(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024299
(43)【公開日】2024-02-22
(54)【発明の名称】情報処理方法、プログラム、及びシステム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20240215BHJP
G16Y 40/20 20200101ALI20240215BHJP
G16Y 20/20 20200101ALI20240215BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20240215BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G16Y40/20
G16Y20/20
G16Y10/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022127053
(22)【出願日】2022-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】514235341
【氏名又は名称】株式会社スマートドライブ
(72)【発明者】
【氏名】中村 圭佐
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB05
5H181BB12
5H181BB13
5H181BB15
5H181FF04
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF33
5H181MA44
(57)【要約】
【課題】シェア車両を利用する場合において、移動体の管理を効率的に行う情報処理技術の提供。
【解決手段】情報処理方法は、移動体に関する走行情報を時系列的に取得することと、前記移動体の鍵の受け取り時刻を特定することと、前記鍵の返却時刻を特定することと、前記時系列的に取得された走行情報のうち、前記受け取り時刻及び前記返却時刻によって特定される利用期間における走行情報を特定することと、前記特定された走行情報に基づいて、前記移動体の運用に関する解析情報を生成することと、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に関する走行情報を時系列的に取得することと、
前記移動体の鍵の受け取り時刻を特定することと、
前記鍵の返却時刻を特定することと、
前記時系列的に取得された走行情報のうち、前記受け取り時刻及び前記返却時刻によって特定される利用期間における走行情報を特定することと、
前記特定された走行情報に基づいて、前記移動体の運用に関する解析情報を生成することと、
を含む、情報処理方法。
【請求項2】
前記走行情報を新たに取得することに応じて、前記解析情報を更新することと、
を更に含む、請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記解析情報の生成の対象期間を特定することと、
前記対象期間のうち、前記利用期間ではない期間を前記解析情報の生成対象から除外することと、
を更に含む、請求項1又は2に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記鍵は情報処理装置にインストールされたアプリケーションによって実現されるバーチャルキーであって、
前記鍵の受け取り時刻は、前記バーチャルキーの使用権限が付与された時刻に対応し、
前記鍵の返却時刻は、前記バーチャルキーの使用権限が返却された時刻に対応する、
請求項1又は2に記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記鍵は情報処理装置にインストールされたアプリケーションによって実現されるバーチャルキーであって、
前記鍵の受け取り時刻は、前記情報処理装置と前記移動体または前記移動体に備えられたバーチャルキー用装置との通信が確立した時刻に対応し、
前記鍵の返却時刻は、前記情報処理装置と前記移動体または前記移動体に備えられたバーチャルキー用装置との通信が途絶した時刻に対応する、
請求項1又は2に記載の情報処理方法。
【請求項6】
前記鍵は情報処理装置にインストールされたアプリケーションによって実現されるバーチャルキーであって、
前記アプリケーション側のAPIを解放することと、
前記解放されたAPIを通じて、前記バーチャルキーがアクティブであるかどうかを判断することと、
を更に含み、
前記鍵の受け取り時刻は、前記バーチャルキーがアクティブとなった時刻に対応し、
前記鍵の返却時刻は、前記バーチャルキーが非アクティブとなった時刻に対応する、
請求項1又は2に記載の情報処理方法。
【請求項7】
前記解析情報は、所定期間における前記移動体に関するイベントを表示したタイムラインを含み、
前記所定期間内であって、前記利用期間以外の期間においては、前記移動体に関するイベントを表示しない、
請求項1又は2に記載の情報処理方法。
【請求項8】
前記解析情報は、所定期間における前記移動体に関する運転スコアの増減を時系列的に示した情報を含み、
前記所定期間内であって、前記利用期間以外の期間においては、前記移動体に関する運転スコアの増減を表示しない、
請求項1又は2に記載の情報処理方法。
【請求項9】
コンピュータに、
移動体に関する走行情報を時系列的に取得することと、
前記移動体の鍵の受け取り時刻を特定することと、
前記鍵の返却時刻を特定することと、
前記時系列的に取得された走行情報のうち、前記受け取り時刻及び前記返却時刻によって特定される利用期間における走行情報を特定することと、
前記特定された走行情報に基づいて、前記移動体の運用に関する解析情報を生成することと、
を実行させる、プログラム。
【請求項10】
移動体に関する走行情報を時系列的に取得する取得部と、
前記移動体の鍵の受け取り時刻を特定する受け取り時刻特定部と、
前記鍵の返却時刻を特定する返却時刻特定部と、
前記時系列的に取得された走行情報のうち、前記受け取り時刻及び前記返却時刻によって特定される利用期間における走行情報を特定する走行情報特定部と、
前記特定された走行情報に基づいて、前記移動体の運用に関する解析情報を生成する生成部と、
