(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024308
(43)【公開日】2024-02-22
(54)【発明の名称】ステージ装置
(51)【国際特許分類】
B23Q 1/44 20060101AFI20240215BHJP
F16M 11/18 20060101ALI20240215BHJP
G12B 5/00 20060101ALI20240215BHJP
F16H 25/12 20060101ALI20240215BHJP
【FI】
B23Q1/44 K
F16M11/18 Z
G12B5/00 T
F16H25/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022127066
(22)【出願日】2022-08-09
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000137351
【氏名又は名称】株式会社マシンエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】唐沢 幸治
【テーマコード(参考)】
2F078
3C048
3J062
【Fターム(参考)】
2F078CA08
2F078CB12
2F078CC20
3C048BB20
3C048CC01
3C048DD13
3J062AA21
3J062AA27
3J062AB31
3J062AC07
3J062BA12
3J062CC13
3J062CC34
(57)【要約】
【課題】小型で、設置スペースがコンパクトであり、製品の搬送距離及び搬送時間が短くて済むため作業効率の良いステージ装置を提供すること。
【解決手段】第1凹円弧部22を有する第1ステージ本体2と、第1凹円弧部22に対応する第1凸円弧部32を有し揺動可能な第1移動ステージ3と、第1移動ステージ3に設けられ、第1凹円弧部22の円弧の中心点を中心として揺動可能な操作部311と、操作部311を揺動させることで第1移動ステージ3を揺動させるために第1ステージ本体2に対して水平方向の第1方向に移動可能な第1スライドプレート5と、第1スライドプレート5に設けられる第1カムローラ41と、第1カム板40と、第1駆動源6と、を備えており、第1カム板40の回転軸と第1駆動源6の駆動回転軸とは上下方向に設けられている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1凹円弧部を有する第1ステージ本体と、
前記第1凹円弧部に対応する第1凸円弧部を有し、前記第1凹円弧部に沿って揺動可能な第1移動ステージと、
前記第1移動ステージに設けられ、前記第1凹円弧部の円弧の中心点を中心として揺動可能な操作部と、
前記操作部を揺動させることで前記第1移動ステージを揺動させるために前記第1ステージ本体に水平方向の第1方向に移動可能な第1スライドプレートと、
前記第1スライドプレートに設けられる第1従動節と、
前記第1従動節を前記第1方向に移動させるための運動を伝える第1回転カムと、
前記第1回転カムを回転させる第1駆動源と、を備えており、
前記第1回転カムの回転軸と前記第1駆動源の駆動回転軸とは上下方向に設けられている
ことを特徴とするステージ装置。
【請求項2】
前記第1スライドプレートの前記第1ステージ本体に対する移動を規制することで、前記第1移動ステージの揺動を停止させるロック装置を備えたことを特徴とする請求項1に記載のステージ装置。
【請求項3】
前記第1移動ステージは、
前記第1凸円弧部と、前記第1凹円弧部に対して平面視で直交する方向に設けられた第2凹円弧部と、を有する第2ステージ本体と、
前記第2凹円弧部に対応する第2凸円弧部を有し、前記第2凹円弧部に沿って揺動可能な第2移動ステージと、を含み、
前記操作部は、前記第2凹円弧部の中心点を中心として揺動可能であって、
前記操作部に連結されるとともに、前記第2移動ステージを揺動させるために、前記第1スライドプレートとともに前記第1方向に移動可能であって、前記第1方向に水平方向で直交する第2方向に移動可能な第2スライドプレートと、
前記第2スライドプレートに設けられる第2従動節と、
前記第2従動節を前記第2方向に移動させるための運動を伝える第2回転カムと、
前記第2回転カムを回転させる第2駆動源と、を備えており、
前記第2回転カムの回転軸と前記第2駆動源の駆動回転軸とは上下方向に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載のステージ装置。
【請求項4】
前記第1スライドプレート及び前記第2スライドプレートの前記第1ステージ本体に対する移動を規制することで、前記第1移動ステージ及び前記第2移動ステージの揺動を停止させるロック装置を備えたことを特徴とする請求項3に記載のステージ装置。
