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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024271
(43)【公開日】2024-02-22
(54)【発明の名称】三次元積層造形装置
(51)【国際特許分類】
   B22F 12/13 20210101AFI20240215BHJP
   B22F 10/28 20210101ALI20240215BHJP
   B22F 12/90 20210101ALI20240215BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20240215BHJP
【FI】
B22F12/13
B22F10/28
B22F12/90
B33Y30/00
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022126993
(22)【出願日】2022-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】000004271
【氏名又は名称】日本電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】津田 貴
【テーマコード(参考)】
4K018
【Fターム(参考)】
4K018AA03
4K018AA06
4K018AA24
4K018BA02
4K018BA13
4K018BA20
4K018DA01
4K018DA32
(57)【要約】
【課題】電子ビームの照射によって造形プレート又は粉末層に投入される熱エネルギーを従来よりも有効に利用することができる三次元積層造形装置を提供する。
【解決手段】三次元積層造形装置は、金属粉末からなる粉末層を保持する造形プレートと、造形プレート又は粉末層に電子ビームを照射するビーム照射装置と、電子ビームの照射によって加熱された部分から放出される輻射熱をシールドする熱シールド部と、を備える。熱シールド部は、複数の熱シールド部材によって構成され、複数の熱シールド部材の各々は、電子ビームが通過するビーム通過領域の側方を囲む側壁を有するとともに、側壁がビーム通過領域の側方で互いに重なり合う状態に配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属粉末からなる粉末層を保持する造形プレートと、
前記造形プレート又は前記粉末層に電子ビームを照射するビーム照射装置と、
前記造形プレートと前記ビーム照射装置との間に配置され、前記電子ビームの照射によって加熱された部分から放出される輻射熱をシールドする熱シールド部と、
を備える三次元積層造形装置において、
前記熱シールド部は、複数の熱シールド部材によって構成され、
前記複数の熱シールド部材の各々は、前記電子ビームが通過するビーム通過領域の側方を囲む側壁を有するとともに、前記側壁が前記ビーム通過領域の側方で互いに重なり合う状態に配置されている
三次元積層造形装置。
【請求項2】
前記複数の熱シールド部材は、前記ビーム通過領域の側方で隣り合う前記側壁の間に空間を形成する状態で配置されている
請求項1に記載の三次元積層造形装置。
【請求項3】
前記複数の熱シールド部材の各々は、前記ビーム照射装置側と前記造形プレート側にそれぞれ開口部が形成されるとともに、前記ビーム照射装置側の開口部が前記造形プレート側の開口部よりも小さな開口寸法で形成されている
請求項1に記載の三次元積層造形装置。
【請求項4】
前記複数の熱シールド部材は、円錐形の熱シールド部材を含む
請求項1に記載の三次元積層造形装置。
【請求項5】
前記円錐形の熱シールド部材は、前記熱シールド部の最も内側に配置されている
請求項4に記載の三次元積層造形装置。
【請求項6】
前記造形プレートは、平面視円形に形成され、
前記円錐形の熱シールド部材は、前記ビーム照射装置が前記造形プレート又は前記粉末層に前記電子ビームを照射する際に、前記造形プレートの上面又は前記粉末層の造形面に接近した状態で配置される
請求項4に記載の三次元積層造形装置。
【請求項7】
前記複数の熱シールド部材は、角錐形の熱シールド部材と、円錐形の熱シールド部材と、を含む
請求項1に記載の三次元積層造形装置。
【請求項8】
前記円錐形の熱シールド部材は、前記角錐形の熱シールド部材の内側に、1つ又は複数配置されている
請求項7に記載の三次元積層造形装置。
【請求項9】
前記粉末層の造形面を撮影するためのカメラを備え、
前記角錐形の熱シールド部材は、前記造形プレートと対向する状態に配置された上壁を有し、前記上壁には、前記電子ビームを通過させるためのビーム通過用孔と、前記カメラの視野を確保するためのカメラ撮影用孔とが形成されている
請求項7に記載の三次元積層造形装置。
【請求項10】
前記複数の熱シールド部材のうち、少なくとも1つの熱シールド部材は、前記輻射熱をトラップして反射させるためのトラップ部を有する
