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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024313
(43)【公開日】2024-02-22
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/53 20060101AFI20240215BHJP
   A61F 13/15 20060101ALI20240215BHJP
   A61F 13/534 20060101ALI20240215BHJP
   A61F 13/535 20060101ALI20240215BHJP
【FI】
A61F13/53 300
A61F13/15 141
A61F13/15 142
A61F13/15 144
A61F13/534 100
A61F13/535 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022127073
(22)【出願日】2022-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永長 まゆみ
(72)【発明者】
【氏名】一萬田 俊明
(72)【発明者】
【氏名】宮村 猛史
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200BA14
3B200BB22
3B200BB24
3B200DB01
3B200DB02
3B200DB12
(57)【要約】
【課題】消臭性能を有するとともに、フィット性に優れる吸収性物品を提供すること。
【解決手段】表面シート2及び裏面シート3を備え、該表面シート2と該裏面シート3との間に吸収体4及び機能性シート5を備える吸収性物品1であって、長手方向X及び幅方向Yを有し、機能性シート5は、多孔質粒子を含む含有部51と多孔質粒子を含まない非含有部52とを有し、且つ吸収性物品1の幅方向Yに連続して配されており、含有部51は、長手方向Xに沿って延びる長手延在部を有し、幅方向Yに隣り合う長手延在部の間に、非含有部52が、長手方向Xに沿って連続又は非連続に形成されており、含有部51と非含有部52とは、坪量が異なっている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面シート及び裏面シートを備え、該表面シートと該裏面シートとの間に吸収体及び機能性シートを備える吸収性物品であって、
長手方向及び幅方向を有し、
前記機能性シートは、多孔質粒子を含む含有部と多孔質粒子を含まない非含有部とを有し、且つ前記吸収性物品の前記幅方向に連続して配されており、
前記含有部は、前記長手方向に沿って延びる長手延在部を有し、
前記幅方向に隣り合う前記長手延在部の間に、前記非含有部が、前記長手方向に沿って連続又は非連続に形成されており、
前記含有部と前記非含有部とは、坪量が異なっている、吸収性物品。
【請求項2】
前記非含有部は、前記含有部よりも坪量が小さい、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記機能性シートは、前記多孔質粒子を含まない一対の非含有シート間に、前記多孔質粒子を含む含有シートが部分的に配された積層シートであり、
前記含有部は、一対の前記非含有シート間に前記含有シートが介在する3層の積層構造を有し、
前記非含有部は、一対の前記非含有シート間に前記含有シートが介在しない2層の積層構造を有している、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記表面シートの非肌対向面は、前記機能性シートの肌対向面と直接対向してない、請求項1~3のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記機能性シートは、前記吸収体と前記裏面シートとの間に配されており、該機能性シートは、前記裏面シートに、前記長手方向に沿って延びる帯状の接合部において接合されている、請求項4に記載の吸収性物品。
【請求項6】
平面視において、
前記吸収体は、周囲に比して坪量の低い低坪量部を有し、
前記低坪量部と、前記機能性シートの前記非含有部とが重なっている、請求項1~5のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
平面視において、
前記吸収体は、周囲に比して坪量の低い低坪量部を有し、
