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特開2024-24307画像処理装置、画像処理方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024307
(43)【公開日】2024-02-22
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/20 20170101AFI20240215BHJP
   A61B 3/113 20060101ALI20240215BHJP
【FI】
G06T7/20 300Z
A61B3/113
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022127065
(22)【出願日】2022-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】305060567
【氏名又は名称】国立大学法人富山大学
(71)【出願人】
【識別番号】599091704
【氏名又は名称】株式会社ユニメック
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】將積 日出夫
(72)【発明者】
【氏名】高倉 大匡
(72)【発明者】
【氏名】田里 博
【テーマコード(参考)】
4C316
5L096
【Fターム(参考)】
4C316AA22
4C316AA30
4C316FA19
4C316FB13
4C316FB22
4C316FB26
5L096BA03
5L096BA06
5L096BA13
5L096DA02
5L096FA04
5L096FA06
5L096FA14
5L096FA52
5L096FA59
5L096FA62
5L096FA66
5L096FA69
5L096GA51
5L096HA05
(57)【要約】
【課題】瞳孔の中心位置を精度良く特定することが可能な画像処理装置を提供する。
【解決手段】画像処理装置は、被検者3の眼の写る映像の各フレームから、瞳孔に対応する輝度範囲に含まれる輝度値を有し、かつ、隣り合う連続する対象画素群50を検出する。画像処理装置は、対象画素群50の複数の輪郭画素の中から、被検者3の左右方向に沿った軸の座標値が最小となる第1画素61と、当該軸の座標値が最大となる第2画素62と、第1画素61よりも下方に位置する1以上の第3画素63と、第2画素62よりも下方に位置する1以上の第4画素64と、を抽出する。画像処理装置は、第1画素61、第2画素62、1以上の第3画素63、および1以上の第4画素64の近似円70を求め、近似円70の中心71を瞳孔の中心位置として決定する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像処理装置であって、
被検者の眼の写る画像を取得する取得部と、
前記画像から、瞳孔に対応する輝度範囲に含まれる輝度値を有する画素が連続する対象画素群を検出する検出部と、
前記対象画素群の輪郭を構成する複数の輪郭画素の中から、前記被検者の左右方向に沿った軸の座標値が最小となる第1画素と、前記軸の座標値が最大となる第2画素と、前記第1画素よりも下方に位置する1以上の第3画素と、前記第2画素よりも下方に位置する1以上の第4画素と、を抽出する抽出部と、
前記第1画素、前記第2画素、前記1以上の第3画素、および前記1以上の第4画素の近似円を求め、前記近似円の中心を前記瞳孔の中心位置として決定する瞳孔位置決定部と、を備える画像処理装置。
【請求項2】
前記検出部は、
前記画像から、前記輝度範囲に含まれる輝度値を有する画素が連続する1以上の候補画素群を特定し、
前記1以上の候補画素群のうち面積が予め定められた面積範囲に含まれる候補画素群を前記対象画素群として決定する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記瞳孔位置決定部は、最小二乗法を用いて前記近似円の中心を計算する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記抽出部は、
前記複数の輪郭画素のうちの前記第1画素よりも下方の画素の中から、前記第1画素または既に抽出された前記第3画素のいずれかとの距離が予め定められた閾値以下の画素を前記第3画素として抽出することにより、予め定められた個数だけ前記第3画素を抽出し、
前記複数の輪郭画素のうちの前記第2画素よりも下方の画素の中から、前記第2画素または既に抽出された前記第4画素のいずれかとの距離が前記予め定められた閾値以下の画素を前記第4画素として抽出することにより、予め定められた個数だけ前記第4画素を抽出し、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記画像は、前記被検者の前記瞳孔の写る動画の各フレームであり、
前記画像処理装置は、