請求項1に記載の三次元積層造形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元積層造形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、造形プレート上に層状に敷き詰められた粉末材料(粉末層)に電子ビームを照射して粉末材料を溶融及び凝固させるとともに、凝固させた層を造形プレートの移動により順に積み上げて三次元の造形物を形成する三次元積層造形装置が知られている。この種の三次元積層造形装置は、たとえば特許文献1に記載されている。特許文献1には、真空チャンバー内に設けられたシールド部材が、造形プレートの温度低下を抑制することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-33580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された三次元積層造形装置では、電子ビームの照射によって造形プレート又は粉末層に投入される熱エネルギーが必ずしも十分に有効利用されているとは言えなかった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、その目的は、電子ビームの照射によって造形プレート又は粉末層に投入される熱エネルギーを従来よりも有効に利用することができる三次元積層造形装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る三次元積層造形装置は、金属粉末からなる粉末層を保持する造形プレートと、造形プレート又は粉末層に電子ビームを照射するビーム照射装置と、造形プレートとビーム照射装置との間に配置され、電子ビームの照射によって加熱された部分から放出される輻射熱をシールドする熱シールド部と、を備える。熱シールド部は、複数の熱シールド部材によって構成され、複数の熱シールド部材の各々は、電子ビームが通過するビーム通過領域の側方を囲む側壁を有するとともに、側壁がビーム通過領域の側方で互いに重なり合う状態に配置されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電子ビームの照射によって造形プレート又は粉末層に投入される熱エネルギーを従来よりも有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態に係る三次元積層造形装置の構成を概略的に示す側面図である。
図2】角錐形の熱シールド部材の構成を示す斜視図である。
図3】円錐形の熱シールド部材を示す斜視図である。
図4】角錐形の熱シールド部材が熱膨張によって変形する原理を説明する図(その1)である。
図5】角錐形の熱シールド部材が熱膨張によって変形する原理を説明する図(その2)である。
図6】平面視円形の造形プレートと円錐形の熱シールド部材の配置状態を説明する図である。
図7】平面視円形の造形プレートと角錐形の熱シールド部材の配置状態を説明する図である。
図8】本発明の第2実施形態に係る三次元積層造形装置の構成を概略的に示す側面図である。
図9】第2実施形態における円錐形の熱シールド部材の配置状態を示す側断面図である。
図10】本発明の第3実施形態に係る三次元積層造形装置の構成を概略的に示す側面図である。
図11】本発明の第4実施形態に係る三次元積層造形装置の構成を概略的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。本明細書及び図面において、実質的に同一の機能又は構成を有する要素については、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0010】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る三次元積層造形装置の構成を概略的に示す側面図である。以降の説明では、三次元積層造形装置の各部の形状や位置関係などを明確にするために、図1の左右方向をX方向、図1の奥行き方向をY方向、図1の上下方向をZ方向とする。X方向、Y方向及びZ方向は、互いに直交する方向である。また、X方向及びY方向は水平方向に平行な方向であり、Z方向は鉛直方向に平行な方向である。
【0011】
図1に示すように、三次元積層造形装置10は、真空チャンバー12と、ビーム照射装置14と、粉末塗布装置16と、造形テーブル18と、造形ボックス20と、回収ボックス21と、造形プレート22と、インナーベース24と、プレート移動装置26と、熱シールド部28と、カメラ30と、を備えている。
【0012】
真空チャンバー12は、図示しない真空ポンプによってチャンバー内の空気を排気することにより、真空状態を作り出すためのチャンバーである。
【0013】
ビーム照射装置14は、造形プレート22又は粉末層32aに電子ビーム15を照射する装置である。粉末層32aは、造形プレート22上に金属粉末32によって形成される層である。金属粉末32としては、たとえば、銅などの低融点金属、Ti(チタン)-Al(アルミニウム)合金、鉄系などの高融点金属、低融点金属と高融点金属の中間帯に融点を有する64Tiなど金属が使用される。ビーム照射装置14は、図示はしないが、電子ビーム15の発生源となる電子銃と、電子銃が発生した電子ビームを集束させる集束レンズと、集束レンズで集束させた電子ビーム15を偏向する偏向レンズと、を有している。集束レンズは、たとえば集束コイルを用いて構成され、集束コイルが発生する磁界によって電子ビーム15を集束させる。偏向レンズは、たとえば偏向コイルを用いて構成され、偏向コイルが発生する磁界によって電子ビーム15を偏向する。