前記機能性シートの前記非含有部及び前記含有部の境界と、前記低坪量部とが重なっている、請求項1~6のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記低坪量部は、前記吸収性物品の前記長手方向の中央域に配されている、請求項6又は7に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記低坪量部は、前記吸収性物品の前記長手方向の中央域に、該長手方向に沿って延びる部分を有している、請求項6~8のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項10】
前記吸収体は、下層吸収体と、該下層吸収体の肌対向面側に配された上層吸収体とを有し、
前記下層吸収体と前記上層吸収体との間に中間シートが配されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
人体から分泌又は排泄される体液を消臭するための技術が種々提案されている。例えば使い捨ておむつや生理用ナプキンは、尿や経血等の吸収保持に用いられる吸収性物品として広く普及している。
一方、尿や経血以外の体液としては、がん、皮膚病等に起因する体液が挙げられる。これら体液は一般に病臭を伴う。
従来、吸収性物品が吸収した体液の臭いを消臭する技術が種々提案されている。例えば、特許文献1~3には、表面シートと、裏面シートと、両シートの間に吸収体及び消臭シートを有する吸収性物品が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-70995号公報
【特許文献2】特開2016-120192号公報
【特許文献3】特開2021-186080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1~3において、消臭シートは活性炭を含むシートである。消臭シートが消臭効果を十分に発揮するようにするためには、該シートに多くの活性炭を含有させる必要があるところ、シート中の活性炭の量が多くなると、該シートが硬くなり、しなやかさが低下するので、吸収性物品を着用したときのフィット性が損なわれてしまう。また、特許文献3の消臭シートは、表面シートと吸収体との間に、吸収性物品の長手方向中心線を挟んだ両側それぞれに配されている。特許文献3においては、吸収性物品を装着しているときに、一対の消臭シートそれぞれの前記中心線側の端部が捲れたり、肌対向面側に折れ曲がってしまう恐れがある。消臭シートの前記端部が捲れたり、折れ曲がったりすることにより、消臭シートの該端部が硬くなり、装着者が違和感を覚える恐れがある。また、消臭シートの前記端部が、該シートの外面どうしが相対向するように折れ曲がり、該シートの外面の一部が該シート自身により覆われてしまうことにより、該シートにおける消臭機能を十分に発揮できる部分の面積が狭くなってしまい、該消臭性能が低下する恐れがある。
本発明の課題は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る吸収性物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、表面シート及び裏面シートを備え、該表面シートと該裏面シートとの間に吸収体及び機能性シートを備える吸収性物品に関する。
前記吸水性物品は、長手方向及び幅方向を有していることが好ましい。
前記機能性シートは、多孔質粒子を含む含有部と多孔質粒子を含まない非含有部とを有し、且つ前記吸収性物品の前記幅方向に連続して配されていることが好ましい。
前記含有部は、前記長手方向に沿って延びる長手延在部を有していることが好ましい。
前記幅方向に隣り合う前記長手延在部の間に、前記非含有部が、前記長手方向に沿って連続又は非連続に形成されていることが好ましい。
前記含有部と前記非含有部とは、坪量が異なっていることが好ましい。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、消臭性能を有するとともに、フィット性に優れる吸収性物品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本発明の吸収性物品の一実施形態の肌対向面側を模式的に示す一部破断平面図である。
図2図2は、図1のII-II線断面図である。
図3図3(a)は、図1に示す吸収性物品に係る機能性シートの平面図であり、図3(b)は、図3(a)のIIIb-IIIb線断面である。
図4図4は、図1に示す吸収性物品における機能性シート及び裏面シートを示す平面図である。
図5図5は、図1に示す吸収性物品における機能性シート及び吸収体を示す平面図である。
図6図6(a)~(c)は、図1に示す吸収性物品に係る機能性シートの変形例を示す平面図であり、図3(a)相当図である。