【請求項5】
前記第1凹円弧部及び第1凸円弧部の円弧の曲率と、前記第2凹円弧部及び第2凸円弧部の円弧の曲率とが同じである請求項3又は請求項4に記載のステージ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、精密装置の加工や調整、高精度の計測等に用いられるステージ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品のチップや基板の加工、光学装置の光軸調整等を行うには、対象となる製品を、製品の作業箇所や作業アームの位置に応じて所定の方向及び傾きに移動させ、高精度の位置調整を行なう必要がある。
このように製品を移動させて位置調整するために、製品を載せたテーブル部を揺動させるゴニオステージ装置或いはスイベルステージ装置と称される装置が知られている。
【0003】
従来、特許文献1には、凹円弧面を有する本体と、凹円弧面に対応する凸円弧面を有し、凸円弧面の曲率中心を中心として凹円弧面に沿って回動可能に配置されたステージと、ねじ軸及びナットを有し、ナットがステージに連結される送りねじ装置と、本体側に設けられ、ねじ軸の端部を軸線回りに回転可能に支持すると共に、ねじ軸の径方向に揺動可能に支持する軸受部とを備えるスイベルステージ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載のようなスイベルステージ装置は、ねじ軸の端部、軸受部、ねじ軸を操作する手動ハンドル等が装置の側方に突出しており、手動ハンドルを操作するための空間も必要なので、設置スペースが広くならざるを得ず、周辺の機器を近接して設置することができないため、ステージ上の製品を次工程等に搬送する際に、搬送距離が長くなって搬送時間もかかり、作業効率が低下する。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、小型で、設置スペースがコンパクトであり、製品の搬送距離及び搬送時間が短くて済むため作業効率の良いステージ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願請求項1に係る発明は、第1凹円弧部を有する第1ステージ本体と、前記第1凹円弧部に対応する第1凸円弧部を有し、前記第1凹円弧部に沿って揺動可能な第1移動ステージと、前記第1移動ステージに設けられ、前記第1凹円弧部の円弧の中心点を中心として揺動可能な操作部と、前記操作部を揺動させることで前記第1移動ステージを揺動させるために前記第1ステージ本体に水平方向の第1方向に移動可能な第1スライドプレートと、前記第1スライドプレートに設けられる第1従動節と、前記第1従動節を前記第1方向に移動させるための運動を伝える第1回転カムと、前記第1回転カムを回転させる第1駆動源と、を備えており、前記第1回転カムの回転軸と前記第1駆動源の駆動回転軸とは上下方向に設けられていることを特徴とするステージ装置である。
【0008】
本願請求項2に係る発明は、前記第1スライドプレートの前記第1ステージ本体に対する移動を規制することで、前記第1移動ステージの揺動を停止させるロック装置を備えたことを特徴とする請求項1に記載のステージ装置である。
【0009】
本願請求項3に係る発明は、前記第1移動ステージは、前記第1凸円弧部と、前記第1凹円弧部に対して平面視で直交する方向に設けられた第2凹円弧部と、を有する第2ステージ本体と、前記第2凹円弧部に対応する第2凸円弧部を有し、前記第2凹円弧部に沿って揺動可能な第2移動ステージと、を含み、前記操作部は、前記第2凹円弧部の中心点を中心として揺動可能であって、前記操作部に連結されるとともに、前記第2移動ステージを揺動させるために、前記第1スライドプレートとともに前記第1方向に移動可能であって、前記第1方向に水平方向で直交する第2方向に移動可能な第2スライドプレートと、前記第2スライドプレートに設けられる第2従動節と、前記第2従動節を前記第2方向に移動させるための運動を伝える第2回転カムと、前記第2回転カムを回転させる第2駆動源と、を備えており、前記第2回転カムの回転軸と前記第2駆動源の駆動回転軸とは上下方向に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のステージ装置である。
【0010】
本願請求項4に係る発明は、前記第1スライドプレート及び前記第2スライドプレートの前記第1ステージ本体に対する移動を規制することで、前記第1移動ステージ及び前記第2移動ステージの揺動を停止させるロック装置を備えたことを特徴とする請求項3に記載のステージ装置である。
【0011】