【0014】
粉末塗布装置16は、造形物38の原材料となる金属粉末32を塗布して造形プレート22上に粉末層32aを形成する装置である。粉末塗布装置16は、ホッパー16aと、粉末投下器16bと、スキージ16cとを有している。ホッパー16aは、金属粉末32を貯蔵するための容器である。粉末投下器16bは、ホッパー16aに貯蔵されている金属粉末32を造形テーブル18上に投下する機器である。スキージ16cは、Y方向に長い長尺状の部材であり、粉末敷き詰め用のブレード16dを有している。スキージ16cは、粉末投下器16bによって投下された金属粉末32を造形テーブル18上に敷き詰める。スキージ16cは、造形テーブル18の全面に金属粉末32を敷き詰めるために、X方向に移動可能に設けられている。
【0015】
造形テーブル18は、真空チャンバー12の内部に水平に配置されている。造形テーブル18の中央部は開口している。造形テーブル18の開口形状は、平面視円形又は平面視角形(たとえば、平面視四角形)である。本実施形態においては、好ましい例として、造形テーブル18の開口形状が平面視円形となっている。
【0016】
造形ボックス20は、造形用の空間を形成するボックスである。造形ボックス20の上端部は、造形テーブル18の開口縁に接続されている。造形ボックス20の下端部は、真空チャンバー12の底壁に接続されている。
【0017】
回収ボックス21は、粉末塗布装置16によって造形テーブル18上に供給された金属粉末32のうち、必要以上に供給された金属粉末32を回収するボックスである。
【0018】
造形プレート22は、金属粉末32からなる粉末層32aを保持するプレートである。造形物38は、造形プレート22上に積層して形成される。造形プレート22は、造形テーブル18の開口形状に合わせて平面視円形又は平面視角形(たとえば、平面視四角形)に形成される。本実施形態においては、好ましい例として、造形プレート22が平面視円形に形成されている。造形プレート22は、電気的に浮いた状態とならないように、アース線34によってインナーベース24に接続(接地)されている。インナーベース24は、GND(グランド)電位に保持されている。造形プレート22及びインナーベース24の上には、金属粉末32が敷き詰められる。
【0019】
インナーベース24は、上下方向(Z方向)に移動可能に設けられている。造形プレート22は、インナーベース24と一体に上下方向に移動する。インナーベース24は、造形プレート22よりも大きな外形寸法を有する。インナーベース24は、造形ボックス20の内側面に沿って上下方向に摺動する。インナーベース24の外周部にはシール部材36が取り付けられている。シール部材36は、インナーベース24の外周部と造形ボックス20の内側面との間で、摺動性及び密閉性を保持する部材である。シール部材36は、耐熱性及び弾力性を有する材料によって構成される。
【0020】
プレート移動装置26は、造形プレート22及びインナーベース24を上下方向に移動させる装置である。プレート移動装置26は、シャフト26aと、駆動機構部26bとを備えている。シャフト26aは、インナーベース24の下面に接続されている。駆動機構部26bは、図示しないモータと動力伝達機構とを備え、モータを駆動源として動力伝達機構を駆動することにより、造形プレート22及びインナーベース24をシャフト26aと一体に上下方向に移動させる。動力伝達機構は、たとえば、ラックアンドピニオン機構、ボールネジ機構などによって構成される。
【0021】
熱シールド部28は、Z方向において、造形プレート22とビーム照射装置14との間に配置されている。熱シールド部28は、ビーム照射装置14によって造形プレート22又は粉末層32aに電子ビーム15を照射した際に、電子ビーム15の照射によって加熱された部分から放出される輻射熱をシールドすることにより、造形プレート22や粉末層32aの温度低下を抑制する部分である。熱シールド部28の構成については、後段で詳しく説明する。
【0022】
カメラ30は、粉末層32aの造形面32bを撮影可能なカメラである。カメラ30は、粉末層32aの造形面32bを斜めから撮影するために、Z方向に対して傾けた状態で配置されている。カメラ30は、真空チャンバー12に設けられた窓部(図示せず)を通して粉末層32aの造形面32bを撮影することにより、粉末層32aの画像(画像データ)を生成する。このため、カメラ30が生成する画像は、粉末層32aの造形面32bの状態を示す画像になる。
【0023】
ここで、熱シールド部28の構成について詳しく説明する。
図1に示すように、熱シールド部28は、角錐形の熱シールド部材41と、円錐形の熱シールド部材42とによって構成されている。熱シールド部材42は、熱シールド部材41の内側に配置されている。つまり、熱シールド部材42は、熱シールド部28において、最も内側に配置されている。熱シールド部材41は、側壁41a,41b(図2参照)及び上壁41cを有している。側壁41a,41bは、電子ビーム15が通過するビーム通過領域の側方を囲むように配置されている。上壁41cは、Z方向で造形プレート22と対向する状態に配置されている。
【0024】