図7図7(a)及び(b)は、図1に示す吸収性物品の変形例を示す図であり、図2相当図である。
図8図8(a)~(i)は、図1に示す吸収性物品の別の変形例を示す図であり、図2相当図である。
図9図9(a)~(e)は、図1に示す吸収性物品における、機能性シートの含有部及び非含有部と、吸収性コアの低坪量部との位置関係の変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1には、本発明の吸収性物品の一実施形態が示されている。
図1に示す吸収性物品1は、長手方向X及び幅方向Yを有する。長手方向Xは、幅方向Yよりも吸収性物品1の長さが長い方向である。
吸収性物品1は、図1及び図2に示すように、表面シート2と、裏面シート3とを備えている。更に、吸収性物品1は、表面シート2及び裏面シート3の間に、吸収体4及び機能性シート5を備えている。機能性シート5及び吸収体4は、いずれが肌対向面側に位置していてもよい。本実施形態では、吸収体4の方が機能性シート5よりも肌対向面側に位置している。また、表面シート2と吸収体4との間に、中間シート6が配されている。中間シート6は、セカンドシート、サブレイヤーシートなどとも呼ばれ、紙や各種不織布からなる。
【0009】
表面シート2は、吸収体4の肌対向面側に配されており、裏面シート3は、吸収体4の非肌対向面側に配されている。本実施形態では、表面シート2と裏面シート3とは、平面視において同形同寸である。表面シート2と裏面シート3とは、平面視形状が異なっていてもよいし、長手方向X又は幅方向Yの寸法が異なっていてもよい。表面シート2の方が裏面シート3よりも、長手方向X又は幅方向Yの寸法が大きくてもよいし、小さくてもよい。
【0010】
機能性シート5は、吸収体4と裏面シート3との間に配されている。機能性シート5は、幅方向Yに沿って連続して配されている。具体的には、機能性シート5は、幅方向Yに連続する1枚のシートからなる。機能性シート5は、略矩形の平面視形状を有する。また機能性シート5は、図3に示すように、多孔質粒子を含む含有部51と、多孔質粒子を含まない非含有部とを有している。多孔質粒子は、吸収体4が吸収した体液から生じる臭いの成分を、その孔に吸着又は包摂可能なものである。多孔質粒子とは、多数の細孔をもつ微粒子のことをいう。臭いの成分としては、例えば、尿臭についてはフェノール、p-クレゾール、4-ビニル-2-メトキシフェノール、4-ビニルフェノール、2-メトキシ-1,3-ベンゼンジオール、1,4-ベンゼンジオール、1,3-ベンゼンジオール等のフェノール系臭気成分、がんの浸出液から生じる臭いの成分については低級脂肪酸やジメチルトリスルフィド、アセトイン等が挙げられる。多孔質粒子の詳細については、後述する。
【0011】
含有部51は、長手方向に沿って延びる長手延在部51aを有する。本実施形態では、含有部51は幅方向Yに間欠的に配されている。幅方向Yに隣り合う長手延在部51aの間に、非含有部52が長手方向Xに沿って連続又は不連続に形成されている。本実施形態では、非含有部52は、長手方向Xに連続して形成されている。本実施形態では、吸収性物品1の幅方向Yの側縁部に、多孔質粒子を含有しない側縁非含有部を有するが、その側縁非含有部は、含有部51間に位置しないため、機能性シートにおける「非含有部」に含めない。機能性シートは、一方または両方の側縁非含有部を有していなくてもよい。
【0012】
本実施形態の吸収性物品1において、非含有部52が、幅方向Yに隣り合う長手延在部51aの間に位置していることの利点は、以下のとおりである。機能性シート5の非含有部52は、多孔質粒子を含まないので、含有部51に比して柔らかく、変形しやすい。柔らかく変形しやすい非含有部52が、幅方向Yに隣り合う含有部51の間に配されていることにより、吸収性物品1の着用中に、該吸収性物品1を幅方向Yに圧縮する外力が該吸収性物品1に加わったときに、機能性シート5の非含有部52が幅方向Yに圧縮されやすくなる。そのため、吸収性物品1が体に沿って変形しやすくなり、吸収性物品1のフィット性を向上させることができる。非含有部52は、長手方向Xに沿って延在していることにより、該非含有部52が幅方向Yに一層圧縮されやすくなり、吸収性物品1のフィット性を一層向上させることができる。
【0013】