前記瞳孔位置決定部によって決定された前記中心位置の軌跡を示す情報を提供する提供部をさらに備える、請求項1から4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
画像処理方法であって、
被検者の眼の写る画像を取得するステップと、
前記画像から、瞳孔に対応する輝度範囲に含まれる輝度値を有する画素が連続する対象画素群を検出するステップと、
前記対象画素群の輪郭を構成する複数の輪郭画素の中から、前記被検者の左右方向に沿った軸の座標値が最小となる第1画素と、前記軸の座標値が最大となる第2画素と、前記第1画素よりも下方に位置する1以上の第3画素と、前記第2画素よりも下方に位置する1以上の第4画素と、を抽出するステップと、
前記第1画素、前記第2画素、前記1以上の第3画素、前記1以上の第4画素から近似円を計算し、近似円の中心を前記瞳孔の中心位置として決定するステップと、を備える画像処理方法。
【請求項7】
画像処理方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記画像処理方法は、
被検者の眼の写る画像を取得するステップと、
前記画像から、瞳孔に対応する輝度範囲に含まれる輝度値を有する画素が連続する対象画素群を検出するステップと、
前記対象画素群の輪郭を構成する複数の輪郭画素の中から、前記被検者の左右方向に沿った軸の座標値が最小となる第1画素と、前記軸の座標値が最大となる第2画素と、前記第1画素よりも下方に位置する1以上の第3画素と、前記第2画素よりも下方に位置する1以上の第4画素と、を抽出するステップと、
前記第1画素、前記第2画素、前記1以上の第3画素、前記1以上の第4画素から近似円を計算し、近似円の中心を前記瞳孔の中心位置として決定するステップと、を含むプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像処理装置、画像処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被検者の眼の写る映像から眼球の動き(以下、眼振とも称する。)を解析することにより、めまい疾患の診断および鑑別が行なわれている。映像は、例えばフレンチェル眼鏡を用いて、赤外線が照射された眼を撮影することにより得られる。ただし、映像には眼球の一部のみが記録されるため、通常、瞳孔の中心位置を特定し、特定した中心位置の軌跡から眼振が解析される。
【0003】
特開2002-000567号公報(特許文献1)は、画像に写る瞳孔の中心位置を特定するための画像処理方法を開示している。当該画像処理方法は、各画像について、瞳孔の輪郭を構成する3つの輪郭点を任意に検出し、検出した3つの輪郭点を通る円の中心座標を計算するステップを複数回実施し、得られた中心座標群の重心座標を瞳孔の中心位置として特定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-000567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の画像処理方法では、瞳孔の輪郭を構成する3つの輪郭点が任意に検出される。しかしながら、映像の各フレームにおいて、瞳孔の全体が写るとは限らない。特に高齢者の場合、垂れ下がった瞼によって瞳孔の一部が覆われることが有り得る。このような場合、特許文献1に記載の特定方法では、瞳孔と瞳孔を覆う瞼との境界点が輪郭点として検出される可能性がある。このような輪郭点が検出されることにより、特定される瞳孔の中心位置の精度が低下する。
【0006】
本開示は、このような実情を鑑みてなされたものであり、その目的は、瞳孔の中心位置を精度良く特定することが可能な画像処理装置、画像処理方法およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一側面に係る画像処理装置は、取得部と、検出部と、抽出部と、瞳孔位置決定部と、を備える。取得部は、被検者の眼の写る画像を取得する。検出部は、画像から、瞳孔に対応する輝度範囲に含まれる輝度値を有する画素が連続する対象画素群を検出する。抽出部は、対象画素群の輪郭を構成する複数の輪郭画素の中から、被検者の左右方向に沿った軸の座標値が最小となる第1画素と、軸の座標値が最大となる第2画素と、第1画素よりも下方に位置する1以上の第3画素と、第2画素よりも下方に位置する1以上の第4画素と、を抽出する。瞳孔位置決定部は、第1画素、第2画素、1以上の第3画素、および1以上の第4画素の近似円を求め、近似円の中心を瞳孔の中心位置として決定する。
【0008】
本開示の一側面に係る画像処理方法は、第1~第4ステップを備える。第1ステップは、被検者の眼の写る画像を取得するステップである。第2ステップは、画像から、瞳孔に対応する輝度範囲に含まれる輝度値を有する画素が連続する対象画素群を検出するステップである。第3ステップは、対象画素群の輪郭を構成する複数の輪郭画素の中から、被検者の左右方向に沿った軸の座標値が最小となる第1画素と、軸の座標値が最大となる第2画素と、第1画素よりも下方に位置する1以上の第3画素と、第2画素よりも下方に位置する1以上の第4画素と、を抽出するステップである。第4ステップは、第1画素、第2画素、1以上の第3画素、1以上の第4画素から近似円を計算し、近似円の中心を瞳孔の中心位置として決定するステップである。
