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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024275
(43)【公開日】2024-02-22
(54)【発明の名称】鳥害対策具用保持具
(51)【国際特許分類】
   A01M 29/32 20110101AFI20240215BHJP
【FI】
A01M29/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022127002
(22)【出願日】2022-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】506310588
【氏名又は名称】株式会社フジナガ
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】藤永 雅也
(72)【発明者】
【氏名】池畑 秀一
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA07
2B121BB26
2B121EA21
2B121FA01
2B121FA12
2B121FA13
(57)【要約】
【課題】鳥害対策具を保持する鳥害対策具用保持具において、1つの部材で設置面に対して確実に固定することができる鳥害対策具用保持具を提供する。
【解決手段】本発明の鳥害対策具用保持具は、鳥害対策具を保持可能であり、取付対象面に対して鳥害対策具を取り付けるためのであって、取付対象面7に対向する対向面3aを有し、対向面に配置された接着剤によって取付対象面に固定される土台部3を備え、土台部は、対向面に対して取付対象面と反対側に設けられ、対向面に配置された接着剤が充填される充填空間4sと、対向面と連結され、かつ、充填空間を側方にて画定する充填壁部41と、充填壁部から充填空間に突出するように設けられる固定部42と、を備え、固定部は、充填壁部からの突出方向周りの外周面における、少なくとも対向面側の面以外の面が充填空間に対して露出するように設けられる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鳥害対策具を保持可能であり、取付対象面に対して前記鳥害対策具を取り付けるための鳥害対策具用保持具であって、
前記取付対象面に対向する対向面を有し、該対向面に配置された接着剤によって前記取付対象面に固定される土台部を備え、
前記土台部は、
前記対向面に対して前記取付対象面と反対側に設けられ、前記対向面に配置された接着剤が充填される充填空間と、
前記対向面と連結され、かつ、前記充填空間を側方にて画定する充填壁部と、
前記充填壁部から前記充填空間に突出するように設けられる固定部と、を備え、
前記固定部は、前記充填壁部からの突出方向周りの外周面における、少なくとも前記対向面側の面以外の面が前記充填空間に対して露出するように設けられる、鳥害対策具用保持具。
【請求項2】
前記固定部は、前記充填壁部の前記対向面に対して前記取付対象面と反対側の端部に連結され、かつ、前記充填空間の前記対向面に対して前記取付対象面と反対側を覆うドーム部を備え、
前記ドーム部によって画定される、前記対向面に対して前記取付対象面と反対側の前記充填空間の形状は、前記取付対象面と反対側の幅が取付対象面側の幅よりも小さくなる形状である請求項1に記載の鳥害対策具用保持具。
【請求項3】
前記固定部は、前記充填壁部の前記対向面に対して前記取付対象面と反対側の端部に連結され、かつ、前記充填空間の前記対向面に対して前記取付対象面と反対側を覆うドーム部を備え、
前記ドーム部には、前記充填空間と外部を連通する開口部が設けられる請求項1又は2に記載の鳥害対策具用保持具。
【請求項4】
前記固定部の前記対向面とは反対側の面は、平坦又は前記対向面側に窪んだ形状である請求項1又は2に記載の鳥害対策具用保持具。
【請求項5】
前記対向面には、
接着剤が配置される接着領域が設けられ、かつ、
前記対向面側と反対側に凹となる溝部が前記接着領域の外周を囲うように設けられる請求項1又は2に記載の鳥害対策具用保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鳥害対策具を保持する鳥害対策具用保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鳥害対策のために用いられる鳥害対策具として、特許文献1に記載の防鳥器具が知られている。防鳥器具は、基底部と、基底部に対して垂直に延びる複数の針状部材と、を有し、最短距離で隣り合う針状部材相互間の高さが相違するように構成されている。また、このような防鳥器具は、フック状の固定部材を介して設置面に取り付けられる。
【0003】