また、含有部51と非含有部52とは坪量が異なっている。本実施形態では、非含有部52の方が含有部51よりも坪量が小さい。本実施形態では、機能性シート5は、図3(b)に示すように、多孔質粒子を含まない一対の非含有シート5b,5b間に、多孔質粒子を含む含有シート5aが部分的に配された積層シートである。機能性シート5において、一対の非含有シート5b,5bと、含有シート5aとが一体化されている。含有シート5aは、幅方向Yに間欠的に配されている。含有部51は、一対の非含有シート5b,5b間に含有シート5aが介在する3層の積層構造を有している。非含有部52は、一対の非含有シート5b,5b間に含有シート5aが介在しない2層の積層構造を有している。
【0014】
坪量は、以下の方法により測定することができる。
<坪量の測定方法>
機能性シート5から、非含有部及び含有部のそれぞれについて、厚み方向の全体を含む10mm×10mmのシート片を切り出し、坪量を、該シート片の質量を該シート片の面積で除して求める。非含有部及び含有部のいずれについても、シート片を10枚づつ切り出し、それぞれについて算出した坪量の平均値を非含有部及び含有部の坪量とする。10mm×10mmのシート片を切り出すことが困難である場合、それに近い寸法のシート片を切り出して、同様に測定する。測定数としては、合計面積として10cmほどとなるようにする。
【0015】
本実施形態の吸収性物品1では、含有部51と非含有部52とで坪量を異ならせることにより、含有部51と非含有部52との境界において、機能性シート5が折れ曲がりやすくすることができるので、吸収性物品1が体に沿って一層変形しやすくなり、吸収性物品1のフィット性を一層向上させることができる。非含有部52が幅方向Yに一層圧縮されやすくし、吸収性物品1のフィット性を一層向上させる観点からは、非含有部52の方が含有部51よりも坪量が小さいことが好ましい。具体的には、含有部51の坪量M1に対する非含有部52の坪量M2の比M2/M1は、好ましくは2.5以下、より好ましくは2.3以下、更に好ましくは2.0以下である。また、十分な消臭力を得るという観点から、含有部51の坪量M1に対する非含有部52の坪量M2の比M2/M1は、好ましくは1.1以上、より好ましくは1.3以上、更に好ましくは1.5以上である。
【0016】
本実施形態の吸収性物品1が、例えば、尿取りパッド、生理用ナプキン、使い捨ておむつ等の、主として尿、経血等の身体から排泄される体液を吸収保持するために用いられるものであってもよい。吸収性物品1を、主として尿、経血等の身体から排泄される体液を吸収保持するために用いる場合、該吸収性物品1の長手方向Xが該吸収性物品1の装着者の前後方向と一致するようにして、該吸収性物品1を、該装着者の股間部に装着することが好ましい。
【0017】
吸収性物品1は、主として、がん、皮膚病等に起因する体液を吸収保持するために用いられるものであってもよい。例えば、乳がん等の皮膚に浸潤した進行がんからは、がん由来の滲出液が分泌されるところ、そのような分泌液の吸収に吸収性物品1を用いてもよい。例えば、乳がん由来の滲出液を吸収するために、吸収性物品1の長手方向Xを正中線と略直交させた状態で、該吸収性物品1を乳房に装着することもできる。
【0018】
吸収性物品1の厚み方向において、機能性シート5は、表面シート2と裏面シート3との間の任意の位置に配置可能である。
機能性シート5は、吸収性物品1の厚み方向において、表面シート2と直接接していないことが好ましい。具体的には、表面シート2の非肌対向面と、機能性シート5の肌対向面が直接対向していないことが好ましい。換言すれば、表面シート2と機能性シート5との間に他の部材が配されていることが好ましい。本実施形態においては、図2に示すように、表面シート2と機能性シート5との間に吸収体4が配されている。吸収体4に代えて、中間シート6が、表面シート2と機能性シート5との間に配されていてもよい。
表面シート2の非肌対向面と、機能性シート5の肌対向面が直接対向していないことにより、吸収性物品1を装着しているときに、装着者の排泄液が表面シート2を透過した場合であっても、該液により機能性シート5が濡れて該シート5の消臭性能が低下することを防ぐことができる。
【0019】
本実施形態では、機能性シート5は、図4に示すように、裏面シート3に接合部7において接合されている。接合部7は、長手方向Xに沿って延びている。接合部7は、幅方向Yに間欠的に配されている。接合部7は、機能性シート5のしなやかさが低下することを防ぐ観点から、幅方向Yの長さL1が、好ましくは10mm以下、より好ましくは8mm以下、更に好ましくは5mm以下である。また接合部7は、機能性シート5と裏面シート3とをしっかりと接合し、機能性シート5のヨレによる消臭力低下・違和感を防止する観点、及び機能性シートの固定性の観点から、幅方向Yの長さL1が、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.2mm以上、更に好ましくは0.3mm以上である。