熱シールド部材42は、側壁42aを有している。熱シールド部材42は、熱シールド部材41の側壁41a,41b及び上壁41cによって囲まれた空間内に配置されている。側壁42aは、電子ビーム15が通過するビーム通過領域の側方を囲むように配置されている。熱シールド部材41と熱シールド部材42は、ビーム通過領域の側方で隣り合う側壁41a,41b(図2参照)と側壁42aとの間に空間を形成する状態で配置されている。
【0025】
また、熱シールド部材41の側壁41a,41bと熱シールド部材42の側壁42aは、ビーム通過領域の側方で互いに重なり合う状態に配置されている。言い換えると、熱シールド部材42の側壁42aは、熱シールド部28を水平方向(たとえば、X方向)から見た場合に、熱シールド部材41の側壁41a,41bと重なり合う状態に配置されている。Z方向において側壁42aと側壁41a,41bとが重なり合う寸法Hzは、好ましくは熱シールド部材42の高さ寸法の半分以上であり、より好ましくは熱シールド部材42の高さ寸法の2/3以上であり、更に好ましくは図1のように熱シールド部材42の高さ寸法とほぼ同じである。熱シールド部材42の高さ寸法は、Z方向で規定される寸法である。
【0026】
本明細書において、角錐形とは、水平断面形状が多角形であり、かつ、側壁41a,41bによって囲まれる内部空間の水平断面積がビーム照射装置14側から造形プレート22側に向かって徐々に拡大する立体形状をいう。また、本明細書において、円錐形とは、水平断面形状が円形であり、かつ、側壁42aによって囲まれる内部空間の水平断面積がビーム照射装置14側から造形プレート22側に向かって徐々に拡大する立体形状をいう。
【0027】
図2は、角錐形の熱シールド部材を示す斜視図である。
図2に示すように、熱シールド部材41は、水平断面形状が四角形の角錐形、すなわち四角錐形に形成されている。熱シールド部材41は、合計4つの側壁41a,41bと、1つの上壁41cと、を有している。熱シールド部材41の底部には、四角形の開口部41dが形成されている。開口部41dは、熱シールド部材41の造形プレート22側に形成された開口部に相当する。側壁41a,41b及び上壁41cは、それぞれ金属(たとえば、ステンレス鋼など)の板によって構成されている。
【0028】
2つの側壁41aは、X方向で対向する状態に配置されている。一方の側壁41aは、熱シールド部材42の側壁42aと同じ方向に傾いた状態で配置され、他方の側壁41aは、熱シールド部材42の側壁42aと反対方向に傾いた状態で配置されている(図1参照)。2つの側壁41bは、Y方向で対向する状態に配置されている。各々の側壁41bは、熱シールド部材42の側壁42aと同じ方向に傾いた状態で配置されている。また、側壁41aは、X方向から見て台形に形成されている。側壁41aの上辺の長さは、側壁41aの下辺の長さよりも短い。側壁41bは、Y方向から見て平行四辺形に形成されている。
【0029】
上壁41cは、Z方向から見て長方形に形成されている。上壁41cには、ビーム通過用孔43と、カメラ撮影用孔44とが形成されている。ビーム通過用孔43とカメラ撮影用孔44は、X方向に位置をずらして形成されている。ビーム通過用孔43は、電子ビーム15を通過させるための孔である。ビーム通過用孔43は、熱シールド部材41のビーム照射装置14側に形成された開口部に相当する。ビーム通過用孔43は、開口部41dよりも小さな開口寸法で形成されている。また、ビーム通過用孔43は、Z方向から見て円形に形成されている。カメラ撮影用孔44は、カメラ30の視野を確保するための孔である。カメラ撮影用孔44は、Z方向から見て円形に形成されている。
【0030】
ビーム通過用孔43及びカメラ撮影用孔44を合わせた開口面積は、開口部41dの開口面積よりも狭い。つまり、熱シールド部材41の上部の開口面積は、熱シールド部材41の底部の開口面積よりも狭い。これにより、熱シールド部材41の内部空間に閉じ込めた熱の漏洩を抑制することができる。また、熱シールド部材41に上壁41cを設けた場合は、熱シールド部材41に上壁41cを設けない場合に比べて、熱の閉じ込め効果を高めることができる。
【0031】
図3は、円錐形の熱シールド部材を示す斜視図である。
図3に示すように、熱シールド部材42は、末広がりの側壁42aを有する。熱シールド部材42の上部には円形の開口部42bが形成され、熱シールド部材42の底部にも円形の開口部42cが形成されている。開口部42bは、熱シールド部材42のビーム照射装置14側に形成された開口部に相当し、開口部42cは、熱シールド部材42の造形プレート22側に形成された開口部に相当する。開口部42bは、開口部42cよりも小さな開口寸法で形成されている。また、開口部42cの直径は、造形プレート22の直径とほぼ同じか、造形プレート22の直径よりも少し大きく設定されている。側壁42aは、金属(たとえば、ステンレス鋼など)の板によって構成されている。側壁42aにはカメラ撮影用孔45が形成されている。カメラ撮影用孔45は、カメラ30の視野を確保するための孔である。
【0032】
続いて、本発明の第1実施形態に係る三次元積層造形装置10の動作について説明する。
まず、造形を開始する前の状態では、造形プレート22の上面を除いて、造形プレート22の三方が金属粉末32によって覆われた状態になる。また、造形プレート22の上面は、造形テーブル18上に敷き詰められた金属粉末32の上面とほぼ同じ高さに配置される。この状態で造形が開始される。