以上のような構成の防鳥器具によれば、針状部材上に跨るように鳥が留まることを抑制できるため、防鳥効果を高めることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-352892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の防鳥器具において、鳥害対策具としての針状部材を保持する基底部(鳥害対策具用保持具)は、固定部材を介して設置面に取り付けられるので、基底部(鳥害対策具用保持具)の設置面への取り付けに際して複数のパーツを取り扱う必要があり、取り付け作業が煩雑であった。
【0006】
そこで、本発明は、鳥害対策具を保持する鳥害対策具用保持具において、1つの部材で設置面に対して確実に固定することができる鳥害対策具用保持具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の鳥害対策具用保持具は、鳥害対策具を保持可能であり、取付対象面に対して前記鳥害対策具を取り付けるための鳥害対策具用保持具であって、前記取付対象面に対向する対向面を有し、該対向面に配置された接着剤によって前記取付対象面に固定される土台部を備え、前記土台部は、前記対向面に対して前記取付対象面と反対側に設けられ、前記対向面に配置された接着剤が充填される充填空間と、前記対向面と連結され、かつ、前記充填空間を側方にて画定する充填壁部と、前記充填壁部から前記充填空間に突出するように設けられる固定部と、を備え、前記固定部は、前記充填壁部からの突出方向周りの外周面における、少なくとも前記対向面側の面以外の面が前記充填空間に対して露出するように設けられるよう構成される。
【0008】
かかる構成によれば、対向面に配置された接着剤が充填空間に充填され、充填空間に対して露出する固定部の外周面を覆うので、土台部が取付対象面に対してずれること及び取付対象面から離れる方向に移動することが固定部を覆う接着剤により規制される。よって、鳥害対策具用保持具を設置面に対して確実に固定することができる。
【0009】
また、前記固定部は、前記充填壁部の前記対向面に対して前記取付対象面と反対側の端部に連結され、かつ、前記充填空間の前記対向面に対して前記取付対象面と反対側を覆うドーム部を備え、前記ドーム部によって画定される、前記対向面に対して前記取付対象面と反対側の前記充填空間の形状は、前記取付対象面と反対側の幅が取付対象面側の幅よりも小さくなる形状であるよう構成することもできる。
【0010】
かかる構成によれば、充填空間の対向面に対して取付対象面と反対側の形状は、円弧形状であるので、接着剤がドーム部に沿って移動しやすい。よって、充填空間に充填された接着剤で固定部の外周面を確実に覆うことができる。
【0011】
また、前記固定部は、前記充填壁部の前記対向面に対して前記取付対象面と反対側の端部に連結され、かつ、前記充填空間の前記対向面に対して前記取付対象面と反対側を覆うドーム部を備え、前記ドーム部には、前記充填空間と外部を連通する開口部が設けられるよう構成することもできる。
【0012】
かかる構成によれば、ドーム部に開口部が設けられるので、充填空間の内部の空気が開口部から外部に逃げることができる。よって、充填空間内部の空気によって接着剤の進入が妨げられることを抑制できる。
【0013】
また、前記固定部の前記対向面とは反対側の面は、平坦又は前記対向面側に窪んだ形状であるよう構成することもできる。
【0014】
かかる構成によれば、固定部の対向面とは反対側の面が平坦又は対向面側に窪んだ形状であるので、土台部が取付対象面から離れる方向に力がかかった場合に、充填空間内部の接着剤が固定部に確実に係止することができる。
【0015】
また、前記対向面には、接着剤が配置される接着領域が設けられ、かつ、前記対向面側と反対側に凹となる溝部が前記接着領域の外周を囲うように設けられるよう構成することもできる。
【0016】
かかる構成によれば、接着領域の外周を囲うように溝部が設けられるので、接着領域から外方に流れようとする接着剤を溝部で保持することができる。よって、接着剤が接着領域から外方に流れることを抑制できるので、取付対象面に取り付けた状態において、接着領域から外方に流れた接着剤によって美観を損ねることを抑制できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、鳥害対策具を保持する鳥害対策具用保持具において、1つの部材で設置面に対して確実に固定することができる鳥害対策具用保持具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第一実施形態に係る鳥害対策具用保持具の正面図である。
図2】同鳥害対策具用保持具の平面図である。
図3】同鳥害対策具用保持具の底面図である。
図4図3に示すIV-IV断面図である。
図5】同鳥害対策具用保持具を取付対象面に固定した状態を示す平面図である。
図6図5に示すVI-VI断面図である。
図7】本発明の第二実施形態に係る鳥害対策具用保持具を示す平面図である。
図8】同鳥害対策具用保持具の底面図である。
図9図7に示すIX-IX断面図である。
図10】同鳥害対策具用保持具を取付対象面に固定した状態を示す平面図である。
図11図10に示すXI-XI端面図である。