接合部7は、接着剤を塗布することにより形成されている。接着剤としては、ホットメルト型接着剤等を用いることができる。接着剤の塗布パターンは特に制限されず、例えば、ビード状、スパイラル状、細長の面状、波状等であってもよい。
【0020】
機能性シート5のしなやかさが低下することを防ぐ観点から、非含有部52の幅方向Yの長さL2に対する、幅方向Yに隣り合う接合部7どうしの間の距離L3の比L3/L2は、好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上、更に好ましくは50%以上である。また、機能性シート5のヨレによる消臭力低下・違和感を防止する観点から、非含有部52の幅方向Yの長さL2に対する、幅方向Yに隣り合う接合部7どうしの間の距離L3の比L3/L2は、好ましくは400%以下、より好ましくは350%以下、更に好ましくは300%以下である。本実施形態のように、接合部7どうしの間が複数存在する場合、幅方向Yに隣り合う接合部7どうしの間の距離L3は、複数存在する、接合部7どうしの間の距離の平均値とする。また本実施形態のように、非含有部52が複数存在する場合、非含有部52の幅方向Yの長さL2は、複数の非含有部52の幅方向Yの長さの平均値とする。
【0021】
含有部51の幅方向の長さL4に対する、非含有部52の幅方向Yの長さL2の比L2/L4は、機能性シート5の消臭効果及びしなやかさのバランスの観点から、好ましくは1.5以上、より好ましくは2.0以上、更に好ましくは2.5以上であり、また好ましくは35以下、より好ましくは20以下、更に好ましくは10以下であり、また好ましくは1.5以上35以下、より好ましくは2.0以上20以下、更に好ましくは2.5以上10以下である。
【0022】
含有部51の幅方向の長さL4は、機能性シート5の消臭効果及びしなやかさのバランスの観点から、好ましくは10mm以上、より好ましくは20mm以上、更に好ましくは30mm以上であり、また好ましくは100mm以下、より好ましくは80mm以下、更に好ましくは60mm以下であり、また好ましくは10mm以上100mm以下、より好ましくは20mm以上80mm以下、更に好ましくは30mm以上60mm以下である。
【0023】
非含有部52の幅方向Yの長さL2は、機能性シート5の消臭効果及びしなやかさのバランスの観点から、好ましくは3mm以上、より好ましくは5mm以上、更に好ましくは10mm以上であり、また好ましくは50mm以下、より好ましくは40mm以下、更に好ましくは30mm以下であり、また好ましく3mm以上50mm以下、より好ましくは5mm以上40mm以下、更に好ましくは10mm以上30mm以下である。
【0024】
接合部7は、吸収性物品1の平面視において、含有部51と重なっていてもよいし、重なっていなくてもよい。機能性シート5のしなやかさが低下することを防ぐ観点及び機能性シートの消臭性能が低下することを防ぐ観点から、平面視において含有部51と重なる接合部7の数は、好ましくは3本以下、より好ましくは2本以下、更に好ましくは1本以下である。ここでいう含有部51と重なる接合部7の数は、本実施形態のように複数の含有部51が存在する場合、各含有部51と重なる接合部7の数である。複数の含有部51のうち、該含有部51と重なる接合部7の数が上述の範囲内であるものが、50%以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましい。全ての含有部51が、該含有部51と重なる接合部7の数が上述の範囲内であることが最も好ましい。
【0025】
機能性シート5のしなやかさが低下することを防ぐ観点及び機能性シートの消臭性能が低下することを防ぐ観点から、単位長さ当たりの含有部51と重なる接合部7の数は、好ましくは1本以下、より好ましくは0.5本以下である。
単位長さ当たりの含有部51と重なる接合部7の数は、以下のようにして測定する。まず、長手方向Xにおける接合部7の長さL5を測定する。また、含有部51と重なる接合部7の数をN1とする。そして、以下の式1により、単位長さ当たりの含有部51と重なる接合部7の数を算出する。単位長さは10mmとする。
単位長さ当たりの含有部と重なる接合部の数=〔N1(本)/L5(mm)〕×10mm・・・(式1)
本実施形態のように複数の含有部51が存在する場合、各含有部51ごとに、単位長さ当たりの含有部51と重なる接合部7の数を算出し、その平均値を、単位長さ当たりの含有部51と重なる接合部7の数とする。
【0026】
