(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024256
(43)【公開日】2024-02-22
(54)【発明の名称】冷蔵庫および在庫管理方法
(51)【国際特許分類】
F25D 23/00 20060101AFI20240215BHJP
【FI】
F25D23/00 301K
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022126959
(22)【出願日】2022-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】丹野 洋平
(72)【発明者】
【氏名】森田 賢治
【テーマコード(参考)】
3L345
【Fターム(参考)】
3L345AA02
3L345AA21
3L345EE03
3L345EE32
3L345EE53
3L345HH13
3L345HH23
3L345JJ05
3L345JJ14
3L345JJ22
3L345JJ23
3L345KK01
3L345KK02
3L345KK03
3L345KK04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、重量センサを用いて、保管されている複数種類の物品を管理する技術を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の冷蔵庫は3つ以上の重量センサ14a,14b,14cと、3つ以上の重量センサ14a,14b,14cで検知される重量に基づいて、棚12に載置された物品の変化による総重量変化WBを演算する重量変化演算部と、総重量変化WBに基づいて、変化した物品205bの種類を推定する物品種類推定部と、棚12に載置された物品の変化によるモーメント変化に基づいて、変化した物品205bの位置を演算する物品位置演算部と、を備える。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置面に載置された物品の重量を検知する重量センサを備え、物品の在庫管理を行う機能を備えた冷蔵庫であって、
前記重量センサとしての3つ以上の重量センサと、
前記3つ以上の重量センサで検知される重量に基づいて、前記載置面に載置された物品の変化による総重量変化を演算する重量変化演算部と、
前記総重量変化に基づいて、変化した物品の種類を推定する物品種類推定部と、
前記載置面に載置された物品の変化によるモーメント変化に基づいて変化した物品の位置を演算する物品位置演算部と、
を備えた冷蔵庫。
【請求項2】
請求項1に記載の冷蔵庫であって、
前記載置面に載置される第1物品の1つあたりの重量および位置を登録する第1物品登録部と、
前記載置面に載置される第2物品の1つあたりの重量および位置を登録する第2物品登録部と、
第1物品が載置された位置と第2物品が載置された位置とを照合する物品位置照合部と、
第1物品が載置された位置と第2物品が載置された位置との距離が所定の値よりも小さい場合に、ユーザに報知する処理を行う報知処理部と、
前記距離が所定の値よりも大きい場合に、前記第2物品登録部により前記第2物品の1つあたりの重量および位置を登録して物品在庫情報を定義する在庫情報作成部と、
を備えた冷蔵庫。
【請求項3】
請求項2に記載の冷蔵庫であって、
前記物品在庫情報は、物品の名称、物品1つあたりの重量、物品の個数、および物品の載置位置の各情報を含み、
物品の名称および物品の個数の各情報は、タッチディスプレイまたはマイクでユーザがタッチ入力または音声入力するか、あるいは、カメラで画像認識または文字認識することにより作成される冷蔵庫。
【請求項4】
請求項1に記載の冷蔵庫であって、
前記重量変化演算部の情報に基づいて、物品の重量が長期的に変化していない場合に、ユーザに報知する冷蔵庫。
【請求項5】
請求項1に記載の冷蔵庫であって、
前記3つ以上の重量センサは、物品を含む前記載置面の全重量の重心が、前記3つ以上の重量センサで囲まれる領域の中に位置するように、配置されている冷蔵庫。
【請求項6】
請求項1に記載の冷蔵庫であって、
前記載置面に載置された物品の情報を撮影するカメラを備え、
前記載置面は、載置された物品を前記カメラで撮影可能な第1載置面と、前記カメラとの間に障害物が介在する可能性のある第2載置面と、を有し、
前記3つ以上の重量センサは、前記第2載置面を支持するように配置される冷蔵庫。
【請求項7】
請求項1に記載の冷蔵庫であって、
前記載置面は、第1物品を載置する第1領域と、第2物品を載置する第2領域と、が設定され、前記第1領域と前記第2領域とを区分けする凸部を有する冷蔵庫。
【請求項8】
載置面に載置された物品の重量を重量センサで検知して物品の在庫管理を行う在庫管理方法であって、
3つ以上の重量センサで検知される重量に基づいて載置面上の物品の変化による総重量変化を演算する手順と、
前記総重量変化に基づいて変化した物品の種類を推定する手順と、
載置面上の物品の変化によるモーメント変化に基づいて変化した物品の位置を演算する手順と、