図12図11に示すXII-XII端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の第一実施形態に係る鳥害対策具用保持具1について図1乃至図6を参照して説明する。説明の便宜上、上下方向は設置した状態を基準として説明し、短手方向及び長手方向は、土台部3の下面における方向を基準に説明する。
【0020】
図1に示すように、鳥害対策具用保持具1は、鳥害対策具2を保持可能であり、保持する鳥害対策具2を建築物や看板などの取付対象面7(例えば上面)に設置するために用いられる。まず、本実施形態の鳥害対策具用保持具1が保持する鳥害対策具2について説明する。
【0021】
図1及び図2に示すように、本実施形態の鳥害対策具2は、複数の針状体21を備え、それぞれの針状体21が取付対象面7から上方に延びるように設けられる。具体的に針状体21は、下方が太く上方が細いテーパ形状で上面が平坦な形状の棒状体であり、本実施形態では所定間隔毎に配置される。このような構成の鳥害対策具2によると、針状体21によって取付対象面7に鳥類が留まることを妨害することができるため、鳥害の発生を抑制できる。
【0022】
次に、以上のような鳥害対策具2を保持する鳥害対策具用保持具1について図1乃至図4を参照して説明する。図1及び図2に示すように、鳥害対策具用保持具1は、取付対象面7に対向する対向面3aを有する土台部3を備える。このような鳥害対策具用保持具1は、主に対向面3aに配置される接着剤81(例えばコーキング剤)によって取付対象面7に固定され(図6参照)、補助的にねじ82や索体83によって固定される(図5参照)。また、本実施形態の鳥害対策具用保持具1及び鳥害対策具2は、樹脂で構成されており、かつ、鳥害対策具用保持具1及び鳥害対策具2が一体として形成されている。
【0023】
土台部3は、下面が略平坦な形状の板状体であり、本実施形態では、上面及び下面が長方形状に形成され、また、下面が対向面3aとして構成されている板状体である。具体的に、土台部3は、上面及び下面が平坦な板状で、下面が対向面3aとして構成される土台基部4と、土台基部4の上面に連結されるドーム部5と、土台基部4の上面側に設けられ、土台基部4の上面の面方向に索体83を挿通可能な索体挿通部6と、を備える。
【0024】
図3及び図4に示すように、土台基部4は、厚みが略一定で、上面及び下面が平坦な板状体である。土台基部4は、下面(対向面3a)から上側に延び、対向面3aに配置された接着剤81が充填される充填空間4sと、対向面3aから上方に延び、充填空間4sの側方を画定する充填壁部41と、充填壁部41から充填空間4sに向かって突出するように設けられる固定部42と、を備える。また、土台基部4は、上下方向(土台基部4の厚み方向)にねじ82を挿通可能なねじ挿通部43と、土台基部4の上面に設けられ、鳥害対策具2を保持する保持部44と、上方に窪むように対向面3a(下面)に設けられる複数の窪み部45と、上方に窪むように対向面3a(下面)に設けられる溝部46と、を備える。さらに、本実施形態の土台基部4には、上下方向に貫通する肉抜き孔47が複数設けられている。本実施形態の肉抜き孔47は、短手方向の一端部及び他端部に、長手方向で離間して複数設けられた孔である。
【0025】
対向面3aは、平坦で、設置状態において取付対象面7と対向する面である。また、対向面3aは、接着剤81が配置される(図6参照)接着領域3bを有する。本実施形態の接着領域3bは、対向面3aの幅方向の中央部分に長手方向に延びる領域である。
【0026】
充填空間4sは、対向面3aから上方に延びるように設けられる空間である。また、充填空間4sは、接着領域3bに対して開口するように設けられる空間であり、具体的には、対向面3aの短手方向の中央部分に設けられた下面視四角形状の空間である。さらに、充填空間4sは、長手方向に離間して複数設けられている。本実施形態の充填空間4sは、土台基部4を上下方向に貫通するように設けられる空間であり、接着領域3bに配置された接着剤81を充填可能である(図6参照)。
【0027】
充填壁部41は、充填空間4sの側方を画定する壁であり、対向面3aから上方に向かって延びる。本実施形態の充填壁部41は、土台基部4の下面から上面に亘って延びる壁体である。本実施形態の充填壁部41は、充填空間4sの側方を画定する4面の壁体で構成されており、具体的には、長手方向に沿って延び、短手方向で対向する一対の長壁部411と、短手方向に沿って延び、長手方向で対向する一対の短壁部412と、を備える。一対の長壁部411は、短手方向における離間距離が、下端側よりも上端側の方が短くなるように構成されている。また、一対の短壁部412は、長手方向における離間距離が下端側よりも上端側の方が短くなるように構成されている。
【0028】