また接合部7は、吸収性物品1の平面視において、非含有部52と重なっていてもよいし、重なっていなくてもよい。機能性シート5のしなやかさが低下することを防ぐ観点及び機能性シートの消臭性能が低下することを防ぐ観点から、平面視において非含有部52と重なる接合部7の数は、好ましくは1本以下、より好ましくは0本である。
機能性シート5のしなやかさが低下することを防ぐ観点及び機能性シートの消臭性能が低下することを防ぐ観点から、単位長さ当たりの非含有部52と重なる接合部7の数は、好ましくは1本以下、より好ましくは0本である。
単位長さ当たりの非含有部52と重なる接合部7の数は、以下のようにして測定する。まず、長手方向Xにおける非含有部52の長さL6を測定する。また、非含有部52と重なる接合部7の数をN2とする。そして、以下の式2により、単位長さ当たりの非含有部52と重なる接合部7の数を算出する。単位長さは10mmとする。
単位長さ当たりの非含有部と重なる接合部の数=〔N2(本)/L6(mm)〕×10mm・・・(式2)
本実施形態のように複数の非含有部52が存在する場合、各非含有部52ごとに、単位長さ当たりの非含有部52と重なる接合部7の数を算出し、その平均値を、単位長さ当たりの非含有部52と重なる接合部7の数とする。
【0027】
本実施形態において、吸収体4は、周囲に比して坪量の低い低坪量部41を有している。本実施形態では、低坪量部41は、吸収体4が有する吸収性コアの坪量を周囲に比して低くすることにより形成されている。低坪量部41は、吸収性コアを厚み方向に貫通するスリットであってもよい。また低坪量部41は、吸収性コアの構成材料が存在しない非積繊部であってもよい。
【0028】
低坪量部41は、吸収性物品1を平面視したときに、機能性シート5の非含有部52と重なっていてもよいし、重なっていなくてもよい。吸収性物品1が幅方向Yに一層圧縮されやすくし、吸収性物品1のフィット性を一層向上させる観点からは、低坪量部41は、非含有部52と重なっていることが好ましく、非含有部52と含有部51との境界と重なっていることがより好ましい。低坪量部41が、非含有部52と含有部51との境界と重なっていることにより、非含有部52と含有部51との境界において、吸収性物品1が折れ曲がりやすくなるので、吸収性物品1をよりしなやかにすることができる。同様の観点から、更に、非含有部52及び含有部51それぞれが、長手方向に延びていることが好ましい。
【0029】
低坪量部41が形成されている位置に制限は無いが、吸収性物品1の長手方向Xの中央部においてフィット性を向上させる観点から、低坪量部41は、長手方向Xの中央域に配されていることが好ましい。具体的には、低坪量部41は、吸収性物品1を長手方向Xに7等分したときの中央の5領域内に存在していることが好ましく、吸収性物品1を長手方向Xに5等分したときの中央の3領域内に存在していることがより好ましく、吸収性物品1を長手方向Xに3等分したときの中央の1領域内に存在していることが更に好ましい。低坪量部41の全長が前記領域内に位置していてもよいし、低坪量部41は、前記領域から延出する部分を有していてもよい。
【0030】
また、吸収性物品1の長手方向Xの中央部においてフィット性を向上させる観点から、低坪量部41は、吸収性物品1の長手方向Xの中央域において、長手方向Xに延びる部分を有することが好ましい。具体的には、低坪量部41における長手方向Xに延びる部分は、吸収性物品1を長手方向Xに7等分したときの中央の5領域内に存在していることが好ましく、吸収性物品1を長手方向Xに5等分したときの中央の3領域内に存在していることがより好ましく、吸収性物品1を長手方向Xに3等分したときの中央の1領域内に存在していることが更に好ましい。低坪量部41における長手方向Xに延びる部分の全長が前記領域内に位置していてもよいし、低坪量部41における長手方向Xに延びる部分は、前記領域から延出する部分を有していてもよい。
【0031】
本実施形態では、機能性シート5の含有部51は、長手方向Xに直線状に延びる帯状形状を有しているが、含有部51の平面視形状及び配置パターンは、これに限られない。例えば、図6(a)に示すように、略円形状の含有部51が、ドット状に配置されていてもよい。図6(a)に示す形態においては、長手延在部51aは、長手方向に並んだ複数の含有部51によって形成されている。また含有部51は、図6(b)に示すように、長手方向Xに曲線状に延びていてもよい。また含有部51は、図6(c)に示すように、格子状に延びていてもよい。図6(c)に示す形態においては、非含有部52は、長手方向に不連続に形成されている。
【0032】