を含む、情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体の管理を効率化するための情報処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の移動体を管理するフリートマネジメント等、移動体や移動体の運転者の管理を行うにあたり、その管理を効率化したい、更には、管理を通じて運転者による運転品質を向上したいという社会的需要がある。例えば、特許文献1には、車両の運行状況を管理するための運行管理装置が開示されている。さらに、例えば、特許文献2においては、フリート間で車両を共有するための方法及びシステムが開示されており、車両レンタル会社の車両が遊休している週末等に、車両共用エンティティが車両の一部を使用することを許可すること等が開示されている。さらに、たとえば、特許文献3においては、車両をシェアするシェアリングサービスにおいて、利用料金の決済を簡易にすべく、ユーザのICカードからユーザ識別情報を読み取ることによって利用時間の開始及び終了を特定すること等が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-38672号公報
【特許文献2】特表2017-519270号公報
【特許文献3】特開2022-035847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば、シェアリングサービスの対象となる車両を含めて車両管理を行う場合において、これら従来技術においては、管理対象のドライバーの移動体利用時間を適切かつ簡易に特定することは開示も暗示されていなかった。
【0005】
本発明は、シェア車両を利用する場合において、移動体の管理を効率的に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、情報処理方法は、移動体に関する走行情報を時系列的に取得することと、前記移動体の鍵の受け取り時刻を特定することと、前記鍵の返却時刻を特定することと、前記時系列的に取得された走行情報のうち、前記受け取り時刻及び前記返却時刻によって特定される利用期間における走行情報を特定することと、前記特定された走行情報に基づいて、前記移動体の運用に関する解析情報を生成することと、を含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る情報処理方法によれば、シェア車両を利用する場合において、移動体の管理を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】車両管理システムのシステム構成の一例を示す図である。
【
図2】サーバ10の機能構成の一例を示す図である。
【
図3】走行情報取得装置20の概略構成例を説明するブロック図である。
【
図4】走行情報取得装置20とサーバ10との間のデータ通信の態様を示した模式図である。
【
図5】情報処理装置30の機能構成の一例を示す図である。
【
図6】における情報処理端末40の機能構成の一例を示す図である。
【
図7】第一実施例におけるドライバーD1により移動体1の利用時間の切り分けの概念図である。
【
図8】第一実施例におけるサーバ10が行う移動体利用時間切り分け処理のフローチャートである。
【
図9】第一実施例における解析出力処理の一例である、移動体1を含む複数の移動体の位置を地図上に示す処理の出力例である。
【
図10】第一実施例における解析出力処理の一例である地図上への移動体位置プロット処理のフローチャートである。
【
図11】第一実施例におけるステップS1013において作成されるレポート情報の一例である。
【
図12】変形例1における車両管理システムのシステム構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態の一例について図面を参照して説明する。
なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する場合がある。
また、これらの実施形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、本発明の範囲をそれらに限定する趣旨のものではない。
【0010】
[実施形態]
以下、本発明の情報処理技術を実現するための実施形態について説明する。
本実施形態に記載の内容は、他の各実施例や各変形例のいずれにも適用可能である。
【0011】
以下では、例えば、車両を運用する事業者が、共用車両である移動体を管理する例について説明する。なお、共用車両は、事業者に紐づいたドライバーのみでなく、事業者に紐づかない他のドライバーによっても運行されるものとする。
【0012】
図1は、本実施形態における車両管理システムのシステム構成の一例を示す図である。
システムとは、サーバ10、走行情報取得装置20、情報処理装置30、情報処理端末40等を含んで構成され、それらの装置が協働し処理を実行する仕組みである。
本実施形態における車両管理システムでは、例えば、ネットワークNW(例えば、インターネット)を介して、サーバ10と、移動体1に備えられた走行情報取得装置20と、事業者A1に紐づく(例えば、従業員である)ドライバーD1によって保持される情報処理装置30と、サーバ10によって走行情報を解析した結果であるレポート情報を閲覧可能な情報処理端末40とが通信可能に接続される。
【0013】
なお、
図1に示すように、移動体1は他のユーザとシェアされており、ドライバーD1の他にドライバーD2によっても運転がなされる。ドライバーD2はドライバーD1と同じく事業者A1に紐づいていてもよいし、紐づいていなくともよい。すなわち、本実施形態においては、ドライバーD1による移動体1の運転に関する走行情報を収集することを主目的とするが、ドライバーD1の走行情報と切り分けた態様で、ドライバーD2による移動体1の運転に関する走行情報も収集してもよく、そしてドライバーD2も事業者A1に紐づく場合は、その収集したドライバーD2による走行情報を解析することとしてもよいし、事業者A1に紐づかない場合(例えば、事業者A1とは異なる企業にドライバーD2が紐づく場合)は、走行情報を解析しなくともよい。また、本実施形態における車両管理システムでは、サーバ10を複数接続してもよい。
【0014】
移動体1は、本実施形態においては、走行情報解析の対象の少なくとも一部となるものであり、例えば、ビジネス上利用される自動車であるが、特に自動車に限定されず、任意の移動体(自動二輪車、トラック、自転車等も含む)が適用可能である。移動体1には、後述する走行情報取得装置20が備えられている。
【0015】
サーバ10は、例えば、ドライバーごとの走行情報を切り分ける機能を有する。また、サーバ10は、ドライバーごとに蓄積された走行情報に基づいて、レポート情報を生成しネットワークNWを通じて出力する機能を有する。
【0016】
図2に、サーバ10の機能構成の一例を示す。サーバ10は、例えば単一のサーバとして、あるいは機能ごとに別々のサーバから構成される分散サーバとして構成される。クラウドサーバと呼ばれるクラウド環境に作られた分散型の仮想サーバとしてサーバ10を構成することもできる。サーバ10は、
図2に示すように、例えば、通信部110と、記憶部120と、処理部130と、時計部140等を備えて構成される。
【0017】