【0033】
まず、ビーム照射装置14は、造形プレート22に電子ビーム15を照射することにより、造形プレート22を予備加熱する。
【0034】
次に、プレート移動装置26は、造形テーブル18上に敷き詰められた金属粉末32の上面よりも造形プレート22の上面が僅かに下がった状態となるように、インナーベース24を所定量だけ下降させる。このとき、造形プレート22は、インナーベース24と共に所定量だけ下降する。ここで記載する所定量(以下、「ΔZ」とも記す)は、造形物38を1層ずつ積層して形成するときの1層分の厚さに相当する。
【0035】
次に、粉末塗布装置16は、金属粉末32を塗布して造形プレート22上に1層目の粉末層32aを形成する。具体的には、粉末塗布装置16は、ホッパー16aから粉末投下器16bに供給された金属粉末32を、粉末投下器16bによって造形テーブル18上に投下した後、スキージ16cをX方向に移動させることにより、造形プレート22上に金属粉末32を敷き詰める。このとき、金属粉末32は、ΔZ相当の厚さで造形プレート22上に敷き詰められる。これにより、造形プレート22上に粉末層32aが形成される。また、余分な金属粉末32は、回収ボックス21に回収される。
【0036】
次に、ビーム照射装置14は、造形プレート22上の粉末層32aに電子ビーム15を照射することにより、金属粉末32を仮焼結させる。これにより、1層目の粉末層32aを形成している金属粉末32が、仮焼結された状態になる。
【0037】
次に、ビーム照射装置14は、金属粉末32上の粉末層32aに電子ビーム15を照射することにより、金属粉末32を本焼結させる。具体的には、ビーム照射装置14は、目的とする造形物38の三次元CADデータを一定の厚み(ΔZに相当する厚み)にスライスした二次元データに基づいて造形領域を特定し、この造形領域を対象に電子ビーム15を走査することにより、造形プレート22上の金属粉末32を本焼結させる。これにより、1層目の造形物が形成される。
【0038】
次に、プレート移動装置26は、造形プレート22及びインナーベース24をΔZだけ下降させる。
【0039】
続いて、ビーム照射装置14は、造形プレート22上の粉末層32aに電子ビーム15を照射することにより、粉末層32aを予備加熱する。粉末層32aの予備加熱は、次の層の金属粉末32を敷き詰めるための準備として行われる。
【0040】
次に、粉末塗布装置16は、金属粉末32を塗布して造形プレート22上に2層目の粉末層32aを形成する。
【0041】
次に、ビーム照射装置14は、造形プレート22上の粉末層32aに電子ビーム15を照射することにより、金属粉末32を仮焼結させる。これにより、2層目の粉末層32aを形成している金属粉末32が、仮焼結された状態になる。
【0042】
金属粉末32を仮焼結させる主な理由は、次のとおりである。三次元積層造形装置においては、電子ビーム15の照射によって個々の金属粉末32が帯電し、粉末同士がクーロン斥力によって煙状に飛散する現象が発生することがある。こうした現象はスモークと呼ばれ、スモークが発生すると造形作業を続けることが難しくなる。このため、三次元積層造形装置では、金属粉末32を溶融及び凝固によって本焼結させる前に、予備加熱によって金属粉末32を仮焼結させ、これによってスモークの発生を抑制している。
【0043】
次に、ビーム照射装置14は、金属粉末32上の粉末層32aに電子ビーム15を照射することにより、金属粉末32を本焼結させる。これにより、2層目の造形物が形成される。
【0044】
その後、3層目以降の各層についても、上述した造形プレート22の下降、粉末層32aの予備加熱、金属粉末32の塗布、金属粉末32の仮焼結、及び金属粉末32の本焼結を繰り返す。これにより、三次元の造形物38が得られる。ただし、造形を終えた段階では、完全な金属結合がなされた部位である造形物38に、仮焼結体と呼ばれる脆い部位が付着している。このため、造形が終了した後、造形物38から仮焼結体を取り除く必要がある。仮焼結体は、ブラスト処理等によって取り除かれる。
【0045】
上述した三次元積層造形装置10の動作において、円錐形の熱シールド部材42は、ビーム照射装置14が造形プレート22又は粉末層32aに電子ビーム15を照射する際に、造形プレート22の上面又は粉末層32aの造形面32bに近接した状態で配置される。
【0046】
本実施形態においては、造形プレート22が平面視円形に形成され、熱シールド部材42が円錐形に形成されている。このため、電子ビーム15の照射によって造形プレート22を予備加熱する場合に、熱シールド部材42の底部の開口縁を造形プレート22の外周縁に沿わせて配置することができる。これにより、造形プレート22から放出される輻射熱を熱シールド部材42の外側に極力漏らすことなく、熱シールド部材42の内部空間に輻射熱を閉じ込めることができる。また、こうした輻射熱の閉じ込め効果は、電子ビーム15の照射によって造形プレート22上の粉末層32aを予備加熱する場合、あるいは電子ビーム15の照射によって金属粉末32を焼結(仮焼結、本焼結)させる場合にも得られる。
【0047】