固定部42は、充填壁部41から充填空間4sに突出するように設けられる部位であり、本実施形態では、短壁部412から長手方向に沿って延びるように突出する部位である。即ち、本実施形態の固定部42は、突出方向が長手方向と一致するように設けられている。また、固定部42は、一対の短壁部412にわたって延びるように設けられ、本実施形態では、充填空間4sの幅方向(短手方向)における中央部分に設けられている。図4に示すように、固定部42は、突出方向(長手方向)を軸とする周面が略角形の棒状体であり、略平坦で長手方向に直交するように延びる固定上面421及び固定下面422と、上下方向に延び、固定上面421及び固定下面422を連結する一対の固定側面423と、を備える。また、固定部42は、固定部42の幅方向(本実施形態では短手方向)における長さが、下方が短く上方が長くなるように構成されており、本実施形態では、一対の固定側面423が、上方ほど幅方向で離間するように設けられている。また、固定上面421は、対向面3aと略平行に延びる平面又は下方に窪んだ形状の面であることが好ましく、本実施形態では対向面3aと略平行に延びる平坦な面である。
【0029】
図2に示すように、ねじ挿通部43は、土台基部4の厚み方向に貫通する孔であり、ねじ82を挿通可能である(図5参照)。また、ねじ挿通部43は、接着領域3bに対して開口するように設けられる。本実施形態のねじ挿通部43は、土台基部4の長手方向に離間して複数設けられている。また、本実施形態のねじ挿通部43は、接着領域3bに対して開口するように設けられており、具体的には、接着領域3bから土台基部4の上面に延びる孔である。
【0030】
保持部44は、鳥害対策具2を保持する部位であり、本実施形態では土台基部4の上面における針状体21が連結される部位である。本実施形態の保持部44は、上方に延びるように針状体21を保持している。即ち、保持部44は、鳥害対策具2が鳥害の発生を抑制できるように鳥害対策具2を保持する。
【0031】
図3及び図4に示すように、窪み部45は、接着領域3bの範囲内に設けられる上方に凹となる窪みであり、長手方向及び短手方向に離間して複数配置されている。また、窪み部45は、接着領域3bに配置された接着剤81を充填可能な程度の大きさの窪みである。さらに、窪み部45は、対向面3aの面方向において多角形状となる窪みであり、本実施形態では四角形状である。このような窪み部45は、長手方向及び短手方向に離間して複数配置されているので、長手方向及び短手方向への力がかかったとしても土台部3がずれることを抑制できる。また、本実施形態では、窪み部45が短手方向に複数並んで配置されている。よって、土台部3が上下方向を軸に回動する方向に力がかかったとしても、土台部3がずれることを抑制できる。
【0032】
溝部46は、接着領域3bの外周を囲うように延びる上方に凹となる窪みである。本実施形態の溝部46は、接着領域3bの短手方向の両端部及び長手方向の両端部に沿って延びるように設けられている。また、溝部46は、接着領域3bから外方に流れた接着剤81が進入可能な程度の大きさの幅を有する窪みである。具体的に、溝部46は、対向面3aから上方に向かって延び、溝部46の幅方向(上下方向及び溝部46の延伸方向に直交する方向)の両端を構成する一対の溝壁部461と、一対の溝壁部461の上端部同士を連結し、溝部46の上端を構成する溝底部462と、を備え、一対の溝壁部461及び溝底部462によって接着領域3bから外方に流れた接着剤81を受ける窪みである受け空間46sを形成する。また、本実施形態の溝部46は、一対の溝壁部461のうち、接着領域3bから遠い側の溝壁部461が、溝部46の幅方向において上端側ほど接着領域3bに近づくように傾斜している。さらに、本実施形態の溝部46の短手方向寸法は、窪み部45の短手方向寸法と略同じであり、短手方向で溝部46と溝部46に隣接して配置される窪み部45の距離は、互いに隣接して配置される窪み部45の距離と略同じである。このような構成であるので、溝部46及び窪み部45の設計がしやすく、特に、土台部3を金型で成形する場合に、該金型の設計がしやすい。
【0033】
図2及び図4に示すように、ドーム部5は、土台基部4の上面に連結された、充填空間4sの上端を画定するドーム状の部位である。具体的に、ドーム部5は、土台基部4から上方に向かって延びる一対のドーム側壁51と、一対のドーム側壁51に亘って延び、充填空間4sの上端を画定する覆い部52と、を備える。本実施形態のドーム部5の下端部(ドーム側壁51の下端部及び覆い部52の下端部)は、充填壁部41の上端部に連結されている。このようなドーム部5は、土台基部4の上面から上方に突出するように設けられている。
【0034】
図2に示すように、ドーム側壁51は、充填壁部41の上端部から上方に向かって延びる壁体であり、土台基部4から上方に向かって突出するように設けられている。本実施形態のドーム側壁51は、短壁部412の上端部から上方に向かって延びるように設けられている。また、ドーム側壁51は、上方の幅(本実施形態では短手方向における長さ)が下方の幅よりも長くなる形状であり、具体的には、上方に凸となるような湾曲形状の壁体である。
【0035】
図2及び図4に示すように、覆い部52は、充填壁部41の上端部から上方に向かって延びる壁体であり、土台基部4から上方に向かって突出するように設けられている。本実施形態の覆い部52は、下端部が長壁部411の上端部に向かって延び、かつ、側方(長手方向における両端部)が一対のドーム側壁51の上端部に連結されている、厚みが略均一の壁体である。また、覆い部52は、上方の幅(本実施形態では短手方向における長さ)が下方の幅よりも長くなる形状であり、具体的には上方に凸となるような湾曲形状である。具体的に、覆い部52は、一対の長壁部411のそれぞれの上端部から上方に延びる覆い片53を一対備え、覆い片53同士の間には、上下方向に貫通する開口部54が設けられる。