【0009】
本開示の一側面に係るプログラムは、上記の画像処理方法をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、瞳孔の中心位置を精度良く特定できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態に係るシステムの構成を示す図である。
図2図1に示す画像処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3図1に示す画像処理装置の機能構成の一例を示す図である。
図4】瞳孔に対応する輝度範囲に含まれる輝度値を有する画素の抽出処理の一例を示す図である。
図5】ラベリング処理の一例を示す図である。
図6】検出部によって検出された対象画素群の一例を示す図である。
図7】検出部によって検出された対象画素群の別の例を示す図である。
図8】抽出部の処理を説明する図である。
図9】瞳孔位置決定部の処理を説明する図である。
図10】提供部によって提供されるユーザインターフェイス画面の一例を示す図である。
図11】提供部によって提供されるユーザインターフェイス画面の別の例を示す図である。
図12】画像処理装置の処理の流れを示すフローチャートである。
図13】第1参考形態に係る画像処理方法によって特定される瞳孔の中心位置の一例を示す図である。
図14】第1参考形態に係る画像処理方法において実施される補正処理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0013】
(参考形態)
本発明の実施の形態を説明する前に、瞳孔の中心位置を特定するための画像処理方法の参考形態とその問題点について説明する。瞳孔の中心位置を特定するための画像処理方法として、特許文献1に記載の方法の他に、第1,第2参考形態に係る画像処理方法が考えられる。
【0014】
第1参考形態に係る画像処理方法は、第1~第3処理を含む。第1処理は、ユーザ操作に応じて、映像において瞳孔の写る画素が取りうる輝度範囲を設定する処理である。第2処理は、映像の各フレームから、設定された輝度範囲内の輝度値を有する画素を検出する処理である。第3処理は、検出された画素群の面積重心を瞳孔の中心位置として特定する処理である。
【0015】
図13は、第1参考形態に係る画像処理方法によって特定される瞳孔の中心位置の一例を示す図である。図13に示す例では、第2処理によって検出された画素群150は、瞳孔の写る画素だけでなく、目尻付近の部分の写る画素も含む。これは、目尻付近の部分が瞼の影となり、当該部分の写る画素の輝度値が、第1処理において設定された輝度範囲に含まれるためである。画素群150が目尻付近の部分の写る画素を含むため、第3処理において特定された中心位置171は、瞳孔の中心からずれている。このように、第1参考形態に係る画像処理方法の場合、瞳孔の中心位置の特定精度が低下しうるという問題が生じる。
【0016】
また、瞳孔の一部が瞼に覆われていると、瞳孔の残りの部分に対応する画素群の面積重心が瞳孔の中心位置として特定される。その結果、瞳孔の中心位置の特定精度が低下する。そのため、一部が瞼に覆われている瞳孔の写るフレームをエラーフレームとして除外することが考えられる。しかしながら、この場合、垂れ下がった瞼を有する高齢者を被検者とする映像において、エラーフレームとして除外されるフレームの枚数が多くなり、正常にめまい疾患の診断および鑑別ができないという問題が生じる。
【0017】
図13に示されるように、画像の中には、赤外線ライトの反射光によって輝度の高くなっている部分180が生じうる。部分180が瞳孔の写る領域内に含まれると、瞳孔の中心位置の特定精度が低下する。また、一般に、瞳孔の外縁部分の写る画素の輝度値は、瞳孔の中心部分の写る画素の輝度値よりも高い。そのため、瞳孔の外縁部分の写る画素の輝度値が第1処理によって設定される輝度範囲から外れて、当該外縁部分の写る画素が画素群150として検出されないことも起こり得る。その結果、瞳孔の中心位置の特定精度が低下する。これらのことを考慮して、第1参考形態に係る画像処理方法において、第2処理の後に、対象フレームの前後のフレームを用いて、対象フレームから検出された画素群150を補正する補正処理を実施することが考えられる。
【0018】
図14は、補正処理を説明する図である。図14の上部には、補正処理が実施される前の対象フレームが示され、図14の下部には、補正処理が実施された後の対象フレームが示される。
【0019】