を含む在庫管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保管されている物品の在庫を検知、管理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭用冷蔵庫において、庫内あるいは庫外に設置したセンサの情報に基づいて、庫内の物品の在庫管理をサポートする技術が、特許文献1に提案されている。特許文献1の要約には、「重量センサ12を搭載したトレー11と、重量センサ12からの出力信号により収納されている物品の総重量を検知する重量検知手段13と、検知された総重量を物品一個あたりの重量で割り、個数を算出する演算手段14と、収納されている物品の在庫個数を記憶するメモリ15で装置全体を構成した」冷蔵庫が記載されている。なお、この説明における符号は特許文献1に記載されたものであり、本明細書及び図面で使用する符号とは異なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
冷蔵庫内に保管されている食品類の在庫を管理するためには、複数種類の食品を検知、分別する必要がある。特許文献1の冷蔵庫は、重量センサによって、食品の総重量を検知し、食品一個あたりの重量と個数を算出することで、収納されている食品の在庫個数を管理している。すなわち特許文献1の冷蔵庫は、基本的には一種類の食品の在庫を管理するものであり、一個あたりの重量が異なる複数種類の食品を管理することについては配慮されていない。
【0005】
本発明は、重量センサを用いて、保管されている複数種類の物品を管理する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の冷蔵庫は、
載置面に載置された物品の重量を検知する重量センサを備え、物品の在庫管理を行う機能を備えた冷蔵庫であって、
前記重量センサとしての3つ以上の重量センサと、
前記3つ以上の重量センサで検知される重量に基づいて、前記載置面に載置された物品の変化による総重量変化を演算する重量変化演算部と、
前記総重量変化基づいて、変化した物品の種類を推定する物品種類推定部と、
前記載置面に載置された物品の変化によるモーメント変化に基づいて変化した物品の位置を演算する物品位置演算部と、
を備える。
また、上記目的を達成するために、本発明の在庫管理方法は、
載置面に載置された物品の重量を重量センサで検知して物品の在庫管理を行う在庫管理方法であって、
3つ以上の重量センサで検知される重量に基づいて載置面上の物品の変化による総重量変化を演算する手順と、
前記総重量変化基づいて変化した物品の種類を推定する手順と、
載置面上の物品の変化によるモーメント変化に基づいて変化した物品の位置を演算する手順と、
を含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、重量センサを用いて、簡便な構成または方法で、保管されている複数種類の物品を簡便に低コストで管理することができる。
【0008】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】本発明の一実施例(実施例1)に係る冷蔵庫の外観を示す正面図である。
【
図1B】実施例1に係る冷蔵庫を、扉を取り除いて右斜め前方から見た外観斜視図であり、本発明に係る構成の概略を示す図である。
【
図2A】実施例1に係る冷蔵庫の棚の一構成例を示す概略図であり、棚及びその支持部をZ軸方向前面側から見た平面図である。
【
図2B】
図2Aの棚及びその支持部をY軸方向上側から見た平面図である。
【
図3A】実施例1に係る冷蔵庫の在庫管理システムの構成の概略を示す概略構成図である。
【
図3B】実施例1に係る冷蔵庫の食品重量・位置情報の登録手順を示すフローチャートである。
【
図4】実施例1に係る冷蔵庫に登録された食品重量・位置情報の一例を示す図である。
【
図5】実施例1に係る冷蔵庫の食品在庫の推定手順を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の一実施例(実施例2)に係る棚の構成例を示す概略図である。
【
図7】本発明の一実施例(実施例3)に係る棚の構成例を示す概略図である。
【
図8】本発明の一実施例(実施例4)に係る棚の構成例を示す概略図である。
【
図9】本発明の一実施例(実施例5)に係る棚の構成例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る実施例について、図面を用いて説明する。
【0011】
[実施例1]
実施例1に係る冷蔵庫1について、
図1A乃至
図5を参照しつつ具体的に説明する。
【0012】
図1Aは、本発明の一実施例(実施例1)に係る冷蔵庫1の外観を示す正面図である。なお、
図1Aでは冷蔵庫1の基本構造を示している。上下方向及び左右方向は、
図1に図示したように定義される。上下方向は鉛直方向である。左右方向は水平方向で、且つ冷蔵庫1の前面に平行な方向である。左側は前面側から冷蔵庫1を見て左側、右側は前面側から冷蔵庫1を見て右側である。左右方向は冷蔵庫1の幅方向に一致し、左右方向及び上下方向に垂直な方向を奥行き方向と定義する。
【0013】
本実施例に係る冷蔵庫1は、上方から冷蔵室2、左右に並設された製氷室3と上段冷凍室4、下段冷凍室5、野菜室6の順番で貯蔵室を有している。冷蔵庫1は、それぞれの貯蔵室の開口を開閉するドアを備えている。これらのドアは、冷蔵室2の開口を開閉する、左右に分割された回転式の冷蔵室ドア2a,2bと、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5、及び野菜室6の開口をそれぞれ開閉する引き出し式の製氷室ドア3a、上段冷凍室ドア4a、下段冷凍室ドア5a、及び野菜室ドア6aと、で構成される。なお、本実施例では、5つの貯蔵室と6つのドアとを有する冷蔵庫を例に挙げて説明するが、5つの貯蔵室と6つのドアの冷蔵庫に限定されるものではない。引出式のドアにはそれぞれ、収納容器と、前後に延在するドア側レールとが設けられている。引出式のドア及び収納容器は、ドア側レールによって、冷蔵庫1の内箱8側に設けられたレールに摺動可能に配設される。
