対する固定端32となる。
【0045】
また、係合片部3は、舌状片部30と筒状部22との間に、舌状片部30の固定端32から舌状片部30の延伸方向の端部にむけて、フランジ部23の周方向に沿ってスリット33が形成される。これにより、係合片部3は、舌状片部30の延伸方向の端部が遊端34となる。
【0046】
上述したように、前ケース部20は樹脂で構成されており、係合片部3は、舌状片部30がフランジ部23の厚み方向に弾性変形により撓むことが可能な構成である。
【0047】
係合部31は、舌状片部30の遊端34側に設けられる。係合部31は、フランジ部23の端面23aから突出する複数の凸部31aと、凸部31aに対して凹状となる複数の凹部31bが、フランジ部23の周方向に沿って並ぶ凹凸形状である。係合部31は、凸部31aの断面形状が三角形、凹部31bの断面形状が逆三角形である。係合部31は、凸部31aの斜面及び凹部31bの斜面によって、被係合部4に押圧されることで舌状片部30を撓ませる誘導面31cが構成される。
【0048】
係合片部3は、前ケース部20をフランジ部23の側から見たときに、舌状片部30が固定端32から矢印C1で示す時計回りに延伸し、舌状片部30の延伸方向の端部である遊端34に係合部31が設けられる。
【0049】
これにより、係合片部3は、舌状片部30がフランジ部23の厚み方向に弾性変形により撓むことで、係合部31の凸部31aが、フランジ部23の端面23aから突出した係合位置から、フランジ部23の端面23aと略同一となる退避位置まで変位する。なお、係合片部3は、係合部31の凸部31aが、フランジ部23の端面23aから突出した係合位置にある状態では、舌状片部30の裏面が、フランジ部23の端面23aの裏面と略同一面となるよう構成される。
【0050】
被係合部4は被係合手段の一例で、前ケース部20に後ケース部21を取り付けたときに、前ケース部20のフランジ部23と対向する後ケース部21の周縁部21bの裏面21cに設けられる。
【0051】
被係合部4は、周縁部21bの裏面21cに対して凹状となる複数の凹部40aと、凹部40aに対して凸状となる複数の凸部40bが、周縁部21bの周方向に沿って並ぶ凹凸形状である。被係合部4は、凹部40aの断面形状が逆三角形、凸部40bの断面形状が三角形であり、前ケース部20の係合部31と凹凸形状が合致する。被係合部4は、凹部40aの斜面及び凸部40bの斜面によって、係合片部3の係合部31を押圧することで舌状片部30を撓ませる誘導面40cが構成される。
【0052】
係止部5は係止手段の一例で、フランジ部23の端面23aから逆L状に突出する。係止部5は、前ケース部20をフランジ部23の側から見たときに、矢印C2で示す反時計回りに延伸する。係止部5は、係合片部3の係合部31との間に開口部50が形成される。
【0053】
被係止部6は被係止手段の一例で、被係合部4から周縁部21bの周方向に沿って突出する。被係止部6は、係止部5とフランジ部23の端面23aとの間の隙間と同等程度の厚さを有し、前ケース部20に後ケース部21が取り付けられると、係止部5と係合片部3との間の開口部50から、係止部5とフランジ部23の端面23aとの間の隙間に入る。
【0054】
被係止部6は誘導部60を備える。誘導部60は、前ケース部20に後ケース部21を取り付ける動作で、係止部5と接する被係止部6の先端に斜面を設けて構成される。
【0055】
後ケース部21は、前ケース部20に後ケース部21を取り付ける動作で、前ケース部20の係止部5が移動することが可能な係止部作動空間21dを備える。係止部作動空間21dは、周縁部21bの周方向に沿って被係止部6からつながる開口を設けて構成される。
【0056】
図8は、装着部材の一例を示す平面図で、次に、装着部材200について説明する。装着部材200は装着手段の一例で、軸方向から見たときの形状が楕円形状である。装着部材200の短軸方向における互いに対向する二つの所定部位には、突起200aが設けられている。装着部材200は、短軸方向の内径が、図8に破線で示す前ケース部20の筒状部22の外径と同等程度に構成される。装着部材200は樹脂により一体的に形成されており、装着部材200は可撓性を有している。
【0057】
ファン1Aは、図4に示すように、前ケース部20の筒状部22に嵌合凹部22cが形成される。嵌合凹部22cは、装着部材200の一対の突起200aの位置に合わせて設けられ、突起200aが嵌合する。
【0058】