また、本実施形態においては、熱シールド部28が複数の熱シールド部材41,42によって構成されている。また、熱シールド部材41の側壁41a,41bと熱シールド部材42の側壁42aは、ビーム通過領域の側方で互いに重なり合う状態に配置されている。これにより、熱シールド部28が1つの熱シールド部材(たとえば、熱シールド部材42のみ)によって構成されている場合に比べて、造形プレート22や粉末層32aから放出される輻射熱を有効に利用することができる。以下に理由を述べる。
【0048】
まず、造形プレート22又は粉末層32aに電子ビーム15を照射すると、電子ビーム15の照射によって加熱された部分から輻射熱が放出される。具体的には、造形プレート22に電子ビーム15を照射すると、造形プレート22の上面から輻射熱が放出され、粉末層32aに電子ビーム15を照射すると、粉末層32aの造形面32bから輻射熱が放出される。放出された輻射熱は、熱シールド部材42の側壁42aによって反射又は拡散され、造形プレート22側に戻される。また、放出された輻射熱の一部は、熱シールド部材42の側壁42aによって吸収され、熱シールド部材42の外側に放出される。
【0049】
本実施形態においては、熱シールド部材42の外側に熱シールド部材41が配置されている。このため、熱シールド部材42の外側に放出された輻射熱は、熱シールド部材41の側壁41a,41bによって反射又は拡散され、熱シールド部材42側に戻される。これにより、熱シールド部材41と熱シールド部材42との間の空間に輻射熱を閉じ込めることができる。また、閉じ込めた輻射熱の一部を、熱シールド部材42の側壁42aを通して造形プレート22側に戻すことができる。したがって、熱シールド部28が1つの熱シールド部材(たとえば、熱シールド部材42のみ)によって構成されている場合に比べて、造形プレート22や粉末層32aから放出される輻射熱を有効に利用することができる。その結果、電子ビーム15の照射によって造形プレート22又は粉末層32aに投入される熱エネルギーを従来よりも有効に利用することが可能となる。
【0050】
また、本実施形態によれば、金属粉末32を仮焼結させるために必要なプロセス時間を大幅に短縮することができる。その理由は次のとおりである。
金属粉末32を仮焼結させるプロセス(以下、「仮焼結プロセス」ともいう。)において、プロセス時間を短縮するためにエネルギー密度の高い電子ビーム15を粉末層32aに照射すると、スモークが発生しやすくなる。このため、金属粉末32の仮焼結を終えるまでには、エネルギー密度を低く抑えた電子ビーム15を長時間にわたって粉末層32aに照射する必要がある。
【0051】
本実施形態においては、粉末層32aの造形面32bから放出される輻射熱を、2つの熱シールド部材41,42によってシールドする構造、すなわち二重のシールド構造を採用している。このため、造形面32bから放出される輻射熱を、外側の熱シールド部材41と内側の熱シールド部材42によって閉じ込めることができる。特に、熱シールド部材41の側壁41a,41bと熱シールド部材42の側壁42aとの間に空間を形成した場合は、側壁同士が密着している場合に比べて、熱の閉じ込め効果(断熱効果)が高くなる。
【0052】
本実施形態においては、上述した熱の閉じ込め効果により、造形面32bの温度低下を抑制しながら仮焼結プロセスを実施することができる。したがって、金属粉末32を仮焼結させるために必要なプロセス時間を大幅に短縮することができる。また、プロセス時間の短縮は、造形プレート22を予備加熱するプロセス、粉末層32aを予備加熱するプロセス、及び金属粉末32を本焼結させるプロセスにおいても実現される。その結果、造形開始から造形終了までの時間を大幅に短縮することが可能となる。
【0053】
特に、高融点金属からなる金属粉末32を使用して造形物38を形成する場合は、金属粉末32を仮焼結又は本焼結させるために必要なプロセス温度が高くなるため、プロセス時間を短縮するには輻射熱をできるだけ逃がさないことが重要になる。この点、本実施形態に係る三次元積層造形装置10は、上述した二重のシールド構造によって輻射熱を閉じ込めるため、プロセス時間を大幅に短縮することができる。また、本実施形態によれば、造形物38の形成に必要な熱エネルギーを大幅に削減し、省エネルギー性能に優れた三次元積層造形装置10を提供することが可能となる
【0054】
また、仮焼結プロセスにおいて、輻射熱の放出によって失われてしまう熱量を補うために電子ビーム15のビーム電流を増やすと、金属粉末32の温度が高くなりすぎて、金属粉末32が過度に焼結される場合がある。その場合は、ブラスト処理等によって造形物38から仮焼結体を取り除くことが困難になる。本実施形態においては、上述した二重のシールド構造を採用しているため、輻射熱の放出によって失われてしまう熱量を大幅に低減することができる。このため、仮焼結プロセスにおいては、金属粉末32の過度な温度上昇を抑制しながら、金属粉末32を仮焼結させることができる。したがって、造形終了後の工程において、造形物38から仮焼結体を容易に取り除くことができる。
【0055】
また、本実施形態において、熱シールド部28は、角錐形の熱シールド部材41と円錐形の熱シールド部材42とを組み合わせた構成になっている。角錐形の熱シールド部材41は、たとえば図1に示すように、粉末層32aの造形面32bを斜め方向からカメラ30によって撮影する場合に、ビーム通過用孔43とカメラ撮影用孔44とが形成された上壁41cの存在によって輻射熱の漏れを抑えることができる点で好ましい。