図14の上部に示されるように、瞳孔の写る領域内において、赤外線ライトの反射光によって輝度の高くなっている部分180が存在する。さらに、瞳孔の外縁部分が写っているにもかかわらず、輝度値が輝度範囲よりも高くなる部分182が存在する。そのため、第2処理において、瞳孔の写っている領域のうち部分180,182が欠損した領域に含まれる画素のみが、輝度範囲内の輝度値を有する画素群150として検出される。図14の上部に示される画素群150の面積重心は、瞳孔の中心位置からずれる。そのため、図14の上部に示される画素群150を用いた第3処理が実施されると、瞳孔の中心位置の特定精度が低下する。
【0020】
そこで、前後のフレームの瞳孔の輪郭と重ね合わせて相関処理を施すことにより、欠損している部分を埋め合わせる補正処理が実施される。これにより、図14の下部に示されるように、画素群150は、瞳孔の写っている領域と一致するように補正される。補正処理後の画素群150を用いて第3処理を実施することにより、瞳孔の中心位置の特定精度が向上する。
【0021】
しかしながら、補正処理に要する演算負荷が大きい。そのため、瞳孔の中心位置の特定に要する時間が長くなるという問題が生じる。
【0022】
第2参考形態に係る画像処理方法は、高解像度画像処理、高性能演算処理、高負荷ロジックを含むAI(Artificial Intelligence)を用いて、一部が瞼、まつ毛等で覆われた瞳孔の写るフレームを、瞳孔全体が写るフレームに変換し、変換後のフレームを用いて瞳孔の中心位置を特定する。第2参考形態に係る画像処理方法を実現するためには、多数の教師データを準備するとともに、高性能なコンピュータを準備する必要がある。
【0023】
近年、在宅医療の要望が増大しており、在宅医療支援システムの研究および実用化が進められている。在宅医療の現場では、高性能のコンピュータを持ち込むことが困難である。そのため、第2参考形態に係る画像処理方法は、在宅医療の現場に適用しにくいという問題がある。
【0024】
実施の形態に係る画像処理装置、画像処理方法およびプログラムは、これらの問題も解消しうる。
【0025】
(システム構成)
図1は、実施の形態に係るシステムの構成を示す図である。図1に示されるように、システムは、画像処理装置1と、ゴーグル2と、を備える。
【0026】
ゴーグル2は、被検者3の頭部に装着される。ゴーグル2は、例えばフレンチェル眼鏡であり、赤外線ライトと撮像素子とを含む。ゴーグル2は、暗視状態において、ゴーグル2を装着している被検者3の眼に赤外線を照射した状態で、当該眼を撮像する。
【0027】
さらに、ゴーグル2は、通信デバイス201を含む。通信デバイス201は、撮像により得られた映像データ(以下、単に「映像」と称する。)を画像処理装置1に送信する。通信デバイス201は、無線通信方式を用いて映像を画像処理装置1に送信してもよいし、有線通信方式を用いて映像を画像処理装置1に送信してもよい。
【0028】
画像処理装置1は、ローコストおよびロースペックのコンピュータ(例えばスマートフォン、タブレット、ノート型コンピュータ)である。画像処理装置1は、ゴーグル2から映像を取得し、取得した映像の各フレームに写る瞳孔の中心位置を特定するための画像処理を実行する。
【0029】
(画像処理装置のハードウェア構成)
図2は、図1に示す画像処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。図2に示されるように、画像処理装置1は、プロセッサ101と、RAM(Random Access Memory)102と、ストレージ103と、通信インターフェイス104と、ディスプレイ105と、入力デバイス106と、を備える。これらの構成は、バス107を介して互いにデータ通信が可能なように接続されている。
【0030】
プロセッサ101は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)などで構成される。プロセッサ101は、ストレージ103に記憶されているプログラムをRAM102に展開して実行することで、本実施の形態に従う各種処理を実現する。RAM102は、典型的には、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性の記憶装置であり、ストレージ103から読み出されたプログラムなどを記憶する。ストレージ103は、典型的には、ハードディスクトライブなどの不揮発性の磁気記憶装置である。ストレージ103は、プロセッサ101によって実行される画像処理プログラム110を記憶する。
【0031】
通信インターフェイス(通信IF)104は、無線通信方式または有線通信方式を用いて、外部デバイス(ゴーグル2を含む)との間でデータをやり取りする。
【0032】
ディスプレイ105は、例えば液晶ディスプレイである。入力デバイス106は、例えばタッチパッド、マウス、キーボードなどを含む。なお、ディスプレイ105および入力デバイス106は、一体化されたタッチパネルであってもよい。
【0033】
(画像処理装置の機能構成)