本願請求項5に係る発明は、前記第1凹円弧部及び第1凸円弧部の円弧の曲率と、前記第2凹円弧部及び第2凸円弧部の円弧の曲率とが同じである請求項3又は請求項4に記載のステージ装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明のステージ装置は、第1凹円弧部を有する第1ステージ本体と、第1凹円弧部に対応する第1凸円弧部を有し、第1凹円弧部に沿って揺動可能な第1移動ステージと、第1移動ステージに設けられ、第1凹円弧部の円弧の中心点を中心として揺動可能な操作部と、操作部を揺動させることで第1移動ステージを揺動させるために第1ステージ本体に水平方向の第1方向に移動可能な第1スライドプレートと、第1スライドプレートに設けられる第1従動節と、第1従動節を第1方向に移動させるための運動を伝える第1回転カムと、第1回転カムを回転させる第1駆動源と、を備えており、第1回転カムの回転軸と前記第1駆動源の駆動回転軸とは上下方向に設けられているので、第1駆動源が装置の側方に突出しないため、装置が小型化され、設置スペースがコンパクトで済み、周囲の装置を接近して設置することができるので、製品の搬送距離を短くできて搬送時間が短縮され、作業効率が向上する。
【0013】
加えて、第1移動ステージは、第1凸円弧部と、第1凹円弧部に対して平面視で直交する方向に設けられた第2凹円弧部と、を有する第2ステージ本体と、第2凹円弧部に対応する第2凸円弧部を有し、第2凹円弧部に沿って揺動可能な第2移動ステージと、を含み、操作部は、第2凹円弧部の中心点を中心として揺動可能であって、操作部に連結されるとともに、第2移動ステージを揺動させるために、第1スライドプレートとともに第1方向に移動可能であって、第1方向に水平方向で直交する第2方向に移動可能な第2スライドプレートと、第2スライドプレートに設けられる第2従動節と、第2従動節を第2方向に移動させるための運動を伝える第2回転カムと、第2回転カムを回転させる第2駆動源と、を備えており、第2回転カムの回転軸と第2駆動源の駆動回転軸とは上下方向に設けられているので、第2移動ステージを第1方向とこれに交差する第2方向へ揺動させることができて、作業の精度がさらに高まり、第2駆動源も装置の側方へ突出しないので、設置スペースの狭小化及び装置の小型化が実現できる。
【0014】
加えて、第1スライドプレート、或いは、第1スライドプレート及び第2スライドプレートの第1ステージ本体に対する移動を規制することで第1移動ステージ、或いは、第1移動ステージ及び第2移動ステージの揺動を停止させるロック装置を備えるので、停止後にテーブルに例えば強い負荷が加わっても移動ステージが移動せず、確実に停止状態を維持することができる。また、テーブルへの負荷がカムや、カム板を駆動する駆動機構に伝わらず、この部分の変形及び破損を防止することができる。さらに、駆動源の制御で停止させる必要がなく制御も容易となる。
【0015】
加えて、第1凹円弧部及び第1凸円弧部の曲率と第2凹円弧部及び第2凸円弧部の曲率とが同じであれば、第1凹円弧部及び第1凸円弧部と、第2凹円弧部及び第2凸円弧部を同じ部材とすることができるので、部材の種類が少なくなり、部品管理も容易なため、コストが低廉で済む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態を示すステージ装置の斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態を示すステージ装置の平面図である。
【
図3】本発明の実施形態を示すステージ装置の側面図である。
【
図4】本発明の実施形態を示すステージ装置の一部を破断した側面図である。
【
図5】本発明の実施形態を示すステージ装置の一部を破断した正面図である。
【
図6】本発明の実施形態を示すステージ装置のステージ揺動時における一部を破断した正面図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る第2スライドプレートの平面図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る下部ベースプレート及び第1カムの平面図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る第1スライドプレート及び第2カムの平面図である。
【
図10】本発明の実施形態に係る第1カムの動作を示す平面図である。
【
図11】本発明の実施形態に係る第1カム及び第2カムのストロークと第1移動ステージ及び第2移動ステージの揺動角度との関係を説明する図である。
【
図12】本発明の実施形態に係るロック装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態につき図面を参照する等して説明する。