【0014】
冷蔵室2は、庫内を冷蔵温度帯の例えば平均的に4℃程度にした冷蔵貯蔵室である。製氷室3、上段冷凍室4および下段冷凍室5は、庫内を冷凍温度帯の例えば平均的に-18℃程度にした冷凍貯蔵室である。野菜室6は、庫内を冷蔵温度帯の例えば平均的に6℃程度にした冷蔵貯蔵室で、間接的な冷却により、食品の乾燥を抑えた冷蔵貯蔵室である。
【0015】
冷蔵室2の両側面には棚受13a,13b(
図1B参照)が設けられる。棚受13a,13bは、冷蔵庫1の前端から離間したところに前端が位置するように配設される。棚受13a,13bには、食品を載置可能な棚12a,12b(
図1B参照)が載置され、本実施例では複数の棚12a,12bが上下に並んで設けられている。
【0016】
冷蔵室2と、製氷室3および上段冷凍室4とは、略水平な面として配された断熱仕切部10によって隔てられている。また、下段冷凍室5と野菜室6とは、略水平な面として配された断熱仕切部11によって隔てられている。これらの断熱仕切部10,11は、異なる温度帯の貯蔵室を区画する部分に設けられ、冷凍温度帯室の冷気によって冷蔵温度帯室内が冷え過ぎないようにする役割を果たす。
【0017】
下段冷凍室5の後側には、各貯蔵室内を冷却する冷却器(図示せず)が配置されている。図示は省略するが、冷却器は、圧縮機、凝縮器及びキャプラリーチューブと共に冷凍サイクルを構成する。そして、冷却器の上方には、冷却器にて冷却された冷気を循環させるための送風機(図示せず)が配置され、送風機の下流には貯蔵室内に冷気を吐出する吐出口が形成されている。なお、冷却器は複数あっても良く、配置は下段冷凍室5の後側に限定されるものではなく、冷蔵室2の後側に配置されてもよい。
【0018】
図1Bは、実施例1に係る冷蔵庫1を、ドアを取り除いて右斜め前方から見た外観斜視図であり、本発明に係る構成の概略を示す図である。
図1Bでは、棚12a,12bが設けられる冷蔵室2のみを図示しており、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5、及び野菜室6の図示を省略している。なお、本発明は冷蔵室2の棚12a,12bに限定される訳ではなく、製氷室、冷凍室及び野菜室に棚12a,12bと同様な棚が設けられる場合には、本発明を製氷室、冷凍室及び野菜室の棚に適用することができる。
【0019】
本実施例の冷蔵庫1に収納される物品は食品に限定されないが、以下の説明では、本実施例の冷蔵庫1に収納される物品を食品と呼んで説明する。
【0020】
図1Bにおいて、X軸、Y軸及びZ軸からなる直交座標系を定義する。
図1Bにおいては、
図1Aにおいて定義した、冷蔵庫1の幅方向(左右方向)をX軸方向、高さ方向(上下方向)をY軸方向、奥行き方向をZ軸方向と定義している。
【0021】
冷蔵庫1は、外箱7、内箱8、天板9103、及び脚部15と、内箱8内で食品が設置される棚12a,12bと、内箱8の内面に凸上に形成され、棚12a,12bを支持する棚受13a,13bとを含んで構成されている。なお、
図1Bでは、前面側に設けられるドア(開閉扉)や、内部に設置される、冷凍サイクルを含む冷却機器類などの図示を省略している。
【0022】
図2Aは、実施例1に係る冷蔵庫1の棚12a,12bの一構成例を示す概略図であり、棚12a,12b及びその支持部をZ軸方向前面側から見た平面図である。
図2Bは、
図2Aの棚12a,12b及びその支持部をY軸方向上側から見た平面図である。
【0023】
棚12a,12b(
図1B参照)は、食品が載置される載置面を構成する。棚12aと棚12bとは同様な構成であるため、棚12aと棚12bとを区別することなく、以下、「棚12」として説明する。
【0024】
棚12の支持部は、重量センサ14a,14b,14c及び棚受13a,13b,13cにより構成される。すなわち1つの棚12の支持部は、重量センサ14a及び棚受13aにより構成される支持部(第1支持部)と、重量センサ14b及び棚受13bにより構成される支持部(第2支持部)と、重量センサ14c及び棚受13cにより構成される支持部(第3支持部)と、からなる3つの支持部で構成される。第1支持部13a,14aは棚12の左端に配置される。第2支持部13b,14bは棚12の右端に配置される。第3支持部13c,14cは棚12の後端に配置される。
【0025】
棚12は重量センサ14a,14b,14cを介して棚受13a,13b,13cに支持されており、棚12はその全重量が重量センサ14a,14b,14cに掛かるように配置される。この場合、棚12の上に載置された食品の重量も重量センサ14a,14b,14cに掛かる。
【0026】
棚12の左右の底面には、重量センサ14a,14b,14cが接続されており、重量センサ14a,14b,14cは棚受13a,13b,13cに支持されている。重量センサ14a,14b,14cは、棚12の平面を支持するために最少3個あればよく、その3個をつないだ三角形の中に、食品含む棚12の全重量の重心位置が入っていれば、3個のセンサ位置は任意である。或いは、重量センサ14a,14b,14cは、食品含む棚12の全重量の重心位置が重量センサ14a,14b,14cを頂点とする多角形の内側に入るように配置される。
【0027】