図3図11を参照して、画像処理装置の機能構成について説明する。図3は、図1に示す画像処理装置の機能構成の一例を示す図である。図3に示されるように、画像処理装置1は、記憶部10と、取得部11と、検出部12と、抽出部13と、瞳孔位置決定部14と、提供部15と、を備える。記憶部10は、図2に示すストレージ103およびRAM102によって実現される。取得部11は、通信インターフェイス104と画像処理プログラム110を実行するプロセッサ101とによって実現される。検出部12、抽出部13および瞳孔位置決定部14は、プロセッサ101が画像処理プログラム110を実行することにより実現される。提供部15は、ディスプレイ105と入力デバイス106と画像処理プログラム110を実行するプロセッサ101とによって実現される。
【0034】
取得部11は、ゴーグル2から、被検者3の眼の写る画像を取得する。画像は、画素ごとの輝度値を示す。具体的には、取得部11は、被検者3の眼の写る映像20を取得する。映像20の各フレーム21は、被検者3の眼の写る画像である。取得部11は、取得した映像20を記憶部10に格納する。記憶部10には、1以上の映像20が格納され得る。
【0035】
検出部12は、指定された映像20を記憶部10から読み出し、読み出した映像20の各フレーム21から、瞳孔に対応する輝度範囲に含まれる輝度値を有する画素が隣り合いながら連続する対象画素群を検出する。すなわち、対象画素群に含まれる各画素は、上、下、左、右、左上、右上、左下、および右下のいずれかの方向に存在する、対象画素群に含まれる別の画素と隣り合う。輝度範囲は、ユーザ操作に応じて予め設定される。すなわち、ユーザは、瞳孔の写る画素が取りうる輝度値を確認することにより、輝度範囲を設定すればよい。
【0036】
図4から図7を参照して、検出部12の処理内容を説明する。図4は、瞳孔に対応する輝度範囲に含まれる輝度値を有する画素の抽出処理の一例を示す図である。図4に示されるように、検出部12は、輝度範囲に含まれる輝度値を有する画素42を抽出し、抽出した画素42の値を「1」とし、残りの画素の値を「0」とする2値画像44を生成する。
【0037】
図5は、ラベリング処理の一例を示す図である。図5に示されるように、検出部12は、2値画像44に対して公知のラベリング処理を実施し、値「1」を有する画素が隣り合いながら連続する1以上の候補画素群40を特定する。図5に示す例では、候補画素群40a~40cが特定されている。
【0038】
検出部12は、1以上の候補画素群40のうち面積が予め定められた面積範囲に含まれる候補画素群40を対象画素群50として決定する。面積範囲は、ユーザ操作に応じて、予め定められる。面積範囲の上限として、例えば、瞳孔全体が写る画像において瞳孔の占める領域の面積よりも大きな値が設定される。面積範囲の下限として、例えば、フレーム21において瞳孔の30%が占める領域の面積が設定される。なお、面積は、例えば画素数によって表される。
【0039】
図6は、検出部によって検出された対象画素群の一例を示す図である。図6には、瞳孔全体が写るフレーム21が示される。図6に示されるように、瞳孔の写る画素群が対象画素群50として検出されている。
【0040】
図7は、検出部によって検出された対象画素群の別の例を示す図である。図7には、上半分が瞼に覆われている瞳孔の写るフレーム21が示される。図7に示す例では、3つの候補画素群40d~40fが特定されている。候補画素群40dは、瞳孔の下半分の写る領域に対応する。候補画素群40eは、瞼の影となっている、目尻付近の微小部分に対応する。候補画素群40fは、瞳孔の微小領域に対応する。候補画素群40d~40fのうち候補画素群40dのみ、予め定められた面積範囲に含まれる面積を有する。そのため、瞳孔の下半分の写る領域に対応する候補画素群40dが対象画素群50として決定される。
【0041】
抽出部13は、対象画素群50の輪郭を構成する複数の輪郭画素の中から、瞳孔の中心位置を特定するために用いる画素を抽出する。輪郭画素とは、対象画素群50に含まれる画素のうち、対象画素群50の周囲の画素と隣接する画素である。
【0042】
図8は、抽出部の処理を説明する図である。フレーム21の画素の位置は、被検者3の上下方向に沿ったX軸および被検者3の左右方向に沿ったY軸の座標によって表される。フレーム21の左上の画素の座標が(0,0)である。X軸の正方向は、被検者3の下方向に対応し、Y軸の正方向は、被検者3の左方向に対応する。フレーム21のX軸方向の画素数がM、Y軸方向の画素数がNである場合、フレーム21の画素の座標は、(m、n)で表される。mは、0からM-1のいずれかの整数であり、nは、0からN-1のいずれかの整数である。
【0043】
抽出部13は、対象画素群50に含まれる画素の値が「1」であり、対象画素群50に含まれない画素の値が「0」である2値画像52を生成する。抽出部13は、2値画像52を用いて、対象画素群50の輪郭を構成する複数の輪郭画素60を特定する。具体的には、抽出部13は、2値画像52において、X=k(kは、0~M-1の整数)の各ラインに沿って、Y座標を0~N-1まで走査し、値が「0」から「1」に変化するときの当該「1」を有する画素と、値が「1」から「0」に変化するときの当該「1」を有する画素とを輪郭画素60として特定する。
【0044】