なお、本発明は、実施形態に限定されないことはいうまでもない。
【0018】
図1は、実施形態を示すステージ装置の斜視図であり、
図2は、実施形態を示すステージ装置の平面図であり、
図3は、実施形態を示すステージ装置の側面図であり、
図4は、実施形態を示すステージ装置の一部を破断した側面図であり、
図5は、実施形態を示すステージ装置の一部を破断した正面図であり、
図6は、実施形態を示すステージ装置のステージ揺動時における一部を破断した正面図であり、
図7は、実施形態に係る第2スライドプレートの平面図であり、
図8は、実施形態に係る下部ベースプレート及び第1カムの平面図であり、
図9は、実施形態に係る第1スライドプレート及び第2カムの平面図であり、
図10は、実施形態に係る第1カムの動作を示す平面図であり、
図11は、実施形態に係る第1カム及び第2カムのストロークと第1移動ステージ及び第2移動ステージの揺動角度との関係を説明する図であり、
図12は、実施形態に係るロック装置の断面図である。
【0019】
図1~
図6に示すように、本実施形態において、ステージ装置1は、第1ステージ本体2と、第1移動ステージ3と、第1カム4と、第1スライドプレート5と、第1駆動源6と、を備える。
【0020】
また、第1移動ステージ3は、第2ステージ本体30及び第2移動ステージ31とを備えている。
ステージ装置1は、さらに第2カム7と、第2スライドプレート8と、第2駆動源9とを備える。
【0021】
第1ステージ本体2は、第1凹円弧部22を備える。
第1移動ステージ3は、第2ステージ本体30に第1凸円弧部32と第2凹円弧部33を備える。第1移動ステージ3は、第2移動ステージ31に第2凸円弧部34を備える。
【0022】
本実施形態のステージ装置1は、第1スライドプレートが水平方向の第1方向に移動することで、第1移動ステージが第1ステージ本体に対して第1凹円弧部に沿って揺動し、第2スライドプレートが水平方向の第1方向に直交方向の第2方向に移動することで、第2移動ステージが第2ステージ本体に対して第2凹円弧部に沿って揺動ものである。
【0023】
第1ステージ本体2は、ステージ装置1のいわゆるベース部であって、上部ベースプレート20、下部ベースプレート21を有する。
上部ベースプレート20及び下部ベースプレート21は、互いに平行な長方形状の板体より成る。
【0024】
上部ベースプレート20は、第1凹円弧部22を備える(
図1、
図3~
図6)。
上部ベースプレート20は、中央部に第1移動ステージ3と第2スライドプレート8とを連結するために穿設された孔20aを備える(
図4~
図6)。
【0025】
下部ベースプレート21には、第1カム4を配置するための孔21a及び第2カム7を配置するための孔21bがそれぞれ貫通されている(
図4~
図6、
図8)。
下部ベースプレート21は適宜架台等に固定され、上部ベースプレート20は、下部ベースプレート21の上面四隅部に立設された支柱23により支持されている。
【0026】
本説明では、上部ベースプレート20及び下部ベースプレート21の長辺方向を第1方向(第1ステージ本体2に対して水平方向の第1方向)、短辺方向を第2方向(第1ステージ本体2に対して水平方向の第1方向に直交する第2方向)と称する。
【0027】
また、
図1に示すように、第1方向への揺動、すなわち第1スライドプレート5が第1方向へ移動することで、第1ステージ本体2の第1凹円弧部22に沿って第1移動ステージ3が揺動することをローリング(R)とし、第2方向への揺動、すなわち第2スライドプレート8が第2方向へ移動することで、第2ステージ本体30の第2凹円弧部33に沿って第2移動ステージ31が揺動することをピッチング(P)とする。
【0028】
図4~
図6に示すように、第1凹円弧部22は上方に凹に湾曲した一対の凹円弧状レール220を備える。
一対の凹円弧状レール220は、上部ベースプレート20の上面において、中央部の孔20aを挟んだ両側に、円弧の最下点における接線方向が第1方向に沿うよう配設されている。
【0029】
第1移動ステージ3は、第1ステージ本体2の上に設置され、第2ステージ本体30及び第2移動ステージ31を有する。
第2ステージ本体30は、中央に孔30aが穿設された板体より成り、第1凹円弧部22と対応する第1凸円弧部32を有する。
【0030】
図4~
図6に示すように、第1凸円弧部32は、第1凹円弧部22に対応して下方へ凸に湾曲した一対の凸円弧状レール320を備える。
一対の凸円弧状レール320は、第2ステージ本体30の下面に、孔30aを挟んだ両側において、一対の凹円弧状レール220の内側に平行に設けられる。
【0031】