通信部110は、サーバ10内部で利用される情報を外部の装置との間でネットワークを介して送受信するための通信装置である。通信部110の通信方式としては、イーサネットやUSB(Universal Serial Bus)等所定の通信規格に準拠したケーブルを介して有線接続する形式や、Wi-Fi(登録商標)や5G(第5世代移動通信システム)等所定の通信規格に準拠した無線通信技術を用いて無線接続する形式、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信を利用して接続する形式等、種々の方式を適用可能である。
【0018】
記憶部120は、ROMやEEPROM、フラッシュメモリ、RAM等の揮発性又は不揮発性のメモリや、ハードディスク装置等を有して構成される記憶装置である。記憶部120には、例えば、本実施形態にて行われる各処理に対応するプログラムやシステムプログラム等の各種プログラムや、走行情報取得装置20から受信した走行情報及び各種プログラムによる処理結果等が記憶される。
【0019】
処理部130は、記憶部120に記憶されているシステムプログラム等の各種プログラムに従ってサーバ10の各部を統括的に制御し、情報処理に係る各種の処理を行う処理装置であり、CPUやGPU、DSP等のプロセッサーやASIC等の集積回路を有して構成される。
【0020】
時計部140は、サーバ10の内蔵時計であり、例えば、水晶発振器を利用したクロックに基づいて取得した時刻情報(計時情報)を出力する。なお、時計部140は、NITZ(Network Identity and Time Zone)規格等に準じて、通信部110とネットワークNWとを介して時刻情報を取得するようにしてもよい。
【0021】
走行情報取得装置20は、例えば、走行情報取得装置20を備える移動体1についての走行情報を取得する機能を有する。また、走行情報取得装置20は、収集した走行情報をネットワークNWを通じてサーバ10に送信する機能を有する。
例えば、走行情報取得装置20は、移動体1のソケット(一例として、シガーソケット、電気供給用ソケット、又は、接続用ソケット)に挿入して、自動車の車両内に固定することができる。電気供給用ソケット又は接続用ソケットは、たとえばUSB(Universal Serial Bus)をサポートするソケットである。無論、走行情報取得装置20はかかるものに限定されず、例えば、ドライブレコーダーや、その他任意のIoT機器などであってよく、それらが単体で、または複数の機器を組み合わせることで、走行情報取得装置20の各構成要素を備えていれば、どのような態様で車両に備えられてもよい。
【0022】
図3は、走行情報取得装置20の概略構成例を説明するブロック図である。
図2に示すように、走行情報取得装置20は、例えば、制御部210、記憶部220、通信部230、位置情報取得部240、速度情報取得部250、及び、加速度情報取得部260を備えて構成される。
【0023】
制御部210は、所定のプログラム(例えば、記憶部220に記憶されたプログラム) を実行することによって、走行情報取得装置20の各機能を実現する。例えば、位置情報取得部240によって取得された位置情報、速度情報取得部250により取得された速度情報、及び加速度情報取得部260により取得された加速度情報に対し、取得時間に対応する時間情報を紐付け、外部装置、例えばサーバ10へと通信部230を介して送信する制御を行う。
【0024】
記憶部220は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、ROM(Read-Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を含み、制御部210が処理する制御プログラムや、各種データ、例えば、位置情報取得部240によって取得された位置情報、速度情報取得部250により取得された速度情報、及び加速度情報取得部260によって取得された加速度情報などを記憶する。なお、記憶部220は、走行情報取得装置20に内蔵されるものに限らず、USB(Universal Serial Bus)等のデジタル入出力ポート等によって接続された外付け型の記憶装置でもよい。
【0025】
通信部230は、例えば、LTE(Long Term Evolution)や3G、4G、5G等の移動体通信、DSRC(Dedicated Short Range Communication)等の狭帯域通信を用いて、インターネット等の公共のネットワークNWに接続し、同ネットワークNWに接続されたサーバ10等の各機器とのデータ通信が可能なモジュールである。
例えば、通信部230を通じて走行情報取得装置20はサーバ10に対してデータ送信を行う。
【0026】
位置情報取得部240は、例えば、GNSS衛星(例えばGPS衛星)から到来する電波に基づいて走行情報取得装置20の位置情報(例えば、緯度経度情報)を時系列的に取得する。この位置情報の取得は、所定時間間隔(例えば、1秒ごと)で行われることが好ましい。すなわち、走行情報取得装置20が備えられた移動体1の位置情報を取得することができる。取得された位置情報は、当該位置情報を取得した時刻(現在時刻)と紐付けられて、記憶部220に格納される。
ここで、位置情報取得部240は、GPSによる位置情報を取得すると共に、その位置情報の精度を示す精度値(例えば、5m、10m、100mといった位置精度、DOP値等)を取得することとしてもよい。この場合、取得された位置情報及び精度値が現在時刻と紐付けられて、記憶部220に格納される。
【0027】
なお、位置情報取得部240による位置情報の取得方式は、上記のものに限られず、任意の位置情報取得方式を適用してよい。例えば、道路脇に設置された路側機により発せられる当該路側機に固有の位置情報を含んだ電波を、走行情報取得装置20を搭載した移動体1が近接した際に位置情報取得部240が受信することで、走行情報取得装置20の位置情報を取得することとしてもよい。
【0028】
速度情報取得部250は、移動体1の走行速度を定期的に取得し、当該走行速度を制御部210に供給する。速度取得部250は任意の構成であってよいが、例えば、位置情報取得部240によって取得された位置情報に基づいて速度情報を算出することとしてもよい。この場合、速度情報取得部250は備えなくともよい。または、移動体1に搭載される不図示の車速パルス取得部によって取得される車速パルス情報を取得し、その車速パルス情報に基づいて移動体1の速度を算出することとしてもよい。
【0029】
加速度情報取得部260は、車両の加速度を取得するものであり、例えば、圧電型加速度センサによって加速度を取得するように構成される。なお、位置情報取得部240によって取得される位置情報によって取得される速度情報に基づいて、車両の加速度を算出することとしてもよく、かかる場合には、加速度情報取得部260は備えなくともよい。