また、機能性シート5は、図7(a)に示すように、幅方向Yの端部が、肌対向面側に折り返されていてもよい。本実施形態においては、表面シート2と吸収体4との間に中間シート6が配されていたが、これに代えて、図7(b)に示すように、表面シート2と吸収体4との間に機能性シート5を配してもよい。
【0033】
また吸収体4は、図8(a)~(i)に示すように、下層吸収体4aと、該下層吸収体4aの肌対向面側に配された上層吸収体4bとを有していてもよい。吸収体4が、下層吸収体4a及び上層吸収体4bを有している場合、図8(a)及び(b)に示すように、下層吸収体4aと裏面シート3との間に機能性シート5が配されていてもよい。また、図8(c)に示すように、下層吸収体4aと裏面シート3との間に配された機能性シート5の幅方向Yの端部が、下層吸収体4aの肌対向面側に巻き上げられていてもよい。また、図8(d)及び(e)に示すように、下層吸収体4aと裏面シート3との間に配された機能性シート5の幅方向Yの端部が、上層吸収体4bの肌対向面側に巻き上げられていてもよい。図8(e)においては、巻き上げられた機能性シート5の幅方向Yの端部と、上層吸収体4bとの間に、別の機能性シート5が配されている。また、図8(f)及び(g)に示すように、下層吸収体4aと上層吸収体4bとの間に、機能性シート5が配されていてもよい。また、図8(a)に示す形態は、機能性シート5が尿や体液などにより濡れにくくいため消臭性能を保ちやすく、かつ身体から遠い部分に配置することでしなやかさへの影響も弱い点で好ましい。また、図8(d)に示す形態は、機能性シート5が吸収体(4a、4b)をくるんでいるため、より消臭力を保ちやすい点で好ましい。
また、図8(h)及び(i)に示すように、下層吸収体4aと上層吸収体4bとの間に、中間シート6が配されていてもよい。こうすることにより、吸収性物品1の装着者が排出した液を、下層吸収体4aに効率的に拡散することができるようになり、機能性シート5がさらに濡れにくくなることから、吸収性物品1の消臭性能を向上させることができる。
【0034】
また、本実施形態では、図5に示すように、低坪量部41は、長手方向Xに直線状に延びる帯状形状を有していたが、低坪量部41の平面視形状はこれに限られない。例えば、図9(a)及び(b)に示すように、長手方向Xに沿って延びる部分と、長手方向Xに対して傾斜した部分とを有していてもよい。
また、本実施形態では、吸収体4は、一対の低坪量部41を有していたが、図9(c)及び(d)に示すように、吸収体4は低坪量部41を1つのみ有していてもよい。
また、本実施形態では、低坪量部41は、平面視において、含有部51及び非含有部52の境界と重なっていたが、これに代えて、図9(e)に示すように、低坪量部41は、非含有部52のみと重なっていてもよい。
【0035】
次に、吸収性物品1の構成材料について説明する。
表面シート2としては、液透過性を有するシート、例えば不織布や穿孔フィルムなどを用いることができる。表面シート2は、その肌対向面側が凹凸形状になっていてもよい。例えば表面シート2の肌対向面側に、散点状に複数の凸部を形成することができる。あるいは、表面シート2の肌対向面側に、一方向に延びる畝部と溝部とを交互に形成することができる。表面シート2の肌対向面側に凹凸形状を形成するために、2枚以上の不織布を用いて表面シート2を形成することもできる。
【0036】
裏面シート3としては、例えば液難透過性のフィルムやスパンボンド・メルトブローン・スパンボンド積層不織布などを用いることができる。液難透過性のフィルムに、複数の微細孔を設け、該フィルムに水蒸気透過性を付与してもよい。吸収性物品の肌触り等を一層良好にする目的で、裏面シート3の外面に不織布等の風合いの良好なシートを積層してもよい。
【0037】
吸収体4が有する吸収性コアは例えばパルプを初めとするセルロース等の親水性繊維の積繊体、該親水性繊維と吸収性ポリマーとの混合積繊体、吸収性ポリマーの堆積体などから構成される。吸収性コアは、少なくともその肌対向面が液透過性のコアラップシートで覆われていてもよく、肌対向面及び非肌対向面を含む表面の全域がコアラップシートで覆われていてもよい。コアラップシートとしては、例えば親水性繊維からなる薄葉紙や、液透過性を有する不織布などを用いることができる。吸収体4は、吸収性コアのみからなるものであってもよい。
【0038】
吸収性コアは、シート状の吸収体である吸収性シートを主体とするものであってもよい。吸収性シートは、典型的には、木材パルプ等の繊維材料を主体とする繊維シートと、該繊維シートの内部又は表面に固定された吸収性ポリマー等の吸水性材料とを含んで構成されている。吸収性シートは、相対向する2枚のシート間に吸収性ポリマーの粒子が介在配置された構成を有するものであり得る。