一対の凸円弧状レール320は、一対の凹円弧状レール220に摺動自在に係合される。
従って、第2ステージ本体30は、上部ベースプレート20に対して、第1方向に移動することはできるが、凸円弧状レール320が凹円弧状レール220に当たって第2方向への移動が規制される。
【0032】
図3に示すように、第2ステージ本体30の上面には第2凹円弧部33が設けられる。
図4~
図6に示すように、第2凹円弧部33は、上方の凹に湾曲する一対の凹円弧状レール330を備えている。
【0033】
一対の凹円弧状レール330は、孔30aを挟んだ両側に、円弧の最下点における接線方向が第2方向に沿うよう配置される。
即ち、第2凹円弧部33の円弧の最下点における接線方向は、第1凹円弧部22及び第1凸円弧部32の円弧の最下点における接線方向と直角に交差している。
【0034】
図1~
図6に示すように、第2移動ステージ31は、第2ステージ本体30の上に設置され、製品を載せるためのテーブル310と、テーブル310の下面に設けられた操作部311とを有する。
【0035】
図4~
図6に示すように、操作部311は、テーブル310の下面中心部から下方に延びる脚部3110と、脚部3110の下端に設けられた球状部3111とを備える。
脚部3110は孔30aを通して第2ステージ本体30の下方へ延び、脚部3110の下端に設けた球状部3111が上部ベースプレート20の孔20a内に配置される。
【0036】
図3に示すように、テーブル310の下面には、第2凹円弧部33と対応する第2凸円弧部34が設けられる。
【0037】
図4~
図6に示すように、第2凸円弧部34は、下方に凸に湾曲した一対の凸円弧状レール340を備える。
一対の凸円弧状レール340は、第2移動ステージ31の下面において、一対の凹円弧状レール330の内側に平行に設けられる。
【0038】
一対の凸円弧状レール340は、一対の凹円弧状レール330に摺動自在に係合される。
即ち、第2移動ステージ31は、第2ステージ本体30に対して、第2方向へ移動することはできるが、凸円弧状レール340が凹円弧状レール330に当たって第1方向への移動が規制される。
【0039】
操作部311は、第1凹円弧部22の円弧の中心点O1を中心として揺動可能であり(
図5、
図6)、第2凹円弧部33の円弧の中心点O2を中心として揺動可能となっている。
【0040】
なお、第1凹円弧部22及び第1凸円弧部32の曲率と、第2凹円弧部33及び第2凸円弧部34の曲率は同じであり、凹円弧状レール220と凹円弧状レール330、凸円弧状レール320と凸円弧状レール340はそれぞれ同じ部材を用いることができるので、組み立てや部品の管理を行いやすい。また、部材の種類も少なくでき、コストが低廉で済む。
【0041】
図5及び
図6に示すように、第1カム4は、第1カム板40及び第1カムローラ41を備える。
第1カム板40は、下部ベースプレート21と平行に孔21a内に回転可能に設置される。第1カム板40は、本発明の第1回転カムに相当する。
【0042】
第1カム板40の回転軸401(
図8、
図10)には、ステッピングモータ等より成る第1駆動源6の駆動回転軸が連結され、第1駆動源6が駆動すると第1カム板40が回転する。本実施形態では、回転軸401が第1駆動源6の駆動回転軸であって、すなわち、第1回転カムの回転軸と第1駆動源の駆動回転軸とは上下方向に設けられている。
【0043】
第1駆動源6は、下部ベースプレート21の下面に取り付けられ、第1移動ステージ3及び第1ステージ本体2の下方に設置されている。
【0044】
よって、第1駆動源6が装置の側方に突出しないため、装置が小型化され、設置スペースがコンパクトで済み、周囲の装置を接近して設置することができるので、製品の搬送距離を短くできて搬送時間が短縮され、作業効率が向上する。
【0045】
図8に示すように、第1カム板40の上面にはカム溝400が形成され、カム溝400に第1カムローラ41が摺動自在に係合される。
図5及び
図6に示すように、第1カムローラ41は第1スライドプレート5の下面に連結される。第1カムローラ41は、本発明の第1従動節に相当する。
【0046】
第1スライドプレート5は、上部ベースプレート20及び下部ベースプレート21と平行に設けられる板体であり、下部ベースプレート21の上面に面方向に摺動可能(第1ステージ本体2に対して水平方向の第1方向に移動可能)に設置される。
【0047】
図8に示すように、下部ベースプレート21の上面の第2方向の両端部側には、それぞれ下部外側ガイドレール210が第1方向に沿って設けられる。
図9に示すように、第1スライドプレート5の下面の第2方向の両端部側には、それぞれ下部内側ガイドレール500が第1方向に沿って取り付けられる。