すなわち、本実施例の冷蔵庫1では、3つ以上の重量センサ14a,14b,14cは、物品を含む棚(載置面)12の全重量の重心が、3つ以上の重量センサ14a,14b,14cで囲まれる領域の中に位置するように、配置されている。
【0028】
3個の重量センサ14a,14b,14cで左右方向(X軸方向)のモーメント変化と、奥行方向(Z軸方向)のモーメント変化とを演算することができ、食品在庫が変化したXZ平面上の位置を推定することができる。棚12を支持する箇所に重量センサ14a,14b,14cを3個設置するのみの簡便な構成であり、コスト低減に寄与することができる。
【0029】
本実施例では、棚12の領域Sa(重量センサ14aからの距離が0からLcまでの範囲)には食品[A]204a,205aが設置され、領域Sb(重量センサ14aからの距離がLcからLまでの範囲)には食品[B]204b,205b,206bが設置されている場合の在庫管理方法について、以下で説明する。なお本実施例では、棚12上に2つの領域Sa,Sbを設定する例について説明しているが、棚12上に設定される領域の数は2つに限定される訳ではない。
【0030】
図3Aは、実施例1に係る冷蔵庫1の在庫管理システム300の構成の概略を示す概略構成図である。
冷蔵庫1の在庫管理システム300は、制御装置310と、重量センサ14a,14b,14cと、タッチディスプレイ320と、無線送受信装置330と、カメラ340と、マイク350とを備える。制御装置310は、CPU(プロセッサ)311と、メモリ312とを備える。制御装置310には、冷蔵庫1の運転制御を行う制御装置を用いることができる。タッチディスプレイ320、無線送受信装置330およびマイク350は、制御装置310の設定を行う入力装置として用いることができる。また、タッチディスプレイ320および無線送受信装置330は、ユーザに情報を伝達する出力装置として用いることができる。制御装置310には図示しない入出力インターフェースが設けられ、重量センサ14a,14b,14c、タッチディスプレイ320、無線送受信装置330、カメラ340、およびマイク350は、入出力インターフェースを介して制御装置310に接続される。
【0031】
重量センサ14a,14b,14cは、棚12上に載置される食品[A]および食品[B](物品)に関する重量を検出し、制御装置310に伝達する。制御装置310のCPU301は、
図3Bのフローチャート等を実行し、在庫管理を行う。メモリ302は
図3Bのフローチャート等を実行するためのソフトウェアや各種データを記憶する。
【0032】
図3Aでは、1つの棚に設けられる重量センサ14a,14b,14cのみを図示している。1つの棚に対して設けられる重量センサが4つ以上の場合、重量センサの数は4つ以上になる。また、棚の数に応じて重量センサ14a,14b,14cが増設される。
【0033】
タッチディスプレイ320、無線送受信装置330、カメラ340、及びマイク350は、実装の有無について構成を変更することが可能である。在庫管理システム300の詳細については、
図3Bのフローチャートの説明の中で説明する。
【0034】
図3Bは、実施例1に係る冷蔵庫1の食品重量・位置情報の登録手順を示すフローチャートである。
在庫管理をする前準備として、ユーザは棚12上で管理する食品の重量および載置位置の情報を冷蔵庫1のCPU301に記憶させる。本実施例では、食品の重量および載置位置の情報はCPU301に記憶しているが、これらの情報はCPU311の外部に設けられたメモリ312に記憶してもよい。不揮発性のメモリ312をCPU311の外部に設け、このメモリ312に食品の重量および載置位置の情報を記憶することで、停電が発生した場合の情報の消失を防ぐことができる。以下では、食品の重量および載置位置の情報はCPU301に記憶されるものとして説明する。
【0035】
ユーザはまず、何も設置されていない状態の棚12の領域Saに食品[A]を1個載せる(手順S301)。CPU311は重量センサ14a,14bの出力値から、食品[A]1個の重量と、食品[A]が置かれている位置とを演算し、記憶する(手順S302)。具体的には、棚12に何も設置されていない状態の重量センサ14a,14b,14cの出力値をそれぞれFa,Fb,Fcとして、食品[A]を1個載せた後の出力値がそれぞれFa’,Fb’,Fc’に変化したとすると、食品[A]1個の重量WAは、棚上の総重量の変化から、(式1)で導出される。
WA=(Fa’-Fa)+(Fb’-Fb)+(Fc’-Fc) (式1)
すなわち本実施例では、3個の重量センサ14a,14b,14cの出力値の変化に基づいて、食品[A]1個の重量WAが検出される。
【0036】
また、食品[A]が置かれた位置Lxは、棚上のモーメントの変化から、重量センサ14b,14cの出力値Fb,Fb’,Fc,Fc’と、重量センサ14a,14b間の距離Lと、重量センサ14a,14c間の距離Lcと、食品[A]1個の重量WAを用いて、(式2)で導出される。
Lx={L・(Fb’-Fb)+Lc・(Fc’-Fc)}/WA (式2)
(式2)は、重量センサ14aが配置された棚12の左端を基準(0)として、棚12の左端からの距離を食品[A]が置かれた位置Lxとして算出する。棚12の右端を基準(0)として、重量センサ14aを用いて棚12の右端からの距離を食品[A]が置かれた位置Lxとして算出することも可能である。
【0037】
また(式2)では、左右方向(X軸方向)のモーメント変化からX軸方向における位置を算出しているが、同様にして奥行方向(Z軸方向)のモーメント変化から、食品[A]が置かれた奥行方向の位置を算出することができる。
【0038】