【0030】
図4は、走行情報取得装置20とサーバ10との間のデータ通信の態様を示した模式図である。
図4に示すように、走行情報取得装置20は、携帯端末Tを介して、または直接にサーバ10と接続される。
なお、走行情報取得装置20は移動体1に備えられるものに限られず、スマートフォン等、移動体1の乗車者が保持する機器であってもよい。この場合、例えば、後述する情報処理装置30に走行情報取得装置20の各機能が含まれていてもよい。
【0031】
情報処理装置30は、例えば、移動体1の利用を可能とするバーチャルキー機能を有する。この場合、例えば、移動体1をシェアするサービスにおいて提供されるアプリケーション等を通じてバーチャルキー機能が実現される。また、情報処理装置30は、移動体1に関するバーチャルキーの受け渡し時刻を記録しサーバ10に送信する機能や、移動体1の走行情報を解析した結果等を表示する機能等を有する。
【0032】
図5に、情報処理装置30の機能構成の一例を示す。情報処理装置30は、
図5に示すように、例えば、処理部310と、記憶部320と、第一通信部330と、表示部340と、音声出力部350と、操作部360と、第二通信部370、時計部380等を備えて構成される。
【0033】
処理部310は、記憶部320に記憶されているシステムプログラム等の各種プログラムに従って情報処理装置30の各部を統括的に制御し、情報処理に係る各種の処理を行う処理装置であり、CPUやGPU、DSP等のプロセッサーやASIC等の集積回路を有して構成される。
【0034】
記憶部320は、記憶部220と同様にROMやEEPROM、フラッシュメモリ、RAM等の揮発性又は不揮発性のメモリや、ハードディスク装置等を有して構成される記憶装置である。記憶部320には、例えば、本実施形態にて行われる各処理に対応するプログラムやシステムプログラム等の各種プログラムや、サーバ10等から受信した情報及び各種プログラムによる処理結果等が記憶される。
【0035】
第一通信部330は、情報処理装置30内部で利用される情報を外部の装置との間でネットワークNWを介して送受信するための通信装置である。通信部330の構成は、例えば、通信部210と同様に構成可能であるため、その詳細説明は省略する。
【0036】
表示部340は、LCD(Liquid Crystal Display)やOELD(Organic Electro-luminescence Display)等を有して構成される表示装置であり、処理部310から出力される表示信号に基づいた各種の表示を行う。
例えば、表示部340は、移動体1に対応するバーチャルキー機能に関する情報(バーチャルキーが利用可能/不可能である旨等)や、移動体1の走行情報に基づいて生成される各種情報等を表示する。
【0037】
音出力部350は、D/Aコンバータやスピーカ等を有して構成される音出力装置であり、処理部310から出力される音出力信号に基づいた各種の音出力を行う。
例えば、音出力部350は、走行情報取得装置20により取得された走行情報に基づいて危険運転が探知されたとき等、何らかの情報を運転者に報知すべき状況において、その旨のメッセージを音声で、又はビープ音で報知する。
【0038】
操作部360は、キーボードやマウス等の、ユーザが情報処理装置30に対する各種の操作入力を行うための入力装置を有して構成される。操作部360からは、ユーザ操作に対応した操作信号が処理部310に出力される。
例えば、操作部360は、表示部340に表示された情報に対応してユーザにより入力される情報を受け付ける。
【0039】
なお、操作部360は、表示部340と一体的に構成された不図示のタッチパネルを有し、このタッチパネルは、ユーザ(管理者)と情報処理装置30との間の入力インターフェースとして機能するようにしてもよい。
【0040】
第二通信部370は、移動体1に搭載された例えば鍵機能とのデータ送受信を行い、インストールされたアプリケーションと協働して情報処理装置30をバーチャルキーとして機能することができる通信装置である。第二通信部370の通信方式としては、Wi-Fi(登録商標)や5G(第5世代移動通信システム)等所定の通信規格に準拠した無線通信技術を用いて無線接続する形式、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信を利用して接続する形式等、種々の方式を適用可能である。
【0041】
時計部380は、例えば、サーバ10の時計部240と同様に構成可能である。
【0042】
図6に、情報処理端末40の機能構成の一例を示す。情報処理端末40は、
図6に示すように、例えば、処理部410と、記憶部420と、通信部430と、表示部440と、音声出力部450と、操作部360等を備えて構成される。
これら各機能部は、情報処理装置30の処理部310、記憶部320、第一通信部330、表示部340、音声出力部350、及び操作部360と同様に構成可能であるため、その詳細説明は省略する。
【0043】
ネットワークNWは、各装置間を、有線接続あるいは無線接続、あるいはその両方で接続する通信網である。
【0044】
[第1実施例]
第1実施例は、ドライバーD1が移動体1に乗車及び降車する際に、情報処理装置30におけるバーチャルキーの受け渡しを行い、その受け渡し時刻を記録し、サーバ10に送信する。そして、サーバ10は、受信した受け渡し時刻に関する情報に基づいて、ドライバーD1による移動体1の利用時間を切り分け、また切り分けた時刻に基づいて特定される走行情報に基づいてレポート情報を生成し出力する実施例である。
第1実施例に記載の内容は、他の各実施例や各変形例のいずれにも適用可能である。
【0045】
図7は、本実施例におけるドライバーD1により移動体1の利用時間の切り分けの概念図である。
本実施例においては、各ドライバーによる移動体1の利用時間の切り分けは、鍵の受け取り及び返却に基づいて行われる。
図7に示す例においては、まずB社に所属するドライバーD2が基づいて移動体1を利用し、その後にA社に所属するドライバーD1が移動体1を利用し、その後再度B社のドライバーD2が移動体1を利用する状況において、どのように各ドライバーによる移動体1の利用時間を切り分けるかが示されている。
【0046】
図7上部に示すように、各ドライバーによる移動体1の利用時間の切り分けは、鍵の受け取り及び鍵の返却の時刻に基づいて行うので、まず、ドライバーD2が鍵を受け取ることでドライバーD2の利用開始時間が記録され、ドライバーD2が鍵を返却することでドライバーD2の利用終了時間が記録される。そして同様に、返却された鍵をドライバーD1が受け取ることでドライバーD1の利用開始時間が記録され、ドライバーD1が鍵を返却することでドライバーD1の利用終了時間が記録する。