次に、抽出部13は、複数の輪郭画素60の中から、Y軸の座標値が最小となる第1画素61と、Y軸の座標値が最大となる第2画素62と、第1画素61よりも下方に位置する1以上の第3画素63と、第2画素62よりも下方に位置する1以上の第4画素64と、を抽出する。
【0045】
具体的には、抽出部13は、第1画素61のX座標pを特定する。次に、抽出部13は、X=p+1~M-1の順に、Y軸に平行な対象ラインを選択する。抽出部13は、対象ライン上の輪郭画素60のうち、第1画素61または既に抽出された第3画素63との距離が予め定められた閾値(例えば、3画素分の距離)以下である輪郭画素60を第3画素63として抽出する。抽出部13は、予め定められた個数(例えば50個)の第3画素63が抽出されるまで、対象ラインの選択処理を繰り返す。
【0046】
同様に、抽出部13は、第2画素62のX座標qを特定する。次に、抽出部13は、X=q+1~M-1の順に、Y軸に平行な対象ラインを選択する。抽出部13は、対象ライン上の輪郭画素60のうち、第2画素62または既に抽出された第4画素64との距離が予め定められた閾値(例えば、3画素分の距離)以下である輪郭画素60を第4画素64として抽出する。抽出部13は、予め定められた個数(例えば50個)の第4画素64が抽出されるまで、対象ラインの選択処理を繰り返す。
【0047】
図9は、瞳孔位置決定部の処理を説明する図である。図9に示されるように、瞳孔位置決定部14は、抽出部13によって抽出された、第1画素61、第2画素62、1以上の第3画素63、および1以上の第4画素64の近似円70の求め、近似円70の中心71を瞳孔の中心位置として決定する。瞳孔位置決定部14は、最小二乗法を用いて近似円70の中心71の座標を計算すればよい。
【0048】
第1画素61、第2画素62、第3画素63、および第4画素64の総画素数をP、第1画素61、第2画素62、第3画素63、および第4画素64の座標を(xi,yi)(iは1~Pの整数)とするとき、近似円の中心の座標(a,b)は、以下のようにして計算される。
【0049】
第1画素61、第2画素62、第3画素63、および第4画素64が座標(a,b)を中心とする円周上の点とするとき、円の方程式は、式(1)で表される。rは、半径である。
(xi-a)2+(yi-b)2-r2=0 ・・・式(1)
【0050】
式(1)の両辺を二乗することにより得られる式(2)を変形することにより、式(3)が得られる。
{(xi-a)2+(yi-b)2-r22=0 ・・・式(2)
{xi 2+yi 2+Axi+Byi+C}2=0 ・・・式(3)
【0051】
式(3)のA,B,Cは、それぞれ以下の通りである。
A=-2a
B=-2b
C=a2+b2-r2
【0052】
式(3)をi=1~Pについて合計し、A,B,Cで偏微分することにより、式(4)~(6)が得られる。式(4)~(6)は、式(7)~(9)にそれぞれ変形される。
【0053】
【数1】
【0054】
【数2】
【0055】
【数3】
【0056】
【数4】
【0057】
式(11)を変形すると、
S=M-1N ・・・式(12)
が得られる。M-1は、行列Mの逆行列である。
【0058】
瞳孔位置決定部14は、式(12)を用いて、A,B,Cを計算する。そして、瞳孔位置決定部14は、
a=-A/2
b=-B/2
に従って、近似円70の中心71の座標(a,b)を計算する。
【0059】
瞳孔位置決定部14は、映像20の各フレーム21から決定された座標(a,b)を示す軌跡データ16を生成し、軌跡データ16を記憶部10に格納する。
【0060】
提供部15は、ユーザインターフェイス画面を生成し、生成したユーザインターフェイス画面を提供する。具体的には、提供部15は、ユーザインターフェイス画面をディスプレイ105に表示させる。
【0061】
図10は、提供部によって提供されるユーザインターフェイス画面の一例を示す図である。図10に示されるように、ユーザインターフェイス画面80は、入力欄81,82a,82bと、読込ボタン83と、領域84と、を含む。
【0062】
入力欄81は、輝度範囲を設定するために使用される。ユーザは、輝度範囲の上限値を入力欄81に入力する。提供部15は、入力欄81に入力された値以下の範囲を輝度範囲として設定する。
【0063】
入力欄82a,82bは、面積範囲を設定するために使用される。ユーザは、面積範囲の上限値を入力欄82aに入力し、面積範囲の下限値を入力欄82bに入力する。提供部15は、入力欄82bに入力された値以上、入力欄82aに入力された値以下の範囲を面積範囲として設定する。
【0064】
読込ボタン83は、映像20を指定するために使用される。提供部15は、読込ボタン83が押下されたことに応じて、記憶部10が記憶する映像20の一覧を表示するウィンドウをディスプレイ105に表示させる。提供部15は、当該一覧から選択された映像20を解析対象として指定し、当該解析対象に対する検出部12、抽出部13および瞳孔位置決定部14の処理を開始させる。
【0065】