次に、ユーザが必要に応じて食品[A]の名前(例えば「卵」など)を入力する(手順S303)。入力方法としては、冷蔵庫1に備え付けられているタッチディスプレイ320やマイク350で、ユーザがタッチ入力や音声入力するか、冷蔵庫1に備え付けられているカメラ340を用いて自動で画像認識および/または文字認識するか、あるいは、ユーザが所有している通信端末から冷蔵庫1に無線送信するか、など任意である。食品[A]の名前をユーザの通信端末から冷蔵庫1に無線送信する場合に備えて、冷蔵庫1には無線送受信装置330が設けられている。入力された名前はCPU311に記憶される(手順S304)。
【0039】
ユーザが食品[A]を棚12から取り出し(手順S305)、棚12の領域Sbに食品[B]を1個載せる(手順S306)。CPU311は手順S301で食品[A]が置かれた位置と、手順S306で食品[B]が置かれた位置とを照合し(手順S307)、食品[A]の置かれた位置と食品[B]の置かれた位置とが近接している場合、エラー表示や音声などを出し、ユーザに報知する(手順S315)。近接している距離は数cmなど任意の値に設定することができる。すなわち、食品[A]が載置された位置と第2物品が載置された位置との距離が所定の値よりも小さい場合にユーザに報知する。これにより、食品ごとの近接を防止することで、異なる食品が同一の領域に置かれること防止する。
【0040】
食品[A]の置かれた位置と食品[B]の置かれた位置とが近接していなければ、次の手順に進む。CPU311は重量センサ14a,14b,14cの出力値から、食品[B]1個の重量と食品[B]が設置されている位置とを演算し、記憶する(手順S308)。ユーザが必要に応じて食品[B]の名前(例えば「ペットボトル」など)を入力し(手順S309)、その名前をCPU311が記憶する(手順S310)。ユーザが食品[B]を棚から取り出し(手順S311)、棚12には何も設置されていない状態になる。
【0041】
ユーザは管理する食品[A]および食品[B]を全て棚12に載置し(手順S312)、載置した食品[A]および食品[B]のそれぞれの個数を入力する(手順S313)。CPU311は食品[A]の個数と食品[B]の個数と総重量とを記憶する(手順S314)。総重量は、手順S314時点での重量センサ14a,14b,14cの出力値から演算してもよいし、手順S302や手順S308の各食品の1個あたりの重量に、手順S313の各個数を乗算して求めてもよい。
【0042】
上述した手順302は、
図3Aに示すように、棚(載置面)12に載置される食品[A](第1物品)の1つあたりの重量および位置を登録する第1物品登録部311dを、CPU(プロセッサ)311内に構成する。手順308は、棚(載置面)12に載置される食品[B](第2物品)の1つあたりの重量および位置を登録する第2物品登録部311eを、CPU311内に構成する。手順307は、食品[A]が載置された位置と食品[B]が載置された位置とを照合する物品位置照合部311fを、CPU311内に構成する。手順315は、食品[A]が載置された位置と第2物品が載置された位置との距離が所定の値よりも小さい場合に、ユーザに報知する処理を行う報知処理部311gを、CPU311内に構成する。また、CPU311内には、食品[A]が載置された位置と第2物品が載置された位置との距離が所定の値よりも大きい場合に、第2物品登録部により前記第2物品の1つあたりの重量および位置を登録して物品在庫情報を定義する在庫情報作成部hが構成される。
【0043】
すなわち本実施例の冷蔵庫1は、
棚(載置面)12に載置される食品[A](第1物品)の1つあたりの重量および位置を登録する第1物品登録部311dと、
棚12に載置される食品[B](第2物品)の1つあたりの重量および位置を登録する第2物品登録部311eと、
食品[A]が載置された位置と食品[B]が載置された位置とを照合する物品位置照合部311fと、
食品[A]が載置された位置と食品[B]が載置された位置との距離が所定の値よりも小さい場合に、ユーザに報知する処理を行う報知処理部311gと、
食品[A]が載置された位置と食品[B]が載置された位置との距離が所定の値よりも大きい場合に、第2物品登録部311eにより食品[B]の1つあたりの重量および位置を登録して物品在庫情報400(
図4参照)を定義する在庫情報作成部311hと、
を備える。
【0044】
また、本実施例の冷蔵庫は、
物品在庫情報400は、物品の名称401、物品1つあたりの重量402、物品の個数403、および物品の載置位置404の各情報を含み、
物品の名称401および物品の個数403の各情報は、タッチディスプレイ320またはマイク350でユーザがタッチ入力または音声入力するか、あるいは、カメラ340で画像認識または文字認識することにより作成される。
【0045】
本実施例では、食品[B]の重量を検知する際(手順S308)に、手順S305において食品[A]を棚12から取り出しているが、食品[A]を棚12に載置したまま、食品[B]の重量を手順S308において総重量の変化分として検知することも可能である。
【0046】
図4は、実施例1に係る冷蔵庫1に登録された食品重量・位置情報の一例を示す図である。
食品重量・位置情報(物品在庫情報)400は、食品名データ(物品の名称)401、1個あたりの重量データ(物品1つあたりの重量)402、個数データ(物品の個数)403、および位置データ(物品の載置位置)404の各列がテーブル情報としてCPU311に保存されている。これらの情報は、冷蔵庫1に備え付けられているタッチディスプレイ320に表示したり、ユーザが所有している通信端末に無線送信したりすることができ、庫内の食品の在庫状況をユーザが確認することができる。食品重量・位置情報400をユーザの通信端末に無線送信する場合に備えて、冷蔵庫1には無線送受信装置330が設けられている。