サーバ10は、これらドライバーそれぞれの利用開始時間及び利用終了時間に基づいて利用時間の切り分けを行う。
【0047】
ここで例えば、
図7下部に示すように、各ドライバーの利用時間の切り分けを予約時間に基づいて行おうとした場合、予約した時間を超えて移動体1をドライバーが利用することがありうるため、正確な切り分けが行えない恐れがあることがわかる。
【0048】
[移動体利用時間切り分け処理]
以下、本実施例における処理の手順例について説明する。
図8は、サーバ10が行う移動体利用時間切り分け処理のフローチャートである。
なお、以下説明するフローチャートは、あくまでも本実施例における情報処理の手順の一例を示すものに過ぎず、他のステップを追加したり、一部のステップを削除したり、一部のステップを他の装置の処理部において実行してもよい。
【0049】
また、本実施形態においては、限定ではなく例として、受け取り及び返却の対象となる移動体1の鍵がバーチャルキーであるものとする。具体的には、情報処理装置30にインストールされたバーチャルキーアプリケーションがサーバ10(又は別途の認証サーバ)による認証処理や、通信部370によるデータの送受信等を通じて、移動体1のドアの開閉及びエンジンの始動等を可能とするものである。
また、情報処理装置30におけるバーチャルキーの実現においては、対応するバーチャルキーアプリケーションがインストールされ、かかるバーチャルキーアプリケーションを通じて、使用するドライバーの情報(例えば、ドライバーの氏名、所属等)がアカウント情報としてサーバ10に登録されているものとする。
【0050】
さらに、移動体利用時間切り分け処理とは独立に、サーバ10においては、移動体1からは走行情報取得装置20を通じて時系列的に走行情報が取得されているものとする(S1101)。走行情報とは、例えば、加速度情報、速度情報、位置情報などが挙げられるが、これらに限られず、移動体1の走行に関する情報であれば特に限定されない。本実施形態においては、取得される走行情報はこれら加速度情報、速度情報、位置情報などの情報を少なくとも1つ含んで構成されているものとする。対応して、走行情報取得装置20は、例えば、位置情報取得部140、速度情報取得部150及び加速度情報取得部160のうち少なくとも1つを含んで構成されていればよい。
【0051】
まず、サーバ10は、情報処理装置30を通じて、鍵の使用権限の要求があったかどうかを判断する(S1001)。鍵の使用権限の要求があったかどうかとは、例えば、情報処理装置30におけるバーチャルキーアプリケーションに対して、操作部360を通じて移動体1の鍵を使用可能としたい旨の入力があったかどうかにより判断される。
【0052】
鍵の使用権限の要求がなかったと判断されたとき(S1001;N)は、ステップS1001に戻り改めて同様の判断を行う。
鍵の使用権限の要求があったと判断されたとき(S1001;Y)は、鍵の使用権限を要求したドライバーを特定する(S1003)。具体的には、例えば、鍵の使用権限の要求を受理したバーチャルキーアプリケーションを使用しているアカウント情報を参照して特定する。
【0053】
そして、そのドライバーに対して鍵の使用権限を付与するとともに、権限を付与した時刻を時計部380から取得し記録する(S1005)。鍵の使用権限付与は、所定の条件(例えば、その時点において移動体1が使用中でない、事前に予約を行った期間内である、予約をしたユーザが申請している等)を満たしていることで行われる。
また、鍵の使用権限付与がなされるとは、使用権限の要求が行われたバーチャルキーアプリケーションがインストールされた情報処理装置30において、第二通信部370等を介して移動体1のドアの開閉およびエンジンの始動等を可能化することを示す。
【0054】
ステップS1005以降、どのドライバーによって移動体1が利用されているかが認識可能であることから、時系列的に取得されている移動体1の走行情報に基づいた解析を行う解析出力処理を行う(S1007)。解析出力処理については後述する。
【0055】
ステップS1007の後、鍵の使用権限の返却があったかどうかを判断する(S1009)。鍵の使用権限の返却があったかどうかとは、鍵の使用権限の要求と同様に、情報処理装置30上のバーチャルキーアプリケーションにおいて、操作部360を通じて移動体1の鍵を返却したい旨の入力があったかどうかにより判断される。
また、鍵の使用権限の返却がなされることにより、第二通信部370等を介して可能となっていた移動体1のドアの開閉およびエンジンの始動等が不可能となる。
【0056】
ステップS1009において、鍵の使用権限の返却がなかったと判断された場合(S1009;N)は、ステップS1007に戻り、解析出力処理を継続する。
鍵の使用権限の返却があったと判断された場合(S1009;Y)は、鍵の使用権限の返却があった時刻を記録する(S1011)。
【0057】
ステップS1011の後は、鍵の使用権限の付与時刻、及び返却時刻によって特定される期間(以下、「特定期間」という。)を含めた期間において取得された移動体1の走行情報に基づいて、レポート情報を作成する(S1013)。なおステップS1013の実行は任意であり、行わなくともよい。レポート情報については後述する。
【0058】
[解析出力処理]
以下、ステップS1007において行われる解析出力処理について説明する。
本実施形態における解析出力処理とは、移動体1について取得される走行情報に基づいて行われる処理であり、例えば、
図9、
図10に示すように、移動体1の位置を地図上に示したり、移動体1における運転品質の変化を示したりする処理等が挙げられる。
解析出力処理においては、走行情報は随時取得され、またそれに対応して随時処理が行われるため、リアルタイム的に行われる。
【0059】
図9は、解析出力処理の一例である、移動体1を含む複数の移動体の位置を地図上に示す処理の出力例である。かかる出力は、例えば、サーバ10にネットワークNWを介して接続された情報処理端末40の表示部440に表示されるものである。
図9に示すように、地図上において、走行中の移動体については丸型のアイコンで、停車中の移動体については四角型のアイコンでその位置が示されている。この出力は、ステップS1007の実行時点で取得された走行情報に含まれる位置情報に基づいて行われており、ステップS1007が繰り返し行われることにより、各移動体の最新の位置表示が更新される。
【0060】
図10は、解析出力処理の一例である地図上への移動体位置プロット処理のフローチャートである。
移動体位置プロット処理においては、まず、ステップS1007の実行時において取得されている最新の走行情報に含まれる位置情報を抽出する(S10071)。
【0061】