【0036】
一対の覆い片53は、土台基部4から上方に延びる厚みが略均一の壁体であり、一対の覆い片53の内面同士が向かい合うように設けられる。本実施形態で一対の覆い片53の内面同士は、短手方向(上下方向及び固定部42の突出方向と直交する方向)において向かい合うように設けられ、また、一対の覆い片53の内面同士の距離が、下端側より上端側の方が近くなるように設けられている。具体的に、覆い片53は、上方がドーム部5の幅方向における内方に向かって延びるように設けられた壁体であり、内面は、上端側が幅方向の内方に向かう円弧形状に構成されている。そして、一対の覆い部52の内面同士は上方に向かうにつれて近づくように設けられている。本実施形態で一対の覆い片53は、上端部分における長手方向の両端部同士が連結されており、上端部分における長手方向の中途部分に開口部54が設けられるように構成されている。
【0037】
開口部54は、ドーム側壁51に設けられるドーム側壁51の厚み方向(具体的には上下方向)に貫通する開口部分であり、ドーム側壁51の下方に設けられる充填空間4sと充填空間4sの外部とを連通する。本実施形態の開口部54は、幅方向における一対の覆い片53の間に設けられる隙間部分であり、平面視四角形状の開口部分である。また、開口部54は、ドーム部5の上端部分に、一対のドーム側壁51にわたって延びるように設けられている。
【0038】
図4に示すように、本実施形態で開口部54は、固定部42の上方に配置されており、具体的には、平面視(図2に示す状態)において、開口部54と固定部42が重なるように配置されている。また、本実施形態の開口部54は、幅方向長さが固定部42の幅方向長さよりも大きい。
【0039】
固定部42の突出方向周りの外周面における少なくとも固定下面422以外の面は充填空間4sに対して露出した状態であり、本実施形態では、突出方向周りの外周面における全周が充填空間4sに対して露出した状態となる。具体的に、固定部42は、固定下面422が対向面3aよりも上方に配置され、一対の固定側面423が長壁部411と幅方向で離間して配置され、固定上面421がドーム部5の下面から下方に離間して配置されている。即ち、固定部42は、突出方向周りの外周面の全周が充填空間4sに充填された接着剤81で覆われるように構成されている。さらに、本実施形態の固定部42は、少なくとも一部がドーム部5における上端部分と短手方向において同じ位置に位置するように設けられている。
【0040】
図2に示すように、索体挿通部6は、土台基部4の上面の面方向に延びる索体83を挿通可能(図5参照)な索体挿通孔6aを形成する部位であり、本実施形態では、土台基部4の上面の面方向に沿って延びる孔である索体挿通孔6aを形成するアーチ状の部位である。また、本実施形態の索体挿通部6は、ドーム部5よりも上方まで突出するように設けられており、索体挿通孔6aは、少なくとも一部がドーム部5よりも上方に位置するように形成されている。さらに、本実施形態の索体挿通部6は、接着領域3bの上方に設けられ、索体挿通孔6aは、対向面3a(接着領域3b)から上方に向かって延びる空間を有する孔である。
【0041】
以上のような鳥害対策具用保持具1を取付対象面7に取り付ける方法を図5及び図6を参照して説明する。鳥害対策具用保持具1を取付対象面7に取り付ける際には、(1)接着工程、及び(2)補助固定工程を行う。
【0042】
(1)接着工程は、接着剤81によって取付対象面7に土台部3を固定する工程である。具体的に、接着工程では、取付対象面7と対向面3aの間に接着剤81(例えばシリコンコーキング剤)を介在させて対向面3aを取付対象面7に接着する工程である。本実施形態の接着工程では、対向面3aにおける接着領域3bに接着剤81を配置して、対向面3aが取付対象面7に対向するように土台部3を取付対象面7に設置する。
【0043】
図5及び図6に示すように、接着領域3bに接着剤81が配置された状態で対向面3aが取付対象面7に対向するように土台部3を取付対象面7に設置すると、接着領域3bに配置された接着剤81の一部が土台部3によって押し出され、充填空間4s及び窪み部45に移動し、接着剤81が充填空間4s及び窪み部45に充填される。ここで、充填空間4sに移動した接着剤81は、固定部42を覆うように移動する。具体的に、充填空間4sに移動した接着剤81は、充填壁部41の内面に沿って上方に移動し、また、ドーム部5(覆い部52)の内面の内面に沿って幅方向の内方に移動する。よって、接着剤81が、固定部42を覆うようにアーチ状(図6に示す二点鎖線)に位置するので、固定部42の外周面が接着剤81によって覆われた状態となる。また、本実施形態では、固定部42の上方に開口部54が設けられているので、充填空間4s内の空気が開口部54から外部に移動できるため、固定部42の上方の全域が接着剤81で覆われた状態とすることができ、固定部42の上方を覆う接着剤81に隙間が生じることを抑制できる。なお、場合によっては、接着剤81の一部が開口部54から上方に飛び出していてもよい。ここで、接着剤81同士が接着可能なように構成された接着剤81(例えばシリコンコーキング剤)を用いることで、固定部42の上方において接着剤81同士が接着することができるので、固定部42の上方を覆う接着剤81に隙間が生じることを確実に抑制できる。