ファン1Aに装着部材200を取り付けるには、装着部材200の長軸方向に対向する部位を両側から押圧する。装着部材200の長軸方向に対向する部位を両側から押圧すると、装着部材200の短軸方向の部位が外側に膨らみ、装着部材200を略円形状に変形させることができる。このとき、装着部材200の一対の突起200aの間隔が、前ケース部20の筒状部22の外径より若干広くなる。これにより、前ケース部20の筒状部22に、装着部材200を入れることができる。
【0059】
そして、装着部材200の突起200aと、筒状部22の嵌合凹部22cの位置を合わせ、押圧する力を解除すると、装着部材200は元の形状に戻り、筒状部22の嵌合凹部22cに装着部材200の突起200aが嵌合する。
【0060】
装着部材200は、前ケース部20の筒状部22の外周面を覆うように取り付けられることで、装着部材200の端面とフランジ部23の裏面が対向する。ファン1Aは、筒状部22が図1図2に示すファン取付孔19を挿通するようにして、ウェア本体11に取り付けられることで、ファン取付孔19の周縁部が、装着部材200の端面とフランジ部23の裏面との間に挟持される。
【0061】
<前ケース部と後ケース部の着脱動作の一例>
図9A図9B及び図9Cは、後ケース部を前ケース部から取り外す動作の一例を示す要部側断面図、図10A図10B図10C図10D及び図10Eは、後ケース部を前ケース部に取り付ける動作の一例を示す要部側断面図である。
【0062】
前ケース部20から後ケース部21を取り外すには、図9Aに示すように、前ケース部20に対して後ケース部21を矢印C2で示す反時計回りに回転させる力を加える。
【0063】
前ケース部20の係合片部3の係合部31と、後ケース部21の被係合部4は、それぞれの凸部31a及び凹部31bと、凹部40a及び凸部40bが、前ケース部20に対する後ケース部21の回転方向に対して傾斜した誘導面31cと誘導面40cで接する。
【0064】
これにより、前ケース部20に対して後ケース部21を矢印C2で示す反時計回りに回転させる力を加えると、後ケース部21の被係合部4が、前ケース部20の係合片部3の係合部31を、筒状部の22の軸方向に押す力が生じる。
【0065】
したがって、係合片部3は、図9Bに示すように、係合部31が被係合部4から退避する方向に舌状片部30が撓み、係合片部3の係合部31と被係合部4の係合が外れる。よって、前ケース部20に対して後ケース部21を矢印C2で示す反時計回りに回転させることができる。
【0066】
前ケース部20に対して後ケース部21を矢印C2で示す反時計回りにさらに回転させると、図9Cに示すように、後ケース部21の被係止部6が前ケース部20の係止部5から外れる。これにより、後ケース部21を前ケース部20から取り外すことができる。
【0067】
前ケース部20に後ケース部21を取り付けるには、図10Aに示すように、後ケース部21の係止部作動空間21dに、前ケース部20の係止部5を入れ、前ケース部20に対して後ケース部21を矢印C1で示す時計回りに回転させる。
【0068】
前ケース部20に対して後ケース部21を矢印C1で示す時計回りに回転させると、図10Bに示すように、後ケース部21の被係止部6が、前ケース部20の係止部5と係合片部3との間の開口部50に入り、被係止部6の誘導部60が係止部5に接する。被係止部6と係止部5は、誘導部60の斜面で接するので、前ケース部20に対して後ケース部21を矢印C1で示す時計回りに回転させると、後ケース部21の被係止部6及び被係合部4が、前ケース部20の係合片部3の係合部31を、筒状部の22の軸方向に押す力が生じる。
【0069】
したがって、係合片部3は、図10Cに示すように、係合部31が被係合部4から退避する方向に舌状片部30が撓み、前ケース部20に対して後ケース部21を矢印C1で示す時計回りに回転させることができる。前ケース部20に対して後ケース部21を矢印C1で示す時計回りにさらに回転させると、被係止部6と係止部5が誘導部60の斜面で接することで、後ケース部21が前ケース部20に近づく方向に移動して、図10Dに示すように、前ケース部20の係止部5とフランジ部23との間に、後ケース部21の被係止部6が入る。
【0070】
前ケース部20の係止部5とフランジ部23との間に、後ケース部21の被係止部6が入った状態で、前ケース部20に対して後ケース部21を矢印C1で示す時計回りにさらに回転させると、前ケース部20の係合片部3の係合部31の凸部31aと、後ケース部21の被係合部4の凹部40aの位置が合い、前ケース部20の係合片部3の係合部31の凹部31bと、後ケース部21の被係合部4の凸部40bの位置が合う。
【0071】