【0047】
庫内から食品が取り出されたり、追加されたりした場合は、重量センサ出力値の総重量変化やモーメント変化を演算し、食品の在庫情報を更新する。
【0048】
図5は、実施例1に係る冷蔵庫1の食品在庫の推定手順を示すフローチャートである。
冷蔵庫の扉が開けられるとCPU311が演算待機状態になる(手順S501)。ユーザが食品[B](ペットボトル)を棚から1個取り出す(手順S502)。CPU311が3個の重量センサ14a,14b,14cの出力値(重量)に基づいて棚上の食品の変化による総重量変化(-500g)を演算・記憶する(手順S503)。CPU311はこの情報と
図4の食品重量・位置情報の1個あたり重量データ402やその倍数値を照合し、取り出された食品がペットボトルであると推定する(手順S504)。CPU311が棚上のモーメント変化から、食品が取り出された位置を演算・記憶する(手順S505)。例えば、
図2Aの食品[B]205b(ペットボトル)が取り出された場合に、重量センサ14b,14cの出力値Fb,FcがFb’,Fc’に変化したとすると、取り出された位置Lbは、棚上の食品の変化によるモーメントの変化から、重量センサ14b,14cの出力値Fb,Fb’,Fc,Fc’と、重量センサ14a,14b間の距離Lと、重量センサ14a,14c間の距離Lcと、ペットボトルの重量WBを用いて、(式3)で導出される。
Lb={L・(Fb’-Fb)+Lc・(Fc’-Fc)}/WB (式3)
距離Lbは領域Sbの位置であり、CPU311はこの情報と
図4の食品重量・位置情報の位置404データとを照合し、取り出された食品がペットボトルであると推定する(手順S506)。
【0049】
すなわち本実施例の冷蔵庫1は、
棚(載置面)12に載置された物品の重量を検知する重量センサを備え、物品の在庫管理を行う機能を備えた冷蔵庫1であって、
前記重量センサとしての3つ以上の重量センサと、
前記3つ以上の重量センサ14a,14b,14cで検知される重量に基づいて、棚12に載置された物品の変化による総重量変化WBを演算する重量変化演算部311aと、
総重量変化WBに基づいて、変化した物品205bの種類を推定する物品種類推定部311bと、
棚12に載置された物品の変化によるモーメント変化に基づいて、変化した物品205bの位置を演算する物品位置演算部311cと、
を備える。
【0050】
また、本実施例の在庫管理方法は、
棚(載置面)12に載置された物品の重量を重量センサで検知して物品の在庫管理を行う在庫管理方法であって、
3つ以上の重量センサ14a,14b,14cで検知される重量に基づいて載置面12上の物品の変化による総重量変化WBを演算する手順(S503)と、
総重量変化WBに基づいて変化した物品205bの種類を推定する手順(S504)と、
棚12上の物品の変化によるモーメント変化に基づいて変化した物品205bの位置Lbを演算する手順(S505)と、
を含む。
【0051】
CPU311は、手順S504の推定結果と手順S506の推定結果とが合致しているかを確認し(手順S507)、合致していない場合はエラー表示を出し(手順S508)、合致している場合は取り出された食品がペットボトルであると断定し、記憶する(手順S509)。
【0052】
CPU311は、手順S503の総重量変化(-500g)を
図4の食品重量・位置情報の1個あたり重量データ402で除算することで、ペットボトルの増減数(-1本)を演算・記憶する(手順S510)。この情報と
図4の食品重量・位置情報の個数データ403とから、ペットボトルが取り出された後の在庫数(3本-1本=2本)を演算・記憶する(手順S511)。さらに、その在庫状況を冷蔵庫1に備え付けられているタッチディスプレイ320に表示したり、ユーザが所有している通信端末に無線送信したりする(手順S512)。
【0053】
以上の
図1から
図5で説明した実施例1が、本発明の基本的な部品構成や、食品情報登録手順および在庫推定手順である。本実施例により、棚上の食品の総重量とモーメントの変化を検知し、それを食品重量・位置情報と照合することで、どの食品がどれくらい棚から取り出されたか、あるいは、追加されたかを判定することができる。これにより、冷蔵庫1内の一つの棚12の上に複数の食品が置かれている場合においても、各食品の在庫管理が可能となる。また、カメラやバーコードリーダなどで食品を識別する手段を用いない構成とすることも可能であり、棚12を支持する箇所に重量センサ14a,14b,14cを設置するのみの簡便な構成とすることができ、コスト低減に寄与することができる。
【0054】
なお、重量センサ14a,14b,14cは棚12を支持するために棚12の底面に3個以上設置されており、その全ての重量センサ14a,14b,14cの出力値から総重量変化やモーメント変化を演算する。また、総重量を確実に検出できるように重量センサ14a,14b,14cのみで棚12の全重量を支持する。また、棚12と重量センサ14a,14b,14cとは接続されている。なお、重量センサ14a,14b,14cの数と棚受13a,13b,13cの数とは必ずしも同じでなくてもよい。例えば、3つの棚受13a,13b,13cのうちいずれか2つ又は全ての棚受を一体化して、1つの棚受として構成してもよい。