領域84には、解析対象の映像20が再生される。さらに、提供部15は、領域84に表示されているフレーム21に、当該フレーム21から抽出された第1画素61,第2画素62,第3画素63および第4画素64と、近似円70と、近似円70の中心71と、を重ねて表示する。
【0066】
提供部15は、中心71の軌跡を示す軌跡線72を領域84に表示してもよい。さらに、提供部15は、フレーム21から検出された対象画素群50の面積を示すテキスト73を領域84に表示してもよい。
【0067】
図11は、提供部によって提供されるユーザインターフェイス画面の別の例を示す図である。図11に示されるように、ユーザインターフェイス画面90は、瞳孔の中心位置の軌跡を示すグラフ91を含む。提供部15は、記憶部10が記憶する軌跡データ16に基づいて、グラフ91を作成する。
【0068】
医療従事者は、図10に示す領域84または図11に示すグラフ91を確認することにより、被検者3の瞳孔の中心位置の動きを把握できる。その結果、医療従事者は、めまい疾患の診断および鑑別を行なうことができる。
【0069】
(画像処理装置の処理の流れ)
図12は、画像処理装置の処理の流れを示すフローチャートである。図12に示されるように、プロセッサ101は、ゴーグル2から、被検者3の眼の写る映像を取得する(ステップS1)。
【0070】
次に、プロセッサ101は、取得した映像の各フレーム(画像)から、瞳孔に対応する輝度範囲に含まれる輝度値を有する画素が隣り合いながら連続する対象画素群50を検出する(ステップS2)。
【0071】
次に、プロセッサ101は、対象画素群50の輪郭を構成する複数の輪郭画素60の中から、被検者3の左右方向に沿ったY軸の座標値が最小となる第1画素61と、Y軸の座標値が最大となる第2画素62と、第1画素61よりも下方に位置する1以上の第3画素63と、第2画素62よりも下方に位置する1以上の第4画素64と、を抽出する(ステップS3)。
【0072】
次に、プロセッサ101は、第1画素61、第2画素62、1以上の第3画素63、および1以上の第4画素64の近似円70を求め、近似円70の中心を瞳孔の中心位置として決定する(ステップS4)。
【0073】
最後に、プロセッサ101は、瞳孔の中心位置の軌跡を含む解析結果を提供する(ステップS5)。具体的には、プロセッサ101は、解析結果をディスプレイ105に表示させる。
【0074】
(利点)
以上のように、本実施の形態に係る画像処理装置1は、取得部11と、検出部12と、抽出部13と、瞳孔位置決定部14と、を備える。取得部11は、被検者3の眼の写る映像(複数のフレーム(画像)を含む)を取得する。検出部12は、各フレームから、瞳孔に対応する輝度範囲に含まれる輝度値を有する画素が連続する対象画素群50を検出する。抽出部13は、対象画素群50の輪郭を構成する複数の輪郭画素60の中から、被検者3の左右方向に沿ったY軸の座標値が最小となる第1画素61と、Y軸の座標値が最大となる第2画素62と、第1画素61よりも下方に位置する1以上の第3画素63と、第2画素62よりも下方に位置する1以上の第4画素64と、を抽出する。瞳孔位置決定部14は、第1画素61、第2画素62、1以上の第3画素63、および1以上の第4画素64の近似円70を求め、近似円70の中心71を瞳孔の中心位置として決定する。
【0075】
上記の構成によれば、対象画素群50は、瞳孔に対応する輝度範囲に含まれる輝度値を有する。そのため、対象画素群50に含まれる画素は、瞳孔の写っている領域の画素である確率が高い。
【0076】
人間の眼において、上眼瞼の動きが下眼瞼の動きよりも大きい。そのため、瞼によって瞳孔の一部が覆われたとしても、通常、瞳孔の下部を確認できる。上記の構成によれば、Y軸の座標値が最小となる第1画素61と、Y軸の座標値が最大となる第2画素62と、第1画素61よりも下方に位置する1以上の第3画素63と、第2画素62よりも下方に位置する1以上の第4画素64とが抽出される。そのため、図9に示されるように、第1画素61、第2画素62、第3画素63、および第4画素64として、瞳孔と虹彩との境界付近に写る画素が抽出されやすくなる。その結果、第1画素61、第2画素62、第3画素63、および第4画素64の近似円70の中心71が瞳孔の中心位置として決定されることにより、瞳孔の中心位置を精度良く特定できる。
【0077】
このように、本実施の形態によれば、瞼によって瞳孔の一部が覆われていたとしても、瞳孔の中心位置を精度良く特定できる。
【0078】
また、対象フレームに写る瞳孔の中心位置は、当該対象フレームのみを用いて特定される。そのため、第1参考形態に係る画像処理方法において実施される、前後フレームを用いた補正処理が不要である。その結果、短時間で瞳孔の中心位置を特定できる。
【0079】
さらに、上記の構成によれば、第2参考形態に係る画像処理方法のようにAIを用いることがないため、ローコスト、ロースペックのコンピュータ(例えばスマートフォン、タブレットなど)を画像処理装置1として使用することができる。そのため、画像処理装置1は、在宅医療の現場に適用しやすい。例えば、医療従事者は、ゴーグル2と画像処理装置1として動作するスマートフォンとを持って患者宅を訪問し、スマートフォンの画面を確認しながら、めまい疾患の診断および鑑別を行なうことができる。