【0048】
図4に示すように、これらの下部内側ガイドレール500は、下部外側ガイドレール210の内側に摺動自在に係合される。
【0049】
従って、第1スライドプレート5は、下部外側ガイドレール210に案内されて第1方向へ移動することはできるが、下部内側ガイドレール500が下部外側ガイドレール210に当たって第2方向への移動が規制される。
【0050】
よって、第1カム板40が回転するのに伴って、カム溝400に係合する第1カムローラ41は第1方向に移動し(
図10)、第1カムローラ41と連結された第1スライドプレート5が第1方向に移動することになる。
【0051】
図5及び
図6に示すように、第1スライドプレート5の上方であって上部ベースプレート20の下方に、第1スライドプレート5と平行に第2スライドプレート8が面方向に摺動可能(第1スライドプレート5に対して第1方向に水平方向で直交する第2方向に移動可能)に設置される。
【0052】
第2スライドプレート8は、下方には第2カム7が設けられる。第2カム7は、第2カム板70及び第2カムローラ71を含む。
【0053】
図4~
図6、
図9に示すように、第2カム板70は、第1カム板40と平行に、第1スライドプレート5に形成された孔5a内に回転自在に配置される。第2カム板70は、本発明の第2回転カムに相当する。
【0054】
第2カム板70の回転軸701(
図9)には、ステッピングモータ等より成る第2駆動源9の駆動回転軸が連結され、第2駆動源9が駆動すると第2カム板70が回転する。本実施形態では、回転軸701が第2駆動源9の駆動回転軸であって、すなわち、第2回転カムの回転軸と第2駆動源の駆動回転軸とは上下方向に設けられている。
【0055】
図4~
図6に示すように、第2駆動源9は、下部ベースプレート21の孔21bを通して下方であって、第1スライドプレート5の下面に設けられる。即ち、第2駆動源9は第1移動ステージ3及び第1ステージ本体2の下方に設置される。
【0056】
よって、第2駆動源9が装置の側方に突出しないため、装置が小型化され、設置スペースがコンパクトで済み、周囲の装置を接近して設置することができるので、製品の搬送距離を短くできて搬送時間が短縮され、作業効率が向上する。
【0057】
図9に示すように、第2カム板70の上面にはカム溝700が形成され、カム溝700に第2カムローラ71が摺動自在に係合される。
図4~
図7、
図9に示すように、第2カムローラ71は、第2スライドプレート8の下面に連結される。第2カムローラ71は、本発明の第2従動節に相当する。
【0058】
図9に示すように、第1スライドプレート5の上面の第1方向の両端部側には、それぞれ上部外側ガイドレール501が第2方向に沿って設けられる。
図7に示すように、第2スライドプレート8の下面の第1方向の両端部側には、それぞれ上部内側ガイドレール800が第2方向に沿って取り付けられる。
【0059】
図5及び
図6に示すように、これらの上部内側ガイドレール800は、第1スライドプレート5の一対の上部外側ガイドレール501の内側に摺動自在に係合される。
【0060】
従って、第2スライドプレート8は、第1スライドプレート5に対して第2方向に摺動することはできるが、上部内側ガイドレール800が上部外側ガイドレール501に当たって第1方向への移動は規制される。また、第2スライドプレート8は、第1スライドプレート5とともに第1方向へ移動することになる。
【0061】
よって、第2カム板70が回転するのに伴って、カム溝700に係合する第2カムローラ71は第2方向に移動し、第2カムローラ71と連結された第2スライドプレート8が第2方向に移動することになる。また、第2スライドプレート8は、第1スライドプレート5とともに第1方向へ移動することになる。
【0062】
図4~
図7に示すように、第2スライドプレート8には貫通孔が形成され、貫通孔の周縁に沿って円筒状の支持筒80が形成される。支持筒80は上部ベースプレート20の孔20a内にも届くように配置される。
支持筒80の内部に第2移動ステージ31の操作部311を構成する球状部3111が嵌合される。
【0063】
第1ステージ本体2の上部ベースプレート20及び下部ベースプレート21、第1カム4の第1カム板40、第1スライドプレート5、第2カム7の第2カム板70及び第2スライドプレート8は平行な板体なので、第1駆動源6と第2駆動源9を第1ステージ本体2及び第1移動ステージ3の下方に設置しても、ステージ装置1が高くなりすぎることはない。
【0064】
第1駆動源6が作動して第1カム板40が回転し、第1スライドプレート5及び第2スライドプレート8が第1方向に移動すると、
図6に示すように、第2スライドプレート8の支持筒80に嵌合された球状部3111が支持筒80と共に第1方向に移動する。