【0044】
さらに、図6に示すように、対向面3aの面方向で接着領域3bの外方に移動する接着剤81は、接着領域3bの外周を囲うように設けられる溝部46に充填される。また、溝部46は、一対の溝壁部461のうち、接着領域3bから遠い側の溝壁部461が、溝部46の幅方向において上端側ほど接着領域3bに近づくように傾斜しているので、外方に移動する接着剤81が溝壁部461によって、溝部46に内部に案内される。よって、接着剤81が接着領域3bの短手方向の端部と溝部46の間で止まるので、接着領域3bの外部に接着剤81が移動することを抑制でき、接着剤81によって美観を損ねることや、意図しない物体が移動した接着剤81によって固定されることを抑制できる。
【0045】
(2)補助固定工程は、図5に示すように、ねじ82や索体83(ワイヤ)によって、土台部3の取付対象面7への固定を補助する工程である。具体的に、補助固定工程では、ねじ挿通部43にねじ82を挿通し、挿通したねじ82を取付対象面7に対して螺合する。また、両端部が取付対象面7などを有する建物などに固定される索体83を索体挿通部6の索体挿通孔6aに挿通する。ここで、索体挿通孔6aの少なくとも一部がドーム部5の上端部よりも上方に設けられているので、索体83を索体挿通孔6aに挿通する際にドーム部5が邪魔になりづらく、索体83を索体挿通孔6aに挿通しやすい。
【0046】
以上のような工程により固定された鳥害対策具用保持具1は、接着剤81によって土台部3が取付対象面7から移動することが規制される。具体的に、土台部3が取付対象面7から離れる方向(上方)に力がかかった場合には、固定部42が固定部42の上方を覆う接着剤81に係止して、土台部3の移動が規制される。また、固定上面421は、対向面3aと略平行に延びる平面又は下方に窪んだ形状の面であるので、土台部3が取付対象面7から離れる方向に力がかかった場合に、接着剤81に固定上面421が確実に係止することができる。さらに、土台部3が取付対象面7に対してずれる方向(取付対象面7の面方向に沿う方向)に力がかかった場合には、充填壁部41、固定側面423、溝部46、及び、窪み部45の内面に接着剤81が係止して土台部3の移動が規制される。即ち、固定部42を覆うようなアーチ状に接着剤81が形成されるので、土台部3に上方の引張力がかかった場合に該引張力に対抗でき、更に、土台部3が取付対象面に対してずれる方向に力がかかった場合にも該力に対抗できる。
【0047】
このように、本実施形態に係る鳥害対策具用保持具1によれば、対向面3aに配置された接着剤81が充填空間4sに充填され、充填空間4sに対して露出する固定部42の外周面を覆うので、土台部3が取付対象面7に対してずれること及び取付対象面7から離れる方向に移動することが固定部42を覆う接着剤81により規制される。よって、鳥害対策具用保持具1を設置面に対して確実に固定することができる。
【0048】
以上、本発明の実施形態について一例を挙げて説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0049】
例えば、鳥害対策具用保持具1が保持する鳥害対策具2として、複数の針状体21を備える鳥害対策具2を例に説明したが、このような構成に限らない。例えば、金属製で棒状の一対の電撃部と、一対の電撃部に電圧を印加する電源部と、を備え、鳥類が一対の電撃部に亘って留まった際に鳥類に対して電気ショックを与えるように構成された電気ショック型の鳥害対策具2における電撃部を保持するように構成することもできるし、鳥類の進入を阻害する網を備える鳥害対策具2における網や網を保持するための保持具を保持するように構成することもできる。
【0050】
また、鳥害対策具用保持具1と鳥害対策具2が一体として構成される場合について説明したが、このような構成に限らず、鳥害対策具用保持具1と鳥害対策具2が別体として構成されることもできる。このような構成を採用する場合には、鳥害対策具用保持具1を取付対象面7に取り付ける前後で土台部3の保持部44が鳥害対策具2を保持する状態とすることができる。
【0051】
さらに、対向面3aには接着領域3bが設けられ、接着領域3bに接着剤81が配置される場合について説明したが、このような構成に限らず、例えば、対向面3aの全域に接着剤81が配置されるように構成することもできる。また、接着剤81を取付対象面7に配置し、取付対象面7に配置された接着剤81が接着領域3bに配置されるように取付対象面7に対して土台部3を設置することもできる。
【0052】
また、土台部3はねじ82や索体83によって補助的に固定される場合について説明したが、このような構成に限らず、接着剤81のみで取付対象面7に固定されることもできる。