次に、ステップS1007の実行時において取得されている最新の所定数(例えば、5)の走行情報に基づいて、移動体1が走行中かどうかを判断する(S10072)。最新の所定数の走行情報に基づいて移動体1が走行中かどうかの判断方法は特に限定されないが、例えば、所定数の走行情報それぞれに含まれる位置情報の差分の大きさに基づいて判断してもよい。
【0062】
そして、移動体1を、ステップS10072において判断された内容に基づいた表示態様で、ステップS10071において抽出された位置情報に基づいて地図上にプロットする(S10073)。
このようにすることにより、各移動体について、現時点でどのような位置にいるのかをリアルタイムで把握することができる。
【0063】
なお、移動体1がシェア車両である場合においては、鍵の使用権限の受け取り後から使用権限の返却に至るまでの間は、他の車両と同様の表示がなされるが、鍵の使用権限の受け取り前又は使用権限の返却後においては、対応するアイコンを表示しない態様とすることが好ましい。又は、走行情報が取得されつつも、最後に鍵の使用権限の返却を行った位置にて停止して、業務終了の旨を示すアイコンの態様で表示することとしてもよい。
すなわち、管理外のドライバーによるシェア車両である移動体1の利用については、サーバ10にて引き続き走行情報を取得してもよいが、出力においてはその利用状況を反映しない態様とする。
【0064】
[レポート情報作成]
上述の説明において、ステップS1013により、レポート情報が作成されることとしているが、そのレポート情報の一例について以下説明する。
なお、以下説明する内容はあくまでレポート情報の一例であり、レポート情報はこの内容に限定されない。レポート情報は、取得された走行情報に基づいて生成された任意の情報を含んで構成されることとしてよい。
【0065】
図11は、ステップS1013において作成されるレポート情報の一例である。
図11に示すレポート情報は、例えば、情報処理装置40の操作部460を通じてされた作成リクエストに応じてレポート情報が作成される。そして、作成されたレポート情報は例えば表示部440に表示され、移動体1を含む複数の移動体を管理する管理者等により内容が閲覧される。
【0066】
図11に示すように、レポート情報は、例えば、以下に説明する領域を含んで構成されている。
【0067】
領域U11は、レポート情報が作成される対象のドライバー(以下、「対象ドライバー」と呼ぶ)に関する情報(例えば、氏名及び所属)、並びに、レポート情報の作成対象期間(以下、「対象期間」と呼ぶ)を含んで構成されている。ここで、対象期間は任意に設定可能であり、設定された対象期間に対応する走行情報に基づいて各解析処理が行われ、各出力が行われる。
ただし、移動体1においては、特定期間外では対象ドライバーであるドライバーD1による利用はされていないことから、特定期間外での走行情報はレポート情報作成には用いられない。よって、移動体1に関するレポート情報を作成する際において、対象期間を特定期間外の期間を含むように設定した場合は、対象期間における走行情報が一部欠損した形でレポート情報の各要素が作成されることになる。
なお、本実施形態においては、対象ドライバーがシェア車両である移動体1のみを特定期間において利用し、他の車両を利用しなかった場合を例として以下説明するが、特定期間外において対象ドライバーが別の車両を利用していた場合においては、その別の車両における走行情報に基づいて、解析処理及び出力が行われる。
【0068】
領域U12は、対象ドライバーにより運転された移動体についての、対象期間における走行情報に基づいて算出された各運転関連スコア(例えば、運転スコア、加速スコア、減速スコア、ハンドルスコア)である。ここで、運転関連スコアとは、限定ではなく例として、移動体における対象ドライバーによる運転の様々な観点での品質をスコア化したものである。加速は移動体における前方向への加速度の品質の評価値、減速は移動体における後方向への加速度の品質の評価値、ハンドルは移動体1における左右方向への加速度の品質の評価値であり、運転スコアは加速、減速、及びハンドルの全ての加速度の品質の評価値である。
【0069】
領域U13は、対象ドライバーにより運転された移動体についての、対象期間における走行情報に基づいて生成された走行情報マップである。走行情報マップとは、例えば、取得した走行情報に含まれる加速度情報を方向及び大きさに基づいて二次元にマップ化したものであり、本実施形態においては、加速度情報について、所定の区分ごとにその発生頻度をカウントし、そのカウント値に基づいた表示を各区分の領域について行ったものである。なお、加速度マップにおける各区分における表示は、発生頻度に関するものに限られず、例えば、発生確率に基づくものであってもよい。
なお、生成される走行情報マップは、加速度情報をマップ化したものではなく、速度情報をマップ化したものであってもよい。または、加速度情報と速度情報との両方をマップ化したものであってもよい。この場合、速度情報はデータ処理装置10における速度情報取得部150によって取得された速度情報を用いてもよいが、位置情報に基づき算出された速度情報(例えば、速度の状態値)を用いてもよい。
【0070】
領域U14は、対象ドライバーによる対象期間における運転に関するタイムライン情報である。タイムライン情報とは、対象ドライバーが移動体を運転中に発生した各イベントについての情報をまとめたものであり、本実施形態においては、開始時刻(始まる時間)、イベント内容、イベント内容のカテゴリー、及び発生期間を出力することとしている。タイムライン情報を提供することにより、対象ドライバーがどのような作業を行ったか、また、運転品質がどのようなものであったかを管理者等が確認することができる。
ここで、対象期間が特定期間外の期間を含むように設定した場合においては、その特定期間外の期間における移動体のタイムライン情報は生成されない。すなわち、領域U14に示されているように、特定期間外についてのタイムライン情報は表示されず、グレーで表示され、かつ「走行情報収集対象期間外」である旨が記載されている態様となっている。
【0071】
領域U15は、対象ドライバーによる対象期間における走行情報に含まれる位置情報に基づいて、対象ドライバーが運転する移動体の軌跡、及び、所定の運転が観測された位置を地図上にマッピングした情報である。かかる情報を提供することにより、対象ドライバーがどのように移動体を運用したか、またどの場所でどのような運転品質であったかを管理者等が確認することができる。
同様に、ここで、対象期間が特定期間外の期間を含むように設定した場合においては、その特定期間外の期間における移動体1の位置情報によるマッピングは行われない。すなわち、特定期間外の期間における移動体1がどのように移動したかは分からない態様となっている。
【0072】