【0065】
すると、第1移動ステージ3の第2ステージ本体30及び第2移動ステージ31が、第1凸円弧部32の曲率中心O1(第1凹円弧部22の円弧の中心点)を中心として第1凹円弧部22に沿って第1方向に揺動(ローリング)し、テーブル310が第1方向に対して傾斜する。
【0066】
第2駆動源9が作動して第2カム板70が回転し、第2スライドプレート8が第2方向に摺動すると、第2スライドプレート8の支持筒80に嵌合された球状部3111が支持筒80と共に第2方向に移動する。
【0067】
すると、第1移動ステージ3の第2移動ステージ31が、第2凸円弧部34の曲率中心O2(第2凹円弧部33の円弧の中心点)を中心として第2凹円弧部33に沿って第2方向に揺動し(ピッチング)、テーブル310が第2方向に対して傾斜する(
図4)。
【0068】
第1凸円弧部32の曲率と第2凸円弧部34の曲率とは同じであり、
図11に示すように、第1凸円弧部32の曲率中心O1から球状部3111の中心までの距離よりも、第2凸円弧部34の曲率中心O2から球状部3111の中心までの距離は短いので、第1方向への揺動と第2方向への揺動を同じ角度にする場合、第1カム4と第2カム7のストロークを調整することにより、第1駆動源6の回転角度と第2駆動源9の回転角度を同じにすることができる。
【0069】
例えば、第1凸円弧部32の曲率半径及び第2凸円弧部34の曲率半径が60mmであり、第1凸円弧部32及び第2凸円弧部34の揺動角度を2度にするためには、第1カム4の第1方向の送り量を2.44mm、第2カム7の第2方向の送り量を3mmとすることにより、第1駆動源6及び第2駆動源9の回転角度を同じ135度とすることができる。
このようにすれば、同じパルス数で同じ回転角度とすることができるため、第1駆動源6及び第2駆動源9の制御を簡単に行うことができる。
【0070】
図5乃至
図7に示すように、ステージ装置1は、第1スライドプレート5及び第2スライドプレート8の摺動を強制的に停止させる2組のロック装置10を備える。すなわちロック装置10は、第1スライドプレート5の第1ステージ本体2に対する移動を規制することで、第1移動ステージ3の揺動を停止させる。
【0071】
図12に示すように、ロック装置10は、第2スライドプレート8に設けたロック板11と、上部ベースプレート20に設けたエアシリンダ装置12とを備える。
【0072】
図7及び
図12に示すように、ロック板11は、断面逆L字状の薄板であり、縦片110が第2スライドプレート8の第1方向の両端側面に固定されて、横片111が側方へ張り出している。
横片111には、略四角形のピストン挿通孔112が穿設されている。横片111には第1方向及び第2方向への移動に際して支柱23に緩衝しないために欠損部である逃げ部11aが設けられている。
【0073】
図12に示すように、エアシリンダ装置12は、上部ベースプレート20の両側部の板厚の間に収まるように内蔵されるエアシリンダ120と、エアシリンダ120から下方へ伸縮可能に延びるピストン121と、ピストン121の下端部に固定された押え部122とを有する。符号12aは、エアシリンダ120を上部ベースプレート20にボルトなどで固定するための覆い蓋である。
エアシリンダ120には、上部ベースプレート20の背面に設けられたエアポート123(
図1)からエアが供給される。
【0074】
ピストン121は、ロック板11のピストン挿通孔112より小径であり、ピストン121が伸長している状態では、第2スライドプレート8が上部ベースプレート20に対して摺動するのに伴って、ピストン挿通孔112内を第1方向及び第2方向に相対的に移動する。
押え部122は、ピストン挿通孔112より大径であり、ロック板11の横片111より下方に位置してピストン挿通孔112を通過することはない。
【0075】
常態では、ピストン121が伸長しており、第1カム4及び第2カム7が作動するのに伴って、第1スライドプレート5及び第2スライドプレート8は第1方向及び第2方向へ摺動し、第1移動ステージ3と第2移動ステージ31も第1方向及び第2方向へ揺動する。
【0076】
第1移動ステージ3と第2移動ステージ31が例えば所定の角度まで揺動した時、ピストン121を退縮させる。
すると、押え部122が上部ベースプレート20に接近してロック板11の横片111を挟み付け、第2スライドプレート8の摺動を強制的に停止させる。
第1スライドプレート5と第2スライドプレート8は連動して第1方向へ摺動するので、第2スライドプレート8を停止させることにより、第1スライドプレート5の摺動も強制的に停止される。
【0077】
この結果、第1移動ステージ3と第2移動ステージ31が停止し、テーブル310は例えば、傾斜した位置で停止する。