【0053】
さらに、固定部42は、突出方向周りの周面が略角形である場合について説明したが、このような構成に限らず、例えば、下面を円弧形状に構成することもできる。このような構成を採用する場合には、充填される接着剤81が円弧形状の外面に沿って移動するので、接着剤81が充填空間4s内において上方に移動しやすい。
【0054】
また、固定部42は、充填空間4sにおいて、一対の短壁部412に亘って延びる場合について説明したが、このような構成に限らない。例えば、一対の長壁部411に亘って延びるように構成することもできるし、長手方向及び短手方向に交差する方向に長壁部411から短壁部412に亘って延びるように構成することもできるし、一方の短壁部412から他方の短壁部412側に向かって突出する突起として構成することもできる。つまり、接着剤81が固定部42の上方に位置可能な種々の構成を採用できる。
【0055】
さらに、ドーム部5には開口部54が設けられる場合について説明したが、このような構成に限らず、開口部分が設けられない構成とすることもできるし、開口部54を設ける場合にあっても、本実施形態のような構成に限らず、開口部54を複数の小孔の集合として構成することもできる。
【0056】
次に、第二実施形態に係る鳥害対策具用保持具1について、図7乃至図12を参照して説明する。第一実施形態と同一の構成については同一の符号を付し、同じ説明を繰り返さない。
【0057】
本実施形態の鳥害対策具用保持具1は、ねじ挿通部43及び索体挿通部6を備えない点で第一実施形態と異なる。本実施形態の土台部3は、土台基部4の上面の面方向に沿って索体83を挿通可能且つ土台部3の上面から下面にねじ82を挿通可能な補助固定部9を備える。
【0058】
図7乃至図9に示すように、補助固定部9は、土台基部4の上面から上方に突出するように設けられた部位であり、半球状で、上端が平坦な形状である。また、本実施形態の補助固定部9は、接着領域3bの上方に設けられた突起であり、具体的には、土台部3の幅方向(短手方向)の中央部分に、土台部3の長手方向に離間して複数設けられている。このような補助固定部9は、厚肉部91と、第一薄膜部92及び第二薄膜部93と、厚肉部91、第一薄膜部92、及び、第二薄膜部93を保持する保持壁部94と、を備える。
【0059】
保持壁部94は、土台基部4の上面から上方に延びる壁を構成する部位であり、土台基部4の面方向に離間して一対設けられる。また、一対の保持壁部94の間には、土台基部4の上面の面方向(本実施形態では長手方向)に延びる空間が形成される。また、本実施形態では、土台基部4に、一対の保持壁部94が形成する空間に連通するように上下方向に貫通する孔が形成されている。このように、保持壁部94及び土台基部4によって、対向面3aから上方に延びるように設けられた空間(ねじ挿通領域95及び索体挿通領域96)が形成される。本実施形態の保持壁部94は、長手方向一端部及び他端部における上端部分が土台基部4の上面と連結されており、長手方向で保持壁部94における中央側に向かうにつれて上端部分が土台基部4の上面から上方に離間するように構成されている。
【0060】
ねじ挿通領域95は、ねじ82を挿通可能な上下方向に延びる空間である。また、ねじ挿通領域95は、挿通されるねじ82の軸部822における外径よりも内径が大きい空間であり、挿通されたねじ82と保持壁部94の間に、索体83がねじ82を回避するための回避空間97が形成される(図12参照)。
【0061】
索体挿通領域96は、索体83を土台基部4の上面の面方向に沿って挿通可能な空間であり、本実施形態では、ねじ挿通領域95の長手方向一方側及び他方側に設けられ、ねじ挿通領域95と長手方向で連通する。また、索体挿通領域96は、短手方向における幅がねじ挿通領域95の短手方向の幅よりも小さい。
【0062】
厚肉部91は、一対の保持壁部94にわたって延びるように設けられ、ねじ82を上下方向に挿通可能な孔を有する環状の部位であり、上面が平坦に構成されている。また、厚肉部91は、ねじ挿通領域95の上部に設けられる部位である。本実施形態の厚肉部91は、上面が挿通されるねじ82の頭部821と係合可能に構成されており、具体的に、厚肉部91は、内径が挿通されるねじ82の軸部822の外径よりも大きくねじ82の頭部821の外径よりも小さい環状の部位である。また、厚肉部91は、下端部が対向面3aよりも上方に位置するように構成されており、本実施形態では下端部が土台基部4の上面よりも上方に位置するように設けられている。
【0063】
第一薄膜部92は、厚肉部91が形成する孔を覆うように設けられる、土台基部4の上面の面方向に延びる薄膜の部位である。即ち、第一薄膜部92は、ねじ挿通領域95の上部を覆うように設けられた薄膜である。また、第一薄膜部92は、土台基部4の上面よりも上方に設けられ、上下方向に交差する方向に延びるように設けられた薄膜である。第一薄膜部92は、厚肉部91よりも厚み(上下方向長さ)が小さく構成された薄膜であり、挿通されるねじ82によって破れる程度の厚みである。本実施形態の第一薄膜部92は、厚肉部91の上端部分に設けられている。
【0064】