これにより、係合片部3は、係合部31が被係合部4に近づく方向に舌状片部30が弾性で復元し、図10Eに示すように、係合部31の凸部31aと被係合部4の凹部40aが嵌り、係合部31の凹部31bと被係合部4の凸部40bが嵌って、係合片部3の係合部31と被係合部4が係合する。
【0072】
したがって、フランジ部23の周方向に沿った前ケース部20と後ケース部21との相対的な移動(回転)が規制された状態で、前ケース部20と後ケース部21が取り付けられる。また、前ケース部20の係止部5とフランジ部23との間に、後ケース部21の被係止部6が入ることで、係止部5に被係止部6が係止され、軸方向に沿った前ケース部20と後ケース部21との相対的な移動が規制された状態で、前ケース部20と後ケース部21が取り付けられる。
【0073】
係合片部3は、舌状片部30がフランジ部23の周方向に延伸する。これにより、フランジ部23の周方向に沿った前ケース部20と後ケース部21との相対的な移動(回転)で、舌状片部30を弾性変形しやすくできる。但し、前ケース部20の係合部31と、後ケース部21の被係合部4との係合が不用意に外れることを抑制する必要がある。
【0074】
そこで、係合片部3は、前ケース部20をフランジ部23の側から見たときに、舌状片部30が固定端32から矢印C1で示す時計回りに延伸する。舌状片部30は、フランジ部23の周方向に沿った前ケース部20と後ケース部21との相対的な移動(回転)で、係合片部3の係合部31と被係合部4が係合する方向の下流側が遊端34側となる。そして、舌状片部30の延伸方向の端部である遊端34に係合部31が設けられる。
【0075】
これにより、前ケース部20に後ケース部21を取り付けるため、前ケース部20に対して後ケース部21を矢印C1で示す時計回りに回転させる場合の方が、前ケース部20から後ケース部21を取り外すため、前ケース部20に対して後ケース部21を矢印C2で示す反時計回りに回転させる場合より、舌状片部30を弾性変形しやすくできる。
【0076】
したがって、前ケース部20の係合部31と、後ケース部21の被係合部4との係合が不用意に外れることを抑制しつつ、後ケース部21を前ケース部20から取り外して、容易にファン1Aの内部清掃を行うことができる。
【0077】
また、ファン1Aをウェア本体11に取り付けた状態では、ファン取付孔19の周縁部が、装着部材200の端面とフランジ部23の裏面との間に挟持され、フランジ部23の裏面に露出した係合片部3の舌状片部30がファン取付孔19の周縁部に接する。これにより、ファン1Aをウェア本体11に取り付けた状態で、前ケース部20から後ケース部21を取り外すため、前ケース部20に対して後ケース部21を反時計回りに回転させようとした場合、係合片部3の舌状片部30が撓むことが、ファン取付孔19の周縁部により抑制される。
【0078】
したがって、ファン1Aをウェア本体11に取り付けた状態で、前ケース部20から後ケース部21を取り外すことが抑制され、ファン1Aに電源の供給が可能な状態で、前ケース部20から後ケース部21が取り外されることを抑制できる。
【0079】
なお、本例では、係合片部3と係止部5は、前ケース部20のフランジ部23の周方向に沿った4か所に設けられ、被係合部4と被係止部6は、後ケース部21の周縁部21bの周方向に沿った4か所に設けられる構成としたが、これらの数はこれに限らない。また、対となっている複数の係合片部3と係止部5のうち、1か所または2か所程度は、係合片部3を設けずに係止部5のみを設け、対応する被係合部4と被係止部6の対についても、被係合部4を設けずに被係止部6のみを設ける構成としても良い。
【符号の説明】
【0080】
1A・・・ファン、2・・・ケース本体、20・・・前ケース部、21・・・後ケース部、21a・・・通気口、21b・・・周縁部、21c・・・裏面、21d・・・係止部作動空間、22・・・筒状部、22a・・・通気口、22b・・・モータケース、22c・・・嵌合凹部、23・・・フランジ部、23a・・・端面、3・・・係合片部(係合手段)、30・・・舌状片部、31・・・係合部、31a・・・凸部、31b・・・凹部、31c・・・誘導面、32・・・固定端、33・・・スリット、34・・・遊端、4・・・被係合部(被係合手段)、40a・・・凹部、40b・・・凸部、40c・・・誘導面、5・・・係止部(係止手段)、6・・・被係止部(被係止手段)、60・・・誘導部、10・・・ファン付きウェア、11・・・ウェア本体、200・・・装着部材、200a・・・突起

図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E