領域U16は、対象ドライバーにより運転された移動体についての、対象期間における運転の品質において、運転スコア算出に影響するスコア減点が発生したタイミング及びその大きさを時系列的に示した情報である。すなわち、どの程度スコア減点が発生したかを時間情報に紐づけて出力したものに基づいて表示している。かかる情報を提供することにより、どのようなタイミングで、何によってスコアが下がったのかを把握することができる。
なお、ここでいう時間情報は、対応する走行情報が取得され記憶部220に記憶される際に紐づけて記憶される時間情報を用いてもよいし、出力される際の時刻を時計部240から取得して用いてもよく、特に時間情報の取得方法は限定されない。
【0073】
なお、上述の説明においては、各加速度情報についてその方向及び大きさに応じて減点スコアを導出することとしているが、この態様に限られない。少なくとも、各走行情報についての内容に応じた加減点スコアを導出し、それら各走行情報における加減点スコアに基づいて最終的な運転スコアを算出すればよい。
加減点スコアは、好ましい運転に対応する走行情報であったときはプラス値としてもよいし、無論、0であってもよいし、マイナス値であってもよい。最終的な運転スコアの算出においては、これら加減点スコアの総和値に、例えば基準点を70点とすると70を足し合わせることで運転スコアを算出するといった例が挙げられる。
【0074】
そして、減点スコアではなく加減点スコアが算出された場合においては、領域U16は、対象ドライバーによる対象期間における運転において、スコアの加減点が発生したタイミング及びその大きさを時系列的に示すこととしてもよい。
【0075】
このようにレポート情報を出力することで、対象ドライバーによる移動体の運用内容をまとめて把握することができる。この際、対象ドライバーでないドライバーがシェア車両である移動体1を運転していた期間を除外した形でレポート情報が生成し出力されるため、シェア車両を含めて管理する場合であっても、適切に必要な部分を抽出した走行情報によってレポート情報を生成することができる。
【0076】
[変形例1]
変形例として、鍵がバーチャルキーではなく、物理的な鍵(物理キー)である場合について以下説明する。
利用時間の切り分けは、上述した実施例と同様に鍵の受け取り及び鍵の返却の時刻に基づいて行う。変形例である物理的な鍵の場合においては、一例として以下のように行う。
【0077】
図12は、変形例における車両管理システムのシステム構成の一例を示す図である。
変形例において、システムとは、サーバ10、走行情報取得装置20、情報処理端末40、鍵BOX50等を含んで構成され、それらの装置が協働し処理を実行する仕組みである。
変形例における車両管理システムでは、例えば、ネットワークNW(例えば、インターネット)を介して、サーバ10と、移動体1に備えられた走行情報取得装置20と、サーバ10によって走行情報を解析した結果であるレポート情報を閲覧可能な情報処理端末40と、移動体1の鍵を収納しその取り出しを認識可能である鍵BOX50等が通信可能に接続される。
【0078】
鍵BOX50は、物理キーを格納し補完するための容器であり、例えば、シェア車両である移動体1が通常駐車されている場所(例えば、シェア車両が配置される駐車場)の近傍に配置される。
鍵BOX50は、物理キーの有無について、又は、物理キーが取り出されたか若しくは返却されたかについての情報を取得可能であり、接続されたネットワークNWを通じてサーバ10に送信可能に構成されている。
【0079】
まず、S1001と類似して、サーバ10は、鍵BOX50において、物理キーの取り出しがあったかどうかを判断する。物理キーの取り出しがあったかどうかとは、限定ではなく例として、鍵BOX50の内部において物理キーの有無を探知できる手段(例えば、物理キーに供えられたタグによる信号を探知するセンサー)により判断する。
その他の手段の例として、鍵BOX50内における重さを測定する手段により、物理キーが取り出されたかどうかを判断することとしてもよい。また、物理キーを鍵BOX50に供えられたスイッチと連動しておき、物理キーが取り出されることにより当該スイッチが作動することで、物理キーが取り出された旨の情報がサーバ10に送信されることとしてもよく、手段のあり方は特に限定されない。
【0080】
次に、ステップS1003と類似して、物理キーを取り出したドライバーを特定する。変形例においてドライバーを特定するにあたっては、限定ではなく例として、鍵BOX50を開けるにあたってドライバー情報の入力を受け付ける手段を設け、適切なドライバー情報の入力があれば鍵BOX50の開閉を可能とするとともに、入力されたドライバー情報をサーバ10に送信することで特定する。
その他の手段の例として、ドライバーD1が、鍵BOX50から取り出した物理キーに記載された識別番号と、自身のドライバー情報を、
図1の情報処理装置30と同様の機能を有した不図示の情報処理装置に入力し、それら入力された情報をサーバ10に送信することで特定することとしてもよく、手段のあり方は特に限定されない。
【0081】
ステップS1003以降の処理については、上述した実施例と同様である。なお、ステップS1009に類似して、物理キーの返却があったかどうかの判断については、物理キーの取り出しがあったかどうかの逆を行うことで実現してもよいし、その他、任意の手段を適用可能である。
【0082】
[その他変形例]
上述の説明においては、情報処理装置30において実現されるのはバーチャルキー機能のみであったが、情報処理装置30において実現されるのはバーチャルキー機能に限られない。例えば、表示部340及び音出力部350の少なくとも1つによって、情報処理装置30を保持する移動体1の乗車者に対する何らかの情報の報知を行うこととしてもよい。
例えば、バーチャルキー機能に付随して、鍵の使用権限の受け取り及び返却にかかる予定時間情報に基づいて、バーチャルキーの受け取り時間が近づいたら(例えば、使用開始予定時刻の30分前となったら)、その旨を表示部340に表示して情報処理装置30の保持者に報知することとしてもよい。鍵の使用権限の返却についても同様である。
【0083】
さらに、シェア車両であることから、鍵の受け取り及び返却が行われる位置は移動体1の保管場所と一致することを考慮し、移動体1の利用中において、返却時刻に近くなった際の保管場所近辺の道路情報、例えば、工事情報や渋滞情報等を表示部340に表示したり、音出力部350によって音声で通知したりすることにより、移動体1が返却時刻に間に合って返却されるよう促すこととしてもよい。