【0080】
検出部12は、フレームから、輝度範囲に含まれる輝度値を有する画素が連続する1以上の候補画素群40を特定する。検出部12は、1以上の候補画素群40のうち面積が予め定められた面積範囲に含まれる候補画素群40を対象画素群50として決定する。
【0081】
上記の構成によれば、瞳孔の写る領域が取りうる面積範囲が予め定められることにより、例えば目尻付近の部分が瞼の影となることにより、当該部分の輝度値が輝度範囲に含まれたとしても、当該部分が対象画素群50として決定されることが抑制される。これにより、瞳孔の中心位置の特定精度が向上する。
【0082】
瞳孔位置決定部14は、最小二乗法を用いて近似円の中心を計算する。これにより、比較的簡易な演算手法により、瞳孔の中心位置が特定される。
【0083】
抽出部13は、複数の輪郭画素60のうちの第1画素61よりも下方の画素の中から、第1画素61または既に抽出された第3画素63のいずれかとの距離が予め定められた閾値以下の画素を第3画素63として抽出することにより、予め定められた個数だけ第3画素63を抽出する。同様に、抽出部13は、複数の輪郭画素60のうちの第2画素62よりも下方の画素の中から、第2画素62または既に抽出された第4画素64のいずれかとの距離が予め定められた閾値以下の画素を第4画素64として抽出することにより、予め定められた個数だけ第4画素64を抽出する。
【0084】
瞳孔と虹彩との境界は、円状または円弧状となる。そのため、当該境界の写る画素は、連続して存在する。一方、フレーム21によっては、画像の乱れ等の原因によって、瞳孔と虹彩との境界とは異なる部分の写る画素(以下、「特異画素」と称する。)が輪郭画素60として抽出される場合も有り得る。しかしながら、上記の構成によれば、第1画素61または既に抽出された第3画素63のいずれかとの距離が閾値以下の画素が第3画素63として抽出される。そのため、第1画素61または既に抽出された第3画素63と連続して存在しない特異画素が第3画素63として抽出されることが防止される。同様に、第2画素62または既に抽出された第4画素64と連続して存在しない特異画素が第4画素64として抽出されることが防止される。その結果、瞳孔の中心位置の特定精度が向上する。
【0085】
上述したように、瞳孔の中心位置の特定対象となる画像は、被検者3の瞳孔の写る映像20の各フレーム21である。画像処理装置1は、瞳孔位置決定部14によって決定された中心位置の軌跡を示す情報を提供する提供部15をさらに備える。
【0086】
上記の構成によれば、例えば医療従事者は、提供部15によって提供される情報を確認することにより、めまい疾患の診断および鑑別を行なうことができる。
【0087】
(変形例)
上記の説明では、画像処理装置1は、ゴーグル2から映像20を取得するものとした。しかしながら、画像処理装置1は、赤外線カメラを備えており、当該赤外線カメラから映像20を取得してもよい。この場合、画像処理装置1は、被検者3の眼を撮像できる位置に固定される。例えば、画像処理装置1は、ゴーグル形状の治具に取付けられる。被検者3が当該治具を装着して状態で、赤外線カメラの撮像を開始すればよい。
【0088】
上記の説明では、提供部15は、中心位置の軌跡を示す情報をディスプレイ105に表示させるものとした。しかしながら、提供部15は、中心位置の軌跡を示す情報を外部の表示装置に表示させてもよい。あるいは、提供部15は、中心位置の軌跡を示す情報を外部のコンピュータ(クラウドサーバを含む)に提供してもよい。医療従事者は、当該外部のコンピュータにアクセスすることにより、被検者3の瞳孔の中心位置の軌跡を確認し、めまい疾患の診断および鑑別を行なえばよい。
【0089】
本発明の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0090】
1 画像処理装置、2 ゴーグル、3 被検者、10 記憶部、11 取得部、12 検出部、13 抽出部、14 瞳孔位置決定部、15 提供部、16 軌跡データ、20 映像、21 フレーム、40,40a~40f 候補画素群、42 画素、44,52 2値画像、50 対象画素群、60 輪郭画素、61 第1画素、62 第2画素、63 第3画素、64 第4画素、70 近似円、71 中心、72 軌跡線、73 テキスト、80,90 ユーザインターフェイス画面、81,82a,82b 入力欄、83 読込ボタン、84 領域、91 グラフ、101 プロセッサ、102 RAM、103 ストレージ、104 通信インターフェイス、105 ディスプレイ、106 入力デバイス、107 バス、110 画像処理プログラム、150 画素群、171 中心位置、180,182 部分、201 通信デバイス。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14