これにより、停止後にテーブル310に例えば強い負荷が加わっても第1移動ステージ3及び第2移動ステージ31が移動せず、確実に停止状態を維持することができる。また、第1スライドプレート5及び第2スライドプレート8が移動しないように固定させるため、テーブルへの負荷がカムや駆動源へ伝わらず、この部分の変形や破損を防止することができる。さらに、駆動源の制御で停止させる必要がなく制御も容易となる。
【0078】
ロック板11は薄板なので、押え部122と上部ベースプレート20とで挟み付けられた状態でも撓みやすく、第1スライドプレート5及び第2スライドプレート8の摩擦抵抗を低くすることができ、摩耗も防ぎ、駆動機構にも無理な負荷を与えない。
エアシリンダ120は固定側である上部ベースプレート20に内蔵されているので、第2スライドプレート8の高速移動に影響を与えない。
【0079】
〔その他の変形例〕
本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。例えば以下のようなものも含まれる。
【0080】
本実施形態では、製品を載せるための第1移動ステージを第1方向及び第2方向に揺動可能に構成させてものであったが、第1方向のみに揺動するようにしても良い。
この場合、第1移動ステージを第2ステージ本体と第2移動ステージとに分割して構成しない。そして、第2スライドプレート及び第2スライドプレートを摺動させるための機構を設ける必要はなく、第1移動ステージの操作部を第1スライドプレートで揺動させるように構成する。また、ロック装置を設ける場合には、上部ベースプレートと第1スライドプレートとの間に、第1スライドプレートの摺動を停止させるロック装置を設ける。
【0081】
本実施形態では、スライドプレートを強制的に停止させるロック装置を設けているが、設けなくても良い。また、カムを停止させたり、制御によって駆動源を停止させたりするロック装置を適用しても良い。
【0082】
本実施形態では、第1カム及び第2カムは、カム板のカム溝にカムローラを係合した溝カムであるが、非円形のカム板の外周面にカムローラを摺動可能に弾圧した板カムであってもよい。
【0083】
本実施形態では、2組のロック装置を設けてあるが、テーブルに加わる負荷によって、1組或いは3組以上とすることもできる。
【0084】
本実施形態では、エアシリンダが、上部ベースプレートに内蔵されているが、外付けのエアシリンダとすることもできる。
【0085】
本実施形態では、常態において第1スライドプレート及び第2スライドプレートを解放しておき、第1スライドプレート及び第2スライドプレートを停止させるときにエアシリンダを作動しているが、常態でバネ等により第1スライドプレート及び第2スライドプレートを停止させておき、第1スライドプレート及び第2スライドプレートを摺動させるときに、エアシリンダを作動させてバネ等による保持を解除してもよい。
【0086】
本実施形態では、ロック装置は、エアシリンダを作動させることによりロック板を挟み付けているが、電磁ブレーキとすることもできる。
【0087】
本実施形態では、テーブルの下面に脚部を介して球状部を設け、第2スライドプレートに球状部を嵌合するための円筒部を設けてあるが、第2スライドプレートに球状部を設け、テーブルの下面に球状部を嵌合するための円筒部を設けてもよい。
また、球状部を、円筒部ではなく、角筒或いは複数の爪部の中心に嵌合することもできる。
【0088】
変形例を含むいずれの実施形態における各技術的事項を他の実施形態に適用して実施例としても良い。
【符号の説明】
【0089】
1 ステージ装置
2 第1ステージ本体
20 上部ベースプレート
21 下部ベースプレート
210 下部外側ガイドレール
22 第1凹円弧部
220 凹円弧状レール
23 支柱
3 第1移動ステージ
30 第2ステージ本体
31 第2移動ステージ
310 テーブル
311 操作部
3110 脚部
3111 球状部
32 第1凸円弧部
320 凸円弧状レール
33 第2凹円弧部
330 凹円弧状レール
34 第2凸円弧部
340 凸円弧状レール
4 第1カム
40 第1カム板
400 カム溝
401 回転軸
41 第1カムローラ
5 第1スライドプレート
500 下部内側ガイドレール
501 上部外側ガイドレール
6 第1駆動源
7 第2カム
70 第2カム板
700 カム溝
701 回転軸
71 第2カムローラ
8 第2スライドプレート
80 支持筒
800 上部内側ガイドレール
9 第2駆動源
10 ロック装置
11 ロック板
110 縦片
111 横片
112 ピストン挿通孔
12 エアシリンダ装置
120 エアシリンダ
121 ピストン
122 押え部
123 エアポート