【0056】
ただし、熱シールド部28を角錐形の熱シールド部材41のみによって構成した場合は、造形プレート22や粉末層32aから放出される輻射熱が直接、熱シールド部材41に伝わるため、熱シールド部材41に大きな変形が生じやすくなる。以下に理由を述べる。
【0057】
熱シールド部材41は、たとえば、複数の金属の板を溶接によって接合することにより製造される。この熱シールド部材41の温度が輻射熱によって上昇すると、熱シールド部材41を構成している各々の板(側壁41a,41b及び上壁41c)が熱膨張する。その際、たとえば図4に示すように、熱シールド部材41の中央部に熱源50が存在すると仮定すると、各々の側壁41a,41bは熱膨張によって矢印方向に伸びようとする。しかし、側壁41aの端部と側壁41bの端部は、溶接によって互いに接合されているため、水平断面が四角形をなす側壁41a,41bの四隅Pの位置は拘束される。したがって、各々の側壁41a,41は、矢印方向への伸びが抑制される。その結果、各々の側壁41a,41bは、図5に示すように大きく湾曲してしまう。また、側壁41a,41bの四隅Pには熱応力が集中するため、溶接部が破損するおそれがある。
【0058】
本実施形態においては、熱シールド部材41の内側に熱シールド部材42が配置されている。このため、熱シールド部材41の内部空間では、熱シールド部材42が熱緩衝部材として機能する。したがって、熱シールド部材41の変形や溶接部の破損を抑制することができる。また、円錐形の熱シールド部材42は、熱シールド部材42の温度上昇によって側壁42aが熱膨張しても、熱シールド部材42の外径が拡大するだけで熱シールド部材42自体の形状は変わらない。また、円錐形の熱シールド部材42は、温度低下によって熱収縮する場合に、角錐形の熱シールド部材41に比べて、元の形状に戻りやすいという利点がある。
【0059】
また、本実施形態においては、熱シールド部28の最も内側に円錐形の熱シールド部材42が配置されている。これにより、図6に示すように、水平面内において、平面視円形の造形プレート22や、この造形プレート22上に形成される粉末層32a(図1参照)の近くに、形状の違いによる無駄なスペースを生じさせることなく、熱シールド部材42を配置することができる。このため、造形プレート22や粉末層32aから放出される輻射熱を熱シールド部材42によって効率的に造形プレート22側に戻すことができる。また、円錐形の熱シールド部材42は、平面視円形の造形プレート22の上面又は粉末層32aの造形面32bを電子ビーム15によって走査する際に、角錐形の熱シールド部材41と比べて、電子ビーム15が側壁42aの近くを側壁42aと平行に通過する頻度が高い。このため、輻射熱の放出源である造形プレート22や粉末層32aの近くに熱シールド部材42の側壁42aを配置し、この側壁42aによって輻射熱を造形プレート22側に戻すことができる。したがって、輻射熱の利用効率が高くなる。
【0060】
ちなみに、熱シールド部28の最も内側に角錐形の熱シールド部材41を配置した場合は、図7に示すように、平面視円形の造形プレート22と、平面視四角形の熱シールド部材41との形状の違いにより、造形プレート22の周囲に無駄なスペース51が生じる。また、熱シールド部材41の四隅では、側壁41a,41bが上記のスペース51の分だけ輻射熱の放出源から離れた場所に配置される。したがって、輻射熱の利用効率が低くなる。
【0061】
<第2実施形態>
図8は、本発明の第2実施形態に係る三次元積層造形装置の構成を概略的に示す側面図である。
図8に示すように、第2実施形態に係る三次元積層造形装置10Aは、上述した第1実施形態の場合(図1)と比較して、熱シールド部28の構成が異なる。具体的には、熱シールド部28を構成する角錐形の熱シールド部材41及び円錐形の熱シールド部材42のうち、円錐形の熱シールド部材42が複数配置されている点が異なる。第2実施形態では、一例として、3つの熱シールド部材42が配置されている。この場合、熱シールド部28を構成する熱シールド部材41,42の総数は4つになる。つまり、熱シールド部28は、四重のシールド構造を有する。二重以上のシールド構造は、多重シールド構造と言い換えることができる。
【0062】
3つの熱シールド部材42は、それぞれ側壁42aを有する。各々の熱シールド部材42は、ビーム通過領域の側方で隣り合う側壁42aの間に空間を形成する状態で配置されている。この空間は、たとえば図9に示すように、内側の熱シールド部材42(側壁42a)と外側の熱シールド部材42(側壁42a)との間にスペーサ55を配置することで形成される。スペーサ55としては、たとえば、金属のメッシュシートを用いることができる。ただし、側壁42aの間に空間を形成するための構成としては、スペーサ55を用いる場合に限らず、たとえば、側壁42aを波形に形成する構成も考えられる。
【0063】