【0055】
また、領域Saや領域Sbの範囲は、予め冷蔵庫1のCPU311に定義されたものでもよいし、ユーザが任意に定義したものでもよく、3つ以上の領域を定義し、3種類以上の食品を管理することも可能である。食品情報登録時に、定義された領域の外に食品が置かれた場合は、ユーザに報知することもできる。また、消費期限リスクを考慮して、食品が庫内から長期的に取り出されていない場合に、ユーザに報知することもできる。
【0056】
すなわち本実施例の冷蔵庫1は、
重量変化演算部311aの情報に基づいて、物品の重量が長期的に変化していない場合に、ユーザに報知する。
【0057】
このために、
図3Bの登録手順に、食品が載置された日時を食品の位置と関連付けてCPU311に記憶する手順を設け、
図4の食品重量・位置情報(物品在庫情報)400に食品が載置された日時を登録するとよい。
【0058】
本発明は、冷蔵庫以外にも、在庫管理に関連する各種製品に適用することができる。
【0059】
[実施例2]
図6は、本発明の一実施例(実施例2)に係る棚12の構成例を示す概略図である。
図6は、棚部をY軸方向上側から投影した図(平面図)であり、実施例2に係る棚12の構成例を示している。既に説明した実施例1と同一の構成、機能を有する部分に関しては、実施例1と同じ符号を付し、説明を省略する。
【0060】
棚12の左右前後の底面には,4個の重量センサ14a,14b,14c,14dが接続されており、それらは4個の棚受13a,13b,13c,13dに支持されている。本実施例では、実施例1で棚12の後端に配置された重量センサ14c及び棚受13cにより構成される第3支持部を無くし、棚12の左端後部(左奥)に第3支持部を配置し、棚12の右端後部(右奥)に第4支持部を配置する。すなわち、重量センサ14c及び棚受13cにより構成される第3支持部が棚12の左端後部に配置され、重量センサ14d及び棚受13dにより構成される第4支持部が棚12の左端後部に配置される。
【0061】
一例として、棚12の左手前の領域Saには食品[A]604a,605aが載置され、右手前の領域Sbには食品[B]604b,605bが載置され、左奥の領域Scには食品[C]604c,605c,606cが載置され、右奥の領域Sdには食品[D]604d,605dが載置されている場合について説明する。
【0062】
本実施例では、計4個の重量センサ14a,14b,14c,14dで食品を管理する。食品が棚12から取り出されたり、棚12に追加されたりした際に、4個の重量センサ14a~14dで左右方向(X軸方向)のモーメント変化と、奥行方向(Z軸方向)のモーメント変化とを演算することで、食品在庫が変化したXZ平面上の位置を推定することができる。領域Sa,Sb,Sc,Sdの範囲は、予め冷蔵庫1のCPU311に定義されたものでもよいし,ユーザが任意に定義したものでもよい。なお、
図3Bで示した実施例1の食品重量・位置情報の登録手順は、本実施例でも同様であり、管理する食品の種類の数だけ登録処理を繰り返せばよい。
【0063】
[実施例3]
図7は、本発明の一実施例(実施例3)に係る棚の構成例を示す概略図である。
図7は、棚部をY軸方向上側から投影した図(平面図)であり、実施例3に係る棚12の構成例を示している。既に説明した実施例と同一の構成、機能を有する部分に関しては、既に説明した実施例と同じ符号を付し、説明を省略する。
【0064】
実施例1では2つの領域Sa,Sbを設定する例を説明したが、実施例1の構成においてさらに多くの領域を設定してもよい。本実施例では、4つの領域Sa,Sb,Sc,Sdを設定する例を示している。
【0065】
[実施例4]
図8は、本発明の一実施例(実施例4)に係る棚12-1,12-2の構成例を示す概略図である。
図8は、棚部をY軸方向上側から投影した図(平面図)であり、実施例4に係る棚12-1,12-2の構成例を示している。既に説明した実施例と同一の構成、機能を有する部分に関しては、既に説明した実施例と同じ符号を付し、説明を省略する。
【0066】
棚12は前方棚12-1と後方棚12-2とに分割されており、前方棚12-1は棚受13e,13fで支持され、後方棚12-2が重量センサ14a,14b,14cを介して、棚受13a,13b,13cで支持されている。すなわち本実施例では、実施例1に係る棚12が前方棚12-1と後方棚12-2とに分割され、後方棚12-2に対して実施例1の第1支持部13a,14a、第2支持部13b,14bおよび第3支持部13c,14cが適用されている。また、前方棚12-1の前側にはカメラ340が設置されている。
【0067】
例えば、重量センサとカメラとを使用して食品の在庫を管理する場合、本実施例のように、カメラ340で撮影可能な範囲の前方棚12-1には重量センサを設置せず、カメラ340での撮影が難しい後方棚12-2のみに重量センサ14a,14b,14cを設置する構成としてもよい。
【0068】
すなわち、本実施例の冷蔵庫1は、
棚(載置面)12に載置された食品(物品)の情報を撮影するカメラ340を備え、
棚12は、載置された食品をカメラ340で撮影可能な前方棚(第1載置面)12-1と、カメラ340との間に障害物が介在する可能性のある後方棚(第2載置面)12-2と、を有し、
3つ以上の重量センサ14a,14b,14cは、後方棚12-2を支持するように配置される。
【0069】