第二薄膜部93は、幅方向で一対の保持壁部94にわたって延び、索体挿通領域96の上部を覆うように設けられる薄膜の部位である。また、第二薄膜部93は、長手方向で厚肉部91の一方側と他方側に設けられており、一部(具体的には、一方側に設けられる第二薄膜部93における他端部及び他方側に設けられる第二薄膜部93における一端部)が厚肉部91に連結されている。さらに、第二薄膜部93は、一対の保持壁部94の上端部に沿って延び、且つ、下端部が土台基部4の上面に連結されている、土台基部4の上面よりも上方に設けられ、上下方向に交差する方向に延びるように設けられた薄膜である。第二薄膜部93は、厚み(上下方向長さ)が第一薄膜部92と同程度の薄膜であり、具体的には、厚肉部91よりも厚みが小さく、ドライバなどの工具で破ることができる程度の厚みである。
【0065】
以上のような鳥害対策具2用取付具を取付対象面7に取り付ける方法について説明する。鳥害対策具用保持具1を取付対象面7に取り付ける際には、(1)接着工程、及び(2)補助固定工程を行う。
【0066】
(1)接着工程は、第一実施形態における接着工程と同様であり、接着領域3bに接着剤81を配置して、対向面3aを取付対象面7に配置する工程である。ここで、図11に示すように、接着工程で接着領域3bに配置された接着剤81の一部が、ねじ挿通領域95及び索体挿通領域96に移動する。一方で、ねじ挿通領域95及び索体挿通領域96の第一薄膜部92及び第二薄膜部93で覆われているので、ねじ挿通領域95及び索体挿通領域96に移動した接着剤81が補助固定部9から外部に流れることを抑制できる。
【0067】
(2)補助固定工程は、補助固定部9にねじ82や索体83を挿通して、土台部3の取付対象面7への固定を補助する工程である。補助固定工程は、接着剤81が固着する前に行われることが好ましい。本実施形態の補助固定工程では、第一薄膜部92を破りながらねじ82を挿通する。具体的には、第一薄膜部92の上部にねじ82の軸部822を当て、工具などでねじ82を下方に押すことで、第一薄膜部92がねじ82によって破られ、ねじ82がねじ挿通領域95に挿通される。また、挿通されたねじ82と保持壁部94の間には、索体83を挿通可能な程度の広さの空間である回避空間97が形成される。また、挿通されたねじ82の頭部821の下面は、平坦な形状の厚肉部91の上面に当接する。
【0068】
また、補助固定工程では、第二薄膜部93を破って、補助固定部9の長手方向一方側から他方側に索体83を挿通する。具体的には、第二薄膜部93を工具などで破り、厚肉部91の下方を通るように索体83を長手方向一方側の索体挿通領域96からねじ挿通領域95を経由して他方側の索体挿通領域96まで挿通する。ここで、図12に示すように、挿通された索体83は、ねじ挿通領域95において、挿通されたねじ82を回避するように配置され、具体的には、回避空間97に配置される。
【0069】
以上のような構成の鳥害対策具用保持具1によれば、索体挿通領域96及びねじ挿通領域95の上部が薄膜で覆われているので、接着剤81が補助固定部9の上部に移動することを抑制でき、鳥害対策具用保持具1の設置状態における美観が接着剤81によって損なわれることを抑制でき、かつ、ねじ82や索体83を挿通する際に薄膜を簡単に破ることができるので設置作業において薄膜が邪魔になることを抑制できる。
【0070】
なお、薄膜(第一薄膜部92及び第二薄膜部93)が補助固定部9に設けられる場合について説明したが、このような構成に限らず、例えば、第一実施形態におけるねじ挿通部43やドーム部5の開口部54に薄膜部を設けるように構成することもできる。即ち、薄膜部は、対向面3aから外部に連通する空間に設けることで、対向面3aに配置された接着剤81が外部に移動することを抑制でき、また、必要に応じて工具などで薄膜を簡単に破ることができるため、施工性が損なわれることを抑制できる。
【0071】
また、ねじ挿通領域95及び索体挿通領域96は連通している場合について説明したが、このような構成に限らず、ねじ挿通領域95及び索体挿通領域96が連通していないように構成することもできる。このような構成を採用する場合には、索体83がねじ挿通領域95を回避できるように回避空間97を設けることが好ましい。
【符号の説明】
【0072】
1…鳥害対策具用保持具、2…鳥害対策具、21…針状体、3…土台部、3a…対向面、3b…接着領域、4…土台基部、4s…充填空間、41…充填壁部、411…長壁部、412…短壁部、42…固定部、421…固定上面、422…固定下面、423…固定側面、43…ねじ挿通部、44…保持部、45…窪み部、46…溝部、47…肉抜き孔、5…ドーム部、51…ドーム側壁、52…覆い部、53…覆い片、54…開口部、6…索体挿通部、6a…索体挿通孔、7…取付対象面、81…接着剤、82…ねじ、821…頭部、822…軸部、83…索体、9…補助固定部、91…厚肉部、92…第一薄膜部、93…第二薄膜部、94…保持壁部、95…ねじ挿通領域、96…索体挿通領域、97…回避空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12