吸収体4が、下層吸収体4a及び上層吸収体4bを有する場合、下層吸収体4a及び上層吸収体4bの少なくとも一方が、吸収性ポリマー等の吸水性材料を含んでいることが好ましい。
【0039】
多孔質粒子の材質は無機系でもよく、あるいは有機系でもよい。多孔質粒子の平均細孔径は、吸収性物品として吸着させたい臭い分子径の観点から4.0nm以上であることが好ましい。また多孔質粒子の形状は球形、アスペクト比をもつ棒状や針状、粉砕形状等の不定形状等のいずれでもよい。
【0040】
多孔質粒子としては、例えば、多孔メタクリル酸ポリマー、多孔アクリル酸ポリマー等のアクリル酸系ポリマー、多孔ジビニルベンゼンポリマー、多孔ピリジン共重合体等の芳香族系ポリマー、及びそれらの共重合体等の合成の多孔質ポリマー;キチン及びキトサン等の天然の多孔質ポリマー;活性炭、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素(シリカゲル)、アルミノ珪酸塩、亜鉛等の金属担持アルミノ珪酸塩、ケイ酸カルシウム、疎水性ゼオライト(ハイシリカゼオライト)、セピオライト、カンクリナイト、ゼオライト、及び水和酸化ジルコニウム等の無機多孔質物質;銀担持ゼオライト、銀担持カンクリナイト、並びに、銀担持多孔スチレン-ジビニルベンゼン-ビニルピリジンポリマー及び銀担持多孔ジビニルベンゼン-ビニルピリジンポリマー等のビニルピリジン共重合体などの金属担持多孔質などが挙げられる。これらの多孔質粒子は一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。これらの多孔質粒子のうち、臭い原因物質の消臭に適している観点から、カンクリナイト、ゼオライト、活性炭、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素(シリカゲル)からなる群から選ばれる一種又は二種以上を用いることが好ましい。
機能性シート5が有する機能は、好ましくは消臭であるが、消臭以外の機能であってよい。消臭以外の機能としては、保湿剤、抗炎症剤、抗菌剤、冷感材、温感材、吸湿剤等が挙げられる。
【0041】
多孔質粒子は、単独で又は固定用の組成物とともに、含有シート5aを構成するシートに固定されていることが好ましい。例えば、混抄紙として繊維原料と多孔質粒子を混ぜ合わせることが挙げられる。繊維原料としては、NBKP、LBKP等の木材パルプや、藁、綿等の非木材パルプ等の公知の天然繊維等が使用される。また、シート強度を向上させる目的で、ポリエチレン繊維等の剛性繊維を併用してもよい。単独の例としては、活性炭単独を一方の非含有シートに散布し、他方の非含有シートをさらに積層した後、水を散布したあとに乾燥させるといった製法が挙げられる。
多孔質粒子は、一対の非含有シート5b間に、多孔質粒子を含む含有シート5aを挟むことによって機能性シート5に固定されていてもよく、一枚の非含有シート5bに、多孔質粒子を含む含有シート5aを接合することによって機能性シート5に固定されていてもよく、1枚又は2枚の非含有シート5bに直接担持されていてもよい。多孔質粒子を1枚又は2枚の非含有シート5bに直接担持させる場合には公知のホットメルト接着剤を使っても良い。なお、その場合に接着剤の塗布パターンは特に制限されないが、多孔質粒子の穴をなるべく塞がないようにすることが好ましく、例えば、ビード状、スパイラル状、細長の面状、波状などが好ましい。
【0042】
機能性シート5は、例えば以下のようにして製造することができる。含有シート5aを構成するシートを湿式抄紙等によって抄造し、湿潤状態の該シートの一面又は両面に多孔質粒子をする。その後、多孔質粒子を散布した面に、湿式抄紙等によって抄造した非含有シート5bを重ね合わせて積層体とし、この積層体をヤンキードライヤ等の公知の乾燥方法で乾燥することによって、機能性シート5を製造する。また、乾燥させる前の含有シート5a及び非含有シート5bを積層し積層体とすることに代えて、含有シート5a及び非含有シート5bをそれぞれ乾燥させた後に、重ね合わせて積層体として、機能性シート5を製造することもできる。
【0043】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明の範囲は前記実施形態に制限されない。
【符号の説明】
【0044】
1 吸収性物品
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収体
41a 低坪量部
5 機能性シート
51 含有部
51a 長手延在部
52 非含有部
6 中間シート
X 長手方向
Y 幅方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図9