この場合、重量センサ14a,14b,14cで区別し難い食品を前方棚12-1の領域Saと領域Sbとに分けて配置することで、管理する食品の種類を増やすことができる。また、後方棚12-2に収納する食品は重量センサ14a,14b,14cで管理するため、前方のカメラ340で写し難い範囲の食品を管理するためにカメラ台数を増やす必要がない。
【0070】
後方棚12-2を重量センサ14a,14b,14cを介することなく13a,13bで支持し、後方棚12-2の後側にカメラ340を配置してもよい。この場合、前方棚12-1は、例えば、実施例2(
図6)の重量センサ14a及び棚受13aにより構成される第1支持部、重量センサ14b及び棚受13bにより構成される第2支持部、重量センサ14c及び棚受13cにより構成される第3支持部、および重量センサ14d及び棚受13dにより構成される第4支持部で支持するようにするとよい。もちろん、前方棚12-1を3店で支持できれば、この支持構成に限定される訳ではない。
【0071】
重量センサ14a,14b,14cとカメラ340とを併用し、重量センサ14a,14b,14cとカメラ340とで重複する領域の在庫管理を行うことも可能である。食品の重量と画像の双方を分析したり、ダブルチェックしたりすることで、食品検知精度を向上することができる。
【0072】
なお,本実施例のように、重量センサ14a,14b,14cとカメラ340とで同一平面上の棚を分割して管理する構成ではなく、異なる段の棚ごとに重量センサ14a,14b,14cで食品を管理する領域と、カメラ340で食品を管理する領域とを分けてもよい。
【0073】
[実施例5]
図9は、本発明の一実施例(実施例5)に係る棚12の構成例を示す概略図である。
図9は、棚部をZ軸方向前面側から投影した図(平面図)であり、実施例5に係る棚12の構成例を示している。既に説明した実施例と同一の構成、機能を有する部分に関しては、既に説明した実施例と同じ符号を付し、説明を省略する。
【0074】
本実施例では、棚12、重量センサ14a,14b,14c、棚受13a,13b,13c、および領域Sa,Sbは、実施例1と同様に構成されている。
本実施例では、棚12の上面に凸部901が設けられている構成が、実施例1の構成と異なる。凸部901が設けられていることによって、食品[A]204a,205aが載置される領域Saと、食品[B]204b,205b,206bが載置される領域Sbとの境界をユーザが認識しやすくなる。すなわち凸部901は、領域Saと領域Sbとの識別する識別部を構成する。
【0075】
すなわち、本実施例の冷蔵庫1は、棚(載置面)12は、食品[A](第1物品)を載置する領域Sa(第1領域)と、食品[B](第2物品)を載置する領域Sb(第2領域)と、が設定され、領域Saと領域Sbとを区分けする凸部901を有する。
【0076】
これにより、例えば、ユーザが間違って食品[A]を領域Sbに設置してしまうことや、領域Saと領域Sbとの境界部分に食品が載置されることを抑制することができる。凸部901は複数設けられていてもよく、棚12の左右や前後に自由にスライドでき、スライド後の位置を検知して、食品設置領域を自動で更新・定義する構成としてもよい。また、凸部901のような突起形状ではなく、棚12の表面の食品載置領域の境界上に印が印刷・加工されている構成としてもよい。
【0077】
上述した本発明に係る実施例によれば、食品が載置される棚を支持する重量センサ14a,14b,14c,14dによって、食品の総重量と、左右前後の重量バランスを検知することで、棚面上の食品の重量の変化量と、変化した位置を検知することができる。この情報と、予め定義されている食品重量・位置情報とを照合することで、どの食品がどれくらい棚12から取り出されたか、あるいは、追加されたかを判定することができる。これにより、冷蔵庫1内の一つの棚12の上に複数の食品が置かれている場合においても、各食品の在庫管理が可能となる。また、基本的に、カメラやバーコードリーダなどで食品を識別する手段は不要で、棚12を支持する箇所に重量センサ14a,14b,14cを設置するのみの簡便な構成で、在庫管理システム300を構成することができる。これにより、本発明に係る実施例はコスト低減に寄与することができる。なお、重量センサは棚の全重量を支持するように設置し、最少で3個あればよい。本発明は、冷蔵庫以外にも、在庫管理に関連する各種製品に適用することができる。
【0078】
なお、本発明は上記した各実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0079】
1…冷蔵庫、12…棚(載置面)、12-1…前方棚(第1載置面)、12-2…後方棚(第2載置面)、14a,14b,14c…重量センサ、311a…重量変化演算部、311b…物品種類推定部、311c…物品位置演算部、311d…第1物品登録部、311e…第2物品登録部、311f…物品位置照合部、311g…報知処理部、311h…在庫情報作成部、320…タッチディスプレイ、340…カメラ、350…マイク、400…物品在庫情報、401…物品の名称、402…物品1つあたりの重量、403…物品の個数、404…物品の載置位置、901…領域Saと領域Sbとを区分けする凸部、Sa…食品[A](第1物品)を載置する領域(第1領域)、Sb…食品[B](第2物品)を載置する領域(第2領域)、S503…3つ以上の重量センサ14a,14b,14cで検知される重量に基づいて載置面12上の物品の変化による総重量変化WBを演算する手順、S504…総重量変化基づいて変化した物品205bの種類を推定する手順、S505…棚12上の物品の変化によるモーメント変化に基づいて変化した物品205bの位置Lbを演算する手順。