同様の背景から、移動体1と保管場所との距離が大きくなり、返却時刻に返却が困難となる状況と考えられる場合(返却時刻まで所定時間以下であって、移動体1と保管場所との距離が所定距離以上である場合)は、その旨を報知すべく、表示部340に表示したり、音出力部350によって音声で通知したりすることとしてもよい。またこの際、返却時刻に返却が困難となる旨を、ネットワークNWを通じてシェア車両を管理する管理者のコンピュータに通知したり、次に移動体1を利用する予約をしている人物のコンピュータに通知したりすることとしてもよい。
【0084】
さらに、過去に取得した走行情報等から特定された危険運転が起こりやすい地域を管理者等が予め登録しておき、移動体1がかかる地域に差し掛かったときに、運転を注意すべき旨を喚起するために、音出力部350からメッセージやビープ音により移動体1の乗車者に報知することとしてもよい。かかる地域は、
図11の領域U15において示されていることが好ましい。
【0085】
さらに、情報処理装置30が走行情報取得装置20の機能を包含している場合においては、かかる機能によって取得された走行情報に基づいて情報処理装置30が処理を行い、危険運転があったかどうかを判断し、危険運転があった場合には、音出力部350等を通じて移動体1の乗車者にその旨を報知することとしてもよい。
【0086】
上述の説明においては、情報処理装置30にバーチャルキーアプリケーションがインストールされることによりバーチャルキーが実現されることとしている。この際、どのようにバーチャルキーの受け取り及び返却を探知するかは、バーチャルキーアプリケーション内にて行われることとしてもよいし、バーチャルキーアプリケーション外から探知する場合においては、例えば、バーチャルキーアプリケーション側のAPIを解放し、対象ドライバーのバーチャルキーがアクティブであるか(すなわち、受け取っていて返却をまだしていない状態であるか)を問い合わせることにより行うこととしてもよい。
【0087】
また、情報処理装置30は、ドライバーD1に対して、運転に関連する情報を報知することとしてもよい。例えば、バーチャルキーの予約時刻に基づいて、返却予定時刻の所定時間(例えば、30分)前になったら、表示部340に返却時刻が迫っている旨の表示や、音声出力部350から返却予定時刻が迫っている旨のメッセージを出力することとしてもよい。
更に、サーバ20においては取得された走行情報に基づいて移動体1の運転品質に関する情報(例えば、運転スコア)が算出され、この算出された運転品質に関する情報を受信し、適宜表示部340に表示することとしてもよい。
【0088】
更に、走行情報取得装置20における位置情報取得部240において取得された位置情報に基づいて、移動体1の位置と、あらかじめ登録された返却位置との間の距離を算出し、返却予定時刻までの時間と比較することで、返却予定時刻において移動体1を返却位置に戻すことが困難かどうかを判断し、その判断結果に応じた通知を表示部340等を通じて行ってもよい。例えば、返却予定時刻まで所定時間(例えば、30分)となると返却を時間内に行うことが困難な距離以上の位置に移動体1が存在する場合において、所定時間より更に別途の所定時間(例えば、15分)前になったら時間内の返却が困難になりうる旨を表示部340に表示する、または音声出力部350を通じてメッセージを出力することとしてもよい。
また、返却予定時刻近く(例えば、30分前以降)になったら、返却位置近傍で、又は返却位置と移動体1との間の位置において渋滞が発生していないかどうかを探知し、渋滞が発生している場合は、その旨を表示部340に表示する、または音声出力部350を通じてメッセージを出力することで、返却が困難になる恐れをドライバーに通知することとしてもよい。
【0089】
更に、情報処理装置30が走行情報取得装置20を含んで構成される場合においては、加速度情報取得部260等により取得される情報に基づいて、移動体1において危険運転が発生したかどうかを処理部310によって判断し、危険運転が発生した場合は表示部340に表示する、または音声出力部350を通じてメッセージを出力することでドライバーに通知する。
すなわち、バーチャルキーが有効である間は、移動体1がシェア車両であっても、危険運転があったかどうかについてドライバーに通知を行うことができる。
【0090】
また、バーチャルキーの取得及び返却時刻に基づいて移動体1の利用時間の切り分けを行うにあたり、上述の説明においては、鍵の使用権限の要求があったか、及び、鍵の使用権限の返却があったかに基づいて行うとしたが、これに限られない。例えば、バーチャルキーが移動体1の近傍にある場合においてバーチャルキー機能が有効になる場合においては、バーチャルキーが移動体1の近傍であることが探知されたこと、すなわち、情報処理装置30と移動体1との間の通信が確立されたこと及び、バーチャルキーが移動体1の近傍にないことが探知されたこと、すなわち、情報処理装置30と移動体1との間の通信が途絶されたことに基づいて、移動体1の利用時間の切り分けを行うこととしてもよい。ここで、もちろん、情報処理装置30と通信によって接続されるのは、移動体1ではなく、移動体1に備えられたバーチャルキー対応の装置であってもよい。
このようにすることにより、鍵の使用権限に関するユーザ操作を発生させることなしに、移動体1の利用時間の切り分けを行うことができる。
その他、移動体1の利用時間の切り分け方法は特に限定されず、任意の方法を適用可能である。
【0091】
また、上記の実施例では、各種の処理に係る各種のプログラムやデータが、記憶部に記憶されており、処理部がこれらのプログラムを読み出して実行することで、上記の各実施例における処理が実現された。この場合、各装置の記憶部は、ROMやEEPROM、フラッシュメモリ、ハードディスク、RAMといった内部記憶装置の他に、メモリカード(SDカード)やコンパクトフラッシュ(登録商標)カード、メモリスティック、USBメモリ、CD-RW(光学ディスク)、MO(光磁気ディスク)といった記録媒体(記録メディア、外部記憶装置、記憶媒体)を有していてもよく、これらの記録媒体に上記の各種のプログラムやデータを記憶させることとしてもよい。
【0092】
以上、本発明の実施形態及び変形例について詳細に説明したが、本発明の範囲は上記の実施形態及び変形例に限定されない。また、上記の実施形態及び変形例は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び変更が可能である。また、上記の実施形態及び変形例は、組合せ可能である。
【0093】
[効果]
このような発明によって、適切に目的とする部分の走行情報を切り分けることができるため、シェア車両であっても管理対象とすることができる。そのため、適切な管理を行うにあたって、追加の車両を購入したり維持したりすることなく、シェア車両を活用することができ、コストを削減することが可能である。
【符号の説明】
【0094】
1 移動体
10 サーバ
20 走行情報取得装置
30 情報処理装置
40 情報処理端末
50 鍵BOX