このように、角錐形の熱シールド部材41の内側に、円錐形の熱シールド部材42を複数配置した場合は、造形プレート22や粉末層32aから放出される輻射熱を、熱シールド部材41の内側で複数の熱シールド部材42により造形プレート22側に戻すことができる。また、各々の熱シールド部材42の側壁42a間に形成される空間は、熱シールド部材41の側壁41a,41bと熱シールド部材42の側壁42aとの間に形成される空間よりも狭い。また、3つの熱シールド部材42は、熱シールド部材41よりも造形プレート22に近い位置で輻射熱をシールドする。このため、造形プレート22等から放出される輻射熱を複数の熱シールド部材42によって効率良く造形プレート22側に戻すことができる。また、熱シールド部材41と熱シールド部材42との間の空間に漏れる輻射熱の量を低減し、かつ、漏れた輻射熱を熱シールド部材41によって造形プレート22側に戻すことができる。
【0064】
<第3実施形態>
図10は、本発明の第3実施形態に係る三次元積層造形装置の構成を概略的に示す側面図である。
図10に示すように、第3実施形態に係る三次元積層造形装置10Bは、上述した第1実施形態の場合(図1)と比較して、熱シールド部材42の構成が異なる。具体的には、熱シールド部材42の側壁42aの内側にトラップ部46が形成されている。トラップ部46は、造形プレート22や粉末層32aから放出される輻射熱をトラップして反射させるための部分である。トラップ部46は、側壁42aの内面から水平方向に突出する状態でフィン状に形成されている。また、トラップ部46は、Z方向に複数段(図10の例では3段)に配置されている。
【0065】
このように熱シールド部材42にトラップ部46を形成することにより、造形プレート22や粉末層32aから放出される輻射熱がトラップ部46によってトラップされるとともに、トラップされた輻射熱がトラップ部46によって造形プレート22側に反射される。このため、熱シールド部材42によって造形プレート22側に戻される輻射熱の量を増やすことができる。
【0066】
<第4実施形態>
図11は、本発明の第4実施形態に係る三次元積層造形装置の構成を概略的に示す側面図である。
図11に示すように、第4実施形態に係る三次元積層造形装置10Cは、上述した第2実施形態の場合(図8)と比較して、熱シールド部28に熱シールド部材41が設けられていない点が異なる。つまり、第4実施形態において、熱シールド部28は、複数(3つ)の円錐形の熱シールド部材42によって構成されている。このような構成を採用した場合は、第2実施形態の場合と同様に、造形プレート22等から放出される輻射熱を複数の熱シールド部材42によって効率良く造形プレート22側に戻すことができる。
【0067】
<変形例等>
本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の構成要件やその組み合わせによって得られる特定の効果を導き出せる範囲において、種々の変更や改良を加えた形態も含む。
【0068】
たとえば、上述した第2実施形態及び第4実施形態において、熱シールド部28は、3つの円錐形の熱シールド部材42を備えているが、熱シールド部材42の数は、2つでもよいし、4つ以上でもよい。また、熱シールド部28は、角錐形の熱シールド部材41を複数備えた構成でもよい。また、熱シールド部28は、角錐形の熱シールド部材41と円錐形の熱シールド部材42を複数個ずつ備えた構成でもよい。
【0069】
また、上述した第3実施形態においては、円錐形の熱シールド部材42にトラップ部46を形成しているが、これに限らず、角錐形の熱シールド部材41にトラップ部を形成してもよいし、熱シールド部材41と熱シールド部材42の両方にトラップ部を形成してもよい。また、熱シールド部材41、及び/又は、熱シールド部材42にトラップ部を形成する構成は、上記第2実施形態に係る三次元積層造形装置10Aに適用してもよい。その場合は、最も内側に配置された熱シールド部材42にトラップ部46を形成することが好ましい。
【0070】
また、本発明に係る三次元積層造形装置は、平面視円形の造形プレート22と、円錐形の熱シールド部材42とを備える点にも特徴がある。その場合の三次元積層造形装置の好ましい態様を以下に付記する。なお、以下に付記する三次元積層造形装置の態様において、円錐形の熱シールド部材の数は、1つでもよいし、複数でもよい。
【0071】
(付記)
金属粉末からなる粉末層を保持する造形プレートと、
前記造形プレート又は前記粉末層に電子ビームを照射するビーム照射装置と、
前記造形プレートと前記ビーム照射装置との間に配置され、前記電子ビームの照射によって加熱された部分から放出される輻射熱を遮る熱シールド部材と、
を備える三次元積層造形装置において、
前記造形プレートは、平面視円形に形成され、
前記熱シールド部材は、円錐形に形成されている
三次元積層造形装置。
【符号の説明】
【0072】
10,10A,10B,10C…三次元積層造形装置、14…ビーム照射装置、15…電子ビーム、22…造形プレート、28…熱シールド部、30…カメラ、32…金属粉末、32a…粉末層、41…熱シールド部材、41a,41b…側壁、41c…上壁、41d…開口部、42…熱シールド部材、42a…側壁、42b…開口部、42c…開口部、43…ビーム通過用孔(開口部)、44…カメラ撮影用孔、46…トラップ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11